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1972-05-11 第68回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十一日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     高橋 邦雄君      岩本 政一君     初村瀧一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 佐田 一郎君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 江藤  智君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 初村瀧一郎君                 平島 敏夫君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     山田 嘉治君        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省船舶局長  田坂 鋭一君        運輸省船員局長  佐原  亨君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   高島 正一君        運輸省港湾局参        事官       田中 光次君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      中西 正雄君        自治省財政局財        政課長      近藤 隆之君        日本国有鉄道貨        物局長      泉  幸夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北海道開発のためにする港湾工事に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 伊部真

    伊部真君 この法案の質疑に入る前に、いま港湾関係横浜大井大阪神戸等重要港湾港湾ストライキが行なわれている、この港湾ストライキによって起きておる状況について説明をいただきたい。緊急でありますから、もしもそれが集約されてないというなら、後ほどにお聞きをしたいと思いますが、概要おわかりの点がありましたら出していただいて、そして掌握のない部分については後ほどお聞かせいただきたい。
  4. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) いまでも内容は知っておりますけれども、手元に正確な資料がございませんので、後ほど御説明いたしたいと思います。
  5. 伊部真

    伊部真君 それでは状況と争点についてひとつ聞かせていただきたい。特に戦術面でも十三、十四、十五日ぐらいが一つの大きな山場だというように聞いておりますし、それが及ぼす諸外国への影響というものもあろうと思います。したがって、そういう内容についてひとつ取りまとめて報告をいただきたいと思います。  それで、先般の質疑に続いてでありますが、きょうは自治省来ておられますか。自治省出席要請しておきましたが……。まだ自治省来てないようでありますから、この間質問をしておったのでありますが、四十七年度の港湾事業北海道における事業計画総額で大体百八十八億でしたか、その内訳について説明を願いたいと思うのでありますが、大体私の掌握しているところでは、苫小牧が五十億、十勝が六億、留萌が十億、釧路が三十一億、小樽が十一億で函館十三億、室蘭十四億というような程度に聞いておるわけですが、で、自治省関係に移るわけでありますけれども、そうしますと、工事内容というものが港々によってかなり格差がありますね、工事規模が。したがって同じ五%にしましても、釧路の三十一億の五%、あるいは十勝の六億の五%というのでは相違が出てくる。そうなりますと、工事が多いところは、工事規模要請が強くて大きいところは、その市町村負担が大きくなるということになろうかと思います。したがって、その市町村の通常の会計収入に対する比率というものも問題でありますけれども、もう一点は工事規模ですね。それは、その市町村事業というよりも開発全体の計画もあって、その規模が大きくなる、こういうぐあいになろうと思うのです。両面からやはり問題が出てくるのではないか、こう思うのですけれども。そういう意味で、どうもこの五%というのはかなり市町村にとってはきつくこたえるところというのが出てくるのではないか、こういう気がするわけですけれども、その点の配慮はどのようにされておるのか、お伺いしたいと思います。これは開発庁ですね。
  6. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) この答えはやはり自治省から申し上げるのが一番的確であると思いますけれども、私どもが理解しておるところでは、従来、自治省のほうから市町村に対して交付税交付されるわけでございますけれども、その場合に、事業費補正と申しまして、いま先生指摘がございましたように、公共事業事業費工事進捗度その他に対して非常に大きいという場合には、それに対応した交付税の額が交付されるというようなやり方を従来やってまいりました。それで昨年までの例によりますと、大体交付の場合はその事業費補正でもって必要な額の八割ぐらいは、交付税で八割はまかなわれるというような状態でございました。本件は先生承知のように、地方財政全体として相当逼迫しておるというような事情もございますので、はたして従来どおり八割、交付税で見るということができるかどうか問題でございますけれども、私どもは従来、自治省といろいろ御連絡をいたしまして、また従来、自治省の御答弁によりましても、ただいま申しました交付税とそれから起債、その両方によって事業費がかなりふえておるところの市町村に対しても問題のないように措置するということに相なっておるのでございまして、事業費が非常に多い市町村においても問題がないというような気がしております。
  7. 伊部真

    伊部真君 これは自治省が来てからもう少し質問したいと思います。  この港湾整備五カ年計画概要の中に、フェリー埠頭整備が出ておるわけですね。その対象東京港ほか二十一港ということでありますが、その二十一港の内容について対象港をお伺いしたいと思います。
  8. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 東京港ほか二十一港というものにつきましては、これは御承知かと思いますけれども、まあ中長距離フェリーを主にした港をあげております。これは御承知のように、中長距離フェリー就航状況その他をにらみ合わせて整備をしてまいるわけでございまして、現在、海運局認可を受け就航しているものあるいは就航予定というものを中心にいたしまして、海運局と相談をしながら整備を進めてまいるというような予定になっております。港名を申し上げますと、二十二港と申しますのは、東京横浜、名古屋、堺・泉北、大阪神戸、北九州、室蘭青森、八一尺塩釜、宇野、広島、高松、松山、小松島、高知、苅田、博多、大分、鹿児島、函館、以上二十二港でございますけれども、先ほど申し上げましたように、船の就航状況あるいは認可状況等を勘案しながら進めておるというのが実態でございます。これは中長距離フェリーについて考えておる予定でございます。
  9. 伊部真

    伊部真君 そこで私は次官にお尋ねしたいわけですけれどもカーフェリーあるいはフェリーの線というのは非常に最近の輸送の上でのウエート、特に物流なんかの上でもこれから大きな役割りを果たすのじゃないか。いわゆる一貫輸送結節点にも当たるこれらの施設なり伸長は、これは社会的にも非常に大きな影響を与えるし、いわば公共的な役割りを持っているというふうに見るべきだと思う。これはコンテナその他もありますが、しかし特にフェリー関係コンテナより公共性を持つのではないか。したがって、そう考えますと、港湾のほうの各条項を見ると、ことに公共というのは不特定多数というものを対象にした港ということになりますと、まさしく、このフェリーの場合はそれに当てはまると思うのです。したがって、いま発表されました港湾北海道でも室蘭とか函館というものがあるわけですね。こういう港湾に対しては、私はやっぱりいまほかの港湾工事に行なわれているような公共的なものとして見直す必要があるのじゃないか。先般も私が申し上げましたけれども苫小牧の東部とかに工業基地をつくるのに、水深十メートルのところは国が工事をしてやるということを考えるならば、私はあの場合には不特定多数とは言いにくい。そうすると、フェリーのほうに不特定多数で公共性が強くなってくる。そっちのほうを考えると、これは見直していかなければならない。むしろ国民の安全面から見ても、あるいは生活の面から見ても、フェリーというのは、これはたいへん大きな役割りを果たすので、港湾行政、この工事の全体について、やはり国が持つ分野あるいは地方自治体が持つ分野、あるいは利用者が持つ分野というものについて、全般的に検討する必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。いまのところでは、どうもカーフェリーあるいはコンテナ埠頭の問題についての考え方というものは、非常に思いつきのような、まあ暫定処置のような気がしてなりませんが、この方針についてお聞かせを願いたい。
  10. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 私のほうから少しこまかいかもしれませんが、ちょっと考え方を御説明さしていただきます。御承知のように日本の国というのは特異性がございまして、島国でございますし、台風が非常に多い。それから日本海におきましては、冬場は季節風が非常に強い。そういうことで外国の港に比べまして、日本の港は特に防波堤に金がかかる。もう一つ航路出口等水域施設に金がかかる。まあ概略で大ざっぱでございますが、水域施設しゅんせつ防波堤、それから埠頭、さっき先生指摘ございましたようなフェリー埠頭でございますけれども、これは大体三分の一程度ずつのシェアじゃないかというふうに考えております。したがいまして、防波堤というものは御承知のように港そのものを守るものでございますから、これは非常に公共性が高い一種の防災効果を持っておりますし、それから水路につきましても、いろんな船が通るという一般水路については、やはり基本的にはどういう船も通さなきゃならない。ただ、先回も御指摘ございましたように、特定の大きな船につきまして、利用者が限定されるものに対しては、受益者負担金を取るという制度をとっておるわけでございます。で、防波堤につきましても、同様に、特定の者に対する受益の度が大きい場合には受益者負担金を取るということにいたしてございますが、基本的にはそういうふうに考えております。  ただ、埠頭につきましては、これは御承知のように公共埠頭もございますし、それから会社専用埠頭もございますし、あるいは通運事業をやっている会社が持っている埠頭もございます、というふうに利用形態がいろいろございます。したがいまして、埠頭の使い方につきまして、先生指摘のように、不特定多数の埠頭に対しては、いわゆる公共埠頭ということで、だれでも使えるというふうにやっておるわけでございます。で、フェリーとかコンテナにつきましては、特にコンテナは当然でございますが、フェリーにつきましても、中長距離フェリーにつきましては、船型が大きくなりますと同時に、それに対応する埠頭あり方が普通の埠頭では間に合わない。したがいまして、特定の形にしなきゃならない。しかも、たくさんの会社の時間帯その他ございますものですから、定時制を要求されるフェリーでございますから、同時に同じ埠頭を使うわけにはまいらないということになりますと、だんだん、これは船会社中心に考えますと、限定されてまいるということで、先ほど御指摘がありましたように、道路でいいます道路公団的な方式をとりまして、特定会社に限定しないかわりに、公共性を担保しながら特定の人に使ってもらうという中間的な方法をとっている次第でございます。なお、中長距離フェリー以外の近距離フェリーあるいは離島との連絡のためのフェリー、これは御指摘のとおり公共事業でやってきておりますし、今後もそのつもりでございます。それからなお、埠頭につきましては、先ほど申し上げましたような程度フェリー埠頭をつくりましても、やはり一方には防波堤場所によっては必要でございますし、それからしゅんせつも必要になってまいりますが、そういうものは港全般整備の中で考えていくということで、特別にフェリーに対する扱いをしているわけではございません。  以上、ちょっとごたごたいたしましたけれども、そういうことでございます。
  11. 伊部真

    伊部真君 私はもう少し大ざっぱな話で聞かしてもらいたいと思っております。といいますのは、もう少し申し上げますと、輸送というものが非常に変化をしてきている。それは物流の場合でもそうでありますが、客船の場合でもそうです。結局、一貫輸送方式というのが非常に強く要請されてきている。輸送というのは、鉄道トラックあるいは船というのが結び合って輸送をされていく、その大きな役割りを果たしていくのが、これからは内航ではなかろうか。そうすると、トンキロでいくと、大体四〇%に近いものが内航で運ばれるということが予想されるわけですし、現実にも大体そうなっているわけですね。これからは専業化輸送というだけではなしに、雑貨輸送コンテナその他でどんどんとユニット化されて輸送が変わっていく。そうなると、結局は駅施設と同じような役割りフェリー埠頭というものは持っていくんじゃないか。したがって、港湾港湾状態で、いままでのような考え方でやっっておったのでは、これはその分が取り残されてしまう。したがって、私は当然に港湾全体を、内航面いわゆる国内輸送物流に果たす役割りというものを考えて、そうして一貫をした結節点投資というものを考えていかなくちゃならぬ。これは私は、港の場合にはフェリー、それから都心の外周部においては自動車ターミナル、そういうことで考えていくと、国鉄それから自動車それから船というのは、一貫をして輸送体系整備というものをやっていかなければならない。そういう観点から考えていくと、港湾港湾の、いままでの、従来の考え方でいっておったのではまずいのではないか。特に私はまた、非常に大きな設備投資をしている工業基地なんかに、いまはもうそんなに助成をしなければならぬ時期ではなかろう。むしろ、公害その他で批判をこうむっているところでは、港湾だけはいままでどおり、開発計画というようなことで、公共性というものが疑わしいような港にまで、十メートルはいままでの慣習でやっていくというようなやり方は、私は改めなければならぬ。そう考えると、港湾のこの整備事業全体に対して、やはりこれは検討し直す必要があるのじゃなかろうか。そういうことを私申し上げておるので、そういう意味で、港湾整備全体に対してのお考えを聞かしていただきたいと、こう思っておるわけです。
  12. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) 御指摘の点、私も全く同感でございます。御承知のとおり、流通近代化要請というのは日に日に高まっております。特に、中距離を中心としたカーフェリー輸送が、現在でも目ざましい発展を遂げているのは、御指摘のとおりでございます。したがって、こういう新しい時代要請に対処するために、現状港湾行政ではたしていいのか悪いのか、そういう点を御指摘だろうと考えます。私どもといたしましても、こういう時代要請を早く港湾計画の中に取り入れるべく、現在でもカーフェリー専用埠頭会社の構想というものも検討中でございます。また、資金等においても、長期の低利の資金を供給してこれらに対処したい。かような角度から現在いろいろ検討を進めている最中でございますが、結論は、そういう時代要請におくれることなく、むしろ先取りして港湾行政を進めるべきじゃなかろうか、かような考え方に立って、新五カ年計画の中でも、おそきに失しないような港湾行政を推進する覚悟でございます。
  13. 伊部真

    伊部真君 私は、私の認識がまだ不十分かもわかりませんが、そういう意味で、物流対策というものについてはかなりおくれているのではないか。運政審の答申もあったり、考え方としてはかなり出ているのですけれども、たとえば結節点ターミナル問題にしても、自動車ターミナル複合ターミナルの問題にしても——複合ターミナル、まだまだこれから議論のあるところだと思いますけれども、たとえば自動車ターミナルにしても、私はおそらく自動車ターミナル、業者がバースの取り合いをしているのじゃないかというふうに心配をして少し聞いてみたら、いまのような資金貸与条件、国の助成条件でいくと、ターミナルにコストが高くて申し込みが非常に少ないと——非常にというのはちょっと言い過ぎですけれども、かなり募集をしなければならぬという状態、これはかなり私は、これからの輸送の誘導をしていくという場合において問題になりはせぬか。それと同じようなことが、港湾の場合でも、いまのような、外貿埠頭関係あるいはフェリー埠頭公社コンテナ埠頭会社というようなやり方をしておりますと、それは港湾工事のような状態ではないから、かなりこの部面がおくれるのではないか。私は、正直言って、いまフェリーだとかカーフェリーのあの基地現状から見ていくと、非常に設備的にもお粗末であって、あれでときどき、このごろでは聞きませんけれども、海にトラックが落ち込んだり、乗用車が落ち込んだりする。もう少しやっぱりそっちの方面の設備というのは強化をし、かつまた資金的にもそこへ入っていくような状態をつくっていかないと、これからの結節点状態自動車もそうだし、複合ターミナルもそうだし、フェリー基地もそうだ、そういう問題が起きるのではないか。特にいま大井複合ターミナルの問題が非常に議論されているところです。港湾との関係というものが非常に密接な関係を結んでくると思います。そういう点をひとつぜひ考えて、そして国内輸送関係に対して大きな役割りを果たせるような対策を考えてもらいたい、こう思います。
  14. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生確かにご指摘のとおりだと思います。で、五カ年計画でもフェリー対策をいろいろ考えておるわけでございます。特に御指摘のように港湾埠頭と申しますと、海陸の輸送の接点でございますし、一般輸送の一番大きなネックになる場所でございますので、埠頭のつくり方そのものも現在計画上からいいましても形が変わってくる。といいますのは、細いピアというふうなタイプではなくて、非常に肉を持った幅の広いものになってくる。それに入り込むのは鉄道も必要でございますし、道路も必要でございます。場合によったらトラックターミナルのようなもの、倉庫群、そういうふうな大きな物流施設を包含するような形の埠頭になってくるということが言えると思いますので、現在、港湾審議会で審議願っておる方向につきましても、同様な方向で進めてまいりますし、御指摘のようにフェリーあり方につきましても、そういう方向で持ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それからなお、数年前いろいろ事故がございまして、その後フェリー施設設備基準等につきましても、われわれ一応内定的なものをつくりまして、そういう安全対策も進めてまいっておる次第でございますが、従来の私企業が自分でフェリーバースを持って簡単なものをつくってやってきたというものをやめて、なるべく、先ほど申し上げましたように、近距離あるいは離島連絡につきましては、公共事業で安全なものをつくり、それから中小フェリーにつきましては、むしろ公社的のものでやっていくということで進めているわけでございますが、先生指摘のようにフェリーだけに限りませんけれども物流形態がどんどん変わってまいりますので、それに即応できるように、先ほど政務次官もおっしゃいましたが、おくれることのないように努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 伊部真

    伊部真君 もう一点、次官にお聞きをしますが、私、港湾工事全体でまだ決定的な判断を下すというのは早計かもわかりませんが、しかし全体として五カ年間で二兆一千億の工事経費をかけて、そして、いま言っているような結節点なんかにも施設をこれから投入していかなければいかぬし、またお客さんなんかをやっぱりそういう意味では扱えるようなフェリー港湾施設というようなものをしていかなければいかぬと思いますね。これを考えてみますと、しかし、そのように公共性を持つ港湾施設というものを国が助成をしていくというのは当然なんですけれども、同じように国鉄を考えてみると、国鉄の駅も、駅は国鉄所有物として、これは国鉄経費の中で全部見ていくのがいいのかどうか。同じように考えてみると、やはり港の場合でも、やはり公共性を持ったところであるなら、やっぱり国鉄に対する駅だとか、そういう結節点に対しても、やっぱり国としては公平に、港湾と同じように見ていかなければいかぬのじゃないか。国鉄の赤字問題があるのは、いろいろな問題がありますけれども一つは、やっぱり公共性というものについて、片方は、明らかに港湾の場合には、大きな企業——鹿島だとかあるいは君津だとかあるいは鶴崎、こういうところの特定地主のためにいわば引き込み線をつくっているような航路あるいは防波堤というものをほとんど国が施設をしてやる。そこまで考えるなら、国鉄のほうは、各引き込み線は全部国鉄がその企業との話し合いでやっているのであって、国の補助があるわけじゃないのですね。ここら辺は、私は非常に不公平だと思うのですがね。したがって、これは運輸全般に対する行政として、やっぱり国鉄に対する見方も単に独立採算というだけでなしに、港湾なり、ほかの資金関係を見ると、私は考え直すべきではなかろうか、国鉄に対する施設についても考え直すべきではなかろうか、こう思いますが、それはどうですか。
  16. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) お話を承っておると、なるほどそういう考え方もあるような気もいたしますが、現在の国鉄については近く当委員会にも、国鉄財政十カ年計画並びに運賃問題もからめた再建計画が付託されることになると思います。その節にまたいろいろ論議をいただき、その中で問題を考えてみたい、かように考えております。
  17. 伊部真

    伊部真君 いや、私は国鉄の再建問題を言っているのじゃなくて、運輸行政全般として港湾あるいはレール、それから海運という状態あるいはトラックもありましょうが、こういう全般を見ると、やっぱり公共投資というものについての考え方を統一していかなければいかぬのじゃないか。いままでの産業立地条件なり輸送近代化条件とは違う状態が出ているので、それをいままでの惰性でやっているような気がしてなりません。したがって、国鉄だけに独立採算を要求して、海運の場合には、端的に言って、港湾局長にお答えをいただいてけっこうなんですが、どれだけの投資に対してどれだけの収入がある、いわゆる利用料が入っているのかということを見ると、これは比較になりませんね。独立採算という問題じゃないのですね。これは、そういうのでは海運というのはだめになっちゃうことはわかるのですが、それと比較すると、国鉄はあまりにも私は政府の公共投資というものが少な過ぎるのじゃないかというふうに思うわけです。したがって、国鉄の問題じゃなくて、運輸行政全般から見て公共投資というものがこういうあり方でいいのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) 公共投資の適切なる配分、かような点を指摘された御質問と思いますが、確かに御指摘の点を承っておりますと、私も、なるほど運輸行政全体の中での公共投資あり方というものはどうあるべきかという点は当然今後考えなければならない問題だと思いますが、いまこの時点でどうこうということは早急に結論を出すことはいかがかと存じます。いずれ検討してみたいと思います。
  19. 伊部真

    伊部真君 これは一日おくれれば、一日それは取り残されることになりますので、したがって、これは早急に結論を出してもらいたいと思うのですが、見込みについてひとつお聞かせをいただきたい。いつごろそういう点についての考え方はお示し願えますか。
  20. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) 具体的に日時を切られていると、はたしてその御要望にこたえられるかどうか、いささか確信がありませんが、どういう形の公共投資が今日までおくれているか、これは事務当局の過程で調査すると詳細わかることですから、その調査に基づいていろいろ大臣とも相談して今後のあり方というものを検討してみたいと思います。
  21. 伊部真

    伊部真君 きょう大臣、御出席をいただきましたので、私は簡単に申し上げてお答えをいただきたいと思うのでありますが、いま次官もお答えをいただいたわけでありますが、港湾工事公共性あるいは背後の地域の開発問題を考慮した場合には、いままでですと、やっぱり国が水路、いわゆる航路だとか防波堤とかというところへは全額投資をして、特に北海道の場合なんかは全額投資で見ていかなければならぬというようなことでありました。しかし、いま計画されておりますように、苫小牧の東部の工業地帯なんかということになりますと、これはいままでのような考え方で、水深十メートルなら要請があったら国が費用を持ってやろうというようなことでいいのかどうかということになりますと、私は、各港湾の審議のときにも出ております公共性という意味がこの場合は変わってきているのじゃないか。したがって、これは当然にいままでの国の投資関係は変えなければいかぬのじゃないか、そういうように思いますが、これらの問題がもう一つ新しい様態として出てきたのは、フェリー関係が新しくやはり、これからの役割りを果たすだろうと。国鉄物流の二割がコンテナ輸送へ変わるように、海上もコンテナフェリーというものがかなりウエートを持ってくる。少なくとも国内輸送の四〇%を占めるということになれば、これに対する投資というものを考えていくほうがより公共的であるし、やはりより国民的な利益につながると思うのですね。そういう点についてぜひひとつ考えていただきたい。と同時に、それを考えると、それと比較をして国鉄に対する国の投資というものを考えますと、かなりこれは差があるのではないか。これは地方の北海道なんかの場合なんか、特に国鉄やバスこそ公共投資であって、ここへ資金投下をするというのが当然のことじゃないだろうか。私は、この四十七年度の予算の港湾工事の百八十八億、北海道全般で百八十八億になっておりますが、この中の各港、どの状態を見ても、やはり全国のバスで四億七千万、地方鉄道で一億、国鉄に対する補助金というもののいままでの状態を考えると、これは非常なアンバランスになっているし、ほんとうの状況の変化、時代の変化、産業の変わり方というものに対応した適正な公共投資——国の補助、助成というものが妥当なのかどうかということが非常に疑問になってきていると思う。  したがって、これは私は国鉄のことをいま言っているわけじゃないのですが、運輸行政全般に対する投資あり方について、これは再検討して、そしてほんとうの、同じ港湾のほうに投資をするにしても、フェリーだとかそういう港のほうに重点を置くようなやり方というものに変えていかないと、いままでの条文があり、いままでの慣例があるからということで、それに乗っておったのではまずいのではないか。したがって、これは早急に運輸省としてこれらについて再検討を各港湾について、あるいは助成の方法についてしていただきたいと、こう思うのです。これも、次官からはできるだけ早くということでお答えをいただきましたけれども、大臣からもこれ早急にひとつ出していただきたい。できればその見込みを、一応の、検討して成案をいつごろに出すというようなことをお答えいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  22. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの御質問は、私もことごとく同感でございます。今日、輸送需要が非常に変革してまいりました。それに対応いたしまして、国家投資、国家助成というものは、やはり当然改定を要求されるものも相当多いと私も考えておる次第でございます。まあ言うまでもなく貨物輸送につきましては、もう海上輸送のほうがすでに優位を占めてきたということもございます。またお話がございました鉄道あるいはまた過疎バス等に対しましても、非常にまた事情が変革してまいりました。その設備投資に対して、非常に高額な金がかかるというような事情にもなってまいった次第でございますので、私はやはり、ただいま御指摘にございましたように、鉄道に対しましても、あるいは過疎地帯のバス路線に対しましても、相当な国家補助をしなくちゃならぬというふうに考えている次第でございます。港湾につきましても、いろいろいわれておる次第でございますが、要はやはり、いままでは海のほうが一番よかったじゃないかというような議論もございます。しかし、海のほうの補助におきましても、いまお話しになりましたカーフェリーなり、フェリーバース、いろいろのまた原材料の点からいたしましても、外洋にシーバースをつくる問題、いろいろの問題もございまして、そういう点は、この際は思い切って再検討しまして、そうして適正な助成をする、適正な運輸施設の効果をあげる、こういうふうに持っていかなくちゃならないと思っている次第でございます。これは早急に運輸省といたしまして検討するということをもうすでに私も考えておりましていま官房をして、それらの問題につきまして本格的に取り組めといって命じておる次第でございます。御趣旨に沿うように、ぜひひとつやってまいりたいと思う次第でございますので、一そうのひとつ御鞭撻をお願いする次第でございます。
  23. 伊部真

    伊部真君 それで少しこまかい点になりますが、質問というよりもむしろ注文になるかと思うのでありますが、最近特に目立っておりますのは、やはり陸送関係では過積み問題というのがたいへん問題になっておりますね。これは単にトラック問題だけではなしに、輸送全般影響をしていると思います。十トンのトラックに二十トンも三十トンも載せているというような状態が出てきておりますね。これは小さなようでありますけれども、たいへん大きな問題だと思うのです。したがって、きめられた料金の三分の一、半分で走るということになるわけですから、事実上のダンピングです。これはやはり国鉄の貨物輸送との関係も出てきましょうし、ひいては輸送行政全般影響すると思いますので、したがって、私は、輸送秩序の面からいっても、あるいは安全面からいっても、どうしてもこれは防がなければいかぬ。そういう意味で考えますと、これは各省にわたるので非常にやりにくいのでありますけれども、たとえば道路をつくったときには高速道路の大体入り口なんかには計量器をつくって、道路の保全の状態から見ても、あるいは安全上から見ても、それをチェックしていくということを考えることができますが、これはやはり建設の関係だというので、あっちゃこっちゃで非常に問題なのでありますが、しかし、やはりこれは各省でそのことを考えながら、これは協力して、そして安全面というものあるいは秩序面というものは維持していくようにしなければならぬ。  いま私が聞いているのでは、フェリー基地なんか、あのカーフェリーはほとんどが大きな過積みになっておるのだということを言われておるわけです。極端なところでいきますと、船に乗るときには、あれは計量検査がないから十トンのやつに二十トン載せて、そして長距離なんかですと、そのまま——私も個所はわかりませんよ。個所は、私はどこということは調べておりませんけれども、たとえばの話ですが、小樽から舞鶴までのあの長距離カーフェリーのときに、十トンのやつに二十トンの積載をしてこっちへ来るとして、舞鶴へ来てから二台の車で十トンずつ運搬するということを私は聞いたことがあるのです、個所を別にして。あれはフェリーの場合は長さと車体の制限があるだけで、積載には何らの制限がないわけです。そうすると、非常に船の安全面から問題がありますし、しかも、これはたいへんに盲点をつかれていると思うのです。これは明らかにやはり安全面からいってもフェリー基地には計量器をつくるべきではないか。埠頭をつくったときには計量器をつくって、少なくとも乗せるときには——二台で行ったやつを一台に積みかえて一台分だけの料金で乗っていって、向こうへ着いたら二台に分けると、これは極端な話だとは思いますけれども、私は全くないとは言い切れない、私のほうの耳に入っているくらいですから。そういう輸送を見のがしているというのはもってのほかだと思うので、これはやはりフェリー基地をつくったときには計量器をつけて、そしてやっぱりきめられた積載の車しか乗せない、もしも積載がオーバーしているなら二台に分けてやるというようなことを、せめて運輸省の管轄の港湾はやるべきではないか。道路面でいくと、私は建設委員会のほうで申し込みをしているけれども、なかなかむずかしい問題ですから、運輸行政全般を担当しているものとしては、やっぱりせめて港湾フェリー基地ぐらいは計量器をつけて、きちっとそれの統制をすべきであると、こう思うのですが、その点はどうですか。
  24. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) フェリートラックの積載その他につきましては、現在、海運局自動車局との関係がございますけれども、部内でよく相談いたしまして——先生指摘のような問題を私、実はよく存じませんでしたのですけれども、そういうことがあれば、そういう計量器をつけるということは運輸省の中でやれることでございますので、積極的に相談して、必要に応じまして早急に整備してまいりたいと思います。
  25. 伊部真

