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1972-03-24 第68回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十四日(金曜日)     午前十時七分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       足立 篤郎君    根本龍太郎君       福田  一君    細田 吉藏君      三ツ林弥太郎君    安宅 常彦君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       後藤 俊男君    阪上安太郎君       中野  明君    古川 雅司君       渡部 通子君    兼務 辻原 弘市君 兼務 楢崎弥之助君    兼務 小川新一郎君 兼務 斎藤  実君    兼務 多田 時子君 兼務 田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         食糧庁次長   中村健次郎君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸大臣官房会         計課長     高橋 全吉君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         海上保安庁長官 手塚 良成君         気象庁長官   高橋浩一郎君         気象庁次長   山本  守君  分科員外出席者         運輸省航空局技         術部無線課長  吉田泰二郎君         海上保安庁警備         救難部警備第一         課長      人見 敏正君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道旅         客局長     伊江 朝雄君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     大出  俊君   阪上安太郎君     勝澤 芳雄君   中野  明君     渡部 通子君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     安宅 常彦君   勝澤 芳雄君     井上 普方君   渡部 通子君     古川 雅司君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     後藤 俊男君   古川 雅司君     中野  明君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     阪上安太郎君 同日  第一分科員辻原弘市君、第二分科員楢崎弥之助  君、小川新一郎君、多田時子君、第三分科員田  代文久君及び第四分科員斎藤実君が本分科兼務  となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十七年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十七年度政府関係機関予算運輸省所管      ――――◇―――――
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十七年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事の進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれんことをお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 最初に航空局長にお尋ねいたしますが、昨年の十二月の二十一日に衆議院の運輸委員会におきまして、静岡県の選出の斉藤正男委員質問に対しまして、内村航空局長は、静岡竹山県知事から、将来貨物専用空港というものが必要になると思うので、静岡県としてもそういった計画を持っているという話があったと発言されておりますが、どのような内容であったのか、詳しく御説明願いたいと存じます。
  4. 内村信行

    内村(信)政府委員 その点につきましては、先般斉藤先生からの御質問に御答弁申し上げたとおり、確かに、県知事おいでになりまして、静岡県としてこういう計画を持っておるというお話がございましたけれども、それ以上の計画については全然お触れになりませんでした。内容については承っておりません。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 そうすると、静岡県知事は、貨物専用空港計画静岡県としては持っておる。計画は持っておるということは、具体的にどういう内容でどういうことをやるのか、こういうお話も何もないのですか。
  6. 内村信行

    内村(信)政府委員 詳しい話は何もございませんでした。具体的な計画内容ということはございませんで、ただ県としてもそこに将来の貨物空港ということを計画しておりますので、それだけお話ししておきます、ということだけでございました。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 計画があると言っているけれども、計画内容がないということですか。一体、静岡知事のことですから、ここであなたがどうこうと言うことないですけれども、県として計画を持っている、その計画は何か。何も聞いていませんということだとちょっと……。計画があるのかないのか、その点をそのままお話し願いたいと思うのです。
  8. 内村信行

    内村(信)政府委員 私もその当時の談話をあまりよく覚えていないのですが、おそらく、県の第八次総合開発計画というのがあるのでございましょうか、その中で貨物専用空港を検討したいという程度お話だったと思います。その際、県知事が見えましたときは終始何か雑談的なことでございまして、その雑談の一環としてそういうことを一言お話しになった。むしろ雑談のほうが長かったというふうな状況でございました。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 わかりました。計画というよりも雑談であったということですね。  そこで私は、貨物専用空港についてでありますけれども、昭和四十六年から五十年まで行なわれております第二次五カ年計画を見てみますと、貨物専用空港というものについての計画はないようでありますが、将来の問題として、昭和六十年といわれていますが、検討されるとするならば、一体いつ、どういう状態でそういうものが考えられるのか。その場合、空港を設置する個所というものは、どういう条件のどういう地点というものが考えられるのか。具体的にいま検討されているとするならば、一体これがどういうふうになっているのか、この点について御説明を賜わりたいと思います。
  10. 内村信行

    内村(信)政府委員 貨物専用空港でございますが、これにつきましてはまだ具体的な検討に入っている段階ではございません。先生先ほど御指摘のように、五カ年計画の中におきましてもこの問題は入っておりません。しからば、なぜこういう問題が取り上げられておるかと申しますと、運輸政策審議会という審議会がございます。そこでもって、将来貨物の量は相当多くなるであろう、そういった場合についてもいまから考え方というものは研究しておかなければいかぬだろう、こういうふうなことがございました。そこで政策審議会の中に航空貨物部会というふうなものを設けまして、そこで将来の貨物の量は一体どういうふうになるだろうかというふうなことを御検討いただいたわけでございます。その際に、大体昭和六十年――だいぶ先の話でございますが、昭和六十年ごろになるとおそらく非常に輸送量がふえ、大体年間五百万程度航空貨物ができるのではないか。ともかく趨勢としては、航空貨物というものは将来相当大きな貨物輸送になるだろう。特に国際貨物輸送の中で大きなウエートを占めてくるだろうということがうたわれておったわけです。そういうふうなことが出ました段階でございますけれども、それによって、私どもといたしまして、まあ昭和六十年の話でございますから、いまからその具体的な計画に移るというふうなことは考えておりません。ただ民間のほうではそういうふうなものもとらまえまして、将来の貨物空港というふうなこともお考えになっている向きもあるいはあるかと思います。その一つがいま先生のおっしゃった小笠空港ということでございます。したがいまして、将来どういうふうなものがあるかということも、ほんとうにビジョンといいますか、そういった研究段階でございまして、具体的にどこそこがいいとか、ここがいいとかいうことまでは全然考えていないというのが現在の段階でございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 そうしますと、貨物専用空港というものはいまのところまだ具体的に何もない。昭和六十年のことですから、これから十年先というものを見通してみますと、そのこと自体の見通しがむずかしい、こういうことなんですね。――わかりました。  そこで次に、この静岡県の場合は小笠地区国際空港計画が出て、四十三年の三月に運輸省技術者を派遣して詳細に調査をされたようでありますが、その結果の調査資料は見せていただきましたが、この調査結論について、いま一度運輸省としての見解をはっきりお伺いしたいのです。
  12. 内村信行

    内村(信)政府委員 この調査、つまり昭和四十三年三月のことでございますが、これは当時の、成田空港、新東京国際空港をどこにするかという関連におきましておそらく調査されたものだろうというふうに考えられます。  そこで、当時の調査におきましてはいろいろやられたようでございますが、大体結論といたしましては、一つ管制上の問題があるのです。つまり、航空路のちょうど真下にあるので、その点が一つの問題であるというふうなことでした。それからあとは、浜松静浜とか、そういうふうな飛行場がそばにあるので、それの関係効率がどうであろうかと、しいて言うならばコモンIFRルームというものをやらなければいかぬだろう。したがって技術上の問題があるということでございました。それからさらに、いま申し上げました航空路の下にあるというふうなことが問題になっておりまして、あとは、土木工事量相当大であり、なおかつ長期にわたるとか、あるいは都心から相当遠いだろうというふうなことが問題点としてあげられております。ただ、これは成田との関連でございますから、貨物空港としてどうかということは、都心との距離その他につきましてはおのずから別の問題もあるかと思います。それから管制上の問題も、レーダー管制等になってまいりました場合には当時と同じ状況かどうかわかりませんが、いずれにしましても当時の結論はそういうことでありまして、さらに将来そういうふうなことをまじめに考えるならば、あらためてその段階において詳細な調査をしなければならぬ、こういうふうに考えます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 いまのお話ですと、結論的には航空管制上の問題なり、あるいは空港配置計画上の問題なり、あるいは土木技術上の問題においてこれは無理だ、こういう結論がここに出されているようであります。このことは成田空港代替としての一応の調査ということでされたようでありますが、では国際空港でなくて旅客空港として、あるいは貨物空港としての可能性があるのでしょうか、ないのでしょうか。
  14. 内村信行

    内村(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、この調査昭和四十三年において、だいぶ前でございます、それも成田との関連において行なわれたものであろうと思います。したがいまして、一応当時におきましてはこういう結論が出ておりますが、その後の管制技術の発達とか、そういうふうなものを考えた場合に、はたして絶対的にだめなのか、あるいは多少なりとも効率が悪くてもできるとか、その辺は直ちに断言はできないと思います。したがいまして、その段階においてもし必要ならばまた調査をする必要があると思います。こういうふうに考えます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 いまの段階でどうお考えになりますか。このことは私ちょっとくどくお話ししておるのですが、この地区の一部の人たちが数年前から小笠地区開発協会という民間団体をつくりまして、そして国際成田空港代替として運動が続けられて、その結果二、主の政治家関係がありましたので、運輸省としてもやむを得ない問題として調査されたものだ、私はこう思っているわけです。しかも最近、この静岡竹山知事南米からお帰りになって、特に国際貨物空港の構想を出されてまた実は再燃をして、特に地元袋井の市では市議会があげて反対の決議をして運動をいたしておりますし、関係二市五カ町村でもたいへん深い関心を持っており、反対意見も実は高まっておるわけであります。こういう点からやはり常識的に見て無理だ、東京名古屋、大阪と比べてみて、一体何の飛行場ができるだろう、私はこう思うのですけれども、そういう点を考えてみると、きっちり、無理なら無理だということを示すことのほうが、よけいにみんなが安心すると思うんですよ。できるかできないかわからぬのを、政治家が、できそうだできそうだ、こっちもできそうだ。将来的にできるならいいわけです。航空技術の上からいって、現在の段階からいって無理なら無理だという結論を与えてやることが私は必要じゃないだろうか、こう思って実はたいへんくどい質問をしているのですが、その点いかがですか。
  16. 内村信行

    内村(信)政府委員 先生の御趣旨は私もよくわかりますけれども、私としては、ほんとうにまじめに考えた場合には、はたしてできるものかできないものかということは、ちょっと明言する自信がございません。と申しますのは、何しろ昭和六十年時点、だいぶ先の話でございますので、その間にはいろいろな管制技術も発達していくと思いますし、またその状態において考えていかなければならない。これは絶対いかぬということまでは私は言い切れないというのが率直な気持ちでございます。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 大臣にお尋ねしますけれども、いまお話がありましたように、成田空港ができる時点で、静岡県の小笠地区国有林がある。いまは県営パイロット事業をやっておるわけですけれども、国の土地だからここがいいだろう、ここへ空港をつくろうじゃないかという一部の運動がありまして、政治家も入りましたから結局運輸省もほっておくわけにはいかず、非公式か公式かわかりませんが、調査をいたしました。調査結論というのは、結局私が先ほど申しましたように、航空管制の上から、浜松自衛隊基地があります。それから静浜というところ――静岡のちょっと西でありますけれども、そこにもあります。そのまん中に位するのです。その近所に原子力発電所を建設しておるわけであります。こういう観点からいって、空港配置からいって無理じゃないだろうか、あるいは航空管制からいってこれも無理じゃないだろうか、あるいは土木技術上からいって、費用からいって――いまどき空港をつくってくれなんということを運動すること自体ちょっと変じゃないだろうか。ですから、初めは問題にされなかったわけでありますけれども、やはり政治家が入って、できそうだということになってくると、みなこれはたいへんだと騒ぎ始めたわけです。それで成田ができて下火になった。ところがまた、知事さんが南米から帰ってきて国際貨物空港、こうぶち上げた。そうするとこれは地元はまたたいへんなことだ。どうも常識的に無理だと思っておっても、だれかが言うと、それはたいへんだ、こういうことで実は騒いでおるわけであります。  そういう点で、私はいまの航空局長お話、六十年時点じゃわからない、それはその通りだと思うのです。その通りだと思いますけれども、常識的にものをやはり処理してあげないと、地域住民というものは、一体ここは将来百姓ができるのか、ここはいま一生懸命パイロット事業をやっているけれども、何十億というものをかけて一体どうなるのか、こういう心配が実はあると思います。そういう点で、私はやはりこの問題はだめならだめ――だめならだめと言いたくてしょうがないでしょうけれども、そういう点をはっきりさしてもらいたいということです。こういう問題はお互いに政治家としてやはり慎重な態度でなければならない、こんなふうに思うのですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  18. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまの静岡貨物空港をつくるかどうかということを私はほとんど聞いておりません。具体的には私のところへお話しおいでになった方もおりません。先般たしか委員会でそういうお話を承った次第でございますが、その後事務当局からも私、実は、恐縮でございますが、聞いていない程度でございます。しかし、いま先生おっしゃったように、いまどき空港をやりたいというのは、私のほうとしてもありがたい次第でございます。いま空港の問題は、設置は非常にむずかしゅうございまして、環境保全あるいは騒音防止、いろいろな問題で非常にむずかしいところでございますが、ただいまの観点で、いま承っておりますと、技術的にもなかなか困難じゃないかというような結論のようでございます。ただし、航空局長が言ったように、先のことは、技術が開発されて発展をしてくればまた別の話でございますが、早急に、ただいまの御意見もございますので、検討させまして、現時点においては当分の間はそういう見込みがないとか、もう少しすればあるとかいう結論をつけさせまして、またそのことを知事さんが御提唱になったとすれば、知事さんにもよくその点を確かめさせまして、地元にいたずらに将来に対する不安を与えることがないように処置いたしたいと思っておるわけであります。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 大臣、よくおわかりになっていることだと思うのです。また航空局のほうも、局長もよくおわかりになっていることだと思うのです。しかし、こういう無責任なことばというものが地域住民にはたいへん不安を与えておるわけです。私たちが見て常識的にいまどき考えられないのですが、飛行場をつくってくれという話が出たり、それからこんな地図がばらまかれているわけですよ、「小笠国際空港計画図」というようなものが。そして滑走路も入っておるわけです。こういうものがばらまかれておって、政治家がどうもいいかもしれぬというような発言をしたり、県知事がやろうじゃないかということになると、一体ここでパイロット事業をやっておる、ここで百姓をやっておる者は将来どうなるのだということなんですよ。片方原子力発電所をつくっておるじゃないかということで、たいへん不安をみんな持っておるわけです。実際には、われわれしろうとが見ても無理な話じゃないかと言うのですけれども、それがまじめに取り上げられて、実は袋井市議会では議会として取り上げておるわけです。騒音防止の学者を連れてきて、それはたいへんなことだと、これは町ぐるみたいへん大騒ぎをしておるわけです。   〔主査退席三ツ林主査代理着席〕 そうすると隣の掛川のほうでもほっておくわけにはいかない。ほかの町村も、えらいことなんだということなんで、そういうところにむだな労力が費やされ、不安がもたらされて、政治に対する不信というものがますます重なり合っていくわけです。だから私はそういう点で、言いにくいことでも、やはりだめなものはだめなんだ。いまの航空局長の、六十年ごろにはどうだ――あたりまえなことですよ。六十年ごろになったら絶対いいか悪いか、言えない。あたりまえなことです。あたりまえなことを言っておる。六十年ごろになったらできるかもしれない。またそれに尾ひれがついていくわけです。ですから、四十三年時点でやったときにはこうです、いまの時点ではだめです、六十年になったらそのときはそのときで、また地元でそういう希望があるならばそれは検討しましょう、こういう話をすればよくわかるのですが、あなたの話を聞いておると、まだ可能性がある、六十年時点になったら、世の中が進んできて、航空管制が進んでいく、こういうまた錯覚をするわけですから、もう一回それをきっちりしておいてくださいよ。
  20. 内村信行

    内村(信)政府委員 はっきり申し上げます。私は現在時点では、その点の調査をしておりませんから判断ができませんけれども、四十三年の時点においてはむずかしかろうということでございます。これだけははっきりしておきます。それから将来の問題、これは先生おっしゃるように、将来ほんとう地元の民意が結集して、やはりやりたいというふうなお話があれば、その際にあらためて調査をして、よければいいし、悪ければ悪いという結論が出されるべきだろう、こういうふうに思います。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 重ねて言っておきますが、地元では反対運動がいま熾烈に盛り上がっておるわけです。まだ、六十年になってできるかできないかわからないものですけれども、もう数年でできるという錯覚を与えられて、たいへん激しい運動になっておる。ですからそのことを十分お考えいただきたいと存じます。  それから次の問題に移りますが、新幹線国土全体的にいま計画され始めているのですけれども、国内航空との関係をどうお考えになっておるのか。たとえば、お話を聞いてみますと、東京-名古屋というのがいままで七、八便あった。しかし最近ではせいぜい二、三便に減ってしまった。こういうように流れが変わっているのですね。一方、航空政策の上からは飛行場の建設なり、あるいは増設なり、片方で進めている。しかし新幹線ができていけばその様相というのは変わっていくわけです。そういう観点から考えてみると、この新幹線というものと国内航空というものをもう少し考えてみなければいかぬじゃないか。  それから大臣、五時間で行けるところが新幹線で三時間になった。しかし三時間よりも飛行機のほうが一時間で早いから飛行機をやらなければならぬ、これも少し考える必要があるのではないだろうか。ここの間は飛行機よりも新幹線に乗ってもらうのだというふうに、国自体がやっておられることですから。三時間で行くのを一時間で行かせるために、飛行機にばく大な国の税金をかけていくということは、それはお客選択かもしれませんけれども、国の政策からいってちょっと損じゃないだろうかと思うのですが、そういう点で、この新幹線計画国内航空とのあり方という問題についてちょっとお考えをお聞かせ願いたいのですが。
  22. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 各輸送機関関係でございます。ことに新幹線国内航空関係、これは私からお答えするより御専門の先生のほうがかえってよく御存じと思う次第でございますが、実は昨年暮れの総合交通体系というものにもはっきり出ておりますとおり、航空輸送はその高速性というものの特性を生かすということで、比較的長距離輸送に適する。それから新幹線は、長距離輸送にも適しますが、おもに大都市間、都市間を結ぶ。国土開発の意味も含めまして都市間を結ぶという特性がある。むしろ中距離大量輸送ということを目ざしている。おのおのそこに特性が違ってくるんじゃないかという結論を得ている次第でございます。しかし、大都市間におきましてはやはり、何と申しますか、利用者選択にまかせる部分も相当あってもいいんじゃないか、こういうような観点でやっている次第でございまして、ただいまお話しになりましたような、新幹線高速化がさらに進んでまいりますということになると、新幹線が延びてまいりますると、やはり中距離と申しますか、そういうことの大量輸送はやはり新幹線にまかしたほうが国策としても妥当ではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 大臣鉄監局なり航空局説明を聞くと、大臣の言うとおりに言っているわけですよ。けれども、私はそれはちょっと間違いじゃないだろうかと思うのですよ。それはやはり、交通機関お客選択にまかせることはいいかもしれませんが、しかし、国、国鉄のやっている仕事というのは公共性を中心にこうやられているわけですよ。それから飛行機のほうを見てみますと民間なり何なり。しかしその一つの問題は、全部運諭省が監督しているわけですよ。自動車輸送もそれから海運も、それから航空輸送も鉄道輸送も。しかしその中から今日の三Kといわれる国鉄の財政赤字が出てきているわけです。それは交通の総合的な政策、それを運輸省が持っていながら、その運輸省が判こを押してただ認可をするだけの行政になっておって、総合的な経済政策の上に立った交通政策がないわけです。で、いま大臣が言われた運輸政策審議会の答申をきのうも、いただいてちょっと見たんですけれども、しかし、やはりその便利さと競争というものの考え方が基本になっている。じゃ、お互いの競争の基盤の上に競争が行なわれているなら問題ないわけですけれども、鉄道は赤字だ、飛行機のほうはまあまあだ、自動車はますますこれからだ、こういうアンバランスが出ているわけですね。ですからそういう点で、いま大臣のおっしゃられることは役人が言っているのですけれども、それをもう一回こう裏返して、今度は政治的な立場でものを判断をしていただきたいと思うのですよ。極端に言うと、たとえば東京から新潟まで飛行機が飛んでいるでしょう。新幹線ができたら新潟空港は必要なくなる――極端な言い方ですよ。そんなことを言ったら田中角榮さんにしかられるかもしれない。しかられるかもしれないが、やはりそういう洗い直しをしないと、閑散線区の鉄道をとろうとしている。しかし新線建設公団がまだ一生懸命つくろうとしている。それで政治家が間に入ってだれも何ともならない。この路線を廃止するなんと言ったら与党も野党も何ともならないですよ。一番損するのは国民ですから、そういう見通しというものを、いま私は航空政策の中でぜひやっていただきたい。特に地方の空港について、地方の空港が一体どういう役割りがあるのだろうか、それから一体存続する理由は何なのか、一体存続する効果があるのか、一日に一体何便来たら効果があるのか、お客がどれだけ乗れば効果があるのか、そのお客の質からいって、そのお客を運ばなければならぬために一体何十億という金をそこに投資する価値があるのかないのかという、そういう点まで含めてひとつ検討を、まあ航空局長、あなたのほうは仕事が減るのはいやだと言うかもしれませんが、仕事が減る減らないということじゃなく、もっと全部でものを見るという見方、どうでしょう。
  24. 内村信行

    内村(信)政府委員 私は実は先生のおっしゃる点に賛成なんです。と申しますのは、現在航空というのは相当伸びが大きゅうございますけれども、たとえば大阪であるとか東京であるとか、空港事情によりまして制限せざるを得ない、あるいはその管制の能力によってもまた制限せざるを得ないというようなことが実情でございます。したがいまして、やはり鉄道で分担し得る面は鉄道にまかす。分担し得ない面、航空の特性を生かせる面は航空で運ぶというのが本来の形じゃないかと私は考えております。  したがいまして、たとえば名古屋空港というのがございますけれども、東京-名古屋間、これは新幹線ができる前は、相当飛行機が通っておりまして、乗っておりました。しかし、新幹線ができましてからは、これはもう選択にまかせても、あるいは選択をしないでも、航空の便がほとんどございません。いまフェリー的な意味において一日一便程度あるだけでございます。それでもう旅客もほとんど乗っておりません。したがいまして、そういうたとえば三百キロぐらいのところは完全に鉄道に転移しているし、また転移させるべきだろうというふうに思っております。  それから、東京-大阪にいたしましても、これは新幹線相当部分運んでいますし、だんだん従来からの傾向を見ますと、やはり新幹線で運ぶ部分が次第にふえているというふうなことが現状でございます。私どもといたしましても、東京あるいは大阪の飛行場の事情から見ますと、それが望ましいし、そういうふうにすべきであろう。したがいまして、東京-大阪間の便というものはなるべく多くしない。それで、東京-北海道とかあるいは九州とか、そういった遠くのほうを飛行機が分担すべきであろうというふうに考えております。  ただ一つ、鉄道と航空と違いますのは、鉄道というのはやはり線で結んでいくということに特徴がございますし、航空の場合は、それぞれの空港が点でございますから、その点と点というふうなものはどういうようにでも結び得るというところが一つの特徴でございます。したがいまして、新潟空港というものは、東京-新潟間の新幹線ができたら要らなくなるかというと、必ずしもそうではなくて、確かに東京-新潟間の輸送需要というのはなくなると思います。しかし、これはある意味においては新潟は……(勝澤分科員「たとえば新潟は一つの例だから、いろいろ差しつかえがあるから」と呼ぶ)まあ私の言わんとするところはおわかりになると思いますが、線と点という面で若干違いがあるということは御了承いただけると思います。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 もう一問だけ、時間がありませんので。  この運輸政策審議会総合交通体系の答申によりますと、超高速の第二東海道新幹線の建設という構想が出されておりますけれども、最近新聞、雑誌などで、相当技術的な開発も進んで、具体的にいろいろと述べられておるのですが、この機会にぜひこの超高速の第二東海道新幹線についての構想をひとつ御説明願いたいと思います。
  26. 山口真弘

    ○山口政府委員 超高速鉄道による第二東海道新幹線の構想でございますが、これは先生御指摘のように、運輸政策審議会の答申の中に、需要のきわめて多い東京-大阪間においては、超高速第二東海道新幹線を建設する必要があるという趣旨のことがございます。そして一方、私ども運輸省の機関でございまする運輸技術審議会というのがございまして、この運輸技術審議会におきまして、超高速鉄道に関する技術的な問題を検討いたしまして答申をしております。その内容によりますと、東海道新幹線につきましては、その需要の予測を、航空機あるいは高速道路、そういう影響を考慮した上で検討いたしましても、昭和六十年度には大体四十年度に対して六倍半の需要があるであろう。そして現在の東海道新幹線の最大の輸送力というものは、昭和五十三年度ないし五十五年度にはもう限界に達してしまってどうにもならないということになるであろう。したがって、そこに新しい超高速鉄道が必要なわけでございます。  東海道の新しい鉄道を、表定速度を別にいろいろ試算を行なって、どういうようにすれば一番輸送力が大きく経済的であるかということをやってまいりましたところ、浮上方式による表定速度三百キロメートル、時速三百キロメートル以上の超高速鉄道にすることが一番合理的である。そして、その超高速鉄道の技術的な可能性というものを運輸技術審議会でいろいろ各種の方式について検討をいたしまして、これがたとえば磁気浮上方式だとか空気浮上方式だとかあるいは車輪支持方式だとか、あるいはモーターにつきましてもリニアモーター方式だとか、その他現在の推進方式だとか、いろいろあるわけでございますが、そういった各種の方式を検討いたしました結果、浮上方式といたしましては磁気浮上方式、推進の方式としてはリニアモーターの推進方式ということが最も望ましい、こういう結論が出たわけでございます。それでこういう方向にのっとりまして、国有鉄道におきましていまその技術開発を進めておる、こういう段階でございます。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤分科員 では時間がありませんので、これで終わります。
  28. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で勝澤芳雄君の質疑は終了いたしました。  井上普方君。
  29. 井上普方

    井上分科員 過疎地帯におきますいままでの私営バスの路線の廃止に伴いまして、バス購入資金等々の補助金を――町村がバスを走らす場合、補助金を出されておるようでございますが、四十六年には幾ら出して、四十七年には幾ら計画されておるのか、その点お伺いしたいと思います。
  30. 野村一彦

    ○野村政府委員 四十六年では全部合わせまして約一億五千万円でございますが、四十七年、ただいま御審議をお願いしております予算では四億七千万円でございます。
  31. 井上普方

    井上分科員 そこで私お伺いしたいのですが、実は私の地方におきまして、バス会社は廃止したくない。ところが陸運局が圧力をかけて、そして廃止しろという申請を出させておる事例を知っておるのであります。これはどういうのか。予算が余っているんじゃないかと思うのでありますが、どうでございます。
  32. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私もこれは初めて聞いた話でございます。私が仄聞しておりますところでは、バス会社はやめたい。しかしやめないでくれ、ぜひもう少し続けろということはたびたび私は聞いている次第でございますが、いま先生から御指摘ございましたような、バス会社はやっていてもいいけれども、自分のほうでやめたらどうだというような話は、私ただいま初めて聞いた次第でございます。
  33. 井上普方

    井上分科員 では具体的に……。まことに小さい問題でございますので、あれですが、実は私のほうに徳島バスという会社がございます。これは昨年から、六十六線でしたか、非常に大きい赤字線を廃止するという申請が出されました。その後、労働組合との間に問題がございまして、あるいは地域住民におきましても残してくれという要望がございまして、実はたくさん存続することになったわけであります。ところが、相生町という町がございまして、その町におきまして、その町内で三路線を廃止するという申請を、一応労働組合との話し合いもつかないままに実は出しておったのであります。ところが、地域住民の残してくれという要望が強いので、一月十四日にその廃止申請書を会社は取り下げたのであります。ところがこの間において、陸運局は一月十五日に、町に町営バスの運行申請書を出させた。一月の十四日には廃止申請書を会社は取り下げた。ところが十五日に出させた。そしてこの三月になりまして、三月の十日になりまして、にわかに会社側に対して、あの廃止申請書を一月十四日に取り下げたけれども、これをもう一度出せということを強く会社側に言ってまいりました。三月十五日までに出せということを三月の十日に言ってまいったのであります。会社は労働組合との労働協約の中で、路線を廃止する場合には組合と協議する、こういう一項がございました。そこで、これは陸運局から言ってきたんだということで労働組合の委員長も陸運局に参りましたところが、十五日までに出せということを私は申したということを申しておるのであります。ところで、町民におきましてはバス会社の路線を三線残してくれという運動も非常に起こっております。こういうようなことがありますので、一体予算が余って、年度末に使ってしまわなければいかぬというような感覚でやられておるのかという感がするのでございますが、どうでございますか。
  34. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御質問になりました点につきましては、私どもが現地の陸運局から聞いておりますのと少し違いますので、私どもの事情を説明させていただきたいと思います。  御指摘のように、徳島バスにつきましては、全体の三四%に当たりますところの六十六路線の廃止の申請を昨年の二月に計画をして、それを労働組合に話をしたということは聞いております。私ども、地方の過疎バスの問題につきましては、これは地域住民とそれから地方公共団体と労使を含む当該企業というものが十分話し合いをした上で措置をきめるという方針をとっておりまして、昨年度におきましても、わずかの額でございますが、各県ごとに過疎バス対策協議会というものをつくりまして、そこで審議をして、住民の足として維持すべきものと、それから他に代替手段があれば廃止するのもやむを得ない、そういうものをきめこまかに相談せいという会合を持っております。したがって、徳島県でも関係の皆さんが集まられて過疎バス対策協議会で相談をいたしております。したがいまして、私どもの理解は、大体四十六年の九月でございますか、廃止の、休止の申請がまず徳島バスから出まして、先生御指摘のことしの一月十四日に相生町のほうからは、自分のほうの町でマイクロバスを買って住民の足を確保するから、徳バスがやめたならば自分たちのほうでやるという趣旨で、マイクロバスを購入するための補助金の申請が出たわけでございます。そこで、それが高松の陸運局を経由いたしまして私のほうに上がってまいりましたので、私のほうでいろいろ審査いたしました結果、もしそういうことに地元の話し合いがつけば、町営のマイクロバスを買うための補助金、これは先ほど申し上げました四十六年度一億五千万円の中の一部でございますが、これからマイクロバスを買うための資金の補助金を支出しようということを内定をしたわけでございます。しかしながらまだその話が決着をいたしておりませんので、内定をしたままこの執行を留保いたしておるわけでございます。そこで、今後その地元の話がどうなるかということにつきましては、私ども、先生のところにはどういうふうに伝わっているかわかりませんが、地元の陸運局から早く廃止せいということを企業側に要望したというような事実はございませんで、私どもの了解しておりますのは、地元のほうで話がついたならば、徳島バスにかわる町営のマイクロバス購入資金を執行しなければならないからという話をしたわけでございます。もちろん話がつかなければ、内定をいたしております町に関する補助金も、これは残念ながら不用にさせるということもやむを得ないわけでございまして、そういう予算が内定しておるから是が非でもということは毛頭ございませんので、その点御理解いただきたいと思います。
  35. 井上普方

    井上分科員 そこで違うんです、その事実は。一月十四日に会社側は廃止申請書を取り下げているんです、去年の二月に出したのを。それはあなたのほうにはわかっていないですね。出しておるんですよ。おたくのほうはこれはおわかりになっていない。御存じないですね。――そうして、それをまた再提出しろということで三月十五日を期限に出させておる。会社側が陸運局へ出しているのは十六日です。こういう事実、知っておりますか。
  36. 野村一彦

    ○野村政府委員 一月十四日に相生町のほうから申請があったということは承知いたしております。それから、陸運局がそういうことを慫慂したかどうかは別といたしまして、三月十六日に徳島バスから、相生町の代替輸送機関についての廃止の申請が出たということも承知をいたしております。しかし、それはいま申し上げましたように、予算の内定はいたしましたけれども、執行はいたしておりませんで、そのまま現地における解決を待っている、こういう状況です。
  37. 井上普方

    井上分科員 一月十四日に会社側が廃止申請書を取り下げておる事実については、あなた方のほうに言ってきてない。そして三月の十六日に再提出しているんですよ。そうでしょう。あなたのほうの手元の資料であれば、去年の二月に出した書類がずっと残っておるわけでしょう。それを三月十六日になぜ再び出さなければならないのです。理屈はそうじゃございませんか。
  38. 野村一彦

    ○野村政府委員 私どもは、一月十四日ですかに一たん撤回をしたということは、これはあるいはそういう報告があっておるかと思いますが、私はちょっとその辺的確に理解しておりません。
  39. 井上普方

    井上分科員 ここらあたり事実関係を明確にしておかなければいかぬ。そうなっておるのですよ、おそらく陸運局のほうから。そうでなければ、三月の十六日に廃止申請書を出す必要はないでしょう。この点はおわかりですね。その間にやはり陸運局としては会社に対して強要しておるのです。   〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 それで労働協約にも違反しておることでございますので、地方労働委員会に組合側としては提訴しました。ところが会社側の言い分は、労働組合の言うとおりです、そうだ、これは一たん廃止するということを組合に話しかけましたけれども、一月の十四日に撤回したんです、ところが諸種の事情によってまた組合に相談ぜずにやりました、こう申しておるのであります。公の場所ではお役人の強要によってやりましたなんということは言えないでしょう。でございますので、諸種の事情ということでやっております。これはやっているんです。  そこで問題になるのは、こういう地方の事柄に、申請があればやればいいけれども、それを会社側に強要する陸運局の態度であります。バス会社でございますから陸運局に対して弱い。これはおわかりになると思う。その強要しておる事実なんです。こういう姿勢がはたしていいか悪いか。先ほど自動車局長が言われたように、組合側との問題を解決しろ、地元との問題を解決しろ、そしてみんな円満にしたときにはやるということで、私はそのとおりであると思うんです。そうでなければならぬと思うのです。ところがそれをやらずにうまくいったがごとく見せかけをする、この姿勢が私は問題だと思うのです。大臣、いかがでございますか。
  40. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私もそのとおりだと思っている次第でございます。私もいま御質問を聞きまして、非常に奇異の感じを抱いておる次第であります。たとえば、ときに地方によりましてはどうも運行成績がよくない、これをもし場合によっては禁止したらどうか、そういう違反の運行を。間引運行したようなところがたまたまある次第でございます。そういう場合にも、しかしそうするとやめちゃいますよ、やめられると困るから一生懸命頼んでやらしていただいた、こういう実情まで私は聞いておる次第でございますから、ただいま先生お話のごとく、私は意外に考えておる次第でございまして、事実調べまして、そういうことがあってはならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  41. 井上普方

    井上分科員 それで地元におきましては、町議会をはじめといたしまして、これはかなりもめております。それで町長さんも独断でマイクロバスを先に買ってしまったというような事情もございまして、円満な自治体が騒動を巻き起こしておるのでございます。したがって、私は一例として申し上げましたこの相生町の問題につきましては、先ほど方針おっしゃられましたように、全部が円満になったときにひとつ執行していただくように、特にお願いいたしたいと思います。  私は特にそれに関しまして、私ども過疎地帯を多くかかえる者といたしましては、過疎地帯における公共輸送を一体どうすればいいかということにつきまして、運輸省総合交通体系の答申が出ておりますけれども、どうすればいいのか。これは運輸省としましては方針があるだろうと思うのです。この方針をひとつお伺いしたいと思うのでございます。
  42. 野村一彦

    ○野村政府委員 地方バスの基本的な対策でございますが、四十六年度まではいわゆる過疎地帯、法律上の過疎地帯とそれから離島、辺地等に限りまして、きわめて乗車密度の低い路線につきまして、全国で一億五千万ほどの予算でやっておったわけでございますが、これでは根本的な過疎交通対策になりませんので、私どもは四十七年度を期して、ひとつ基本的にこの対策を再検討をしようということで案を立てまして、現在予算の審議をお願いをしておるわけでございます。  この基本的な考え方といたしましては、全国のおおむね人口十万以下の中小都市を含む地域におきまする住民の最後の足としてのバス、その必要最小限度のものはどういう路線であるかということを、運輸大臣の一般的な方針に基づいて各県知事が具体的にきめていく。そしてどうしても残さなければならないものにつきましては、企業の集約とか統合とかいうことを強力に推進いたしまして、先ほど申し上げました過疎対策のほかに、そういう統合、集約を行なった企業に対しましては県がその赤字の補助をする。そしてその県に対して国が半分を補助をするということで、結果的には必要最小限の路線の半分ずつを県と国とが持つということで、県と国とが一体になって路線の維持をはかるべきである。そしてその路線を維持したバスにつきましては、古い車両の代替をする場合にまた、代替購入費の半分を国が持つというような政策考えまして、いろいろ財政当局とも折衝し、非常に御協力を得まして、四十七年度からこれを発足させたいということで、先ほど申し上げました四億七千万円ほどの予算をいまお願いしておるわけです。これが平年度になりますと、私どもの計算で十億円くらいの予算に全部でなるということで、もちろんこれで私どもは満足とは思っておりませんが、そういう過疎バス対策についての一歩前進の対策はこれで組み入れているというふうに考えます。
  43. 井上普方

