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1972-05-24 第68回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十四日(水曜日)    午前十一時三十四分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 江藤  智君                 佐田 一郎君                 森中 守義君     委 員                 稲嶺 一郎君                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 橘  直治君                 山崎 竜男君                 若林 正武君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  中村 大造君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        建設省道路局長  高橋国一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    寺尾  繁君        行政管理庁行政        監察局監察官   近藤 輝彦君        環境庁大気保全        局自動車公害課        長        小林 育夫君        通商産業省重工        業局自動車課長  中村 泰男君        運輸省自動車局        整備部長     隅田  豊君        建設省都市局参        事官       大塩洋一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の審査を進めます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 山田勇

    山田勇君 先般来議題となっております日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたします。  冒頭にお尋ねしたいのですが、この法案が可決され、施行されましたら、この法案適用範囲という点でお尋ねしたいのですが、沖繩県にこの法律が適用されますでしょうか。
  4. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この法律適用範囲につきましては、「政令で定める大都市及びその周辺」ということになっておりまして、現段階におきましては、政令におきまして東京都、大阪市及び名古屋市ということを考えておりますから、東京都、大阪市、名古屋市及びその周辺がこの法案の一応の適用区域ということをいま考えております。ただし、今後この法案が目ざしておりまするような、都市機能人口集中中枢管理機能集積等によりまして、通勤通学輸送を確保するとか、団地輸送を確保するとかいうような必要が生ずるような地域につきましては、政令改正いたしましてこれを拡大をするということを考えておるわけでございまして、沖繩につきまして将来そのような状態になるかどうかということにつきましては、今後の沖繩におきまする人口推移、あるいは輸送需要推移というものを見ましてから十分に検討する必要があると思います。
  5. 山田勇

    山田勇君 局長もよく御承知のとおり、沖繩には私鉄国鉄を兼ねて一線の鉄道もいま現在敷かれておりません。そこで、一部私鉄企業者の動きなどの中で、モノレールを敷こうというような話が沖繩のほうで出ているそうですが、かりに、将来の人口推移を見た上でこの法律を適用してもいいというふうに私は理解さしていただきますが、そうしますと、そのモノレ-ルの場合でもこの法律が適用されますでしょうか。
  6. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この法律適用範囲の問題と、それからどういう施設に対しましてこの法律案を適用するかという二つの問題があるわけでございまして、どういう施設に対してこの法律を適用するかということにつきましては、法律の中におきまして、運輸省令で定める規格を有する地方鉄道軌道ということに考えております。それで、私ども、この運輸省令で定める地方鉄道軌道規格ということは、従来考えておりましたところのたとえば路面電車その他路面交通というようなものの用に供するものにつきましてはこれは除外する、いわば高速鉄道的性格を持ったものをこれに載せるという考えを実は持っております。したがいまして、将来モノレールについてこれを適用するかどうかというのは、今後の検討問題であろうかと思います。具体的な事情があらわれてまいりましてから、これを考えていく必要があろうかと思います。一応は、高速鉄道というような性格に入るような性格のものであるなら適用するし、そうでなければこれは適用除外していくというふうに考えております。
  7. 山田勇

    山田勇君 この機会ですから局長にお尋ねをしておきたいんですが、国会答弁などの、山中長官答弁の中では、どうも鉄道沖繩に敷くという構想にあまり御賛成でないように承っております。そこで、沖繩には鉄道がいま御承知のとおり一線もないという状態でございます。将来の計画として、沖繩にいわゆる大量輸送の体系の一環としてそういう構想が全然ないのか、いやいましばらくそういう計画段階であるとかいうふうに私御答弁いただけばけっこうかと思います。
  8. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 沖繩における鉄道整備でございますが、結局、沖繩における輸送需要人口増大の模様というようなものとの関連でございますが、鉄道の特性ということを考えてみますと、これは非常に大量輸送に適した性格施設である。しかしながら、軌道を有するということから小回りがきかない、自動車のような小回りがきかないというような別の意味の短所があるわけでございます。したがいまして、そういう大量輸送に非常に適したような輸送需要というようなものがある場合には、これは鉄道を引くことが非常に経済的であるし、合理的であるということに相なるかと思うわけでございますが、現在の段階ではまだ鉄道を引くような段階ではないのではないかと私ども考えておりまして、いま沖繩につきまして鉄道を引くという具体的な計画を持っておりません。  それからモノレールでございますが、これも計画自体はまだ持っておりませんが、ただモノレール施設としての性格ということを考えてみますと、これは高速鉄道に比べましてはるかに輸送力が小さいわけでございます。したがいまして、高速鉄道の要求されるような輸送力というようなものでなくてもこれを引く可能性もあるわけでございまして、一方高速鉄道とは別の意味快適性その他もあるわけでございまして、そういうような面を考慮いたしまして今後沖繩につきましてのモノレールというものを検討してまいらなければならぬというふうに考えております。
  9. 山田勇

    山田勇君 局長も御承知のように、大都市及びその周辺通勤通学等輸送需要は年々増大の一途をたどりまして、毎朝、毎夕のラッシュのものすごさは、会社なり学校に到着した時点ですでに相当のエネルギーを消費し、著しく疲労した状態で勤務なり勉学につくというのが日常であります。また、この通勤通学ラッシュ過密ダイヤは、たびたび起こる事故にも見られますように、人命の上にも大きな危険を与えております。全く憂慮にたえません。こういったことを勘案してこのたびの公団法の一部を改正するということですが、乗客の側から見ればおそきに失したというほかありません。  さて、ずばりと言って、この法改正でこのような通勤地獄解消できるとお考えになっておりますか、率直なお考えをまず聞かしていただきたいのです。
  10. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 大都市におきまする通勤通学輸送でございますが、これは何と申しましても、鉄道性格等考えてみますと、大都市におきましては、高速鉄道というものを中心として、そしてバスその他がこれを補完した形で大都市交通需要をまかなっていくというよりはしかたがないことじゃないかと思うところでございます。それで、その大都市交通需要というものに対しまして、国鉄地下鉄私鉄とそれぞれの交通機関がございまして、このいずれをも整備をしなければならぬというわけでございます。しかしながら、私鉄大都市交通におきまして周辺部交通を主として担当いたしておるものが多い。都心部にも一部入っておりますが、周辺部のウエートというのが非常に多いわけでございます。しかも、大都市におきまする人口集中度合いというのは、周辺部人口の増加の度合いが非常に大きいわけでございます。それが、都心部におきまするところの都市管理機能中枢管理機能増大というものと相まちまして、私鉄輸送需要が非常にふえ、また私鉄役割りが非常に大きくなっておるわけです。そこで、そういったような需要に対応いたしまして、従来私鉄輸送力増強安全運転保安工事というものをやってまいっておるわけでございますが、従来の輸送力増強工事の主体というのは、車両をふやすとか、ホームの有効長を長くするとか、あるいは列車編成増大するという程度の、いわば可動施設中心輸送力増強工事であったわけでございますが、現段階におきましてはそれだけではもう輸送力増強が限界に達しております。どうしても基礎的な施設としての複々線化だとか、あるいは地下鉄直通の新線建設だとか、あるいは大規模ニュータウンへの建設だとか、こういう基礎的なものをやってまいらなければどうしても対処できないということでございます。ところが、こういった基礎的な施設につきましては、私鉄の能力という点からまいりますと、非常に設備資金が膨大でございますために、設備資金の調達とかというような問題にも問題がございます。それから、非常に先行的投資性格を持っておりまするために、建設によるところの収支採算上の問題もあるということで、なかなか整備が進まないというところで、今回鉄道建設公団をしてこの施設整備を行なわせる、こういう構想でございます。したがいまして、これによってただいま先生指摘のような通勤輸送が全部改善されるか――なかなかそこまでむずかしいわけでございます。しかしながら、私ども、これと、それから同時に私鉄自体輸送力増強自分でやる分も大いにやってもらわなければいかぬ。そういう両方を含めまして、現在ごく大ざっぱに言いまして乗車効率と私ども言っておりますが、定員乗車輸送人員との関係でございますが、二一五%ぐらいの私鉄乗車効率でございます。で、二〇〇%というのはもう非常に混雑をしている、定員に対して倍でございますから非常に混雑をしている状態でございますので、これを何とか二〇〇%以下に押えていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございまして、一挙に私どもこれによって混雑解消ができるとは考えておりませんが、現在二一五%程度のものを二〇〇%を切った姿にまでどうしても持っていかなければならぬ、このように考えて、その一環として整備をしたい、こういうことでございます。
  11. 山田勇

    山田勇君 そうしますと、その新線もとになりますまあターミナルですね、かりに私が住んでおりますニュータウンの例をちょっととりまして、まず絵をかいたんですが、ここにすでに既成線がある。梅田という大きなここにターミナルを持っている。ここにニュータウンが、すでに人口十二万の都市がある。おそらくここから延長線が出るといたします。そういたしますと、ここからニュータウンへ、現在とまっている私鉄線から――新線というのは、ここをさして新線と言うんだと思うんです。かりにこの法案が適用されるなら、ここに新線ができてきます。そうしますと、この線は既成線を通過してターミナルに入りますから、ここで相当大きな、いま二〇〇%の乗車効率といいますか、それを上回るものが梅田にあふれるだろうと私は私なりのしろうとの考えで申すわけですが、そういうふうになってきますと、この新線工事は、この法律が適用されて工事申請、許可がおりたといった場合、その新線だけいわゆる国庫補助をつけてこの法律を適用さすのか、それと同時に、運輸省行政指導一環として、当然このターミナルがふくれ上がるのはわかっておりますから、これに対する複々線を同時に、行政指導段階ででもよろしいし、どういう形か私よくわかりませんが、当然これはパンクする状況になるんです、この新線を認めるということについて、その時点でそこまでの行政指導をやるのか、この複々線にする場合には、あくまで既成線私鉄企業の予算内で行なうのか、これにからんだ国庫補助のあれをここに先行投資的なもので投下していくのか、その辺がちょっと私にはわかりませんので、御説明願いたいと思います。
  12. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 非常に適切な御指摘でございまして、先生おっしゃいますように、新線部分をつくりますと、それの輸送需要がふえてまいります。したがいまして、その輸送需要は、ただいま先生指摘のように、既設線輸送需要にも当然なってくるわけでありまして、そうしていままでも込んでおりました既設線がそれによってさらに込んでくるという状態に相なるわけでございます。したがいまして、新線建設いたしまして、それの輸送力整備をいたしますと、当然、それによって、もとのほうの線路の輸送力増強ということを考えでいかなければいかぬわけでございます。そこで、その考えていくもとのほうの輸送力増強やり方としては、たとえばその部分につきましての車両をふやすとか、あるいは信号をふやすとか、あるいは変電所をふやして容量を大きくするとか、いろんなやり方があるわけでございますが、根本的には、非常にふえてきた場合には、従来の線のほかにもう一線つくらなければいけない。複々線化、あるいは三複線化、そういうふうなことをやっていかなければならぬわけでございます。その点は、まことに先生指摘のとおりでございまして、その点につきましては、このもとのほうの輸送力増強というものも、先のほうの輸送力増強とあわせて考えまして、そしてそのもとのほうが支障のないような指導というものは、当然私どもやってまいるわけでございます。で、その次の問題といたしましては、そういうふうにしてもとのほうを指導し、また整備を促進をする場合におきまして、このやり方でございますが、これは今度の法律におきましても、一応複々線化というものにつきましては、これは対象といたすわけでございます。したがいまして、今度公団がそういう複々線化部分というものにつきましての工事をするということも可能でございます。したがいまして、それに対する、この公団方式によるところの国家助成ということも可能でございます。それからさらに、当該私鉄事業者に対しまして私ども指導をいたしますから、その当該私鉄事業者自分の力でそれをやりたいということもあるわけでございまして、これに対しましては、開発銀行等の融資――これは利子が安いわけでございますが――といったようなものを積極的に利用いたしまして、そしてそれの整備を促進するように私ども指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 山田勇

    山田勇君 とにかく、この交通政策というものは、日本におきましてはいつも後手後手と回っているというように私は思いますし、きのうの小柳委員質疑に対して、国鉄総裁も、ニュータウンができてしまってから鉄道をどうしようというふうなことで、たいへん国鉄側としても困るというような御答弁があったように思いますが、一般大衆と申しますか、乗客立場に立った政策が私は行なわれてない。まあ乗客の側はそれしかないから乗っているという弱い立場ですし、国鉄なり私鉄は乗せてやっているという立場。したがって、今回の混雑緩和のためといった法改正の趣旨を、どうも私はもう一つ正直言って信用はできないように思うんですが、まあ国鉄は前回の運賃の値上げの際にもキャッチフレーズとして言ったことばがあります。すわって新聞が読めて通勤といったような表現で一応国民を納得させようとしましたが、一向に改善されておりません。それはもう当の局長が――先日もある会合でお話聞きまして私たいへん敬服いたしたのですが、自分みずから通勤ラッシュの中にもまれて、その体験を生かして行政面に少しでもプラスにしようと。そういう局長の御努力には、もう私はほんとうに尊敬の念を抱いておる一人でございますが、御承知のとおり、もう事故にあわれても、局長自体も、先日おっしゃったように、ラッシュの中を役所にかけつけるというようなことでございます。そこで、何か愛情の欠けた交通輸送政策が原因と私は思うんですが、局長、いかがですか。
  14. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生おっしゃいますとおり、鉄道輸送力増強が従来後手後手に回っておったということは、先生指摘のとおりでございます。何と申しましても、国民の足として、また生活の基盤たる性格を持っておるわけでございますから、どうしても先行的に費用も確保いたしまして、そして少しでも通勤混雑あるいはその苦痛というものを解消しなければならないものだと思っております。  それで、ただいま先生指摘のございましたように、なかなかすわってまでいくというような状態には至りません。二〇〇%といいましても、これはただ定員百に対しまして二〇〇ということでございますから、相当混雑でございます。私ども、将来の構想といたしましては、一五〇%ぐらいにまでしていく。これは、都市交通審議会等におきましても、そういう構想整備をしようじゃないかということを考えておるわけでございまして、どうしてもそこまではやっていかなければいかぬのじゃないか。それでなければ、他の各般の文化的な施設等とのバランスのとれたことにはならない。通勤だけが異常に混雑をしておるというようなことになるわけでございまして、今回の公団法も、何といいますか、非常に小さいことでございまするけれども、とにかく第一歩としてこれをやっていく必要があるのじゃないかと、このように考えておるわけでございます。今後とも御鞭撻のほどお願いいたします。
  15. 山田勇

    山田勇君 現実の輸送混雑緩和が急務で、これの解消局長も全力をあげているということはよくわかります。  そこで、今回のこの法案ですが、新線ができるということによって、沿線開発と申しますか、そういう開発がされてきます。そこで、先ほど言いましたように、新線だけじゃなく、既設線にでも複々線というふうなことで運輸省のほうの行政指導もやっていくということですが、と同時に、そういうふうな、どう言うのですかね、生産機能分散立地学校だとか文教機能都市周辺、また公害分散などというふうなことも考えて、鉄建の法案というものが適用されれば、そういう過密というものは少しは避けられるように思うんです。これは、はっきり言いまして、土地の問題になってきまするとまた管轄等も違ってくると思うんですが、せめて、運輸省管轄でもあるターミナルとか、そういうものを自治体とよく話し合って、そういうふうな行政指導といいますか、その管轄の中には建設省も含まれるでしょうが、その新線を敷くというだけでなく、そういうふうなことを、横の連絡と申しますか、そういうものを常にとりながら新線を敷設していくというふうになれば理想的だと私は思うんですが、いかがでしょう。
  16. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいままでいろいろ適切な御意見を拝聴いたした次第でございますが、根本は、やはり過疎過密、この対策をいかにして樹立するかということに私は尽きると思います。新全総におきましても、国土の均衡ある発展ということを一番の大前提にしております。これができませんと、いま御叱正もいただいた次第でございますが、どうしても運輸行政というものはあと追いあと追いになりまして、一般住民の方に御迷惑をかけるというようなことになる次第でございます。御承知のとおり、東京大阪はすでにもう都市機能としては一ぱい、満度ではないかと、こういうふうに私は思っている次第でございます。したがいまして、それらの点は、政府といたしまして、どういたしましても、具体的に過密過疎というものをいかにして解消するか、これがために、均衡ある発展を遂げるために拠点都市というものをつくってまいりまして、それに合わせて輸送計画というものをきめていかなくちゃならないと、お説のとおりでございます。ただ、はなはだ恐縮でございますが、日本鉄道建設公団法の一部改正というのは――もうすでに過密になっておりまして、いま御指摘もいただきましたように、ほんとう住民の皆さんには申しわけない、これを幾分でも緩和をしたいという一つのあらわれでございます。それにいたしましても、昨日来御指摘がございましたが、百二十五億ぐらいの金では足りないと、それもお説のとおりと思う次第でございます。御承知のとおり、東京大阪というような大都市におきましても、まず一番に通勤通学対策につきまして高速鉄道網完成、いわゆる地下鉄による高速網完成ということもあげられるということでございまして、先般の首都圏交通審議会都市交通の答申にもございました。いまよりも地下鉄におきまして十三路線をふやす、これの決定をみた次第でございます。これと相関連をいたしまして、この一助といたしまして、私鉄のほうにも御協力を願おうじゃないか。ことに、ニュータウン等におきましては、私鉄におきましてもそれぞれ計画があるようでございますので、それに対しましても、さらに、私鉄だけにその投資のくふうから全部を、私鉄などの独自の力でまかしておくわけにいかぬ、これもやはり政府もある程度援助をしなくちゃいかぬということであった次第でございまして、これは過密対策一環とした次第でございまして、いま御質問のございました根本の問題は、私どものほうも早急に、ほんとうに具体的にこれはきめまして、そして持っていかなければならぬ。御承知のように、いまのままでまいりますると、東海道メガロポリスと申しますか、そこへ人口集中してしまう。あと過疎地帯もあり、私どもの一番悩みに思いますのは、過疎過密対策でございます。輸送におきましては、過疎対策といたしましては赤字経営に苦しみ、また通勤対策にいたしましても、時間別がございまして、ラッシュ時は非常に多い。いまお話がございました、二四〇%も乗車をしている。しかしながら、もう昼間になるとがらがらであると、こういうふうな状態でございます、その点で、通勤の時間差も、いませっかく内閣交通対策委員会でやっておりまして、三十分置きくらいの要請をしてやっておりますが、三十分置きくらいでいいものかどうか、こういう問題もございます。それらを勘案して、やはり総合的にやってまいりませんと、これはならぬものじゃないか。いま総合的な対策が一番必要でございますので、私どももその点で、関係各省十分連絡をとりまして、御意見を十分踏まえまして、これらの対策、おくればせで恐縮でございますが、やってまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
  17. 山田勇

    山田勇君 民間私鉄の力だけでは、今後の輸送力増強はなかなかやっていけない。そこで国が手をかそうということですが、巨額の資金が必要ということになれば、その建設の過程によほど能率のよい運営をやらなければいけないと思います。これは運営が悪ければ、非能率的になります。非能率的になれば、言いかえれば、コスト高になってきます。そうしますと、利にさとい私鉄経営者が、ありがとうございましたと言ってそれを引き受けるかどうか、その辺もちょっと不安ですし、その点いかがでしょうか。
  18. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この鉄道私鉄が経営いたしまする関係で、私鉄事業の性格といたしまして、当然、収支採算ということを非常に大きく考えることは、これはもうお説のとおりでございます。したがいまして、そういう意味からいきまして、この建設につきましては、これをやはり、何と申しますか、合理的な価額で建設をしなければいけない。そのためには、その建設に要する費用というもの、建設費用をできるだけ安くしていく必要があろうかと思います。そのために、いま、公団自体の建設のしかたというものも、効率的にやっていかなければいけないわけでございまして、お役所的な性格建設をしたのでは、とてもそれは私鉄としても対処できないということに相なるかと思います。そういうような観点に立ちまして、私ども、この法律の中におきましては、この設計その他等々も考え合わせまして、鉄道建設公団は、この工事実施計画というものを、私鉄工事実施計画というようなものと合致させるというようなことによりまして、設計等の斉合性というようなものをはからせます。さらに、実際の工事の実施等につきましては、これは私鉄の技術、能力というようなものを十分に利用するという形によりまして、能率的かつ効率的な建設というものをしてまいりたいと、このように考えております。
  19. 山田勇

    山田勇君 私は思うのですが、いっそ、この資金を貸し付けて、私鉄建設させるほうが、局長のいまのお話ですと、何か効率的ではないかと私は考えるのですが、いかがですか。
  20. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生のおっしゃいますように、資金の貸し付けによって私鉄建設をさせるということもあろうかと思います。しかし、私どもといたしましては、やはり都市交通整備というものを急速にやらなければならぬということでございますから、その意味では、全く私鉄自体整備というものにまかせ、そうしてこれを資金の貸し付けによって助成をしていくというだけでは不十分である。従来の実は開発銀行の融資ということによるところの私鉄建設というのは、先生おっしゃいましたような資金の貸し付け方式でございまして、建設費の五〇%を開発銀行から七分で貸し付けるという助成によりましてやってまいったわけでございますが、なかなかそれだけでは、私鉄自体の実態からいきまして建設が進まないわけでございます。そこで、やはり国が公団をつくりまして、そうして資金の面でも直接に公団がタッチをするということにした。  それは、もうちょっと詳しく申し上げますと、問題は三つ実はございます。  一つは、私鉄がやります場合には、当然この建設に要する資金を自分が調達をいたしまして、そうして建設をするわけでございますが、その資金の調達能力という点につきましても、非常に困難な点が多々ございます。ばく大な資金でございますから、困難な点がございます。たとえば抵当はどうするかとか、いろいろ問題がございます。そこで、今回は鉄道建設公団が主体となりましてその資金調達を行なう。その中身といたしましては、財政投融資からも入り、しかも公団の国の機関としての責任と信用でもって資金の調達ができるという意味での資金調達能力が一つできる。  それからいま一つは、収支採算の面におきまして、できるだけ建設費を安くするという意味におきまして、国の資金運用部資金からの貸し付けをする。これは六分五厘でございますから、資金コストが非常に安い。さらに、特別債を発行するものに対しては、利子補給をするということによりまして収支採算上の問題を解決していく。  それからさらに、これの建設ができましてからのことでございますが、通常の私鉄自体建設をするといたしますと、さっそくこれの債券その他を返還をしていかなければならぬわけでございます。それで、それに対しまして、今回のこれの構想によりますれば、一応公団がつくりまして、完成後二十五年間の元利均等償還というような返済の方式をとるということにいたしております。そういたしますと、通常の銀行借り入れが約五年なり十年の期間で返済しなきゃならぬ。それから社債を発行いたしましても、大体七年でございます。そういう短期に返済をしなければならぬというよらな問題に対しまして、二十五年元利均等償還という非常に長期な返済ができるということで、その意味で資金繰り上非常に有利な点があるというふうなところで、私どもは、やはりこの公団方式でやったほうがその促進がはかられるというふうに考えまして、この方式にしたわけでございます。
  21. 山田勇

