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1972-03-22 第68回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       足立 篤郎君    細田 吉藏君      三ツ林弥太郎君    安宅 常彦君       阿部 昭吾君    阪上安太郎君       島本 虎三君    小濱 新次君       中川 嘉美君    中野  明君       広沢 直樹君    兼務 川崎 秀二君 兼務 上原 康助君    兼務 小林  進君 兼務 中村 重光君    兼務 沖本 泰幸君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸大臣官房会         計課長     高橋 全吉君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         建設省道路局長 高橋国一郎君  分科員外出席者         運輸省航空局監         理部監督課長  山本  長君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道旅         客局長     伊江 朝雄君     ————————————— 分科員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     阿部 昭吾君   阪上安太郎君     大原  亨君   中野  明君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     島本 虎三君   大原  亨君     阪上安太郎君   坂井 弘一君     広沢 直樹君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     安宅 常彦君   広沢 直樹君     小濱 新次君 同日  辞任         補欠選任   小濱 新次君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   中川 嘉美君     中野  明君 同日  第一分科員上原康助君、沖本泰幸君、第二分科  員川崎秀二君、第三分科員中村重光君及び第四  分科員小林進君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十七年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十七年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十七年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず説明を聴取いたします。丹羽運輸大臣
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 昭和四十七年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は五億七千八十一万八千円、歳出予算総額は、他省所管計上分三百六億八千三百六十八万一千円を含み四千二百五十三億二千四百三万二千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと一千四百八十三億五千二百七十二万五千円の増加となっており、五三・六%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では一千九十九億八千三百七十八万四千円、公共事業費では三百八十三億六千八百九十四万一千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億七千四百三十六万七千円であり、前年度に比較して二千七百四十八万七千円の増加となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は四千五百三十八億二百十九万八千円であり、前年度に比較して六百八十四億一千十五万九千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は一千五百三十八億八千九百十万八千円であり、港湾整備五カ年計画の第二年度として港湾整備推進するため、前年度に比較して二百五十億五千四百九十万四千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は八十五億五千六百八十五万七千円であり、前年度に比較して十二億九千三百三十三万円の増加となっております。  空港整備特別会計歳入歳出予算額は五百五十三億二千二百九万二千円であり、空港整備五カ年計画の第二年度として空港整備推進するため、前年度に比較して二百二十四億五千三百二十六万四千円の増加となっております。  このほか、昭和四十七年度財政投融資計画中には当省関係分として一兆二千六百九十八億円が予定されております。  昭和四十七年度予算におきましては、当省は、次の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、各種交通機関がそれぞれ国民の足として十分にその役割りを果たしつつ、より高度の運輸サービスを提供していくためには、交通安全の確保をはかることが必要であります。このため、航空行政組織充実航空事故調査委員会の設置、航空交通管制施設等整備充実海上安全交通法(仮称)の制定、軽自動車検査体制整備等、空、海、陸各般にわたり交通安全対策推進することとしております。  第二に、今後ますます増大し、多様化する輸送需要に対処し、かつ、国土の均衡ある発展と豊かな国民生活の展開に寄与するため、新幹線鉄道拠点港湾及び空港整備を中心とした総合交通政策を展開することとしております。  すなわち、全国新幹線鉄道等幹線鉄道網整備港湾整備五カ年計画推進空港整備五カ年計画推進等をはかることにより、総合的視野に立って交通関係社会資本整備充実するとともに、物的流通近代化大都市交通対策強化地方交通対策推進国民観光対策推進をはかることにより、国民に対する運輸サービス改善につとめる所存であります。  第三に、わが国経済国際化への対応であります。わが国経済発展に伴い、今後、国際間の人的、物的交流はますます活発化するので、外航海運国際航空における安定した輸送力確保等施策を講ずるとともに、国際協力を積極的に推進することとしております。  また、激動期にある国際経済に有効、適切に対処するため、運輸関係事業経営基盤をより一そう強化するとともに、特に国際経済関係の深い造船等事業につき、対応策を講ずることとしております。  第四に、交通公害を防止するとともに、台風豪雨等自然災害による被害を最小限度にとどめるため、海洋汚染自動車排気ガス航空機騒音等防止対策強化海津事業五カ年計画推進台風集中豪雨等に対する予報体制整備等をはかることとしております。  以上のほか、運輸関係技術開発推進海洋開発推進等をはかる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、国鉄財政再建につきまして、昭和四十四年度以来財政再建計画に基づき種々の施策を実施してまいりましたが、それにもかかわらず国鉄経営はますます悪化し、このまま推移すれば、昭和四十七年度には約一千七百億円の償却前欠損を生ずる見通しとなるに至りました。  政府といたしましては、このような事態に対処し、国鉄財政再建するため、国鉄自体の近代的、合理的輸送機関への転換を徹底するとともに、国等財政措置強化及び運賃水準適正化をはかることを根幹として、昭和四十七年度以降十年間を再建期間とする新財政再建対策を策定する必要があると認め、昭和四十七年度はその初年度として、総合交通体系における国鉄役割りを勘案しつつ、国鉄の一そう徹底した近代化合理化をはかるとともに、国及び地方公共団体財政措置を拡充し、あわせて国民の理解と協力による運賃改定を実施することにより、国鉄体質改善の基礎を確立することを内容として予算を編成しておりまして、損益勘定におきましては、日本国有鉄道工事費補助金補助率の拡大を行なうことといたしまして、同補助金三百二十一億円、財政再建債の対象を拡大することといたしまして、財政再建債利子補給金百六億円、国及び地方公共団体による地方閑散線運営費補助金百二十五億円等を含め、収入支出予算一兆五千七百六十四億円を計上しております。資本勘定におきましては、一般会計からの出資を前年度より五百八十一億円増額することといたしまして六百十六億円、財政投融資五千八十八億円を含め、収入支出予算九千七百八十三億円を計上しております。工事勘定におきましては、収入支出予算五千五百四十六億円を計上いたしまして、山陽新幹線及び東北新幹線の建設、大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強、保安及び公害対策強化、諸設備合理化近代化等推進してまいりたいと考えております。  なお、一般会計日本国有鉄道合理化促進特別交付金十六億円を計上いたしまして、日本国有鉄道合理化施策促進をはかることといたしております。  これらの施策とあわせて、国鉄みずからが近代化合理化等による人件費節減等対策徹底し、真に能率的な経営体制整備する必要があると考えております。  今後関係各方面の協力を得まして国鉄財政再建に万全を期する所存であります。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十七年度運輸省予算説明及び昭和四十七年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十七年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何ぶん十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 松浦周太郎

    松浦主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 松浦周太郎

    松浦主査 質疑に先立ち、念のため申し上げます。  質問者が多数おられますので、質疑の持ち時間が一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力をお願いいたしたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑の時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを順次許します。小林進君。
  6. 小林進

    小林(進)分科員 運輸大臣、いまの主査のお話のとおり、的確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。  いまあなたのこの予算の大綱に対する説明をお伺いいたしました。実に血も涙もないですね。砂をかむような御説明で、非常に私どもは落胆をいたしました。いま、運輸行政並びに国鉄公社に対しまして国民が何を要望しているか。それは近代化合理化じゃないのです。サービスなんですよ、国民の側からは。いかにわれわれに住みよい、ここちのよい運輸行政汽車を走らせてくれるかというのが国民の切実な要望です。この中には一つもない。国民が何を要望しているか。一つもない。ただ合理化だ、近代化だ、人件費の節約だ。こんなものは国民の側からは実に迷惑しごくな話でございまして、まずこういうことから私はひとつ姿勢を改めてもらいたいと思うのですよ。  大田、御存じかもしれない。限られた時間ですから簡単に言いますけれども、われわれ野党の側からながめますと、大臣一級大臣と二級大臣とあるというんですよ。一体この差別をどこでやっているか御存じですか。われわれが一級大臣と二級大臣差別をどこでやっているか。これは参考のために申し上げますが、一級大臣というのは出先官僚姿勢を正していくんです。国会の中で、国民に向かって申しわけない、まずこういう自分管轄下にある官僚のわがままや姿勢の悪いのを直して、国民立場でものを考える大臣一級大臣です。二級大臣というのは出先官僚の言うままに引きずり回されて、官僚の主張だけをオウム返しに持ってきて、そしてこうした官僚のつくった言いわけの文章だけ読み上げれば二級の大臣。その二級大臣のいい例が防衛庁長官ですよ。あなたの説明を本会議場や何かで聞いているけれども、そういう国鉄の誤った姿勢運輸省の誤った姿勢を、みずから国民の側で是正していこうという答弁一つもない。国鉄のつくった、運輸省のつくった文章、その言いなりほうだいをやっている。実に運輸大臣、残念ながら一級の点数はおあげできない。そこへいきますとやっぱり外務大臣、あれは外務省の官僚が悪い姿勢をやると、まっ先にあやまってきますよ。私も厳重に言いますけれども、ごもっともです、と。一国の大胆になったら、それくらいの品格と姿勢を持たなければいけません。あまりしゃべっていると時間がなくなりますから、一級、二級の差別はこの程度にします。  まずあなたにひとつお尋ねしますが、私は実はその例をもって申し上げます。私は選挙区が新潟県ですから、夜行に乗って上野駅におりるのです。上野駅におりますと山手線に乗って省線の目黒駅でおりる。山手線を待つ。上野駅の三番線が山手線で、東京、品川、それから目黒と書いてある。四番線は京浜線、横浜、桜木町。私は看板どおり目黒へ行くのですから三番線ですわっている。ところが三十分たっても一時間たっても——私は五時半に着くのですよ。六時になっても六時半になっても三番線に山手線は来ないのです。みんな四番線、京浜線のほうに車が走っていく。おかしいねといって、そこへ立っている赤シャッポに聞きますと、いま放送したじゃないか、何を聞いているんだとおこられる。そんなに何べんも聞くわけにいかぬ。またそこにすわって待っている。そして赤シャッポでないのが来たから、耳が遠いから教えてくれと言う。いや、近代化合理化のために三番線に山手線が入らない、三番線山手線と書いてある、品川目黒へ行くと書いてあるけれども、車は入らないのだ、みんな山手線京浜線も一本に四番線に入るのです。こういうことなんだな。ところがわれわれは駅の標識機指示機をながめてホームにいますよ。それならば三番線に山手線入りませんとなぜ指示しないのですか。こういう不親切なことをやっているのは、私鉄線なんかやりませんよ、国鉄だけです。あなたはうそだと思ったら、あしたの朝上野駅にすわって山手線を待っていてください。そういう経験をひとつしてもらいたい。総裁、私の言うことはうそですか。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和三十二年から山手線京浜線と一線にいたしましてから、朝晩のラッシュ、一番お客さんの多いときは、いまは三番線と四番線と別々に入っておりまして、朝早くと夜おそくは一線を修繕するために、片線に入れております。その際には駅に、ただいまの時間帯はどちらの線を使いますということを掲示し、また申し上げているはずでございますけれども、それが徹底が足りなかったというふうに存じます。
  8. 小林進

    小林(進)分科員 問えば、このような良心的な総裁もけろっとだますんですよ。私も目があるのですから、三番線に掲示があれば、何時から何時までは山手線が入りませんよという、そんなこと、目があるのですから、ホームじゅう見て歩くのですから、あればそんな間違いはおかしませんよ。私も盲目じゃないのです。ないからこそ、朝の寒いときに私は一時間も一時間半もホームにさらされているのですから。直したらいいじゃないですか。直していないでしょう、あなた。昭和三十二年から直していないでしょう。山手線と書いてあるじゃないですか。山手線は入らないじゃないですか。隣のホームに入っているじゃないですか。それならその時間だけは入らないとひとつ直したらどうですか。あなたそれは私がめくらだと言わんばかりの話だ。掲示板を出しているけれども私が見ないというのですか。そんなことじゃいけません。大臣いいですか。あなた、なぜ叱らないのですか。私の育っていることは無理ありますか。経験者が語るのですよ。総裁もあなた、寒い時間にちゃんとホームで待ったことがないからわからない。ここにいる人たちはみんな見たことないでしょう。そういう行政をやっているのです。直しますか。私は毎週通ってるのだからわかるのです。直しますか。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 極力わかりやすいようにします。
  10. 小林進

