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1972-03-22 第68回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十二日(水曜日)    午前十時五分開議  出席分科員   主査 植木庚子郎君       笹山茂太郎君    松野 頼三君       渡辺  肇君    小林  進君       芳賀  貢君    原   茂君       林  孝矩君    兼務 阿部 昭吾君 兼務 大原  亨君    兼務 内藤 良平君 兼務 中谷 鉄也君    兼務 安井 吉典君 兼務 近江巳記夫君    兼務 古寺  宏君 兼務 田中 昭二君    兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         厚生省年金局長 北川 力夫君         農林大臣官房長 中野 和仁君         農林大臣官房予         算課長     松本 作衞君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         水産庁長官   太田 康二君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   福田 省一君         労働省職業安定         局審議官    中原  晁君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      山口 光秀君         農林漁業金融公         庫総裁     武田 誠三君     ————————————— 分科員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   小林  進君     芳賀  貢君   原   茂君     井上 普方君   林  孝矩君     鶴岡  洋君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     平林  剛君   芳賀  貢君     小林  進君   鶴岡  洋君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     阿部喜男君   岡本 富夫君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     原   茂君 同日  第一分科員内藤良平君、中谷鉄也君、安井吉典  君、山田太郎君、第二分科員古寺宏君、田中昭  二君、第三分科員近江巳記夫君、第五分科員阿  部昭吾君及び大原亨君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算農林省所管  昭和四十七年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算中、農林省所管を議題とし、引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  3. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 三点ほどにわたってお尋ねしたいと思うのでありますが、一つ土地改良事業でありますけれども、最近、土地改良事業農民負担がなかなかきついというのでいろいろな意見が出ておるのであります。そこで、特に土地改良基盤整備を進めます場合に、一番事業費のかさむ部分というのが農道水路、こういう工事費が一番かさむのであります。したがって、農道水路工事部分については農民負担というものを全廃をすべきではないか、そして個々のいわば圃場、そういうものの費用、これはまあ現在程度の補助率というよう考え方が合理的ではないかという考え方なんでありますが、そのことが一つ。  第二は、現在県営事業国営事業の場合に、農農民負担金を十五年の償還負担をさしておるわけでありますが、これを土地改良事業団体は二十五年にしてほしいという強い要望を持っておるようであります。しかし実際上は、最近自治体の議会等におきましては三十五年の償還にしてもらいたい、そういう意見書決議等農林大臣のほうにもお願いをしてきておるはずだと思います。金利につきましては三%金利に軽減をしてもらいたい、こういう要望意見書決議等の中で出されておると思うわけであります。こういう問題に対して、農林省は具体的にどういうお考えを持っておるかということをお伺いしたい。
  4. 中野和仁

    中野政府委員 ただいま二点お尋ねがあったわけですが、一つ農道水路については国で全部負担をして、圃場整備については農家負担、こういうお話ようでございます。私も、それは一つ考え方ではないかという気もいたしますけれども、やはりただいままで、ずっと過去とってまいりましたのは、農道あるいは水路農家が使うものである、圃場については当然農家が使うものですけれども補助を出すということで、やはり特に圃場整備になりますと、農道圃場両方一緒仕事をするということもありまして、先生のおっしゃいますように、片方は国が持って片方は全部農家負担というのはなかなかやりにくい、やはり従来のようないろいろな農家負担ども勘案いたしまして、各種事業について補助率の差を設ける、高いもの、安いものいろいろありますけれども、そういう方向のほうが私どもとしては合理的ではないかというふうに考えておるわけであります。  それから第二点の県営国営償還期間あるいは金利の問題でございますが、かつては国営事業償還期限は十年ということもありましたが、それをいろいろな事情から、農家負担考えまして十五年に延ばしたこともある。それから据え置き期間を長くするということもやってまいりました。この点については農家負担がだんだんかさんでおるということはわれわれ承知をしております。今度四十七年には、そういう土地改良事業に基づきます農家負担が、一体どういうことになるか。特に生産調整との関係でいろいろ問題が出ておりますので、それも含めましてひとつ十分調査をした上で、実態に合うよう負担を持たせるためにはどういうふうな償還期間にしたらいいかというふうなことを、ひとつ十分詰めてみたいということを考えておるわけでございます。
  5. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 これは非常に申しわけないのですが、大臣の御見解から伺いたいのですが、私が農道水路は、国及び県営ならば県あたりが全部やって、個々圃場農民負担せい、こういう考え方を申し上げておりますのは、たとえば、都市街路整備事業をやる。都市街路整備をされることによって、そこを通行する通行人にとってもたいへん便宜を与えることは事実です。しかし、都市街路整備が行なわれることによって、そこに面しております商店やその他がたいへん商売繁盛するようになって、たいへんな大きな便宜を受けるわけですね。現在、都市街路整備工事の場合、どういう状況かということになりますと、都市街路道路工事費の大体八倍から十倍が、道路に面しておる店舗改造費補償費に投じられて、道路工事費はほんのわずかだけれども店舗を改造したり、そこを補償しなければならないという経費のほうが八倍から十倍くらいかかっておる。これが都市街路整備事業の現況ですね。そうなると、農道水路は、本来農民が使うものだといういま官房長お話ですが、同じよう都市街路の場合に、確かに一般通行人も通るでしょう。しかし、そこに面しております商店が、町並みが整備されるとたいへん便利になる、たいへんな、いわば恩恵を受ける。その場合には道路工事費よりも、そこに建ち並んでおる店舗等改造費道路工事費の八倍から十倍もの公的資金が投じられておる。私は、そういう考え方からいうと、あなたがやはり農道農民が使うのだから、農道水路農民負担でやるのが合理的だと言うのは、問題は負担がどうかということだと思う。一番工事費としてかさんでおるのは農道水路なんだ。しかも完成された以降は、その所有権は公のものなんです。個々農民所有権にかかるものではなくなってしまう。したがって、現状からいうと、やはり米をやってもいかぬ、何やつてもいかぬで、なかなかいまの農業の問題は何をやってもたいへんなんですね。そういう現状から考えると、私は農道とか水路事業費公的資金でやる、あと個々圃場については、資本主義社会なんですから個々所有者たる農民負担でやっていくということがいいと思うのです。この考え方のほうが合理的じゃないかと思うのですが、ぜひひとつ大臣の御見解を承りたいのです。  いま一つは、確かに十年から十五年に延ばした。延ばしましたが、最近土地改良事業を見ますと、まず国営工事幹線の用水路などが整備をされて、そこから今度県営工事でいろいろなものが行なわれて、それから団体営、最末端までまいりますると、ずいぶんと重層的ないろんな団体でこの工事が行なわれて、目標としております土地改良基盤整備完了段階のときの農民負担金というのは、これはどうにもならぬ状態の問題が実は一ぱい起こってきておる。私は、そういう面から見ますと、いまの償還期間というものをやはり大胆に三十五年くらいに延ばしてほしいという強い要望が、地方議会等で満場一致で決議されておるという現状は根拠があるから出てきておると思う。これにやはり農林省としては対応するよう方針で進むべきなのではないか。農林省までがそれはいかぬというのはどうも困るのじゃないか。他の関連で、そこにいろいろな抵抗が出てくることは私わかると思う。農林省がやはりそういう方向で進んでいって、他産業政府部内でもいろいろな関係抵抗が出てきたときにどうするかは別の問題ですが、農林省はそのくらい前向きでなければならないのじゃないかと思うのです。この点は申しわけありませんが大臣のほうからひとつ。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 土地改良等における幹線道路、これは大きなものと小さなものとあると思うのです。小さなものはやはり農業関係者が主として使う。しかし農道でも大きな道路、こういうものは県道、国道と近いようなもの、同じようなものですから、そういうものはお考えようなほうが合理的だと私は思います。これは道路水路の大きなものは十分折衝、検討してみましょう。  それから第二段の償還年限を延長しろ、これは当然延長したいと思って、くふうをこらしているわけです。それで考え方方針には私も賛成ですが、具体的にはまだそこまで踏み切るまでにいっていません。
  7. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 もう一つ、これは官房長にお願いしたいのですが、土地改良事業の場合、だんだん、だんだん山間地のほうに土地改良基盤整備が移りつつあるのです。平たん部は大体進みつつあって、最近は過疎や何かが進んでおりますために、山間地土地条件というものを整備しなければ、労働力がなくてやっていけないというので、山間地にどんどん基盤整備土地改良というものが移りつつある。そうなると、いま県営採択基準が二百ヘクタールだと思います。そうすると二百ヘクタールではなかなかまとめがきかぬという条件がたくさんあります。したがって山間地における県営土地改良事業採択基準というものはもっと引き下げるべきではなかろうか。そうしていただかないと、山間地のほうの、ある意味では生産性の相当低い場所、その場所は特に全部団体営でやらざるを得ない。補助率の低いところでやらざるを得ない、こういう問題がありますので、山間地基盤整備事業については採択基準というものをもっと低くすべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  8. 三善信二

    三善政府委員 御承知よう山間地帯農業基盤整備事業につきまして、ただいま圃場整備関係の御指摘ございましたが、圃場整備については、やはり山間地でございましても特に農道とか、それからかん排事業、それから圃場整備、必要でございますが、その圃場整備の場合、やはり何としましても経営合理化あるいは経営規模拡大、そういうことを平場農村と同じようにやっていかなければなりません。そういう意味においてあまり採択基準といいますか、面積的に下げますと、そういう一貫した合理的な事業がやっていけないという問題もございます。したがいまして特に山間地圃場整備事業は、実は団体営が非常に多うございまして、団体営の場合には圃場整備事業につきましても、一般は大体二十ヘクタール以上になっておりますが、山間地の場合には十ヘクタール以上というような、多少そういう実情に即したよう採択基準をやっております。それから農道事業の場合、これは県営でございますけれども、特に大規模農道、こういった場合にやはり延長の制限とか、あるいは幅員の制限とか、そういうものについては、採択基準山間地は多少下げてやっていくというのが現状であります。
  9. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 いまの答弁はすかっとしませんね。実際上は山間地団体営でやれということなんです。山間地で二百ヘクタールとかまとめをやろうと思うと、地域条件がみな山でさえぎられておるわけですから、なかなかそれは簡単にいかない。したがってそこらは団体営で、補助率の低いところでいきなさいというのでは不公平なんで、山間地は大きい面積まとめようたってまとめ条件がなかなか整ってこないのですから、そういう意味では県営採択基準山間地に関する限りもっと低下をして、補助率その他で優遇すべきだというふうに思うわけですが、それはいま答弁せよといってもなかなかいい答弁簡単には出そうもありませんので、大臣のほうでひとつ十分前向きに御検討願いたい。  時間の関係で次に進みますが、大臣、どうなんでしょうか、十年このかた日本農業というものの体質を改善しようというので、米だけではなくて、選択的拡大生産で、果樹なり畜産なりをやりなさいといってどんどん進めてこられた。しかしいま米は決定的にきびしい条件下に立たされておるわけです。しかしそれじゃ米以外の何かはいいのかということになると、どれもこれも安心はできないという状態にあろうと思うのです。しかし、私はわが国全般考えました場合に、余っておるのは米、それ以外のものはほとんど全部大量の輸入をやっておる。ここには国際的なコストハンディ、いろいろなものは確かにあると思うのです。しかしながら、現状は余っておるのは米だけで、それ以外のものは全部足らぬ、こういう状況から考えました場合、やはり日本農業の構造的な関係、こういうものをもっと基本的に考えるならば、やりようがたくさんあるのじゃなかろうかという気がするわけであります。そういう面で今年もまた二百十五万トンの減反をやろうとなさる。私もあながち二百数十万トンの米過剰をそのままでよろしいなどとは思いません。思いませんが、だからただ減反転作といっても、転作のほうはどれをやっても安心できるようなものは何もない。したがって、転作を奨励なさるというならば、これをやれば絶対だいじょうぶなんだということが、農政の面で責任を持てるというものがやはり何かないといけないのじゃないでしょうか。それはもちろん政府の側は、自由経済社会の中ですから、農民自体ももっと努力しなさい、勉強しなさいということを言われるのかもしれませんけれども、長い間米を中心とする日本農業というものが、日本という国家民族に対して貢献してきたということもたくさんあると思うのです。そういう面から見ると、今度は米はいかぬ、転作をやりなさいといったって、転作は何をやってもうまくいかぬ。特に私ども考え方からいいますと、東北北陸などの積寒地帯になりますと、米以外のものをやれといってもなかなかそう簡単にはいかぬ、こういう場合に農林省が米はいかぬというならば、かわるべきものに対して確たるものがなければならぬのじゃないか。それが私はどうも、私のみならず農村の大部分の皆さんは、いまの政府が米はいかぬといわれながら、かわるべきものは、責任あるものは何も示していない、責任をとろうともしていない、こういう感じ方を強く持っていると思うのです。こういう面で一体農林省はどういうふうになさろうとなさっておるのか。方方でお聞きしましてもなかなかなるほどというようなものは出てきておらぬように思うのです。一体どうなさろうとするおつもりなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 転作作物に変わっているところも相当あります。しかし根本的にはなかなかそれはむずかしいということはお話しのとおりです。だから畜産とか果樹とかあるいは野菜とかあるいは小麦とか飼料とか、いろいろに転作はすべきなんですが、大体それに適するよう基盤ができてないということです。ですから基盤整備なんかは、今度はそういうことができるように相当転換していく、そういう要素も入れていく。たとえば東北地方でも北陸地方でも、水田で、排水が十分できてないということであれば、飼料をやるにも、あるいは野菜果樹等転作するというのでも非常に困難だと思います。ですから、その転作する作物については農林省としても相当指導していますが、しかしその作物が、必ずしもそこへ、何か適地でないために転じていかないということがありますから、土地改良基盤整備などをそういう方向に加味して、これからその基盤整備などをやっていく、こういう考えをもって転作のほうへ向けていきたい、こう思っております。
  11. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 どうも大臣、私も決して全部裏返しだけでものを見ようとはしておりません。たとえば規模拡大をしなければいかぬ。確かにもう技術革新の波は容赦なしに農村に入っていきますし、いままで十人でやっておった農業経営というものが、大体三人ぐらいでやれるような時代に移ってきた。七人は一体どうするかという問題が起こっておる。したがって、従来の農業経営あり方にもっと新しい生産所得を追求できるようなものが出てこなければいけない。いまはしかし米以外のものは全部足らない。小麦などは過剰米の大体倍以上の大量の輸入が行なわれ、飼料なんかになりますとほとんど全部が輸入飼料に依存しておる。日本畜産というのは全く植民地畜産みたいな感じさえするわけであります。  こういう状況の中で、結局どういうふうになさろうとするのかということについて、私どもも長い間現場農業問題に取り組んできて、政府農林省のおやりになるやり方が、日本農業をどうしようとなさっておるのかということについて、何としてもはっきりしたものを感じ取ることができない。農業はいかぬから安楽死させるのだというのなら安楽死させていいと思うのです。いまは安楽死させることをねらっていそうに下部ではみな感じ取っています。しかしそれが実際上は安楽死にならずに、減反だのなんだのといって、のこぎりで首をひくよう状態になってきている。安楽死させるというのなら、ちゃんと農村周辺にもっと所得を追求できるよう産業の構造を正確に考えるとか、何かなければならぬ。それもどうもテンポが非常におそい。したがって農村では、私ども地域など見ますと、三ヘクタール以上の上層農家農業では生活ができなくて、季節労務として大都会に半年間の長期にわたって大量に流出をせざるを得ない。こういう状態の中で米以外のものは全部足らぬというのです。確かに国際間のコストハンディはありますよ。しかし私はやはり政府農林省が腹をくくるならやる方法はあるのじゃないかという気がするのです。  たとえば基盤整備をやってもっとやるといっても、私はそう簡単にいかぬと思う。基盤整備の歴史を見ますと、それはものすごく急テンポに変わっていく経済情勢に対応できるほどのテンポで、基盤整備などというものはそう簡単に動くものじゃない。基盤整備が効果あるとすれば、そこで仕事が起こるので、若干労務対策になるというぐらいのことじゃないですか、当面の対策としては。ほとんどのものは険しい経済的な激動に対しては、基盤整備生産性の高い農業づくりなどということはなかなかかみ合っておらぬと思うのです。  そこで私は、そうじゃなくて、もっと流通対策とか価格政策とか、そういうもののほうがいまの農業段階では——基盤整備をおろそかにしていいとは言いませんよ。言いませんが、もっともっと力を入れなければならぬのは流通対策なり価格政策というものではないか。ことしは、これは減反の影響なのかどうか知りませんけれども、物価高の根源だといわれておるのが生鮮食料品で、その中で去年あたり見ると、いまごろになりますとこのくらいの大根一本が二百五十円しておった。ことしは大体百円から百二十円ぐらいですから、これは農林省の米に対する圧迫政策が成功したのかどうかわかりませんけれども、しかし、もし政治責任を持つのならば、庭先で七円、八円、十円ぐらいで出荷された大根が、ぐるぐると回ってくる間に消費者には二百五十円で渡るなどというこんなむちゃなことは、私はコントロールすることはできるのだと思う。したがって、米以外のものは全部足らなくて、今度貿易自由化でどんどん外国から入れようという状態なんですから、私は政治責任をほんとうに持とうというのならば、足らぬものが多くて余っておるものは米だけだという状態ならば、ここで正確な調整ができるのじゃないか、その場合にはいま大臣がおっしゃる基盤整備、これも確かにいい。基盤整備だけでは農業体質を一挙に変えるというほどスピードは持たないと思うのです。スピードを持たすのは、やはり価格政策流通対策。あるいは農協あり方など、組合員生産所得を追求しようというようなことにはなっていませんね。農協は全部商店と同じよう流通主義になっている。したがって組合員生産所得を上げようなんという農協体質はほとんど——そういうことをやる農協はみんな四苦八苦、苦労しなければならない。したがって全部安易な流通主義になってしまっておる。そういう面から見ますと、農協体質の問題等々も含めて、政府が何をすべきかということになると、やはり価格政策流通対策、こういうものをもっと強化しないと、そしてそれが確立をされて生産者にとって、これをやれば政治責任を持ってちゃんとしてくれる、自分たちも努力すればそうなれるという確信を持てば、過剰な米、こういうものだけに集中するというところからそっちの方向にどんどん傾斜をしていくことになると私は思う。どうもそういう意味で、いまの農林省やり方が何を目ざしておられるのかということは、結局は安楽死を求めようとして安楽死にならず、のこぎり首をひくようなかっこうになってきているのではないかというような気がするのです。私は裏返しをしてものを見ようという見方には必ずしも趣味はありませんけれども農林省一体どうしようとするのか、お聞かせを願いたい。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もちろん価格政策樹立政策というものはテンポは速いですよ。ですから流通なんかに力を入れなければならぬのですが、さっき基盤整備お話ししましたのは、転作の場合、いままでの基盤整備というのは水稲のための、米をつくるための基盤整備だったのです。だけれども転作の話も出ますし、それから片方は過剰、ほかはみんな足らぬ、その足らぬほうは何とか少しずつでも自給度を増していくためにはそっちのほうに転換していかなければならない。そのためには、基盤整備方向を変えなければならぬじゃないかということで、転作に関連して基盤整備ということを申し上げたわけであります。  それからまた経営の面につきましても、生産性を上げるという点で専業農家を育成して経営規模を大きくしろといっても、なかなかそれができなくて憂慮していたわけです。だからそういう意味においては、やはり協業といいますか団地的な経営、こういうことで野菜でも畜産でもあるいは草地でもやっていけるようにしたらいいじゃないか、こういうよう考え方から基盤整備ども少し方向を変えたらいいじゃないかということに触れたわけでございます。でございますから、基盤整備だけで事足りるというわけではございませんが、スピードからいいましたら、いまのお話ように、それは流通対策が一番大事だというようなことで、それに力を入れようというので農林省の機構なんかも、その方面に重点的にやっていこうというので変えていくわけでございます。  価格政策価格政策として支持政策をやっておりますが、価格政策だけではやはりやっていけない。それには団地的なことで生産性を上げていくということと相まって価格政策をやっていく、こういうことで御不満の点もずいぶんあると思います、御指摘の点もわれわれもよくわかるのですが、決して捨てておくのではない、安楽死を待っているというわけではございませんで、大いにやろうという意気込みで、いま方向転換に対処していく、こういうことでございます。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 最後に、さっき私が申し上げました農道水路で、でかいものはやはり国が責任を持ってやるという考え方、これは検討に値する、こういう答弁だと承りましたが、たとえば用水事業などの場合の幹線水路のものすごくでかい部分、これもいま二〇%ですか、二一%ですかの農民負担金だと思うのでありますが、これに金利などを付しますために、ものすごい農民負担金になっておるのです。私はこの部分などはやはり農民負担金を取らぬという方向に、さっきの大臣の御答弁のように踏み切っていくべき時期じゃないかと思うのです。末端の支線の段階まで一気に無理だとしても、あの大幹線水路、このあたりの工事費にまで農民負担金を取るという考え方はもはや再検討の時期じゃないか。大臣もそういうお考えではないかというようにさっきとりましたので、ぜひ前向きにお願いをしたい。  それから一つ要望申し上げたいのは、最近のえさの問題ですね。なかなかけしからぬえさが方々にあるのです。そのえさを食べさした豚が大きくならぬで、小さくなってかじかんでいく、そこで経営が行き詰まってしまって、というよう状態。そのえさ会社も倒産したが、倒産会社が抵当権か何か設定しております。農家にびりびり取り立てにかかっておるという状態が起こっておる。家畜が大きくならぬようなえさを売っておって、だんだん農家をつぶしていくというえさ会社のあり方に対しては、農林省もその部面での監理指導、こういうものをもっと強化をされるべきじゃないか、こういうふうに思いますので、ぜひひとつ善処をお願いいたしたい。  時間の関係で、以上で終わりたいと思います。
  14. 植木庚子郎

    ○植木主査 次は、安井吉典君。
  15. 安井吉典

    安井分科員 この間、私は北海道の黒鉱米に対する質問主意書を提出し、三月十四日付で佐藤総理大臣から答弁書をいただいたわけであります。  一応内容は尽きておるように見えますけれども、その事の深刻さをもっと知っていただきたいということと、それからまた答弁の内容はたいへん抽象的なものですから、もっと具体的なお答えをいただきたい、こういうことで重ねてこの機会に農林省の御答弁を伺いたいわけであります。  この黒飯米なるものは、北海道では昭和四十二年ごろ初めて旭川市近郊に出て、ちょっと途絶えていたようでありますけれども、それでも四十五年、さらにまた出てくる。それから昨四十六年は御承知ような冷害凶作で、北海道の総被害額七百七十二億円、うち米の被害額五百十億円、そういうふうな状況の中で、米の作況指数六六というふうな状況の中で多発をしたということであります。  そこで最近の向こうの情勢を聞いてみますと、旭川を中心とする上川地方だけではなしに、空知支庁のほうにも去年は非常にふえているわけで、鷹栖町という一つの町がありますけれども政府買い上げになったのは三割で、七〇%はいわゆる黒飯米で、規格外米として買い上げにならないわけですよ。そういったような例は各市町村とも大同小異です。やっととれた米のうち、半分から半分以下が黒蝕米として買い上げにならないという実態は、非常に深刻であります。これは町村単位にいったからこういうことになりますけれども、個人農家単位にいえば全量買い上げにならない。せっかくとれたんだが、しかも去年のよう状況の中でせっかくとれたんだが、全然買い上げてくれない、こういうよう状況があって非常に深刻です。しかも政府の規格によると、一デシリットルの中に三十一粒以上あれば買い上げ米とならないわけですし、三十一粒以下であっても五等米というふうなことで、安い価格になる、こういうふうなことです。政府の答弁書によりますと、黒蝕米として買い上げ対象とならなかったものは約二万四千五百トンだというふうに書かれておりますが、実際、私はもっとあったのではないかと思います。そういう状況にあって、昨年はとれた米の処理に困って、政府買い上げの別なワクをつくってほしいということの陳情もあったが、御承知ように、なかなかそのワクづくりもうまくいかないだろうからというので、ホクレンが自主流通米の特別扱いの形で処理するということになったわけでありますが、その現状を見ても、ホクレンは一たん買い付けの約束はしてみたけれども売れないわけですね。現在の段階では約二万四、五千トンのうち、半分の一万二千トン程度は友愛米という形で、農家の飯米用に、あるいは畑作農家に、あるいは労働組合等を通して売ろうという、そういう算段をしています。友愛米という運動。それから、残りの半分は食糧事業協同組合連合会との話し合いで売ろう、こういうようなことでやっているようですが、なかなかのようですね。ですから、昨年の黒蝕米の問題は、尾を引いていまでも非常に深刻な波を農村の中に立てているという状況です。しかもいまだにその原因がわからないわけです。原因がわからないんだから、ことしどんな形になるのか、新しい作付の中でどういうふうな状況が起きてくるのか、そいつがわからない。もしもまたこういう多発状況が起きたら一体どうすればいいのか、こういうことであります。  したがって私は、まず昭和四十二年ごろから出てきているこの問題に対して、北海道の農業試験場もあるし、国の試験場もあるわけでありますけれども、もっと真剣な取り組みで原因を究明し、対策を講ずるということができなかったのか、まずそのことから伺い、そして当面これの原因究明とこういうものが起きないための対策、それを早急に講ずべきではないかということを伺っておきたいと思います。
  16. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりましたように、昭和四十二年ごろから黒蝕米の問題があったようでございますが、特に昨年は非常に大量に発生したように聞いておりまして、われわれのほうといたしましても、できる限りその発生原因あるいは発生機構等を明らかにしたいということで努力をいたしておるわけでございます。北海道の道の試験場の上川農業試験場で、発生原因及び発生機構等、また国立の農業技術研究所でその菌を分離いたしまして、その同定をするという仕事をやってきておるわけでございますが、ただいま御指摘のように非常にむずかしい病気のようでございます。  それからもう一つ。黒蝕米といわれておりますけれども、黒蝕米というものの中には、いわゆる黒蝕米というものと、それから冷害時に出ますところの葉鞘褐変細菌病あるいはカメムシ等の害のもの等がまざっておりまして、特に昨年の北海道の気象状況が非常に冷害年であったということと、それからもう一つは、ちょうどその中間に非常に高温な時期がございまして、黒蝕米というのは大体二十二、三度以上になりますと発生いたすわけでございますが、非常にむずかしい気象条件のもとでございましたので、いまなおその原因をはっきりとつかみ得ないという状況でございます。いろいろな問題が複雑にからんでおりますので、われわれのほうも、道あるいは国あげまして共同の研究体制をつくり、努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  17. 安井吉典

    安井分科員 いろいろ聞いてみますと、去年あたりの農業試験場上川支場にも黒蝕米への対策、対応を一体どうやっているのだと聞いたら、北海道の予算では四十万円組まれていて、一人の病害研究の技術屋さんがそれなりに仕事を持っている中での片手間でやっているわけですよ。だから、それはわからないのはあたりまえじゃないでしょうか。ほんとうに真剣にこの問題を究明しようというかまえにはなっていなかったということではないかと思います。もっとも、それは、いまおっしゃったように黒蝕米と一口に言いますけれども、その中にはそれと一緒に混在しているヤケ米だとか紅変米だとかそういったような被害粒と、背黒米、胴切米、奇形米なども一緒くたにして黒蝕米というような言い方をされている面もあるようですね。あるようではありますけれども、さっき私が申し上げましたようなこんな被害に去年なるということの予想はつかなかったにしても、少し取り組みの体制がお粗末ではなかったかと思います、内容がわからぬのですから。わからぬやつというのは、どんなこわい状況が起きるか、それもわからないわけです。したがって、それへの体制がいままで十分でなかったということだけは、これは私は指摘しておかなければならぬと思います。  ですから、問題はこれからなんですが、地元でも事の重大さに驚いていまたいへんな動きで、たとえば旭川市なども四十六年度百万円の補正予算を組んだ。四十七年度予算にも百六十万円を組んで、自治体としてできる限りの研究の実験施設もつくってやろうというふうなかまえになった。それから町村もみんなそれぞれそういうふうなかまえになっているようです。北海道も四十六年度の予算では四十万円であったのを、四十七年度は四百十万九千円というふうなことで、ナイロンハウスをたくさんこさえて研究体制を強めていく、発生原因の究明に当たっていく。特にその原因が、バクテリアなのか、それから気象条件が中心なのか、農薬や肥料が問題なのか、土壌の問題もあるかもしれない。人によってはこれは公害かもしれないとか、品種にも問題があるのではないかとか、もういろいろなことを言われていて、どれ一つつかまえどころがないという状況で、指導の方法もないのですね、ことしの場合。ですから、何よりもその原因の究明が先ではないか、原因がわかれば対策も出てくるわけですから。だから、そういうふうな意味におきまして、この間の御答弁の中にも書かれておりますけれども、やはり国の農業技術機関が中心になって、北海道の農業試験機関、それと市町村のいろいろな動き、そういうようなものを黒飯米という一つのプロジェクトに集中をする形で問題究明を積極的にすべきではないか。こういうことに対して一応の考え方だけは述べられておりますけれども、私はやはり政府として、自治体でさえそれくらい予算を組んでいるのですから、きちっとした予算措置をするということが一つと、それからこれへのプロジェクトに相当する相当な人員を専従させるという、この二つを特に要求をしたいわけでありますが、どうですか。
  18. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまの問題でございますが、先生御指摘のように、確かに若干研究がおくれているのは反省いたしておりますが、菌の同定ということがございます。菌の同定をすること自体が非常にむずかしい問題でございまして、非常にわれわれも頭を悩ましておりますが、われわれのほうの北海道の研究の推進会議というのがございまして、その中に黒蝕米対策部会というのを特に設けまして、先般、三月十三日に北海道で黒蝕米対策部会を開催いたしたわけであります。なお、国の研究機関といたしましては農業技術研究所、それから食糧研究所、それから北海道の中に国の研究機関がございます。それから北海道立の研究機関がございます。それから先生おっしゃいましたように、いわゆる道の行政の方々の御協力をいただきたいということで広範の方に集まっていただきまして、先ほど御指摘どおりに品種あるいは栽培方法、その他各般の面から問題を詰めてまいりたい、そういうふうに考えております。  予算の件でございますが、予算につきましても、緊急事態に対応いたしまして使用できるような予算をワクとして持っているわけでございまして、その中でできるだけ努力していきたいと思います。  ただ、道のほうのいろいろ御意見を伺いますと、金額もさることながら、研究制度と申しますか頭脳を貸してくれという、そういう御要望がかなり強いわけでございまして、そういった関係も病菌関係の国の研究者を極力この特別部会に入れて研究を進めたい、かよう考えております。
  19. 安井吉典