    井上分科員 根本的に過疎地帯の輸送を一体どうするかということは、やはり公共性を持たせなければならないのだろう、こう思います。しかし、一方においてはもうかるところは私鉄にやらす、私バスにやらす、私営にやらす、もうからないところは公共というのも、これまたちょっとおかしな話でございますが、ここらあたりやはり公共、私営、合わしまして均衡のとれた交通体系をしていただかなければならないのじゃないかと私は思う次第なんであります。  それからもう一つ、過疎地帯のことを考えますと、過密地帯のことが当然出てくるのでありますが、大都市近郊の団地付近の状況を見ますと、過疎地帯と同じ状況があらわれておる。これは大臣も建設委員をやられておりましたのでよく御存じだろうと思いますが、過疎地帯におきましては、一番困るのはやはり交通と教育施設でございます。子供がどんどん減って学校ががらあきになる、統合しなければならぬというようなところで非常に困っておる。同じように新しい団地地帯につきましても、過密地帯につきましても、やはり交通と学校問題が起こっておる。過疎と過密地帯におきまして、ともかく同じ現象が起こっておるのはおもしろい現象だと思うのでございます。しかし、私どものところに盛んに言ってまいりますのは、やはり、新しい団地ができた、そのときにバスがなかなか来ない。たとえていいますならば多摩ニュータウンのごときもああいう状況でございまして、住民の自衛手段として運行するというようなことが行なわれておりますが、これらに対してはどういうような手段を講じられるのですか。
  44. 野村一彦

    ○野村政府委員 大都市、特にその周辺部におきまする住民の足の確保でございますが、私ども昨年の八月に、運輸政策審議会都市交通部会の中でバス・タクシー問題のあり方という審議をしていただきましてその答申をいただいたわけでございますが、その基本的な考え方は、大都市及びその周辺を含めまする住民の足の確保ということについては高速鉄道が主役になり、バスがその次に住民の足を確保するためのものであるという役割りでございまして、現在残念ながらバスにつきましては十分その役割りを果たしておらない。ことにいまおっしゃいました新興住宅地等に対する足の確保ということが非常に不足でございます。そういうものを早急に進めていくためには、いろいろな方法があると思いますが、私どもが現在考えておりますのは、現在のバス事業者等に対しまして強力な行政指導を行ないまして、たとえば路線網の再編成を行なう、そして都内の過密地帯で、情勢の変化とともにいま必要がなくなりつつある路線等については若干縮減をいたしまして、その分を郊外部に回すというようなこと、あるいは高速鉄道等の駅の時間に合わせました終バス時間の延長をはかるとか、そういうようなことを行政指導でやっておるわけでございます。基本的にはもっと強力な方法を用いて、たとえば新興住宅地等につきましては、デベロッパーにある程度そういうバスの設備に要する資金の一部を負担をさせるというようなことも、将来の方向としては考えていかなくてはならないのじゃないかということでいろいろ議論もしたわけでございます。四十七年度の予算におきましては、先ほど申し上げました地方の過疎の問題と過密の問題と両方ありまして、いろいろ議論いたしましたが、この際過疎のバス対策を優先しようということで、先ほど申し上げましたような過疎バス対策を取り上げたわけでございますが、将来の方針としては、大都市周辺におきまする過密バスの問題も、先生おっしゃるように、早急にもっと有効な手段を常に研究しなければならないと考えます。
  45. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的にはいま自動車局長に答えさせたとおりでございます。実は過疎過密、これの運輸機関をどうするかというのがいま一番大きな問題でございます。したがいまして、ことしの予算編成また法律案提出につきましても、その点で、非常に微力ではございますが、重点をもちまして、自動車局長からお答えをいたさせましたが、昨年までは一億五千万円の赤字補助をやっておりました。こんなばかなことがあるかというので、少なくとも私の目標といたしましては十倍伸ばせ、そうして赤字対策といいますか、過疎のバス路線を維持するためにやれということをやった次第でございますが、結局は平年度で十億に達するということに一応きたわけでございます。範囲も広げてきたということでございます。またニュータウンそのほかにつきましては、当初の計画といたしましては、私鉄に、ここにはバス路線をつけろとかいう命令をするような法的措置も考えて、そのかわり補助もするということを当初考えた次第でございます。建設省とも十分打ち合わせをした次第でございますが、それとともに、私鉄もニュータウンその他の急に増加をいたしました通勤通学対策に対しましては路線をつくらす、しかし、その路線はある程度は国でつくる、鉄建公団をしてやらせるという方針を今度はとりました。これにつきまして、まだ当初少ない次第でございますが、百二十五億の予算を計上することをいたしました。これをやった次第でございますので、バスのほうは少しおくれている、こういうことが実情でございますが、どうしてもこれを重点的にやっていかなければならぬということで、当面の問題といたしましては、先般タクシーのときに問題になりましたが、高速鉄道、地下鉄あるいはまた汽車等の駅と団地の間を結ぶバスを、やはり相当時間を延長しても確保するために、特殊のところは少々の運賃の値上げもやむを得ぬということで指導しておりまして、いま東京周辺ではたしか十カ所か十二、三カ所、それの運行ができておる次第でございます。これをもっと指導して強化をしてまいりまして、団地の足の確保ということにつとめてまいりたい。しかしそんなことでは足りませんので、政府としても将来はこの点に大いに力を入れて対策を考え、強化をしていく、こういうつもりでおります。
  46. 井上普方

    井上分科員 お話はわかりましたけれども、やはり団地、新興住宅地の足の確保ということは全然できてないといっても過言ではないと思います。これらの点につきましては、自動車局長はデベロッパーに運行させるなどと言いましたが、これはちょっと問題があると私は思う。これはまだまだ考えなければなりませんが、とりあえず現在住んでおられる方々に対して不自由をかけないように強力なる行政指導をお願いいたしたい、こう思うのでございます。  国鉄と海運関係質問しようと思いましたけれども、時間がございませんので、また次の機会にさせていただきたいと思います。
  47. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて井上普方君の質疑は終わりました。  次は、渡部通子君。
  48. 渡部通子

    渡部(通)分科員 私は新幹線都心部乗り入れという問題について、その工事計画等について伺いたいと思っております。  現在国鉄は、さきの国会で成立いたしました全国新幹線網法に基づいて東北新幹線都心部乗り入れ計画をしているわけでございますが、直接の工事区間に当たる千代田区神田周辺、その駅付近の人々はつい最近までこのことをあまり御存じございませんでした。ここ数カ月に至って、新聞報道等のそういった第三者的情報によってかろうじて知ったというのが実情のようでございます。このような国家的な施策というべきものが行なわれる場合には、実際に具体化される以前に当然付近住民の方々の理解、十分な納得、それから関係方面の正しい認識というものが大前提としてまことに必要だ、こう思うわけでございますが、この点、国鉄は実際にどういうような手続をおとりになったのか。具体的に住民に対しての説明等を行われたのか、その点まず伺いたいと思います。
  49. 長浜正雄

    ○長浜説明員 御承知のように、東北新幹線先生ただいまおっしゃいましたように、せんだっての法律と法的措置によりまして、大臣の認可をいただきまして工事を進めることになったわけでございます。東北新幹線は、東京の住民の方々はもちろん、特に東北の方々のために非常に効果があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただ地元の方々には、用地の取得その他でいろいろ御迷惑をおかけすることになることが多々あると思います。われわれといたしましては、新幹線の建設工事のみならず、一般の工事をやります際にも、地元の住民の方々、あるいはその地区を代表しておられる各議員の方々、あるいは市町村の理事者の方々にできるだけ十分よくお話し申し上げ、御協力をいただくように努力を重ねてきておるわけでございますが、工事をやるときまりましてから地元の方々に直接御連絡を申し上げるまでに、その間にやはり土地の使用方法、実際の設計の細部等がきまりませんと、大まかなお話を申し上げますとかえっていろいろ御心配なり御迷惑をおかけするようなことが多々ございます。たとえて申しますと、東海道新幹線をやりました場合に、あまり具体的な計画がないうちに相当な幅で地元の方々に御説明を申し上げたケースがございまして、皆さんにかえって非常に大きく御迷惑をかけたという例もございまして、具体的に細部の設計を仕上げまして、地元の方々に、こういう支障があります、あなたのところはどういう影響がありますということを御相談申し上げる。もちろんそれには、そういう具体的などの土地ということは、これは測量をしてみなければ具体的にはわからないのでございます。それの以前に大体の設計計画をつくりまして、この付近というように計画がきちんとできた上でないと申し上げられないというような事情がございます。そのためには、事前に設計協議と申しまして、地方公共団体、いわゆる都あるいは区あるいは市町村とよく協議をしまして、水路のつけかえだとか道路のつけかえという、そういうことを協議した上でないとなかなか御説明ができないという状況で、その点は非常に御迷惑をかけておることと思います。その点、できるだけ早くわれわれとしても御説明申し上げたい、こう思っておる次第でございます。
  50. 渡部通子

    渡部(通)分科員 ちょっとお願いしておきますけれども、答弁はひとつ簡潔にお願いしたいんです、たいへん時間がございませんので。私お聞きしたいのは、具体的にどういう手続をおとりになったかということでございます。いま結論としては、何もやらなかったということだと思います。くどくど説明されますとそれに時間を食いますので、今後それに注意していただきたいと思うのです。  一昨日、地元で初めて説明会を開かれたというのが実情だと思うのですが、これなどもやはり国鉄のほうから積極的にその説明に行ったということではなくて、不安におののいている地元住民の圧力に屈して、ようやく第一回の説明会を開いたというのが実情だと思います。これを私伺いたかったんですが、それが決定的な実情ですから、それ以上のことを伺いません。ですから、住民パワーというものが盛り上がってこなければ説得も説明もしないというような、こういう行き方ですね。御迷惑がかかるとおっしゃって、いま答弁なすったけれども、私はむしろ、こういう方向であるというようなことを早々と説明をしてもらわなければ――それは逆でございます。むしろ住民が不安感にかり立てられてしまう、生活権を奪われることですから。そういった意味で、いまの後認識は十分御訂正を願いたいと思っております。そこのけそこのけお馬が通るじゃないけれども、そこのけそこのけ国鉄が通る、こういうことになりはしないかということがいまの地元の方たちの実際の感情でございます。ですから、こういった国鉄の姿勢というものに対しては、東北新幹線建設絶対反対というような声がすでに地元では強力に盛り上がってきております。上野でとめてくれりゃいいんだということが、これが実際の地元の声になりつつあるわけです。ですから、こういうやり方というものに対して国鉄総裁はどういう御所見をお持ちなのか、あるいは運輸大臣はどういう御見解をお持ちなのか、これを伺っておきたいと思います。
  51. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 東北新幹線は法律によってきめられたものでございますが、私どもといたしまして実際に建設する段階になりますと、いま先生のおっしゃったようないろいろな問題がございます。やはり地元と融和した、地元と一体になった鉄道でなければ意味がないというふうに思いまして、いろいろな手続もございますけれども、東京都も区がたくさんございまして、非常に利害関係の深いところから御説明をしているのだというふうに思います。一昨日のそういうことは私初めて伺いましたけれども、ただ原則としてなるべく、国鉄としてはいま相当広い土地を持っておりますので、自分の線路敷を使いたい、できるだけ御迷惑をかけないで、自分の線路敷を使いたいというような気持ちを持っております。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま総裁から御答弁申し上げたとおりでございまして、やはり地元の皆さまに迷惑をかけないといっても実際は迷惑をかけることになる次第でございます。その迷惑をできるだけ少なくする、いろいろの御不便、御苦痛を与えることをなるべく少なくする。それがためにはやはり周到な注意をするということが何よりも必要であろう、こういうふうに思っている次第でございます。
  53. 渡部通子

    渡部(通)分科員 設計協議の段階を経て、地元の工事計画が決定されるというめどはいつでございましょうか。
  54. 長浜正雄

    ○長浜説明員 具体的には、実は昨年の十一月中旬に区長のところに私たち説明申し上げまして、それで設計協議その他を始めておるわけでございます。設計協議が具体的にきまりますのは、設計協議がきまって最終設計になりますのにはまだ若干ひまがかかると思います。地元の方々への説明は最終的にきまる前に、一昨日も御説明しましたように、ほかの地区の方々にもなるべく早く御説明申し上げたいということで、それぞれその方面にお願いを申し上げておったわけであります。なるべく早く御説明申し上げたい、こういうふうに考えます。
  55. 渡部通子

    渡部(通)分科員 なるべく早くというのはたいへんにぼうばくとした御答弁なんですが、その前にも御説明申し上げたいというお話がいまございましたので、ひとつ設計協議の具体的な詰めを急いでいただくことと、やはりそれ以前等にも再三ひとつ足をお運びいただいて、地元の納得という点についての御努力を願いたい、それを重ねてお願いをしておきます。
  56. 長浜正雄

    ○長浜説明員 そのようにできるだけ地元に足を運んで、皆さんの御協力を得るようにわれわれも努力したいと思います。
  57. 渡部通子

    渡部(通)分科員 地元では地下鉄線方式による工法の採用を強く要望する声もあるようでございます。この工法でなければ地元は建設に断固反対するという声も聞きました。この地下鉄方式というものは、一昨日の説明会の際、可能であるというような説明もあったと伺っております。それならば設計の大幅な変更を願いたいというような要求も出てまいっておりますが、この点についてはどういう見解をお持ちでございますか。
  58. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私もその話を聞きまして実情を調べてみたのでございますが、そのときの話のいきさつは、外国では地下数十メートルのところに地下鉄を建設しておるそうじゃないか、日本ではそれができないのか、こういうお話があったそうでございます。技術的に、周囲のことを何も考えないで地下を掘るということは可能でございます。日本のトンネル技術でございますからそういう工法は可能でございますが、具体的にどの地点とどの地点を結ぶということになりますと、物理的にこの地点は地下鉄方式に変更することは不可能でございます。と申しますのは、御承知のように東京から現在高架で出まして、それがなるべく早く地下に入る。しかもなるべく国鉄用地を十分活用するというようなことになりますと、ある程度の高さから地下に入りますので、この間が斜めになる。そうすると中間に……(渡部(通)分科員「可能か不可能か答えてください」と呼ぶ)私申し上げましたように、この地点では不可能でございます。
  59. 渡部通子

    渡部(通)分科員 説明会で可能だという意見を聞いて地元は一脈の光明を持った感じだったのですが、それはお金がかかり過ぎることもよくわかるけれども、不可能なら不可能で、万一やむなく上を通らなければならないという場合には、従来の基準を上回った補償をお考えいただけるかどうか、その点を念のためちょっと伺っておきます。これは総裁。
  60. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 補償という意味がちょっと私受け取りかねるのでございますけれども、たとえば用地買収する場合に用地費用とかあるいは保安設備とか騒音、そういうことをおっしゃっておるのだと思いますが、それは市内でございますからできるだけいたします。
  61. 渡部通子

    渡部(通)分科員 できるだけのことはするという、この前向きの姿勢と受け取ってよろしゅうございますね。
  62. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 原則として私どもはなるべく鉄道用地を使いたい。鉄道用地はあれだけのものでございますから、なるべく鉄道用地を使っていきたいけれども、どうしても鉄道用地が入らないという面がございます。それはやむを得ず御協力をいただきますけれども、鉄道用地の上を通れないか、下を通れないか、あるいは同じ幅を通れないかということでやっていきたいと思いますが、ある程度は、どうしてもやむを得ないところは地元の御協力をいただきたいということでございます。
  63. 渡部通子

    渡部(通)分科員 地元の御協力というと、たいへんていさいのいいことばなんですけれども、やはりこれは生活にかかってくるたくさんの人が出るということになってまいります。ですから、今後新幹線の建設も非常に大幅になってくるおりでございますから、こういう場合の地元に対する姿勢というものを運輸大臣からひとつ伺っておきたいと思います。
  64. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄の運営は、御承知のとおり公共企業体でございますから、やはり会計検査院の監督を受ける次第でございますので、無制限に補償するというわけにもまいらぬと思いますが、できる限りのことはさせていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  65. 渡部通子

    渡部(通)分科員 今度は、高架線の下で営業している人たちのことについて伺いたいと思いますが、従来一般的なケースとして、高架線の下に居住し、使用承認を受けていた者がその承認の取り消しにあった場合、国鉄はどういう処置をとっておいででございましたでしょうか。
  66. 長浜正雄

    ○長浜説明員 高架下は御承知のように国鉄の用地でございますので、その使用につきましては使用承認契約という契約を結んでおることは御承知だと思います。したがいまして、その契約条項に応じまして、その条項の内容どおり立ちのきをしていただく、こういうことでございます。
  67. 渡部通子

    渡部(通)分科員 使用契約書に準じてということは十八条のことでございますね。ですから、立ちのきを命ずる、それでやむなく出ていく、これが従来のケースであったわけでございますね。
  68. 長浜正雄

    ○長浜説明員 条項で、国鉄の必要な場合には立ちのいていただく、こういう契約になっておりますので、その条項に応じてそれぞれの方とよく御相談申し上げて立ちのきをしていただく、あるいはかりに移転をしていただく、こういういろいろなケースがございます。
  69. 渡部通子

    渡部(通)分科員 その十八条の問題でございますが、私は、規則は規則として尊重しなければならない、これは当然のことだと思います。ですけれども、有無を言わさず追い出されるという内容についてはやはり人道上大きな問題があるんではないか、こう感ずるわけです。今後のことはともかくとして、これまでそういう十八条の運用処置というものがとられてきたわけですが、こういう姿勢について運輸大臣はどういうお考えを持っておられますか。
  70. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道の高架下の土地の利用というのは一般の土地の利用とは若干異なった性格を持っておりまして、鉄道の運営と密接に関連しているということでございます。したがいまして、通常の借地契約というような形でなくて、高架下の使用承認という形で、鉄道の運営に支障を生じないという形でやっております。したがいましてそういう意味では、それの契約のしかたが通常の借地契約とは違った形になることはやむを得ないと思います。しかしながら、そういったようなことに関連いたしました具体的な事情の問題につきましては、これは国鉄と当事者の間で円満な解決をするというようなことが必要であろうかと思います。
  71. 渡部通子

    渡部(通)分科員 過去トラブルがあったことはございませんか。その場合はどちらが勝っておりますか。
  72. 長浜正雄

    ○長浜説明員 この十八条の立ちのきに関しましてトラブルがあったことはございます。その場合に裁判に至りました件もありますが、裁判に至らないで、町方でいろいろ御相談申し上げたケースが大部分でございます。しかし不幸にして解決しない場合には裁判になったというケースがございます。その裁判の場合も、どちらが勝ったかということでは両方ございます。両方のケースがその解決方法としてございます。
  73. 渡部通子

    渡部(通)分科員 たいへんうまい御答弁をされるので、たいへん理解しにくいのです。時間がありませんので残念ながらその辺を突っ込むことはやめますけれども、いままで使用承認をめぐっての国鉄の行なわれてきた処置というものは、やはりげんこつをもって追われるがごとくやはり出ざるを得なかったというのがほとんどの実情であったと思います。私が先ほどから申し上げているように、規則がそうなっているからいたし方がないといってしまえばそれまでなんですが、福祉国家を指向する以上、公共企業体としての国鉄のあり方というものについては、今後はもう少しその姿勢を改めていただきたい、こう思うわけです。  それで今回の場合は、あえて申し上げますけれども、東北新幹線建設の計画の場合は従来と非常にケースが違ってくると思うのです。幾つか考えてみますと、第一番に工事期間が非常に長い。二年、三年とかかるというような長い期間を持っております。それから今度はまことに都心部で、しかもどまん中なんですね。そこで長い間借業しております。それから立ちのく件数というものが、概算でも二百件に近いだろうというほど多数ございます。それがほとんど商店、こうなってまいりますと、長年の営業権というものを奪われるというまことに深刻な事態に迫られているわけです。今度のこの問題が全国新幹線鉄道整備法が新たに施行されての事業である、こういった特殊な点を考えてみますと、今後こういったケースが増加する傾向にあるわけですから、この際工事の着工及び完成の円滑を期するために、あるいはまた居住者の立場を考えて、ひとつ血の通った処置をとっていただきたいと思うわけでございますけれども、従来のケースから一歩前進して、物的補償だけではなくて営業補償としての何らかの処置をお考えいただけるかどうか、この点をとくと伺っておきたいと思います。
  74. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生おっしゃいましたように、国鉄の場合は法なり規則なりに定められたとおりのことを、その範囲内でのことをしなければならぬことはもう確かでございますけれども、長年この付近で営業しておられる方々のことを十分考えなければならない、あるいはまた新幹線の建設のことも考えなければならないというような各般のことを考慮いたしまして、また相手の方々がそれぞれ特殊な事情もお持ちだと思います。われわれとしてはスムーズに、立ちのきされる希望の方は立ちのいていただく、あるいはかりに移転される方は移転していただく、そういうスムーズにやり得ることを何とか考えて、皆さんに十分御了解いただいた上で進めていきたいと思います。
  75. 渡部通子

    渡部(通)分科員 総裁に伺います。営業補償としての補償を考えていただけるかどうかという点を私は伺っているわけですが、ちょっと御答弁がすれ違いなので……。
  76. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いままでそういう営業補償は一切いたしておりません。これはなぜかと申しますと、いま先生御承知の規則にもございますとおり、入居というか、貸す際に実は権利金を取らないわけです。普通の商慣習でございますと、ああいう土地でございますから相当な権利金を取ってお貸しする、そのかわり立ちのくときには営業補償をする、これが普通のルールでございます。うちは権利金を取らない、そのかわりうちが輸送上必要な場合には補償しない、これがたてまえでございます。一応冷酷に申しますとこれがたてまえでございますが、しかしいまおっしゃったようにいろいろの事情もございますので、やはりケース・バイ・ケースで考えていかないと、ただ営業補償をするとかしないということだけでもって答弁いたしますと木で鼻をくくったようになりますので、そういったことも十分考えた上で個々にお話をしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  77. 渡部通子

    渡部(通)分科員 国鉄はたくさん土地をいろいろお持ちでございますが、そういった意味でたとえば代替地等を考えていただけるかどうか。地元の方たちはただ補償してもらえばいいというのではないのです。今後の生活ということを一番心配しておいででございます。しかもいまだに設計計画は出ておりませんから、一体わが家が立ちのきになるのかならないのかもわからないのです。ぱっと立ちのきがきた場合には一体どうしようという不安ですね。しかもまたそこへ戻れるのか。しかもでっかい柱の立つ位置にでもなったらこれは絶望である。その辺のことすらはっきりしない。しかも今後の営業がどうなるかもわからない。立ちのき料などというようなお金は要らないからとは申しませんけれども、それよりも営業的な見通しというものを考えていただきたいというのが地元の切なる希望なんです。土地もたくさんあるというお話です。そういった点で代替地等のことを含めた上の補償をお考えいただけるかどうか。
  78. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先生の御質問は広範な御質問でございます。私どももそういうような方法で解決した例もございます。ただ、代替地と申しましてもあの辺のようないい代替地は実はなかなかございません。区が違ってくるとか、場所が違ってくるとかいうことで、いろいろございますが、そういうことによって解決した例もございます。したがって、そういう問題を全部含めまして個々にお話ししてまいりたいというふうに思うわけでございまして、理屈はともかくとして長年やっておられる方に対して私どももできるだけの考慮を払いたいというふうに申し上げておきます。
  79. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いま総裁からの御答弁のとおりでございますが、運輸大臣、念を押すようでございますが、この点に対する姿勢を伺っておきたいと思います。
  80. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 長年その土地で営業していた方でございますから、いま総裁が答弁いたしましたようにできるだけのことをいたしまして、そして御納得もできるだけいくようにさしてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  81. 渡部通子

    渡部(通)分科員 総裁がなかなか具体的なことまでは言われないという立場もよくわかるのですけれども、先ほどからおっしゃっていらっしゃるように、規則は規則として、血の通った姿勢をということを承認していただいているわけでございますから、ひとつケース・バイ・ケースになりましょうけれども、その点よろしくお願いしたいのです。答弁を伺っている範囲内だと、ケース・バイ・ケースだとやはり強い者に押し切られてしまうのじゃないかという懸念が私は非常にいたします。ですから規則は規則として、ただいまの御答弁をどうかしかと守っていただいて、営業補償という観点から今後の住民対策をどうかお考えいただきたい。そうでなければ、幾ら新幹線ができましても運賃の値上げはやってくる、新幹線ができるところでは弱い立場の人が泣く、こういうことを繰り返していたんでは国鉄自身の大きな失点になるのではないかと私は思うわけです。その辺にひとつ国鉄の姿勢をしかと定めていただきたい、これを重ねてお願いをするわけです。  もう一点伺いますけれども、一つの独立したビル等を建てて、そこに居住者を一括して営業補償をするというようなことも含めた上の御検討はいただけないか。その場合にはやはり直接管理の形態を要求する、これは私どもの意見でございますけれども、そういったことに対してはいかが御見解をお持ちでございましょうか。
  82. 長浜正雄

    ○長浜説明員 総裁からさいぜん御答弁申し上げましたように、仮移転の方法だとか、あるいは別のところに移転されてそのまままた営業されたほうがいいというようなケースの方もございましょうし、いろいろなケースがございます。ただ、ビルを建ててそこに収容するというような考え方になりますと、これは条件も非常に変わってまいりますし、そういうことはいままでのわれわれの範囲からはちょっとむずかしいことじゃないかと思います。しかし、いろいろなケースが考えられますので、十分その辺はやはり皆さんに立ちのきなりしていただかなければならぬものですから、たとえば御協力をいただけるような方法をいろいろな方法として考えていきたい、こういうふうに考えております。
  83. 渡部通子

    渡部(通)分科員 私は、代替地の問題とビルの問題と、二つこちらから話を出したわけです。いま御答弁でいろいろな方法もあると思う、こうおっしゃっていただきましたけれども、いろいろな方法とおっしゃるそれを具体的に、一つでも二つでもお考えのうちをお示しいただけないかどうか。あるいはここでだめならば、この次の地元説明会のときにでもお話をするという約束がいただけるかどうか。この点、総裁いかがでございましょうか。
  84. 長浜正雄

    ○長浜説明員 立ちのきに関しますいろいろなお話は、個々、ケース・バイ・ケースでございますので、現地で皆さんとお話し合いのときにいろいろ御相談申し上げるときに、こういう方法でどうだろうかというようなことを御相談申し上げるほうがいいのじゃないかと私は思います。また現在、まだわれわれのほうでここで個々にお話し申し上げるだけのデータも持っておりませんので、そういうふうにさしていただきたい、こういうふうに思います。
  85. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いま長浜理事から申しましたとおり、さっき先生もちょっとおっしゃいましたが、非常に事情が、たとえば柱があるなしということ、その一つによっても非常に条件が違う、そういう点で非常にケース・バイ・ケース、事情が違っております。私どもずいぶん経験も持っております。そういう経験を生かしまして、先ほどおっしゃった御趣旨を生かしてその問題を解決してまいりたいというふうに思います。
  86. 渡部通子

    渡部(通)分科員 これで質問を終わりますけれども、御答弁の内容からいってたいへんに抽象的である、ただし前向きと私は受け取らせていただきたいわけです。あくまでもケース・バイ・ケース、過去の経験を生かしてと言われますと、また過去と同じように終わるのではないか、こういう不安も来るわけでございます。少なくも新幹線網の今後の都心への乗り入れ等に対しては、過去とは違った血の通った姿勢をおとりいただけるかどうか。従来のケース・バイ・ケースの過去とは違った格段の御親切、親切じゃない、当然かもしれないのです。そういう意味でのお取り計らいをいただけるかどうか。それを、イエスかノーかでけっこうです、総裁と大臣から一言ずつ御答弁をいただいて終わります。
  87. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私のいままでの答弁で大体御了解願ったというふうに思います。
  88. 渡部通子

    渡部(通)分科員 そうじゃないんです。それはだめです。
  89. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまるる渡部先生からお話しをいただきました。結論といたしまして、この大きな公共事業を遂行するためにはどうしても地元の御協力が必要でございます。地元の皆さまの御納得をいただかなければならぬ問題でございます。したがいまして、また公共事業の性質からいたしまして、その補償につきましてはできる限り万全を期するということがたてまえでございます。具体的の問題といたしましては、地元でしょっちゅうお世話をいただいている先生のお知恵もいろいろあるし、地元住民のためのいろいろの発想もあると思う次第であります。それらをぜひ参考にさしていただきまして御協議をさしていただきまして、地元の住民の納得のいくような方策をぜひとらしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  90. 渡部通子

    渡部(通)分科員 最後の大臣の答弁を私しっかり胸に置いて、今後の処置を見守ってまいりたいと思います。  以上をもって終わります。
  91. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて渡部通子君の質疑は終わりました。  次は、辻原弘市君。
  92. 辻原弘市

    辻原分科員 大きく分けまして二つの問題について承りたいと思います。  一つは気象業務に関する問題、いま一つは、陸上のことはかなり議論をされておりますが、海上の問題についてはあまり議論をされておりませんが、陸上同様最近の景気動向等からにらみ合わせまして、特に零細な内航海運の部面に多くの問題が出ております。したがって、私はこの問題を短時間でありますが承りたいと思います。   〔主査退席三ツ林主査代理着席〕  運輸大臣にお聞きをいたしておきたいのでありますが、これは運輸大臣と申し上げるよりは閣僚としてのあなたにひとつお考えを承っておきたいのでありますが、実は第一次、第二次と、閣議決定をして公務員の定員の削減をいたしております。ところがいま第二次の、四十七年度は初年度になると思いますが、第一次をやった経緯からいま第二次で全体としておやりになる計画を見ますると、実は私は非常に重要なことに気がついたわけなのです。きょうお尋ねをする問題もそれに関連がありますが、まず冒頭運輸大臣の御所見を承りたいというのは、私が気がついたというのは定員の削減、そのしわがどういう形にどこへ寄っているかというと、多くはいわゆる中央官庁ではなくて、比較的地方、場合によりますると非常な過疎地帯、こういう中にある官公署の廃止ないし統合、こういう問題にしわが寄っておる。事実これは運輸省所管でもそうでありまするし、他の諸官庁においてもそういう傾向がございます。私は、いま国の政策として重要なことは、中央地方あるいは都市、農山村を通ずる均衡的な発展、こういうことが、最も今日的課題になっておると思うのです。そういう立場からいたしましたならば、事は公務員の定員削減という問題ではあるが、それが逆に国の重要な施策に対してさおさしておるということならば、これは見過ごしにできない、こういうことを感ずるのであります。いまあなたの所管の、いわゆる気象業務の中で、特に私が本日指摘をいたしたいのは、資料によりますると、本年度気象庁の定員の削減は全体で二百七十三名、本年度を第一年度として予定しておるのが七十九名ということであります。その本年度の七十九名の内容を見ますると、そのうちの五十名が測候所業務の簡素化という名目による定員五十名の削減であります。七十九名中五十名が、それぞれ地域に散在をしておる測候所の定員を減らすという、こういう考え方に立っておられるようであります。私は、この問題について、本日お見えの気象庁長官からも、次長からも、また事務担当者の方方からもいろいろ事情は聞いてみましたが、しかし、いずれにいたしましても、それは私たち考え考え方とは大いに異にいたしておりまして、納得することができませんでした。あえて私はきょう、いま一度この問題についてお尋ねをするわけであります。そういう形に定員の削減を持っていくということは、一体――私がいま申し上げましたように、大きな国の政策、同時に気象業務の中で考えましても、これは好ましい姿ではない。もう少しくふう改善する道があったはずだと私は認識するのでありますが、その辺からひとつ大臣のお答えを願っておきたいと思います。
  93. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御質問のございました第一点、過疎過密の均衡ある発展、これはもういま内政の一番の重点でございます。過疎過密をなるべく格差を少なくして、そして均衡ある発展を行なうのがあらゆる行政のもとであろう、ただいま御指摘のとおりだと思う次第でございます。   〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 したがいまして、それを阻害するような定員の削減はいかぬじゃないか。私もその御質問のとおりだと思う次第でございます。御承知のとおり、私が申し上げるまでもたく、定員削減は毎年出てきておる次第でございますが、これは行政監理委員会の決定によりまして、政府部内で実行しておる次第でございます。大体各省割り振っておる次第でございますが、率直に申し度して、私どものごとく、現業をかかえておる、国民と一番密接の関係がある現業的色彩の強い役所といたしましては、やはり大幅な定員削減は非常に困るというふうに私は考えておる次第でございますが、やはり各省あまり不公平にしないという立場でやむを得ず了承をしておる次第でございますが、しかし具体的の問題といたしましては、できるだけやはり地方の実情を把握いたしまして、そして地方の住民と接触する業務の支障にならぬようにするということが肝心であるというふうに原則的に思っておる次第でございます。したがいまして、今回の気象庁の問題につきましても、合理化をいたしまして、そうして省力化をする。ある程度集約をいたしましても、いままでの任務は、国民に対する気象業務のサービスというものは全然減らないどころか、むしろ的確公正に、そして必要な方面にそれを配置する。また必要な方面におきましては、新しい増員によりましてこれを埋めるということで私は了承しておるつもりでございます。
  94. 辻原弘市

    辻原分科員 特に私が過疎の問題について御指摘を申し上げましたのは、気象庁の場合に、いま申し上げた五十名の定員を削減をして――測候所というのは、これは決して大きな町にあるわけじゃありません。それぞれ僻遠にあるわけでありまして、そういう意味で、長い歴史を持って、今日まで気象業務に携わってきたそれぞれの歴史ある測候所が、五%定員削減というそのワクの中で、あわやこれが実際の能力を、あくまで省力化とは申しながらも減ずるという傾向が明らかに見えておるのであります。  今度は、他の諸官庁を参考に申し上げてみますならば、たとえば法務省所管の登記所であるとか、農商裁判所所管の簡易裁判所であるとか、こういうものもおおむね同じような僻地地方に散在をしておる。これも同様なうき目にあおうとしておる。  もう一つ、今度はあなたの所管の海運局を例にあげますれば、それぞれの地方の出張所は統廃合のうき目にあっておる。それも諸手続とかいろいろな便益をはからなければならぬ最も第一線の重要なる役割りを果たしておる役所、これがそれぞれ整理統合をされておる。本日私は、それらの問題についてはここでは申し上げませんけれども、いずれも傾向としては同じであります。定員が減った、合理化しなければならぬ、そのしわはそういった最も住民に接触をしておる第一線のいわゆる官庁の出先、これがしわ寄せをされて、最も弱い立場に立って、だんだんとその機能を失いつつある。これが実情であります。このことをよく踏まえて、私は、あなたは運輸大臣とされても、それから閣僚のお一人とされても、強くこの傾向を是正さるべきであると思うのでありますが、そういう決意がありますか。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、地方も最近は道路が整備される、いろいろ通信機能も整備される。御承知のとおり、市町村の合併が行なわれて、いわゆる広域行政になってくるところでございますので、やはりある程度の集約化はいたし方がない、またそれが傾向であろうと思う次第でございます。しかし、いやしくも地方で、非常にそこが遠隔の地になってしまうというようなところで、そしてそれを無理に集約するというふうなことは絶対に避くべきであると思いますし、私どもいまお話がございましたが、現業的性格を一番強く持っておる役所といたしましては、そういった方面におきましても、人員の削減というものは、できるだけ減らしてまいりまして、よりよきサービスをよけいに増加をするという面に持っていかなければならぬ、こういうふうに思っている次第でございます。
  96. 辻原弘市

    辻原分科員 いまのお答えを踏まえて、それじゃ具体的に御努力をいただきましょう。  気象庁の従来やっておられた業務、私も若干存じております。合理化をされる、省力化をされるとは言いましても、しかし、気象業務というものは、逐年非常にむずかしくなっておる。しかも、広範囲になっておる。しかも住民も、最近の天変地異、気象条件の急変などというものは、かつて経験もしていないような現象がときどきある。そういうことに対応して、いろいろ住民の気象に対する相談というものがふえております。これは人命の安全確保の面、あるいはそれぞれ農業、漁業の操業に関する問題等といろいろ関連を持ってそういうことが現実にふえておる。ところが、だんだんふえておる現状がありながらも、いま言ったように、簡素化、省力化ということで人を減らし、あるいはそういう測候業務の低下を実際に来たしておる、これではいかぬ。一例をたとえばお天気相談所にあげてみますと、これも承ったのでありますが、私もこれは全国的にもっとたくさんその種の住民サービスというものが行なわれているものだ、はなはだ不敏でありますけれども、そう理解しておったところが、聞いてみますと、いま気象庁が持っておられるお天気相談所というのはわずか二カ所、それも東京に定員わずか五人、大阪に定員四人、この二カ所しかないわけです。しかも、これは東京、大阪という大都市にしかない。そんなことではたして一体この日本全体の気象に対する住民サービスと言えるかどうか、大いに私は疑問がある。少なくともこれはそれぞれの地方に一カ所ぐらいはつくるべきだ。消極的な面だけをあなた方は受けられてそれに労力を費やされるよりは、むしろこういうような、必要な現時代にふさわしい積極的なものをこの際前向きに取り組まれる必要があろうと私は思う。そういうことで具体的に検討されますか、それをひとつ承りたいと思います。
  97. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この問題につきましては、天気予報を出します場合に、出します予報の精度の問題、出しました予報を皆さんにお知らせいたしまして利用するという、二つの問題があると思います。今度の削減問題に関しましては、どちらかと申しますと、サービスのほうにつきましては現状のままにいたしまして、精度をよくするために多少集約するというそういう方向で進んでおるわけでございます。  住民に対するサービスの面につきましては、方法としてはテレビ、ラジオが主でございますけれども、そのほかに外部からの電話での相談、こういったものがあるわけでございます。大都市におきましてはそういうものが多いものでございますから、東京と大阪にそういうものをつくったわけでございます。そのほかにつきましては現在できておりません。そういった面につきましても、私といたしましては、やはり必要があるではないか、こう思っておるわけでございます。したがって、ただそういうものを、天気相談所を各地につくるかどうかということにつきましてはいろいろ検討すべき余地がございます。と申しますのは、非常に大きいところは仕事できますけれども、小さいところですと、いろいろな予報を受けてお知らせするという仕事もございますし、観測ということもございますので、そういった面を考え合わせまして、こういったような予報を一般にお知らせして利用するという体制につきましてもいろいろ検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
  98. 辻原弘市