    小林(進)分科員 それから、大臣だって汽車にお乗りになりますでしょう。あなたは汽車乗りますと、話しておられますか、眠っておられますか、本読んでおられますか。汽車に乗っていれば生態は三つでしょう。眠っているか、自分で本を読んでいるか、人と話しているか。その中で一番じゃまになるのは何ですか。車内放送ですよ。運輸車内放送、あれは各人各様だ。みんなタレントになったつもりで、車掌さん一人一人かってなことを言っているんだな。もちろん中には親切なのがいて、トイレの戸をしっかり締めろとか、たなの上にものを忘れるな、洗面所に時計か何か忘れていくから忘れるなと言って、まるで小学校の子供や幼稚園の園児に言うように懇切丁寧に、五十のおっさんが十分、二十分とちょうど勧進帳を読むようにやっている。その間に、よく眠っているのは月をさます。しゃべっているのは、車内放送の大きな声でお互いの声が聞こえないから黙っちゃう。騒音騒音というけれども、あの車内放送騒音こそあれはうるさい、公害に値するものじゃないか。しかし、やるなというのじゃないのですよ。あなたは経験したことはありませんか。あなたはそれをじゃまになるとお感じになったことはありませんか。規格を一定にしたらいいじゃありませんか。あの汽車に何百人乗っているか知らぬけれども、そのお客の耳を奪う、あの車内放送に全部の連中が集中させられておる。いま少し内容規格を統制して、聞いている者も快い気持ちになるように……。私も外国旅行をしましたよ。社会主義国も回りましたよ。中には低音で音楽を流す、あの車内音楽を流しておるのですよ。実に快い、おのずから眠りを誘われるようないい雰囲気の音楽を流しておるところもある。また、じょうずに軍内を回りながら一人一人のお客さんの注文を聞いて、懇切丁寧にやっているところもある。国鉄のほうは何でも騒音でもって人を威圧するかまえでやっていますよ。ああいうようなことはいま少し研究してもらって、車内放送なんというものを統一するという親切さがあってしかるべきと思いますが、これはどうですか。私の言うことが無理がありますか。どうですか、総裁
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点はおっしゃるとおりでございまして、たとえば朝のラッシュ車内放送は要るか要らないかということはずいぶん議論されておりますが、しかし結局いま先生のおっしゃったとおり、ある程度のことはしなければならないということで、各現場ごと一つの基準をつくっておりますが、多少は先生のおっしゃったように本人が自分の主観でもってものをしゃべっている点があろうかと思っております。しかし車内放送はほんとうにこれは大事なことでございますので、十分各車掌区に一つのスタンダードを確立いたしまして、それでそれによってやらしていきたいと思っております。
  12. 小林進

    小林(進)分科員 あなたもお乗りになりますかね。——人間はしかし生理的現象はとめるわけにはいきません。しかし日本で、あるいは世界じゅうかもしれませんけれども、その生理的現象をとめるところが一つあるのです。どこか御存じですか。生理的現象人間トイレに行きたいのを禁止するところが世界じゅう一つあるのです。どこか御存じですか。——あなたの監督下にある国鉄ですよ。トイレまでやらせない。これから町の中へ入りますから、人口密集地帯に入りますからトイレを禁止をいたします、トイレへ入らぬでください。人間汽車賃を払って乗って、お客さんとして乗っておって、おまえは大使も出ようが小便も出ようが、それを利用するのはやめなさいという残酷非道な話がございますかね。何だかおわかりでございましょう。いわゆるふん尿譚ですよ。国鉄はたれっぱなしにして全国を走っているんだから、公害公害といいながらもあれほど不謹慎な公害はない。あの国鉄が走ると五十メートル四方に黄色いくそも散らばる。小便も散らばる。小便なんというのは二百メートルも散らばる。それをそのままにして設備もしないで、今度は人口密集地に入るからお客さまにトイレを使うな。出ものはれものところきらわずなんですが、それをやるなというのは酷な話なんですからね。実に言語道断です。それをそのままして汽車賃を上げようという、そういうことはいいか悪いか、私時間がないからやめますけれども、そんなこともきちっとしたお客さんの立場でひとつ考えてください。  それからいま一つは、汽車の中に物売りが来ますよ。これからお茶弁当を売りに行きます、こう言うから、回ってくると、お茶をくれと言んです。だめです。お茶を売らない。総裁、知っていますか。看板うそがあるじゃないですか。お茶弁当は持ってくるのです。お茶をくれ。だめです。何でだめだと言ったら、弁当と一緒でないからだめだ。あなた方そんな経験ないでしょう。総裁なんかないでしょう。天下広しといえどもこんなサービスの悪いものが一体ありますか。高遠なあなたの演説は要らぬけれども、私は、料金を上げようというならば、身近なこういうところからサービスしてもらわなければならぬと思いますが、この点いかがでございましょう。お茶も飲めないのですから。お茶も買えないですから。いかがでしょう。私の言うことがうそがあったらおっしゃってください。
  13. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 サービスの点でいろいろ貴重な御指摘でございますが、運輸行政はもともとサービスの提供でございまして、私は微力でございますが、就任以来、運輸行政の根本は交通の安全の確保サービス徹底であるということを常に言っている次第でございまして、これが徹底をしていないうらみがあるのははなはだ恐縮でございますが、運輸省自体サービス徹底をしろ、利用者立場に立ってやれということを常に言っている次第でございます。まして、現業公社としての国鉄サービスが悪いという話を私もときどき耳にいたさないことではございません。これらの点は、現業のそれらの立場の者が利用者立場をよく考えまして、いま御指摘のようなことを直ちに改善をいたしましてやらすことがまず第一番に必要なことである。いま御質問ございました御趣旨のとおりと私ども思っておる次第でございますので、微力ではございますが、全力をあげましてそれらの改善につとめさせるつもりでございます。
  14. 小林進

    小林(進)分科員 運輸大臣もおおりになられるのは上野駅でございますね。上野駅におおりになりましても、国電に乗りかえられますから、そうすると薄暗いところがたくさんあります。そこに小さいいすを一つ持って、そして国鉄制服を着て、かばん一つぶら下げて歩いている勤務者がいるのをごらんになっておりませんか。ときにはメガホンを持って、切符の切りかえはこちらでございます、急行券はこちらでございますといって、いす一つ持って一生懸命歩いている人を見たことはございませんか。あのホームのごちゃごちゃする、ごみだらけの薄暗いところに二、三十人あるいは四、五十人いらっしゃるじゃありませんか。至るところにいるあの人たちは何ですか。あれは国鉄のOBです。国鉄を三十年、三十五年あるいは四十年おうとめになって、あるいは駅長の経験を有しあるいは助役の経験を有していらっしゃる一方、あるいは国鉄を定年でおやめになった方が——あれが再就職の形か何か知りませんけれども、なるほど国鉄マンのスタイルをお持ちになっています。制服もきちっと身にはまっています、三十年、三十五年も着た服装でございますからね。その人たちが、正式の切符を売る場所ではない、汽車から国電に乗りかえるあの暗やみのところで売っていらっしゃるわけです。私は聞きました。あなたは一体何です。私は国鉄で三十五年つとめておりまして、やめていまこの商売についております。私はあの姿を見ておりますと、国鉄というところにつとめた者の晩年のいわゆる成り行き、姿をまざまざと実際に見せているようなものじゃないか。いいも悪いも勤労者として、この社会の、国家の重要な動脈に勤務して三十年、三十五年たった人が、あの着古した国鉄制服を着て暗やみの中で、何で一体こういう形で切符を売っていなければならないのか。私はあれを見ておりますと、いかにも国鉄残酷物語というふうな感じを受けるのですね。少なくとも一つの職場に三十年も三十五年も四十年もつとめるというのは、これはたいへんなことですよ。その人たちの晩年が、あんな小さないす一つ持って、暗やみの中で乗りかえ切符を売って歩かなければならぬ。あれが正当な姿でしょうか。あれが国民に対する教訓になるでしょうかね。私はそのたびにもののあわれを感じて、どうして一体こんなみすぼらしい、と言っては申しわけないからそれは言われませんけれども、こういう姿を出していなければならぬのかということを私はつくづく感ずるのでございます。定年で首を切って、次の日からいす一つ持って、暗やみの中を切符を売って歩くようなそんな姿にしなくても、それほど必要なら定年を延ばしたらどうです。定年を延ばすことができないなら、再就職したそういう人たちをいま少し日の当たる、定年を過ぎた人たちを大切にするような職場に置いて、若い人たちにそんなところでいすを持たして切符を売らしたらどうですか。私は国民に対する影響もいい影響を与えていないと思う。私の言うことが違っていると思ったら、運輸大臣ひとつ上野の駅でもどこの駅でも行って見てください、これは。そうしてひとつあなたの所感を聞きたいと思うのでありますけれども、どうでございましょうか。けっこうな姿でございましょうか。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 上野の駅は、先生御承知のとおり現在改築中でございまして、なかなかそういったこまかい固定設備ができませんので、どうしても人間が動いて切符を売らなければならないわけでございます。現在あそこで働いている諸君は、大体平均年齢六十歳から六十二、三歳でございます。い、ずれも国鉄おりまして、主としてそういう方面の経験を持った人でございまして、みすぼらしいというおことばがございましたけれども、固定的な設備を現在つくるわけにまいりませんので、まあ、できるだけそういう服装その他につきましても、きちっとした服装をさせるというようなことでもってやっております。(「服装じゃない。暗やみだと言うんだ。」と呼ぶ者あり)いま駅は実は改築中で、暗いところもございますれば明るいところもあるということで、なるべくそういうところの職場を明るくいたしまして、十分働けるようにいたしたい、こういうふうに思っております。御同情を賜わりましてまことにおそれ入ります。
  16. 小林進

    小林(進)分科員 私は御同情なんていうものではないのですよ。ああいう人たちはむしろほんとうの切符売り場で切符を売らしておいて、ああいうようなごみごみしたところにはかえって若い人をやらしたらどうか。いかに経験者とはいいながら、三十年、四十年、あなたおっしゃるとおりもう六十歳から六十二歳といえば、ほんとうに国鉄をつつがなく定年を全うした人じゃないですか。御苦労さんの一言も言ってやる人たちです。世間の人たちが見たところで、国鉄というのはこんなにOBを粗末にするところで、だれでもよくやってくれたというような感じを受ける者はいませんよ。寒空に何ですか。冬なんかいつもこんな小さなところで、炭火の一つか二つ置いてまた火ばちしながら切符を売っていますよ。万人衆目の見るところであります。そういうような労働者の、いわゆるすごろくなら上がりです。上がったその勤労者の晩年を、はた目が見ても気の毒だと思うような姿に投げ出しておくことをおやめなさいと私は言うのです。いいですか大臣。すぐ御返事はできませんでしょうが、あなたは運輸大臣でもそういうことは知らないのですから。すぐ処置してやっていただきたいと思います。  それから私は一つ言いまするけれども、いわゆる汽車の指定列車というのは急行とか特急とかございまするけれども、いま指定車ばかり走って、自由席というものがなくなった汽車がどんどん走り出したのですけれども、一体指定券のない人というのはああいう列車には乗れないのですか。どうでございましょう。指定券のない乗客は指定列車には乗れないのかどうか……。
  17. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御答弁申し上げますが、いまお客さまの御要望は、非常に楽をして、安心して指定席がとれるという御希望が多うございます。大体特急は御承知のとおりほとんど指定でございますが、指定券を持たないで、立ち席でいいというお客さまがまだたくさんいらっしゃいます。特にシーズンなんかそうでございますが、その際には立ち席の特急券を差し上げまして、それでお立ちになっていただく。ただし、途中でおおりになって席があく場合もございますので、そのときは優先におすわりいただく、こういうふうな制度をとっております。
  18. 小林進

    小林(進)分科員 そういたしますと、ともかく最近は特急でも急行でも、あなたはほとんどとおっしゃっておりますけれども、ほとんど自由席がない。指定席だけの汽車がむしろ、比較的多いだけじゃなくて、ローカル線は別として、多いじゃありませんか。そういうのばかり走っているのに、いまおっしゃるように指定席の券のないものは乗れない。これは立ち席でもよろしゅうございますという立ち席特急券と称するものか、あるいは席のきまった指定券か、いずれかを持たなければ乗れないんだ。あれは一体どうなんですか。国会議員はどうなんです。このパスでは乗れませんな。——日分のことも聞いておかないと……。
  19. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 国会議員の先生方は特別に、事前に窓口へお出しいただきまして、それで特急券を差し上げるということになっておりますので、先生方は御自由にお乗りいただいてけっこうでございますが……
  20. 小林進

    小林(進)分科員 いま御自由とおっしゃいますけれども、私は窓口に出しますけれども、席がありませんといったらだめなんですよ。席があればいいけれども、ないじゃないですか。ないから……。
  21. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 実は、そういう緊急の御用務もございますし、車掌に手持ちの席を用意さしてございます。これは列車によって違いますが、たとえば新幹線でございますと八席程度車掌に持たしておる。またその運行中いろいろと座席のあきが出てまいりますので、それはまた自由に車掌が判断して御案内する、こういうことでございます。
  22. 小林進