    安井分科員 研究対策予算の配分も考えているということと、頭脳を貸してくれという要求にも応じよう考えているということでありますが、その予算というのは一体どのくらいくめんできるわけですか。その研究対策予算、それからまた、研究者としてどれぐらいの割愛ですか割譲ですか、できるとお考えですか。
  20. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 まだ財政当局とも相談をいたしておりませんですが、その特別緊急予算のワクというのはそう大きなものでもございませんで、ただいまのところそう大額とは考えられないのではなかろうかと思っておりますが、やはりたくさん研究費をつけるということは、同時に研究者をどのくらい動員できるかということとも相関連してまいりますので、病菌関係の研究者というのは全国にたくさんおりますけれども、そうたくさんというわけじゃございませんので、研究体制と研究費と並行いたして考えてまいりたいと考えております。
  21. 安井吉典

    安井分科員 なるほどそのとおりと思いますね。この二つは相互関係があるわけで、予算をうんと出せば、何人も人をさくことができるわけですね。ですから、その金額も、全体的に大体どのくらい使えるワクなんですか。
  22. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 全体でこれまでに使ってまいりましたのは、大体百万ぐらいの段階の研究費を特別のものに使用するというようなことをやってきておるわけでございまして、研究費と申しますのは、御承知ように、こういうことを申し上げるといけないかもしれませんけれども、その研究者が十分に使い得るということを前提にいたしておりますものですから、特にこの問題だけにどのくらいの国の研究者を投入できるかということを、並行して考えてまいりたいと思っております。
  23. 安井吉典

    安井分科員 それは百万全部にしても、北海道は旅費だけでもたいへんですから、やはり別ワクをお使いになるということももちろんやっていただかなければならぬと思いますけれども、別ワクでもめんどうを見るというくらいなことにしないと、ことしの秋問題が起きなければいいと思いますよ。起きなければいいけれども、もしも起きたということになれば、これはたいへんなことになるんじゃないかと思います。しかも起きないという保障がないものですから、それだけにやはり、この対策には予算措置と人の配置の問題をもっと積極的に考えておいていただきたいと思います。大臣にはあとでまとめてひとつ御意見を承ります。  そこで、ことしのとれたお米については、自主流通米という形でホクレン処理という処理方法がとられたわけでありますが、現実はそのあと始末にたいへん弱っているという状況であります。しかもこれは昭和四十七年の秋どうなるかということは、いまの段階ではだれも予想がつかないわけであります。やはりこういう場合に、もう少し食管制度そのものを活用して処理をするというふうなことは考えられないものだろうか。ことしの場合は、四十六年産米は、いまの段階ではどうしようもありませんけれども、新しい段階でそういう考慮も必要ではなかろうか、こういう点が一つございます。
  24. 亀長友義

    亀長政府委員 本年、いまお話しのとおり、私どもも北海道といろいろ打ち合わせをしまして、自主流通米として金利、倉敷を見るようにいたしましょうということで御処理を願っておるわけでございます。  今後の問題ということに相なりますと、やはりこういう黒蝕米について、食管という制度は本来配給にして主食用で食べていただける米を買うというたてまえでおりますので、黒蝕米につきましても一デシリットル三十粒以内のものを買う。これも災害のような特別のときだけ指定して買うという制度を二十六年来続けておりますので、かりに食管の業務から申しますと、それを買うにしても、今度逆にそれが販売面でなかなか買う人がいないという問題になってまいりますので、私どもとしましては、やはり検査規格の問題を急速に従来から変えるということは、なかなかむずかしいんじゃないかと思います。自主流通米としてやる場合のやり方につきましても、明年度もし発生をいたしますれば、もう少し考えなければならぬとは思っておりますけれども、ことし出ましたような大量のものが出ますと、これはいわゆる食管の配給用として買うということは、私は依然としてむずかしいのではないかと思っておりますが、他の面で、これは私、自主流通米あるいは農政全般の問題として何か検討を進めなければならぬというふうに考えております。
  25. 安井吉典

    安井分科員 ことしといいますか、去年とれたお米の処理については、ホクレンで電光選別機を買って、聞くところによりますと、一台が千二百万円で十台を英国から輸入したと、こういうんですね。旭川のホクレンの支所のライスステーションにおいて、コンピューターシステムで識別、色によって黒い米だけぱっぱっとはねていくという形の処理をするそうですが、一台の機械で一時間に三、四俵からせいぜい十俵あまり能率はよくないんですよ、値段のわりに。もっともっとこういう機械の改善も行なわれるかもしれませんけれども、いまのところは、国内にできないから英国の輸入で一億以上もかけてそういう機械を入れてやっている。しかもそれでできたお米が友愛米という。その考え方もヒューマニズムがにじみ出ているのかもしれませんけれども、しかし何か、一ころの昔の問題処理のような気もするわけですね。そこまでやって、やっと農業協同組合の連合会が処理に当たるという。しかし一方、これは食糧管理制度という厳たるシステムがありながら、全く手をこまねいている。いまおっしゃったように、性格は一応別なものかもしれません。ジャンルの違う問題かもしれませんけれども、何かちょっと不自然なような気がするわけですね。ですから、これは、ぜひ新しい段階の課題として検討しておいていただきたいわけです。いまのところ、ことしどうなるかということはわからないわけですから、あらかじめどうというわけにはいきませんけれども、やはり私はこの黒蝕米の問題、これは北海道にたまたま出た問題ですけれども、全国至るところで新しい問題が起きないとも限りません。したがって、それらに対応する食管制度の仕組み、米は一切国が管理するのだという、そういう仕組みの活用もぜひ考えておいていただきたいと思いますが、どうですか。
  26. 亀長友義

    亀長政府委員 食管がどこまでそういう農政的な機能を持つべきかという問題は非常にむずかしい問題だと思いますが、それはそれとしまして、黒飯米の問題につきましては、農政局と打ち合わせながら今後十分対処してまいりたいと考えます。
  27. 安井吉典

    安井分科員 それからちょっと共済金の関係も、黒蝕被害粒を控除して収穫量を決定するという仕組みだけは去年もとられたわけでありますけれども、さっきお話がありましたように、一デシリットルに三十粒以上あったらその黒蝕米が買われないのではなしに、それを含んだ米、俵一俵が買ってくれないわけですから、つまり現在の農業共済の仕組みというのは、収穫保険として、お米でありさえすればそれでいいわけであります。とれたというふうにみなされるわけでありますが、しかし、米であるけれども一定の基準よりも低い米しかとれなかったといういわゆる質の問題も、何とか共済の対象にならないものだろうかと、去年のそういうふうなひどい事態の中で農民の声があるわけでありますが、それについて何かお考えがありますか。
  28. 小暮光美

    ○小暮政府委員 農業共済制度は、水稲の場合に、御指摘のように収穫量という量的なものに一つの筋道をつけて制度を仕組んでまいっております。ただ、今回のような非常に広範囲に黒蝕米等による異例の姿が想定されるというときには、損害評価をいたします前に、事前に損害評価の特例措置というものを発令して、技術者にできるだけ足まめに現地を歩いてもらいまして、坪割り等によってこの被害の状況を把握するようにつとめたわけでございますけれども、非常に規模が零細な場合にはある程度人力作戦で選別等をやれるのですが、北海道の場合には非常に経営規模が大きいために、そのことが通常の場合にはメリットなんですけれども、こういう異常な事態に即して被害粒を除去するということはなかなか困難であるという実態があるということは、私ども承知いたしております。ただ、米の場合に、これは申し上げるまでもないことですが、全収穫量について、しかも通常一筆建てで共済にかけるということになっておりまして、しかもこのような異常な災害のときには、できるだけ早く共済金を払おうというもう一つの要請もございます。米が生鮮食料品と違ってかなり長時間もつものでございますし、それから自家飯米に回る率がほかの作物に比べて非常に大きいというようなことがございます。私ども技術的に何とかならないかということで、ずいぶん担当の者にきびしく言っていろいろ議論さしてみたのでございますけれども、いまの米の場合に、まだ全面的に農家単位、しかも販売数量だけの共済というような仕組みにはならないわけでございますので、現状の仕組みのもとでは、品質低下の問題はじかに制度の中に織り込むことは非常に困難ではないか。ただ、損害評価の特例措置の実施の面につきまして、この秋の経験をできるだけ正確に把握しまして、今後同じような事態に即して損害評価の特例をやります際に事務上の参考をその中からつくり上げるということで、現地でもいろいろ御協力をいただいておるわけでございます。
  29. 安井吉典

    安井分科員 時間がありませんので、いまの問題は、災害補償法の改正等の段階でさらにまた議論に移したいと思います。  最後に、農林大臣にいまの黒蝕米の問題の原因究明や対策等についての結論的なお答えをいただきたいのと、お立ちになったついでにというとおかしいのですけれども、サケ、マスの資源評価等でほぼ合意に達した日ソ漁業交渉、昨年よりは交渉のテンポはわりに速いようでありますけれども、やはり早く有利な解決をという、それが国民全体の願いだと思いますが、一割減船というふうな話も聞くわけでありますが、日ソ漁業交渉の見通し等もつけ加えてお話し願いたいと思います。
  30. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 黒蝕米につきましては、安井さんが政府に質問書を出してくれたので、非常にこれは政府全体としても重大な関心を持つようになったことはけっこうなことだと思うのです。予防対策、そのとおり十分研究いたしたいと思います。  漁業の問題については、漁業の問題は、いまのお話のとおりサケ、マスの資源のほうの検討は終わりまして、これから実質的な審議に入るように向こうから連絡があります。カニのほうはまだ入りません。実は見通しとしては、私は、去年、おととしのように長引くようなことはないと思います。しかし、御承知ように、ことしはマスのほうの不漁の年ですから、ある程度の減船というようなことは、これは話し合ってせざるを得ないと思いますが、速度は去年などよりは速いだろうと思います。しかし、カニなんかがまだ入りませんから、ちょと出漁期に差しさわりがあるのじゃないかと思って、いま心配しています。せっかく促進するように、これをこっちのほうでも向こうのほうへ督励しています。  また、お話しになりませんが、きのうの電報によりますと、イシコフ大臣も四月の上旬に来たいというような情報もありますから、そのときにも、早くこれをきめていくよう、そして日本にそう不利益でないようにきめていくように話してみたいと、こう思っています。
  31. 安井吉典

    安井分科員 終わります。
  32. 植木庚子郎

    ○植木主査 次は芳賀貢君。
  33. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林大臣にお尋ねいたします。  農林大臣は、先日、農林水産委員会において所信を表明されたわけでありますが、その中で特に林業の問題については、国有林といわず民有林といわず、重大な局面を迎えておるということを述べられたわけでありますが、それに対してまずお尋ねいたします。  林業基本法が制定されたのは昭和三十九年、ちょうど赤城農林大臣の時代であったわけですが、その後八年経過しております。ですから、こういう林業問題が危機的な段階に至っておるというようなことを政府自身が自認するということになれば、林業基本法というものが相当重要な機能を発揮する必要があると思いますけれども、われわれの見たところ、農業基本法と同じように全く林業基本法を眠らしておいて、何らの機能を発揮させないというのが政府の林政に対する取り組みではないかと思うわけです。この点についてはどう考えていますか。
  34. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 森林が国有林、民有林を問わず、根本的には公益的機能を持っており持たせなくてはならぬ、こういう考えを私は持っています。でありますので、林業基本法なども、国有林ばかりでなく、森林全体に対して活用して生きていくようにしなければならない、こういうふうに思っているわけであります。そういう点におきまして、国会等においても決議などもありまするし、時代も、林業に期待するといいますか、こういう時期でございますので、その本質を生かしていくように林業基本法も、眠らしておったように言われますが、確かにそういう点があったと思いますが、大いに活用してその精神にのっとって力を入れていきたい、こう思います。
  35. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは林野庁から出した「林業関係要求予算の概要」というものですけれども、この中で特に問題点を指摘しておるわけです。その中で重要な点は、最近の一年間の木材の需給動向から見ると毎年毎年外材の輸入量が増大しておる。四十六年度においても国内の総需要量が約一億立米をこえておるわけですね。そのうちの六〇%の六千万立米というのがこれはもう外材ですから、そうすると総体の需給の中で外材に対する依存度がだんだん高まってきております。こういう点は林業基本法をつくったときはあくまでも国内の森林政策、林業を拡大発展させて、どうしても足りない分は経過的に補完的に外材によって需給を調整するということだったのですが、それがもう逆な結果になったわけです。ここにやはり問題があるのです。結局国内の最近における林業の、国有林もそうですけれども生産力というのは目に見えて低下しておるわけです。これは政府の長期に及ぶ高度経済成長政策に追随する意味でその林政の基本を忘れて何でもかんでも高度経済に追いついていけばいいということで、国有林経営にしても乱伐、過伐をずっと続けたわけだから、一番大事なときに国内の需要にこたえるために国有林の生産、供給力を高めるということができないわけです。政府自身が、農林省、林野庁自身が国有林を荒廃におとしいれてしまったわけです。肝心なときに馬力のかけようがないでしょう。こういうことは正直にいっているからわかっておるのだなと思いますけれども、その点と、もう一つは、一番大事な林業生産に従事する林業労働力が極端に枯渇しておる。農業といわず林業といわず、総体的に労働力人口が他産業に流出しておるわけですから、その中で林業従事者が定着しておるというようなことは考えられませんが、しかしこの傾向というものは今後の国有林の経営あるいは民有林の経営の上においてはこれは重大な問題ですね。たとえば昭和三十六年度の林業従事者四十四万を一〇〇とした場合、四十五年は従事者は二十万ですから、三十六年に対して四五%に労働力は低下しておるわけです。  もう一つの問題は林業労働力の質的低下の問題です。これは労働者の年齢階層によると明らかになるわけですけれども、これも四十一年と四十五年を比較すると、昭和四十一年は二十歳から四十歳までの中核的な年齢階層が全体の五二%、それが四十五年には三八%に低下しておるのです。それから四十歳から六十歳については、四十一年は四一%であったのが四十五年は五二%というふうに、特に中高年層が中心になって林業に従事するというような傾向が出ておるわけです。はなはだしいのは六十歳以上については、四十一年は五%であったのが四十五年には八%になっておる。男女別でもそうです。だんだん男子の従業者が減って、それにかわって林業における女子の労働力に依存しなければならぬというふうな、まことに好ましくない、発展性を期待できない労働力構成ということになっておる。この問題を無視して今後林業政策の改革であるとか、あるいは国有林の経営を根本的に改善するということはできないと思うのです。この現実の重大な問題をとらえて、それでは具体的に基本方針としてどうやるか、これは特に林業基本法をつくった農林大臣から聞いておきたいと思うのです。
  36. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま御指摘のよう状況だと思います。高度経済成長を続けましたから。私はあまり感服しなかったのですが、そういうことで完全雇用に近くなっておりますが、農業あるいは林業の労働力というものがどんどん工業方面あるいは都市方面に流れていく。こういうことで労働力が不足する、あるいはまた高度成長下におきまして、いろいろ建築や何か盛んになって、そういうときに需要が国内の材料よりも安い外材を輸入してそれに充てる、こういうよう関係から外材の輸入もふえてきておる。そして国内の森林資源では間に合わないし、高い、伐採もあれしてきた、こういうことで国有林会計というか、財政も芳しくないよう状況、人も十分充足されないという状況。そこでこれは国全体、経済全体や何かの関連もありまして、森林政策というだけではまいりませんけれども、しかし森林の基本法もできてきて森林としての対策というか方針もきめてあるのですから、それにのっとって、ひとつ御指摘のような点もございますので、いま林政審議会なんかにもかけて、国有林のあり方あるいは経営あるいはまた何といいますか人的資源の問題、そういう問題を含めて、いま検討して、ことし中に何とか案を出してひとつ御批判を仰ぎたいし、お力添えも仰ぎたい、こういうふうにせっかく検討中でございます。  なお幾ぶんそれに関連して申し上げることがありましたら、林野庁長官から申し上げてみたいと思います。
  37. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま大臣が触れられましたが、特に四十七年度の国有林特別会計予算においても最初から百億円の赤字予算をつくっておられるでしょう。おかしいのですよ。当初予算から百億円の赤字予算をつくっているわけですからね。歳出は千七百億、歳入は千六百億、赤字百億円、去年は五十億の赤字予算でしょう。第一、政府の予算の中に入っておるでしょう、特別会計予算というのは。政府が国会に提出する予算の中で、国有林事業に対する特別会計予算を、わざわざ赤字予算をつくる必要はないじゃないですか。これはおそらく国有林の事業というものは赤字基調になっておる、予算をつくるにも百億とか五十億の赤字を出さなければ予算編成ができませんということを、意図的に誇大に宣伝するために赤字予算というものをつくっているのでしょう。それ以外に何も理由はないのです。そういう宣伝をして、だから国有林経営というものを経営第一主義で抜本的に改善しなければならぬということを、いま林政審議会に諮問して審議を求めているわけでしょう。こういうのは、いま大臣が言われた答弁と全くやり方が違うのですよ。特に農林大臣自身も、森林の公益的機能というものがますます国民経済的にも増大しているということを言っておられるわけですね。それは何かというと、結局森林の持つ国土保全、水源林の涵養、環境の保全、国民の保健、休養等の公益機能に対する国民的要請はますます高まっておる。これに対応して十分な政策を進めなければならぬということを言っておられるわけですね。ところが問題は、公益的機能を国民の期待にこたえて実行するということになれば、これはもうからぬのでしょう。どれ一つを取り上げても、これを一生懸命にやれば何十億、何百億の事業上の収益が上がるというものじゃないのですよ。何ぼつぎ込んでもまだ足りぬというようなことを国民の期待にこたえてやるということになれば、当然従来の経営方針から見ると特別会計の事業収益でまかなうことはできないのですよ。当然こういう問題については食管にも例があるとおり、消費者に安い米を供給するためには、食管で三千億の赤字が出てもそれは消費国民に対して安定的な米を供給するためにこれを使うということでやっておるわけだから、何もおどおどして、百億円赤字が出ますなんということじゃなくて、こういう公益的機能を発揮する目的についての費用は、十分農林大臣として大蔵省に要求してこれをちゃんとつける必要があるじゃないですか。四次防の先取りさえいまの政府はどんどんやっておるわけだから、国民が一番望んでおる公益機能を発揮するための予算なんというのは、これは最優先に必要なものを確保して計上するというのは当然だと思うのですね。これはどう思っているのですか。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いや、そのとおりです。そのとおりで、私は何も異論はありません。何しろ国有林の経営というものは営利事業じゃありませんから、営利でもうかるというわけじゃない。ですから、特別会計になっていますが、公益的の機能をますます発揮させる、これを営利事業的にやれば赤字が出るのはあたりまえです。ですから、こういう事業は国の一般会計から相当出さなければ、公益機能というのは発揮できません。だから、たてまえは特別会計になっているけれども、むしろあなたの言うとおりやっていかなければいけないと私も思いますよ。同感です。ひとつ激励してください、私もそのようにやりますから。
  39. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林大臣はわれわれが激励しなくともその信念でやっているのですからいいのですよ。ところがほかの者がそのとおりやらぬところに問題があるのでしょう。だからあなたが気をもんでいるわけですよ。午後の分科会で大蔵大臣にこの点をただしますけれども農林大臣もそう言っていたということでやりますけれども。そうなれば結局国有林の職員の首切りをやるとか整理をやるなんということは必要ないのですね。公益機能を発揮する仕事をやるということになれば、いまの陣容では足らぬのじゃないかという問題も出てくるわけですからして、そういう点はやはり林野庁長官に対しても基本の方針だけは大臣からきちっと指示をして、そのとおりおまえさんやってくれということで、ぜひ監督指導をしてもらいたいと思います。  これに関連していままでの経過的な問題としては、坂田農林大臣のとき昭和四十一年に二確認事項というのがあるのですよ。これは林業基本法を踏まえて三月二十五日と六月三十日の両度にわたって、農林大臣が国有林の運営に対する基本問題についての確認を国会においてやっておるわけですね。これは国有林野事業というものはあくまでも直営直用方式で行なうのが基本である。そのためには臨時的な雇用というものは抜本的に改善して通年雇用制度に改める、これを基本にしたいわゆる二確認事項というものがあるわけですね。  それからその後昭和四十二年十二月でありますけれども林野庁長官と、公共企業体の労働法規に基づく、全林野労働組合との間において、労使間の三確認事項というのがある。これは前に述べた二確認を基礎にして労使間で確認された事項でありますが、この三確認事項というのはすでに農林大臣も御承知のとおりであります。その三点の第一は、国有林事業に一番大切な基幹労働力ですね、基幹要員については通年雇用に改める。第二は、基幹要員については常勤性を付与する。第三は、処遇関係については常勤職員にふさわしいものに改善する。つまり常勤制に準じた処遇を行なう、こういうことになっておるわけです。  さらに最近におきましては、昨年の三月二十五日には衆参両院におきまして林業振興に関する特別決議をこれは各党全会一致で議決を行なっておるわけですね。これに対して政府としてはこの国会の議決事項については林政の基本に触れる問題であるので十分趣旨を尊重して実現に努力しますということを明確にしておるわけです。この中にも、いま述べました林業のにない手である基幹労働者の処遇の問題等についてはかくあるべきことを明確にされておるわけですが、これがなかなか進んでいない。  さらに昭和四十六年四月十三日には、国有林野事業の作業員の取り扱いに関する政府の統一見解というものが、これも国会の農林水産委員会に正式に表明されておるわけです。この統一見解に参加した関係当局は、農林省はもちろんでありますが、大蔵省、行政管理庁、総理府あるいは人事院、こういう関係各省の統一的なこれに対する見解というものは国会に明らかになっておるわけであります。だから国会としてもたびたび政府の行政に対して的確に志向するところを示して、そして政府としても十分な機能を発揮して最大の努力をしてもらいたいということで鞭撻をしておるわけでありますけれども、ことしの林野庁関係の予算内容を見ても、あるいは国有林事業の職員の処遇の改善あるいは制度上の改善等についても、われわれとしては積極的にこれをやっておるというような点がなかなか見受けられないわけです。ですから、この機会に大臣からそういうような点できるだけ具体的に明らかにしてもらいたい。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは三十六年度に定員外職員を定員に入れるということで、大体成立というか、だいぶ入れて、それであとで内閣全体として定員の増加は、定員に持ってくるということは差しつかえるということになって、そのままになっておるわけなのですから、決議は尊重しているのですが、これをくつがえすというか、これを変えるということはなかなかできないものですから、そのままで、残念ながらそうなっていることは御承知のとおりです。これにつきましては、十分検討したり折衝したりしていかなくちゃならぬ問題であると思いますが、なおその後、三十六年大臣のときだったものですから、それをよく私は覚えておるのですが、その後の状況等につきましては、芳賀さんが何でも知っているわけなのですが、林野庁長官何かちょっと言いたいようですから、言わしてください。
  41. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間があれば長官からも補足してもらってもいいのですが、とにかく委員長から三十分というふうに限定されたものですから……。  そこで常勤性を付与するということになれば——これも制度の制じゃないのですよ、性格の性の常勤性というのは、われわれとしてはある程度明解を欠いた表現になっておるのですけれども、とにかくこれは、いま大臣の言われた常勤職員というのは、定員内職員ということに当然なるわけですね。ところが農林省や林野庁が一番大事な国有林の基幹労働力といわれる基幹要員を、わざわざ、いやこれは常勤職員じゃありませんということで、あなたがはずしたわけでしょう。あなたというより、農林省ががんばって、これはそうでないということではずして今日に至っているわけですから、はずした農林省として、実はあのときはちょっと言いづらくてはずしましたけれども、実態はこれは当然定員職員として、常勤職員として制度的にも処遇せなければならぬ人員は、常用作業員が一万六千人、定期作業員が二万一千人、合わせて三万七千人いるということを農林省から明らかにして、関係各省の大臣に協力を求めるという順序でないと、ほかの役所が一生懸命で心配しておるのに、農林省がへっぴり腰で全然進まぬということになると、気持ちだけはあっても、なかなか前進しないということになるのじゃないかと思うのです。ぜひこれは赤城さんが農林大臣やっているうちに片づけてもらわぬと、またあとで変な大臣が出たりなんかすると、また後退したりするから、林業基本法成立当時の大臣として最大の努力をして、これは私の目の黒いうちにやる、ぜひそういうことをここで明確にしてもらいたいのですよ。(「大臣、がんばってくれ」と呼ぶ者あり)
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまがんばってくれと声がかかっておるから、がんばりましょう、がんばるほかないので、私が約束してもこれは一人でできない、内閣全体の定員問題でもあり、行政管理庁のいままでの方針もありますし、そういう方面と折衝していくほかないわけであります。
  43. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣としては実行する気はあるのですね、努力する。それがまず明らかにならなければ、行管庁側に話してもしようがないですよね。その点だけはひとつはっきりしておいてください。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それはよく林政審議会等においてもいろいろ検討しています。どの程度どういうふうにやるかということの検討も経て定員に入れるべきだ、どの程度入れるべきだということになれば私は大いに努力します。しかし、根本の問題も、まだ十分私最近の状況を聞いていませんから、それも聞いてからでないと、やる気持ちはありますが、どの程度どういうふうにがんばるかということは、その上でないと申し上げられません。
  45. 芳賀貢

    芳賀分科員 ちょっとおかしいじゃないですか。林政審議会に意見を聞く必要はないでしょう。とにかく農林大臣としては、昭和四十一年には二確認というものを明らかにしておるわけですからね、あるいはまた昨年は国会に対して基幹要員に対する政府の統一見解というものを明らかにしておるわけですよ。自分が見解を明らかにして、林政審議会に聞いてみなければわからないという、そんなばかな話はないです。それは別の問題でしょう。私が言っておるのは、いままで政府としてやりますと言った問題が全然前進しておらないではないか、相当困難な事情があるとしても、これを解決するためには、まず所管の農林大臣が積極的にやる決意に立たなければ——これは制度上の問題からいえば、各省等にも関係があるわけだから、農林大臣だけの所管でこれをきめるわけにいかないことはわかっております。しかし、中心のあなたがやるという気にならなければこれはできないじゃないか。だからほんとうに農林大臣として、この国会においても林業の危機を述べられたわけですからして、これを打開する第一の段階において、一番大事な国有林事業に従事する基幹労働者の未解決であった処遇の問題や制度上の問題について、明快に解決する努力をもって進むのだという決意があるならあるということを言ってもらえば、われわれもできるだけ協力するにやぶさかではないですよ。この点だけ大臣から明らかにしてもらいたい。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは林政審議会で直接定員の問題をどうこうということはないのですが、国有林のあり方について審議会も職員の問題も触れると思います。ですから、そういう問題も検討する、あるいは私だけが一人飛び出してみたって、これは内閣全体として、ほかの省もこういう定員を回すなら回す、どれくらい回すということは、協調するというか話し合いをしないと、こっちだけ一人で飛んで歩いてもなかなかそれはできないことでありますから、そういう各方面のこともよく話し合って、探って、そして農林省農林省としていまのお話しのような進め方をするつもりでおります、またしたいと思いますが、する前にいろいろその状況を探るといいますか相談をするといいますか、そういうようなことが必要だから、そういう状況もよく検討してから大いに進みたい、こういうことを申し上げておきます。
  47. 芳賀貢