    辻原分科員 ちょっとわかりにくかったのでありますが、長官はいま、その名前はいずれでもけっこうだと思うのです。現在あるから私はお天気相談所と申し上げたんだが、たとえば気象センターとか観測センター、予報センター、いろんな名前がつけられると思うが、そういうものをさらに逐次ふやして住民サービスあるいは天災地変に備えるという気象業務の全きを期するかどうか、そういうことを前向きにひとつ取り上げておやりになりますかどうかという点がちょっと不明瞭だったものだから、ちょっとそこのところを……。簡単でけっこうです。
  99. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 名前につきましては問題ございますし、やり方につきましては問題ございますけれども、そういった方向で考えていきたい、こう考えておるわけでございます。
  100. 辻原弘市

    辻原分科員 時間がございませんから、それじゃ、少し端的に私も承りますから、あなたもひとつ簡単にお答え願いたい。  いま私が申し上げたように、今度五十名を測候所の定員の中から減す。それは七十九名中五十名という非常に大量の定員を測候所業務から減す。それで測候所業務は絶対に低下しない、それで十分、そういうことをやっても十分だ、こういうふうにお考えになっておるかどうか。
  101. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 現在より非常にサービスをよくするという点につきましては問題があるかと思いますけれども、外に対しまして現在と同じようなサービスをする点につきましては変わりがないと思っております。むしろ予報を出す場合の予報の性質の問題もございまして、むしろそれは今度はやり方によりましてよくなっていくのではないかと思っておるわけでございます。
  102. 辻原弘市

    辻原分科員 そういう消極的なお考え方ではいきませんですね。気象業務というのは日進月歩、非常にある意味におきましては、未知の世界を探っているようなものでしょう。ですから、より正確を期するために必要なことはどんどん積極的にやっていくというかまえがなくちゃいかぬと思うのです。  そこで、参考でありますが最近の予報で、予報の確率というのは長官、あなたの御認識ではどのくらいになっておりますか。簡単でけっこうです。
  103. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 これは予報の長さなんかによって、また季節によって違いますので、一がいにいえませんけれども、あしたの予報でございますと、大体におきまして八〇%見当じゃないか、こういうふうに思っております。
  104. 辻原弘市

    辻原分科員 いまおっしゃった数字ならけっこうですがね。近ごろ、やはりことばで、耳ざわりになりますがごかんべん願いたいと思うが、当てにならぬことを天気予報だとこういうのです。これはまあいまに始まった話じゃありませんけれども、ということは、依然としてやはり正確度が低いということ。だから、そこに定員を含めて気象業務の改善を要する前向きの必要が迫られているということです。そういうことをあなたはちゃんと御認識にならないといかぬと思います。  そこで、私は具体的に例をあげて伺いたいと思うのでありますが、これはたまたま私の郷里なものですから、多少はばかりますけれども、昔からお天気予報といえば必ず名前の出てくる潮岬測候所、これも今回その範疇に入って、いま地域の住民としてはたいへんな騒ぎになっているわけなんです。もう歴史的にも古いし、テレビ、ラジオで気象通報があるごとに、潮岬ということばが出てきている。そのくらい歴史的になじまれているところであるのに、これも十ぱ一からげに今度の定員削減、しかも、地方気象台に持っていって、そこからもう一ぺんやって、要するにそれを取り次ぎ所にしようというわけでしょう、簡単にいうと。そういうことで、私はほんとうにこの測候業務というのはやれるんかどうか、大いに疑問がある。私の疑問が、同時にこれはその地方の住民にとってみてもたいへんなことだ。漁業もそうでしょう。あの辺はたいへんな漁業基地なんです。観光だってそうでしょう。たくさんお客が来る。その地域の天気予報が明確でないと、これもたいへんな支障がある。農業だってそうでしょう。また、台風常襲地帯なんです。そういうところの測候業務をはずして、いや、コンピューターが発達いたしましたから、人を減らしてもだいじょうぶです、こういうことの認識は私は受け取れない。  そこで、突っ込んで伺いますけれども、何か聞くところによると、今度は定員を減して取り次ぎ所にする。やがては測候所というのは無人化する。まあ、機械が発達すればどのぐらいのことができるのかわかりませんけれども、しかし私は、人がいなくてそういうことがやれるとは思わない。だんだんだんだんそういうことの存在価値が薄れてくると、結局しまいには廃止をする、こういうことにつながっているのだったら、私は、いまの定員削減なんというのは断じて認められない。その辺の見通しとあなたのお考えを、この際きちんとお聞かせいただきたいと思います。
  105. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点につきましては、たとえば予報をやります場合に、その一カ所だけの観測でやるわけでございませんで、方々のデータを集めまして、それに基づいて予報を出すわけでございます。特に、レーダーなどもできてまいりましたので、そういうものを利用してやるわけでございますので、たとえば、極端に申しますならば、東京におりましてもそっちの方面のデータがあれば予報ができるわけでございます。何と申しましても、やはり現地におりますと、こまかいことがございますので、そういった意味で、基本的な予報は東京でできますけれども、住民に関するサービスにつきましては、やはりそういったようなこまかい、解説と申しましょうか、単なる予報の取り次ぎだけではなくて、解説や何かが必要であろうかと思うわけでございます。これはまあことばは適当ではございませんけれども、天気相談的な仕事がそれに当たるのではないかと思うわけでございます。  それから機械化の問題で、しまいには測候所は要らなくなるのではないかという点でございますけれども、私はそういうことは考えておりません。と申しますのは、もちろんデータを集めるために、特に人員がきびしくなっている点から申しまして、機械化は必要でございまして、それによって人を浮かせまして、その人をいろいろほかに、必要な方面に回す必要がある、こう思っております。  また、現在機械化いたしましても、天気の変化を見ていく場合に、かなりのものは機械でできますけれども、全部が機械でできるわけでございません。そういう意味で、そういう測候所を全部なくすという考え方はございません。
  106. 辻原弘市

    辻原分科員 とにもかくにも、いま長官がるるお述べになりましたようなことは、全然地域の住民には理解をせられません。これはもうすでにそれぞれ地方の町村長でありますとか、あるいは漁業関係組合の責任者でありますとかに了解を求めて回られたようであるけれども、私の聞く範囲においてはいずれも納得いきがたいということであります。そうなりますと、地域住民のことごとくに反対をされ、しかも理解をされないままに測候所の業務というものが成り立つのか。これは測候所に限らず、いかなる行政といえども、私は地域住民との一体化ということが前提だと思うのです。そういう意味で、今日承ると何か強行されようとしているようであるけれども、私はそれは行政上とらざるところだと思うので、大臣、そういう事態の中で、何かあなたは善処をお約束になりますか。
  107. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろな点におきまして、何と申しましてもそういったような現場の機関は、しょっちゅう地域住民の御協力をいただきまして、一体となってやることが一番効果的だと思っている次第でございます。何よりもやはり御了解を求めることが第一だと思っている次第でございます。個々の問題につきましていろいろくふうもあろうかと思う次第でございますので、今後その点につきましてはまたお知恵も拝借いたしまして善処をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  108. 辻原弘市

    辻原分科員 そこで大臣、了解をできるだけ求めるということなんですが、少なくともものごとには程度があります。現状においてはまず了解をしているところというのは私はないと思う。そういう状態でこれをやられるということには問題があるので、だから少なくともある程度の了解が得られるまではやらないというくらいのことはお考えになってもあたりまえじゃないかと私は思うのでありますが、いま一度最後に、この問題の最後にそれだけをひとつ大胆から御所見を承っておきたいと思います。
  109. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは大体におきまして四月から、実施するという計画であるそうでございますので、具体的な問題としましてはさらに早急に検討さしてまいりたいと思っている次第でございます。しかし、まあある程度の減員ということはいま決定している次第でございますので、これをどっちのほうに持っていくかということも含めて検討させるつもりでございます。
  110. 辻原弘市

    辻原分科員 現状に立って検討されるということでありますから、私は一応そういうことのおことばを了として、十分地域住民の意向をくんでそういう検討をおやり願いたいということをお願い申し上げて、この問題は時間がありませんから終わります。  次に、内航の問題について承りたいと思いますが、はしょって聞いていきましょう。私が指摘する問題は三つあります。  一つは、昭和二十七年に内航業法をつくり、三十二年に組合法をつくって、いわゆる内航二法という中でこの内航問題の対策を運輸省はやってきた。昭和四十二年の不況に、ともかく内航関係の問題というのが大きく取り上げられた。そうして運輸省はその対策を二つの観点から進められた。これも私のほうから申し上げましょう。いわゆる第一次共同係船というもの、それからそれぞれの船に対する解撤の行為、これをやった。この認識であります。結果的に見ると、私はそれが不成功に終わっている。第一次の内航対策というものは不成功に終わっている。その証拠に船腹がほとんど減っておらない。その大きな原因の一つに何があったかというと、当時内航対策をやったそのトン数のはかり方にも問題があった。総トンで計算をしてやっている。実際に船というものは総トンでは走っておらぬ。積みトンでやっている。その差額がいまなお顕在化している。こういう実情にある。そういう経過から今日の不況を迎え、まさしく陸上で中小零細企業が不況の中で倒産が相次いでいるように、海では私の推定では五十万トンに及ぶであろうと思われる過剰船舶をかかえて、中小零細海運というものがいまや危殆に瀕していると申しても決して誇張ではないのであります。そういう中で昨年十月、第二次の対策を進められようとしておるが、その進め方にも問題がある。というのは、私の聞くところによると、第二次係船十五万トン、解撤五万トン、合計二十万トンというのは、まず第一次係船において現在、四月までだそうでありますが、十万トン程度しか希望がないであろう。そうすると余剰船舶というものはそれをはるかに上回っておるにもかかわらず、計画として進められておる十万トン、五万トンにおいてすらその目標に達しがたいのではないか。これではただやったということで、第一次の失敗を繰り返すのみ。そういう反省をもって今回のこの第二次計画に対処しておるかどうか、そのことをまず承りましょう。
  111. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の点でございますが、前回御指摘のときに、成績が芳しくないということでございましたが、その点につきましては、当時は景気がわりに早く浮上したということもございまして、これの見通しが甘かったといえば、そうかもしれません。したがいまして、今回はそういう前車の轍を踏まないように、十分対象もしぼりまして、さらに見通しにつきましても、今回は相当長期にこの不況が続くのではないかという見通しを十分見きわめまして、さらに最後には、係船いたしまする業界自身も十分腹に入って、みずからやっていくんだという覚悟を十分見きわめた上でもって、実は大臣の断を下していただきまして、予算案に計上したという次第でございます。したがいまして、前回での反省をしながら、今回は問題を詰めて、ぜひ実効ある政策としてこれを遂行したいという決意でございます。
  112. 辻原弘市

    辻原分科員 その問題の中身もいろいろ議論をしたいのでありますが、まずそれを徹底して、既定の方針どおりやる。ところがそれだけではきわめて不十分。その理由は、その共同係船及び解撤の対象外のもの、要するに鋼船であっても百トン以下のものは除いておる。それから、これは歴史的に日本の零細海運の中で最も大きなウエートを占めておる木造船の処置が、これは全然この対象の中に入っていない。それで第一次の昭和四十二年のときには、異常な権利高といいますか、これがあったものだから、いろいろ問題をかもしました。ところが、結局第一次のときに始末ができたのは、これもきわめて小部分であって、依然として木造船の部分というものは非常に残っている。局長、いまどの程度木造船の船腹過剰があるか、それを簡単に答えてもらいたい。
  113. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 木造船は、実は近代化という角度から、船主さん御自身が鋼船のほうに切りかえつつあるということでございまして、実は現在過剰というふうには私ども受け取っておりませんので、むしろ木造船自身が毎年年を追って減っているというのが実情でございます。十年前に比べまして、約三分の一に減っている。そのかわり鋼船のほうがふえている。むしろ鋼船のほうが船腹過剰であるというふうに認識をしている次第でございます。
  114. 辻原弘市

    辻原分科員 ちょっと私のことばが足りなかった。私の意味は、総体量としては、木船は確かに減っている。しかし、あなた方の認識としては、木船はすでにもっと減らなければならぬ、減っていなければならぬという認識がなければ、いま言ったような計画が出ないわけだから、木船を除外をする。そういう意味で、私は依然として木船というものが全体の船腹の中で余った存在として残ってきているという意味で申し上げたのです。したがって、海運を近代化しようと思えば木船では不十分であることは、これはもう通念だ。ところがこの木船をどう近代化していくかということについては、現在道をふさいでいる。耐用年数の過ぎたものをやっております。しかし、耐用年数が過ぎない、まだいわゆる新造船に近いものも依然としてあるわけです。そういうものをあなたがいま言われたように鋼船化していくといったって、それでは自力で零細な船主に、おやりなさいというわけか。何か方法を考えないと、鋼船の場合にはある程度それは優遇しているけれども、木船それ自体を鋼船化するということについては今日考えられておらぬでしょう。これはもちろん国として、運輸省として、あるいは海運局としての行政指導もさることながら、具体的には総連合の問題でありましょうけれども、しかし、国としてその道をふさいではいかぬ。将来、私は比率は別だと思う。比率は別だと思うけれども、このままではいかぬです。大ざっぱにいって、いかぬです。要するに近代化を促進しなくちゃならぬ。そのためには木船の近代化を阻害するような政策をとってはいかぬということなんです。私の申し上げたことはおわかりだと思うが、将来これからどうなさるか、その問題についてひとつ承りたいと思います。
  115. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 御指摘のとおりでございまして、近代化を進めながら鋼船のほうへの切りかえを進めざるを得ないのではないか。現在四十八万トンぐらいございまして、その大部分が大体平水区域を走っております。したがいまして、今回の係船等の措置の対象に入らないのはちょっと積む荷物が種類が違いますので、(辻原分科員「こまかいことはけっこう、わかっている。」と呼ぶ)ということでございますから、係船の対象には入っていない。したがいまして、今後の道は、やはりいままでやりましたように鋼船へのスクラップを優先条件の一つとして取り上げる、あるいは集約化していく、鋼船を割り当てるというようなことで推し進めるということしかないというふうに存ずる次第でございます。
  116. 辻原弘市

    辻原分科員 全体としては買い上げという問題も提起されておりますから、そういうこともあわせてこの木造船については御検討願いたい。  時間が過ぎて恐縮でございますが、最後に一問だけ私は指摘をして、これはきびしくやってもらいたいと思うのでありますが、これらの内航海運関係業法をある意味において踏みにじっておるとでもいいますか、大きく混乱さしておる一つの大きな問題は、これは俗にいう専用船、自家用船、いろいろ種類があります。ある場合には港湾運送事業法に基づく海湾はしけ、独航はしけ、こういう問題もからんで、いわゆる内航業法でさだめられているその業を、専用船、自家用船などあるいは港湾関係の独航はしけ、こういうのが同じ業を営んでおるという具体的事例をしばしば訴えられておるし、われわれもその事実をつかんでおる。ところがそれに対してはいままで何らその取り締まりの実績をあげておらない。時間がないから私のほうから言いましょう。いまだかつて内航業法違反として摘発をされて処罰を受けた船はないでしょう。陸上のトラック運送業に基づく例の白ナンバーというのと、これは海では同じケースなんです。私の手元にも具体的に提起されている。時間が相当過ぎちゃったもんだから、その詳細は資料としてあとでお渡ししておきます。これは東京湾内における写真です。東京湾だけで二百隻いる。これが、海運界が非常に不況になる、業態が悪くなってくればくるほどこの種の問題が大幅に起きてくるわけです。だからいまちょうどその時点にある。法律をつくっている以上、その法律によってきちっとしなければこれは意味をなしません。きょうの新聞にでしたか、海の交通安全法をつくられるという運輸省のお考えを述べておられるが、これとても同じだと思うのです。こういうことを野放しにしておるなら海の安全法をつくっても同じ結果になる、そのことをおそれる、こういう問題が提起されているのですから。きょう海上保安庁もお見えになっていると思うけれども、いままでそういうことについてどう処置をされたか、保安庁の考え方を承っておきましょう。
  117. 人見敏正

    ○人見説明員 私のほうからただいまの内航海巡業法関係違反の取り締まりについての御説明をいたします。
  118. 辻原弘市

    辻原分科員 時間がないから簡単にやってください。
  119. 人見敏正

    ○人見説明員 最も簡潔に申し上げますと、昭和四十五甲におきましては、いわゆる許可を受けないで内航海運業法を行なっていた、これを六十一件検挙しております。昨年四十六件でございますが、四十六年につきましては六十七件でありまして、これらは要するに、すべて運輸大臣の許可を受けないで内航海運業務を行なっていたというケースでございます。
  120. 辻原弘市

    辻原分科員 そんな数字では実際はありません。これはばく大なものです。あなた方が取り締まっても取り締まってもだめだから、ちょうど陸上の白ナンバーを取り締まるのと同じように、半ばあきらめぎみでしょう。そんな数字じゃない、私はかなり厳密に調べた数字も持っているが。しかし要は、いま申し上げたように内航海運業法あるいは港湾運送事業法等に照らしてその交通整理を厳密にしなければ、これは海運対策にもならぬし同時に海上交通の安全確保、こういうことにも絶対なりません、こういう問題を見過ごしておいたならば。今後厳重にひとつこれに照らして、しかもそれらの原因が那辺にあるかということを一歩突っ込んで考えなくちゃならぬ。法は法として取り締まる。しかしなぜその法を乗り越えてでもそういう違法な行為をやってかぜがなければならぬかというその根本原因にも、大臣、触れなければならぬと思うのです。そういうことをあわせひとつ御検討いただきたいと思いますが、いかがでありますか。
  121. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 重要な御提案でございまして、やはりそういったような法に適合しない船舶が非常に横行するということは輸送秩序を乱す一番のもとでございますから、早急に対策を立てさして検討してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  122. 辻原弘市

    辻原分科員 舌足らずでございましたが、以上で終わります。
  123. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて辻原弘市君の質疑は終わりました。  次は、楢崎弥之助君。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 時間が少ないようですから答弁は簡明率直にひとつお願いします。  まず私は、中村運輸大臣それから橋本運輸大臣、相ともに、空の事故が続発して、航空交通管制業務が非常に重要である、少なくともこの定員については確保しなくちゃいけない、そのとき、削減はいたしませんということをお二人から聞いている。ところが今度の四十七年度予算を見てみますと、大蔵省関係からの予算上の削減は六十一名、それから今度は行管のほうからの第二次定員削減計画実施案では別個に九十六名が来ておるし、四十七年度は三十二名来ておりますね。そうすると、合計してみると九十三名の減ということになる。これは一体どういうことなんでしょう。どうしてこんなふうに公約が軽々しく御破算になるのですか。
  125. 内村信行

    内村(信)政府委員 第二次定員削減の問題でございますが、これは私どもといたしましては、現場の保安要員、特に骨制官につきましては、ぜひ定員を削減しないでほしいということをたびたび申し上げてまいったわけでございます。ただ結果といたしましては、結局三年間に百十三名というふうな削減というものが――これは全部ひっくるめてありますが、いたしてまいっております。その中で、先生御指摘のように、四十七年度におきましては三十二名というのが削減の人員になっております。ただこの場合に、私どもといたしましては極力こういった削減が航空保安要員にはわたらないようにということで、現実問題として管制官も定員削減をいたしません。それからその他の保安要員においても大部分定員削減いたしません。ただ無線標識用の保守要員等につきましては三十二名の中に若干入るということでございますが、私どもといたしましては極力、現実問題として削減しないでいきたいと考えております。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのうち特に問題なのは、業務委託による減が四十名ですね。これの内訳は、坂戸、友部三十人、それから警務関係が十名、計四十名、これは私非常に問題があると思うのです。この業務委託というのは、一体どこに委託させるのですか。
  127. 内村信行

    内村(信)政府委員 その問題は、おそらく業務委託、業務と申しますか、振りかえで合計六十一名、それの問題だと思います。それにつきましては、たとえばNDB、集約管理いたしますとか、あるいは……
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 業務委託は四十名でしょうが。
  129. 内村信行

    内村(信)政府委員 坂戸、友部の問題と、それから東京国際空港の警備業務、これでございますが、坂戸、友部の問題につきましては、私どもはこう考えております。  御存じのように、航空局といたしましては、非常に人が足りないということで、定員をまず第一にやる。ただ、現実の実員というものがなかなか補充できないということが、もう一つの大きな問題でございます。したがいまして、これをまかなってまいりますためには、やはりなるべく民間に委託できるものについては民間に委託して、あいた実員でむしろもう少しむずかしい方面に向けてまいりたい。たとえばレーダーとかILSの問題とか、そういう方面に向けてまいりたい、実員を浮かすというのが私どもの考えであります。  委託する場所につきましては、まだはっきりはきまっておりません。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どこに委託するかきまってないですか。
  131. 内村信行

    内村(信)政府委員 はい。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 うわさもないですか。ここの中にないのですか。
  133. 内村信行

    内村(信)政府委員 それは、航空保安協会というような外郭団体がございまして、そういうところにやらしたらどうかという考え方はございます。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 航空保安協会が出ましたですね。これのキャップはだれですか。
  135. 内村信行

    内村(信)政府委員 会長は笹川良一さんです。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この航空保安協会に、それほどのベテランがそろえられておりますか。
  137. 内村信行

    内村(信)政府委員 現在は必ずしもまだ充実しておりませんけれども、まだ発足間もない協会でございまして、これから充実さしていきたい、こう考えます。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この航空保安協会の内容について、運輸省は詳しく把握されておりますか。
  139. 内村信行

    内村(信)政府委員 いまデータを持っておりませんけれども、大体は把握しておると思います。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 政府からの補助金はどのくらいで、そのほか、どういうところからその出資を仰いで運営されておるか御存じですか。
  141. 内村信行

    内村(信)政府委員 いま手元に詳しい資料を持っておりません。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはお調べになれば、すぐわかりますか。
  143. 内村信行

    内村(信)政府委員 わかります。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それではちょっとすぐ調べさせてください。  この坂戸、友部は非常に重要な送受信所ですね。この友部のほうは米軍と自衛隊の回線を預かっておる。それからもう一つ、友部は国際線、二つ預かっていますね、送信関係として。国際線は、対象はどことどこですか。
  145. 内村信行

    内村(信)政府委員 熱線課長から答弁させます。
  146. 吉田泰二郎

    ○吉田説明員 答弁させていただきます。  友部送信回線はモスクワの電信回線、ハバロフスクの電信回線、ホノルルの電信回線、ソウルの電信回線、それからNPの対空電話回線、CWPの対空電話回線、管制区間の非常予備回線に使います連絡電話回線、同じく国内空港の非常予備回線に使います短波連絡回線。以上でございます。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いま報告のとおり、これは非常に重要な回線ですね。いま一つ、米軍、自衛隊回線、これは東京管制部と自衛隊関係のあれがとぎれたときに、この友部がさっそく発動するわけですね、そうでしょう。
  148. 内村信行

    内村(信)政府委員 無線課長から答弁させます。
  149. 吉田泰二郎

    ○吉田説明員 御存じのとおり、回線としてはこういう回線が入っております。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これもまた重要な回線であります。自衛隊、米軍と結んでおる重要な回線。国際線のほうは、報告されたとおりこれはまた非常に重要な、国際的な問題点の回線。坂戸のほうは受信関係でありますが、こういう重要なところを、笹川良一氏をキャップとする航空保安協会に委託するということがもしあるとすれば、常識から考えても、あるいは防諜関係からしても、私はこれは重要な問題が起こると思いますよ。専門家は友部と坂戸でいま三十六名でしょう。そのうち三十名削減する。友部と坂戸に三名ずつしか残らない。あとは航空保安協会にまかせる。  それからいま一つ、羽田なら羽田の警務のほう、これもまた笹川良一氏をキャップとする保安協会にガードとしてあれするのですか。私は、これはどういうところからお金をもらっているかの報告があってから問題にしますけれども、非常に問題だと思いますよ。大臣はその辺のところをお聞きになっておりますか。
  151. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私、申しわけない次第ですが、そういう協会のあること、またそれに委託をしようということも、ただいままで全然聞いておりません。十分調べさせてみます。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは大臣、残念ながら四十七年度の予算でこういうふうになっておるのですよ。これは予算の分科会でございまして、私は差しかえではない、本務員ですからね。これはまだ、削減する内容――しかもここに、業務委託による減四十名と、ちゃんと載っている。当然、具体的な措置に踏み切らざるを得ないでしょう。だから、これは航空保安協会の内容について御報告があったときにまたこの問題をやることにして、その間、次の問題に移ります。
  153. 内村信行

    内村(信)政府委員 いま御指摘になりました点、二つの問題があると思います。  一つは、坂戸、友部、この通信所について、外部に委託するのはどうであろうか、特にその委託先はどこであるか、こういう問題でございます。これにつきましては、私どもの考え方は、この通信所というものは、委託するのは機械のメインテナンス、保守業務でございます。したがいまして、運用はこちらがやるわけでございまして、その意味におきましては、保守業務について委託しても、防諜関係その他の問題はないと思っております。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それをいまここで論争しますか。時間をいただければやりますよ。そういう感覚ではだめですよ。私は別の機会にもっと具体的な事実をあげますからね。だから、そういう安易な考えでは困りますよ。
  155. 内村信行

    内村(信)政府委員 それからもう一つ、警備の問題でございますけれども、私考えますのに、警備職員というものも、実際定員増というのは非常にむずかしゅうございます。と同時に、警備業務はますますふえてまいります。したがいまして、先生の御指摘はおそらく、そういうふうにふえるのに削減はおかしいじゃないかということだろうと思います。ただ、私の考えでまいりますと、やはりどこかに委託してまいりまして、むしろ行政官庁がやるのは直接の現場業務じゃなく、監督業務をやってまいりまして、それによって手足にして使っていくということを考えてまいりませんと、実際問題としてなかなか人がふえてまいりません。そういうふうなことからこういう考え方を出したわけでございまして、その委託先がどこかということはまだきまっておりません。そうすると十名減が出てくる、それはどうするのかということでございますが、そういう点につきましては本人の意向等も十分打ち合わせをしまして、納得が得られた場合にやるというような方向で考えてまいりたいと思います。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 きまったあとではおそいのです。きまる前だから私はその危惧の点をいま言っておるわけです。これはちょっと保留して、エアバスの問題に入りたいと思います。  日航はジャンボを入れている。全日空のエアバスの問題はどのようになっておりますか。
  157. 内村信行

    内村(信)政府委員 エアバスの問題につきましては、私ども日航、全日空がよく話し合いをして、そうしてできれば統一の機材を使う、あるいは統一にならないまでも、十分に双方協力して、いろんな分析をしていい機種を選定しなさいというふうに言っております。  そこで、実際にそういうふうな考え方で両社が進んでいるわけでございますが、全日空は、いま考え方としては、昭和四十九年度ごろから入れていきたいという考えを持っておるようでございます。機種についてはまだきまっておりません。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 三井物産が先取り契約をやっておる、マクダネル・ダグラスのDC10、それは事実ですか。
  159. 内村信行

    内村(信)政府委員 私、その点は存じません。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 全然御存じないですか。
  161. 内村信行

    内村(信)政府委員 私、この機材の購入の点につきましては、先ほど申し上げましたように、日航と全日空とがよく相談をし合って、客観的な見地からいいものを買いなさいということを言っておりまして、両社ともそのつもりでおります。したがいまして、業界のほうでいろいろ動いておるという話は知っておりますが、それにきまったとか、先取りしたとかいうことは聞いておりません。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こういう購入の場合に、運輸大臣はどういうかかわり合いが出てくるのでしょうか。――御本人に聞かなくては……。
  163. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまのジャンボの問題でございますが、ジャンボを国内で使わせるかどうかということは、これはまだいつの時期に使わせるかということは、私は相当検討を要するときではないかと思っております。それで、その点につきましては、ただいまそういう意味で国内の飛行場の整備その他いろいろの輸送状況等も勘案させまして検討さしておるところでございます。私のほうからは、ジャンボを購入したらいいというようなことは、まだ運輸省としてはジャンボを指示したことは一ぺんもございません。そしてまた、ただいままでのところでは、飛行機を購入をするということにつきましては大体航空会社にまかしておりまして、運輸省関係をしていないというような実情になっておるわけでございます。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 日航は半官半民、五〇%の政府出資ですから、十分その監督をする関係にあるのじゃないでしょうか。それで、航空機購入などの場合に、やはり国内の条件とあわしてそれが適当かどうか、いろんな問題がありましょう。騒音の問題等もあろうし、あるいは飛行場等の関係もあろうし、そういう観点から運輸省としてタッチをされると思うのですが、それは大臣としてどの程度のタッチのしかたがあるのでしょうかということを聞いておるわけです。
  165. 内村信行

    内村(信)政府委員 おそらく先生の御質問は、法律的にどうかという問題があると思います。そこで、法律的にいいますと、両会社とも事業計画を持っております。事業計画を変更するような場合、つまり新しい機材を入れるような場合には事業計画の変更に該当いたしますので、そのときには、事業計画の変更は運輸大臣の認可を受けることになっております。そこで押えるということであります。ただ、その場合にも、事業計画の変更を認めるか認めないかという基準でございますけれども、これにつきましては旅客需要の関係、あるいは機体自体が安全であるかどうか、あるいは騒音はどうであるかというような、技術的な見地からこれを認めるかどうかということになるわけでございます。こういうことが現実でございます。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が調査した事実関係だけ、間違っておれば御訂正をいただきたい。運輸大臣としましても、そういう意味では新機種の購入について非常なかかわり合いがあるわけですね。現在の動きについては私は若干疑問の点があるので、御調査をいただきたいわけであります。私もしろうとでありますから、私の認識に間違いがあるかもしれません。  三井物産が全日空に売る目的で、すでにエアバスとして、次期の新エアバス、DC10を六機注文している。マクダネル・ダグラスであります。そしてさらに四機を追加して買うというオプションつきの契約と申しますか、を結んでおるはずであります。しかし、現在全日空は拒否をしておる。そこで三井物産としてはかかえておる。別に全日空と正式の契約を結んで買ったわけじゃないから、先買いですね、自分の会社の自己負担で発注をしておる。しかし、これをさばかなくてはいけないという問題がいまあるはずであります。全日空は今月末に何とかきめてくれ、買うのかあるいはリースするのかということを、三井物産から相当強く迫られておるはずである。それで最近の情報によりますと、マクダネル・ダグラス社の工場には、エアプレーンズ・リザーブド・フォア・ANAですね、つまり全日空用にリザーブされた飛行機ということで、略してARAというマークがついたDC10が五機おるそうです。それで、この一二井物産が注文したこれらの飛行機の一連番号は、二十九番、三十三番、四十七番、五十番、七十八番、この五機、二十九番と三十二番はいつでも飛び立てる状態にあるそうであります。それで、これはエービエーションウイーク誌の二月二十八日号二十六ページですか、これで見てみますと、ことしの六月と九月にイギリスのチャーター航空会社であるレーカー・エアウエーズという会社が、この四十七番と五十番を引き取ることになった、と書いてあります。雑誌ですから正確かどうかわかりません。一番最後に申し上げた七十八番は来年春完成する予定と、こうなっておる。いずれにしても三井物産とダグラスとしてはどこかにとにかく売らなくちゃいけない。で、全日空がいまねらわれている。ここで全日空がなぜそんなに三井物産からねらわれておるか、これは私もおかしいと思ってずいぶん調査してみました。そうしたら、どうも丹羽大臣の前の大臣が全日空に話したとか話さぬとかいう話がございます。それで三井物産は非常に自信を持っておる。  そこで私は、こういうことはどうでもいいですよ、どうでもいいが、このDC10というものは、大臣、十分検討して、今日の日本の条件に合うのかどうか、あらゆる点から考えて、そうした上で選定なさるんだったら私はいいと思う。美濃部さんは、こういう狭い国土にそんな大型の飛行機が飛ぶ必要はないんだという御意見も吐かれておりますが、そういう意見もあります。しかし、いずれにしても十分検討された後のあれならいいですけれども、そういう思惑買い、しかも思惑買いにある程度根拠を、政治との関係で与えておる可能性がある。だからそういう自己の危険負担で先取り契約をして、そしてこれが押しつけられる可能性がある。私の想像では、日航は政府出資があるのでわれわれの目の監視も光っておるから、まず全日空に買わせて、そしてさっきおっしゃった機種統一という名目で、今度は日航のほうも入れるというような計画があったんではなかろうか。これは私の推測です。というのは、そのマクダネル・ダグラスというのは、御案内のとおり、あのファントムの会社でしょう。大体これに統一する、集中するというような傾向なきにしもあらずです。何かここにある。私はここで披露しませんけれども、若干の資料が私の手元にあります。だから、いま持っておる飛行機でいいじゃないか、これは私の現在の時点における考え方です。そんな大型のあれを何でこんな狭いところに入れるのか。そしてまたきたない、いわゆる黒い霧の問題が必ず起こる。これについては伊丹市の外郭団体が、海外へ行って騒音の関係を調べてきております。それによると、ほかの飛行機でずっと騒音の少ない飛行機がありますよ。私はセールスマンじゃないからそれを言う必要はない。だから、DC10でなければならないという、先ほど申し上げたとおり、その論議が行なわれたかどうかということが問題であって、そういうものが行なわれずに、そういった第三の理由でこれが押しつけられてくる、しかもそれに政治がからむということになるとたいへんであると思います。  それで、それと関連して、コンベア880はいまどうなっておりますか。
  167. 内村信行

    内村(信)政府委員 技術部長から御答弁申し上げます。
  168. 金井洋

    ○金井政府委員 コンベア880は退役いたしました。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはあなた方が見て、いい飛行機でございましたか。
  170. 金井洋

    ○金井政府委員 コンベア880は、性能はあの当時の同型のジェット機に比べて非常によろしゅうございます。ただし横の安定性というか、他機よりは操縦上むずかしい点がございました。それからもう一つ、当初のゼネラル・エレクトリックのCJ805-23というエンジンは、付属品あるいは部品その他、当時まだ世界じゅうでの使用実績が少なかったためこまかい故障が出ましたけれども、世界じゅうで実績が積まれるに従って、エンジンのほうのトラブルは解消いたしました。ただし、最初申し上げました横の安定性という点については、DC8や707に比べて若干むずかしい点があった、これは最後まで残っております。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 日航は何機それを買いましたか。
  172. 金井洋

    ○金井政府委員 私の記憶では八機だったと思います。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 九機のはずですが、それはよろしゅうございます。  このときにこのコンベア880を日航に売ったわけです。これの販売の代理会社はどういう会社でしたか。
  174. 金井洋

    ○金井政府委員 代理店はちょっと忘れましたけれども、あとで調べて……。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、よろしゅうございます。これはエア・キャリア・サービス。そしてこういった代理店と申しますか、代理店というとちょっと語弊がありますが、販売の担当、中に入った会社のマージンというものはすごいのであります。どのくらい取ると思われますか。大体一機について何割くらい……。
  176. 金井洋

    ○金井政府委員 一機について五%程度かと思います。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、ほんとうはそういうことじゃないんですね。このときにもいわゆる政治がからんでおるんです。今度のDC10でも一機六十億くらいじゃないですか。どれを買うかによって激しいんです。だから戦闘機のロッキード、グラマンと同じように非常に醜い争いがあった。それでばく大なマージンの中から金が動いておる。コンベア880は過去の問題ですからある程度言ってもよろしゅうございますけれども、しかし今度またそういうことが行なわれたら、これはたいへんなんですよ。これは国民のための運輸行政でございますからね。必ず政治がからんでいる。十分御注意していただいて、いまの三井物産の私が申し上げた点が事実かどうか、ひとつ調査をしてください。  先ほどの航空保安協会、わかりましたか。
  178. 内村信行

    内村(信)政府委員 いまの問題、答弁はよろしゅうございますか。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 調査して報告してください。また適当な機会に私やりますから。
  180. 内村信行

    内村(信)政府委員 航空保安協会でございますが、基金が四十六年度一千万円、これは船舶振興会から出ております。それから四十七年度の予定といたしましては、一億程度の基金を振興会のほうから出すという予定になっております。それから四十七年度の事業計画におきまして、一億九千九百万円、これも船舶振興会から補助金を出すということになっております。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 政府の補助金、関係ありませんか。
  182. 内村信行

    内村(信)政府委員 補助金はございません。政府の受託費と申しますか、そういうものが出ております。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どのくらいですか。
  184. 内村信行

    内村(信)政府委員 大体二億でございます。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体じゃ困りますがね、この予算審議のときに。数字というものは明確にしてください。予算審議ですからね。
  186. 内村信行

    内村(信)政府委員 二億四百万でございます。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはいつ、どういう形で出るのですか。
  188. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほどの無線の受託費、これが出ます。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もうその予定でしょう。さっきの答弁と違うじゃないですか。
  190. 内村信行

    内村(信)政府委員 失礼いたしました。先ほど私、手元に資料がございませんで申し上げませんでしたけれども、いま資料を見ますと、一億二千四百万、これが無線関係の受託費、それから八千万、これが警務関係として計上されております。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それが航空保安協会にいくわけでしょう。
  192. 内村信行

