○
政府委員(野村一彦君)
道路運送車両法の一部
改正法律案の提案理由につきましては、ただいま大臣から大綱について御説明をいたしましたが、それを補足いたしまして御説明をいたします。
先ほど大臣が申し上げましたように、最近における軽
自動車の普及というものは非常に著しいわけでございますが、特に
自動車全般の普及というものも御案内のように伸びております。ちなみに四十六年十月現在の数字を申し上げますと、
自動車、軽
自動車も含む全部の台数でございますが、二千三十五万台という数になっております。このうち、従来検査をいたしております検査対象
自動車の数は千四百三万台ということになっております。で、それ以外の、つまり軽
自動車といわれるものの数が三輪車及び四輪車を合わせまして五百七十六万台、それから二輪車が五十六万台、こういう内訳になっております。で、ここで軽
自動車と申し上げますのは、
先生方御案内のことと思いますが、三輪車及び四輪車につきましては機関の排気量が三百六十CC以下でございます。それから二輪車につきましては二百五十CC以下百二十五CC以上と、こういうことで、軽
自動車か軽
自動車でないかという区別をいたしているわけでございます。その台数は先ほど申し上げたとおりでございます。で、今度検査の対象といたしますこれらの三輪、四輪以上の軽
自動車につきましては、私
ども従来国会の審議におきまして、衆参両院におきまして各党の
先生方から
交通事故の防止という問題に
関連して、
車両の構造、装置というものの安全性を確保するというために軽
自動車の検査をやるべきではないかという御
意見が、あるいは御
質問の形を通じて前々からいろいろと御表明になっておられたわけでございます。で、私
どもその御示唆と申しますか、そういう御
質問を受けまして軽
自動車の検査ということについていろいろ研究をしてまいったわけでございますが、特に先般の前々国会でございますか、そのあたりから具体的にいつごろをめどとしてやるかというような御
質問がございまして、そのときに当時の運輸大臣は大体昭和四十八年をめどとして検査を開始いたしたいという趣旨の
答弁をいたされました。私
ども事務当局もそれを受けまして準備をいろいろと進めてきまして、そうして四十七年度予算を編成する過程におきましていろいろ検討いたしました結果、四十八年の十月をめどとして検査をするということが可能であろう。したがいまして、今度の通常国会におきましてこの
法案の御審議をいただき、そうしてその
法案をお認めいただきますれば、約一年以上の余裕をもってこの検査を実施する準備が大体できるというめどをもちまして、この国会に御審議をお願いするようにした次第でございます。
そうして、この検査でございますが、軽
自動車につきまして私
どもはこの検査の有効期間というものを一律に二年間の有効期間ということを
考えておるわけでございます。
そうして、そういう検査をやる場合にどういう体制で検査をやるかということにつきましていろいろと検討をいたしたわけでございますが、結論的に申し上げますと、この軽
自動車検査協会といういわゆる認可法人という法人を設立をいたしまして――で、認可法人の設立は、この
法律をお認めいただきますれば、直ちに設立そのものの行為をやるということで動き出すということを
考えております。認可法人は
先生方御案内のとおりいわゆる特殊法人ではございません、また
一般の公益法人でもございません。つまり、これは国がその設立を命令するものではなくて、民間の有志の方々が一定の要件の
もとに設立を発起されまして、そうしてそれを主務大臣が認可をするという形でございまして、機関の
性格といたしましては、私
どもはいわゆる特殊法人と民間の公益法人との中間的なものであろうかと思います。で、私
どもがただいまから御審議をお願いいたします認可法人の軽
自動車検査協会というものにつきましては、事柄の性質上、いわば国が検査を行なう代行機関として国にかわって検査をするというものでございまして、きわめて公的色彩の強い法人でございます。そういう
意味からこれは全額
政府出資の法人にするということで、その資本金は四十七年度の予算におきましては一億五千万というものを全額、
政府のいわゆる車検特会から出資をするということが見込まれているわけでございます。そして業務の運営に必要ないわゆる
一般の経費につきましては、発足当時におきましては、銀行の借り入れ金をもってまかなうということでございます。そして、これが平年度におきまして軽
自動車の検査業務が
軌道に乗りまして、その検査の手数料の収入がこの協会の収入になる。そしてその手数料の収入でもって人件費、物件費、その他、ただいま申し上げました民間からの借り入れ金の償還に充てるということで、それでもって収支が相償うという見通しを立てております。
この協会といたしましては、これは全国一本の協会を
考えておりまして、理事長一人、それから理事四人以内、これは予算的には四人としております。それから監事一人というものを置きまして――そしてこれは普通の
公団、公社のような特殊法人と同じように、理事長及び監事につきましては運輸大臣がこれを任命する。それから理事は運輸大臣の認可を受けて、理事長が任命をするという規定になっております。それから理事長及び理事はもちろんのこと、こういう役員以外の
一般職員につきましては、これは
法律の規定に詳しくございますが、いわゆる
関係事業の会社、つまり
自動車のメーカーとか、ディーラーとか、あるいは
整備事業者、そういう会社の役職員に――あるいはそういう団体の役職員というものは、この協会の役職員にはつくことができないという規定になっておるわけでございます。
そのほか運輸大臣は、この協会を国の代行機関としてやりますために、検査事務の規程を定めること、これはこの協会が検査事務をやりますためのよるべき基準でございます。
それから、どういう検査設備を設けるべきかという検査設備の基準、それから軽
自動車の検査を実際に現場で行ないますところのいわゆる検査員、そういうものに関する規定、それから業務方法書及び財務及び会計については大臣が厳重な監督をする。そして
法律が定める一定の要件に抵触をいたします場合に、この役員及び検査員等については、解任命令を出せるというようなことで、非常に厳重な監督の規定を設けておるわけでございます。
それから先ほど申し上げましたように、平年度におきましては協会の運営というものは検査手数料によってまかなわれるものでございます。
それからこの協会は、先ほど申し上げましたように、この
法律をお認めいただきますれば、なるべく早い時期にこれを設立する。もちろん設立発起人会というものがあります。その設立発起人会の議を経て設立されるということになるわけでございます。
それから先ほど、大臣の提案理由の説明においても言及されましたが、
一般の
自動車につきまして現在、型式指定及び指定
整備事業制度というものをやっておりまして、これは
運輸省のほうがこの業務をみずからやっているのでございますが、軽
自動車につきましては従来型式認定ということでやっておりましたのを、
一般の
自動車と同じように型式指定ということを、これは大臣がやられるわけでございます。具体的には、私
どものほうの
交通安全
公害研究所の
自動車審査部において技術的な審査をやるということでございます。
それから民間車検場、指定
整備工場の指定ということも、これは役所のほうが――国がみずから行なうということになっております。
以上がこの
法律案の概要でございまして、ただいまから御審議をお願いいたすわけでございますが、そういう趣旨のものでございまして、この軽
自動車の検査の経緯、これは当委員会はじめ各方面の御要望といいますか、これを受けて私
ども御審議を願う、こういうものでございます。よろしくお願いしたいと思います。