    伊部真君 これは、あればということですけれども、あるのは間違いないのです。何ぼあるかは別にして、倍も三倍も、そんなにたくさんないが、しかし、いま港湾フェリーでなくても、道路で過積みをしてない車はほとんどありませんから、あるのは間違いない。ただ、だから問題は、計量器をつけて、どういうふうにそれから後のことをするかということは警察庁なんかとも相談をしなきゃいかぬと思いますが、いずれにしても、やはりチェックをする施設というものは少なくともフェリー基地にはぜひつけてもらいたいということを要望しておきます。  それから引き続いて、先般の委員会でも質問をいたしましたが、自治省に質問をいたします。今度のこの法案によりまして起きる現象としては、北海道の場合は、苫小牧北海道と市との協同組合の形での管理責任者になっているわけですね。それ以外は全部市町村なんですね。そうしますと、全般として、なるほど工事の五%ということで大体六億ぐらいが負担になるだろう、私が聞いておるのでは、その六億のうちの一割ぐらいは北海道が持つという話のようです。議会の決定を得ているという話も聞いているわけですけれども、こうなりますと、ちょっと心配なのは、平均をしたら——先般の委員会の質問のときに開発庁のお答えでは、全体として〇・六%ですかということで、かなり薄まってはおるわけですけれども、しかし負担能力の非常に弱いところですね。この間のところでは一・八五%というのがありましたね。大体二%近いところでしたが、そういう一般会計予算の状態から見て五%というのは非常にきつく、室蘭のように普通歳入に対して〇・三八ぐらいしか負担がかからぬというところと、これが予算規模が小さいために負担が多くかかってくるのと、もう一つは、金額的に工事規模が相違がありますね。これは市町村負担能力だとか規模というものとは全然関係なしに、これは開発計画から見て工事計画され、進められるわけです。たとえば先ほど申し上げたのですが、かなりの差があるわけです。室蘭で十四億だとか、釧路で三十億でしたか、十勝で六億というような差があるわけです。工事の差によっても負担額が大きくなってくる。そうなりますと、各市町村ごとにかなり苦しい部面が出てくるのではなかろうか。これは単に港湾問題だけではなしに、去年の漁港の問題もありましょうし、あるいは最近の過疎過密問題からいって集落維持のための交通補助の負担があり、市町村に相当金が要るということで、工事負担する市町村ではアンバランスが出てたいへん問題があるのではないかというふうに心配して質問したのです。そうしたら、その問題についてはかなり自治省のほうでも調整をするということの話を聞いたのでありますが、その内容についてお聞かせいただきたい。
  26. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 御案内のとおり、港湾費の今度の地方負担額につきましては、本国会に御提出いたしております地方財政計画で一応包括的な財源措置は行なわれておるわけでございますが、個々の地方団体に対する措置といたしましては、港湾などは特に特定の年度に特定の団体によって事業費がかさむというような関係でございますので、普通の配り方ではその需要に対応できませんので、現実の地元負担額と申しますか、それを基礎といたしまして、一定の割合を交付税の中の基準財政需要額に算入するという措置をとっておりますので、その部分は交付税で措置するということになっております。残りの残額は地方債で措置いたします。したがいまして、地方負担額の全額がその年度においては措置された形になります。地方債で措置された分の元利償還金の一定割合は、後年度におきましてまた交付税の需要の中に算入するという仕組みをとっておりますので、従来からの実績から見まして、港湾費については相当手厚い措置が行なわれておるはずでございまして、今度の北海道の場合にも同じようにそういった措置をとる予定でございますので、おそらく事業の執行には支障ないものと感じております。
  27. 伊部真

    伊部真君 総体的に交付税北海道港湾関係でどの程度状態かということはわかりませんか。
  28. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) ちょっと手元に資料持っておりませんが、毎年毎年、運輸省のほうで公共事業を御決定になりますと、地方負担額が道分、市町村分というふうに個別にわかってまいります。八月までにわかりました分は、それを基礎といたしまして、交付税の基準財政需要額中の投資経費にその数字を使いまして、一定割り掛けるわけでございますけれども、それを基準財政需要額と算定いたしまして、交付税を配分するという仕組みにいたしております。
  29. 伊部真

    伊部真君 そうなりますと、北海道自身の調整というものもありましょうから、北海道のほうで聞かないと、道庁のほうに聞かないとわからないかもしれませんが、いずれにしても、市町村の、たとえば羽幌だとか襟裳とか、そういう非常にいま財政的に問題になっているようなところに対しては、やはり十分な配慮がなされないと趣旨が生かされてこないというふうに思います。その点はひとつ要望しておきます。これで自治省に対する質問を終わります。  先ほど私お願いしておりました港湾ストの問題につきましては、わかりますか。
  30. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) お許しいただけましたら、私どもの担当の参事官が参っておりますから、具体的なことを御説明申し上げさせたいと思います。
  31. 田中光次

    説明員(田中光次君) 港湾ストの現状を申し上げます。  港湾方面におきましても、他の一般の陸上の部門と同じように、大体四月十七日ぐらいを要求期限にいたしまして、それ以後、二十二日から七十二時間、それから二十七日から九十六時間のストライキを六大港において行なっております。で、今月に入りまして、大体の港は片づいたというふうに私どもは聞いております。  それで、どういう要求であったかと申しますと、問題の争点は二つございまして、一つは、いわゆる春闘のベースアップでございます。これは大体平均しまして一万七千円、約二八%アップの要求でございましたが、大体いままで片づいたところは一万三千円から九千円程度のところで、これは職種によって違いまして、たとえば全港湾の系統ですと一万三千円、それから日港労連と申しまして、船内荷役の関係になりますと八千円というようなところでおおむね片づいた次第でございます。ベースアップの点につきまして現在残っておりますのは、神戸港の船内荷役の関係だけでございます。これは現在解決のきざしがなくて、このままで推移すれば十三日からまたストライキに入るというふうに聞いております。  それから、要求項目の第二点としましては——先生御存じのように、港湾もいろいろと輸送革新に応じまして新しい輸送方式が採用されておる、いわゆる物流近代化等の関係で、従来の原始的な入力にもっぱら依存した荷役も機械によって代替されるというようなことから、いわゆる合理化が行なわれてまいりました。その合理化に対する反合理化闘争ということでございまして、就労を保証せよとか、そういうようなこと、それからまた、最近の労働力の逼迫の状況からかんがみまして、たとえば日曜、祭日の完全休日を実施してもらいたいというようなこと、いわゆる反合理化闘争という要求が第二点でございます。これは春闘だけでなくて、ずっと一年じゅうやっているわけでございまして、その他の港につきましては、ベースアップの解決とともに一応平静におさまったわけでございますが、現在残っておりますのは東京大井埠頭で、コンテナ埠頭、公団の埠頭ができた、そこにおきまして、現在、全港湾がまだ話がつかないという形で残っておるという現状でございます。
  32. 伊部真

    伊部真君 港湾のいまのストライキ闘争の中で、いま言われたように、ベアの問題は、大体神戸を除いて解決がついているというふうに聞いたわけですが、問題はこの合理化問題です。この合理化問題というのは、私は直接まだよく調べておりませんけれども、最近の港湾荷役の増加というのは、この十年間の状態を見ると、かなりまあ数量はふえている、年率大体一割五分から二割近くの増加がありながらも、コンテナによって、省力化によって全体の港湾労働者の数というものは変わりなしにきている。しかし、最近この一、二年にいわゆるコンテナ化がどんどん進み、それから大型採用が進み、あるいはラッシュ船——まあラッシュ船はそれほどの状態ではありませんが、このような状態がどんどん進んでくると、私は、荷物はあっても作業がなくなるという状態が出てくるんではないか。これを手放しで、そのまま港湾労働者の責任で、これは日雇いでいままでやったが、荷物がなくなったのだからそれは雇用がなくなるのはしようがないという状態に置いておいていいのかどうか。いまのような状態に置かれると、この一、二年減少しているという状態にきているわけですから、これはたいへん大きな問題だと思うのです。港湾でストライキをやるやらぬという問題でなしに、こういう問題について、やはり省力化あるいは機械化されることによっての政府としての対策を考えてやらないと、これはいかぬのではないかというふうに思うわけです。ですから、何か聞くところによると、大井の場合でもコンテナ埠頭で争議中だということですし、あるいは横浜も十三、十四、十五、あるいは神戸も入っているようだし、門司も十三、十四、十五、この十三、十四、十五というのはかなり山場になっているわけですけれども、これをやっている。いまのような業者だけの責任においてやらしておくということでは解決つかぬのじゃないか。もうぼちぼち外国のほうから日本港湾ストライキについて苦情が出ておるようですから、これは政府としてもほうっておかれぬ問題ではなかろうかと思うわけですが、これについてひとつ何らかの対策を考えていただきたいと思いますが、どうですか。
  33. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 港湾におきます荷役形態の変化というのは、先生指摘のとおりでございまして、実は数年前から港湾運送関係の審議会を持っておりまして、一昨年までは、港湾審議会の中に港湾運送部会というものを設けまして、関係労働団体あるいは船主、荷主、それから学識経験者に入っていただきまして、検討していただいたわけでございますが、昨年からは運輸政策審議会の中に港湾運送特別委員会というものを設けていただきまして、その中に同じような構成で労働者の団体の代表の方も入っていただきまして、問題ごとに整理してまいっておるわけでございますが、現在も非常に熱心に御討議願いまして、先生おっしゃいますように、昭和五十年程度にはどうなるかという問題、長期の展望と、それから当面出てさた問題、それをどう整理するかという二つの点につきまして現在検討していただいておりますし、私どもも、その検討の結果を待って、というよりも早く検討いただきまして、その結果に対応したような措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 伊部真

    伊部真君 私は前にそんな話を聞いたのでありますけれども、やはりこの事態に対して早急に対策というか結論を出してやらないと、私はやはり現場で働いている労働者にとっては非常に不安だと思うのですね。雇用関係の問題で、これはたまたま日本にいま起きましたけれども、前例があるわけでしょう、サンフランシスコで。あの長期なストライキが行なわれたという原因は、やはりあのコンテナによって輸送というものが変化をした——私はあのときのことを思い出すのですけれども、あのサンフランシスコの港湾労働者がストライキをやったときに、どういう要求があったかというと、コンテナから一ぺんサンフランシスコの沖に荷物を出せ、そうしてもう一ぺん荷物を積ませろ、そうしなければおれたちの仕事はないじゃないか、これは私は非常に無理な注文のように思いますけれども、そこに私は港湾労働者の非常な悲願があると思うのですね。それほど荷物を目の前にしながら作業がなくなっていく、自分の職場がなくなっていくということ、これはもうアメリカで前例が起きたことで、次は今度はわれわれのほうにきている。いまの港湾ストライキというのは、それを見たら非常に重要な問題だと思うのです。しかもこれは春闘が解決して、何とか解決するだろうというようなことで、私はほうっておくことではないと思うのです。なかなか根が深いものだと思う。したがって、そういう問題については、やはりこれの特別な委員会というものを、いま言われたような既往の状態では非常に何というか形式的な形になるので、もっと私は、こういう雇用問題を含めた政府としての積極的な対策というものを持つべきではないか。たとえば、これは管理者である市当局だとか、あるいは業者だとか、利用者あるいは労働組合、こういうところが特別な委員会を持って、そして、この問題についての解決策を積極的にやっていく、それで結論を出していく、そういうことをやはり政府のほうとしては方針を明らかにして、そして、いまのそういう問題を解決するようにしないと、これは法文でいくと労使問題だから不介入だということで、そのまま置いておきますと、私は、長期化するだけで、しかも港湾行政についての政府の指導というものはちょっとも入らないで、これはたいへんに問題化されるのじゃないか。これは時間がたてば、長期化すればするほど私は労使問題というものは根が深くなっていくと思う。その点をぜひひとつ考えてもらいたいと思いますけれども、大臣いかがですか。大臣のほうでひとつ……。
  35. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) この問題は、ただいま港湾局長からも御答弁申し上げましたが先般ラッシュ船のときにもその問題がやはり主になりまして、将来の見通しというようなことでああいうふうなピケ騒ぎが起こりました。そのときから私も非常に心配をしているのであります。御承知のように、機械化が進み、省力化が進んでまいりますと、やはりいろいろ荷揚げその他の労務というものがどうしても省力化されてくる、その労働力をどこに転換するかということが一番大きな問題でございます。船の離発着も非常にふえてくる、そっちのほうに、いわゆる技術工としてそっちに向けさせるための再訓練をする、どのくらいを確保するかという点のやはり見通しを立てることが一番必要になってくる、こういうふうに私も思っておる次位弟でございます。それがために、そういったような転換をされる労働者の方々をどういう方面に持っていくかということをある程度の見通しをつけまして、そしてそれに対する対策をやはり積極的に講じていく。いまお話がございましたように、管理者、それからそういったような輸送業者、それから港湾労働者が一体となりまして、いろいろ協議をして具体的な対策を考えていく。大体の見通しとしては、私どものほうでやはりそういったような関係者を集めて早急に見通しをつくる、その見通しに基づいての対策を協議する、対策をつくるということが私は必要である。ただいませっかく運輸政策審議会におきまして港湾運送特別委員会を設けまして、その問題につきましてもやっておるようでございますが、さらにそれを督促する、そしてその中の委員その他につきまして、まだ足りないということはひとつ再検討させまして、できるだけ早い機会に、それらの問題がどういうふうな見通しになるか、そしてどういうふうな対策をとるかということを、ひとついろんなお方の御意見も聞いてまとめて、きめてまいりたい。いま私も、御指摘がありましたように、これが一番の大きな問題だと考えておる次第であります。
  36. 伊部真

    伊部真君 いまの問題でありますが、これはやはり雇用対策なんかを含めて具体的な対策を出さないとだめだと思うのですよ。ですから、港湾審議会のほうも、私、勤務内容、経過もよくわかりませんから的はずれになるかもしれませんが、港湾の恒久的な行政、あるいはこれからの見通しの問題についての討議をする問題とこれ一緒になりますと、必ずしも緊急性を持たない問題があると思うのです。そういういまの当面の問題には間に合わない。ですから、もっと荒い、いわゆる雇用関係だとか、あるいはそれらの労働者のこれからの問題、活用方法というような問題を含めたやはり対策というものを持つ、そういう委員会を私は持つべきだと思うのです。そういう意味で、雇用対策を含めた委員会を早急にこの争議中に持ったらどうかと思うのですが、それはお持ちになりますか。いま大臣の言われたようなことを私はすぐにやっていただきたいと思うのです。
  37. 田中光次

    説明員(田中光次君) 先生御存じだろうと思うのですけれども港湾運送の行政につきましては、やはり事業監督行政は運輸省で行なっておりますが、いわゆる労働行政は労働省で行なっているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、労働者の雇用の安定等につきましては、やはりそのもとになる企業の安定ということを通じてやるというたてまえでしかタッチすることができないのではないかという考えでやっております。ただし、労働省のほうにおきましても、港湾労働のための特別の審議会がございまして、そこでもっぱら労働政策の見地からいろいろ港湾労務者の問題を討議しているわけでございますが、その場合、労働問題からいきますと、やはり事業の安定の問題にからんでまいります。そういう意味で、私どもも労働省の審議会に入りまして、向こうのほうは労働関係から、われわれのほうは事業の安定の面から労働者の対策をどうするかというように、行き着くところは同じでございますが、現在のところは、いずれも、やはり現在の港湾の機能をスムーズに遂行していくためには、何といっても港湾事業というものは港湾労働力に依存するところが大なる事業でございますから、その点を十分に考えてやっていかなければならない、こういう考えでやっておるわけでございます。
  38. 伊部真

    伊部真君 そういうことだから私は非常に争議の解決がおくれると思うのですよ。やはりどこが発議をして、どこが中心になってやってもらうかということをはっきりしておかなければならない。なるほど労働省のほうの管轄、労働争議という意味ではそうでしょう。しかし、外国から、ストライキが起きて苦情がくるのは、やはり運輸行政港湾のほうにくるわけでしょう。これは業者にもくると思うのです。運輸行政の中でやはり停滞をして、これだけ迷惑をかけたということになると、これはそっちのほうにくる。同時に、輸送近代化、機械化によって起きる現象というものは、労働省というよりもこっちが出発点になるのですから、そういう意味では、やはり港湾のほうが主体になって、これからの雇用問題というのをよく見通しをして、そうして考えていかないと、労働省のほうでは、これからの港湾自体の展望というものもよくわからないわけでありますから、だから、その展望がわかっている運輸省のほうが中心になってやはりやっていかなければならないのじゃないか。私も事実がよくわからないのは、この十年間ほどはそれが機械化されておっても、荷物がふえるために何とか消化できた。十万から十一万という港湾労働者は、これはいままでと同じように人間がおって、そうして荷物がふえていっても機械化されることで消化される。最近は玉掛けなんかほとんどなくなってしまって、コンテナ化していく、あるいは鉄鋼でも、この間、私、見てきたのでありますが、もうほとんど電気で、吸着装置ですか、吸い上げて運搬するということで、人手がかからなくなった。こういう状態に対して、新しい輸送の機械化、新しい状態に対応して、やはり中心になって運輸省なら運輸省のほうが建議をしていく、そうして転換する、あるいはこういう政策を考えてくれということを労働省に要求したり話をしたりするということでなければ、いつも苦情が出てきたら受け身になって、あっちの管轄だ、こっちの管轄だということでは、労働者はたまったものではない。だから私は、単にこれは労働争議という問題で取り上げるのでなくて、これからの港湾荷役、あるいは港湾の作業のあり方というものを考えて、さらに積極的にこの問題について納得さすような、いまこれ解決したって、これは大臣きょうこれがもしも解決したって、見通しについて、労働者に対して何かの方針というものなり、何を考えてやらないと——これはことしだけのことじゃない。しかし将来的展望に対して、われわれはこういうふうに考えておるんだと、したがって、やはりこれは定職については考えるとか、何かひとつ労働者に指示を与えるような形をしてやらないと、それは労使問題だけで解決に追っ払うことじゃないと思います。したがって、そういう意味で、ぜひひとつ、先ほど大臣も言われましたけれども、積極的にこの機会に委員会を持って、そうしてこの雇用問題を含めた、雇用の安定問題を含めたものをひとつ積極的につくってもらいたいというふうに思うわけです。で、私は、できればひとつ大臣のほうで、早急につくるということをお約束をいただきたいと、こう思うんでありますが。
  39. 田中光次

    説明員(田中光次君) 先ほど港湾局長の説明がちょっと足りない面がありましたので補足さしていただきますが、実は運輸政策審議会の特別委員会では、大体昭和五十年度の貨物の取り扱いを想定いたしまして、それから、その問にどの程度輸送革新等が進展するか、それを前提にいたしまして港湾運送事業をどういう方向に持っていくかということを一つのテーマにしておりますが、その際に当然、港湾労働者の処遇をどうするかという問題が入ってくるであろうということで、昨年の夏に発足しました際に、第一回のときに、先生のおっしゃるような意味での港湾労働に対する問題をその委員会で審議するというふうになっております。  で、現在、特別委員会の審議状況でございますけれども、大体輸送革新がこういうふうに進展するであろうという前提条件のところにつきまして、一応各委員の意見も一致しまして、しからばその次に港湾運送事業はどういう形に変貌さしていくのが至当であるかというところをやっておるところでございます。そのあれが終わりましたならば、企業をそういうふうに変革していった場合に、労働者に対してどうするかという問題の審議に入る、こういう順序になると考えております。そういう意味で、運輸政策審議会の港湾運送特別委員会でその問題はやっておりますということを御説明いたします。
  40. 伊部真

    伊部真君 それは港湾に限らず、輸送全般に対する討議は私はやっていると思うんですよ。運政審中心にして、それは各部会で、全体としても、荷物の物量というのは、昭和六十年以後、国民総生産二百兆、それから全体の国内輸送量は二百億トンになるだろうということで、それに対するいわゆるレール輸送なり、港湾輸送なり、自動車輸送というのは、全部見通しが出ているわけでしょう。運政審の総合部会で答申が出ております。したがって、その経済の見通しと、荷物の流れというものについて、それはそれなりに港湾、それからレール輸送——鉄道輸送、全部出ていることは事実ですよ。しかし、その結論がついて、見通しがついて、どのような輸送形態になるだろうと、雇用はどうなるだろうというようなことの結論が出るまで、あなたそんなに簡単にいきませんよ。いま港湾労働者がどんどんどんどん人間が減らされているんですよ。日雇い労働者がどんどんどんどん首切られて仕事がなくなっているのに、昭和六十年の見通しをつけて、それに対する政策を考えて、そこから雇用政策が論議をされるだろうなんというようなのんきなことで私は済まされる問題じゃないと思いますよ。それじゃ、今度の十三日からやっているストライキはもう一カ月にもなっているのですが、それ結論がつくまで労使問題としてストライキやらすつもりですか。それはやっぱりいまの問題に対してどう考えるかということを積極的にリードしていって配慮してやらないで、そんなことを言っているから労使問題のこの港湾関係はいつももめてしょうがない。いままでの合理化問題、賃金要求と違うと私は思うのです。いま問題になっているのは、業者の恣意によって人員を整理するとかという問題じゃなしに、輸送全般が、特に港湾関係というのは、 一つではコンテナになっていく。あるいはラッシュ船、というよりもラッシュ船というのはそうたいした問題じゃないと思う。これは苦情が出る人があるかもしれないが、私はコンテナだと思う。二十トン、四十トンのコンテナにあれだけどんどん変わってくれば、玉掛け作業をやっている者がなくなってくるのはわかっているでしょう。それを機械化策をどんどん採用していけば、港湾の荷役がなくなっていくのはわかっているですよ。こういう状態に対して、やっぱりこれはもう十万こえているような労働者に対してはどうするのかということについて、ある程度政府のほうもその対策を考えてやらないと、どうにもならぬですよ、これは。だから、これはたいへん問題がむずかしいから、むずかしいからと手を染めないということじゃ困るので、これは港湾労働者にとってはたいへん大きな問題ですから、これはそんなこと言わずに、すぐにでも私は何かの委員会を持って、この問題の解決なり指示を与えてもらいたいと思います。
  41. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ちょっと私どもの特別委員会説明が不十分でございましたので、多少誤解をいただいたかと思いますが、運輸政策審議会は先生承知のとおりな審議会でございますけれども、実は昨年、ちょっと運輸政策審議会という場では異質なものになろうかと思いますけれども、特にその中に港湾運送事業だけの特別委員会を付置していただきました。そこで先生指摘のように、当面の港湾運送の変化はどうなるかという、あるいは昭和五十年にどうなるかということを中心に、御指摘のような問題を検討するために特別な委員会をつくっていただいて検討をお願いしている次第でございます。その構成メンバーは、特別委員という形交運輸政策審議会の委員さんのほかに、港湾労働界の代表の方二名、それから港湾運送業者の代表の方、それから港湾管理者の代表の方、それから荷主、それから船主の代表、それに学識経験者として大学の先生方、そういう方々をメンバーにいたしました特別委員会でせっかく検討をお願いしている次第でございまして、先生の御指摘のような問題確かにございますので、その点を特に特別委員会の場へ持ち出しまして検討をお願いしたいというふうに考えている次第でございます。
  42. 伊部真

    伊部真君 そうすると、結局この五十年度の見通しの上に立ってやるということになると、それの結論が出るのは、どうなんですか、いつごろになってくるのですか、それは。
  43. 田中光次

    説明員(田中光次君) なるべく早く、つまり四十八年度の予算要求の案を固めるまでに、なるべく一つの結論を出したいと、こう考えます。
  44. 伊部真

    伊部真君 それはいわゆる雇用問題を含めて出すということになりますか。
  45. 田中光次

    説明員(田中光次君) さようでございます。ただし、所管の問題がございますので、形はどういうふうになるかわかりませんけれども、少なくとも労働者の雇用の安定については十分配慮するということは行なうつもりでございます。
  46. 伊部真

    伊部真君 いままでですね、私は、まあ、その委員会はいままでの通例からいくと、何か抽象的な答申で終わるということで、それは一つの示唆にはなっても具体的対策にはなっていないのですね。だから、どうもこの委員会というもののあり方については、いままでの実績からいってそうなんです。と同時に、さっきも参事官が言われたように、心配なのは、自分のところのほうの管轄、諮問されたこと以外には触れないということがたてまえになっておるようでありますから、そうすると、結局、期待しているような港湾労働者のいわゆる生活に影響するような問題についての回答というものは非常に抽象的に流れるという、そういう心配があります。で、私はそのことを否定するわけでありませんけれども、やはりこの問題は緊急事態として、私の聞くところによると、組合のほうからも、三者でこの問題について話を聞いてほしいと、そういう会合を持ってほしいという要求があるようでありますから、これらを踏まえて、いまの争議を含めて、ひとつ——そこで解決するような場ができるかどうかというのは別ですよ。それは、そこでばちっと、中労委の調停の機能を持てとかいうんじゃありません、そういう役割りを果たせというわけじゃないが、やはりこの長期化していきそうになっているストライキに対して、何らかの解決への対策を立てるための委員会なんかを持つべきだと、こう思うので、その点をぜひひとつ、大臣も言われましたけれども、考えていただきたいということを要望します。
  47. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの伊部先生の御指摘ごもっともでございまして、私どもは、かねがね、この港湾労働の省力化、機械化による労働者の転換の問題ということを非常に私も気にしておる次第でございます。いまお話がございましたが、運輸政策審議会におきますそのもの検討、そうして、これを私どものほうで至急検討させまして、いま、せっかくの機会でございますので、それらの点も含みまして、見通しと雇用対策という点を含みまして労働省とも早急に連絡をさせまして、両者の問におきまして何らかの具体的な対策を立てるように前向きで検討さしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  48. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 午前中の質疑はこの程度にとどめて、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  49. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  50. 小柳勇