    芳賀分科員 どうもいつもの赤城さんと違って歯切れが悪いですね、最後は。冒頭は相当信念のあるようなことを言って、いまの締めくくりがどうもあいまいなんですね。  だからもう一回これを読んでみます。これは政府の統一見解でしょう。昭和四十六年四月十三日に表明されたものです。「国有林野事業の作業員の取扱いについて 国有林野事業の基幹的な作業員の勤務形態の取扱いについて関係省庁と協議いたしましたところ、次のよう見解を得ましたので御報告いたします。  国有林野事業の基幹的な作業員は、その雇用および勤務の態様からすれば、長期の継続勤務となっていること等、常勤の職員に類似している面があるものと思料される。しかしながら、これらの基幹的な作業員を制度的に常勤の職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわる仲々困難な問題でもあるので慎重に検討して参りたい。」これが農林省だけではないのですよ、各省庁の統一的な見解というのが明らかになっているわけですからね。これを踏まえて、それでは農林省としては、常勤職員と類似している、この点については、労使間の三確認で、常勤性を付与しますということを、正式な団交で林野庁長官は組合にこれを明らかにしたわけですよ。それを裏づけするように統一見解はうたっておるわけですからね。これをやはり具体的に前進させる必要があるではないですか。それとこれが実現するまでの間、同じ作業をやっておりながら常勤職員と非常勤職員である常用作業員の賃金にしても、待遇の内容にしても、あるいは災害制度や退職の問題とか、社会保障の問題とか、それぞれ大きな格差があるわけですからね。公務員として平等にこれを処遇しなければならぬという政府のたてまえから見て、同一労働をやって国の事業に奉仕しておる大切な基幹労働者に対して、制度的な改善ができるまでの間は当然処遇面においてこれは常勤に準じた取り扱いをするということはあたりまえじゃないですか。これは林野庁として、農林省としてできる問題ですから、だからこれをやるということになれば、まず所管の農林大臣が先頭に立ってやるという気力を高めて一番先に進んでもらわなければ、関係各省はなかなか協力が積極的にできないと思うのですよ。だから、これをやる御意思で今後進むかどうかということを聞いておるわけですからね。この点だけくどいようですが、明確にしてもらいたい。やるならやるでそれでよろしいのですから。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 統一見解というのはどこの統一見解だかわかりませんけれども、内閣で、閣議で決定しておることもございます。でございまするから、私は努力しても、私だけ努力したからといって、内閣全体としてあなたの言うよう方向、また私の考え方向へ行かなけりゃ、これは実現しませんから、私は大いに努力するが、各省も話したり、あるいは内閣全体の閣議決定をあらためて生かせるようにしなければ実現しないということをさっきから申し上げております。努力は大いにします。
  49. 芳賀貢

    芳賀分科員 努力するというのですね。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そうです。そうでなければ、ほかと相談する必要はないのですよ、努力するのですから……。
  51. 芳賀貢

    芳賀分科員 そういうふうに明快に言ってもらえばいい。
  52. 植木庚子郎

    ○植木主査 次は、田中昭二君。
  53. 田中昭二

    田中(昭)分科員 きょう、私は農林大臣並びに林野庁長官並びに環境庁の局長にお尋ねいたします。  福岡県に三郡山という山がありまして、そこにあります国有林がものすごく自然破壊がなされて、そしてその国有林は水源涵養保安林ということでありますが、市民の生活権を脅かすような水の枯渇の問題、水不足の問題、並びに国有林伐採にかかる林道工事のために環境が破壊されておる、こういう問題をお聞きしていきたいと思いす。  御存じかと思いますが、きょうの新聞等にも農林漁業の第三次産業に関する調査研究会、こういうもので、これは政府の経企庁でございますか、国土に緑の空間を取り戻さなければならないというよう考え方、いままでの経済中心の、いわゆる都市中心の、工業開発中心の新全総の考え方も変えなければならない。発想の転換をしなければならない、このようなことが報道されておりますが、またローマクラブの報告にもこの国土の緑、環境保全ということが重大な問題だと取り上げられている時期であります。そういう中で国有林が無謀な伐採を続けて、そして市民の生活権まで脅かしておるという問題はこれは重大な問題だと思います。  そこで、時間も制約されておりますから、具体的にいま指摘しました国有林の関係につきまして申し上げますが、ひとつお答えは簡単にやっていただきたい、こう思います。  まず福岡営林署管内にありますいま申し上げました宇美国有林の伐採につきまして、伐採並びに造林につきましての事業の実行状況を簡単に説明願いたいと思います。
  54. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 お答えいたします。  福岡営林署の宇美国有林、これは総面積が一千五十七ヘクタールでございます。水源涵養保安林に指定されておりまして、従来ともこの指定施業要件の範囲内で施業を行なってきているわけでございます。  それからほぼ六割がすでに杉、ヒノキの造林地となっております。そのうちかなりの部分は二十年生未満のきわめて若い幼齢林でございます。昭和二十七年度以降四十五年度までの十九年間に、累計しまして二百九十七ヘクタールを伐採しておりまして、そのあと地については杉、ヒノキを人工植栽した結果、現在のような人工造林が主体になっておるよう状況でございます。この伐採、造林に際しましては、必要な林道を施設しておるのでありますが、そのほか国土保全上の観点から山腹工とか、あるいは堰堤工のような治山事業も実施しておるものでございます。
  55. 田中昭二

    田中(昭)分科員 この国有林の年々、二十年間いま切ったということをおっしゃいますが、その切り方ですが、そういう面積というのは大体どういうふうに算定されるのですか、きまりがあればお答え願いたいと思います。
  56. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 伐採します際、これは先ほど申し上げましたように、水源涵養保安林でござます。したがいまして、地域の面積を伐期に、これは樹種ごとに、場所ごとに何年でその木を切るかという伐期をきめておりますが、それで割りました面積を単位にして伐採するのでございます。
  57. 田中昭二

    田中(昭)分科員 お答えが、規定のとおりにお答えになったようでございますが、大臣、これがたいへんな問題を起こしておるわけですね。まず、国有林のそこにあります面積ですけれども、これは総体面積が重要になってくるわけですが、その面積がいま営林署のほうでは千五十七ヘクタール、こういうふうに言われたのですが、私が調査した、また聞いたところによりますと、一般の常識として、大体これは七百ヘクタール、七百町歩と、ヘクタールも町歩もあまり変わりませんから、一般が言っている、その陳情書の趣旨どおりに書いてあるものから見れば、この七百町歩の国有林の七〇%以上伐採されているということになっている、こういうことを一般の人は言うわけです。そこで、役場で土地台帳等から見まして、いろいろな県の実態調査もありますから、見てみますと、七百一ヘクタールという、こういう数字が出ている。それをいま営林署のほうは千五十七ヘクタールだ、こういうふうに言われるわけですけれども、私はこの山というものは、土地というものについては私も多少経験がありますが、大体普通山林というのはなわ延びという、台帳より実測すれば広くなる、こういうのが通常でございますが、そういうことを考えれば、私はこの千五十七というのは、実測したものなのか、実際問題として千五十七というのはどんなふうにやって実測したかわかりませんが、その辺がはっきりしておりませんと、問題点が変わってきますから、まず千五十七ヘクタールという営林署の実測ですか広さと、県、役場等の実態調査による七百一ヘクタールというその差はどうして出たと思われるのか、大臣と長官から一言簡単にお答え願いたい。
  58. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま御指摘の差でございますけれども、先ほど申し上げましたのは営林署全部の面積でございます。ただいま先生御指摘の七百一ヘクタールというのは、宇美町に属する面積になっております。営林署は宇美町ばかりでなくほかの町も入っております。宇美町に関する面積は七百一ヘクタール、こういうものでございます。
  59. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣から面積のことにつきまして……。
  60. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま林野庁長官が答えたとおりだと思います、私は実際に見てもおりませんし調査もしておりませんから。しかし、お話ように山にはなわ延びはたいていありますが、いまの話は林野庁長官の答えとすると、なわ延びじゃなくて、宇美町全部の面積とその場所との差というふうに私は聞いたんですが……。
  61. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それはそうじゃないのですよ。国有林の全体の面積が千五十七であるならば、初めからそういうことにならなければいけないのです。ところが私が事務当局といろいろ話した段階では、そうじゃないというのです。そうじゃないということだけ指摘しておきます。  問題は、そうなりますと県並びに町村が実測したという七百ヘクタール近くの面積というものと、これはいろんな国有地がある場合には市町村には交付金等も交付されておりますが、こういうことに関係してくるのですね。実際は千あるものを七百というふうなことで、公金をやったり取ったりしておるということになりますと問題になります。これはまた後日に譲ることにいたします。  いま大臣に見てもらっております写真の一番上にありますのが、その山系の伐採された写真であります。それを見れば、だれが見ても山がはげ山になってしまっていることはわかるんです。そういう状態で、水源涵養保安林というのはどういうことになりますか。水源涵養保安林というのは、どういう規定であなたたちは管理しているのですか、それを簡単にお願いします。
  62. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のように、この写真を拝見いたしますと、切ったあとに造林をしております。私たちは、水源涵養保安林というものを管理いたします場合には、先ほど申し上げましたように、一応伐採の面積を指定しております。全体の面積を伐期齢で割りまして、それを原則としてやっております。必ず切ったあとには植栽をしております。天然自然の林を見ますと、実際はその場所によっては非常に老齢、過熟な成長のとまっているような林もあります。こういう林は、御承知ように台風に非常に弱いとかあるいは虫害にも弱いとかいう不健康な林でございます。したがいまして、できるだけ健康な若い林をまぜた森林を育てる、それが水源涵養の使命を達成するためにはいい森林である、かように存じております。そういうよう方向に向かって、実際には天然に放置せずにある程度伐採いたしまして、若い林に切りかえていくという方針をとっております。
  63. 田中昭二

    田中(昭)分科員 この写真を見て植わっておるというけれども、植えてありますよ。植えてあるのが水源涵養保安林としての使命を果たすまでには何年かかりますか。それで水源涵養保安林としての使命を果たせますか。私は実際現場を見てきましたけれども、現場を見ていないからそういうことをおっしゃるのです。かりにいまあなたがおっしゃったように、水源涵養保安林として標準伐期齢をきめて、場所をきめて、大体何ぼというふうにきめておるというけれども、そのきめておるものを一林班で七〇%も切っておるんですよ。大体標準伐期齢を四十年とすれば、四十年に一回ずつ分散して切るというのが水源涵養保安林の使命じゃないですか。それをそこに図面があるから大臣見てください。その赤の地図です。それだけ八林班から十四林班まであるわけです。その千五十七を八から十四までの林班に分けてありますが、その中で十三林班は、その色塗りしてあるところは全体の面積の七五%です。そんなことをして水源涵養保安林といえますか。全体千五十七をそれだけの十四の林班に分けておれば、常識的にも四十年に一回ずつ切っていくならば、当然十三林班を七〇%も——たった十年間ですよ、四十年間でそれだけ切ったんじゃないです。ほかの林班は大体一%から一〇%内外切ってあるのです。それを十三林班だけなぜ七〇%も切るんですか。そうしてあなた標準伐期齢と言いますけれども、標準伐期齢以下の木も切られております。これはおたくからもらった資料です。その十三林班には二十年以上のものが三十ヘクタールしかない。あとは二十年以下の木です。これを百二十切っているんですよ。二十年以上のものは三十ヘクタールしかない。水源涵養保安林は大体平均して四十年以上のものでないと切らないということになっているのに、大臣いいでしょうか、二十年未満のものが九十ヘクタールも切られている。どういうことですか。これは私がおたくからもらった資料ですよ。ただあなたたちが現場のことを知らないから、そんな合理的にやっておりますということを言うだけなんです。  時間がございませんから、大臣、こういうことをすればまず水が枯渇する問題もございましょう。この水は毎日二千五百トン、千五百トンは宇美の町民に、千トンは刑務所に供給されているんです。刑務所も水が足らなくなったと問題が起こっている。刑務所に水が行かなくて問題を起こしたらどうなりますか。一般住民もそうです。明らかに水資源涵養保安林として管理しなければならない保安林が、七〇%も切られて水が枯渇するよう状態をかもし出しておりながら、さらにまた隣の十二林班は林道をどんどんどんどんつくって、私現場を見てきましたけれども、川は土砂で埋まって、取水口が土砂で埋まっておりますよ。その写真の中にありますよ。そういうことをしておって、何で国有林としての管理をしているといえますか。水は住民の大切な毎日の水です。その水がもしもかれたり濁ったり、濁って事故まで起こっている。そういうことも私が指摘しなければ知らない。指摘してみても、まだ意見が食い違って何だかんだと言っている。そういう態度では、ほんとうにこれは、国がこの緑を守らなければならないことをいまさっき申し上げたように、そういうときにこういう伐採は中止してもらいたいんです。千ヘクタールもある国有林を四十年に一回切るんですが、それを十年間で全人工林のほとんど切ってしまっていますよ、二十年以上のものは。その切ったところは、四十年たつまでにはどうなりますか。そういうことを考えますと、ほんとうにこれはただごとじゃないんです。林野庁長官のお答えは、それはそれであまりにも形式的なお答えですから私は求めませんが、ひとつ大臣こういう現場を、これもほっておったらたいへんなことになります。どうですか。これは一ぺん林野庁ではっきりしてください。私、面積の面も指摘しました。先ほども言いましたように千と七百ということによっては、いま長官が言われましたように標準伐期齢で言いますと、千の場合と七百の場合では面積が違ってくるのですから、そういう調査がどうかということも確定をしていない。そして水の問題で問題が起こっておるのに、私から指摘してもまだ手を打とうとしない。そして伐採した町長、町役場とも話し合いなさい、それは話し合っています、しかしそれはただ話し合いなされたということだけで、町民はたいへんな不安を持っている。どうですか、一ぺん実態調査か何かやられたらどうですか。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私も実地はよく知りませんが、いま聞いたことだとしますならば、管理が不十分だと思います。よく調査いたさせます。
  65. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その場合に、私よく申し上げておきます。ひとついま大臣の御趣旨を受けて林野庁長官も本気になって、そういうあなたたちの一応、水源涵養指定施業要件ですか、こういうものがきめてあるようですけれども、これをきめておっても標準何年以上なければ切ってはいけないというものが実際切られている。それを当局に見せますと、いやそれは上のほうの枝でございます、枝があるのでしょう、小さい木ですから、そんなことを言うんです。枝を、そんなところを切られているわけがないのです。はっきりおたくの調査の中で百二十ヘクタール切られている、この資料から見れば。ですから、簡単にこういう標準を指定施業要件というものをきめても、標準年齢というものもこういうことでやられていくとするならば、いま三十五年から四十年ということが出ていますけれども、倍くらい、七十年か八十年くらいに標準を上げなければいけないです。そういうことを考えるのかどうか。それが一つです。林野庁長官、事務的なことだから……・。  それから伐採面積が、いまも言いますように標準適齢期で、伐採期で割った場合にその面積が出ます、一応の。その面積を、その十三林班の中に固めて切らぬで、点々と切るべきです。ほかの林班は一%から一〇%です、多いところでも。これは十三林班だけ七〇も切ったら、それはたいへんなことになる。そういうことが一つ。  これは指定施業要件は原則としてきめておくことはいいけれども、このとおり現場で行なわれているかどうかは、これは林野庁長官は調べる義務がある、こっちから指摘されなくとも。  それから一緒に申し上げておきますが、筑紫山系でございまして、そこの中には筑紫シャクナゲというたいへん高価な天然記念物が植わっている。それが県の指定もありませんし、国の指定もありませんものですから、その伐採の工事につながってその天然記念物が持ち去られたり切られたり、こういうことをしていることがこの陳情書の中にも書いてある。私も現場を見てきました。ひどいものですよ。これは宇美の自然を守る会という民間の登山愛好者の会合ですけれども、こういう人たちの意見が出ないとこういう問題が解決できない。そういう天然記念物が国有林の中にあるのに、国の営林局のほうだけでも、そういうものがあるかないかの調査さえもなされていないんです。そういうものを今後保護していくのにはどうすればいいんですか。そしてこういう陳情書を出しても、もうどこに行ったかわからぬ。この陳情書を受け付けたか受け付けないかもわからぬ。これは環境庁のほうに出されておりますけれども、林野庁のほうも、そういう天然記念物があるかないかも調査したこともない。環境庁のほうに言わせれば、それは国有林の中ですから、まず営林署のほうか林野庁のほうがそういうものがあるかないかを調べるべきでしょう、こう言うんです。その調べるべき林野庁が調べておらない。そして取られて無残な姿になっている。林野庁長官、いま私が指摘した事務的なことだけ先にお答えになって、そして大臣に自然を守るという立場での具体的な御決意、指示をお願いしたいと思います。
  66. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 この場所につきましては、御承知かと思いますけれども、五年に一度ずつ計画をつくることになっております。四十七年度はちょうどいま……
  67. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私、そういうことを聞いてないですよ。
  68. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 そこで四十八年度以降、五カ年間の計画をただいま調査中でございます。御指摘のありましたとおり十分調査いたしまして、その結果を反映させていきたいと思っておるわけでございますが、特に伐採にあたりましては、これは水源涵養保安林その他につきましても、最近新しく基本方針をきめまして、大面積の皆伐はやめる、小面積にいたしましてできるだけそれをしかも分散させる、切った周囲には天然林を残す、こういうよう方針にいたしておるわけでございます。四十八年度以降はそういう計画の線に沿ってまいりたい、かように思っております。  それから、いろいろな非常に貴重な天然の樹木類でございますが、これはレジャーその他の観光事業が盛んになりますと、盗伐が非常にひんぱんになってまいります。この点につきましては、私たち営林署の中に監督というのがございまして、これの管理の責任を持たしておるわけでございます。これを強化いたしまして、できるだけそういう御期待に沿うような管理をいたしてまいりたいと思っております。
  69. 田中昭二

    田中(昭)分科員 林野庁長官、まだ新しくなられて間もないからというようなことで、私もできるだけそういうつもりで聞いておるのですけれども、私が聞いたことを答えなければだめですよ。あなたたちが何でも規定によって国有林を保護しようとするならば、その規定が規定どおりになっているのか。規定が破られて若い木が切られているという事実を私、示したじゃないですか。そういうもので標準伐期齢というものを変えなさい。倍くらいにしなければ、いまの四十年にしておっても二十年末満のやつを切るんだから、八十年くらいにしたら四十年くらいの木を切るでしょう。そういう簡単なことからいけば、そういうことに対する改正なり変えようという考え方があるか。それと適当な面積を分散して刈るというけれども、それは今後のことであって、いままではそういう水害が起ころうと、林道がこわれようと、取水口がこわれようと、どういう天然自然を破壊しようと、やってきた事実を私は知っている。それに対する責任、それをお答え願いたい。
  70. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほど申しましたように、必ず五年に一ぺんに調査することにいたしております。新しい計画を組む場合には……。
  71. 田中昭二

    田中(昭)分科員 調査して変えますか、この標準伐期齢は。
  72. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 調査しました際に、もしそういう変えるような事実があれば、十分検討して変えたいと思います。伐期齢につきましては、これはその場所条件とか気候とか樹種によりまして、一応の基準をつくっておるわけでございます。ただ、御指摘の四十年生以上を切らなければならぬ、それ以下を切っておるということは、これは別問題でございます。もしそういう事実があるならば、十分検討してまいりたいと思います。
  73. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう繰り返したくないですけれども、事実があるかないかはおたくから出してもらった書類から見ておるのですが、十三林班の中に百六十一ヘクタール人工林があるんです。その人工林は、二十年未満が百三十一ヘクタール、二十年以上のものが三十ヘクタール、そういう基準になっておるのが、百二十ヘクタール切られているんです、その百六十一ヘクタールの中から。ということは、当然二十年未満のものが切られているということじゃないでしょうか。現場の写真も見てください、若い木も切られておりますよ。だから私は、ここであなたに事実を示しても、いろいろ言うのであればもういいです。大臣そうでしょう。私は何もつくって、事務当局が調べずにやっているんじゃないんです。ちゃんと提出されて、それを見て言っているんですから。ですから、まだ不正がありますよ、不正なりあと始末の悪いことがありますよ。それは私はきょうはまだ言わないでおるのです、困ろうと思って。そういうことも全部それじゃ言わなければなりませんよ。ですから大臣、私がいま言ったこと、うそじゃないのですから、これだけ書類もあって、事務当局とも話し合って聞いているのですから、そういう伐採によって起こっておる林道の破壊による自然破壊、それから、あれなら今後水害も起こります、川は林道工事のため埋まってしまっているのですから。取水口が土砂で埋まって、水を取れなくなっているのです。そういうのは、いまのうちに手当てを加えるというのが、水源を守っているという意味でしょう。そういう問題が今後起こった場合にどういう責任をとられるのか、それを大臣からお聞きしまして、終わりたいと思います。
  74. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話よくわかります。ですから自然保護は、そのままで保護するわけじゃなくて、自然が保護できないような場合には、保護できるような措置をとらなければならないし、切らないでばかりいるというわけにもまいりませんから、木を切らぬばか、木を植えぬばかといって昔から切ったり植えたりしなければなりませんが、いまの伐期齢が自然を破壊するような切り方できまっているとすれば、それは改めなければならないと思います。そしてまた、そういう自然保護できないようなことをすることに対しましては厳重に私も監督して、そういうことがあったら処置していくほかはないと思います。
  75. 田中昭二

    田中(昭)分科員 環境庁の方お見えになっておりますからお聞きしますが、こういった自然を守るということについては、お役所や地方公共団体にまかしておってもできないのです。いま言うたように、指摘してもできないのですからね。登山愛好者等が、ほんとうに貴重な草花を守っていきたいという気持ちにかられて環境庁にもお願いをしている。ところが環境庁のほうでは、どうですか、そういう状態を御存じですか。聞くところによると、そういう陳情も受けたようだけれども、そういうことはないとか、何かあいまいな返事ですが、どうなんですか。
  76. 首尾木一

    首尾木政府委員 御指摘のありました地区は、これはただいまの自然公園法上から申しますと、県立自然公園に指定をされておる地域でございます。その地域につきまして現在の法律上のあれから申しますと、実はまだ特別地域というのに設定しておりませんで、したがいまして、県のほうがその地域について特別地域の設定ということを現在検討中だということでございますので、そういったよう関係で、法律的にそこの問題について規制をするというところまでまだ至っておらないという段階になっておるわけでございます。この点につきましては、私ども県を督励をいたしまして、また指導をいたしまして、適正な保護計画というものをつくるべきだというふうに考えております。  なお、御指摘のございました陳情の件でございますけれども、たいへん率直にありのまま申し上げますが、私、実はその陳情書につきまして承知をいたしておりませんで、昨日そのことにつきまして伺ったような次第でございます。
  77. 田中昭二

    田中(昭)分科員 時間もないようでありますが、いまお聞きのとおり、陳情を出したものもどうなっているかわからぬというよう状況です。ですから、これはひとつまた環境庁長官にこういう問題について基本的なこともお聞きしたいと思いますが、どうかこれをよく調べて、あとで私のほうにその経過を出していただくようにお願いをいたしておきます。  それから農林省のほうでございますけれども、いま私、現場の写真等を見せて申し上げたわけでございますが、いまの大臣のお答えで、やはり自然を守るというようなことを考えれば、当然国有林の中にありますそういう貴重なものは、何らかの手を打たなければならない。それと、地域住民が水を——一日でも欠かすことができないものですが、こういうものが困難な状態に置かれておるというような、いわゆる取水口をつぶしたり、それから今後また雨が降った場合に、これはどういう水害になるかわかりません。こういうようなこともよく調査されまして、これもひとつ何らかの善処なり方法をお願いする次第でございます。ほんとうならば、もうその図面からいきましても、四十七年度の伐採なんか九ヘクタールくらいですから、もうやめたほうがいいんですよ。ほかから切ったほうがいいんです、常識的に見ても。それはいろいろな計画もあると聞いておりますから、全部やめることはできなくても、ひとつ大臣のお考えでそれを分散するとか、そういうよう方向がとれないものか御検討願うことにしまして、大臣から御検討するならするということで御回答願えれば、これで終わりたいと思います。最後にお願いします。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 るるお話しございましたし、現地もごらんになった田中さんのことであります。こういうことを指摘されました以上、私のほうでも十分調査して善処してまいりたいと思います。
  79. 植木庚子郎

    ○植木主査 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  80. 渡辺肇

    ○渡辺(肇)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について質疑を続行いたします。大原君。
  81. 大原亨

    大原分科員 私は、きょうは農業者年金の問題につきまして質問をいたしたいと思います。  この農業者年金の問題については、私もいささか因縁がありまして、昭和四十三年に、予算委員会におきまして、倉石農林大臣の当時、厚生大臣農林大臣に対しまして、あるいは佐藤総理に対して、農民に恩給を出す、こういうことを前の四十二年の総選挙のときに、佐藤総理が方々へ行って、農民の票を集めるために吹きまくりましたものですから、それをとりまして、ほんとうに農民のための年金をつくるのか、こういう質問をいたしたのであります。これは児童手当の問題と一緒にいたしました。それは選挙のときに言ったことですから必ずつくります、こう言いまして、農林大臣と厚生大臣に私が質問いたしましたら、倉石農林大臣と厚生大臣の答弁が違ったのであります。厚生大臣は、国民年金を中心にして自営業者のいわゆる社会保障、年金保障は一元的にやるべきであると、つまり厚生省主導型の考え方を示したのであります。しかし、倉石農林大臣は、本論や結論はありませんが、序論といたしましては、農業の近代化ということを正面に出しまして答弁をいたした。しかし、答弁が違ったから、もましてもいいわけですが、そういうことは一応しないで、これは私は、佐藤総理の言明を監視をする、これからも追及をするという立場で質問をおさめたことがございます。  私は、やはりこの年金の問題については、農林省やあるいは農業者年金を進めてきた諸君とは、少し、専門家ですから、どういうところに欠陥があるかということをよく承知をいたしておりました。しかし、農業者年金のことが、農民恩給のことが政治的な問題になるということは、これはつまり農民社会保障がないということに対する不満のあらわれである、こういうふうに理解をいたしまして、この政治的な要求を実際に政策面で前向きで具体化することがいいだろう、実際に具体化する過程の中でいろいろな問題が出てくるだろう、こういう考えでありました。  そこで、農業者年金の基礎になっておる国民年金の再計算期も引き上げてまいりまして、国民年金を上げてその上に農業者年金を積むというふうなかっこうであります。しかし、国民年金の定額部分というのがありまして、義務的な部分がありまして、その上に所得比例部分が重なっておるわけでございます。その上に農業者年金を重ねていくというふうに、木に竹をついだような制度であります。これは制度といたしましては欠陥があったから、社会党といたしましても、真の農民のための年金は社会保障的な観点でなければならぬという点で対案を出して、農業者年金には反対をいたしたわけであります。しかし、この問題は三分の一ぐらいの論議を私どもといたしましてはして、目的を達成いたしておると思いますが、しかし問題は非常にたくさんこれからあると私思いますので、若干の問題点を私はこれから指摘をしていきたいと思います。  第一は、そういう経過をたどって難産をいたしましたが、昭和四十五年に、御承知ように五月の二十日に農業者年金の法律が公布されたわけでありまして、四十六年の一月一日から年金の掛け金をとったわけであります。加入者を加入せしめたわけであります。四十六年四月から実際上は実施をされたということになります。第一にお尋ねしたい点は、農業者年金に対する加入者は幾らであるか、その累積をいたしました掛け金は現在幾らになっておるか、積み立て金は幾らか、この二つについて御答弁いただきたいと思います。
  82. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  二月末現在の加入者は九十万人でございます。それから二月末現在の保険料の徴収額は五十八億円になっております。
  83. 大原亨

    大原分科員 当時議論をいたしましたときに、農業者年金の加入者には五反以上の強制加入とか、五反未満の任意加入とかいう問題等がありました。それから、農業者年金自体が離農促進をして、経営規模拡大、近代化するという趣旨が一方にはあったわけでありまするが、このことを社会保障に持ち込むことは、私どもは基本的には間違いだと思います。それはともかくといたしまして、そういうことでやったわけでありますが、当時加入見込み、農業者年金に当然加入すると思われておる見込みの人員は幾らでありましたか。これは任意加入とは別にお答えいただきたい。任意加入についての当時の推定の数字もあれば、あわせて御答弁いただきたい。
  84. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 当時の推定では、当然加入の資格者と申しますか、当然加入すべき者は百七十六万人でございます。  それから、任意加入につきましては、これは任意でございますから、入るか入らないかわからぬという要素があるわけでございますが、一応計画上は九万人ぐらい入るのではないかということで、百八十五万人程度入るというふうに考えていたわけでございます。
  85. 大原亨