    小林(進)分科員 あなた方そうおっしゃるけれれども、車掌さんにその指示が徹底しておりますか。車掌さんも千差万別ですよ。徹底しておりますか。私ども車掌におこられるときがありますしね。席がありませんからといってしかられることもありますし、戦々恐々たるものですよ。ですから私は、そのとき立ち席があるなら、やむを得ず立ち席を買って乗りますがね。ないときには私は乗りませんよ。それが徹底しておりますか。それは、あなた方のおっしゃるのと現場で働いている者とは、非常に意思が疎通をいたしておりません。それは、あなたの言うのはうそだとは言いませんけれども、そんなことはありません。特に古い話を言えば、そういう指定席制度が設けられてから、指定席にすわってからいいの悪いの言って、われわれの先輩もついに国会議員を失格するまでやった経験のある者がいるのです。だから、実際に言いますけれども、私鉄に乗ればわれわれはお客さんだけれども、われわれ——会議員じゃないですよ、一般の人は国鉄に乗ればいつでも監視されているようなものである。監獄の一歩手前に入るようなものだ。入り口で切符をやられて、入ってからまた切符拝見でやられて、ないときにはまたやられて、出るときまた切符拝見で、まるで監獄へ入って出てくるみたいな、カチカチカチカチと検査ばかりされて、そして痛めつけられている。ひとつあなたも乗ってごらんなさいよ。私鉄に乗ったときと国鉄に乗ったときの気分の違いというものは、どんなにサービスがいいといったところで気分的に違っている。そしていまも言うように指定席ばかり設けられて、指定券のないものは乗れないのだ。それが一つ。  それから、私はいま一つ申し上げますが、この指定券制度になってから——あなた、お客さんがぜいたくになったなんておっしゃいますけれども、切符を買う人もたいへんな浪費だと私は思う。行ったって、私ども切符買えないんだから、まず一日でも二日でも一週間でも前に行って指定席を指定する切符を買って、またうちへ帰って、当日また出かけていく。その汽車に乗るために二重の手間でしょう。二重じゃないですか。この激しい生存競争の社会の中に、汽車の切符一つで、いま特急ができたりなんかして、岡山までだって三時間くらいで走っていくというさなかに、一日も二日も前に駅に行ってまずその予約の切符を買わなくちゃならない。そして買ってきて、その日になってまた汽車に乗っていく。こういうことは、皆さん方と大衆との間にたいへん気持ちのズレがあるのじゃないか。結論を言いますけれども、こんな指定席なんかおやめになったらどうですか。  時間もないから言いますけれども、大体新潟県の長岡なんか、ローカル、地方ですよ。それでも年の暮れだの盆だのなんていったら、一週間前に、きょうから何々の指定券、東京まで行く指定券、急行券を発売しますというと、暮れなんか零下二十度のところを、朝の午前零時からずっとうしろまで人が並ぶのです。そして午前九時に切符を売り出す。九時間もあの寒空の中に立っておって、切符を買うのだ。九時間かかって指定席の切符を買って、そして長岡から上野駅まで特急に乗って一体何時間ですか。三時間です。乗客にすれば、三時間立って上野の駅まで着いたほうが、九時間も夜中から起きてあんな寒空に立っているよりはずっと楽なんです。そういうことをあなた方はやらしておるんですよ。それでも上野の駅だけは、盆だの年の暮れになると天幕なんか張って、切符を買う人はここで待ちなさいといっているけれども、あの天幕だって赤軍の山小屋よりもよっぽどひどい天幕だ。それの中へお客さんを詰め込んでおいて、そして指定席を売りますの、切符を売りますのという。いま言うように、三時間か五時間あればもういいかげんのところに飛んでいくんだから、その三時間か五時間のところをきまった席にすわるのだけで九時間も十時間も、人によっては一昼夜もあんな天幕とか寒空の中に置いて、手間ひまかけてなぜ一体切符を売る必要があるのか。しかも、その指定席の切符を売るためにいまコンピューターを使っているのですよ。コンピューターを使うために一体余分な人員が何人いますか。あのコンピューターを使うために国鉄職員が、少なくとも十名くらい係員が必要でしょうが。十名を置いて指定席の切符を売るためにがちゃがちゃしているよりも、この十名をサービスのほうへ回したらどうですか。いま少しお客さんへ親切にするほうへ回したらどうですか。こういうところに、私は、国鉄経営の本末転倒をした間違いがあると思うのであります。  それから今度はいま一つ、四分ばかりしかございませんけれども、最近は無人の、切符を売っている機械がある。あの機械が故障なしに動いているときがありますか。私は駅へ立って一日じゅう見ていた。なれないお客さんもいるけれども、切符がつかえたり金が出なかったり、事故が起きるたびに、そういうところにこそサービス人間を置くべきなのに置いておらないから、向こうのほうで切符を売っている駅員が、切符が出ないと言われると、切符を売るのをやめてこっちへ走ってきて無人の機械の切符が出るようにする。そのときには切符を売る窓口でお客さんが、汽車が来るじゃないか、早く切符を売れと言っているということで、駅員が走っていって切符を売っている。そのうちにまた無人の機械が故障しているということを国鉄は繰り返して、そうして運賃を上げますの、近代化でございますの、合理化でございますの、どこを押したらそういうことばが出るのか。いま少し乗客や住民の立場に立ってひとつ国鉄行政というものを考えていただいたらいいのではないか、こういうことであります。  指定券の問題、無人切符販売機の問題に対して、ひとつ大臣の御検討をお願いいたしたいと思うのであります。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 指定の問題につきましては、たとえば今度「ひかり」をやりましたときにも、「ひかり」の中に自由席をつくるというようなことで、やはり指定席のほうの要望も強いものでございますから、先生いまおっしゃいましたように、指定を買う人と、それから差をつけて、すぐその場で乗れる人と二種類、どちらでも要求に応じられるようにしなければならないと思っております。やはり指定と自由の両方のコンビネーションでいきたいと思っております。  それからいまの自動券売機でございますが、これは国鉄も私鉄もみんな使っておりますが、最近のはだいぶよくなっております。しかし御説のとおり故障しているものもだいぶありますので、これは現在メーカーに修繕をさしておりまして、最近は切符の印刷が黒くて困るというのもだいぶ減ってまいりました。できるだけいい機械に直していきたいと思っております。
  24. 小林進

    小林(進)分科員 私はこれで時間になりましたから終わりますけれども、汽車は、先へ行った者はすわればいい、おそく来た者は立ったままでがまんします。立っていたって三時間か五時間で目的地へ行くのですから、二重の手間をかけて、そうしてコンピューターなどを国鉄の職員を十名も置いて使っておる、そんな両方でむだな時間を費やすようなことはおやめになったほうがよろしいと思います。私たち国会議員自身もこの指定席や指定券の制度のために、戦々恐々として汽車に乗って、車掌さんにおこられるのではないかと思ってふるえながら、乗っている現状でございまして、全く迷惑しごくの制度ですから、これはおやめになったらよろしい。以上あわせましてお考えください。  まだ私の知っている百もあるうちのたった三つか四つばかり申し上げただけなんです。勧進帳のようにずうっと御説明したいくらい、国鉄というものは住民に対してサービス精神を失っております。その中で値上げなどというものは、大臣、それはどうも耳をおおうて鈴を盗む部類でありますから、さっそく値上げのほうは撤回をされたほうがよろしいということを心から御忠告を申し上げて、私の質問を終わります。
  25. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて小林進君の質疑は終わりました。  次は中村重光君。
  26. 中村重光

    中村(重)分科員 私は健康を害して湿布しておりますから、カッカとならぬようにしたいと思います。  いま小林君から指定券の話が出ていましたが、これは議論の分かれるところだと思いますけれども、まだやっているのじゃないかと思うけれども、あの発駅着席券というやつは改めてないですね。時間がないからそれは答弁は要りません。私はこれは違法だと思うのです。発駅着席券というのは、大臣、運賃以外の料金です。これは法律のどこを見ても、それを取ってよろしいというのはないのです。それを取っているのです。これはけしからぬ話だ。     〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕 実は私は総裁質問したことはないのだけれども、そんなことはいかぬです。整理券はいいのです。ところが発駅着席券というのは明らかに違法である。そんなものを取ってはいけない、ということですが、総裁は何でもかんでも銭さえ取ればよろしいという考え方はいけないと思うのですね。十分検討しておいてもらいたい。それはこのことにおいて平準化する、こういうことだろうと思う。しかしそういうことはいろいろ創意くふうをこらすことによって方法があるのじゃないかと思いますから、その点は強く検討を要請しておきます。  それから、これは運輸大臣、実は私が先般大臣に平戸架橋の問題について、航行の安全運航という問題から十分ひとつ橋高の問題、それから平戸瀬戸に岩礁がある、これはいま魔の瀬戸といわれて、どんどん座礁しておるのですが、この岩礁を爆破するということで、当然取らなければならない。それを取りますと水深が深くなる、そして大型船が通るようになる。その岩礁がありますために、それからいま平戸架橋というところに九州電力の高圧線が三十一メートルくらいにたれ下がってきております、その二つのために玄界灘を通っている。佐世保港に入るために時間がかかる。だから、今度橋をかけるならば、その岩礁を取る、そして大型船が運航できる、そういうことにして、いま玄界灘を回っているのをもっと内海を通っていくようにする必要がある。そのためには、いま三十メートルの橋ですから、それじゃだめなので四十メートルくらいにしておかなければいけない、そういうことを言っているのですが、県議会でつい四、五日前、私の主張のようなことが満場一致で決議をされました。種々論議のあった橋高、海峡開さくについては今後慎重に検討を加えられたいということ、ほか二項ありますけれども、これは私は当を得た県会の決議だろうと思っております。ですから、これは建設省の仕事だというのではなくて、やはり運輸省の航行安全という面から十分に検討される必要がある。きょうは私は図面を持ってきているのでこの点を質問したかったのですが、きのう海上保安庁から私のところへ見えまして、運輸大臣から指示を受けておるので十分検討をしていきたい。いま三十メートルの橋げたを一応オーケーしたのは、この電線があるということ、それから瀬があるということ、こういういまの状態では三十メートル以上の橋にしてもしようがないからというので、一応海難防止協会がいいでしょうという答申をしたのだそうです。ですけれども、その電線も、橋が高くなれば当然その橋に沿うて電線を併置することになりますし、それからその岩礁を取るということになってまいりますと、おのずから橋げたが問題になってくる、そういうことを、昨日私のほうへ海上保安庁も見えまして、十分検討し、運輸省港湾局が所管だそうですからそういうことをやりたい。ところが、一たん建設省は免許していますから、その線でいま風洞実験なんかを終わって、これから実施計画の認可という形になってまいります。段階はそういうことまで進んでいますから、運輸省は航路の安全運航という見地から、建設省とさっそく連絡をとられて、将来に悔いを残さないようにしていただきたい。そのことを、これは要請のみにとどめておきたいと思います。大臣はその点は誠意をもって対処していきたいという考え方のようであります。それから、この間建設大臣にもちょっとお会いいたしましたが、その二年前に風洞実験をするために認可をしたという、それにこだわっておってはいけない、やはり将来に悔いを残さないようにしなければいけないということを建設大臣も言っておりましたから、どうかひとつそういう点を十分配慮していただきたいということを御要望申し上げます。  次にお尋ねしたいのは、航路権の補償の問題です。実は、大臣も御承知でしょうが、陸運関係は全部補償の対象になるのですね。地方鉄道軌道整備法というのも第二十四条に補償の規定が実は入っておる。それから道路運送法にも第七十七条に補償の規定があるのですよ。ところがこの海上運送法のほうは実は補償の規定がないですね。これは私は矛盾していると思うのです。ですから当然規定に挿入する必要があると思うのです。そのことは、その必要があればやってもらわなければならないのですが、現段階においてどうしておられるのか。補償をやっておられるのか、あるいは補償しなければならないとお考えになっておられるのか。そこをひとつお答えをいただきたい。
  27. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  航路補償の問題でございますけれども、法律論的にいろいろ議論がございまして、架橋あるいは埋め立てとか、そういった関係で航路がもう要らなくなってしまうという場合につきまして、そういった架橋等の施設を設置する人が、あるいは県とか国とかが当然そういう損失補償の義務があるということにつきましては、いろいろ法律論上疑問があるようでございまして、そういった義務がないということが現在定説のようでございます。そこで海上運送法にはたとえば道路運送法におきますような補償規定がございません。これは、道路運送法には、同じような陸上の交通機関が並行してできた場合ということをいっておるのでございまして、たとえば架橋等の場合は、それによって新しい鉄道なり自動車が通るかもしれませんけれども、海上運送の場合はあくまでも、その免許した権益というものが同じ海上輸送の交通機関と競合した場合、それを排除するために免許しておるという趣旨でございますので、したがいまして、ほかの陸上の交通機関がかりにでき上がっても、それによって当然に海上運送のほうに、航路業者のほうに補償しなければならぬという関係は起こらぬという趣旨でございます。  いろいろ法律論ございますけれども、政策論といたしましては、これはやはり、かりに橋ができた場合、長年そういった島との間を輸送しておる公共事業でございますから、そういった事業者を橋ができたために見殺しにしていいというわけにはまいらぬと思います。幸いにいたしましていろいろ先例がございますので、たとえば干拓したような場合、農林省は、名目はいろいろございますけれども、損失に値するような金を出しております。あるいはまた、御承知のように熊本の天草五橋ですか、たしか橋がかかりまして、その場合に地元の航路事業に対しまして県なり関係市町村が、名目は見舞い金というような名目でございますけれども、補償をしておる実例がございます。そういうことがございますので、私どもといたしましても、将来もそういったような事例が出た場合には、これはもちろんそういった橋等の設置者である国とかあるいはまた府県とか市町村あるいは公団とか、そういうところでそういったような見舞い金といいますか、補償金を出すように、航路事業者の側に立ちまして、航路事業者を保護する意味におきまして、そういったような補償金に該当するものを出してもらうように極力前向きに協力、支援いたしたい、こういう方針で臨みたい、かように思っている次第でございます。
  28. 中村重光

    中村(重)分科員 いまお答えがありましたように、国や地方公共団体がより高い福祉増進という点から橋をかける。ところが交通事業というものは公共性の高い事業です。したがって一切が許認可によってやっておるわけですね。廃止することも認可を受けなければならない。変更は言うまでもない。それから公共事業としての責任を全うするために、それだけの資本を投下して絶えず遂行しているということになる。そうすると、国や地方公共団体がより高い福祉をはかっていくために橋をかける、あるいはそういう類似のことをやるという場合、それで責任なしということは許されないだろう。やはり先ほど私が指摘をいたしました道路運送法であるとか、それから地方鉄道軌道整備法、この補償の精神、趣旨に沿って補償していく、いまお答えがございましたように。考え方はわかりましたけれども、消極的なことでは私はだめだろうと思う。そうしなければ、いつ自分たちはもう立ち行かなくなるのかわからないという不安定の中では、その責任を遂行するための設備も安心してやれないということになる。それからいつ企業が倒産の運命におちいるか、また働いている従業員も失職する運命におちいっていくかわからない、そういう不安定な状態に置いてはならないと思います。そういう点は十分積極的な意味で、この参考法令に基づいて対処していく、前例に基づいて十分強力な指導をやっていく、こういうことをしていただきたい。同時に、この海上運送法の中に私は補償の条文を入れられないことはないというように思っておりますから、その点についても十分検討して必要な法の整備をやっていく、そういうことが大切だろうと思います。この点は大臣ひとつお答えをいただきたいと思います。
  29. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまお話がございましたように、そういった橋梁が開設される等の理由によりまして、いままでの航路業者がいろいろのそういった状況の変化によりまして不要になったものに対しましては、やはり何らかの救済措置が必要ではないか、こういうふうに考えられるわけであります。これを海上運送法に挿入したほうがいいか、あるいはほかの法令をつくったほうがいいかということ等も十分検討させまして、その上で結論を得たい、こういうふうに思っています。
  30. 中村重光

