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田中国務大臣 公害の問題は深刻であります。戦後非常にスピーディーに本土の工業化が行なわれましたし、しかも明治初年から百年間続いてきた拠点中心主義、文化も
経済も工業も一切のものが東京や大阪や名古屋に集中しておる、県庁所在地に集中しておる、こういうことで、公害問題は特に過密地帯における公害の形で大きく取り上げられ、複合公害という問題を前面に押し出さざるを得ないということになっているわけです。
世界にもないほどの、複雑多岐にわたる公害問題については、公害防止
技術の
開発、燃料対策、立地対策等を通じて適切な解決策を見出していかねばならない。だから、
日本の本土における公害問題に対する適切な処方せんができたら、これは
世界でもって最も新しいものができるといってもいいと思うのです。しかし、沖繩には幸いに、そういう
意味ではこれから計画的なものを進めていけるということで、環境の整備ということを
前提にして企業進出が行なえる、二次
産業化が行なえる。これはいま
考えてみても、一次
産業比率を人口比率で見ると、本土では一七・四%なんです。この一七・四%は十年間に七・四%以下になるだろうというのを私は常に言っておるのです。これは
アメリカが四・四%であり、拡大ECは六%でありますから、これはどうしてもそうなる。総合農政を続けていけばそうなります。そうすると、六百万人から七百万人、多くすれば八百万人もの余剰人口が出るわけであります。ところが、沖繩の一次
産業比率は三八・九%であります。三八・九%の人口比率でありながら、一次
産業の所得比率は八・八%であります。四〇%近い人が一〇%以下の収入しか持てないということを
考えれば、二次
産業比率を上げる以外に
経済発展の方向はありません。二次
産業比率が上がれば三次
産業比率が上がっていく。基地
経済というものは三次
産業比率が非常に高いわけです。にもかかわらず、一次
産業比率がかくも高いということになると、本土のスピードの三倍くらいのスピードで沖繩の工業化をやらなければならないわけです。そういうことで、沖繩をまかなう基礎
産業として必要なものはどうしても必要なんです。幾ら公害問題が全然解決しない、公害は絶対出ませんということでなくとも、自然の浄化作用やいろいろなものを勘案しながら、沖繩で必要な基礎
産業は必要だと思います。同時に、これからはこういう一次
産業比率が非常に大きいだけに、
知識集約産業への指向は当然として、当面、縫製工場が従来沖繩に進出しておりましたように、
家電製品の組み立て工場とか
電子工学のハンダづけ工場とか、そういういろいろな業種が
考えられるわけです。だから、これからは公害論争もしながらも沖繩に対してどういう業種を進出させるか
——これは下請ばかりになりますと
経済の影響を非常に受けてしまって、一年間くらいのもうけはすぐ飛んでしまうということになると、やはり中核
産業というものの進出をはかりながらやってまいらなければならない。私は沖繩に対してだけは
相当なきれいな図面、六十年の沖繩はこうだという図面はかけると思うのです。そういう
意味でまだ施策がはっきりしておりませんので、電力の料金をどうしてくれる、安定的にどうするか、
政府融資をどうするか、償還期限をどうするかということで、アルミの進出までもおくれておるという
状態でありますので、できるだけ早い時期に皆さんとも、地元の意見等も聞きながら、沖繩の二次
産業の実態というものを明らかにしてまいりたい、こう思います。