    大原分科員 これは四十五年の国会で議論をしたと思うのですね。そこで、農業基盤は、専業農家、兼業農家、そういうことでゆれにゆれているわけでございますが、これはなぜ見通しどおり入っていないのか、百七十六万人が九十万人にとどまっておるのか。その理由は一体どこにあるのか。
  86. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農業者年金の仕事が始まりましたのは、先ほど先生から御指摘がございましたように、去年の一月からでございます。そこで、農業者年金を扱う年金基金が設立されたのは十月一日でございまして、三カ月の準備期間をもって仕事に入らなければならなかったということがございます。それから、さらにこの仕事は、末端の事務は農協と市町村に委任してございまして、農協は金の受付をする、市町村は主として農業委員会を使いまして、加入資格があるかどうかを審査するというような手続をとることになっております。そこで農協あるいは市町村との委託契約をやらなければならぬという問題がございまして、並行してそれを進め、さらに末端農家に、農業者年金というものができた、その制度はこうなっているというようないろいろの宣伝を一緒にやったわけでございます。そういったスタートがややおくれたということがございまして加入が思うようにいってないということでございますが、昨年の五月ぐらいから加入がずっとふえてまいりまして、九十万人まで達しているわけでございます。
  87. 大原亨

    大原分科員 百七十六万人ですから、加入の現状が九十万といえばちょうど半分でありますが、半分ということは、農協に加入の事務を委託をしておる、そして将来基金の運営等についても農協の系統機関というか組織的な発言力もあるし、農民の問題でもあるわけですから、取り扱いということになれば資金も若干滞留するでしょうし、幾多のメリットがあると思うのです。農村の実情については、農協は目が届いておると思う。ですから、趣旨の徹底は市町村とタイアップするならば、農林省自体がやるよりも浸透する度合いはかなり強いと思うわけですね。あと、約半分しか入ってないというふうなことは、将来見通しどおり入るというふうに考えてよろしいかどうか、私は非常に困難があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  88. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 発足の当初におきまして、農協、市町村は農業者年金制度について農民に、こういう制度ができたという普及をいろいろやったわけでございますが、私どもが見ているところではどうもこれは少し十分でなかったのではないかということで、最近またこういう「農業者年金制度で豊かな老後を」というリーフレットをつくりまして、これを現在農家に配りましてさらに趣旨の徹底をはかっているところでございます。  そこで究極的に目標の人数になるかどうかということにつきましては、これはこの段階でそうなりそうだとか、なるということは、なかなか申し上げにくい問題でございます。と申しますのは、最近農業の兼業化が非常に進んでいるという事情がございまして、当時考えた百八十五万人になるかどうかという点については、今後の推移を見なければなかなか的確なことは申し上げられないという段階にございます。
  89. 大原亨

    大原分科員 当然加入の資格要件として、給付は別ですよ、五反以上ということになりますが、五反以上のうちで専業は幾らで兼業は幾らか、戸数についてはっきりしてください。
  90. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 経営規模別の兼業の統計を持ってまいりませんでしたので、わかりましたら直ちに御連絡申し上げます。
  91. 大原亨

    大原分科員 それに類似した数字はないですか。
  92. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 専兼業自体につきましては、昭和四十年は農家戸数五百六十六万戸のうち専業農家が百二十一万戸でございます。それが昭和四十六年になりますと、農家戸数が五百二十五万戸で、七十九万九千戸が専業農家でございます。ですから、昭和四十年の段階におきましては専業農家が約二一・五%あったわけでございますが、四十六年になりますとこれが一五・二%に下がっております。それから兼業農家の中にはいわゆる第一種兼業と第二種兼業とございまして、第一種兼業は所得の中で農業所得のほうが多いほう、第二種兼業は農外所得のほうが多いほうでございます。その数字を御参考に申しますと、昭和四十年に第一種兼業が二百八万戸、第二種兼業が二百三十六万戸だったわけでございます。それが四十六年になりますと、第一種兼業が百六十六万、第二種兼業が二百八十九万になっております。  パーセンテージを申し上げますと、昭和四十年におきましては第一種兼業が全農家の中で三六・七%でございました。それが昭和四十六年になりますと二九・八%になっております。それから、第二種兼業は昭和四十年が四丁八%、それが昭和四十六年は五五%になっております。
  93. 大原亨

    大原分科員 自立農家の育成ということを政府は言っているわけでしょう。その自立農家の育成を、たとえば五反以上の専業農家というものが五反以上持っていて、そして農業者として、年金というものの掛け金をかげながら、最初の農業者年金は五十一年から月に八千円出るわけですが、若い人は、かなり長期の掛け金をかげながら農業をやっていくという、そういう政策が、これは離農者を条件だけれども、そういう政策についての見通しがなければ、若い人々は農業者年金に加入して掛け金をかけるということにならぬのじゃないか。そこに政府の政策と農業者年金の矛盾があるのではないか、一つは。  もう一つは、したがって、農業者は専業農家がどんどん減っていって、第一種、第二種がどんどんふえていくというようなことは、これは農業基盤が動揺して、全体の経済構造が変わっているということだから、他のほうに行けば他の年金があるわけであります。厚生年金や公務員等でしたら、公共企業体でしたら共済年金があるわけでありますから、それとの見比べにおいて、自分が農業をやる気がない若い人々はこれに入らない。かなりきわどい人が入っていくかもしれない。しかし、第三の問題としては、さて五反、六反、七反で六十歳になったならば経営移譲する、こういう年寄りが、いまのような中途はんぱな年金制度の中でそういう気持ちが起きないのではないか、こういう問題等が私あるのではないか。これがあれほど倉石農林大臣のときに無理算段を重ねてやったのが、そういう矛盾をかかえておることが今日の年金の進展を予想の二分の一にとどめておるという理由になるのではないか。いかがです。
  94. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 加入が九十万にしかならなかったということの理由の中には、ただいま先生が御指摘になりましたような要素ももちろんあるかと思います。しかし、私どものほうで見ているところでは、やはり事務的に、年金でございますから、制度が非常に複雑であるとか、あるいは事務の取り扱いになれていなかったということなどがありまして、発足の当初一年の実績を見て論議をするのは早いのじゃないかと考えております。
  95. 大原亨

    大原分科員 この農業者年金は、四百五十円が国民年金の定額部分でしょう、掛け金ですね。それに見合った国庫負担が出てくるわけです。それから、国民年金の所得比例部分が三百五十円その上に積んであるわけでしょう。そして合計いたしまして八百円ですね。八百円の掛け金と掛け金に相当する部面が、掛け金をかけるときと給付のときに国庫負担をつけて出てくる。そうしてその上に農業者年金を積んでおるということになるわけで、掛け金をかけた上に国庫負担を入れて基金をつくっていくわけでしょう。それで年金の数理計算から言うと、国庫は社会保障的な——国庫の負担は、これは他の年金よりも私は計数的にはいいと思うわけです。そうして、年金の仕組みもややこしいけれども、非常に他のほうが低いから、これがいいわけです。しかし、問題は、いまの国民年金や厚生年金や共済年金の制度というものは、これは来年の再計算期を控えておる。来年は再計算期ではなくても、来年は再計算をしなければならないところに来ているわけです。それほどこの問題は低いし、私も問題を提起しておりますが、保険方式、積み立て方式を西欧の先進国がやったように賦課方式に切りかえていく、後代負担にしていく、単年度会計にしていく、こういう考え方を基本にした改革というものが総合的に議論されておるわけであります。そのときに農業者年金をどういうふうに——発足にあたってはもちをだんごにしたようなことだけれども農業者年金をどのように改革していくのか、どのように位置づけていくのか、こういう問題が、こまかな問題もありますけれども、そういう問題が一番であります。来年の国民年金、厚生年金等の改革にあたって、農業者年金は、たとえば掛け金と年金額等は、国庫負担等は据え置いていくのかどうか、来年は農業者年金についても改革をするのかどうか、こういう点について大まかな心がまえをひとつお答え願いたい。
  96. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先生も御承知のとおり、農業者年金基金法には、他の公的年金と同じように、年金の額は「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに、改定の措置が講ぜられなければならない。」という、他の年金と同じような規定がございます。農業者年金の場合には、事業を開始して以来まだ一年しかたっておりませんし、最初の年金の支給も四年後の昭和五十一年から行なわれることになっております。また、法律上義務づけられました年金財政の最初の再計算期間は昭和五十一年になっておりますので、現段階では年金額の改定を行なうことは考えておりません。
  97. 大原亨

    大原分科員 現段階では考えていなくても、たとえば自動スライドということが問題になるのです。いま議論になっている年金の改革で一番問題になっているのです。自動スライド——いまのはそのつどつどで政策スライドですが、これに対して国民生活水準の引き上がるに従って年金額を上げるという、そういう仕組みをつけていかないと、いまのように利子以上に物価が上がる慢性インフレのときには、ばかばかしくて掛け金をかけないわけです。当然のことですよ。ごまかしていいのだ、いいのだといってつっていかれるわけですけれども、それじゃだめだということにいまはなっているわけです。これは定説なんですね。だから、やはり年金の改定についても、農業者年金の改定についても、五十一年に特例の年金が最初に月八千円で発足するのを待って改革するのだということでは、私はおそいのではないか。来年とは言わぬけれども、最も近い機会に、農業者年金もそういう観点に立って再検討すべきではないか。ただし、これは国民年金の上に積み上げているのですから、直ちにスライドとは私は言いません。一ぺんに自動スライドとは言わないけれども、そういう点の改定についての方向づけをしておかなければ、ますますこれは入る人はいないのではないか。
  98. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、農業者年金は国民年金の上に上積みになっているわけでございます。それからさらに国庫負担も、ほかの年金よりも、先生から御指摘がございましたように、よくなっているわけでございます。  そこで私どもといたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたようなスライド制その他の問題が出てまいりますと、保険の設計自体について、たとえば整理資源の問題等が出てくるのではないかと思いますが、ただいまのところ私どもといたしましては、料率計算は、本件は国民年金の上積みになっているよう関係から見ましても、収支相等の原則をもとにしてやるのがいいのではないかというふうに考えております。
  99. 大原亨

    大原分科員 時間も限りがあるのですが、いま積み立て金が年金の基金、つまり上積み分の積み立て金、これが五十八億円になって、そうして四十七年度には百六十七億円になる。とにかくいま五十八億円ある。この農業者年金が発足するときに年金基金を設けて特別法人をつくったわけですが、そのときの農林省のワク内でこれを運営するというときに、経営基盤拡大するほうに使うのだというので法律があったわけであります。それは農地の買い入れ等に融資をしていくのだというふうになっておるわけですが、その五十八億円の運営状況はどうなんですか。
  100. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 この農業者年金の中には、年金基金が農業振興計画の農用地区域内にある農地を被保険者から買い入れる、さらにその農地を、営農を続けていく被保険者に売り渡すというようなことができるようになっております。  そこで、四十六年の二月までの実績を申しますと、農地等の買い入れにつきましては、十四件買い入れてありまして、面積は二百三十四ヘクタールでございます。それから売り渡しのほうはまだございません。
  101. 大原亨

    大原分科員 そこで、残りの金は、大部分が残っているのですが、どういうふうに運営しているのか。当初の趣旨のとおりになっているのかどうか、あるいは将来どうするんだということが一つあるのです。これはあとでわかったときに便宜答えてください。  それからもう一つは、これはこの前にもちょっと議論になったんだけれども農業者年金に加入いたしまして、たとえば半カ年出かせぎをする。そうするとその職場において、でたらめな職場もあるのだけれども、いまはだんだんときびしくなってきたから、当然職場保険が適用される。厚生年金、被用者年金が適用される、あるいは他の共済年金が適用される、こういうことになるわけです。そうすると、農業者年金が中断することになりますね。それはある場合には六カ月の出かせぎでなしに、一カ年になる場合もあれば、仕事によってはどんどん続く場合があるわけです。失業保険との関係その他もありますけれども、そうなっているわけであります。そういうときに、そういうこと等があるような人々は農業者年金には入らないのではないか、そういう一つの側面がある。しかし、社会保障全体の水準を上げていくという観点からいうならば、厚生年金と国民年金の基礎部分はつながっているほうがいいわけであります。これはそのほうが合理的なわけです。その間の調整を過渡的にはする必要があると思うのでありますが、それについての農林省考え方はどういうことかという点について、まず一つお伺いいたします。
  102. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 まず最初の御質問は余裕金の運用の問題ではないかと思うのでありますが、農業者年金基金法には、余裕金は資金の性質に応じ安全かつ効率的にしなければならないという規定がございます。そこで、やはり保険でございますから安全な運営をしなければならぬというのは当然でございます。一方、衆参両院の附帯決議にもございましたように、この金を農業面に向けなければならないという要請がございます。  そこで、どういう運用をしているかと申しますと、御承知のとおり、農業金融の対象はいわゆる系統金融、単協、信連、中金という線で、もちろんそれ以外に制度金融として農林漁業金融公庫があるわけでございますが、主としてそういう系統金融に使うために、現在のところ余裕金の五二%は農林中金債を持っております。それから安全という意味で、公社債を三九%、普通預金が八%、その他他勘定への貸し付け金、これは農地等の売買事務等に対する勘定への貸し付け金が一%、こういう状況になっております。
  103. 大原亨

    大原分科員 それでいまの話、つまり出かせぎに行った等の措置についてはどう考えているのかということです。
  104. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 その問題につきましては、厚生年金と国民年金のつながりの問題でございますので、私どもといたしましては厚生省とよく御相談をして対処しなければならぬというふうに考えております。
  105. 大原亨

    大原分科員 農林省はどう思っているのですか。
  106. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農林省といたしましては、厚生省とよく御相談して対処したいと思っております。
  107. 大原亨

    大原分科員 対処するというのはどういうふうに対処するのですか。
  108. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 これはいろいろな考え方があると思います。ものによりましては農業者年金法でやるということになれば、農業者年金法の基本的な体系の問題になることでもありますし、あるいは厚生年金のほうで、たとえば適用除外というようなことでやるのも一つ考え方ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、国民年金と厚生年金のつながりの問題でございますので、厚生省とよく御相談してやらなければならぬというふうに思っております。
  109. 大原亨

    大原分科員 時間が来たのですが、これはやはり加入する人がその年金の制度を活用して、ある程度納得できなければいかぬわけですよ。それは農業政策との関係があるわけです。農業政策は、ゆれ動いていて、実際上ないわけですからね。だから自分の自立の設計をなかなか立てられないという現状があるのですから、これはそれとの関連での矛盾が出てまいります。そうすれば、中途はんぱなことをそのままで引っぱっておきますと、将来の年金の改革を考えた場合には、その人の個人の将来から考えた場合には、いいか悪いかわからないのです。だから、そこに問題が一つあるから、その問題はやっぱり解明して、せっかくそういう立案で、私どもは制度上無理だと思ったけれども、全体の水準を上げるてこにする、こういう観点で、消極的ではありましたが協力をいたしましたし、対案を出したわけでございます。そこで、厚生省から、現在の法律はどうなっているか、あるいは考え方としてはどうなんだという点があれば御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいまお話しございました出かせぎ者で農年に加入いたしておりますものにつきましては、先生御承知ように、厚生年金の適用事業所に参りますと、これは国民年金からはずれて厚生年金保険が適用になるわけであります。したがいまして、半年あるいは一年のタームで国民年金と厚生年金の間を、出たり入ったりまた出たりというよう状態があることは、私ども承知いたしております。根っこの厚生年金と国民年金につきましては、現在すでに通算老齢年金制度がございますから、このほうは問題ないと思います。その上のせの農年につきましては、これについても何か特別の措置を講ずべきではないかとか、あるいはまた、少なくとも農年加入者で出かせぎ状態というものが、いろいろな角度から見て、ある意味で定着をしているものにつきましては、国年一本にすべきではないかとか、あるいはまた、先生御承知ように、厚生年金保険には適用除外規定もあるわけでございますから、そういう規定を運用して運用上処理をすべきではないかとか、いろいろな意見があるわけでございますけれども、現在の段階では、私どもは、行政運営上は、やはり現行の制度の仕組みがあるわけでございますので、厚生年金の適用のある場合には、事業主の方に、できるだけ適用漏れがないように、また国民年金に返った場合には国民年金のほうに適用されるように、また、間違って二重適用がないように、そういうことが円滑にまいりますように指導をしているところでございます。しかしながら、いまいろいろ御議論がございましたが、この問題はやはり長い将来にわたって、農業の構造改革と申しますか、そういうものがどういうふうになっていくか、また、その中で現在農業者年金に加入をいたしておりまして都市へ出かせぎをしております者が、どういうかっこうで出かせぎとして定着をするのか、あるいはまた定着をしなくても、農年加入ということで本来の目的のほうに安定をしていくのかというふうなかかわり合いのある問題でございますので、そういう点を十分検討いたしまして、さしあたっては現在の制度の仕組みの範囲内でできるだけ加入者の方々に便宜な運用を考えたい、このよう考えております。
  111. 大原亨

    大原委員 最後に、いまの点は結論がないということですが、問題点はお答えになったわけであります。これは農業者年金自体について、もう一回新しい情勢の中で、厚生省を含めて議論すべき問題である。農業者年金については議論しなければならぬ。これはいまの農業政策、それからその政策目的に合わせるという矛盾した——政策目的に合わせるということで農業者年金は発足した。本来はこれは社会保障で一本に貫いていけば、社会保障の水準が上がればこの問題は解決できるのであります。それが低いものだから、ここだけ上げようと思って、曲げて政策目的に合致するようにしたところに問題があって、実際上の加入が進まない、基盤が脆弱になっている、そして全体の改革とはちぐはぐになっていくという問題がある。それで、その間の調整がいろいろ問題がたくさんあるわけですから、この問題は、私は問題を提起しておきまして、後に農林水産委員会とか、あるいは社労とか、あるいは来年の予算の審議の際に、この問題についてはさらに突っ込んで議論をしていきたい、こういうふうに私の意見を申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  112. 渡辺肇

    ○渡辺(肇)主査代理 古寺君。
  113. 古寺宏

    古寺分科員 昭和四十七年三月をもちまして、緊急開拓に始まった、四半世紀に及ぶ開拓農政が打ち切られるわけでございますが、数多くの開拓農家の中には、立地条件その他の関係で、非常に経営状態が悪く、多額の負債をかかえて、今後さらに血と汗と借金の歴史をたどらなければならないという農家がたくさんいらっしゃるわけでございますが、このような開拓農家に対する救済対策をどのようにお考えになっていらっしゃるか承りたいと思います。
  114. 三善信二

    三善政府委員 御承知のとおり、開拓は終戦後、緊急の食糧増産、そういう意味を持ちまして相当積極的に推進いたしてまいりました。そして開拓行政一般について、ほかの農政以上に特殊の資金融通制度等をもちまして対処をしてまいったわけですが、最近御承知ように開拓者の営農状況等も非常に改善されてまいりまして、たとえて申しますと、農家経済調査によりますれば、農業所得等はむしろ一般農家より開拓者のほうが高くなっておりますし、全体的な所得にしましても、まあ大体匹敵するよう状態になってきております。ただ、開拓者には、先ほど申し上げましたような特別の資金等を相当多額に融資をしております関係上、一開拓農家当たりの負債額等は、一般農家に比べて非常に高くなっております。したがいまして、この負債を何とか整理をしながら一般農政に移行させるという趣旨で、実は四十四年にも特殊の立法をもちまして、この負債整理をやることにいたしたわけでございます。現在、御承知ように、政府資金につきまして、これは開拓者資金と申しますが、開拓者資金につきましては、開拓者個々の債務を確認いたしまして、過去四十四年以降、四十五年から発足して、五回にわたりましてこの開拓者資金、政府資金については公庫へ移管するということにいたしております。最終的な移管は本年の四月一日で完了することにいたしております。それから、政府資金以外の制度資金、公庫資金あるいは近代化資金、これにつきましてはやはり政府資金と同様な措置をとるように金融機関を指導してまいっているわけでございます。その他の開拓者が借りております資金につきましては、自作農維持資金に肩がわりをするということで、これも全体で百十億ばかりの肩がわりをして、大体四十六年度ないし四十七年度に一般農政に移行を終わるよう考えております。  お尋ねは、開拓者に対して今後特別の指導、特別の対策、そういうものは打ち切るのはどうかということだろうと思いますが、いま申し上げましたように、大体負債の整理等を済ませまして一般農政に移行するということが原則でございます。  なお、残りました開拓者に対しては、従来から農道の舗装整備とかそういった事業は計画的に進めてまいっておりますし、また一般農政に移りましても、一般農政にいかに円滑にこれが移行するかということについて特別な指導をしてまいるというふうに考えておる次第でございます。
  115. 古寺宏

    古寺分科員 昭和三十五年と昭和四十四年の償還条件緩和の場合にいろいろな問題があるわけでございますが、青森県の下北開拓農協で申し上げますと、ここにございますが、農家農協に対してきちっと返済をしているわけでございます。これは農家の収支決算書を見るとわかるんでございますが、それが確認事務の中で黒字が、架空の貯金あるいは出資金、借り受け金という名目でこの確認事務が行なわれたために、一たん返済した借金を二重に支払わなければならないというような問題が起こっているわけでございますが、そういうことについて農林省は御存じでございますか。
  116. 三善信二

    三善政府委員 これは青森県の下北開拓農協お話と思います。  私ども、県を通じていま申されましたような事態について一応は存じております。で、内容を調べましたところ、そもそもここの開拓農協でございますが、この開拓農協、組合の財務整理といいますか、非常にきちっと行なわれていなかったような事態もあったかと思います。たまたま時期を同じくして三十五年に、いま申されました、組合に対して貸しておりました債権を対個人の債権に切りかえる措置というのをやったわけでございますが、このときにも、その対組合に政府が貸しております金と、それから組合が組合員に対して持っている債権と多少合わなかった点がございます。金額にして七百七十四万円でございます。これに対しましては、組合員と組合との相談の結果、増資するというようなことで、一応総会の議決にかけて措置をいたしているわけでございまして、一応組合の内部手続としてはそういうようなことで処理をいたしていることを承知いたしております。
  117. 古寺宏

    古寺分科員 この下北開拓農協の場合は、三十八年の時点で三百九戸のうちで二百十六戸が黒字になっているわけです。赤字を有している農家が九十戸しかないのに、全部これが赤字農家ということに処理されたわけでございます。したがいまして、この一たん返済したものを二重に返済をする、それにこの延滞利息あるいは利息が重なってまいりますので、三重の苦しみになるわけでございます。こういうような実態については、やはり農林省が職員を現地へ派遣をして、その実態を十分に調査をして救済しなければ、現地の人たちはこれを下北処分、こう呼んでおりますが、下北処分にひとしい結果になっておる、こう私は思うわけでございますが、農林省は現地に職員を派遣してこの事実を調査いたしたかどうか、お聞きしたいと思います。
  118. 三善信二

    三善政府委員 先ほど申し上げました個人債権に切りかえます措置、この措置は、私ども県を通して、県自体がやっておりまして、個人の債権に切りかえるわけでございますから、非常に慎重を期して行なっているわけでございます。それで、県は直接個々の開拓者に、この下北の場合なんか泊まり込みで、相当長期間かかってこの債務の整理をいたしております。その帳簿にしても、組合の組合員に対する貸し付けの原簿等も十分調査いたしまして、また県の職員と同時に単協の組合の方も一緒になって、組合員の債務を調査いたしておりますので、そういうことで、まあ私どもといたしましては特に慎重に、特に丁寧に、特に証拠書類をもってこの確認には当たっておりますので、いま先生の申されましたようなことはないのではなかろうかと思っております。そういうふうに県からも十分事情を聴取いたしておりまして、また組合からもそういった事情を聞いておるわけでございます。で、最後の、国から直接この現地に行って調査をしたことはございません。
  119. 古寺宏

    古寺分科員 県のほうは、非常に立地条件の悪い下北全域に及ぶような開拓農協の組合でございますので、それこそ夜も寝ないで一生懸命おやりになったということは承っておりますが、県の職員は、農林省の指導に従ってそのままこの確認事務を行なったというふうにおっしゃっているわけでございます。したがいまして、こういうような結果になった責任というものは当然これは農林省にある。私は、いろいろ農林省の過去に出した通達その他も拝見いたしました。そういう点からいきまして、当然、この現地の実情というものをやはり実際に農林省が調査をいたしまして、そしてこの救済策というものを考えてあげなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、現地に職員を派遣して調査をなさる御意思がおありですか。
  120. 三善信二

    三善政府委員 この確認につきましては、先ほど来申し上げておりますように、県の職員と組合の幹部みな一緒になってやっております。しかも確認をいたしまして、署名捺印を組合の方はしておられます。組合員の方も、それぞれの開拓農家の方も、これを十分みずから確認をされておるわけでございますから、その面では私特に、三十五年のこの財務整理につきましてさらに調査をする必要はなかろうかと考えておるわけでございます。
  121. 古寺宏

    古寺分科員 それは確かに開拓民はみずから確認の上で捺印をしたと思いますが、その理由は、こういう書類をつくることによって組合を再建してあげるという指導があったので、やむを得ず署名捺印をした方々がたくさんいらっしゃるわけです。その後昭和四十年に、農林省が開拓農協再建のためというので防風林の払い下げをいたしております。ところが、この払い下げをした防風林の売り払い代金が過去の借金に取られてしまって、全然組合の再建にはなっていないわけですね。さらにこの残った分の防風林につきましては、その後昭和四十五年にさらに差し押えになりまして、これが随契で他に売られているわけであります。これも前の借金に繰り入れられて、全く下北開拓農協の再建のためには何の役にも立っていなかった、こういうような結果になっているわけでございます。したがいまして、こういう実情というものを十分に調査をして、この借入れ金については当然徴収停止等の手続をとっていただきたいし、さらにまた、この防風林の払い下げの問題についてももう少し検討をしまして、この代金についてもやはり徴収停止にすべきである、こういうふうに考えるわけですが、どういうふうに農林省はお考えでしょうか。
  122. 三善信二

    三善政府委員 この開拓者の負債整理対策といいますのは、とりもなおさず、全体的に申しまして、開拓者自身これは償還条件を緩和する、そういうようなことでやっております。また開拓者自身、その開拓者が構成しております組合の再建というようなことをやはり本質的にねらいとしておるわけでございます。したがいまして、全然組合の再建とは関係がないようなかっこうで行なわれたということではないわけでございます。  ただいま御指摘がございました立木の問題でありますが、これもやはり組合が——この下北組合というのはわりあい放漫な経営をしておりましたので相当赤字もたまっておる、その組合の再建の一助といいますか、これは直接売り払うために売ったわけではございません、やはり防風林として組合員がそれを共同で利用するというようなことで、この立木を組合に払い下げたわけでございます。で、組合はこの立木につきまして、ただいま御指摘のとおりその買った代金を支払っていない、さらにまた立木の売り渡しを受けて、そしてその一部をまたほかに売って、一部代金を国に対する支払い代金の弁済に充てた、また現段階で千四百万、確かな数字はあれでございますが、約千四百万円国に対する滞納になっているわけでございます。  で、この分を支払い停止ということにしたらどうか、こう言われておられますが、これは私ども、やはり代金の弁済ということはひとつ厳重に、その支払いはやってもらいたいと思っております。組合が国に対して支払うあるいは、この立木の売り渡しのときに組合の理事五人の方が保証人に立っておられます。そこで、そういう組合あるいは保証人の方のいずれかがやはりその支払いを一応きちっとやっていたいただきと思っておりますが、何ぶんにも組合の経理といいますか、現在非常に悪くなっておりますし、そういう面からして、どういうふうにこの問題を解決したらいいか現在検討いたしておるような次第でございます。
  123. 古寺宏

    古寺分科員 この下北開拓農協では二人の組合長が自殺をしたとまでいわれるぐらいいろいろな問題がございますので、今後十分に調査をいたしまして、救済の点については特別の御配慮をお願いしたいということを特に御要望申し上げておきたいと思います。  さらに今回の確認事務の取り扱いの中で、出かせぎに行っておられて確認できなかった戸数が下北開拓農協では四十七戸ございます。こういうことは、青森県の開拓農協ではどの農協でも同じようなことがあるわけでございますが、こういうような出かせぎに行って確認ができない、あるいは申し出がなかったというよう農家に対してはどういうような取り扱いをなさるのか、承りたいと思います。
  124. 三善信二