    中村(重)分科員 それから国鉄総裁にお尋ねいたします。  国鉄長崎本線、佐世保線の電化、複線化の問題、これはたしか国鉄の第三次長期計画というのがありましたね、これで昭和四十六年度までに全線完成の予定であった。私どもが何回かこのことについて国鉄当局の意向を確かめましたが、着工がおくれることがあっても竣工がおくれることはないという、非常に積極的な答弁を委員会においてなされたことがある。しかし今日に至ってもまだ着工すらしていない。この点はどうお考えになっておられるのか。御承知のとおり、私は比較はしたくはないのですけれども、鹿児島本線だとか日豊本線というのは非常に進んでいる。この後塵を拝するというような形になってきているのですね。ちょうど新幹線も同じなんでして、新幹線も鹿児島線というのはこれは建議線になっている。長崎本線というのはまだ建議線になっていない。これもどの点から検討してみても鹿児島新幹線におくれて、長崎新幹線がまだ建議線にもなっていないということは、何かおかしいと実は思っている。中国との国交回復も時間の問題であるという国際的な面から考えてみましても、私は先んずるということが当然でなければならない、このようにすら考えておりますから、まず長崎新幹線、これは鉄道建設審議会がいつ開かれるのか。三月といわれておりましたが、少しおくれております。これに対して、建議線に入れる、それをしなければならないというように大臣はお考えになっておられるかどうかということをひとつ明確にお答えいただきたい。  それから磯崎総裁からは、この電化、複線化の問題に対しましてどうお考えになるのか。実はこの間、国民の足を守る長崎県集会というところに参りまして、私はつるし上げを食っちゃった。運輸委員の諸君と一緒に行ったのです。御承知のとおり、きのうも国鉄運賃の問題で質疑が行なわれておりまして、新幹線ができると普通列車が間引きされて、特急とか急行ばかりになっていくということで、庶民は非常に困るじゃないか。結局普通列車にいままで乗っていたものが特急とか急行に乗らなければならぬから、運賃の値上げというものはより大幅になるのだという指摘が実はあったわけです。ともあれ、私ども社会党といたしましても、新幹線というものはやはり旅客輸送の核として位置づけしておりますから、これに反対しようとは考えておりません。ですけれども、これが最優先されて、在来線が軽視されてはならぬと私は思う。やはり在来線の電化、複線化という、そういう近代化の方向は強力に推進していかなければならぬと思いますから、大臣からは長崎新幹線の問題、磯崎総裁からは長崎本線の電化、複線化の問題について、いつごろからこれを着工される御予定であるのか、伺っておきたいと思います。
  31. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 長崎新幹線につきましては、ただいま御質問がございましたように、建議線でないことは事実でございます。しかし、鉄道建設審議会の開催はおくれておりますが、まだ予算が衆議院を通っていない状況でありますので、したがいまして、諸般全部おくれております。開催もおくれている、こういうことでございます。御承知のようにその予算に三億の調査費がかかっております。予算が衆議院を通りまして、参議院にかかってきてからでないとやはり不穏当じゃないか、こういうふうに思っている次第であります。時期はそうでございますが、建議線であるからといってその基本計画に入れなければ入らぬという性質のものではございません。これはやはり彼我全体の鉄道のネットワークのうちにおきまして、いかに新幹線として重要であるかというような必要度、重要度、それから旅客の需要というようなこともすっかり勘案いたしましてきめる次第でございます。そういう点につきまして、確かにただいま出ております建議線よりは一歩おくれたようなかっこうでございますが、それらのことも十分勘案いたしまして、必要度を見てきめてまいりたい、こう思っている次第でございます。  それから、ただいま新幹線とともに在来線の話でございますが、もちろん地方幹線、これも最も必要でございます。私どもの選挙区でも、高速道路ができるのはいいけれども、地方民はそう利用しないぞ、これは地元の道路をどうするかということでございます。高速道路とともにやはり地元の道路を補修、改修するということは地元民の要望でありますとともに、地方幹線その他につきましてその重要度というものは減るどころか、私はますます必要になってくる、こういうふうに思っている次第でございます。今回御審議を願います十年計画におきましても、地方幹線を含めまして、いろいろの幹線の増強につきましてもこれは  一番多くの予算措置をとりたい、こういうふうに考えている次第でございますので、御了承願いたいと思う次第でございます。
  32. 磯崎叡

    磯崎説明員 長崎本線の在来線の複線電化について、先生からもかねがね何べんもお話を承っておりまして、複線化のほうは先般の浦上線の完成を入れますと大体五五、六%までおかげさまで複線になりました。佐賀のところの高架もきまりました。複線化のほうは寄り寄り進んでおりますが、電化のほうはいまおっしゃるとおりまだ手をつけておりません。いま大臣からおっしゃいました在来線についても、在来幹線の複線化、電化をやるべきだというお話でいろいろ計画を立てておりますが、結局電化につきましては、いま先生のおっしゃった長崎新幹線の問題とのからみが若干ございまして、そこをどうするか。いずれにいたしましても、これは電化しなければならないことははっきりしております。ただ、あれがおくれましたのは、長崎本線だけでなしに、どうしても佐世保まで一緒にやらなければいけないということで金額がかさみますので、日豊線が進んだわけでございます。佐世保、長崎、両方含めまして在来線の複線電化を当然やりますけれども、時期がいまの新幹線問題とからみますので、まだ明確にお答えできないのでございますが、もちろんやらなければならないと思っております。
  33. 中村重光

    中村(重)分科員 浦上線の複線化の問題、地元民から非常な反対がありました。私は総力をあげて地元民の説得につとめまして御協力を申し上げたつもりでございます。近く完成の運びになるということになりますと、いま総裁がお答えになりました新幹線とのからみということになってまいりますと、確かにいま二重投資だという考え方も出てこないともいえないとは思いますが、そうなりますところにまた反発も出てくるのですよ。新幹線が優先されて、そして在来線の整備がおくれてくるのじゃないかという反発もそこに出てきます。からみもありましょう、それは国鉄の側から見れば。しかし在来線はより重視されなければならぬという観点に立って、困難を克服してこれの整備乗り出していただきたいということを強く要請しておきたいと思うのです。  それから大臣、長崎新幹線はおくれてはおるが、必要、重要度というものは十分考えているというような御意見がございましたが、これは着工はやはり同時にやらなければならない。その重要性を持っておるというように理解をしてよろしゅうございますね。
  34. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いずれ私はそうなる、こういうふうに思っております。  ちょっとお断わりしておきますが、何ぶんこの問題は各党から委員を出しております鉄道建設審議会の決定を見る次第でございますので、私から運輸省としてのあれを申し上げたのであります。
  35. 中村重光

    中村(重)分科員 しかし、少なくとも運輸大臣ですから——民主的な機関としてのそれは尊重していくということでなければならないが、少なくとも運輸行政の最高責任者としてどうあらねばならないかという考え方はきちっと持っていただきたい。これがなければならないと私は思います。そういう意味で私は先ほどの答弁に期待をしたいと思います。
  36. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 竣工の時期について申し上げた次第でございまして、基本計画に入れるかどうかについては、もうしばらく検討いたしたいと思います。
  37. 中村重光

    中村(重)分科員 次に、ハイヤー、タクシーの乗降場所の設定についてお尋ねをいたします。実はこれも国民の足を守る集会において積極的に取り上げられたことですが、交通渋滞、交通事故、交通公害をなくするという点からしても、流しということが一番便利であるが、このことがそうしたいろいろな公害を起こす原因ともなる。また労働強化というようなことが非常にこの面にある。その労働強化がまた事故を繰り返すという悪循環になるということになります。     〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 したがって、ハイヤー、タクシーの乗降場所というものをできるだけ推進をしていくということでなければならぬ。このことに対してのお考え方を伺いたい。
  38. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま御指摘ございましたように、特に大都市その他交通が非常に混雑いたします地域におきましては、交通安全上あるいは混雑緩和上、また運転する人の労働過重の問題、そういう点から考え合わせまして、さらにお客さんの利便というようなことを考えますと、乗降場を数多くつくって、なるべくそういうところで乗降されるように誘導するということはまさに御指摘のとおりでございます。したがいまして私ども、大都市におきましては警察その他関係方面の非常な御協力を得まして、それにはタクシーべーの整備とかあるいは乗降場を数多くつくるためのいろいろな施設の整備、そういうことと相まって進めなければなりませんので、方向としては先生の御指摘のように、大都市を中心とし、逐次地方にそういう考え方を実現していくようにさらに努力したいと思います。
  39. 中村重光

    中村(重)分科員 ハイヤーは流しというものをやってはいけないのですね。タクシー業とハイヤー業というのは免許が違うわけですね。ところが全国多くはハイヤー業で免許になっているのですよ。たとえば私の県は免許はハイヤー業なんです。ところがこれが俗にタクシー、タクシーといわれて、流しが中心になっている。これは大体違法なんだ。だからこの問題も私は指摘をしておかなければならぬ、こう思うのです。特にそうした一たん免許をしている場合、やはり尊重されていくということでなければどうにもならない。無秩序にやるということは適当でない。  時間の関係がありますからあと一問。個人タクシーの免許の問題、これは運輸大臣から、個人タクシーが事故率も非常に低いというようなこと、いろいろな面から個人タクシーを積極的に認可していきたいという方針が明らかにされた。私もこのことは賛成なんです。ところが現在の規制があまりにもきびしくなっておるのですね。年齢的に四十歳が三十五歳に引き下げられた。ところが三十五歳から四十歳までの人は、免許を受けるところの区域において十年間の経験がなければだめなんだ。四十歳以上の人はそういうきびしい規制がないのですよ。それがなぜ三十五歳から四十歳までにそういうきびしい規制をするのか。少なくとも三十五歳以上の人であれば相当な運転経歴があることは間違いないのですよ。運動神経もそれだけ活発であるはずです。そういうことは緩和される必要があるということ。それから市部だけではなくて郡部にも個人タクシーを認めていこうとお考えになっておられるか。年齢の面は三十五歳から緩和していこうというお考え方であるのか。その方針についてひとつ伺っておきたい。
  40. 野村一彦

    ○野村政府委員 まず年齢の点でございます。御指摘のように、従来個人タクシーは満年齢四十歳以上の者について認めておりましたが、先般多くの地域においてこれを三十五歳まで引き下げました。そのときに、三十五歳から四十歳未満の者については、その申請区域において十年間の職業運転者としての経歴という条件をつけた地域が多いことは御指摘のとおりでございます。こういう要件を四十歳未満に限ってつけましたのは、御承知のように個人タクシーというものは非常に安全でかつサービスがいいという評判のいいものでございますので、その質を落とさないようにしてやっていこうということと、それからもう一つは、個人タクシー創設の目的が、タクシーの運転者として長年まじめに勤務してきた人に将来の希望を与えようということでございまして、そういう意味で、三十五歳まで下げたわけでございますが、下げるにあたりまして、やはり現在の個人タクシーの質を低下させたくない。せっかく評判のいい個人タクシーを、あまりにも条件を緩和することによって質が悪くなれば、安全やサービスの面に影響があるということから、あの段階におきまして御指摘のような制限をつけたわけでございます。しかし、これはその後時世も変わっておりますし、また個人タクシーの業績というものもだんだん世間に認められておりますので、今後の検討課題として検討していきたいと思います。  それからもう一つ、免許地域でございますが、個人タクシーを免許する地域については、現在ある行政指導によりまして制限をいたしております。それは結論的に申し上げますと、大体地方の、ハイヤーは別といたしまして、タクシーにつきましては、流しで営業をするということが一つの大きなたてまえになっております。したがいまして、流しで営業しても採算が成り立つというような地域に個人タクシーを認めよう。個人タクシーというものも、もちろん車庫待ちという制度もできないことではありませんが、一人一車でございまして、自分一人が運転しておりますので、いわゆる車庫でお客さんを待って営業するものではございません。流しでお客さんを拾うという、タクシーのドア・ツー・ドアの便利さをあらわしておるものでありますから、いまは、もっぱら流しで営業するのを専門とする個人タクシーが、その地域で営業が成り立つかどうかという判断にかかっております。その点さらに実情を調べますが、現在そういうことで一つの制限を加えております。これも実情に応じて今後検討していきたいと思います。
  41. 中村重光

