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1972-05-18 第68回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十八日(木曜日)    午前十一時四分開会     —————————————    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     田代富士男君  五月十八日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     若林 正武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 佐田 一郎君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 岩本 政一君                 江藤  智君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  中村 大造君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        首都圏整備委員        会事務局計画第        一部長      北川 博正君        建設省住宅局日        本住宅公団首席        監理官      福地  稔君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず初めに大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この改正法案提案理由の中に、大都市交通の問題の解決のためには私鉄の努力のみでは困難ということが書いてありますけれども、しかしこれはいまに始まったことではないのでありますけれども、現在の状況を見ますと、やっぱり大都市圏交通資本投資が非常におくれておるということは事実であります。私は、運輸省としていままでこういう大都市圏私鉄に対してどのような指導を行なってこられたのか、この点についてまずお伺いしたいのであります。
  4. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質疑でございますが、大都市圏輸送状況につきまして、私鉄輸送力増強につきましては、数次にわたる輸送力増強計画をつくらせまして、これに従いまして従来から計画的に増強を行なってまいりました次第でございます。また、租税の点におきましては、減価償却その他の短期償却を行ない、それに要するところの財源につきまして、租税特別措置によりまして軽減をはかるというような措置を行なった次第でございます。いま御指摘がございましたように、大都市通勤通学輸送につきましては、非常にまだ需要を充足するに足りない点もあるのでございますが、従来からも地下鉄——地下高速鉄道につきましては、建設費の約半分を国または地方公共団体におきまして負担をするというような措置をとった次第でございます。また、私鉄に対しましては、開銀融資その他の融資あっせんをいたした次第でございますが、それだけでも足りぬ、また最近の大都市交通空間の獲得、また工事費の増加というような点から考えまして足りないということで、今回それらに対する私鉄輸送力増強のための国家助成も必要であるということで、今回御審議を願う公団法改正による私鉄増強方式をとった次第でございます。
  5. 田渕哲也

    田渕哲也君 運輸省がいま大臣の御答弁にあったような措置をとってこられたのにかかわらず、現状としてはかなりおくれておると思います。したがって、今回この法律案ができたのは、私は一歩前進だと評価していいと思うのでありますけれども、しかし、この程度のものではたして問題解決になるだろうか、こういう疑問を禁じ得ないわけです。当初運輸省では、大都市輸送施設整備事業団、これを設立するというような構想があったということは聞いておりますけれども、この事業団設立にならずに、鉄道建設公団でやるということになったわけですけれども、その理由をお伺いしたいと思います。
  6. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま先生指摘のとおり、当初私のほうといたしましては、今日の大都市輸送需要を充足するためには思い切った措置をとらなくてはならぬということはかねがね考えた次第でございます。したがいまして、新しい法人をつくりまして、それによりまして専門的に行なわせようという意図があった次第でございますが、御承知のとおり、行政監理委員会等の勧告もございまして、特殊法人は極力押える、新しいものは一つも認めないというような決定に基づきまして、特殊法人設立は見送らざるを得ないということでございますので、それにかわる——やはり法人であるところの鉄建公団は同種の法人でございますから、これによりましてその事業を行なわせようということによりまして、事業遂行は何ら支障を起こさないという認定のもとに、今回の措置をとり、公団法改正に踏み切った次第でございます。
  7. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、この事業団をつくるという構想の場合、事業団が行なうべき業務内容、これがそのまま今度は鉄建公団でやると理解してよろしいわけですか。構想は全然変わっていない、事業団でやるべきだと予想しておったものは全部鉄建公団に移るということですか。
  8. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 事業団をつくろうという構想を立てました基本的な点は、ただいま大臣から申し上げましたとおりでございます。従来、私鉄事業者輸送力増強を大いにやりまして、そうして大都市通勤輸送というものにマッチをしていくということにつとめておったわけでございます。ただ、従来やっておりました私鉄事業者輸送力増強工事というものの内容は、たとえば車両増強する、車両増強いたしまして列車の編成両を長くする、あるいは列車回数増強する、あるいはそのために必要なホームの長さの——有効長と申しますか、有効長の延伸をするとか、あるいはそのための必要な変電所の設備、容量を増加するとか、信号機の数をふやすとか、そういう性格工事を実はやってきたわけでございます。これによりまして私鉄輸送力はかなり増強されるわけでございますが、増大する通勤通学輸送需要というものは非常に大きいものでございますために、したがって、こういったような性格輸送力増強工事ではなかなかこれが対処し切れないということになりまして、今後は、基礎的な私鉄増強、たとえば従来単線でございましたものを複々線化にするとか、新たにできた大規模ニュータウンというものに対する新線を敷くとか、あるいは都心の地下鉄というものに直通するような線路建設するというような、非常に基幹的な線路増強というものが必要となってまいったわけでございますが、そういう基幹的な輸送力増強工事につきましては、従来の私鉄のやっておった輸送力増強工事の力ではなかなか十分ではないということでございまして、そういう意味で、今回の事業団をつくりまして、そしてそういう基幹的な輸送施設というものをつくっていこうじゃないかというふうに考えたわけでございます。そのためには、責任を明らかにし、そしてこれを推進するために新たな事業団構想というものをつくってやろうということになったわけでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、行政簡素化見地等からいたしまして、新規の公団をつくるということが適当ではないということで、従来からある鉄道建設公団の中に私鉄関係の部門というものを置きまして、これによって建設を促進しようということでございます。したがいまして、従来の事業団構想と今回の鉄道建設公団で行なう構想というものは基本的には違いがございません。本質的には相違はございません。ただ、鉄道建設公団でございますから、従来の組織との調整その他の問題もございますが、本質的な相違はその間にはないわけでございます。
  9. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一つ考え方としては、今回の鉄道建設公団法改正によってやる場合は、公団新線なりあるいは改良工事をやって、それを私鉄譲渡するということでありますけれども、実質的には、金融面メリット、あるいは金利に対する補給、あるいは償還期限のワクが非常に長期である、そういう面だろうと思いますけれども、これを鉄道建設公団がやらずに私鉄に対する特別の金融措置を講ずるということでも結果としては同じではないかという気もするわけですけれども、こういう貸し付け方式と、今回のような鉄道建設公団肩がわりをすると、この二つを比較した場合、利点、欠点というものを説明願いたいと思います。
  10. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 従来、私鉄工事につきましては、原則として自己資金によって、銀行その他から借り入れ等待ってやったわけでございますが、これにつきましては、従来開発銀行からの融資という公的な助成方法がございまして、一番条件のいいものにつきましては五〇%まで開発銀行からの融資によって工事を行なってきたわけでございます。  そこで、今回この公団によりまして建設方式をいたすということを考えましたゆえんはいろいろ実はあるわけでございますが、一つは、ただいま先生の御指摘がございましたように、鉄道建設は非常に巨額工事費を必要とずる。そこで、その巨額工事費を必要とする場合に、私鉄自体資金調達能力というものがなかなかないという点がございます。したがいまして、その私鉄自体資金調達能力というものと直接の関係なくこういう公団をもって事業遂行するということになりますと、その問題が一つ解決ができるということがございます。  それからいま一つは、先ほど申しましたような、大規模ニュータウンへの新線建設だとか、複々線線増だとか、あるいは地下鉄直通乗り入れ工事だとか、非常に工事費がかかりまして、しかもそれに伴う収益というものはなかなかあがってこないというのが実情でございます。その意味で、この工事というものは収支採算面からいきまして非常にペイをしないということは、これは明らかでございまして、その点につきましては、その収支採算面ペイをしないものにつきましては、やはりこれに対する利子負担というものの軽減をする、資本費軽減をするということが必要であろうということで、この公団構想によりまして、国からの公的な資金助成というものと並びに利子補給というようなことによりまして収支資金コストを安くして収支の改善に資するということを第二に考えたわけでございます。  それからその次に、やはりこれが建設をされましてから、当然その建設した資本に対する返還というような問題があるわけでございまして、それに伴う資金繰りと申しますか、そういう面の問題が非常に苦しいわけでございます。そこで、今回のこの公団構想によりましてその問題をひとつ解決をするために、建設をした資産というものを譲渡後二十五年の元利均等償還というような非常に長期支払い方法ということにいたしまして、そうしてその資金繰りというようなことで会社の経営が圧迫をされるということのないようにしようといういま構想を実は考えておるわけでございまして、ただいま申し上げました主として三つの点が今回の公団によるところの大きなメリットじゃないかと思うところでございます。  そこで、従来の通常の金融方式ということになりますと、いまの問題がやはり根本的には解決ができないわけでございまして、やはり金融のためには、一つには担保能力というような問題もございますし、それから金融のためには、やはりそれの金利コストの低下という問題が生じまして、直接的な助成が必要ということも生ずるわけでございますし、さらに、先ほど最後に申し上げました資金繰りの問題につきましても、借金をしたものは早急に返していかなければならないというような制限がございます。さらに、金融ということになりますと、積極的な建設というようなものが従来のやり方にやはりゆだねられるというかっこうになるわけでございます。今回のような公団が積極的にこれを建設いたしまして通勤輸送混雑緩和をしようという措置からいきますと、やはり独立の法人がこれを建設したほうがいいという判断に立ちまして、今回の公団方式建設をするという措置にしたわけでございます。
  11. 田渕哲也

    田渕哲也君 いまの御説明で、大体公団がやる場合にメリットというのがわかったわけですけれども、反面デメリット欠点もあると思うのですがね。そういう点はどうですか。
  12. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) デメリットと申していいかどうか問題がございますが、一番の問題は、これは地方鉄道業者が当然地方鉄道法によりまして建設をし、運営を現在やっておるわけでございます。そこで、その地方鉄道法によりまして従来の線も運営をし、それとの関連において新しい線も運営をしていく、建設をしていくということに相なるわけでございまして、その間の、そういう立場にありますものを別個の公団建設をするということによるところの、何といいますか、いろいろな不均衡だとか、あるいは連絡の不十分だとかというようなことがあり得るわけでございます。それで、その点につきましては、私どもやはりこの公団方式をとる場合の事務上のやり方としては一番の問題でございまして、したがいまして、従来地方鉄道法に基づくところの工事施行認可というようなことによりまして、そうしてその工事施行認可に従って従来は地方鉄道業者がこれを建設をして運営をしておったわけです。それとの調整をはからなければならないということでございますので、この点の矛盾解決ということのために、公団の行ないますところの建設工事実施計画は、地方鉄道法に基づくところの私鉄工事施行認可というものに適合したものとしなければならないという形で、これを結びつけをしておるわけでございます。その他、公団をつくってやるということになりますと、当然別の人がやることでございますから、その点に対する費用が高くなってはいけない、管理費その他の費用が高くなってはいけないという問題が起こるわけでございまして、この点は当然もう、私企業たる私鉄のようなきびしい態度でやはり公団事業というものを運用していく、管理費等も安くしていかなければならぬということに相なるわけでございまして、この点につきましては、この事業遂行にあたりまして、公団とそれから私鉄事業者との間におきまして十分の契約をいたしまして、その内容調整をした上で仕事を始めていく、こういうふうなことによりましてその面の矛盾というもの、欠点というものをなくしていく、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
  13. 田渕哲也

    田渕哲也君 鉄建公団がつくった線路譲渡する場合、その譲渡条件並びに価額はどういうふうになりますか。
  14. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まず譲渡価額でございますが、鉄道建設公団は当然国の公的な法人でございますから営利を目的とする必要はございません。したがいまして、鉄道建設公団は全然利益をあげる必要はないわけでございます。ただこれに要したところの費用というものは、やはりこれは全額回収しなければならない。したがいまして、当然その譲渡価額は、建設に要しました費用と、それからこれのために必要とするところの利子、それからさらにこの建設を行なうための管理費というようなものが譲渡価額の基本になりまして、そういう点で譲渡価額決定をするということになります。その次に、この譲渡価額の基礎となるところの利子その他につきましては、これは先ほどちょっと申し上げましたが、国からの公的な資金ということで、資金運用部資金等が約四割、それからその四割につきましては六分五厘の利子、それからその他の債務というものにつきましては、それと六分五厘との差についての国からの補助金というものを一応考えまして、さらにそのほか地方公共団体助成をするということで資金コストを安くいたしまして、そういう金利というものをつけ加える、そして譲渡価額にするわけでございますが、これをさらに建設後二十五年の元利均等償還ということにいたしまして、そういう条件私鉄から回収をするということになるわけでございます。
  15. 田渕哲也

    田渕哲也君 この場合、原則として建設に要した原価で譲渡するわけですね。ただ問題は、私鉄自体建設を監督するのではなくて、建設公団がやっておる。当初予想した金額よりもふえるということが考えられるわけですね、工事費とか、あるいは用地の買収費とか。その場合、私鉄の当初考えておった計画から狂ってきた場合、引き取りを拒否するとか、そういうことは起こらないんですか。
  16. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは実は、今度の公団法改正によりまして、そのやり方といたしましては、私鉄がまず申し出をいたしまして、そしてその申し出をいたしたものについて運輸大臣が、先ほど申し上げました地方鉄道法に基づくところの工事施行認可というようなものとも加味いたしましてこれが指定をいたします。したがいまして、まず第一番に、基本的な設計その他につきましては、私鉄事業者運輸大臣認可を受けました工事施行認可内容と適合しておるものでございますから、そういう基本的な設計その他につきましては両者の間の意見の食い違いというものはないわけでございます。さらに、そういうことによりまして実際の工事をいたしてまいるわけでございますが、その工事をやってまいる場合に、その建設やり方あるいはその譲渡について事前に協議を必要とします。そして協議という形で両者間の具体的な内容等契約を結んでおきまして、それに従って建設をしていくということに相なるかと思います。  なお、その公団が実際に工事をする場合でございますが、それについても実際上は私鉄事業者の力をかりなければならないわけでございますので、現実に各種の工事監督等についての業務委託というようなことも事業者にやらせるということになるわけでございますから、私ども工事費が当初の考え方よりも著しく食い違ってくるというようなことはまずないんじゃないか。したがって、それが当初考えておりました譲渡価額というようなものに大きく違ってくるようなことはないんじゃないか、こういうふうに私ども考えております。
  17. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからメリットの面ですが、実際問題として、自分で資金手当てをする必要がないということはあろうと思います。それから金利利子補給によって若干安くなる。しかし、安くなったにしても、六分五厘の金利がかかるわけですね。従来、私鉄自体がやる場合には、開銀融資民間融資金利の平均は大体七・七五%で、一分二厘五毛安くなるということでありますけれども、しかし、最近の新線建設費用を見てみますと、非常に膨大な費用がかかっております。これは一つの例ですけれども、京王線の新宿−つつじケ丘間の複々線化ではキロ当たり工事費は四十八億円といわれておる。それから多摩ニュータウン新線にいたしましても、大体キロ当たり十五億くらいかかる。そうすると、これはニュータウン新線でも、金利だけで、六分五厘としてもキロ当たり一億円の金利がかかるわけです。複々線化の場合は、大体四十八億とすると、三億の金利がかかるわけですね。現在私鉄営業収入は大体キロ当たりどのくらいになるのですか。
  18. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 一律には言えませんが、大体一億くらいが比較的いいほうの部類でございます。
  19. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうしますと、営業収入が約一億で、多摩ニュータウンの十五億と比較的安い新線にしても、金利だけで営業収入が全部吹っ飛んでしまう。こういうような状態で、はたしてメリットと言えるかどうか。これだけで私鉄はそういう新線建設しようという意欲が出てくるかどうか疑問だと思うのですが、いかがですか。
  20. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点は、まことにお説のとおりだと思います。鉄道建設は非常に巨額費用を必要といたしますために、いわゆる懐妊期間が非常に長い。これを建設いたしましても、すぐにはお客がふえてこないということで、非常に懐妊期間が長いということで、鉄道建設収支に及ぼす影響というのは非常に大きいわけでございます。したがいまして、従来鉄道建設がおくれていたゆえんというものもそこに一つあるわけでございまして、今回はそういう点も考えまして、確かに収支は非常に苦しい、しかしながら将来はだんだんにふえていくというような楽しみもあり、なお私鉄事業者というのは免許事業者といたしまして当該地域輸送というものを独占的にこれを維持していかなければならないというような社会的な責務もあるわけでございまして、私ども、今回のような一応のメリットというものをも考えまして、これの建設が行なわれるということを期待しておるわけでございます。
  21. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは、将来の非常にばく然としたものの期待で、現実金利だけで営業収入が飛んでしまうような事業私鉄が始めるかどうか疑問だと思うのですよ。きょうは民営鉄道協会のほうから参考人がお見えになっておるようですが、お見えでしたら、この点について御意見を伺いたいと思いますが。
  22. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 田渕君に申し上げますが、小柳君からの要請で呼んだのですが、小柳君がいないので……。
  23. 田渕哲也

    田渕哲也君 けっこうです。そういう点、非常に将来もっと収入がふえてもうかるかもしれないというようなばく然たることで、現実営業収入あるいはそれを上回る金利負担しなければならないような新線をはたして建設するだろうか、この点についてはいかがですか。
  24. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この点については、実は新線だけでなくして、たとえば複々線化工事等についてもなお言えるところであろうかと思います。新線の場合におきましては、新しくニュータウンができまして、それによりまして輸送需要が若干は発生をする。発生をした若干の輸送需要に対しまして、鉄道輸送力が非常に大きいわけでありますから、当初はがらがらで走らなきゃならないというようなことでございまして、その点では確かに収支が非常に悪い。  それから複々線化のほうでございますが、これは実は、非常にまあ列車が混んでおりまして、もう運び切れないような状態になっているので、新しく一線ふやすということになるわけでございますが、これの効果は、お客が直接ふえるということじゃなくて、むしろ混雑緩和ということに効果があるわけでございまして、そういう意味では、これによるところの収入増というものは多くは差しあたっては期待できないということであります。ただし、鉄道業者は、やはり当該地域におきまして、一定の区域におきましてその鉄道業によりまして公共の便益を促進するという使命を持っておるわけでございますし、またそういうことによりまして新線地方鉄道免許を受けてこれを建設しようという意思を示しておるわけでございます。そういうことを示しておる以上、やはりこれの収支、採算というものがなかなか困難な場合におきましても、これをやってもらわなきゃならぬというふうに考えておるところでございまして、これに対する助成というものも相まちまして新線なりそれの増強工事というものをやっていく、また現にそういう意欲を示しておるというふうに私ども考えております。
  25. 田渕哲也

    田渕哲也君 大都市交通に対するビジョンといいますか、基本計画というものが必要だと思うのですが、先日都市交通審議会の答申というものが出ております。これは、運輸省としては答申に基づいて基本計画をつくられるわけですか、この点をお伺いしたいと思います。
  26. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 都市交通審議会は、大都市におきまする交通の体系というものを審議、答申をいたしたわけでございます。東京、大阪、名古屋その他について行なっておりますが、大阪、名古屋につきましては、国鉄の線路新線並びに増強を含めた答申になっておりますが、東京圏におきましては、国鉄は別といたしまして、地下鉄及び私鉄を中心としたところの答申ということになっております。それで、その答申の基本的な考え方は、都心部における管理中枢機能の集中、一方周辺部における住宅地の増強というようなことにかんがみまして、輸送力を大幅に増強しなければならぬという考え方に立ちまして、そうしてその考え方といたしましては、東京の都市交通圏におきましては、昭和六十年時点におきまして、就業者数約二百九十万から三百万、就学者数四十五万というようなもの、それだけのものが東京都区部に流入するというふうに一応考えております。それで、そういったように、前提としての都市圏人口というものも六十年時点には約二千九百万人であろうというように考えておりまして、就業人口としては約一千万人から千四百万人くらいになるであろうというふうに考えております。そこで、それに基づきまして、先般の都市交通審議会の答申におきまして想定いたした五百七十キロの地下鉄及び私鉄の整備をしなければならぬというふうに考えておりまして、これは既答申分が二百八十キロでございますから、さらに二百九十キロを追加するということでございます。私ども、この基本的な考え方に従って、今後の地下鉄並びに私鉄の整備ということは当然行なわれなければならないわけでございます。それで、ただ建設主体につきましては、たとえば地下鉄につきましては、これは従来帝都高速度交通営団並びに東京都が行なっております。で、帝都高速度交通営団並びに東京都が行なっておられます方式につきましては、今回のこの公団法の範疇というものとは一応別に考えております。それから私鉄の整備というものにつきましては、今回の公団法方式というものにのっとった姿でこれを整備していくということが当然予想されておるわけでございます。したがいまして、今後この法律に従って出てまいりまする整備の方向、こういうものは当然この都市交通審議会の基本的な考え方にのっとったものが出てまいるわけでございます。その他のたとえば公営等によりまするところの郊外新線の整備というようなものもあるわけでございますが、こういったようなものにつきましては今後地下鉄方式に準ずるようなものも考え合わしてこれを整備していきたい。いずれにいたしましても、先生指摘のように、都市交通審議会の基本的な考え方というものが今後の私どもの都市交通の鉄道網の整備の基本的な方向でございますから、この法律の運営についても当然それに従ってやってまいるということになろうかと思います。
  27. 田渕哲也