    三善政府委員 いま先生が申されました、出かせぎに行って確認事務が行なわれていないということは私初めて聞きましたのですが、私どもの調査によればこれは全部確認をいたしております。
  125. 古寺宏

    古寺分科員 これは限られた期間で確認事務を終了しなければならないためにこういうような問題がたくさん潜在しているわけでございます。そういう点についても農林省はよく調査の上、全然確認しないで決定されているようなケースが非常に多いわけでございますので、今後それらの点についても十分に検討をし、救済をしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  次に、総合調整事業というものが行なわれておりますが、現在どの程度進んでおりますか。
  126. 三善信二

    三善政府委員 総合調整事業と申しますのは、これは開拓の一般農政への移行に即しまして現在実施している事業でございますが、戦後開拓行政が開拓者及び開拓地区、そういう特定なところで相当特別な施策をやってまいりました。先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、開拓農家一般農家あるいは開拓農協一般の総合農協、こういった中には多少意思相通じないような点もなきにしもあらずというようなことを一般的に考えている点もございますが、いずれにしましてもこの一般農政に移行いたします場合に、やはりいかにしてスムーズに移行していくかということが基本問題でございます。したがいまして、四十四年度から都道府県におきましては都道府県に開拓審議会というものを設けておりますが、その開拓審議会の中に農政部の担当部課あるいは関係農業団体あるいは金融機関の関係者それから学識経験者、こういう人からなる総合調整部会というのをつくりまして、この総合調整部会でその都道府県の今後の開拓行政につきましてどういうふうにしたらいいかという一般的な基本的方針をつくります。同時にまた、市町村の中でも同じような市町村の職員あるいはいま申し上げましたよう団体、金融機関、学識経験者、そういう関係者をもちましてやはりそういった調整部会等をつくらせまして、ここで衆知をしぼりまして開拓の一般農政への移行の問題、いろいろ具体的な問題が出てまいりますので、そういうのを処理し、また方針をきめていくということでこの事業を実施しているわけでございます。
  127. 古寺宏

    古寺分科員 各農林事務所単位に、開拓営農総合調整事業推進協議会というものが持たれているようでございますが、この下北開拓農協の場合はまだ一回しか開かれておらぬのです。それでもう三月から一般農政に移行になるわけです。しかもいままでいろいろ農林省がやってきた開拓行政の失政のしりぬぐいを、結局市町村や地方自治体に預けるかっこうになりますね。したがいまして非常に問題が多い。こういうような全国的な実態というものをやはり農林省はきちんと把握をしませんと、今後、一般農政に移行した場合に開拓農家は再びイバラの道を歩まなければならぬということになりますので、今後十分にその点については把握をしていただきたいと思います。  次に、開拓農協とか開拓農協連合会あるいは系統機関に対する対策というものがまだはっきりしていないようなわけでございますが、特に下北開拓農協ように一億近い赤字をかかえている農協に対しては、どういうよう対策をお持ちでございますか。
  128. 三善信二

    三善政府委員 一般的に、開拓農協あるいは開拓農協の連合会、これにつきまして、開拓農協一般農政への移行の問題と関連いたしまして、経済事業を細々としかやっていない、こういった開拓農協につきましては、できるだけ整理をいたすというようなことで進めてまいりたいと思います。私どもの目標では、四十七年度ぐらいに大体末端の開拓農協については一応のそういっためどがつくだろうと思っております。ただ開拓農協にしましても、非常に膨大なといいますか、経済事業を相当活発に積極的に行なっているようなところもございます。そういうところについては、やはり存続する場合にどういう存続のしかたをしたらいいか、そういう点も今後検討してまいらなければいかぬかと思っております。同時に開拓連合会につきましても、できるだけやはり一応整理していくというよう方向で指導してまいっているわけでございまして、開拓行政の一般農政への移行ということで、開拓者に対する施策、それからいま申し上げました開拓の単協に対する整理の事業、あるいは多少、四十八年度にも延びると思いますが、開拓連合会の整理の問題、そういった問題が今後残っているわけでございます。そういう面につきましても、やはり先ほど申し上げました調整事業でございますか、この一環として、やはり円滑にそういう再編、整理ができるようなことで、ここを中心にしながら指導していきたいと思っております。
  129. 古寺宏

    古寺分科員 ただいままで、非常に限られた時間で十分にお尋ねできなかったのですが、特別措置法によって今後開拓農家の再建というものが農林漁業金融公庫のほうに移管されるわけではございますが、内容は非常に苦しい立場に開拓農家というものは立っているわけでございます。当然、今後、こういういままでのいきさつ等も十二分に考慮した上で、開拓農家に対するあたたかい配慮というものが必要になってまいるわけでございますが、この点につきまして、大臣農林漁業金融公庫の総裁から承って、質問を終わりたいと思います。
  130. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのような態度で進めたいと考えております。
  131. 武田誠三

    ○武田説明員 私どもが四月一日で全部の開拓者に対します債権を引き受けるわけでありますが、それの管理、回収につきましてはできるだけ適正、円滑にはかってまいりたいというふうに考えております。私どもといたしましては、この債権をお引き受けしましたあとで、いろいろと開拓者の方に事故が起こったり償還がむずかしいというよう状況も起こってくるかと思いますが、そのときには一般の債権と同様に、実情に即しました条件緩和の措置をとってまいりたいというよう考えております。
  132. 古寺宏

    古寺分科員 もう一つ総裁にお尋ねしたいのですが、開拓農家に対する特別の融資というものを今後考えてあげなければいけないと思うのですが、その点に対する御答弁がなかったようですが、もう一度お尋ねしたいと思います。
  133. 武田誠三

    ○武田説明員 開拓者に対します特別の融資、私ども農林漁業金融公庫では、御承知ように、すべて制度金融ということで、新しく開拓者に対しまして特別な融資をするという場合には、それに応じた、お役所のほうとの御相談並びに農林漁業金融公庫法の改正等も必要な部面も起こってまいろうかと思います。したがいまして、それらの点につきましては十分に農林省当局並びに大蔵省当局と御相談をいたしまして、新しい資金が必要でございますれば、そういった制度を新たに設けていくといういき方でいくよりしかたがないというよう考えております。
  134. 渡辺肇

    ○渡辺(肇)主査代理 中谷君。
  135. 中谷鉄也

    中谷分科員 農産物の自由化、オレンジジュース、すでに行なわれたグレープフルーツの自由化の問題については、多くの人があらゆる委員会においてお尋ねをしている点であります。そこで、本日は若干角度をかえてお尋ねをしたいと思います。  グレープフルーツについてまずお尋ねいたしたいと思いますが、四十七年度はどの程度の輸入量が見込まれるでしょうか、そういう点についてひとつ予測をお聞かせいただきたい。
  136. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答え申し上げます。  グレープフルーツは昨年の七月から自由化されたわけでございますが、四十四年度はグレープフルーツがまだ割り当て輸入があった当時でございますが、千九百七十八トン、それから四十五年度が二千二百八十四トン、四十六年度でいきますと、まだ三月末の集計が入っておりませんが、大体一万六千トン前後になるのではなかろうか、四十七年度になりますと、非常に飛躍的に伸びてきておりまして、正確なことは申し上げられませんが、最近、四月、五月ごろの輸入の予想といいますか、いろいろな話によりますと、毎月二千トンからちょっとこえるということで大体年間二万数千トン、こういうことになるのではなかろうか、こう見ておる次第でございます。
  137. 中谷鉄也

    中谷分科員 そういたしますと、グレープフルーツと市場において消費者との関係において競合してくるのはナツカンあるいはハッサク、別の角度からいいますとネーブルが競合するのかどうか、ハッサクが主としてということで、ハッサク栽培農家は非常に不安を感じているわけですけれども、要するに自由化ということは、いかにしてよりよき味、品質の中において消費者を獲得するかという競争原理が働いてくるわけだと思います。季節関税等の規制措置があっても二万数千トン、先ほどのお話では算術的な計算をいたしまして二万四千トンに相なるわけですから、たいへん飛躍的な輸入増、こういう中でハッサク農家あるいはナツカン農家、要するにミカン農家対策いかん。どのようにして国内市場における競争にうちかっていくのか、これらの点についてひとつお答えをいただきたい。
  138. 荒勝巖

    荒勝政府委員 最近の情勢を申し上げますと、まずグレープフルーツが自由化いたしまして、この十二月あるいは一月には二千トンをこえるグレープフルーツが輸入されておりまして、当然、日本側の国内産のかんきつ、特にハッサクあるいはアマナツ等に相当悪影響があるのではなかろうかという一部の予想がございましたが、ことしの一月から三月までの現状に関する限り、国内産のかんきつの出荷の価格が昨年よりも悪いというふうには実は見ていないわけでございます。  問題は、これから出回りますであろう普通ナツカンが一番の影響を受けるのではなかろうか、こう見ておりますが、まことに、たまたまのことでございますが、ことしの日本の普通ナツミカンが非常に裏年に当たりまして、対前年比三割も減産しているという予想の段階で、はたして正常な価格関係が現出するかどうか、実はいまはっきりしていないわけでございます。ただ、国民所得の増大あるいは嗜好の高度化に伴いまして、普通ナツミカンに対する需要の減退が昨年来見られておりましたので、当然ある程度、われわれといたしましては、普通ナツカンをアマナツなりハッサクなりあるいはその他の晩かん類に切りかえをすべき時期に到達しておりた。たまたまグレープフルーツが自由化されたことも相まって、普通ナツカンの将来については多少危惧の念が強い、これらを積極的に雑かんその他の高級かんきつ類に切りかえていく必要があるということで、明年度予算におきましても、特に予算対策といたしましては、普通ナツカン園を改植するということを前提といたしまして予算を計上して、晩かん類生産出荷合理化緊急対策事業という名のもとに、それぞれのナツカン園等を高級かんきつに切りかえるとともに、昨年予備費でお願いいたしました普通ナツカンを改植して何らかのほかの晩かん類に切りかえるための緊急の改稿資金を助成するというようなことで、今後大いにその他のかんきつ類への転換を試みていきたい、こういうふうに考えている次第であります。
  139. 中谷鉄也

    中谷分科員 専門家でありますからたいへんお詳しいので、消費者動向のお話が出ましたので、一点だけ質問をつけ加えておきたいと思います。  昭和四十三年の総理府の家計調査、農業経済調査というのがございましたね。私のほうから数字を申し上げますから、感じとしてお答えいただいたらいいと思いますが、昭和四十二年の資料をたまたま本日の質問の参考として持ってまいりました。そのことを主としてお聞きするわけじゃないのですけれども、たまたまお答えの中に出てきましたので、お尋ねいたしたいと思いますが、一般世帯の中でくだものの一人当たり年額消費量が、昭和四十三年に千百九十三円ということに相なっておりまして、ミカンがその中で占める割合が三〇%、ナツカンは三%ということに相なっているわけであります。これは政府委員のほうがお詳しいわけでありますけれども、そういう中で消費者の消費動向の見通しは一体どういうことになるのだろうか。全体としてのくだものの消費のワクの拡大は一体どの程度拡大をするのか。その中においてミカン、ナツミカンの占めるパーセントはどのような運命、どのような予測をお持ちになるのか、この点について大体の見当についての御答弁をいただきたい。
  140. 荒勝巖

    荒勝政府委員 国内におきます果実類に対する国民の消費動向は、国民所得の増大に伴いまして非常に増大してまいりまして、四十五年におきましては、一人当たり約四十キロのくだものを消費している。そのうち温州ミカンが約十四キロというかっこうでございます。それを支出金額で都市の家計調査から調査いたしますと、四十五年度で大体一人当たり六千円近いくだものの消費量になりまして、そのうち温州ミカンの消費量は約千七百円をこえる金額になっておりまして、これは十年前に比べますと、金額にいたしまして約四倍になっておりまして、数量的にも約二倍をこえる数量の消費動向になって、消費生活の中におきましては、くだものに対する需要の増大は非常に強いというふうに理解しているわけでございます。さらに、それにつきまして、将来の問題はどうかということにつきまして、われわれといたしましても慎重にただいま検討しているわけでございますが、全体といたしまして今後ともミカンの需要の伸びというもの、あるいはくだものの需要の伸びというものは非常に強い。先ほど申し上げましたように、ミカンの現在の一人当たりの消費が、大体国内需要といたしまして二十キロ前後のものが、さらに今後十年後には大体三十キロをこえ、三十二、三キロ、三、四キロというふうな、約五割前後の伸びが期待されるのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。
  141. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、準備をしてまいりました本題の質問ですが、次のようなことをお尋ねをいたしたいと思うのであります。  要するに、グレープフルーツの自由化、オレンジの輸入ワクの拡大、要するに実質的な自由化、そういうふうな中で、一体、果樹生産合理化のために投資をする、そういう投資をすることがはたして投資効果とペイするのだろうかということについてミカン農家は非常に悩んでいるし不安に感じている、こういうふうな現状にあると思うのであります。たとえば、ミカンの先進県であります和歌山県の農林統計によりますと、昭和四十三年——こういうふうな分け方で一応いいと思うのでありますけれども、ミカン生産費を三つに分けた場合、昭和四十三年では労力費が六六%を占めている。昭和三十年には四七%であったというふうなこと、これはもう全国的な傾向だろうと思うのです。  そこで、お尋ねをいたしたいのは次の点であります。要するに、省力化ということが一つの課題、しかしそれがためには、とにかく投資をしなければならない、そういうふうな投資、それが一体自由化の大きな波の中においてどういうふうにそれに対処をしていくべきなのか。そこで、オレンジの自由化についてお尋ねをするというのではなしに、一体、本日あとでお尋ねしますところの多くの省力化等についての施策があるわけでありますけれども——質問をもう一度整理いたしますが、自由化の中において、農民は、こういう事態にとにかく非常に不安を持っていることはすでに御承知のとおり、今後果樹生産合理化等のために大きな投資をしていいのか、どうか非常に不安と悩みを持っている、これが実態だと思うのです。この点についてひとつ御見解を述べていただきたい。
  142. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ミカンの場合を例にとりますと、過去におきまして、農家の方々の御努力によりまして合理化も相当進みまして、労働時間だけとりますと、全国平均でございますが、四十年には反当約三百四十二時間の労働時間を投下したものが、四十五年には二百四十九時間ということで、約三分の二近くになっておるわけでございまして、将来、われわれの合理化目標といいますか、そういった形では百十六時間あたりをさらに現在の半分くらいの時間になるよう合理化を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。そのためには、何と申しましてもやはり土地基盤整備といいますか、特に農道、作業道の整備が一番基盤になることでございまして、それによりまして機械化体系の中に十分組み入れられるのではなかろうかということが次の点でございます。さらに、生産の機械化体系だけではなくて、今後、われわれのほうでは、かん水等につきましてもいろいろな諸機械を導入してやっていきたいし、またミカンの実取りにつきましても、摘果のための機械あるいはその実を取ったあと選果場まで運ぶ集出荷のための合理化の機械、こういうこと、さらに選果場へ集まってから選果場での大型選果によりまして合理化を進めていくという各段階それぞれにおきまして合理化を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  143. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、そういう合理化ということについては、合理化それ自体は全く農家自体もそのことを求めている。しかし、合理化をするためにはとにかく投資が要る、お金が要る。それが自由化の中においてそういう合理化をすることの不安というものはないのかどうか、この点についてひとつ御見解を承りたいというのが質問の趣旨なんです。
  144. 荒勝巖

    荒勝政府委員 われわれの現在想定いたしました段階で、グレープフルーツにつきましては自由化したわけでございますし、さらにそのほかのくだもの類は大体全部現在自由化されておるわけでございますが、オレンジ類だけが現在非自由化というかっこうで、今後ともオレンジ類の自由化についてはいまのところ考えていないわけでございます。その中にありまして、ミカンを早急にやはり機械化体系の中に組み入れていくことによりまして、農家のほうもまだ自由化というものがないということに立ちまして、機械化体系を導入することによりましてさらに合理化は進むと思いますし、またミカンに対する需要は、先ほど申し上げましたように相当強いということは十分に御認識願いたいと思うわけでございます。現在われわれのほうで調べておりますと、どうもやはり、ミカンの先進県の地帯は、どちらかというと多少都市に近かったせいもありますが、現在は僻遠の九州地区のほうで、ミカンとしては新興産地のほうで非常に生産量が伸び、かつ植栽も進んでおる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  145. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、合理化について少し質問と答弁とがどこかで食い違ったような感じがいたしますが、次の質問に移ることにいたしますけれども、要するに、ミカン生産の場合は急傾斜地に非常に栽培地を求めている。こういうふうな急傾斜地におけるミカン生産合理化についてどういうふうに考えられるかというふうなことについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。農林省もこの点については意欲的でありますけれども、たとえば和歌山県果樹園芸試験場でスプリンクラーの多目的利用についての非常な取り組み方をいたしておる、こういうふうな中で、このスプリンクラーの多目的利用について一体農林省はどのようにお考えになるか。単にかん水のみならず農薬、それから液肥、こういうものについてもスプリンクラーによってやっていこうということでございますね。そういうふうな中で、これは、私、非常にわが国のかんきつ産業、ミカン産業が競争力を増していくという点、さらにまた、先ほどの労働時間の短縮の問題ということにも、これは相関連してくるわけですが、ひとつこの点についてお答えをいただきたいと思います。  なお、投下労働時間の変化についてのお話がございましたけれども農林省としては先ほどの目標年次を何年度に置いておられるのか。要するに、何年度、どのような施策において投下労働時間はこの程度になるんだというふうな、ひとつめどとか目標、それらについてもお答えをいただきたいと思うのです。
  146. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まずこの目標の問題でございますが、ただいま私たちの手元で、果樹農業振興基本方針の作業を急いでいるわけでございます。これは五年毎に改定いたしまして、十年後の植栽の目標というものを定めまして、その中でそれぞれの需要量並びに面積等も検討するとともに、経営の指針となるべき点を設定しておるわけでございまして、その中で投下労働量の問題等も、十年後のことを考えながら議論している、こういうふうに御理解願いたいと思います。  さらに、ただいま御質問のありました急傾斜地の果樹園の問題につきましては、日本果樹農業あり方が外国と違いまして、やはり傾斜地を中心とした農業形態にせざるを得ない。また、品質の管理の点からもこのほうが現在の技術水準からすればいいということで、ここ当分の間やはり何らかの形で傾斜地の果樹農業が進まざるを得ないんじゃなかろうか、こう考えておるわけでございまして、このためには、先ほども申し上げました農道等の作業道等を整備するとともに、それらに伴う高度省力栽培事業というものを推進いたしましてやっていきたいと思っております。その中で、特に最近、非常に各方面の試験場の研究の結果、スプリンクラーによりますかん水設備というものが非常に問題になってまいりまして、単なるかん水だけではなくて、ただいま御指摘のように、多目的な利用を考えていく。従来は水をかけるということのほかに、せいぜい同時に肥料くらいという考え方でございましたが、さらに農薬を入れ、場合によってはホルモン剤まで一緒に、同時にこの多目的利用によってやるのが一番今後の問題としてはやりやすいのではないかというふうに考えまして、試験研究機関の御協力も得まして、和歌山におきましては非常に従来から御熱心にこの点については研究されておりましたので、その研究成果も取り入れて、四十七年度から多目的スプリンクラーの緊急導入ということで、ただいま予算をお願いしている次第でございます。
  147. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで先ほどから私は和歌山県の試験場等の資料等を検討した上でお尋ねをしているわけでありまするけれども、要するにグレープフルーツの自由化、オレンジの輸入ワクの拡大、こういうふうなものの中でそれに対抗していく、いま一つは国民の消費動向の中でくだものの消費量をとにかく増大さしていく、こういうふうなことがなければ私は果樹農家の繁栄というものはあり得ないと思う。それがためには非常な品質の改良その他の努力が私は必要だと思うわけです。そういう点で各試験場あるいは研究所は、真剣な努力と調査等をいたしているわけですけれども、本年度の予算については六億弱の研究費ということに相なっているわけでございますね。もちろんそのことそれ自体は私はけっこうだと思います。蚕糸試験場の運営に必要な経費というのが、もちろん運営が入っておりますが十五億九千幾らですから、ほぼ十六億円ということに相なっておる。そこで、いろいろな試験場、私も詳細には存じませんけれども、その実態等において、それらの比較の中においてはいかにも果樹の試験研究の予算というものは少ないのではないか。要するに自由化に対抗していく中、まさに農業基本法におけるところの果樹という大きな柱を立てた、そうして品質改良というものが迫られておる。省力化が迫られておる。合理化をやらなければならぬという中においての六億というのは私は低きに失するのではないか、こういう感じがするわけであります。そういう点についてひとつ大臣から、今後の試験の重点、それから品質改良、こういうものが行なわれなければならないという点から率直な御見解を承りたいと思うのですが、一言でけっこうですから、いかがでございましょうか。
  148. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま果実に対する研究が自由化の圧力がある場合には、ほんとうに緊急必要だと思います。試験研究の点につきましても、それぞれ均衡を得てやっていきたいと思いますが、なお果実につきましては、御承知ように今度野菜試験場を設けますが、野菜試験場の中には果実も含めて試験研究を進めたいと思いまして、それに対しての予算が——いまちょっと間違えました。園芸試験場から野菜を独立させますので、あとへ野菜のほうでなく、果実のほうが残るわけですが、そういうわけで、一そう研究は進めていくつもりでございます。またその間の均衡というような御質疑がございましたが、均衡を得ながら必要に応じて十分研究を進めていきたい、このよう考えております。
  149. 中谷鉄也

    中谷分科員 私はミカン生産の中に含まれている、占める労力費の割合が非常に多いというふうなこと、そういうこととの関係において一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、スプリンクラーの多目的利用というものが行なわれる。すなわち先ほど政府委員御答弁になったようにかん水、それから液肥、それから農薬、そういうものがスプリンクラーにおいてやられる、農道もとにかく完備する、さらに摘果というふうなものも合理化されるというふうなことに相なった場合の、これはその方針、指針ではなしに、そういうふうな、全くあらゆる省力化についての努力をした農場においては投下労働時間というのはどの程度まで下げることができるのか、これはまさに先進県和歌山などにおいてはどこまで下げられるだろうか、まさに現在は実験的な段階でありまするけれども、とても指針がいっているようなものではなくて、もっともっと下げようではないかというようなことについての努力をしているわけです。この点についての農林省の御見解はいかがでしょうか。     〔渡辺(肇)主査代理退席、主査着席〕
  150. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、ただいまわれわれといたしましては投下労働量をいかにして減らしていくかということで四十五年度におきましては、ミカンでは反当、十アール当たり二百四十九時間だったものを、目標といたしましては百十六時間というものを考えておるわけでございます。
  151. 中谷鉄也

    中谷分科員 では最後の質問です。もう少し私は全体としての目標じゃなしに、スプリンクラーの多目的利用その他が完全に行なわれたところにおいてはどうだろうかというふうな質問をしたわけなんですけれども、少し御答弁が食い違ったようです。もし訂正といいますか、補足していただけるようでしたら補足していただきたいと思います。そういうふうな場合の一体第一次生産費というのはどの程度に相なるのでしょうか、これをひとつ最後にお答えをいただきたい。
  152. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほどの点の御説明をさせていただきますと、現在ミカンの作業労働時間は十アール当たり二百四十九時間、こう申し上げましたが、多目的スプリンクラーを中心とする作業体系の場合は大幅な省力化が見込まれて、労働時間は現在の約三分の一ないし二分の一程度に短縮されるものと考えられておるわけでございます。  生産費といたしましては、今後大体現在の生産費よりも約三分の二くらいのところまで目標として持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  153. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこでスプリンクラーの多目的利用ということについて本年度予算が計上されておるわけですけれども大臣に一言だけ私は御見解を承りたいと思うのですが、これをひとつ積極的にまた大々的に多目的利用について農林省がとにかく予算措置、補助金等のなにを講じていただくということについて野心的な方針というものを出していただきたいというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  154. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 スプリンクラーをやるということは、やはり農道というか、そういうことと関連して非常に有効だと思います。でございますので、来年あたりはこの予算の要求はずっと多くしていきたい、こう思っております。
  155. 中谷鉄也

    中谷分科員 終わります。
  156. 植木庚子郎

    ○植木主査 次は、内藤良平君。
  157. 内藤良平

    内藤分科員 大臣、あなたの顔を拝顔しまして、まず冒頭に聞きたいといいますか、大臣からおことばを賜わりたい、そういう謙虚な気持ちで申し上げます。  ぼくは秋田ですけれども、いま数万の、あるいは数十万の農民の皆さんがこの冬大都会に出かせぎに来まして、もうそろそろ帰る準備をしております。この冬のさなかに地下鉄にあるいは高架にあるいは大ビルディングの建設工事に寒風の中でがんばった方が帰りつつあるところです。これからいよいよ農耕に入るわけですね。  そこで、私は政治家として大臣にこれは伺うわけでありますけれども、この農民の諸君に、これから秋田の場合——東北、北海道、全国でもお米づくりに入るわけですけれども、この作業にかかろうとしておる皆さん、いままたつらい労働から郷里に帰ろうとしておる皆さんに何かひとつ私は心の励みになるようなものを大臣に予算審議の中から出していただきたい。それは本委員会等でも論議をされたことではありますけれども、ことしの生産者米価はいままでと違った見地で大臣は検討するような答弁があったわけでありますけれども私は、やはりこれから耕作される農民の皆さんあるいは出かせぎから帰られてこれから準備をされる皆さんにこのことは非常に大きな関心事であると思うのです。端的でいいのですから、ことしの産米、四十七年度の産米についてはいままでにない角度でやはり生産者の諸君が期待するよう方向に、いわゆる値上げといいますか、適正米価というか、こういうことを考えておるのだし、農林行政の中でもこれはやはりやらなければならぬ時期だ、物価は上がっておりますし、過去三年間も据え置きになっておるわけでありますから、そういういままでの経過はちょうちょう申し上げる必要はありませんが、それをひとつ、最近は兼業農家がほとんどでありますから、そういう方々に激励の意味をかねて大臣から四十七年度の産米に対するお考え生産者米価引き上げの方向というものを期待しつつ、御答弁をまずお聞きしたいと思っております。
  158. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 値上げは全体として反対だということはよくわかるのです。しかし、いまずっと政府のやっていることやなんか見ていると、取るほうばかり値上げしておるわけですね。公共料金など、こっちの取るほうばかり。出すほうはあまり考えてない。それで私はこのやり方にはあまり感服しないのですよ。それで生産者米価というものは、取るほうではなくて、政府のほうが出すほうなんです。出すほうは値上げをしてはいかぬというよう考え方は逆だと思うのです。それでいままで押えてばかりきて、これは米の生産調整というよう関係もあったでしょうが、そういうことで生産者米価を抑制するんだ、抑制するんだといって、非常に農民だけ差別待遇するような、押えてくるような形でやってきた態度というものは改めなくちゃいかぬ、これは国の政治全体として。そういうふうな考えを持っておるわけでございます。しかも景気が悪いこともありましたが、政府は景気浮揚というようなことも考えておる。そういうことも考えて予算を組んでおる、こういうときでありまして、農業関係でも農業の沈帯した経済状況を少し直していくということについて、やはり生産者米価というものは考えていかなくちゃいかぬじゃないか、こういうふうに考えております。  それからいまお話がございましたように物価とかその他すべて値上がりしている中において、生産者米価だけが値上げしてはいかぬ、押えておくべきだという考え方は、私はとるべき考え方ではないと思います。でありますから、生産者米価におきましても、経済の状況とか、もちろん生産費の関係も、そういう点を考慮して、私は弾力的に考えるべきだ、こう言っていますが、弾力的というのは、押えておくということではなくて、上へ弾力的に考えるべきだということを表明しておるわけであります。しかし、これは一つの手続がありますから米価審議会とかそういうものに諮問して弾力的に米価問題を考えていくという方向を私は持っておりますし、その点についてこの間大蔵大臣ども予算米価と実際の米価とは違うのだからその点は自分ももう考えなくちゃいかぬだろうといって、大蔵省の見解もだんだんそういうふうになってきました。ですから弾力的に米価審議会の議を経て扱いたい、こう考えています。
  159. 内藤良平

    内藤分科員 予定の時間もありますから、ほかへ移りますけれども大臣、ひとついまのお考えで御奮闘あらんことを切望します。  それでは、通告してあります秋田県の大潟村の転作問題、これについて、残された時間お尋ねしたいと思います。  いままでの経過は何もお話しする必要はありません。ただ、専門的な方々はいろいろ検討されておると思いますし、あるいは要綱のようなものもできておると思います。四十七年度の予算措置をしたものはどういうぐあいに——八郎潟干拓地大潟村のいわゆる畑作転作ですね。これを予算の裏づけのあるものだけでも御発表願いたい。私はそこまで調べてくればよかったのですけれども、かいつまんででいいですから、こういうことをこういう予算で四十七年はやる、この点をまずひとつお聞かせ願いたいと思います。
  160. 三善信二