    山田勇君 そうしますと、この公団法を適用された新しい線ですね、新線というものは、かなり国の助成によってでき上がった線というふうに理解します。そうしますと、私鉄運賃の値上げの申請が出てきましたときに、この新線についての値上げ幅というようなものに対する一つの還元ですね、そういうようなことは全然考えられておられませんか。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  22. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、私鉄の設備投資が非常に金がかかり、そうしてまた収支採算が合わない。一例を申し上げますと、たとえば複々線ができ――東京の京王電鉄という会社がございますが、そこの複々線化工事は、キロ当たり四十億をこす工事でございます。ところが、どうやっても会社のキロ当たりの収入は一億強でございます。したがいまして、四十億をこす工事費になりますと、その利子といたしましても相当なものでございますし、さらに減価償却を考えると、これはまた相当なものである、とても収入では幾ら運賃値上げしてもそれはペイできる性格のものではございません。しかしながら、そういったことでできないということではいけないので、国としてこれを助成をするということで建設を促進するということ。そこで、私ども、運賃の場合、運賃の改定がかなりにあった場合にはどういうふうにしたらいいかということになりますと、これは結局は当該鉄道事業者全体の収支というものを考えていかなければいかぬじゃないか。その線だけを見たのでは、これは運賃だけでやっていけと言っても無理な話でございますが、全体としての収支を見まして、そしてその収支の上に立って私鉄の運賃改定がいいかどうかというようなものを判断していくというやり方にせざるを得ないというふうに考えております。
  23. 山田勇

    山田勇君 それから、建設私鉄に引き渡すわけですが、譲渡価額が問題になると思うんですが、この決定はどのような方法で行なうのか、説明していただきたい。
  24. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 譲渡価額でございますが、この基本的な考え方とすれば、まず鉄道建設公団は、これは私企業ではございません、国の機関でございますから、全然もうける必要のない性格の事業でございます。しかしながら、これにかかった金というものは、いわば国の機関が国の責任で調達をし、そして建設をするわけでございますから、かかった費用は全部回収をしなければいかぬ、かかった費用は全部地方鉄道業者から回収をするというたてまえにならざるを得ないというわけでございます。そこで、具体的にこの譲渡の価額をどうするかということにつきましては、この法律によりまして、二十三条で政令の定めるところによって譲渡し、引き渡しをするということにいたしまして、その政令の中におきまして譲渡の価額の基準というものを書きまして、その価格の基準に従って譲渡価額を決定していく、こういうように考えております。それで、私どもいま考えておりまする政令の内容といたしましては、まず建設に実際にかかりました直接的な建設の費用、それからそれに関連いたしまするところの利子が当然要るわけでございますから、この利子支収いの費用、それからいま一つは、たとえば、こまかい話になりますけれども、債券の発行費だとか発行差金だとかいうようなものもございますし、その他の管理費というようなものがございます。こういったようなものも当然建設費に含めまして、そして私鉄から回収するということになりますから、そういったようなものを政令の中に書きまして、そしてそれを基準として譲渡価額を決定するというふうにいたすわけでございます。なお、具体的な譲渡価額をきめる場合には、これは国としてやはり審査をする必要がある、国家的な公団が損をしてしまっては悪いわけでございますから審査をする必要があるということで、公団が譲渡価額につきまして運輸大臣の認可を受けるということによりましてそれを決定をしていくということにいたします。
  25. 山田勇

    山田勇君 混雑緩和ということは、国民にとってはたいへんありがたいことですし、まあ私鉄が手をつけたがらないことを国側が建設をして私鉄に渡すということになれば、勢い私鉄に有利な条件になるように思います。それと、低利で長期な償還ということは私鉄側も望むことですし、国民の側から見れば、私鉄自身と政府の癒着といった疑惑の目もまたあると思うんですが、そういった点で、国民への配慮といいますか、ガラス張りの方法というものが必要だと思います。それはどういうような方法を講じておられますか。
  26. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点は、先生おっしゃるとおりでございます。何と申しましても、この建設というものは明朗でなければいけません。したがいまして、やはり一番の問題は、どういう施設をつくるかということと、それから、それを引き渡して、どういう価額でこれを譲渡するかということがやはり基本的な問題であろうかと思います。  そこで、どういう施設をつくるかということにつきましては、これはやはり私鉄事業者だけにかってにさせるわけにはいかないのでございまして、それは国として十分その点見なければいかぬわけでございます。それで、国として、たとえば当該施設の設備が国民の便益にかなっておるかどうか、あるいは他の鉄道と直通している場合に、その直通関係がうまくいっているかどうかというようなこと、全部を判断する必要がございます。したがいまして、そういう判断に基づいて、施設、設備をつくる場合には、工事施行の認可という手続がございます。それには、たとえば線路の規格から、駅の規格から、出入り口をどこにつけるかというところまで工事施行認可の中に含まれるわけでございます。そういう点を私鉄が国に対しまして申請をいたしまして、そうしてその申請をしたものにつきまして運輸大臣がこれを十分審査いたしまして、そういうことでいいということになったものについて建設をさせるということに相なります。それで、今度のこの公団がこれをやる場合におきましても、そういう工事施行認可というものと合わせた姿の工事実施計画というものを建設公団がつくりまして、そうしてそれに基づいて建設を進めるというかっこうでまず第一の問題は解決してまいる。  その次に、その私鉄やり方自体につきまして、譲渡の仕事のやり方、あるいは引き渡しというようなことが、いろいろ公団との間で協議をして仕事を進めるわけでございます。施設ができますと、今度はその引き渡しをする、それに対して譲渡価額をきめるということでございますが、やはりその根本は譲渡価額を幾らにするかということでございます。その譲渡価額に関しましては、その基本的な問題は政令できめまして、建設費の範囲をどうするかということは政令できめまして、さらにその政令できめた具体的内容につきましては、今度は公団から譲渡価額とかその他の引き渡し価額とかいうものの認可申請を出しまして、それを運輸省がきちっと見て審査するということにいたします。なお、その途中の段階におきまして、公団の出資計画あるいは事業計画その他につきましては、国として認可をするという形で支障のないようにしていく、こういう十分な監督体制をとっております。
  27. 山田勇

    山田勇君 よくわかりました。  その譲渡後、経営が思わしくない、赤字だ、しかし、これは一応国の施策に従ってやっていることで、責任は国にある、そういう極端な論法にならなくとも、赤字経営になったときの対策というものはお持ちですか。
  28. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道建設は非常に採算に合わない設備投資でございます。したがいまして、これをたとえば建設をし、そうしてそれによって建設公団から私鉄に譲渡いたしまして、当該私鉄としてはなかなかそれは採算ベースに乗ってこないことになると思います。かなり長期の回収期間を要すると思います。しかしながら、そういう段階でいろいろのことが考えられるわけでございますが、私鉄がそれならばそのためにやっていけなくなって破産したらどうなるという半面も実は考えなければいけないことだと思います。そういう場合も考えて、国のほうとしても損をしてはいけないということも考えておるのでございまして、私どもそういうことにつきましては、譲渡代金の債権を保全するために、その私鉄の設備自体につきまして、鉄道抵当法という法律に基づきますところの抵当権――財団抵当でございますが、財団抵当の設定をいたしまして、そうして万が一のことがあればこれの実行ということによりまして債権弁済を受ける、こういう法的な措置を考えております。ただし、こういうような法的なことは、もちろん一応そういう法的措置がしてあるだけということでございまして、実際にはそういうものが起こってはたいへんなことでございます。また、私どもといたしましても、非常に私鉄としては苦しいけれども、とにかく都市近郊でございますから、長い将来では採算はとれていくというふうに考えておりますので、そういう長期的な目で見て全体としての経営を私鉄が行なっていくわけでございますから、事実上いまのようなことは起こり得ないというふうに考えておるわけでございます。
  29. 山田勇

    山田勇君 ちょっと話が飛躍するかもわかりませんが、局長も御承知のとおり、大阪の泉北鉄道というのがございます。これは新しい地方団体と私鉄とで総合的につくった鉄道ですが、それと今度の鉄建の法案とのかみ合わせと申しますか、何かそういうふうなお考えございますでしょうか。もう少し詳しく言えば、いま現在敷かれているのは泉北でありまして、今度当然泉南の開発ということは考えられますし、もうすでに開発に入ると思います。そうした場合、御承知のとおり、あのいきさつは、南海電鉄は当然採算ベースに乗らないのであそこへ線を敷くことはでき得なかったしいうことで、ああいう泉北鉄道というのができ上がったわけです。新しい体系でできたわけですが、それと、今度かりに南海がこの方法を講じまして、これを適用されていいところだけ泉南に乗り入れてしまうというふうな問題が出るか出ないか、またその泉北鉄道と南海電鉄との関連というふうなものがどういう形にあらわれてくるかというようなことをわかれば教えていただきたいんですが。
  30. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 現在、泉北ニュータウンにつきましては、大阪府の大阪都市開発という会社が免許を受けまして、そしてその一部が開業をいたしておるわけでございます。それで、この会社は、大阪地区におきまする会社のほか、地方公共団体もこれに出資した会社でございます。そこで、その会社がいま私鉄である南海との関係におきましては、運行委託を南海にいたしまして、そして運営をしているということになっております。それで、今後の延長なりその他の新線建設ということにつきましては、当然この法律によりまして公団がこれを行なうという道はもちろんございます。したがいまして、この法律に乗ってまいるということもできるわけでございますが、そのほかの方法といたしましても、公営が一部かんでおりますから、地下鉄方式に準ずるような性格の助成というふうな道も実は考えております。それで、まだ具体的に今後の延長その他につきましてどういう仕組みをとるかということまで確定をしているわけではございませんが、そういう地下鉄方式に準ずるような助成方式でこれを整備していくということを実は考えておるところでございます。
  31. 山田勇

    山田勇君 最後ですが、最後に、総合交通政策は近来やかましくいわれております。この法改正が今後の交通行政の中でどのようなメリットがあり、一般国民の足の確保、通勤通学の混雑緩和にプラスになるか、大臣から確固たる信念に基づいた御答弁をいただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  32. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほど来先生から御指摘いただきましたように、いまの総合交通体系に基づくところの総合交通政策ということは、もう非常に、いま国民の生活にとりましてこのくらい緊急なことはないと私ども感じておる次第であります。これをどういたしましても確立をいたしまして、ことに私のほうの仕事は具体的実践でございますから、それに対しまする線路の増強あるいは車両の編成の増加をはかるというようなことをいたしまして、混雑緩和をしていくということが必要であります。また、過疎地帯におきましては、経営困難なものに対しましては、やはり国家が助成をいたしまして、そうして過疎地帯の輸送機関の確保はしなくちゃならぬという問題も出てくる次第でございます。これらを勘案をいたしますると、交通社会資本、国からの助成というものは非常に膨大なものになってくると思っておる次第であります。先ほどからもお答え申しましたとおり、私鉄企業におきましても、すでにもうそれだけにまかしておく――開発利益も相当還元しておるわけでありますが、それだけにまかしておきますると、ほんとうに必要な線路の増強はできません。最近におきまして、幸いにして開発利益その他におきまして私鉄企業は黒字には大体なっております――大企業は大体黒字にはなっておりますが、しかし大体鉄道自体でもってどのくらいの黒字になっておるかということは非常に疑問で、また線路の増強が非常に欠けておるということでありますので、今回はその第一歩として踏み出した次第でございます。先日来の御質問にもありましたとおり、これは初めて踏み出した政策でございますので、まだまだ現実の混雑緩和需要を充足するというわけにまいりません。率直に言って、その一歩を踏み出した次第でありますが、これによりまして、将来ますます先生方の御鞭撻もいただきまして、その助成を拡大してまいりまして、早急にそれらの点につきまして私ども努力をいたしてまいりまして、大都市交通緩和の一助を十分に果たしたい、こういうふうに思っておる次第でありますので、御了承願いたいと思います。
  33. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それでは、これより採決に入ります。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  36. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後は一時三十分より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十分開会
  38. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  道路運送車両法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽運輸大臣。
  39. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年、わが国における自動車の保有台数は著しく増加し、自動車の安全性の確保及び自動車による公害の防止は、ますます重要な問題となってきておりますが、政府におきましては、車両検査制度を中心として、保安基準の強化、定期点検整備の励行等によりこれに対処してきているところであります。  軽自動車につきましては、従来、整備不良による事故率が一般車に比して小さかったこと、軽自動車の保有台数が少なかったこと等の理由から検査を実施せず、主として、定期点検整備の義務づけ等使用者側の保安対策にまかせてまいったところでありますが、最近におきましては、軽自動車の保有台数の増加が著しく、約六百万台に達しており、スピードの向上、道路網の整備等と相まって高速走行する機会が多くなってまいりましたため、その安全性の確保が要請されるとともに、新たに公害の防止の観点からも規制の強化が強く要請されるところとなっております。  このような実情にかんがみ、軽自動車に対しても車両検査を実施することとし、安全性の確保及び公害の防止のための施策の一そうの充実強化をはかることが、今回の改正の趣旨でございます。  次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、軽自動車に対しても、一定の軽自動車を除き、車両検査を義務づけまして、軽自動車は、有効な自動車検査証を備えつけ、検査標章及び車両番号標を表示しなければ運行の用に供してはならないことといたしております。  第二に、軽自動車の検査事務は、運輸大臣の認可を受けて設立される軽自動車検査協会に行なわせることといたしております。  第三に、軽自動車検査協会は、全額政府出資の法人としまして、その設立、役員、業務、財務等に関する所要の規定を設けております。  第四に、軽自動車に対する車両検査の実施に伴い、軽自動車についても型式指定制度及び指定整備事業制度を採用する等所要の規定を整備することといたしております。  このほか、軽自動車の検査は、昭和四十八年十月一日から実施することとし、その検査に関する経過措置を規定し、あわせて関係法令の改正を行なうことといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  40. 森中守義

    ○森中守義君 議事進行。
  41. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。  野村自動車局長
  43. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 道路運送車両法の一部改正法律案の提案理由につきましては、ただいま大臣から大綱について御説明をいたしましたが、それを補足いたしまして御説明をいたします。  先ほど大臣が申し上げましたように、最近における軽自動車の普及というものは非常に著しいわけでございますが、特に自動車全般の普及というものも御案内のように伸びております。ちなみに四十六年十月現在の数字を申し上げますと、自動車、軽自動車も含む全部の台数でございますが、二千三十五万台という数になっております。このうち、従来検査をいたしております検査対象自動車の数は千四百三万台ということになっております。で、それ以外の、つまり軽自動車といわれるものの数が三輪車及び四輪車を合わせまして五百七十六万台、それから二輪車が五十六万台、こういう内訳になっております。で、ここで軽自動車と申し上げますのは、先生方御案内のことと思いますが、三輪車及び四輪車につきましては機関の排気量が三百六十CC以下でございます。それから二輪車につきましては二百五十CC以下百二十五CC以上と、こういうことで、軽自動車か軽自動車でないかという区別をいたしているわけでございます。その台数は先ほど申し上げたとおりでございます。で、今度検査の対象といたしますこれらの三輪、四輪以上の軽自動車につきましては、私ども従来国会の審議におきまして、衆参両院におきまして各党の先生方から交通事故の防止という問題に関連して、車両の構造、装置というものの安全性を確保するというために軽自動車の検査をやるべきではないかという御意見が、あるいは御質問の形を通じて前々からいろいろと御表明になっておられたわけでございます。で、私どもその御示唆と申しますか、そういう御質問を受けまして軽自動車の検査ということについていろいろ研究をしてまいったわけでございますが、特に先般の前々国会でございますか、そのあたりから具体的にいつごろをめどとしてやるかというような御質問がございまして、そのときに当時の運輸大臣は大体昭和四十八年をめどとして検査を開始いたしたいという趣旨の答弁をいたされました。私ども事務当局もそれを受けまして準備をいろいろと進めてきまして、そうして四十七年度予算を編成する過程におきましていろいろ検討いたしました結果、四十八年の十月をめどとして検査をするということが可能であろう。したがいまして、今度の通常国会におきましてこの法案の御審議をいただき、そうしてその法案をお認めいただきますれば、約一年以上の余裕をもってこの検査を実施する準備が大体できるというめどをもちまして、この国会に御審議をお願いするようにした次第でございます。  そうして、この検査でございますが、軽自動車につきまして私どもはこの検査の有効期間というものを一律に二年間の有効期間ということを考えておるわけでございます。  そうして、そういう検査をやる場合にどういう体制で検査をやるかということにつきましていろいろと検討をいたしたわけでございますが、結論的に申し上げますと、この軽自動車検査協会といういわゆる認可法人という法人を設立をいたしまして――で、認可法人の設立は、この法律をお認めいただきますれば、直ちに設立そのものの行為をやるということで動き出すということを考えております。認可法人は先生方御案内のとおりいわゆる特殊法人ではございません、また一般の公益法人でもございません。つまり、これは国がその設立を命令するものではなくて、民間の有志の方々が一定の要件のもとに設立を発起されまして、そうしてそれを主務大臣が認可をするという形でございまして、機関の性格といたしましては、私どもはいわゆる特殊法人と民間の公益法人との中間的なものであろうかと思います。で、私どもがただいまから御審議をお願いいたします認可法人の軽自動車検査協会というものにつきましては、事柄の性質上、いわば国が検査を行なう代行機関として国にかわって検査をするというものでございまして、きわめて公的色彩の強い法人でございます。そういう意味からこれは全額政府出資の法人にするということで、その資本金は四十七年度の予算におきましては一億五千万というものを全額、政府のいわゆる車検特会から出資をするということが見込まれているわけでございます。そして業務の運営に必要ないわゆる一般の経費につきましては、発足当時におきましては、銀行の借り入れ金をもってまかなうということでございます。そして、これが平年度におきまして軽自動車の検査業務が軌道に乗りまして、その検査の手数料の収入がこの協会の収入になる。そしてその手数料の収入でもって人件費、物件費、その他、ただいま申し上げました民間からの借り入れ金の償還に充てるということで、それでもって収支が相償うという見通しを立てております。  この協会といたしましては、これは全国一本の協会を考えておりまして、理事長一人、それから理事四人以内、これは予算的には四人としております。それから監事一人というものを置きまして――そしてこれは普通の公団、公社のような特殊法人と同じように、理事長及び監事につきましては運輸大臣がこれを任命する。それから理事は運輸大臣の認可を受けて、理事長が任命をするという規定になっております。それから理事長及び理事はもちろんのこと、こういう役員以外の一般職員につきましては、これは法律の規定に詳しくございますが、いわゆる関係事業の会社、つまり自動車のメーカーとか、ディーラーとか、あるいは整備事業者、そういう会社の役職員に――あるいはそういう団体の役職員というものは、この協会の役職員にはつくことができないという規定になっておるわけでございます。  そのほか運輸大臣は、この協会を国の代行機関としてやりますために、検査事務の規程を定めること、これはこの協会が検査事務をやりますためのよるべき基準でございます。  それから、どういう検査設備を設けるべきかという検査設備の基準、それから軽自動車の検査を実際に現場で行ないますところのいわゆる検査員、そういうものに関する規定、それから業務方法書及び財務及び会計については大臣が厳重な監督をする。そして法律が定める一定の要件に抵触をいたします場合に、この役員及び検査員等については、解任命令を出せるというようなことで、非常に厳重な監督の規定を設けておるわけでございます。  それから先ほど申し上げましたように、平年度におきましては協会の運営というものは検査手数料によってまかなわれるものでございます。  それからこの協会は、先ほど申し上げましたように、この法律をお認めいただきますれば、なるべく早い時期にこれを設立する。もちろん設立発起人会というものがあります。その設立発起人会の議を経て設立されるということになるわけでございます。  それから先ほど、大臣の提案理由の説明においても言及されましたが、一般自動車につきまして現在、型式指定及び指定整備事業制度というものをやっておりまして、これは運輸省のほうがこの業務をみずからやっているのでございますが、軽自動車につきましては従来型式認定ということでやっておりましたのを、一般自動車と同じように型式指定ということを、これは大臣がやられるわけでございます。具体的には、私どものほうの交通安全公害研究所の自動車審査部において技術的な審査をやるということでございます。  それから民間車検場、指定整備工場の指定ということも、これは役所のほうが――国がみずから行なうということになっております。  以上がこの法律案の概要でございまして、ただいまから御審議をお願いいたすわけでございますが、そういう趣旨のものでございまして、この軽自動車の検査の経緯、これは当委員会はじめ各方面の御要望といいますか、これを受けて私ども御審議を願う、こういうものでございます。よろしくお願いしたいと思います。
  44. 木村睦男

    委員長木村睦男君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  45. 岡本悟

    ○岡本悟君 私が御質問申し上げようと思っておりましたことは、自動車局長が御丁寧な補足説明をされましたので、だいぶわかってまいりました。これは簡単にいくなというふうに思ったのでございますが、二、三御質問申し上げます。  この軽自動車を新しく検査の対象に加えるということなんでありますけれども、これはまことにけっこうだと思います。軽自動車を対象に加える理由というものは、ただいまの大臣の提案理由の説明で多少わかってきましたが、もう少し局長のほうから詳しく御説明願いたいと思います。
  46. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 軽自動車につきましてただいま御説明いたしましたが、先般私が申し上げましたように、軽自動車を検査するということの大きなねらいは、もとより交通事故の発生を未然に防止して、安全かつ快適な自動車の運行ということを考えるわけでございますが、その場合に一番問題になります二つの考え方があると思います。一つは、自動車の運行そのものに伴う事故という問題でございまして、これは自動車の個々のユーザーが十分道路交通法その他の関係法規を守り、そうして自分でできるだけの整備をやって、そうして安全な運行をするということでございます。これは提案理由の説明書にもございましたように、従来定期点検整備という制度がございまして、これはもちろん軽自動車にも適用になるわけでございまして、軽自動車の何といいますか、ユーザーが自主的にやるということにゆだねてまいったわけでございます。最近軽自動車の普及に伴いまして、軽自動車のいわゆる車両事故、これは従来よく欠陥車問題ということが言われましたように、車両の構造、装置に伴う事故でございます。幾らその運転を適正にやっても、車両そのものの構造、装置に問題があるから事故が起こったといわれるようなケースでございます。   〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕 こういうものは結局検査を一定の条件に従ってやって、構造、装置の不良欠陥を防止するということになるわけでございます。その件数を申し上げますと、これはたとえば、一般自動車について申し上げますと、一万件当たりの車両事故件数というものが一・三〇というのが一般自動車、つまり検査対象になっておる自動車事故の件数でございます。これに対して軽三輪は〇・七三、それから軽二輪は〇・一六ということで、件数としては大まかに言いますと、一般自動車車両事故件数というものの約半分程度でございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、私ども現在二千三十五万台という全自動車の中のほぼ三分の一くらいを軽自動車が占めておるということで、非常に絶対数がふえてきておる。また軽自動車の何といいますか、性能がよくなりまして、私どもの保安基準である程度のスピードの制限というようなことはやっておりますけれども、高速道路等を高速走行する機会がふえてきておる。そういうことから、これが悲惨な事故につながるということもございますので、やはり軽自動車の普及とそれから性能の向上、スピードの向上、それから高速走行の機会がふえてきた、そういうことを勘案いたしまして、いわば早めに手を打って、検査をしてチェックをするということから、私どもかねてこの軽自動車の検査について研究をし、今回御審議をお願いをする、こういうことでございます。
  47. 岡本悟