    田渕哲也君 この答申の線に沿って新線建設した場合、あるいは改良工事をやった場合、これに要する資金量の概算はどれくらいになりますか。
  28. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 非常に概算的でございますが、今後これに要するところの資金量は約一兆七千億程度というように一応想定をいたしております。
  29. 田渕哲也

    田渕哲也君 この一兆七千億のうち、私鉄がやる部分、すなわち今回の鉄道建設公団が引き受ける部分、資金量はどのくらいですか。
  30. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点は、この全体の構想の部分の、この部分が私鉄がやるとか、あるいはこの部分は営団地下鉄を延長してやるとか、あるいは公営がこの部分を担当するとかいうことは、実はまだきまっておりません。したがいまして、ただいまの一兆七千億のうちの幾らが公団事業範囲ということは、ちょっといまの段階ではまだ申し上げる段階ではないと思います。
  31. 田渕哲也

    田渕哲也君 大ざっぱに言って、概算では大体どれくらいですか。
  32. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 都市交通審議会の六十年時点の構想でございますし、建設自体がまだ確定をしておりませんものですから、ちょっと概算でも申し上げかねます。
  33. 田渕哲也

    田渕哲也君 かりに、このうちの何分の一になるかわかりませんけれども、半分としても一兆近い資金が要るということになるわけですね。そうすると、この公団に、私鉄のほうに使う資金長期的な計画というものも立てる必要があると思うのです。この点についてはどうなんですか、長期的にそういうめどは立っているわけですか。
  34. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 公団のやる規模でございますが、ことしは百二十五億ということでございまして、これは初年度でございますから非常に微々たるものでございます。今後はこれに従ってふやしていく、これを増大していくというふうに一応考えておりますが、ただこれは、長期的に幾らにするかということにつきましては、まだ政府部内ではきまった考え方が実はございません。一応現在必要とされているところの線等につきまして、今後どの線をどれだけやっていくかということによりましてだんだんきめてまいるよりしようがないと思います。
  35. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどの答申は六十年目標ですから、もうあと十三年ですか、十三年としまして一兆七千億の投資が必要だと言われているわけです。そのための一つの活動の一環として公団法改正が行なわれるわけですけれども、これの四十七年度の予算は百二十五億で、これは出資金から見たらきわめて、非常に微々たるものなんですね。ちょっと頭を出したというにすぎないと思います。したがって、この公団法改正をやるからには、少なくとも六十年ぐらいをめどにした資金計画について全然考え方がないというのはおかしいと思いますがね、この点どうなんですか、大ざっぱな構想でもないんですか。
  36. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは実は、まことに申しわけないんでございますが、国鉄等につきましては、全国的な長期的なものといたしまして、今後十年間に一応七兆というような大きなワクがございます。しかしながら、その中の具体的な問題といたしまして、東京方面にどれだけ使うかというようなことはまだ全然きまっていないようなわけでございます。それから私鉄につきましては、実はそこまでもまだきまっておりません。ただ、従来大手私鉄がやっておりました工事計画でございますが、これは大体、第一次計画におきましては——これは三十六年から三十八年度までの三カ年間でございますが、この三カ年間におきましては、年間約四百億ぐらいの工事をいたしてまいりました。それから第二次におきましては——これは三十九年度から四十一年度まででございますが、その三カ年間におきまして、これは年間約五百億ぐらいの工事をいたしてまいりました。それからそのあとの第三次の輸送力増強計画におきましては、これは五年間でございますが、年間約九百億ないし千億ぐらいの工事をいたしてまいりました。そこで、今後この工事は当然私鉄自体工事としても行なわれるわけでございますが、今回さらに鉄道建設公団工事によりましてこれに追加されるということに相なるわけでございます。まあ一応来年度は百二十五億でございますが、四十八年度から飛躍的に増強さしていかなきゃならぬというように考えております。
  37. 田渕哲也

    田渕哲也君 まあ、いまこの所要資金が非常にふえていくと思うのですけれども、問題は、その場合、利子補給は現在国と地方自治体が半分ずつやるということになっておりますけれども、この金額がどんどんふえた場合に、それだけの負担が特に地方自治体で可能かどうか、この辺のめどはどうですか。
  38. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の構想によりまして、まず基本的な資金のソースといたしまして、資金運用部等の財政資金がございます。これが六分五厘でございます。それからその他の債券等でございますが、従来七分三厘程度でございますが、これが今回の金融引き締め等によりまして七分二厘ぐらいに低下をいたしております。したがいまして、これとそれから六分五厘との差というものを国からの助成をするという考え方になりまして、四十七年度は約三千万円程度の助成ということに相なるわけでございます。それで、それに対応する地方公共団体助成というものもお願いするということにいたしておりますが、まあ非常にこれはまだラフな計算でございますが、かりに事業規模が来年度以降三百億ぐらいというように仮定をいたしまして、そういう仮定の上に立ったものといたしましての利子補給額というものがどのぐらいになるんだろうかというようなふうにまあ一応考えてみますと、大体五十年ないし五十一年時点ぐらいで三億ぐらいの利子補給ということでございますから、非常にこの利子補給額がばく大になりまして、そのために国家財政等を圧迫するというほどのものはないだろう。そういう意味では、今回の構想というものは、比較的国の助成が少なくて、しかも大きな仕事ができるんじゃないかというようなふうに考えております。
  39. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、交通関係の投資の資金の配分を見た場合に、これは国全体として見た場合ですね、私は非常に大きなアンバランスがあると思います。特に鉄建公団の四十七年度の予算を見ても、地方のAB線で二百億ですか、それからC線二百億、D線四百十億というふうになっておりますけれども、私鉄工事は百二十五億、この百二十五億という金額自体が非常に少額であると思いますね。たとえば大都市交通線、国鉄のやるのが四百十億予算を取っておるわけですけれども、私鉄と国鉄の輸送量の配分といいますか、特に首都圏で見た場合に、これはどうなっておりますか。
  40. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 私鉄が担当しておりまする輸送量でございますが、まあ非常に大都市近郊では多いわけでございます。特にいま首都圏でございますが、首都圏におきましては、四十四年時点におきまして、国鉄が三〇%の輸送をやっておりますが、私鉄は二七%、それから地下鉄が一〇%というわけでございまして、まあ私鉄輸送のシェアというものが非常に多いわけでございます。ただ、全国的なこれは輸送人員でございますが、全国的な点を見ますと、大都市私鉄は主として大都市近郊の通勤通学輸送というものを担当いたしておりますが、国鉄におきましては全国的な都市間輸送、あるいは貨物輸送というようなものも相当に大きくやっておるということが言えるわけでございます。もちろん、通勤輸送も相当やっておるわけでございます。したがいまして、首都圏だけの国鉄と私鉄輸送人員の配分というだけでは問題は解決できない性格のものではないかというふうに考えております。  それで、また鉄建公団資金の配分の問題でございますが、鉄建公団がやっております仕事の中で、新幹線並びに海峡線——これは青函トンネルでございますが、これはまあ全国的な交通体系の中の問題でございますから別問題といたしまして、その他C線という、主要幹線という性格のものがございます。これも実は、全国的な交通体系の在来線に対する新線ということでございますので、これもちょっとまあ性格が異なります。問題はD線の、いわゆる大都市交通線でございます。これは、先生ただいま御指摘のように、四百十億円ということでございますが、これはいわゆる東京の武蔵野線あるいは京王線、関西の湖西線等でございますが、これは大都市の通勤の確保ということと同時に、大都市における貨物輸送緩和、特に東京付近につきましては、山手線の貨物輸送というものをこちらにできるだけ肩がわりしていくというようなねらいを持っておりまして、しかも非常に工事が大きいために、こういう四百十億という大きな工事費になるということでございます。私鉄につきましては、公団工事だけでなくて、自力でやる工事というものも当然あるわけでございますが、百二十五億が少ないじゃないかという御指摘につきましては、まことにそのとおりだと思うわけでございまして、私ども、来年度からもっとふんばりまして予算の獲得につとめて、通勤混雑緩和というものに努力する考えでございます。
  41. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、鉄道建設公団が新たな事業をやるわけですけれども、鉄道建設公団はこれから新幹線の部分も非常に大きなウエートを占めてくるわけですね。そうすると、現在の能力で、さらに私鉄工事というものが入ってきて、消化能力はあるかどうかという点ですが、この点はどうですか。
  42. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道建設公団の創設当時は、いわゆるAB線と称しまする地方の線路でございますが、地方交通線がまあ主体でございまして、ところが最近におきましては、先ほどお話し申し上げました大都市交通圏なり、それから主要幹線というものも多くなりましたし、特に新幹線、青函トンネルの工事が非常に大きなウエートを占めております。そのために、非常に忙しい仕事をやっておるわけでございますが、今回私鉄工事が加わりますと、当然これは従来の国鉄の仕事をやっておりました工事性格が違う工事でございます。規格等にいたしましても、従来の国鉄の国有鉄道建設規程に基づくところの規格というものと全然異なった地方鉄道建設規程あるいは軌道建設規程に基づくものでございますし、しかも各社によりまして若干ずつ既設の性格の違いというようなものはあるわけでございますから、そういったような面も十分に踏まえまして、そして設計工事その他をしなければならぬということになりますと、性格も異なりますし、業務量としても違ってくる、質量ともに仕事としてもウエートが大きくなってくるということでございます。したがいまして、これにつきましては、鉄建公団の従来の組織でそのままやっていくということはやはりできないわけでございまして、どうしても新たな組織、新たな人員というものを踏まえてやらなければならぬというふうに考えております。法律におきましては理事一人の増員ということでございますが、その他公団内に組織並びに要員を備えまして、この仕事をやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
  43. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、鉄道建設公団の役割りという面を考えました場合、やっぱり時代の変化に従ってだんだん変わってきて当然だと思います。それで、いま交通関係で一番問題になっているのは、一つは全国的な新幹線とか海峡線というような新たな線をつくるという点、それからもう一つ大都市交通線だと思うんです。だから、これから鉄道建設公団は、主として大都市交通線、新幹線、こういうことに重点を置くべきであって、もちろん主要幹線も含まれますけれども、AB線、したがって地方赤字路線はもうそろそろやめたらいいんじゃないか。鉄道建設公団、もっと必要なところに力を入れるべきじゃないかというふうに改組すべきだと思うんですが、いかがですか。
  44. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点、先生お説のとおりだろうと思います。やはり従来鉄道建設公団法をつくりました当時のAB線重点という考え方に対しまして、その後の社会情勢の変化、あるいは新全総の全国的な鉄道網の考え方というような点から考えますと、新幹線鉄道の整備、あるいは大都市交通の整備、主要な幹線の整備というのが、やはり鉄道としての一番のウエートを置くべきことでございます。したがいまして、その点は、先生指摘のように、社会の需要に応じまして、鉄道建設公団の仕事の重点の置き方というものも変えてまいらなければならぬと私どもも考えております。
  45. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、今回のこの法案によれば、私鉄申し出によって運輸大臣が適当と認めたときに公団建設をやるということになっておるわけですけれども、ここに一つの問題があると思うんですね。まず、私鉄申し出ということでありますけれども、これはやっぱり私鉄が営業ベースで考えて線をつくろうということがまず出発点である、こういうふうにしますと、公共的にここはどうしても必要だと思っても、私鉄がこれは採算に乗らないと見たときに、申し出しない。申し出をしない限りは、ここは線が引けない、こういうことになるわけですけれども、公共的な必要性と企業的な採算ベース、これのかね合いをどうするかいうことです。公共的に必要であっても、採算に乗らぬ場合には、私鉄申し出がなければ行なわないということになるわけですけれども、この点はいかがですか。
  46. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 非常にむずかしい、また根本的な御指摘だと思います。いま私鉄の置かれておりまする地位というものは、基本的には、やはり株式会社でございますから、収支採算というものを基本に考えておるわけでございますが、しかしながら、地方鉄道業ということによります免許を受けて当該路線の建設をする、そういう限りにおきましては、当該路線におきましては、その区域におきますところの独占的な公益事業というものを担当するという地位にあるわけでございまして、そういう使命をもって輸送業務に携わっておる、また携わってもらわなければならぬということでございます。したがいまして、当然、全く収支採算というものを無視するというようなことももちろんできないことでございますが、ただ基本的にはいま申しましたような形がございますので、相当長期にこれがペイをするというようなことになれば、これは私鉄としてもその申し出に従ってやってもらうということに相なるわけでございます。具体的な例を考えてみますと、たとえば多摩ニュータウンのところの線でございます。これにつきましてはまだ申し出がございませんが、しかしながら、多摩ニュータウンの線につきましては、すでに特定の会社が免許を受けて建設の意思を示しておるわけでございます。しかしながら、これが建設が非常にたいへんなことであるということ自体はもう変わりがございませんので、いままで建設がおくれてきたわけでございますが、しかしながら、免許を受けたものでございますから、国がこういう助成をすることによりましてこの建設の促進をしてまいる、当然申し出をすることが期待できるというふうに私どもは考えております。
  47. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただいまの例としてあげられた多摩ニューダウンの場合ですけれども、この多摩ニュータウン線の完成のめどはいつですか。
  48. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 多摩ニュータウンでございますが、すでにニュータウンのほうの工事というものは着々と進んでおりまして、すでに入居を始めております。それで、全体のニュータウンの完成時期は、五十五年度完成ということになっております。しかしながら、現在の段階では、まだ多摩ニュータウンに入り始めた段階におきましては、これは当然鉄道輸送輸送しなければならぬほどの輸送量ではございません。とりあえずはバス輸送ということでこれをまかなうということでございまして、主としては京王線の聖蹟桜ケ丘までのバス輸送ということで対処をしてまいりたい。しかしながら、これがどんどん入居がふえてまいりますと、当然バスでは必然的にも輸送できないというような状態になることは明らかでございます。したがって、その段階におきましては、どうしても鉄道を引かなければならぬということに相なるわけでございます。鉄道輸送力が非常に大きゅうございますから、その時点におきましてもまだ鉄道としては先行的性格を持っておるわけでございますが、やはり引かなければならぬわけでございまして、私どもその時期は大体四十九年度と考えております。四十九年度にはどうしても鉄道を引かないと多摩ニュータウンの機能というものが麻痺してしまうだろうというのが、私どもの考え方でございます。
  49. 田渕哲也

    田渕哲也君 多摩ニュータウン線ができますと、もちろんそれまでもバスか何らかのかっこうで、そこの人は流れ込んでおるわけですけれども、特にニュータウン線ができますと、それに接続する京王線、小田急線、これの幹線といいますか、その能力というものが問題になってくると思います。現在もその京王線、小田急線の複々線化計画はあるようですけれども、この複々線化の完成の期日はいつになっておりますか。
  50. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 京王帝都電鉄の京王線、小田急電鉄の小田急線でございますが、現在非常に混雑をいたしておりまして、どうしても線路増設、複々線化までしなければならぬということでございまして、この点は、多摩ニュータウン線ができなくてもそういうことでございますので、どうしても多摩ニュータウン線ができる以上は、複々線化しなければならぬということでございます。それで実は、私どもいま考えております計画におきましては、京王線につきましては、新宿−笹塚間につきましては五十一年三月までにどうしてもやってしまわないと間に合わないだろう。それから小田急線につきましては、大体代々木八幡と下北沢との関係、これは地下鉄工事との関係もございますので、これは四十九年四月にはやってしまいたい。その先、東北沢−喜多見間につきましては、五十年の十月ごろには何とか完成をしたい。さらに喜多見−新百合ケ丘間は五十一年十月ころには完成したい、こういうふうに私ども考えます。
  51. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは、私鉄の側として考えた場合は、ニュータウン線のような新しい団地のところに線を引くのは、現在採算には合わなくても、将来だんだん開発されて採算に合うだろう、こういうことも言えるわけですね。それからその線を引けば開発利益というものも吸収できる。ところが、複々線化の場合には、あまりそういうメリットもないわけですね。乗客のほうはスピードが速くなって混雑が少なくなって楽だけれども、私鉄のほうはあまりもうからない。だから、ほっておきますと、複々線のほうはどうしてもおくれがちになるのではないか。そうすると、どんどん新しいニュータウン新線ができても、肝心の新線混雑度は増すばかりである。これに対して、たとえば今回の公団でやる場合に、ニュータウン線のようなものを引く場合には、複々線化条件づけるとか、そういうようなことは行なわれるわけですか。
  52. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ニュータウン線等ができます場合に、根元の複々線化ということが非常に急がれるということは、先生指摘のとおりでございます。しかもまた、その複々線化収支上のメリットというものが非常に薄いと。むしろばく大な投資によりまするところの資本コストの増ということによりまして、収支が非常に悪化するというようなことも当然考えられるわけでございます。したがいまして、この複々線化工事につきましても、この鉄道建設公団の対象工事ということにいたしたいと、こういうふうに考えております。対象工事といたしまして、そして私鉄事業者からの申し出に基づきまして、鉄道建設公団がこの助成方式によりまして建設を行なうというようにすることによりまして、根元のほうの増強を一緒にやってまいりたい、このように考えております。
  53. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、運輸大臣が適当と認めたとき、これの基準はどうなんですか。
  54. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは、今度の公団法改正の二十二条の二でございます。この二十二条のこの規定によりまして申請がございます。その申請がございまして、その申し出について運輸大臣が適当であるというように認めたときと、こういうことでございます。  それで、その適当と認めるのはどういう場合かということでございますが、鉄道建設公団がこれを行なうというためには、緊急的な必要性というものがやはりなければならぬということでございます。ということは、ことしは百二十五億で、これは非常に少ないんでございますが、今後もふやしてはまいりますけれども、やはり国の資金でございますから、これのワクと申しますか、限定というものは当然ある、制約というものは当然あるわけでございますから、そういったようなものから、まず緊急に必要であるということが一つ考えられなければならぬ。それからその次に、やはりこの施設を行なうことがある程度まとまったといいますか、まとまって、公団がやったほうが適当であるというような単位を持っていないとやはり無理じゃないか。そういたしませんと、いたずらにたとえば資産の区分の問題だとかその他仕事のやり方等につきましてロスが非常に多いということで、ある程度の単位を持った、規模を持ったところのものをやってまいるというようなことに相なるかと思います。大体そういうようなことを中心といたしまして運輸大臣が判断いたしまして、必要な場合にこれを指示するということにいたすわけでございます。
  55. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はそのときの判断にぜひ入れていただきたいことがあるのですが、一つは都市計画との関係なんです。それで、交通、特に大都市圏の交通投資というものと都市計画というものと、これは不可分のものでなければならないと思うのですね。それでないと、だんだん団地が土地の安いところを求めて遠いところに建設される。そうすると、その通勤が不便だというので、新線をどんどん延ばしていく。こういうことになれば、大都市圏の範囲がますます広がるばかりで、ますます交通混雑を招くばかりではないか。だから、都市計画というものと交通資本投資が常に密接でなければならないと思うのですね。したがって、ここでお伺いしたいのでありますけれども、首都圏整備委員会の方にお伺いしたいと思います。  まず基本的には、東京というようなこところはマンモス化して、限度にきておると思いますから、これは都市交通審議会の答申によりましても、さらに流入人口が六十年にはかなりふえると、全部で三百数十万になるというようなことが言われておりますけれども、これを抑制するということが必要ではないか。これの抑制のために現実にどのような方策を考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  56. 北川博正

