○
田代富士男君 いま
港湾荷役業における災害発生
状況についてお尋ねいたしましたが、きょうは労働基準局から提出していただきました資料を私持っております。やはり事故数の多い港と少ない港があり、これは貨物量にもよりますが、事故数の多いところは——この資料は県単位に出ております。私は港単位にということをお願いしたんですが、それはちょっと無理だということで県単位になっております。昭和四十五年度の資料でございますが、
北海道が死亡者が五、合計死傷者が三百九十三、
東京が死亡が十三、死傷者が七百八十四、神奈川が死亡二十、死傷者二千九十八、愛知が死亡十、死傷者千三五十五、
大阪が死亡二十六、死傷合計千二百五十、兵庫が死亡二十四、死傷二千三十九、福岡が死亡九、死傷六百四十五。各県ありますけれ
ども、いま申し上げたような県が非常に高いわけなんです。
それで、私も
港湾の実際荷役に
関係している人たちの意見を聞いてみました。どうしてこういう事故が起きるのだ。端的な意見としては、さまざまな意見がありますけれ
ども、それを大体要約しますと——私が申し上げることが決定版というわけではありませんよ。
一つの労務者の声として聞いていただきたい。
一つは、いまもお話が出ておりましたとおりに、仕事量の変動が日によりましてあまりにも多い。だから、多いときには非常に多い、少ないときにはガタンと少ない。そういうわけで労働力を、多いときには日雇い労働に依存する率が非常に高い。
港湾労働の場合は、こういうところから、いま労働力の質の向上についていろいろ申されたけれ
ども、労働力の質の向上をはかることが非常に困難なんです。こういう声が出てまいっております。
これに付随した問題ですけれ
ども、
〔理事鬼丸勝之君退席、
委員長着席〕
これは
海運と直接
関係はありませんが、各商社にもこれは伝えてもらいたいと言われたことは、月末決済になった場合には、荷物というものが毎月二十日から三十日あるいは三十一日の月末にかたまってしまいます。この弊害を何とか除かない限りは、この
港湾災害を防ぐことはできません。やはり月初めから順調にやってくれるならば労働力の問題も一応
計画も立つでしょうけれ
ども、二十日から月末にしわ寄せがくるということは、これは何としても解決してもらわなければならない、こういう意見がありました。それから、次には、クレーンだとか、そういう荷役のための主要な
設備はほとんど船舶側あるいは
港湾管理者の所有にかかわるものである、そういうことで作業環境も船舶や
埠頭、すべてきわめて悪い
条件のもとで作業を要求される場合がある、この問題も解決してもらいたいと、こういう声がありました。
それから、いまさっきにもちょっと話が出ておりましたが、荷物の種類です。荷姿といいますか、荷物の姿というものが船によって千差万別である。毎日荷物の
内容等が変わるから、作業前に一応の指導徹底をはかるというような
意味の御答弁がありましたけれ
ども、千差万別であるし、作業の標準化、機械化が困難であると、こういうような声もありました。また、今度は、いまも話が出ました危険物とか有毒物資の危険性を事前に掌握して対処することが困難である。一応そういうことは注意するようにという規定は設けられているけれ
ども、いま申すとおりに、二十日から三十一日の間に荷役作業が重なった場合には、もうたいへんな
状態で、こういう場合が住々にして抜ける場合がある、これを何とかしてもらいたいという、これは実際の労務者の声であります。また、これは本人たちの希望として言っていたことは、経営者の安全に対する熱意というものが、口では言うけれ
ども不足をしていると、こういう意見がございます。
それから、いま労働省の当局からは御答弁がありましたけれ
ども、実際の労務者の声は、船主側や
港湾管理者の荷役業の
安全対策に対する理解が不足している、そういうわけで、経営者の安全に対する熱意の不足をさらに助長している
状態であると、こういうような希望がありました。そして、いまもお話が出ました、作業の安全化のために機械化をはかるということが言われますが、
港湾の
近代化に伴い機械化がはかられていくわけなんですが、この場合労働者の技術がそれに伴っていかない。機械化機械化といいながら、労働者の技術が伴っていかない。また、これに対する教育、訓練というものが組織的に行なわれていないんです。こういう意見を切実に——
港湾労働者として誇りを持っている人々です、縁の下の力となっている人から声が出ましたけれ
ども、こういう声を聞いて一応
港湾当局として、あるいは労働省の監督官庁として、今後、いまもいろいろ聞きましたけれ
ども、どのように対処していくべきか、御答弁をお願いしたいと思います。