    中村(重)分科員 いやなことを言うようですけれども運輸省が最高に企業との癒着がある。それで企業の意思によって運輸省行政が動かされているという批判が非常に強いのです。いまの問題にいたしましても、やはり会社タクシー経営者からの圧力によって、三十五歳に下げたけれどもそれは申請区域で十カ年の経験がなければならないのだというきびしい規制を加えた、こういうような批判だってあるわけです。せっかく積極的な意味で個人タクシーをお認めになるならば、やはりそういった実情に即していく、こういうことが必要であろう。  それから、いま局長がお答えになったので若干矛盾だと私が思うのは、流しが主であるというならば、車庫と運転者の自宅との間に三百メートル以内という規制をしていることだっておかしい。流しが目的ならばそれと矛盾するでしょう。流しが目的ならば、車庫と住まいが三百メートルあろうが一千メートルあろうが関係ないじゃありませんか。そういうところはきびしく規制をしているのですよ。だからそういう矛盾がないように、実情に即してやるとおっしゃったわけですから、ほんとうに十分実情に即してやってもらいたい。
  42. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまお話がございましたが、業者との癒着、こういうことはあってはならぬ、そういうことは絶対にさせないようにやってまいりたいと思います。  それから、私は前からも言っておりますが、個人タクシーをふやすという方向で極力進めさしております。したがいまして、具体的問題といたしましていまの年齢の問題、それから地域の問題、これも積極的に考えてまいりたい、こう思っている次第でございます。ただ、個人タクシーはいまの利用者側からは非常に良質サービスであるといわれておりますので、その評価を落とさないことを一番の標準としてきめてまいる、こういうふうに思っておる次第であります。
  43. 中村重光

    中村(重)分科員 時間が来ましたから終わります。
  44. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて中村君の質疑は終わりました。  次は沖本泰幸君。
  45. 沖本泰幸

    沖本分科員 国鉄総裁に主として御質問いたします。  私が運輸委員会並びに当分科会で毎年のようにずっと質問し続けてきておるのですが、この毎年やっている質問がいつ終わるのだろうか、非常にむずかしい気持ちに立っておるわけです。そう申し上げますと、御承知のとおり大阪の外環状線の電化、客車化という問題になるわけなんです。昨年度は磯崎総裁から、総武線が大体めどがついたから、終わり次第大阪のほうに取っかかる、こういう御発言をしていただいたわけなんですけれども、御承知のとおり大阪周辺の交通渋滞というものはたいへんな問題をかかえ込んでおるわけで、その中でこの交通問題、乗客のさばき方というものにこれからの大きな問題がかかってきている。都市交通の麻痺というものは東京、大阪が全国で最たるもの、それをどう緩和するかということが一番大きな問題になってきておるわけです。そのために立体交差問題であるとかいろいろなことがいま考えられ、実施されていきつつあるわけなんですけれども、むしろそういうものを上回って交通渋滞のほうが激しくなってきておる。こういう実情は、交通の専門でいらっしゃる総裁のほうがよく御承知のことだと思うわけでございます。  そういう点からも、この大阪城東貨物線を電化あるいは客車化、高架にしていただくということが年々重要性を増してきているということなんですが、昨年は前向きのお話をいただきましたけれども、それ自体がもう一つはっきり、こういうことでいつから取っかかるということのめどが立たないと、去年も申し上げましたが、地元のほうとしては対策の立てようがない。都市開発あるいは再開発あるいは区画の問題あるいは周辺都市の整備あるいは交通道路の組み方、立体交差のありようというものも、城東貨物線がどうなるかということによって大きな変化を持たなければならない。ですから、やりようによってはむだなことにばく大な金もかけなければならないし、あるいはそのことによって一挙に何か道路のごみ掃除ができたような形で交通がうまくすべり出していく、こういうことにもなっていっておるわけですので、こういう点はいまさら申し上げるまでもないことなんで、そういう点から、伺いますと福知山線、片町線というものも明るい見通しがついてきた。これもいままでは何かひまなところを走っているような感じの電車に、ほんとうに片町という感じの路線のように見えたのですけれども、いまはもう大阪の市内の中心を走らなければならないし、通勤客をさばくのにどうするか、あるいは周辺のベッドタウンとの関係性、こういうことからさらに大きな重要性を持ってきたわけなんです。そういうところに国鉄の路線が全然ないということであれば、私鉄なんかの開発面の一端にもなっていくということになるわけですけれども、現実に国鉄の路線があり、そういうものがいまでもまだ旧態然とした状態で置かれておるということ、そういう事態が大都市の交通近代化とは全然うらはらな状態の感じを受けています。城東貨物線にいたしましても、大阪の市内のどまん中に土手があって、いつ走るともない貨物線、線路だけ残っている。こういうのはやはり前時代的な遺物があるような感覚も受けるわけですね。これがやはり高架にされて、下を何らかの形で車が通り、その下の道路も何らかの形で使えるということになれば、これは大きな社会公共の用にそのこと自体がかかってきている、こういうことになってくるわけです。したがいまして、国鉄で一番の問題は赤字という問題で、これは大きな国会の課題でもあり、本年度は国鉄運賃の値上げ問題で論争を呼ぶことにもなっておる事態になるわけですね。私が申し上げているのは、結局過疎地帯の赤字の路線がどうである、こうであるということを無理やりに総裁に申し上げておるわけではなくて、現実にもう交通が麻痺状態になって、乗客があふれておるような地帯の外環状線を何とかしてもらわなければならない、こういう年来の問題をかかえ込んで申し上げておるわけでございます。いままでの計画は新大阪から吹田を経て加美までですけれども、私が申し上げておるのは阪和線の杉本町駅まで貫いた考え方、いわゆるほんとうの環状線になった状態のことで私は御質問しておるわけでございます。こういう関係がちゃんとなりませんとどうにもならない。最近、地方の主要都市でそれぞれ市内乗り入れ、市内の交通改善するために地下鉄の導入というものが盛んになっているわけです。それほどまでに都市交通というものを地方都市自体が真剣に考えなければならない、金がかかってもこれはやむを得ないということから出ておるわけですから、いま大阪がかかえ込んでいる城東貨物線の環状線化というものがますます大きな比重を加えるわけでございます。  そういう点で、ほかに御質問があったわけですが、きょうは特にそのことだけに問題をしぼつて、地元周辺の各市長がこのことに頭を痛めておる。大阪市長もどうにもならない状態。それからそれに加えまして、いつまでもやってくれないなら待ち切れないから、大阪のやはり道路で、万博のときつくりました中央環状線の道路の側線にむしろ電車を走らせて、大阪市が軸になって民間で経営してもいい、こういうふうな考え方も出ている。民間で経営してもいいという考え方そのものは、ある程度の採算度というものを生み出さなければ出てこないわけですから、そういう点はやはり十分採算を見込んだ面が出てきてそんな話が出てきているというような点から考えていきますと、むしろこの城東貨物線を電化にし、高架にし、客車を走らすということになれば、当然黒字は生み出せる。そうすれば国鉄のほうとしても喜んでこの仕事に取っ組んでいただけるいま現状になっているのじゃないか。地元のほうはみなそういうことを考えておるわけです。そういう点から、赤字、赤字というけれども、ここから黒字が生み出せるのになぜ手をつけないのだろうかというのが、大阪全体、府下の疑問になっているわけですね。そういう点もいろいろお考えいただいて、これからどういうふうに取っ組んでいただけるか、あるいはその時期はいつごろか、どういう状態で始めていただけるか、そういうことについてひとつお答えいただきたいと思います。
  46. 山口真弘

    ○山口政府委員 城東貨物線につきましては先生から再三にわたりまして御質疑がございました。私ども十分内容を承知しております。本線につきましては、大阪圏の高速鉄道網の建設という中の主要な内容をなすものでございまして、これに関しまして四十六年、昨年の十二月八日に都市交通審議会の答申がありました。これは「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備増強に関する基本的計画について」ということに関しまして答申がございました。その答申の中で、ただいまお話しの新大阪−放出−加美−杉本町間でございますが、これにつきまして、これは大阪市の都心業務地域を拡大分散するために必要となる路線である。したがって、大阪府並びに大阪市の地域計画の一環として、これとの調整をはかった上で建設をすべきものである。そうして国鉄の城東貨物線及び阪和線貨物線を一線増設の上、旅客運輸営業を行なうという方向でやりなさいという意味の御答申がございました。こういったような面に関しまして、将来ともこの大阪圏における基本的な重要な都市交通路線でございますので、国鉄の財政事情等とも勘案をいたしまして整備を進めてまいりたいと存じておるわけであります。
  47. 磯崎叡

    磯崎説明員 大阪の外環状線につきまして、実は沖本先生から数年御要請を承っておるわけでございまして、私どもずっと御答弁いたしておりますが、昨年申し上げましたように、東京のほうはやっと、いわゆる五正面作戦のうち、ことしの七月十五日で総武線が東京駅まで入ってまいりますので、その五つのうち三つまでは完全に済むことになります。あとは非常に問題になっている東海道線とそれから中央線の奥のほうでございます。いわば一つの峠を越したというふうに私は思っております。したがって、去年お約束いたしましたように、いままでどっちかといえばほったらかしにしておったというふうに率直に申し上げざるを得ないような大阪付近の通勤について、本格的に取り組んでいきたいというふうに思っております。御承知のとおり、いま先生のお話の中にもございましたが、結局放射線状に入る福知山線——東海道は一応別といたしまして、福知山線、片町線あるいは阪和線等につきましておのおの考える。同時に環状線を、中側の環状線はもうできましたので、外側の環状線をぜひ整備したいというふうに思っております。いろいろこまかい点もございますので、担当の長浜から詳しく御説明させていただきたいと思います。
  48. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま総裁から御答弁申し上げましたけれども、東京の仕事が一段落しましたので大阪に重点を移したい、こういうふうに考えまして、昨年も先生から御指摘のございました阪和線の高架化の問題、これもなぜ早くやらないのかということでございましたが、これも高速道路との関係がございまして延び延びになっておったのですが、鋭意これを話を進めまして、これは協定ができましたので近く着工の運びになろうと思います。これで先生が昨年御指摘されました問題も解決することになります。また先生がおっしゃいましたように、終戦後早くから御要望のございました片町線の複線化につきましても、大臣の御承認をいただきまして、着工の運びに近くなろうかと思います。また福知山線につきましても積極的に進めるような段階に来ております。あるいはまた内環状につきましては、これはもう二、三年前に八両運転というような運転方式がとれるような方式も完了いたしました。そういうことで、逐次大阪のほうに主力を移していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  そこで、城東貨物線につきましては昨年も先生から御指摘ございまして、われわれも何とかしたい。ただ東京の状況がこういう状況で資金事情が非常に苦しいということを申し上げまして、ですけれども何とか早く着工する方法はないかということで、実は現地のほうで府あるいは市、地元の方々と御協議を申し上げまして、できれば、先生さいぜんお話しになりました民間の資金を入れるというよりも、私たちとしては府なり市なりの資金を入れる。またそれに国鉄も一緒に入りまして、別の公共企業体のようなものをつくりまして、それで城東貨物線の電化をやったらどうか。何ぶんにも御承知のように三百億近い工事資金も必要とするものですから、そういう方法はできないだろうかということで、いろいろ関係の方面とも御相談をさせたのでございますが、どうもいろいろむずかしい問題がございまして、これは実行が非常にむずかしい、こういう現在の情勢でございます。  それで現時点では、いろいろ四十七年度からまた政府なり国民からの御意見をいただくことになろうかと思いますが、そういう御意見も踏まえまして、やはり普通の型の国鉄予算並びに資金でもってこれを進めていくよりはかなかろうというふうに方向をきめております。ただ、いま申しますように、とりあえず阪和線あるいは片町線、福知山線のほうに、これは金額からいいますと城東貨物線のそれぞれ半分以下、三分の一くらいのものでできますので、とりあえずそれに着工したい。引き続いて城東貨物線のほうにも何とか手をつけていくように予算の見通しを立てていきたい。何ぶんにも三百億近い金がかかりますので、途中でやめるわけにまいりませんので、その見通しを四十七年度以降に立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、それによりまして、先生指摘のように、都市計画その他で道路の計画あるいは町づくりの計画、その辺をディスターブするということがあっては非常に申しわけありませんので、われわれのほうとしましては、城東貨物線を将来複線電化にするんだ、あるいは高架にするんだというようなそういう計画をある程度つくっておきまして、地元の道路の計画あるいは都市改造の計画にそごを来たさないような方向でやらなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう状況でございまして、われわれとしては、いま御指摘の加美というところでとめないで、やはり新大阪から吹田を経由いたしまして、そうして加美を通って杉本町まで、そうして阪和線の輸送力の増強にもなるというような輸送体系をとるべきじゃないか。これはただいま運輸省のほうからお話がございましたように、都市交通審議会のほうでもそういう御意見が出ているようでございますので、われわれもその線に従っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 沖本泰幸