    説明員(北川博正君) ただいま先生のお話のとおり、首都圏、特に東京を中心といたします既成市街地におきます過密化というのは非常に大問題であると、こうわれわれは考えております。したがいまして、御承知のとおり、すでに首都圏整備法第二十七条によりまして、こういった過度集中の原因となります工場とか、学校、そういった人口集中化の原因となる施設の制限をいたします。これは今回新たに、またさらにその制限を強化する必要があるということで、今国会に法案を御審議願うよう改正案を提出中でございますが、確かにこの過度集中の原因を見ますと、ただいま申し上げました学校、工場もさることながら、事務所の問題がございます。現在、昭和四十年度国勢調査によりますと、昼間就業者の人口が五百五十五万、こう言われております。そのうちの百五十五万が事務所人口でございます。特にこういった人口の約三割がそういうことになっておりますが、まあここ年々の事務所人口、あるいは事務所施設の量を考えてみますと、大体霞が関ビル、これの約十倍の百五十万平米程度が年々ふえているという現状でございます。こういったことを考えまして、首都圏といたしましては、現在首都圏整備審議会というのがございますが、そこに諮問をいたしまして、この事務所に関します規制及びそれに対する対策というものを御審議願っております。われわれといたしましては、工場、学校、これに現在法案を提出中でございますが、こういった既成市街地におきます第二次産業労働者の方方、あるいは学生、こういった方々の制限をするためには、たとえば工場につきましては、制限規模というものを、現在千平米以上のものについて制限をいたしておりますが、それを五百平米にいたしますとか、あるいは従来学校については過渡的に理工系の学校はその制限をいたしませんでしたが、今回そういった適用除外を排除いたしまして、学校についても今後制限法の適用範囲に含めるという制度を考えておるわけでございます。  なお、事務所につきましては、御承知のとおり、審議会で御検討願っておりますが、われわれは、ことにこういった事務所人口の増大、これを考えまして、将来こういったものに対応するために、東京都がいわば一点集中の形態になっております。東京といいますか、既成市街地が、東京を中心とした一点集中型の形態になっておる、この形態をやはり変えるべきである。どちらかといえば核——さらに小さな核でございますが、これを新しくつくるべきである。たとえば東京だけが、文化、あるいは経済、あるいは商業、教育、こういった中心になっておりますのを、千葉とか、あるいは大宮、浦和とか、東京におきますれば八王子、立川、あるいは横浜、川崎、こういったような一つの生活圏を形成づけていく。人が常に東京に流れ込むという形を、ある程度逆流させるといいますか、そういったことによりまして人口の東京におきます集中化を避けていくという方策が妥当ではなかろうかということで、最近、近郊整備計画を改定いたしまして、そういった計画の提案をしておる次第でございます。
  57. 田渕哲也

    田渕哲也君 事務所規制の方法というのは、どういう方法でやられるんですか。工場はいま工場等制限法というのがあるわけです。構想としては、どういう方法でやられますか。
  58. 北川博正

    説明員(北川博正君) 事務所規制につきましては、まだ審議会で検討中でございますが、そのあらましを申し上げますと、一つは賦課金を課するということがございます。もう一つは許可制ということ、二つの制度を併用してはどうかということで、いま御審議を願っておる次第でございます。
  59. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一つお伺いしたいことは、通勤圏というものをどう考えられるか。現在は非常に通勤圏が延びておりまして、鉄道がまた引かれれば引かれるほど遠いところから通勤するようになるわけですけれども、しかし、あまり遠くから通勤するというのは、通勤の往復に要する時間とか、それによる疲労とか、通勤する人もこれたいへんと思うんですね。だから、都市計画の場合には大体適正な通勤圏というものを設定しなければならないと思いますけれども、これはどう考えておられますか。
  60. 北川博正

    説明員(北川博正君) 首都圏といたしますと、大体時間で一時間以内が通勤圏として適当ではないかと思っております。
  61. 田渕哲也

    田渕哲也君 ここで運輸大臣にお伺いしたいんでありますけれども、やはり大都市交通線、特に私鉄公団による建設を行なう場合、どの程度を適当と認めるかの中に、やっぱり都市計画構想による通勤圏というものを頭に入れるべきではないか。だから、遠くに団地ができて必要だからというのでどんどん線路を延ばすようなことになれば、かえって通勤難というものは増しこそすれ解消されないのではないか。だから、その点を考慮に入れられるかどうかお伺いをしたいと思います。
  62. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 非常に適切な御質問と思う次第でございます。私ども、それを十分考えて認可の場合の一つの大きな基準にしてまいりたいと、こういうふうに思う次第でございます。その根本といたしまして、先ほど来先生から御指摘をいただきましたように、ことに首都圏におきまして、人口の過度集中、これを規制する方法を具体的にどうするか、首都圏整備委員会にお尋ねがございましたが、私も実は、輸送方面を担当しておりますが、根本はやはり都市計画、そうしてやはり過度集中をどのくらい抑制するかということが一番問題。いま私も、日本の内政の一番の大きな問題は、やはり過疎過密をいかにして解消していって均衡ある国土の発展を遂げるかということが一番の根本であろうかと思う次第でございます。首都圏整備委員会、せっかく国会の御審議をいただきまして、いろいろの規制をやっておりますが、これはやはり思い切った規制を将来ともやってまいるということをいたしてまいります。私どももやはりそういう方面におきまして協力をいたしましてやってまいりませんと、なかなかに都市機能も発揮する限界をはるかに越していると思う次第でございます。いま委員会からの、計画第一部長からの答弁がありましたが、私は、思い切って首都圏におきましても、東京近郊ということでなく、そういう上に北関東の開発なんということがいわれておる次第でございますが、そういった方面にやはり生活圏の拠点を設けていく、あるいは東北に設けていく、北陸に設けていくということを思い切ってやってまいりませんと、要するに、ほんとうの東海道メガロポリスと申しますか、その方面からやっぱり人口が七割も集中しておる。いかにその間の生活圏を拡大をしてまいりましても、やはりその間におきまするところの輸送空間の獲得に限度が出てくるというような問題が至るところに出てまいっておる次第でございまして、そういう点ではひとつ思い切った方策を講じてまいります。幸い国会におきまして都市再開発法もできている次第でございまして、私は先般申した次第でございますが、一つのビルができる、三十六階のビルができる、四十階のビルができる、一万五千人の人がそこに通勤するというようなことにもなってまいりますと、通勤をするということも必要でございますが、それによりまして、既成のいわゆる事務所その他を集約いたしまして、そこにどのくらいの土地空間ができるかということがやはり私は一番必要になってくる。高層建築をつくることによりまして周囲に思い切った土地空間を生むことによりまして、あるいはそれを交通機関に利用する、あるいは道路に利用する、あるいはまた公園施設その他に利用するというようなものとも相まってやってまいりませんと、いたずらに人口の集中化を助長するばかりだと思う次第でございます。私は、そういう点におきまして、やはり私どもも建設省あるいはその他とも十分な連絡をとりまして、これからのやはり総合ある都市計画に伴っていろいろの施設をやるということが、いま御指摘のように、一番肝心だろうと思う次第でございます。その方面に向かいまして、御趣旨を体しまして十分これから、非常におくれている次第でございますが、具体的の策をとっていかなくちゃならない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  63. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、この交通投資のあり方について御意見申し上げたいんでありますが、やっぱりこれは先行投資でなければならないと思いますね。団地ができて通勤に困る人ができたから線を引くというのは逆であって、やっぱり初めからその都市計画に基づいて、この辺は住宅地域にするといろ計画に基づいてまず線を引くと、そうしないと地価が高騰したあとで用地の買収をしなければならない。それからまた、私鉄がやるにしても、開発されたあとで線を引くのでは開発利益の吸収ができません。こういうことで、非常に高くついて採算に乗らなくなる、乗らなくなるから国が援助しようということになるわけですね。言うならば、後手後手に回るがために、国として余分の負担をしなければならぬということになるわけですから、こういう点、やっぱり先行投資ということを基本に考えてもらわなければならないと思います。  それからもう一点考えていただきたいことは、現在非常に、とにかくこれだけの人員を運ぶのにどうすればいいかという量の問題だけが論議されているように思うわけですが、しかし、やっぱり質の問題も考えてもらいたい。現在の通勤輸送というのは、まさに人間的ではない状態だと思います。非常に混雑する中で、しかも冷房も完備していない暑苦しいところで、毎朝何時間か乗ってこなければならぬ、これは非常にたいへんなことであります。したがって、単に新しい線を引いて、あるいは複々線化をして量を運ぶということを考えるよりも、質の向上について当然考えるべきではないか。具体的に言いますと、質というのは、まず第一には安全性である、第二にはスピード、第三には居住性ということになろうかと思いますけれども、たとえばスピードの問題にしましても、全然これは改善されていない。まあこれは一例にすぎませんけれども、小田急線の新宿−向ヶ丘遊園間の運転所要時間、昭和三十六年から四十五年まで比べてみて、普通では三十七分かかっておったのが、四十五年に三十五分、二分間短縮されております。ところが準急は、二十六年には二十三分で来れたものが、四十五年には三十分かかる、これはラッシュ時です。それから急行でも、同じく三十六年には二十三分で来れたものが、四十五年には三十分かかっておる。かえってスピードがおそくなっているわけですね。それから混雑度にしましても、三十六年、四十五年比較してみても、大体同じようなもので、それほど緩和されていない。だから、この量の問題より、質の問題についてどう考えておられるか、またこれに対してどういう対策を立てられるか、お伺いをしたいと思います。
  64. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まず前段の問題でございます。交通手段というものは、当然住民の足でございますし、生活の基盤でございますから、これがまああと追いでは十分な足がないということになるわけでございますから、当然その投資というものは先行的であるべきでありまして、あと追いでは間に合わないということは、これはまあ御指摘のとおりだろうと思います。ただ、鉄道の場合に考えてみますと、鉄道の設備投資の性格というものを考えてみますと、これは非常にその性質からいきましてもばく大な資金が要る、しかもこれによって設備される、増加する輸送力というものはその規模が非常に巨大であるというようなことがございます。したがいまして、ある程度の輸送需要というものがある場合におきましても、この鉄道投資を行ないますと、相当長期間にわたってこれが先行的な性格を有するということはもういなめない事実であろうと思います。現在、たとえば東京付近におきまして、国鉄、私鉄ともに複々線化等をいたしております。たとえば国鉄線の総武線、非常にもう何十年も前に複線の線が建設をされまして、非常に長い間その複線でもってまいったわけでございますが、とうとうできなくて、ことし複々線化にする——この七月に完成いたしますが、そういうふうになりまして、その間はある意味では初めのほうは先行的な投資であったということが言えないわけではございません。しかしながら、先生おっしゃいますように、どうしても先行的投資をやっていかなきゃならぬというのが今後の使命であると思うわけでございます。そのために、私どもやはり先行投資をやり得るような国の助成というものを考えてこれを促進しなきゃならぬというわけでございまして、今回公団法によりまして助成をいたしまして建設を促進しようというのは、そういう意図が多分にあるわけでございます。この点は、先生のおっしゃるとおり、先行投資を大いにやっていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。  次に、輸送のサービスの問題でございますが、これは、たとえば安全の問題、あるいはスピードの問題でございますが、いままで確かに、先生おっしゃいましたように、輸送力の量的な不足ということに対応するために、まずは量的な不足に対応するための輸送力増強というものに重点を置いてまいったことはいなめない事実でございます。しかしながら、これは当然安全第一でございますから、輸送力増強や安全確保工事ということで工事をやってまいったわけでございます。ところが、そのスピードの問題になってまいりますと、結局輸送力の絶対的な大きさというものとの関連が非常に多いわけでございまして、ただいま先生指摘がございました小田急線におきましても、一部スピードがダウンをしておるというような実態が、先生指摘のとおり、あるわけでございまして、これは結局は、同じようなスピードの列車を走らせるということのほうが相対的輸送力が得られる、大きな輸送力が得られるということのために、むしろ速い列車がおそい列車と同じようなスピードになってきておるということのあらわれでございまして、この解決のためには、複々線化等の線路増強によりまして、いわゆる急行、緩行というものを分離するというような基本的には輸送力増強方策をとっていかないとこれができないわけでございます。そういう点につきましては、今後この公団方式によりまして大いに進めてまいりたいと思います。  それから居住性の問題ですが、これはまことに先生がおっしゃるとおりでございまして、いわゆる乗車効率二百数十%、二二〇%というような姿は、決して望ましいわけではございません。今後都市交通審議会の目ざしております一五〇%くらいにまでは何とか持っていきたいというふうに考えるわけでございますが、これまた輸送力増強を待たずしてできないわけでございます。  それから、その他居住性の問題につきまして御指摘がございました冷房の問題でございます。これも、先生指摘のとおり、だんだん生活水準の向上とともに、そういう居住性の向上というものをはからなきゃならぬわけでございます。私鉄につきましても、地下鉄につきましても、冷房問題というのは非常に大きな問題でございまして、これは鋭意努力をいたしております。地下鉄につきましては、これは地下鉄内の冷房というのは非常にむずかしゅうございまして、車両から出た熱がトンネルの中に停留するということがございますために、車両自体の冷房ということではいけないものですから、たとえば銀座線の銀座駅でごらんになっておりますように、駅全体の冷房というようなことによりまして対処いたしております。私鉄のほうにつきましては、これは冷房は、車両の冷房というものを中心といたしまして、私鉄でも冷房計画というものを定めまして、これを促進をいたしております。私ども、そういった方面につきましても、これを大いに促進するために、各般の助成努力というものも今後いたしてまいらなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  65. 田渕哲也

    田渕哲也君 こういう質の面の向上というのは、私鉄にとってみれば、あまり採算面でプラスにならないと思いますね。冷房つけたところで、採算がよくなるわけじゃない。それから、混雑率が緩和すれば、かえって採算が悪くなる、こういう問題があると思うのです。だから、これほうっておいたら、これもなかなか改善しないのではないか。だから、こういう問題については、やはり政府の助成策というものは必要ではないか。それからまた、運賃値上げの場合にやはりこういう問題を勘案すべきではないか。どれだけ混雑緩和のために投資をしたかとか、あるいは居住性改善のために冷房完備をしたか、そういうところは当然それだけのコストがかかっておるから運賃値上げを認めてもいいとか、そういう努力をしていないところは認めないとか、そういうような指導というものが必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  66. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) おっしゃるとおりでございます。混雑緩和のために輸送力増強しなければならぬということで、輸送力増強をやるためには国としての助成、たとえば開銀融資なり、税制の問題なり、いろいろ考えなければならぬのでございまして、従来もそういう方向で助成をいたしてきたわけでございます。また、運賃改定のときにおきましても、当然、先生おっしゃいましたように、輸送力増強する、その増強する輸送力によりまして列車本数をどれだけふやし、あるいは列車混雑というものは何%ぐらいに下げていくというような考え方に立ちまして、設備はどういうふうな増強をし、車両はどれだけの増強をするというようなことにいたしておりまして、それを基礎といたしまして運賃の改定をいたします場合の原価の中にこれを算入をいたしまして、そうして運賃改定の審査というものをいたしておるわけでございます。なお、その際におきましては、輸送力増強だけでなく、当然安全のための工事、たとえば踏切りの立体化の工事だとか、あるいは線路の重軌条化、あるいは線路を強化するための主事だとか、安全のための工事もその中に入るわけでありますが、さらにサービスのための工事、たとえば冷房化の工事というようなものにつきましても、今後、先生のおっしゃいますように、これを十分に考えまして、運賃値上げの場合の資本費の計算というようなものをやっていかなければならぬものだと私ども考えております。
  67. 田渕哲也

    田渕哲也君 単にコストとか資本費の問題から考えるのではなく、結果からやっていく必要があるのではないか。たとえば事故を非常に起こさないところは、それだけ安全なサービスを提供しておるから、質の高いサービスを提供しておるから、運賃が上がっても何とか納得するだろう。冷房を完備しておるところは、それだけ運賃上がっても納得するだろう。スピードでもそうだろうし、混雑率もそうだと思う。いかに投資をやっても、二五%も詰め込まれれば、運賃値上げなんといったって、荷物以下の扱いをされて値上げなんというのは納得いかないと思う。だから、結果から見て、どれだけのサービスを提供しておるかということで運賃の値上げということを考えるべきで、どれだけの金を使ったからということではおかしいのではないかと思いますがね。
  68. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点は、おっしゃるとおりだと思います。運賃改定等の申請がありました場合には、現在当該事業者がどれだけのことをやっているか、特に前回の運賃改定以来当該事業者がどれだけそれに対してその実績としてあげてきたかというようなことを見、そして実際の提供する混雑緩和あるいは冷房その他のサービスというものも十分に考え合わせて、そうして今後の資本費の問題とも考え合わせてこれを決定をするということになろうかと思います。
  69. 田渕哲也