    内村(信)政府委員 さようでございます。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いま主査もお聞きのとおり、最初はきまってないといっている。問題のあるところですから、そう安易に答弁してもらっちゃ困りますよ。
  194. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほど私、手元に資料がございませんで不確実な御答弁をいたしまして申しわけございませんでしたが、いま手元の資料を見ますと、確実なところは、以上申し上げたのが正確なところでございます。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この船舶振興会はどこですか。どういうことをしていますか。――あなた、この程度のことを、聞かぬとわからぬのですか。
  196. 内村信行

    内村(信)政府委員 船舶振興会というのは、モーターボート競走、それの益金が大部分の原資になっておりまして、そこでいろいろな公益事業その他に出しているというふうな団体でございます。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もう時間がありませんから最後の結論に入りますが、問題を残しますよ。いいですか。この船舶振興会、競艇ですね、実際問題として。どういう人たちがこれをやっておるか、これは時間がありませんから、お調べになっておってください。  それから、どういう理由か知りませんが、海が今度は空に出資するのですね。航空保安協会ですか、どういうことでしょうかね、これは。そして、この航空保安協会の関係は、さっき申し上げたとおり笹川良一氏が主宰する。私はこれは非常に問題があると思います、大臣。それで、これは問題を残しておきます。予算のスケジュールによると二十八日までですから、さっき残された分は二十八日までにひとつ御報告できるようにしておってください。  以上で、問題を残してこれで終わります。
  198. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて楢崎君の質疑は終わりました。  午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時三十分開議
  199. 細田吉藏

    ○細田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  松浦主査は都合により少々おくれますので、その指名により、暫時私が主査の職務を行ないます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。斎藤実君。
  200. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は、地方閑散線、国鉄の問題について、若干最初に基本的な問題をお伺いしたいと思います。  政府は地方閑散線の整理要綱というものを作成をしておりますし、その地方ローカル線の廃止を打ち出しているわけですね。それに伴って所要の予算の措置も考えているようです。私は、国鉄は、その本来の性格からいって、営利企業である私鉄とは違うと思うのですね。また現に鉄道敷設法が存在して、AB線の建設等も、予算を今年度は二百億ですか、それで進めている。こういうことから考えまして、国家的見地から地域開発を促進する使命を持っていると私は思うわけです。これは、特に北海道のように後進性の強い地域においてはこういう色彩が非常に強いし、採算性を度外視をして今日まで建設を進めてきているわけです。しかるに、現時点において独立採算制というものを強調するあまり、単に経営上の赤字解消ということだけで、地域の実情を無視していわゆる地方閑散線をにわかに廃止するということは、これは私はとても納得できませんので、この点、ひとつ基本的なお考え大臣から承っておきたいと思います。
  201. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまお話がございましたとおり、国鉄としては国民の国内の輸送の大動脈としての大使命を持っている次第でございまして、ただの一般の営利企業とは異なっていることはもう御指摘のとおりでございます。それに地方ローカル線におきましても、これを直ちに廃止するというわけではございませんで、閑散線と申しますのは、すでに御承知でございましょうが、もうその地方の人口が過疎化現象で非常に減少してまいりまして、そして将来においても増加する見込みはない、また代替輸送ができまして、そしてバスによったほうが経費も安くて、それで、国民経済からいいましてもそのほうが国家的に見て合理的じゃないかというふうに認められるものを閑散線。よく話に出る次第でございますが、汽車が走っているけれども、三両編成の汽車に十人か二十人しか乗ってない。ところがそれに並行しているバスには四十人も五十人も乗っている。これでもっていいのかというような話がよく出る次第でございます。そういうようなところはやはりこの際は思い切って、いろいろやはり国鉄に対する郷愁もございましょうけれども、この際は、これはひとつ地元の御了解を得て、そうしてこれはまあ閑散線とする。しかしこれも地方の実情によりまして、それでもこの次はもう少しよくなる見込みがあるんだ……。そうでなくても、いますぐじゃないのです。これは急激では落胆しちゃうから、しばらくやらしてくれというようなところにつきましては、閑散線といたしましても、五年間はその赤字については地方が三分の一、それから国がその一・五倍というものを持って、それであと残りの赤字は国鉄が持ちまして五年間はあれしましょう、そのかわり、五年のうちに何か考えてもらいたい、こういう措置の予算でございまして、将来これは発展する見込みがあるんだ、それから、いま国土開発の点から、地方開発の点から、この点はこういうふうになってくるんだ、それからまた、あるいは新線によりまして短絡をしまして、線路と線路を結んで、これが縦貫道路になってくるとむしろよくなるぞというような点につきましては、たとえ現実におきまして赤字でございましても、またしばらくの間赤字は続きましても、そういったものは残していく、こういった趣旨でございます。
  202. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま大臣から、一方的に赤字だけで廃止をするというのではない、将来また発展するかもわからぬし、地方の要望というものもあるのでいろいろ相談をするというお話もございましたけれども、私は、国鉄の役割りがすでにもう薄れてしまったという線は廃止をするという基本方針は、大臣もおっしゃいましたけれども、それでは、これはもう廃止をするんだという認定は、これは国がするのか、それとも地方公共団体の知事ですとかあるいは市町村長にも、これはここで置いてもらいたいという判断を知事や市町村長にも与える余地があるのかどうか、この点をひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  203. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この閑散線の認定は運輸大臣がいたします。ただしこれが具体的に廃止になる、五年後になりますか、三年後になりますか、という場合には、十分地元の市町村長の意見を聞きましてそれからやるということになっておる次第でございます。
  204. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 地元知事あるいは市町村意見を聞くという御答弁ですけれども、これは何カ町村にもまたがる例が非常に多いわけですね。それでお尋ねをしたいんですけれども、何カ町村、あるいは市でもけっこうですけれども、やむを得ないだろう、しかしある一つの市や町村がこれは困るという場合はいかがになりますか。
  205. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 全体を見まして、そういったような廃止する路線、その沿線町村の全体の同意と申しますか、御了解が必要だ、こう思っている次第でございますが、まあ五つ町村があるといううち四つ同意して、一つだけどうしてもだめだというようなときは、なるべくそれに同調してもらうように御協力を願う、こういうことでございます。
  206. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は、これは国全体の交通体系といいますか、ただ単なる赤字だから閑散線は取りはずすというのでは困ると思うんですね。と申しますのは、最近、政府でも過密地帯の解消のためには工業の再配置あるいは過疎地帯の振興等、いろいろ格差是正のために施策を進めているわけですね。ですからこうした施策の基礎となるべき、やはり将来の総合交通体系というものが必要でもあるし、その中で国鉄の役割りをどう見通すかという論議もこれは十分やらなければだめだと思うんですよ。ですから、大臣はさっき三両の車の中に十数人しか乗ってないということをおっしゃいましたけれども、現状の赤字線を廃止するということは、こういった総合交通体系なりあるいは国の過疎対策なり工業の再配置ということから、やはり広く論議を尽くした上でこの問題を取り上げるということでないと、私はちょっと無計画だと思うのですが、どうでしょうか。
  207. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 お説のとおりと思っている次第でございます。ただ現在だけでなく将来の開発計画、将来の見通し、需給の見通しというものを十分に勘案をいたしまして、それから認定をいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  208. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私がなぜこのことを申し上げるかというと、将来の交通体系あるいは国鉄の役割りを見通すといっても、いま廃止して将来手違いがあったでは、これは許されないわけですね。半年やそこらで将来の交通体系を責任をもって見通すということは、私は不可能だと思うのです。ですから、この点について十分ひとつ慎重にやっていただきたいということを私は申し上げたい。  それから国鉄の本来の使命に照らして、基本的に、閑散線といえどもその廃止にはにわかに私は賛成はできません。そういう立場でかりに代替運送機関、この場合は道路を予定しているようでございますけれども、地方閑散線を廃止する場合、道路等の整備は国がやはり責任を持ってもらわなければならぬ。この問題は私は当然だと思う。なぜこういうことを申し上げますかというと、特に北海道のような積雪寒冷地帯の場合、冬季間交通を確保するための除雪については国がもう責任をもって負担すべきではないか。鉄道が通っているわきに道路がありますが、道道もある、あるいは市町村道もある、国道については国でやりますけれども、こういった問題が起きてくるわけです。この点についていかがですか。
  209. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま御質問のとおりでございまして、豪雪地帯については特に考慮するということをいたしてまいりたい。これはもう基本的にそういうふうに考えてございます。
  210. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、かりにそうなった場合でも、道道でも市町村道でも国が除雪をやるということでございますね。
  211. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 道路の除雪をやるということでございますか。
  212. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうでございます。
  213. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 その点は私のほうの所管じゃございません。いま私の申しましたのは、積雪のために道路輸送がなかなかむずかしい、そういったような豪雪地帯におきましては、赤字路線でも閑散線認定をしないで残すべきじゃないか、こういう意味でございます。
  214. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私の申し上げているのは、大臣、特殊な地帯なわけですね。ですから半年雪に埋もれているわけですね。除雪というのはこれはたいへんなことなんですね。国鉄でも道路でも、冬場除雪をするということは地方にとっても大きな負担なんです。ですからそういった意味で私は申し上げているわけです。ひとつこの点についても積極的に善処されるようにお願いしたいと思います。いかがですか。
  215. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 道路の除雪につきましては、先ほど申し上げましたとおり、これは閣僚として私からも建設大臣に申し上げますけれども、これはやはり建設省の所管でございますから、私がここでとやかく申し上げるのは差し控えたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  216. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 財政上のことでちょっとお尋ねをいたしますけれども、かりに地方閑散線を廃止する場合ですが、あくまでも国鉄の経営上の問題から廃止をするわけでして、地方にとっては何ら責任がないわけです。そこで、地方住民が存続を希望する場合、ぜひともこれを置いてもらいたいという場合、条件をつけて五十億の金を地方に負担をさせるということは、どうもこれは私は納得できないし、これはやはり国の責任において全額責任を持つべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  217. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私は、国の事業であるから地方は持っちゃいかぬという議論には直ちに賛成はできません。と申しますのは、道路につきましても、御承知のとおり、国道にいたしましても国が管理いたします場合におきましても、四分の一は地方負担が原則になっております。それらいろいろの国の事業につきまして地方負担が相当あるわけであります。そしてまた御承知のとおり、これは大体におきましては、そういったような公共事業の特殊のサービスにつきましては利用者負担ということが原則でございます。そうすると、全部料金によってしまうということになりますと、これはばく大な料金になってくるということでございますので、今回は相当思い切った政府出資、政府援助を出しましてやっている次第でございますが、実はそのうちにおきまして、地方開発に伴う開発利益の還元という問題がございます。この開発利益の還元をどういうふうな形態でやるかということが実はある次第でございます。これはまた論議を呼ぶから非常な問題でございますが、ただいま鉄道が納めております百数十億にのぼるところの地方納付金がございます。これはやはり一面において、地方線につきましては地方の開発利益にもつながっていくのではないかというような点になりますと、地方負担というものもやはり相当根拠があるのじゃないか、これは見方でございます。けれども、私はそういうふうに思っている次第でございます。  そういう点につきまして、ことに地方の特殊の事情によりまして、――全体として見ますればこれはやはり鉄道としての特殊性を失ってきている。国民経済からいっても、早期にほかの輸送に切りかえたほうがいい。しかし、先ほども申しました地方の特殊の事情によってやるものにつきましては、やはり地方も幾ぶんの開発利益といいますか、その地方のための利益ということもございます。そういう点で、地方もある程度の御負担を願う。しかし、それだけじゃございませんで、国がそれ以上の一倍半も負担をする。しかし、御承知のとおりそういった方面につきまして、ますます市町村は財源不足でございますから、そういう点につきましてやはり交付税の原則に従いまして、交付税というものは有力自治団体からこれを取りまして、それで財源の不足の市町村に再配分するというのが、地方税本来の趣旨でございますから、それらの趣旨から申しましても、交付税で補てんをしていくということが筋じゃないかということで、私は今回の制度を認めた次第でございます。御了解願います。
  218. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 地方負担については地方交付税その他の手当てで十分配慮するということですけれども、私ひっかかるのは、地方財政再建促進特別措置法では、地方公共団体は国鉄に補助できないというふうにこれは本文でなっておるわけですね。このただし書きにはそういうことは載っておりますけれども、責任はあくまでも国であるという原則論に立って、この本文のたてまえをはずした行き方というものは、正しい行政のあり方ではない。やはり筋は筋として、国と地方との財政秩序を守るということからいって、やはり原則論というものを通していくべきではないかというふうに、これは私の考えです。  それから、だいぶ時間もたちましたから、ひとつ最後に、大臣、御承知のように北海道の石勝線ルートでございます。これは現在紅葉山線と狩勝線がいま工事をやっております。それから追分線というのがありまして、これが昭和四十二年の十一月にほとんど完成をしておるわけです。路盤ができてしまって線路を走らせればいいということになっておるわけです。せっかく路盤もできて、あと線路を敷設をすれば十六・一キロ走れるわけですね。これは地方の住民にとっては非常に待望しておるわけですね。  それで運輸省当局としても、この紅葉山線、狩勝線が昭和四十九年ないし五十年にできるんだから、できた時点でこの追分線も一緒に営業したい、こういうわけなんですね。そうしますと、二十億の金をかけておるわけでしょう。これは昭和五十年までというと、九年ですよ。単純計算で五分五厘にしても、利子だけで十億になっちゃう。これはばく大な国損なんですよ。ですから私は、昭和四十九年ないし五十年まで、紅葉山線、狩勝線ができてから一緒にやるなんということはたいへんで、これは鉄建公団が資金運用部資金あるいは鉄道建設債券でやっておりますから、有償線ですから、国鉄がもし二十五年間の返還ということになれば、年に三億ないし三億五千万を鉄建公団に払わなければならぬ。ですから、これは何らかの処置でこの線だけでも運行できるようにするのが、私は政治的に見て地域住民の要望をかなえるということが適当ではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
  219. 山口真弘

    ○山口政府委員 追分線、紅葉山線、狩勝線、この三線相まちましていわゆる石勝ルートを形成いたしまして、北海道におきまする非常な幹線の役割りを今後果たすということを期待されておるわけでございます。このようないわゆる幹線的な性質のものにつきましては、先生御指摘のように、ただいまお話しの有償資金を使いまして建設をいたしております。このルートにつきまして部分的な改良ということになりますと、どうしてもその線路のねらっているところの目的というものが達成できないわけでありまして、その意味ではやはり全通をしてからこれを開通するということのほうが非常に経済的であるというように私ども考えております。またこの線路は有償資金で建設をしているという点から考えましても、この点では線路の本来の効果が発揮できるような姿で開通するのが適当ではないか、このように思っております。
  220. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 昭和三十二年の四月二日に、鉄道審議会で追分線を調査線にするように運輸大臣に答申をした。昭和三十四年に、追分線もあるいは狩勝線も紅葉山線も運輸大臣に対して工事線にするよう答申をしておるわけでしょう。工事を始めたのが、追分線については昭和四十一年、狩勝線は三十七年、紅葉山線は四十一年ですよ。五年も六年もほったらかしておいて、いまあなたがおっしゃるような石勝ルートができてからやるというお考えですけれども、昭和三十四年にちゃんと答申をしているじゃないですか。そうでしょう。なぜその時点で手を打たなかったか。そうすればもっと前にできておって、地域住民が利用できたじゃないですか。もうできているはずですよ。そういう答弁は私は納得できない。そうでしょう。昭和三十四年十一月九日に工事線に答申をして、一緒に紅葉山線もそれからいまの狩勝線も追分線も答申をして、その時点でなぜ早く手を打たなかったんだ。そうすれば、もう着工していればいまごろはずっと営業を開始しているはずじゃないですか。そんな答弁じゃ私は納得できない。そういうことを反省もしないで、紅葉山線、狩勝線ができなければ営業できないなんという、そういう無責任なことを言ってはいけませんよ。
  221. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先生の御趣旨の点よくわかりました。ひとつ検討させていただきます。
  222. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大臣、これはもう地域住民にしてみれば昭和四十二年にできているわけですから、三、四、五、六、五年間でしょう、ほったらかしているわけですよ。そしてあの辺には千歳空港ができているし苫小牧東部開発もできていますし、地域住民があそこに集まってきているわけですね。ですから、ああいう姿に置いておくということ自体、国の運営、国鉄に対する不信というものが生まれてくるわけですよ。その利子だって、あなた、工事費が二十億だから、十億になってしまいますよ。大きな国損じゃないですか。そういう点で私は申し上げているわけであって、ぜひとも大臣この点については御検討をして、地域住民の希望あるいは国鉄運輸行政の前向きな姿勢というものをとっていただきたい、再度御答弁をお願いいたします。
  223. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御趣旨十分よくわかりましたですから、検討させていただきます。
  224. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 以上で私の質問を終わります。
  225. 細田吉藏

    ○細田主査代理 斎藤実君の質疑は終わりました。  次に後藤俊男君。
  226. 後藤俊男

    後藤分科員 第一番に新幹線の公害関係につきまして、現在お考えになっておることをお聞きしたいと思うわけです。ただ私、具体的にどこかどうとかここがこうとかいうことを言うつもりはございません。  最近の朝日新聞の夕刊でも、連載でずっといろいろと書いてあるわけでございますが、名古屋に参りましてもさらに浜松に参りましてもあるいは東京におきましても、新幹線沿線地域において振動あるいは騒音あるいは電波障害、これは新幹線の影響による公害といっていいかどうかわかりませんが、地域住民がかなり被害をこうむっておる。これはもう私が言うまでもなく、運輸省なり国鉄といたしましても十分御承知のことであろうと思います。  そこで私聞きたいのは、いま申し上げましたような振動なり騒音なり電波障害なり、その他、新幹線が敷設されたことにたって沿線住民がいろいろな被害をこうむっておる。これらの批判の声と申しましょうか非難の声と申しましょうか、少なくともこれぐらいなことはやってもらいたい、少なくともこういうふうにしてもらいたい、こういうふうな期成同盟会の声がたくさん出ておると思うのです。これに一体、国鉄としてどういうふうにおこたえしょうとしておられるのか。現在、聞くところによりますと、技師長室で構造の面なりあるいは技術的な面でも深く研究しておられるということは私も聞いておるわけですけれども、さらにまた今月の十五日から新大阪-岡山がめでたく開通をした。そうなればまた問題が起きてくるのではないかと私思うわけでございます。そこでこれらの問題に対しまして、国鉄として赤字財政で非常に苦しいということはわかっておりますけれども、さらに新幹線が開通してめでたい、りっぱにできたということもわかっておりますけれども、その反面、いま申し上げました人々に対して、これらの問題に対しては今後こういうふうに対処していくのだ、一挙にできないけれども、こういうふうに進めてやっていくからというような体制をつくってもらう、あるいはある機関をつくってもらって、そこで専門的にこれらの問題解決のために研究調査をしていただく、これらが必要ではないかというふうに私どもとしては考えるわけでございますけれども、ただ、いままでですと、地域でいろいろな声が出ますと、関係個所へ陳情するあるいは関係の管理局長さんのところに陳情をするというようなことになりましては、どうもいま一歩というところで、国鉄としてもこういう問題に対する解決の熱意が少ないのではないか、こういうふうな印象を往々にして与えがちではないかというふうに思いますので、いま申し上げましたような問題については、国鉄としてもこういうふうな機関においてこういうふうにやっていくのだ、予算要求にいたしましても、来年なら来年からは予算要求もやって解決のためにやっていきます、そのためには専門的にこういう機関を置いて調査研究も十分やる、沿線の皆さんの声も十分そこへ吸収して解決をしていく。このことを考えていただかなかったならば、さらにまた新幹線に対するいろいろな批判の声なり沿線住民の強い要望の声がどんどんと高まっていくのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、これに対して、国鉄なりさらに運輸省といたしましてもどういうふうにお考えになっておるだろうか、お伺いいたしたいと思います。
  227. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 新幹線のいわゆる騒音、振動等につきまして、いま先生お話しになったようないろいろな問題が出ておりますけれども、東海道新幹線をつくりましたときにはまだそれほどまでに関心がなかったわけでございますけれども、その後東海道新幹線昭和三十九年以来運営してまいります間にいまお話しのような問題がたくさん出てまいりました。私どもといたしましては、いまお話しの大阪から岡山まで延ばす区間につきましては、いままでの経験を相当生かしまして、技術者の各部門すなわち土木、電気、機械、その車両各部門の関係の諸君が、末端に至るまで常に公害のことを頭に置きながら、今度の大阪-岡山間の線路を敷設し、車両の運転をやっている、こういうふうに私ども思っております。その結果、一応いままで期待できなかったような全線八十ホン以下というふうな結果が得られたことは、私ども、技術者相当大きな進歩であるというふうに思っております。いま、さらに岡山から西へ延ばしておりますが、大阪-岡山間のわれわれの得た実績を今後はさらに生かして新しいものをつくると同時に、いまの東海道、すでに開業している東京-大阪間につきましては、一挙に全部というわけにはなかなかまいりませんので、まず騒音のひどいところ、あるいは電波障害のひどいところなどにつきまして具体的に工事を徐々に始めておるわけでございまして、内容につきまして簡単に長浜常務から御説明いたしますが、かまえといたしましては、公害問題を避けて通るというふうなかまえでなしに、技術の一端の問題として交通機関の公害問題を取り上げていくという前向きの姿でいきたいというかまえでおります。
  228. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま総裁から御答弁申し上げましたが、具体的に東海道につきまして、先生御指摘のようにかまえといいますか、姿勢といいますか、いままでその処置がおくれておったことは確かであります。ただ、その勉強した結果を山陽には適用いたしましたが、東海道はそのレベルまで達しておりません。したがいまして、具体的に東海道沿線でいままでに苦情の出ておりますのは約二百件余りございますけれども、その中で特に学校とかあるいは病院とかこういうところにつきましては、いままでもやっておったのですけれども、そのやり方がまだ手ぬるいというようなことも考えまして、来年度以降防音壁に重点を置き、あるいはまた一番騒音の発生しやすい鉄げた、これは山陽新幹線の場合には一カ所も使わないようにいたしましたけれども、東海道の場合には相当程度使っております。この鉄げたに対しまして、防振用の材料を内部あるいは外部に張りつけるといったようなことを実際上施行したい、あるいはまた夜間線路保守のために機械を運転いたしますので、そのための騒音が発生いたしまして夜間の睡眠妨害になりますので、それを防除するために低圧回線を張りましてそれで音を軽減したいというような措置をとっていきたい、こういうふうに考えております。またテレビ障害につきましては、東京名古屋付近のところに手を打ちましたが、その他の地区につきましても来年度以降苦情の多いところから手をつけていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  229. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われました趣旨につきましてはわかるわけでありますけれども、ただ朝日新聞等に一例として書いてあったわけでありますが、沿線で住んでおられる民家、新幹線の沿線で住居を持っておられる人につきましては、朝の六時何ぼから晩の十一時まで、これはわれわれが考えてみましても確かに振動なり騒音が激しいと思うのです。それだったら新幹線沿線五十メートル以内くらいは移転させるような補償も考えたらどうだ、こういう具体的な要求も出ておるわけです。ですから、いま総裁なり長浜常務が言われましたように、技術的な面とかそういう面については、国鉄といたしましてももっぱら公害を少なくするように研究し、調査しておられることは私もわかっておりますが、それが沿線で住んでおられる人についてはまだまだ手がついておらぬような気がするのです。どちらかというとそのほうがかえって声になって高くあらわれるような気がするわけです。そうだとするならば、これからさらに新幹線がどんどん増設されていくと思いますが、いま申し上げましたような声に対してどうおこたえしていくか、それがまだ不十分である、十分でないと私は思うのです。それだったら国鉄の本社なりどこかなりに、新幹線の公害対策室なら公害対策室というものを設けまして、ここにある程度のメンバーを置いて、いま申し上げましたような問題を専門的に解決していただく。それでも容易なことではないと私思うのです。そのことが世間にわかってくれば、いよいよ国鉄もそういう問題について真剣に取り組まんとしてくれておるというようなことになりまして、両々相まってうまくいくのではないかという気持ちがあるわけですけれども、公害に対する認識がいま一歩不足しておるというと失礼な話かもわかりませんけれども、国民の目に映る具体的場面において欠けておるような点があるのではないかというふうに私としては考えるわけでございますけれども、これは大臣いかがでございましょう。
  230. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に貴重な御意見と思う次第でございます。すでに私企業におきましても公害に対する責任が明確に義務づけられてきている時代でございますから、いま私どもの内政の問題といたしましては、ちょうど二つの目玉といたしまして国土開発と公害の問題、これをいかにするかということが問題でございます。まして公共事業につきましてはやはり公害に対する大きな責任があると思います。すでに運政審におきまして、そういった運輸事業における社会的にいろいろ惹起した問題に対してはその事業自体が責任を持つべきだというような答申も得ておる次第でございます。私から申しますと非常に恐縮でございますが、ことに技術的には世界に冠たる技術陣を持っている国鉄でございます。技術的にはやはり非常に研究をしておる。今回の岡山の新幹線にも試乗いたしまして公害対策を聞いた次第でございますが、たとえば鉄橋を全部廃止してしまう、防音壁も倍にする、はかまをつける、鉄道の下に防音吸収装置をつける、いろいろくふうをこらしております。しろうとなりによくくふうをこらしたと思っておる次第でございますが、いま貴重な御意見をいただきました。国鉄の内部にやはり公害対策と申しますか公害の問題を取り上げるセクションを一つつくって、そこでしょっちゅうやる、国民にここまでやっているという姿を見せる体制は非常に貴重だ、こういうふうに私は思っている次第でございます。これは国鉄のいろいろな機構の問題もありますが、すでに総裁のほうで考えているかとも思いますけれども、そういったことを非常に私はありがたい御提言と受けとめまして、国鉄当局に申して検討させてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  231. 後藤俊男

    後藤分科員 いま大臣の言われました趣旨そのままを私も申し上げたわけでございますので、ぜひひとつ、重ねて申しませんけれども、いま話をいたしましたような趣旨にのっとりまして、公害排除のために引き続いて努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思う次第でございます。重ねて申しますけれども、いまも大臣が言われましたが、国鉄の中に公害対策室と申しましょうか、何か一つそういうきちっとした機関を設けまして、技術面についてはこれはわれわれがとやかく言うまでもなくやっておられますけれども、それ以外の、沿線住民の声を吸収してこれを解決していく、こういう機関を設けていただく必要があると思うのです。この点も重ねてひとつ要望いたしておきますので、お願いをいたしたいと思います。  それからその次には、御承知のように、新幹線東京から新大阪まで走るわけでございますが、「ひかり」といたしましては名古屋で停車、さらに京都、新大阪とこうなるわけでございますが、途中に米原、北陸線の接続駅があるわけです。いまのところは「ひかり」は全然停車をいたしておりません。しかし、北陸線の接続の駅でもあり、これからの問題として「ひかり」の停車ということも、全部が全部どうこうということは私申しませんけれども、何とか解決の方法があるんじゃないかというふうにも私考えておりますし、さらにまた、地元といたしましても非常に強い要望が出されておると私考えておるわけでございますけれども、この辺の見通しにつきまして何かあればお知らせいただきたいと思います。
  232. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 「ひかり」の米原停車につきましては、北陸関係の皆さんから非常に強い御熱望が私のほうにも再三再四参っております。いままでは非常にむずかしいことではございましたけれども、今度新しいコンピューターによる自動制御ができましたので、一応大阪と岡山の間にいま試行的に使っているわけでございますけれども、これがほんとうに実用化してまいりますといろいろな新しいことができるのじゃないかというふうに思います。私といたしましては、博多開業以前には米原問題は解決したい――少し先のことで恐縮でございますけれども、博多開業までしないということでなくて、博多開業以前には米原問題は解決したいという気持ちでもって、後ほどの御質問先に申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、湖西線の問題も実はあり、それとのからみ合い性を考えた上で、結局北陸地区と関西、中京、関東、この三つの連絡を、どのルートではどうとるべきかということを考えた上で、これは前向きに検討いたしたいというふうに思っております。
  233. 後藤俊男

    後藤分科員 これ以上言わなくても、総裁も十分その辺の事情は承知しておられますから、ぜひ「ひかり」の停車問題につきましてはできるだけ早く実現のできるような方向へ、地元の要望に沿っていただきますようにお願いいたしたいと思います。  これはいまちょっと総裁が触れられたんですが、湖西線が昭和四十九年に開通すると思うんです。昭和四十九年に湖西線が開通するといたしますと、現在あります北陸線との関係があると思うんですね。滋賀県の湖北方面におきましては、湖西線が開通してしまえば北陸のほうは一体どうなるんだろうか、もう朝晩の通勤列車だけで終わるじゃないのか、しまいにはかんこ鳥が鳴くんじゃないか、こういうようなことも心配をしておるようなわけでございますけれども、湖西線の開通問題と北陸線との関係において、輸送の方針と申しましょうか、そのことについてはまだ昭和四十九年、先ですから確定的なものはないと思いますけれども、方向というのは大体きまっておると思うんです。お答えいただきたいと思います。
  234. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり四十八年度中に完成の目途でございますので、細目につきましてはまだ具体的な計画は決定いたしておりませんけれども、湖西線が大阪との短絡路線である関係上、富山・金沢-大阪の時間短縮の立場からは短いルートを急行あるいは特急列車を走らせたほうがいいのではないか、まだ計画まで固まっておりませんけれども、実はそういうふうに考えております。したがいまして、大阪と北陸、金沢、富山間は、いま申しましたように夜行の急行、特急含めまして、大体湖西線経由で京都、大阪へ行く、こういう計画でございます。それから名古屋と北陸との関係は、先生御高承のとおり現在特急「しらさぎ」号というのが走っておりますが、これは現在四往復でございますけれども、将来増強したい、かように考えております。  それから新幹線との接続でございますが、まず米原から富山、金沢方面は、必ず新幹線との接続の快速電車を考えたいと思っております。なお金沢、富山から大阪へ、朝昼晩急行なども若干は考えてみたいということでございます。したがいまして、米原-金沢・富山間は快速電車の新幹線接続体制、それから米原から草津あるいは京都方面は同じく現在快速電車が走っておりますが、そういうものの増強をいたしたいと考えております。まだ先の話でございまして、実は最終的に決定したものではございませんが、そんなつもりでおります。
  235. 後藤俊男

    後藤分科員 いま申し上げた湖西線と北陸線、いわゆる大阪-富山の関係ですね。地域の情勢も十分配慮してやっていただくということをぜひお願いいたしたいと思うわけです。  それとあわせて、ついででございますけれども、草津線の複線電化の問題ですね。さらに信楽線を廃線にするという問題ですね。特に草津線につきまして、御承知のように地域から近県への通勤着が非常に多い。これは全く強い要望が長い間出されておると思うのです。それからもう一つ、信楽線につきましては、これまた信楽陶器の名産地でございまして、しかも沿線には道路はありますけれども、勾配の非常に強いところなんです。バスの運転手というのはまことに危険なところだと思いますし、しかも、信楽線が敷設されて今日での経過を見ますると、地元がかなり強くこれらの点については協力をいたしてきておるというようなこともございますし、草津線問題については、これまた電化促進、複線の促進ということが強いし、信楽線につきましては――国鉄のこれからの計画として三千四百キロを切りかえるのだ、そのうち来年度は何百キロ切りかえるのだ、こういうような方向も私は聞いておるわけでございます。しかしながら、二、三日前の衆議院の本会議において、運賃値上げの提案の際の質問に答えて佐藤総理大臣は、地元自治体の意向を十分考慮してやるのは当然の話だ、言うまでもないのだ。これははっきり本会議で言明しておられるわけでございます。まあいろいろな情勢を考えてみまして、いま申しました信楽線の廃線につきましては特殊事情がたくさんございます。ですから、もし廃線というようなことになる限りにおきましては、特に地元自治体の意向というのを考えてやっていただく、この点だけはひとつはっきりしていただいて、現在におきましても、信楽線は赤字になっておるから少しでも国鉄を応援しなければいかぬ、国鉄を利用しようということで猛烈な運動を今日までやっておるわけでございますから、いま申し上げました点をひとつはっきりさしていただくようにお願いいたしたいと思うのですが……。
  236. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生の御質問の前段の草津線の複線電化の件でございますが、地元からそういう御要望が先生方を通じて私どものところにきていることはよく承知しておるところでございます。ただ現状は、草津線の輸送力、輸送量との関係がまだほかの地域に比べてそれほどバランスがくずれているような状況ではないのでございますけれども、私もよく承知しております。あの付近は団地の計画その他がございまして、将来相当発展するような情勢になりつつあることも承知しております。したがいまして、あの地域の将来の発展の状況をにらみまして、輸送力をオーバーするというような場合にはすぐにでも複線にしなければいかぬということになると思いますけれども、そういう情勢を見ながら、そして京都、大阪への通勤客の動向を見ながらわれわれとしては対処していきたい、こういうふうに考えております。
  237. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 草津線のほうはいま長浜から申し上げましたとおり、ちょうど東海道線の御殿場線のような感じです。これはいずれ、複線化はともかく電化はしなければならないというふうに思っております。開発の状況その他とにらみ合わせた上で考えてまいりたいと思っております。  信楽線につきましては、先生御承知のとおり昨年の七月から地元といろいろお話しいたしております。途中に七曲がりと申します非常な難所があるのを存じております。沿線の国道をうちのバスが走っておりますから状況は全部わかっておるつもりでございます。しかも最近信楽焼きのために油を入れる専用線をつくるというふうなこともあったようでございます。いろいろそういう最近の事態を十分調査いたしておりまして、いずれにいたしましても、地元といろいろお話し合いの上でやってまいりたいというふうに考えております。いままでのような姿でもってこの問題を進めていきたい。いままでのような姿と申しますのは、地元お話し合いの上でという意味でございます。
  238. 後藤俊男

    後藤分科員 それで私は草津線、信楽線の関係は、草津線が複線電化になれば、信楽線も電化にするというようなことになっていくと思うのです。ですからこれからの問題として、いま申し上げましたように、草津線の関係なり信楽線の関係につきましても、国鉄再建計画の中できまっておる方向は方向といたしましても、やはり最終的には沿線の自治体の意向というのが尊重されなければいけない、こういう気持ちというのは総裁はじめ国鉄のほうも持っておられると思いますし、総理大臣もああいう言明もいたしておりますし、おそらく運輸大臣にしたって、聞かなくてもそのとおりということになるだろうと思いますので、その点はこれからもひとつ間違いのないように進めていただくようにお願いをいたしたいと思います。  終わります。
  239. 細田吉藏

    ○細田主査代理 後藤君の質疑は終了いたしました。  次に古川雅司君。
  240. 古川雅司

    古川(雅)分科員 私はきょうは新幹線の騒音等の公害につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。これはこれまでしばしば質問に出たそうでありますし、かなり重複する点があるかと思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。  実は昨年本第五分科会におきまして、この問題を取り上げさしていただきまして、御答弁をいただきました。その後さらに問題はむしろ拡大する方向にあると思いますので、あらためて取り上げさせていただいたような次第でございます。ことに全国的に新幹線網の構想が発表になりまして、さらに最近は三月十五日から山陽新幹線も岡山まで開通をしたわけでありまして、国民もまた新幹線に対し非常な関心を寄せているところであります。ただ、沿線の方々からいろいろな意味で被害の苦情が絶えないわけでありまして、新聞等で見ている範囲では、日々これがふえているのではないか、そういう感じがいたしております。  最初にお伺いをしてまいりますが、いわゆる東海道新幹線昭和三十九年に開通して以来、山陽新幹線も入れて、新幹線の通過のために騒音あるいは振動等の被害の苦情、あるいは一歩突っ込んでそれに対する補償の要求等も今日まで出ているかと思います。その点種目別にお示しいただければ幸いです。
  241. 長浜正雄

    ○長浜説明員 東海道が完成いたしましたのは三十九年十月でございます。それ以来現在までに騒音、振動等で苦情が参っておりますのは、一件――一件といいますのは一人ということではなく、グループという意味、トータルでいま私の手元には二百二十七件ございます。その内訳としましては、騒音だけが五十一件、振動だけが六十六件、騒音、振動合わせまして六十八件、それから風圧、いわゆるトンネルの入口のところでトンネルの中へ列車が入りますとき急に風が外へ影響するわけでございますね。それが家に影響を与える、あるいは立っている人に影響を与えるというような風圧が八件、その他いろいろな件が三十四件といったような件数でございます。それが内訳でございます。
  242. 古川雅司

    古川(雅)分科員 その点よくわかりました。ただ、そうした苦情の出ている出どころが、いわゆる一般民家の場合とか、あるいは学校とか病院とかいろいろな種別があると思うのですが、そういう種別から見るとどういう傾向になっておりますか。
  243. 長浜正雄

    ○長浜説明員 実はそのうち学校と民家と一緒に含んでおりますし、それから病院と学校とが一緒になったり、いろいろなことがございますので、それをそれぞれにそういう区別はしておりませんで、その地域ごとに件数ということで締めてございますので、ちょっとそれはわかりかねるのでございます。
  244. 古川雅司

    古川(雅)分科員 こうした新幹線の通過に伴う振動とか騒音、風圧、それからテレビ障害等があるわけでございますけれども、こういう被害を受けた方々、一般民家の方々やあるいは学校、病院、そういう方を含めまして苦情が出ているわけでありますが、この苦情をどう処理しているか、処理の状況をひとつお答えいただきたいと思うのでございます。防止対策等とあわせて、こういう対策を持ち、こういうふうに処理しているというようなことでお答えいただければ幸いであります。
  245. 長浜正雄