    沖本分科員 あと残り時間があまりないのですけれども、まあ私たちから見て、できるものはあまり言わないでおこう、総武線についても口をふさいであまり御批判をしなかったのですが、大阪のほうから見れば、あれだけたくさん金がかかって、それで難工事である東京駅の地下の乗り入れに対する総武線を、必要は必要なんで、昨年見通しを立てていろいろおやりになっていらっしゃる。     〔主査退席、細田主盃代理着席〕 だけれども、必要度という点から考えればずっと先の総武線の見通しよりも現実の大阪の外環状線のほうが目の前に見えている問題なんだ。なぜそれがあと回しになるのだろうということが関西の人たちの一番の不平不満なんです。それはやがて——やがてというよりも、国鉄に対する不信という形ではね返っているわけです。だといって、何もかも国鉄が見てくださいということをいままで言ってきたのではなくて、おっしゃれば応分のことも考えます。しかし、どういうふうにするかということを、いつからやるかということを言っていただかなければ、あるいはある程度の青写真をお示しいただかなければ、それに対して市民なり府民から応分のものを予算の中からさきますということも言い切れないし、議会の承認も得られない、こういうふうなのが地元の一番の問題だったわけです。すでに出しておりますいろいろなお金も、金利から考えるとばく大な問題になってきている。そういうものをほかに使えばもっと有効な仕事ができたということもいえるわけですね。そのためにいろいろ苦慮しているわけですから、一そういう点もお考えになっていただければいいんじゃないだろうか。そうでなければ、関西の方は国鉄に対してあまり期待も持たないし、信用も持たないということになってくると思います。協力もしなくなってくる、こういうことになるのじゃないか。もうそういう事態がきておる、こういうふうに私は考えておるわけです。  したがいまして、いまはドーナツ現象がますます激しいために、大型化されていく住宅のベッドタウン的な建設のしかたというものが激しくなっておるわけですから、また総裁にしてもこの前の構想の中では、新幹線のこだまクラスは、もういわゆる彦根から、ずっと向こうのほうまでベッドタウンになるだろう。福知山やそういうところが同じ考えなんだということになっていますし、現実には大阪対奈良というところが、大阪の圏の中の一つの都市的な存在的なものもかもし出してきている、こういうところなんですね。ですから現在ある大阪の環状線というものは、ほんの市内の中心の的の中の一番狭い輪しか持っていない。そこで果たす役割りというものは、いまは小さな問題になってきている。それがどうにもならないので、私鉄がどんどん地下から乗り入れをはかってきている。こういうふうな動き方と国鉄の動き方というものは全然逆現象を起こしているのじゃないかと思うわけです。したがいまして、阪和線あたりでも車両なりスピードなりをもっとアップしていただくなり何なりしていただければ、そういう面からでも乗客の扱い方というものが変わってきております。また泉北ニュータウンがどんどん増強されてきておるのですから、全く阪和線もまた市内電車と変わりはない現状になってきている。こういうものをつないでいくという関係になってくるわけですから、これはもう少し、過去、いわゆる第三次長期計画の中でお考えになった大阪外環状線より別の角度から見ていただいて、最も早い時期に近代化したものをつくらなければならないんだというふうに、これは国鉄の収益というような面よりも、むしろ公共の交通、先ほど総裁がおっしゃったとおり通勤客をさばく一番の大きなネックになるんだという点もひとつ考えていただいて、大きな手を打っていただかなければならないと思うわけですね。  四十七年度以降に見通しを立てたい、こういうことなんですけれども、来年度になれば予算がどれくらいで、どういう形にするかというものがあるいは出るんでしょうか。先ほど長浜常務理事の、大阪を一番よく御存じの方のお話なんですが、いわゆる高架下の道路の使い方、こういうこともあるわけですし、むしろ地元のいろんな計画とにらみ合わせていくということよりも、国鉄がこういうふうにしますと言っていただいたほうが、隣接する各都市というものは早く計画を立てられるんじゃないか、こういうようにも考えられるわけなんですけれども、その辺のめどと、それから三百億は要るということでございますが、現実に南海本線あたりの立体交差で要る金は結局二百三十億かかるわけです。これももうやむを得ないから、立体交差で建設省が九割見て踏み切っている、こういうことになるわけです。ですが、仕事の取っかかりはまだ徐々に始まったばかりというところで、これから全線が高架になるには十年もかかるというふうなことになるわけですね。結局城東貨物線がこれと同じような状態になってしまっては困るわけですし、そういう点も考え、また実際に踏み切っていただいても全線を一ぺんにやるわけではないので、何期間かに分けて工事をおやりになるということにもなるわけですし、相当早い時期に見通しを立てていただいて、地元にはっきりお考えを示していただいて進めていただいたほうがいいんじゃないかと思いますし、それからたとえば東住吉区あたりが、杉本町で通じるか通じないかということでバス路線とかいろんなものが関連してきておるわけです。あの辺に団地が一ぱいできておるわけです。団地の通勤客をどうさばくかということが大問題になっておるわけですね。ですから東住吉のほうでも何とかあそこを早く通してほしい、こういう要望が非常に高く出てきておる、こういうことにもなるわけですし、交通量は激しくなってきて、現在の城東貨物線と立体交差のいわゆる府道なり何なりの面では橋げたの高さというものがいま問題になりつつある、こういうことにもなっておるわけですから、早急にこういう点を考えていただかなければならない、こう思うわけですが、この辺についてひとつお答え願いたいと思います。
  50. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま先生指摘のように、関西の特に大阪地区の方々からそういう不平不満のあることは私も十分承知をいたしておりますが、いま申し上げますように阪和線なりあるいは片町線等に手がかかっていくということになると、だんだん御理解をいただけるようになるのではないかと思います。特に阪和線につきましては、これの高架につきまして、鉄道事業だけでも百二十億くらいの投資の決定が要るということになりますし、そこでまた城東貨物線につきましては、いままでも実はもうすでに二十億ばかりの費用が出ております。これも先生御承知のとおりでございますが、関連する都市計画との関係でも、用地の取得、そういうものについて支障のないようにということでいろいろやっておるわけでございます。     〔細田主査代理退席、主査着席〕 この工事はいつできるかということで、また十年かかるということでは非常に申しわけございませんので、われわれといたしましては、工事を始めますとできるだけ投資効果を早く発揮して地元の方にも喜んでいただきたいということで、やりかけるとそれに集中的に金を入れたい、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、城東貨物線につきましても、いまのわれわれの計画としましては、用地買収がどれくらいかかるかわかりませんが、地元の御協力がいただけるということになりますと、工事も含めまして五年ぐらいでは工事を竣工させ得る。やればやはり全線やって効果を最大限に活用したほうがいいのではないか、こういうふうに考えております。  そこで来年度になりますと、いろいろ具体的な計画をだんだんつくっていかなければならぬわけですが、今年度につきましてはさいぜん申し上げましたように、別途の方法で工事をやる方法はないかということで鋭意こちらを詰めておったわけでございますが、現時点ではこれの計画をだんだん固めていかなければならぬ。なお、四十七年度、四十八年度以降の国鉄予算の見通し、その辺を十分立てませんと、途中でやめるわけにいきませんし、やりかけると早急にこれは完成させたいということでございますので、この辺の見通しも立てながら計画を実施したい、こういうふうに考えておる次第でございます。できるだけ努力をしたいと思います。
  51. 沖本泰幸

    沖本分科員 これで終わりたいと思いますが、地元の大阪人的な単純な考え方は、赤字、赤字とこういっておるのに、黒字が生めるのに何でやらへんのか。大阪弁で言うと「何でや」と、疑問なんですね。それはもうけを生むんやから金をかけないかぬということになるので、多少金のかかることはがまんしてもらって、すぐもうかる路線に変わるんだから、どうしてだというのが疑問ですから、その辺の地元の疑問を解消する方向でお進めいただきたい、こう思います。
  52. 磯崎叡

    磯崎説明員 この問題は私も非常に申しわけなく思っております。しかし、去年も約束いたしましたとおり、かまえといたしまして、通勤輸送はこれから大阪に重点を置いてやるというかまえだけははっきりいたしましたので、その点だけは明確に申し上げたいと思います。
  53. 沖本泰幸

    沖本分科員 ありがとうございました。
  54. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて沖本泰行君の質疑は終わりました。  次は川崎秀二君。
  55. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 私は第二分科会本務員でありますので、ここは時間が非常に制限されていますので、こっちも簡単に申し述べますから的確にお答え願いたい。  名張−松阪間の名松線、これは完成しないうちに戦争を迎えた。ずいぶん昔の話です。奥地開発ということで非常に重要な路線であったのですが、赤字で廃止問題も審議会の勧告では出ている。しかし国鉄当局では、奥地開発という意味もあるし、キロ数も長い、また物資の輸送も相当ある、通勤者もある、こういう関係から、さしあたりはそういう気持ちがないように聞いておりますが、この機会にはっきり言明していただきたいと思います。
  56. 磯崎叡

    磯崎説明員 名松線につきましては、例の諮問委員会の勧告書の八十二線区に入っております。一時いろいろ具体化しようという話もございましたが、先生もおっしゃったように距離が非常に長い。それから最近沿線の状況が非常に変わってまいりましたので、現時点におきましてはこれを廃止する意向を持っておりません。
  57. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それは間違いありませんな。
  58. 磯崎叡

    磯崎説明員 はい。
  59. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それから第二の問題は関西線の電化複線の問題です。これは、昔は東海道五十三次というのは、名古屋から分かれて、関、亀山、桑名を通って、そして間の土山鈴鹿峠を越えて行ったわけです。ですから関西線というものはその半分ぐらいを通る非常に重要な路線で、国鉄の昔の時刻表なんかを見ると、東海道線、東北線、山陽線、四大線のうちの一つにさえもなっておったわけです。近来はまるで問題にならぬ。われわれの政治力不足のあれもあろうし、あるいは大野伴睦先生があっちへ持っていったような関係もあり——私は、日本全体がよくなればいいという政治論者でございますから、必ずしも地元のことばかりではない。けれども、昨年近鉄の大事故が起きたということの原因は、近鉄が非常なスピードアップをして、しかも距離的には非常に無理をして伊勢中川から名古屋のほうに抜ける、それを二時間二十分ぐらいでやろうというのでどえらい努力をする。片方の関西線は有利な地形を持ちながら年々少なくなっていく、こういう問題にもかかっておるわけであります。関西線の電化は非常に重要だというので、地元の運動もあり、また国鉄当局でも認めておるわけですが、事実は、最近、電化複線を両側から進める反面、間をちょん切ってしまうものですから利用者が非常に減じておる。これがずっといくようになれば状態は非常に変わると思うのですが、そういう点で、関西線の電化問題について、どういう計画で、それから最終年度はいつというダイヤを見せてください。
  60. 長浜正雄

    ○長浜説明員 関西線は、御承知のように四十四年に大臣の認可をいただきまして、名古屋から四日市までの複線電化工事に着工いたしました。いま全線にわたりまして用地買収をしております。工事も数区間着工し、本年度新たに、非常に工期を左右する橋梁の部分に着工いたしました。一応工期は五十三年ということになっております。これは事務上の問題でそうなっておりますが、できるだけ早く完成したい。実は名古屋口の出口といいますか入口といいますか、あのほうを複線にするなら、その際高架化にしてほしいという話が出ておりまして、ちょっといま話がまとまりかねております。そのことでそちらにはちょっと手がつきませんので、奥のほうといいますか、四日市側のほうに数区間着工し、本年度新たに揖斐・長良川の橋梁にも着工する。これは工期を非常に左右しますので、工期を縮めるということにしております。いまそういうことで高架化の工事とのからみ合いがございますので、昭和何年に四日市まで完成するかどうかということは、ちょっとスケジュールとしてはまだきまっておりませんけれども、われわれとしては百二十億の工事費で、うち三分の二は地元で利用債の調達をしていただいておるわけであります。そういう関係もありますので、できるだけ早くやりたい、こういうふうに考えております。
  61. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私が言っておる全線複線電化という意味は各古屋−湊町・天王寺間、この全線の複線電化という意味であって、そこでその最終年度はいつか。なかなか予測がつかないのでは困まりますので……。  それからもう一つは、当面の問題として四日市から亀山まで延長したいというのは、これは住民並びに愛知県側からの強い要望でもあるわけです。それはいまショートカットもできますけれども、昔、伊勢参宮線というものは非常に重要な路線であった。その路線があるいはこれで廃止されるのじゃないかというデマもある。そんなことはあり得ないことですが、分岐点に立っておる亀山は非常に重要な位置を占めておりますので、それを延長するのはいつか。それから、鈴鹿峠という難所もありますけれども、大阪から伊賀上野を通って亀山まで抜ける線は一体いつごろになるのか。これは三重県、愛知県、それから奈良県、全体の強い要望ですが、それはどうなりますか。     〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
  62. 長浜正雄

