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説明員(磯崎叡君) いま
先生のおっしゃった御質問の、まず第一の、いままでの合理化によって出た人間をどういうふうに使ったか、これを安全のほうにどういうふうに使ったか、こういう御質問だと思います。実は安全問題につきましては、もう国会におきましても、主として三河島
事故以来、非常に当
委員会でも論議されまして、やはりなるべく人間にたよらない安全、いわゆる機械による安全、これを確保しろというふうな強い御意見もございました。したがいまして、毎年約二百億以上の金を、安全問題、いわゆる保安
対策と申しますか、に、つぎ込んでまいりました。したがって、安全装置をよくした上でそれに若干の人間の注意を加えるというふうな、安全の機械化と申しますか、あるいは電子技術化と申しますか、そういう方向に現在進んでおりまして、単に人をふやすということが即安全であるというふうな考え方でなくて、やはり相当のばく大な投資をして安全装置をつくって、そして人の注意力の面をなるベく減らしていくというふうなのがやはり現在のどの交通機関でもとられている安全
対策の方向かというふうに思いまして、私のほうでも大体そういう方向で進めておるわけでございまして、たとえばATSにいたしましても、昭和三十八年からつけ始めまして五年間で完全に全部つけてしまったというふうな次第でございます。
それから採算の問題でございますが、御承知のとおり、
国鉄の
状況が非常にきびしくて、四十六年度の予算は御承知のとおり実は
償却前赤と同じ、借金をしなければ給料が払えないというふうな
状態でございました。したがいまして、どうしてもやはり採算のことを考えませんと、よそ並みのベースアップさえやってやれないというふうな
状況でございました。したがってやはりいままでの実績から見て乗る人の少ない列車を減らす、そしてそこで経費を節約するということもやっていかなくちゃいかぬ。しかし、かと申しまして、過疎地域でもって鉄道以外に何もない、あるいはマイカーも持ってないというふうな人に対して、どこまで、たとえば初列車とか終列車とかについてサービスすべきかというふうなことにつきましてもいろいろ論議いたしましたが、いま
お話しのとおり、今度の
ダイヤ改正はそういう点で少し激し過ぎた点があったかということを私率直に考えております。したがって、この間も「国民の足を守る会」という会の
方々とゆっくり
お話もいたしましたが、そういう方の
お話も聞きまして具体的にいま手直しをいたしております。ちょうど、いままでは学校が休みでございましたが、ぼつぼつ新学期も始まりますので、地域地域で各管理局が地方の
お話を伺い、学校長といろいろ御相談をいたしました上で具体的に処置してまいりたいというふうに思っております。
それから三番目の、いわゆる管理者と職員の問題でございますが、これは、先ほど政務次官が今回の
事故は全く人為的な
事故であるというふうにおっしゃいましたが、現象的には明らかにそうでございますが、私はいま実はここへ参ります前に緊急に全国の管理
局長を集めまして、一時から二時少し過ぎまで話をして、それで解散してまいったのでございますけれ
ども、私はやはり安全の問題というものは労働問題以前の問題である、あるいは
経営問題以前の問題であるというのが私の実は信念でございます。したがいまして、今度の
事故にいたしましても、単にこの運転士が悪かったということだけでは私
どもの
責任は済まされないというふうに私は思っております。それはやはりATSの操作に対する、ことに異常事態に対する
指導のしかたが不
徹底であった。一年も運転士見習いをさして電車に乗っていたのに、ほんとうにその場で教えたかどうかということもいまチェックしておりますけれ
ども、そういう異常事態に出っくわした例のある
指導者がないせいか、紙の上では書いてあるけれ
ども何か実感としてぴんとこないというふうなことであったと思います。したがって、そういう
意味で、管理者と職員との間に、事、
事故防止については、やはりきちっとした筋を通す、そしてお互いに血の通った教育をするということがなければ、やはり単に紙に書いてこれを読んどけということでは私はだめだと思います。したがって、手を取り足を取りそして教えてやるという管理者としてのやさしさがなければいけないというふうに思います。これは、いわゆるどの組合がどうという問題じゃなくて、管理者と職員の問題として私はぜひやらなけりゃいかぬということをいま管理
局長に言ってまいったのでございますけれ
ども、とかく、こういう問題が起きますと、管理者は、私
どものほうでは萎縮する傾向がございます。どうも、何と申しますか非常に自信がなくなってしまうということではいけない、ぜひ、ひとつ自信を持って仕事をやれということを言ってまいりましたけれ
ども……。やはり、いま
先生のおっしゃったとおり、管理者と職員の間にほんとうに血の通った教育ができなければ、結果的にはその人が、職員が責められてしまうと、こういう非常に気の毒な結果になりますので、そういう
意味の
事故防止を中心とした教育をできるだけ
徹底してまいりたいというふうに思っております。