    ○長浜説明員 東海道開業後いろいろな苦情をいただきまして、われわれとしましてはその対策をしなければいけないということで処置してまいりましたけれども、特にそのうち学校、病院等に対しては、その付近には――実は東海道のときには山陽新幹線と違いまして、まだその当時われわれとしてもあまりよくつかんでなかったものですから全面的に防音壁をつくってございませんでした。また御承知のように、山陽新幹線では約二メートルの高さの防音壁をつくっておりますが、東海道の場合は一メートルそこそこの防音壁であったというようなことでございます。そういうために非常に苦情が多かったというふうに承知いたしまして、学校、病院等に対して優先的に防音壁の工事を追加していたしました。それから、変電所に遮断機がございます、電気が切れたり通ったりする。遮断機の電気が切れるときの音が非常に高いということで、その遮断機の音を消すためにそれをカバーするといったような工事を施行いたしております。それから、トンネルの風圧に対しては、トンネルの入り口に構さくをするというようなことで、これも処置をいたしました。それから、テレビ障害につきましては、東海道新幹線開業当初にやはりテレビ障害がございました。NHKとよく御相談しまして、また技術的その他の応援をいただきまして、全線にわたりまして調査をして苦情に対する処理をしたのでございますけれども、その後、列車回数の増加に伴いまして、あるいはその他の状況によりまして調査漏れがあった等のこともございまして、苦情がございまして、これに対しましても処置をいたしました。毎年数億の金をつぎ込んで処置をしてきております。ただ、現在までの処置のしかたが、山陽新幹線で、東海道の経験を経ましてやりました工事と比べまして、まだ手ぬるいというような点がございますので、われわれとしては、今後もっと積極的にそういう苦情に対する処置を進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  246. 古川雅司

    古川(雅)分科員 先ほど、苦情、補償の要求が出ているその件数をお答えいただいたわけでございますが、その件数の中で、当局がそれに対して処理をなさって解決済みのものと、いまだにそのまま未処理の苦情として残されているもの、その件数が振り分けてありましたら、お示しいただきたいと思います。
  247. 長浜正雄

    ○長浜説明員 さいぜん申し上げましたように、実はその苦情の中に学校その他がございますので、その付近だけやりましてその他がまだできてないというようなことがございますので、細部にわたってこの件数のどれが何件というところまでいま締めておりませんけれども、われわれとしてはこの件数をできるだけ処置したい。特に、いままで案施いたしましたのは、学校関係では十五件、病院関係で七件、変電所関係で五件、そのほかに、私さいぜん申し落としましたけれども、東海道のときには鉄げたをそのまま使っておりました。これが非常に大きな音がいたします。山陽新幹線のときには、その経験にかんがみて、これを一つもなくいたしましたけれども、これに対する防音処置は、いままでいろいろな試験をやっておったのでございますが、この試験をやりながら、いままで五件をやっております。これをなお一そうやっていきたいと思っておりますが、そういう件数でございます。そのほかに、夜間の保線作業のために機械を使います。その機械から発生します騒音が夜間非常に響くということで、それに対する処置としましては、防音壁よりも低圧回線といって、電気でその機械を動かすというふうな方法をとるために、低圧回線を約三十キロ足らず施行いたしました。
  248. 古川雅司

    古川(雅)分科員 ずっと御説明を伺っておりますと、何か沿線の住民の皆さんから苦情の申し出が出て、それに基づいて調査に着手し、処置の方法を考える、そういう手順に私受け取れるわけでございますけれども、実際そうなのか、あるいはまたそうした苦情が出る前に、沿線全体についての振動、風圧等、こうした一切の障害についての実態調査がなされているのか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  249. 長浜正雄

    ○長浜説明員 振動とかテレビ障害といったようなものは、やはりその場所、地形、地質等によりますので、現実に被害が起こった方からのお話を伺いませんと、われわれが被害があったかどうかということを全線にわたってお尋ねするわけにもまいりませんので、そういうお話を承ってからでないとこれは処置ができないと思います。今後もそうしたいと思いますけれども、騒音につきましては、そういう話を承らなくても当然わかるはずでございます。また全線にわたっては調査をしておりませんで、抽出的に各所で調査をしてございますが、そういう点から申しましても、事前にわれわれのほうで処置をしなければならぬのですが、いま先生御指摘のように、いままでは苦情をいただきましてから処置をするといったような、追っかけるような仕事のやり方をしておったので、この点についてはわれわれも深く反省をしておるわけでございます。今後はそうでなく、先生御指摘のように前向きに、積極的に、山陽新幹線並みに防音装置をやっていきたい、こういうように考えております。
  250. 古川雅司

    古川(雅)分科員 総裁にお伺いいたしますが、今後新幹線網の建設に着手をしていくに従って、また開通するに従って、新しい公害の問題が非常に大きくなっていくと思いますけれども、すでに運転を開始しておる岡山までの東海道並びに山陽新幹線については、住民に及ぼす被害といったものについてもっと広範な実態調査を行なうべきではないかというように私感ずるのでありますが、総裁としてはどういう御所見をお持ちでございますか。
  251. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 山陽新幹線を開業いたしました際にいろいろそういう問題がございまして、一つの方法として、線路の両側あるいは片側に幅員十メートルくらいの道をつくろうということで、そのうち四メートルは国鉄がやり、六メートルは都市計画道路としてやるというような、地方との一つの融合性と申しますか、そういうものを持たせてつくりました。ちょうど高速道路の両側にまた道路をつくっておるというふうなやり方をしたわけでございます。東海道につきましてはそこまで実は知恵が回らなかったわけでございますけれども、大体現在出ております二百数件のいろいろな苦情あるいはこちらの線路の形等でおおむねの推定ができております。いま、実態調査ということでなしに、むしろいままで出てきておりますものをどういうようにしてもとから小さくしてしまうかということについて積極的に考えさせたいというふうに思っておるわけでございます。
  252. 古川雅司

    古川(雅)分科員 昨年私がお尋ねを申し上げましたときは、まだ山陽新幹線の工事中でございました。この騒音、振動あるいは風圧等に対して、非常にこまかく神経を使って、技術的にも考慮しているということでございまして、先ほどから御説明があったような工法がとられたわけでございますが、実際に開通をいたしまして、試運転等を通して、国鉄のいわゆる技術陣が予測したような公害防止に対する効果がどの程度あらわれたのか、その点ひとつお示しをいただきたいと思います。
  253. 長浜正雄

    ○長浜説明員 結論を申しますと、やはり効果があったと思います。いま総裁が申しましたように、両側に都市計画道路等の道路側の御協力を得て道路を広くとるというようなことをやりましたし、それから防音壁を高くいたしました。一メートル九十センチくらいから二メートルくらいの高さの防音壁をつくりました。   〔細田主査代理退席、主査着席〕 それから、さいぜん申し上げましたように、橋梁で非常に大きな音が出ますのは鉄橋でございます。これは一番大きな音がいたしますので、鉄橋を全部廃止いたしましてコンクリートのけたにいたしました。その上に砂利道床を敷いて走らせるという方法をとっております。それからレールの太さを、五十キログラムを六十キログラムのレール一メートル当たりの太さにするというような処置をしております。またパッドの性質を変るといったような、いろいろな処置をいたしました。また、架線の太さを太くする、それからじょうぶにするということによりまして、架線とパンタグラフとの間に発生する音を少なくする、あるいは架線をつなぎます碍子の形を変えるというような処置もいたしました。東海道新幹線開業以来、いろいろ技術研究所を中心にしていままで勉強いたしましたことを山陽新幹線に応用いたしまして、そういう処置をしたわけでございます。現実に大体線路から二十五メートルぐらい離れましたところで八十ホン前後のところにまで下がっておる、こういうふうに考えております。現在東海道では、先生御承知のように、鉄げたのところではあるいは九十ホン以上のところもございます。鉄げたがなくなりましたので、そういう点はなくなったわけでございます。ただ基本的に、新幹線というものの音をどう処置するかということを今後とも技術研究所を中心にしてなお一そうわれわれ勉強して、できたものから現地に応用していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  254. 古川雅司

    古川(雅)分科員 昨年伺った記憶では、山陽新幹線のほうでそうした技術を駆使して効果があらわれた場合、それを今度東海道新幹線に応用して逐次改善を加えていくというようなお答えだったと思います。いまの御答弁でもそのとおりなんですが、その山陽新幹線に使った技術が、私しろうとですからよくわかりませんが、決定的なものではないと思いますけれども、実際にそれを東海道新幹線に今後直ちに応用して改善をはかるというところまで達しているのかどうか。実際その技術をもって、年次計画をもって、東海道新幹線のほうのそうした公害に対処していくという計画をお持ちなのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
  255. 長浜正雄

    ○長浜説明員 現在開発しまして山陽に応用しました技術をそのまま東海道に適用して進めていきたい。来年度以降の予算の状況もありますけれども、できるだけ早期にこれをやっていきたい。ただ、現在運転中の場所でございますので、何もかも一ぺんにというわけにはなかなかまいりません。たとえばレールにいたしましても、現在東海道は五十キロでございますが、これを六十キロにかえなければならぬ。これは一ぺんにかえるわけにはまいりません。毎晩二時間、三時間の間合いでかえていかなければならぬということでございますので、その間にそういう工法的な問題もございますし、なかなか一挙にというわけにはまいりませんが、精力的にやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  256. 古川雅司

    古川(雅)分科員 そこで、昭和四十五年十二月、第六十四国会でございますが、騒音規制法の一部改正に取り組んだ環境庁、当時はまだ厚生省でありましたが、その原案には鉄道、新幹線の騒音も含まれていたわけでございます。これは、新幹線周辺の騒音は規制の基準をつくるための資料が不足しているという理由で運輸省側が反対して、騒音規制法の対象からこれを除外されているという経緯がございます。しかし、附帯決議として、新幹線騒音防止については努力すべしという一項が加えられたわけでございますが、騒音規制法の中にいわゆる新幹線騒音もこの際加えるべきではないかという議論があるわけでございます。運輸大臣、この点いかがでございましょうか。
  257. 山口真弘

    ○山口政府委員 騒音規制法につきましては、先生御指摘のように、鉄道騒音につきましては直接の規制の対象にはなっておりません。ただ、これに関連いたしまして、附帯決議等におきまして、鉄道騒音につきましても新幹線騒音につきましても、強力に防止のための努力をすべきことが述べられております。  そこで、実は新幹線の騒音でございますが、これは一般の騒音規制法の中に入れるのは非常にむずかしい。といいますのは、一つは騒音の性質が相当違うわけでございます。単なる車両の出すだけの音ではございません。車両と線路との関係において生ずる騒音でございます。したがいまして、線路がどういうふうになっているかということによっても騒音が違ってまいります。たとえば築堤の上を新幹線が通る場合の騒音、あるいは掘り込みの中を新幹線が通る場合の騒音、あるいは橋梁等の上を通る場合の騒音、すべてそういうふうに違っております。それから軌道を構成している材料その他によりましても新幹線の騒音というのはだいぶ違ってまいります。先ほどお話がありました鉄げたの場合には非常に騒音が大きいわけでございます。その他コンクリート橋の場合にはだいぶ違う。それから、たとえば軌条にいたしましても、先ほど五十キロ軌条、六十キロ軌条の話が出ましたが、そういったようなものでも違ってまいりますし、それから軌条の構造自体という問題でも違ってまいります。あるいは軌条と軌条のつなぎ目のロングレール化の問題、その他の弾性連結装置、線路とまくら木をつなぐための装置とか、そういうような各種の設計的な問題が入り組んでおります。それから車両につきましても、車両自体の騒音というものがございますし、車両の音がよそに伝わらないための、たとえば車両のスカートの設置というような問題がございます。さらに車両とたとえば集電装置、パンタグラフ等との関係の騒音、その他異常鳴音と申しますか、そういう集電関係の騒音というものがございまして、そういう意味で、一般の騒音規制法が定めております騒音のような単純な姿ではないわけでございます。  私どもは、そういう意味でこの新幹線騒音というものがいろいろな分野から出てきておりますものだけに、そういう各般の分野の技術開発をやらなければならない。特に国鉄の技術陣の力をもってこの技術開発を大いにやらなければいかぬということで進めておるわけでございます。  さらにもう一つは、新幹線騒音は車両の安全との関係が非常にございます。それで現在鉄道の施設というのは、日本国有鉄道の建設規程あるいは新幹線鉄道構造規則、これは運輸省できめております国の法令でございます。その法令に基づきまして安全の面を規律してございます。その規律の内容は、たとえば線路はこういうふうにあらなければならない、あるいは線路の曲げ方はどうとか勾配はどうとか、各般の問題をこまかく安全の面を規律してございます。騒音の場合はこれと関係がありまして、安全の面と一体的に規律していかなければならない。そういう意味で、建設規程その他の中に規律するということが適当であるということにいたしております。その意味で、若干の規制は、先般の法律制定後、運輸省令であるところのいまの建設規程の中に入れました。しかしながら、これはさらに技術の進歩を待ってさらに具体化をして入れていく、こういうように考えております。
  258. 古川雅司

    古川(雅)分科員 環境庁としてはこの点についてどういう考え方を持っていらっしゃるのか。いわゆる環境保全という立場では環境庁としての見解を持っていると思うのですが、これは運輸省の見解とかなりズレがあるのじゃないかと思いますが、その辺の問題点をどうお考えになりますか。
  259. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 御指摘のように、新幹線それから航空機の騒音の問題は特殊騒音として扱っておりますので、この環境基準と申しますか、騒音にかかわる環境上の条件、生活環境を維持して人の健康の保護に資するというような望ましい基準といいますか、公害等でいっております環境基準をつくろうという段階になりますと、いま中央公害対策審議会の騒音・振動部会の先生方にお願いしておる最中でございますが、どうしても一般の騒音と違いまして、航空機の問題と新幹線を含みます鉄道等は特殊なもので、間欠的な、衝撃的な音に対する単位のとり方をなかなかきめにくい、それから人の健康に及ぼす影響という問題のデータも世界各国いろいろ違っておりますので、その点で目下一生懸命先生方にお願いしておる最中でございます。  とりあえず航空機のほうは伊丹と羽田の問題で特殊の指針だけがまずできましたけれども、まだ本来の環境基準に至っておりません。ただし、新幹線も同じような騒音の性質があるので、この点を早く勉強したいということで御審議をしていただいておる最中でございます。これができましてから、先生おっしゃるように騒音規制法の中に入れる態度をもってやるかどうか、この点に関してはまだ私ども態度をきめておりませんが、そういうものがすっかりできましたら自動車の騒音と同じような態度で進んでいきたいといま私どもは考えておりますが、もとの基準がまだできませんので、まだそこまで申し上げる段階じゃございません。
  260. 古川雅司

    古川(雅)分科員 大臣、全国的に新幹線の整備がこれから進められていくわけでありますけれども、いま起こっておりますとおり、やはり周辺住民の身体的な影響、健康的な影響も懸念されますし、またそうした問題が大きくなってまいりますと、このまま放置しておきますと大きな社会問題になっていくと思います。そういった意味でも被害者の救済のためにやはり立法的な対策措置を講ずる段階に来ているんじゃないかと思いますが、その辺について御所見を伺いたいと思います。
  261. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま公害防止の対策についての御質問でございますが、私も前の御質問先生にもお答えをいたしました次第でございますが、これからの企業に公害対策を含まない企業というのはあり得ないというふうに考えておる次第でございます。まして国鉄は公共事業でございます。それで、新しい機関の新幹線でございますから、これらの対策は十分これからも考えていかなきゃいかぬ。あらゆる点を想定をいたしまして、これに対する予算措置も十分とって、そしてこの対策を考えていかなきゃならぬ。あくまでも前向きで進んでいきたい。こういうように考えております。
  262. 古川雅司

    古川(雅)分科員 昨年私御質問申し上げましたとき、いわゆる新幹線工事を進める段階で、住民の皆さんにいろいろな御迷惑をおかけする。これは一つには営業上の問題というような点に触れた記憶がございますけれども、そうした御迷惑をかけているという経緯から、新幹線開通後、完成後、いわゆる高架下の利用についてお伺いをしたわけであります。そのときの御答弁は、たぶん何か一つの協会みたいなものをつくってそこに委託をして、そこを通して高架下の利用については考えたいというようなお考えをお示しをいただいたわけでございますが、その点、ひとつ確認をさせていただきたいのと、もう一つ、工事を進めている過程で、たとえば今回も山陽新幹線の工事を行なっております広島県の三原市、それから尾道市で起こった問題ですが、トンネル工事のために周辺住民の民家で、いわゆる井戸がかれてしまったというような問題が起こりました。そうした問題につきましても苦情が持ち込まれて、そして住民が大ぜい集まって、そしてそれを強く訴えなければ、工事担当者としてなかなかみこしを上げてくれないなんという、そういう苦情を私たち聞いているわけでございますけれども、こういう工事を進めていく段階でのいろいろな問題点、住民に迷惑を及ぼす問題点等について、もう少し機敏にそれに対応してほしいという要望があるわけでございまして、その点についての当局の基本的な姿勢についてお伺いをいたしまして、時間でございますので質問を終わらしていただきます。
  263. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生質問の、第一段の高架下の貸し付けの問題でございますが、高架下につきましては相当広い面積になりますので、そしてまたせっかくできます高架下を町の発展のためにも非常にきれいなものにしたい。それからまた、高架線の上は安全を確保しなければならぬ。あれだけの新幹線が走るということで、その管理については十分万全を期さなければならないということで、一つの会社をつくりまして、それに全部管理を委託する、こういうかっこうをとりたい。個々の人に、一人一人と契約をするということになりますと非常にトラブルサムでございまして、またその間に町の美観等との関係がうまく調整がつきにくいというような点もございます。一括してそういうようなところで管理をしてもらいたい、こういうように考えております。しかしこの場合には、実際に入っていただきます方々にはできるだけ御便宜をはかって、町の発展と一体になっていけるようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、第二段の工事中、水その他の被害を地元の方におかけしておるという点については、まことに申しわけないことと思います。われわれとしましては、特に水につきましては生活の第一の基盤でございますので、そういうことのないように十分指導しておるのでございまして、現地でもそのつもりでおると思いますけれども、その間に事務的なことその他で御迷惑をかけておる点があったとすれば、これは申しわけないと思いまして、なるべく早く処置するように今後ともさせたい、こういうふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  264. 古川雅司

    古川(雅)分科員 終わります。
  265. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて古川雅司君の質疑は終わりました。  次は小川新一郎君。
  266. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 東北新幹線並びに上越新幹線の問題については、多くの議員から質疑がありました。私も地元埼玉並びに福島県の問題について二、三問題がありますので、ダブっている質問かと思いますが、お聞きさせていただきたいと思います。  まず、埼玉県新幹線対策協議会というのが発足しておりますが、この協議会については大臣どのようにお考えになっておりますか。
  267. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の長浜常務理事でございますが、ちょっと事務的に御答弁申し上げます。  県のほうが中心になっていただきまして新幹線のいろいろな問題を解決するためにああいう対策協議会をおつくりいただきまして、われわれと地元との関係がうまくいきますように御苦労いただいておる、こういうふうに考えております。
  268. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この協議会には、私ども代議士も顧問として招請されております。この対策協議会が中心になって県内のトラブル、国鉄の問題等については発言権を与えられている正式の対策協議会と理解してよろしいですか。
  269. 長浜正雄

    ○長浜説明員 そのようにお考えいただいてけっこうでございますが、それ以外にもいろいろお話ございましたら、幾らでもわれわれとしてはお話を承ることにやぶさかでございません。
  270. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それでは、埼玉県内の問題を二、三提起いたしまして、具体的にお答えをいただきたいと思います。  大宮桜木町におきましては、住宅公団の団地がこの新幹線のために取り払われてしまう。それからまた、伊奈町では上越新幹線と東北新幹線とが分岐をいたしますために、あの狭い町が三分してしまう。しかも小学校、中学校合わせて三校がこの新幹線の犠牲になってしまう。また上里においては、新幹線と関越自動車道が町を三分しております。白岡においては、区画整理のできたところを新幹線が分断してこれをめちゃめちゃにしてしまう。また新幹線そのもののいろいろな問題がございますが、どうしてこういう問題が住民にすなおに率直に受け入れられないのか、またこういう問題についてはどのような配慮がなされてきたのか、これに対してお尋ねしたい。
  271. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生御承知のように、新幹線のルートはなかなか在来線のルートと違いまして、半径あるいは勾配等に非常に大きな制約がございまして、なかなか自由なアロケーションが描けないという点が一つございます。特に埼玉県の場合には大宮に駅をつくるということになりますと、どうしてもそれからの起点といたしましての一つのルートになるということになりますので、非常に条件を制約されるというような点がございます。われわれとしましては、できるだけ住民の方々に御迷惑のかかり方も少ないように、絶対かからぬというわけには絶対にまいりませんので、われわれとしては何とかして地元の方々に最小限の被害で済むようにということを念願としてやっておるのでございますけれども、いま先生が御指摘のようなその方々の非常な御被害があるということは承知しておりまして、われわれとしてもこれをいま先生お話しの対策協議会その他を通じましても何とか解決の方途を見出していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  272. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大宮桜木町団地の場合は、総裁、これは路線変更もしくは地下に入る、これは考えられないのですか。
  273. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 問題は大宮の現在の駅に新幹線を入れることになっております一つの既定事実でございます。そうすると、大宮は高架で出ますので、あそこから地下に急に入るということは不可能であります。桜木町団地の次に間もなく伊奈町が出てくるわけでございます。結局地下にすれば全部地下にするということにもなると思いますが、現時点では大宮を高架で出てすぐ大宮の工場のところから地下に入るということは、工事上不可能であるというふうに存じている次第でございます。
  274. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、大宮までは地下で来て大宮から上へ上がって高架で行くわけでございますが、川口から大宮間は地下で来るわけですね。そうしますと、大宮市内の桜木町団地から伊奈町までの間というものは非常に密集地帯でございまして、私地元でございましてよく知っているんですが、この場合は何とか地下にしてもらいたいという要求が多いんです。それから桜木町団地の人たちは絶対反対だと言っているわけですが、これにはいろいろと議論もございましょう。そこでルートの変更をはかって国鉄の用地であるところの機関庫のところを通っていけば、これらの苦情というものは相当相殺されるんではないかと思いますが、この点はいかがでございましょう。
  275. 長浜正雄

    ○長浜説明員 われわれ計画を立てます際にいろんなルートの取捨選択、比較検討を十分にやったのでございますが、いまの大宮のあの地点に駅を設置するということになりますと、あのルートが最適であるというふうにわれわれ判断いたしまして、あれを変更しようとしますと非常に大きな影響、基本的に新幹線のルートそのものに問題が出てきまして、大宮の駅というものも問題になってくるというようなことでございまして、いまのところあのルートの変更をするような技術的な解決方法がないということでございますので、これを何とか別の面で解決さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  276. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、どうしてもルート変更はできない。地下へもぐれない。そして反対はある。そして別の道というとどういうルート……。
  277. 長浜正雄

    ○長浜説明員 結局御反対を受けますのは、騒音の問題あるいは工事中の問題あるいは将来の町の発展上どうだといったような問題、いろいろその地域地域によってあろうかと思います。たとえば町の発展という点につきますと、大宮に新幹線の駅ができ、しかも東北と上越があそこで分岐をすると、大宮としては非常に有利な町になろうかと思います。ただ私たちの担当ではございませんけれども、都市計画的に見まして、あの辺の再開発をやったほうがいいんじゃなかろうか。これはおか目八目でございます。横から見た話でございますが、そういうことをやっていただくことによって、地元の発展を考えていただき、あるいはその間の新幹線が行きますによっての交通上の渋滞その他につきましての都市計画道路、これは市長あるいは知事さんその他地元の方々にお願いしてそういう計画を立てていただいて、新幹線の駅ができることによってそれのプラスとそれから通過するためのマイナスを、何とかその間に融合さしていただくというような御処置をお願いできないだろうか。国鉄としては国鉄のできます範囲内でそういう都市計画事業にも御協力申し上げ、あるいは地元の騒音その他のいろんな対策にも、われわれできるだけの範囲で御協力申し上げたい、こういうふうに考えている次第でございます。  ただ具体的にそれではこの席で、この場所はどうかということは現地の方々とよく御相談申し上げまして、この場所についてはこういう方法でいかがでございましょう、この場所についてはこういう方法でいかがでございましょうということを具体的に御相談申し上げさしていただきたい。包括的に、各地域地域の特殊性がございますので、御相談申し上げさしていただいた上で話を解決さしていただきたい。こういうふうに思う次第でございます。
  278. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 総裁、伊奈町のように上越線と東北新幹線との分岐点になるようなところ、これは単線が入ってくるのと違いますね。一つの東北新幹線だけじゃなくて、二つこうなってしまう。それで伊奈町は御存じのように財政上非常に貧困なところであります。そういうところには特段の御配慮というものが考えられないのですか。全町、議会をあげて反対をしております。こういうところもたくさんあると思いますが、議会及び町全体をあげての反対しておるようなところ、また特殊なこういった分岐点になるようなところ、これに対する考え方はどうなんですか。
  279. 長浜正雄

    ○長浜説明員 技術的な面を含むと思いますので、私から答弁をさせていただきます。  伊奈町の場合は、私もよく存じ上げておるのですが、確かに三分割されまして、東北と上越があそこで町を三分割することになっております。こういう場所につきましては、やはり町の将来の発展ということを町の理事者の方もお考えになりましょうし、地元の方も将来のその地域の発展ということをお考えになりましょうし、われわれもそれに御協力できる範囲で御協力申し上げたい。  それでは具体的にここをどうするのだと言われますと、これは実は上越新幹線につきましては、鉄道建設公団が建設主体でございますので、このほうともよく相談をしながら、伊奈町の町の理事者の方あるいは地元の御意見をまた伺って、どういうふうにするのがいいのか、具体的に道路計画をどうすればいいのだろうか、あるいはその高架下の使い方をどうするかといったようないろんな具体的な問題が、その地域ごとにあると思います。それらを十分御相談させていただきたい。そして御納得いただいた上で仕事を進めていきたいというふうに考えている次第であります。
  280. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 納得がいくまで話し合ってこの問題は解決するというその姿勢については、私ども民主的でまことに歓迎はいたしますが、いままで、国鉄総裁の前で申しわけないですが、新幹線が通るから、そこのけそこのけ新幹線が通るというような姿勢というものは――われわれナミョナルプロジェクトのこういった大きな国家的事業について、ただ反対のための反対をしているんじゃないです。こういった地域住民のコミュニケーションが足りない場合が非常に多い。そこでこういう問題が起きてくるのであって、私はいま一つ一つの問題を反証をあげてここで議論するだけの時間がございませんので、きょうは大ざっぱに考えをお聞きしたわけです。そういった立場をひとつ貫き通していただきたい。  ところがともすると、皆さんのように最高指導者は、国会に来てそのような非常に低姿勢にお答えいただけるのですが、地元へ行くとなかなかそれが受け入れられないというところに、私は国鉄の姿勢というものはもう少し改めていただかなければならないのじゃないかと思うわけです。どうかひとつ、いまの御答弁のように、民主的なほんとうに話し合いで納得のいくまでは、土地の測量とかいろいろなそういった実地の行動に移らないでいただきたい。そうでないと、私も埼玉県内にあって、議員の立場を貫き通さねばならぬときに非常に困るのであります。どうかひとつ十分御配慮していただきたい。  それから東北新幹線の福島県の問題なんですが、郡山の件なんです。郡山のいま西口のほうは非常に発展しておりまして、西口のほうへ通る計画になっておりますが、これを全町をあげて東口へ移ってもらいたい。――この東口のほうには公害が発生する工場があります。駅のまん中に、また近くに大きな工場があってそれが理由で東口が通れないというので、西口を通るわけです。東口は通れないということになったのでは非常に困る。岡山の例を見ても、非常に狭い駅が、きのうきょうの乗降客が、国鉄が予想していたよりも新幹線に乗る方が多いので非常に困っている。そういうことになりますと、ただでさえ狭い西口を利用しないで、東口のほうに変更をしてもらいたい、路線変更を再検討してもらいたい、という意見がありますが、これについてはいかがですか。
  281. 長浜正雄

    ○長浜説明員 郡山のルートにつきましては、知事、市長をはじめ皆さん方にもお話し申し上げまして、一応いま西口で皆さんの御了解を得ておるものと私は承知しておりますが、一部御意見として、東側に回してほしいというような話のあることも承知しております。これは一部の話だと思いますけれども、そういうことも承知しております。前後のルートあるいは列車の乗りかえあるいは駅の中のお客の流動その他を考えまして、現位置が最適であるというふうに、私たち判断をしたわけでございます。特に、新幹線の駅が表側に入りましたときに、その高架下を十分に活用することによりまして、先生いまお話しの岡山駅あるいは姫路駅のように、駅の正面が非常にりっぱになるというようなことになりまして、町の再開発とも合わせて、これが町の発展のためになるという面でも、サブ的には効果を発揮するのじゃなかろうか、そういうふうに考えております。前後のルートその他の考えて、いまのような位置に選んだわけでございます。これで進めさしていただくようにいまお話を進め、これでやらしていただきたい、こう思っている次第でございます。
  282. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると大臣、いろいろな問題があるのですけれども、一括していえることは、今後、路線の変更は絶対ないのですか。
  283. 山口真弘

    ○山口政府委員 新幹線鉄道の路線につきましては、先般認可いたしました新幹線の工事実施計画の中で経過地、駅の位置等がきめられております。それで、これを決定いたしまする場合におきましては、新幹線技術特性から見まして、先ほどもお話がございましたように、直線であり、しかも勾配その他も考えなければいけないというようなこと、それから、町の位置というものも十分考え、さらに国鉄の持っております用地等も考え合わせた上で、現在の計画が一番いいということで、国鉄なり鉄建公団が考えて提出をしてまいったものでございます。したがいまして、いまの段階では現計画で進めるのが最もいいことだと思いますが、それについてさらに検討の上、もっといい道があるということならば、さらにこれを国鉄なり鉄建公団が十分に審査をした上で、それでいいということになれば、変更することもあり得るということでございます。
  284. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは大事なお答えだと思うのですね。いままでわれわれは路線の変更は絶対ないというふうに見ておったんですが、ただいま申したように、福島県の郡山の例とか大宮の例とか、皆さんのほうでいろいろ御検討くださって、そういう場合もあり得るということを、私、理解したわけです。どうかひとつ十分なる検討をしていただきたいと思うのです。  時間がございませんから、次は地下鉄六号線の問題についてお尋ねしたいのですが、これは昭和三十九年に埼玉県和光市に乗り入れ計画を、時の松浦運輸大臣が東武鉄道に免許して以来、歴代の大臣に引き継がれてまいりました。   〔主査退席三ツ林主査代理着席〕 四十三年四月の都市交通審議会の中間答申でも約束されております。また、昭和四十三年十一月十八日には、東武鉄道は建設省告示第三千四百十四号により、建設大臣の収用事業の認定を受けております。また、和光市内の予定路線用地は、すでに約九五%が買収済みであります。たとえば、この免許状では東武鉄道会社に対して、松浦運輸大臣昭和三十九年十二月に「工事施行認可申請期限は、昭和四十年十二月十七日とする。」四十年十二月十七日にもう工事に入る。同じく東京陸運局の鉄監第一千三百九十一号には、「東武鉄道株式会社取締役社長根津嘉一郎」、こうなっておりまして、「昭和四十年十二月二日付け昭四〇工第二百八十号をもって申請のあった大和町、」これは当時大和町といって、いま和光市といっておりますが、「志村間における地方鉄道工事施行認可申請期限の伸長については、昭和四十一年十二月十七日までとする。」当時、大臣は中村寅太さんですね。昭和四十年十二月二十七日、東京陸運局経由で認可をされております。その次には、昭和四十三年六月六日、時の運輸大臣中曽根康弘さんが「本工事の着手期限は、昭和四十三年十二月五日、しゅん工期限は、昭和四十五年十二月五日までとする。」これは延びたわけですね。  最終は昭和四十三年六月六日ですが、こうやって、和光市乗り入れの地下鉄六号線について、歴代運輸大臣が認可を重ねてきている。しかも土地の買収が九五%まで済んでいるにもかかわらず、何でこの路線が今日までできなかったか、この理由は何ですか。
  285. 山口真弘

    ○山口政府委員 地下鉄六号線でございますが、これは先生ただいま御指摘のような路線でございます。それで、六号線の都内の部分でございますが、志村と巣鴨間につきましては先般開通をいたし、現在東京都心部に向かっての路線の工事中でございます。志村からさらに北の部分につきましては、都心部の工事との関係等もありまして遷延をしておったところでございます。ただ、それに関しまして、最近におきまする埼玉県内の都市の発展の状況等を考えますと、若干これを見画しをするほうがいいではないかというような議論が出てまいりまして、先般、都市交通審議会におきまして、六号線のルートを変更して、埼玉県内に直接延ばしていくという方向にすることが望ましいという形の答申があったわけでございます。  経緯としてはそういうことでございます。
  286. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、こういうふうに、松浦さん、中村さん、中曽根さんと、歴代の大臣が認可をしておる。こういうものをいまになって、都市問題がどうだとかこうだとかといって、昭和六十年に、地下鉄十三号線に持っていっちゃって――六十年ですよ。とんでもないことです。いまでさえも電車が満員なんですから。埼玉県は御存じのとおり、二十五万ずつ人口がふえています。特に県南三市のこちらのほうはものすごいです。いまは高島平から入ってきますが、あの東武電車の満載状況は、大臣もよく御存じだと思いますが、通勤地獄です。こうやって認可になっているものが、何で急遽都市問題で変更になるのか。そういうことはもう踏まえた上で認可になっているのですよ。いかがですか、これは。
  287. 見坊力男

    ○見坊政府委員 都市交通審議会の審議におきましては、関係都県の地域開発計画、さらに鉄道事業者等の輸送力増強計画等も審議会として聴取いたしまして、それを基礎にして昭和六十年における輸送需要を算定いたしました。それをもとにいたして……
  288. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そんなことはわかっている。何で変更になったかということを聞いているのであって、都市交通審議会の六十年の話なんか聞いているのじゃないのです。
  289. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いや、そういう経緯でございますが、六号線につきましても、その一環としてやるということで審議いたしまして、埼玉県におきましては戸田市、浦和市西部、それから大宮市西部地区の開発に対応しまして新線が必要であるということから、六号線を高島平から延長して北のほうに上がりました。さらに、和光市以北の交通につきましては、都心または副都心へ行く場合には、従来の線よりも和光市から池袋へ直通するルートを利用するほうが利便が大きいという判断のもとに、和光市以北の需要に対しましては、新たに十三号線として東上線志木-和光市間を複々線化するということにいたしますとともに、(小川(新)分科員「時間がないから簡単でけっこうです。」と呼ぶ)これを前回答申の八号線のルートに結びつけたわけでございます。
  290. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それで大臣、こういう認可を歴代大臣がやっていて、そしていまになったら昭和六十年だ。それにもっとおかしいことは、東武が、御存じのとおり都市計画審議会で公共事業に認定すれば、土地収用権も付与される。公共事業なら免税点も一千二百万円までは免税になる。そして、九五%まで買収になった土地に対して約十一億四千百八十七万円、うち大蔵省が公共事業として認定して税金をまけたお金が八億一千六百十二万円、約八〇%以上も公共事業として東武が昭和三十九年以降に買っているのですよ。それをどうするのですか。その土地を買ってしまった、いま値段が十倍も上がってしまっていますよ。このままいけば、大蔵省が八億一千万は国庫としてもらえる金を、わざわざ一千二百万円までの、公共事業であるということからまけたのです。東武は詐欺行為じゃないですか、そんなことをやったら。できるできるといって、公共事業であるからといって税金までまけさして地主から買った土地は、鉄道を引かなかったらそれは東武の所有地になる。問題ですよ。
  291. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいまの減税の点はちょっとはっきりいたしませんが、おそらくこれは土地を売り渡した土地所有者が払うべき譲渡所得税等につきまして、その土地所有者に対する減税措置であろうと思うわけでございます。東武自体が減税を受けたということではないと思います。(小川(新)分科員「それはわかります。」と呼ぶ)  なお、この土地につきましては、鉄道用地として使うつもりで買ったわけでございますので、いま地元といろいろ相談をしておりまして、旧所有者との間でいろいろ御相談申し上げまして、返すべきものは返すといいますか、また売り戻しをするということをいまいろいろと相談をいたしております。
  292. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それは確かに東武がまけてもらったわけではありませんね。これは地主が、公共事業に認定したから、譲渡所得に対して一千二百万円までは免税になったわけですね。それはわかりますけれども、私はそういった都市政策の根本であるところの鉄道問題がどういう理由になって、先ほど申せば土地もいろんな問題――手直しだ手直しだというけれども、歴代の内閣の運輸大臣が何代もにわたって認可してきたものを、そんなに目先がちょいちょい変わって、昭和六十年までは結局地下鉄は、十三号線は和光市には入らないでしょう。では確実にこの土地は東武から地主に払い戻させるのですか。
  293. 山口真弘

    ○山口政府委員 これは鉄道用地として購入をいたしたわけでございますから、そのもとの所有者等につきまして、いま払い戻しにつきましていろいろ御相談を申し上げておるようでございます。
  294. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは東武と地主との話し合いが進んでいると理解してよろしいのですか。
  295. 山口真弘

    ○山口政府委員 東武と地主との間で話し合いを進めておるわけでございます。
  296. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 その場合に、和光市の場合には行政訴訟にも持ち込むというようにいままでは言っておったのですが、では十三号線が入ってくるのは何年ですか。
  297. 山口真弘