    ○長浜説明員 全線の電化につきましては、中間に御承知のように笠置の付近にトンネルその他がございまして、ちょっとあのままでは電化しかねますし、非常に工事費もかかりますので、いまのところ計画には乗せておりません。もしやるとするなら、あるいはルートを別に葦津のほうへ抜くか、柘植から草津のほうへ電化をしていくほうが早いんじゃないか。この辺はもう少し計画をやってみたい、そういうふうに考えております。したがいまして、まだ具体的なスケジュールは計画に乗っておりません。  それから、四日市から亀山までの延長につきましては、これは四日市まで複線化できますときには電化も同時にやりたいと思いますが、そのときにはやはり亀山までは電化をしなければいかぬ、これは同時にしたい、こういうふうに考えております。
  63. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 東海道五十三次の昔のあれからいえば、柘植から草津のほうに行くのも一つのあれですね。けれども、いま奈良へ観光旅行をしようという人、ことに外国人で、京都まで行って奈良へ抜けるんじゃなしに、奈良は奈良で行きたいという者も相当あるし、それから、もちろん外国人よりも一般の日本人の路線利用として、奈良を抜けていくほうが時間的に非常に早いわけです。あれはもう距離をはかってみればわかります。亀山まで延ばすならば、複線が王寺まで来ておることですから、そういう考え方に立てば奈良というものは非常に大きな焦点に立ってくるわけです。これはわれわれの選挙区外です。けれども、やはり奈良というものを日本の大きな宝として開発していくことにおいては非常に重要な意味があるのじゃないか。そこで関西線の全線複線電化ということを申し上げておる。ぜひそういうふうにしてもらいたい。そういうものも構想に入れて新しい計画を進めるかどうか、それを聞きたい。
  64. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま先生の言われましたような構想、すなわち名古屋から亀山、奈良を通る大阪への関西線の複線電化という計画は、いまのところ実は私どもあまり考えてなかったのですけれども、いま先生の言われたような御趣旨もこれあり、研究を前向きに進めたい、こういうふうに考えます。研究を進めて、どういう計画でどういうことになるかということを至急勉強したい、こういうふうに考えます。
  65. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 というのは、東京を夜立つ「大和」という汽車が出ていた。それの利用者は終戦後非常に多かった。東海道線を利用するよりも約四十五分か一時間早く着くし、便利だというので、大阪の著名なる実業家あるいは文化人、さらにはわれわれが一番の利用者であったのですが、今度廃止になった。これはもう非常に重大事だ。ことに奈良というものに着目しておる人々、代議士の中でも奈良県の代議士、それから大阪府の代議士も、このことのほうに重点を置いてくれというので、近く関西線全線複線議員連盟というものもできると思います。そういうことでひとつ十分考えてもらいたいと思います。これはもう答弁は要りません。  そういう問題を終えまして、あと二十二、三分ですが、実は少し差し迫った大きな問題で御質問をしたいと思うのです。  成田空港は初めからけちのつきっぱなしで、ことに一つの思想的な戦いにもなったと思うのです。われわれは新空港をつくることに賛成です。けれども、この七月の国際線開通にあたっては非常に大きな問題があるんじゃないか。たとえば国際航空運送協会、IATAの猛然たる反対、あれは正論だと私は思っている。世界の主要な国際空港の中で、空港のいろいろな施設が完備しないのに国際線を飛ばすなどということはもってのほかだ。成田は国際空港でなしに、いまや世界的には国際問題空港、「問題」ということばが入るような状態に立ち至っておる。的確に聞きますが、あのガソリン・パイプラインというものはいつ着工して、いつできるのですか。
  66. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 パイプラインでございますけれども、パイプラインは千葉の港頭から空港の中まで持ってまいります。その方法といたしましては、いわゆる高速道路の側道を通る、あるいは市道を通るということになっておりまして、そこで千葉市の市道を通る部分につきまして最後まで問題が残っておりましたが、先般これが解決しまして、この十四日に千葉市まで参りまして、さっそく公団としてはこれに対する契約をつくりまして、至急これを完成させたいというふうに考えております。ただし、その時期につきましては、ただいま分割いたしまして工事をするという段取りを立てておりますけれども、はっきりしたことは申し上げられないところであります。
  67. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 では、ようやく問題が解決したということで、これから着工する段取りもつけたい。これは国際線七月というのには間に合わないですな。
  68. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま公団で詰めておりますので、はっきりした御返答はできかねますが、相当難航いたすと思います。
  69. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 大体常識としては一年くらいかかるのではないですか。
  70. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大体三、四カ月というふうに聞いております。ただ、方々をばらばらにばらして一斉にいたしますから、そういった場合には六月にはできるかと思いますが、その辺がまだ詰まっておりません。
  71. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 三、四カ月にしても七月には間に合わない。あしたでも着工するなら別ですが、そういう無責任な問題もあるし、今度の新幹線はどうするのですか。美濃部さんは非常に反対しておるのですが、いつできるのですか。
  72. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 新幹線につきましてはいろいろ御反対もあるようですが、いまの予定としては昭和五十一年ごろ開通するということになっております。
  73. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 そこで問題は、何としてもこれは七月では無理であるし、第一あなたもずいぶん方々飛んでおられるけれども、私も行って、この間うちから、こんなものをしょっちゅう考えておるわけにはいかないけれども、寝ながらいろいろ考えてみると、たぶん世界じゅう国際空港で首都の都心から一番空港への距離が遠いところではないか。きのう日本航空に聞いてみると、ソウルがそうだ。あんなものは勘定に入ならい。世界の重要なる国、日本、アメリカ、イギリス、ソ連、いまや新たに脚光を浴びておる北京、こういうところでは一番遠いことだけは間違いないですな。それからまだ少し範囲を広げていえば、スウェーデンにしてもあるいはデンマークにしても、さらには東南アジアの主要国にしてもそういうことになりませんか。
  74. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 世界各国の空港について必ずしも的確なデータを持っておりませんけれども、私が承知しておる限りにおいては、ロンドンがたしか二十四キロ、パリが十四キロくらい、それからニューヨークのケネディが二十四キロくらい、ワシントンのダラスが四十数キロでありますから、成田の場合は六十数キロございますから大体遠いと思います。ただ、これも仄聞するわけでございますが、ロンドンの第三空港というのが現在計画されております。これが大体七十キロ前後というふうに聞いております。それを除けばほとんど成田よりは近いというふうに考えております。
  75. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 判じものですが、一体、利用者不在であなた方はきめたと思う。これをきめたころはわれわれはいまの立場よりももっと反主流だったから、全然この問題なんかには容喙できない。これをきめたころの連中はとんでもない頭の持ち主ばかりで、国際感覚ゼロだと言うてもいいほどの考え方で成田にしたものだと私は思うのです。いま一番遠いダラス空港、これが四十何キロだというの、だけれども、通り道はすばらしい快速道路ですな。それから前後四百メートルくらい自動車が通らないときがある。ずっと前のほうに一台走っているくらいだ。あれならスピードが出て何ぼでも行けます。運輸大臣、ワシントン市内のダラス空港を知っておりますか。これが一番遠いと言われたが、その記録を上回っておる。ロンドンにつくる空港も知っております。しかしそれは国際空港だけに使うわけではない。いま使っておる空港国際的な空港に使うし、さらにもう一つあります。第一空港、これはヨーロッパ行きあるいはアイルランド、スコットランド行き。飛行機の発着場はずいぶん知っておりますよ。こんなものをつくって、それで利用者のことを聞いてみればそれには答えられない。利用者は一体どの辺が一番多いか。航空利用者はどういう地域に住んでいる人が多いのですか。
  76. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 やはり東京都内その他郊外が多いと思います。
  77. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 東京都内のどの辺が多いか。
  78. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私のほうとしてもその辺、的確な資料を持っておりません。
  79. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私は類推をし、きのう調べてみたら、やはり多いのは東京都内が一番多い。東京都内のうち都心部から南、南西地域、それから高田馬場から奥の地域、それから世田谷、大森、目黒、湘南地区、存外これは多いですな。逗子、鎌倉、小田原、そういうところから成田空港へ行くのにどのくらいかかるのですか。
  80. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 やはり相当かかります。
  81. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 あまり興奮して言うわけじゃないけれども、実にひどいことをしたものだと思のだ。一番調子の悪いところへ空港を持っていったから、これは思想戦だけでなしに、いま非常に重要な問題を私は提供しておると思うのです。これは最近ある雑誌に載った資料だけれども、空港へ行くのには相当な時間がかかる。丸の内のビジネスマンとしては、国電で上野へ出て京成電車の特急へ乗りかえる。京成上野−成田間が五十九分、特急料金込みで三百四十円、乗りかえがうまくいっても、合計八十分はかかる。完成時には新空港特急で上野から一時間にはなるが、これは美濃部さんの問題がある。こういうことでありまして、この間伊能繁次郎君、これは地元ですが、これは実にえらい問題で、おれは地元だけれども、いまでも、ターミナルビルができる箱崎町から一時間半くらいかかる。それが潮干狩りの季節、五月、それから海水浴の季節にひっかかったら昼間でもだめだという。ラッシュアワーにはおそらく日本橋から二時間半から三時間かかる。してみると、東京の中心部あるいは住宅地域に七、八〇%の利用者があるとすれば、それから今度は西の大阪のほうがまた利用します、日本の民度からしてもやはり利用者は西が多いですから、これは北のほうがダウンしていると見るというよりは、片っ方のほうにウエートを置くとすればそういう結果になるので、そうすれば、三時間半あるいは四時間かかる。そして今度は空港へ一時間は前に行かなければならぬ。これはえらいことですな。これはえらい大問題を提供した。IATAの諸君は従業員の問題、あるいは騒音の問題で全部が反対して、むしろ国内線は成田にして、羽田を国際空港にしろ、こういう相当有力な意見がある。しかし法律も通っておる。私ら調べてみれば、主要空港としてあれを使うということになっておるし、このどたんばへ来てそんなひねるわけには世論が反対でもできないことの相談になってきたかと思うので、私はやはり足が整備された後に国際空港にしろということを言うているわけです。  こういう問題を総括して、騒音の問題、これはケリがついた。これは十時から朝の六時まではジェット機が発着してはいけないというのでしょう。その間のことも説明してその話はケリがついたわけだ。それから国際航空会社、百十何社につとめておる従業員の住宅問題はどうなったか。これもやはり私の予想どおり。これは資料があります。これは都内並びに三多摩方面に住んでいる者が五九%、神奈川県に住んでおる者が一三%。そうでしょうね、羽田ですから。埼玉、千葉その他北のほうに住んでいる者が一〇%ある。行き帰りに二時間以上ずつかかる。これは大問題ですよ。ひとつその裏をひっくるめて答弁してください。
  82. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 まず第一に、運用時間の問題でございます。環境庁からの勧告が出ておりますことは御存じのとおりでございますが、これにつきましては特に成田というふうに申しておりませんけれども、東京国際空港につきましては、十時半から六時まで国際線は飛ばないように、ただし暫定的に——航空会社は国際線の場合にはダイヤが年二回きめられますので、今度のダイヤの改正は十月、したがいましてそれまではダイヤを変えることはできませんので、暫定的に六時から十一時まではよろしいということに環境庁の勧告はなったわけです。そこで私どもといたしましては、まあ環境庁のおっしゃることもいろいろございますけれども、やはり国際線には国際線の特質もある。IATAの要望も、二十四時間運用ということを強く希望しておるわけでございますが、その気持ちはわかるとしても、さりとて現実の問題として二十四時間運用ということは困難であろうと私ども思います。したがいましてなるべくならば、少なくとも現在の羽田における制限程度のものは保っていきたい、こういう考えでおります。これは私どもの考え方でございます。環境庁は十時半で、現在は十一時でございますから、その辺が若干違う面があるということでございます。  それからその次に、従業員の問題の御指摘かございました。これは御存じのように、大体日本の会社ですと社宅をつくるとか、そういうふうなことを会社の責任においてやるということがわりに普遍的でございます。しかし問題なのは外国の航空会社の従業員、こういうものにつきましては、社宅をつくるというふうな慣例がございません。そこで外国の会社の従業員がそういう住宅問題については最も困っておるわけでございまして、私のところにもだいぶ前でございますが見えまして、そういうふうな問題があるというので要望がございました。そこで私どもといたしましても、千葉県とかあるいは住宅公団あるいは千葉県の住宅供給公社、こういうところにお願いをいたしまして、大体六月から八月ごろに千戸程度、これは借り入れそれから分譲を含めまして大体千戸程度、さらにそのあとはまたそのあとということになるわけでございますが、その程度のものは大体六、七月くらいには確保できるだろうというふうに考えております。それにいたしましても、通勤問題もございますので、これだけの千戸前後で足りるものじゃございませんから、通勤問題につきましてもさらに京成その他のほうと連絡をとりまして、勤務時間に都合のいいようにしてもらいたいという要望はいたしております。必ずしも万全ではございませんが、そういうことでございます。
  83. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 運輸大臣、いままでお聞きのとおりであって、成田空港くらい矛盾をはらみ——いままで出ておるのは思想的な問題もあり、土地の買収という問題もあったが、いまや国際関係との摩擦というものが最後に新たに出てきた。彼らもやっぱり冷静に考えて、空港をやるというならしかたがないじゃないかということで協力はしておったのですね。ところが騒音対策、それから従業員の住宅の問題、これらがからみ、かつは七月から国際線は全部成田へ行く。われわれは成田ができるというのは知っておったけれども、国際線が全部引っ越すということは日本国民は知らぬですね。この間これが社会面の記事になってやや知っておるけれども、まだ知らない。全然羽田からは飛び立たない。日本が今日のいんしんをきわめて経済的に伸びてきたのは、貿易関係もありますけれども、人間の往来、小さい荷物の往来が羽田を基点として伸びた。これは忘れちゃいかぬです。それを国内航空が、このごろ日本航空や全日空が繁盛するからといって——一時間や二時間で行けるところを新粉線で行かずに飛行機で飛ぶ、この考え方も誤りだけれども、もう日本の空はいまはむしろ逆に国際航空ではなしに、国内航空のダイヤで一ぱいである。衝突も起こりかねない。それを羽田を国内空港にして、この縁起の悪い成田を国際空港、こんなばかな話はない。運輸大臣、あなたは私が三年くらい前に予算委員をやめさせられそうになったのを助えてくれた恩人ですから、この機会に厚く……。佐藤主流からしまいには、あんた予算委員までやめろ——どこにやるか知らぬが。このごろはこういうファンもできてきておるので、中国問題も好転しましたので、窮地を脱した形ではおるけれども。——ひとつよく反省をされて、国際空港の開設は少なくとも利用者の足が十分に確保できるまで延期しろ。これは十一月まで延びることは大体確実ですが、思い切って来年まで延期して、整備をされた後に行なう、そういう言明をしてください。どうですか。
  84. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまいろいろ御指摘ございましたが、この成田開港にまいる経緯につきましては、いろいろの問題を包蔵して今日にまいった次第でございます。しかしながら、ただいまいろいろ矛盾その他の点について御指摘がございましたけれども、御承知のように羽田の過密というものは実に目に余るものがありまして、航空交通の安全対策からいたしましても一刻も早く新国際空港が竣工いたしまして、国際線と国内線とを分離するということは、これはやはり絶対にやっていかなければならない問題だろうと思う次第でございます。ただいまの住宅の問題、その他通勤の距離の問題、時間の問題、できるだけひとつ是正をさせまして、矛盾を克服いたしまして、そうして新空港の開設を急がしていかなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございまして、その点につきましては私どももやはり六月開港ということを目途にして、いま鋭意努力をさせておる次第でございます。いろいろな点の矛盾をできるだけ解消してもってまいりたい、こう思っておる次第でございますので、有力なる川崎先生の御協力をまたお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  85. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これは運輸大臣でもあなたでもけっこうですけれども、七月は事実上無理だと私は思っていますが、その際に日本航空だけやって他の航空会社はやらぬというようなことになる可能性がいま問題の一番の焦点になっておるのです。そういうことが起こった場合にどういう対処をしますか。
  86. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 開港の時期については、いろいろ御議論もございましたけれども、それがいつ開港になるにせよ、私どもは日本航空とその他の外国の会社と時期をたがえて入れるという気持ちはございません。いずれにしても一時に入れていきたい、こういうふうに考えております。
  87. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 そういうことになれば、実質上延ばさざるを得ないということになるけれども、言明はできないというふうにわれわれは政治的に受け取る以外にないのですが、もう一つ延ばして、しっかり足が確保されたときがいいと思うんです。日本人はよく空港見物かたがた送りに行くんですね。これは国際航空時代になれば何も飛行場まで送らなくとも、ターミナルビルまでという慣習をつける必要がありますね。ただ、貴賓が来たりあるいはそれに類する者が来たときには、やはり政府の要人なり国会の与野党の諸君なり、みんな送りに行くけれども、今度は成田では送りに行けないですよ。行ったらもう一日つぶれちゃって、そのために予算委員会がつぶれたということになりますよ。これは笑い話だけれども、成田ではとんでもないことになる。どうかそういうようなことも配慮して、足の確保ということが今日の成田空港の最大の問題である。まあ政府の失政というものを責めるよりは、よく反省をされて、善処をされたいというふうに私は思います。  それから、むしろ日航その他でいろいろ問い合わせ——別段逆陳情を受けるわけじゃないけれども、日中関係の航空路の問題についてはいろいろありますが、しかし、この間のニクソン訪中についていった新聞記者、技術者、航空関係者なども入れて二百数十名が行って、あれはのんべんだらりん帰ったものじゃない。周恩来首相は三十数時間もニクソンと話をしているのですから、航空関係もこうしましょう、ああしましょう、こまかいことはあとでおまかせしましょう、そこまでいっておる。その徴候があらわれることは私は必至だと思いますが、それに対処する日航関係の今日の対抗策はどうなっていますか。
  88. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いろいろ微妙な問題だと思いますが、私どもといたしましては、まず基本的な態度は、中国とわが国は相隣接する国ですから、やはりその航空につきましても、なるべく早く政府間協定を結んで、それによって相互乗り入れをはかる、定期についてはこれが基本だろうと考えております。それから、これも相手のあることでございますからそう簡単に定期の政府間協定が結べるかどうかわからぬ、こういうことも実情としてございますので、場合によりますならば不定期とか臨時便とか、そういうふうなものができればそういう方向もあわせて考えて、できるだけ前向きにこの問題には取り組んでいきたいというのが基本的な考え方でございます。具体的にどうこうということまではまだ詰めておりません。
  89. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう一つ運輸大臣、この問題は、結局あなたも運輸省を担当されておって、何としたって日中の政治原則というものが確立をされて、そして政府間交渉ができなければとうてい航空問題にははしもつけられない。だれでも、日中間のことを原則として知っておられる方はそう思うと思うのです。ですから、何ぼ小手細工をやってもだめだというのが私の考え方ですが、運輸大百もやはりそういうふうに考えておられますか、この問題は。
  90. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この問題につきましては、私もたびたび委員会で言明しておりますとおり、ぜひ日中航空路の開設は一日も早く両国の利便のためにやりたいという念願は持っておる次第でございますが、私が委員会で申し上げましたとおり、日中正常化の一環としてやっていくということがやはり一番の正しいやり方じゃないか、こういうふうに思っている次第でございます。またその方法につきまして、先般来も国連に中国が加盟をいたしました、お互いに事務所をニューヨークに持っておりますので、日本の代表部、中国の代表部、接触の機会その他を通じてもやっていきたい。また民間外交をおやりになっておる方々にもお願いをいたしまして、それらの機運を早く醸成していきたい、こういうふうに思っております。
  91. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 日中正常化の一環としてやるというたてまえは、それの答弁でいいのです。あとのほうはよけいなことですね。国連でいろいろ接触するといっても、それは接触するけれども、総理大直の方針、内閣の政治に対する、中国に対する、特に台湾問題に対する見解が明快でない限り、何ぼ毎日会ったって彼らは態度を変更することはありません。運輸大臣答弁のおしまいのほうは実はよけいなことだと私は思いますので、御注意を申し上げておきます。  私は成田の新空港の七月開設は無理である。そして十一月開設もやや無理である。むしろ来年に延期をして、そして足の整備をした後に、国民に十分認識をさせなければ、これは困ったものだと思うのです。そういう周知をさせなければいかぬという問題がある。さらに多く言えば、政府の政治力もあり対米姿勢もありますが、将来はやはり横田を返してもらう。横田を返してもらって、あれを国際空港で、成田を国内ないしはその他のものに使うという大転換方針をとることがいいのです。道路の状態といい、立地条件といい、アメリカはやはり一番いいところをとった。なるほど横田はいいところだというふうにわれわれも思っておりますので、将来、大きな政治展望としてはそういうことも運輸大百、これはあなた方に言っても無理なんですが、お考えをいただきたいと思うのです。成田というのは水よけの神さん、水難の神さん、そして昔、出征兵士が行くときにおかあさんやおとうさんが成田さんに行くと助かって帰るという時代ですが、航空機の発着を予想しなかった時代である。空よけの神さんとは限らぬ。むしろ、よけるなら来るなという神さんかもしれませんから、この成田はあまり縁起がよくないから、縁起がよくないところでやるとなれば十分なる対策を立てて、足が完備された後に開設したほうがいいということを、私は特に政府運輸責任者たる運輸大百に政治的に要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  92. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 これにて川崎秀二君の質疑は終了いたしました。  午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  93. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  松浦主査は都合により少々おくれますので、その指名により、暫時私が主査の職務を行ないます。  運輸省所管について質疑を続けます。上原康助君。
  94. 上原康助