    ○小柳勇君 新港湾整備五カ年計画の第二年目に、北海道港湾工事の費用負担の改正法案が出ました。直接的な問題を質問いたします前に、いま緊急問題として発生いたしました、ベトナム各港の米軍による完全封鎖の問題を、港湾整備に関連する部面だけ質問いたしておきたいと思います。  ソ連船が北海道の海峡あるいは日本海を通りまして、日本の周辺を航行いたしています。ニクソンのベトナム海域の封鎖は、その大部分のねらいがソ連船の航行に警告を与えるという点にあると、われわれも推察をいたしています。けさ十時ごろソ連がこの完全封鎖に対する態度を決定して世界に声明するという情報がありましたから、お昼のニュースでソ連の態度が明らかになると思いまして、本日実は質問を追加いたしました。しかし、さっきニュースを見ましたけれども、まだソ連の態度は決定していないようです。したがいまして本日衆議院、明日参議院本会議で、根本的問題はそのほうで質問がありますから、私は具体的問題を質問するのでありますが、運輸大臣は——ベトナム北辺の港が完全に米軍の機雷及び米艦隊によって封鎖されておるが、日本もベトナム貿易が一九七一年で輸出入合計五十三億四千万ばかりございます。直接日本の船は航行していないようでありますが、外国船も相当入っている。したがいまして、この四カ月を目途にされておる北ベトナムの米軍による完全封鎖というものと、日本の貿易のためにする商船の航行、この安全性、そういうものに対し、あるいは、この完全封鎖の、今後のアジアの平和及び日本の平和に及ぼす影響などについて大臣はどのような見解を持っておるか、お聞きしておきたいと思います。
  51. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ベトナムにおけるそういった緊張が緩和すると思った次第でございますが、これが激化の方向に一時的にいたしましても向かいつつあることは、やはり平和を念願する日本国といたしまして、また日本政府といたしまして、その政府の閣僚の一人といたしましても、ほんとうに憂慮している次第でございます。一日も早くそれらの点で両国間打開の道が講じられまして和平に到達することを心から念願しておる次第でございます。貿易の問題につきましても、それらの点が根本になりまして、一日も早く正常に戻ることを心から念願いたしておる次第でございます。
  52. 小柳勇

    ○小柳勇君 海運局長に聞いておきたいのですが、ハイフォン、ホンゲイ、カムファなど、日本の品物が出入りいたしておりますが、現在日本の商船は動いていないようでありますが、これらの品物移動についてどのような情勢で運搬されているか、御説明願いたいと思います。
  53. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 現在日本船が航行しておりませんけれども、私の得た情報によりますと、たとえば香港まで日本船で運びまして、香港から香港船等に積みかえまして、北ベトナムへ運んでいるという例があるそうでございます。それからなお、それ以外には大体ソ連船とか香港船、台湾船そういう船を荷主が使いまして、日本の雑貨輸出を行なっている、あるいはホンゲイ炭の輸入を行なっているというふうに聞いている次第でございます。
  54. 小柳勇

    ○小柳勇君 防衛庁に質問いたしますが、ナホトカ航路あるいは新潟航路など、ソ連の船が日本の港に入ってまいります。特に横浜から出ましたナホトカ航路は、日本列島二日間、それから海峡を通ってナホトカに行くのであります。最近、米軍潜水艦がソ連の艦船を尾行しておるという情報も流れてきております。特に北海道はナホトカ航路と直接関係がございます。日本海もソ連船の航行がありますと、あるいは米国潜水艦の活動もあるのではないかと思いますが、この北ベトナム各港の完全封鎖に伴いまして、現在米・ソ海軍の配置なりあるいは活動なり、特別なものがあるのかどうか、そういうものについて、御説明願いたいと思います。
  55. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) まず最初に、米国とソ連の極東における海軍の兵力でございますが、米国は御承知のように第七艦隊を旗艦とする部隊でございまして、海上艦艇が約百二十隻からなっております。一方、ソ連はウラジオストックその他二、三カ所を本拠地にいたしまして、艦艇約七百五十隻、九十万トンの兵力を擁しております。その行動は、ただいま先生が御指摘になりましたように、ソ連の艦隊はここ数年、私ども承知をしている限りでは、対馬海峡あるいは宗谷海峡、津軽海峡等を通って、かなり外洋の方面に行動をしておると。その目的ははっきりわかりませんが、この周辺の海洋の調査とかあるいは情報の活動、その情報の活動は、アメリカの海軍の動静を探知することもございましょうし、あるいは自衛隊の合同演習等についても情報をキャッチするというようなこともございます。  そこで、ただいま御指摘がございました、アメリカの潜水艦によるソ連の船舶の追尾ということでございますが、現在、アメリカの潜水艦が、第七艦隊に所属いたしますものは六隻ないし七隻というふうにいわれております。まあ、この程度の潜水艦でどの程度のことができるかということは別といたしまして、私ども、現在までのところ、こういうような事実については承知いたしておりません。
  56. 小柳勇

    ○小柳勇君 投下されました機雷、及びこれの効果を完全にするために配備されている艦艇及び飛行機、こういうものの、いわゆるベトナム封鎖の米軍のこの戦力をもって、ソ連の北ベトナムへの物資の輸送を制限しようとしている、実際抑止しようとしているアメリカのいまのつばぜり合い、そういうものが、太平洋あるいは日本海の海上の平和という面で大きな変化があると思うが、防衛庁としてはどのように把握しておられますか。
  57. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 今回米国政府がとりました措置に伴いまして、私どもとしては、極東方面の周辺諸国の軍事的な動向について、私どもの能力をあげて監視をいたしておりますが、現在までのところ、特別な動きはないということでございます。  それから、今回の措置は、御承知のように、米国が、ベトナム紛争を収束をする一つのステップとして、北ベトナムによる南への進攻の補給路を断つという目的で、やっているように聞いておりますが、そのことは、アメリカといたしましても、第三国との間に事をかまえるということはあろうはずはございません。もとより、ソ連がどのような態度をとるかということについてまだ公式な発表もございませんので、私どもとしてはいかんとも判断いたしかねますけれども、先ほど申しましたように、現地における動きということについては、この日本周辺において特別なものは見られないということでございます。
  58. 小柳勇

    ○小柳勇君 米ソ海軍の特別な緊張あるいは変化のないことはわかりましたが、現在のこの変わりつつある情勢に対する防衛庁の対策といいましょうか、体制はいかがでしょうか。
  59. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 私からお答えし得る問題かどうか疑問でございますが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、とにかく日本の周辺に目と耳をもって状況の推移を監視をするというのが私どもの現在の体制でございます。
  60. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣に質問いたします。  北ベトナムに陸揚げされる物資その中ではソ連船が主体のようでありますが、日本からも、さっき申し上げましたように、品物が相当出入りいたしております。そのようなものを、日本としては、やむを得ぬ、四ヵ月間で二つの条件が貫徹されれば封鎖を解くということであるから四ヵ月間やむを得ぬという立場だけであるのか。あるいは、これだけの品物を貿易しておる商社もあるのですから、相当の損害ですね。一年間平均五十億といたしましても、三分の一の損害ですね。四ヵ月やりますと三分の一の損害です。この損害を、しょうがないと、日本の政府としてはそのように考えておるのか、あるいは商船を守りながら何とかして貿易は続けていかなければならぬと考えておるのか、どちらですか。
  61. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) これは非常にむずかしい問題と思う次第でございます。私のほうから御答弁を申し上げる筋、まあ運輸の方面は私でございますが、貿易のほうは通産でございます。貿易政策の問題からどういうふうにするかということでございますが、私は、先ほども申し上げましたとおり、やはり根本は、そういったような緊張をいかにして早く緩和するかということが一番先ではないか、それをお願いをするということであろうと思う次第でございまして、それらの方策につきましては、外務大臣その他のまあ外務方針によるところが非常に多いと思う次第でございますが、私どもは、一刻も早くそれらの根本の問題が解決をすることを願っておるということ以外には、ただいまのところ御答弁いたしかねる次第でございます。
  62. 小柳勇

    ○小柳勇君 くどいようですけれども、運輸大臣は、港湾施設を守る、船の航行の安全を守らなければならぬ、その責任があると思うのです。戦力にたよるものは、これはもう防衛庁になりましょうけれども、しかも年間五十数億の貿易があの七つの港を通じて行なわれておる。そうしますと、それだけの日本の商社が四ヵ月間も商売できない。その損害は一体だれが見てくれるかという問題も発生してまいりましょう。それに、まあ、できればいままでどおり船で安全に品物が出入りできるのが一番いいのでありますが、それを完全に封鎖しようとしている。したがいまして、まず当面は、ソ連がどう出るかわかりませんけれども、米ソの対立が激化いたしまして、商船を潜水艦が爆破するようなことがもし発生し、あるいは機雷に触れて商船が爆破するようなことがありますと、局地的な戦争が発生したとみなさなければなりません。そういうふうな非常に緊迫した事態であります。したがいまして、ソ連の出方も大事でありまするが、それに対処する日本政府の方針というものがなければならぬのじゃないか。アメリカが、ニクソン大統領があれやったんだから日本側も四カ月しょうがないと、そういう、何といいますか、あなたまかせの政治のあり方では承知できないわけですね。したがいまして、防衛庁の態度ももう一回聞きますが、きょうは防衛庁長官見えておりません、あとで聞きますけれども、運輸省として、海運関係なり一切を掌握されている大臣として、どのような御見解であるか。ただ、これは外務大臣の仕事とか、あるいは総理の仕事でございますでは、ちょっと大臣として責任のがれではないかと思うのですが、いかがですか。
  63. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) わが国の港湾わが国の船舶でございましたならば、やはりおのずからその道がございます。われわれ直接責任がございません外国港湾のことでございます、外国の船舶のことでございますと、私、先ほど基本的の考えを申し述べました以外には、私がただいま答弁はいたしかねる次第でございます。
  64. 小柳勇

    ○小柳勇君 海運局長に。直接的には外務省あるいは通産省の仕事かわかりませんが、日越貿易会の、民間貿易協定で動いている、チャーターされた船もありましょうが、封鎖されたために、どのくらい、何そう向こうに入って動きがとれないでおるという現状の把握ができておるのかどうか、お知らせ願いたいと思います。
  65. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 私、現在手元に実は資料ございませんのですが、的確な数字はわかりません。ただ一般の新聞報道でしか承知しておりませんので、運輸省としまして独自の調査はしておりませんです。
  66. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣、いま申しました直接日本船ではありませんけれども日本の品物を積んだ船が動いているわけです。そうして封鎖されているでしょう、あるいは入ろうと思ったけれども入れないでおるでしょう。今晩の七時ごろから機雷は動くといいますね。いま出るものは出なきゃなりませんね。その実態は運輸省として調査しないでいいんですか、どうですか。
  67. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) これは調査すべきだと存じますけれども、どの程度調査できるか、これはまことに疑問だと存じます。したがいまして、やはり外務省等の機関を通じまして調べてもらうと、そういうことはしなきゃならぬと思いますけれども、運輸省自身はそういうことはできないということを申し上げた次第でございます。
  68. 小柳勇

    ○小柳勇君 日越貿易会という、これは民間貿易協定で動いていますから、責任の所在はどうかといいますと、必ずしも運輸大臣にこれ私が追及する課題ではないかもしれません。外務省の仕事もありましょうし、あるいは通産省の仕事もありましょうが、ただ船を動かす、安全に動かすというのは運輸省の仕事でありますから、そういう面ではひとつ早急に外務省や通産省などに連絡をとってお調べ願いたいと思うんです。そして、一体これで日本はどのくらい損するのか、またの機会に質問しますからお調べおき願いたいと思います。  それから防衛庁に最後の質問でありますが、さっきおっしゃったように、宗谷海峡や津軽海峡などソ連は正式に通っていますね。定期船が動いています。で、日本海の中でも堂々と動いております。今後の情勢次第では、あるいは局部的に紛争状態が発生したいとはだれも断言できないと思いますね。したがいまして、そのようなときに防衛庁として、これはまあ米ソ問の問題でありますからというだけでは話が片づかないのではないかと思うが、防衛庁としての、いまの緊急事態に対してとっておられる措置をもう少し詳細に御説明願いたいと思います。
  69. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいまの先生の御指摘によりまして、できるだけの情報をとるつもりでおります。わかりましたらまた報告したい、こう思っております。
  70. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) まず私どもができることは、現時点におきましては防衛庁が持っております情報収集の機能を活用いたしまして、周辺の情勢を把握をして関係機関にそれをお伝えする、したがいまして、こういう部門におきましては二十四時間態勢をしくというような措置をとっております。しかしながら海上交通の問題について具体的にどうというようなことは現在いたしておりません。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 第七艦隊や第五空軍の配置なり——いまこれは緊急態勢をとっておると思うんですけれども、海上自衛隊なりあるいは航空自衛隊なりの態勢については詳細にいま審議官把握しておられるんですか。
  72. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) まず第五空軍につきましては、現在第五空軍は日本の本土には実力部隊を持っておりません。もちろん横田あるいは三沢等飛行場管理をいたしておりますので、それぞれ基地における動きというものはあろうかと思います。これにつきましても、それぞれ私どもの出先を通じまして接触をいたしておりますが、大きな動きはないというふうに聞いております。それから第七艦隊につきましては、これも先生承知のように、すでにベトナムにおける事態がかなり緊迫化をしまいりました段階において艦艇等が横須賀港も出ておりまして、現在私どもが本土を中心に見た米軍基地の動きというものは、あまり大きな動きはないというふうに承知しております。もちろん第七艦隊につきましては、これも新聞等で報道されておりますように、この一月ごろには兵力も大体百隻程度でありましたのが、現在では二十隻程度ふえております。そして空母を中心とする部隊がベトナムの沖に進出をしておるということは承知いたしております。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 投下いたしました機雷ですね、七つの港に機雷を敷設して、きょうから作動いたしますが、大体どのくらいの力、爆発力があるものですか。
  74. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 機雷の性能につきましては、各国とも秘密にいたしておりまして、私どもこの実体を承知することがたいへん困難でありますが、第二次大戦当時の戦史と経験から推測をいたしますると、現在米軍が北ベトナムの港湾の封鎖に投下をしておる機雷は、航空機によって投下をされているというふうに伝えられております。この機雷の大きさは大体五百キロから千キロ程度でございまして、炸薬量はその半分程度というふうに推定をいたしております。その機雷がどのような効力を与えるかということにつきましては、これもなかなか数字的に申し上げることはむずかしいと思いますけれども、もちろん機雷は、その目的が艦船を破壊をするということでございますので、軍艦はともかく普通の商船につきましては、爆発の状況にもよりますけれども、触雷すれば沈没をするというようなことは一般にいわれているところでございます。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 その機雷は、もう投下されたら移動しない固定されておるものであるか、あるいは潮流などによって流れるものもあるのかどうか、お聞かせ願います。
  76. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 機雷の種類でございますが、現在多く使われると一般に軍事専門家の間でいわれておりますのは、触発機雷と感応機雷二つに分けられまして、触発機雷というのは、私どもが第二次大戦等で承知をしております角の出ておる、つまり機械的に衝撃を受けた場合には爆発をするという機雷でございます。それからもう一つは感応機雷という機雷でございまして、現在世界の大勢はこちらのほうに移っておりますが、この感応機雷は、水圧、音響あるいは磁気というようなものによって作動をするというような性能でございます。  それから別の分類といたしまして、固定的なものかあるいは浮遊するものかということでございますが、浮遊機雷というものは一般に国際法で認められておりません。したがって私どもの推定といたしまして、それは固定をされたものであろうというふうに想像をいたしております。
  77. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後の問題、たくさんありますが、いまの情勢これからどう変わるかわかりませんから、防衛庁の質問はあしたまた根本的な問題やるようですから、これで防衛庁には質問はやめますけれども、運輸大臣、この問題の最後の締めくくりですけれども、北ベトナムであれだけ戦争して、アメリカがついに戦果利あらず最後の苦悩の決定だといわれておりますけれども、あの周辺の国々、特に日本などはもう最もその被害を受ける——直接的な被害でないにしても被害を受ける国ですね。しかも、わが国の船舶も、わが国の物資を輸送する外国船も航行しておるその海上をかってに完全に封鎖して、そして自分たちの捕虜送還あるいは停戦の話し合いを裏でやろうとする、私、許せないんですね、これは。アジアの人間として、日本の国民として許せぬのです。しかも四カ月やります。五十数億の直接的な取引がある、その国の港をかってに封鎖されてただ黙ってこれを見ておるようなことは、私は日本政府としてなっておらぬと思うのですよ。したがいまして、ちゃんと日本国民にかわって政府が一日も早くこういう機雷の掃海をやって、安全に航行できるような態勢をつくらなければならぬ。そういう抗議をアメリカにやるべきだと思うのですよ。ソ連の船を押えるために完全封鎖して、他の国民が通ったらあぶない、いまおっしゃったとおり、もし触雷したら商船は爆沈するとおっしゃったでしょう。そのような機雷を、しかも飛行機の上から、浮遊か固定かはっきりわからぬような機雷を投下する、われわれのこの隣の海を封鎖するなんてもってのほかだと思うのですよ。したがいまして、これはまあ、あしたの本会議の課題になりましょうが、運輸大臣としてはひとつ閣内で、運輸委員会で問題になったということをよろしく閣議で発言されて、抗議なり、早急にこの問題を解決するために努力してもらいたいと思うが、いかがですか。
  78. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 閣僚としての基本観念につきすしては、先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございます。重要なる外交上の問題でございまして、ただいま御指摘の点は十分了承しておきます次第でございます。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 なお、さっきの日越貿易会の損害とか、もしもこれから船の爆沈などの被害がありました場合の損害とか、またこれは当然この委員会で問題にならなきゃなりませんので、ひとつ実態把握、情報の収集に運輸省をあげてつめてもらいたいと思います。これは希望を申し上げます。そして直接的な問題の質問に入っていきます。防衛庁、ありがとうございました。  昭和二十六年に北海道港湾工事法というのが成立いたしました。そのときの議事録を全部読みました。いまから二十年前の立法でありますが、これはもう超党派で賛成している法律であります。当時の北海道の過疎地帯、特に財政力の貧弱な、しかし港は一日も早く整備しなければならぬという熱望によって本法ができているわけですね。そして港湾整備が逐次、計画でなされてまいりましたが、昭和二十六年の、本法が成立いたしました当時の北海道の各港の状態及びその当時の市町村の経済状態など、もしおわかりであれば数字によってあげていただきたい。何のためにあの法律ができたかということを、まず御説明を願いたいと思うのです。
  80. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 当時の北海道の経済状態その他につきましては私よく存じませんけれども港湾につきましての数は現在と変わってございませんので、特定重要港湾重要港湾、地方港湾を含めまして現在三十六港ございますけれども、大体同じような数かと思います。  当時の、昭和二十六年の港湾の取り扱い貨物量で申し上げますと、昭和二十六年が千七百五十万トンという扱い量でございました。で、参考までに申し上げますと、二十六年の事業費予算でございますが、事業費が三億三千四百万円、これは事業費と国費、同じでございます。三億三千四百万という状態でございまして、これを現在の状態とちょっと比較さしていただきますと、私のほうの港湾の統計資料は、まとまったものは四十五年まででございますが、昭和四十五年の港湾統計の資料によりますと、北海道の貨物量が七千百万トンでございます。約四倍強になってございます。四十七年度の港湾予算につきまして、いま私ども予定してございますのは、港湾投資額で、事業費で千八十八億四千万円、国費にいたしまして百六十三億五千万円ということで、単純に比較いたしますと約五十倍という倍率になっておる次第でございます。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 二十年前に北海道港湾法をつくったために、いわゆる内地といいましょうか北海道を除いた港湾整備と比べて、どのくらいのテンポで進捗状態整備状態が進んでまいったんですか。何か統計できていますか。
  82. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御承知かと思いますけれども、いわゆる本州と申しますか、北海道を除い本州、四国、九州といったところとちょっと港湾の性格が違ってございまして、御承知のように、東京湾、大阪湾というような臨海工業地帯、そういうふうなものは現在北海道苫小牧がある程度でございまして、貨物の性質なり港の性格が違いますので、直接貨物量その他では比較しにくいわけでございますけれども、ただ言えますことは、国の港湾全体で使った国費で比較いたしますと、北海道と本州と比べますと、北海道のほうが約二割程度多く投下されておるということが言えますし、それから特に北海道の特殊事情といたしまして、先生承知のように、非常に冬は流氷とかあるいは季節風が強い、それから夏は台風がくるというふうな特殊事情がございますので、防波堤その他の整備を非常に進めまして、船舶の、特に港内の船舶の安全を進めてまいったというのが特徴点かと存じます。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 今回この法改正する理由は、本土のほうとのバランスで、もう特別に北海道港湾工事法を適用しなくても整備ができるという御判定だと思うわけです。したがいまして、それには、港湾整備の進捗状態なり、あるいは、北海道における地方公共団体あるいは地方自治体の財政の裕福になった状態なり、それとちょっと比較検討されておるものと思うのですが、そんな数字ございますか。
  84. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) ただいまの、先生指摘の二十六年当時との財政力その他北海道の富の力と申しますか、そういうものの変化の数字という御指摘でございますけれども、的確な資料をいま手元に持っておりませんけれども、御参考までに申しますと、二十六年の数字をここに持っておりませんけれども北海道だと道民でございますけれども、県民一人当たりの分配所得は、三十年当時北海道は一人七万六千円でございました。これが四十三年には三十六万一千円ということで約五倍ぐらいになっております。それから今度は市町村ではございませんけれども北海道自身の財政力指数と申しますか、これは基準財政需要に対しましてどの程度の基準的な財政の収入があるかという比率の指数でございますが、これは三十五年当時が〇・三八でございました。これが四十六年度で約〇・四四ぐらいに増加しております。しかし、これはまだ全国の平均——東京都は別といたしまして、全国に比べまして、全国が約〇・六でございますので、まだ全国の平均には至っておりません。さようなわけでございまして、先生が御指摘になりましたけれども、私ども今度の改正の御提案申し上げておりますのは、北海道港湾についてこういう特別な本土に比べまして高い補助率をもってなおプッシュする必要があるということで、もう要らなくなったということは毛頭考えているわけではございませんので、わずか五%ではございますけれども、若干北海道の地元にも負担を願いまして港湾事業等の事業量をむしろこれから積極的にふやしていきたいという立場でございまして、北海道に対するこういう特例がもはや内地との均衡上要らなくなったとは毛頭考えておりません。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは港湾局長に聞きますが、整備五カ年計画の中に沖繩の問題が書いてありまして、これはこれからいろいろ調査をして予算がこれからつくものだと書いてありますが、いまから二十年前の北海道の港の整備をしなければならぬということでつくりました本法の制定当時の本土と北海道との比率、いまの数字の説明では納得できませんが、いまの本土と沖繩との港湾整備状況について、比較になるかならぬかわかりませんが、どういうふうに判断しておられますか。
  86. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいまの御質問のお答えになるかどうかちょっと私も自信ございませんけれども、二十年前の北海道状態と、現在の沖繩と本土との比較の問題と申しますと、当時は日本港湾全体が非常に貧弱だったということは確かに申せますので、現在のように大きな船は入りませんし、一般的に申しまして、当時の重要港湾整備基準が五千総トン、水深で七メートル五十というのが基準でございましたのを、やっと積みトンで一万トン、水深にいたしまして九メートルにしたいということで整備を進めておった時代でございます。その当時のことを考えますと、北海道につきましてそういう船が入った港と申しますと、このまま口で申し上げられるわけでございますが、室蘭あるいは函館の青函連絡船の着くバース、それから小樽、釧路、留萌といった程度のものしかございませんでした。現在の北海道につきましても、各地の地方港湾でもかなりの程度整備は進んでまいってございます。  なお、沖繩について申し上げますと、直接の比較になるかどうかわかりませんけれども、現在、沖繩の那覇港に約一万五千トンぐらいの船が入れる、それ以外は十五日以降に私ども予定しております重要港湾と申しますと、ほかに四港ございますけれども、これはいずれも三千トン程度の船しか入らない、五千トン入れるかどうかちょっとあやしいという状態でございまして、それを考えますと、北海道と沖繩では人口なり面積の広さが違いますので直接申し上げかねますけれども、現在の沖繩の港湾施設がおくれているということは申せるかと思いますが、大体当時は、逆に考えますと同じような整備水準じゃなかったろうかという感じがいたします。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 本法のほうを少し質問したいが、いま沖繩が出ましてから、沖繩の整備計画をこの五カ年計画に入れるかどうかというのが一つ。それから、入れるとすれば、いまおっしゃった説明にもよりまして、この北海道港湾整備のために本法ができました以上に、いま本土と沖繩との差があるという判断をいたしましたが、そういう判断のもとに整備計画が組まれていくものと理解していいかどうか。
  88. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 現在はまだ発効しておりませんが、具体的に沖繩の振興開発法が発足いたしまして進みますと、沖繩につきましては水域・外郭施設防波堤とかしゅんせつ、それ以外に岸壁、そういうものは全部十分の十、全額でやるということに内定してございまして、北海道につきましては、実は岸壁等の係留施設は初めから七割五分ということになっておりまして、北海道と比較いたしますと、沖繩のほうが国の負担は手厚いということが言えるわけであります。
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 これから五カ年計画に入りまして、本土のほうは二兆一千億考えておる、その比率からいって沖繩にはどれだけかけるつもりですか。
  90. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 実は先生承知のように、沖繩につきましては、開発法によりまして開発十カ年計画というものをこれから策定されるわけでございます。北海道も同様でございます。北海道の進行計画に従って港湾もやっておるわけでございます。沖繩の開発十カ年計画を策定された中で港湾が幾ら負担するということがきまりまして、それを五カ年計画に取り込むということになりますので、いま幾らだということはちょっと申し上げかねますけれども、特に沖繩につきましては離島が非常に多うございますので、相当程度港湾投資が要るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 沖繩開発十カ年計画の中に入って、沖繩開発庁が中心になっていくでしょうが、港につきましてはこの五カ年計画に沿うような計画ができて、それ相当の予算がつく、そのつく予算は本土と北海道との関係より以上の格差があると認めるから、その方向で予算をつける、このように理解してよろしゅうございますか。
  92. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいまのお説のとおりでございます。
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、もう一回もとに戻りますが、昭和二十六年から二十年間で特別の法律北海道の港を整備してまいった、今回〇・五の地方負担を取る、これも決してもう追いついたということではないんだ、まだおくれているけれども、これくらいのことをしても地方自治体なり地元負担負担できるものと経済力を判断したということですか。
  94. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) 〇・五といえどもこれは地方負担になりますから、私どもは、それは負担できるという考え方で今度の御提案を申し上げておるわけでございますが、先ほど自治省のほうから御答弁ございましたように、国といたしましても地方自治体に対するそれなりの交付税なり起債なりで手当てをいたしまして、十分にこの負担は可能である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 北海道の港が特定重要港湾重要港湾、地方港湾、避難港とありますが、これから新五カ年計画の中で、本土の港に追いついていかなければならない、まだおくれておることは認めておりますか。それは追いついていかなければなりませんが、そのために特別の配慮をしておりますか。〇・五の負担以上に特別な配慮をしておりますか、あるいは本土並みに一律に新五カ年計画を立てて、そうして〇・五を地元負担をさせるんですか、その点いかがでしょう。
  96. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) 運輸省のほうからお答えするのが適当かと思いますが、まず私からお答え申し上げますが、〇・五の負担が今度できるわけでございますけれども一般の水域外郭施設につきましては、本州方面におきましては、これは補助率は二分の一、五割というのが通常でございます。それでございますから、今度〇・五負担ができますけれども、九割五分という非常に高い補助率が残っておりまして、まだ相当、北海道について特別の配慮が残っておるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 自治省の問題は伊部君のほうから質問がありました。  港湾整備五カ年計画の中で一、二質問しておきたいと思うのですけれども、非常に抽象的に予算が組まれています。目的別投資配分と、要請別内訳というもので文句が書かれておりますけれども、具体的に個々の港の整備計画というものは立っておるのですか。
  98. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御承知のように、港湾整備五カ年計画の中で、いわゆる国の会計から入る金が一兆五千五百億であります。これは予備費を除いておりますけれども、この中で千六百五十億というものが調整項目ということで保留してございます。これはいろいろな新しい要請に対して運輸大臣が随次使えるということで保留してあるわけでございますが、それ以外の事業につきましては、各港につきまして、これは御承知かと思いますが、重要港湾につきましては、運輸大臣の諮問機関でございます港湾審議会というのがございまして、港湾審議会で十年ないし十五年先まで一応見た計画ができておるわけでございます。これは港湾管理者がつくった計画を審査してもらっておるわけでございますが、その中で港湾管理者が五カ年間にどれをやりたいというふうな御希望をいただきまして、それを取りまとめておるということでございまして、管理者とも相談の上で五カ年間で今後行ないたいという事業を一応セットしたというふうに御理解を願いたいと思います。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 整備計画の各港の具体的な問題はあとで質問いたします。  海運局長急ぐようだから関係案件を一、二質問したいと思います。  一つは一米軍との共用のバースがあるわけです。岸壁ですね。たとえば具体的には北九州の門司港、一、二ありまして、私も二、三年、話をいたしまして、いま共用までいっておりますが、こういう米軍が押えている岸壁が一体日本に幾つあるのか、それから共用になったのがどのくらいあるのか、防衛施設庁から説明を受けましょうか。そのあとで海運局長から伺います。
  100. 高島正一