    ○山口政府委員 十三号線につきましては、現在の八号線が成増まで八号線ルートがございまして、その八号線の成増までのルートを延長いたしまして、和光市を通り志木まで行くというような形のルートに今度いたしておるわけでございます。  なお、これにつきましては、池袋から都心の方向の建設というものとも関連をいたしているわけでございまして、何年までにこれを建設するというところまでまだ計画が固まっておりません。
  298. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、これは昭和四十一年にはもう工事を施行しなさいと認可になっているほど、埼玉県の住宅行政というものはたいへんなんです。これはきょう建設省の方が来ているから、それを聞いたらたいへんなものですよ。私もよく知っていますが、住宅がどんどん三十キロ圏内に、東京都の放射状に埼玉県の県境に集中してきている。その人たちが全部東京へ通勤している。だから、たいへんだから都市計画審議会で四十一年までにここに新線を入れて、六号線を入れてこの通勤対策に寄与するといって、東武が土地を買い始めた。そうしてそれに対しては公共事業と認定したから、一千二百万円まではまけてあげましょうといって、地主がそれに対してまけてもらって売ったわけですね。ところがいま言ったとおり、めどが立たない。もうことし四十七年です。満タンなのにいつだかわからない。そこで、こういった問題については都市計画上もさることながら、こういった東武に対する指導、またなぜこうなったかということについてひとつ大臣の御所見を承りたいのです。
  299. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま小川先生からるる和光市ですかの問題につきましてお話がございました。実は私もこれはいろいろ、存続をしろあるいは路線を変えてもらいたいというような両方からの陳情を受けております。私も大体承知している次第でございますので、いま鉄監局長が御答弁申し上げた次第でございますが、運輸省といたしましてはせっかくつくった路線、いま先生お話にございましたように、歴代運輸大臣が認可をして早くやれというのをいままでやらなかった、これも確かに怠慢であった。しかし、いまや住宅事情はだいぶ変わってきている。それも必要だけれども、もっといまの新しい路線のほうをやってもらったほうがいいということが地元関係の要望として非常に強く出てきているということを私承っております。しかし、それを変更する場合には、地元の市長それから東武、住民の皆さんとよく連絡をとって納得をしなければこっちも原案を出してはいかぬな、ということを私は強く言っていた次第でございます。そうしたら、その連絡がついたということを私聞いたものですから、それではいいだろうということにした次第でございますが、いまおっしゃったような住宅事情、一刻も早くそういったような住民の足を確保するということが一番大切だと私は思う次第でございまして、まずいまお話がございましたせっかく鉄道敷設のために取得をした土地、しかも住民はそれゆえに手放したと思う次第でございますから、それらの処置も十分にいくかどうか、それを見きわめて路線を変更しろということも私は指示をしている次第でございまして、それらもずっと含めまして追跡調査も十分させまして、そしてやるとともに、それから新線の今後の住民の足の問題、これを早く確保できるように指示をいたしまして、御要望に沿ってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。せっかくきめました路線が変更になりました点はほんとうに見通しが悪かったということでございますが、最近の事情の変更によりまして、その点でみなの了解を得てコンセンサスが得られた上でしたことと思いますので御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
  300. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣の適切なる御答弁をいただきまして、地元も非常に意を強うするものと思います。また地主もそういった公共事業という立場に立って売りにくい土地も売ったのだと思います。そしてそのことによって大蔵省の譲渡差益に対する一千二百万円の免税もしていただきました。こういった国家的事業という名目がいつの間にかいろいろな事情によって変更することもわかりますが、用地買収が九〇%も済んでいるようなところ、これは非常な問題があると思いますので、最後にこのトラブルが起きないように、普通の事業であれば当然国税庁に八億何千万の金が入るべきものを、公共事業という名目によって国税庁にお金が入らなかったということもお考えいただきまして、どうか運輸省が最後まで責任を持ってこの和光市乗り入れ、地下鉄六号線に対する問題の解決をお願い申し上げまして、終わりといたします。
  301. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で小川新一郎君の質疑は終了いたしました。  田代文久君。
  302. 田代文久

    ○田代分科員 運輸大臣質問いたしますが、三月一日に、諮問機関の都市交通審議会が答申して、これは一面評価すべき点もありますけれども、また非常に矛盾を残しておると思うわけなんです。それは、このドーナツ圏に居住しておられる住民が生活型の輸送を非常に希望されている。それが十分に行なえるかどうかが一つのポイントだと思うのですが、とりあえずそういう点を明らかにしていくために、そういう答申による構想から来る地下鉄は、全体としてどのような事業体がこれに当たり、また建設費はだれが持ち、どのようにやるんだという点をまずお答え願いたいと思います。
  303. 山口真弘

    ○山口政府委員 先般、都市交通審議会から東京及びその周辺における高速鉄道を中心とする交通網の整備増強に関する基本計画につきまして御答申がございました。その答申の内容といたしましては、総延長約五百七十キロメートルという鉄道の路線を整備するということでございます。  それで、この建設主体でございますが、現在、東京の地下鉄その他の高速鉄道につきましての建設主体は、まず地下鉄につきましては、帝都高速度交通営団及び東京都でございます。それから高速鉄道につきましては、国鉄をはじめいわゆる大手私鉄と称しておりまする地方鉄道の事業者というものが中心でございます。  そこで、今後こういったようなものをだれが建設をやるかということでございますが、これはこの路線に書かれておる中でも、現在すでに建設に着手している路線が相当ございます。これらにつきましては、当然その建設を継続いたしまして、その事業者が行なうわけでございます。それから建設に着手してないものにつきましては、今後これらの事業者が申請をいたしまして、そしてこの申請に基づきまして、これは運輸審議会の審議を経まして、その答申を得た上で運輸大臣がこれを免許するという形で具体的な建設主体がきまるわけでございます。  それから建設資金の調達の問題でございますが、これはいろいろでございまして、営団なりあるいは東京都等につきましては、財投なり公募債券というようなもの、一部は出資がございますが、そういったようなもので行なっておるわけでございます。国鉄につきましては、これまた別途国鉄自体としての各般の資金ソースから出る。それから私鉄につきましては、従来どおり、増資の金あるいは開発銀行の融資、その他一般の市中からの融資等によりまして建設をするということでございます。さらに私鉄が建設を行なうべき路線につきまして、今回御提案申し上げておりまする日本国有鉄道建設公団法の一部を改正する法律で御審議いただいておりまする建設公団をしてこれを建設せしめるというような点がございます。  大体以上でございます。
  304. 田代文久

    ○田代分科員 いま非常に問題になっている点を質問いたします。いわゆる私企業ですね、私企業というのは、その性格からして利益ということ、収益を眼目に置くということが営業の目標になっていることは当然のことだと言えるわけでしょうが、私鉄の都心乗り入れ工事についてはもちろん大臣も認可されているわけですが、たとえば東京急行が新玉川線を敷くという問題で、地域の住民の方はいつ敷けるか、すぐ敷いてもらえるんだというわけで首を長くして待っておられるわけです。ところが実際にはいつ開通するかめどが立たないというようなことを現地からも言われるのですが、大体いつ東急の新玉川線はでき上がって開通するようになるかという問題ですね。もし私鉄が単なるそろばんの上だけではじいて――初め許可するときには、地域住民の方々の足を確保いたしますということがうたわれていることは間違いないと思うのです。ところが実際においては、自分のそろばんづらから、とにかく依然として開通しないようなことになっておるわけですね。だからこういうことになるのはなぜなのか、したがってまたこういうことを解決するにはどうすればいいのかという問題がここにあると思うわけです。大体地域住民なり、いまベッドタウンなんかどんどん住宅をつくるという中で、足が全然確保されずにやられているということでは、何のための都市計画か。これは計画でもなければ政策でもない。そういう点からこういう問題を大体どういう形で処理し、解決されるのか。私鉄がそういうことをさぼっているのに対して、運輸省なり鉄建公団はどういうふうに対処されようとしておるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  305. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道の建設につきましては、もう先生御承知のとおり非常にばく大な資金が必要でございます。しかもそのばく大な資金によって生ずる収益というものは比較的少ないわけでございまして、これの回収につきましては相当長期間を要する、懐妊期間が非常に長いという点がございます。したがいまして、これを私的なベースにおきまして建設をするということは非常に困難なことでございます。そこで現在都市におきまする鉄道建設につきましては、帝都高速度交通営団あるいは東京都というような公的主体の建設と、私鉄のような私的な主体によるところの建設、二つあるわけでございますが、その公的な主体の建設につきましては、いわば財投とかあるいは政府の出資とかその他の公的な資金ソースでこれをやる。場合によっては国の直接的な補助金というものでカバーいたしまして、建設をしておるわけでございます。ところが私的な主体によってやっておるものにつきましては、これは株式会社であるということもあるし、これに対する直接的な助成がなかなかむずかしいということがございまして、従来私鉄に対しましては開発銀行で若干低利の融資を見る、あとは全部自前でやれということになっておったわけでございます。それで新玉川線だけではございませんで、その他の線路におきましても非常に建設がおくれておるゆえんのものは、やはりそういうところにございます。つまり資金を集めることが非常に困難であるということと同時に、それによるところの収支採算が非常に悪いために、私企業ではなかなか骨が折れるということにあるわけであります。そこで今般提出いたしました鉄道建設公団によりましてその一部を肩がわりして、そして建設をしようというのはまさにそういうねらいでございまして、たとえば多摩ニュータウンにおきまして住宅がどんどんできても、それの鉄道は私鉄が免許を持っておりますけれどもなかなか進捗しないということに対しまして、鉄道建設公団をしてこれをやらして、そして早く足をつけさせようという、今回のねらいはそういうところにあるわけでございます。
  306. 田代文久

    ○田代分科員 いま出されている法案については、これはいまお話のあったような目的で出されておりましょうけれども、私ども非常に異論があると思うのです。とにかくこういう点が起こる問題として、はっきり地方の公営企業を主体とした建設をやるというようなこと。それからまた地方自治体といいましても、二つも三つもまたがっている場合があるのですね。地方自治体別になって、ばらばらになっている。そういうことから非常に統一がとれないし、自治体自身の考え方やその他の関係で工事がおくれてうまくいかないということから、その路線ごとに関係する地方自治体が連合して、そしてそういう連合した機関を設置して統一的にやるべきじゃないか、このように考えるわけですが、そういう考え方は大臣おありですか、どうです。
  307. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在、帝都高速度交通営団の建設している路線は、東京から千葉にまたがって建設をいたしております。現在のところは、この法人自体は公的な法人でございますが、いずれにしても地方公共団体の区域の外に出た姿の法人でございます。その他先生御指摘のように、地方公共団体が一部事務組合をつくって、そしてこれを経営するというようなこともこれは考えられないことではないと思います。ただ、これにつきましては、そういったようなことをやること自体が、能率の問題だとか、あるいは意思決定についての両方の議会でいろいろの問題があるというふうな点その他検討しなければならぬ問題があると思いますが、一つ考え方として検討すべき問題ではないかと思います。
  308. 田代文久

    ○田代分科員 それでは地下鉄の問題についてお尋ねいたしますが、さっきからお話があったように、私が考えましてもこの建設にはばく大な資金が要ることは明らかです。そういう点から私鉄を経営事業主体としてやらせるというようなことは非常に問題があることは明らかなんですが、現在の状態で、こういう形でとにかく経営的に非常にばく大な赤字ができている。六大都市合計の累積赤字が一千四百八十六億というふうな赤字がいまあるわけですね。それから非常に問題なのは、そこに働いておる従業員の待遇なんかでも、それは普通一般からいうと、一年間もおくれているというようなゆゆしき事態が続いているわけですね。ですから、いまのような行き方でこういう地下鉄は将来どんどんふえるはずだと思うのですが、赤字がなくなるという見通しがつくかつかないか、私はいまのようなやり方ではつかないと思うのです。依然として累積していくのじゃないかと思うのですね。そうすると、これは考え方を根本的に変えなければ解決しないのじゃないかと思うのですが、結局考え方というのは独立採算制ですね、それを堅持されている。それから再建団体の指定のワクによってこれはワクがはめられているというようなことが非常にあるわけですね。とどのつまりが運賃値上げ、そして利用者が全部おっかぶるということにいまのままでは行き着くしかないような状態ですね。それは私は許されないと思うのですよ。ですから、私どもとしましては、今後地下鉄の計画が進められる場合に、直接建設費の国庫補助の比重をずっとふやす必要があるのじゃないか。これは私たちの計算によるのですけれども、大体国がそういうものの四分の三は見るべきだ、そういうことをやらないと、実際の解決はできないじゃないか。それから融資とか利子補給というものをもっと実情にかなった改善策がとられなければ、いままでのやり方を幾らやっても解決しないことは間違いないと思うのですが、その点どうですか。
  309. 山口真弘

    ○山口政府委員 地下鉄の建設でございますが、これは特に隧道部分の建設費が非常にばく大であるというようなことをからめ、建設費がばく大であることは御指摘のとおりでございます。これに対して私的なベースではペイしないということは論をまたないところでございます。それに対しまして従来は実は国があまり大きな助成をしていなかったのでございますが、四十二年度のころから、こういうことではいけないということで国の直接的な助成といたしまして一〇・五%の補助金ということで始めました。これは建設費に対する一〇・五%でございます。これでしばらくやっておりましたのですが、それでもとてもだめだということになりまして、四十五年度から一〇・五%を五〇%に引き上げました。建設費の補助金を五〇%に引き上げまして、国と地方公共団体が二五%ずつこれを負担する、こういう形で建設を維持し、そして運営をしていくということに改めました。現在この制度は相当なものであるとは思いますが、これでもなかなか苦しいということは先生御指摘のとおりでございますが、ただいまのところはこの制度を維持していきたいというふうに考えております。
  310. 田代文久

    ○田代分科員 そうすると、四十二年度からわずかながら対処されて、そして四十五年度に五〇%に引き上げた、こういうことですね。ところが、その五〇%はいろいろ相殺を計算しますと、実際五〇%になっていないのですね。実際はこれは二〇%程度じゃないかと思うのです。これでは私は依然としてあれじゃないかと思うのですが、これは大臣政治的な腹なり大きな手を打ってもらわなければ、こんなしみったれたやり方では、この赤字は解決しないと思う。さっき言いましたように、全体の四分の三ぐらいは国が持つということをやるべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  311. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまお話がございましたが、この建設費の約五割、実質的には三割七、八分ということになりますか、これをいたしましたのは、実は私も四十五年の予算編成のときにだいぶ大蔵省に働きかけまして、やっととった次第でございます。御承知のとおり、都市交通は交通空間が非常に狭隘になっておりますので、価格も高くなってまいるし、工事費も高い。どうしても地下鉄にたよらざるを得ないというときに、地下鉄の工事の特殊性からいいましてもう少しどうにかしなければいけないということで、東京、大阪市その他の強い要望もございまして、これをした次第でございます。いまお話がございましたように、私どもそういったような国の財政援助も漸次ふやしていかなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。具体的な問題になりますと、そういったような公共事業のいわゆる財またはサービスの提供に対しまして受益者がどの程度負担をするか、一般納税者にどのくらい負担をさせるかという割合の問題になってきていると思っておる次第でございます。いま国鉄の運賃の値上げの問題につきましてもいろいろいわれている次第でございますが、もちろんその前提といたしまして合理的経営をするということが大前提でございますが、しかし多くの良質のサービスをする場合に、利用者と一般の納税者との割合をどのくらいにするか、こういう問題になってくる。ただいまのところ、これはまだ満足とはまいりませんが、東京都あるいは横浜市その他におきましても、具体的な問題といたしますると、自分たちのいまの財源措置ではもうこれ以上は出せぬ、ある程度はやはり利用者の負担にたよらざるを得ない。お互いにみな納税者の負担によりまして福祉事業あるいはその他の公共事業、いろいろなことをしている次第でございまして、そうすれば、ある一定の特殊の事業に対しましては、ある程度の負担はやむを得ぬじゃないか、こういうふうな観点でございます。そのときの財政事情を勘案してやらなければいかぬ次第でございますが、傾向といたしましては、漸次やはりふやしていかなければいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  312. 田代文久

    ○田代分科員 そうすると、私の主張しますように、四分の三というような国からの負担というのはまだ具体的にできないけれども、赤字を解消する方向としては、国の責任においてかくかくの方向をとらざるを得ないという御答弁と理解していいわけですね。
  313. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは国並びに地方団体の両方ですね。公的の財源によりましてできるだけ緩和してまいりたい。こういうように思っている次第でございます。
  314. 田代文久

    ○田代分科員 時間がありませんから、次にバス問題について質問をいたしますが、これはさっきの問題とも関係するのですけれども、住宅建設がもうどんどん広がって、都市から近郊へずっと行っている。その場合に通勤とか通学、あるいは買いものの足がないという問題、ほんとうにこれは切実な問題なわけですね。ところが、そういう中で私鉄が、バスは赤字だということの理由で、許可を得ながら路線の新設とか延長ということはほとんど手をつけないというようなことが方々で起こっているわけですね。ですから、こういう公営事業が国鉄の駅とかその他に隣接するように路線をつないで、そしてこの住民の足を確保してやるというような問題を当然やらなければならないと思うのですが、現在、陸上交通事業調整法、こういう問題との関連で、たとえば東京都についていいますと、この法律がどういうふうに有効な役割りを果たしているのかお尋ねしたいと思うのです。
  315. 野村一彦

    ○野村政府委員 お尋ねの件でございますが、だんだんと生活環境が変わるにつれまして通勤、通学の範囲というものが郊外に延びていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その足の確保ということは、昨年、運輸審議会都市交通部会から出ました「大都市におけるバス、タクシーのあり方」という答申をもとにして、四十九年、おそくとも五十年くらいまでにはその足の確保ということをより一そう積極的にやるべくいま計画を立てておりますが、ただいま御質問のございました陸上交通事業調整法につきましては、御承知のようにこれは昭和十三年、日華事変の最中にできた、いわば総動員法的な法律でございまして、いま形式的には残っておりますけれども、もちろん現在この法律は実質的に機能いたしておりません。したがいまして、この法律に基づく命令で当時きめられました、たとえば東京環状線内は都営、外は私営のバス会社でそれぞれ地域を分担するという当時の事情は、その後、戦前、戦後の状況の変化によりまして変わりまして、御案内のように環状線内にも民営バスは乗り入れをいたしておりますし、また都営も一部環状線外に出ております。したがいまして、この法律があるために、特に郊外についての足の確保ができないということはございませんので、この法律はもう事実上機能いたしておりませんで、道路運送法に基づいて適正な申請があれば、公営であると民営であるとを問わず、路線の延長なりそういうことを私ども認めていきたいと思っております。
  316. 田代文久

    ○田代分科員 しかし、実際上においては、いまのお話、この法律は全然機能を果たしてないというようなお話ですけれども、そうではなくて、たとえば大きな自治体で、自治体自身としてバス路線を延ばしたいところがある場合に、これにくくられて、ここはもう私鉄が入っているのだからそれはできない。そうすると、そこの住民は、自分たち都市で自分たち都市自身がバスを延長さして、自分たちを便利にしてくれということがこのためにできないというのは何事だ、というのが実際にあるわけですよ。そういう点で非常におかしいと思うわけなんですが、いまのお話ですと、この陸上交通事業調整法というのは機能を果たしていないということですね。これははっきり言われました。そうすると、この法律はもう廃止されたらいいじゃないですか。廃止される意図があるかどうか、御答弁を願いたいと思います。
  317. 野村一彦

    ○野村政府委員 郊外等へたとえば公営のバスが申請をする場合にも、現在私どものそれに対する免許をするとかしないとかいうことは、道路運送法でやっております。この陸上交通事業調整法は事実上もう機能していない、これを廃止すればいいじゃないかという御意見、そういう意見は、実は私ども部内で議論をいたしますと、運輸省の部内でも一部ございます。それも一つの御意見だと思います。しかし、最近交通事情の変化等に伴いまして、たとえば事業者の意に反してもある団地輸送等を確保するために何らかの法的措置が必要であるというような場合に、この法律が直ちに現在の時世で発動できる状態であるとは私は思いませんけれども、こういう法律を現代版に焼き直したような考え方ということも考えなければなりませんので、そういうことも含めていろいろと検討いたしております。直ちにこの法律を廃止するということは、私どもは考えておりません。
  318. 田代文久

    ○田代分科員 それはおかしいですよ。実際にこの法律が機能してないのに、いまおっしゃるようだったらこれは機能しておるじゃないですか。また機能する可能性もないわけじゃないですね。さっきあなたははっきり、実際においては機能力を発揮しない状態になっておるとおっしゃったのだから、それならそういう法律は要らぬじゃないですか。おやめなさい。これはめんどうくさいですよ。私自身だってそういうものはないほうがいい。むしろこれは逆用されるような危険性さえあるし、そういうことも聞くものですから。いまのお話だと、とにかくまだ息をついているのだし、またつかすべきだということで、少し矛盾しているようですが、これは大臣、はっきり廃止の方向でぴしゃっとされたらいいと思うのですよ。  時間がありませんから、最後にお尋ねしますが、私鉄の四十六年の上半期の営業成績というのは、御承知のように運賃の値上げによって、たとえば京王帝都などは三六・三%の増収をあげており、そして確実に大体一割配当をずっと続けておるというような黒字経営ですね。同時にまた、内部保留というようなものも非常に十分されておるというような状態ですね。それであるにもかかわらず、一般の利用者から見れば、なぜバスだけを切り離して、そしてバスのほうはうまくいきませんから値上げをさせてほしいという申請を次から次にやってくるのかですね。また現在これは出ておると思うのですが、こういう関係にあるのに、私は、私鉄なら私鉄が一つの経営として上げる場合にやはり全部が黒字でなければだめだというようなことじゃないと思うのです。非常に多角的な経営をやっている場合ですね。ですから、そういう場合には、国があるいは運輸省がこれを監督し、あるいは許可をするとかしないとかという場合、その点をはっきり全体的な把握のもとに決定してもらわないと、被害を受けるのは結局一般の利用者、住民だということになるわけですね。ですから、一方においては、私鉄としては黒字経営をやっておるのに、バス料金を上げてくれというようなこと、それからまた、実際に公共性を尊重して地域住民の足を確保するために路線を延ばしたりあるいは開発しなければならぬという場合にそれを全部ストップするということになるわけですね。ですから、値上げを申請してきた場合に、私は運輸省としては値上げは認めるべきではないと考えますが、大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
  319. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在、たとえば東京都を中心とする事業について申し上げますと、私鉄大手におきましては、私鉄と部門を切り離して独立しているバス事業は二社でございます。あとは全部私鉄の会社がやっておるわけでございます。私ども値上げの申請を検討いたします場合には、バス事業部門についての収支の状況を見るわけでございますが、これは各事業とも共通でございまして、それぞれの事業の部門で見るわけでございます。その場合に見る標準といたしましては、合理的な経営のもとにおける費用を償い、かつ適正な利潤を含むという道路運送法の基準に基づきまして、具体的には経済企画庁と私どもとで相談をしてきめました審査の基準というものにのっとってやっておるわけでございます。したがいまして、バス事業部門の収支ということを中心に見るという道路運送法のたてまえから、そういう検討をいましておる段階でございます。
  320. 田代文久

    ○田代分科員 そういう面からだけ見て、そして値上げ申請が来たらよろしいというように簡単にやってもらっては困りますね。それをはっきり主張しまして質問を終わります。
  321. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で田代文久君の質疑は終了いたしました。  安宅常彦君。
  322. 安宅常彦

    安宅分科員 皆さんいろいろ政策の問題について、当第五分科会運輸省のことをやってきたようですが、私は、分科会でございますから具体的に一つ一つ質問します。表現が悪いのだけれども、ウサギのふんみたいにぽろぽろになります。したがって、高通な理論や何かはあまり述べないでください。具体的な質疑応答をしたいと思うのですが、公共政策割引というのは一体どういうものなんでしょうか。
  323. 山口真弘

    ○山口政府委員 国鉄の公共割引と一般にいっておりますのは、本来通常の価格の形成であるところの価格と非常に異なって、国の政策に基づきまして割引を行なっているというもの、これが公共政策割引でございます。たとえば、定期券の割引だとかあるいは特定の生鮮食料品その他の物資に対しまするところの割引であるとか、あるいは新聞雑誌等に対しまする割引であるとか、そういうものが一般に公共政策割引といっておるものでございます。
  324. 安宅常彦

    安宅分科員 それから営業政策割引とかいうものもあるのだそうですね。これはどういうものですか。あなたのほうの営業の関係ですか、政策関係なしに。どういうものですか。
  325. 山口真弘

    ○山口政府委員 国鉄が営業政策割引と申しておりますのは、いわば国鉄の営業上の理由に基づく割引でございまして、たとえば、その割引によりまして出荷を確保するというような性格の場合に、割引することによりまして利用者の便益も促進し、同時に国鉄の経営の改善にもなるというものを営業政策割引と称しております。
  326. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、米とか野菜とか、ああいうものはどっちに入るのですか。
  327. 山口真弘

    ○山口政府委員 品目によってではございませんで、全体としてのたてまえが政策的な見地で割引をしておるものは公共政策割引でございます。あるいは米とかそういうものに限らず、営業政策の見地から一定の数量をきめまして、そしてその数量以上に出荷をいたしておる場合には割引をする、これが営業政策割引でございます。
  328. 安宅常彦

    安宅分科員 それで、公共政策割引のことについては、この前の国鉄運賃の改定のときに、昭和四十一年三月でしたか、それで改正になったと思うのですが、この公共というのは公共企業体の公共なんですね。それでどうしても納得できないことがあるのです。一つは、自主流通米というのがあるのです。よく聞いてみたら、あのころは、四十一年のときには自主流通米はなかった。なぜあとから自主流通米というのが公共割引に入ってきたか、それだけ特別割引しているのかなと思ったのですが、そうじゃなくて、よく聞いてみたら一般的に米となっている。国鉄経営が苦しくなったから農林省と相談したのかどうか、政府と相談したのかよくわかりませんが、政府買い上げ米、簡単にいえば配給米、配給米の分はそのままにして、そうして自主流通米だけは割引している、こういうことになっているのだそうですね。国民の大多数は――国鉄総裁や大臣は自主流通米ばかり食べているか知らぬけれども、みんな公共の立場に立てば配給米を食べているのだね。なぜ自主流通米を公共割引にしなければならないのかわからない。本末転倒じゃないですか。これはどうですか。
  329. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いま先生おっしゃいましたように、米の割引は実は昭和四十一年からいたしました。そして四十三年になりまして、赤字の国鉄がということで食糧用のものについては割引はやめました。そのときに加工用につきましては残したわけであります。  それはなぜかと申しますと、政府が荷主でなしに、実際の使用者が荷主である、食管会計でないという意味で食糧用と加工用と分けまして、加工用だけは割引を続けておりました。それから四十四年になって自主流通米ができた。その自主流通米につきましては……(安宅分科員「農林省から頼まれたの」と呼ぶ)いや、これは同じ米であるから、加工用については、何と申しますか、すでにその前から割引しておりましたから、この自主流通米の加工用も食管の加工用も同じようにした、こういうことでございます。
  330. 安宅常彦

    安宅分科員 酒米とか、いわゆるそういうものは加工米や何かというのでしょうかね。自主流通米というのは加工米ですか。
  331. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 これは加工用と食糧用と両方あります。
  332. 安宅常彦

    安宅分科員 みんな国民が思っているのは、そんな規則のことを考えているのじゃないのですよ、総裁。配給米はなかなか安くしない、また物価統制令あたりを撤廃して上げるのじゃないか、自主流通米なんというものは農民いじめのもので、減反政策や何かが出てきたからあんなものが出てきたので、食管法をつぶして農家を苦しくするものだ、自主流通米というのは、農家の人が見れば恨み骨髄の米なんだ。そうして一般の人から見れば少しうまいから高くやる、こう思うから、何とかして高く見せないように、こまいようなところだけれども、政府が国鉄に頼んで運賃も安くしてもらって、何とか国民から批判を少なくするために、自主流通米の値段を十円でも二十円でも安く売ってやろうというように、非常に手の込んだ、ずるいやり方をしておるのではないかという疑問を持っておるのです。もうこういうことを考えなければならないですね。一般の庶民というのでしょうか、大部分の人が食べる米は運賃が高くて、特権階級みたいな人が食べる自主流通米のほうが運賃が安いなんというべらぼうなことはないではないか。実際に鉄道にいる貨物掛の人が、みんなそう思っている。おかしいじゃないか。どうですか。これは運輸大臣政策と言った以上、公共と言った以上、これは同じにするのが正しいと思いますが、どうですか。
  333. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまお話を承って、私もわかったような気がしますが、しかし、私のいま聞いてのあれでは、食管会計の政府で管掌している米は、消費者米価はきまっておりますから、まあ運賃のいかんにかかわらず、最終末端の消費者に、われわれに渡るところはさまっております。国鉄も政府機関であるし、食管会計も政府機関でございますから、その配分をどうするかというだけで、価格の変動は、これはやはり変わらない。まあ国鉄の赤字を幾分でも埋めてくれる、こういうことじゃないかと思うのです。  それからもう一つの自主流通米のほうは、これはやはり国鉄の営業として、ある一定のあれを定期的に出せば、まあ少々引いても、国鉄のこの貨物輸送、需要がちゃんと来ているんだから、これは商売としてやっていいんじゃないか、こういうことじゃないか、私はいま聞いておりましてそういうふうに感じたのですが、いかがですか。
  334. 安宅常彦

    安宅分科員 そんなにあなたは専門家じゃないのに知ったふりするとぼろが出ますよ。いいですか、消費者米価はきまっているんですよ、あなたきめたんだから。だから、そのきまっている中には倉敷費から、輸送費から、それから歩減りから、卸値段から、小売り商のもうけるマージンから運賃まで、みなちゃんと入れて、それで消費者米価何ぼときめるのだよ。そうでしょう。運賃安くなったら消費者米価下がるんじゃないの。それを、自主流通米はまけておくけれども、普通の米はまけないというのは、これは庶民から見たらおかしいじゃないかと、こう言うのですよ。どうでしょうか。
  335. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私のほうから言わせますと、まあ自主流通米をまけるというのはおかしいかもしれません。一定のもうけがなくてですね。ところが、一方はいま御承知のとおり、私のほうは一般の公共貨物、公共の割引の貨物についても、全部もう国鉄は赤字だから、政府機関でやっているやつは上げてくれということでもって、これは全部廃止にしようということでやっている次第でございまして、その点で、自主流通米のほうがそのゆえに一般のあれよりも安くなるかどうかという問題があろうと思う次第でございますが、これは、まあ国鉄の財政のほうからまいりますると、この点は公共料金の対象となっている政府の米というものは、それは政府のほうで負担をしてくれる、こういうふうなたてまえでやっている次第でございます。
  336. 安宅常彦

    安宅分科員 私は議論しようとは思わないですよ。そういうことで法律論争をしようと思わない、政策論争をしようと思わないと、一番先にそれは断わっているのですよ。だれが見たって、公共政策割引といった以上、荷主が一般の人だとかそんなことを言うのだったら、いろいろ議論あるのですよ。それはあとでやりましょうか。だけれども、金持ちが食う米を国鉄で割引で運んでいるそうだ、貧乏人が食う米は高い運賃で運んでいるそうだ、そんなばかなことがあるかということについて、具体的に答えられますか、大臣。これはおかしいじゃないかという疑問を庶民が持つのは当然だと思いませんか。
  337. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 どうも、私もあまりこまかいこと知らないで申しわけございませんけれども、自主流通米の中で、加工用のほうは政府の食管会計のほうの加工用と同じように、いわゆる公共割引をしているわけでございます。これはまあせんべいだとか酒米が入っているわけですが、これは同等に扱っているわけであります。これは去年の秋に割引率半分にいたしました。  いま先生の御質問は、たぶん自主流通米の中の食糧用のもののことだと思います。これは、自主流通米でない政府の食管米のほうのいわゆる公共割引を、さっき申しました四十三年にやめてもらったわけでございますが、その後に自主流通米ができたわけでございますね。したがって、それにつきましては私のほうは無条件の割引はいやだと言いまして、定形輸送と申しまして、何県から東京なら東京、どこから大阪というふうに定形輸送、集約輸送と申しますか、まとまって輸送するものだけについて、それは全体の二・八%だそうですが、それはそれじゃ、いままでの加工用と自主流通米の中の加工用とのバランスをとって、そして同じように割引しよう、しかし、それも四十七年の九月一ぱいにする、こういうお約束をしてやったわけでございます。
  338. 安宅常彦

    安宅分科員 まあ、あとで問題起こさないようにしてくださいよ。さっき総裁、農林省に頼まれたろうと不規則発言をしたら、そうでございますと、うっかり答えちゃっているんだけれども、そうすると、農林省と相談したんだな。そうですね。
  339. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 農林省とは相談いたしております。
  340. 安宅常彦

    安宅分科員 そのとおりなんです。  農林省、食糧庁長官来てますか。――どういう相談をいたしましたか。
  341. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。  この問題につきましては、まず、四十三年の九月でございましたか、十月以降につきまして、国鉄の赤字の問題もあり、従来やっていただいておりました公共割引をやめたいという御相談がございました。そのときに、食糧庁といたしましては、もちろん運賃が上がることは好ましいことでございませんけれども、やはり国全体の立場としまして、政府管理米について公共割引をやめられることはやむを得ないということで、実施してもらっております。  と申しますのは、先ほど先生もおっしゃいましたように、御承知のように、食糧の配給価格というのは、それにコストが幾らかかるかということできめておるのではないのでございまして、一般の家計費や物価その他の経済事情を参酌して、消費者の家計の安定を旨として定めるというふうに食管法に書いてございまして、そういう形できめておりますので、国鉄運賃が上がりましても、私のほうの配給価格は変わらない。したがって、その当時の物価への悪影響はない、こういうことで、政府の管理しておるものにつきましてはやむを得ません。ただ、政府が売りましてから持ってきます酒米でございますとかあるいは加工原材料、こういったものにつきましては、運賃を民間が負担いたしますので、これは直ちにその製品にはね返ってくる性質を持っておりますので、この分につきましては公共割引を続けていただきたい、こういうことで、こういうふうな決定がなされたということでございます。
  342. 安宅常彦

    安宅分科員 食糧庁の次長だそうですけれども、私が農業のこと知らないと思ってそういうことをおっしゃるのか知りませんが、消費者米価を上げるとき、運賃だのすっぺったの、いろいろな理屈を述べてますよ。家計に響かないように、法律でちゃんと、第四条ですか、きまっている。そんなことは知ってますよ、私は。あなた、そういう答弁をして何かのがれるようなことはいけませんよ。そんなことじゃないですよ。それじゃ、なぜあのとき上げたんです。家計に重大な響きがある、消費者米価上げてもらいたくないという全国的な運動の中で、農林省は強引に上げたじゃないか。なぜ上げたんです。そんなことを言うなら、みんな大騒ぎだ。金持ちなんというのは、米が少し上がったって、おかずを一ぱい食っているから問題ない。おかずはあまり食えないで米ばかり食っている貧乏人のほうは、ちょっと上げられただけで、エンゲル係数がびゅんとはね上がる。そういうときに、あなたのほうはどんなことをしましたか。今度は物統令から何から、まるでのらりくらりの答弁をなさっているが、各分科会なり予算の本委員会でも、黙って聞いていると、――赤城さんからだ弱いから、私はあまりやじを飛ばさないで、私も質問ぐらいしたいけれども、かわいそうだから黙っているんです。そういう、食糧庁の次長たる者が、そんなことを私に答弁して、ここをのがれられると思ったら大間違いだ。これだけは注意しておきますよ。  ただ、そうならば、加工用のせんべいをつくる工場は経営が苦しいんだろうから、運賃を安くしてやったほうがいいと思ったということはわかる。食糧用の自主流通米なんてあなた方かってにつくったものだ。これは業者が自主流通米をつくってくれなんて、言ったかもしれぬけれども、全体はそういうことをしたら実質的な米の値上がりになるというんで大騒ぎしたのですよ。それを、食糧管理法を撤廃する前提のもとにあなた方は必死になってやった。みずからつくったものでしょうが。それを、国鉄が苦しいというのにこれだけ割引してくれなんという相談を、なぜ持ち込んだのです。
  343. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 自主流通米につきましては、その後……
  344. 安宅常彦

    安宅分科員 なぜ申し込んだかと言っているのですよ。
  345. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 私のほうは、自主流通米について特に申し込んで交渉したことはございません。
  346. 安宅常彦

    安宅分科員 国鉄総裁、それではなぜ自主流通米だけ、一般の配給米が高くなってしまったのに、なぜ頼まれもしないのに割り引いたか。頼まれたと言っているのですよ。農林省から私に説明にきた人は頼んだ覚えはないと言ったが、あなたのほうでは頼まれた覚えがあるかないか言ってください。
  347. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 頼んだとか頼まれたということよりも、私どもといたしましては農産品についての運賃は必ず農林省にお話ししております。もちろん、それはイエスと言われない場合もあります。一方的な、たとえば四十三年にやったときは完全に了解を得られないままこれをやらざるを得ない場合もございましたが、しかしいずれにいたしましても、お話しをしないことはございません。
  348. 安宅常彦