    ○岡本悟君 理由はよくわかったのでありますが、さてその検査を実際にやる場合に、この法案では検査事務はいわゆる民間法人である自動車検査協会にやらせるということなんですね。これが一つ問題になるだろうと思うんです。この検査事務を国みずからやらないで検査協会にやらせるということにつきまして、十分説明を願いたいのでありますが、その前提として、実は私ども承知しておりますのは、車両の増加率が非常に激しい。しかしながら、これに対応する車両検査に従事する定員なりあるいは施設なりの整備がなかなか追いつかない。手っとり早く言えば、あまり評判がよくないということであったわけなんですね。そこで、何とか定員あるいは予算の増加ということで努力してこられたことはよくわかりますけれども、その救済方法として、民間の車検場の能力をある程度活用しようじゃないかということがあったように思うのでありますが、そのあらましにつきまして、たとえば昭和三十九年度からでありましたか、自動車検査登録特別会計というふうな制度も発足したことも承知しておりますが、その以前からの民間車検の活用についての経過のあらましをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  48. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御指摘がございましたように、いわゆる民間車検の活用といいますところの指定自動車整備事業の制度、これを実施いたしましたのは道路運送車両法に基づきまして、昭和三十七年度からこれを開始いたしております。したがいまして、もう十一年目になるわけでございますが、試みに数字を申し上げますと、三十七年当時におきましては、いわゆる認証工場――いわゆる修理屋さんでございますが、自動車一般的な整備工場が約二万二千工場ほどございました。   〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕 そのうち第一陣として三十八工場が指定整備工場として指定を受けたわけでございます。このときに三十八工場において民間の車検が始まったわけでございます。自来今日に及びまして、少しずつ認証工場の数もふえてきておりますが、四十六年の十二月末におきましては認証工場の数が約六万二千工場でございます。そのうち一割強、七千二百二十八工場というものが指定整備工場として民間車検をやっている、こういうことでございます。自動車の普及とともに認証工場もふえてくる、その中で、一定の要件に従って国にかわって検査をする指定整備工場というものも七千二百というふうにふえてきたということであります。もちろんこの間、民間の自動車整備技術というものも非常に進みましたし、また検査能力というものも非常に高まってきておりますので、こういうものをできるだけ活用をして、そして増大する自動車需要に応ずるようにということで、この制度を実施し、今日に及んでおるわけでございます。
  49. 岡本悟

    ○岡本悟君 局長、いまの説明では、ここで委員がお聞きになっているんですから、おわかりにならない方もあると思うんですね。国が行なう車両検査と、いまあなたがおっしゃった指定整備事業制度というものをつくって、民間にもある程度車両検査をまかしてやる、そこの分担のぐあいですね、どの範囲のものを民間にやらしているのか、そういうことを説明されぬと、私の質問の趣旨に対してはっきりしませんので……。
  50. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) どうも私の説明が不十分でございましたが、先ほど申し上げたようなことで、指定整備事業制度が発足したわけでございます。しかしながら、先生も御質問の中でおっしゃいましたように、この制度は――国がみずから自動車検査をするということでやってまいったわけでございますが、自動車の伸びというものが非常に急速である。これに対する検査体制というものは国ではなかなか十分な手当てができないという事情も確かにございましたが、一方では民間の、何といいますか、技術能力、検査能力、整備能力というものが非常に進んできた。これを活用するということを考えてやってまいったわけでございますが、これを申し上げますと、大体昭和四十五年度におきまして、指定整備率と私ども言っておりますが――これはつまり、全自動車の継続検査をするその件数の中で、民間の指定整備事業か整備をし、そしてみずから検査をしたパーセンテージでございます。これが二八・三%、つまり約三割弱は民間がやっておった、あとの七割強を国がやっておった。こういう状況でございますが、私どもこの時点におきまして計画を立てまして、将来においてはこの比率を逆転させて、そうして大体三割程度を国がみずから検査をする。そうしてあとの七割は、先ほど申し上げました民間の整備能力、検査能力というものを活用していけるであろうという見通しのもとに、将来は民間のほうが七割ぐらいの検査をするという体制に持っていこうということで進んでまいっておるわけでございます。ただ、現状におきましては、必ずしもその進捗が私どもの当初の考えどおりいっておりませんで、現在、四十六年におきましては、大体四〇%ぐらいを民間の指定整備工場がやり、六〇%を国がみずからやるという状態でございますが、まあ五十年ぐらいになりますと、先ほど私が申し上げましたように、民間が七割弱、逆に国が三割強程度、大体七、三と、逆になるというような体制になろうかと思います。そういう推移状態でございます。
  51. 岡本悟

    ○岡本悟君 そこで、軽自動車検査協会になぜ行なわせるかという問題になるのですが、いまのお話からまあ大体推察できるのだろうと思うのですけれども、国で直接検査をするという体制でありますと、予算だとか定員だとか、しばられる要因が多過ぎてなかなかサービスの徹底を期するわけにはいかない、したがって、そういう点につきまして弾力性のある方式を用いたほうがいい、こういうお話だと思うのです。しかし、純然たる民間というわけにもいかぬから、認可法人ということにして、その出資は全額政府が出資するということで、必要があれば追加出資をすることもできるということにしている。また、あわせて監督を厳重にしまして、そうして政府の代行機関として申しぶんのないものにしよう、こういうことだろうと思うのですね。で、問題はやはり定員とか予算、設備で、こういった点について弾力性のある検査体制のほうが国民にとってもはるかに好ましいと、こういうことが言えるだろうと思うのですが、この点ひとつ確認しておきたいのです。
  52. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生のおっしゃいましたように、検査の人的要員の確保、それから機械等の検査設備の拡充というようなことにつきましては、いろいろとやってまいりましたけれども、必ずしも十分でないというようなことから、ただいま先生のおっしゃいましたように、国にかわって、厳重な監督のもとに、いわば代行機関として国の検査をする。そのほうが、何といいますか、検査の効率、それから施設、人員等の弾力的な運用というようなことを考慮して、国にかわる方法として私ども研究の結果、この検査協会という認可法人のシステムを考えたわけでございまして、ねらいといたしましては先生の御指摘のとおりでございます。
  53. 岡本悟

    ○岡本悟君 そこで、車両検査事務をどうするかということにつきましては、普通考えられることは、現在陸運事務所がやっておりますから、その定員をふやしたり、あるいは設備を増強したり、そういう方法もあると思うのです。それからあるいは民間車検場を徹底的に活用するという方法もあるでしょう。しかし、そういう方法についていろいろ検討されたと思うのですが、もう一度確認しておきますけれども、そういう方法ではこの大事な車両検査をやらせるについては民間に全部まかせるわけにはいかない。さればといって、陸運事務所の定員なり設備を増強してやるということになると、またぞろ予算にしばられて、非常に制約が多くて思うようなサービスができない。こういうようになるから、そのベストな方法としてこれをとったんだと、こういうことだと思うんですが、もう一回その点確認しておきます。
  54. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 増員の要求につきましても毎年予算の時期に増員の要求をいたしまして、ある程度の増員は認めていただいておるわけでございます。また検査施設につきましてもコースの自動化というようなことをだいぶ進めてまいりまして、それも相当程度の効果をあげております。しかしながら一方におきましては、やむを得ず検査の予約制というようなことを陸運事務所でやりまして、利用者の方にかねて御不便をおかけしております。そういうことでございまして、現在のシステムの合理化、能率化ということについてはいろいろと研究をいたしましたけれども、ことにここに新たに軽自動車というものの検査を国がみずからやるということになりますと、また第二陸運事務所というべきものを各地区につくらなければならないというようなことをいろいろ検討いたしまして、そして、最終的には先ほど御説明いたしましたようなことで、この協会によって国にかわる機関として検査をするという結論に達したわけでございまして、ただいまの先生の御指摘と申しますか、御質問のような御趣旨、そういうことを私どもも念頭に置いて、こういう結論を出したわけでございます。
  55. 岡本悟

    ○岡本悟君 このやり方は、私は今度の軽自動車検査協会が初めてではないと思うんです。いろんな国家の試験あるいは検定、検査、そういったことを、まるまる民間にはやらせないが主務大臣の監督の行き届く――政府の監督、指導が十分徹底するような体制において、政府みずからやらないでまかせている例がほかにあると思うんですが、ちょっと説明してくれませんか。
  56. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの先生の御質問の件でございますが、これと同じようないわゆる認可法人という形でやっておりますもので国の事務を代行しておるというものがございます。それは、一つは繊維工業構造改善事業協会というものがございます。それから海洋水産資源開発センターというもの、それから情報処理振興事業協会、貿易研修センター、それから海洋科学技術センター、それから今度の国会にこの軽自動車検査協会と同じように提出されております下水道事業センターというものがございますが、なお、いまのようなことのほかに、これと同じようなものといたしましては、特殊法人でございますが農業機械化研究所、それから高圧ガス保安協会、日本電気計器検定所あるいは消防検定協会、こういうものが機械とか器具とかの検定というものを国にかわりまして、いわば代行機関としてやっているという例でございます。
  57. 岡本悟

    ○岡本悟君 協会は四十八年の十月から発足するわけなんですが、いまから数えましても準備期間が一年数ヵ月ですね、この間に職員の養成、そういったこともやらなきゃいかぬわけですね。これは一体、期間的に間に合いますか、どうでしょう。
  58. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもこの協会で現在考えておりますのは、本部を中央に置きまして、そして北海道は七カ所、その他の府県におきましては一カ所に支所といいますか、検査施設を持った支所を置くということを考えておりまして、合計五十三カ所になります。そういたしますと、そこに発足当時必要とする人員は、本部、支所を合わせまして五百四十人程度考えております。その中で、いわゆる現場におきまして直接検査事務をやるという人は、検査員及び補助員を合わせまして二百数十名でございますが、その中でいわゆる一定の資格を持った検査員というものは百二、三十名程度でございます。これにつきましては、私どもはこの協会の性質にかんがみまして、現在国の公務員である検査官の中から転出する人――これは希望するものもございましょう、そういう期待、それから民間の経験者、技能者等の中から資格に合致した者もまた、こちらに来ていただくというようなことも考えまして、そして両々相まって、特に中心となるべき百二、三十人の検査員の補充といいますか、確保といいますか、そういうものについて努力をしたいと思います。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、かねて民間におきましては、近く軽自動車の検査が行なわれるということにつきまして民間の関係団体においてもよりより協議をしておるようでございまして、そういう意味から私はこの養成及び確保につきましては、この一年間努力をして何とか確保をいたしたい。また、そのめどはついております。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  59. 岡本悟

    ○岡本悟君 この協会の予算なんですが、最初政府が全額出資で一億五千万、追加出資もできるということですが、主たる財源はおそらく検査手数料だと思うんですね。それがどのくらい入るか。先ほど説明があったのですが、ちょっと私記憶していないのですが、そういう大体の予算の使い方といいますか、そういったものをちょっと説明してください。
  60. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず資金計画でございますが、四十七年度は政府出資として一億五千万円でございます。そしてそのほか約十五億を、これは銀行から借り入れるということで、合計十六億五千万円という資金を考えております。その使途でございますが、そのうちの大部分はいわゆる建設費でございまして、四十七年度では建設費として約十四億七千万円がかかります。あとはその業務の管理費約一億、その他利息の支払いとか、それから創業費関係の割賦とか、予備費、そういうものが合わさりまして十六億五千万円に、発足の当時の四十七年度ではなるわけでございます。これが四十八年の十月から検査を始めますので、平年度として考えておりますのは――四十九年度から平年度になるわけでございますが、四十九年度におきましては、収入を見てみますと、業務収入、つまりこれは検査の手数料の収入でございますが、これは約十九億を見通しております。これの支出といたしましては、業務管理費――これは人件費その他の諸経費を含みますのが十四億八千万円程度。これは人件費、諸経費、減価償却費を含んでおります。それから業務外の費用といたしましては支払い利息の一億八千万円、その他予備費というようなことで大体十七億ぐらいの支出になる。それまではもちろん収入が非常にフルにございませんので、四十七年度と四十八年度は収支から見ますとそれぞれ赤字になるわけでございまして、四十九年度はいま申し上げましたように単年度で約二億の黒字になりますが、従来の累積赤字というものをまだこれでは消せません。しかし姿としては四十九年度から十九億、十七億という収支になって大体バランスがとれる、こういうふうに考えております。
  61. 岡本悟

    ○岡本悟君 この政府出資というものは、これはまだよく見てないんですが、車両検査特別会計から出すんですか。そこで追加出資することができるとあるんだけれども局長のお話によると、手数料で大体減価償却とか借り入れ金の返済、そういったものをやっていけるというような平年度の収支になろうというお話ですが、追加出資というのはどういう場合なんですか。
  62. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これはこの協会の性格から見まして平年度におきましては、これは当然利益をあげるべき団体でもございませんし、またそうかといってこれが累積赤字というようなものをかかえたままの姿ではいけませんが、なるべく発足当時において借り入れ金を少なくして、資金コストの安い金を導入するということを考えたわけでございますが、とりあえず四十七年度は予算折衝の結果一億五千万円になりました。しかしこれでは資本金として非常に少のうございますので、もちろん今後は平年度になりますと、手数料の収入でもってまかなえるようになるわけでございますが、それまでの借り入れ金の償還もしなければならないということを考えまして、現在私ども、これはまだ要求でございます――要求として考えておりますのは、四十八年度は三億程度政府出資の追加を要求しようという心組みでおりまして、できるだけこの政府出資の資本金の増額につきましては、四十八年度、四十九年度で努力をしたいというふうに考えております。
  63. 岡本悟

    ○岡本悟君 大体検査手数料でとんとんでいけるというたてまえであるはずなんですけれどもね。この追加出資というのがよくわからないんですけれども、いまの説明でもちょっと納得しかねるんですけれどもね。たとえば急速に施設整備を四十九年度、五十年度あたりでもやっていかなきゃいかぬ。そのために借り入れ金をするとか、そういう方法はあるが、しかし負担を軽くするために、政府出資、追加出資をやるんだという条件があるのか、そこらあたりもう少しはっきり説明してもらわないとわかりませんね。
  64. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもの現在の見込みといたしましては、先ほど申し上げましたように、四十七年度の借り入れ金は十五億を予定しておるわけでございます。それからこの四十八年の十月から検査をするわけでございまして、しかもそれは先ほど申し上げました約六百万台の軽自動車を一ぺんに検査をするわけではございませんで、大体二年に一回の継続検査になりますので、大まかに申し上げますと、検査が始まってから大体平年度で三百万台の車が検査の対象になるということで、仕様の古いものから逐次検査をしていくということで、収入の入り方というものはそれに応じた手数料収入というものが入ってくるわけでございます。したがいまして、四十八年度ではまだ設備を全部――所期の設備をやりますためにはやはり収入がございませんので、非常に微々たるものでございますから、八億五千万円ほどの銀行借り入れをせざるを得ないという計算になっております。しかし、これはいずれ返さなければならない金でございますので、そういう意味で返さなくてもいい、金利のつかない金というものをなるべく多く持って、そしてそういう協会自身の将来の支出の負担を軽くするという意味から、四十八年度借り入れ金は八億五千万円ぐらいにして、政府出資は三億ぐらいを期待したいということでいま計画をいたしておるわけでございますので、四十八年度まではこれは収入の関係からやむを得ず最小限の借り入れはしなければなりませんが、もう四十八年度でできるだけ借り入れ金はとどめたい。あとは何といいますか、検査手数料収入でもってまかなえるようにするということで、それにはやはり出資というものももう少しふやして、負担のかからない金をふやしたい、こういうことでございます。
  65. 岡本悟

    ○岡本悟君 先ほど政府出資というものは出どころは車検特別会計ということであったんですが、肝心の車検特別会計はそんなに余裕がありますか。その点どうでしょう。
  66. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 車検特会でございますが、現在の予算の規模を申し上げますと、四十七年度で大体八十五億、トータル八十五億の歳入及び歳出になっておるわけでございます。それでその中でたとえば予備費というものを考えますと、六億程度の予備費が四十七年度で見込まれております。そういうことから余裕が十分あるとは言えませんけれども、この程度の出資をする余裕はあるという判断を私どもはいたしております。
  67. 岡本悟

    ○岡本悟君 問題の一つは、軽自動車検査協会に検査事務をやらせる場合の指導監督ですね。これは問題だろうと思うのです。法律上もいろいろ監督すべき事項について、あるいは認可であるとか、あるいは検査であるとか、まあいろいろ書いてありますけれども、特に職員の質ですね。先ほど局長の御説明のように、新しく発足するのですから全国的に公募をするわけでありましょうが、学校の新規卒業生を採用してそれを十分訓練するということであれば、非常に質のいいものが出てくると思うのですけれども、先ほどのお話では急場に間に合わせるということで、民間の車検場で働いておるような人も入れるのだというふうなお話であるわけなんですが、言うならば混成部隊ということになりましょうね。非常に私はその点、心配をしておるのですが、こいねがわくは変なことにならぬように、その点は十分監督してもらいたいと思うのですけれども、この点についてひとつ局長の御見解を示してもらいたいと思います。
  68. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この職員の採用確保につきまして私ども考えておりますのは、まず現在、実は毎年やっておりますところの自動車整備士の技能検定試験、この合格者が大体全国で十万ほどおります。したがいましてその卵といいますか、そういうことになり得る人の数はかなりありまして、もちろん現在におきましてはこの大部分の方は、民間の指定整備工場を含む整備工場に入っておられるわけでございますが、そういうソースの人々を長期的にやはり陸運事務所あるいは陸運局が中心になりまして、技術的な研修、講習というものをやって、そこから確保するということを長期的に立てたいと思っております。それから現在の、役所におります自動車検査官等の中から転出を希望するものにつきましては、その人たちの待遇条件というものにつきまして現在私どもがめどといたしておりますのは、一般公団、公社というようなところの職員と同じような待遇条件というようなことを考えておりますので、たとえば家庭の事情等で、国の官吏をしておりまして転勤がひんぱんだ、この際検査協会に行きたいという希望を述べておる部内の職員もおります。そういう人々は適任者がおればこの協会に持っていくということで、もちろん発足前あるいは発足後につきましては精力的にそういう技術の研修会、講習会をやりますとともに、何といいますか、こういう特殊の国にかわる検査機関としての職員の心がまえ、モラルというようなものについての教習、研修をいたしまして、そうして一体としてこれが業務を遂行し得るような、そういう教育というものについても十分検討をしていきたいというふうに考えております。
  69. 小柳勇

    小柳勇君 初めに通産省に質問いたしますが、最近商工委員会を離れまして、勉強不足でありますから少し教えてもらいたいのでありますが、現在の自動車産業における最近の生産、販売の状況ですね。特に一般車、軽自動車とできれば分けて、ここ二、三年のところ増加の傾向であるか、減少の傾向であるか、また外国に輸出する車の動き、そういうものを概括的にまず御説明をお願いいたします。
  70. 中村泰男

    説明員中村泰男君) お答え申し上げます。たいへん広範な御質問でございますので、正確なデータにつきましては後ほどまたお届けしたいと思いますが、概略的な動きを申し上げたいと思います。  生産につきましては、御承知のとおり自動車工業は非常に順調な伸びをいたしておりまして、年々一〇%以上という高度成長を遂げていたわけでございますが、昨年度四十六年度あたりから、はっきり需要の伸びが鈍化しております。特に昨年度の生産の状況で顕著なことは、軽自動車の登録と申しますか、届け出と申しますか、これが非常に落ちておりまして、軽自動車につきましては前年度よりも落ちたというふうな状況でございます。これが概括的な状況でございますが、内需につきましてはほぼ軽を含めまして年間四百万台でございます。それから輸出につきましてはほぼ二百万台というところが現在のところの大体の状況でございます。  最近の自動車の生産と関連いたしまして、あるいは需要関連いたしましての大きな問題といたしましては、先ほど来申し上げましたとおり内需が伸び悩みということでございまして、四十七年度生産見通しといたしましても、内需につきましては若干の増程度以上は伸び得ないのではないかというのが大方の見通しでございます。他方、輸出につきましては、四十六年度は非常に堅調な伸びをいたしまして、当初見通し以上に伸びております。これは特にアメリカ市場に対します輸出が非常に堅調であったことでございますけれども、アメリカ市場につきましては、正確な数字はございませんが約八十万台ぐらい昨年度は輸出しております。こういうことで、言ってみれば内需の伸び悩みを輸出でかなり取り返したというのが四十六年度の実情かと存じますけれども、四十七年度の見通しとなりますと、従来の輸出の大宗を占めておりましたアメリカ、これがいわゆる為替調整というようなことでドル建ての価格が上がってまいりまして、そういう意味合いでいわゆる価格競争力の低下、一方アメリカのほうでも小型車いわゆる大衆車に対しますロールバックということを盛んにやっておりまして、最近の状況で見ますと登録台数――アメリカにおきます登録台数も伸び悩み、むしろ減少傾向が見えております。こういうことで、大きな市場でございますアメリカにつきましてはこれまたあまり大きな望みをかけられないのではないかというような大勢でございます。もちろん先生御存じのとおり、GMとの提携あるいはクライスラーとの提携というようなことで、新しい業務提携によります輸出ということである程度伸びを期待できるかと思いますけれども、それを入れましてもあまり大きな伸びは期待できない。それから一方ヨーロッパにつきましては、長い間のメーカーあるいはディーラーの、ディーラーと申しますか、輸出業者の努力が実りまして、ようやく出だしている状況でございますけれども、これもまあ従来実績がほとんどございませんので、伸び率は大きく見えますが絶対数としては大きなものではございません。特にヨーロッパにつきましては長い伝統のある市場でもございますので、なかなか販売にも骨折れるということでございまして、最近まとめました輸出見通しでは、全体合わせましてほぼ七%程度いければよろしいんじゃないかというのが輸出見通しでございます。  大体の生産ないし輸出の状況につきましては以上のとおりでございますが、また後ほど資料を整理いたしまして御説明いたしたいと思います。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 二輪車など――私ども諸外国をいろいろ見てまいりましたが、軽四輪につきましては日本の車はあまり見ないんですが、小型以上の車がいま大体外需の中心ではないかと思いますが、その点いかがでしょう。
  72. 中村泰男