    説明員(高島正一君) お答え申し上げます。  現在、地位協定に基づきまして米軍に提供しておる港湾関係施設は全国で七カ所でございます。その内訳といたしましては、横浜ノースドック、横須賀海軍施設、呉第六突堤、門司港及び倉庫地区、佐世保海軍施設、佐世保ドライドック、立神港区、この七カ所でございます。そのうち、現在地元と、あるいは公共団体等が二条四項(a)に基づきまして共同使用しておる地区といたしまして、佐世保の立神ベース地区、門司及び倉庫地区、それから横浜ノースドックでございます。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 まず完全に米軍使用になっておるものはいつ日本に返ってまいりますか。この横須賀、呉は完全に米軍使用ですが、いつこれは返る予定ですか。
  102. 高島正一

    説明員(高島正一君) 現在のところ返還の見通しはございません。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 見通しない。
  104. 高島正一

    説明員(高島正一君) はい。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、米軍との共同使用が佐世保が一部、それから北九州門司が一号岸壁、二号岸壁及び倉庫地区等共同使用になっていますが、ほとんど米国海軍来ないのですよ。これはあればよほど荷役も進捗すると思いますし、沖で待っている船がたくさんあります。何年も管理組合からも陳情がありますし、私のほうからも防衛施設庁に陳情しておるのですが、なかなか解決しない。米海軍が使わないようなものは、この際返すべきですよ。そのくらいの交渉をしなければならぬと思うが、いままでの交渉の経過をお聞きいたします。
  106. 高島正一

    説明員(高島正一君) まず佐世保ドックでございますが、佐世保ドックの第一及び第二ドックにつきましては地元からもたいへん強い要望がございまして、また先生指摘のように、その使用実態も必ずしも従前のようなひんぱんな使用状態ではない、むしろ少ない、こういうふうな状態でございますので、政府といたしましても前向きに検討することが適当であるというふうな判断から、目下大蔵省等関係機関と調整を進めております。この調整が済み次第、直ちに米側と折衝をしてできるだけ御趣旨に沿うように処置したいと、このように考えております。  なお、門司港及び倉庫地区でございますが、これは先生御案内のように、第二岸壁につきましては、すでに昭和三十五年以来北九州港管理組合が共同使用をしております。この第二岸壁の倉庫地区については、すでに三十六年に返還になったところでございます。第一岸壁につきましては、これまた昭和四十年以来きわめて強い返還陳情が行なわれておりますが、米側は現在、物資の貯蔵上どうしても必要とするので、いかなる倉庫ベースについても共同使用に供することはできない、こういう強い主張がございます。しかしながら、岸壁につきましては、米側の必要とする際は四十八時間の予告をもって明け渡すというならば共同使用に応じてもよろしい、こういう回答に接しまして、北九州港管理組合もこれに同意を得ましたので、昭和四十六年十一月十一日以来第一岸壁の共同仕様が実施されておる次第でございます。  なお、現在そのような経過をたどりまして、できるだけ政府といたしましては、当面とりあえず共同使用という形をとってまいったわけでございますが、返還につきましても、今後とも努力をいたしたいと、かように考えております。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 佐世保のドックはいつ返ってまいる見通しですか。
  108. 高島正一

    説明員(高島正一君) 佐世保のドックにつきましては、御案内のように、横須賀の海軍施設の関連もございますし、米側の今後の動向ということもございます。しかしながら、先ほどもお答え申し上げましたように、目下関係機関と調整を進めております。その調整を待って具体的な折衝に入りたい。では、いつごろかということにつきましては、まだ弁明できる段階ではございません。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま大蔵省に返っていわゆる国有財産になっているのがあるのですね、その民間への払い下げについて、いかがですか。
  110. 高島正一

    説明員(高島正一君) 本年の四月七日に地元の佐世保重工業から大蔵省に対して払い下げの申請が出ておるということを私ども承知しております。しかしながら、先ほど来申し上げますように、目下国内の調整を待って米側と折衝をするという段階にございますので、きょうの段階で、いつそれじゃこの払い下げ申請が具体化するということについてはお答えいたしかねる状態でございます。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 せっかく大事な問題で質問をしますのであるから、いわゆる役所の答弁でなくて、もう少し事務的な進捗状態がわかれば推察もできましょうから、いつごろ返還かということがわかれば——地元でも待っているわけですね。岸壁一つ返りましてもたいへん喜ぶわけです。だから努力しておるというようなことよりも、いつごろには返りますということでないと、この大事な本委員会の答弁にならぬのですね。そのために前もって問題を明らかにして、なるべく明らかな答弁を求めながら国会は終わっていくわけです。したがいまし、いろいろ権限もありましょう、だから大臣や長官呼ばぬと、委員会というのは非常に無意味になるわけですね。あなた方も非常に慎重に答弁する。局長には局長の段階、審議官なら審議官の段階、課長なら課長の段階でしか答弁ができないわけですが、将来のやっぱり政治的な課題を解明しようとして質問しているわけです。だから、いまあなたは防衛施設庁を代表して来ておられるんだから、もう少し具体的に説明してください。
  112. 高島正一

    説明員(高島正一君) 先生せっかくの御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、目下、大蔵省が地元の払い下げ申請を受けて、その内容を具体的に検討しておる段階でございます。大蔵省のほうから、防衛施設庁を通じまして米側に対して返還の要請をしてほしいと、こういうふうな手続が今後なされるわけでございます。それを待って私どもが米側と具体的な折衝に入る、こういうスケジュールになるわけでございます。しかしながら、米側との折衝の見通しということに結論は相なるわけでございますが、御承知のように、横須賀の海軍施設、佐世保海軍施設、この動向は今後予断を許さないものがあるというふうに思われますので、先ほど来申し上げますとおり、現在の段階では、はっきり、いつごろ返るというふうな明確な御回答はできかねると、こういうことでございます。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 その予断を許さないとはどういうことですか。
  114. 高島正一

    説明員(高島正一君) 予断を許さないということは、あるいはことばが過ぎたかもわかりませんが、御承知のように、昭和四十五年の十二月に御案内の安保協議委員会の声明が出されまして、佐世保に第七艦隊の母港が移るということが、昨年の三月一たん取りやめになりまして、また、ことしの三月三十一日、再び今後なお協議をすると。これは横須賀の問題でございます。そういう事態になっておるわけでございます。したがいまして、横須賀の施設が完全に固まった段階で初めて佐世保の問題も固まるというふうに、事務的には考えられるわけでございます。そういった点を申し上げた次第でございますので、御了解いただきたいと思います。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 横須賀がまず固まって、あと佐世保になりますか。どちらか、いまの発言ちょっとよくわかりませんが、その固まるというのはいつごろですか、大体見当は。
  116. 高島正一

    説明員(高島正一君) この問題につきましては、目下、外務省が運輸省と協議をしつつ米側と折衝をしておるわけでございますが、本年の三月三十一日の外務省声明によりまして、今後鋭意協議を続けて、すみやかに協議をととのえ、しかるべき共同使用の手続をとると、こういうふうな声明を出しております。その見通しということにつきましては、外務省から御答弁をいただく以外に私としては申し上げかねることでございます。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょうは外務省呼んでないので、運輸省に質問しましょう。  海運局長、北九州の岸壁とか横須賀港の岸壁あるいは佐世保のドックなど、ドックのほうは造船ですけれども海運として今日、日本と米海軍との共同使用——共同使用といいましても実権は米国海軍が持っているというような岸壁がありますので、そういう岸壁を早急に日本に返して、そうして荷役設備を完全にして、停船しないままなるべく早く船を返すようにしなきゃならぬと思うんです。いま防衛施設庁から答弁のように、なかなか米海軍、一応押えたものは返しません。外務省も努力してもらいますけれども運輸省も努力してもらわなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  118. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) できるだけたくさんのバースを使いたいということは船主の要望でございますが、ただ、所管といたしましては、港湾局を通じまして外務省のほうにいまやっておりますので、私も直接やっておりませんのでございますが、港湾局を通じましてそういう要望を出しておるような次第でございます。
  119. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  これは両方に聞きますが、小柳質問の中で出たかもわかりませんが、どうも横須賀の場合には二転、三転というように転々としているようですね。つまり、私の調べでは、四十五年の十二月、日米安保協議委員会でね、それで四十六年の六月に返還がきまっている。それを四十六年の三月に、米軍が、もしそうなれば残余の四、五、これの機能が低下するという理由で、一たん協議委員会できめたものをまた一年延期した。したがって、その場合には、四十七年六月返還を約束しておったわけですね。それが今度は、ことしの三月三十一日に、大臣おられますが、あなたとそれから防衛、外務、それから官房長官等の五閣僚だったと思いますがね、相談をされて、これはその返還要求を断念をする、こういう決定が行なわれていますね。こういったように、日米の安保協議委員会で一たん決定をした、米軍の意向をいれて一年延期をきめた、それをまた、政府は、閣議決定じゃないけれども関係五閣僚の意向によって返還要求を断念する。こういうように横須賀の場合には二転、三転した事実、どういうことが問題なんですか。一体、日米安保協議委員会、そういう権威がないものですか。
  120. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま森中先生の御質問でございますが、これは私のほうで、実は、私、防衛長官、外務大臣、三者の協議によりまして、これは決して断念をいたしておりません。これは米側の事情によりまして返還がおくれるということでございますから、それは困るということでございまして、私どもは、この前の声明どおり、至急こっちへ、民間で使うようにひとつ早く返してもらいたいということを、私どももう強く米側に、外務省を通じて申し入れをしているところでございます。この問題は、御承知のとおり、昨年の——昨年でございましたかね、たしか、やはり第二、第三、第四、第五とずっと返すことになっておりましたのが、防衛庁で使用するドックについては大体は協議がまとまりそうだと。しかし、民間の場合は、その後、民間に返した場合に——防衛庁のときも条件がついておりました、アメリカのそういったような艦隊の修理に応じてくれるかどうかという条件がついておりました。民間の場合には応じにくいんじゃないかと、こういうような話でございますから、そういうことはないと、民間にあれしてもらっても十分応じるからということで、私ども、船舶局長をやりまして、そういう具体的の問題につきましても、取りきめをいまさしているところでございます。いま御指摘のございましたように、決して私どもは断念をしているわけじゃありません。この点は、前の声明どおりひとつ早急に返還をしてもらいたいということで、これは外務大臣、防衛長官、私、三者一致でございまして、その点を心得ていま外務当局が折衝中でございます。
  121. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、断念されていないといえば、これはまた話は別です。したがって、断念していないということであれば、昨年の安保協議のように、四十七年の六月末には返還される、この約束は守られるということですね。もう、そこをはっきりおっしゃっていただけばいいですよ。
  122. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) これは約束を守ってもらいたいということを私のほうで盛んに言っているわけでございます。それは少しおくれるかもしれぬというようないまの情勢でございますが、ともかくもひとつ早く返してもらいたいということを私のほうで申し入れをしている次第でございます。
  123. 森中守義

    ○森中守義君 これは非常に重要な問題だと思うんですがね。すでにさっき申し上げたように、四十五年の十二月安保協議で決定をした、それを米軍の都合によって一年延期を申し入れる、これは日本政府によって了承されていますね。そこで、断念されていないということであれば、一年延期の日限というのがことしの六月末、当然この決定を守られるというように認識するんですが、少しはおくれるかもしれぬというのは、これは手続上の問題等々もありましょう、そういう手続き等の問題でおくれるという意味なのか、あるいは双方の約束がどうもはっきりしないと、またアメリカが延ばすかわからぬという、そういう懸念でもあるんですか。とにかく約束はことしの六月の末と、こういうことですから、これは守られるというように私どもは当然、安保協議委員会の決定からいけば受けとめるのがあたりまえだと思うんですが、その辺どうですか。
  124. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 率直に申しまして、その点が非常にはっきりしないんです。それで、私のほうではそれじゃ困るから六月にぜひ返してもらいたいということでいま外務省を通じまして強く言っております。その点は先ほど申しました三閣僚一致でもって、いま外務当局から当たらしている。それから技術上の問題といたしまして、民間に移した場合に、これに向こうが依頼してきた場合に艦船の修理に当たらせることができるかどうか、そういう具体的な問題を、船舶局長もそこの向こうの委員との間に入れまして、技術的の詰めを行なわせるという会議もしょっちゅう私のほうで督促をしていまやらしておる、こういうところでございます。
  125. 森中守義

    ○森中守義君 もう、これは関連ですから、あまり長くやると質疑者に迷惑がかかるから、あと一、二問聞いてやめますが、元来この日米安保協議委員会というのは、合意した逐一を合意議事録にとってあるかどうか、その辺よくわかりませんが、しかし、約束ごとがどうも不鮮明だということはどう考えてみても適当でない。で、これはどうなんでしょう、この委員会の続行中にでももう少しこれ正確にできませんか。安保協議の日本代表は外務大臣ですか。要するに、その関係の責任者に、大臣、一体一年延期してことしの六月の末には返すんだという、この辺の合意が確実にとられているのかどうか。しかし、いままでの経緯からいけば、私どもは、一年延期して当然四十七年の六月末には返還がきめられると、こう聞いておりますから、もう一回答えてほしい。
  126. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) いまの点でございますが、ことしの六月に返還をするということは、要するに修理その他の条件が整えばという前提があるそうです。しかし、私のほうは、その条件はぜひ何でも整えたいということで、いまこっちからは強くその点を要求している次第でございます。でございますから、その点が非常にまあ問題、いろいろ条件が整わないということでございますが、私のほうはその方針に従いまして、条件は何でも整えさせますということで、いま船舶局長をしてそういう技術の問題はやらしておるし、それから会合の問題は三者がその点を、三閣僚がその点を、意見一致しまして外務当局をしていま当たらしておる、これが実情でございます。
  127. 森中守義

    ○森中守義君 それ条件がどういうものであるのかは別としまして、要するにその条件が満たされるならば返そうということであれば、そういう取りきめの内容というものを出してほしい、それが一つ。それからいま一つは、これは一、二、三が防衛庁が使うというように聞いているんですね。残りの四、五というのは民間に払い下げると、こういうものがあるんですか、それが二番目。それと、あるいは小柳質問の先取りになるかもしれませんが、返還後の横須賀ドックもしくは佐世保のドックの問題も当然港湾整備五カ年計画の中に入っておりますか、この三つをお答えいただいておきます。あとまた私の時間になったときに聞きますが。
  128. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先ほども申し上げましたように、五カ年計画の中身の詰めの段階で、港湾管理者のほうからどこをやりたいというものを取りまとめて整理して事業を進めてまいるという段取りでございますので、ただいま先生御質問ございました提供施設で返ったあとどうするかということにつきましては、現在のところ計画に入ってございません。ただ先ほども海運局のほうからもお話がございましたように、一船の商船に使える施設というのが比較的少ないのでございますけれども、いずれにいたしましても、返ってくれば非常に有効に使いたいということは私どもの念願でございますので、先ほど申し上げました調整項目等を利用して、返還すれば直ちに整備して、普通の港湾管理者の施設として提供したいというふうに考えておる次第でございます。
  129. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 日米間の合意の内容でございますが、内容につきましては、外務省に伺いましてよろしいようでしたら、私どもの持っております資料の範囲内において提出は可能かと考えております。  次に、横須賀修理基地の修繕施設の一、二、三、四、五号ドックにつきまして、一、二、三につきましては防衛庁が使用をすると、四号、五号につきましては民間が使用をするというふうな基本的な考え方は現在まとまっておると私ども考えております。四号、五号の民間の使用につきまして、米軍側はなお、その四号、五号について米艦艇の修繕に支障がないようにという強い希望を持っております。そこで、民間でこれが運営される場合に、そういうことが完全に行なわれるかどうか、その点につきましての疑問につきまして相当数、多数の項目につきまして質問がまいっております。それにつきましては、私どもは一々返答をいま出した段階でございます。米軍側から、それにつきましてのさらにまた質疑があろうかというふうな段階でございます。
  130. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、港湾局長、整備計画の中にはまだこのことを予定していないという答弁ですからね、当然そういう趣旨からいけば五カ年計画というのはかなり修正をされる可能性がある、こういうように考えてもよろしいですね。
  131. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいま話題になってございます横須賀のドックにつきましては、これは港湾施設でございますけれども、いわゆる埠頭ではございませんので、むしろ船舶局の所管に属します造船所の問題でございます。で、先ほどちょっとお話ございました佐世保の立神地区のバースであるとか、そういうものにつきましては普通の商港施設として使いますものですから、これも返ってくれば千六百五十億という調整項目の中で必要な手当をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣、いまの、このやりとりをお聞きになっておわかりのように、現在、防衛施設庁が所管しておる、それは日米安保協定によりまして。ところが、実際今度返ってきて使うのは運輸省——造船であるし、海運あるいは港湾なんです。だから、その管轄が防衛施設庁であるし大蔵省であるから運輸省として答弁できないわけですよね。そこのところに、われわれが委員会質疑応答をしますときに一番歯がゆさを感ずるわけです。せっかく委員会にかけて防衛庁や他の関係省から来てもらいましても、所管がそこにありますと、今度は運輸省から積極的にこれ返還してくださいと言えないわけでしょう。こっちのほうは、委員のほうは全般的に見ているから、これでいかなければ返しませんよと、停船も滞船もうんとあるではないか、岸壁など——そこからすぐ行けないものだから、そこのところを閣議などでもっと強力に話をしてもらわなければいかぬ、大臣もなりませんと。たとえば、さっき佐世保のドックの話もありました。これは佐世保重工が返還を希望しておって、あるいはもう可能性があるのではないかとちゃんと判断されますけれども、いまのところだれも答弁できないわけですよ。運輸省でも答弁できないわけだ。このもどかしさをしょっちゅう私ども委員会で感じますから、ここで問題になりましたのは、ひとつ政府として、大臣が他の省にも働きかけて、これが一日も早く返すものは早く返す。これは岸壁を幾らかけましても、大筋のものは米軍が押えて、しかも使ってないですよ。米海軍が使ってないような岸壁を日米協定なんていって遠慮しながら使うというのはナンセンス。今度ベトナム戦争終わりますと、米海軍はあまり日本に寄港しないでしょう。そういうときは日本の商船が堂々と使えますから、ひとつ積極的に運輸省が防衛施設庁なり大蔵省にかけ合って返還さして、あるいは管理組合に返して早急に整備する、その整備整備五カ年計画に入れると、こういう立場をとってもらいたいですが、いかがですか。
  133. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私もそのとおりだと思っております。非常に私も事実歯がゆいと思っている次第でございます。先ほどの、森中先生から御指摘がございました横須賀のドックの問題これ私のほうから申しまして三関係閣僚に集まってもらって、そして三閣僚の同意を得まして外務省を通じて向こうに強く要求をしている次第でございます。いまのバースその他につきましても御意見のとおりでございまして、私のほうから積極的に一つ一つ具体的な問題につきまして話し合いをさしてもらって、要すれば私のほうからも関係大臣と話を進めてまいりたい気持ちがあるので、御説のとおりでございまして、私どももできるだけ、微力でございますが極力そういう方向でやってまいりたい、こう思っている次第でございます。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、またさっきの整備計画に入りますが、これは閣議決定されたときの付属文書でありますが、これで外国貿易港湾整備という課題があるわけです。これは昨年立案されたと思いますから、いいと思いますが、いまの感覚でいきますと、外国貿易の増大というのが少しピントが狂ったような、あるいは、このことばをかえたほうがいいんじゃないかという気が私これ読みながらするわけです。これは通産省のほう非常に外国貿易の増大については敏感に感じましてことばを非常に慎重に扱っていますが、こういう点は、あと答弁はいいですから、文章上の表現など、どんどん港を整備するのは外国貿易でどんどん輸出するというような印象を受けるものですから、まあアメリカが目のかたきにしているこの貿易問題を少し慎重に扱ってもらいたい。これは私の要望です。  そこで一つ具体的な問題は、三池港の整備の問題がありますね。これは三井がつくった港でありますが、もう県に返して何とかしなければならぬという話を聞いておりましたが、その後どういうふうになっておるのかお聞かせ願いたいのです。
  135. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、三池のほうから県のほうに対しまして、私有港じゃなくて一般港湾にしてもらいたいという希望が出てまいりまして、途中の事務的なこまかい経緯は省略さしていただきますけれども、昨年の九月の十七日に港湾審議会の御同意をいただきまして、四十六年の九月二十日付で三池港の港湾区域の認可申請に対しまして大臣から認可をしてございます。したがいまして、現在、港湾管理者が福岡県ということで三池港が動いておる次第でございます。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 これの整備計画と予算と、それから整備される目途ですね、期限ですね、御説明願いたい。
  137. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生すでに御承知のように、三池港というのは約六十年前にできた非常に古いものでございまして、その近くにやはり県営の大牟田港というのがございますが、やはりそういうものをにらみながら現在、県でこれの整備計画をつくっている段階でございまして、したがいまして、具体的には、私のいま持っております五カ年計画の中には取り込んでございません。ただ、早急に計画をつくってもらいたいということで実は待っておりまして、県のほうの計画がまとまりましたら港湾審議会にかけまして、正式に決定いたしまして、その中で、県のほうの御要望に従いまして、必要なものを五カ年計画に取り込んでいくというように考えている次第でございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。県のほうにも督促いたしますから、この五カ年計画の中に入れて完成していただくように希望いたします。  次は、洞海湾一帯の石炭荷役がほとんどなくなりましたための港の整備ですね。どういうふうに使ってまいるかということを、国鉄とそれから港湾局長から御説明を願います。
  139. 泉幸夫

    説明員(泉幸夫君) 洞海湾に、先生御案内のとおり、国鉄は戸畑と若松の二つの石炭の埠頭を持っておりまして、筑豊炭田から列車がそこに持ってまいりまして船出しをいたしてまいっております。最盛期の三十年ごろに比べますと、九州炭の国鉄によります輸送量が四分の一弱、一八%程度に減少いたしております。特に船出しの石炭につきまして、三十九年に比べまして九%程度、百万トンを割るというような状況になってまいりました。具体的に若松港で申しますと、三十年代には約四百万トンも到着をしておったわけでありますが、四十年代に入りまして急速度に減少してまいりまして、四十四年には五十二万トン、四十五年には二十二万トン、四十六年にはさらに落ちまして十万トン強、こういったようなことになっておるわけでありまして、私どももそういった輸送量の減少に対応いたしまして、昭和四十五年十月には若松にございます荷役機械の機能を停止をいたしまして、四十七年には全部撤去いたした、こういうような状況でございます。また、貯炭場を八万平米ばかり持っておるわけでありますが、四十一年度以降逐次縮小してまいりまして、現在約その一割程度使用しておるという状況でございます。  今後の見通しといたしまして、さらに石炭の減少が予定されますので、私どもは何とか若松港を転用できないかということでいろいろ検討しておるわけでありますが、御案内のとおり、筑豊線の支線になっておるわけでございまして、国鉄としてあれを他の目的に利用するということはなかなか困難ではなかろうか。特に貨物輸送の面においてはあまり使い道がない、こういうように考えておりますので、極力、戸畑港への吸収化をいたしまして、整理いたしまして、地元と御協議を申し上げまして、何とか輸送に、地元の皆さん方の御要望に沿うような線で、御考慮願えるような線で検討してまいりたい、このように考えておるわけであります。  戸畑港につきましても同じようなことでございまして、一時は二百万トン程度の扱い量を持っておったわけでありますが、現在、四十六年度には四十数万トンというように減少いたしておりまして、現在ございます貯炭場の約三分の一程度使用しておるという状況でございます。戸畑港におきましても、これも減ることが予想されますので、これは本線上の駅でもございますので、御案内のとおり、最近コンテナ輸送がふえてまいりまして、浜小倉にも新しい貨物駅をつくりましてコンテナの取り扱いをやっておるわけでございますが、非常に膨張いたしまして、現在すでに手狭になっておる状況でございますので、戸畑の石炭の減少とにらみ合わせながら、これをコンテナ基地として利用できないかということで、私ども現在これは事務的に検討いたしておるような状況でございます。  以上でございます。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと洞海湾は、この前、運輸委員会で調査いたしまして、公害の発生もひどいわけです。水深も、もうちょっとしゅんせつしなければならないでしょう。しゅんせついたしまして、水深も深くいたしましたら、いま国鉄説明いたしましたように、コンテナ基地にして、貨物輸送基地にもあるいはなるのじゃないか。いま筑豊線は、あれだけの石炭が減りまして、お客が減りまして、先般の列車のダイヤ改正でも筑豊線は問題を提起されておりますが、複線の貨物輸送ができたんですから、もう少し洞海湾をしゅんせつをして、整備をして、貨物線の港として使えば、若松、戸畑、両側使えるんじゃないかと私も考えておるわけですが、運輸省としていろいろお考えもあろうかと思いますから、あわせてそういうものを御説明願いたいと思います。
  141. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいま国鉄の石炭埠頭につきましての御説明がございましたけれども、若松と戸畑では少し事情が違うかと思います。戸畑につきましては、国鉄の石炭埠頭の近くに公共埠頭もございますし、先生おっしゃいましたように、いろいろな洞海湾の汚染問題がございますけれどもしゅんせつする、あるいは岸壁の一部を改造すれば非常に能率のいい埠頭ができるというふうに考えておるわけでございます。それから若松につきましては、現在おそらく現地で港湾管理者と国鉄当局とで御相談が進んでいるんじゃないかと思いますけれども、ただ、あそこは小型船しか入れない場所でございますので、これをどういうふうに転用するかということについてはまだ管理者からも私ども聞いておりませんが、いろいろむずかしい問題もあろうと思いますが、具体化いたしましたら積極的に私どももお手伝いいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの若松、戸畑港は石炭荷役としてあれだけ働いた場ですから、軌道もありますし線路も十分ありますから、岸壁のほうを十分にして海との接続を考えたら、あるいは門司、下関よりかえって将来性があるんじゃないかという感じもいたしますが、専門的にひとつ御調査、そして、この整備計画の中に入れてもらいたいと思いますが、五カ年計画の中にはどの程度に入っているんですか。
  143. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 現在、御指摘場所はまだ具体的には取り込んでございませんが、北九州港ということでまとめまして——北九州港の貨物実績が現在約七千五百万トンございます。五カ年計画で私ども考えておりますのは、七千五百万トンの貨物が約一億三百万トン程度に増加するであろうというふうな想定を立てまして、いろいろな施設計画検討している次第でございます。現在、私ども一応五カ年計画で考えておりますのは、約三百五十億程度整備を考えております。     —————————————
  144. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、岩本政一君及び稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として初村瀧一郎君及び高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  145. 小柳勇