    安宅分科員 こんなことばかりやっていると時間がなくなってしまう。  それでは、国鉄総裁はたいへん国の、農業の問題なりいろいろなことを考えて、食糧管理法を廃止したほうがいい、自主流通米というのははびこらせたほうがいい、ひとつ割引してやろうかという公共政策的な判断に基づいて、農林省からそういうことを特別相談なくても割引をなさっているのでございますか、農業政策まで考えて。
  349. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私どもは、政府の食管米でさえも割引をやめてくれと言っているので、自主流通米ができましたときにも、私どもあまり農業を知りませんけれども、そのうちに加工用と食糧用があるが、全部しょうとしてもこれはできない。だから、輸送上、特にメリットがあるものだけはやりましょうということで、全部はやってないわけです。それでいろいろな、私どものほうは自主流通米の中で国鉄輸送としてぴしっとして輸送上非常にメリットのあるものだけはやりましょう。いわゆる営業割引を食糧用はやっております。加工用は公共割引でございます。それから、自主流通米の食糧用は営業用でございます。
  350. 安宅常彦

    安宅分科員 米というのは一定量以上出すと、一俵ずつ運ぶ人はいないのですよ、自主流通米というのは。大きな荷主になるんじゃないですか。だから、今度はそれは営業割引だと、あなたはさっと目をひるがえした。なかなか磯崎さんらしいやり方ですが、事実上そういうメリットのあるものということで割引していることは事実なんです、どんなに言いのがれようとしても。これは同じじゃないかと私は言うのです。それは、高い米を食う人は高い米を食ってくださればいいのです。だから、そんなもの顧慮する必要はない。農林省からぜひこれだけ残しておいてくれと言われない限り、あなたのほうはそんなことする必要はないんじゃないか、私はそう思うのだが、どうですか。
  351. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 そのとおりでございます。
  352. 安宅常彦

    安宅分科員 しかも、九月三十日限りだとおっしゃいますが、この公共割引料金の制度というのは残るわけですね。そうでしょう。全部廃止するつもりですか、コンブでもワカメでもここに、一覧表に書いてあるのは全部……。そうしますと、たいへんまた物価にはね返るというようなことで、問題が非常に大きくなりますね。運輸大臣、これは経済企画庁あたりと御相談の上ですか。
  353. 山口真弘

    ○山口政府委員 それにつきましては、政府部内で経済企画庁ともいろいろ相談いたしまして、去年の十月に半分改定をする。そしてことし十月に残りの半分の改定をするというふうに、政府部内で意思の一致を見ております。
  354. 安宅常彦

    安宅分科員 そうしますと、今度米の問題から離れますけれども、これは時間がないからどういうことになるのか聞いてだけおきますが、バレイショからタマネギから木炭、まき、炭鉱の坑木、原木、もうあらゆるものがいろいろな意味で書いてありますね。そうしたら、これは鉄道運賃がそういういままでの政策割引、公共だとか営業だとかは別として、そういうことをやっておったということをすぱっと廃止した場合には、相当物価にはね返るでしょうね。大臣、どうなんですか。
  355. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 もう一ぺん念のために数字を申し上げますが、いわゆる公共割引の中で二種類ありまして、これはそう意味がございませんから一本にいたしますが、いま先生がおっしゃったように全体で五十一億の割引をいたしております。これを昨年の秋に実は一挙にやめていただきたい、この分は農林省なり通産省で持っていただきたい、国鉄はこれ以上負担できないということを強くお願いいたしました。それじゃ一回は無理だ、二度に分けてやってやろう、場合によっては農林、通産でもってできれば運賃の補給というふうなことを自分たちの予算で考えるということにすべきじゃないかということで、私のほうとしては協力する。しかし、一回が無理なら二回ということでお約束をしていただいたのです。
  356. 安宅常彦

    安宅分科員 そんなことを私は聞いていないよ。大臣に物価にはね返るんじゃないかとそれだけを聞いた。
  357. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 それははね返ることは事実です。
  358. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、公共政策割引は別ですか。   〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 あなたは出荷奨励のためにとおっしゃいました。そのメリットのためにまけたほうがいいという営業割引は残すということになりますか。
  359. 山口真弘

    ○山口政府委員 さようでございます。
  360. 安宅常彦

    安宅分科員 こういうものは国鉄総裁が、つまりあなたの権限できめられるものですか。
  361. 山口真弘

    ○山口政府委員 さようでございます。国有鉄道総裁の権限で営業割引を実施いたしております。
  362. 安宅常彦

    安宅分科員 何かそういうことについて基準はあるのですか。
  363. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在の運賃制度につきましては、これはごく大きなところは国有鉄道運賃法で法定をいたしまして、そうして細部につきましては国鉄総裁がその自主的な判断によってきめる。その中でさらに重要なものにつきましては運輸大臣が認可をする、こういう形になっております。国鉄総裁の自主的な運用によりまして能率的な経営をさせるという趣旨で、これは国鉄総裁にまかしております。
  364. 安宅常彦

    安宅分科員 原則は、運賃は法定なもので、あと料金ですか、そういうものはあなた方というふうに大体区分けができておると思うのです。そうであるとすると、貨物運賃というのは、運賃という中に入っているものもかってにあなた方できめられるという自由裁量の権限が相当大幅にあるということでしょう。この人は大荷主だからひとつまけてやろうとか、あとから大量に出してくれる客だからとか、これだけなんですか、理由は。そうでしょうね。
  365. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 運賃法の八条に全体としての収入に大きな影響を及ぼさないときはということがございますが、私どもといたしましては部内的に一つのルールをつくっております。たとえば、貨車の空車の方向であるとか、時期であるとか、シーズンであるとか、そういういろいろな具体的なルールをつくりながら割引をいたしております。
  366. 安宅常彦

    安宅分科員 そのルールはあなたのほうでかってにきめられる。これについては国会に相談は要らないし、そうすると、客車に乗っている人たちはいろいろな値上げがどんどんくるけれども、大きな荷主だけは割引されるという、それだけが今度は残りますね。そうですね。季節的にたくさん出してくれるもの、引き続いて大きな荷主であるもの、こういうものだけが今度は割引の恩典に浴するわけだな。こういうふうに理解していいのですか。
  367. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 公共割引がなくなると営業割引だけになります。したがって定期割引あるいは団体割引のような形になると思います。
  368. 安宅常彦

    安宅分科員 それはいいです。これは大きな荷主だけになる、小さな荷主はメリットがない、こういうことですね。
  369. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 大きい、小さいと申しますのは本質でなしに、たとえば農産品でもたくさん残ります。
  370. 安宅常彦

    安宅分科員 農産品とか私は農業のことは言っていないよ。大きな荷主だけが割引になるのですね。
  371. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ちょうど団体割引と同じようなものであります。
  372. 安宅常彦

    安宅分科員 だから、そうだろうなと言っている。
  373. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 さようであります。
  374. 安宅常彦

    安宅分科員 だから、国鉄はみんなのためだとか国民のためだとかいうんじゃなくて、やはり荷物を多く出す人はもうかるんだなということになってくる。これは考えたほうがいいんじゃないですか、大臣。そういうことは交際費みたいなもので、安宅常彦が鉄道のために一生懸命働いてくれる。――鉄道は関係ない。普通の会社で、めがねならめがねを売ってくれるだろうという判定をして、そして銀座で交際費を使った。ところが、おれはめがねの専門家じゃないからだめだ。だけれども、飲ませたのは交際費で落としてもいいなんという、そういうものと論法は非常に似てくるんですよ。それはどこかでチェックするというか、だれか大きなものだけがもうかるんじゃなくて、小さな商売をしておって、たくさん出す人と少なく出す人との差というものはその辺からも出てくる。これはよほど、いろいろ矛盾もあるでしょうから、その検討をする余地があるような気がいたします。大臣、どうですか。
  375. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般もいま先生が御指摘になったのに似たような御議論がございました。国鉄は営業の増収という観点からいたしますと、やはりそういうふうにまとまってきたものが、手数も省けて経費もかからぬから、その点で割引したほうがいいだろうという観点でやっておる次第でございますが、それだけではいけない点もあるかと思いますので、検討いたします。
  376. 安宅常彦

    安宅分科員 赤字だ赤字だといって大騒ぎしていて、なかなかおうようなものですな、磯崎さん。これも、どうなんですか、ついでに考えてみたら。私はそう思いますよ。そんなに赤字だといって、ばたばたしているんならば……。そう思います。これは物価との関係があるから一がいには私は言えませんが、検討したほうがいいと思うんです。  それで、関連して一つ聞きますが、貨物の留置料だとか保管料だとかありますね。あれは一定の時間なり一定の日にちなり駅の構内に積まれると何か料金を取られる制度ですね。しかしあなたのほうでは、いろいろ困る方もおるだろうし、まあまあ鉄道から荷主が減っては困るから、ひとつかんべんしてやれ、あまり取るなという内部通達か内面指導があるように聞いておりますが、そのとおりですか。
  377. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 留置料、保管料だけは、私もうろ覚えでございますけれども、私が四十年前に国鉄に入ったときと同じような規則がまだ残っております。これは非常に非近代的なものであって、荷主が逃げる一つの原因になっております。したがって最近、三年ほど前でしたか、もう少し扱い方を官僚的でなしに、画一的でなしにやれという通知を出しておりますけれども、私はまだそれが足りない。この際もっと思い切って、ある程度もう少し、何時間なら何時間、一日なら一日というふうに、もう少し流通過程に即したようなあれをしませんと、いま実は汎用貨車が余って困っております。そういうような時勢に、鉄道だけしがなかったときのようなルールがそのまま適用されているということには一つの問題があると思います。しかし、いまある規則は規則でございます。
  378. 安宅常彦

    安宅分科員 規則というのは法律ですか。
  379. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いや、部内の規則です。
  380. 安宅常彦

    安宅分科員 こういうものこそ、あなたのかってにやれることでしょうね。だから、こういうことは考えたほうがいいと思うんです。不公平ですよ。そうでしょう。ある人は、あのやろう、おもしろくない荷主だなと思えば、徹底的に取ってやれということになる。ときどき酒一升駅に持ってくるなんというものなら、国鉄総裁の通達もこれあり、かんべんしてやれ、ありがとうございますということになる。これも非常にまずいと思うんです。これも規則は規則ならば、取ったらどうですか、そんな赤字の国鉄は。私はそう思うんですよ。これはこういう弊害が起きております。私はなぜこんなこまいことを言ったかというと、かんべんしてやれということで、ありがとうございましたと言ったら、あなたのところのマル生運動の、一組から二組に移すための飲みしろなんかここから出ているところがうんとあるんですよ。いいですか。あなたのほうで、本社からマル生運動をやれといって予算をどういうふうに流しているのか知らぬけれども、それで足りない場合は、貨物掛は二組だ、しめたというので、業者からかんべん料で来たもの、それで一ぱい飲みに行こうじゃないかというふうにやっていることが、私のほうにちゃんと投書が来ている。そういう弊害があるんですよ。米の問題で言うならば、農民いじめの食管法廃止の片棒をかついで、自主流通米はそのままにしておいて、今度はこっちはどうかというと、労働者いじめの、労働組合切りくずしの材料に使われているんですよ。そういうところに因果関係、おけ屋と風じゃないけれども、そういうところまで堕落しているところがあります。規則は規則だとあなたはおっしゃるけれども、取るなとかなんとか、自由裁量のできるような通達を出せば、法のもとに平等であるはずなのに、それが国鉄からよく思われているか悪く思われているかの差によって、これが取られたり取られなかったり、そんなばかなことはないでしょう。そうして手荷物だとかなんとかというと、すぐぴたっと取る。しかし、一ぱいあったって、取らないところは取らないし、小荷物なんか届いて取り行かないと、間違いなく取る。これも庶民いじめだ。こういうのは、荷主や何か、大きく出しているのは全部ごかんべん、まあまあ取らないでおこう、磯崎さんから通知がきているから、いいよ、まけてやるよ、ありがとうございました、今後ともよろしく、とこうなるんです。吉良上野介みたいなのが一ぱい出てくる、あなたのところに。これははっきりしてください。これはどういうふうにしたか、私のところに、どういうふうにしましたという措置をあとでぜひ知らせていただきたいと思います。
  381. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 承知しました。
  382. 安宅常彦

    安宅分科員 なおマル生運動の問題、これは名誉がありますから……。個人の問題が出てくる。あなたのほうでもいろいろ努力しているようだから私も言いませんけれども、もしそういうことが今後とも続いて起こったという判定があった場合には、直接あるいは運輸委員会なりどこかで、こういう駅ではこうやっているという事実を言うかもしれません。そういうことがないように指導をしていただけますか。
  383. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私もそこまで話が及んでいるとちっとも知りませんでした。十分注意をいたします。
  384. 安宅常彦

    安宅分科員 それから鉄道営業法では、座席にみなすわらせるということになっているんですね。そうですな。そのとおりでしょう。
  385. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 定員以上を乗せてはいけないというふうに書いてございます。
  386. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたのほうは、年末だとかお盆だとか、私らが帰るとき着席料を取るんだね。それから指定券というのもおかしいじゃないか。座席にすわらせなければいけないんだ。あなたのほうの原則はそうですよ。お客さんが一ぱいいるから少しもうけてやれ、そういうことでやるのは脱法行為か越権行為じゃないですか。着席をさせるために料金を取るということはおかしいじゃないですか。着席をさせるのがあたりまえなのに……。
  387. 山口真弘

    ○山口政府委員 営業法では「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限り乗車スルコトヲ得」という規定がございます。この規定はいわば広報的な意味で、たとえば鉄道は……
  388. 安宅常彦

    安宅分科員 そんな時間はないんだよ。だから、着席させなければならないのに、着席券として金を取るのはいいか悪いかを聞いているんだ。いいか悪いかさえ答えてもらえればいいんです。
  389. 山口真弘

    ○山口政府委員 着席券というものは、そこに一定の時間までに来れば座席を確保する、保証するというための制度でございまして、もしそれがなければほかの人がすわってしまうという制度でございます。
  390. 安宅常彦

    安宅分科員 だから、早く来た人はすわれるんです。いいですか、おそく来た人はすわれないんですよ。ところがちゃんと予約をして、何らかの金を取って着席できるようにしたのは、おそく来ても着席できることは間違いでしょう。金を取って着席させるのは間違いじゃありませんかと言っているんですよ。
  391. 山口真弘

    ○山口政府委員 その点は、やはりそういうような必要があって、そのための要望があるわけでございますから、その要望にこたえた制度として着席料を取るということは違法ではないと思います。
  392. 安宅常彦

    安宅分科員 要望があれば、法律に書いてないことでもやってもいいんですか。
  393. 山口真弘

    ○山口政府委員 法律にそれを禁止している趣旨はございません。
  394. 安宅常彦

    安宅分科員 どうしてですか。着席させなければならないんでしょう。この間、あまり客を乗せたから、傾いたことがありましたな。あれじゃいけないからということで、これは安全のためにつくったのかもしれませんけれども、金を取らないでも、法律の基本なり営業法の基本なりは、ただですわれるはずなんだよ。それを御要望があるからとか――この間、小林さんの質問に対して、あなたは、このごろお客さんがぜいたくになりましたなんて言っておりましたが、非常に悪いことばだと思うんですね。そういうことであってはならないんじゃないですか。早く来た人が、着席券を買わなかったのですわれない。そうしておそくのこのこ来た人が金を出しておった。だからすわれた。金を取らなくてもすわれるはずな法律になっているんですよ。何で違法でないというんですか。
  395. 山口真弘

    ○山口政府委員 まず、先ほどぜいたく云々ということばがございましたが、それは私、言った覚えはございません。  それからいま申し上げているのは、営業法で、座席がなければいけないということをいっているわけではございません。この規定の精神はそういうことを言っているのじゃなくて、「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得」と書いてございまして、鉄道の座席が存在しない場合に乗せてはならぬということをいっているわけではございません。したがいましてたとえば定員以上の方が乗られましても、別に違法ではございません。
  396. 安宅常彦

    安宅分科員 そんな解釈は聞きたくない。当然着席させなければならない。国鉄が、乗客が多いのに、汽車を増発しないで、金で着席させるというのは法律の精神に反すると庶民は思っています。あなた、どんな官僚的な解釈をしようとそれはいいです。あなたのほうでそういうことならばそれでけっこう。時間がなくなる、あなたと議論していると。あとで詰めます、時間があるときに。  それから、私、しょっちゅう夜行、夜行で帰ったり来たりしているんですが、私、奥羽線なんですよ。そうしますと、赤羽駅あたりで目がさめるのですよ。なぜ目がさめるかというと、皆さん次は赤羽です、赤羽から上野間は人家が密集いたしておりますから、お手洗いの使用は御遠慮願いますという放送でびっくりして目がさめるんですよ。そうしたら大体目がさめるころというのは人間同じように詰まっておるんですね。そのとき、あと小便してはいけないというんだから、これは困ったものだと思うんです。これは十年間、私が国会へ出てからずっと乗っておるのですが、あれは、国鉄労働組合がたれ流し白書か何か出して、国鉄当局に改善を求めてから何年になるでしょうか。
  397. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 あのときにいろいろ黄色い害のことが問題になりまして、当時八百億という計上をいたしました。そして現在大体年間十五億ないし二十億ずつくらい金を出して直しております。
  398. 安宅常彦

    安宅分科員 この間島本君の質問で青函連絡船の海の中に捨てる問題についていろいろ議論がありましたね。いま公害というと、何とかPPMだとかそういうPPM公害のことばかり新聞や何か書くものだから、みんな頭がそうなっているんじゃないですか。一番基本的な、PPMもへったくれもない、とにかく黄色に粉末をかぶらなければならないという最も具体的で最も庶民的なそういう公害のことを忘れてしまっているんじゃないでしょうか。何億かけたかは別ですよ。ここ十数年間、私はいまでもそれでやられる。新幹線なんかはそれをまき散らさないんだそうですが、なぜあれは私ら東北の人間が乗る汽車だけだめなんですか。どこに使っているんですか、その金は。
  399. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実はいま一生懸命各車両をやっております。すでに千二百両くらいああいう設備ができました。ただ実際一番問題になるのは、地上設備と申しますか駅の設備でございます。駅といってもそれを取り出して下水に入れるまでの設備でございます。これがなかなか地元の市町村はおれのところで人の屎尿を処理するのはいやだということで、屎尿を車から出したあとの問題が実は非常に問題になっております。そこに非常にネックがあるわけです。
  400. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、それは東京都がそうですか。
  401. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いまやっていますのは東京と大阪だけでございまして、そのほか現在千葉県の幕張それから北九州の南福岡、そういうところも地元となかなか折衝がつきません。私どもとしては設備をいまやっております。
  402. 安宅常彦

    安宅分科員 要するに、簡単に言うと、東京都の美濃部知事反対しているので、あれはできません、こういうことになりますか、私らの奥羽線は。
  403. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 そうじゃなしに、東京にはすでに新幹線の設備がございますから、それはやっています。
  404. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、東京都は下水道のところで始末できるようなそういう設備をすることに賛成だったら、奥羽線の上野に来るものはたいへん早く解決できるはずだと思うのですが、総裁どうです。
  405. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 奥羽線、東北線の車両というのは地上設備ができればなるべく早くやりたいと思います。これは決して東北をどうこうというのでなくして、地上設備のできたところからやってまいります。
  406. 安宅常彦

    安宅分科員 そうしますと、大体山形あたりから東京に来るまでの列車の中では、もうどこか途中で始末しなければどうにもならないというふうな詰まり方をするためにだめなんですか。理屈は合わないじゃないですか。私は東京に近くなってから小便したくなるのですよ、ほんとうの話。東京でいいなら、東京都の上野駅に着くのですから、車両基地はつけられるのじゃないですか。
  407. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その車にまだついていないのです。
  408. 安宅常彦

    安宅分科員 だからなぜつけないか。
  409. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 それはいま一生懸命つけているわけです。
  410. 安宅常彦

    安宅分科員 東京都がいいというならかまわないじゃないですか。あまりもうからない路線だからあと回しになったという意味ですか。
  411. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 そういうことは絶対にございませんので、地上設備のできるところからつけているということでございます。ただ、一個編成全部ならなければいけないものですから、それで時間がかかっています。
  412. 安宅常彦

    安宅分科員 たとえば今度逆にいうと、東京から出発するときは向こうがだめだからつけたってだめだ、こっちに来る分についてはかまわないのだ、こういう意味ですな。具体的に聞きますとそうですな。
  413. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 車の運用がいろいろございますので、東京だけではだめなんです。やはり相手方にございませんと、往復もつだけのタンクを持っておりませんと、片道しか使えないということもございます。
  414. 安宅常彦

    安宅分科員 そういう理由であなたが答弁したならば、これは、これも時間がないからあとでどういう車両基地があって――奥羽線あたりを通る汽車は、たとえば特急でもそうですよ。車の運用があるそうですが、大体同じ車だそうです。そうすると、どこの車両基地がまだだめなのか。東北本線、奥羽本線に関係する資料をぜひいただきたいと思います。いいですね。そのほかに理由ないですね。
  415. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 もうございません。結局金……。
  416. 安宅常彦

    安宅分科員 金はいままで言わないです。どんどん使っていると言っています。
  417. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 年間十五億から二十億使っています。
  418. 安宅常彦

    安宅分科員 だから東京の話をしたら、それは今度別の問題だ。金の話をしたらだめだ。
  419. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 年間十五億から二十億……。
  420. 安宅常彦

    安宅分科員 それは金がないからということは、もうからない路線だから、だからだめなのかというと、そういうことの質問に対してはそうではございませんとあなたは答弁したから……。
  421. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 もうかる、もうからないという路線でなしに、新しい車にどんどんつけているわけでございますから、新しい車の入るところからやっていく。しかし必ずしも東海道とか山陽だけでなく、東北線なり奥羽線とどんどん新しく車が入っています。
  422. 安宅常彦

    安宅分科員 奥羽線は一つもございませんね。
  423. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 奥羽線にはございません。
  424. 安宅常彦

    安宅分科員 総裁は金のことでは一ぱい出していると言ったものだから、金がネックだと言いたくなくて、下水の処理施設のことで逃げよう逃げようとしているからそういうことになるのです。しかしそれは何年になるかということを一番先に私は質問しているのですよ。国鉄労働組合から提起されてから何年になるのです。こういうものこそ基礎的なものじゃないでしょうか。そういうものはもっとスピードを出さなければならないのじゃないですか。それをやらないで合理化、合理化と言うけれども、あなたは合理化は首切ることばかり合理化だと思っているから、そういうことになるのですよ。こういうことははっきりしてください、私どもはそう思います。  たとえば、あなたのほらの運輸省の省内の雰囲気というのは、非常に悪いんじゃないかと思うのですよ。これは国鉄総裁とは直接関係ありませんから、大臣に聞きますが、これは言論の自由の問題になってきます。それは、陸運局の車検場を縮小し、県に一カ所くらいにした。その後自動車が非常にふえた。それで民間に委託する指定工場ですか、車検場ですか、そういうものをおつくりになった。最近、この車検場というのが非常に多くなってきているので、競争みたいなことになっている部面もある。あすこの車検場に行くとあっさりやってくれる、うまくやってくれる、だからあすこに行こうじゃないかというふうなこともあるらしいし、それがでたらめな車検なものだから、すぐ交通事故のもとになるというような批判も私はいろいろ聞くのです。それでそのことについて私は聞きたい。どういうことなのかぜひ教えてくれ、分科会のことでもあるからと私は言いました。つまり指定工場にする認可基準というのがあるのか、基準があっても近い将来この基準に達するであろうというので、基準に達しないものでも許可をした例があるのか。交通事故が非常に頻発している時期ですから、私はそういうことを聞きたいのだと言ったんです。  そうしたら私、忘れておったことが一つありまして、私の屋敷続きの、これは分家だって同じ家族みたいなものですが、それが車検場を経営しているのですよ。それを忘れておったんですね。気がつかなかったのが、きのう分家の大将から電話がきまして、それて私のことを――私は安宅常彦でございますが、常彦ちゃんというのですよ。常彦ちゃん、あんた車検場のことで質問するそうですね、と言うのですよ。なぜおまえさんはそれを知っておるのだと言ったら、いやそれは車検の振興協会といいましたかな、そこから電話があって、あなたのうちのところだって基準ぎりぎり一ぱいなんだからそれは質問しないほうがよかろうと代議士に言っておけ、こういう電話が来たというんです。これはたいへんじゃないですか。そういう行為はどういうふうに――おそらく自動車局から新潟陸運局に行って、新潟陸運局から山形の陸運事務所に行って、それから協会に行ったんでしょうか。協会と運輸省の、つまり何というんですか、陸運局とは非常に密着している、非常に大きなうわさがあるのですよ。悪いことをしているといううわささえもある。ハイヤー、タクシーの許可や何かでは非常に疑わしい局面に何回も立ったことが私はある。そういうことが頭にあるものですからぴんときたんですね。なぜそういうことを運輸省はやらなければならないのでしょうか、結果的にでしょうけれども私の言論を押えるようなことまでなぜ手配をしなければならないのでしょうか。山形県の車検場におかしなことがあると、その人たちには一つも言っていないのですよ。ただ、認可基準をきめておるが、認可基準に達しないけれども、近い将来達するであろうということで許可した例があるかないかという質問をしようと思ったんです。そうしたら、私の家族と同様なものからやめてくれという電話が来る。どうです、大臣
  425. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そういうことがございましたのはまことに不届きしごくだと私は思う次第でございます。いやしくも運輸行政をやっておりまして、至らぬ点も多々あると思う次第でございますが、国民の代表の議員から公の席で、いろいろ運輸行政につきまして詳細に御質疑をいただき、それで改めるべきは改めていくということが政治の一番基本でございます。特に民主主義政治でございますので、そういう点のあれがありましたのはほんとうに申しわけない次第でございます。さっそく調べまして、万一そういうような不届きな行為をした者がありました場合には厳重戒告をいたしまして、将来にわたってそういうことなきを期したいと存じますので、何ぶんとも御容赦のほどをお願いする次第でございます。
  426. 安宅常彦

    安宅分科員 これは私の分家に、おまえさんのところでやると、おまえの親類のだか本家のだか知らないが、代議士がやるとあぶないぞということは言わないけれども、――それはおそらくどういう言い方をしたか知りませんよ。そういう調査を、私のうち同様のところへ行くということ自体おかしいんじゃないかと思うのですね。やるのかと聞いておるじゃないか、何でだと言ったら、あとで意地悪をされると困るから、何とかやらないでくれということを言うんですよ。そういうふうに思わせる言辞があったと思いますね。これは非常にいけないことだと思いますね。それは各省ごとにどういう内容でしょうか、どういう内容でしょうかといって国会に、まるでたんぼにイナゴが入ったようにわあっと来るんですね。人間をイナゴにたとえては悪いけれども、――これは非常に悪い表現であれば訂正しますけれども、数限りない人が質問の要旨を聞きにくるのですね。教えないと、上司からおこられるような、涙をこぼさんばかりの顔をするんですね。こんなに国家公務員が多いとか少ないとかいろいろわあわあ言われているときに、ああいう要員はもっと本来の仕事に差し向けてみたらどうですか。運輸省ぐらいはそんなことをしたらどうですか、ああいうことは聞かせないようにしたら。たいへんな労働力の浪費だと私は思います。
  427. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御叱正を受けましてたいへん恐縮でございますが、しかしやはり先生方の質問に対しまして的確な答弁をいたしたい、できるだけ詳細に調べておきたい、予備知識も得たいということも一つのあれでございまして、大体お知らせを願える件についてはある程度のお知らせを願いたいと思う次第でございます。それも度を過ぎましたらいかぬかと思う次第でございます。その点を勘案いたしまして指導をしてまいりたい、かよに思う次第でございます。
  428. 安宅常彦

    安宅分科員 指導の結果についてぜひひとつ通知をしていただきたいと思います。  それで自動車局長に聞きますが、先ほど言ったような、つまり近い将来基準に達するであろうというので許可した例がありますか。
  429. 野村一彦

    ○野村政府委員 審査をいたしました時点において基準に達したもののみを指定をいたしておりまして、近い将来ということで指定をした事例はございません。
  430. 安宅常彦

    安宅分科員 間違いありませんか。
  431. 野村一彦

    ○野村政府委員 間違いございません。
  432. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、それはあなたのほうの陸運局がそういう仕事をしているのではなくて、運輸省やらせていましたな、何か笹川さんの協会みたいなところに。ああいうところにみんなまかせ切りにしているのではないですか。そういうところで適当にしていませんかね。そういうものをチェックする必要があると思いますがどうですか。
  433. 野村一彦

    ○野村政府委員 指定整備事業、いわゆる民間車検の指定を受けたいと思う整備事業者は、陸運事務所を経由して陸運局に申請をいたします。陸運局は一定の基準に達しておるかどうか、その設備及び人員について陸運局及び陸運事務所がみずから審査いたしまして、そしてそれが基準に合致している場合にはこれを認めるということで、部外の団体等にその審査をやらしているということはございません。
  434. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、その振興協会には、国鉄からは助成金や委託料とかそういうものに類する金は一切出ておりませんか。
  435. 野村一彦

    ○野村政府委員 整備振興会は事業者団体でございまして、それに対して国からの助成はいたしておりません。
  436. 安宅常彦

    安宅分科員 それじゃ大臣、なぜ振興会を通じて私のうちまで来たかという疑問は、私あとでずっと方々で洗ってみなければならないと思っております。そういうところで案外実権を握っているのではないですか。ただ協会を通じないとなかなか許可しないようなしかけになっていたり、官庁機構が、法律ではそうなっていましてもそういうことがあると私は思っているのです。時間がないからこれはきょう議論はしない。  しかし、あなたのほうの陸運行政というものは非常に評判が悪い。もしこういうことについて、私の質問に明確に答えられるんだったら、何もずっと私のうちまで、質問しないほうがよかろうと言わぬばかりの、そういうことはしないはずだ。それをするところに何かうしろ暗いところがあるのではないですか。言論の自由の問題、国会議員が院内で発言をするのを押えるというのは憲法違反の行為だ。あなたが常日ごろ部下にそういうことを指導しているから、そういう雰囲気だからそういうことになると思うのですよ。それはあなたの責任で、こういうことをやった人が悪いなんて私は絶対言いません。これはあなた、実際に通知したときは責任をとってもらうかもしれない。これは重要なことですよ、言論を封殺するのですから。  それでこういう庶民の――私は庶民の話ばかりして悪いのですが、またそれは正しいと思っているのですが、鉄道に対する不信感が非常にあるのですね。私のところに山形県の東根市の芦野さんという人から投書があって、これは山形新聞の投書欄に載せたのをわざわざつけてよこして手紙が来ました。これによりますと、この人は奥羽線の楯岡という駅からいままで山形に通っておったが、今度米沢に転勤になった。そうすると、あそこで通勤者の乗りかえがあるからなんでしょうが、その連絡が悪いというのです。ダイヤ改正になったら、四十三分間山形で汽車が投げっぱなしだというのです。これをいままでより十分早く山形に到着してくれるようにダイヤを組んでもらったら、四十三分投げられるその十分先に山形駅から楯岡という駅へ通ずる列車があるんだそうですね。そういうことは、特急や新幹線もけっこうだけれども、われわれ通勤者の身になったらどうなるのだという投書です。これは通告してあるはずですが、どういうことになっているでしょうか。
  437. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘の点はございました。このあとに走っております改正前のダイヤが、お客さまが非常に少のうございましたので、それを繰り下げたわけでございます。それで先生のおっしゃった前の汽車と十分の食い違いができて能率が落ちた。しかも山形の駅に四十分ばかり実は停車するかっこうになっております。それはいま御指摘をいただくまでもなく検討いたしておりまして、ただ検討の結果はいずれ御報告申し上げますが、検討いたしておることは御報告いたします。
  438. 安宅常彦

    安宅分科員 四十三分間投げられたと言いますけれども、ほんとうにそうですよ。いま四十三分間たつと、楯岡という駅に行っちゃうんですよ。国電なんか一分に一ぺんくらいで来るでしょう。それを四十三分間も投げられるのです。タクシーにでも乗ればうちへ着いてしまうんですよ。そんな投げ方は、これは支線であったら別だ。非常に山奥の支線だったら、あるいは何だか知らぬけれども――そこだっていかぬと思いますが、奥羽本線なんですよ。これはお客さまが少ないからといって、それは少し米沢で待っていたほうが――通勤者が役所から帰る時間から何から計算してやった仕事でしょう。それは、私は何も文句を言わないつもりですが、それが山形まで来たら、今度山形から楯岡とか新庄あたりまで、あのお客さんというものは決して少なくありません。私はこれで十数年間汽車通勤したんですから、そんなことありませんね。ですから、連絡のしかたは何かというと、やはりその時間に急行が通っているとか――あなたが国会でどういう答弁をしょうが、みんな通勤者というのは知っているんですよ。投げられるのは、その間に急行が行ったり、特急が行ったりで、くそ、また行きやがったと思って四十三分間投げられるのです。そういう投げ方は、かご屋あたりの時代の話だ。とにかく、今日スピードが非常に要求されている時代において、何ぼいなかだといっても、四十三分間投げておくような政策は、たいへん時代おくれ、時代錯誤もはなはだしいダイヤの組み方じゃないでしょうか。検討した結果、あなたの御要望はいれられませんなんという検討の返事が来るんだったら、これは許せないと思いますが、どうですか。そのことについては相当検討をしておるんでしょうか。どういうことですか。
  439. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 先ほど申しました列車を切りましたのは、米沢と山形の間でございます。先生御指摘のように、山形-楯岡、これは確かに御利用の乗客が非常に多うございまして、この間は切っておりません。いま御指摘の、十分前に発車する列車と申しますのは、実は新庄で折り返して急行になる列車でございますため、いろいろダイヤの運用上、苦労いたしております。検討の結果は御報告申し上げたいと思います。
  440. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたは結局、急行を通すためだということを暗にいま白状したのと同じことなんですよ。それはお客さまが少ないからという意味ではなくて――私は善意に解釈しておった。米沢の役所が大体五時に終わる。終わるのは米沢だって東京だって同じ十七時なんですから、十七時三十分ころに発車をしていた。町から米沢の駅まで案外遠いでしょう。だから、少し繰り下げたのかと思っただけなんですよ、そういうことはわかる。あとで私は言ったんですが、私はあなた方に理解を示しているつもりなんです。それは三十何分かでいままでどおりに、急行や何かの関係がなくて時刻改正しなければ、山形から楯岡の駅にしゃあっと、四十三分間投げなくても行かれるダイヤを組めるはずだというのが、この投書をした人の願いなんです。ぜひ聞いてやっていただきたいと思います。
  441. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 ちょっと補足させていただきますと、いま切りました列車は……(安宅分科員「切ったのじゃない、おくらせた」と呼ぶ)切りまして、一本にいたしたわけでございます。そのために待ち時間が長くなったということでございます。これは先生おっしゃるように、急行を通すためにいたしたんだということではなくて、ダイヤがいろいろこんでおります。その間に貨物の列車も入ります。実は、こういうかっこうで四十三分の時間がとられた。これは検討いたしております。あとで御報告いたします。
  442. 安宅常彦

    安宅分科員 切ったんだったらぴんとこないでしょう。庶民というのは正直ですからね。ああ汽車がないんだなと思うのですね。切ったのじゃなくて、今度はわざわざつないでくれたというんでしょう。つないでくれた列車が途中で四十三分間投げられる。それは官僚的なやり方じゃないかと私は言っているんですよ、逆に言うとそういうことです。だから、これは総じていえることは、どうも米の割引の問題から、さっき申しましたように、いい提案をした国鉄労働組合が総裁に弾圧をされておる。あの提案をしたのに、何年間も、まだ御遠慮願いますとやられる。小林進さんはそれを、生理的な現象を押えているのは国鉄だけなんだという表現をしておりましたが、そういうことばづかいではなくて、ほんとうにみんな困っているのですよ。また流されるほうも困っている。汽車に乗っているほうもみんな、夜行列車で朝日がさめたときに、やるなといわれるのですから、こんなにつらい汽車の旅はないです。大衆のことを一つ考えてないで、農民の食管法なしくずしの手伝いをしてみたり、マル生運動の手伝いを留置料や保管料でやってみたり、そうかと思うと、通勤者の利便なんというのを考えないで、急行や特急を通すために四十三分間、しかもいなかの駅でなくて山形駅であけておくなどという政策をとってみたり、少しは国民の鉄道に恥じない政策をぜひとってもらいたいものだと思います。これは大臣と総裁から、基本的な姿勢について、最後に答弁を賜わりたいと思います。
  443. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ矛盾につきまして御指摘をいただきましたので、そういうところも踏まえまして、漸次改正をしてまいりたいと思っておる次第であります。
  444. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 十分御趣旨を体しまして、今後の施策に反映さしたいと思います。
  445. 安宅常彦

    安宅分科員 では、どうもありがとうございました。
  446. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて安宅常彦君の質疑は終わりました。  次は中野明君
  447. 中野明

    中野(明)分科員 まず最初に、航空運賃の問題から入りたいと思います。  本年の一月に、民間航空会社の三社から運輸大臣に、四月一日からの国内の航空運賃の値上げを申請してきている、こういうことを承知しておりますが、これにつきまして、御承知のように、二月から一斉に公共料金の値上げが表面化しまして、非常に物価にはね返って、たいへんな心配をしているわけですが、この国内航空運賃の値上げについての大臣の姿勢といいますか所信を最初にお伺いしたい。
  448. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国内航空運賃につきましては、ただいま申請が出されているということを承知しております。しかしながら、これらの問題は、物価に及ぼす影響もございますので、慎重に検討してまいりたいと思います。
  449. 中野明

