○山口
政府委員 騒音規制法につきましては、
先生御指摘のように、鉄道騒音につきましては直接の規制の対象にはなっておりません。ただ、これに
関連いたしまして、附帯決議等におきまして、鉄道騒音につきましても
新幹線騒音につきましても、強力に防止のための努力をすべきことが述べられております。
そこで、実は
新幹線の騒音でございますが、これは一般の騒音規制法の中に入れるのは非常にむずかしい。といいますのは、
一つは騒音の性質が
相当違うわけでございます。単なる車両の出すだけの音ではございません。車両と線路との
関係において生ずる騒音でございます。したがいまして、線路がどういうふうになっているかということによっても騒音が違ってまいります。たとえば築堤の上を
新幹線が通る場合の騒音、あるいは掘り込みの中を
新幹線が通る場合の騒音、あるいは橋梁等の上を通る場合の騒音、すべてそういうふうに違っております。それから軌道を構成している材料その他によりましても
新幹線の騒音というのはだいぶ違ってまいります。先ほど
お話がありました鉄げたの場合には非常に騒音が大きいわけでございます。その他コンクリート橋の場合にはだいぶ違う。それから、たとえば軌条にいたしましても、先ほど五十キロ軌条、六十キロ軌条の話が出ましたが、そういったようなものでも違ってまいりますし、それから軌条の構造
自体という問題でも違ってまいります。あるいは軌条と軌条のつなぎ目のロングレール化の問題、その他の弾性連結装置、線路とまくら木をつなぐための装置とか、そういうような各種の設計的な問題が入り組んでおります。それから車両につきましても、車両
自体の騒音というものがございますし、車両の音がよそに伝わらないための、たとえば車両のスカートの設置というような問題がございます。さらに車両とたとえば集電装置、パンタグラフ等との
関係の騒音、その他異常鳴音と申しますか、そういう集電
関係の騒音というものがございまして、そういう意味で、一般の騒音規制法が定めております騒音のような単純な姿ではないわけでございます。
私どもは、そういう意味でこの
新幹線騒音というものがいろいろな分野から出てきておりますものだけに、そういう各般の分野の
技術開発をやらなければならない。特に国鉄の
技術陣の力をもってこの
技術開発を大いにやらなければいかぬということで進めておるわけでございます。
さらにもう
一つは、
新幹線騒音は車両の安全との
関係が非常にございます。それで現在鉄道の施設というのは、日本国有鉄道の建設規程あるいは
新幹線鉄道構造規則、これは
運輸省できめております国の法令でございます。その法令に基づきまして安全の面を規律してございます。その規律の
内容は、たとえば線路はこういうふうにあらなければならない、あるいは線路の曲げ方はどうとか勾配はどうとか、各般の問題をこまかく安全の面を規律してございます。騒音の場合はこれと
関係がありまして、安全の面と一体的に規律していかなければならない。そういう意味で、建設規程その他の中に規律するということが適当であるということにいたしております。その意味で、若干の規制は、先般の法律制定後、
運輸省令であるところのいまの建設規程の中に入れました。しかしながら、これはさらに
技術の進歩を待ってさらに具体化をして入れていく、こういうように
考えております。