    三善政府委員 お説のように、詳しいことは申し上げませんけれども、八郎潟の現在の造成した残り約五千ヘクタールがまだ未利用地として残してあるわけでございます。それをどういうふうに今後畑地として利用するかということをいま考えているわけです。四十七年度の予算措置もそういった観点で、まず畑地としますためには、やはり地下水位が相当低下しませんとまずい。ということは、圃場の乾燥度をよくする、そういうことが必要でございますので、圃場造成の一段階前の——圃場造成の準備工と申しておりますけれども、ここで管渠排水とか暗渠排水とかそういうことで排水をよくして土をかわかす、こういった事業を約千六百ヘクタールぐらい考えております。  それが第一点でございまして、第二点は、四十六年度に圃場造成の準備工、いま申し上げましたこの準備工をいたしましたうちで、その一部約九百ヘクタールぐらいを本格的な圃場造成をいたすという工事をいたしたいわけでございます。  それから、第三点は、畑作をいたします場合にどういう作目を導入したらいいか、これは引き続きバレイショ、カンショそれからタマネギ、牧草そういった畑作の基幹作物についてその八郎潟の事業団で実験農場を持っておりますから、その実験農場でそういう試験を行なうというようなことを考えております。全体の事業費としまして約五十九億程度を現在予算を要求いたしております。国費はそのうち約四十億、正確に申し上げますと三十九億四千万円でございますが、その程度の金で来年度はひとつ工事をやりたいというふうに考えております。
  161. 内藤良平

    内藤分科員 これは大体五千町歩あるわけですけれども、畑作に転換するのはほとんどそれの全部を転換されるという考え方なんでしょうか。というのは、現在入植されておる皆さんが最高十ヘクタール、十町歩ですね、それをもう少し貸してもらいたいという話がありまして、大体五町歩、五ヘクタール程度また多くもらえないかという話、それの点は、たとえば五千町歩残っているのならそういう方々の要望にこたえるような措置は検討されておるか、あるいは進んでおりますか、あるいは全然却下しておるのか、そこら辺のいきさつも少しお聞かせください。
  162. 三善信二

    三善政府委員 畑作として利用します場合に、畑作経営、ここではやはりモデル的な大規模な畑作経営をやらしたいということを考えております。そのために、配分する場合にどの程度の配分をしたらいいかということが一つの問題になります。もちろんどういう作物を導入するかということも当然のことでございます。ただいま八郎潟の事業団で、実は東畑四郎先生を中心に学識経験者の方にお集まり願ってこの畑作経営をやっていく場合に、いま申し上げましたどの程度の規模を配分するか、あるいはその配分した農家に対してどういった大規模な協業形態等を導入していくか、そういったことを目下検討している段階でございます。御指摘の既入植者の方々が自分たちにももう少し畑を配分してくれないかという要望は従来からあります。そういう問題も含めていま申し上げました研究会ですか懇談会で研究、検討をしているよう段階でございます。
  163. 内藤良平

    内藤分科員 これは議論をふっかけるわけじゃありませんけれども——いま入っているのは六百世帯ですか、八百世帯ですか。
  164. 三善信二

    三善政府委員 四百六十戸でございます。
  165. 内藤良平

    内藤分科員 五百にしましても、この方々がみんな五ヘクタール程度の増反を希望した場合には、計算しますと二千五面にもなってしまう。そうすると五千町歩、五千ヘクタールの半分ぐらいはそっちに行くわけですよ。残りの二千五百ぐらいは畑作専門というぐあいになるわけですか。畑作の場合は二十五ヘクタールですか、そこら辺はまだ出てないわけですね。出てないけれども大体そういうぐあいに考えると、百世帯ぐらいの入植というぐあいになってしまいますね。そこら辺のいまの増反との関係はどうなんですか。端的に言えば、これからどのくらい入植させる考えなのか、そこら辺は全然出てないですか。
  166. 三善信二

    三善政府委員 これは非常にむずかしい問題でございますけれども、大体畑作経営を相当大規模にやっていくということになれば、いままで懇談会、研究会で議論が出ておりますのは、十五ヘクタールから二十ヘクタールぐらいの規模にしないとどうだろうかというような議論も出ております。それもただ個々経営じゃなくて、そういう農家を集めて一つのグループにした大規模の機械化の畑作経営というようなことを研究いたしているわけでございまして、既存の入植者四百六十戸、この方々にかりに将来何らか配分をするということになりましても、それは水田としてでなく畑として配分をするというようなことになろうかと思っております。
  167. 内藤良平

    内藤分科員 それじゃ現在入っている方はお米と、作目はわかりませんけれども畑作をやるわけですよ。そういう農業をやるわけだ。それが今後入る方は、畑作専門というぐあいになるわけだ。この場合にどっちが農業経営として力が強いものかどうか、そこら辺はどういうぐあいにお考えですか。混合といいますかね。
  168. 三善信二

    三善政府委員 私もそういった場合にいろいろな試算をいたしておりますけれども、水田の場合いま平均十ヘクタールと申しますか、七・五ヘクタールの方がございますけれども、十ヘクタール、それから畑にすれば二十ヘクタールぐらいを配分すれば相当の収益をあげ得るというようなことを考えております。ただ先ほどから申し上げておりますように基幹作目、それをどういったものを導入するか、いま実験しておりますのがタマネギとバレイショ、それから牧草、こういったものを実験しております。そういうものを導入いたしましても、流通価格の問題は伴ってまいりますけれども現状のそういう価格の程度を勘案していけば、相当の規模の収入をあげられるというふうに一応ラフな試算程度はしております。
  169. 内藤良平

    内藤分科員 そこで、結局やはりいまあなたがお話しになったが、つくっても流通問題になっていくわけですね。だから牧草とか、タマネギ、バレイショ、比較的貯蔵のきくものに大体ねらいをつけておられる。いろいろこれから実験される、こういうわけですね。いまお米の場合は、カントリーエレベーターとか、ああいうりっぱなものがあって貯蔵の面をやっているわけだ。こういうことから考えますと、やはり将来はああいう貯蔵的な、こういう畑作物の貯蔵的な面までもやはり国なりでめんどうを見ていくという構想はあるのですね。なくちゃならぬわけでしょう。そこら辺はどうなんですか。
  170. 三善信二

    三善政府委員 先ほど申し上げました流通の問題と申しますか、これは具体的にちょっと参考に申し上げますと、昨年でございますが、この八郎潟の農家にも一部生産調整で休耕したところがございます。そういうところに実は野菜をつくりまして、これはカボチャを現実につくっている。(内藤分科員「それは聞いているんだ」と呼ぶ。)それのどういうふうに去年出荷したかということをちょっとお話ししたかったわけですが、導入する作目に応じて、先生がいま申されましたようなことも考えていかなければならぬのじゃないかと思っております。
  171. 内藤良平

    内藤分科員 そこは、私は簡単に言いますと、畑地に適するような準備を進めて適当な作物を選んで、そしてやはりつくっていくという、結局最後は売り先、売るまでの段階、これはあそこで蔬菜組合をつくりましていろいろつくった。ところが、値段がかなりうんと安いとき、高いとき差があったわけです。しかも、秋田周辺ではなかなかさばけなくて、やはり東京まで持ってきているわけです。これからのタマネギなり、バレイショの場合も大東京の、関東地帯ですね、これがやはり消費地になるわけですよ。  そこで、やはり輸送するまでの間の貯蔵の関係がどうしても出てくる。そういうやはり一貫したお考えのもとに今度の畑作転換の計画というものをお立てになっておるというぐあいに理解していいですね。
  172. 三善信二

    三善政府委員 畑作経営と申しますと、やはり一貫した問題も当然考えた上でやっていかなければならぬと思っております。
  173. 内藤良平

    内藤分科員 それから、これは非常に、何も私、ここへ割り込んでいくわけじゃないけれども、タマネギをつくったらどうかという有識者がおるわけです。大潟の転作問題を新聞等で見て、それはやはり秋田関係の方でありますが、タマネギはいま信州のほうはなかなかいわゆる本場はだんだん少なくなってきている、北海道のほうへいって、それと同時に、タマネギの国内需要というものはときには輸入もしているのですね。そういうことで非常にタマネギという問題がいま大潟の例の蔬菜組合であるとか、あるいは県であるとか、あるいは東京の集荷市場であるとか、若干話が出ているわけなんですよ。  そこでいま期待しておるのは実験なんです。どういうぐあいにこれが成功するかどうかですね。これに対してバレイショはどうなんですかね。実際問題として全国的に見ると、これは北海道など適地として相当な主産地形成になっているわけでしょう。私は牧草とこの三品を並べてやっているわけなんですよ。希望としては、タマネギに対していまいろいろ生産者のほうでも話題になっている、あるいは消費地の方々も話題になっている。早く試験の結果を待っておる、こういうことを私は知っているものですから、タマネギに対してある程度集中して実験のようなものをやっていただきたいと思うのですけれども、これはどんなものでありますか、ひとつ。
  174. 三善信二

    三善政府委員 これまで実験いたしましたのは、バレイショは四十五年から一応実験しております。それからタマネギはちょっと一年おくれまして、昨年から実験をいたしております。これは短期間の実験でございますから、どこまでこのとおりにいくかよく私もわからない点もございますけれども、一応試験の成績と申しますか、反当たりバレイショなんかは非常に全国平均より収量が多くなっております。  それからタマネギにつきましては、全国より多少下回っておりますが、秋田県の場合なんか、これは倍近く収量的にはできております。そういうことで、タマネギは私どもも非常に有望だと思っておりますし、また地元の入植された方などもタマネギは相当いけるのじゃないかという見通しを持っておられると聞いております。で、この実験ももう少し続けて、もう少し集中的にやりまして、しかも専門家の方を動員して、やはり干拓地でございますから、普通の土地と多少違った点もあろうかと思いますし、そういうところに畑作をやっていくわけですから、相当慎重に、しかも相当濃密な指導をしながら実験をして、最終的な判断をしていきたいと思いますが、現在までの結果では地元の方もタマネギなんかは非常に有望だというふうに考えておられると思います。
  175. 内藤良平

    内藤分科員 時間もないですけれども、これからの営農というものはそう簡単にどんどんいくわけでないでしょうが、タマネギの種のほうの需給関係はどんなものですか。これは急に思いついたようなことですが、だれか知っていませんか。
  176. 三善信二

    三善政府委員 ちょっと私、タマネギの種の需給関係というのをよく存じませんので、できればあとで資料で差し上げたいと思います。
  177. 内藤良平

    内藤分科員 それじゃ委員長、これはあとで資料としてお願いしたいと思います。  それから八郎潟の例の大規模事業というのは、計画の終了年次はいつでしたか。
  178. 三善信二

    三善政府委員 これからの事業の進捗状況とも関連いたしますけれども、一応残り五千ヘクタールをやる形として事業をするだけの事業をまずやっていかなければいけません。大体私どものめどとしては四十九年ないし五十年、これをめどにして一応終了するように努力していきたいと思っております。
  179. 内藤良平

    内藤分科員 話はこまかくなりますけれども、いろいろな準備をする中で、また入植者の再募集ということもあり得るわけですね。その規模は何人くらいになるか、まだいろいろな変化があるわけでしょうけれども、それらも、これはおおよそのめどですけれども、大体いつごろから入植の実施といいますか、募集といいますか、こういうめどは立ちませんか。立たないなら立たないでいいですけれども、立つならおよそ何年度くらいか、こういうところを……。
  180. 三善信二

    三善政府委員 正直に申しまして、まだいつごろからそれをやるということは、いまの段階ではちょっとめどが立っておりません。
  181. 内藤良平

    内藤分科員 まだいろいろお聞きしたいと思いますが、時間が来ましたので、これで終わります。
  182. 植木庚子郎

    ○植木主査 内藤君の質疑は終了いたしました。  次は近江巳記夫君。
  183. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは限られた時間でございますので、特に数点にしぼってお聞きしたいと思います。  まず、自然保護等の問題についてお聞きしたいと思うのですが、今後の林業行政というものを考えてみますと、当面する課題の中で、森林の持つ公益的機能に対する社会的な要請というものがますます増大しておりますし、かつ多様化しておるわけでございます。これら森林の公益的機能の確保等の施策と国内林業の安定的発展をはかるためにいかなる方針で対処されるのか、この点について、まず林野庁にお聞きしたいと思います。
  184. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、最近森林に対する自然保護あるいはそういう要望が強くなってきたのでございますが、こういったような森林の持つ多面的な機能、要請にこたえていきますためには、森林の合理的な施業による健全な森林の造成維持をはかってまいりたい、かように思うわけであまりす。なおまた、森林の持っておりますところの従来からいわれております木材の生産機能、これも大事な役割りでございます。その調和をはかっていくということが大事ではないか、かように思うわけでございます。
  185. 近江巳記夫

    ○近江分科員 政府として、国土の保全とそれから水資源の確保をはかるために、第四次の治山事業五カ年計画の発足をはかる考えようでありますけれども、この自然保護という問題の位置づけはどのよう考えておられますか。
  186. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 四十七年度から、御指摘のように、第四次の治山治水五カ年計画が発足するわけであります。第三次の計画に比べますと約二倍近い増加でございます。これは建設省の治水計画と調整をとりまして、連携をとりまして、最近の集中豪雨等による被害、非常にそういったものがふえてまいっておりますので、それに対する対策を強化したいということでございます。  自然保護との関連、これは、このほかにまた保安林に対するいろいろな施策の充実も含まれておりまして、これも最近では、十年前に比べますというと約倍に増加しておる、こういう状態でございます。
  187. 近江巳記夫

    ○近江分科員 倍になっておるということをおっしゃっておるわけですが、それは結果の問題でありまして、今後の基本方針として、この自然保護という問題の位置づけは基本的にどのようにお考えでございますか。
  188. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま申し上げましたよう考え方は、御承知かと思いますけれども、林業基本法に定めておりますところの森林資源に関する基本計画、これは五十年先を見通してつくっておるものでございますが、これは昭和四十一年度に策定したものでございます。ただいま御指摘のように、自然保護に対する要請が非常に強くなってまいりましたので、その点も勘案いたしまして、基本計画の改定をただいま考えておるわけでございます。それによりまして、たとえば大面積の皆伐を減らしまして小面積の皆伐にする、皆伐するとしても小面積の皆伐にする、高山地帯についてはできるだけ原生のままの森林を保全し、伐採しても択伐の形に持っていく、あるいは都市の周辺には環境保全林を設ける、そういうふうなことを織り込みまして森林資源に関する基本計画を改定して、閣議決定にかけてこれを修正するという方針で検討してまいっておるところでございます。
  189. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、今後の作業日程なんですけれども、どういう予定になりますか、それが実行されるまで。
  190. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま申し上げましたことは、四十七年度中に確定する予定でございます。
  191. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうすると、四十八年度からスタートする、こういうことですね。
  192. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  193. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、制度の改正ですけれども、いま大体のポイントはずっとおっしゃったように思うのですけれども、もう少し具体的にお聞かせ願えればいいと思うのです。
  194. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま申し上げました森林資源に関する基本計画、これはついででございますけれども、外材の圧迫がございまして、それに対する国産材の振興という点も考えまして、需要及び供給に関する長期の見通し、これもあわせて改定することになっておりますけれども、ただいまの森林資源に関する基本計画、これにつきましては、国土の保全、水資源の涵養、国民の保健休養、それから森林の持つ公益的機能に対する要請が増大しているという点を特に勘案したわけでございます。  内容につきましては、ただいま具体的に作業中でございますので、数字的な問題は、ただいまここではまだ申し上げられない段階でございます。
  195. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、特に私一貫してお聞きしておるのは、この自然保護という立場でどういう制限を加えるのですか。
  196. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 施業の方針につきましては、たとえば先ほど皆伐を思い切って減らす、こう申しました。この減った分は逆に択伐なり禁伐、こういう方面に持っていくわけでございます。それから択伐、禁伐をそういうふうに持っていきますような場合には、大体が高山地帯でございます。皆伐は従来里山地帯でやる。里山地帯の皆伐は減少しておりますけれども、減少して小さな面積にする。しかし、その周囲にはなるべく天然林を残す、こういう形を考えているわけでございます。総体的には、そういった形で天然林の形で残りますのは、国有林の場合を申し上げますと、全体の約六割がそういう形の天然林の形で残る、こういうふうに想定しておるわけでございます。なおまた、都市周辺におきますところの環境保全林、こういうものもできるだけ拡充してまいるというふうに考えております。数字的なことは、先ほど申しましたように、まだ発表できる段階ではございません。  大体の考え方はそういうふうに御了承願います。
  197. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、もう少し具体的に聞いてみたいと思うのですが、昨年の一月十六日にわが国で二カ所、明治の森として公園として指定されておる。これは高尾と箕面があるわけですが、箕面の山が非常に国有林を伐採しておるということで大阪の営林局からも、それから自然保護協会の人も、神戸営林署の人も来ていただいて調査をいたしまして、私が昨年の予算分科会でそういう林野庁の経営方針というものについて質問をいたしました。その後、林野庁としてもいろいろと検討をされて計画を立てられておるわけでございますが、ちょうど一年目の分科会でございまして、昨年以後どのように自然保護という立場から真剣に取り組んでこられたか、その過程なりまた結果についてひとつ御報告願いたいと思うのです。
  198. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 箕面国定公園のその後の経過はどのようになっておるかというお話でございますが、明治の森箕面国定公園保護管理運営協議会というものを設けまして、ここの場を通しまして地元の関係の方、学識経験者の意見ども聞きますとともに、さらに現地調査も行ないまして、これらの成果を踏まえましてことしの三月一日付をもちまして関係地域施業計画、これは国の場合は全国でそれぞれ八十の地域施業計画をつくっております。こういう地域施業計画の変更を五年ごとにやっております。御指摘のように、いろいろ先ほどお話しになりましたが、自然保護の考え方を入れた計画を立案したわけでございます。その内容は、風致の保護あるいは整備などを目的として禁伐、択伐による地域を大幅に増加する、それから森林の保護健全化をはかりまして、先ほどから申しておりますように皆伐地域もここでは約四〇%程度まで圧縮いたしまして、一回の伐採を、前は五町歩以下ということでございましたが、一町歩以下というふうに、しかも分散させるということにいたしたわけでございます。前の案をただいま申しました案と対照いたしますと、重複いたしますが皆伐では四三%になります。半分以下になる。択伐は二五六%、約二倍半、それから禁伐が一〇七%、前よりも七%ぐらいふえておる、こういうふうな形に施業の方法を変えたわけでございます。それによりまして伐採の量、それから伐採の面積はどうなっておるかと申しますと、昭和四十六年度と今度四十七年度、一応予定でございますが対照いたしますと、伐採の面積におきましては六・〇七ヘクタールでございます。昭和四十七年度には一・八〇ヘクタール。伐採の材積におきましては、千八百三十一立方メートルが三百三十八立方メートルに減ってまいることになるわけでございます。なおまた、このほかに人工林の健全化をはかるために間伐事業も行なうという計画をいたしておるのであります。先ほどお話ししました地域施業計画というものは、これは近畿地域施業計画の中に入っておるものの一部でございまして、昭和四十五年から昭和五十一年度までのあと七カ年分あるわけでございます。これの計画の修正を行なったものでございます。
  199. 近江巳記夫

    ○近江分科員 当然その修正の中に盛り込まれたと思うのですが、従来は六十年周期の伐採ということをやっておったわけですが、その辺については改定はどのようになさったのですか。
  200. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 それはただいまのところ変えておりませんが、一部については伐期齢百年に直したところがございます。長期に変えたところはございます。
  201. 近江巳記夫

    ○近江分科員 かなり努力をされたということについて私も評価いたします。しかし、御承知ように東京あるいは大阪、そうした大都市圏においては緑がほんとうに激減いたしております。そういう点からいきますと、わが国でただ二カ所選んだ明治の森であります。それをいまだにやはり伐採地域が残って施業計画に従って切っていく。やはり樹木というのは、一たん切れば最低六、七十年かかる。生長するまでにそれくらいかかるわけです。こういう点を考えますと、さらに一段と緑を残していくということに努力をしていただきたいと思うわけです。それで、特にこれは明治の森ということで営林署としても相当努力されたように思うわけですが、全国の国立公園、国定公園についても同じよう考えでそれを拡大していってもらいたい。そうして皆さんの努力でほんとうに緑を守る、こういう気概を持ってがんばっていただきたいと思うのです。従来そういう経営主義、職員なり従業員の方々がいるからということで伐採をしていく、そういう経済第一主義ということはもう時代逆行もはなはだしいわけです。そういうことで今後、国立公園あるいは国定公園はそういう箕面と同じよう考えてなさっていかれるのかどうか、これについてお聞きしたいのです。
  202. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のように、従来木材生産第一主義と申しますか、能率主義ということに偏しておったというきらいなきにしもあらずだということは、反省しなければならないと思っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように自然保護、すなわち木材の生産以外のいろいろな公益的な事業重視の施業方針を定めております。そこで箕面の国定公園でございますが、これは東京管内にも一つございまして、そのほか現在二つ以外に三十八カ所ございますが、自然休養林というような同じような趣旨の公園を国有林の中に設置しております。これを今後は約百カ所にふやしてまいりたい、かように計画しておるわけであります。そのほか自然公園以外の場所につきましても、御指摘のように、保護林とかあるいはそれに準ずるような森林につきましてはこれを保存していくという考えでございますし、それから自然公園に入っておりますところの特別保護区あるいは第一種、第二種、第三種のこういう特別地域につきましても定めておりますように、場所によっては禁伐あるいは択伐というふうな方式をとってまいりたい、かように思っております。  なおまた、特別地域以外の普通地域につきましては特に施業の制限はございませんけれども、ただいま申し上げましたような趣旨に沿うてできるだけ伐採は小さく、しかも分散させるということは基本的な考え方として持ってまいりたい、かように思っております。
  203. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、特に国立なり国定公園、こういうものについて——箕面の明治の森もそうでございますが、一種、二種、三種ときめてある。この三種というのは伐採地域ですよ。もちろん施業計画に定めて伐採するわけですが、この三種を大幅に削減して一種、二種に上げていって保護しなければ、森林は守れないわけです。この点についてお聞きしておるわけです。三種を大幅に削減して一種二種、他の国立公園あるいは国定公園、自然休養林、そうしたところについてなさっていかれるのかどうか、それについて具体的なお答えをいただきたいと思うのです。
  204. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御承知かと思いますけれども、最近環境庁におきまして環境保全法案というものが立案されておりますが、これは、ただいまご指摘の自然公園法とかあるいは農林省の中で御承知かと思いますが森林法というものがございまして、この中には保安林の問題であるとか治山の問題であるとかいうことを盛り込みまして、自然保護に関するいろいろな規定をしているわけでございます。したがいまして、環境庁でいま立案しておりますところの環境保全法案というものとの調整をよくはかりながら、御趣旨に沿うような検討をしてまいりたい、かよう考えております。
  205. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、環境庁と調整をなさって環境保全法ですか、これが提案されるということは聞いておるわけでございますが、やはり何といっても根本的に林野庁、農林省の自然保護をしていくという強い姿勢、決意というものが柱になってくると思うのです。ですから、ただ調整するということだけであれば非常にわれわれとしては不安であります。そういう点で、これはもちろん調整をなさって、具体的な数字なり何なりはいまの段階では出ないかもわかりませんけれども、少なくとも林野庁として、農林省としてそういう自然保護という強い決意で、私がいま申し上げたそういう内容でいかれるのかどうか、その辺のところをもう少しお聞きしたいと思うのです。
  206. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 自然保護と申しますと、私ども考えておりますことは、自然をただ単に放置しておくということではなくて、たとえば非常に老齢で過熟になった林分というものはすでに成長をしない、一たん台風が来ますと倒れやすい、あるいは虫とかその他菌類の病気にかかりやすい、そういう欠点を持っております。したがいまして、そういう森林を健全な森林に変えていくためには、先ほど来申し上げましたように大面積皆伐はしないようにしまして、択伐なりあるいは小面積の伐採をするようにいたしまして、健康な森林をつくるということが自然保護の重要な点ではなかろうかと考えております。そこでそういう意味で、先ほど申し上げました森林資源に関する基本計画改定の中にもそういうことを織り込みまして、現在持っております日本の森林資源の蓄積をさらにふやしていくということも考えておるわけでございます。そういう意味では私はむしろ積極的な自然保護の態度でまいりたい、こう思っているわけでございます。もちろん原生の形で残しておくということもこれは一部にはございますけれども、基本的にはそういう自然を単に維持していくだけでなく、むしろこれを培養していく、ふやしていく、こういうふうな考え方でございます。
  207. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから、この二十一日に経済企画庁に、農林漁業の第三次産業化に関する調査研究会、主査が東畑四郎氏ですか、この人が経済企画庁のほうに提言をいたしております緑の空間計画、これは農山漁村の自然を守るということでございますが、これは当然経済企画庁の新全総のそういう衣がえという中で大きく取り上げられると思うのでございますが、こういう点について林野庁、農林省としてはどういう姿勢でこれを受けとめ、それをさらに推進していかれようとなさっておるのか、この点について林野庁長官農林大臣にひとつお聞きしたいと思うのです。
  208. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私、国土計画でも、これはちょっと理想的なことになるかもしれませんが、都市計画、国土計画でも自然都市といいますか、都市に自然を生かしていく、こういう自然都市の計画あるいは農村地帯に自然農村の建設、こういう国土計画で、大きな線でいくべきだ、こう考えておりますから、経済企画庁なんかでもそういう考え方、いまのお話の緑の国土、こういうものをつくっていくというか維持していく、こういう考え方は、経済企画庁でそういう考え方が進んでいるとすれば、私は賛成でございます。  それから森林の関係からいいますならば、いま林野庁長官が申し上げましたように、ただ自然に捨てておいて、自然をほうっておいて、それが自然保護だ、自然環境だという考え方は、私は消極的だと思うのです。やはり自然というものをよりよく造成していく、ですから森林にいたしましても、切る木もあるし、絶対に存置しておくのもあるし、あるいは切ってなおいい森林に育てていくというようなこともありますから、伐採についても、皆伐禁止もいたしますれば、あるいは部分的に抜き切りというようなことをして新しい木を植えるとか、そういういろいろな方法で積極的に緑というものをよくしていく、ただ現状のままばかりで、それを守っていればいいのだという考え方ではなくて、やはり農林省や林野庁としてはより森林の施業もよくして、自然をこわさないあるいは自然をよくしていくのも含めて、森林の施業もやっていく、こういう考え方が適当だ、こういうふうに私は考えております。
  209. 近江巳記夫

    ○近江分科員 時間がありませんから断片的になりますけれども、行管庁が農林省に対して米減産の奨励金の問題で指摘をいたしておりますが、これについて大臣としてはどういうようにそれを受けとめ、そして今後まじめな人がほんとうに協力できるような体制をいかにつくっていこうとなさっておられるのか、その辺について大臣のお考え、そして今後の方針についてお聞きしたいと思うのです。
  210. 中野和仁

    中野政府委員 先般行政管理庁から米の生産調整についての実施の段階についての監察がございまして、われわれ伺ったわけでございます。農林省といたしましては、米の生産調整個々農家まで目標を示しましたものにつきましてできるだけ正確にやりたいということで、県の段階、市町村の段階、各段階におきまして地方自治体、農業団体の協力も得、かつ食糧事務所も協力しろ、それからまた県の段階では農業改良普及員も協力するようにということでやっておるわけでありますが、残念ながら、一部でございますが不正確な面が出ました。この点は四十七年度の実施にあたりましては、過去のそういう指摘を十分踏まえまして、より厳密な指導をいたしてまいりたいと考えております。
  211. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もう時間がありませんから、最後にその件につきまして大臣の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  212. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米の生産調整は、考えてみればあまり好まないことを奨励したわけです、国全体の観点から。でありまするから、いろいろの指摘されるような案件もあるいはあったかと私も思います。しかし、そういうことでは、いまあなたが御指摘になるように、正直者がばかを見るような形になっては、これは生産調整もうまくいきませんし、また全体として農林行政の姿勢としてもあまり好ましくありません。でありますから、そういうことのないように十分注意をして指導していきますから、ひとつ御了承を願います。
  213. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もうこれで終わりますが、結局、この生産調整についてもほんとうに、いままでの農業政策が行ったり来たりのそういう、確とした、定まったものがないがゆえに、やらなければならないこれは悲劇であると思います。そういう点で、十分な対策をとっていただく、これが最も大事であると思うのです。そういう根本的な、農政不在といわれる中で起こっておることでありますので、これについては十分今後また対策をとっていただきたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  214. 植木庚子郎