    ○小柳勇君 若松、戸畑の問題はいま予算までおっしゃいましたが、根本的に検討している面もあるかもしれません。そういうことで、いま単に予算を聞いただけではぴんときませんから、十分に対策を立てて早急に整備してもらいたいと思います。  それから苅田港の開発整備でありますが、周防灘開発計画も青写真も見ました。したがって、いますぐこの苅田港の整備というようなものを質問してもどうかと思いまするが、周防灘の総合開発の問題もまだ、青写真はあるけれども十分な討議はなされておらぬのではないかと思います。今度のこの整備五カ年計画ではどの程度見ているのか御説明を願います。
  146. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、周防灘の開発計画という構想がございますけれども、まだ調査段階でございまして、具体的にいろいろな案はありますけれども、どういうふうに取り組んでいくかということはまだきまっていないという段階でございまして、当面苅田港で問題になってございますのは、大きく言いますと——大きくといいますか、おもな問題点を申し上げますと、一つは木材の取り扱いの問題、それからもう一つは、けさほど来、議論になっておりますフェリー基地の問題がございます。そういうものに当面隘路となっているところを処理したいということで、いま苅田港だけの貨物を申し上げますと、現在約七百三十万トン動いております。これも昭和五十年にはおそらく約倍の千五百万トン程度になるんじゃないか、これはフェリーが非常に大きなウエートを占めるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、五カ年計画につきましては約七十億円程度資金を考えまして、木材の背後地の貯木場も整備いたしまして木材の荷役を円滑にするということで、南側のほうにフェリー基地整備したいということを考えております。
  147. 小柳勇

    ○小柳勇君 フェリー基地整備の問題でありますが、これにもフェリー基地フェリー埠頭公社をつくってやろうというようなことが書いてございますが、将来の構想をどう考えておりますか。
  148. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 将来どうなるかという問題はございますけれども、とりあえずは七メーター五十、大体七、八千トンのフェリーが着けるようなバースを、大型船のバース、一バース、それから小型船のバース、一バース、二バースを一応考えております。御承知のように、港湾計画をやる場合に拡張の余地は必ずとるようにしてございますが、当面ここ四、五年の間には、その程度バースがあれば、海運局のほうで考えておられるフェリー運航に対しましてのサービスは間に合うのではないかというふうに考えておりますが、さらに今後の問題といたしまして、フェリーの便数がふえる、あるいは就航船舶がふえる、そういうようなことになりますと、それをまた弾力的に採用したいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 小柳勇

    ○小柳勇君 なお、ここに書いてあります文章を読んでみますと、「なお、このうち、重要港湾における中長距離カーフェリーのためのふ頭については、原則として、港湾管理者の設立するフェリー埠頭公社により整備する。」と、こう書いてあります。したがって、まず一つの前提は重要港湾であるということ、中距離カーフェリーであるということ、そういうことで、あとは港湾管理者の設立する埠頭公社であるから、民間で、私会社でやるカーフェリー埠頭については全然補助しないというふうに解釈しますか。
  150. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 原則として、民間の会社がおつくりになるフェリー埠頭だけではなく、一般の岸壁にも補助をしておりません。ただ、現在のようにフェリーが非常にふえてまいりますと、むしろ逆に各会社ごとのバースを持つということは不経済でもございますし、危険性も増し、さらに水際線がないという問題もございますし、やはり港湾管理者の代行機関というふうに考えておりますが、そういうものをつくりまして、一つの港でむだのないようなフェリー埠頭の経営をやっていただきたいという趣旨でフェリー埠頭公社という構想を出しておる次第でございます。
  151. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっといまのわかりにくいんですが、フェリー埠頭公社、たとえば港湾管理者がいるところはそれでいいんですけれども港湾管理者からはずれる、たとえば新門司などは港湾管理者の管轄に入らないのではないかと思いますけれども、民間のカーフェリーができますと、これはおそらく民間の経費でつくっていくのではないかと思いますが、ああいうものはもう全然民間にまかせきりだということになりますか。
  152. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 新門司は北九州の港湾管理区域に入っております。ただ、民間が自分でバースを持つことの可否は、港湾計画上の問題といたしまして検討はいたしてございますけれども、ただ、民間会社が自分でフェリーをつくっても、動く船の便数その他でむだなく運営できる、ほかの港湾の使用上支障ないといった場合には、埋め立てが必要あれば運輸大臣の認可がございますし、水際線の専用になりますと港湾管理者の長が認可をいたしますけれども、全体支障がなければ民間にもつくらせるということはあり得るわけでございます。
  153. 小柳勇

    ○小柳勇君 カーフェリー航路の水際線を競合する場面もたくさん聞いておりますが、航路を申請して認可されるのがこの埠頭にも関連しましょうし、たとえば、もう航路だけとって、あとは埠頭港湾管理者のフェリー埠頭、公社のものを使う、そういうことはちょっと矛盾を感ずるのですけれども、たとえば三社なら三社で航路を争って一社になる、その場合に、今度は埠頭もその会社に無条件に使わせるということになりますと、ちょっと矛盾を感じますが、その点はどういうふうに解釈しますか。
  154. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) これは具体的に、フェリー公社をつくりまして整備にかかるという段階になりますと、いま先生指摘のような心配がございますので、私どものほうの港湾局と海運局で十分相談いたしまして、これは決して競合しない、あるいはむだにならない、そういうふうな船舶の運航上の面からも検討を願いまして、海運局港湾局、事務当局で意見の合ったものについてから手をつけていくという対策をとっております。  それからなお、これは海運局長からお話をいただいたほうがいいかもしれませんけれども、そういうフェリー航路の申請にあたりましては、船会社港湾管理者に、どの場所を使わしてくれ、管理者のほうがよろしいというものがなければ海運局のほうは認可をしないというふうに、海運局港湾管理者のほうの連携を十分とってやっていただいておるというのが実態でございます。
  155. 小柳勇

    ○小柳勇君 その点はまあ各局で十分話し合って矛盾のないようにしてもらいたいと思います。  さっきの周防灘の開発の問題については、青写真だけで、まだ省として検討したことがないということですか。
  156. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) いろいろの方面から、いろいろの計画先生のおっしゃいました青写真というものを拝見しておりますけれども、現在これは企画庁からいただいておる調整費の中で調査を行なったり、私どものほうの予算でも一部調査してございますけれども、まず自然状況の調査、あるいは盛んにいわれますように、環境破壊を起こすかどうかという調査も当然入らなければならぬと思いますが、まだそういう調査が進行中でございまして、まだ終わっていないということでございます。そういう調査が終わりましてから、具体的にどうするかということになろうと思います。
  157. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは航空局の関係でありますから港湾局長だけでは話になりませんが、新幹線が博多まで開通しまして北九州の空港なども手狭になります。滑走路を延長してジェット機を使うようになることについて地元が猛烈に反対しているわけです。したがって、周防灘総合開発の一環として海の中に滑走路をつくろうという案があるわけですね。新幹線の小倉駅から飛行場までモノレールをつくろうとしていますけれども、それも将来の計画を考えないとむだになるのです。新門司の開拓というのが一つの大きな北部九州の発展につながります、これは大分県のほうの発展にもつながります。金がかかると思いますけれども、ひとつ早急に計画を練ってもらいたい。私どもとしては、公害を発生する化学とか石油の会社、そういうものだけでは反対ですけれども、真に、ほんとうに地域開発のための、住民本位のための基本的な開発計画を早急にひとつつくってもらいたい。その中で、一つ一つ、飛行場をつくるとか、あるいは道路をつくるとか、モノレールをつくるとかいう計画をつくってもらいたいと思うわけですから、現地では運航系の局長も一生懸命勉強しておるようでありますから、ひとつ本省のほうもそういう意見を吸い上げて調査を進めてもらいたいと思います。  それから最後の話はパイロットの話でございますが、私ども港におるものですから、水先案内人の老齢化、あるいは待遇の問題もありましょうが、ときどき問題を聞きます。先般、名門カーフェリーが四日市の港に着くときに、船首が、十メートルくらいの風が吹いて、入港のとき岸壁に当たったというような話が新聞に出ておりました。聞いたところによれば、海運局から、二、三日はパイロットを乗せておいたほうがいいのではないかという指導があったので乗せた。船長は関釜のフェリーに乗った経験がある優秀な船長のようでありますけれども、どうもやはりパイロットが乗っておられると、その意見が優先したというように話しておりました。で、現在の水先案内人の人数なり、あるいは年齢構成なり、各水先区域における人員なり、概況をまず御説明を願いたいと思います。
  158. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 水先区域それから名称などは水先法に基づきまして政令で定めることになっていますが、現在全国で水先区の数は三十六ございます。なお、沖繩が返ってまいりますと、那覇港が一つ追加になりますと三十七になります。現在では三十六でございます。で、免許を取っておって、その三十六の水先区で水先業務に従事している水先人の数は全国で三百二十六名でございます。それから大きな水先区、たとえば横浜神戸、関門、あるいは名古屋、四日市、こういった大きなところは三十名から、四十名程度の水先人がおりますが、その他の港は大体十名以内でございます。合わせまして三百二十六名。年齢構成は港、水先区によってかなり区々でございますけれども、全国平均をとりますと五十九歳。概況といたしましては大体そういうことでございます。
  159. 小柳勇

    ○小柳勇君 年齢構成、外国ではどうでしょうか、試験の問題と修習の問題と平均年齢がありますが、外国に比べていかがですか。
  160. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 外国の水先人の年齢、ちょっと手元に調べた資料がございませんので直ちにお答えできませんけれども日本の場合ですと、大体、外航船の船長を仕上げましてから水先人になるケースがほとんどでございますので、一般社会の職種に比べますと、年齢構成としては高齢化する点はある程度やむを得ない、このように考えております。
  161. 小柳勇

    ○小柳勇君 小さい事故を問題にしていい悪いを論ずるのではありませんので、ついでに勉強いたしたいというふうにとってもらいたいのですが、これは水先案内人が少なくて滞船したり荷役ができなかったりでは困りますし、事故があったのでは困りますから、そういう問題についてはさらに指導を強化して、あるいはパイロット会との連絡を密にして事故が発生しないように願います。  最後はしょっぱなの法案に返りますが、これは伊部君も質問したと思うのですが、北海道の地方自治体なり、あるいは港に関係する民間団体はこの法律についてどういうふうな意見を持っているか、伺いたい。
  162. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) これは前にお答え申し上げましたけれども、昭和四十五年に北海道の第三期総合開発計画を閣議決定いたします前に、北海道の知事から、これは法律に基づきまして意見書というものが出てまいりますが、その意見書の中で、北海道といたしましては、長期計画をやっていく段階になっては、やっぱり事業を積極的に伸ばすという観点から負担すべきものを負担するという考え方を取り入れることも必要だという意見が出ております。大体その意見に従いまして補助率の調整ということをやっている次第でございます。ただ、今度の港湾負担率につきまして、これは市町村でございますので、港湾管理者である市町村当局、これがつくっております港湾協会という団体がございますが、こういうところと十分連絡をとりまして、そこの同意を得まして、今回の補助率の調整をいたしておる次第でございます。
  163. 小柳勇

    ○小柳勇君 まずこの港湾建設は非常に複雑でして、負担の方法がですね。私ども先般港湾整備の情勢を九州など運輸委員会で調査しまして、いろいろ話を聞きましたが、なかなかわかりません。ずっと表にしまして、この港はこうだというふうにやりまして、それでもまだ十分わからぬくらい複雑です。もう少し簡単に単純にやれないものかと思いますよ。〇・五を上げ下げしないで、基本的には国がやると、県がやると——地方自治体がやるとかあるいは民間でやれば国が半分の補助というふうに単純明快にして、そして係船料などは管理組合で納める、そういうふうにしませんと、一生懸命勉強しておるものでないと港湾整備ができぬでは困るのじゃないかと思うわけですね。したがって近い将来、こんな〇・五をふやすというようなことをしないで、抜本的に港湾法にもぴしゃっと載せておいて、だれが見ても一目りょう然わかるような方向にひとつ考えてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  164. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま小柳先生から御指摘がございましたが、私どもほんとうに説明を聞きましても非常に複雑でございまして、港湾施設に対する補助も、まあこれは大体は内地でございますけれども、種類によって非常に違ってくるし、いろいろな問題がございます。他方負担も非常に違うと、確かに御指摘のようなことがございます。それから、いま、先般来からもお話が出ておりますが、いろいろやはり港湾設備状況も需要に応じて変わってきております。あるいはコンテナバース施設が必要であるとか、いろいろの方面でもって港湾整備状況も変わってきておると思う次第でございます。そういう点を勘案いたしまして、やはりそういう点で一目りょう然と申しますか、これはなかなかむずかしいことかもわかりませんが、できるだけそれが簡明に、いま御指摘のような、そしてまた需要の変化に応ずるような態勢、両方あわせまして、検討する必要があると考えておる次第でございます。御趣旨を体しまして検討いたしたいと、こう思います。
  165. 小柳勇

    ○小柳勇君 これが最後の質問でございますが、要望も含めまして、港湾運送事業法で、港のいわゆる運送事業者が整理統合されまして、最近は非常によくはなりましたけれども、まだ陸上輸送と荷役事業とはしけの労働者が一体となってやっておるようなところもあります。それから最近コンテナあるいはラッシュ船などで沖仲仕の仕事がだんだん減ってきたというような悩みもございます。それで朝、港に参りまして、仲仕の諸君の仕事を割り振っている状態を見ますと、何か原始的なものを感ずるわけですね。したがって港湾運送事業法の整備も急がなければなりませんが、港に来ました船の荷物が陸揚げされて今度はトラックで運搬される、その流れは、少しもっと秩序よく動かすシステムが必要ではないかと思います。だから、いまのところ、陸上の運送事業あるいは倉庫業あるいは港湾運送事業あるいは港湾といった、いろいろ一連の法律で動いておりますから、たいへん苦心があろうと思いますけれども、品物は一つですから、外国から来ました品物は一つに流れているのですから、それがスムーズに流れて、しかもそれを扱う労働者はちゃんと毎日希望を持って働けるような方向、あるいはそれを扱う運送事業者はもうかるように、少しもっときちっとできるものなら法律でも簡素化して、きりつとしたものの流れを確保できないかと、これは最近は痛切に考えておる問題でありますが、そういう方向に運輸省内の各局が知恵を出し合って努力してもらいたいと思いますが、大臣のお考えを聞いて質問を終わります。
  166. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) まことに適切な御指摘でございまして、やはり陸上、海上ひっくるめまして一貫輸送ということがいま時代要請になってきております。その時代におきまして、港湾におきましても、あるいは荷役あるいはそれを運ぶいろいろな手続、いろいろ輸送機関が異なっております。これらがやはり荷主と申しますか、こういう利用者が便利で、一つの、いまの交通公社みたいなぐあいにいけると、私は一番望ましいことであろうと思う次第でございます。ほんとうに私は適切な御意見と存じますので、その点もほんとうに利用者の立場を考えまして研究いたし、できるだけ早い機会に具体化をしていきたい、こう思っております。
  167. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先般の質問で、主として北海道と本州——本州といっても京浜、関東方面との貨物輸送ということを主として念頭に置いて私は質問したのですけれども、もちろんそれは非常に重要なことだと思います。しかし、それと同時に、将来のことを考えた場合に、北海道と本州だけではなくて北方領土ですね、あるいは樺太、シベリア、こういう方面との交通ということをもっと考える必要があるんじゃないかと思うわけです。択捉とか国後とかいう島は、これからいろいろと問題になるところなんですけれども現状では、ああいう千島列島それから樺太といったような区域との間はどういうふうなかっこうになっておるのか、定期航路等を今後考えなければならないじゃないかという気もするのですけれども現状は一体どうなっておるのか。それから特に北海道港湾は、そういう地域との往来ということを考慮に入れて行なわれなければならないじゃないかという気がするのですけれども、それらの点についてちょっと聞き漏らしましたので、あらためてお伺いしたいと思います。
  168. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 千島と北海道本島との間には別に定期航路はございません。樺太と本島との間にもございません。したがいまして、これは今後の旅客輸送なり物資の移動、そういったものがあれば、そういうことで要望が出てくると思いますけれども、現在はそういったことはございません。また、そういった輸送機関もございません。
  169. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それではソビエトと北海道との間の貿易、通商ですか、これは現在、北海道のどういう港湾を使っておるのか、また利用状況ははたしてどの程度なのか、わかっておりましたら御報告いただきたいと思います。
  170. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ちょっと貨物の数量につきましては手元に資料がございませんけれども、主として沿海州あるいは樺太の一部から参っておりますのは木材が大部分でございます。いわゆるソ連材と申しておりますが、北は稚内港それから留萌港、小樽港、それから一部函館にも参っておりますけれども、主として以上あげました三入が問題になっておりまして、それらの港につきまして、入ってくる貨物の量、需要に対応いたしまして必要な整備を進めておる段階でございます。
  171. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 小樽の視察を運輸委員会でやったことがありましたが、そのときやはり相当ソビエトからも木材を扱っているということを聞きました。現状は木材ということだったけれども、日ソの国交が正常化をして、そしてその貿易が促進をされるということになると、地域的、距離的には北海道が比較的近いと思うのですね。東北、北海道が一番近いわけですから、そうなると、はたしていまの北海道港湾施設でもって足りるのかどうかということ。それから問題は、昔、稚内と樺太との問に定期航路があったのです。この定期航路は全くいまとだえてしまったわけですけれども、しかし、樺太の開発状況というようなものは一体今日どうなっているのか。われわれの頭の中にはそこまでは思いが及ばなかったわけでありますけれども、やはり樺太、北海道問あるいは千島と北海道間といったような地域には定期航路等も将来は考えられてしかるべきではないかという気がするわけです。全くいまとだえているということでございますけれども、これらの地域を結ぶというような構想がないのかどうか、あるいはそれらの可能性というものがないのかどうか、この点もお伺いしたいと思うのです。
  172. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 北海道に樺太からたとえば木材を持ってくるという場合には、北海道の地場で消費されれば、それなりの、樺太から来るための港湾設備も要ると思いますけれども、その辺の事情が現在そこまでいっていないのじゃないか。むしろ要するに本州のほうで使う木材のほうが、ソ連材あるいは北洋材のほうが現在多いのではないかということでございますので、北海道、地場でどんどん製材しまして加工するということになれば、将来、それなりの相当大きな木材用港が要るのではないかと思います。その辺よくわかりませんけれども、ただ問題は、シベリアの開発等に関連いたしまして、むしろ北海道ということでなしに、本州のほうに、たとえば現在ナホトカと京浜あるいは阪神との間に定期航路が行っておりますが、これは木材よりもむしろいわゆる雑貨でございまして、中にはコンテナ船すらもあります。これは日本の雑貨がシベリアを経由いたしまして、ソ連のは、またソ連を出ましてヨーロッパのほうにまで行っております。これなどは今後も大いにシベリアをランドブリッジと申しますか、そういった方法で、船で欧州へ行くよりもコンテナ化してシベリアへ行くほうが安いということであれば、今後大いに伸びると思います。なお、それ以外に、ナホトカのそばはウランゲルの港がございますけれども、いま開発中でございますけれども、これなどはシベリア開発の観点から開発いたしまして、そこに大きな港湾をつくるということでございますので、したがいまして北海道との間だけに限定いたしましてシベリア開発の問題は考えていいのかどうか、この辺は多少私は疑問があるのではないかと思います。むしろ本州を入れまして、全般を考えまして……。したがいまして、繰り返すようでございますが、北海道自身での消費、それから北海道で生産したものがソ連に行くということになれば、相当、かなりの港湾が必要になってくるのじゃないか、かように存ずる程度でございまして、それ以上の詳しいことは、実はいま私どもは考えていないわけでございます。
  173. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 稚内港をかつて視察した記憶があるのですけれども、まあ非常に今日ではさびれてしまっていて、昔の繁栄を考える、ものさびしい感じがしたわけです。樺太の存在を考えると、やはり稚内といったようなところは北海道の玄関のようなかっこうになるんじゃないかと思うのです。シベリア、ナホトカ方面との交流というものは、今日とにかく存在をしているということになれば、樺太との交流ということもあえて考えられるのじゃないかという気もするのですけれども、その点ははたしてどういうものか。むしろ積極的に樺太と北海道との間を結ぶという航路も実質的に再開して、この間の交流も深めるといったようなことが今後の問題として考えられていいのじゃないかという気がいたしますけれども、その辺の見通しなりあるいは現状等はどうなのか。もっともこれは運輸省だけの仕事ではないと思うのですけれども、外交問題とからんでくると思いますが、その点はどうでしょうか。
  174. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) やはりこれは外交問題もからみますし、それから貿易問題ですね、どの程度の樺太からの貿易があるという問題でございますので、私どもだけで見通しを立てるわけにはいかない、しかし、そういったものが今後ふえますれば、当然それに伴う輸送機関というのは整備されると思います。現在のところは、どの程度一体年に物が入るのか、そういった資料を持っていないというのが実情でございます。将来、需要がふえれば、当然そういう輸送機関の整備がなされてしかるべきであるというように抽象的に考えておる段階でございます。
  175. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 樺太がそうでは千島はなおさらだろうと思います。かつては択捉島にも連合艦隊が入ることができるくらいのかなり優秀な港があったように聞いているわけです。そうすると、面積とすれば、択捉島にしても国後島にしても相当な面積があると思いますけれども、まさか現状は無人の島とは思われないし、ああいう沖繩・北方特別委員会ができておるにもかかわらず、その対象となる国後なり択捉についての知識があまりにもなさ過ぎることをわれわれは反省させられるのですけれども、せめてこの間に何らかの交流というものの可能性がないのかどうか。実際に返還云々という問題よりも、事実をもって交流をするということが先になるんじゃないかという気がいたしますが、断絶したままの状態にあるのか、あるいは何らかの方法でもって、この間の往来というものが将来考えられる可能性があるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  176. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 繰り返しますけれども、どうも先ほどの問題で、どの程度の人事の交流ですか、あるいは物資の交流があるか、いまの段階ではちょっとわかりかねるわけでございます。そういうことになれば、当然そういった問題も出てくる。繰り返し申し上げますが、その程度しか実は申し上げられません。
  177. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一応シベリアも樺太も千島も全部ソビエトの支配下にあるとすると、樺太なり千島というものが当然いま断絶した状態にある、シベリアとだけとにかく行き来ができるという状態はちょっと解せないわけですよ。解せないといっても、これは日本の政府の責任ということではないけれども、ちょっとわれわれには理解しがたいものがある。そこで当然これらのものが考えられてしかるべきじゃないかと思ったのですけれども、それでは、いまお話しの方向であれば、これはどうしようもないですけれども、大臣に最後に、これらの地域との運輸省としての窓を開くというための働きかけというものが必要ではないかという気もいたしますが、こういう点から打開をしていくといったようなことが隣の国との国交をよりよくするために必要ではないかという気がいたしますが、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  178. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 一番手近というと恐縮でございますが、一番ほんとうに身近な問題につきまして、私ども勉強不足でほんとうに申しわけないと思っている次第でございます。いまお話がございましたような択捉あるいは千島、樺太という方面の今日の産業状態、それから人口の分布状態がどういうふうになっているか、そういったものは、日本との交流はどうなっているか、専門の海運局長もあまりつまびらかにしないということでございます。私どもその点は寡聞にして、ほんとうに申しわけないと思っておる次第でございますが、さっそくそれらの点を研究させまして——前には日本と樺太との問で、もちろん定期船があった、これは人的旅客輸送もあった、貨物もあったでございましょうが、旅客輸送も相当あったと私は想像する次第でございます。そういう点で外国の、ソビエトと日本との問に、ことにソビエトといたしましては、いろいろなやはり制限を設けております。その制限緩和をどうするか、いまお話しのように、その緩和がお互いにもたらされるのならば、ひいては両国の国交親善のためにも非常にいいことでございますし、また日本の発展のためにもいいことでございますので、早急に、それらの実情をさっそく調べさせまして、できるだけの調査をさせまして、それによりまして、私のほうからして、また外務省その他と連絡をいたしまして、しかるべく、そういう打開の道がありそうでございましたならば、積極的にやってまいることは、やはりいいんじゃないかと思っている次第でございます。  ちなみに申し上げますが、先ほど、シベリア開発日本の京浜あるいは阪神からいろいろ日本の雑貨その他もいっているようでございますが、これはできれば、私は、将来は北陸地方あるいはそっちの東北地方といったような方面から、できるだけその港からやっていただけることができれば、国土開発上非常に有利じゃないか。いま京浜、阪神というところに何でも集まる、東海道瀬戸内海というのにあらゆる人口、あらゆるものが集まる、ここに日本の、運輸行政からいたしましても、国土の均衡のある開発からいたしましても、いろいろな問題があるのじゃないか。私は運輸行政がいまおくれているという点につきまして、弁解ではございませんが、やはり過疎過密、この程度をある程度緩和していく政策を強力にやっていくことが、いまあらゆる問題のもとじゃないか。そういう点で、いま瀬谷先生のお話の、北海道にそういったような貿易のいろいろの拠点をつくる何か発想がないかというのも、おそらくやはり北海道は、そういったような人口の一つの再開発の拠点としてお考えになってくださっておる、私はそういうふうに受け取って非常にさりがたく受け取った次第でございます。そういう観点から、私は閣僚としても全体に呼びかけまして、それらの問題を推進してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  179. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この北海道開発のための港湾工事ということ、先般も質問いたしましたが、あまりにも本州、北海道ということにだけとらわれておったというふうに思うわけです。事実それ以外は念頭になかったような気がするわけです。しかし地域的によく考えてみると、樺太あるいは千島というのは北海道のすぐ鼻先になっているわけですから、当然、将来の展望を考えた場合には、千島、北方領土問題がどう解決するかわかりませんけれども、これらのことも考え、さらに樺太といったようなことも考えてしかるべきであるというふうに思いますので、いま大臣に御答弁いたださましたけれども、ぜひその方面についても、まあ積極的な対策あるいは調査ということを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  180. 森中守義