    田渕哲也君 これで終わります。
  70. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 午後三時半まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後三時四十六分開会
  71. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 休憩前に引き続き、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  72. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 新幹線で事故が起きて、聞くところによると、昨日大阪へ本院並びに衆議院から千日ビルの火災事故の調査のために行かれた議員が夕方の新幹線で帰る予定だったところ、事故にあって、聞きましたところでは十二時間たっぷり新幹線に乗ってきたと、こういう話だった。夜明けになってようやく東京に着いた、こういう報告を聞きました。これは、運輸委員会のメンバーには千日ビルの調査に行った人はいなかったのでありますけれども、だいぶ各委員から、一体これはどういうわけだといったような質問がございました。夕刊を見ますと、まだきょうに至ってもダイヤの混乱がそのまま継続をし、まだ完全に回復していないということであるし、また国鉄でも至急その調査を行なうことになっているということなんでありますが、事故が起きてからもう一日たっているわけでもありますし、一体なぜこのような事故が起きたのか、またこの事故がまかり間違えば大惨事になったかもしれないということを考えますと、相当この問題はゆるがせにできないことであるような気がいたしますので、一応御報告を願いたいと思います。
  73. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨晩の新幹線の事故はたいへん影響が大きく、非常に関係の多数の方々に御迷惑をおかけいたしまして、まことに申しわけないと思います。  ただいま御質問でございますので、概略につきましてなるべく簡単に御説明申し上げますが、ただいまちょうど現地へ昨晩から派遣いたしました技術者が戻ってまいりまして、パンタグラフあるいは架線の切断面等を持って帰っております。いまの時間、本社でもって電気関係担当の山口常務理事並びに技師長を中心といたしまして、架線・パンタグラフ事故対策委員会というものをつくりまして、現在究明中でございますので、ただいまの段階で私から具体的な原因につきまして申し上げる段階ではございませんが、まず事故のあらましにつきまして申し上げて、その後の復旧状況並びに本日の状況について御報告さしていただきます。  昨日・五月十七日十七時四十三分、新幹線の静岡−三島間におきまして、岡山発の東京行の第68A、ひかり68号、現車十六両をもちまして静岡駅を定時に通過いたしまして、時速約二百キロの力行運転中に、東京起点百三十キロ五百メートル、静岡から三十七キロ東京に寄ったほうでございまして、行政区画は静岡県吉原市内でございます。その付近で突如電気がとまりまして、非常ブレーキが作用いたしまして、そして百二十八キロゼロメートルでもって停止いたしました。運転士はすぐ無線によりましてCTCに連絡いたしますとともに、運転士二人、車掌四人乗っておりまして、合計六名の乗務員が乗っておりまして、協力いたしまして車両状態を調査いたしましたところ、十六両編成の八個のパンタグラフが全部破損しておりました。とてもこれは応急処理ができないということでCTCにその状況を連絡し、また万が一の事故もおもんばかりまして、電気関係では付近のセクションの停電をいたしました。また架線が約一・四キロメートルの間でたれ下がっておりました。そして、その他碍子あるいはブラケット等が相当破損をいたしております。また電車の架線の柱一本が曲がって損傷しておりました。パンタグラフは合計八個ついておりましたが、パンタグラフの第一、第二が小破、第三、第四、第五、第六の四つが大破、それから第七、これがこわれて落ちております。第八が大破いたしまして、二両目から一両目——最終の車の上に乗っております。こういう事故でございました。  実はパンタグラフの事故は、御承知のとおり昭和三十九年に新幹線が開業いたしました直後、非常に続発いたしたことは御記憶のことかと存じますが、その後いろいろパンタグラフ自身並びに架線のほうもいろいろ研究いたしまして、四十年にはほぼ修理を終了いたしました。四十三年に一回でございましたとれども、その後今日までパンタグラフの事故は一ぺんもなしに過ぎておったわけでございますが、突如としてこういう大事故が起こりまして、非常に実は純粋に技術的な問題としていま検討し、いろいろ対策を考えている次第でございます。  先ほど申しましたとおり、目下まだ現物を目の前にいたしましていろいろ検討しておるところでございますが、いまのところ結局は、パンタグラフ自体、すなわち第一位のパンタグラフ自体に何らかの破損が起きて、そしてそれが小破しまして、それによって架線が波を打って次々とパンタグラフがこわれたという原因か、あるいは何らかの事情によりまして架線のほうに故障があって、そして、それにパンタグラフが引っかかってこわれた。結局架線側か、パンタグラフ側か、どちらかの原因であろうということだけは推定されますけれども、いまのところ打痕すなわち打ったあと、あるいは油等がいろいろついておりまして、これを物理的に、技術的に検討すれば、おおよそのことは結論が出るというふうに考えておりますが、何といたしましてもここ数年間、ほとんどこの種事故がなくて過ぎて安心いたしておりましたが——また十六両編成になりましたときにも約一カ月間現車のテストをいたしまして、十二両の場合と十六両の場合と、パンタグラフの、架線の何と申しますか、振動に対する影響等もずいぶん検討いたした結果、十六両運転をしたわけでございますが、その後初めてこういう事故が起こりまして、どちらかに原因があることは、これはもう明白でございます。したがいまして、パンタグラフ自身の問題だとすれば、これの強度の強化あるいは取りかえ等を行なう。現時点におきましては正規の期間内の修繕、検査等は全部規則どおりやっている、また架線のほうもちょうど昨日見回りをした直後であるということでございますが、現物を見た上で物理的に検討するということに相なると思います。いままでの——昨日の例ではございませんが、いままでの例で申しますと、大体第三位並びに第四位のパンタグラフの故障が一番大きいというようなことが過去の実態から出ております。これは、三、四、五、六と大破いたしまして、七位が落ちているということでございまして、若干いままでの経過とは違った点もございますけれども、これはやはりそのときの事情によりまして、あるいは架線の状態によってこういう結果が出たのではないかというふうに思われる次第でございます。  なお、この付近が公害地帯ということでもって、何か非常に架線の腐食がひどいというふうなことも新聞等に見えておりましたけれども、けさの報告によりますと、架線の切断面は非常にきれいで新品と同様であって、そういう腐食の事実は認められなかったというふうに申しておりますが、これもけさの電話報告でございますので、まだ詳しく申し上げる段階になっておらないわけでございます。  次に、復旧の状況でございますが、御承知のとおり三島には私どものほうの小さい車両の基地がございますので、幸い三島に近かったために早くこの電車を三島の基地に収容してしまいたいということでいろいろ作業をやっておりました。何とかパンタグラフをゆわえつけて、そして、引っぱっていけないかということをやりましたけれども、それまでに三島から人が車で参りまして十九時二十八分から約一時間かかりまして八個のパンタグラフをしばりつける、あるいは落ちたものを拾い上げるという作業を終わりまして、そしてその区間だけ電気を通しまして、三島から持ってまいりました電車を、上り線を逆運転いたしまして、そして十六両の電車を引っぱりまして三島まで連れてまいりました。その間、実は下り列車は運転できたわけでございますけれども、片一方で事故の復旧をやりながら運転をすることは非常に危険でございますので、二十二時まで下り線をとめておったわけでございます。上り線は二十二時十八分に一応開通いたしました。そして先ほど申しましたとおり十六両の電車をほかの電車で引っぱりまして、三島まで持ってまいり、そして三島の駅でもってお客さんにおりていただきまして、二十三時五十八分に三島からほかの電車でもって東京まで帰っていただいた、こういう事情でございます。その後一ぺん電気を切りまして、そして再度上り線の復旧をいたしまして、結局けさの一時二十六分に復旧作業のため饋電を停止いたしまして、けさの午前二時二十五分に完全に上り線が復旧した、こういう次第でございます。このためにその付近で下り十五本、上り二十六本の電車が抑止と相なったわけでございますが、指令といたしましては極力駅にとめる。駅にとめませんと、いろいろ問題もございますので、極力その際には駅に列車を停止させるという手配をとりましたが、この事故を起こしました電車及びその二個編成の電車は前の駅を出てしまったあとで、一編成はトンネルの中にとまったという事実もございまして、その後部分的に電気を通しまして、それをうしろに引き出すというような作業をいたしたわけでございます。その他、下り列車につきましては、この下り電車からさらに北陸に行かれる方等もございますので、在来線につきましては北陸線あるいはもちろん東京都内の各国電、あるいは三島−静岡間、東京−大阪間等に臨時列車を運転いたしまして乗客の収容につとめたわけでございますが、大部分のお客さんはもう乗りかえはめんどうくさいと言われて、早く直せというようなお話でもって、あまり乗りかえた方はおられなかったようでございます。なお、食事その他の手配につきましても極力いたしましたけれども、大体お客さまは十七日の分が約五万人、十八日の分が約一万人というふうに推定されておりましたが、このうち給食を差し上げた方が約一万人、列車本数にいたしまして十三本という状況でございます。そのほかに約四千人分のパン等を準備いたしたわけでございます。なお、払い戻しの金額は約五千万円でございます。  きょうの影響といたしましては、物理的な影響よりもむしろ東京駅上り電車が非常にとまっておりまして、東京駅の発着が非常に時間がかかるということで、結局東京駅のホームが二面しかございませんので、東京駅のホームの収容できる範囲で列車を出しましたために、本日も若干まだ運休本数が残っております。きょうは一応の見込みで下り八本、上り七本の運休をする予定でございますが、実際は十本ずつぐらいの運休になってくる見込みでございます。しかし、これは先ほども申しましたとおり、事故、故障ではなくて東京駅の発着能力の問題でございますので、これは徐々に解消してまいるというふうに考え、おおむねきょうの夕刻からは平常ダイヤに復する。こういうような見込みでございますが、若干のおくれはあるかとも存じます。  以上簡単に申し上げましたけれども、冒頭に申し上げましたとおり、まだ原因その他については明確にいたす段階ではございませんが、極力あらゆる技術力を動員いたしましてこの種事故の絶滅、もし物理的に対策が立てられるものならば、もちろん物理的対策を立てるということをいたしまして、そうしてこの種の事故が一切起こらないようにいたしたいというふうに考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、国会議員を含めまして多数の方々に御迷惑をおかけしたことを申しわけなく思っております。  以上たいへん簡単でございますが、御報告を終わります。
  74. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 パンタグラフが八個全部破損したという話を聞き、さらに架線がみんなずたずたになったということを聞きまして、一番先に考えたのは桜木町事故であって、やはり架線が切れてパンタグラフにからまって火を吹いて列車が焼けて大ぜいのむざんな犠牲者を出したということは、まだわれわれの記憶にあるところであります。それだけに死傷者がなかったということは幸いだと思います。まあ大阪まで視察に行った方がいずれもひどい目に合った、十二時間たっぷり乗せられたということを口々に言っておりましたけれども、その程度で済めば——まあそういう人たちにはやはりはなはだ失礼な言い方ですけれども、その程度で済めば不幸中の幸いだと思うのですけれども、たとえば人為的な列車妨害といったような問題、あるいは鳥だとかネズミだとか、こういったような動物による障害、そういう外部的な障害の形跡は一切なかったのかどうか、こういう面でもこれは慎重に調査する必要があると思う。もしそんなことがあったらこれまた一大事ですから、そういう懸念というものは、いままでの調査の段階ではなかったのかどうか。そういう外部的な要因でなかったとすると、故障であるということになる。故障であるとするならば、車両のほうの、つまりパンタグラフのほうの故障なのか、あるいは架線のほうの、施設のほうの故障なのか、どちらなのかということになってくるわけです。  まずお伺いしたいのは、そういう外部的な、いわば列車妨害的な、そんな懸念というものは一切なかったというふうに言い切れるのかどうか。
  75. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点、現時点で一〇〇%正確なことを申し上げかねますけれども、多分それはなかっただろうというふうに考えておるわけであります。ただ破損しました第一位のパンタグラフにも、また折れました、曲がりました電柱にも相当多量のグリースがついておるわけでございます。このグリースが一体どこのグリースなのかということにつきまして、あるいはパンタグラフにも多少グリースがございますから、パンのグリースなのか、それともどこのグリースなのかということ、これはもうすでにたぶんわかっていると思いますが、グリースが相当ついていたということ以外に、特に外的な、たとえばいまおっしゃったように鳥だとか、そういったものを含めましての外的な原因ではたぶんないのじゃないかというふうに考えます。先般高崎線でときどき起こりました架線故障は、主として、パンタグラフよりも架線自体に原因があったことは御承知だと思います。架線の、たとえばネジがゆるんでいたとかいうことで、ちょっとした衝撃で架線自身がいたみ、そのいたんだ架線が次のパンを引っかけるというような逆な因果関係で事故が起きたこともございますけれども、ここのところは、この点につきましてはまだどちらが先であるということを申し上げかねる状態でございますけれども、現在のところ、外的なものでないということは大体間違いないのじゃないかというふうに思います。しかしこれも一〇〇%とは申し上げかねますので、ここで断言することは差し控えたいというふうに思いますが、たぶん外的なものではないというふうに推測されるわけでございます。
  76. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 桜木町事故のようなことにでもなれば、これはたいへんなことになったわけです。たまたま千日ビルのことでもって非常に世間の人はびっくりしたわけでありますけれども、これと相前後して羽田で飛行機が事故を起こしました。それから、羽田の飛行機事故も新幹線のこの事故も人命に支障がなかったということは幸いだと思うのです。しかし考えてみると、あの羽田の飛行機でも火を発して丸焼けにでもなったら、これはまたえらいことになったわけですね。大阪のビルどころの騒ぎじゃない、むざんなことになったと思います。また、この新幹線にしても、かつての桜木町のように車両が火に包まれるというようなことになれば、これまたとんでもない大事故になったわけです。それを考えると非常におそろしい気がするわけですけれども、車両の構造上、こういう電気関係の事故あるいは架線関係の事故といったようなことに対して、発火をしてかつてのああいう桜木町のような事故にならないような自信があるのかどうかですね、まあそういうようなことは、事故というのは予測しないところで発生するものなんですけれども、そういう点は念には念を入れる必要があると思うのです。非常におそろしいという感じがするのでありますが、その点はどうなんでしょうか、専門的な面でひとつ御報告願いたいと思うのです。
  77. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 桜木町のときにあれだけの事故を起こしましたので、その後車両構造の面で特に勉強いたしまして、特に新幹線の場合もほんとうによく勉強いたしました。屋根その他に絶縁材料を張ってございまして、それによる発火の起こらないように車両自体に処置をしてございますと同時に、事故が起こりますと同時に遮断器が飛びまして電気が切れるというような処置が講じてございますので、だいじょうぶでございます。
  78. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 何にしても、飛行機でも電車でも、要するに火というものは結果的にはおそろしいものになるわけです。千日ビルでも、焼死した人はいないけれども、煙で中毒して死んだ人がいる、こういう新しい問題が出てまいりました。車両火災といったようなことは、国鉄でいままで全然なかったわけじゃない。最近でもちょくちょくあるわけなんですけれども、車両火災を発生したということになると、二百キロの高速で走っている場合にどんなことになるのか、これまたちょっとわれわれの想像できないようなおそろしさがあるわけでありますが、この車両火災の心配もやはり構造上はないようになっているのかどうかですね。その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  79. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 先生おっしゃるように、非常に高速で走っておりますので、一たん火災になりますと非常に危険でございますので、それぞれの部品ごとに十分なる絶縁材料を使って電気関係による火災の起こらないように、またその他の火災、たとえばたばこの火だとか、あるいはビュッフェだとかいったようなところによる火災が発生しないように不燃材を使って、車両の火災防止につとめておるところでございます。もし起こりますと非常に危険でございます。十分注意をしてやっております。なお今後一そう気をつけなきゃいかぬと、こう思います。
  80. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 事故対策なんですけれども、この新幹線の場合ですね。高架を走っている場合が多いでしょう。現場は一体どんなところだったのか。おそらく平地じゃなかったろうと思いますね。だから、どういう高架を走っている新幹線に事故が起きた場合ですね、たとえば車でかけつけるにしても、たんぼの中だったりすると始末が悪いわけです。それから、高架の上を走るには今度は自動車とかバイクや自転車は使えないだろうと思う。そういう場合の事故対策としての構造上で考える点はないのかどうか。この事故を起こした現場はどんなような状態だったのか。所要時間なんかも一体どのたらいの所要時間でかけつけることができたのか、その点もお伺いしたいと思う。
  81. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) ちょうどこの場所は静岡と沼津の間でございまして、ちょうど高架橋の部分に当たります。それで、高架橋につきましては、ふだん線路保守あるいは巡回、あるいは架線の保守等の保守要員が通りますための通路が両側にとってございます。それから高架橋に上がりますのに何百メーター置きかに、それぞれの道路事情等を考えまして、高架橋に上がる階段をつくってございます。もちろんふだんは締めております。これは無用の方が入って来ていろいろ問題を起こしちゃいけませんので、締めてございますが、階段がところどころに取り付けてございます。ただ、新幹線の場合には高さの関係等もありまして、そういう点でなかなかおりにくいという点もございますけれども、おりて退避をするというような場合におりられないというような構造にはなってございません。そういう作業用の通路等がございますので、それを通ることができます。なお、こういう場合のことを考えまして、新幹線総局としても、こういう事故に対する万一のときの対策として、マニュアルなどをつくりまして、いろいろそのときの対策の処置をどうするかということを常々検討し、準備はしてございます。実際必要になっては困りますけれども、そういう処置、段取りを訓練をさしておる次第でございます。
  82. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この種の事故は一種の教訓になっただろうと思いますがね。乗客の立場になってみると、開閉できない車両の中で、閉じ込められたまんま十何時間ということになると、冷暖房等がきかなくなるということもあるでしょうし、いまのような気候のいいときはいいかもしれませんがね、寒いとき暑いとき、そういう冷暖房が切れてしまってどうにもならぬといったようなことにならなかったのかどうかですね、そういう心配はないのかどうか。それから、おりるにしても、相当大きなものですから、簡単におりるのも危険な状態だと思うのですがね。やはりもよりの駅まで車を持っていって乗客が在来線に乗りかえるとか何とかの便をはかる場所にあればいいけれども、できない場合は困ると思う。こういう処置は適切に行なわれたのかどうか。また乗客に対して、一体どういう事故でどうなっているのか、どのくらい待たせなければならないのかというような案内を、それぞれの車両ごとに適切に行なわれたのかどうか。そういうこともお伺いしたいと思います。
  83. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまの空気の混濁の問題、あるいは冷暖房の問題でございますが、この場合には、もちろん予備電源を持っておりますので、ある時間は、若干電気は暗くなりますが、ついております。これはそう長くは持たないわけでございます。したがいまして、予備電源が切れたあとはまっ暗になってしまったということもございました。ただ、非常に空気が悪くなりますので、出入り口のドアは手であけるようにできておりますので、きのうの話を聞きますと、一時、手で車掌があけるようにいたしました。そうしたら、駅に着いたお客さんはいいわけですが、駅の中間に着いているお客さんがそこからおりられそうになったので、これはあぶないということで、締めますからということで、あけたり締めたりしたことがあったようでございます。しかし、駅に着いているものはこのドアは全部あけっぱなしということにしたようでございます。したがって、駅と駅の中間に車のとまることが一番私どもとしては心配なわけでございます。そういう場合には、結局気をつけて昇降口をあけて空気の入れかえをはかるということをやる以外にいまのところ方法はない。非常口をあけますとあぶのうございます。非常口をあけないで、出入り口でもって空気の流通をはかるというふうにしたようでございます。また、そういうふうな指導もしているというように聞いております。  それから、お客さんの案内でございますが、これは乗られた方によって非常に御感想が違いますようでございますが、幸いCTCにすぐ総局長が参りまして、事故対策本部をつくり、また全般の情勢の把握をいたしましたので、御承知のとおり、全部無線がついておりますので、CTCとの連絡は非常に緊密にできておったようでございます。また車掌もできるだけお客さんにその情報を周知させるように努力をしたようでございますけれども、若干復旧の見込みが甘かったというふうに私は聞いております。大体夜十時か十一時、すなわち二十二時か二十三時ごろには復旧できるというふうに思っていたようでございますけれども、その点が三時間くらい予定よりおくれたということ、これはいろいろきょう事情を聞きますと、事情もあるようでございますけれども、予定の時間よりも二時間ないし三時間よけい時間がかかったというこには一つの問題であったというふうに思います。情報はわりあいに、現在線と違いまして電話がいつでも通じますので、非常に緊密にとれておったというふうに聞いております。しかし、やはりお客さまとしてみれば非常に不安でございますし、また暗くなると一そう心ぼそいということで、非常に騒がれた方々もあったようでございますけれども、大部分の方はわりあいに車掌の指示に従ってくださって、そうして、とにもかくにも早く動かせという御注文は非常に強かったようでございますけれども、非常に大きな騒ぎになって御不安になったというふうなことはなかったというふうに聞いております。しかし、いずれにいたしましても、問題は復旧の時期の見通しだと思うのです。昨日私どもも夜聞きましたときには、大体十時から下り線は通れるから、いつでも復旧できます、これはそのとおりだったわけですが、結局上り線の復旧ができなければ下り線は通れないということで、私どもも大体夜十時から十一時には復旧できるというふうに見ておったわけですが、さっき申し上げたように、いろいろな事情で若干おくれて、それがお客さんの相当の御不満を買ったということを聞いております。しかし、復旧の人数その他から申しましても、集め得る最高の人員を現場で集めているというふうに思いますので、その点でお客さんに対する誘導その他については、できるだけのことをしたというふうに私は思っておりますけれども、しかし根本は、何と申しましても、一刻も早く復旧するということが大事なことでございます。復旧についてもう少し順序よくやらなきゃいけない。しかし、実際に電車区間で申し上げますと、上のほうに架線並びに架線をつる吊架線あるいはビーム等がございまして、非常に蒸気区間と違いまして復旧がやりにくいことは御推察のとおりです。ことに新幹線のように、高架あるいは盛り上等で一般よりも高いということになりますと、そこへ普通のクレーンを入れるわけにいかぬということで、どうしても線路沿いに、線路から入れなきゃいけない。そうすると、線路には他の車があるということで、非常に復旧がいたしにくいことは事実です。実は私どもでは、停電に備えまして新幹線用のディーゼル機関車を二両常時配置しておりますけれども、やはりそれがそこへ参りますまでに、ほかの列車があると行けないということもありまして、結局、昨日も、けさ方も三島の電車でもって十六両の電車を引っぱり出したということでございまして、その点で、事故復旧にはもう少し何か手っとり早いクレーンなりジャッキなりがないのかどうか。幸いこれは脱線しておりませんので、その点はわりあい問題はなかったですが、かりに脱線でもしておりますと、またその復線に時間がかかるということもございますので、やはりこういった高架上あるいは盛り土上における事故復旧は、在来線の考え方と少し変えなきゃいかぬということも、実はけさほども話しておったところでございまして、やはり特殊な動力を持ったものでもって引っぱるなり、持ち上げるなりということについて、もう少し手ごろなものを持っていなければ応急の間に合わないというふうに思うわけでございます。したがって、いまの体制が必ずしも万全だと思いませんので、もう少しそういった面について具体的な研究をさせたいというふうに思っている次第でございます。
  84. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこでちょっと大臣にも意見をお伺いしたいと思うのですけれども、こういう高架を走る新幹線なんかが事故を起こす——不幸中の幸いは、死傷者を出したりという大惨事にならなかった——しかし、これは、これから先も考えておかなきゃならないことじゃないかと思うのです。その場合に、高架の上を走っている、さてそこへ人がたどり着くのにどうしたらいいかという問題が出てくる。いま総裁の答弁にもあったように、停電に備えてディーゼル機関車を置いておるというけれども、確かに軒並みにとまってしまった場合、自動車のようにわきをすり抜けていくわけにはいかないわけですから、そうすると、これはわれわれがどう考えてみたってたいへんなことだと思うのです。そういうことを考えてみると、これから先——すでにできてしまった東海道新幹線のこの事故の教訓から、これから先建設をされるであろうところの山陽新幹線にしても、東北、上越新幹線にしても、やはり新幹線のわきに道路をつけておく、側道をつけて、何かの場合の連絡用にこと欠かないようにしておくという必要があるんじゃないかと思うのです。新幹線のための幅は、たかだか十何メートルで済んでいるわけです。昔流の言い方をすれば、一級国道であっても二級国道であっても、国道の幅というのは新幹線の線路用の幅よりもはるかに広いわけです。それを考えると、この新幹線の線路のわきに側道を設けるなり、あるいはまた在来線の軌道を設置できるような方法を考えるなり、何らかの方法をこれから考える必要があるのじゃないかという気がするのですが、はたしてそれだけのことを考慮に入れてこれからの新幹線建設に着手するということができるかどうか、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  85. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま総裁から御報告申し上げましたように、また瀬谷先生からも御質問のございましたように、新幹線におきまして架線並びにパンタグラフの破損によりまして運行が長時間停止になりまして、乗客に対して多大の御迷惑をかけ申しわけない次第でございますが、幸いにして大事に至りませんでした。このことはまことに、何というか、非常に不幸中の幸いだと思っておる次第でございます。  その前にお話がございましたが、羽田空港におきまする日航機のエンジンの故障によりまして、これまた九死に一生を得たと言うか、非常な大災害になりませんで、人身事故を起こしませんで終わりましたことは、乗客には御不安をかけましたけれども、不幸中の幸いだと思っておる次第でございますが、これは私非常にその点心配をいたしまして、直ちに、私が国会へ出席中でございましたので、私の命令によりまして、事務次官をして日航の社長を招致いたしまして、それらの点につきまして十分注意をして、点検その他、操縦その他の点につきまして、再びかかることのないようにというように注意を喚起いたしました。常日ごろから、要するに交通機関の安全第一を旨として常に指導しておりますが、今回の日航の事故——日航もサンフランシスコで一度やはり不時着みたいなあれがあった次第でございますが、日航はいままで何にもなかったということを誇りにしておりました。新幹線についても誇りに思っておりましたが、不測の事故でそれらが起こりましたことは残念にたえない次第でございまして、実は新幹線の架線の事故につきましては、いま総裁から御答弁申しましたとおり、三十九年開設して四十二年度までには架線の事故が相当頻発したが、その後非常な努力によりまして、四十三年から四年間、四年以上架線の事故は一つもないということでございまして、私ども常々七年にわたって四億人の旅客を運んで無事故である、幸いにいたしまして人身事故はございませんでしたが、しかし新幹線で万一事故がありましたならば、二百キロからの速力を出しているので、えらいことになる次第でございますので、その点は十分これから注意をして、まあ私ども常に聞いている次第でございますが、国鉄の技術というのはもう世界で誇るに足る技術である。したがいまして、安全性の確保につきましても、それだけに私は進んでいると思う次第でございますが、それらの点につきまして、いま御指摘がございましたような方法におきまして高架あるいはトンネル、要するに専用道路と申しますか、無事故の一番の大きな原因は立体交差——よその外部障害によりまして、いま御指摘がございましたような外部障害による不測の事故を起こさない、それゆえに軌道につきましては人の立ち入りというものを特別に禁止している、そのための法律措置も講じるということによりまして、外部からの障害を隔離することによりまして安全性を保つということでございます。それゆえに高架場所が非常に多い、こういうふうに私も思っておる次第でございましたが、いま御指摘のように、高架であるがゆえにまた万一のことが起こった場合にその応急処置をどうするか、確かにごもっともでございます。承りますところによりますと、今回の岡山新幹線につきましては、高架の場合におきまして、やはり片道四メートルぐらいの幅員の余裕をとっている次第でございまして、また都市部におきましては両側に四メートルずつとっているということの配慮はしているようでございますが、さらに一そう、そういう点につきまして、国鉄当局が技術陣を動員し、英知をしぼりましてこういったような不測の場所における救出作業その他の点につきましても遺憾のないような整備をする、そういう事故防止のための万全の施策を——これは経費の問題にかかわらない次第でございまして、国鉄当局も行なわれている次第と思いますが、私どもも努力をいたしましてこのせっかくの世界に誇っておるところの新幹線の安全性というものの確保のために一そうの努力をするように私も強く指導してまいりたいと思いますので、御了解願いたい、こう思う次第でございます。
  86. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まかり間違えばたいへんなことになる性質のものです、この羽田の航空機事故にしても新幹線事故にしても。そこで今回の事故の原因というものは相当綿密に調査して調べる必要があると思うんですが、どうかこの詳細は、原因がわかり次第委員会に御報告をお願いしたい、こう思いますので、以上でこの新幹線事故についての質問は一応終わりたいと思います。  この鉄道建設公団関係ですけれども、一応「緊急に整備すべき地方鉄道に係る鉄道施設等の建設及び改良を行なわせる」必要があるんだということがこの理由の中にあるんでありますけれども、「緊急に整備すべき地方鉄道」の範囲というものをどうやってきめるのか、この緊急整備の度合いというものをどういうふうにきめていくのか、これをきめるのはどこの機関がきめていくのかといったようなことについてお伺いしたいと思うんです。
  87. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の法律でございますが、これは現在の都市交通の非常な逼迫の現状にかんがみまして、いま非常に困っておりますところの輸送力増強のために複々線化工事をするとか、あるいは都心直通の乗り込れ工事をするとか、あるいはニュータウンに対しまするところの新線をつくるとかというような内容のものでございます。そういったような基幹的な線路増強等につきましての工事でございまして、その具体的なやり方といたしましてはこの法律に基づきまして事業者からの申し出がございます。そうして、その申し出によりまして運輸大臣がこれを政令で定める都市内における建設並びに改良というようなことのために緊急な必要があると、また公団が適切であるというように認める場合には工事実施計画を定める、そして公団に指示をするということでやってまいるわけでございます。したがいましてただいまの御質問の点につきましては、結局運輸大臣が当該申請に基づきましてこれを認定をいたしまして、そして指示を出すということに相なるわけでございます。
  88. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 提案理由説明の中には、車両増備等を中心とする従来の私鉄輸送力増強対策が限界に達しておる、こういうふうにあるわけですが、それは私鉄に限らないわけです。  そこで、何でそういうことになるのかという問題でありますけれども、これは過密過疎といったような現象だと思うんですけれども、住宅公団計画的にいろいろ住宅を建てておる、団地ができる、ところがその団地と交通のほうは必ずしも伴わないという結果がしばしばあるわけです。  そこで、まず住宅公団のほうにお伺いしたいんですけれども、一体、現在どの程度団地を計画をして建てておるか、それとその足の問題は一体どうなっておるのか。先般、この前の委員会のときに私もちょっと質問しましたけれども、たとえば埼玉県の高麗川近辺に団地をつくり、しかし水が出ないんで入居者がない。その限りにおいては確かに建設委員会の問題かもしれませんけれども、入居者が全部そろった場合に、さて足の問題となればこれは運輸委員会の問題になってくる。ところが、いままでそういう足の問題について、団地ができる、すぐに鉄道のほうが私鉄であれ、国鉄であれ、スムーズにその地域の人たちを運ぶのに不自由なくいったということをあまり聞いていない。必ず団地ができると、その地域ではバス問題にしても、電車の問題にしても、いろいろ問題が起きてくるわけです。そういう点からこれは相当緊密な連係をとるべき性格のものじゃないかと思うのだけれども、現状ははたしてどうなのか。そこまで手が回らないのか、あるいはこれから建設されようとするところの公団住宅等は一体そういう点の配慮があるのかないのか、そういう点もこの機会にお伺いしたいと思うのです。
  89. 福地稔