    中野(明)分科員 国内運賃は、幹線とローカル線とありますが、幹線のことはまたの機会にいたしますが、今度申請をしてきたローカル線の平均の値上げ率は幾らになっておりますか。
  450. 内村信行

    内村(信)政府委員 ローカル線の運営をしておりますのは、全日空と東亜国内航空と二社ございますが、値上げ幅につきましては、全日空が、旅客の場合二八・八%、それから東亜国内航空の場合が二四・九%、これが大体、平均の申請でございます。
  451. 中野明

    中野(明)分科員 いま全国平均の値上げの幅を言われたのですが、一例をとってみましても、非常にべらぼうな値上げを申請している区間もあるわけであります。大阪-高知間を見てみましても、現在四千円でございますが、これが五千八百円に、約四五%の値上げ案が出ているということを聞いております。この線は、御承知かと思いますけれども、ほんとうに利用率が非常に高くて、全日空ではドル箱路線だと私どもは理解しております。もう一〇〇%に近い乗客の率のようです。ところが、これが四五%も値上げの申請をされて、もしそれを運輸省が認可されるということになりますと、いよいよ――御承知のとおり、四国そのものが離れ島ですが、その中でも高知県はなお一番端っぽのほうで、すべての面で後進地域といわれているわけであります。そういうことに対して、もう一度大臣のほうから――この運賃は検討するということをおっしゃっておりますが、ドル箱路線といわれているようなところでこのようなべらぼうな値上げが申請されている。事もあろうに四五%というような値上げは論外だろうと思うのです。こういう点大臣の今後の航空運賃に対する考え方、こんな問題については幾らでも方法があると思いますが、値上げを押えるという強い決意で対処していただきたい、このように思うのですが、もう一度。
  452. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 四五%というのは申請、向こうの希望だと思いますし、御承知のとおり、公共料金の認定は、各事業別に収支状況を勘案いたしまして、要するに諸経費に償う費用を算定いたしましてきめる次第でございます。それらの点からいたしますので、そういうような点を十分に検討いたしまして、国民の皆さまがこの程度ならしかたがないという程度で押えるということがやはり望ましい姿だと思います。それからまた時期につきましても集中的にやるということはいろいろ問題もある次第でございますので、そういう点も慎重に考慮をして検討するつもりでございます。
  453. 中野明

    中野(明)分科員 こういう輸送業務というものは、公共性の非常に強いものでありますが、そういう点、いまの大臣の答弁の趣旨のように今後も極力値上げの幅を押える、時期もいま公共料金の値上げのやかましいときですのでよく検討を加えていただきたいということを強く要望しておきます。  航空運賃のほうはその程度にしまして、きょうは主体を国鉄に置いて質問したいと思います。国鉄の宇野――高松間の航路、宇高連絡船がございますが、ここにホーバークラフトを運航する計画がございまして、三月十五日の新幹線の岡山開業に合わせ屈してこのホーバークラフトを開業する。今回の目玉商品の一つだろうと私どもも期待を持っておったわけでありますが、このホーバークラフトの開業が三月十五日の予定であったのがいまなお開業できない。これについてはどういう理由がございますか。
  454. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘のとおり非常に高速の船でございまして、新幹線が岡山まで開業するに合わせまして四国への連絡を少しでも早くという意味でホーバークラフトの採用を私ども検討いたしましたが、その前に向こうの保安上の諸条件につきまして、地元の鉄道管理局と海運局その他関係の機関といろいろと協議、審議、調査をいたしました。そしてある程度の保安を確保するための基準が出まして、試運転などをいたしましたが、航路につきまして、どの航路を通るかにつきましてなお検討すべき問題があるということになりましたために、三月十五日を一応見送りにした、こういう次第であります。
  455. 中野明

    中野(明)分科員 三月十五日からホーバークラフトを運航するというこの計画並びに準備は、いつごろからなさったのですか。
  456. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 実は去年の七月ごろから部内的にそういう話がございまして、先ほど申しました運航の保安条件につきまして、関係諸官庁の御指導を仰ぐ委員会をつくりましたのが九月。ですから厳密に申し上げますと、七月からいろいろ準備を部内的にいたしました。そして基準その他を御審議いただきますのを九月から始めた。こういうことであります。
  457. 中野明

    中野(明)分科員 三月十五日の開業というのは、確かに岡山の新幹線の開業と合わせて本州と四国の連絡時間を短縮する、そういうことで、いわば国鉄の基本方針として至上命令的なものであったろうと私も思うわけであります。ところがいまのお話では、去年の九月から関係方面と打ち合わせをしてやっておったのだけれども、いまなお開業できない、こういうことですが、海上保安庁もおいでになっていると思いますが、海上保安庁のほうではどうなんでしょう。去年の九月から申請なり打ち合わせがあって、今日まで安全航行の結論が出ないというのは、何か特別に開業がおくれた理由があるのでしょうか。
  458. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この問題につきましてはただいま国鉄側からもお話がありましたように、先生も御承知かと思いますが、備讃瀬戸の東航路というメーンの航路が通っておりますのを宇高の航路が横断するということで、備讃瀬戸東航路につきましては一日の船舶通行量が約千四百隻くらいあって、船舶の非常にふくそうした航路であるわけであります。御承知のとおり非常に島が多うございます。この中をホーバークラフトが高速で走るということにつきましては、安全確保という見地から私どもはいろいろな角度の検討をいたさなければなりません。そのために現地で検討し、また中央でも検討するという体制をとってまいりましたが、中央へ上がってきた段階におきましていろいろ現地での御苦労のあとを顧みましたけれども、やはり航路としては現地で一応考えられたものが必ずしも適当でないのではないかというようなこと。さらにはまた船そのものが本体的な欠陥ということではございませんけれども、やはりそういった船舶のふくそうしておるような場所におきましては、たとえば見張りの強化がもう一段とできるような体制等も考える必要があるのではないかというようなことがいろいろ議論になりまして、もう一そうそういう点を確認すべきではなかろうかということで、やはり場所、地形、潮流、そういう船のふくそう度ということで真剣に検討いたしました結果、国鉄当局におかれましても今後なお実船その他において検討をさらに重ねるということに相なった次第でございます。
  459. 中野明

    中野(明)分科員 いま言われたようなことは、いままで国鉄も宇高連絡船を運航していることですし、海上保安庁も当然現在の状況というものはよく御存じ、専門家ばかり集まりまして昨年の九月から三月十五日開業を目ざして検討を加えておられるというふうに私どもは理解をするわけであります。それが全然未知のところ、現在運航もしてないようなところならば、ある程度検討するのに時間がかかるとかいうことも考えられますけれども、国鉄当局の三月十五日開業というところに無理があったのか、それとも地元の打ち合わせがうまくいかないのか、せっかく計画されて、しかも新幹線の開業と合わせて本州と四国をより短く結ぼうという努力も水のあわになっているのではないか。地元では浮き桟橋もすでに完成されて大々的に竣工式をやって四国全体の人が大きく期待をしておる。それが結局新幹線の開業にも間に合わず、いまだに先の見通しも立たないということでは私は非常におかしいと思うわけです。そこでこれはやはり安全性の問題もありますので保安庁にあらためてお尋ねをするのですが、ホーバークラフトの安全性の結論はいつごろ出されるつもりなんですか。
  460. 手塚良成

    ○手塚政府委員 このホーバークラフトの安全性自体につきましては、世界的に見ましても実は確立した基準なり何なりの絶対的なものはまだないと思っております。先般御承知のとおりイギリスにおきましても、あれほど多用しておりますけれどもさらに事故が起こっておるという状態でございます。運航管理規定などはやはりそのためにいろいろな角度から、日々いままで運航されておりますものにつきましても種々検討を加え、変更をされておる状態でございます。したがいまして、今後先ほど申し上げましたような条件の場所でもございますので、そういう面を考慮をしまして、できるだけ早くと思っておりますが、やはり実船、実際のホーバークラフト等によります実験等も加わりますので、私のほうも早くやりますが、国鉄御当局と一緒になってなるべく早くというふうに申し上げたいと思います。
  461. 中野明

    中野(明)分科員 初めの三月十五日開業という線が全然出ていなければ、私はいまの答弁でも了承しますけれども、三月十五日から始めるということで大々的に宣伝もし、国鉄当局もそれに合わして準備をしてこられて、今日の時点になってなおいまの答弁では、全然見通しが立たないような、いつだかわからないようなそういうことでは困ると思うわけでありますが、この点国鉄当局のほうの三月十五日の開業目標の設定が間違っておったのかどうか、この点をもう一度……。
  462. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 実は前後してお話を申し上げて恐縮でございますけれども、ホーバークラフトの計画をいたしました先に、新幹線の岡山の三月十五日の開業計画を具体的には固めていたわけでございます。したがいまして、三月十五日の計画あとにホーバークラフトの計画が出てまいったわけでございますから、三月十五日そのものの新幹線の開業は決して無理な筋合いではありません。ただ、ホーバークラフトをせっかくやるならば、三月十五日の時刻改正に間に合わせようじゃないか、こういう計画が進んでいた、こういう事情でございます。
  463. 中野明

    中野(明)分科員 国鉄当局は、この時点においていつごろを目標にしておられますか。
  464. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 先ほども保安庁長官から御答弁がございましたように、ホーバークラフトの運航に伴う保安上の基準の成案は実はできてまいったわけでございますけれども、基準航路の設定と、備讃瀬戸とが非常にふくそういたしております。まずどのルートをとるかという基準航路につきましては、もう少し御検討をいただいた上でということに私どもは考えておりますので、その時期を待ちたい、かように考えております。
  465. 中野明

    中野(明)分科員 幾ら言っておっても、それは海上保安庁の最終的な安全性の結論が出なければどうしようもないということでありますが、そういう諸般の事情を考えていただいて、一日も早く――いまのような御答弁を聞いておりますと、これはもう来年になるやらどうやらそれがわからぬような感じを持つわけですが、ぜひ年内なら年内とかということをめどにするなり、秋をめどにするなり、そういうことを一応の目標を設定されて、そうしてそれまでに鋭意努力をしていく、それがたてまえではないだろうか、私はこのように思うわけですが、おそらく国鉄もここまで計画しておられる以上は、これを中止される考えはないだろうと思いますので、その点、もう一度保安庁長官のほうから方向をお示しいただいて、次に移りたいと思います。
  466. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほど御答弁もありましたように、運航マニュアルというものが一番最初に必要でございますが、その点につきましては相当十分に検討し、変更もなされ、まずいまでき上がっているものは妥当ではなかろうかと考えております。  残る問題はルートでございまして、このルートについては宇高東、西航路あるいは備讃瀬戸航路の関係におきまして、当初検討されました航路は私どもは適当ではないと考えております。新しい航路を設定するほうがベターである。よって、それはいまの実船、実際の船等を使いまして、そういう航路を見つけ出すわけでございますので、いまいつまでと明確なる期限はお答え申し上げかねますけれども、やはりできるだけ早く国鉄と共同してそういうものを開発をしたい、かように考えます。
  467. 中野明

    中野(明)分科員 それ以上の答弁は現時点では無理なようでありますので、いま備讃瀬戸の航路の話が出ましたので、関連してひとつ確認だけしておきたいのです。  大臣も御承知のとおり、海上交通安全法というものが制定されるいま準備段階に来ておりますが、この備讃瀬戸の東航路を航行する船舶、これに対していろいろと、優先航行権があるとかないとかいうようなことでずいぶん議論がありました。地元の四国としましては、これは本州と四国を結ぶ一つの生命の航路ともいうべき線でありますので、この点地元から非常に心配があったわけですが、今回提案されるこの法案の中でいろいろ漁船の待避義務とかの免除とか、横断時の原則その他いろいろの条件が考えられたやに聞いておりますが、海上衝突予防法に基づく航法でいけるように配慮されているのかどうか確認をしておきたいと思います。
  468. 手塚良成

    ○手塚政府委員 航法、横切り関係の航法につきましてはいろいろ議論があるところでございまして、原案の過程におきまして、当初先生のおっしゃるとおり航路を備讃瀬戸のほうを優先させる、そういう原案があったことは確かでございますが、その後さらに諸般の情勢を検討いたしました結果、原則的に現在やっておりますような海上衝突予防法の原則によるということにいたしました。ただし、巨大船と呼んでおります長さ二百メートル以上の船、これが備讃瀬戸を東西に運航しますについては、この船に限り優先度を持たせる、こういうようなことでただいま原案としてせっかく検討をいたしております。
  469. 中野明

    中野(明)分科員 了解です。  先ほども話が出ておりましたが、国鉄の今回のダイヤ改正に伴いまして、これは全国的にいろいろと苦情が出ていることを私どもも承知をしておりますが、特に今回の改正で高知県のダイヤの改正のために通勤通学者がたいへんな迷惑をこうむるような結果になっているわけであります。もうたいへんな改悪になっております。一つの例をあげてみますと、いままで高知の駅発が下りで六時三十二分の一番の通勤列車、それが今回の改正で五時三十九分、一時間早まっております。そうしますと、これは総裁も大臣もそういう悩みはなかなかおわかりいただけないかと思いますけれども、いなかのほうは朝そんなに早いと一切交通の便がありません。駅へ行くにも徒歩で行く以外にないわけです。そうしますと、そういう人たちが朝、いままでなら五時に起きて行けたものが、四時に起きなければならない。もう毎日のことであります。それから上りのほうも、土佐中村から今度は高知のほうに上ってくる、これも結局時間がたいへん不都合な時間に変わっているわけであります。そのために地元では非常に騒ぎまして、何とかならぬものだろうかという声が強く出ておりますが、この点についておそらく当局のほうにも要望なり陳情が出ていると思いますが、どのように配慮されるつもりなのか。
  470. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘のとおりの事情が案はあちらこちらにございますけれども、これは実は私どもは輸送のダイヤを改善いたしましたあとは、実情の見直しなどをやって逐次修正してまいりたいと思っております。  先生ただいま御指摘の、朝早く時間を繰り上げて出発するという列車につきまして申し上げたいと思いますが、これは実は中村から高知へ向かう列車を朝の始発を三十分繰り上げた。これは高知の地元の方々並びに中村の地元の方々がビジネスとして九時半までに高知へ着くようにダイヤを改正してくれ、こういうふうな非常に強い御要望が県当局にございました。その御要望に合わせたということが一つでございます。  ただし、そのために、いまお話しの通勤通学の方々の朝の時間を少し繰り上げたということで御不便をおかけするような結果になりましたけれども、一部通学の方につきましては時間が繰り上がって接続がとれないというようなところも実は出てまいりましたので、これは佐川につきましては、ごくわずかの学生でございますけれども、国鉄バスの時間を連絡するように修正をいたしました。これは、その方々には国鉄バスを利用いただいておるということでございます。それから、浦ノ内地区につきましても、これは高知県交通バスに国鉄バスと同様時間の修正をしていただきまして御便宜をはかるということで、この両地区につきましては解決をいたしたわけでございます。  ただ、いま残っておりますのは、現地の四国鉄道総局がいろいろ検討しておりますが、野見地区でございます。野見地区に船で国鉄の須崎へ参ります学生さんが四名ほどあって、船の到着前に列車が出てしまうという事情が出てまいりました。これにつきまして、時間がわずか三分、四分の違いで国鉄の列車が出てしまうということで、いまこの巡航船と折衝いたしております。この巡航船の時間を五分程度切り上げて早く到着していただければ、これはもうこの学生さん方にも満足でありますし、それから中村地区並びに高知地区の皆さん方の御要望も全部満点になる、こういうかっこうでございますので、現在、この巡航船――錦浦巡航船でございますが、ここと折衝いたしております。しばらくこの折衝の結果を待っていろいろの措置を考えたい、かように考えております。
  471. 中野明

    中野(明)分科員 下りの一時間早まった分はどうなるんでしょう。
  472. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 下りの一時間早くなりましたのは、この地区先生御承知のとおり、ローカル列車はあちらこちらでいろいろとダイヤの立てかえをいたしておりますけれども、この地区はローカル列車の本数を削減した地区じゃございません。ただ御承知のとおり、新幹線が岡山まで開業いたしました。この新幹線と合わせるためにいろいろ、特に土讃線でございますけれども、ダイヤの立て組みを変えました。上りをたとえばそういうふうに新幹線に間に合わせる、接続いたしますためには、やはり行き違いその他がございますので、下りも時間を上げなければならぬ。全部の駅で行き違いができればいいんですけれども、そんな関係で下りも変わっておるという次第でございます。
  473. 中野明

    中野(明)分科員 これはどうにもならぬのでしょうか。私が先ほど申し上げたように、一時間朝の時間が早まったことによって、これに乗りおくれたら、定期を持っている人もまたわざわざ切符を買って急行で通勤通学をしなきゃならぬ、こういう不便も出ておりますし、朝の一時間というのは皆さん方お休みになっている時間ですからぴんとこないでしょうけれども、五時に起きるのと四時に起きるのとはこれは生活の中にたいへんな支障が来るわけでありまして、これは乗務なさる国鉄に働いている人、乗務員の人もたいへんなことだろうと思うんです。こういうだれもが喜ばない改正、それよりももう少しくふうをして、一時間も早めるというようなことのないようにならぬものだろうか。私部外者でよくわかりませんけれども、これではあまりにも改悪過ぎるではないか。毎日のことですから、通学あるいは通勤、こういう点で、土佐山田からずっと須崎のほうまで行っている列車です。これが高知で一時間早まっておるということは山田でも一時間早まっている、どこでも一時間早まっているということなんですね。こういう点、どうでしょう。総裁も聞いておられる、運輸大臣も聞いておられますが、現実にその時分に起こされるということは、毎日のことですからこれは容易なことじゃないと思います。もう一度御答弁をお願いいたします。
  474. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 私ども列車のダイヤを設定いたします――抽象論から先に申し上げたいと思いますが、朝の一時間というのは、確かに先生おっしゃるとおりに、特に冬でございますと非常にきびしい時間でございまして、これを一時間繰り上げるということは、かってに繰り上げるわけじゃございませんで、一時間繰り上げて利用者の方々への反響はどうだろう、そういったことを実にこまかくサウンドいたします。学校当局の御意見をお聞きすることもございますし、村の自治区の代表の方の御意見を承ることもございますので、その点は実は一時間繰り上げて六時が五時になるじゃないかという御指摘は――時間的にいえば確かにきつい時間でございます。そういう御要望などかまえながらダイヤを組んでおりますので、目下のところではこのダイヤはいいんじゃないかと私は思っております。しかし、御指摘の点もございますし、先ほど申しました船との調整の関係もございますので、見直しは絶えず続けてまいりますことを御約束申し上げます、かように考えます。
  475. 中野明

    中野(明)分科員 何かどうしようもないような話もされたり、検討するという話をされたりするんですが、八時から九時になったりするというような一時間と違いまして、朝の六時と五時、これはもうたいへんなことであるということ、それを考慮に入れて万全の処置を講じていかれるべきが至当だと思います。それどなたの意見を聞かれたか知りませんけれども、汽車を利用しない人、たまにしか汽車に乗らない人が、それは一時間くらいしょうがないという返事はするでしょうけれども、毎日の通学通勤の人はおそらくこんなことに賛成するわけもないし、困るにきまっているわけです。こういう点、はっきりと今後この点については是正を検討すると、こういうふうに腹をきめて対策を講じていただきたい。総裁、どうでしょう。
  476. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ちょっと詳しいことは――聞いたばかりでございますので、先生のおっしゃるのは、高知発の学生ではなく、須崎発の……
  477. 中野明

    中野(明)分科員 高知発の下りです。
  478. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 下りでございますけれども、実際問題は須崎の人たちのことでございますか。
  479. 中野明

    中野(明)分科員 高知、それから土佐山田、土佐山田から高知に帰ってくる人。
  480. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私のほうで聞いておるところでは須崎からの人が非常に困っておるというふうに聞いており、高知発の時間は、五時三十九分と六時五十四分と二つございますが、この高知の時間じゃなしに須崎の時間だというふうに聞いておりますが……。
  481. 中野明

    中野(明)分科員 両方とも問題になっております。
  482. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ちょっと時間もございませんから――もう少し検討いたします。
  483. 中野明

    中野(明)分科員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。  それから、時間が制約を受けておりますので次に進めたいと思いますが、最後にこれは懸案の四国循環鉄道の問題でございます。御承知のとおり、北海道、本州、四国、九州を見てみまして、鉄道が循環していないのは四国だけであります。そのために四国の開発がたいへんにおくれを見せております。特に本四連絡架橋も具体化しておる今日、四国の島内の輸送も特に国鉄の循環が私は最も大事な受け入れ体制じゃないか、このように考えておるわけでありますが、この四国島内の循環鉄道の実現に対して運輸大臣の所信をお聞きしておきたいんです。
  484. 山口真弘

    ○山口政府委員 四国循環鉄道の概要につきましてまず申し上げたいと思いますが、四国循環鉄道と私ども言っておりますのは、一つは阿佐線といいまして土讃線の後免と牟岐線の牟岐の間百キロを回る鉄道、これにつきましては現在牟岐と野根間、それから安芸と室戸間につきましては用地買収、それから路盤工事を実施いたしております。  それから第二に窪江線でございまして、これは宇和島線の江川崎と中村線の川奥間四十キロメートルでございますが、これが全区間路盤工事を鋭意実施中でございます。  それから第三に、宿毛線でございますが、これは宇和島線の宇和島から中村線の中村の八十二キロメートルでありますが、これは現在航空測量、路盤設定を実施しておる段階でございまして、工事につきましては未着手でございます。
  485. 中野明

    中野(明)分科員 運輸大臣にお尋ねするのですが、四国循環鉄道を循環させるという基本的な考え方、これは従前どおり推し進めていかれる考えであるかどうか。そうしてそうであるとするならば、最終いつをめどに四国を循環させる、こういうような方針を持っておるのか明らかにしていただきたい。
  486. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま御質問のございましたとおりの考えで進んでまいりたい。ただいまもそれで進んでいくことでございます。
  487. 中野明

    中野(明)分科員 いつ、何年ごろまでに四国を一通り循環させるという方針で進んでおられるのか。
  488. 山口真弘

    ○山口政府委員 これは鉄道建設のAB線でございますが、そのAB線の工事費の配分との関係がございます。したがって、今後の予算の配分あるいは今後の工事の進め方ということでございますので、ただいま何年ごろということは明確にお答えする段階に至っておりません。
  489. 中野明

    中野(明)分科員 宿毛線の中村から宿毛までの間、これについては調査費も組まれておるようでありますが、いずれにしましても、阿佐線のときも出ておりましたし、高知県は特にその点では一番影響を受けている県であります。ぜひともこれは早期に着工していただきたいということであります。  それからもう一点だけお尋ねしたいのですが、現在、窪江線の窪川から江川崎、この線は順調に工事が進んでおるわけでありますが、この窪江線ができますと、江川崎から宇和島までの宇和島線、これが線路が昔のままであるために、せっかく――この線ができ上がりますと、西四国は途中からですけれども一応循環することになります。ところが、現状のままではその意味をなさない。せっかくここまで努力されて鉄建のほうでも工事を進めておるのですが、宇和島線が一つの大きな険路になって循環が思うようにいかない。そういうことで仏つくって魂入れずというような形になりますので、この宇和島線の改修について国鉄当局の方針を聞かしていただきたいのです。
  490. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま先生お話しの窪江線が全通いたしますと、西半分の循環線が完成するわけでございます。おのずから列車体系といたしましても、こういう循環的な列車体系になろうかと思います。そうなりますと、御指摘の宇和島から江川崎まで、これはおっしゃるように曲線半径も非常に小さいし、軌道状態も悪いということで、そうたいしてスピードが上げられないという状態でございますので、できますならば、これは何らかの措置をしてスピードアップができるようにしたい、こういうふうに考えております。しかし、これはまず第一に予算措置が要ることでございますから、この辺につきましては、よく運輸省と御相談し、御指導いただきまして処置を進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  491. 中野明

    中野(明)分科員 いずれにしましても、先ほど運輸省のほうからお答えがありましたように、阿佐線、それから宿毛線、窪江線、この三つを何らかの形で結ばなければ四国の循環はできないわけであります。そういう点、半世紀にわたる地元の念願でありまして、これができることによって四国の開発も一そう進む。国鉄自体も公共事業としてそういう大きな使命があると私どもも考えておるわけであります。せっかくの鉄道がありながら、行き詰まりのために利用度が少ない、そういうことも考えられて、やはり循環しておるということは財政的にもそれだけ国鉄を利用する人がふえる、これは間違いのない事実だろうと思いますので、ぜひこの循環鉄道は、先ほど大臣のお答えもありましたが、それ相当の腹を固めていただいて、早期に実現するようにお願いをしたい。最後にもう一度大臣から決意を聞いて、多田さんに譲りたいと思います。
  492. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 再度お尋ねでございますが、今回の国鉄財政十カ年計画は、まず根本に、国民に良質サービスを提供するということが主題でございます。再建計画が固まりましたら、ただいまの御希望の御趣旨に沿いまして極力努力してまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  493. 松浦周太郎

    松浦主査 多田時子君の関連質問を許します。中野君の持ち時間は十八時七分まででありますから、念のため申し上げておきます。多田時子君。
  494. 多田時子

    多田分科員 関連いたしまして一つだけお尋ねをしたいと思います。  それは御承知のことでございますけれども、渋谷から二子玉川までのいわゆる新玉川線の地下鉄工事が東急によってなされておりまして、これがこの前でき上がりました高速三号線と同時に着工をされまして、二年おくれの昭和四十八年にこの新玉川線が完成するということで、ほぼ十年余りの間あの沿線の方々、また周辺の住民の方々はこれが完成を鶴首してお待ちしているわけです。   〔主査退席三ツ林主査代理着席〕 ところが最近になりまして、何やらどうもそれが怪しくなってきた、こういうことをいろいろと見聞きするわけでございまして、この問題につきまして現状とまた今後の見通しを、運輸省の立場から掌握されている範囲で御答弁をいただきたいと思います。
  495. 山口真弘

    ○山口政府委員 新玉川線につきましては、ただいま先生御指摘のようにかなり前からの問題でございます。その間非常に時日が経過いたしましたが、一つには、これは計画がかなり変更になりまして、当初は地下鉄直通というようなこともございませんでしたし、また高架でこれを建設するということも考えておりました。それでいろいろな経緯がございますが、その経緯の中で結局現在のように地下鉄直通にする、そしてさらに田園都市線との連結をつけて、さらに新玉川線自体については基本的な部分は地下で建設するということになりまして、現在の計画が固まりました。そして高速三号線の工事とあわせてこれを建設する、こういう運びになったわけでございます。建設の計画が確定するまでにそういう経緯がございましたために、おそくなりましたことは申しわけないと思うわけでございますが、計画といたしましてはこれで確定いたしまして工事を始めておるわけでございますから、この姿で今後は建設が進むわけでございます。  そこで、この建設でございますが、新玉川線の建設といたしましては、今度は地下鉄十一号線と直通の運転をするということにいたしまして、地下鉄十一号線につきましても交通営団に免許をいたしまして渋谷で接続をする、こういうことにいたしております。この地下鉄十一号線の建設でございますが、実は免許を受けまして現在工事に入っておりまして、一応昭和五十年秋を完成の目途といたしまして地下鉄十一号線の建設をいたしております。  それで東急の新玉川線でございますが、現在は渋谷-二子玉川の間九・一キロございますが、その間の約三分の一に当たりまする大橋-三軒茶屋付近の間の約三キロの隧道工事が完成をいたしております。そしてさらに三号線に関連いたしまするところが部分的に完成をいたしまして、今後はさらにその残区間の工事を鋭意進めてまいる、このように考えております。やはり五十年の営団の完成と同時にこの線を完成するということを考えております。
  496. 多田時子

    多田分科員 いま途中で計画の変更があったというふうに御答弁を伺いましたけれども、計画の変更はともかくといたしまして、四十八年に完成するということで進んできた。また住民も、いろいろ不満はありましたけれども、それで納得をして玉電の軌道撤去に応じてきたわけですね。途中いろいろな情勢によって変更されたと言いますけれども、その問題は、玉電の軌道を撤去する時点においては、そうした将来の変更というものは考えの中になかったものでしょうか。まるっきりその後の計画変更でございましょうか、それとも当時から計画変更というようなことが考えられての計画であったか、その点についてもひとつ……。
  497. 山口真弘

    ○山口政府委員 玉川線が廃止になりましたのは四十四年五月でございますが、その玉川線を廃止にいたします決定をいたしましたのは四十三年八月でございます。それで十一号線につきましては、営団に免許がございましたのが四十六年の四月でございます。したがいまして、玉川電車の撤去の段階におきましては、十一号線との完全な接続ということは実はまだ決定してなかった段階でございます。先ほど申しましたように、計画が決定いたしたのが四十三年八月、それから廃止が四十四年五月でございまして、いまの十一号線の免許が四十六年四月ということでございます。
  498. 多田時子

    多田分科員 いずれにいたしましても、とにかくいま都心へ出ますのには全くバスということで、都心まではともかくとして、まず渋谷までどうして出るかということが重大な問題なんです。お近くにお住まいの方もいらっしゃると思いますけれども、あそこにいま盲腸線といわれておりますけれども、東急世田谷線というのがございます、三軒茶屋から下高井戸まで。あの周辺の方々はどうやって渋谷に出るかということが重大な問題なんですね。いろいろ話を聞きますけれども、ある女学生などは、渋谷の青山学院に参りますのにまずあの盲腸線に乗りまして、そして本来ならば三軒茶屋へ出て、そこでバスに乗りかえて渋谷に出る、それが正規の通路でございます。ところが、このバスがなかなか不安定なものですから、遅刻をしないで行こうと思いますと、その盲腸線に乗りまして、それから小田急へ乗りかえあるいは京王に乗りかえまして、それからさらに井の頭線に乗りかえて渋谷に出る。ぐるっと大回りしているわけなんです。これはもちろん時間のロスもございます。同時にまた三べんぐらい乗りかえますと料金を三倍払うということになります。ですから、いわゆる値上げはせずとも、当然乗らなければならない電車に乗ることによって三倍、四倍の金額がかかるということでして、これは目に見えない値上げにもつながるわけでございます。そういう観点からこれを一日も早くということで待ち望んでいるわけですけれども、まず今回鉄建法の一部改正法律案が出ますが、これによって鉄建公団がこの工事を請け負う、鉄建公団の手によって工事がなされる、こんなふうに伺っておりますけれども、こうなりますと、いままではもっぱら、東急さん何とかしてください、こういうことだったのですが、これは当然運輸省が矢面に立ってこの責めを負わなければならぬ、こんなふうに考えるわけでございますが、その点どのようにお考えですか。
  499. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま先生御指摘のように、あの路線は非常な混雑でございまして、バスの運行も必ずしも円滑ではない。おっしゃるとおりでございます。私ども一日も早くこれを完成しなければならぬと考えております。ただ実は先ほど申しましたように、地下鉄十一号線と連絡を、直通運転をさしたいということは、地下鉄線、新玉川線にいたしましても、鉄道線は非常に大きな輸送力を持っておりますから、これが渋谷でもって乗りかえをするということになりますと、現在の地下鉄の銀座線と称するのがございますが、こういった線路の輸送力その他もないわけでございまして、渋谷での大混乱が生ずるであろうというようなことも考えまして、どうしても都心までの直通の路線にしないと新玉川線の効果というものがあらわれないということで地下鉄路線と同じ時期に完成をさせるということでいま鋭意進めておるところでございます。いずれにいたしましても、私どもこれは早く建設しなければならぬわけでございまして、なお、いま御審議をいただいております日本鉄道建設公団法によりますと、重要な工事につきましては、建設公団が建設をかわって行なうという仕組みができるわけでございます。それでこの線などは全く建設公団によるところの工事というものにふさわしい工事でございますので、そういたしますと、私どもも直接の責任といたしまして、これを推進をするということになるわけでございます。先生御指摘のように、そういったような方向に向けて進めてまいりたいと考えております。
  500. 多田時子

    多田分科員 先ほどのお話ですと、五十年の秋ですか、このようにお話がございましたが、この五十年の秋ということは間違いない事実でございましょうか。もう一度あらためて……。
  501. 山口真弘

    ○山口政府委員 何とかしてそれまでに私ども建設をさせていただきたいと考えております。
  502. 多田時子

    多田分科員 それはそれといたしまして、計画変更が工事の遅延の一つの理由であるというふうにおっしゃったわけなんですけれども、そのほかいろいろとこういうふうになってきた原因があるかと思いますが、今度は鉄建公団でこの仕事をなさるということになりますと、鉄建公団ではいわゆる多摩ニュータウンNT線ですか、その問題も何か急を要するお仕事のようで、それと並行して行なわれるようにちょっと伺っておりますけれども、この辺鉄建公団に対する本年度の予算、その内訳、そしてその工事の、たくさん請け負っていらっしゃるでしょうから、その状況等についてひとつお尋ねしたいと思います。
  503. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道建設公団法を現在御審議いただいている最中でございますが、しかしながら予算といたしましては百二十五億円の予算を本年度に計上いたしております。法律が成立いたしますれば、この予算によりましてこれの建設を促進するということに相なります。  なお、鉄建公団のやる工事につきまして、いまどこをやるかということにつきましては、まだ確定をいたしておりません。今後最重点的なものからこれを推進するということに相なるわけでございますが、多摩ニュータウンに対する足の問題というものも、これは当然考えなければならぬ問題でございます。私ども重要度を考えながら、ともかくも百二十五億の範囲でできるだけの努力をいたしてまいりたい、なお、四十八年度以降につきましても予算措置を大いにつとめまして、推進をいたしてまいりたい、このように考えております。
  504. 多田時子

    多田分科員 こまかい内容についてはお話がなかったのですが、昭和四十七年度においては新玉川線はどのような工事の進行になるのでしょうか。
  505. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま新玉川線につきまして鉄道建設公団が四十八年度すぐにやるかどうかという問題につきましては、まだ公団法の成立以前でございますので、実はまだこまかく計画を立てておりません。しかしながら、私どもゴールが見えているわけでございますので、そのゴールに向かいましておくれないように建設を進めてまいりたいと思います。
  506. 多田時子

    多田分科員 東急さんにいたしましても鋭意御努力をしてこられたかと思うのですけれども、ちょうどオリンピックで道路が拡張され、その二年くらい前からあの線が混雑とのろのろ運転ということでさんざん苦労をさせられてきたというとおかしいのですけれども、そういう結果になっているわけで、それを通算いたしますと、まず十年余になるわけなんです。そういう観点から考えますと、もちろんどの線もまことに重要だとは思いますけれども、まだまだ多摩ニュータウン等もできていてたいへんなことはよくわかるのですけれども、それにも増して長年の間苦労を続けてきた住民をおもんぱかっていただいて、この線の早期完成を望みたいわけなんです。いまいろいろ理由が述べられましたし、その辺はよくわかったのですけれども、やはりそれにはもう一つ住民の苦労を知っていただいて、運輸省としてももう一つ真剣に、いわゆる新玉川線にしても線路の完成目ざしてどうしてもがんばっていただきたい。それは最終的には運輸省とそしてまた東急それ自体のともどもの力を合わせた住民のための努力、こういうものがなされなければならないと思うわけなんです。やはりこれが一番肝心じゃなかろうかと思いまして、最後に一言申し上げるわけなんですが、運輸大臣からひとつ最後に……。
  507. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま都市交通に関しまして、ことに具体的には玉川線につきまして、住民の難儀を直接お察しになりましての御意見でございました。ごもっともと思う次第でございます。  実はあの路線の非常にふくそうしておりますことは、私も存じておるつもりでございます。いろいろの計画の変更でおくれたことは申しわけない次第でございます。今回百二十五億の鉄建公団に対する政府の財政投資、これは初年度でございます。百二十五億でございますが、これはこれからの大都市交通に対する、民間企業に対する政府の助成といたしましては、もっとうんと思い切って進めていかなければならぬ。この点につきましても、法律の通らないうちに責任者が言うわけにまいりませんから、先ほども局長から御答弁ございましたように、最重要路線であるということは間違いないと思う次第でございます。また明年度からは思い切ったそういったような政府の財政投資をしてまいりませんと、いまの都市交通の渋滞というものは解消いたさぬと思っている次第でございます。  実はバス運行につきましては、あの玉川線につきましてはいち早く専用路線を決定してやっておるということで、私も一ぺんぜひ早く見に行きたいと思っている次第でございますが、国会その他で模様をなかなか見られません。残念に思っている次第でございますが、何とかその間にもいろいろなことでつながりますように、それから竣工のほうを、いま五十年の秋という話でございますけれども、できるだけ早くこれを詰める努力をさせまして、そして都民の足の確保につとめたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  508. 多田時子

    多田分科員 最後に一言つけ加えさせていただきたいのですが、四十五年のこの分科会でもこの問題については質疑があったわけなんです。私が質問したわけなんですけれども、そのときにはっきりと四十八年の秋、こういうふうに御答弁をいただいております。それで今日に至ったわけなんですけれども、いままた五十年と、こういうふうにおっしゃいまして、それがまたそのときになりましてから、諸般の情勢によりましてまた延びましてと、こういうふうになることをたいへんおそれます。この点についてもう一言確認をしておきたいと思います。
  509. 山口真弘

    ○山口政府委員 予定どおり何とか完成させたいと思います。
  510. 多田時子

    多田分科員 以上で終わります。
  511. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 多田時子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十七年度一般会計及び特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十七年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係に関する質疑は終了いたしました。  次回は明二十五日午前十時より開会し、郵政省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会