    ○森中守義君 今回の港湾審の五カ年計画の中に災害関連事業費として二千五百億予算がついております。この予算の使い方ですが、たとえば水俣の問題ですね、これは御承知だと思いますが、おおむね一番堆積するところで七メートルあるいは八メートルぐらいある。薄いところで四メートルから三メートル。このくらい有機水銀を中心にした泥土が入ってきておる。そこで水産庁、あとで来てもらいますが、この問題片づかないと、この辺の漁業はどうにもならぬと思うのです。どちらかといえば、例の病気を誘発したのは、海底にあるシャコだとか、あるいは海藻だとか、しかも、こういうものは比較的商品価値がないのです。漁業者がとってはそれを大量に食べる、そのために有機水銀を相当多量に摂取をしておりますが、それで早くからこの泥土をろ過しなければ、水俣の港は死んでしまう——そのことが直ちに運輸省の所管とは言い得ないかもしれない。災害関連事業ということで、こういう泥土の排除を行なうような予定であるかどうか、この辺のところをちょっと伺います。
  181. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘の災害関連事業と申しますのは、いわゆる台風その他地震とかいう天変地異、天災による復旧事業と関連した投資をいっているわけでございまして、ただいま先生指摘いただきました水俣その他のいわゆる堆積汚泥と申しますか、そういうものの処理につきましては、実は先般、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律というのが出ておりまして、私ども五カ年計画の中にも一部取り込んでございますが、そういうものに対して当然これ企業負担もあるわけでございまして、これは公害の企業負担の割合がきまりまして、その残りは全額企業負担すれば別でございますけれども、それ以外にも都市排水による汚染その他もあろうかと思いますので、そういうものが出ました場合は企業負担の残りの二分の一を国が補助をするというような制度ができてございます。したがいまして、それを受けまして五カ年計画の中の柱の一つといたしまして、公害防止対策の中で委託防止施設だけじゃなくて、そういう堆積した港の中の汚泥を処理するというものに対する事業計画している次第でございます。したがいまして、水俣につきまして現在おそらく県当局で検討されていると思いますけれども、それを一先生指摘のように、何メートルか泥をさらってどこかに封じ込めてしまうというふうな計画がはっきりいたしましたならば、いろんな手続がございますけれども、五カ年計画のほうで処理してまいりたいというふうに考えております。
  182. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、いまのお答えからいけば、当然事業対象になるということですね。
  183. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) はい。
  184. 森中守義

    ○森中守義君 それから水産庁にお越しいただくようにお願いしておきましたが、来年ジュネーブで第三回目の国際海洋法会議が開かれる、これに対して運輸省の直接の関係としてのマラッカ海峡の航行権の問題ですね、それといま一つには、大陸だな、それに領海の問題があるようですが、きょうは短い時間ですから、領海だけひとつお聞きしておきたい。  つまり、私のいままでの記憶からいえば五八年、六〇年、二回の国際海洋会議では加盟各国の利害が相反して、ある国は領海五海里を主張、ある国は八海里、それに専管水域をつけるということで、まことに多種多様なんです。ところが、日本の場合は終始一貫して三海里以上はだめだ、これは国際漁場の関係でそうなっていたようですが、こうなってきますと、海洋分割などということもいわれる時代であるのですけれども、どういう方針でジュネーブの会議に政府としては臨もうとするのか、むろん、まだ外務省が中心になって意見をまとめているように聞いておりますけれども関係の官庁として運輸省ではどういうお考えですか。三海里なのか、あるいはいま国際的にいわれている十二海里を採用されるおつもりなのか、この辺はどうでしょうか。
  185. 見坊力男

    説明員(見坊力男君) この領海の範囲の問題につきましては外務省からお答えするのが適切と思いますが、いまお話のように、領海の幅に関しまして各国の主張がいろいろでございますが、これらはいまお話しの海洋法会議において調整がなされることとなろうと思いますが、運輸省の考えといたしましては、領海を十二マイルとするという国際的合意が成立するならば、従来の三マイルの立場に必ずしもとらわれないでこれを受け入れるということがよいのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  186. 森中守義

    ○森中守義君 もちろん、この問題は最終的には重要な政府の決定ということに、会議に臨む際になるでしょうが、これはいま審議官の言われるように、多国が十二海里を主張し、それが合意に達するならばという、それはそれとして聞きますけれども、在来、日本の場合にはあくまでも三海里に固執し過ぎているんですよ。おそらく水産庁あたりは三海里はなかなか承服しないと思うんですね。まあ、そういうことなんですが、なぜ私がいま突然こんなことを聞くかといえば、これはやはりマラッカ海峡の航行権の問題、いまでも沿岸三カ国は自分の領海だと、こう主張しているんですね。これがいよいよ十二海里ということになりますと、もう決定的な一つの——もし十二海里が条約として素案段階に入るならば、そういう答えがもう条約に出されることになりますね。それで簡単に会議で合意に達するならば条約草案に向かってもよろしいということになるだろう。これはこの場の答弁として、ただ言いっぱなしじゃ困ると思うんですよ。もう少しこれは中身に入った議論が必要になってくると私は思う。  そこで一体、その三海里というのは残念ながら国際条約として確立しておりませんね。大体、日本の三海里を固執する理由、その沿革、歴史、これはどういうところにあるんですか、三海里の根拠。
  187. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) いまお話がございましたように、これはまあ非常に国際法上の問題でございましてあれでございますが、私の承知しておるところによりますると、その根拠は大政官布告、それによってずっときたものと思う次第でございます。  それで、先般も先生御主張なさいました、予算委員会でこの問題だいぶ話が出まして、外務大臣が答弁をしている次第でございますが、だいぶ、いま御指摘のように、あるいは五海里説、あるいは八海里説、十二海里説ございます。それから先般来もいろいろ御論議をいただきますマラッカ海峡の問題もございます。そういうほうも踏まえまして、あらゆる面を検討して、いまでは三海里説は非常に少なくなってきているというふうな状況でございますので、来年の海洋法会議ではいろいろの方面と世界の趨勢などを勘案いたしまして、日本としても、日本はこの点を主張すべきであるということを、どのくらいの領海説をとるべきであるかということも十分検討いたしまして、日本としての立場をやはりはっきりすべきである、こう思っておる次第でございます。いま外務省といたしましても、外務大臣といたしましても、やはりその方向で、日本としてはどういう方面で主張すべきか、またそれが、これはまあ国際会議でございますから日本の一方的主張で通るかどうかという問題がございます。しかし、やっぱり通る可能性というようなものも、ずっと情勢を勘案をいたしまして、そして立てたいといういま考えでいる次第でございまして、それまでいろいろ諸方面のお知恵も拝借いたしまして、日本としてのやはりはっきりした態度をきめてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  188. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣のお話のように、確かに太政官布告が根拠になっておるようですね。ただ当時、陸地から大砲をぶち込んだらちょうどその地点に落ちたということで、むしろこれは今日の商業港であるとかあるいはまた海洋における水産資源の確保とか、そういうことじゃなくて、むしろ当時における防衛上の問題で三海里になったように聞いておるのです。そうしますと、いまこれは港湾局長、日本の場合ですね、海洋に突出した一番長い堤防は何キロくらいでしょう。まあ私の計算では、一海里が一・八キロということですから現在五・四キロまでがその領海内ということになりますね。で、一番長いところは何キロくらいですか。
  189. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ちょっと私も実際に当たってみてございませんが、たとえばこの近くでつくっております港でございますと鹿島港でございますが、鹿島港は海岸から約三キロ沖に防波堤が出てございます。ただ、私聞きますと、何か陸地に続けていけば、それから先は、やはり領海はそれからまだ延びるのだというふうな解釈もあるように聞いておる次第でございますが、いま先生指摘のように、五、六キロ先につくった場合に領海はどうなるだろうということでちょっと調べたことがございますけれども、その場合は、陸続きであれば問題はないというふうなことで自分で納得したという経緯がございますけれども、記憶がございますけれども、具体的に、一番長いのは何キロかとおっしゃいますと、ちょっと私自信を持ってお答えできないのは残念でございますが、繰り返しますと、鹿島で約三キロというのが実情でございます。
  190. 森中守義

    ○森中守義君 まあ、鹿島が三キロ余りだということになると、これはまだ現行の三海里の五・四キロのワク内にあるわけです。で、まあいいでしょうがね、だんだんだんだんこれから大型化してきますと、やや三海里に近い線にまでいくようなところが出てくる可能性もあるわけですね。それで、これはいま来年の国際海洋会議に臨む運輸省としての一つの意見等もおまとめになる必要があると思うのですが、どうなんですか。大体何海里くらいが妥当なのか。国際的には十二海里といっておるようですね。これは多国がそういう意見であり、多数でそういうことで合意に達するならば日本も異論はないと、こういうきわめて消極的な意見ですが、このことが在来の歴史から踏まえていけば、やはり外務省等々は三海里というごく限定された現行の体制でいきたいということじゃないかとも思うのです。しかし、これは今日の国際情勢あるいは海洋関係の問題等からすれば、ややもう三海里は無理じゃないかというふうに思いますが、むろん省内でまだ詰められた意見がまとまっておるとは思いませんけれども、大体趨勢としてどういうようにお考えですか。
  191. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま森中先生指摘のように、外務省としても、もうすでに三海里では非常に無理ではないかというふうに認識しておるように先般の国会の答弁からも、質疑応答から見ましても察知している次第でございまして、それゆえに、いま審議官から、十二海里が大体の定説になれば受け入れる、こういうふうなことでございますが、私ども先ほども申しましたとおり、諸般の点を勘案をいたしまして、いまの事態に合ったように、そしてまたいろいろな海峡の問題もございます、漁の問題もございますから、運輸省としてはこのぐらい必要であると、どのくらいの主張をすべきであるというような点も十分こちらでも検討いたしまして、そして外務省のほうへそのことを、私どもの立場も申し入れまして、国際会議に臨むときの一つの強い要素にしたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  192. 森中守義

    ○森中守義君 これはもう少し時間がたちますと、やや輪郭も出てくるでしょうから、そのときの議論に残しておきましよう。  それと、いま一つ、マラッカ海峡の問題も、また後日、日を改めることにします。  いま一つは、漁港と商業港の関係ですね。今回の法改正等々に見られるように、また質疑応答の中でやや輪郭を理解することができましたが、どちらかというと、漁港が商業港に比べて非常に立ちおくれているんですね。これは同じ港でありながら、湾港と商業港のこういう格差がついているということは、水産資源の確保がいよいよ急速に確立をしなければならぬというときに、これは適当じゃないじゃないですか。また全国の港湾大会等の議案といいますか、議論の中にも、こういう一元化などということもしばしば出ておるようです。よって、これは農林省、水産庁の所管でありましようけれども、港行政の一元化というものは、これはできないものでしようか。むろん、所管が違うという厳然たる事実はありますけれども、将来の方向として、港に関しては商業港、漁港の区別なく一体的、一元的に運輸省のほうで所管をする、管理をする、あるいは助成をする、これは何も運輸省を身びいきするわけじゃないけれども、どうも分かれておると、港は非常に立ちおくれておりますよ、もちろん漁港もピンからキリまでありますがね。かなり大きな漁港等については少しく検討して、格差の是正ということが急がれるべき問題だというようにも思うんですが、どうなんですか。
  193. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) これは先生のほうがお詳しいかと思いますけれども、御承知のように、漁港は漁港法という法律で現在整備が進められておりますが、実は、一緒になるかどうかという議論の前に、現在、港湾法の中でも臨港地区の中に漁港区ということばがございまして、港湾の中に漁港施設をつくることができるわけでございまして、現在私どもの所管しておる港湾の中でもかなり大きな漁港施設整備しているという事実もございます。それからなお、実体論といたしまして、漁港と商業港とが非常に近くであるとか、くっついているとかいった場合には、漁港管理者、港湾管理者と申しましても、県なり市町村なり、地方公共団体は当然同じでございますから、中で相談し合って計画のすり合わせをやる、あるいは事業の実施の調整をやるというふうに、私どもと水産庁の漁港部のほうで話し合いをして指導している次第でございます。それからなお、非常に大きな場合になりますと、直接中央同士でも問題点を整理して話し合って現地のほうに流していって、こういう方向でやりましょうやということで進めていっておる。それから具体的に申しますと、水産庁のほうで、この区域はそういう漁港に譲ってほしいとおっしゃる場合は、私のほうで漁港に提供する。それから逆に港湾が広がって漁港がつぶれていくという場合もございます。その場合も水産庁と相談いたしまして、円満にやっているということで、将来にわたって一元化云々の問題につきましては、ちょっとこの場でお答えはしがたいわけでございます。実質的には非常に密接に連絡をとってやっておりますし、それから特に水産庁の職員、それから私のほうの職員、そういう者も、ひんぱんではございませんが随時人を交流いたしまして、お互いの勉強をし合うというような機会も持っておりまして、いまのところ非常に円滑に、仲よくやっているというふうに私ども信じておる次第でございます。
  194. 森中守義

    ○森中守義君 それから最後になりますがね、この前から熊本県のほうで非常に熱望しておりました新熊本港ですね、これは大体どういうようなお考えでしょうか。
  195. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) これは御承知のように、新熊本港——熊本新港ということばで言われておりますが、県庁所在地で港を持っていない県というのは非常にわずかでございます。しかも熊本というのは、おそらく市の周辺を入れますと五十万以上になるのではないかと思います。そういう大きな消費人口をかかえておる都市で港を持っていないというのは、非常に物資の流通という面から見ても熊本市にとっては御迷惑ではなかろうかという感じを持っておりまして、むしろ現在いろいろ県当局あるいは市と共同されてなすっていらっしゃいますし、それから技術的にも私のほうの出先機関を通じましてお手伝いさしてもらっておりますが、早急にひとつ計画を立案していただければ、諸般の手続がございますけれども、それを早急にやりまして、何とか早く港をつくりまして、熊本の市の周辺の方々の不便を解消いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  196. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣、港湾局長のお答えでたいへんありがたいことですが、十分ひとつ熊本の新しい港については御考慮いただくようにお願いいたします。
  197. 田代富士男

    田代富士男君 最初に一言申し上げたいと思いますが、きょうは朝からずっと当委員会が連続で続いております。まあ私は委員長でございませんから何でございますが、ほんとうは大臣はじめ皆さん方にここで一たん休憩をしていただきたいつもりでございますが、委員会のルール上これはやむを得ません。だから自由に、便所にお行きになる場合には、私が質問しないときには自由にお立ちになってけっこうでございますから——私もできるだけまとめまして御質問したいと思います。  特にこの法案につきましては衆議院の段階、あるいは参議院の段階を通じましても十分審議されております。私がここでもうあらためて聞く必要もないくらい審議されておりますけれども、一応私なりにまだ聞きたい点もございますから、まとめましてお尋ねしたいと思います。  特に北海道開発に対しまして政府として力を入れていくということは私も理解できます。北海道の特殊性、すなわち人口、経済力、あるいは地域の面から考えましても当然のことじゃないかと思います。また昨年から今年にかけまして時代の流れというものは、中央集権でなくて、それぞれの地域といいますか、地方重点というふうにいまは変わってきております。まあ、その時代の流れというものをちなみに考えてみますと、今年の一月の新年号を見ましても、朝、毎、読、サンケイの主力紙の新年号のページ数と、地方紙のページ数を比べてみた場合に、地方紙のページ数のほうがはるかに多い地方紙がありました。秋田県の、ちょっと私名前は忘れましたが、あるローカル紙は百ページ余りのページ数を出したと思います。このように時代の流れというものは地域といいますか、地方重点というふうに流れておるということをわれわれも知っていかなくちゃならないと思います。また大きい会社、特に新聞社なんかの人事異動を見ますと、いままで優秀な記者は全部中央へ集めておりました。しかし最近の動きを見ますと、優秀な記者は全部地方の支局へ配属されておる。大会社の予算を見ましても、広告予算を見ましても、大会社の中央の予算が六割で地方が四である、それがいまでは四対六と反対に変わりつつあるという、こういう地域に力を入れなくてはならない、こういう時代の流れになってきております。そういうことから、今回ただいま北海道開発のためにする港湾工事法律を一部改正するこの法案の審議をしておりますけれども、いまも審議されましたけれども、この問題が十分の九・五だとか十分の十とか、この問題よりも抜本的に解決すべきであるというような、そういう審議がされましたが、今後もあくまで北海道に対しまして援助をしていくという姿勢には変わりないと思いますが、最初に大臣からひとつ総括的に、今後どのように取り組んでいくのか、そういう点をひとつお願いしたいと思います。特に大臣は何か衆議院で十七時十分から五十分まで決算の採決があるそうでございますから、いま理事のほうから申し入れがありましたし、途中退席されますから、またおいでになりましたら大臣に御質問するように、飛び石連休じゃなくて飛び石質問になるかもしれませんが、まず最初にそれをお願いいたします。
  198. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私の都合ではなはだかってで申しわけございません。お許しをいただきまして非常に感謝しておる次第であります。  いま御指摘がございましたが、地方に非常に重点が移ってきた、私はぜひそういうふうになってほしいということを念願をしている一人でございます。先ほどからも申し上げておりますように、いまの日本の一番の内政の重点というものは、過密過疎をいかに解消して均斉のとれた国土開発をするかということに尽きる次第でございまして、いろいろ御叱正をいただいております運輸行政の渋滞も実はその点に大きな原因がある、この問題が一番大きな問題であります。そういう観点から見まして、いま先生が御指摘になりました北海道開発、これにますます重点を置いて協力するか、運輸行政としても協力するか、港湾行政についても協力するかというお話でございますが、そのとおりでございまして、ますます私ども北海道、ことに重要地点でございますので、その地方の開発には協力をする考えでございます。
  199. 田代富士男

    田代富士男君 次に栗栖局長にお尋ねいたしますが、衆議院の段階、あるいは参議院の委員会を通じまして、北海道本島についてはただいま申し上げましたとおりに、地域開発のために港湾管理者の応分の負担をお願いしなくてはならない、そういう意味の答弁をなさっていらっしゃるわけなんです。応分の負担という字そのものはどういうふうにでも拡大解釈できるわけなんですが、それが今回の十分の九・五という、その数字の上ではそういう結果になったと思いますが、ただ港湾の問題だけじゃなくして、ほかのいろいろな問題を見てみましても、こういうようなはしりが見えておりますけれども、こういう応分の負担というものに対しての裏づけにつきましても視察の方がおいでになりましてそれぞれ説明されましたけれども北海道の本島の事情というものを考え、いま大臣がお答えになりましたとおりに北海道を育てるという意味におきまして、応分の負担ということばもわからないわけではありませんけれども、どういう根底においてそのような見解を持っていらっしゃるのか、まず局長から最初に聞きたいと思います。
  200. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) むしろ北海道開発庁のほうからお答えいただくほうが適当かとも存じますが、運輸省の立場から私なりに考えておりますことは、御承知のように、第三次の北海道開発計画も始まっております。先ほどから先生指摘のように、地域の開発の問題ということが大きく浮かび上がってこようかと思います。そういう意味で、御承知のように港湾につきましては、これは北海道ばかりじゃございませんけれども港湾管理者というものは地方公共団体が管理者になって港湾を管理するというたてまえもございますので、港湾管理者にも一部これは極力最低限度にしておりまして負担していただいて、積極的に開発に参加していただくというところにも一つの意義があるんじゃなかろうかというふうに理解している次第でございます。
  201. 田代富士男

    田代富士男君 いまそのことと関連がありますが、北海道における公共事業にかかる国庫負担等の特例についての調整措置の経緯をちょっと私なりに見てみましたら、昭和四十五年度におきましては、河川については河川法施行令の一部を改正する政令をもちまして補助河川——一級水系ですかね、の工事十分の十を十分の九に改め、道路については道路整備緊急措置法施行令及び道路法施行令の一部を改正する政令をもちまして、国道二次改築十分の十を十分の九に改めた。このようにいたしまして、北海道の地方負担増が約十三億円出ております。これと同じように昭和四十六年度には、河川につきましていろいろ述べてありますが、河川関係を含めまして、地方負担増が約五十七億円出ております。そして今回のこの法案で管理者負担が六億二千六百万円、このように、この法案の六億二千六百万円だけであるならば考えようもありますけれども道路から、河川からすべてこのようになされてきている、これが応分の負担ということに——私は局長にお尋ねいたしますけれども、これも交付税だとか起債だとか、そいうのでまかなっていくんだという答弁がいまさっきからされてきましたけれども、実情を調べてみますと、地方財政を圧迫するということが現実なんです。この点のことにつきまして開発庁のほうからちょっとお答え願いたいと思います。
  202. 山田嘉治

    政府委員山田嘉治君) 北海道の補助に関する特例の調整につきましては、ただいま田代先生から御指摘ございましたように、これは過去数年来の問題点でございまして、実際には昭和四十五年から、御指摘のように、河川、道路、漁港、港湾というふうな全般にわたりまして調整の措置を逐次進めておるところでございます。それでこれは北海道の第二期計画と申しますのが昭和四十五年でもって一応終わることになっておりますが、これを終わりまして、第三期計画という計画を四十六年度から十カ年計画でもってこれは閣議決定いたしまして展開をいたしておりますけれども、第三期計画に至りますと、単に従来の北海道の後進性の克服ということだけではなくして、先ほど運輸大臣からもお話ございましたように、現在の日本の最大の問題でございますところの国土利用が非常に一部の地域に片寄っておって、日本の国全体として国土利用の抜本的な再編成をやらなきゃいかぬという観点に立ちまして、そのために非常に北海道は、その意味では恵まれました土地の大きさ等、有利な条件を持っておりますので、その点に着目いたしまして、北海道にむしろその他の地域の模範となるような産業と、それから非常に住みよい人間の社会というものを創始していこうというようなことで、非常に本州方面にもないような大きな新しいプロジェクト、それから農業その他の産業を通じて各方面にございますけれども、そういうようなものも意欲的に盛りまして第三期計画というものを立てております。そういうことに相なりますと、従来、北海道につきましては、国の特別措置として非常に本州方面に比べまして率の高い補助率でもって補助をいたしておりますけれども、この第三期計画に入りました上で、ただいまのような、むしろ時代の先取りをしていこうというような意欲的な事業を展開していこうという場合には、やはり本州方面の府県とのバランスを是正するということも多少は考えなくちやいかぬじゃないか、それと同時に、北海道の、これはむろん財政力に見合って考えなくちゃいかぬわけでありますけれども、財政力の可能な範囲においては、むしろ積極的に負担の一部を地元にしていただきまして、積極的に事業を伸ばしていくという積極的な方向も必要なんじゃないかというように考えまして、ここ両三年来そういう補助率の調整が行なわれているわけでございまして、この港湾の五%の補助率の問題もその一環でございます。  財政の圧迫になるではないかという御指摘につきましては、これは先般来、私ども自治省のほうからお答え申し上げておりますけれども、財政の圧迫にならないような範囲内において補助率の調整をやっているという考え方でございまして、それに対しまして政府としても交付税その他の十分な手当てをした上でこういう措置をしていくというように考えている次第でございます。ただ、これは私どものほうの長官も他の委員会等で御答弁申し上げておりますけれども、この一連の補助率特例の調整の問題は、ここ両三年来こういうことでやってまいりましたけれども、この港湾の補助率の五%引き下げでもって一段落であるというように私ども関係各省の間で一応の了解をいたしておる次第でございまして、これを将来いろいろ事情が変わりましたら、将来また絶対やらないということはむろん言えないわけでございますけれども、数年来やってまいりました補助率の調整ということは、この港湾の補助率調整でもって一段落であるというように考えておる次第でございます。
  203. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま第三期計画概要をわかりやすく説明していただいたと思いますが、大臣もおっしゃったとおりに、後進性の克服ということでなくして、新しい日本全体を考えた国土利用である、他の日本の地域の模範になるようなものをつくらねばならない、そのように申されて、そのために第三期計画として新しいプロジェクト・チームをつくって何とかこれをやっていこう。その場合に、北海道の財政力に応分の負担ということになるかと思いますけれども、見合うべきものをやっていきたいということでございますが、いま港一つ考えましても、これは第三期計画内容でございますが、北海道の港を模範とするようにということでございますが、私ちょっとお尋ねいたしますが、北海道に避難港は幾つあるでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。
  204. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 六港ございます。
  205. 田代富士男

    田代富士男君 名前をちょっと教えていただけますか。
  206. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 申し上げます。松前、奥尻、幌泉、椴法華、宗谷、天売でございます。
  207. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されたのが正式な避難港になっておりますが、ちょうど三月ごろでございましたでしょうか、根室の花咲港でございますか、この港には北洋漁業に出ました漁船が緊急な場合にはここへ待避するように、まあ待避港になっているわけなんです。ところが、新聞等にも報道されましたけれども、ここで三隻か四隻の船が波にのまれてしまっている、あと三隻か四隻が岸壁につけてあって大破をしている、そういうような事故が起きております。これは三月ごろだったと思います、ちょっと年月のほどは何でございますけれども。また北海道一つの港をあげますと、琵琶瀬といいますか、琵琶瀬港といいますか、この琵琶瀬港というのは、船が砂のために近寄れないのです。それで、この北海道港湾管理者が市町村になっているわけですが、いまさっきから申していらっしゃいますとおりに、北海道の財政力に応じてと申されるけれども、現実にこの琵琶瀬の港一つ考えましても、砂のために船をつけることができない、こういうような港、あるいは流氷の問題このために起きた災害の問題等、いろいろまた現時点におきまして北海道自身に財政力が、それだけ応分の財政負担と言われるような財政力があるならば、すでにこのような一番大事な問題でございますが、これが解決をしているならば、私はいま大臣はじめ三人のお方から話を聞きましたことが、まあこうなってもしかたがないのじゃないかというふうに理解できないわけではありませんが、これは何ら一歩も前進してない。こういうことを言っちゃおしかりを受けるかもわかりませんけれども、根本的立場から言うならば、一歩も前進してない。それでまあ北海道の財政力、応分の負担といいますか、それがあると思われるだろうか、私はこのように思いますけれども、いかかがでございましょうか。
  208. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 実はただいま御指摘のございました花咲港は私のほうで所管いたしておるのでございますけれども、琵琶瀬港は漁港でございます。ただ、先生指摘のように、いまこれは、半ば私どもの弁解になるかもしれませんけれども、先般来御質疑の中で申し上げましたように、北海道港湾の貨物量も年々増加してまいっております。それからなお入ってくる船の形も大きくなってくるということで、当初つくられたときにあった港が間に合わなくなってきて拡張しなければならないという事態がございます。花咲港につきましても、これは戦後異常な、これは漁船が非常に多うございますけれども、膨張ぶりでございまして、私もかすかに覚えておりますけれども、おそらく二十六年当初にありました花咲港の防波堤で囲まれた水域の現在おそらく五倍以上になっておるのじゃないかと存じております。それから水深も三メーターくらいのものが、いま五メーターか六メーターになっておるという状態でございまして、完全になっておるかという御指摘に対しましては、はなはだ申しわけない次第でございますけれども、そういうふうに広がったものに対して、むしろ追われておるという港もございます。そういうものにつきましては、極力、防波堤その他を早く完備いたしまして、そういうことのないように、災害の起こらないようにというふうに心がけてまいりたい所存でございますが、ただ御指摘のように、工事途中でまだ十分でないという点もございます。この点は早急に各港ごとに必要なものを整備してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 田代富士男