    説明員(福地稔君) 住宅公団監理官でございます。お答えいたします。  昭和四十七年度におきますこの関東地区におきまして建設を予定しております住宅は、約五万七千戸、これは賃貸住宅あるいは分譲住宅も含めてでございます。団地数にしまして十数カ所でございます。  それから足の問題につきまして御指摘ございましたが、住宅公団としましては都市の住宅難に対するための住宅を建設いたしておりますので、だんだん最近に至りまして適地が少なくなってきて、やはり都心部から離れていく。それから、都心部から離れていくし、かつ今度は交通機関から離れた土地に建設せざるを得なくなるというのが現状でございます。それで、したがいまして、住宅公団としては建設いたします際には、もよりの私鉄あるいは国鉄、あるいは場合によっては運輸省のほうにもいろいろお願いしておりますが、ケース・バイ・ケースでその計画を御説明し、御協力をお願いしておるわけでございます。
  90. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 多摩ニュータウンの場合でも問題になったが、それからいま私が指摘したのは埼玉県の一例ですが、千葉県でも相当大規模な住宅の建設が行なわれている。しかし非常に不便な場所が多い。電車の訳まで行くのにバスで行かなければならぬが、バスもそうたくさん出ない、こういったような話を聞いているわけです。バスにも乗れない状態では、今度は駅まで到達して、それから先の電車、両方でもって都心に来るのにくたくたになっちゃうんじゃないかと思うのですね。それではいかに住宅を建ててみてもつり合いがとれないことになると思う。そういうつり合いのとれないまあ住宅建設というものが続いたのではいけないと思う。そういう面、たとえば鉄道建設公団が、それじゃ今回私鉄のほうの輸送力増強に力をかそうといってみても、鉄道建設公団と住宅公団との間に今度はここに家を建てる、だから私鉄でもいいし、国鉄でもいいから鉄道のほうを心配してくれないかといったような話し合いというものは一体行なわれているのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのですが。
  91. 福地稔

    説明員(福地稔君) 住宅団地を建設いたします際には、住宅だけが建っただけでは御指摘のとおり用をなさないのでございまして、一般関連設備もございますし、特に足の問題は、これは通勤問題でございます。したがいまして、その土地に応じてそれぞれの交通機関と交渉をいたし、あるいは要請し、お願いしていくことになっております。
  92. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 うまくいっているかどうかです、問題は。
  93. 福地稔

    説明員(福地稔君) 先ほど申し上げましたように、だんだんまあ適地が少なくなってきまして、都心部から距離が離れ、かつ駅から距離が離れるというようなことでございまして、住宅公団としてはいろいろ苦心してその間のギャップを埋めるように努力いたしておりますけれども、場合によってはなかなかうまくいかない場合もございます。
  94. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、たとえばことしじゅうに完成を見込まれている、あるいは来年早々にでも完成を見込まれている団地の位置ですね、どういうところがあるのか、東京近辺だけでいいですが、あげてみてください。
  95. 福地稔