    説明員中村泰男君) 御指摘のとおり、やはり輸出の大宗と申しますと、まあ日本開発いたしましたいわゆる小型の大衆車というものと、それから先生指摘のとおり二輪車が外国であまりつくっておられませんので、そういう意味でかなり大型の二輪車が輸出されております。で、軽自動車につきましては、やはり高速走行というような点でも問題がございますので、輸出の点ではまだ大きなウエートということにはなっておらないように承知いたしております。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 したがいまして、軽自動車が内需のほう、いわゆる国内向けに各メーカーがつくっておるわけですが、そこで、いまここに法律が出まして、排気ガスの規制なりあるいは事故を防ぐために新たに車検制度をつくろうといたしております。で、軽自動車の特徴は安くて車検がない、まあだれでも手に入るということで生産してまいったわけでありますが、この法律ができますために通産省としては今後のいわゆるこの大衆車、若者向きのこの車、あるいは中小企業、零細企業が使うこの車の販売傾向についてどういうふうな見解を持っていますか。
  74. 中村泰男

    説明員中村泰男君) たいへんむずかしい御質問でございまして、軽自動車につきましては、四十六年度は非常に大幅に下がりましたために、先行きこれをどう考えるのかということは、いろいろな見通しがございます。で、ただいま先生の御指摘もございましたとおり、軽四輪の持っている魅力というのは決して今後とも落ちないだろう、まあお話がございましたように車検というようなことで確かに従来のような魅力はないといたしましても、やはり軽四輪の持っている魅力というのは落ちないのだという見方、これは主として軽四輪をつくっているメーカーのサイドの見方でございますけれども、こういうような考え方もございます。他方、最近の動向といたしまして、これの将来性をどこまで評価すべきか、問題があろうかと思いますが、いわゆる都市交通の手段といたしましてはむしろ軽のほうがよいのではないかという議論もございます。こういうことで軽の魅力というのは決して落ちない。昨年・四十六年度の大幅な減少にもかかわらず、やはり一つの大きな地位は持てるのではないかというのが大方の見通しでございます。非常にこの見通しが分かれているのでございまして、通産省としても公式見解という点になりますとむずかしいのでございますが、私どもも昨年度の減少というのはいささか異常要素があったんではないか、こういうふうに理解いたしております。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 各会社によっていろいろの見解がありましょうが、軽自動車に対してなお研究し、生産を高めようと、一般に製造会社が考えておるのかどうか。この際ひとつまた外国向けに小型車以上あるいは一般車のほうにウエートを置こう、あるいはもっと大型化しよう、こういうのがありましょうが、一般的に言ってどういう傾向でしょうか、特に軽自動車の問題について見解をお聞きします。
  76. 中村泰男

    説明員中村泰男君) 軽自動車につきましては、御存じのとおり軽自動車メーカーというのは限られているわけでございますが、そういう意味で従来軽自動車を扱わなかったメーカーが積極的に軽自動車の生産を開始しようという動きはございません。軽自動車メーカーの中では、やはり部分改良その他を加えまして軽自動車の生産を従来以上積極的にしようという考え方でございます。具体的に軽自動車を縮小していこうというような考え方はございません。ただ、軽自動車メーカーと申しますか、軽自動車を扱っているメーカーが軽自動車以外の自動車、いわゆる大衆車と申しますか、小型の自動車のほうの生産により力を入れようという動きもございます。大勢を申し上げますとそういうところかと思います。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 次には、いま車検制度というのは排気ガスや騒音を検査によって少なくしていこうというねらいです。これも一つの方法だと思います。ところが、もっと根本的には、製造するときに騒音が低くて排気ガスが少ない、そういう車を開発するのが一番根本でなければならないですね。で、燃料も軽自動車になりますと、混合燃料を使ったり、一酸化炭素だけではない排気ガス、そういうことで、各軽自動車をつくっている会社で騒音防止あるいは排気ガスの減少のためにたくさんの費用をかけて研究しておるのかどうか。日々ますます、去年よりもことし、ことしよりも来年と、騒音を防止し、排気ガスを少なくするような研究体制があるのかどうか。その点いかがでしょう。
  78. 中村泰男

    説明員中村泰男君) いわゆる軽の部分一般部分の仕訳というのはむずかしゅうございますし、たとえば、鈴木自動車の場合は二輪車もありますので、そういうようなことで内訳はむずかしい問題がありますが、軽自動車メーカーといえどもいわゆる公害に対する研究投資についてはかなり積極的にやっております。ある社――これは軽をやっている会社と御理解いただきたいのでございますが、ある社の数字を申しますと、四十六年度では二十億円の投資、ある会社では十二億円の投資と、大体そういうところがオーダーでございます。これはもちろんいわゆる自動車メーカーのトップメーカーではございませんので、大きいメーカーではもっと規模の大きい数でございます。で、投資額の推移につきましては、これも会社によっていろいろ数字がございますけれども、大勢を申しますと、公害投資のウエートがだんだん高まっておりまして、現在会社の研究投資の約二割から三割くらいが公害関係、何を公害関係に入れるかというむずかしい問題もございますけれども、そんなように理解を私どもしております。安全関係を入れますとかなりウエートが高くなっている、こういうふうに理解しております。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 自動車産業に対する公害排除のための融資ですね、特別融資などがありましたかね。
  80. 中村泰男

    説明員中村泰男君) 融資によりますところの公害の技術援助と申しますのは、いわゆるシャシーメーカーに対しましては、融資というよりも適当な対象でもございませんので、むしろ部品メーカーに対しまして私どもは融資をしております。これから公害技術というのは一つの部品を直すだけではなくて、エンジンとまつわりますシステムとして開発していかなければならない。こういう考え方に立ちまして自動車部品の関連メーカーをグループ化いたしまして、これは研究部門ではございますけれどもグループ化いたしまして、財政投融資によりまして助成をしております。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 一般的に私ども常識で高級車ほど騒音が少ないし、排気ガスにつきましても公害が少ないように思うわけでありまして、軽自動車は値段が安いから一般向きでありまするが、値段が安い車ほど騒音は多いし、また排気ガスの公害をまき散らすのではないかと懸念するのですね。実際数字はよく見ておりません、将来見たいと思います。いま見ておりませんが、そういうふうな一般概念でありますが、通産省として特に自動車メーカーに対して指導なり、研究体制がありましたら御報告願います。
  82. 中村泰男

    説明員中村泰男君) 御指摘の点は、軽自動車について特別に公害防止についての研究投資を指導しているかという御質問ですか。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 そうじゃありません。騒音とか排気ガス……。
  84. 中村泰男

    説明員中村泰男君) いま申し上げましたとおり、融資という形でやっておりますのは部品メーカーをシステムとして区切りまして融資をやっております。そのほか御案内のとおり、通産省の各試験研究機関でも試験研究をやっておりまして、機械工業振興資金、これを通じまして自動車研究所というシステム――これはいろんなメーカーが集まってつくっておる財団法人の研究所でございます。これに対しましても資金の援助、補助を行ないまして研究をさしております。またいわゆる大型プロジェクト、工業技術院が大型プロジェクトでやります研究開発でございますが、ここでの一つの大きな重点テーマといたしましては電気自動車の問題を取り上げまして、電気自動車につきましてはやはりいろんな問題が残っておりますけれども公害問題という角度から考えますと一つの大きな意味を持つ自動車かと思います。自動車の全部の機能にかわり得るとは考えられませんが、排気ガスとか騒音とか、そういう問題を考えますとかなり有望な方法とも考えられます。こういうことで電気自動車につきまして大型プロジェクトの対象に取り上げまして四十六年度から積極的な研究、開発をしておる、こういうことでございます。またそのほか、いわゆる重要技術研究開発補助金等ではガスタービンの問題その他幾つかのテーマを選びまして、補助を行なっておる次第でございます。
  85. 小柳勇

    小柳勇君 軽自動車の車検制度をここに発足しようとしております。根本は車のできでありますから、きょうここに委員会で問題になりましたことを機会をみて業者のほうにも御連絡を願いたいと思います。そしてますます騒音が少なくなる、排気ガスが少なくなりますような研究、開発ができまして、そういうふうな行政指導なりをしていただきますように要望いたします。通産省への質問は終わります。お帰りください。  次は警察庁にお聞きします。ここに私は自動車交通事故発生状況という数字を持っておりますか、一般自動車と軽三、四輪車あるいは軽二輪車の交通事故の発生状況について御説明を願いたいと思います。
  86. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 車両一万台当たりの事故率から申し上げたいと思います。自動二輪車の中で二百五十CC以上が普通の自動二輪でありますし、軽二輪と分けて見ました場合に、自動二輪の大きいのは一切の車を含めまして一番多いわけでございます。一万台当たり六百二十という数字になっております。軽二輪は百四十三、これは普通程度でございます。それから原付きの二輪でございますが、大体軽の半分、それから軽四輪の乗用車は普通車の七掛け程度ということでございます、百八十二ということでございます。それから軽の三、四輪の貨物車のほうは百四十、なお普通の乗用車は二百九十四、トラックは三百十四、こういうことで、軽は通じまして七掛け程度事故率と見ていただければよろしいかと思います。なお、これは、営業車は別にまたうんとふえますけれども、これは走行キロがうんとふえますけれども……。一応、自動車一万台当たりの事故率を申し上げたわけであります。
  87. 小柳勇

    小柳勇君 警察庁の統計を見ますと、一般自動車に対して軽三、四輪車は特別に事故が多いような数字が出てないわけですね。きょうの法律案の提案理由の中には、事故を防止しなければならぬ、もちろん当然そうですけれども、したがいまして、さっき通産省の意見を聞きましたように、軽四輪の自動車は車検がないのが一つのメリットであったわけです。それを車検をしてでも交通事故を少なくしたい。騒音を少なくし、排気ガスをなくしたいというのが運輸省の願いであり、この運輸委員会でもそういう論議をしたからこの法律案が出たものと理解いたします。ここに車検制度を発足しようといたしておりますが、このことによってこの自動車交通事故発生状況がうんと変わると考えられるかどうか、警察庁としてですね。車検があったら交通事故が減りますというような見解でございますか。
  88. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) いま事故の状況を申し上げたわけでございますけれども、これがさらによくなるということは十分言えると思います。
  89. 小柳勇

    小柳勇君 騒音の取り締まりでございますが、普通の車、軽自動車あるいは一般自動車などについては、なれておりましてやむを得ぬという面もありますが、私どもオートバイが青少年によりまして、夏の夕方になりますと、夜おそくまでばりばりやられます。派出所に電話しまして、とにかく話もできぬくらいばりばりやられるから何とかならぬかというと、取り締まる方法がないと言っているわけです。オートバイの騒音、青少年が夕方になってばりばりやっておるあの騒音というものは、一体取り締まることができるのか、どうなっているのか。
  90. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 取り締まりが非常にむずかしいということは言えると思います。というのは整備不良車両としての面は別にしまして、騒音という見地から何ホン以上がどうだという取り締まりの要領でございますけれども、非常にめんどうと言いますか、車の後の場合は何メートル離れてどうといったような非常に厳密な測定基準がございますものですから、現実に各店県警とも測定基準があまり厳格であるために非常にやりにくいということは聞いております。したがって、騒音でわれわれが取り締まっておりますのは主としてマフラーをはずすとか、あるいは機構に悪い点があるといったようなことで、数字といたしましては、年間、昨年度は約一万二千件程度でございますけれども、いま先生のおっしゃいましたように特に青少年が、東京で言いますならば新宿とか晴海埠頭、あるいは大阪であれば万博のあとの外周道路とか、あるいは有料道路に、しかも夜間ばりばりやるということで、私どもとしては取り締まりのほかに、たとえば東京で例をとりますと、新宿には十一路線につきまして夜間の通行禁止をかけてございます。なお、晴海埠頭も同じように自動二輪原つきに限って通行を禁止するということで、一昨年来騒音が非常にやかましくなってまいりましたので、私どもとしては通行の禁止なり、あるいは速度を制限するといったようなことで公害の防止をあわせてはかっておるわけでございます。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 通行禁止できる基準というものがありましたらお教え願いたいんですが、私どもの自宅、これは福岡県の門司なんですが、たとえば人口がどのくらいの密度のところではばりばり通行できぬとか、そういう一つの基準がございましょうか。  もう一つ、私はいま麹町の参議院宿舎に住んでおりますが、入りました当座、非常に清水谷公園横の道路に夜おそくばりばり車が通っておりますので、窓を開けては眠れぬぐらいでありましたが、最近、その音がないわけです。おそらくこれは、この間の――去年の通行規制でずいぶんそういう車が通行できぬようになったのじゃないかと思って、一応喜んでおりますが、そういう、たとえばオートバイなりあるいは――いまから車検が始まりますが、その自動車の騒音の大きさによってこの道路は通行できないと、そういうような規制がありますか、ありませんか。もしないとすれば、将来どういうふうにお考えですか。
  92. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 厳格な基準としては設けてございません。ただ、車の騒音の基準は個々についてございますし、また環境基準といったものも昨年できておりますので、それらをあわせ、主としては騒音の場合はおもに付近の住民の方々から異論が出まして、いま申し上げました個々の車の騒音基準あるいは環境基準とあわせまして、手を打っておるわけでございます。
  93. 小柳勇

    小柳勇君 環境庁の方、見えておられますか。――いまの環境基準の問題で御質問しましょう。いま私申し上げましたように、私どもの生活しておりますすぐ近所に公園がございますが、その公園をはさみまして、バス道路を雷族がばりばり、夏になると毎晩やるわけです。そういうものを派出所に電話しましても、取り締まりができないというのですが、たとえば公園地帯あるいは住宅地帯などの騒音の環境基準について御説明を願います。
  94. 小林育夫

    説明員(小林育夫君) ただいまの御質問でございますけれども、環境基準と許容限度と、それからいろいろ交通規制なりその他の措置をしていただくところの要請基準と申しますか、その三種類がございますが、そのお話が一緒に入っておるんだろうと思います。で、その辺を御説明いたしますと、まず環境基準といたしましては環境庁のほうで告示によりましてこれを定めております。これは非常にこまかく書かれておりまして、地域を大ざっぱに三つに分けまして、それを朝、昼、夜というぐあいに分けましてきめてございます。さらにそれを、道路に面する地域につきましては多少例外的な規定を設けまして、これをさらに細分して分けておるということでございます。で、もちろん、環境基準を守っていただくというのが原則でございますけれども、なかなかその道路交通状態等によって必ずしも環境基準が守られないということもございます。そこで発生源でありますところの自動車の騒音を押えるという第二の方法がございます。で、これは騒音規制法の第十六条によりまして、許容限度というものを各車種別に設けてございます。そして発生源のほうを押えるという方法を講じておるわけでございます。しかしながら、なおやはり非常に交通のふくそうする地域では、それでも発生源を押えただけでは、なおかつ環境基準が守れないということがございますので、そうした場合には、都道府県におきましてある一定期間、その測定をいたしまして、その結果をもとにいたしまして公安委員会に交通規制の要請をし、あるいは道路管理者等に意見を申し述べるということができるようなたてまえになっておるわけでございます。  以上で先ほどの御質問を三つの段階に分けまして御説明いたしました。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 そこでどうなりますか、具体的に。たとえば清水谷のあの公園横の道路など住宅街だから、騒音のある車を通行禁止するのは、これは警察庁でしょうね、環境庁が一応基準をきめますから……。そうすると、あと取り締まりは警察庁でありましょうが、それはやりましたとおっしゃるのかどうか。それから私の住んでおるようなところをあのオートバイがばりばりやっているのを禁止する方法は何かございましょうか、これは警察庁から御答弁願います。
  96. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) いま二つに分けて、発生源そのものの部分と、それから規制面と、二つ申し上げたわけですが、いま家の回りが非常にやかましいといった場合には、個別的にやるしか手がないわけでございます。で、環境的に測定しようとすれば、一定の基準に従って測定をして、そうして道路は非常に特例を設けてございますので、通常の場合は幹線道路になりますと、ほとんど入らないといったようなことになるわけでございますけれども、住宅街につきましては、できるだけ基準をきびしくしてございますので、住宅街については二輪車でどんどん走り回るということになりましたならば、これはもう必ず基準をオーバーすると思いますけれども、現実の問題として、その住宅街のすぐそばで小さな、細街路でとどまるということはあまりないわけでございますので、もし、その住宅のそばに大きな道路があって、そこをじゃんじゃんやっているということになりましたならば、そこをはかりまして、そうして何らかの交通規制をかけていくということになろうかと思います。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 それがなかなかできないんですよ、電話をかけましてもね。これはたいへんです、取り締まりできないんです。上のほうにバス道路があるんですね、大きな道路のその下はほとんど住宅です。その道路をばりばりやるのはなかなか取り締まりできないようですが、これはまた現地で研究さしてもらいましょう。きょう、まだ騒音の問題がありますが、環境庁はもうよろしゅうございます。  それから警察庁に。あとでこれは建設省の道路との関連がありまして、都市圏に、一般車もそうですが、軽自動車などが入らぬように都市周辺に駐車場を設けて、そして通勤者はその中心部のそとのほうの駐車場に車を置いて中に入るというのが、将来の都市計画としては必要だと思う。そういうものに対して警察庁はどういう構想をお持ちですか。
  98. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 昨年、総合交通体系の問題でそういう問題が非常に出てまいったわけでございます。で、自家用車の乗り入れについて、なるべく間接的あるいは直接的に都心の内部に車が入らないようにするためにどうするかということで、まあいろいろ考えたわけでございますけれども、私どもとしては、いま先生がおっしゃったパーク・アンド・ドライブといいますか、郊外の電鉄の駅のそばに大きな駐車場を置くとか、あるいは奥さんに送ってもらうとかいったようなことで、できるだけ公共交通に転移するということが望ましいと思っておりますけれども、同時にいま経営主体が非常に入り乱れておりまして、あるいは乗りつけの場所が非常にたいへんであるとか、あるいはバスがぐるぐる曲がりくねってたいへんであるとかいったいろんな問題がありますものですから、これらを総合的に解決していって、いま言ったような政策もあわせて考えていただくことはたいへんけっこうなことだし、私どもとしてもできるだけそういうふうに持っていくことが望ましい、このように考えております。
  99. 小柳勇

    小柳勇君 いまおっしゃいました一般サラリーマンなど通勤者は公共輸送機関を使う。なるべくマイカーを使わないで職場に通うというのがやっぱり将来のあれでしょう。私どももこれから国鉄運賃の問題と同時に総合交通体系の問題を論じたいと、勉強したいと思いますけれども、それにいたしましても緊急の問題ですね、駐車場の問題は。で、駐車場整備を早急にいたしませんと、せっかく団地から車で乗りつけましても、車の置き場がないわけです。で、朝早く丸ノ内、あの辺に行きますというと、車から足を出してサラリーマンが寝ていますね。早く来てその車を置く場所をとって、そうして一休みして、それからオフィスに出るでしょう。そういう姿を見るわけです。まことに悲惨ですね。したがいまして、なるべく早く公共機関を利用して、たとえばバスとか高速鉄道とか利用して、自分の家から早い時間で職場に行く方法を早急にとらなきゃならぬ、これは私どもの任務だと思います。それまでの間このマイカーがこれだけはんらんいたしましたときに、早急にこの中心部以外に駐車場を整備して、そこに安心して車を置いて、そしてゆっくり職場に到達すると、こういう体制に早急にしなきゃならぬと思うが、ことしは一体、この駐車場整備の予算は幾らですか。
  100. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) ちょっと警察庁はそちらのほうは――建設省のほうに……。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 駐車場整備の問題は、これはおたくでしょう、担当は。――じゃ失礼いたしました。私は、警察庁のほうかと思って……それじゃその問題はあとで建設省に聞きますが、交通違反を取り締まるだけじゃなくて、この政府として総合的にマイカーを収容する駐車場を早急に設置して、安心して職場に――取り締まりだけではなくて、そういう方面にもひとつ知恵をかしてもらいたいと思います。  それから、警察庁は最後でありますが、この通行規制の問題でありますね。私ども党の方針もそうでありますが、近い将来に都心部の通行はバスとかあるいはタクシーとか、あるいは高速鉄道とか、いわゆる公共的輸送機関を利用して、マイカーなど特にレジャーを楽しむための車、営業車以外の、あるいは事務用車以外の、あるいは公用車以外の車はなるべく通行規制しなきゃならぬ。そして、いわゆる仕事――仕事といいましょうか、国土開発なりあるいは産業に直接関係する車を優先通行させるという体制をつくらなきゃならぬと、そう思うわけですが、そういう面、いわゆる通行規制に対して警察庁としてはどのように検討されておるか、勉強されておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  102. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) たいへん大きな、またたいへん大切な問題だと思いますけれども、まず私ども現在の都市における渋滞がこれほどになってきた。これについて都市交通規制をどうするかということについて、まあ一番根本的には幹線道路あるいは準幹線道路とその他の道路に分けまして、幹線道路と準幹線道路につきましては十分道路の整備をはかっていただくと同時に、車をできるだけ流すという政策をとってまいりたい。一方その他の裏街であるとか細街路につきましては、できるだけ規制を強化いたしまして、場合によったら通行を全然禁止してしまうということもあわせまして、安全を最重点にした規制をやってまいる。  そこで、規制の問題でございますけれども、私ども総合的に自家用車の都心乗り入れというようなことにつきましては、なお相当研究しなければならないと思っております。したがって、当面私どもとしてやっていかねばならないと思っておりますことは、そうした直接に自家用車の乗り入れを禁止するといったようなことでなくして、間接的な規制をもって臨みたい。と申しますのは、たとえば、これはまあ十分御存じのことでございますけれども、バスの優先レーンあるいは専用レーンを現在も相当やっておりますけれども、これをできるだけ拡大する方向で考えてまいりたい。あるいは都心部における一方通行をさらに拡大いたしまして、東京もかなりやっておりますけれども、最近では北九州、大阪、神戸といったようなところでもどんどん大きくやっておりますけれども、そうした一方通行によりて車両の流れをよくするといったようなこと、あるいはまた中央線変位と申しますか、朝と夜とそれぞれ中央線を、これも四車線以上の道路でございませんと困難でございますけれども、一定の道路につきましては中央線を変位いたしまして、都心部に向かう車の多いときは中央線を移動いたしまして、片側を三車線、一方を一車線にして、そのうちの一車線をできるだけ、たとえば先ほど申し上げたバスの優先あるいは専用レーンにするといったようなことで、まだ緒についたばかりでございますけれども、いま申し上げたようなことを積極的に取り上げてまいりたい。と同時に、まあこれは駐車を許すほうになるわけでございますけれども、駐車禁止をかけましても実際にその場で業務用の駐車がある、一日中置くというのじゃなくて十分か二十分かの所用のために必要だというようなところにつきましては、パーキングメーターを設置いたしまして、大体三十分以内でございますけれども三十分以内の駐車ならよろしい、コインを入れまして一定の間駐車させる。そのかわりに二時間、三時間、あるいは朝置いておいて夜帰るまでほったらかしにするといったような車を排除するといったようなことで、間接的に道路を広く有効に使うといったことの方向で考えてまいりたい。同時に、一番初めに申し上げました、自家用車の乗り入れといったようなことについては、非常に困難ではございますけれども検討してまいりたいという姿勢でございます。
  103. 小柳勇

