○
曽祢分科員 私は、四十五年の十二月二十一日に日米安保
協議委員会が
決定いたしまして、在日
米軍施設等の
集約、撤収等に関する日米共同声明において取り上げました横須賀軍港における
艦船修理部門、通称SRFの
返還問題について、
防衛庁長官、外務省及び運輸省に質問をしたいと思います。
この問題は、発端が四十五年の十二月二十一日の日米共同声明で、このSRFは、第六号の一番大きなドックを除いて、一号から五号までば日本に四十六年の六月末までに
返還するということが
決定、発表されたのでありますが、はなはだふしぎなことには、その
返還後の日本側の
艦船修理
施設運営の問題についての政府の態度がなかなかきまらない。現地の横須賀方面では、当然のことですが、これは民営として、そして
アメリカの修理にも応ずる、日本の
自衛隊の修理にも応ずるし、また民間の修理にも応ずるという一本経営が絶対いい。経営原則としてそのとおりだと思うのです。にかかわらず
防衛庁のほうが、特に制服組には、かつての旧帝国
海軍の
海軍工廠を何かやはりシンボルとしても自分で経営したいというような欲望もあって、少なくとも一部でも
防衛庁がみずから経営したい。ところが、それには
予算も法律もまだ準備ができてない。おかしなことでありまするが、
アメリカのほうが返そうというのに、日本のほうからむしろ待ってくれということで、御
承知のように、四十五年十二月に
返還の方針がきまったのに、四十六年三月三十一日に日米それぞれが合意いたしまして、このSRFの
返還を向こう一年間、つまり七二年六月三十日までとりあえず延期する。そのほかにも、第七艦隊の旗艦が佐世保に移駐するということをとりやめてまた横須賀に来るという、まことに不明朗な
決定がなされたわけであります。
さて、これが昨年の暮れごろになりますと、いよいよ
防衛庁がこの一号から少なくとも三号までの小さいほうの三つのドックを自営することについて、閣議
決定並びに
予算の手当てに成功いたしました。そういたしますと、実にふしぎなことには、この一号から三号まで
防衛庁が使う。あとの四号と五号、大きなほうはどうなるかというと、これはとても
アメリカのほうが返しそうもないということで、一−三号の
防衛庁による自営だけがきまって、その反面の結果としては、四号、五号の民営になるべきほうは、日米間の話し合いの折り合いがつかないというので、これまた先走ったようでありまするけれ
ども、四十七年六月三十日までに四号、五号はとうてい
返還されない、またしばらくの間無期延期になるのではないかといううわさが流れておる。これははなはだ不明朗である。それこそ、そういったようなことは、
防衛庁、
自衛隊のいわゆるシビリアンコントロールの精神に反するのではないか。自分の使うものだけは取っておいて、日本側の民間に返すべきものばペンディングのままで進むということは断じてよろしくない。しかも、これをめぐって、
アメリカの航空母艦がたくさん横須賀に来る、これが航空母艦の母港としての
基地の永久化につながるのではないか、こういうようなこともうわさされておりまして、それははなはだいかぬと、当面の横須賀市議会において、全会一致でこの航空母艦の母港
基地化の反対並びにSRFの
返還を早くやれということ、同様に神奈川県会においても全会一致でその二つの点を強く打ち出したのであります。
私はそういう点を考えまして、ことしの一月二十五日
防衛庁長官にもお目にかかり、外務大臣にも運輸大臣にもお目にかかって、そういうところがあってははなはだけしからぬ。
防衛庁が一から三まで使うことについても私は文句があるのでありますけれ
ども、かりにそれはやむを得ないとしても、四号、五号、民需のほうをほうっておいて
防衛庁のほうだけきめてしまうというようなことは断じてあってはならない。これはもう、現地における日米間の離間には最もいい、外交上大きなマイナスになる、
アメリカに対する信用は完全になくなる、
防衛庁に対する民間の信用が完全にひっくり返ってしまうのではないかという大きな問題であるということを強く申し上げた次第であります。
また、この点に関しては、幸いに神奈川県二区の全政党を越えた衆議院議員の完全な意見の一致がありました。二月八日に院内において、
防衛庁長官、外務大臣、運輸大臣の三大臣に、神奈川県二区選出の代議士、自民党の田川さん、社会党の中嶋さん、公明党の
松尾さん並びに私がそろって、ただし中嶋さんが
病院のためにちょっと来られませなんだけれ
ども、四人の名において、このSRFの
返還を、少なくとも
防衛庁と同様に、本年六月三十日までに実現するように強く申し入れました。その結果、まあそこまで言うのならばもう一ぺんひとつ
アメリカと
交渉してみよう、そして
アメリカが四号、五号の民営にどういう条件をつけるのか、それをよく聞いてみてなし得る限り御
要望に沿いましょう。一号から三号の
防衛庁のほうだけが
返還されるというのは、確かにこれは不合理である、まあタイムリミットもあろうけれ
ども、とりあえずもう一ぺん強力に四号、五号も同時に
返還方を
アメリカと
交渉してみようということになったわけです。その後の
交渉の経過並びに結果は、簡単でよろしゅうございますけれ
ども、どうなったでしょうか。運輸省からまずお聞かせください。