    説明員(福地稔君) 先ほど申し上げましたように、十数カ所ございまして、東京都内では多摩ニュータウン、グランドハイツ、あるいは八王子市の寺田、あるいは八千代市、千葉市の千葉海浜ニュータウン、それから埼玉県におきましては三郷、狭山台でございます。それから横浜には港南台、平塚あるいは平沼というのがございます。
  96. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと聞いただけでもやはり都心からかなりみんな離れていますよ。それでそういうところに住む人が、これは夏、キャンプに行くのとわけが違うのですからね、たいがいの人は都心に通勤する人が多いわけでしょう。地元でもって商売する人もあるかもしらぬけれども、どちらかと言うと地元で商売をするという人よりも、東京を中心に通う人のほうが多いと見なきゃならないし、学校にしても、大学以上になりますと東京へ通うというケースが多いと思うのですね。どうしてもこれらの東京周辺の地域と都心を結ぶ鉄道ということを考えるのは、これは当然のことだと思うのですがね。いまのこの鉄建公団法の改正でもって考えられているのはごく一部だと思うのですね。そこで鉄建公団の総裁にお伺いしたいと思うのですが、現在考えている私鉄に対するいろいろな輸送力増強の方法が、すでに建設を見込まれている住宅団地あるいは人口がふえつつある地域の輸送需要に対応できるのかどうか。何%ぐらい対応できるのか、その点はお調べになっていると思うのですが、この機会に御答弁いただきたいと思います。
  97. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) この公団法改正で、これが通りますと、そういう問題について真剣に取り組んでいかなければなりませんですが、これをやる手続から申しましても、私鉄でいろいろな計画を立てまして、それを運輸省認可いただいて仕事にかかるという中から公団としてやるものがきまってまいりますので、運輸省のほうから御答弁いただいたほうがいいかと思いますので、どうぞよろしく。
  98. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生指摘のように、まあ住宅を建設をして、そして足の問題がおろそかになっている。そのために非常な不ぐあいな点が生じておるということにつきましては、多摩ニュータウンの実例に徴しても先生指摘のとおりでございます。  そこで今回、この法律を立案するに際しまして、そういった点を十分に考えまして、非常に大きなニュータウン、たとえば新住宅市街地開発法によるところの新住宅市街地開発事業あるいは土地区画整理法によるところの土地区画整理事業、そういう施行区域内につきまして鉄道施設なりの建設なり改良というようなものを行なう、そういう場合には、そういう計画を作成をするという段階におきまして、建設大臣意見をも聞きまして、そうしてまあ大きな意味での両者間の調整というようなものをやってまいるという仕組みになっております。  それから、個々のこういう大きなものでない場合の住宅団地の建設等につきましては、これは先ほど建設省からも御答弁がございましたように、随時住宅側から鉄道側に対しましていろいろな情報等をいただきまして、そうして、それによりまして将来の輸送力増強の必要性というものを判定しまして、そうして私鉄あるいは国鉄の輸送力増強というようなものをやってまいっておるという  ことでございます。
  99. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 現在の住宅団地のでき方あるいは人口のふえ方、これは住宅団地ができるから人口がふえるというわけじゃない。団地だけじゃなくて、一般的に首都圏の人口がふえているわけですよ、どんどん。で、これに対応できるだけの輸送力というものは、国鉄と私鉄とを問わず私はないと思う。ところが現在、たとえば今回の鉄建公団法の一部改正法律案にしても、これによってなし得ることは全くスズメの涙のようなものじゃないかという気がするのですね。そこで根本的には私鉄に対する輸送力増強対策とか、国鉄に対する方法とか、区別していられない時期に来ているような気がする。総合交通対策としてこれは思い切った先行投資をやらなければいけないと思う。だからその先行投資を行なうには、国鉄に対しても、たとえば赤字線であるから全然投資をしないといったようなことをやっておると、いよいよますます、これはにっちもさっちもいかないことになるのじゃないかと思う。だから私鉄のみならず、国鉄に対しても、この提案理由に書いてあるような目的であるならば、やはり輸送力増強の対応策というものを考えなければならぬと思うのですね。その点は、国鉄に対してはもう赤字対策で、合理化でもって、どちらかというとまあ、うしろ向きの対策ということしかいま考えられないような気がするのですけれども、それでよろしいというふうにお考えになるのかどうか、この点をお伺いしたいと思う。
  100. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 問題は二つ実はあるように拝察いたします。  その一つは、やはり私鉄、国鉄を問わず、都市の膨張、通勤通学の混雑緩和、そのための輸送力増強の必要性ということでございまして、それにつきましては、たとえば都市交通審議会におきまして、今後の都市の形勢並びに人口の増大の状況、必要となるところの鉄道輸送力の姿というものを判定をいたしまして、そうしてそういった面で輸送力増強計画のアウトラインというものをきめまして、そうしてこれに従って輸送力増強計画を実行していくということに相なるかと思います。東京の場合、それは私鉄地下鉄を中心とした都市交通審議会の答申も出ております。大阪、名古屋につきましては、国鉄も含めたものにつきまして、そういう輸送力増強計画を立てておるわけでございます。  そこで、国鉄につきましての輸送力増強計画でございますが、実は従来やってまいりました国鉄の輸送力増強計画は、まあ主としては、通勤通学輸送に関連いたしましては、東京付近の通勤対策というものを中心としてやってまいったわけでございますが、私どももこれにつきましては今後の新長期計画の中におきまして、通勤輸送の重視という形で国鉄の輸送力増強もやってまいらなければならぬ。今回のこの法律案私鉄にも関連しておりまするけれども、私鉄だけでなく、国鉄についても輸送力増強の必要性があるということは当然でございます。  その次に、国鉄につきましての収支の問題についての通勤投資という問題でございますが、これはまあ通勤輸送投資は非常に収支採算上困難な点が多々あるということは、国鉄、私鉄を問わず、先生の御指摘のとおりだと思います。何と申しましても非常にばく大な資金——建設費が必要でございます。しかもそれによるところの旅客輸送の増というものは非常に長期を要するわけでございますから、したがっていわゆる懐妊期間長期にわたるわけでございます。その意味で通勤投資というものは、どうしても採算上からいきますと、非常に悪いということはいなめない事実でございます。しかしながら、国鉄の投資全体といたしまして、これは採算の面だけでやはり考えるべき性格のものではございません。国鉄の使命上、必要とするならば採算の面を無視してその通勤投資をやってまいらなければならぬわけでありまして、従来もそのとおりやってまいったわけでございますが、今後も新計画におきまして、通勤投資を重点に置きまして、整備をさせなければならぬものと、こういうように考えております。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄にお伺いしたいのですがね。この前、国鉄の出席のないときにちょっと聞いてみたんですが、たとえば八高線とか、川越線というのは現在そろばん上は赤字線です。したがって赤字線であるだけに、これに対して投資をするという計画はない。しかし、私鉄が交錯しているわけです、西武鉄道とか、東武鉄道だとか。国鉄の川越線なり、八高線の沿線に団地ができた場合、もし鉄道の便宜をはかろうとするならば、西武線なり東武線の乗り入れですね、相互乗り入れということを考えなければならぬじゃないかという気がするのです。それはゲージの違う鉄道ではこれは無理ですけれども、ゲージの同じ場合は、国鉄の八高線のようなところを電化して、あるいは川越線を電化して、複線化をして、輸送力増強の余地をつくっておいて、そして私鉄との相互乗り入れということをやれば、団地ができてもその団地の周辺の輸送需要を満たすことはできると思うのです。しかし、それをやるためには私鉄も金をかけなければならないし、国鉄も投資をしなければならないという問題が出てくる。いま御答弁によれば、これは私鉄がまずその気を起こして、そして運輸省のほうに話をして、何とかここでもって複々線にしたいから金を出してもらえないかということにならないと、すらすらとこの公団法の一部を改正してみたところで金は出てこないようになっているわけです。そうすると、国鉄と私鉄と両方にまたがらなければいけないような地域では、もう救済の方法がないということになっちまうわけですね。一体どうするのか。こういう場合に国鉄としては、いま鉄監局長も言っているように、赤字だからやらないというわけにいかぬだろう。特に僻地の赤字線と違って、これは少し思い切った投資をすれば黒字になるかもしれないところの首都圏の鉄道なんですから、こういう部門に対して国鉄としてはどのような方策を考えているのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  102. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 首都圏とか大阪のような大都市交通の通勤通学輸送に関しましては、国鉄も第三次以降相当投資をいたしました。大体車両を除きましても、毎年五百億以上の金をつぎ込んでまいりました。御承知のように、首都圏におきましては、いわゆる五方面作戦と申しまして、総武線の津田沼まで、それから東北線につきましては大宮−赤羽間の三複線化、それから中央線につきましては中野−三鷹間の複々線化、東海道線につきましては東京から平塚までの複々線あるいは三複線、常磐線につきましては取手までの複々線工事を進めてまいりまして、大体それぞれ完成または完成に近くなっております。ただ一部、東海道線につきましては地元の反対がありまして、まだ進展しておりませんが、これも大体いい方向に進みつつありまして、大体東京付近の当初計画しましたものは進みつつあるわけでございますが、さいぜん運輸省からも御答弁がありましたように、大阪付近につきましては、その当初からあまり投資をしておりませんので、今後は大阪付近の通勤通学輸送、並びに東京の首都圏につきましても、以前に計画しました以上の——以上というのは、以遠あるいはそれ以外の線区の輸送力増強、これに十分これから金をかけていかなければならぬ、輸送力増強の設備をしていかなければならない、こういうふうに考えております。たとえば総武線につきましては、津田沼から千葉のほうにかけましての複々線化の問題、それから赤羽−大宮のみならず、赤羽−上野間の線路の改良の問題、あるいは三鷹まで複々線になっておりますが、三鷹から先の複々線化の問題を考えると同時に、それ以外のいままで投資をあまりしておりませんでした、たとえば先生指摘のような川越線とか八高線とか、あるいは横浜線といったような線区に対しての投資をこれから考えていかなければならぬという段階に来ております。ただ大阪につきましては、まだあまりいままで積極的な投資を輸送力増強ではしておりませんので、非常に緊急を要するような事態になっておりますが、これらをも勘案しなければなりませんけれども、ただいま御審議いただいております国鉄の財政再建計画の中でわれわれとしてはこの新しい投資計画を考えていきたい。幸いこの中に約七兆というような予算規模も盛っていただいておりますので、それらの中で新しい線区の、いわゆる周辺部の線区の輸送力増強を考えていかなければいかぬ、こう思っております。ただ、いま具体的には、それではどの線区をどうするかというところまでまだ決定しておりませんが、これはもうこの法案を御決定いただきましたら早急に案をまとめていきたい、こう考えております。  それから、それでは先生指摘の、私鉄との相互乗り入れの問題を考えられないのかという御指摘でございます。これは全く先生のおっしゃる御意見は私たちもそのとおりだと思います。で、いろいろわれわれも検討いたしまして、現在すでに営団地下鉄とは、五号線、あるいは常磐線と九号線といったような相互乗り入れをやっておりますけれども、周辺地区の私鉄との相互乗り入れということも考えなければならぬ問題だと思います。ただ、ここで問題なのは、先生指摘のように、ゲージが違う場合が一つ問題になります。それからもう一つは、相互乗り入れをしますにしましても、私鉄側の輸送力増強されませんことには、いま以上の輸送力をつけるわけにまいりませんので、このほうの設備投資をしなければならない、あるいは車両の投資をしなければならないということになります。これはさいぜん申しました中の一環として考えなければならぬ。それからもう一つは、私鉄にかりに乗り入れしたとしましても、私鉄の東京付近のターミナル付近の輸送力が相当詰まっております。それぞれ東武、西武、東急、いろいろございますけれども、それらの東京方の輸送力がちょっと詰まっておりますので、この辺の輸送力増強計画をやっていただかねば、せっかく相互乗り入れをしましても、なかなか都心まで入ってこれないという問題がございます。それらを考えると同時に、もう一つは、相互乗り入れするためのジャンクションの設備の問題もございます。いろいろ考えなければならぬ問題があります。われわれとしてはいろいろ勉強もしておりますが、非常にいろいろ問題がございますので、まだ結論まで達しておりませんが、将来の問題としてはそういうことも考えなければならないと思いますが、何はともあれ、それよりも国鉄自体の周辺部の輸送力増強というものをまず第一に考えるのが先決ではないかというふうにいま考えている次第でございます。
  103. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄自体の周辺部の輸送力増強を考えなければならぬということは確かにそうだと思うんですよ。ところが、現状はおくれていると思うんですね、全然。特に私鉄なんかの場合はなおさらです。さっき運輸省から都市交通審議会のお話がありましたが、都市交通審議会が考えているような構想で一体間に合うのかどうかという気がするんですね。たとえば地下鉄の延長の問題にいたしましても、昭和六十年ぐらいを考えてやるというのですね。昭和六十年なんというのは、ずいぶん先の話ですよ。私は、やはりそんな何十年も先、二十一世紀のことをいまから考えていたんじゃ話にならぬわけです。ことし、来年がすでにもうあふれているわけですから。だから、ほかのことと違って、これはかなり思い切って輸送力というものを増強しなければ、首都圏でも近畿圏でもパンクしてしまうと思うんです。パンク寸前の状態なんです。だから、これは尋常一様の手段では間に合わないという気がいたします。  そこで、このターミナル周辺の輸送力という問題ですけれども、国鉄もちろん必要だけれども、それに私鉄も合わせる必要があると思う。その私鉄のほうで合わせるということは、これはまあばらばらでやると、非常にまずい結果が出てくるわけです。一つの例として常磐線に対する営団地下鉄の乗り入れの問題があります。この常磐線に対する営団地下鉄の乗り入れば、私ら考えてみても、運賃や何かの面で非常に不便、不合理な点が出てきていますね。あんなことは私はやり方でもって、私鉄と国鉄という変なワクを、部分的にではあっても、取っ払ってしまえば解決する問題じゃないかと思うんです。私鉄地下鉄であるために、わずか日暮里から五百メートルしか離れていない西日暮里を経由するだけで余分な運賃を払わなければならぬなんていうばかげた話はないと思うんですね。だから、少なくとも、東京周辺のように、あるいは大阪周辺のように、国鉄なり私鉄なりが交錯している地域においては、乗客の便宜を第一義に考えるならば、運賃制度についても一つのワクを取っ払ってしまう、プール制にして、運賃制度でも便宜をはかるということをひとつ考えなきゃならぬ。それから、相互乗り入れを行なって、そうして乗りかえの繁雑さを解消する。あるいは、これは利用者にとっても乗りかえの複雑さだけれども、乗りかえによる混雑を解消するということも必要だと思うんです。そういうことはやってできないことじゃないと思うんですね。これは交通政策として考えてやれば、私はできることだと思うんですよ。国鉄は国鉄でもって財政再建を考える、私鉄私鉄でやる気があったら、鉄建公団から銭を借りろ、これでは問題はもう解決しないと思うんですね。だから、やはり根本的にこの問題を解決をしようと思うならば、そういうセクト的な、部分的なことを考えないで、思い切った方策というものを考えて、私鉄、国鉄の相互乗り入れを行なう。それから運賃制度上の障害は取っ払うようにする。  さらに、運賃にしても、これから審議される予定だろうと思うんですけれども、国鉄の運賃が上がる、私鉄との運賃がアンバランスになる。そうなると、乗客は私鉄のほうに流れてしまう。私鉄が上がると、また国鉄のほうに流れる。こういうことをやっているのもずいぶんこれはむだな話だと思うんです。運賃をきめるならば、同じ地域を走るのは、国鉄であっても私鉄であっても同じ運賃を取る、もらう、こういうようにしなければうそだと思うんですね。それがどうも、いつもいつもちぐはぐに行なわれる。これも検討する必要があるんじゃないかと思う。これは制度の問題として、一体、これからどうしたらいいと思われるのか、大臣から所見をお伺いしたいと思います。
  104. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 問題は二つであろうかと思います。  その第一の問題の運賃の問題でございますが、これは現在異なっている事業者がいろいろな経路によりまして運送をいたしておるわけでございます。そういう運送をいたしておりまする限りにおきまして、特に東京の場合をごらんになってみますとわかりますように、一つの目的地に行くのに非常に多くの経路があるわけでございまして、しかも、その経路が二つ以上の事業者によって運営されるというような場合がございます。そういったような場合に、これの運賃をどうするかという問題は、経路がいろいろあるという問題とともに、今度は、先ほど先生が御指摘になりましたような、並行しているような区間における運賃が違ってくるという問題、運賃の率の問題。たとえば国鉄と小田急というような運賃の率の問題におきまして、それをどうするか。その場合に、今度は、それが二つの運賃制度が結びついている場合に、それを併算をしたらいいのか、通算をしたらいいのかというような問題。それから、さらにもっと大きな意味の運賃区域によるところのプール的な運賃というものをつくってしまうというような、均一運賃によるところのプール制というようなことの運賃がいいのかどうかというような問題がございまして、非常に複雑な問題が多々あります。したがって、この問題は、先生指摘のように、少なくとも運賃については、全部の事業を同一の事業がやっているようなことにしたらいいじゃないかというような御意見も当然あり得るかと思います。さらに、その同一の運賃にしたところで、その運送経路に従って、現在は、実際に運送された区間に従って運賃を取るという原則になっているわけでございますから、そういう原則との関係という問題がございます。いずれにいたしましても、この問題は非常に複雑な問題を含んでおります。私ども、前の常磐線問題以来、鋭意検討をいたしておるところでございますが、これは事業主体の今後のあり方、都市交通における事業主体のあり方の問題とのからみという問題もありまして、今後、もう少し検討さしていただきたいと存ずるところでございます。  それから、第二に、相互乗り入れによるところの混雑緩和、解消でございます。これは全く先生おっしゃるとおりで同感でございます。どうしてもやはり運送主体が違う輸送手段というものがあります場合に、これが相互乗り入れをいたしまして、郊外部から都心に直通をしてくるというようなことによりまして、お客の便益にもなるし、それから乗りかえ駅におけるところの混雑の解消ということにもなろうということにおきまして、これは私どもどうしてもそういう方向でやっていかなければならぬというふうに考えております。東京におきましては、日比谷線に対しまして東武線と東急線が乗り入れておりますし、ざらに九号線に対しまして国鉄と小田急——いま工事中でございますが、乗り入れということになっていますし、さらに東西線につきまして、国鉄が中野及び西船橋で乗り入れをする。さらに都営地下鉄につきまして、京成電鉄とそれから京浜急行が乗り入れをするというようなことで、私ども、この都心直通への列車の乗り入れ、鉄道の乗り入れということは大いに促進をしていかなければならぬものだと、こういうように考えております。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 問題は、やはり私鉄でも国鉄でも建設費が一番大きいと思う。この建設費をそれぞれの事業単位ごとで持っているということであるから、問題が複雑になってくると思うんですけれどもね。大体、建設費というものは、じゃ、国家的な公共投資として国のほうでめんどうを見て、そのレールを利用するのは、国鉄も私鉄もあんまりワクをはめないで利用できるというような制度にしていかないと、なかなかこれは利用者にしてみれば、不便は解消しないと思うんですね。一ぺんにそれはできないかもしれないけれども、原則としては、これは今回の鉄建公団法の考え方というのは、やはりある程度国が私鉄の場合でもめんどうを見よう、このままほっておけば、通勤輸送難というものはまるきりうっちゃらかしになるからめんどう見ようという発想だと思うんです。だとすると、その発想というものは、私鉄、国鉄の差別なく、少なくとも多額の費用を要する設備投資ですね、鉄道建設費というものには国が思い切っためんどうを見るということをやることが一番いい方法じゃないかというふうに思われるわけです。そういう方法があまねく行なわれるということによって、輸送需要を満たすだけの輸送力増強というものは可能になってくるという気がするわけです。そういう方向にいこうという考え方に立っているのかどうか。現在ではまことに微々たるものだと思うんですが、将来そういう構想考え方を広げていくというお考えなのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  106. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生の御指摘のように、鉄道の場合には建設費が非常に大きく、しかも、先ほど申しましたように、懐妊期間が長く、収益的には非常に問題がある建設でございます。したがいまして、これにつきまして国家的な助成というようなものを大いにやっていかなきゃならぬということは御指摘のとおりでございまして、その点におきましては全く異論がございません。ただ、従来から国鉄、私鉄地下鉄——地下鉄につきましても営団、都営というように、別々の事業主体が建設をいたしておりまして、そういう別々の事業主体が建設をしていくことに対しまして、それに対応する建設のしかたというのが現実に従来からできております。そういう、何といいますか、従来からの経緯というものを踏まえた上で建設を促進していくというたてまえに立って、それぞれについての助成を講じておるというわけでございます。ある意味では、そういうふうなことによって建設を促進してまいっておるわけでございますが、たとえば国鉄につきましては、今般のような一部、国が出資をし、そして四分五厘までの利子補給というものによって建設を進めていく。地下鉄につきましては、建設費の五〇%に対応するものにつきましての助成をやっていく。あるいは、私鉄につきましては、従来は、国の直接助成というものはあまりなかったわけでございますが、今回は、鉄道建設公団がかわってこれを建設をする。その建設につきましては、低利の資金を融通し、そして長期の分割払いということで、私鉄輸送力増強ができるようにするというようなやり方自体につきましては、いままでの何といいますか、経緯というものに基礎を置いた助成の強化という形になっておるわけでございますが、根本的な精神におきましては、先生指摘のように、大いにこういった鉄道建設については国の助成をしていかなきゃならないということでございます。
  107. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 具体的に各団地と都心との間の輸送といったような問題について触れてみたいと思ったのですけれども、非常に長くなりますので、きょうは保留をさしてもらいたいと思います。しかし、問題は、事業主体が私鉄の場合はどうしたってこれはそろばんをはじくわけです。そろばんをはじいて採算に合いそうもないということになれば、いかに公共的な使命を持つと言ってみても、そのためにわざわざ投資をするという気になるかどうか、その点が心配だと思うんです。特に私鉄の場合は、認可権を持っておっても、工事に着手しないといったような実例を私は知っているわけです。だから、そういう石橋をたたいてもなおかつ渡らないといったような傾向を見るにつけても、通勤輸送混雑緩和のために、はたしてこれから私鉄運輸省の思うようにいろいろな投資を行なうということについて踏み切るかどうか非常に疑問がある。だから、そういう場合、公共性を考えた場合に、私鉄をしてなおかつ思い切って投資をさせるといったような指導が運輸省としてできるのかどうか、また、そういう意識を持ってこれから対応されるのかどうか、その点をお伺いしたいと思う。
  108. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほど来いろいろ適切な御質問をいただいた次第でございますが、先ほども御指摘がございましたけれども、一番のやはり根本は、私も、これだけの、首都圏にいたしますると東京の人口の過密、これをこれ以上膨張させるということを放てきしておくかどうかということが一番の問題じゃないかと思う次第でございます。首都圏整備委員会におきましても、御承知のとおり、あるいは工場につきましてはもう厳重に規制をしておる、学校につきましても新設につきましては規制をしておる、こういうことでございますが、しかし、事務所人口が最近の首都圏の人口増加の三分の一以上にもなるといったような規制をどうするかというような問題がございます。これらの問題はやはり早急に思い切って規制をしてまいる、これ以上なるべくふやさない、そうして、私どももしょっちゅう申しておりますし、先生方からの御意見も承っております、要するに過疎過密の解消を漸次はかっていくということが、やはり一番の根本である、輸送対策も、やはり過疎過密が急速にますます進んでくるということになりますと、しょっちゅう御指摘を受けておる次第でございますが、後手々々になっている。後手々々はいいけれども、実際は、ほんとうの運行はできなくなるのではないかという問題が、率直に申して私はあると思うのでございます。私は、やはり強い国策の線でもって、これらの問題をやっていかなければならない。私は、国鉄再建対策の一番の根本も、その線に沿ってやっていくということが一番の大きな問題である、こういうふうに思っておる次第でございます。  さて、また、いまの現実の問題といたしまして、今年の三月に首都圏の都市交通審議会の答申に十三路線の高速鉄道の方向をきめた、こういうことでございますが、いま御指摘のございましたとおり、これはただに私鉄だけにまかして解消することは絶対できないと思います。やはり国鉄、それから都営あるいは営団地下鉄、そうしてまた私鉄というものが相協力をいたしましてやっていかなくちゃならないと思う次第でございまして、それらを勘案いたしまして、総合的見地でもって、現実におきましてできるだけのことをしてまいらなくちゃいけない、こう思っている次第でございます。先ほどからお話がございましたが、今回は、そういう点で建設費が非常に膨大にかかる、ことに都市交通につきましては、空間を取得する場合におきましても、また工事費におきましても膨大にかかる、これを私鉄にそのままにまかしておくことはできないということで、はなはだ僅少ではございますが、第一歩を踏み出した、こういうふうにお考え願いたい、こう思っておる次第でございます。そういうことによりして、相まちまして、それらの問題を解消していかなくちゃならない。それからやはり将来におきましては、事業者本来の立場に返りまして、運輸行政といたしましても、やはり相互におけるところの斉合性というものを十分に私は考えてまいる。たびたび御指摘がございましたが、具体的に私どものほうもすでに研究に着手しております。また、現場にもこれから派遣をしまして、早急にそのいろいろの具体案——わが国の実情、東京の実情、近畿の実情に合ったように、具体的な案を、プール制をどういうふうにするかというふうな問題もさっそく研究にとりかかっている次第でございますが、いわゆる西ドイツでいわれているレーバープランというものが、日本のいまの運輸状況にあってどれくらい実現できるか、国鉄で申しますと、総合原価主義に対しましてどれくらいの修正ができるかということは、やはり早急に私は検討してまいらなくちゃならない時期にきておると思う次第でございまして、御質問の御趣旨はことごとく私も胸にこたえている次第でございまして、これらの方向につきまして、これから運輸行政としては勇敢に進まなければいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  109. 小柳勇

    小柳勇君 私も、いま瀬谷君が質問したようなことから質問に入ってまいりたいと思います。直接この法律に関係のある具体的な問題だけきょうは質問いたしたいと思います。  この提案理由の中に「大都市における大規模住宅団地の建設に伴う輸送手段の確保及び通勤通学輸送需要の激増に伴う混雑緩和をはかることは、現下の大都市交通におきまして緊急に解決すべき課題であります。」と書いてあります。私もそのとおりだと思うのであります。したがって、この大都市間における大規模住宅団地が相互に軽快に通える、通勤通学ができる、こういう体制をつくるために今回のこの法律改正がなされると思うのでございますが、でありますならば、国や地方公共団体が金も全部準備するべきではないか。これは鉄建公団が金を借りまして低利でやる、そしてつくりましたあと、これを私鉄にまかせるということでありますが、でなくて、国や地方団体が全部この金をつくって、そして建設をして、あとは私鉄や国鉄にまかせる、こういう方向にあるべきではないか、そう思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  110. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) やはりいまの自由主義経済社会におきましては、鉄道事業というものは一つの企業でございます。企業でございますから、やはりその施設に対しましては一定の資金を投じまして、そうしてその資金の投じた対価をある程度収入で求めるということがやはり原則であるということは、いまの現時点におきましては、これは原則として貫かなければならぬと思う次第でございますが、しかしながら、いま先ほどから私申しておりますように、大都市交通におきましては、この交通空間を獲得することが非常に容易じゃない、また工事費も非常にかかるのでありますから、その点につきましてどのくらい一般国民に御負担を願うかということがやはりこれからの一番の問題になるというふうに思う次第でございます。したがいまして、これを一般の利用者だけにまかせずして、そうしてどのくらい一般の国民の納税者の御負担を願うかという問題が、国家がどのくらい出すか、地方公共団体がどのくらい出すかという問題になって、この限界は非常にむずかしい問題でございますが、私は将来におきましては相当大幅にこれは出していかなくちゃならない、こう思っておる次第でございます。したがいまして、今回は非常にまだこの点におきまして条件といたしまして不満でございますが、あるいは普通でまいりますると七分八厘、普通にいいますと会社におきまして開銀その他の金を借りましても七分八厘ぐらいかかるものを、やはり国並びに地方団体からの利子補給によりまして六分ぐらいでもって済ますというふうなもので、しかも長期にこれを鉄建公団が施工することによりまして、その敷設に対するところの苦労、敷設に対するところのいろいろの諸費用、あるいはまた財源の獲得というようなことは全部鉄建公団がいたしまして、私鉄にはその点のいろいろの義務的の費用あるいはその他のいろいろの問題につきましては苦労をかけぬということでまず始まったのが今回の制度でございます。
  111. 小柳勇