    小柳勇君 総合交通体系の中で、まあいろいろまた御意見を聞きたいと思いますが――ありがとうございました。あと建設省の道路局から見えておるはずですね。――これから、まあたとえば昭和六十年を目標にいたしまして、さっき通産省からも報告がありましたように、自動車の生産はどんどん上がってまいります。その生産された車が国内で経済的な速度で走り得るだけの道路を建設するという計画はもちろんあると思いまするが、その構想について御説明を願います。
  104. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 建設省では昭和六十年を目標といたします道路整備の長期計画をつくっておりまして、先般の総合交通体系のときにもその骨子を発表しておるわけでございますが、それにつきましてのこまかいあれは省略いたしまして道路だけを申し上げますが、一般国道と都道府県道を合わせまして全体で十五万四千キロでございます。これは当然その時点においては改良舗装済みとなるようでございまして、さらに市町村道がございますが、地域住民の生活の道路となっておるわけでございますけれども、これが実は八十六万キロという非常に膨大な数字の市町村道を実は日本ではかかえておるわけでございます。これの全線の整備ということはほとんど困難でございますので、とりあえず主要なる重要な幹線の市町村道二十一万二千キロばかり――約四分の一程度でございますが、これにつきましての整備を完了したいというふうに考えておるのでございます。  それ以外に、大都市その他市街地周辺におきます交通のたいへんな混雑が現在すでに生じているわけでございますが、それをわれわれ二次改築と申しておりますが、この事業につきましても、主としてこの事業を相当強力に実施をいたしますことにいたしまして、少なくも現在の道路の混雑を昭和六十年には解消できるように目ざしておるわけでございます。  数字等につきましては省略いたしましたが、概略そういうことでございます。
  105. 小柳勇

    小柳勇君 各方面そうでありますが、私どもの地方でも幹線道路がもう満線になりまして、バイパスができました。バイパスができましても一年いたしますと、これまたバイパスが満線になりまして動きがとれないという情勢です。これから六十年を目途にいたしまして自動車の生産もどんどん上がりましょう。その自動車を快適にどんどん動かすのに一体道路の建造が間に合うんだろうかという心配を私ども常に持っているわけですが、いまおっしゃいました数字だけの道路をつくるために、金額としては大体どのくらいの予算を見込んでおられますか。
  106. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 昭和四十五年度における価格で換算いたしまして、八十五兆円を要する見込みでございます。
  107. 小柳勇

    小柳勇君 その八十五兆円の十二分の一ということでいま来年度の四十七年度予算が出発しているわけですか。
  108. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 四十七年度予算は二兆をちょっとこえている数字でございますが、ただいまの五カ年計画は御承知のように十兆三千五百億、これはすでに第三年度目にして五五%をこえておりまして、あと二年間の残事業はわずか四五%しかございません。したがいまして、四十八年度からこれを改定するということになっておりますが、おそらく二十兆をこえる数字になるのじゃないかと推定しておりますが、そういうことでこの八十五兆を達成するつもりでわれわれは実は努力を進めております。
  109. 小柳勇

    小柳勇君 逆に今度は、現在の自動車の生産は御存じのとおりですけれども、その自動車がそのままずっと生産が伸びていった場合に、この八十五兆円あれば完全に経済速度で走れるという、そういう計算もしてあるわけですか。もう一ぺん聞いておきたい。
  110. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 私たちは道路の混雑を通称混雑度という数字であらわしておりますが、混雑度一ということは通常のペースで設計どおりに走れる――道路をつくるときの構造設計どおりの速度で走れるということになろうかと思いますが、昭和六十年度におきましては混雑度を一度の状態にするつもりで実は計画を立てておるわけでございます。そのデータとなりますのは、まず昭和六十年度におきますGNPから実はスタートするわけでございますけれども、新全総よりも相当高くなっておりますが、たとえばGNPが二百十五兆くらいと想定しておりますし、それから車の保有台数にしましても四千五百万台というふうに想定をいたしまして、実はそういう数字をはじいております。こういう仮定に立っておるのでございますけれども、その数字におきましては混雑解消できるというふうなことで作業を進めているわけでございます。
  111. 小柳勇

    小柳勇君 もう一回伺いますが、現在の各都市の車の混雑状態を見ますと、いまの混雑状態解消して、なおかつこれから増加する車を消化するためには、車の増加の二倍ぐらいの速度で道路建設が進捗いたしませんとこの混雑度を緩和できないと思うのですが、いかがですか。これはもう正確な計算の上の御答弁と思うけれども、もう一回答弁を求めておきたいと思う。  それからあと自動車輸送の問題、鉄道輸送の問題、あるいは海上輸送の問題など総合的に検討しなければなりませんから、きょうわざわざ来てもらったわけで、もう一回聞いておきたいと思うのです。
  112. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 全部こう一つにして説明するのは非常に困難でございまして、いわゆる都市部と地方部に分けて考えてみますと、地方部におきましては現在まだ混雑度一には達しておりません。現状は〇・六程度でございまして、日本全体の地方部におきましてはそう混雑にまで至っていないというふうに考えております。  問題はやはり都市部、特に大都市市内ないしはその周辺がたいへん込んでおります。これに対する対策が一番大きな問題になっておるわけでございます。たとえば、先ほど申し上げましたわれわれの昭和六十年におきます長期構想におきましても、たとえば東京大阪等の大都市におきます通勤、通学は、これはすべて大量輸送機関である鉄道にゆだねるという方針であります。したがいまして、大都市におきます自動車交通と申しましても、主として業務用交通を想定して実は作成しております。そういうような観点に立っておるために非常に説明も困難でございますが、現在の混雑度は、東京都内におきましては平均混雑度が二に近くなっておると思いますので、これをたとえば一に下げるためには相当の努力が必要でございます。巨大な金もかかるわけでございますが、一応われわれのビジョンでは、これらもすべて先ほどの前提に立ちまして解消したいというふうに考えておるわけでございます。どうも完全なお答えにならないでたいへん恐縮でございますが……。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  最後に、いまの時点における補装率を教えてください。もうちょっと意見を言いますと、たとえばメーカーのレジャー用の車なりマイカー族の規制などというものは、道路が完全にできますと規制する必要はないわけでありますが、いま営業車を中心にしようというのは、道路が混雑するからみな考えているわけでして、車の発達と道路の発達というものの進捗度合いをいま聞いておるわけでございまして、だから皆さんの仕事の進捗度がおそいという気持ちはちっともございません。そういう点は御了解ください。  最後に国道、県道、市町村道の現在における舗装率をお聞かせ願います。
  114. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 本年三月末の見込みを申し上げますというと、一般国道の舗装率が八七・二%になっております。一般国道は昔の一級国道と二級国道に分かれております。一級国道と申しますのは、百番未満――現在五十七番ございます一までの国道を称しまして、これが九九・二%、それから百番以上の国道でございますが、八〇・一%になっております。それからその次に都道府県道でございますが、都道府県道が全体で五四・九%、都道府県道にも二種類ございまして、建設大臣が指定いたしました主要地方道、これが六五・四%、それからそれ以外の一般都道府県道といっておりますが、これが五〇・一%、それからそれ以外の市町村道がございます。市町村道は、先ほど申し上げましたが、非常に膨大な延長を持っておりますが、これが現在一五・四%という数字になっております。トータルいたしますというと全体で二二・四%ということになっております。
  115. 小柳勇

    小柳勇君 ありがとうございました。あと運輸省質問いたします。  いま軽自動車の車検制度が立法化されるのでありますが、まず現在ある車検の中で民間委託の車検があまり評判がよくない。この民間車検に対してどのようにこれから指導を強化していこうとされるか、お聞かせ願います。
  116. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御質問にございましたように、現在いわゆる指定整備事業と称する民間車検を民間の一定の企業に行なわしめておるわけでございます。先生のただいまのお話の中に、民間車検に対する評判が必ずしもよくない、これをどう指導するかということでございましたが、おそらく先生の御質問の趣旨は、先般、茨城の行政監察局が交通安全の監査をするために、茨城県の一帯におきまするところの整備事業者、これは民間車検工場だけではございませんが、それをも含む事業者を監察をされましたときに、その整備事業者の状態というものの中に好ましくないものがかなりあった、で、これの監督、指導の強化について十分意を用いるという趣旨の文書をもらいました。それによって代表されるようなことを御指摘だと思います。私ども、あれは約一年前の事件でございますけれども、全くあの話を聞きましてびっくりしたわけでございます。私ども率直に言いまして、この民間指定整備工場につきましては相当厳重な監督をし指導をしてまいったつもりでございますが、そこに指摘されておりますようなふぐあいな点あるいは不都合な点があったということについては、まことにこれは申しわけない次第でございますので、さっそく私どもの、直接茨城県を監督しております東京陸運局の整備部長を日ならず現地に派遣しまして、そうして特別の臨時監査ということを行ないまして、陸運事務所自体の業務監査と、それから当時の指定整備事業者を含む整備業者の監査というものを行ないました。それと同時に私どもは、全国でまさかこういうことがないとは思うけれども、あってはならないということで、各陸運局長に私の名前をもって通達を出しまして、重点的にそれを監査をし指導をするようにと、特に検査の方法につきまして、あるいは法律で定められました諸帳簿の記載あるいは検査のやり方等について厳重に守るようにという趣旨の通牒を出しまして、それをもって指導しておるわけでございます。私どもといたしましては、一方、指定整備事業の普及に伴いまして、これの指導、監督の要員というものの増員をいろいろ要求をしてまいりましたわけでございますが、四十七年度予算におきましては三十三名の増員が認められました結果八十四名、まあこれも全国の数からいいますときわめて微々たるものでございますが、指定整備事業の監督、監査をする要員として八十四名ほどが確保できたわけでございます。まだまだこれは十分な体制ではございませんので、この点についてはさらに人的な増強をはかるとともに、陸運局を通じまして、あるいは各県の整備振興会という団体がございますが、この団体を通じまして整備事業者の指導、監督を一そう強化していきたいということで、私ども考えますには、大部分の指定整備事業者というものはまじめに業務を遂行しておると思いますが、中に、たまたまそういう不心得な者がおって非常に国民の全般の方に御迷惑をおかけしているということがございます。この点は私どもさっそく是正の措置を講じましたが、なお再びこういうことのないように今後体制を整備するとともに、また管理、監督に遺憾なきを期したい、かように考えておる次第でございます。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 建設省都市局のほうに。さっき質問いたしました警察庁と私勘違いいたしましたが、駐車場整備計画について御質問するわけですが、現在のマイカーによる通勤はさっき申し上げたとおりです。この混雑緩和するために、都市周辺部に駐車場を計画するなり、早急にそれは建設しなければならぬと思うんですけれども、皆さんの計画なりあるいは今年度の予算なり、これに関連する都市計画一般について御説明を願います。
  118. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 先ほど警察庁のほうからもお話がありましたが、パーク・アンド・ライドと申しますか、都市周辺に駐車場を配置するという考え方につきましては、現在の駐車場法に基づく駐車場計画の中には遺憾ながらはっきりと根をおろしておりません。したがって、そういう構想大都市問題の一環として各国ともそういう課題を持っておりますが、わが国におきましても、このような駐車場整備の配置の構想につきまして考え直す時期にきておるというふうに考えております。そこで現在駐車場というのは、付置義務駐車場を含めまして大体二十七万台分全国でございますが、大体駐車需要は現在推定で百四十万台、これは昭和四十六年三月末でございます。これが昭和五十年には百九十万台の需要があると推定されております。そこでわれわれ現在の二十七万台しかない駐車場計画を今後五十年までにあと七十六万台分を整備していかなければいけないというふうに考えておりまして、そういう構想もとに駐車場計画整備する。それで四十七年度におきましては、地方公共団体が行なう駐車場の、都市計画駐車場の財源といたしまして約四十五億円を起債で認められております。それから民間の行ないますものにつきましては開銀融資を中心といたしまして六十億円、これを計上しておりますが、この四十五億円、六十億円はいずれも都市計画駐車場分でございまして、駐車場整備地区内において、あるいはそれ以外のところにおいて都市計画としてきめられた駐車場でございます。これは約三千台ないし四千台分に当たっております。なお、過去数年間のこういう都市計画の駐車場を含めました駐車場の建設の平均を見ますと、大体三万台くらいずつ建設されておるのが現状でございます。したがって、その中で昭和四十七年度におきましては約三千台ないし四千台分でございますから、一割くらいが、都市計画駐車場分として地方あるいは民間の行なう駐車場の融資が考えられておる次第でございます。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 まだいろいろ関連したことで聞きとうございますが、もう警察庁も帰りましたし、また後日いろいろお聞きしたいと思います。ありがとうございました。  それでは自動車局長にお聞きしますが、この整備事業会ですね、どのくらいの組織を持ってどのくらいの力を持っているか御説明願いたいと思います。
  120. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私が先ほど申し上げましたのは、自動車整備振興会という団体でございまして、これは道路運送車両法の九十五条にございますが、民法法人でございます。民法の三十四条に基づいて設立されておる団体でございまして、自動車整備振興会という名前をこの団体だけが使えるということでございます。これは整備振興会としての意見を公表し行政庁に申し出る、調査研究を行なう、統計を作製し、資料を収集、公刊する、情報を提供する、講演または講習を行なう、その他自動車整備の相談に応ずることというような事業を行なっております。これはいわゆる自動車整備事業者、それに一部メーカー、ディーラーが入っておりますが、これは指定工場だけではございませんで、全体のそういう自動車整備事業者の単なる業界団体ではございませんが、そういう普通の、たとえばトラック協会とかバス協会とかいう団体がございますように、整備事業者を中心とする業界の団体でもございますし、ある意外では研究の団体でもある、そういう団体でございます。大体各県に整備振興会というものがございまして、これが全国的に連合会として組織されておりまして、そうしてそこで活動をしておる、こういう状態でございます。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 現在の車検制度、特に民間車検整備場につきましてはまだ発足しまして問題もありましょうけれども、十分ひとつ指導していただかなければなりません、問題がありませんように。特に研修制度などを充実して、まあ人間がやることですからいろいろ間違いもありましょうが、ひとつ十分に指導、監督をしてもらって、いろいろ問題が発生しませんように指導をしてもらいたいと思います。  今回この車検をやる目的の中に、さっきから各省から聞いております騒音防止、排気ガスの規制、事故防止、この三つの要点が述べられております。騒音規制なり、あるいは排気ガスの規制なりということをやりますと、いわゆる車検のほかに特別に改造しなければならぬ面が出てきはせぬかと思うのですが、そういう点は関係ないですか。車検するときに騒音規制をやるでしょう。まあ普通の車ならそれでオーケーしますけれども、当然それをやらなければならない問題がありますか、たとえば製造上の欠陥などがありまして、新しい車になりますとどんどん排気ガスの規制とか騒音規制もありましょうが、古い車などで改造するような必要が出てくるような車もありはしませんか。そうなりませんか。
  122. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 技術的な問題でございますので私から答えさしていただきます。  ただいま先生の御指摘で、新しく検査が始まると、従来走っている車はおそらく検査に不合格になって、いろいろ改造しなければならないことが出るのじゃないか、そういう御趣旨の御質問だと思いますが、御承知のように、従来やはり軽自動車でございましても型式認定制度という制度がございました。実際上、世の中に販売された車は、一〇〇%と言っていいと思いますが、型式認定を受けた車でございます。そういう意味では、基本的には、新車の段階では一応保安基準にすべて適合した車でございます。そういう意味で、特にユーザー段階でかってな改造その他が行なわれておりますればこれは全然問題がないということはないと思いますが、ほとんどの車につきましては、特に改造をしなければ検査に合格しないということはないだろうと考えております。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 さっきの、現在の検査制度について、もう一つ私聞くのを忘れておったけれども、現在の検査要員ですね、車検の要員が足らないのではないかという心配があります。そのために、この検査がちょっと手抜かったりしはしないかと思うのだか、現在の車検の要員及び検査の業務量の推移など、最近一年、二年の統計でいいが、わかっておれば御説明ください。そして、この要員が少ないために、もし車検がずさんにされておるとするならばそれは直さなければなりませんから、そういう面を自動車局としてはどういうふうに把握しておられるか、お聞きしておきたい。
  124. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 検査関係の業務量の推移を申し上げますと、四十五年を申し上げますと――その前に、検査には新規検査と継続検査と二種類ございます。新規検査は、いわゆる新しく登録するときの検査でございますし、継続検査は使用過程に入ってからの検査でございます。新規検査が四十五年度で三百七十七万一千件でございます。それに対しまして継続検査が五百八十万件、合わせまして、大ざっぱに申し上げまして大体九百五十万件くらいの件数でございます。四十六年、これは一応まだ推定値でございまして、最終的な計算になっておりませんが、推定を申し上げますと、新規検査が四百四万一千件、それに対しまして継続検査が六百五十五万三千件でございます。それに対しまして検査要員でございますが、検査する要員、これは一応検査場で検査をしている者と窓口で受け付けしている者と両方入ると思いますが、検査要員の数は、四十五年度におきましては陸運事務所に八百五十九人おります。それから四十六年度は九百三名でございます。
  125. 小柳勇

    小柳勇君 ここに十年ばかりの統計がありますが、一人当たりの検査の指数はだんだんふえておりますもので、だから、一人当たりの検査指数が多くなるからそういう検査の失敗もあったのじゃないかという心配もありましたから、いま質問しているわけでして、現在の検査体制について、もちろん、それは人の面で万全の体制とは言えないでしょうけれども、足らなければ足らぬといって定員をふやす、そうしなければいつまでもほんとうの検査はできぬのじゃないかと思うのですが、もう一回聞いておきましょう。その点はどうですか。
  126. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 御指摘のように、車両数が伸びるに従いまして私たちのほうで行ないます検査の業務量もふえてきております。われわれも一応計算をいたし、それなりの要求をいたしまして、増員を確保してきているわけでございます。しかし、やはり増員――人をふやすことばかりではなかなかこういう問題は解決いたしませんので、一方におきまして検査機械の自動化――私たち自動化ということばを使っておりまするが、できるだけ人手を使わないで、正確な検査ができるような機械を開発いたしまして、そういう機械を全国の車検場に順次設置していくということも、あわせて全体的な検査場の業務能率をあげるということも、あわせ考えながらやっていく所存であります。もちろん、今後とも車検の要員確保ということにつきましては、われわれとしてはさらに努力をする覚悟でおります。
  127. 小柳勇

    小柳勇君 もう一つの疑問は、いままでの検査体制の中に軽自動車は繰り込んでしまってもできるのではないか。定員をさらにふやせば、別に五百四十人の協会の定員をつくるつもりならば、いまの検査要員の中に四十五年が八百五十九名、これに五百四十名プラスするならば、軽自動車一般自動車と一緒に検査できるのではないかという理屈がありますが、この点はいかがですか。
  128. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 今度の、軽自動車の検査を開始する案をいろいろと立てましたときに、まず私ども考えましたことは、国がみずから検査をするということが第一義であるということで考えたわけでございます。その際、先生がただいまおっしゃいましたように、現在の陸運事務所に増員をして、そうして軽自動車の検査が合理的、能率的にやれるかどうかということを検討いたしました。そこで、技術的な問題がございますが、私大きく分けまして、二つ問題があったわけでございます。一つは検査施設そのものでございます。これは卑俗なことばで恐縮でございますけれども、現在の普通自動車の検査施設というものが必ずしもそのまま、必ずしもと申しますか、相当程度、軽にはそのまま使えない、これはまあ大は小を兼ねるというわけにはいかないわけでございまして、軽には軽に、その大きさ、幅、いろんなものが違いますので、合った検査施設というものをつくらなければならない。そうすると、軽の車の数が、先ほど申し上げましたように大体普通車の三分の一程度推移をしているということでございますと、相当のまた設備をここにつくらなければならないということと、それから人員でございますが、いま先生言われましたように、所要の人員をはじいて、それを職員で要求してやればいいじゃないか。もちろん私どももそういう検討はしたわけでございますが、そういたしますと、冒頭、岡本先生の御質問にお答えいたしましたように、第二陸運事務所というべきものを、やはり施設も共同できる分がありましても、ある程度また軽に向いたコンパクトな施設整備しなければならない。また検査要員も相当の増員を、かりに五百四十名をそのままふやすといたしましても、ふやさなければならないというようなことを考えますと、非常に昨今の情勢から見て困離であるという状況でございます。したがいまして、私ども、いわば次善の策と申しますか、そういう観点から、この軽自動車、国にかわる代行機関という方法を選んだにつきまして、先生のいま御指摘のような増員をする、施設をふやすということで、現在の陸運事務所の中に吸収するということも考えたわけでございますが、これはなかなか実現性という点から、私ども、よく踏み切れなかったというのが実情でございます。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 私ども、あまり軽自動車を扱ってなかったから、一般自動車ばかりで――軽自動車も実は車検をやっておるものと思っておったところが、今回、軽自動車の車検が出まして、全然なかったのかと思った。実際は、いまの陸運事務所は一般自動車からオートバイ、軽自動車までやっておるものと思っていたのですが、それほどですから、いまの陸運事務所を、たとえば支所をもう一カ所ぐらいずつ全県にふやしたら軽自動車もできるのじゃないかと、こういうふうな、これは私しろうと議論ですけれども、そういう議論がくろうと筋からも多いわけですね。何も民間の協会をつくぬでも、いまの車検の定員をふやして、そして、もう一カ所支所ぐらいつくれば、軽自動車もこれは車検はできやせぬかと。そういたしますと、独立採算で検査料でやっていかぬでも、国がちゃんと責任を持って監督して車検をできるではないか、そのほうが正確な車検ができやせぬか、こういう疑問がありますから、もう一回この点について。これとあわせて今後、いわゆる軽自動車検査協会をつくったが、よりよいという確信あるひとつ御意見局長からお聞きしたい。
  130. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの先生の御質問にもございましたが、独立採算という御意見ですが、実は現在の普通の自動車の検査、これは登録も含むわけでございますが、これも実はある意味では独立採算と申しますか、御承知のような車検特会をもってやっておるわけでございます。したがいまして車検特会の収入は、検査の収入と、あるいは登録の収入ということから、登録自動車の登録と検査というものを一体として扱いまして、それを、その特別会計のワク内でやっておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生の御提案のようなことになりますと、そういう考え方でありますと、この軽自動車をもこの車検特会の中に入れてやるというような、方法論としてはそういうことになろうかと思います。もちろん、そういうことも私ども事務的に検討をいたしたわけでございます。ただ、現在の軽自動車について申し上げますと、検査は今回対象にいたしたいということで御審議をお願いしておるわけですが、登録につきましては、これは届け出といいますか、検査のときにチェックをすれば、その登録という新しい制度を適用しなくてもできるというようなこともありまして、普通車とも登録の点において扱いは違います。それは別にいたしまして、先生の御提案のようなかっこうで車検特会の中に軽を取り入れてやるということになりますと、先ほど私が申し上げましたような支出の関係から、あるいは人員の関係から、やはり第二陸運事務所というようなことにならざるを得ませんし、そうなると、やっぱり上屋も別になり、検査コースも別になる。それから、それに伴ういわゆる管理要員というものも、これは数は少のうございますが、やっぱり別になるというようなかっこうになりまして、必ずしも合理的、能率的な定員、予算にはならないというふうに、私ども検討の結果、そういう意見が出てまいったわけでございます。そういう意味で、これはまあ先ほど申し上げましたような国の代行機関という方法をとったわけでございまして、ただ、ある程度の設備、ある程度の検査という必要最小限の人員、この五百名だけの人員では、なかなかこれだけの施設では、そういういわば第二の陸運事務所というべきものの組織を全国にめぐらしていくということも、これはなかなか私はむずかしいということで、したがって、やはり経済合理性の見地からいっても、このほうが、そういう面からはよろしいという結論でこういう方法をとったわけでございます。
  131. 小柳勇