    田代富士男君 それから開発庁の第三期計画のお話がありまして、北海道を全国の模範のために地域開発するとおっしゃいましたが、内地のそれぞれの港は公害問題でいまたいへんです。そこで、あらためて公害問題をいまここでは取り上げませんけれども、そうした場合にまだ北海道の場合は比較的そういう公害というような問題では恵まれております、環境の問題では恵まれております。それが、こういう、いま局長からも話がありましたけれども港湾を拡大する港湾工事に伴いまして、こういう公害の発生防止といいますか、また環境、自然破壊防止につきまして、工事中にどのように施策を講じていらっしゃるのか、この点は内地の二の舞いをしちゃならぬと思うわけですが、これに対する工事中の施策はどういうことで進めていらっしゃるのか、その点、ちょっと聞かせていただけませんでしょうか。
  210. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 工事を行ないます場合のやり方は、特別、北海道であるからといって変わったこと、たとえば環境保全だけ特別にやるといったようなものは特にはございませんけれども一般的に申しまして、すでにでき上がった港につきまして、御指摘のように、大阪湾であるとか、東京湾であるとかいうふうにかなりよごれてございます。今後はよごれないように港をつくらなければいかぬということは御指摘のとおりでございます。ただ非常に悲しいことに、川なりあるいは都市の廃棄物が出てくるのは港湾でございまして、むしろ港湾がそういうよごれたものの受け皿になっているという実態がひとつございます。この点は、上のほうでよごれたものを出さないようにしていただくということをまず各方面にお願いしているわけでございますけれども港湾自身から申しますと、むしろ自然環境を破壊しないようにやらなければいかぬ、港湾をつくったためにせっかくの景観をこわすということがあってはならないということで、環境庁が発足いたしましてから、私どもの大臣の諮問機関でございます港湾審議会の中に環境庁の次官にも加わっていただきまして、環境庁の立場からも港湾計画を御審議いただくというふうな制度をとっておりまして、御一緒に検討していただきまして計画をきめていきまして、それに合わせて工事を進めるというふうな段取りにしてございます。
  211. 田代富士男

    田代富士男君 次に、第四次港湾整備五カ年計画が三月の十七日閣議決定されまして、その資料を私、手元にいただいております。これは四十三年から四十七年までの第三次五カ年計画日本の経済成長によりまして着実に伸び、四十四年度におきまして目標年次四十七年度の貨物量の予想を上回るような実積を示したわけなんです。特に四十五年度には十九億三千四百万トンですね、これは四十七年度の予想が十五億三千万トンですから、はるかにこれをこえた、こういう実績が出たために今回のこういうような第四次五カ年計画に拡大発展になったと理解しております。この下に図表もついているのを私見ましたけれども、これは今後コンテナ輸送の本格化、フェリー輸送の増加、船舶の大型化、こういうところから考えられたことだと思います。特に著しいのはこのカーフェリーの貨物じゃないかと思うのですね。昭和四十年度では大体九%ぐらいだったと思いますが、その比率が四十四年度では二九%ぐらいに伸びている。こういうことで、この対応策として、いま二兆一千億という第五次港湾整備五カ年計画が発表されたわけなんですが、これで私はいろいろ考えましたが、四十三年度の当初におきましてもこれはいろいろ検討されたと思いますが、たった三年そこそこで、三年たたずに、もう二、三年の問に当初の計画を変更しなくちゃならないような予算面の狂いといいますか、こういうことが生じたわけですね。そうしますと、今回また——こういうことはやってみなくちゃわからぬといえばそれで尽きますけれども、またいま立てているけれども、これは変更せざるを得ないようになるんじゃなかろうか、私はそういうふうにも一たんは思うわけなんですが、当初と予定が違ったような、そういう結果が出てきたことに対して、そのようになったおもなものは何であるか、それを踏まえないことには、今度の第四次港湾整備五カ年計画、これを達成せしめることにならないと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  212. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいま先生指摘のように、過去五年間たりてから改定というのじゃなくて、五カ年計画を途中で改定してまいりまして、現在第四次の五カ年計画になっていることは事実でございます。これは御指摘のように、一番大きな原因は、五年先の港湾取り扱い貨物量を応推定いたしまして、港の規模を考えて、それに必要な投資額を考えるというのが一応基本的な手法でございますけれども、そのためには国の経済計画、そういうものがベースになって貨物量を推定いたすわけでございます。第三次計画の当初に推定したものは、ただいま御指摘のように、すでに二年前にスケールアウトしてしまったという実態がございます。これは経済成長が予想以上に早かったという点もございます。  もう一つ指摘がございましたように、けさほどからもお話がございますように、コンテナであるとか、カーフェリーであるとか、変わった新しい輸送形態が出てまいって、特にカーフェリーにつきましては、ちょっと蛇足かもしれませんけれども港湾で申しますと、カーフェリーのトン数と申しますのは、カーフェリーに入っておるトラックが積んでおる貨物の量ではございませんので、港湾の場合を考えますと、トラックなり乗用車なり車そのものが貨物でございます。それを対象にしないと車の置き場にも困るということで、港湾計画の場合には、カーフェリーが積んでくる車全体を貨物というように見ざるを得ないのが実態でございますので、御指摘のように、カーフェリーの量が非常に大きい、これが大きな貨物の狂いを生じた原因かと思いますが、経済予測が変わったということと、やはり運んでくる品物が変わってきたという点が大きな原因かと思います。
  213. 田代富士男

    田代富士男君 いま一言で言うならば経済成長が予想以上に上回った、その内容についてはコンテナとかカーフェリーであると申されて、今回の計画が立ったわけですが、これで内容がここに載っておりますが、港湾整備事業に一兆五千五百億円、災害関連事業あるいは地方単独事業が二千四百億円、港湾機能施設整備事業が二千百億円、予備費一千億円、合計二兆一千億円。この港湾整備事業費の一兆五千五百億円の中に、それぞれ八項目に分かれまして、それぞれの投資規模が出されておりますが、これを第三次と第四次と対比した場合に、いろいろいま申されたことを勘案されたと思いますが、第三次の場合には、まず一つは、予備費が組んでなかったのが今回は予備費が一千億ほど組んでございます。それからこの第三次五カ年計画と第四次五カ年計画との伸びを調べてみますと、たとえば公害防止事業の推進が四・六六四でこれがいままであまりやってなかったといえばそうですけれども、このように配慮されている。それにつれて外国貿易港湾整備国内流通港湾、それから港湾調査の実施あるいは調整項目等は、全体から見るならばふえておりますけれども、こういう公害防止事業の推進等から比べるならばあまりふえていないんじゃないかと思うわけです。そう思いまして、この第四次の場合に予備費を一千億も組まれたその背景ですが、いま申し上げましたようなことをどのようにお考えであるのかお聞かせ願いたいと思います。
  214. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 今度の第四次の五カ年計画と三次の五カ年計画につきましては、ただいま先生指摘のとおりに、金額は別といたしまして伸び率と申しますか、ウエートの置き方は、公害防止であるとかあるいは航路等の整備という点の伸び率のほうがはるかに高いというふうに私どもウェートを置いて考える次第でございます。したがいまして、この予備費というものにつきまして御指摘ございましたように、初めてこれは設けられた制度でございます。先般来申し上げておりますように、一兆五千五百億の中に千六百五十億円の調整項目がございまして、いろいろな諸要請に対する各港の事業を実施する場合の不足額は、調整項目を、これは運輸大臣がくずして整備に充てるということにしてございます。なおかつ、それでも足らない場合に予備費を使っていくということで、二段がまえの実はプールをつくっておるというふうに御理解いただきまして、必要においてまず調整項目をくずしていく、それ以外に必要ならば予備費をさいていくというふうに御理解願いたいと思います。
  215. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長からお話がありました港湾整備事業の調整項目を、これは大臣の権限において一千六百五十億、どんなでも——どんなでもと言えば誤解を招くかもわかりませんけれども、効果的に生かしていくことができるのと、予備費一千億が組まれておりますが、これは実際仕事をやってみなくては大臣はどうとも言えないと思いますけれども、大臣の腹がまえとして、おもにどういうものに取り組んでいきたいという御決意であるのか、ひとつ運輸大臣、お尋ねしたいと思います。
  216. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 御承知のとおり、先ほどから御指摘をいただきました社会構造の変革または経済事情、非常にこのごろ変化をいたしております。一応の計画をつくりましても、それに応じましていろいろまた新しい需要が非常にふえてくるであろうと思います。その需要に敏速に対処することができるように予備費を、調整費をつくった次第でございます。それによりまして、そういったような事情、また一番問題になっております公害、それらの、これは先ほども御質問ございましたが、四倍から伸びているといいますけれども、まあ前のときはほとんど公害対策費というものは非常に少なかったというようなところも勘案いたしまして、それらはやはり時代要請に応じましてぜひとも効率的に配分しなきゃならぬ、こう思っておる次第であります。
  217. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま公害防止事業の推進が、数字の上では四・六六四に伸びていると申し上げました。金額の点につきましてはまだまだでございますが、それでいま大臣が公害防止事業の推進のほうに使っていきたい、このような前向きの御答弁もいただきましたが、局長といたしまして具体的に公害防止事業をどのように進めていこうとお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  218. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 公害防止事業ということでございますけれども、個々の内容は別といたしまして、方向といたしましては二つあるんじゃないかと思います。一つは、汚濁防止施設をやるとか、それから先ほど申し上げましたように、港湾内の堆積土砂、堆積汚泥でございますが、そういうものを除去するというふうによごれを防ぐとか、あるいはきれいにするという方向一つ。それから、もう一つは、環境の調和と申しますか、保全と申しますか、そういう施策が要るんじゃないかというふうに考えるのでございまして、これは公害防止対策事業、環境との調和云々の問題につきましては、項目としては公害防止事業じゃなくて、各港の整備要請ごとに出てまいることでございますけれども、そういう点もやはり考慮して進めてまいりたいというふうに思います。
  219. 田代富士男

    田代富士男君 第四次五カ年計画によりましていろいろ整備が整っていくと思いますが、いま港湾問題で一番大きな問題になっているのは、貨物が増量をしたために各港におきまして慢性的な滞船現象が起きている。これに対してまず最初どのようにお考えであるのか、大臣からお尋ねしたいと思うのですが。
  220. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 滞船現象に対しましては、やはりバースの不足とかいろいろな問題ございます。それらの点につきましては、できるだけやはり整備をしてまいりまして、そして、それらの解消につとめていくつもりでございます。こう思っておる次第でございまして、今回の五カ年計画もその点を相当勘案いたしまして織り込んでいると存じている次第でございます。
  221. 田代富士男

    田代富士男君 この滞船の問題でございますけれども、これはほんとうに根本的に解決しなくてはならないんじゃないかと思うのですね。だから、この滞船の問題に対しまして私がいまお聞きしたかったのは、五カ年計画ではどのように取り組んでいかれるかということをお尋ねしたかったのですが、大臣の答弁は、まあそのとおりの答弁でけっこうでございますが、その五カ年計画の中で滞船問題はどう取り組んでいらっしゃるのか、局長からでもけっこうでございます。
  222. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 私のほう、ちょっと専門的な用語になります、バース整備水準ということばを使っております。これはどういうことかと申しますと、一番バースでどれくらい貨物を扱うかというふうなことを考えるわけでございますが、ただ非常に港湾の貨物の中身が複雑でございまして、石油もあれば鉄鉱石もある、あるいは雑貨類もございますし、特に外国貿易と国内貿易では違う、そういう点いろいろございますが、私どもいろいろの資料を整理いたしまして、これを公共埠頭の大型船の岩壁に換算して、大体どの程度揚げるかというふうなことで進めてまいっているわけでございます。現在の二兆一千億の投資額によりまして、現在逆に大型船のバースを逆算いたしますと、一メーター当たり何バース扱うかということになりますが、一千七十トンを目標にしてやっているわけでございます。ただ、滞船現象につきましてもいろいろな港によって違うわけでございます。特に滞船現象が大きく出てまいりますのは、いわゆる六大港と申しますか、大港湾でございます。したがいまして、大港湾に対しましてバースの不足を極力補う意味で岸壁をたくさんつくっていくという方向整備を進めていくというふうに考えております。
  223. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、私はこの滞船問題は港湾問題の言うならば——日本経済が二重構造になっていると世界からいわれておりますが、港湾の滞船問題は港湾問題の二重構造じゃないかと、私はこのように考えているわけなんです。まあ、これいただいた資料から考えましても、昭和四十年度で滞船率は一一・五%ですね。そうして一隻当たり平均滞船時間が二十三・六時間、一日滞船している。これが四十年です。それから四十一年になりますと、時間が三十五・一時間、四十二年は四十五・七時間、そうして四十五年におきましては三十九・八時間、このような滞船時間が出ているわけなんです、数字の上に。これはいまお話しになりましたように、この滞船の問題は引き合いに出されるのがおもに商業港です。いまお話しのとおりです。これは専用船を対象とする工業港やコンテナ船を対象とするような外貿埠頭ではないことは御承知のとおりだと思うのです。ここに問題があると思うのです、私は。そこで、専用船やあるいはコンテナ船だけが日本の貿易に貢献するものでなくして、いま申すような、このような船こそが日本の貿易にも寄与しているわけなんです。これは日本の中小企業のおくれがある。日本の経済発展の足を引っぱっているのと同じように、この問題が解決しない限りには、港湾の二重構造といいますか、これは大事な問題じゃないかと思うのです。こういう点につきまして、港湾の二重構造をこの第四次の計画で、いま局長申されましたけれども、これを大臣、どのようにして解決しようと御決意であるか、お聞かせを願いたいと思います。
  224. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 先ほど私が御答弁申しましたし、また局長からも御答弁を申し上げましたとおり、今回の港湾整備計画の改定も、いま御指摘がございました滞船の緩和ということがやっぱり一番大きなねらいの一つであると考えておる次第でございます。御承知のとおり海上輸送、ことに貨物におきましてはますますふえる傾向にございます。いまのままで港湾整備を行なっておりましたならば、ますます、いま御指摘にございましたような滞船時間が非常にふえてまいるというような憂うべき状態になる次第でございまして、今回もやはり商業港と申しますか、そういった方面におけるところの整備も十分ひとつこれを重点的に考えるということが、今回の改定の一つの大きなねらいである、こう考えておる次第でございます。
  225. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま滞船時間を申し上げましたが、滞船をいたしますと、それぞれ滞船料が要りますが、私の調べた範囲内では、ただいま申しました昭和四十年度でまあ一一・五%、二十三・六時間、これで概略二十一億ぐらいの滞船料となるわけなんです。これが四十一年は三十億をこえております。そして四十四年、四十五年になりますと、四十六億、五十億という、こういうような滞船料が数字の上に出てきているわけなんです。そういたしますと、このような滞船が出たということは、それはいろいろな理由があるでしょう、理由もありますけれども、根本的な問題は港湾能力の不足にあると言ってしかるべきじゃないかと思うわけなんです。そのために四十億も五十億も滞船料を支払わなくちゃならない。そうしますと、滞船料の運賃へのはね返りといいますか、私はこれをおそれるわけなんです。いま申しますとおりに、四十年だけでも一丁五%、二十四時間で二十何億からの金が運賃にはね返る。そうしますと、運賃にはね返ってきますと、商品原価に対しましてそのはね返りがくる。そういたしますと、商品の原価にそのはね返りがくると同時に——滞船する時間、これは平均の時間です。もう長いのになりますと一週間あるいは半月というのも、まあざらと言えば語弊がありますけれども、そういうものがある。そういたしますと、この商品の輸送待ち、そういうことから資金の渋滞と申しますか、資金繰りがうまくいかない、そういうようなことで、まあ荷主自身、あるいはそういう面に対する影響といいますか、損失というものが滞船するだけで起きてくるだけでも影響は非常に大きいと思います。国民経済に与える影響というものは、これはばかにできないんじゃないかと思うんです。そういう意味から、この港湾の二重構造とも言うべき滞船問題を考えなくちゃならないんですけれども、物価にはね返っていく、これに対して大臣、どうお考えになりますか。
  226. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) まあ、まことに残念でございますが、私はそのとおりだと思います。要するに、いままでに交通社会資本の投下、充実ということがやっぱりおくれていたことが一つの原因である。今回御協力を得まして二兆に余る五カ年計画を策定した次第でございますが、これもやはり財政規模の拡大がようやくここまでさしてきたと、これで私はまだ満足できるものじゃないと、こういうふうに思っておる次第でございます。せっかくこの与えられました予算を有効に使いまして、そうして、いま御指摘になりましたような点の緩和に極力つとめてまいりたい、諸物価の安定その他の点につきましても十分ひとつ効果的に執行してまいりたい、こう思っておる次第であります。
  227. 田代富士男

    田代富士男君 だから、これは港湾荷役をやっている人たちの原則になっていると思いますが、船舶がバース待ちをすべきではないのです。バースが船舶待ちをすべきであるということが、これは港湾関係者の原則になっているんですが、これが現在はこのとおりになっていないわけなんです。私が何回も指摘するとおりに、公共施設であるわけなんです、これは。公共施設であるべき港湾の社会資本投入というものがあまりにもいままで低かった。いま大臣が、財政規模の拡大が満足すべきところまできていないけれども、今後はやっていきたいという前向きのお話もございましたけれども、そのために、まあ大手はよろしいのですけれども、小さな民間業者だとか、そういう海運事業に携わっている海運産業の人々、あるいは荷主産業と申しますか、そういう人々に対する影響というものはあまりにも大きいわけなんです。だから、こういう点から考えますと、そのような広い国民経済の見地からこれを完全に掌握をしていただきまして、補償と言えば語弊があるかわりませんけれども、そういう面から港湾施設に対しましては力を入れるべきじゃないかと思いますが、もう大臣が御出発になる時間が参っておりますから、もう一度お尋ねしておきますけれども、どうでございましょうか。
  228. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま田代先生から御指摘になりましたとおりでございます。私もそれを痛感をしておる次第でございまして、できる限りの英知をしぼりまして、与えられた財源で、その方面の充実をはかってまいりたい、また機会がございますればその拡充もはかってまいりたい、社会資本の充実のためには御協力をいただきましてますます前向きで進んでまいりたい、こう思っておる次第であります。
  229. 田代富士男

    田代富士男君 それでは、次にお尋ねしたいことは、港湾の問題に一番かかわりのある問題は労働問題じゃないかと思います。そこで、この港湾の労働問題につきまして特に私が幅広い中から取り上げたいことは、労働災害の防止あるいは労災補償の拡充、それと労働時間の短縮、福利厚生の問題、これに対してどのようにまず取り組んでいらっしゃるのか、概略を御説明を願いたいと思います。お願いいたします。これは労働省と局長と両方からお聞きいたしましょう、どうぞ。
  230. 田中光次

    説明員(田中光次君) 港湾労働の問題につきましては、所管としましては、労働行政は現在、労働省でありますが、私ども事業関係行政をやっているわけでございますけれども、午前中にも申し上げましたように、港湾運送事業というのは港湾労働に非常に依存する産業でございます。したがいまして、港湾労働の問題が適切に処理されないということは、言いかえれば港湾運送事業の成否にかかわる、そういう観点から労働省ともよく相談いたしまして、できるだけのお伝いをしておるということでございます。たとえば一例をあげますと、港湾運送料金は現在、運輸大臣の認可制になっておりますけれども、その中に特に、トン当たり二円という労働者の福利厚生用の施設の分担金を料金の原価に入れまして、これは強制的に日本港湾福利厚生協会というところに拠出させまして、それを福利厚生施設整備充実に回しておる、そういうようなことをやっておるわけでございます。
  231. 田代富士男

    田代富士男君 もうちょっと詳しく聞きたかったんですが、私、具体的にお尋ねしていきたいと思いますが、港湾荷役作業における労働災害の問題でございますが、港湾荷役というのは非常に範囲が広いと思うんですね。これはもう私が言うまでもなく、皆さん御承知のとおり、船内の荷役、あるいははしけの運送、沿岸荷役、いかだ運送、あるいは検数、鑑定、検量、それぞれのいろんな業態を含んでいるわけですが、この労働災害が一番起こりやすいのは、いま申し上げたような中でも船内荷役と、それから沿岸荷役がその大部分じゃないかと思うんですね。この港湾荷役業の労働災害が一番高い率が出ております。港湾荷役業と他産業との労働災害の発生状況の比較を私調べてみましたら、これは千人率でいきますと、昭和四十五年の発生では、全産業中、工業に次ぎまして第二位の高い災害率を示しているんですね。千人率でいきますと、全産業が平均で一一・九人、こうなっておりますが、第一番の工業が一三三・二人、陸上貨物が三二・九人、建設業が二八・七、製造業が一二、これで港湾荷役業が九四・一人という、このように全産業中、工業に次ぎまして、要するに高い率を出しておるわけです。一年間に一〇%近くの労働者が事故によって死亡したり負傷したりしているわけなんです。これに対して監督官庁は労働省やあるいは港湾局だと、いろいろあるでしょうけれども、これだけ高い災害率が出ているわけなんですが、これに対してどのように取り組んでいらっしゃるのか、その点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  232. 中西正雄

    説明員(中西正雄君) 港湾労働における労働災害の発生の状況につきましては、先生指摘のとおりでございまして、はなはだ残念ながら他産業に比べて非常に高い発生率を示しております。そこで、労働省といたしましては、このような災害の状況にかんがみまして、かねてから港湾荷役業を労働災害防止計画の中で最重点業種としてとらえまして、監督指導を強力に実施しておるところでございます。その対策の重点としましては、まず特に作業の性質上、分散された場所でグループが作業という実態がございますので、そのグループの監督者、作業の指揮者に対する安全教育の徹底を、まず最も大きな対策としてその徹底をはかっているところでございます。  それから次は、作業開始前の作業員の安全教育でございます。港湾荷役作業は、毎日のように作業の内容が変わりますので、その作業の係に作業開始前に十分その日の作業を打ち合わせる、また安全教育をするということは非常に重要でございますので、この点に力点を置いているわけでございます。  それから荷役設備等も非常に災害発生に関連がございますので、それらの設備の点検を重点としてやっております。それと、次は安全作業標示の励行でございます。作業が毎日変わりますので、比較的安全作業標示をきめることは困難ではございますけれども、できるだけ安全な作業のやり方をきめまして、これを安全教育を通じ、作業員に徹底する、その励行をはかることを重点といたしております。  また、もう一つは、危険有害物による事故がかなりにのぼっておりますので、この危険あるいは有害物の取り扱いに十分注意する、そういう面の災害防止も重点を置いているところでございます。特に港湾荷役作業のうちでも、船内荷役作業における死亡災害が非常に多いのでございまして、港湾労働災害の死亡災害のうち六五%あるいは少ないときで四五%が船内荷役作業で起こっております。特にその船内荷役作業における死亡災害の防止をねらいまして、実は先般、労働安全衛生規則の改正をいたしまして、船内荷役作業主任者の資格制度を新たに定めまして、作業主任者の現場の作業管理能力を高めることについて、作業能力を飛躍的に高めることといたしているところでございます。  今後、以上のような対策をさらに強力に推進しまして、港湾荷役作業についての災害防止につとめてまいりたいと存じております。
  233. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明いただきましたが、その中でお話しになりましたとおりに、死亡災害が非常に多い。特に船内荷役の場合が六五%から四五%だといういまお話がありましたが、私もその問題をこれは放置するわけにいかないと思うんです。だから、港湾荷役業における労働災害件数を私なりに調べてみましたら、全死傷件数ですね、死亡及び休暇が八日以上の人ですが、昭和四十年から四十五年までの六年間の推移をとってみますと、これは昭和四十二年をピークにいたしましてだんだん下がってきておるということです。一面よい傾向が見られます。しかし、これはよい傾向が見られると喜んではならぬと思うんですね。なぜかといえば、全産業におきます十年間の千人率の推移をみるときに、十年前と比べて十年後ではどうであるか、これを調べてみました。そうしますと、港湾荷役業では十年前は一四三・九、十年後は九四・一という、こういう数字が出ておる。三分の二に減少しているわけです。ところが他の産業を調べてみますと、建設業、この建設業というのは労働災害の親だまのようにいわれている建設業です。一番災害が多いんです。この建設業が十年前は六〇・三です。十年後は二八・七、二分の一弱の災害率に下がっているんです。それで、いま申すとおりに、四十年から四十五年までの六年間の推移で、昭和四十二年をピークに年々減少しているというけれども、いま申しましたように、労働災害の親だまといわれました建設業に比べるならば、はなはだまだ高い率であるということが言えるわけなんです。それで、この港湾荷役業よりも低い産業は何かといえば林業だけです。山林の林業だけです。このように考えてみますと、全死傷件数は四十二年をピークに下がっているといっても、これは喜ぶというわけにはいかぬ。これよりも大事なことは、いま申されたとおりに死亡災害発生件数です。死亡災害発生件数は昭和四十年から四十五年までの六年間の推移を見てみますと、全体の傾向として、だんだんとこれは増加の傾向を来たしております。いま申されたとおりに死亡災害が多い、これが増加を見てきている。これはこのまま放置するわけにはいぬのです。これに対し、労働省としてもこれは取り組んでいかれますけれども、実際仕事をするのは港湾当局であるわけなんです。これに対しましては、所轄が違うとか、そういうわけにはいかぬと思いますが、これは労働省の立場あるいは運輸省の立場として——私はもっと詳しくデータを出すべきですけれども、そういうむだな時間をとるのはあれですから、簡単にこれだけ言えば大体の傾向がわかりますから、どのように取り組んでいくべきか、この点についてお答え願いたいと思います。
  234. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 確かに先生指摘のように、港湾の労働災害の特に死亡率が非常に高いということは御指摘のとおりでございます。で、私ども港湾局といたしましての立場から考えますと、まず港湾の荷役の作業の安全化ということが一つあろうかと思います。たとえばコンテナとかいうものを考えてみました場合にも、船内作業が非常に節約される。一面、労働問題はございますけれども、災害防止には役立つ。それからバラ荷輸送につきましては、たとえば米穀とか飼料とかというようなものは、サイロを使ってやれば真空状態で吸い上げられる、あるいは大型のクレーンを使う。そういうふうに極力人力に依存する部面を減らしまして、機械化するということも一つの方法だろうと思います。  それからなお、港湾運送業者に対しましても、先ほど労働省から話がございましたけれども、運送業者が労働者に職を与える場合にも、労働環境を十分よくするということも大切だろうと思います。せっかくそういう方向港湾の業者の方々とも相談しながら、あるいは港湾管理者とも相談しながら、先生指摘のような点は、港湾局の立場で解消できるものは極力進めてまいりたいというふうに考えております。
  235. 中西正雄