    小柳勇君 私は西欧諸国八カ国の高速鉄道建設状態について課題を出しておきました。私もちょっと勉強したのでありまするが、たとえばアメリカになりあるいはイギリスなりドイツなり、全部八カ国やりますと時間がかかりますから、鉄監局長、特別いま申し上げたアメリカ、ドイツ、イタリアぐらいの、ひとつ高速鉄道のいまの建設状況について御説明願いとうございます。
  112. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 諸外国におきまする鉄道助成でございますが、アメリカを除きまして、私鉄がこれを建設をし運営をしているというところは現在は少のうございまして、大体におきまして国営または公営ということによって大体においてやっておるというのが多いわけでございます。そして、そのアメリカにおきましての助成でございますが、これは先生御承知のとおりの、例のペン・セントラルが非常な破産状態におちいりまして、それに対しまする国の助成としての融資保証の法律をつくりまして、そして、四百五十億円を限度といたしましての融資保証を行なうというようなことをいたしております。それから、さらに全米鉄道公社等におきまして、例の、これは旅客輸送——アメリカの鉄道は貨物輸送が中心でございまして、旅客輸送が非常に悪いわけでありますので、その非採算的な旅客輸送というものを何とか維持しなければいかぬということで都市間の旅客輸送を担当する路線のうちで政府の指定するものの運営というものを鉄道会社にかわって行なう全米鉄道公社というものをつくりまして、これに政府が出しまして、関係鉄道会社が現物を出資しておるというようなやり方をいたしておるわけでございます。  それから、その他いろいろ州等が個別的にいろいろやっているのがあると思いますが、詳しいことは省略をいたしまして、それからフランス等におきましての鉄道助成というのが、これはどちらかといいますと欠損補てんという性格が非常に強いわけでございます。それで、その鉄道をある程度縮小しつつ維持をしていくという形において、その欠損補てんというものが中心でございまして、日本のように鉄道を大いに建設をしていくという姿のものではないようでございます。  日本の制度は、これはまあ国鉄におきましても、今回の財政再建特別措置法の改正等で御審議をお願いしているところでございますが、国としての出資及びこれに対する大きな利子補給ということによりまして鉄道建設を促進をしていくという方向の助成をいたしておる。それから私鉄につきましても、その建設費につきましての五〇%というようなものにつきまして、その建設費の五〇%について出資をするということによりまして鉄道建設運営というものを容易ならしめる。それから、今回の私鉄に対しまするところの助成方式というのは、まさにこれは建設それ自身を鉄建公団が行なう、その行なうに際しまして低利の資金を入れまして、そしてまた国もこれに助成をして行なうというような建設中心的な助成という形になっておるわけであります。若干、諸外国と日本の考え方とは違うように思います。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 若干機構は違いますけれども、私申し上げたいのは、都市の高速鉄道公共施設であるという考え方ですね。国で援助してやるとかいうようなことでなくて、当然国が施設をして、つくって、そして、それで国民を運ぶのだという、そういうような方向にあるのではないか。したがいまして、いま特に一歩前進の鉄建公団法の改正がなされつつありますから、これにけちつけるわけじゃありませんけれども、もっと公共施設であるという観念で、国鉄も私鉄も、つくるのはとにかくもう国が責任を持ってつくってやるのだ、こういう観念を確立すべきではないか、そういうことを言いたいわけです。その点についていろいろ議論はありますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
  114. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 都市の鉄道でございますが、これはもう先ほどからも申してございますように、非常に建設費が膨大でございます。しかも、その膨大な建設費によりまして、これによるところの収益という面を見ますと、これは輸送量の増加というものはそう早急にはございません。非常に懐妊期間の長い投資でございまして、その意味では、収益的には大いに問題があるわけでございます。したがいまして、これを従来の事業者自体の責任、国鉄にいたしましても私鉄にいたしましても、事業者自体の責任におきましてこれをやらせるということは非常に無理があるわけでございまして、その点は、国が積極的にてこ入れをして、この建設をやらせなければならぬということでございまして、この点はもう先生のおっしゃるとおりだと思います。まあ従来国鉄の建設についての助成というのは、国鉄のやり方として制度がだんだん固まってきております。いわばそれに従いまして、それを発展さした姿が今回の国の出資並びに大幅な利子補給ということでございます。  私鉄につきましては、実は従来そういう考え方がございませんでした。わずかに開発銀行からの融資ということだけであったわけでございますが、今回は、そういったことではもう私鉄によるところの建設というものができないということで、抜本的な今回の改正になったわけでございます。基本的には先生おっしゃるとおりだと思います。
  115. 小柳勇

    小柳勇君 鉄道建設公団法をつくりますときの——いまの田中通産大臣が大蔵大臣のときこれをつくったんだといって、ここに苦労話が書いてあります。鉄道建設公団をつくること自体も、相当学者も識者も反対があったようです。しかし、鉄道建設公団をつくって、そして国鉄から建設部門をはずしまして一歩前進したのだということを、いろいろ苦労話が書いてございますが、これをさらに前進せしめなければ国鉄経営も私鉄の経営もなかなかたいへんではないか、そういうことを考えるわけです。したがいまして、当面この法律で緊急につくらなければならぬと考えておられる線区はどういうところですか。
  116. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回のこの法律によりまして、緊急に整備すべき路線でございますが、やはり何といいましても、都市の通勤輸送の増大ということに対応するところの輸送力増強方策、それは都心部におけるところの都市機能の純化並びに事業所の増加、一方周辺部におきまするところの住宅の増大というようなことによるところの通勤通学輸送の増大ということに対応するためのものといたしまして、たとえば従来複線化しておりましたところのものを複々線化するということによりまして、抜本的に輸送力増強する、あるいは都心部におきましては、地下鉄建設するわけでございますから、そういう地下鉄建設に直通するような私鉄路線というものをつくる、私鉄地下鉄直通の都心乗り入れの工事、それから最近問題になっておりまするところの非常に大きな住宅団地ができるわけでございます。新住宅市街地開発法等によるところのニュータウン、このニュータウンは、やはり足がなければ役に立たないわけでございますから、こういったような大きなニュータウンに対する足としての鉄道建設というものを私ども考えておるわけでございます。  そこで、具体的な路線につきましては、各事業者からの申し出に基づいて運輸大臣が審査をするわけでございまして、具体的には現在まだきまっておりません。おりませんが、いろいろ候補になっておりまして、検討いたしておりまするものといたしましては、たとえば、先ほど申し上げました複々線増といたしましては、京王帝都電鉄の京王線、あるいは小田急電鉄の小田急線、あるいは東武鉄道の、これは本線の伊勢崎線、それから京成電鉄の青砥−高砂間、あるいは京阪電鉄の守口−寝屋川間というところを一応複々線線増の候補として検討をいたしておる段階でございます。  さらに、地下鉄直通のものといたしましては、たとえば西武鉄道の、西武線の地下鉄接続、あるいは東京急行電鉄の新玉川線の直通部分、それからニュータウン新線といたしましては、ただいま検討をいたしておりまするものは、多摩ニュータウンに対しまするところの京王帝都電鉄の新線あるいは小田急電鉄の多摩ニュータウンに対しますところの新線というようなところを現在候補といたしまして内容を検討いたしております。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 いま言われたところの会社は、軌道部面では赤字ですか黒字ですか。
  118. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 現在の私鉄の経営の内容でございますが、現在私鉄は、企業といたしましては収益をあげて配当をいたしております。しかしながら、鉄道事業は非常に収益が悪うございまして、この、ただいま申し上げました会社も、鉄道部門としてはやはり依然として赤字でございます。それで、一昨年の秋でございますが、運賃改定をいたしましたが、依然として運賃改定後も鉄道部門としては赤字ということでございます。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 したがいまして、鉄道部門で赤字で、この新線建設いたします建設費は、これは公団が借金でやりまするが、建設されましたあと引き受けるその鉄道部門が、今度は二十五年間借金を払っていかなければなりませんね。したがいまして、そういう返済が赤字をさらに加えていくのではないか、だから、つくりましても、それを運営するほうは決して喜ばないですね。これは国鉄もそうでしょう。あとでこれは国鉄に聞きますけれどもね。したがって、そういうものをわかりながら、これは全責任を負いますとは言い切れないのではないかと思うのです。したがって、さっきの冒頭の議論のように、この借金をして、できたものを私鉄に譲って、私鉄から今度は年賦償還させるというような方向は、これはせっかくつくりましても、あとは迷惑なんですね、私鉄としては。そういうものをこの際、抜本的に改正する必要がありはせぬか、こう思うから質問しておるわけです、いかがでしょう。
  120. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生おっしゃいますように、鉄道建設というのは、非常に採算面につきましては問題があるわけでございまして、その意味では、鉄道建設公団建設をいたしまして、それを長期割賦の方向によりまして譲渡をするということによりましても、鉄道事業者にとりましては、さしあたっては、かなりの負担になるし、赤字もやはりふえてくるということは当然考えられるところでございます。しかしながら、私ども、鉄道事業者というのは、当該地区におきまして公益的な鉄道事業を経営しておるわけでございますし、そうした公益的な鉄道事業が、非常に輸送が逼迫をいたしておりまして、乗り切れないような状態になってきておるというような場合に、もうからないからといってこの輸送力増強をしないということはやはり考えられないのでございまして、その事業を担当している責任者といたしまして、当然これはやはり輸送力増強というほうの道に踏み切ってもらわなければならぬ。それで、そういうことである以上は、従来の自前でやるよりは、とにかくこのほうがはるかに有利であるということは間違いないわけでございますので、とにかく、この制度でもって私鉄事業者にこれを大いにやってもらわなければいかぬというように考えております。もちろん、先生のおっしゃいますように、非常につらい問題でございますから、今後ともその条件等につきましてはさらに勉強して、これが改善につとめていかなければならぬものだと、このように考えております。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 さっき言われました複々線工事とか、都心乗り入れの新線建設あるいはニュータウン新線など、全部必要なものをいますぐやるといたしますならば、金額は総額どのくらい必要なんですか。
  122. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先ほど申し上げました一応検討している部分におきましての今後の工事費といたしましては、やはり一千億円程度——一千億弱でございますが、その程度の建設費が要るものと考えております。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 その金に対して、ことしは、四十七年は、建設公団百二十五億ですか、予算は。
  124. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 四十七年度は百二十五億でございます。
  125. 小柳勇

    小柳勇君 一千億に相当する工事はいつやるんですか、残りの工事は。
  126. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは来年度以降工事費をふやしまして、そして早急にやっていかなきゃならぬというふうに考えております。ただ、現在、来年度以降の工事費を幾らにするかということは、ちょっとまだ申し上げる段階ではないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今年度は制度の初めでございますので、百二十五億でございますが、来年度からはこれをふやしまして、そして建設を促進していかなければいかぬというふうに考えております。
  127. 小柳勇

    小柳勇君 冒頭に、提案理由の中の文章を読み上げました。この大都市間の交通は緊急の課題であると。それを、いま頭の中にあるだけでも一千億あればできるわけですね。それが百二十五億しかことしは計上してありませんと、あと残りはいつやるのかまだ計画がございませんでは意味ないじゃないかと思うわけです。一体それじゃ国民はどうして通勤をするか、通学をするか。だから、高速鉄道であればたとえば一時間で行くところを、マイカーで二時間も三時間も行かなければいけない。だから都市公害が発生する。したがいまして、一千億の金があれば早急にできるんだという見込みがあるならば、百二十五億のあとの残りを来年でもすぐ予算取りますと、その決心がなきゃならぬと思うんですが、大臣いかがでしょう。
  128. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御質問いただきまして、私もそのとおりと考える次第でございます。緊急の課題でございます。本年はやはり財政規模それから財政投融資規模等につきまして、私ども残念ではございましたけれども、初めてのあれでございますので、百二十五億しか獲得できないでまことに残念でございます。来年はできるだけひとつ御鞭撻をいただきまして、多くのそういったような予算を取りまして、そうしてできるだけ早く完成を迎えたい、こう思う次第でございます。そういう点におきまして、特にまた御鞭撻をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 鉄建公団総裁に質問いたしますが、いま、たとえば来年一千億の予算が計上されたといたしますと、その場合に短時間にやらなければ、大都市間の国民生活はたいへん窮屈、困難ですね。一千億の予算ができたといたしますと、工事の期間はどのくらいでいくものでしょうか。
  130. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 実際にまだ検討いたしておりませんけれども、大体こういう程度の工事でしたら五年くらいでできるのではないかと思います。
  131. 小柳勇

    小柳勇君 来年度百二十五億の予算がありますが、これも着工いたしまして何年かかるわけでしょうか。実態はどうでしょうか。
  132. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 本年度を入れまして五年ぐらいでできると思います。
  133. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣、どんどん住宅団地ができます。その団地に住む人はいまの五年間どうしようかという苦労ですね、これは不安ですね、生活が。こんなのこそ、この際、この法律も改正になるんですから、三年なら三年で突貫工事やるような決心をすることが、ほんとうに国民に奉仕する政治じゃないのですかね。くどいようですけれども、もう一回大臣から聞いておきたい。
  134. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 御説のとおりと思う次第でございます。できるだけ早期に工事も急がせます。そういったような政府の財投方面の予算も措置をいたしまして、できるだけ早くやりたいと思う次第でございます。  ちなみに、多摩ニュータウンにつきましては、それらにつきましては四十九年度、あれを何とか竣工目途としてやりたい、こういうことを事務当局に言っている次第でございまして、さらに鞭撻さしてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  135. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄総裁に質問いたしますが、新線建設が毎年一線、二線完成いたします。最近も二線開通いたしましたが、経営成績あるいは営業係数など御説明願いたいと思います。
  136. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 最近建設しました線から逆に申し上げたいと思います。四十六年度の開業の分は、まだ営業係数が精査できておりませんので、四十五年度の竣工で申し上げますと、吾妻線、これが収入が七百万で経費が千七百万、収支係数二四二でございます。角館線、四十五年十一月にできておりますが、これが収入二百万で経費千二百万、七二七の収支係数でございます。四十五年度でございます。それから岡多線、これが四十五年の十月にできておりますが、これが収入二千四百万に対して経費三億七百万、収支係数が一三〇二でございます。中村線、四国でございますが、これが収入五千三百万で経費が一億二千三百万、収支係数二三二、鹿島線が収入が五千三百万で経費が四億六千八百万、収支係数八七六、こういう数字が出ております。根岸線は収入が十七億三千五百万、経費が二十一億三千九百万、一二三の収支係数でございます。それから盛線、これが収入八百万に経費千六百万、一九二の収支係数。途中省略いたしまして、一番悪いのが丸森線でございます。これは収入が千百万でございまして経費が三億百万で、収支係数二八六五でございます。この丸森線と、それから鹿島線と岡多線につきまして特に悪いのは、これは根岸線もそうでございますが、いわゆる有償線区でございますので、特に営業係数が悪い。以上でございます。
  137. 小柳勇

    小柳勇君 鉄建公団総裁、いま新幹線のほかにローカル線で建設中の線路、何線ありますか。
  138. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 無償線区は、現在、命令をいただいているのが四十一線ございまして、そのうちの路盤未着工が十線、路盤着工が三十一線でございます。
  139. 小柳勇

    小柳勇君 これらの線も完成いたしますと、経営はいま読み上げられたように、たいへん苦しい赤字経営ではないかと思います。だから鉄建公団は苦労して線路をつくりましても、国鉄のほうもこれを引き受けて経営することを喜んでおられていないのですね。同じように、私鉄の、これは都市間の交通としても、赤字については、そうですね、いま聞いたようにはないと思いますが、しかし全体的に軌道営業が赤字のときに、これをつくってやりますからさあやりなさいということに対しては、政府があと少しやっぱりめんどう見なければならぬと思いますが、いかがでしょう。
  140. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) その点につきましては、一般の納税をしていただく方からどのくらいの負担をしてもらうか、一般の利用者からどのくらい負担してもらうかという割合の問題となってくると思う次第でございます。やはり一番の大切な都市交通の足でございますから、いまの傾向といたしましては、お説のとおり、相当多く国のほうにおきましても助成の方向に進んでいかなくてはならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
  141. 小柳勇

    小柳勇君 そういうところに、根本的な国鉄再建論とか、あるいは私鉄援護論が出てこなければならないと思うんですね。で、この足を確保するということは国民生活に一番大事なことでありますから、政治の大きな課題でありましょう。だから、線路をつくってやるんだからあとはひとつうまく運営しなさい、借金は年賦償還しなさいだけでは、法律をつくりましても意味がないんじゃないかと考えるわけです。しかし、いま、ここの法律、これは一歩前進だとして私も受けておりますから、この議論をまた別の機会でやりますけれども、そういう気がいたします。  そこで、私鉄のほうから——いまさっき運輸省で言われました、私鉄のほうからこれこれの建設を許可願いたいという認可申請が出てくるわけでしょう。その私鉄の、いまさっき鉄監局長言われました、全部のほうから出てくる可能性あるわけですか、認可申請。
  142. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは先ほどいろいろ申し上げましたが、先ほど申し上げましたような線につきましては、いずれも当該地域をその私鉄が担当いたしておりまして、建設、運用している地域でございます。したがいまして、たとえば、その線が非常に混雑をしてまいりまして、もうお客も乗れないような状態になったという場合に、複々線化をいたしまして輸送力増強をしなければいかぬわけでございます。また、私鉄も当然そういう場合にこれを何とかしなきゃならぬという気持ちを持っておるわけでございまして、したがいまして、これについては自分がかりに直接輸送力増強工事をやるなら別でございますが、やらない場合には、当然、国の助成のあるところの鉄道建設公団にやってもらうということに相なるわけでございます。ニュータウン新線につきましても同様でございまして、現在、私鉄がこれに対する免許申請を出し、免許を受けておるわけでございます。したがいまして、これは当然、将来、私鉄としてもやらなければならぬというふうに考えているようでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に懐妊期間が長いために、その建設が進んでおらぬわけでございまして、したがいまして、国の助成と相まちまして、これの申請を待って、この建設がなされるというふうに考えております。
  143. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄のほうで新線建設をいやなために、もう竣工間近にありながら完成してない線がございます。まあ政治路線といいましょうか、先般完成いたしました線などは、非常な赤字であるにもかかわりませず、完成しているところもあります。したがって、これは建設審議会にけちをつけるものじゃありませんけれども、建設審議会にちゃんと衆議院、参議院、政治家はちゃんと入れるようになっていますね。特にその会長は自民党の総務会長ということになっている。あるいは自民党の三役が入るような習慣になっているようですね、名簿が出ておりますけれども。この政治路線に対する批判がきびしいときに、この建設審議会に自動的に自民党の総務会長が会長になるような慣行ですね、こういうものは私はよくないと思うんですけれども、大臣どうでしょう。
  144. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 国会議員が鉄道建設審議会十名でございますか、お入りになって、各党から代表がお入りになって新線建設につきまして、いろいろの御審議をいただくということは、この建設審議会ができましたときに、やはり国会議員は国の最高機関であり、国民の代表だ、そういった点におきまして、地方開発の点につきましても、一番、十分に御理解もあるし、そういった方面で公平である、こういうふうな立場から選ばれたと思う次第でございます。それはいろいろの観点があるだろうと思いますが、国会自身のお考えでございますので、政府として、いまいろいろこの点につきまして意見を申し述べるという筋合いのものではない、こういうふうに考えます。
  145. 小柳勇