    小柳勇君 もう一問、くどいようですけれども、少なくとも登録車両は国が直接車検すべきではないかという意見がありますが、この点いかがですか。
  132. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生のいまの御質問の趣旨は、登録車両といいますのは、現在検査対象にしている登録車ですね、これは国がみずから検査をすべきではないか、つまり民間車検をやめたらどうかという御意見でございましょうか。
  133. 小柳勇

    小柳勇君 直接に……。
  134. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) その御意見に対しましては、実は私どもまあ何ですが、率直に言いまして異論があるわけでございます。といいますのは、私どもは、昭和三十七年から民間車検をやってまいりましたのは、一つは、この何といいますか、この車検の性質というものをいろいろ検討いたしてみますと、これは俗にまあ公権力の行使というようなことをいわれておりますけれども、私どもこれは法制局もまじえた見解でございますが、一つの確認行為である、国がきめる安全の基準というものに合致して、そうして、その基準に合致したものは自動車を有効に運行してよろしいという一つの確認行為でありまして、いわゆる普通の権力行為とは違う。そういう性質のものでもともとあるわけでございますが、そういうものをやるにつきまして、これはもちろん国がやるということが一番望ましいわけでございます。しかしながら一方におきまして、自動車工業の発達に伴いまして、あるいは自動車需要の発達に伴いまして、民間の技術というもの、あるいはそれに伴う整備能力あるいは検査能力というものが、非常に有効的に活用をされておるわけでございまして、そういう意味から民間の整備能力、検査能力というものを活用していくということは、その一方では、増大をする自動車需要にこたえると同時に、民間のそういう能力をますます生かして助長していく。それから、その検査をする場所の地域的な分布から考えましても、国が全国すみずみにネットワークを張りまして、そうして国の手のみで検査をやるということは、なかなかこれはその検査の利用者の利便という点から考えても問題であろう。そういうことから、張った当時は非常に指定整備事業というものはパーセンテージが少のうございますが、将来は、国というものはむしろ民間のそういう足らざる点をカバーをするということと、それから最後の、やはり最終的な責任は国が持つべきだということで、国の検査というものはもちろん必要でございますけれども、その民間の整備能力、技術能力、検査能力というものをできるだけ活用し、そうして、それを育成していくということが自動車の利用者にとっても利便であるし、また、それは監督によって十分所期の目的を達することができるということから、登録車について民間の検査能力の活用ということをやっているわけでございますので、ちょっと全部国に持っていくということは、私は、今日の状況におきましては、客観情勢からいたしましても、また以上申し上げましたような意味合いからいたしましても、まあ無理があると、かように考える次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  135. 小柳勇

    小柳勇君 この協会の設立を認めるといたしまして、家を建て、人を求めて、組織をつくっていかなきゃなりませんが、この一億五千万円の出資で、他からどういうふうな資金が出るのかということと、いまから土地を買いまして家を建てて人を求めて、これだけの予算でやれるのか、やれぬのか、その点いかがでしょうか。
  136. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず考えておりますのは、資金計画といたしまして、四十七年度では、冒頭御説明いたしましたように、政府の車検特会から一億五千万円の出資をお願いいたしておるわけでございます。それから借り入れ金としては、市中銀行から合計十五億円のお金を借り入れるということにいたしております。その使途といたしましては、建設費に約十四億七千万円、それから業務管理費、それから業務外の支出、これは支払い利息と創業費が主でございますが、そういうものを合わせまして十六億五千万円ということで資金の収支が成り立っておるわけでございます。したがいまして、本年は十五億円の借り入れ金、これは出資金の十倍になるわけでございますが、四十八年の後半から業務が始まりますので、四十八年度に相当の収入を期待することは、業務収入まで期待することは、これはできません。まあ平年度の約半分ぐらいしか入らないということでございますので、冒頭、岡本先生の御質問にお答え申しましたわけでございますが、借り入れ金として八億五千万円ということを四十八年度はなお予定をしておる、それから政府出資は現在の約倍ぐらいの三億円を要求したい、これが現段階における計画でございます。そういうことでやっていきますと、大体二十億円ぐらいの金が四十八年度に調達できる、それでもって建設費の五億円ほどを四十八年度でさらに追加支出をするという、資金的にはそういう関係になっていくかと思います。  それから場所の取得につきましては、これはもちろん現在の土地事情のもとにおいて、いろいろ困難な条件はあるかと思いますが、すでにもう軽の検査をやるべきだという声が数年前からありまして、特にここ一、二年急速にそういう御要望が高まってきましたので、私どもはかねて現在の陸運事務所の施設の拡張とかあるいはコースの増設というようなことをいろいろやっておりますので、それとのかね合いにおきまして、軽の検査をやるとすればどういう場所がどういうところにあるかということの、それは役所の現在の一つの目算でございますが、一応のめどをつけておりますので、それはこの協会が発足いたしましたならば全力をあげて人の養成とともにその施設の確保というようなことをやってまいれば、私、いま申し上げましたような四十八年度が二十億、本年度が十六億五千万というような金額でもって人とものの準備体制が整うものであると考えますし、また、ぜひ整えなければならない、かように思っております。
  137. 小柳勇

    小柳勇君 いま陸運事務所が、たとえば私の福岡県の例をとりますと、福岡市にございますし、北九州市にございますが、今度のやつは各都道府県一カ所です。だから将来計画としてでも、いまの陸運事務所単位くらいには検査場を置くべきだと思いますが、いかがですか。
  138. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 発足当時におきましては、北海道七カ所、あと沖繩を含む各府県に一カ所ずつの支所を置くということを考えております。その後のことでございますが、軽自動車の普及状態、それから検査の需要、それから既設の支所との何といいますか、距離、時間、そういうようなことをにらみ合わせまして、おそらく大都市相当需要のあるようなところには、また支所の出先と申しますか、分室と申しますか、そういうところも設ける必要があろうと思いますので、そういう点につきましては、それこそ弾力的に措置できるものと私ども考えております。また現在普通自動車についてやっておりますと同じようないわゆる出張検査、こういうことも、受け入れ体制を整えて出張検査をやるということも考えておりますので、そういう意味で発足当時は、北海道は別といたしまして、各一府県一カ所でございますが、あとは実情に応じてまた出先をふやしていくということは十分考慮いたしたいと思っております。
  139. 小柳勇

    小柳勇君 いまおっしゃった出張検査ということはどういうことですか。
  140. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 出張検査といいますのは、現在の普通自動車についてもやっておりますが、先生御案内のように、普通の検査でございますと、継続検査の場合は、車の使用者が車を持って陸運事務所あるいは支所へ持ってきて検査を受けるわけですね。そこでその検査官が所定の検査をする、そして合否を決定する、こういうことでございます。出張検査は逆に、たとえばある地点で検査の施設がある、あるいは一定の場所がある、そういうところにポータブルな機械を持っていけるというような状況でございますと、あらかじめ何月何日に、どこに何台の自動車が集まるということが計画的に把握できますれば、そこに検査官が出張していくわけです。そして所要に応じて機械、器具を持っていきまして、そして、そこで検査をする。そうすると使用者の方はそう遠くまで行かなくて、便宜近いところの方がその付近のある一定の場所に集まってくれば、そこで検査ができるというシステムでございます。これはそういう受け入れ体制の整ったところでは、相当広くやっております。そういうことも軽についてやっていきたいと、かようなことでございます。
  141. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、近い将来に、いまの陸運事務所単位くらいには検査場をつくることもあり得ると、発足当時は各都府県一カ所である、かようなことでございますね。
  142. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 大体そのとおりでございます。
  143. 小柳勇

    小柳勇君 次に、人の問題です。人の問題は、私は、いま陸運事務所などで検査官など定年でおやめになるような方がおやりになるのは賛成ですね、りっぱな技術の人ですから。そんな人が何人おられるかわかりませんが、とにかく五百四十人の方がこれから要るものですから、現職の、たとえば若い、定年でもないような方を引き抜くようなことがあってはあとが困ると思うが、この五百四十人の協会の人の採用については、いま大体の目算がついているのですか。
  144. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この点につきましては、本部を含めました全体で五百四十人ほどの人員を要請いたしております。この中で大体、地方は五百人くらいということでございますが、その中に、管理・監督要員、事務要員というものを除きますと、純粋の検査技術者及びその補助者というものは二百数十名が考えられるわけでございます。その中で、いわゆる検査員という資格を持った中心の地位を占める人は百二、三十人でございます。この百二、三十人の給源につきましては、私ども民間の経験者についても、これは希望者を募って採りたいということを考えております。民間の関係の工場等から一定の資格を持った人でございます。それから現在の検査官、国の検査をやっている人、この中に、たとえば家庭の事情等によって、国の検査官をやっておれば福岡なら福岡陸運局管内の各県を一年か二年おきに回らざるを得ない、そういうことは困るというような方も間々あるように聞いております。そういうような適任者の中で、家庭の事情等で自分は一カ所からあまり動きたくないというような方もあるようでございますが、そういう方につきましては、現在の公団、公社と同じような給与その他の待遇条件を考えておるわけでございますから、そういう点を勘案して本人の希望があればこれを採りたい。そうすると、人数的に見ますと、現在、いわゆる検査員につきましては百二、三十人の、これは大まかな見当でございますが、大体半分程度は民間から、半分程度は国からということでございますが、これは全く現在の一つのめどでございますので、これは実情に応じてやっていきたい。といいますのは、民間から採る場合を考えましても、大体現在、整備士の検定試験に合格する人が毎年十万人くらいおります。こういうような人の中から教習をやったり、研修をやったりして、こういう業務に向いた人をさがし出すということはそう困難ではない。もちろん、これには待遇、条件その他もありますが、そういうことを考えれば、民間の既存の業者に無理をお願いしなくてもある程度できるのではないかということも考え、また官側からも、いま申し上げたような条件で、決して無理に引き抜いて持っていくということではなくて、本人の希望等をしんしゃくしながらやっていって確保していきたいと思っております。
  145. 小柳勇

    小柳勇君 この予算によりますと、その職員の待遇、労働条件などは、現在の民間車検あるいは公務員の給与などと比べてどういう待遇になっておりますか。
  146. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 民間の工場との比較ということは、これは大小さまざまでありますので、なかなか困難だと思いますが、同じような条件――年齢とか経験年数とか――の国家公務員に比べますと、これは一般公団、公社等に出向される場合と大体同じ条件でございまして、そういうことから考えますと、一般公務員より、何といいますか、給与の月額に比較してみましても、おそらく一〇%くらいよくなるのではなかろうか、つまり端的に申し上げますと、公団、公社に行った場合と同じ待遇を受けると、こういうふうに私ども計画をいたしております。
  147. 小柳勇

    小柳勇君 衆議院の附帯決議で、「検査協会の役職員の選任について、特に公正妥当を期するよう配慮すること。」という附帯決議がありますが、これは蛇足かもわかりませんが、質問しておきますが、たとえば理事長とか理事という人は大体意中の人がありますか。
  148. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これは大臣も衆議院の御審議のときに御答弁になったのでございますが、現在は全く白紙でございます。ただ、先生御案内のように、これは兼職禁止になっておりますので、したがって非常に人選についてはむずかしいと思いますが、衆議院の附帯決議の御趣旨にもかんがみまして公平な人選をいたしたいということで、まあ、この法律を通していただきますれば具体的な人選に着手できると思いますが、現在はまだ白紙でございます。
  149. 小柳勇

    小柳勇君 まだ聞きたい点もありますが、大体持ち時間がきたようでありますから、私の質問はこれで終わります。次へバトンタッチいたします。
  150. 伊部真

    ○伊部真君 きょうは車両法の一部改正についての質問でありますが、たまたま調査案件の質問をする機会がありませんので、車の検査の前に人間の検査のことについて聞きたいんでありますが、これは自動車局長にきのう少しお尋ねをしておきましたが、五月の二十日の日の新聞に出ておったことでありますけれども、西武バスの滝山営業所で料金の不正があるんではないかと乗客連絡がありまして、それに原因を発しまして、運転手を呼んで、上半身を裸にして、そして検査をした、しかしそれは何もなかったということです。この場合に、これはだれもいないところでやったんならまだ理屈も通るんですけれども、修理工場の人だとかあるいは社外の清掃人が目に触れるようなところで裸にして調査をした、この結果白であった。これは人権問題だということで組合でたいへん問題にいたしまして、そして、いま労使双方の紛争事項になっているわけですね。そして、かなり車がおくれているというような現象が出ているわけですけれども、この事実について知っているかどうか、お聞きをいたします。
  151. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま御指摘のありました件につきましては、実は私もその事件がありました直後ですか、ある新聞に載っておりましたので、それを読みまして十分知っております。したがいまして、さっそくこの内容について、どういうことかということを会社に問い合わせをいたさせました。その結果、ただいまの先生のお話と多少まあ違いますけれども、そういうトラブルがあったということでございます。本件につきましては、これは労使間の問題という以前の人間的な信頼関係の問題でございますし、非常にデリケートな問題でございますので、私ども自動車行政という立場以前の問題でございまして、そういう意味で非常に重要視いたしておるわけでございますけれども、これは会社とそれから組合との人間的な信頼関係の問題として、これがあとにしこりを残さないように善処されることを希望しつつ、会社にそういう善処方を要請しているというのが現状でございます。
  152. 伊部真

    ○伊部真君 私は、このことがこれだけならそれほど問題にするつもりはないんですけれども、この事件が起きる前に、西武バスはある一つの事件を起こしているわけですよ。これは大宮の営業所で斉藤忠という人です。事件が起きましたのは昭和四十六年の十一月の二十七日、この人に対して料金に不正があるというふうな疑いを持って、大宮の営業所の近くの修理工場の二階で、本社の係員だとかあるいは営業所長、次長だとかというのが双眼鏡でこれをずっと監視をしておる。そして現認をして、そして身体検査をした。それが原因で――確かにこの斉藤という人は料金を一部着服したということが事実のようです。しかし、この斉藤さんという人は、その日が終わって家に帰って、次の日が日曜でありました。そして奥さんや子供を実家に帰して――このときには警察からの出頭命令もあったそうです。そういう状態を苦にしまして、女房、子供を家に帰して自殺をしてるんですよ。こういう事件を起こしておる西武バスが再びこういうことをやることに対しては非常に問題だと思うんですよ。私は、どこでも行なわれているような、たまたまそういうことをやるというんじゃなくて、去年の十一月の二十七日にこんな大事件を起こしているものが、軽率にも、またしても本人を連れ出して、そうして裸にして調べるなんということは、私は行き過ぎもはなはだしいものだと思うんですよ。むしろこれは私は警察庁のほうの人権問題のところで議論すべきだと思ったんですが、きょうたまたま担当官がどうも承知をしてないそうです。時間的に余裕がなかったからでしょうが、これはやっぱり行政監督にあるものとしては見のがしてはならぬことだと思うのです。この件についてはどうされますか。
  153. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この斉藤さんのお話は、実は私いま初めて伺うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、こういう問題は会社の労使関係といいますか、むしろ人間対人間の信頼関係の問題であると思います。したがいまして自動車行政以前の問題でありますし、ことに、そういう斉藤さんを死に追いやったということは、斉藤さんの行為は別といたしまして、非常にこれは何といいますか、人間的な信頼関係の面から見て不都合なことだったと思います。これは先生のおっしゃるように、どうなるか、私ども専門家でございませんからわかりませんが、まさに刑事事件でございます。そういう意味で今後――自動車運送事業といいますか、特にバス運送事業は人間の生命をあずかる非常に重要な問題でございますので、何よりも労使間といいますか、あるいは使用者相互、労働者相互においてもそうでございますが、人間的な信頼関係というものが基礎でございますので、こういうトラブルがしばしば起こるようでは、りっぱな、安全なサービスということはなかなか私はむずかしかろうと思います。そういう意味で十分会社に今後注意をいたしまして、人権問題としてあるいは人間関係の正常化の問題として、早急にこういうことが起こらないように善処をしたい。と同時に、この問題については警察のほうの御処置に従うように十分会社側を指導したいと思います。
  154. 伊部真

    ○伊部真君 この身体検査問題というのはかつてだいぶ問題になったことがあるわけですね。特に車掌の身体検査の場合ですね。したがって、われわれはその時点では非常に神経質でありましたけれども、ワンマンになりましてから、女の子がいなくなってから、非常にこの問題かぼけてきたと思うのです。しかし、一面考えますと、ワンマンになったからこんな事件が起きたのだ、むしろ料金問題というのは牽制するという状態がなくなって一人でやられているからですね。これは私は確かに、その事件を直接行なった斉藤さんもそれはいいとは言えませんけれども、しかし一面では、ワンマン運行をやったための一つの悲劇であるとも言えるわけですよ。  で、特に私は気の小さい人だと思うのでありますが、女房、子供を実家に帰して車の中で自殺をするというようなことが行なわれたんですから、こういう問題については同じ会社として神経をとがらすのが私は普通だと思うのですよ。それをまたしてもこのような監督をするという、その無神経さに私は驚くのです。しかも、そういう事件に対して組合のほうが騒いで、その責任者は責任をとらすべきではないかという要求をするのは私は当然のことだと思うのですよ。そんなことが紛争になるというようなことがおかしいのであって、それが営業権だとか、自分たちのほうの権限の範囲内だということで争いが起こるというのは、私は無神経きわまると思うのです。私はこういう問題は、これはきょうはほんとうは都合によっては西武のバスの社長もここに来てもらって明らかにしてもらわぬといかぬと思うのです。労使問題となっておるものに直ちに介入のことになってはいかぬと思って、ちょっと私は差し控えたんですが、しかし私は、これは許してはならぬことだと思います。したがって、私は、どうしようとされるのか、この問題について、一般的な問題として、もう一ぺんやはり運輸省として各業者に対して、このような事件を一つの問題点にして、そして再びこういうことが起きないように、やはり示達をするということも必要でしょう。もう一つは、直接に西武バスの社長――責任者を呼んで、私は、大臣からでも厳重にこの問題については言い渡してもらいたい。そして少なくとも人一人がなくなったので、無神経に行なうということに対しては、これは特にこの業者に対して警告を発してもらいたい。単なる口頭でやりとりするんじゃなくて、やはりこの問題については何らかの意思表示をさすということが必要じゃないか、私はそう思います。そういう点について、ひとつ大臣にぜひお願いをしたいと思う。
  155. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この問題は、私が先ほど申し上げましたように、労使間の問題あるいは道路運送事業の問題以前の問題といいますか、より基本的な、要するに人間的な信頼感の問題であると思います。したがいまして、そういうようなことが行なわれるということは、まさにバス業者であろうと、トラック業者であろうと、あるいはタクシー業者であろうと、最も基本的な問題でございますので、すみやかにそういう信頼感の回復といいますか、信頼感ができるような指導をしなければならない。実は私どもそこまで思い至りませんでしたのは、こういうようなことは、当然これだけの大きな企業であるし、これだけの労使があられるところにおいてこういう人権問題みたいなものが起こるということは、実はこれは私ども想像もしなかったことでございます。しかし、現実にはこういう問題が起こったわけでございますので、これは今後再びこういうことがないように十分注意をしたいと思います。具体的な方法につきましては、これは東京のバス会社でございますので、直接監督をいたしておりますのは東京陸運局長でございますので、まあどういうふうな注意のしかたをするかということにつきましては、よく大臣の御意向もお聞きながら、部内で検討して、そして処置をいたしたい、かように考えております。
  156. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま私、ちょっと決算委員会のほうへ招集されまして、具体的の内容をつまびらかにいたしておりません。まことに申しわけない次第でございますが、承りますると、上体を裸にして検査をする、人権じゅうりんの疑いが非常にある、こういうようなことでございまして、労使関係といいましても人権じゅうりんの容疑のあるような行為をいささかでもするということは、これはもう、もちろん会社経営からいいましても、また労使関係の円満な慣行の樹立から申しましても、絶対にこれはしちゃならぬので、避けなくちゃならないことでございますから、直ちにそういう具体的の問題を厳重に調べさせまして、そしてそれらのものが、事実こういう問題がございましたら、厳重に警告を発しまして、再び起こることのないようにいたしてまいりたい、こういうふうに思います。
  157. 伊部真