    ○植木主査 次は山田太郎君。
  215. 山田太郎

    山田(太)分科員 私は、まず干拓の問題について、大臣にお伺いしたいと思います。  そこで、せっかくばく大な投資を行なって干拓した八郎潟をはじめ、全国的にこの干拓農地が遊んでいるところがあるということについて、どのように対処なさるお考えか。いわば国は米の増産のために農家を入植させておいて、今度は生産調整で国がそれをつくらせない。困っているのは被害者でもあるといえる農家の方です。そういう農家の方は償還金の払いにも困っておる。そのほかにも、農機具代の返済だとかあるいは住宅建設費の返済だとか、圃場整備負担金だとか、その納付に全く困惑している。そういう農家の方々、のことを思うにつけて、そういう農家の方々にかわるべき作物を指導して、そして価格でも保障するならば別でございますが、こういう点について、大臣としてそういう農家の方々にどのよう対策あるいは措置をなさろうとするか。やはり農家の生活の大事な問題でございますので、大臣にお伺いしておきたいと思います。
  216. 三善信二

    三善政府委員 干拓のお話が出ましたので、私からちょっとその状況を御説明いたしたいと思います。  御指摘のように、干拓事業で造成したところで、まだ入植をしていないところもございます。ただ、八郎潟、ああいう大きな干拓地につきましては、もともと水田を造成するということで出発したわけでございますが、現在開田を抑制しまして、もっぱら畑地の造成ということで畑をいま造成をしてやっているわけでございます。そのほかの干拓地でも、やはりそういった途中で畑をつくるということで、現在その事業を進めているわけでございますが、その畑をつくります場合に、そこにどういう作物を導入するかということが一つは御指摘のように非常に重要なことであるし、また一番むずかしい点でもあるわけでございます。それにつきましては、各干拓地ごとにその地域の特産といいますか、主産地形成等を目ざした地域の適する作物、そういうものを選定して経営をやっていくということで、現在畑地でいくところにつきましては、そういう問題をいろいろ検討しながら、地元市町村あるいは県と相談をし、入植される農民の方々の経営に不安がないように、検討をしているようなわけでございます。ただ一部につきましては、干拓地でも干拓をやっております工事の期間というものはわりあい御承知のとおり長うございまして、埋め立ててから圃場を造成していくわけでございます。その間にいろいろな情勢の変化等もございますし、そういった場合には、一部についてはその多目的な利用ということもやむを得ないかっこうでその造成地を使用しておるところもございます。そういうことで、干拓地につきまして御指摘のような点もございますけれども、私どもとしましてはこれを造成しながら、適地適産の趣旨に沿いまして営農がうまくいくよう一つやり方考えて指導してまいっておるわけでございます。やはりさら地でないと営農のモデル的な経営というものはなかなかできませんし、そういう意味では八郎潟はじめ干拓地に入植した場合、そこを一つの周辺農家の営農モデル基地として造成していくということは非常に重要なことでございまして、そういうこともあわせて現在事業し、指導しておるというよう状況でございます。
  217. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの御答弁の中に——返済に困るよう農家の方々に対して特別措置を講ずる考えはないかという点、その点について簡単でいいですから……。
  218. 三善信二

    三善政府委員 それは干拓地の問題というより一般的な問題のお尋ねかと思うのでありますけれども、そういう懸念をされている向きも相当あります。現実的に私ども土地改良を実施いたしました場合に、その土地改良に要した経費、あるいは土地改良組合等の賦課金等、そういうのを実態調査してみますと、時期的にはここ一、二年の問題になりますけれども、調査した時点ではまだまだそこまで、どうしても困って返済に苦労しておるというような実態はなかろうと思いますが、現実にそういう声も相当ございます。その点につきましては、四十七年度予算で今回もう一度実態を十分調査してみたいと思っております。そういうことで実態をよく調査した上で、何らかの対策考える必要があるかどうか、そういう点についても将来検討してまいりたいと考えます。
  219. 山田太郎

    山田(太)分科員 四十七年度の予算で特別に調査して特別措置を講ずる場合も考えておるという御答弁でありますから、次の質問に移らしてもらいます。  そこで同じ干拓の児島湾の締め切り堤防によってできた五千百三十七ヘクタールの干拓地の農地の現状ですね。この現状はどのようになっておるか。この干拓によって塩害を防止されて、米や麦等々の増産が受益者の農家の方々にすばらしい貢献をしたことは事実でございます。しかし、現状においては市街地あるいは市街化調整区域に指定された等々、だいぶ変化しているようでございますが、その現状がもしおわかりになれば、どのよう現状になっておりますか、簡単でけっこうです。
  220. 三善信二

    三善政府委員 児島湾は御承知ように堤防で締め切りまして、淡水化して、その水を周辺の農地に供給するということをやっております。それで三十六年にこの締め切りの工事は終わっております。  現在どのように変わってきたかということでございますが、ここの湾に流入しております笹ケ瀬川、倉敷川、こういった川の流域、岡山市、倉敷市、この近所は非常に都市化の傾向が進んでおりますし、したがいまして、都市用水が多少流れ込むというようなこともございまして、水質の悪化というようなことがいわれております。これについて県当局からも土地改良組合からもひとつ調査をしてくれということで非常に強い要望がございますので、私どもとしては、四十七年度にこの水質の調査、あるいは干拓で設置しました諸施設の機能の低下等が現実に起こっているかどうか、起こっているとすれば将来どういう対策考えていくべきだろうかといったような調査を実施したいと思っております。
  221. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点についてはまた後刻お伺いしてまいりたいと思います。  そこで、大臣農政通でいらっしゃいますし、もうすでに御存じのことと思いますが、この児島湾の締め切り堤防は、まず農民の方々が建設費の四・七%、一億四百十万円、元利合計して十年年賦になって一億三千四百七十六万円の負担になっております。この農家負担がいよいよことしの三月、四十七年三月末で全部完済されます。ところがここに大きな問題が残りましたことは、この締め切り堤防の有料通路の無料化がいまの段階では期待できない。そのために多くの県民の方々が、生活の面においてもあるいは物価等々の面においても、あるいは有料道路であるために非常な困惑と迷惑——迷惑ということばは適当でないかもしれませんが、そのよう状況になっております。この点について、昭和四十四年の二月でございましたか、当時長谷川農林大臣だったと思います。農地局長中野さんだったかと思います。そのときに無料開放について私も質疑を重ね、前向きの方向でこれを無料化に踏み切っていきたいというふうな意味の御答弁があったわけです。ところが、農家負担は完済したけれども、この有料通路の問題は依然として残っている。この点について、簡単でけっこうですから、どのような経緯を経て今日に至っておるか、お答え願いたいと思います。
  222. 三善信二

    三善政府委員 この児島湾の締め切り堤防の有料道路につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、四十四年の二月でございますか、御指摘がございまして、その後さっそく私どもはこれを無料化をはかるよう方向で調査をいたしました。その調査と申しますのは、県道として維持管理を、県道の路線認定をしてもらったらどうかということでございます。そこで、そういう県道の路線認定をするためにはいろいろ条件がありまして、建設省その他十分調査をしていただいたわけでございますが、この堤防はやはりあまり大きなトラック等を通すと安全性がどうかというような問題、それに対して補修の工事の方法が非常にむずかしい干拓の堤防でありますから、そういう補修のやり方一般の堤防とは多少異なる点があろうかと思います。そういうことでこれを県道として路線認定をすることはどうもできないという結論に実はなったわけでございます。私どもも期待をもちまして、県道として路線認定をしてもらいたいということで調査をやったわけですけれども、そういうことに結果的になったわけでございます。  そこで、今後これをどういうふうにしたらいいかという問題でございますけれども、正直に申し上げまして、ここの堤防の通行料でございますが、それは一つは、農家負担をしております返済金は返しましても、ここの維持管理費というのは相当多額にのぼるわけでございます。そういった農家負担の軽減等に充当するためにやはり必要な面もございますので、正直に申し上げまして、どういうふうなことを今後考えたらいいか、実は苦慮しておるよう状態でございます。
  223. 山田太郎

    山田(太)分科員 その御答弁では全く前進がなかったと同じです。  そこで、道路に認定はできない、重量に耐えないという問題から、これはわかります。しかしこれは道路認定にしなければ無料開放にできないという問題とはまた別問題です。その点を間違いないようにしてもらいたいということをまずお断わりしておきたい。  そこで、まず現段階においてすぐ無料開放はできないとしても、やはり地元住民の方々は、農家負担が完済すれば、それだけは当然通行料が軽減される、そう非常に期待をかけておったわけです。ところが、現段階ではそれが全くできない現状でございます。これはやはりいろいろ理由もありましょう。理由もありましょうが、日本全国でこういう締め切り堤防の有料通路になっているのはここだけです。大臣、ここだけなんです。しかも、これが県南部の過疎化現象にもあるいは物価の高騰にも大きな影響を与えております。またその被害を受ける——まあいわば被害ですが、その住民の方々の怨嗟の声は非常に大きいわけです。われわれの税金でつくったんではないか。農家のための締め切り堤防ではあったとしても、農地干拓のための堤防であったとしても、それの通行に料金を取る、これは全く常識的に納得できないわけですね。県当局も、土地改良区も寄り寄り協議して一応の新会社をつくったわけではありますが、その点は一歩前進ではあった。しかしこの点を踏んまえて、より一そう通行料金の軽減をはかっていくためには、農林省としてどのような措置をとらんとするか、その点をお伺いしておきたいと思います。というのは、現状においては、もう時間があまりないですから詳しくは申し上げませんが、四十四年から四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年にかけて、路面の重舗装なりあるいはグラウト工事等々に約二億円もかけておるわけです。四十七年の予算でも五千万円かける予定になっています。四十八年、四十九年、それぞれ四千万円の予定がされております。これは中国四国農政局の言でも明らかであります。そこでこのような補修、補強を農林省において補助する、そういう措置を講じてあげるならば、その点他の、たとえば一例をあげれば、鍋田干拓あるいは碧南干拓あるいは伊勢湾等に面した地区等々、やはりこれは干拓の締め切り堤防ですから潮の満ち干あるいは台風等のときに内面より砂が吹き出す。そういうふうなために堤防の補修費がかかるという場合もあるわけです。上を車が通るから補強が要るんだというだけではないはずなんです。上を車が通るために補強費がこれだけ要るんだというわけじゃないわけです。あるいは補修費がこんなに高く要るんだというわけじゃないわけです。全部車が通るからという意味じゃない。言う意味わかりますね。言い回しがへただからよくわからぬかもしれないけれども、その補修費を、他の干拓地においてと同じように補修費を農林省で出してしかるべきではなかろうか。その点についてどうですか。
  224. 三善信二

    三善政府委員 現在それを無料化するということは非常に困難であるということは先ほど申し上げましたが、将来どういうふうにそれじゃそういう方向で検討していくかということだろうと思います。この堤防の補修等につきまして国が直接助成措置を講じるということは、現在ほとんどやっておりません。したがいまして、そういう方向でそういうことをやれるかどうか、ひとつ検討はしてみたい、そういうことによってこの通行料が軽減できるかどうか、そういう点も検討は今後いたしてみたいと思っております。
  225. 山田太郎

    山田(太)分科員 私が寡聞にして知らないのかもしれませんが、さっき申し上げた干拓堤塘、これはちゃんと補修の助成が出ておるのです。よしんばそれが現在はまだ出てないとしても、この補修費を助成するということによって、せめて通行料の軽減をはかっていく。これは農家の方々を守るためにもなるわけです、補修費を助成するということは。その助成を農林省において検討をいまするというお答えですけれども、これは必ず助成すべきことではなかろうか、こう思うわけですが、もう一度その点について……。
  226. 三善信二

    三善政府委員 いま先生がおっしゃいましたのは、おそらく海岸堤防として指定を受けたところの堤防の問題だろうと思います。これは海岸堤防とはちょっと性格が異なりますので、同様に取り扱うというわけにはまいらぬかと思いますが、いずれにしましても、何かいい方法があり得るのかどうか、また現行の措置を適用してうまく当てはめ得るかどうか、そういうことも含めて検討はしてみたいと思っています。
  227. 山田太郎

    山田(太)分科員 検討を早急にやって、助成を農林省がするという方向を早くきめてもらいたいと思います。  そこで、この農家負担がこれで完済したわけですから、この際農林省の直轄管理、土地改良区の委託管理ではなくて、農林省の直轄管理、現段階においては大蔵省等の折衝等によって二つの県にまたがらなければいけないとかいろいろな制約があるでしょう。しかし農林省の直轄管理ということも考えられるのじゃないか。直轄管理になっておれば、こういうふうな問題はおのずから無料開放の前進に向かって進められるわけです。この点についてはいかがですか。
  228. 三善信二

    三善政府委員 堤塘あるいは干拓で造成しました施設、土地改良で造成しました施設は、原則として土地改良区が管理をして、その維持管理については農民負担でやっていこうということが原則でございます。ただ、いま先生が御指摘になりました直轄管理、これは二県にまたがるような非常に大きな施設で、どちらの県にこの施設の管理を委任、委託するということにもいろいろな事情でまいらないというようなそういう特殊の形態でございますので、一般的にこの方式を広げていくということは制度的には非常に困難でございまして、その方法でこの児島湾の堤防をやったらどうかという御質問でございますけれども、制度的な問題もございますし、なかなかむずかしい問題だと思っております。
  229. 山田太郎

    山田(太)分科員 私の仄聞するところによれば、この児島湾の締め切り堤防だけを取り上げて管理方式を云々するということは、これはむずかしいかもわからぬ。しかしいろいろな問題があるわけですから、やはりこういう堤防の管理方式については早急な検討加えておるということも聞いておりますが、その点はどうですか。
  230. 三善信二

    三善政府委員 管理の方式といったのをどういうふうにするかということは、これは土地改良法に基づく全体の制度的な問題でございますので、現在それをすぐ検討していくというわけではございませんが、やはり将来そういった面も含めた検討が必要だとは思っております。
  231. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間があと残り少なくなってきましたから、要望だけにとどめますが、この無料開放の問題については、きょうの御答弁はあまり前進した御答弁じゃないと思う。やはりせめていまの通行料を軽減する方向という面を助成等によって強力に考えてもらい点が一つ。もう一つは、無料開放に向かっての方策をより早急に、より強力に探索していくべき問題が二つ。この点を強く要求もし、要望もしておきたいと思います。  そこで、もう一点お伺いしたいのでございますが、この児島湖の淡水湖、この淡水湖の現状、倉敷川とかあるいは笹ケ瀬川、あるいは家庭排水あるいは工業排水等々によって、非常にいま汚濁しております。ヘドロも約一メートル以上も堆積しているといわれております。そうして、ついには、日本一うまいフナがとれる、ハゼがとれるというところだったわけですが、いまそれは奇形魚が続々出ております。からだが湾曲した奇形魚が出ております。しかも、生きておりながらからだ腐っていくようなそういう奇形魚が出ております。それがつくだ煮等になって京阪神等にも出されておる。この現況を漁業組合の方々のみならず、農家のいわゆる農用水にしても、水量の問題あるいは水質の問題等々非常に危惧の念を深くしております。この点について早急な措置がなされなければならないと思うのです。農林省がやはり中心となって、どのような措置を行なわんとされるか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  232. 三善信二

    三善政府委員 御指摘のような点につきまして、県からも土地改良区からも要望がございましたので、先ほど私ちょっと触れましたけれども、ここの児島湾の汚水につきまして、水質の問題を中心に調査をいたしまして、その調査に基づいてどういう対策を立てたらいいか、こういうことをさっそく検討したいと思っております。四十七年度予算で一応そういう農業用水の合理化調査という経費も要求しておりますし、それを当てはめまして、ここでさっそくそういう調査をして、二年間ぐらいかかると思いますけれども、調査をして、今後の対策考えたい。
  233. 山田太郎

    山田(太)分科員 これで質問は終わりたいと思いますが、二年間ぐらいかかって調査をしたい。しかし、これは農林省だけでなくて、やはり工業排水もあるわけですから通産省関係がある。あるいは家庭排水もあるわけですから、あるいは下水の問題もあるわけですから、したがって通産省なりあるいは建設省なり、あるいは県なりあるいは市なり、あるいは地元学識経験者のような方々に参加していただいて、連絡会議を、この児島湾の汚水の問題についてあるいは汚濁の問題について、あるいはヘドロの問題について連絡会議を設置して、進めていくという方向考えるべきだと思いますが、その点についてはどのようなお考えですか。
  234. 三善信二

    三善政府委員 調査をいたしましたあとで、どういう対策が必要であるか、そういう問題につきましては、やはり地元の方や学識経験者、県等も一緒になって、ひとつ双方意見を十分聞くようなことをやっていきたいと思っております。(山田(太)分科員「連絡会議を設けますか」と呼ぶ)連絡会議という性格のものではございませんが、やはり、そういう地元関係者の協力を得ながら対策考えていきたいと思っております。
  235. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間も過ぎましたので最後に一言。そういう相談しながらというふうな弱い立場でなしに、やはり連絡会議というふうなそういう形式をきちっととって、早急に調査とそれから対策と、それを講じてもらいたい。特に強力に要望したいのですが、大臣から一言答弁をお願いしておきたいと思います。
  236. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういうことになると思います。調査の結果……。
  237. 山田太郎