    説明員(中西正雄君) 労働省では、この国会に労働安全衛生法案を提出しております。これは最近の産業技術の進歩なり、あるいは雇用事情の変化に十分対応できる、即応する災害防止対策を進めるということが目的でありまして、特に港湾労働関係の災害防止に関連しまして、新しい法律で定めようとしている点の一、二を申し上げてみたいと思います。  一つは、技術指針の設定ということがございます。どうも労働災害防止につきましては、ただ単に規則で強制する取り締まりということだけでは、災害が完全に十分に防げないという面がございます。特に港湾労働のように作業のやり方等に非常に問題があって、作業のやり方が悪いために災害が起こるという場合が多いわけでございますが、こういう場合に作業のやり方そのものを規則できめるということは困難でございます。そういうものについては、技術指針といいますか、推奨基準といいますか、そういった具体的な作業のやり方等についても標準的なものをきめて、これを公表して守っていただくというような新しい制度を法律に導入いたしております。  それから教育の面では飛躍的に拡充をはかっております。現行の労働基準法では、労働者を雇い入れたときだけに使用者に教育義務を課しておりますけれども、これでは不十分でございまして、作業を変更した場合はもちろんでございますが、特に先ほども触れました現場監督者の作業管理能力を高める、現場管理能力を高めるということが災害防止上非常に重要でございますので、現場監督者の安全教育につきましても、これを新しい法律では義務づけたいというふうに考えております。  それからいろいろ対策はございますけれども、基本的にはやはり企業経営者の安全に対する正しい理解と、それから経営者側が卒先して災害防止活動を行なうということが非常に重要でございます。その点に関しましては、法案では事業者の責任を明確にうたうということにいたしているわけでございます。この新しい法律の成立に期待するところが非常に多いわけでございまして、今後いま申し上げたような方向で   〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕 港湾労働災害の防止をはかってまいりたいと考えておるわけであります。
  236. 田代富士男

    田代富士男君 いま港湾荷役業における災害発生状況についてお尋ねいたしましたが、きょうは労働基準局から提出していただきました資料を私持っております。やはり事故数の多い港と少ない港があり、これは貨物量にもよりますが、事故数の多いところは——この資料は県単位に出ております。私は港単位にということをお願いしたんですが、それはちょっと無理だということで県単位になっております。昭和四十五年度の資料でございますが、北海道が死亡者が五、合計死傷者が三百九十三、東京が死亡が十三、死傷者が七百八十四、神奈川が死亡二十、死傷者二千九十八、愛知が死亡十、死傷者千三五十五、大阪が死亡二十六、死傷合計千二百五十、兵庫が死亡二十四、死傷二千三十九、福岡が死亡九、死傷六百四十五。各県ありますけれども、いま申し上げたような県が非常に高いわけなんです。  それで、私も港湾の実際荷役に関係している人たちの意見を聞いてみました。どうしてこういう事故が起きるのだ。端的な意見としては、さまざまな意見がありますけれども、それを大体要約しますと——私が申し上げることが決定版というわけではありませんよ。一つの労務者の声として聞いていただきたい。一つは、いまもお話が出ておりましたとおりに、仕事量の変動が日によりましてあまりにも多い。だから、多いときには非常に多い、少ないときにはガタンと少ない。そういうわけで労働力を、多いときには日雇い労働に依存する率が非常に高い。港湾労働の場合は、こういうところから、いま労働力の質の向上についていろいろ申されたけれども、労働力の質の向上をはかることが非常に困難なんです。こういう声が出てまいっております。  これに付随した問題ですけれども、   〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕 これは海運と直接関係はありませんが、各商社にもこれは伝えてもらいたいと言われたことは、月末決済になった場合には、荷物というものが毎月二十日から三十日あるいは三十一日の月末にかたまってしまいます。この弊害を何とか除かない限りは、この港湾災害を防ぐことはできません。やはり月初めから順調にやってくれるならば労働力の問題も一応計画も立つでしょうけれども、二十日から月末にしわ寄せがくるということは、これは何としても解決してもらわなければならない、こういう意見がありました。それから、次には、クレーンだとか、そういう荷役のための主要な設備はほとんど船舶側あるいは港湾管理者の所有にかかわるものである、そういうことで作業環境も船舶や埠頭、すべてきわめて悪い条件のもとで作業を要求される場合がある、この問題も解決してもらいたいと、こういう声がありました。  それから、いまさっきにもちょっと話が出ておりましたが、荷物の種類です。荷姿といいますか、荷物の姿というものが船によって千差万別である。毎日荷物の内容等が変わるから、作業前に一応の指導徹底をはかるというような意味の御答弁がありましたけれども、千差万別であるし、作業の標準化、機械化が困難であると、こういうような声もありました。また、今度は、いまも話が出ました危険物とか有毒物資の危険性を事前に掌握して対処することが困難である。一応そういうことは注意するようにという規定は設けられているけれども、いま申すとおりに、二十日から三十一日の間に荷役作業が重なった場合には、もうたいへんな状態で、こういう場合が住々にして抜ける場合がある、これを何とかしてもらいたいという、これは実際の労務者の声であります。また、これは本人たちの希望として言っていたことは、経営者の安全に対する熱意というものが、口では言うけれども不足をしていると、こういう意見がございます。  それから、いま労働省の当局からは御答弁がありましたけれども、実際の労務者の声は、船主側や港湾管理者の荷役業の安全対策に対する理解が不足している、そういうわけで、経営者の安全に対する熱意の不足をさらに助長している状態であると、こういうような希望がありました。そして、いまもお話が出ました、作業の安全化のために機械化をはかるということが言われますが、港湾近代化に伴い機械化がはかられていくわけなんですが、この場合労働者の技術がそれに伴っていかない。機械化機械化といいながら、労働者の技術が伴っていかない。また、これに対する教育、訓練というものが組織的に行なわれていないんです。こういう意見を切実に——港湾労働者として誇りを持っている人々です、縁の下の力となっている人から声が出ましたけれども、こういう声を聞いて一応港湾当局として、あるいは労働省の監督官庁として、今後、いまもいろいろ聞きましたけれども、どのように対処していくべきか、御答弁をお願いしたいと思います。
  237. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) ただいま先生からいろいろと御指摘がございまして、一々私どもにも思い当たる筋がございます。ただ、これは先ほどの滞船ともからみますが、第一番におっしゃいました月末、月初の集中の問題、これはもう港湾のほうでもやはり悩みの種でございまして、特に定期船であるとか、コンテナ船というふうな比較的定期性のあるものはまだいいわけでございますけれども、いわゆる不定期船になりますと、非常に月末、月初に集中するという傾向が強うございます。何とかこの集中化を直そうということで関係各省、あるいは現地でいろいろと相談して改善策を講ずるわけでございますけれども、いまだに完全にはこれが解消していないというのが実情でございます。私どもといたしましては、むしろ先生指摘のように、商社なり荷主なり、あるいは船会社なり、あるいは立場を変れえば税関の検査の方々なんというふうな関係の方と十分相談いたしまして、いままでやってきても実効がありませんけれども、なお一そうの努力をいたしたいというふうに存ずる次第でございます。この変動が多いために、先ほども指摘がありましたような滞船状態というものが起こってくるわけでございますので、何とかならしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから作業環境は先ほどちょっと触れましたけれども、いろいろのケースがあろうと思いますけれども、やはり極力、港湾管理者なり、あるいは港運業者なりを指導いたしまして、環境の改善には十分意を尽くしたいというふうに考えておる次第でございます。 それから荷姿の変化の御指摘ございましたが、最近はだんだんコンテナ化であるとか、パレチゼーションというようなことでございまして、比較的荷姿がそろってまいったわけでございますけれども、特殊な鋼材とかなんとかいいますと変わってまいりますし、それもなるべくならばまとめて整理してまいりたい。  それからもう一つは、さっき言い落としましたけれども、いわゆる物資別の専門埠頭と申しますか、同じような荷物だけ集めて荷さばきをするという埠頭を考えていけば、そういう大きな荷姿の変動もなかろうというふうなことも考える次第でございます。  その他いろいろと経営者の熱意の問題、あるいは船主なり管理者の態度の問題も御指摘ございましたけれども、少なくとも、特に問題がありますのは六大港だろうと思いますけれども、そういうところの管理者なりあるいは港湾運送業者なんというものに対しましては私ども常々お願いをしてございますし、こういう災害防止ということは一生懸命やってくれておるはずでございますが、なお一そう努力するようにお願いしたいと思っております。  それから最後に、訓練施設につきましては、たしか現在横浜、名古屋で行なわれておると思いますが、それからさらに、これは労働省のほうでやっておられると思いますけれども神戸大阪が本年度中に訓練施設ができ上がるというふうに聞いております。これもまだ発足早々でございますので、労働省とも御相談しながら、内容等について充実さしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  238. 中西正雄

    説明員(中西正雄君) 港湾荷役作業において労働災害が多発する原因につきましては、先生おっしゃるとおりでございまして、私どもも常日ごろからその対策に腐心しておるところでございます。  まず第一に御指摘のありました、この仕事量が非常に変化して、仕事量の変化が大きくて日雇い労働者の依存度が高い、それが災害の原因になっておるという点でございますが、これにつきましては、かねてから日雇い労働者の常用化についていろいろつとめておるところでございます。しかし、何といいましても、そうはいいましても、日雇いの数はまだまだ相当の比率にのぼっておるわけでございまして、これらの日雇いの方たちに対する安全教育につきましては、やはり特別なくふうが必要だと考えておりまして、たとえばたまり場でビデオコーダーによって視覚から安全教育をするというようなことも実は計画をいたし、一部実施しておるところでございます。  それから第二の、この港湾設備あるいは港湾荷役関係設備等が、船舶側とかあるいは港湾管理者の所有である、所有管理下にあっていろいろ問題があるという点でございますが、この点は運輸省なりその他の関係機関とできるだけ連絡を密にしまして、問題のある個所につきましては改善をしていくように努力をいたしたいと考えております。  それから第三の、荷の種類なり荷姿等が千差万別で、いろいろ機械化なりあるいは作業標準化する上において困難性があるという点でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、困難性はありましても、できるだけ安全な作業のやり方を確立いたしまして、標準的なものを示して、それを教育によって徹底させていくように一そう努力したいと考えております。  それから第四に、危険物あるいは有害物についての事前の、その有害性なり危険性の把握が困難だという問題につきましては、実は現在国会に提出しております労働安全衛生法案の中には、特定の有害物につきましては必ず荷に内容物を表示し、取り扱い上の注意等についても具体的に明記するように定めることといたしているところでございます。  それから、港湾荷役作業が技術革新に伴って非常に変化してきている、それに十分作業者が対応できていないという問題につきましては、まことに御指摘のとおりであり、非常に災害防止上は問題でございまして、この点につきましては、特に作業者あるいはその作業を直接指揮する現場の監督者の教育について、組織的、系統的に教育を推進することといたしまして、実は昨年から三カ年計画でこれを実施しておりますし、また、これをさらに新法に基づきまして積極的に展開いたしたいと考えているところでございます。
  239. 田代富士男

    田代富士男君 大臣がいらっしゃらないですから、政務次官いらっしゃいますが、いまの総まとめのようなことになりますけれども、荷役作業の中で特に災害が発生して死亡率の高いのが木材荷役とそれからスクラップの荷役、それと、ただいま話が出ました危険物の荷役というのが統計上出ているんです。こういうものには特別な標準をつくりまして関係者に徹底をはかるということをいま言われましたけれども、これは一番死亡率が高いですから考えていかなくちゃならない。特に港湾の仕事というものは、この業界というものはいろいろなネックがあることは私も理解しておりますけれども、特にこれは日本だけの内規だけでもいかぬと思うんです。外国から危険物がきたときに表示してなかったらたいへんなことになるわけです。そういうわけで日本の国をはじめ関係者が組織的にこの安全性のために取り組むということが大事だし、また国際的にも、たとえて言うならば、木材だとか危険物だとか、こういうものの安全荷役に対しましては各国間におきまして改善をしていきまして、こういう人命尊重という立場からこれを守っていかなくてはならないと思うんですけれども政務次官のお考えいかがでございましょうか。
  240. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) 先ほど来たいへん貴重な資料のもとに、港湾に携わっている労働者の死亡率、事故率がきわめて高いという貴重な御意見を拝聴したわけでございますが、考えてみると、いま御指摘のたとえば木材とかあるいはスクラップとかいう重量のあるものの死亡率が特にその中で高いということは、言いかえれば、単純な肉体作業が大体主体じゃなかろうか、そのために事故が多いんじゃなかろうか、こんなふうに判断するわけでございますが、いずれにしろ、いろいろ問題があろうかと存じますが、先ほど労働省並びに港湾局長から答弁があったように、何といっても人命の尊重は何にもかえられない大切なことでございます。したがって、いま御指摘の点を十分理解いたしまして事故がないように、そして港湾荷役に携わっている人がプライドを持ってその職場に挺身できるように、そういう環境をつくるために監督官庁として全力を尽くす所存でございます。
  241. 田代富士男

    田代富士男君 それで、港を一つ一つを時間があれば問題点を取り上げていきたいと思いましたが、六大港の中でも比較的事故が多いのが大阪港です。そういうわけで大阪港の問題を私は取り上げようと思いましたが、時間が六時までという取りきめをされておりますから、その問題は後日に回しまして、大阪の外貿港湾施設整備につきまして少し当局に対してお尋ねしたいと思います。  北海道の問題も十分の九・五ということで論議されてまいりましたが、外貿港湾施設整備は、港湾法に定められました補助率は、法定限度額は、大阪港の場合は十分の十になっていると思うんです。ところが、いま申すとおりに、港湾事業というものは公共的なものであるから補助という意味ではないが力を入れるべきであるということを私はいまるる強調してきたわけでありまして、法定限度額が水域・外郭施設に対しては十分の十、ところが現行では十分の五ないし十分の六の補助率で、限度額よりも低くおかれておる。また、係留施設につきましては、私が申し上げるまでもなく法定限度額は十分の七・五になっておる。それが現行では十分の五ないし十分の六で補助率が限度額よりも低い。これと同じように臨港交通施設につきましても法定限度額は十分の七・五、これが現行では十分の五である。まあ、横浜神戸大阪港は、歴史的には、いろいろな観点から考えるならば、古さあるいは歴史的な実績といいますか、そういう面がありますが、現在ではもう横浜神戸大阪東京、名古屋というのはもうほとんど少しの違いはありましても同じくらいの考えでいくべきであると思うんです。そういうようなことから考えていきますと、私は法定限度額だけこれを実行すべきではないかと思うんです。かつて、衆議院の委員会におきましても、これは高いほうに持っていきたいのが港湾局長の立場である、そういうようなこともたびたび繰り返していらっしゃるにもかかわらず、このような法定限度額を割るような現行の援助であって、また事故が一番多い、この点をひとつ当局といたしましても何とか改善する考えはないのか、あくまでこの線でいくのか、その点ひとつお答え願いたいと思います。政務次官でも局長でも、どちらでもけっこうでございますが。
  242. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のように、これは港湾法制定以前の、戦前からの経緯がございまして、特定重要港につきまして、水域・外郭施設は十分の十まで、係留施設は十分の七・五までというふうに定められております。ただ下限が重要港湾は十分の五、これが明定されておりまして幅があるわけでございます。先生も御指摘のように従来からの経緯がございまして、たとえば並んでおります神戸大阪では国の負担率が違うというのは事実でございますが、なるべくそういうことのないように、これは管理者からも強い御要望が出ておりまして、私どもせっかく努力しておりますけれども、正直言いまして、やっと数年前に十分の五を十分の六にしたというふうなことでございまして、時間をかけて財政当局と折衝しておるのが実態でございます。ただ、御指摘のように、横浜神戸東京大阪というようなものに対して国の負担の割合に差があるという点は何とかして是正したいというふうに念願しておる次第でございます。ただ、財政当局のほうは低いほうにそろえようという傾向がございまして、いろいろと折衝いたしますと、いつもその壁にぶつかるというのが偽らざる実態でございまして、せっかく御指摘いただきましたように、諸先生の御支援をいただきまして管理者の希望する方向に努力してまいりたいというふうに思います。
  243. 田代富士男

    田代富士男君 まあ局長として言いにくいような御答弁で、最後の一言を私信頼申し上げます。努力していくと、努力がどこまで実が結ばれるかどうか、これはたぶん時間を要しますということになるんじゃないかと思いますけれども、いまさっき申し上げたようなことから、これ当然やるべきじゃないかと思うのです。特に大阪は、日中国交回復が正常化されますと、昔から日中国交回復の実績がある港ですから、非常にこれは完備しなくてはならないんじゃないかと、これも私はあえて希望でございますが申し上げたいと思いますが、それとあわせまして大阪港の、これも整備に関するあれですが、フェリー埠頭整備財源のうち管理者の融資に対する起債の許可の問題でございますが、起債が特に上屋建設にかかるものにつきましても、起債の償還年限というものが現行では十五年と一律にきめられているわけなんです。ところが、私が申すまでもございませんが、これは法律で耐用年数というものが鉄骨づくりで三十二年、これは法律できめられております。それから鉄筋つくりの場合は四十年になっている。ところが起債の償還年数と大きな差があるわけなんです。片方では十五年、片方では三十二年、四十年。このために港湾管理者の財政というものは大きな圧迫を受けているわけなんです。だから、少なくとも起債の償還年限を三十年程度に、これもまあ鉄骨づくりの場合三十二年と法律でもきまっているわけなんですから、これも認める必要があるんじゃなかろうかと、私はこのように、これも要望でございますけれども、私はお願いしたいと思います。これはいかがでございましょう。
  244. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のとおり、確かに上屋だけでなくていろんな港湾施設の耐用年数が法定限度よりも短いというのは事実でございまして、これもまた言いわけになるかと思いますけれども、毎年、自治省あるいは大蔵省、財政当局にいろいろとお願いしているわけでございますけれども、まあことしからは荷役機械あるいは埠頭用地、貯木場というようなものにつきまして十年がやっと十五年になった、並んだと、わずかながら進歩したというようなのが実情でございます。なお公営企業金融公庫につきましても七年を十年に延ばしていただいたというふうに、なかなか私どもも全く先生と同じ意見でございますけれども、一挙にいきませんので、逐次そういう方向に前進はしておるという点を御理解いただきたいと思います。
  245. 田代富士男

    田代富士男君 御理解を願いたいということでございますが、御理解できないから私があえて委員会でこの問題を取り上げておりますけれども、これもほんとうに前向きでひとつ取り組んでいただきたいことを私からお願いしておきたいと思いますが、それからもう御承知のとおりに、大阪の南港の複合ターミナルの早有実現のために大幅な国庫補助と起債を地元からお願いをしているわけなんですが、まあ本年度の予算でということをお願いしてきましたが、御承知のとおりに、南港の複合ターミナルは、海運、陸運、鉄道を含む総合的な一貫複合輸送ターミナルとして画期的なものをつくり上げていきたいと、総事業費約二百億、四カ年で建設の予定でございまして、四十七年度は二千五百万円の調査費だけが運輸省で計上されたわけなんです。これで私、事情を尋ねてみましたところが、調査費だけが計上されて実際取り上げられなかったのは国鉄一貫した総合事業計画の中に入っていないから大蔵省が認めてくれなかった、そういうような理由のもとにこれを認めてもらえなかったということを聞いたわけなんですけれども、いまこういう総合ターミナルは全国で三カ所でございますね。何とかこれをやろうという計画があるというようなことも聞いておりますけれども、これに対するひとつ運輸当局といたしましてどのようにお考えであるか、この際あわせてお尋ねしたいと思います。
  246. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 大阪の南港複合ターミナルにつきましては、いま先生のお話のとおりでございますが、いまお話ございましたように、この計画の具体化、実現のために、国鉄大阪市の問で、なお鉄道の経済性、効率性等について調整を要する問題がございます。現在その話し合いが進められておるわけでございますが、運輸省としましては、協同一貫輸送の推進ということから複合ターミナルを促進をいたしたいというふうに考えております。ただ、各地におきましてそれぞれいろいろな御事情もございますし、その実情にマッチした施策を講じていかなきゃいかぬ。それで、いまお話ありましたように、予算では二千五百万円の調査費がつけられておりますので、全国的に複合ターミナルの適地調査、あるいは貨物の流動調査等を本格的に本年度取組んで、国全体としてその複合ターミナル整備ということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  247. 田代富士男

    田代富士男君 いま積極的に取り組んでまいりたいというその決意のほどはよろしいのですが、いま申し上げましたとおり、総事業費が約二百億で、四十七年度の要望事業費がたぶん五十六億くらいだと思うのですけれども、これが認められなかったために、これだけでも一年間おくれるわけなんです、正直に申し上げまして。これで二千五百万円の調査費がついたじゃないかと言いましても、いま大阪港の実情からしますと、どうしても南港の総合ターミナルというものが早急に実現しなければならないわけなんですけれども、この調査をいたしましてと申されますけれども、見通しですね、来年度——来年度のこと、いまから何でございますけれども、来年度からこれは前向きに取り組んでいくことができるのかどうか、運輸当局として協力していただけるのかどうか、その辺ひとつお願いしたいと思います。次官から御答弁願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  248. 佐藤孝行

    政府委員佐藤孝行君) いずれも財政との関連ある問題でございますが、個人の家庭にしろ国にしろ、なかなか財政を担当しているのはさいふのひもがかとうございます。しかしながら、港湾の重要性、また、いまの大阪南港の問題はきわめて緊急を要する問題でございます。関連ある国鉄当局はじめ理事者側とも相談いたしまして、早急にその実現をはかりたい。また、そのために運輸省としては努力をする考えでございます。
  249. 田代富士男

    田代富士男君 それからまた同じことになりますけれども、公団公社による港湾整備についてでございますが、港湾管理者負担金に対しまして、これも何とか全額起債を認めてもらいたいという、こういう強い意向があるわけなんです。御承知のとおり、阪神外貿埠頭公団につきましては一〇%の港湾管理者出資、四十七年度が五億四千万円、大阪フェリー埠頭公社につきましては二〇%の港湾管理者無利子融資、四十七年度四億二千六百万円負担が必要になるわけなんですが、非常にそういう窮乏に悩んでいるために、管理者側におきまして、とうてい短期負担にたえない状態であるために起債を認めてもらいたい、これも要望として全額起債を認めてもらいたいということが出されたわけなんですが、これに対しましても、ひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
  250. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のように京浜、阪神外貿埠頭公団の出資金フェリー埠頭公社の無利子融資につきまして各管理者からいろいろと御希望がございます。で、自治省、大蔵省その他関係当局といろいろと御相談してまいっておる次第でございますけれども、外貿埠頭公団につきましては、ある程度まで前進してございますけれどもフェリー埠頭公社につきましては、いろんな問題がございますので、その問題を整理しながら、これは前向きというよりも積極的に進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  251. 田代富士男

    田代富士男君 大阪の問題はこれくらいにいたしまして、次に、沖繩返還に伴いまして、五月の十五日、日本に復帰することを決定しておりますけれども、この復帰に伴いまして那覇港の港湾整備計画あるいは沖繩の一般——沖繩全体の港湾が現在七十七港ですか、特定港が三つ、重要港湾が五つ、地方港湾が六十六、避難港が三カ所、合計現在掌握されているのが七十七港、港湾があるんじゃないかと思いますが、これの返還に伴いまして、那覇港の管理が琉球政府より那覇市に移管されることになるんじゃないかと思います。そういたしますと、港湾の一元化につきまして、いまいろいろ準備が進められられていると思いますが、ことしの二月でございますか、当地より調査委託の要請があったと思います。その調査事項はいろいろありましたが、大綱八項目になっていると思いますが、一つが那覇港機能別利用計画について、二つ目が港湾施設の配置、機能施設ですね。それから三番目に、臨海地区、港湾隣接地区、分区の指定とか、四番目に、港湾の管理運営、五番目に、管理行政機能、六番目に、港湾施設の使用料、七番目に、廃油処理八番目には、その他関係のあるものとなっておりますけれども、これを受けられまして、現在どの程度まで、五月十五日の復帰を前に、もうこれはでき上がっておらなくちゃならないはずだと思いますけれども、この調査事項に対しまして、どのように取り組まれ、今後どのように沖繩復帰に伴いまして対処しておいきになるのか、この点ちょっといま代表的なものを、八項目と言いましたが、七項目を申し上げましたわけですが、お願いいたします。
  252. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 実はこの点につきましては那覇市から、私どもでございませんで、社団法人の日本港湾協会に委託があったように聞いております。すでに港湾協会からは那覇市に対して報告書が出たというふうに聞いてございます。ただ、申しわけございませんが、私まだこの報告書を手に入れておりませんので存じませんが、港湾協会は、御承知のように従来の本土の港湾の制度その他ずいぶん勉強してございますので、本土復帰した場合の那覇市の管理形態の混乱が起こらないようにということで報告書が出ておるものと、私、推測でございますけれども、具体的内容については、まだ那覇市に出された写しをいただいておりませんので、ちょっと申し上げかねる次第であります。
  253. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長にお尋ねした、これは大臣、いまおいでになったところでございますから、いまのいきさつおわかりにならないと思いますが、一言で言うならば、北海道に対しましていままで力を入れてきたと思いますけれども、五月十五日に沖繩が返還されます、ついては、沖繩のとうちからもいろいろ調査事項というものが依頼さてきておりますけれども、それをいま八項目述べましたけれども、それを具体的に、また局長のほうでもまだ資料もないと思いますけれども、そういうことで、もう十五日直前でございますから、当然これは完備しておかなければならない、今後も沖繩に対しましてどのような姿勢で臨まれるのか、大臣に対する質問をもちまして、私、質問を終わります。
  254. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 沖繩復帰後の沖繩の復興につきましては、御承知のとおり本土と異なりまして、過去二十六年の問、また戦争中といえども、非常な御苦労をかけている次第でございまして、社会資本の投資その他につきましても、非常におくれが多いと思う次第でございます。沖繩開発計画の樹立につきましては、運輸行政の面からも十分参画をいたしまして、そうして、その復興につきまして極力力をいたしまして、いままでお苦しみになりました沖繩の方々の将来に希望を持つことができるような、あらゆる点におきまして全力をあげまして私どもは施策に邁進をするつもりでありますので、一そうの御指導をお願いする次第であります。
  255. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議なしと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議なしと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  258. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 多数と見とめます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会      —————・—————