    ○伊部真君 この問題は、私は労使の紛争問題としてお出し申し上げているのじゃないんですよ。労使の紛争問題が起きた原因は何かといえば、普通の賃上げ問題じゃないのですよね。で、この記事は、公共輸送の問題からいって住民が騒いでいるということもありますけれども、これは去年の十一月に、そういう人一人を自殺に追い込むような事件を起こしているというところが私は問題だと思うのですよね。私は、このことだけならほかの会社にもあるだろうと思います。また、そのことは、私は注意をしてもらうという程度で済まされることだと思うのです。しかし、十一月の末に起きて、二十九日に出頭命令が出て、そのことを苦にしてなくなっていると、いま私は警察庁に聞いたら、警察のほうでも埼玉県警で調べて、この呼び出しがあったかどうかという事実問題については、もう一ぺん調査をすると言っております。しかし、この点は、私は現地の人に直接電話をして聞いているわけです。斉藤忠という人で、名前まではっきりしているわけですから、こういうことについては、私は事実関係をはっきりしているわけですから、今度の事件の有無は別として、これは当然行き過ぎであることは事実です。いずれにしても、人一人死に追いやるというようなやり方をして、相手方は気が小さいといったって、それはやっぱりそれほどのショックを与えるようなやり方をしたんですから、これは運輸省のほうはやっぱり陸運局長がどうのこうのというのじゃなしに、社長を呼び出して大臣が直接事情をただして、そして、ちゃんとした、事実そういうことが起きたという背景が認められるなら、これは明らかに何らかの処置をしてもらわなければいかぬと思います。
  158. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  これは私もいまお尋ねを聞いておりまして、おそらく交通関係では数多い例じゃないかと思う。しかも、きわめて重要な事実問題ですからね。しかも、これはヨーロッパやアメリカのできごとでない。しばらく休憩でもしまして、少し事実関係を当たって答弁されたほうがいいんじゃないか。その会社に対してどういう措置をするかということはあとの問題として、事実関係だけはひとつ明らかにしておくべきだと思う。したがって、十分ぐらい休憩すれば連絡つくんじゃないですか。
  159. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 事実関係については、もちろん、細部の点でまだ私ども承知していない点がありますが、大筋におきましては伊部先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、言い分といいますか、立場が違うために、多少その裸にしたとか、しなかったとかいう、さまつと言っては悪いですが、どちらがやったとか、やらなかったとかいう論点の相違はあるようですが、大筋は伊部先生のおっしゃるとおりでございますので、その事実関係の内容は明らかでございます。
  160. 伊部真

    ○伊部真君 事実関係でちょっとまだ不十分なのは斉藤さんのできごとですね、この点については、そのとおり、じゃあ確認されますね。
  161. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 斉藤さんの件につきましては、昨日でしたか、伊部先生からお聞きしたのが実は私初めてでございます。
  162. 森中守義

    ○森中守義君 だから、私が事実関係を明らかにしてほしいというのは、そういう死人が出たということを当事者からきちんとして、そして答弁したらどうなんですか。その処置をどうするかというのはこれからの問題です。こういう意味で、すぐ東京陸運局長なり――あるいは埼玉に陸運事務所もあるでしょう、あるいは会社も、大臣、ちょっと確かめて答弁してください、そのためにちょっと休憩を求めようと、こういうわけです。
  163. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  164. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  165. 伊部真

    ○伊部真君 ちょっと大臣に事情を書いたやつを見ておいてもらって――こういう事件が重なっているわけでありますから、したがって、これはただ調査をしてという程度では私は済まされないと思うんです。事実関係が、私が申し上げていることに大筋間違いなければ大臣どう思っておられますか。どうされますか。
  166. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) まだこちらで実情調査しておりませんので、仮定の問題のお答えで恐縮でございます。第一の問題は、それで一応警察に行ったと。その伊部先生のいまのお話、拝見いたしますと、本人自身に身体的な身体検査をしたとか、そういうことはございません。ただ警察の照会に対しまして非常に驚いて、お気の毒ですか、自殺までした、こういうことでございますので、本人を調べないで警察にすぐ連絡をしたことの当否ですね、その点が問題になる。こういうおうに、いまのあれだけでは……。
  167. 伊部真

    ○伊部真君 身体検査していますね。
  168. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) しているんですか。
  169. 伊部真

    ○伊部真君 しています、身体検査。
  170. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) それでやっぱりそういう事実、黒であったことは事実ですか。
  171. 伊部真

    ○伊部真君 そうです。
  172. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ああそうですか。それは合法的に――いま言った、人の見るところでのこととか、そういうことじゃないんですか。
  173. 伊部真

    ○伊部真君 私が一つの問題点を言うのは、いま起きているのは、この事件、これ二十日の読売なんですがね。これだけ大きな新聞記事が出ているわけですね。これの原因というのは、人の、ある程度目に触れるようなところで上半身を裸にして検査をした、そのときには白だった、白であったのになぜこんなことをやったんだということで、その従業員は組合にかけ込んで、組合のほうは人権問題だということで、これ紛争になっているわけですね。したがって、私は、この事件は当然労使で話をつけるべき問題だと思うんですね。ただ、なぜこんなに問題がもつれるのかといえば、去年の十一月にこの事件があった。この事件は何かといったら、これは一つのしかたとして、問題があるんですね。近所に営業所長だとか本社の係一員だとか、二、三人も寄って、望遠鏡でにらんでいて、そうして、それがおったからといってばっとつかまえに行って、つかまえて身体検査をする。そうして、黒であったということで警察に通報しておるというやり方ですね。そのために本人は自殺をしたのですよね。奥さんも帰してというごとは覚悟の上でしょう。こういう事件を起こしたときには、普通なら、これはたいへんなことになったと、よほどのことがなければ、これは注意をしなきゃならぬというのが私は普通の神経だと思うのですよ。これが、何が原因か知りませんが、こういう人命を落とすような事件を去年の十一月の末、まだそんなに日にちがたっていないのに、そんなときにもう一ぺんこんなことが起きるというのは、私は会社の体質として非常におかしいと思うのです。労使問題というよりは、従業員に対する姿勢として、経営者として実はモラルの問題でもあります。こういうことになりますと、これは紛争だけではなしに、やはりこういう身体検査というやり方に対して、私は運輸省としてやはり考えていかなきゃいかぬのじゃないか、指導立場からいってもですね。こういうことを私は感じるのですよ。  したがって、少々の言うことでは聞かぬ相手ですからね、大臣が直接社長を呼び出してやられれば少しは聞くのではなかろうか。あるいは、その問題について担当者をやはり、組合の要求もあるが、組合の要求でこれはやるということは別にいたしましても、当然その人間の処罰は、配置転換するとか、かえるとかというのをやるのがあたりまえでしょう。人一人死に追いやる、こういう問題が起きて紛争が起こっている。で、これはそう常識的にですね、私が言っていることがまるきり違うなら――これは、私はうそを言っているわけじゃない。私は責任者から直接話を聞いて、これを記録しているわけですし、そうして、いま警察庁のほうにも、警察のほうで、埼玉県警でもう一ぺん調べてもらいたいということで言っているわけです。私の言っていることは、てにをはは違うかもしれませんが、しかし大筋が違わなければ、ここでやっぱり大臣判断してもらわなければいけない。単にこの問題は遺憾だとかというような問題じゃなしに、これはまた起き得ることですからね、ほかの地域で、ほかの職場でも。かつてこれは女性の身体検査の問題、たいへん問題になったのですよ、バスの問題、少し遠のきましたけれども。しかし、これはこれからの問題点としてたいへん大きな問題点になろうと思いますので、これは規則上どうとかというのじゃなしに、やはり当然、運輸省としての通達はもう一ぺん出していただく。同時に、個々の問題については、具体的に社長なり呼んで、そうして事情をはっきりさして、そうしてしかるべき処置をしてもらう。これは単にしかりおくじゃなしに、やっぱり始末書は取ってもらって、ちゃんとやっぱり、これが、はっきりまずかったということが天下に明らかになるようにしてもらいたい。その点いかがですか。
  174. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これはやっぱり私は相当の問題だろうと思う次第でございまして、したがいまして、個々の事情を先生から伺った次第でございますが、当局からも十分聴取いたしまして、また警察からも十分真相を調べまして、そして適切なる措置、再びそういう人権問題、労使双方の不信をもたらすような問題をしないように適切な処置をとりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  175. 伊部真

    ○伊部真君 それなら私これ以上言っても何ですから、きょう私、待ちます。したがって、あしたも私、質問したいと思いますので、あらためてあした、これの取り扱いについて大臣としてどう考えるのか回答をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  176. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  いまの問題で、じゃ、あしたまでに調べて答弁ということがありましたが、それぞれの筋で調べてもらって報告をしてもらう、その報告に基づいてまた再度質問する、こういうふうな扱いをしてもらいたいと思う。
  177. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それでは理事会で――運輸省のほうに調べてはもらいますけれども一委員会の、どう処理するかという問題は、委員会終了後、理事会を開きまして、そこで検討いたしまして……。
  178. 伊部真

    ○伊部真君 それでは、そういうことで、あしたこの問題についての質疑は続行することにして、一応留保して次に進みます。  車両のほうの問題でありますが、どうも、この陸運局、陸運事務所の業務内容というのが私よくわかりません、総体的に。陸運局の個々の検査を担当している人は八百七十何名だかいる。おおよその人員が八百七十名程度ですね。八百七十三名ですか、というふうに聞いておるわけでありますが、陸運事務所の業務を大ざっぱに分けまして、いわゆる東京陸運局でいいますと、旅客の免許業務がありますね。それから貨物あるいはレンタカーその他の免許行政というのがありましょう。それから検査というもの。大別したらそういうことでしょう。その分類で、全国的に検査業務で何ぼ、それから免許業務で何ぼ――それから、私がかつて白トラの問題を局長に聞いたときに、白トラ問題についての調査なりあるいは検査結果というもの、何か一年間に千何百件もございました。これは警察庁と相談をして、協力をしてやったことだと思います。かなりそういう業務を行なっておるという回答を受けています。これがどこの担当で、どの程度の人員か、大体大まかにいって。この陸運行政の業務分担と人員についてひとつお聞かせをいただきたい。
  179. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  まず国の第一次的な出先といたしまして陸運局が全国に九ヵ所ございます。この陸運局の業務を分けますと、総務部、これは東京大阪の大きな局とほかと多少違いますけれども総務部というものがございます。それから鉄道部というものがございます。それから自動車部、これは東京は一部、二部というふうに二つに分かれております。それから整備部。この四部ないし五部がございます。これは全部いわゆる一般会計の職員でございまして、これが六百八十六名ほどおります。業務はそれぞれ、いま総務部は普通の総務の業務をやっておりますし、鉄道部は地方鉄軌道の監督をやっております。それからロープウエーとか、そういうものの監督をやっておるわけでございます。自動車部はいわゆるバス、タクシー、トラック、そういうものの事業の免許あるいは運賃の認可その他一般的な道路運送法の施行に関する監督、そういうものをやっておるわけでございます。それから整備部は三つのセクションがございまして、一つは登録業務をやっておる。一つは車両課といいまして、検査、つまり自動車のいわゆる車検の監督をやっておるわけでございます。それから整備課といいますのは整備事業者の監督をやっておるわけでございます。こういう構成が六百八十六名でございます。  それから、そのほかに特別会計といたしまして、総務部の中にも一部、特別会計要員がございます。それから整備部はいま申し上げましたが、大部分は、実は陸運局では車検特会の人員がございます。これが先ほど申し上げました検査、そういう関係の事務、あるいは指定整備の監督をやっている事務の人が車検特会に入っておるわけであります。それから自賠特会の人が一部ございます。そういうことで、先ほどの六百八十六名に、いま言いました車検特会と自賠特会の人員が全部合わさりまして合計八百五十四名の職員が全陸運局九ヵ所でおるわけでございます。これは陸運局でございます。  それから直接現場で仕事をやっておりますのは陸運事務所でございます。陸運事務所は北海道七カ所、あとは各府県に一カ所ずつあります。もちろん、その支所のあるところもありますが、本所としてはそういう構成になっております。これが全部で二千四百三十三名ほどおります。その内訳は、一般会計、これは総務課と輸送課。輸送課といいますのは、大体、陸運局の自動車部の出先というふうに考えていただけばいいと思います。これが総務課と輸送課と合わせて三百二十九名おります。これは一般会計。それから車検特会、これは検査要員九百五名、それから登録要員千二十名、それから指定整備の要員七十五名、それから検査登録関係の庶務の要員百四名、合計二千百四名ということで、陸運事務所は全国で二千四百三十三名、こういう数字でございます。  先ほど先生がおっしゃいました、街頭の検査といいますか、白トラとかあるいは過積みとかの取り締まりということで私がお答えしたときに、私は陸運事務所にこういう人間は五名ぐらいしかおりませんと申し上げた記憶がございます。それは、いま申し上げました輸送課が全国で二百九十名ございます。これをおおむね一つの陸運事務所に割り振りますと、五名ぐらいしかいないわけで、これがふだんはバス、トラック、タクシー等の免許とか、許認可とか、こういう事務、あるいは一般的に道路運送法の指導、監督の事務をやっているわけですが、それが白トラとかあるいは過積みとかの取り締まりをやる場合には、留守番を置いて大部分の者が、それが中心になって街頭に出ていって、警察と連絡をとって街頭の監査といいますか、街頭取り締まりをやる。そういう意味で、私がほぼ五名と申し上げたのは、各陸運事務所の輸送課の人員は、実は課長以下五名より多いところもございますけれども、大体五名程度のものである、そういう者が過積みとか白トラとかの取り締まりをするときの主体でございます。もちろん事務の都合によって大々的にやる場合には総務課の職員が応援に行って、また場合によっては検査とか登録とかの職員が応援に行くこともございます。しかし中心的な存在は輸送課の職員でございまして、これは課長以下五名程度、こういうことでございます。したがいまして、取り締まりとかなんとかをやる場合には、各課、陸運事務所、大体一番少ないところが二十名前後でございますから、ここで取り締まりをやるというときには、ひまな人は全部かき集めて、所掌事務の検査とか登録とか言っておられないので、留守番を除いては全部出ていくわけでございますが、平生の実務体制は、いま申しましたような輸送課、車両課、整備課、登録資材課というふうに分かれて平生の事務をやっておる、こういう状況でございます。
  180. 伊部真

    ○伊部真君 それじゃ、もう少し具体的に、分けて、いわゆる直接現物の検車をする人たちですね、それといわゆる指定工場から上がってまいります適合証、あるいは適合標章との引きかえ業務といいますか、そういう事務をとる者との割合は、どの程度になっておりますか。
  181. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 過去、陸運事務所によって多少違うかと思いますが、私が先ほど申し上げました検査要員九百五名。この中にはいわゆる正規の検査官と、それからそれを補助する補助要員を合わせて九百五名でございますが、これは、その中の中心的な存在は、検査コースで検査を、具体的に作業服を着てやっておる現場の職員、それから、その前後の書類の整備に当たる補助要員というような者が九百五名ございます。それから、いわゆる指定整備事業を監督している職員。それは、先ほど申し上げました七十五名の職員が、この事業は指定整備事業に指定する資格が走るかどうかという判断、あるいは資格があるとして判断された、指定されたその指定整備事業の業務の監督をする者、それが七十五名であると思います。適合証を審査をする人、チェックをする人は、この九百五名の中に入っておるわけでございます。そういう割り振りになっております。
  182. 伊部真

    ○伊部真君 そうしますと、今度の協会で、要員は五百四十名。それの対象、同じような業務を行なうのを、少なくともそれと同じ比率で考えていいわけですね。ですから、いままでの普通車の検査対象というものが、大体千五百万台くらいですか、今度五百万台から六百万台ということになって、大体三分の一はこれが担当というふうに考えていいわけですね。対象は、いままでは、全体の対象というのは、千五百万台くらいですね。今度の新しく出てくるのは五、六百万台というのですから、そういうふうに考えていいわけですね。
  183. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 局長が御説明申し上げましたとおり、国のほうで検査をやっている要員としては、九百五名が四十七年度にいるわけでございますが、今度の協会のほうで、一応、地方でもって、現場で仕事をする人を五百名ほど考えておりますが、その中で、実際に、この九百五名の検査要員に大体相当すると考えている人、検査を実際にする人でございますが、これは二百六十人ぐらいというふうに一応考えております。その残りの二百四十名というのは、結局、軽自動車の届け出を受けるわけでございます、この協会の中で届け出を受ける、それから事務的な、それに伴ったその他の仕事をする、こういう要員が必要でございます。この事務要員が二百四十人。合わせて、現場全体で五百人でございます。ですから、実際に現場で仕事をしている者は、国のほうでは九百五名、それに対して協会の場合には二百六十名ということでございます。  なお、つけ加えさしていただきますと、国のほうの九百五名の場合は、先ほど先生から御指摘がありました、たとえば指定自動車整備事業の検査を手がけていく、こういう要員も、ほかの事務の関係でもって、若干、街頭検査にたとえば手伝っていくとか、こういうような場合のことにも使われるケースがございますので、九百五名が一〇〇%ただ検査だけをやっているということじゃなくて、もう少し幅の広い仕事をやっております。協会の場合は、これはもう純粋に検査だけということになるかと思います。
  184. 伊部真

    ○伊部真君 私はあとでまたこれで質問をしたいのでありますけれども、この検車というだけではなしに、この協会の権限は、ここに明らかにありますように、検車以外の、自動車税とかあるいは重量税の突き合わせの問題だとか、あるいはそれに伴っての事務処理があると思いますね。そういうのは、やはりさっき言った届け出業務の中に入るわけですね、二百四十名という中に。
  185. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) そのとおりでございます。
  186. 伊部真

    ○伊部真君 そうすると、かなり、そういう事務が、検車以外に相当のウエートを占めるというふうに理解いたします。これはまた後ほど御質問申し上げることといたします。  それから先ほど小柳委員のほうからもすでに質問がありましたが、検車のときに、騒音、排気ガスということについても、これは当然対象にしなければいかぬということになっているだろうと思うのです。一番問題なのは、設計、技能のときの車の性能検査が一番大事なことだと思うんです。これは説明を聞きますと、公害の、別な研究所で十分やられているということですけれども、それにしても、検車時期に排気ガスの状態だとか騒音の状態というのは当然、検査されると思うのです。いまの場合には、聞きますと――これはもう現場へ行きたかったのですが、時間的に間がありませんので、よう行かなんだのですが、走っている状態というものをつくる。そういう状態で、ふだんの走っている状態というものと同じ状態で、この排気ガスだとか騒音の状態というのを調べれば一番いいわけですけれども、そうじゃなくて、整備関係もあったり、十分にそのことができないということで、いまの何か特別な装置で、それに近い状態にしているということでありますが、どうもそれでは不十分で、いわゆる動的検査というものが必要だといわれておるわけですが、その点についての将来的な展望についてお答えを願いたい。
  187. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) この排気ガスの検査につきまして、先生指摘のとおり、継続検査と申しますか、一ぺん市販に出て、使用状態に入ってからの車の検査の場合には、その検査が非常に技術的にむずかしいということは、御指摘のとおりでございます。現在の車両検査でやっておりますのは、自動車のアイドリング時と申しますか、ちょうど、から回りをしている状態だと考えていただいていいかと思いますが、その状態にして、一酸化炭素の濃度がどのくらいであるかということをはかっているわけでございます。これはまず、現在行なわれております測定技術から申しますと、一応、車両検査のように流れ作業で検査をするといいますか、テストをすると申しますか、そういうような、短時間にある性能をはかるやり方といたしましては、世界的に、この方法しかないと考えられている方法でございます。  それで、この方法と、それからいま先生がおっしゃっておりますところの、実際に走っている姿との関係、これはもちろん、われわれのほうも、研究所、あるいは世界的な研究論文もございますが、走っている状態と、現在テストをやっておりますやり方との相関関係、これは技術的にわれわれは検討しておりまして、ある程度の相関関係が得られるということもわかっておりますので、その点で、いまの検査のやり方自体は、それなりに意義のあるものと考えられております。  ただ、問題は、将来、排気ガス規制が、一酸化炭素だけでなく、いろいろガスの種類がふえてまいります。そうなりますと、この測定というものは、いまのままではどうにもなりません。これにつきましては、非常に正直に申し上げまして、車両検査というような姿でやるような技術は、世界的にまだ開発をされておりません。しかし、時間をかけて研究室で測定することは、これは可能でございます。そういう意味で、現在でも、すでに新型の、メーカーから届けのありました新しい車のテストをする際には、十分時間をかけて、いわゆる実験室的な測定をやっております。それから新しい炭化水素あるいは窒素酸化物、こういうようなものを、保安基準で将来規制をいたしますと、車両検査でどうやって測定するかということは、目下、正直に申し上げまして、国の研究所、総力をあげて検討いたしております。まだ世界的にはこれができておりませんので、われわれもできるだけ早くそういうことができるように希望しているわけでございます。
  188. 伊部真

    ○伊部真君 いずれにしても、アメリカでもマスキー法で、七五年型から排気ガスを九〇%減量させなければならぬという状態になっているのです。排気ガス問題、騒音問題というもの、公害問題というものはたいへん大きな問題になってくると思います。そういう意味では、ひとつこれは審査の面におきましても、あるいは検車の場合におきましても、十分な配慮を願いたいというふうに思います。  それから、いま認証工場あるいは指定工場は、どういう手続によって、そして、大体全国的に幾らぐらいあるのか、概要でけっこうですからお知らせいただきたいと思います。
  189. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 指定工場は、現在、申請がございますと技術上の施設基準と、それから人間の、指定検査員というものの技術的な資格、こういうものをすべて審査をいたしまして、それに適合するものを指定するようになっております。当然、こういう指定をやります際には現地調査もいたしますし、それから認証工場としてすでに実績を持っておりますので、その認証工場自体の検査設備、これが優良なものというようなことも条件につけてやっているような事情でございます。現在の数で申し上げますと、四十六年十二月で七千二百二十八が指定になっております。
  190. 伊部真