    山田(太)分科員 そういうことになると思います、——じゃ終わります。
  238. 植木庚子郎

    ○植木主査 林孝矩君。
  239. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 私は、大臣の所信表明の中に林業についての部分がございます、その部分について御質問したいと思います。  その中に、「外材輸入の増大、木材価格の低迷、労働力の不足等情勢はきわめてきびしく、またこのよう状況の中で林業の経営は著しく悪化してきております。このため、今後は、林道等生産基盤整備、林業構造改善、林産物の生産流通合理化等をより一そう強化して推進するとともに、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されるようつとめてまいりたいと存じます。国有林経営につきましては、四十八年度実施を目標に、その抜本的改善につき総合的検討を進めてまいる考えであります。」この部分があるわけです。農業農政の問題については米だとか野菜だとか、いろいろな問題が大きくクローズアップされておるわけでありますけれども、私この問題を取り上げるに至った基本は、そうした中において現在山村地域における林業の問題、そういう現場における、非常に将来の見通しの暗い、あるいは現在においても非常に不安な状態、山林に就業している人たちの生活の基盤、そうしたいろいろな問題がずいぶん昔から現在に至るまで改善されないよう状態できているという現場のことがありますので、基本的な問題についての質問になると思いますけれども、明快なる御答弁をお願いしたいと思います。  まず、最初にお伺いしますことは、その中で木材需給と国内生産の動向についてであります。また木材価格の動向について、そういう第一点の質問になります。現状は、林野庁のほうでもいろいろ掌握されておると思いますけれども、いわゆる高度成長に伴って、需要は増大しているけれども、需要構造の変化が目立っておる。昭和四十二年以降わが国の木材生産現状は非常に減少しているという状況にあるわけです。この間に外材の輸入が急激に増大してきた。そして外材の占めるシェアというものが非常に拡大してきた。そういういう経済環境の悪化された状況、そういう中においてどのような今後の見通しを立てられているか、この問題についてでありますけれども昭和四十一年四月一日閣議決定としての、森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通しという閣議決定があります。私もこれをいろいろ読ませていただきましたけれども、ここの中の見通しの甘さというか、私しろうとなりに考えても、そういうものを非常に感じるわけです。実際この中で見通しを立てられて、そうして対策考えられて、現在、四十一年からですから約六年余、この間にどれだけの前進があったかということを分析してみますと、その見通しというものの甘さが非常に感じられるわけです。外材等の輸入の見通しについてもしかりです。ですから、今回この予算を審議するにあたって、やはりそうした具体的な見通しというものをどのように把握されているか、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  240. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 昭和四十一年閣議決定をみましたほぼ五十年の見通しでございます。数年たったわけでありますが、その当時の見通しに比べまするというと、最近では木材の需要が非常に増大してまいりまして、その点で一つ大きな食い違いが出てきた原因があるわけでございます。ところが、国内の生産の体制というものは非常に弱体でございます。やや具体的に申し上げますと、生産する体制、これは御承知かと思いますが、非常に零細な山林所有者が多いわけでございます。五町歩に満たない人が全体の九割以上を占めている、こういうことでございます。またその出ました木材を加工する木材業というものも二万五千くらいでございまして、これも非常に零細である。しかもまた生産から加工に、加工から消費にいきますところの流通過程というものも非常に複雑でございます。したがいまして、外材がその間の欠点を縫って相当入ってきたということになるわけでございます。外材は主として南方材、米材、ソ連材であるとか、御承知かと思いますけれども、これがすでに四十五年度におきましては五五%を占めているわけで、国内材の自給率というのはむしろ下がってしまっているという状態でございます。したがいまして、大きな木材の需要に対応しまして外材が入ってきたこの見通し、当初の狂った見通しをどうするかという問題が出るわけでございますが、この外材が今後また相出入ってくるだろうということは一応想定されますけれども、今後の五十年の見通しというのは、この段階におきまして修正する計画をしているわけでございます。将来はおそらく、当初立てました自給率は九〇%くらいに実は見ておった。つまり国内で生産されますものと需要との差額は外材で補うというような簡単な見通しであったわけでありますが、しかし外材もやはり、御承知かと思いますけれども、今後はいままでどおりに入ってくるとは必ずしも楽観できないような現地の生産事情もございます。したがいまして、今回は、ただ需要と国内材との差額を外材に期待するというだけでなくて、外材そのものがはたして将来、従来のようにどんどん入ってこれるものかどうか、現地の実情等も四十七年度は調査するということを追加したのでございます。そういたしまして、外材は今後どの程度入ってくるだろうかということを、単なる差額としてでなく、その見通しを立てるということにいたしまして、四十七年度中に、四十一年度にきめましたところの長期の見通しを改定するよう作業を現在進めております。年度内にはそれを修正したい、かよう考えておるわけでございます。
  241. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 四十七年度中に、そして修正ということであります。その点について私も意見を同じくするものですけれども、今日まで、いますぐに感じられたのではなく、今日までいろいろそういう状況を感じつつ修正という方向が定まってきた。本年度中というあれですけれども、その修正のめど、これは何月ごろに置かれているかという点が一点。  それからその修正の内容の根本的なものはどういう項目になるか、この一点。この二点についてお願いします。
  242. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 需給の見通しにつきましては、もう一つは経済企画庁で策定しておりますところのGNPの見通し、これがどのようになるかということの関連もございまして、ただいまのところでは資源の基本計画、それから需給の見通し、この二つを閣議決定しなければなならぬわけでございまして、資源の見通しにつきましては、大体年内に作業はできると思っております。
  243. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 何月ごろですか。
  244. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 四十七年中にこれは作業できると思っておりますけれども、需給の見通しにつきましては、経済企画庁等の見通しでございますところのGNPの見通しと関連いたしまして、できるだけ早期にこれを確定したい、こう考えております。同時点で作業できるかどうかという点についてはただいま検討中でございます。
  245. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 同時点で作業できないことはわかります。ただ年内あるいは早めに、早期にとかいうのじゃなしに、そこまで話が煮詰まってきているわけですから、林野庁のほうでそういう感覚で、早期にといったっていろいろあるわけですから、年内といったって幅が広いわけですから、ことし始まったばかりですから。それではいつまでやろうということも考えられてないわけですね。
  246. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 できるだけ早期に解決したいと思います。
  247. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 できるだけ早期ということはわかるわけですけれども、これは非常に基本的な問題でありまして、そういうめどをどこに立てているかということによって私の次からの質問も変わってくるわけです。ですから、その点を林野庁でどのよう考えていらっしゃるのか。早期だとか早いうちにというのではなしに、はっきりとしていただきたいというのが私の質問なんです。
  248. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 やり方といたしましては、林政審議会というのがございまして、そこで部会を設けてございます。そこでただいま検討中でございまして、そちらの進度との関連で、答申をもらいまして、早く決定したい、こう思っているわけであります。林政審議会の政策部会のほうでやっております。
  249. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 林政審議会でやっていることも私知っておりますけれども……。大体その辺の話はわかりました。次にまいります。  次の問題は、国内生産の動向について。  先ほど少し話が出ました幼齢林の割合が非常に高い、そうした資源的な制約。第二点は、生産基盤整備が非常におくれておるという点。それから、経営規模が非常に零細性であるという点。第四点は、労働力の減少、そして労働力の質的低下といいますか、それによるところの木材価格の低迷。その四点が国内生産の動向として顕著であるということです。  その四点について、林野庁のほうではどのような具体的対策を立てられておるか。
  250. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほどちょっと触れましたように、一つは非常に零細な所有形態である、また加工につきましてもきわめて零細な形態である、その間を結ぶ流通機構が非常に複雑である、これが外材に圧迫されまして生産がふるわない一つの大きな原因になっているわけでございます。したがいまして、要約して申し上げますと、この所有の形態が非常に零細であるということを、できるだけ大規模にいたしまして、生産の能率をあげていくためには、協業を促進していかなければならないということがあるわけでございます。そこで、この零細な山の所有者をひとつ計画的に、しかもそれを共同で作業する場合においてはある程度国がめんどうを見てやるということも一つ考えておるわけでございます。  また、加工方面におきましても、きわめて零細な形態でございますので、この流通の問題を含めまして、この加工業あるいは流通を大型にし、しかも太くしていくということに対する国の補助あるいは融資の関係についての対策を講じてまいりたい、かように思っておるわけであります。  それから、先ほど触れました、お話のありました、労働力の問題につきましては、国内の労働力が、御承知かと思いますけれども、最近五年ぐらいの間に約半減しておりまして、わずか二十万人ぐらいの状態になっておるわけでございます。この林業労働力の減少をいかにして食いとめ、山林にこれをとどめておくかということは、大きな一つの問題であるわけであります。したがいまして、この林業労働の固定をどうしてはかるか、できるだけ一年間を通じてこの作業に従事できるようにしてやるということが必要でありまして、いわゆる通年化、それからもう一つは、大体林業に従事される人々というのは、一定の地域からあまり動けないというよう状態が多いわけであります。できるだけ区域を広げて広域的に移動ができるような方法を講じてやるということが第二点でございます。  もう一つは、また、労働の環境が山村地帯においてはきわめて悪い。これを、労働の環境をよくして、安全でしかも安心して働けるような環境をつくってやる。  こういったような三点が、労務対策上必要だろうというふうに考えまして、それに対する諸種の施策を講じておるところでございます。
  251. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 一点まだ残っております。幼齢林のは……。
  252. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 大体現在ございますところの造林地は戦後補植をしたものでございまして、人工林のうち四十年以上になっている役に立つものというのは、大体一割ぐらいしかないわけでございます。大部分は非常に幼齢なものでございます。二十年以下のものが国有林だけでも約七割、民有林でも造林のうち約八割を占めております。つまり非常に若過ぎるものが多うございまして、非常に年とった木が少ない、利用できるような木が少ない、こういう状態になっているわけでございます。しかも今後は、そういう意味で相当保育を必要とするわけでございます。間伐しなければならぬ個所が相当出てくるという形でございます。したがいまして、特に四十七年度は間伐に対する助成ということも重点的に考えておるわけでございます。いずれにしましても、ここ二十年以上の間は空閑期でございます。その間できるだけ国有林も伐採いたしまして、しかしそれは限度がございますけれども、供給する。足らぬところは外材を持ってきてこれを補うというふうにしていかなければならぬ。一つのギャップがあるわけでございます。これに対してはきめのこまかい考え方で、ただいま申し上げたような民有林と国民林を通じ、あるいは外材をあわせて補ってまいりたい、かよう考えております。
  253. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 いま四点について質問した中で、まだ生産基盤整備のおくれの問題についての問題が、触れられておらないように思います。  そこで、たとえば生産基盤整備の立ちおくれの問題で、林道の整備状況の基本計画として、目標に対していまどうなっているかという点、これは民有林道の問題ですけれども現状について答弁願いたいと思います。
  254. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 民有林につきましては、五十七年までに十一万三千五百キロメートルという全国森林計画で計画がございます。それに対しまして、現在までの実行は、四十一年から四十五年までのところで非常におくれていることは御指摘のとおりでございます。ちょっと計数はいま調べますけれども、という理由は、私たちは、現在、日本全国平均しまして林道密度というものは五メートルぐらいしかございません。外国では五十メートルぐらい、たとえばドイツなんかはそういう状況でございます。林道はこれから十分延ばしていかなければならぬ、かよう考えておるわけでございます。特に幹線林道というものに重点を置いてただいままでやってきております。幹線林道はやはり単価も非常に高いわけでございまして、したがいまして幹線林道に重点を置いた結果、相当コストのかかるものを先にした結果が、全体の進展がおくれているという原因の一因になっているわけでございます。それが済みましたならば、今度それから出てまいりますところの枝葉になります作業道、これに重点を置いて実施してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。全国平均で、ドイツの五十メートルまではいかぬにしましても、できるだけ密度の高い林道にしまして、そこでいろいろな性能の高い機械を使い、森林作業ができやすい、先ほど申し上げた労働条件の緩和ということもございますし、安全作業ということもございますので、やはり基盤になります林道については整備を急いでまいりたいというふうに考えております。
  255. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 いまの林道問題については、生産性向上とかあるいは奥地の開発というものに非常に重要なウエートを占めると私思うわけです。そういう面から考えて、先ほどデータが出ませんでしたけれども、四十五年度で五万七千五百九十六キロですか、そういうデータが出ております。非常に立ちおくれているということを示していると思うのです。こうした不十分な状態、これも一つの問題点として提起しておきたいと思うわけです。  それから先ほど四点あげました中の経営規模の零細性、これがまたあとから質問する問題とも関連してたいへんな状況にあるわけですけれども現状はどうなっておりますか、数値がわかりましたら……。
  256. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほどの林道でございますが、民有林は昭和四十五年度末で五一%になっております。半分でございます。  経営規模別に申し上げますと、五町歩未満が八九・六%、五町歩から二十町歩が八・四%、二十町歩から五十町歩が一・三%、五十町歩から五百町歩が〇・六%、五百町歩以上というのはわずか〇・一%、かようになっておりまして、五町歩未満というのが約九割を占めている、こういう状態でございます。
  257. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 こうした非常に零細な状況にある。この状態に対する対策はどのようにお考えになっていますか。
  258. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほどもちょっと触れたのでございますけれども、こういう零細な所有形態でございますから、できるだけまとめまして共同でこれを作業する、それで計画的な施業を推進していく、かよう考えておるわけでございます。特に五町歩、十町歩というような零細なものにつきましては、おそらく一生の間に一ぺん切るか切らないかで、子か孫の時代に伐採するというものでございまして、財産保持的な経営をしているわけでございます。これでは先ほど申し上げましたようになかなか計画的な生産は出ませんし、したがいまして、買い手のほうもなかなか計画的な買い方ができない。買い手のほうも不安になってまいりますと、公団や住宅産業のほうに計画的に売ることができない。したがって外材に圧迫される。こういう循環があるわけでございますから、できるだけ団地にまとめて共同に作業をするということに重点的な指導をしていく、こういう考え方でございます。
  259. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 その次の問題、第四点目ですけれども労働力の減少の問題。これは一つは、山村人口の都市流出という状況下にあるということ、それから作業が季節性を持っておる、それが現在の林業労働の特殊性だと私は思うわけです。たとえば昭和四十年から四十五年の間に就業者数が半分になっておりますね。これは一つの矛盾を感じるわけですけれども、こうした生産を推進していくという方向をとれば就業者が多く必要だということになりますし、また生産を大幅に拡張していくという方向ではなしに、むしろ外材に重点を置いていくということであれば就業者は少なくてもいいわけで、現在の就業している人たちの生活の問題、こういうものが今度は関係してくると思うのです。したがいまして、こうした将来の見通しというものは非常にむずかしいですけれども、少なくとも先ほど答弁がありましたように二十万人の就業者が現存している。こういう人たちにとって、いま一番問題になっていることはこのことだと思うのです。そこで政府として、こうした将来の見通し、それに対する労働力の減少という問題に対する対策、この点をはっきりしておかなければならぬと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  260. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のように、林業の生産振興のためには、やはり労働力の確保ということは基本的な問題でございます。したがいまして、なぜ労働力が山村から流出していくかということを考えますと、やはりほかの産業に比べまして、林業というのは非常に季節的な作業でございます。特に造林におきましては忙しいときにはばかに忙しい。冬にはほとんど仕事がないというよう状態で、季節的なものでございますから、できるだけ、主として造林事業についての季節性を克服するという技術的ないわゆる技術開発、これも研究はいたしているわけでございます。たとえば苗木を春から夏から秋まで植えられるようなポット造林というものがあります。植木ばちの小さいようなものですが、そういうものに入れて山に持っていく。これは雪さえなければいつでもできる。そういう季節的な克服ということにつきましては技術的なことを研究しております。また昔は伐採のために雪ぞりを使うとか、あるいはまた木馬を使うということがありましたけれども、最近は集材機であるとかあるいはトラクター——トラクターにしましてもキャタピラ式のトラクターというのは山を荒らしますから、なるべくホイールタイプのトラクターを使う。さらに、最近では、それを非常に安全に操作をするために遠隔操作方式を考えております。これは絶対に安全です。労働強度もまずほとんど事務労働と変わらない遠隔操作、そういうことも考えております。そういう意味で、林業のそういう欠点を技術的に補うことも考えてはおりますけれども、これもなかなか一挙にはまいりません。限度もございます。したがいまして、できるだけ林業の労働力というものを安定して確保するために、先ほどもちょっと触れましたけれども、年間を通じて働いた場合には、たとえば百七十日くらい働いた場合、ある程度本人と組合とか県とか国でこれを積み立てまして、積み立てた金額の五倍は退職のときにもらう。二百日つとめればもっといい。限度は二百五十日にはしてございますが、できるだけ通年雇用いたしまして、そして社会保障制度の適用ができるよう状態に持っていくことも考えておるわけでございます。  それからまた、林業労働者というのは同じ部落からあまり外に出たがりません。できるだけ隣の部落にも行くし、あるいは隣の市町村、できれば隣の県にも行けるというふうな世話を森林組合の県の連合会があっせんするということを考えまして、以来東北から近畿方面へ行く場合もございます。そういういわゆる流動化ということも考えて雇用の安定をはかる。それからまたもう一つは、労働される皆さんが安心して働ける、あるいは災害から守るためにいろいろな施設を考えております。たとえば今度は通う場合の人員運搬車の問題、マイクロバスですが、そういうようなものも考えてやる。そういう労働環境、あるいはまた機械のことをやりますと振動病にかかります。レイノー現象とかそういった病気になっては困るから振動しないような機械を考えるとか、そういうふうな改善のこともいろいろ対策考えまして、特に助成してやるというようなことを考えまして、要するに林業労働がほかの産業並みに社会保障もしてもらえるという条件をつくり出そうとしておるわけでございます。  なおまた、賃金水準につきましても、やはりほかの産業に比べて決して良好であるとはいえないわけであります。ただ、これはあまり賃金水準を上げたのでは経営として成り立たぬ場合もございます。そのためには、先ほど申し上げたたとえば林道を通すとか機械を入れるということで、経営合理化をはかってコストを下げるということも指導しているわけでございます。  そういうふうにいたしまして、できるだけ林業労働というものを安定させまして、林業経営が成り立つようにしたい、かように思っているわけでございます。
  261. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 これは大臣にお伺いしますけれども、先ほど申し上げましたこの幼齢林の割合が非常に高い、あるいは生産基盤整備がおくれている、また経営規模の零細性という問題、また労働力の減少、木材価格の低迷、そうした問題を私は取り上げまして、そしていまいろいろな対策林野庁長官の答弁として得られたわけでありますけれども、これはやはり、次はそれを実行するという段階になると思うわけです。話は話、しかし話が話で終わってはならないし、計画は計画、それは計画倒れになってはならない。そうなってまいりますと、やはり農林大臣がそうした問題に対してどこまでそれを実行されるかということが、そうした二十数万人の人たちの一番聞きたいところではないかと私は思います。そういう意味におきまして、農林大臣はこの実行に対してどのようなお考えでおられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  262. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 新しくこれは国有林の経営からあるいは国有林の政策から、手直しといいますか、強力に進めていかなければならないという段階に来ていると思います。そのために種々新しい方向とか転換の方向も検討しているようでありますから、それに沿うて強くこれをやっていかなければ国有林政策というものが後退してしまうし、あるいは国有林の経営の問題も壁にぶつかっていくということでございますから、検討している問題を強く推し進めていくという方向であらゆる政策を進めていきたい、こう考えております。
  263. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 大臣、やらなければならないということを私申し上げましたので、それでいま大臣から言われました国有林の問題がございます。私はあとでそれは少し質問しますけれども、やらなければならない、そしていま林野庁長官からいろいろな対策が話されて、われわれいつも思うわけですけれども、そうした対策が答弁され、そしてまた先ほど資料に出しましたこうした閣議決定を得た計画、こういうものが発表された。ところが実際それが現場でどのような形であらわれるか、それからまた、そういう答弁がされたのだけれども、なかなかそうならないではないかという現場の人たちの不安、そういうものがなぜ起こってくるかということを考えますと、やはりこうした計画より一歩前進して、その対策を実行するための計画、こういうものを発表するということが非常に重要ではないかと思うわけです。たとえば先ほどから御答弁がありました労働力の減少に対する対策にしても、現状はわかっておるわけです。そして問題点もわかっておる。そうしてこうした対策をしようということになった。それではその対策を実行するためにはこれだけの期間が必要であって、そしてこの時点になれば実行に移せるのだ。いわゆるこれは時間の問題ですけれども、こうした点が国民の前に明らかにされるということによって、非常にそうした不安が除かれるのではないかと思うわけです。したがいまして、それはその過程において修正される場合もあるでしょうし、現状考えてその期間内にできない問題も出てくると思います。それはそれとして、その段階でやはりみんなが納得し合っていくということが大事です。しかし、いま必要なことは、そうした対策ということについて現場の人たちもいろいろ聞かされておるわけです。ところが、実際にほんとうにそれがいつの時代、自分の一生のうちではたしてそうなるのか、あるいは自分の子供の世代になってそうなるのか。いま自分の子供たちは、都市化現象によって都会へ出ていってしまっておる。しかし、自分の仕事を、こうだからおまえも一緒にやれと言っていいのかどうか、そうした差し迫ったそういう人たちの周辺の問題になりますけれども、身の回りの問題になりますけれども、その判断が、そうした計画というものがはっきりしているとやはり確信をもって進めることもできるし、いろいろな面で過疎化現象というものを食いとめることができるのではないかという気もするわけです。そういう点で、大臣にお御答弁を願いたいと思います。
  264. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話もありましたように、計画を立てるだけではいかぬ。その実行するスケジュール、いつどういうふうに進めるかというふうないろいろな段階、折衝、いろいろな面があると思います。これは国全体の政治に関連することでございますので、そういうことを踏まえてというか、それを考えながらやっていくよりほかないと思います。実行のスケジュール、実現の方途というものを検討しながら進めていく、そういうことだと思います。
  265. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 実行のスケジュール、そうした方途を検討しながら進めていく、私もそのとおりだと思います。ただ、私、この席上で計画案を発表するとかという意味じゃなくて、山林の仕事をやっている人たちの声を大臣にお伝えしたい、そういう気持ちでいま申し上げたわけです。したがいまして、これはそういう人たちにとって非常に重要な問題でもありますし、林野庁長官の先ほどの答弁じゃありませんけれども、早くそうした人たちが希望を持ってそうした仕事に従事できるように、何らかの手続をもってあるいは措置をもって明らかにしていただきたい。お願いできますか。
  266. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しの方向に進めていきたいと思っております。
  267. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 それから、労働省の方いらっしゃっていますか、職業安定局審議官——いまの問題と関連いたしまして、林業労働者の労働条件の改善の問題についてお伺いしたいと思うわけです。  これは、一つは失業保険の当然適用の実施というものが叫ばれておるわけです。失業保険法の改正によって適用範囲が拡大されることになっておる、そのように伺っております。そして、その話があって二年、ことしの四月には実施されるということも伺っておるわけですけれども、その間の内容あるいは経過についてお伺いしたいと思います。
  268. 中原晃

    ○中原政府委員 ただいま林先生の御指摘のとおり、失業保険法が先般改正されまして、ことしの四月一日からは五人未満の事業場等にも適用が拡大されるわけでございます。しかしながら、林業、農業、水産業等につきましては、いまのところまだ適用がないわけでございます。ただ、任意適用という制度がございまして、これにつきましては、そういう条件に合致するものにつきましては任意適用ということで、林業につきましても今後やっていきたいと思います。  林業につきましては、先ほどからもいろいろお話がございますが、雇用、賃金関係の特殊性あるいは特に季節的な関係というようなもので、現在のところは保険になじめない面もありますので、強制適用にはなっておらないのでございます。そういう任意適用というふうな制度も活用しまして、林業に働く人たちの雇用問題あるいは失業対策、こういう点につきまして措置を講じたいと存じております。
  269. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 任意適用の、まず最初に適用除外された理由、これをお伺いしたいと思うのです。
  270. 中原晃

    ○中原政府委員 これは適用除外されたと申しますか、ずっと以前から適用されておらないわけでございますが、主として産業自体の性格に基づくところの季節性、すなわち失業保険の保険事故というものは失業ということでございます。ところが、林業等におきましては、非常に季節性が強くて、一定の労働者の方々は定型的に毎年季節的に雇われたり離職したりするというようなことで、保険という事柄の性格上、強制適用には一応なじまない。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、条件に合致するものにつきましては、任意加入、任意適用ということで適用しておるわけでございます。  その適用の基準としましては、要するに季節性の解消といいますか、そういう点につきましてある程度の実績があるものにつきましては任意に適用していく、こういうようなことになっておるわけでございます。
  271. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 失業保険法の第六条の、「左の各号に規定する事業主に雇用される者は、失業保険の被保険者とする。」というところのイは、どういうふうに解釈するのですか。
  272. 中原晃

    ○中原政府委員 失業保険法第六条のイにつきましては、これはそういう林業関係その他農林の事業をこれに規定しておるわけでございます。ただし、それの前にありますように、「但し、左に掲げる事業を行うものを除く。」、こう書いてございますので、そういうことで、イ、ロ、ハにつきましては強制適用からは除かれておるわけでございます。
  273. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 そこで、先ほどお話のあった任意適用の手続は、どのようにすればいいのですか。
  274. 中原晃

    ○中原政府委員 任意適用の手続につきましては、その所轄の都道府県知事に申請をいたしまて、認可を受けることになっております。
  275. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 それから、同じく失業保険法の附則の第二条の二項に、「政府は、失業保険の当然適用事業とされていない事業を当然適用事業とするための適切な方策について調査研究を行ない、その結果に基づいて、昭和五十一年一月三十一日までに、必要な措置を講ずるものとする。」、こういう暫定措置があります。この適切な方策についての調査研究、そしてその結果現在どのよう状況にあるかということについて御答弁願いたいと思います。
  276. 中原晃

    ○中原政府委員 ただいま林先生の御指摘されました条文につきましては、昭和四十四年末に失業保険法が改正されたときにこれが入ったわけでございます。そこに書いてありますことは、当然林業を含んでおります。したがいまして、林業につきましては、ここに書いてありますとおり、またいま林先生がお読みになりましたように、昭和五十一年の一月三十一日までに必要な措置を講ずる、その前提として、林業を当然適用とするための適切な方策について調査研究を行なう。そういう調査研究を足場としまして昭和五十一年の一月三十一日までに必要な措置を講じなさい、こういうことになっております。したがいまして、これはただ必要な措置ということで書いてございますが、当然ここに書いてありますことは、林業等につきまして労働者の福祉向上、雇用の安定というようなことから、当然適用とするための適切な方策について考えていくということでございますが、これにつきましては、その産業自体のそういう季節性の除去その他、その産業自体の改善ということと相まってではございますけれども、当然われわれとしましては、その定められた昭和五十一年一月三十一日までに、この林業その他の産業につきまして失業保険を適用するということにつきましての必要な措置を講ずる、このようなことに相なっております。
  277. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 現在まで調査は行なわれましたか。
  278. 中原晃

    ○中原政府委員 昭和四十六年度の農林水産業の認可方針の策定にあたりましては、農林水産業等の各業種につきまして、離職率その他季節性の克服状況につきまして知事さんのほうから報告をとりまして、その内容を検討いたしました結果、ある程度季節性が克服されていると認められたものがございましたので、これにつきましては、新規認可等の際におきましては、本省の協議は要しないということで必要な措置をとったわけであります。  また、ここに書いてありますような総合的な調査研究につきましては、いまあわせてやっておりまして、法律で必要な措置を講ずることになっておりますが、もちろんわれわれとしましては必要な措置を講ずるべく、そういう前提で調査研究その他各般の準備を行なっているわけであります。
  279. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 知事からの報告も知っておりますけれども、私自身の受ける印象としましてはその調査が進んでいない、私はそういう認識に立っておるのです。調査研究するということに法律できまっているけれども、この法律どおりいっていない。ですから、ここに出ています五十一年までに必要な措置を講ずるものとするということでありますけれども、現在の調査研究の内容あるいは状態というものから考えますと、どういう結果が出てくるか、私は非常にそれを憂えるわけです。現在の調査研究で、私は、非常に立ちおくれているあるいは非常に進んでいないという認識に立っているのですけれども、労働省のほうはそうは認識されていないのですか。
  280. 中原晃

    ○中原政府委員 先生御指摘のとおり、実態調査につきましては、四十五年度につきましては四百十三万円、四十六年度につきましては四百四十六万円の予算でございましたけれども、現在御審議いただいております四十七年度の予算につきましては五百五万円を計上してございまして、一そうこの調査の促進をはかろうと思っております。先生御指摘のとおり、こういう点につきましてはもっと督促、推進いたしまして、五十一年の一月三十一日、法律の定めている日までに万遺憾のないように、諸般の調査及びその調査の結果に基づきますところの手当てをいたしたい、かよう考えております。
  281. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 林業の現状というのは、先ほどから指摘しましたように、また答弁でもございましたように非常に零細であり、季節性があり、また生産基盤経営基盤整備されていない。非常に問題の多い、現場の人たちにとっては非常に将来の見通しの立たない不安定な状況に置かれている。  たとえば冬は仕事ができない、その間仕事のないときの生活手段というものはどうすればいいかという問題だとかいろいろな問題をかかえながら、今日まで何十年という間やっと生活してきた。当然数十年前の状況は非常に現在と違います。だんだん衰微しつつある。そこへもってきて過疎現象が加わっている。そうなってきますと、これは非常に重大な社会問題あるいは政治的課題というものを今後大いに提起していくということが考えられるわけです。したがいまして、私はこの問題に対して、いまこうしてやらなければならないということになっている問題、それから先ほど林野庁にも言いましたように、対策があってあるいは計画があって、そしてそれが実現されないというようなことがあってはならないという意味で言ってきましたし、また昭和四十一年四月一日の閣議決定、こういうものの内容なんかは、長期の見通しなんということで、あるいは基本計画なんということになっておりますけれども、先ほど大臣がお認めになったように、非常に事情の変更の結果意味のないようなものになってしまっておる。ですから、この際やはり本腰を入れて、こうした林業対策というもの、その実行というものをやっていかなければならぬ、そのように思うわけです。  その次は造林事業現状対策についてでありますけれども、山村地域における雇用機会の増大とかあるいは所得の向上、そういうものに造林事業というものは力をかしているという評価がございます。また地域の振興それから国民経済の均衡的な発展、そういうものにも造林事業というものは必要である、そういう評価があるわけです。この点について、その評価どおり政府は受けとめられておるか、そしてその造林事業に対しての具体的な計画というものをこの際ひとつ示していただきたい、そのように思うわけです。
  282. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほど御指摘がございましたように、林業につきましては長期の見通しに立ちまして、具体的に申しますならば五十年計画、これを改定する作業に入っているわけでございます。それに基づきまして造林事業におきましても、やはりこれは将来の森林資源をつくる一つ基盤事業でございますので、昭和四十年度当初に考えましたところの造林面積は、民有林では六百二十九万ヘクタール、人工林の伐採あと地及び官行造林地を含むものでございますけれども、国有林は百三十七万ヘクタール、こういう予定にしておったのでございます。これを全体計画におきましては、昭和六十年度を待つまでに民有林では一千万ヘクタール、国有林では二百八十万ヘクタール、昭和九十年度には三百四十二万ヘクタール、こうすることを目標としてこの基本計画の中に組み入れておるのでございます。
  283. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 その基本計画でありますけれども、その基本計画を進めるにあたって、林野庁長官として、それがそのまま進むという自信がありますか。
  284. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 この計画はただいま実行中の計画でございまして、先ほどお話ししましたように、需要が相当ふえてきた。したがって外材がふえたというような問題、さらにはまた、最近自然保護に関するわが国民的な要請が強くなってきたという二点を踏まえまして改定作業に入っているわけであります。数字的な問題は先ほど申しましたように、年度内までにはつくりたい、こういうことで作業中でございます。ただ、計画どおり進めてまいりますためには、先ほど御指摘のありましたように、労働力の確保の問題とかそれから経営規模が非常に零細であるためになかなか計画的に進みにくいとか、いろいろな問題がございます。これらの問題を総合しまして労務の問題につきましては、いま御指摘のありました社会保障の問題、先ほど私が説明したお話も、そういう社会保障ができるよう条件をつくりたいということであの百七十日のお話をしたわけでございますが、そういうようなこととかあるいは零細な山持ちを一つまとめまして共同で作業する体系をつくっていくとか、そういうようにひとつ計画的に仕事を進めていく。それを進める場合には、それに対して必要な補助なり融資なりの条件をよくしてやるというふうなことを総合的に検討しておるわけでございます。
  285. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 計画が完全実施されるようがんばっていただきたいと思います。  それで次の問題でありますけれども、いま林野庁長官から自然環境保全法との関係というもののお話がありました。これは造林の公益的機能に対する要請の高まりに対する林野庁の対応という関連において、非常に重大な問題であると思うわけであります。先ほどから同僚議員もこの点について質問をしておりましたので、重複する点は省きまして、環境庁長官から出ておりますところの自然環境保全法、これが林野庁が抵抗して見送りになるかもわからないという、そういう問題がいま提起されているわけであります。これは今週中に林野庁と建設省と環境庁が意見調整を終えたいという意向である。ところが権限の縮小がからんで、いわゆる俗なことばで言いますと、建設省も関係しますけれども、なわ張り争いのような、そういう問題が関連してこの自然環境保全というものが法律として日の目を見ないのではないかという心配がなされておるわけですけれども、いかがでしょう。
  286. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほどもいろいろお話ししましたように、林野庁は将来の森林づくりのために積極的に造林をいたしまして、現在持っておりますところの資源をさらにふやしていくということを申し上げました。自然保護というのは、繰り返して申し上げますけれども、私たちの考えでは自然のままに放置しておくということではなくて、積極的にその資源を培養していくというふうに考えておるわけでございます。これが第一点。  それから第二点としましては、この自然保護というのは、やはり都会の人たちだけのことを考えておるわけにはまいらぬ。山村地帯におきますところの農山村の農業なり林業に従事する人たち、この人たちの協力を得なければ自然保護はできないと思います。たとえば山火事が発生した、先ほど来話が出ておりますように、造林をしなければならぬというときには、これは遠くから都会の人を連れてきて頼むわけにまいりません。やはり地元の人の協力を得なければならぬわけであります。特に山火事とか災害なんか出ましたときには、これは機動的にやらなければならぬ。どうしてもこれは地元の農林業に従事する皆さんの協力を得なければならぬ。つまり自然保護は農林業不在の自然保護であってはいかぬ、かように思うわけであります。  それから第三点は、国有林あるいは公有林、私有林等を含めまして、特にこの自然保護について伐採規制をいたしますならば、私有林の持ち主に対して非常な影響があるわけでございます。もうそこに禁伐の法律的な命令を下しますと、これは永久に経済的な森林として活用できません。したがいまして、それに対してはやはり補償の問題が絶対必要だと思うわけであります。  こういったような三点を私たち重点に考えまして、環境庁と事務的に折衝いたしまして、私たちもやはり森林法もございますし、それから自然保護法もあるわけでございます。文化財保護法とかそういったような実体法との関係でぜひ環境庁の趣旨に沿うように協力してまいりたい、かよう考えております。
  287. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 持ち時間があと少しになりましたので、要点をしぼって質問します。  いま林野庁長官から環境庁の趣旨に沿うようにという御答弁がございました。そのように願いたいと思うわけですけれども、環境庁の原案によりますと、その骨子の中に、環境庁と都道府県知事が自然環境保全地域を指定するということがあります。それが一点。それから指定地域については、人間の手を加えずに現状凍結をはかる「原生保護地域」から、開発を抑制する「良好環境保全地域」、さらに都市の緑を確保する「緑地保全地域」の五段階に区分するという二点。第三点は、都道府県知事は首相の指示する基本方針に従って自然環境保全計画を策定、実施する。骨子はその三点になっているということでありますけれども、こういう区分のしかたについて、基本的な林野庁の考え方として、林野庁は同意をすることができるかどうかということはどうでしょう。
  288. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 区分につきましては、ただいま環境庁と林野庁との間でいろいろと折衝を重ねております。その区分のしかたによりましていろいろと制限が入ってまいるわけでございまして、私たちが先ほど申し上げましたように、森林法の中でもやはりいろいろと保安林の制度もございますし、あるいは自然公園についてのいろいろな適用区分もございます。それらとの関連を総合いたしまして、ただいま事務的な折衝を重ねておる段階でございます。
  289. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 いまの三点について事務的な折衝をするにあたって林野庁がどういう点を主張されておるのか、その点について御答弁をお願いいたします。
  290. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 区分をすることにつきまして林野庁は、環境庁長官のほうからその基準を示していただきまして、やや具体的な内容を詰めませんとはっきりしない点がたくさんございますので、その基準等についての具体的な内容を現在詰めておる段階でございます。
  291. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 この問題は環境庁、建設省あるいは林野庁等が直接事務的レベルでいま折衝中ということでありますので、具体的な内容についての折衝段階においての議論はなるべく避けたいと思いますが、基本的な問題として、先ほどから指摘しておりますように自然保護の必要性という世論、そして環境庁が主張しておりますところの自然環境保全、それの立法化という問題、これとやはり先ほどから現在の林業行政に対する問題点として数点を指摘してまいりました。そうした政策、そして林野庁長官あるいは農林大臣がおっしゃったその対策、それの実行スケジュール、そういうもの等の検討はなさっていますか。
  292. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま検討中でございます。
  293. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 先ほど私は、これはいつ発表するということではないと言いましたけれども、これは法律が今週中に提案されるということです。したがいまして、今週中ということになりますと非常に瞬間的な問題が生じてまいるのではないかと思うわけです。そうした段階においてこの自然環境保全法、これはそうした農林不在のものであってはならない、これはごもっともなことであって筋論であると思いますけれども、ここに報道されておりますように、それが権限の縮小であるとかあるいは先ほど指摘しましたなわ張り争いであるといわれるような中でこの環境保全という問題が論じられ審議されるということに、私は非常に憤りといいますか、また問題の本質をどのように把握しているのかという疑惑を感ずるわけです。農林大臣にお伺いしますが、そうしたわれわれの疑惑、またこうした立法化への過程における国民の疑惑というものに対して、農林大臣はどのような態度であるいは姿勢でもってこの疑惑を除かれようとするか、また、この環境保全と農林行政という関係調整に当たられるか、農林大臣考え方をお伺いしたいと思います。
  294. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 しろうと流に考えれば、環境保全といえばそのままで一つも手を加えないでおいたほうがいいんじゃないかという考え方が非常に強いんじゃないかと思います。しかし、先ほどから林野庁長官も御答弁申し上げておりますように、環境保全のために森林の持つ公益性の中には、自然環境を保全するということも公益性の中にあると思います。こういう森林の持つ公益性あるいは環境保全に十分得与するようないろいろな機能、こういうものを十分環境庁関係あるいは世間でも認識いたしてもらって、そういう立場に立ってこの自然保護というものと森林との関係考えなくちゃいかぬと思います。たとえば一つの例ですが、林道をつくれば自然を破壊するのだ、そういうことだけで林道は絶対つくらせないよう考え方などは、少し考え直さなくちゃいけないのじゃないか。自然を破壊するような林道は困りますけれども、やはり森林を保全していくあるいはまた森林政策を行なっていくために林道というものは必要でございます。公共のために必要でございます。でございますので、一言でいえば森林の持つ公共的役割り、その公共的役割りをになう自然保護というような問題もございますが、そういうことを十分認識してもらい、あるいは主張してもらって自然環境保護の万全を期したいといいますか、そういうことに向けていきたい、こう考えております。
  295. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 どうかいまの農林大臣の決意、姿勢というものがその自然環境保全の立法化の実現に価値あるものとなるようにと、私たちも考えております。そういう面で農林大臣もその問題を取り扱っていただきたい。私はこのことを要望しまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
  296. 植木庚子郎

    ○植木主査 以上をもちまして昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算農林省所管に対する質疑は一応終了いたしました。  次回は、明二十三日午前十時より開会し、通商産業省所管について審査することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会