    小柳勇君 昨年の六月に只見線が開通いたしました。これはそのときの絵はがきでございますけれども、この全通期成同盟会の会長が現在の通産大臣田中角榮さんなんです。その人からいただいた絵はがきなんですけれども、こういうようないわゆる実力者といわれるような人をそういう会の会長にしておりまして、そして、赤字線でもかまわぬから開通させようと。ならば、なぜ現在三十七線廃止いたしますという決定をされているのですか。これはこれからの問題になりますけれども、とりあえず何千キロかを廃止しなければならないということも提案されておりますね。こういうような赤字線がどんどん開通するのに、なぜ片一方では、これは営業係数が十何倍ですから廃止いたしますというような議論が出てくるのか。これは非常な矛盾なんです。この点は消費者代表の皆さんも運賃値上げの反対陳情に参られまして、ちゃんとそういう人もこういうものを知っているわけですよ。ここからここまでは建設されておりますよ、ここは赤字線で廃止になりますよと。そういろ矛盾をちゃんと直さないで運賃値上げなどと言っても納得できませんというわけですよ。運輸大臣いかがでしょう。
  146. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 昨日の本会議におきまして総理からも御答弁ございました。私も答弁いたしましたとおり、政治路線はあっては絶対ならぬと思います。政治路線の認可は絶対しないつもりで、私も真剣に運輸行政に取り組むつもりでございます。これははっきり申し上げておく次第でございます。  ただ、問題の新線と閑散線の問題でございますが、これはもう専門家の先生に私がこんなことを申し上げるのは恐縮でございますが、閑散線と私ども将来認定をしたいと思っておりますのは、すでにその地方がいろいろの経済事情その他によりまして人口が激減いたしまして、輸送需要も非常に変わってまいりました。また、その地方におきましていろいろの社会構造の変化によりまして、また環境整備によりまして道路も整備する、代替の輸送機関でもって十分やっていける、国民経済の見地からいたしましても、むしろ費用のかかる鉄道運営よりもバス運営で十分やっていけるというようなものは、これはどうしても、幾ら国鉄に郷愁を地方の方がお持ちいただく——あるいはないことでございますが、お持ちいただいても、その点は国民経済から御納得いただきまして、それはひとつ撤去をしていただきまして、むしろ経費のかからないものでやってもらう。ただ、新線につきましては、地方線でございましても、将来におきまして、たとえば、これからのいろいろのいまの開発計画がございます。港湾におきましても五大港湾を建設する、これを接点に結んで、ここを拠点とするいろいろな計画がございます。北海道とかいろいろなものがございます。そういったようなものが、いま一時は、当面におきましては赤字でございましても、将来は、これは開発の拠点になる、将来におきましては鉄道としての特性を十分発揮できる、こういったようなものにつきましては、これはやはりこの新線建設いたしまして、しかも、それが既存の鉄道網といろいろ連絡をすることによりまして鉄道網の形成にも役立つというようなものはやっていかなくちゃならぬ。そういうようなやはり鉄道の特性と申しますか、大量輸送機関としての鉄道の特性というものを十分備えているかどうかということが一番の私は判断の基準であろうと思う次第でございます。これを私は厳格に守って、そして国民の皆さまの御非難を受けないようにやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  147. 小柳勇

    小柳勇君 この点についての国鉄総裁の見解を聞いておきたい。
  148. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうは非常に赤字が多くて皆さんに御迷惑をおかけいたしておると思いますが、いま大臣がおっしゃったように、私どものほうの二万数千キロの中でやはりすでに鉄道としての生命を失ってしまった、そしてトラックなりバスなりでもって十分輸送の目的の達成できるものは、これはやはり私は時代の進歩とともに鉄道をやめて他の交通機関に移っていくということが妥当だと思います。先ほど建設公団の総裁が三十七線廃止いたしますというふうに言われました。私はあながち三十七線全部やめろという気持ちは持っておりません。三十七線の中でも、いま大臣がおっしゃったように、まだあと五十年やそこらは国民の足としてお役に立つだけの交通網を形成するものもあると思うのです。そうでなしに、やはりまあいわば盲腸線のようになってしまっているものもある。だから、私どもの立場から申しますれば、三十七線の中をもう一度徹底的に再検討して、そのかわり要るものは早くつくる、そしてもう役に立たないものはやめる、この英断をぜひお願いしたいということを何べんも申し上げておりますし、いま大臣もおっしゃったように、どうしても重点的にやるべきだというふうにおっしゃっておりますので、私はあながち——全部AB線をやめると極端なことを申したこともございますけれども、それは最近若干訂正いたしまして、ほんとうにその中でも未来——未来と申しましても百年先じゃなしに、まあ五十年ぐらいは国民の交通網として役に立つものならばこれは早くつくるべきだ、いまのように総花式に予算をばらまいていたのでは何十年たってもできない、これではしょうがないので、ほんとうに交通網を形成するというものであるならば、予算を重点的に入れて早くつくる、そうでないものはやめるということで、非常に大きい問題だと思います。それをぜひ政府が御決断を願えれば一番けっこうじゃないかと、こういうふうに思っております。
  149. 小柳勇

    小柳勇君 これは予算委員会でも私は総理にも質問したのですが、早急に整理をいたしますと言われたのですが、なかなか整理がされていないのです。廃止する線の横を建設線が建設甲なんです。こういうのが八十数カ所ございますね。こういうものは国民がわかってるわけですね。こういう矛盾といいますか、むだといいましょうか、国費のむだ使いを整理しなければ運賃値上げを納得できませんとおっしゃるわけです。したがいまして、運輸省として早急に国鉄なり鉄建公団予算でどうしようかと、具体的に話を進めて整理をしてもらいたいと思うのです。でございませんと、幾ら委員会でわれわれが論議しましても時間のむだですね。大きなものは早急に、皆が集まって、スタッフたくさんあるのだから集まって、どうしようか、この金をこちらに持ってこようと、やっぱり整理統合しませんと、運賃値上げを言っても国民が納得しませんよ。運賃値上げは、何も国鉄総裁が、幹部がもうけるためにやってるのじゃない、運輸省けしからぬ、国鉄けしからぬと言うのは、こういうふうな矛盾があるから私は言うので、ほんとうに出すものなら出すと、私はさっきから政府はもっと公共施設として鉄道に金を出せと言っております。たとえば私、諸外国を調べてみますと、国民一人当たりに税金をかけてそして鉄道建設する、そしてあとは運営をまかせる、そういう国もありますね。税金を全部から取ってやる、これは公共施設である、そういう考えに立ちませんと、これから昭和六十年を目標にする新全総で、人の動きも物の動きも完全に見通し暗いのではないか、輸送できないのではないか。これは先日も論議したとおりです。したがいまして、隣の線では赤字線でも建設中で、こちらの線は、この線がいいのにかかわらずそれを廃止するということ、そういうことがありますと、皆さん方も納得できないので、早急に整理をしてもらいたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
  150. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御意見のとおりでございまして、私どもやはり合理的にこれらのものを十分関係当局と協議をさせまして、合理的に国民の納得のいくような路線の建設に邁進したい、こういうふうに思う次第でございまして、何よりもやはり国民の皆さまの御納得のいく運輸行政というものがあらゆる問題の一番の基礎でございます。私はそういう点から見まして、いま御質問のございました線に沿いまして、早急にそれらの点につきまして具体的に態度を決定させる、こういうつもりでおります。
  151. 小柳勇

    小柳勇君 鉄道建設するには建設審議会にかかってちゃんと予定線なども表にできておりますが、廃止する場合は国鉄の諮問委員会から答申が出たくらいで、公的な審議会などというものはないようですけれども、国鉄から申請が来るから運輸大臣がこれをお受けする、これだけで済むものでしょうか。どうです、大臣
  152. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この点につきましては、国鉄から廃止すべき路線の申請がございました場合には、運輸省といたしましては運輸審議会に諮問をいたしまして、運輸審議会で審議の上、これの廃止が適当であるというような答申がございました場合には、その決定を尊重いたしまして、運輸大臣が廃止の決定をする、こういう手続になっております。
  153. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、鉄道建設審議会と運輸審議会が一緒に一堂に集まりまして、建設線をどうしようとか、廃止線をどうしようかというようなことをやることができましょうか。
  154. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道建設審議会は、今後建設すべき鉄道の申請に関する事項を処理するということでございます。それで、現実の廃止すべきものにつきましては鉄道建設審議会には諮問は別にいたしません。運輸審議会——運輸大臣の諮問機関でございます運輸審議会に諮問いたしまして、運輸審議会の意見を尊重しまして処理する。こういうことでございます。
  155. 小柳勇

    小柳勇君 さっきも、いま具体論を私言っているわけじゃなくて、手続を言っているわけです。矛盾した建設線の隣に赤字廃止線があるのを整理しなければならぬ。それには鉄道建設審議会で予定をつくっておりますから、これは簡単に運輸大臣もこれを消すことはできないでしょう、建設審議会で一応きまったものは。今度は、赤字線廃止のほうは運輸審議会でやりますね。そのつながりがつかぬのではないかと思うわけです。その点はどうですか。
  156. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道建設審議会は新線建設に関し必要な事項を調査、審議するということでございますから、当然、その新線建設をする路線を決定をしていくということについては、社会情勢あるいは交通網の情勢というようなものを考え合わせてそれの決定をしていくということに相なるわけでございます。ただ、具体的な問題といたしまして、この廃止路線につきましては鉄道建設審議会の議を経るというようなことでなしに、これは個々具体的な路線の姿といたしまして、個々具体的な路線といたしましてこれをかけまして、そしてこの路線が、たとえば代替交通機関がどうであるとか、輸送上の必要性その他はどうであろうとか、あるいは道路の整備状況はどうであろうかというような問題を具体的に審議をした上で、運輸審議会はこれを、廃止を適当とする場合には適当とする、こういう答申を出すということでございます。したがいまして、制度といたしましては、いわば別の制度でございます。具体的な路線については運輸審議会がきめてまいるということでございます。
  157. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な問題、この問題で少し話を煮詰めていきとうございますが、時間も少ないから……。ただ、さっき大臣おっしゃいました政治路線などというものはあるべきではない。この点は私も肝に銘じておきますから、今後そういう圧力——権力を持った者が建設審議会の会長にあるからこの線は廃止をするのだというようなことはありませんようにしてもらわないと運営だって困ります。そういうことでちゃんと私のあれに入れておきますから、運輸省全体としてちゃんとしていっていただきたいと思います。  それから建設公団総裁に、現在の建設公団の予算なりあるいは経営状態なりについて御説明を願いとうございます。
  158. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) これはちょっと御質問の意味がどうもよくわからないのですが、四十七年度についてですから、四十六年度まで、現在までのことでございましょうか。
  159. 小柳勇

    小柳勇君 現状でいいです。予算規模と仕事、経営がうまくいっているかどうか。
  160. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 今年度は建設費として千四百九十八億ございまして、そのうちいわゆる地域開発線、つまりAB線と言っておりますが、これが二百億、それから主要幹線がC線でございます、これが二百億、それから大都市交通線、D線でございますが、これが四百十億、それに青函トンネル、海峡線と言っております、これが百十億、それから新幹線が上越と成田合わせまして四百五十億、この海峡線と新幹線については管理費なども含めております。それから新幹線の調査費、これが三億でございまして、それにただいま御審議いただいております私鉄関係工事費のワクといたしまして、百二十五億円計上されておるわけでございます。それに管理費だとか業務外支出とか、あるいはいままでの借り入れ金の利子の支払いとか、返還金、そういうようなものを一切含めまして、総体のワクが二千七億円でございます。  そういうようなことで、AB線、C線、D線いろいろございますが、いま問題になっておりますAB線につきましては、政府の出資金をいただいておりますので、ワクが線数のわりあいに、四十一線ございますので、それに対して二百億円でございますので、一線当たりの建設費は非常に少ないことになっております。それからC線——C線といいますか、主要幹線が九線でございまして、これが先ほど申し上げました二百億円。それからD線、大都市交通線は四線で、四百十億円というようなわけでございますので、D線は非常にお金もかかりますが、線数は少ないんでございます。しかし、東京の外郭環状線を形成いたします武蔵野、京葉、小金井という三線がございまして、そのほかに湖西線、琵琶湖の西を走っております湖西線、この四線でございます。現在ABCD線につきましては相当に仕事が進んでおりまして、ぼちぼち開業の域を迎えております。  それから青函につきましては、いままで調査の段階でございましたが、昨年度、四十六年度から工事線に指定されまして着工いたしまして、現在、海底部分を請負にかけまして、これから本格的な大々的な工事が始まろうとしている段階でございます。  それから上越新幹線につきましては、これは国鉄の東北新幹線と時間を同じゅうして仕事にかかっておりまして、長大隧道その他、着々といま工事を進めている段階でございます。それから成田の新幹線につきましては、非常に地元の反対もございまして、仕事が思うようにまだ進んでおりませんが、何とかして地元の御納得を得、両県の知事さんにも御了解を得て仕事を進めていきたいというふうに意欲的に考えておるわけでございます。大体、現在はそういうふうな段階でございます。
  161. 小柳勇

    小柳勇君 他の委員からも質問しておりましたが、今回私鉄建設公団でやられますが、もちろん陣容を拡大すればできることでありますが、予算の都合などでもう少しこうあったら早く仕事東できるなあとか、あるいは私鉄、こんど公団でやるようになると、この点がたいへんだとかいうような点はございませんですか。
  162. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) ただいま御審議いただいております私鉄関係工事につきましては、私鉄にも相当の技術力を持った人がございますし、いろいろな準備を進めておると思います。したがいまして、われわれのほうとしましては、なるべく少ない人間でこれを管理体制をつくりまして、一人当たり四億円ぐらいの工事を何とかまかなっていきたいと考えておりますので、そうたくさんな人間も要りませんし、何とかやれるんじゃないかということで運輸省にお願いしております。
  163. 小柳勇

    小柳勇君 これは鉄監局長に質問いたしますが、建設公団が金を借りまして私鉄をつくります。そうして今度私鉄運営いたします。さっき言ったように、軌道部分は大体赤のようでありますが、返済は二十五年間の元利均等償還となっているようでありますが、償還についての滞納などの懸念は絶対ないと、こういうことですか。
  164. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の構想によりますと、まず、その建設につきましては、資金運用部資金を相当借ります。さらに一般の資金を導入いたしまして、その一般の資金につきましては利子補給ということによりまして、資金コストを安くしていくということにいたします。そういうことによりまして、かかりました建設費並びに利子、それから管理費というようなものを譲渡価額といたしまして、その譲渡価額によりまして、これを二十五年間元利均等償還ということにいたします。したがいまして、その意味では、私鉄事業者にとりましては、建設するまでにつきましての建設費の調達というものがなくて済むわけでございますし、しかも、これが返済につきましては、二十五年元利均等償還という形でございますから、その意味で金繰り等も非常に楽になってまいるわけでございます。そういう意味私鉄側にはメリットがございまして、私どもも、これによって滞納をするというようなことがあるとは考えておりません。なお、これにつきまして当然、債権の保全を私ども考えなければならぬわけでございます。そうして、それによって公団の経理に穴があくというようなことがあっては、これは公的な資金建設するわけでございますからたいへんなことでございますので、これに対する債権の保全につきましては、当然これは鉄道抵当法に基づくところの財団抵当を設定をいたしまして、債権の保全に十分な措置をとるつもりでございます。
  165. 小柳勇

    小柳勇君 今度の法律は大都市周辺の高速鉄道ですが、地方のほうの高速鉄道に対しても、将来こういう考えで建設するという構想はございませんか。
  166. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の構想は、まさに差し迫っておりまするところの大都市の通勤通学並びにニュータウン等の新線地下鉄乗り入れの新線というようなものを対象といたしておるわけでございます。したがいまして、この法律では、適用の範囲をどうするかという問題につきましては、政令で定める大都市及びその周辺ということにいたしております。それで、とりあえず私ども、いまの法律の目的からいきまして、その政令といたしましては東京、大阪、名古屋程度のことを考えておりまして、これを政令で規定をいたしまして、これらの大都市及びその周辺をとりあえずこの公団方式によって建設を進めていくというふうにいたしたいと思いますが、将来この範囲を拡大するかどうかにつきましては、この法律が目的とするような通勤通学輸送の必要性、これに対する救済の必要性というものが強い場合には、当然この法律によるところの政令を改正いたしまして、これを広げていくということを私ども考えているわけでございます。
  167. 小柳勇

    小柳勇君 この法律で着工いたしましても五年はかかるという話でございまして、五年の間に、地方だってどんどん大住宅団地ができつつあるわけであります。したがいまして、その大住宅団地間の交通など、各地方にも私鉄でやろうとするものもあるかと考えますから、まあ将来のことも一応見通しながら考えていただきたいと思います。これは一応要望としておきます。  まあ時間がないようでありますが、少し話が大きくなりますけれども、ブラジルに新幹線を建設したい、日本からも金を融資するということだが、難航しておるという話をブラジルで聞いてまいりましたが、その後の交渉の経過はどうなっているか、お聞きしたいと思います。
  168. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ブラジルにおきまする新幹線建設の問題でございますが、これは日本の新幹線鉄道というものが鉄道の特性というものを最もよく体現をしたところの施設であると、世界的に非常な評価を受けておるわけでございますが、ブラジルの連邦鉄道公社でございますが、これがリオーサンパウロ間四百七十八キロメートルの既設鉄道の高速電化を計画いたしまして、前に日本政府に対しまして調査を要請をしてまいっております。それで、その要請に基づきまして、日本政府から四十三年の四月に専門家五名を派遣いたしまして予備調査を実施したわけでございます。その後、両国政府の間におきまして融資につきましての話し合いが行なわれたわけでございますが、実は、このブラジル側の諸般の事情があるようでございまして、その後、今日まで進展を見ていないという状況でございます。
  169. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄技術陣としては何でしょうか、これは鉄建公団になるかどうかわかりませんけれども、技術陣としてはだいじょうぶなんでしょう、金さえあれば。技術陣としてはだいじょうぶなんですか。
  170. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 私のほうからもこのとき一人派遣いたしましたので、その報告を聞きましたところが、現在の鉄道を改良するのがいいのか、新幹線をやるのがいいのかというようなことでいろいろ議論がありまして、まだ新幹線でやるほうがいいというふうに踏み切ったというように聞いておりませんので、新幹線をやるようになりますと、やはりこれは日本では新幹線については相当みんな、国鉄も公団も一生懸命やっておりますので、依頼を受ければ当然やれるという自信は持っておる次第でございます。
  171. 小柳勇

    小柳勇君 もう時間が参りましたからこれでやめまするが、鉄建公団が出発いたしまして国鉄の建設をやり、あるいは私鉄建設をやって、なお私がさっき申し上げましたような方向で政府も、この線を建設しても、あと赤字になるから喜ばないということがありませんように、あとの点もめんどうを見てやるというような方向で検討していただくよう大臣にお願い申し上げておきたいと思います。  本日はこれで質問を終わります。
  172. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会      —————・—————