    ○伊部真君 そこで、私は大臣にお聞きをいたしますが、直接その検車を国が行なうという制度ですね、いまあります陸運事務所を通じての直接検査、あるいは指定工場で保安の適合証をやる、いわゆる民間でやらして、そうしてそれを陸運事務所でそれぞれの条件に合っているかどうかということを照合して検査証を出すということ、二つになっておりますね。この割合は、いま大体、軽自動車を入れますと二千万台の車両のうち、どの程度が理想的だといわれるのか。かつて衆議院の中でも、民間が七〇、それで国が直接やるのが三〇ぐらいというのが理想と言われておったようでありますけれども、これはどういう根拠であるのか、あるいは方針としてどうなのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  191. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生のお尋ねでございますが、昭和三十七年に指定整備事業制度が発足をいたしまして約十年経過したわけでございます。もちろん、自動車の検査ということについては最負終的に国が責任を負うべきものでございますが、自動車の製造技術が非常に進み、また自動車の普及が進み、それに伴って自動車の修理の技術、整備の技術、検査能力というものが進んできたということで、そういう民間の技術的な能力を活用をするということは、あわせて増大する自動車需要にもこたえるゆえんであるということでやってまいりまして、昨年でございましたか、本院並びに衆議院の運輸委員会等でも御質問がありましたとき現在の時点において申し上げますと、大体三〇%弱が民間の指定整備工場で取り扱っているパーセンテージでございます。したがいまして、国が七〇%強の検査をやっているわけでございますが、その当時の考えといたしましては、民間の指定整備事業を育成、強化をして、そしてやがては逆にいたしまして、国が三〇%、民間が七〇%に持っていきたいということでいろいろやってまいったわけでございます。現状におきましては、おおむね民間が四〇%、国が六〇%という数字になっております。これは私どもの当初予想したテンポよりは、いろいろな事情がありましておくれておるわけでございますが、将来といたしましては、やはり民間の能力を活用するという意味から、国は三〇%程度を受け持ち、七〇%程度は民間の能力に期待をするという方向で進めていきたいということで、やはり国が最後の保障であり、民間の技術力を当面活用して、自動車需要の伸びにこたえていくようにしたいというのが現在の方針でございます。
  192. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま私に対しての御質問でございましたので、私からもひとつお答えを申し上げます。  実際申しまして、私が率直に考えておりますのは、民間が七〇%、国が三〇%と、必ずしもそういったような事情にあるとは私は思えない次第でございまして、これはやはり自動車が非常に台数が普及してまいりまして、それに対しまして国家公務員技術者の確保ということがとても追っつかない、検査員が追っつかないということが一番の大きな原因じゃないか。民間におきましても、そういった修理をしょっちゅうやっている方が多い、修理をやっている方は、安全性というものについてはやはりしょっちゅう考えてやっておる、むしろそういう点におきましてはほんとうに安全性を考えておる、その安全性の検査について、むしろ技術におきましても国家公務員よりも優秀な者が相当いるんじゃないかということが一つございます。それともう一つは、いま申しましたとおり、国家公務員でその技術者を確保することができにくくなったということと、もう一つは、一つのあれといたしましては、しかし国家公務員は万一不正な検査はしない、また、したらすぐに、公務員でございますから処罰の対象にされる、監督は厳重であるという利点がございますが、しかし、これからのそういったようないろいろの交通機関の発達、その他いろいろの機械器具の発達に伴いまして、やはり公衆の便利を守るためには、民間の技術者にもそれ相応の安全性についての責任分担と申しますか、これは法律上の責任分担ではございませんが、やはり社会の一つのシステムとしての責任分担をやってもらうということが当然将来においては要求されてくる。また、それをやはりこちらにおきまして習熟せしめる、民間の方にもそれを手伝ってもらうということが必要になってくるんではないか。一例をあげますと、先ほど局長から御答弁をいたさせましたうちに、高圧ガスにつきまして民間的な協会でもってやらせている、それから一般のガス事業につきましても検査員やなんか民間の者にある程度の権限を委譲している、こういうようなことが多々ある次第でございまして、国家公務員だけの力をもちましてなかなかにいまの発展するところのいろいろの機械器具の使用、それに対する安全性の確保というものは非常にむずかしくなってきている、その点でやはり私は民間の協力を求めることが正当な行き方ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  193. 伊部真

    ○伊部真君 私がちょっとわかりにくかったのは、七〇とか三〇というのは何で出たんだろうか、私はそんなことよりも、民間委託、いわゆる指定工場の整備をやった結果がよければそっちに重点がいくだろうし、そうでなければやっぱりこっちのほうの検査機能というものを強化していくということが私は筋ではなかろうか。そういう意味で、どうも七〇とか三〇とか、逆転させていかなければならぬというような方針があるような感じを受けたんですが、これはどうもわかりませんので、むしろそういうことでなしに、実際に出発をしてみて、そして結果を追跡検査して調査でもしてみて、どす方法がいいか、やっぱりいいほうをとっていこうということがほんとうじゃなかろうか、そういう意味でどうお考えなのか、その点をお聞きをしておるわけです。
  194. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま私も率直にお話しいたしましたとおり、七〇、三〇の基準はどういう標準かわからぬと私は率直に申し上げた次第でございますが、私もいま御指摘のようなことであろうと、こう思っておる次第でございます。それで、ただ、先ほどももうしあげましたとおり、民間のほうの方が場合によると責任のがれのことを、おっつけ仕事と申しますか、検査についてもやりがちだというような欠点はございますが、それはやはり自然に、何と申しますか、連帯責任と申しますか、社会の連帯性というようなことを漸次自覚をしていただきまして、それでやはりその点は習熟をしていってもらう。社会連帯責任におきまして、やはり一般の公共の安全のためにやってもらうというような風潮をやはり漸次つけていく。ただに、そういうことは国家公務員でありますから規則に縛られて監督を強化をされてやっているというからこれがいいというだけでなく、やはりそういう方面に持っていくことがこれからの社会の円満な発展のために私は必要じゃないかと、こういうふうに考えている次第でございます。
  195. 伊部真

    ○伊部真君 私がその意味で指定工場というものがどのような状態であるということは非常に関心を持つべきことだと思うのです。そこで、指定工場のことでありますが、認証工場よりはこれは性能的にもあるいは設備の面でもいいのはあたりまえで、いいから指定されたんだと思うのでありますけれども、認証工場のうちで優良工場としての実績を持ったということでありますから。しかし、一般的にいわれておることは、指定工場必ずしもユーザーにとってはいい点ばかりではない。たとえば事実問題として、いままでトラックばかりやっていた工場に軽を持っていったり乗用車を持っていったりするとやはり評判が悪いとか、これはその工場、工場にやはりカラーがありますから、そういう問題もありましょう。しかし、一般的にいって水準が高いということは言えるのでありますが、それと同時に非常に値が高い。大体われわれのほうも、二万円とか三万円とかいわれておるのですが、どうも状態について掌握しにくいわけですけれども一般的にいって同じ車で大体金額はどの程度なのか、普通車でどの程度で、その格差というものを調査されたことありますが。
  196. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 特に指定整備工場と普通の認証工場の整備の値段というものを調べたことはございません。ただ、一般的に整備料金としては常にいろいろ問題がございますので調べておりますが、参考までに申し上げますと、車検を受けるとこの整備が認証工場でも行なわれておりますし、指定整備工場でも行なわれておるわけでございますが、これは普通常識的に三万円ぐらいといわれております。
  197. 伊部真

    ○伊部真君 ここで私は指定工場の問題について非常に気になりますので、先般行なわれました茨城の行政監察局の監察概要というのがございます、この件について行政管理庁のほうから出席を求めておりますが、行政管理庁のほうで、この茨城の監察概要の報告後に、福岡あるいは埼玉、それから東京大阪その他かなりの府県でありますけれども、監察をされたというふうに聞いておりますが、その状況と結果についてひとつ聞かせていただきたいと思います。
  198. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) 行政管理庁におきまして昨年の十月から十一月にかけまして、東京、埼玉、宮城、山形、大阪、福岡、鹿児島の七都府県につきまして、指定工場と認証工場につきまして調査いたしました。その結果、指定工場につきましては不適切な事例はごく一部しか見られなかった、一方、認証工場につきましては零細企業が非常に多うございます関係もございまして、不適切な事例、運用が見られたという結果が出ております。現在こういった事例を集積しまして取りまとめておりますが、基本的には、民間の点検整備能力の活用をはかる上から、自動車整備事業者の指導、監督を十分にして指定制度の育成をはかり、今後できるだけ民間能力を活用するという形で取りまとめたいと思っております。
  199. 伊部真

    ○伊部真君 それでは、具体的に文書になっておるのは茨城の行政監察局の監察概要ですね、そのほかは文書にまだなっておりませんね。
  200. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) 現在まだなっておりません。
  201. 伊部真

    ○伊部真君 それでは便宜上茨城の行政監察概要に基づいてひとつ聞きたいと思いますが、この中の勧告の一に、陸運事務所における車両検査の実施状況について出ております。これが非常に不適切であるといわれておりますね。勧告の一としては「整備不良車を合格させている。」という事実、この事実はあるわけですか。
  202. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) その事実につきましては十分な詰めが行なわれてなかったわけでございますけれども、今回新たに監察しましたときには、そういった事例はございませんでした。
  203. 伊部真

    ○伊部真君 これは局長どうなんでしょうか。整備不良というのは、これは整備というのはなかなかやっぱり健康診断みたいなもので、この点まで十分であったか不十分であったかということは、不十分といえばいつの場合でも不十分ということは言えるわけですね。これは行政管理庁の監察官のほうからどういう事実をさしていわれたのか、その点について見解を伺いたい。
  204. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 茨城の行政監察局から御指摘がありました直後、私どもも、これは非常に何といいますかシビアな指摘でございますので、まことに意外な感じがしたわけでございます。いろいろその後、東京陸運局の整備部長を現地に行かせまして、実際に調査をしたわけでございますが、たとえば、いま先生のおっしゃいました不良車を合格さしている例が見られる、これは一つの例でございますが、実際は必ずしもそうではなくて、たとえばスピードメーターの検査の方法が適切でなかったというような事例はあったということを確認をいたしております。したがいまして、ちょっとこの表現について私ども必ずしも納得しかねる問題がございますが、技術的な問題について東京陸運局の整備部長が調査し、また私どものここにおります整備部長がいろいろ調査した結果、必ずしもこういう不良車を合格さしているということではなくて、検査の方法等に至らぬ点があった、あるいはふぐあいの点があるということは、これは私ども承知いたしております。
  205. 伊部真

    ○伊部真君 次に、私は、実際に陸運事務所の検査官が直接検査をされる場合、これはそれなりに納得ずくだと思うのでありますけれども、私は、やっぱりときには指定工場で行なって、こっちのほうで書類だけの審査を突き合わせて――照合というのがありますが、そのルールがあります。その場合も、ときどきはやはり内容的に検査するということは必要なことではなかろうか。たまたま指定工場に対して立ち入りされるという場合がありますけれども、それとは別にして、抜き取り検査をときどきするほうが私はやっぱり指定工場の内容を高める上に必要なのではなかろうかというような気がいたしますが、その点はどうでしょうか。
  206. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 指定整備工場でやります検査の質を確保することは非常に大事なことでございます。われわれもいろいろ苦心しているところでございます。ただ、たとえば十台に一台必ず車検場に抜き取り的に持っていくとか、こういうことをもしやるといたしますと、普通の指定整備工場へ車を整備委託したお客のほうの立場になりますと、検査場へ行かないでも指定整備工場で検査が済むということで、普通の場合、たとえばやはり整備のトータル日数が短くなるとか、そういうメリットがあるわけでございます。早く全体の検査が済む、そういうようなことがございますのを、突然、ユーザーは全然知らないのに抜き取りに持っていかなければならないからということになりますと、これはちょっと役所の強権をもってやるにはなかなか問題が出てくると思います。そういう意味で、抜き取りというやり方の問題でございますが、われわれといたしましては、やはり随時監査その他のチャンスを利用してできるだけそういうことをやっていきたい。  それからもう一つは、指定整備工場と申しましましも、そこの工場に入った車が実は全部車検に来ないわけではありません。ユーザーのほうで、これは指定整備、車検を受けてくれ、こういう注文がある場合もございます。そういうものが来ております。そうしますと、指定整備工場の成績というものも若干出てくるわけでございます。こういうようなものは現実に見ておりまして、やはりほかの同列の工場とは違って、たとえば検査不合格になることがあればこれは非常に強い行政指導をやっております。こういうようなことであります。チャンスをとらえて、そのできばえを審査をするということはやってまいりたいと思います。
  207. 伊部真

    ○伊部真君 次に、勧告の二番目でありますが、「定期点検記録簿の不実記載について」ということもありますね。これは、法的にいいますと、ユーザーがいわば自主的に記録をつけておるということであって、私は必ずしも、これがチェックされてはいないから陸運事務所の手落ちだというふうなことにはどうも受け取れないわけでありまして、この勧告は、私はその意味では必ずしも的を射たものではないと思います。しかし、これに対して回答されておるのは、「義務づけているものではないが指導としては今後チェックを充実したい。」と、こういうふうに出ております。やるつもりなのか、やらぬつもりなのか、明らかにしてもらいたい。
  208. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) せっかくとっているデータでございますので、全然やらないつもりというものではございません。しかし、それじゃ一枚、一枚を、すべてを完全に見ていくかといいますと、これも不可能でございます。そういう意味で、やはり現実の車というものがその場合来ておりますので、その車を見ながら、これはちょっともう一ぺん保安の整備状態を反省してみる必要があるのじゃないかと検査官が思ったものについては定期点検記録簿を十分に見ていく、やらしていく、そういう意味での、従来よりチェックを強化していきたいという意味でございます。
  209. 伊部真

    ○伊部真君 次に、あまりこまかいことは省きまして、指定工場が下請さしているというふうなことの事実はないのかどうか、認証工場で。実は、この資料の何というか、「勧告」の中の⑤のところに出ているわけでありますけれども、「指定整備事業者が、他の事業場で整備した車両について車検を行なっている。」、私は、もっと簡単に言えば、下請に出して、それをいかにも指定工場でやったような形にしてやっているという事実はないのか。これは往々にして考えられることです。そういうものに対してどう検査をするのか、取り締まりをするのか、その点についてお答えをいただきたい。
  210. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) そういう場合も、私たちといたしましては、やはり指定整備工場の立ち入り検査、監査、これをフルに活用いたしまして、そういうものの発見につとめていきたいと考えております。ただ、下請と申しましても実はいろんなものがございます。保安基準と関係のないと申しますか、たとえばボデーがへこんでいるのを直すのを、板金関係自分のところではやっていないから下請に出すというようなことでありますと、これは車の整備ではございますが車両検査とは関係のないものでございまして、そういう場合には、下請に出してもこれは整備としては認められます。
  211. 伊部真

    ○伊部真君 行政管理庁はけっこうです。  次に、この検査協会が現在の時点で五百四十名で出発をさせたいということでありますけれども、新規車両というのは年々ふえていくわけですね。推定でも、いま、四十七年、八年で五十四万台ぐらい新規車両がふえていくのじゃないかと現状ではいわれておる。軽自動車が五十四万、五十五万ぐらいで、これは三年たてば三倍になるのじゃないか。それは生産台数全体から、いろんな経済の問題もありましょうが、いままでの実績からいいますと、大体それくらいになっていく。年々の成長率からいきますと、そういうことをいわれておる。少なくともこれで五十二年ぐらいには百五十二万台ぐらいになるのじゃないかというふうに推定をされておるわけですが、そうすると、結局これは、いまの五百四十人が、そのままでおきますと、結局、指定工場のほうに行かざるを得ないというふうなことになりますね。そういうようこ理解していいわけですが。あるいぼ五百四十人が、これから人員増加によってある程度、検査協会の人員をふやしていくということに理解をしていいのかですね。
  212. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 新しく生産される車が全部車の純増でふえていくわけではございませんので、生産台数は先生指摘のとおりでございますけれども、われわれの一応の現在までの傾向から推算いたしましたところでは、たとえば五十一年に軽自動車の検査対象になります三、四輪車は六百五十四万台くらいになるだろうという推定をしております。現在は六百万台くらいでございますので、そうけた違いの数字にはならないのではないか。もちろん業務量がある程度ふえるわけでございますので、そのために人員増が必要になれば、それは協会のほうで増員をするであろうと考えております。
  213. 伊部真

    ○伊部真君 検査協会は何の任務を持って出発をするのかということなんでありますけれども、これは七十六条の二十七に明らかにされてはおります。しかし、この内容については私どうもしっくりこない点がありますのでお聞きをしておきたいと思います。一つは検査業務。軽自動車の検査あるいは民間指定工場等の保安基準の適合証との照合、それによる検査証の発行、この業務がありますね。それから二番目には、軽自動車にかかわる自動車重量税の納付の確認及び税額の認定の事務がありますね。三番目には、軽自動車自動車税の納付の確認。四番目には、自動車損害賠償保険を締結しているかどうかの確認。こういうことになるのですが、私は、どうもこの業務の大きな点としては、いわゆる二番、三番、四番の仕事がかなりウエートを占めるのではないか。人員的には先ほど言ったように半々ぐらいでありましょうけれども、税金だとか、あるいは保険が締結されているかどうかというほうの監督の役目をする、平たく言えばそういうことだと思います。そういう業務を、いわゆる法人である検査協会というものにゆだねるということの是非論について私はどうもしっくりこないわけであります。その点は、何か本田の欠陥車から端を発して軽自動車に対する検査制度というものがいわれてきた。ことに、非常に積極的になった一つの理由というのは、私はこの辺にあるのではなかろうかというふうな感じがするわけですけれども、税金の徴収の問題、たとえば軽自動車の場合は、軽四の場合は初めてのときには税金を取る、その場合には明確ですけれども、継続の場合には、どうも自動車税が、そういう点チェックする場がないので、検車制度が非常に都合がいいということで検査協会を設立するということに積極的になったというような感じがしてなりません。そこら辺のことについてひとつお答えをいただきたい。
  214. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御質問にございまする七十六条の二十七、ここに業務がいろいろと書いてございます。この中で、第一の「軽自動車の検査事務」、これがもちろん中心でございます。ただ、ここにございますように、「重量税の納付の確認及び税額の認定の事務」、そういう事務をいわば付帯的な事務としてやるわけでございますが、この協会の設立の目的は、もちろんその徴税業務に協力することではなくして、継続、つまり軽自動車について継続検査、二年ごとにやる検査そのものの実施ということが最も大きな目的であることは当然でございます。ただ、従来も国の陸運事務所で検査をやっております場合に、その納税の事務について、これは国の方針として自動車の実態を最も把握しておるところ、そして検査という定期的にチェックの業務をやっておるところでこれはチェックをするということでございまして、いわゆる税額をきちんと納めておるか、あるいは自賠責の保険をきちんと納めておるかということをチェックするというチェックの機会に、最も合理的な利用方法として、この陸運事務所で現在やっておりますのと同じようなことを協会の場を借りてやりたい。こういうことで、これは国の一つの事務の相互の、何といいますか、能率化、相互協力の一つの態様としてやっておるわけでございまして、これはあくまでも付帯的、付随的な業務でございます。当然、検査協会の設立の目的は、軽自動車の継続検査を二年ごとに実施をするということが主目的でありまして、この点は先生の御指摘のようなことが主目的ではございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  215. 伊部真

    ○伊部真君 どうもそこら辺が私にはしっくりこないのでありますが、それでは二号に「重量税の納付の確認及び税額の認定の事務」とありますね、この税額の認定の事務というのは具体的にはどういうことなんですか。
  216. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これは先生御案内のように、自動車重量税が昨年の十二月から実施されました。そのときに、その自動車重量税の額というものは、あれにございますように、自動車の大きさ、トン数等によって額が違っております。また、その徴収の期間等も違っております。そういうもので、まず自動車重量税を、これは印紙または現金をもって納めたかどうかということをチェックするわけでございます。それが納付の確認でございます。それから税額の認定というのは、その額が当該種類の自動車の額であるかどうかということを調べるわけでございまして、軽自動車についていいますと、これは七千五百円、一回限りということになっておりますので、七千五百円を、軽自動車の重量税を納めたかどうかということをここで届け出をして、検査を受ける前にチェックをするということでございます。額と、それから納めたかという、納付という行為が現実にあったのかどうかということを具体的にチェックをすると、こういうことでございます。
  217. 伊部真

    ○伊部真君 これは二輪車の場合は四千円で、普通の、それ以外の軽自動車の七千五百円という、その二つの種類だけですね。私はどうもこの検査協会というものが七発をしたのが、そこら辺に理由があるような気がしてならぬのは、最近それでは軽自動車事故件数というのがふえておるのかといったら逆に減っていますね。そっちのほうから出された数字を見ますと必ずしもふえている状態ではありませんね、最近の事故件数というものは。事故件数はそんなにふえていないけれども、非常にここの法案は別にして、これは非常に早く熱心にやられるわけでありますが、どうもそういう点では自動車税のほうとかあるいは重量税のほうに別のほうから督促がきて、そのチェックをして、それを増収を見込んで予定をしてこういうものを出しているのじゃないかというような感じがしてならぬわけで、事故対策とか安全とかいう問題よりも、そっちのほうが重点じゃないかというような気がいたします。最近の事故状態について、それじゃひとつ説明を願います。
  218. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 事故の件数が減っておるのではないかと先生おっしゃいましたが、そうではございませんで、たとえば四十三年全事件の件数を見ますと、軽三、四輪、すなわち今度の検査の対象になっておる件数は、七万七千五百十件でございます。四十四年度は九万一千六百八十五件、四十五年度は九万五千八百二十九件というふうに件数そのものはふえております。ただ、そういうふうにふえておりますけれども、比率で見ますと、これは全事故件数のうち、いま私が申し上げました件数のうち、この車両事故件数、これは四十三年が四百八十八、四十四年が四百三十五、四十五年が三百九十というふうになっておりますが、事故の件数そのものはふえておるわけでございますから、その点はひとつそういうことで考えておりまして、私ども決して徴税のために軽の検査をするというようなことではございません。
  219. 伊部真

    ○伊部真君 これは車がふえているわけですから、件数は、数はふえるのはあたりまえですけれども、相対的にいって事故の内容が減ってきているという感じからすると、どうも税金対策のような気がしてなりません。まあ、いずれにいたしましても、まだ私は、この検査協会をつくらなければならぬという理由についてはどうも納得がいかぬわけです。というのは、まだまだこれは質問をしていかなければその点が十分ではないと思いますが、いずれにしても、いまの陸運事務所、陸運局の機構があり、設備があるのに、その設備と監督機能というものとは別にこういうものをつくるということは、私は必ずしも能率的ではないと思うのでありますが、何かそういう合理性というものに欠けておると思うのに、これを出発さしておるというところに私は一つの疑問があります。  しかし、時間がもうありませんので、きょうはこの程度質問を終わって、明日続けたいと思います。
  220. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会      ―――――・―――――