○森中守義君 これは棄権ということですね。
航空局長とこの問答を重ねても少々あれですから、大体経過がわかればまた後日の議論にいたしましょう。ただ、しいて私から意見を言っておくならば、大体、賛成、反対、棄権という、こういう種類の中の棄権というのはあまりすっきりしない。ただ技術的な問題と言われるならば話は別ですけれども、しかし明らかに台湾追放、中国招請という、こういう
国際的な重大な決定を受けてのことですから、単に、外務省が代表であったにせよ、
運輸省と全然話がなかったとは言えないだろうし、いわば日本
政府一体の
責任における行動であったと、こういうふうに私は
理解いたしますが、これは後日の論争に残します。
そこで、少し話を進めますが、先ほど申し上げましたように、アルバニア案が決定をされる前とあとというのは、少なくとも潮流は非常に大きな変化を来たしている。ですから、
昭和三十九年でしたか——三十九年ですね、こういうことがあるのです。おそらくよく御存じだと思う。当時まだLT協定のころですね、このときに、当時の交渉代表団に対して中国側の日中友好協会の廖承志会が四つの大きな提案をしております。おそらく
運輸省にも記録があるでしょう。その内容は、貿易の
拡大が一つ、相互に貿易事務所を開設しようというのが一つ、新聞記者の交換をやろう、そして民間
航空の相互乗り入れ、これがいま日中間のLT並びに継続されている、MTに移っている日中の話し合いの一つの大きな問題になっておりますね。つまり中国側は、
昭和三十九年の段階において、民間
航空の相互乗り入れをやろうではないかということを先方から提案されておる。これに対して当時の池田内閣は、このことをもしやるならば事実上北京
政府を承認したことになる、また当時の在日米空軍の上空を中国の飛行機が入ってくるということは問題がある、この二つのことを理由にして不問に付して黙殺した。回答しておりませんね。これが、私は、これから先この問題が議論されていく際に、具体的に交渉に入っていく際に大きなネックになっていくのじゃないかと、こういうように考えているのです。そこで、これから日中間の問題で、いま紛糾している台湾の帰属とか、そういう外交問題は一応おくとしましても、具体的に日中のパイプをどう通していくか、少なくとも
国際社会の潮流にどういう方向で日本がいこうかという、きわめて具体的な問題になってくると、いまの
航空機の乗り入れの問題が一つ、これがどう処理されるか。いま一つは貿易の
拡大、これまたネックになるのは食肉の輸入ですよ。これは言うまでもなく、口蹄疫という家畜伝染病を一つの理由にして、
政府及び農林省は頑強に拒んでいるわけです。ここで何らかの
措置がとられるならば、私は貿易の
拡大といい、
航空機の乗り入れといい、日中間の問題に非常に大きな前向きの姿勢がとれるだろう、こういうことを考えるがゆえに、しかも、ときがときですし、運輸当局にこういうことをただしておきたい、こう思うわけです。
ですから、少なくとも日中間の
航空機乗り入れの問題が、運輸当局の中において、あるいは
国会と
政府との間に議論をされ始めたのは、去年あるいはおととしという新しい話ではなくて相当古い話です。ですから、当然なこととして、中国が国連に復帰したときに、さてこれから先どうするか、日中間の
航空路線をどうしようかということが、
運輸省の間に、あるいは
政府の中において何らかの方策が
検討されてしかるべきであったろうと、こう思うのです。いかにも私が言っているのはそうでないような言い方のようですが、その後現在に至るまで、ことに今回のニクソン訪中でパン・アメリカンが二機入った、トランスワールドが一機入った、こういう
航空界の現実を見詰めながら、日中間の
航空問題、何かお考えになったことがありますか。これはどうも私の見当違いか、あるいは新聞の誤報のようにも聞いているのですがね。アルバニア案が成立した直後に、
丹羽運輸大臣が事務当局に対して五項目の内容を提示して、すみやかに
検討せよと、こういうことを言われたというように聞いている。つまり、国連での中国代表部を通じて中国側の意向を打診したらどうか、さしあたり日中
政府間了解の上、民間ベースの
航空商務協定を結んだらどうか、これは国交回復後
政府協定に切りかえる、定期
航空路協定が無理であるならば、当初は不定期便の形で相互乗り入れをはかったらどうか、そうしていま一つは、日中間の気象情報交換の取りきめが必要であるならば高橋気象庁長官を派遣してもよろしい、この五項目を、現在の大臣が事務当局に指示をしたというように聞いている。これは新聞でも、私は一、二回見ましたが、この事実がありますか。これを含めて、その後現在に至るまで何か模索をされたのか、
検討を加えられたのか、あるいはその過程にあるのか、その辺のところをひとつ御
説明願いたい。