    上原分科員 私は沖繩関係の問題にしぼって、運輸大臣並びに関係者に若干のお尋ねをしながら、復帰後の沖繩の運輸関係行政に対しての政府の基本的なお考えあるいは施策についてお尋ねいたします。  特に、沖繩の産業経済、地域開発を進めていく上からも港湾整備あるいは空港整備、離島航路を含めて、さらには沖繩の唯一の交通機関である本島内の道路整備等は緊急の課題だといえると思います。特に、昭和五十年には海洋博覧会が持たれるというような国家的行事等もありますので、そういう関係においても指摘をいたしました点については早急に復帰後整備をする、あるいは本土との格差をなくしていく積極的な政府施策というものが推進をされなければならないと考えるわけですが、最初に、これらの重要運輸行政に対して政府がどうお考えになっておられるか、まず基本的な面をお聞かせいただきたいと思います。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御質問がございまして、沖繩復帰後の運輸行政についての基本観念でございますが、私も沖繩の特別国会のときにもしばしば申し上げましたとおり、四面海に囲まれております地理的条件の沖繩といたしましては、あるいは港湾整備あるいは空港整備ということは最も大きな問題だというふうに思っております。  また、いま陸上におきまして道路の整備も御指摘いただきましたけれども、道路は実は私のほうでございませんで、内地におきましては建設省でございますけれども、もちろんこのことは必要でございまして、しかも唯一の陸上大量輸送機関がバスになっております。そういう点におきまして、バスの整備ということも、大衆の足を確保する上において一番必要と思っている次第でございますので、私どもは極力そういう方面に港湾整備あるいは離島航路の整備あるいはまた空港整備、それから、陸上輸送の確保というようなことに力を入れまして、具体的に予算の裏づけをもちまして財源を確保いたして整備に当たってまいりたいと思っておる次第でございます。  また、その基本方針といたしましては、あくまでも地元の方の御意見を尊重いたしまして、その地元の方の御意向に沿いまして具体的に実践をしてまいりたい。具体的には振興十カ年計画を御策定願いまして、この計画乗りまして計画的に漸次振興を進めてまいる、こういうふうに思っておる次第でございます。
  96. 上原康助

    上原分科員 それで、まずバス企業の問題についてお尋ねをしたいわけですが、御承知のように、現在沖繩の交通区分というものは右側通行でございます。この交通区分の変更は復帰後三年以内に実施を見るというのが、これまで沖繩国会あるいは復帰に伴う特別措置法等の中で措置されてきたわけですが、実際問題といたしまして、交通標識あるいは信号機等の取りかえ等の問題、また道路そのものが右側通行に即応をしてつくられているというような点で、左側通行にしていくためにはかなり手を加えなければいかない問題等もございます。建設省との関係もあると思うのですが、現在使用中のバスの乗降口等を切りかえていく面では構造上不可能と言われている。したがって、現在使用しておるものは廃車処分にしなければいかない面も相当出てくる。ほとんどがそうじやなかろうかというのが、バス協会なりあるいは私鉄関係労組の主張でもございます。そういう面から考えました場合に、政府施策によって左側通行に交通規則、法律というのが切りかえられていく。それに伴う補償措置といいますかあるいは予算措置というものは、やはり国の財政支出によってなされなければいかないと思うのですが、この点についてどういう処置をなさろうとしておられるのか、対策をお立てになろうとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  いま一点は、バス企業の統一問題でございますが、これは企業間のいろいろな話し合いもあるでしょうし、あるいはまた労使の話し合いもありまして、直接的には政府の責任の問題ではないかもしれませんが、しかし乱立あるいは競合している沖繩のバス企業の将来の安定性というもの、そうして地域住民の唯一の足となっている交通機関の整備というものを考えました場合に、積極的に国の指導助言あるいはそれに要する諸予算等についてもいろいろめんどうを見ていかなければ解決できない面があると考えます。この二点について、どのように現在話し合いが進められているのか、また政府としてどういうふうに対処をしてしていかれようとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  97. 野村一彦

    ○野村政府委員 まず、復帰後におけるバスといいますか、自動車の通行区分の切りかえでございますが、これは道路交通法に基づきます切りかえの措置というものは、これは警察庁のほうでおやりになることでございまして、私どもは警察庁と密接な連絡をとって準備をいたしております。  その概要を申し上げますと、先生がただいまおっしゃいましたように三年後をめどといたしまして、現在あります、バスについていいますと約八百台ほどのバスでございますが、これをいろいろ整理をいたしまして、大体三回ぐらいに分けて一般的にバスの老朽車両の代替を行なっていく。そのための長期低利の融資の確保というようなことをやっていきたいと思っておりますが、その間におきまして、初期の約二百台ぐらいにつきましては、まず現状のままの右側通行の構造のものを更新いたしまして、それを切りかえの時点において、また乗降口、運転席等をつけかえて改造をしてやる。本土並みの右ハンドルということに、左側通行の構造に切りかえるというような措置を講じたいという計画でございます。したがいまして、警察と密接な連絡をとりながら三段階ぐらいに分けまして切りかえをする。そのための財政融資の確保というようなことをはかるべく努力をいたしております。  ただ、これは後段に先生がおっしゃいましたことと関連するわけでございますが、御指摘のように、沖繩におきまするバス事業は全部全島合わせて十七社ございますが、その中で本島五社。これはい、ずれも非常に零細企業でございまして、企業基盤が脆弱でございます。また老朽車両が非常に多い。しかしながら、県民の足といたしましては唯一の足でございますので、このバス事業の基盤の強化をはかるべく、私どもずっと以前から現在の琉球政府の担当者といろいろと会合を重ねまして、またバス事業者の方ともお会いをいたしまして、御指摘のようなバス事業の統合ということを進めております。ちょうど本土を含む全般の地方バス対策といたしましても、四十七年度予算から新しい地方バス対策を立てまして、それについては、県民の足として必要なものにつきましては、これは必要最小限のものを選んで、それを残す。もちろんそれをやりますためには、運輸大臣の一般的な方針に基づいて県知事が具体的な路線を指定する。そして県民の足として必要欠くべからざるものについては国が補助金をやるというような予算でございまして、沖繩におきましても、集約したバス事業者に対して補助をするということで、いわゆる路線を維持するための赤字補助と老朽車両の代替の補助と、両方合わせまして約一億ほどの予算がただいま御審議をお願いしてございます予算案の中に盛り込んでございます。したがいまして、これを極力活用いたしまして、バス路線網の再編成につとめますとともに、それから先ほど御指摘の老朽車の代替ということを進める。また一方、長期低利の財政資金を導入いたしまして、老朽車両の代替のための負担ができるだけ軽くなるような措置を講ずべく、いろいろと関係当局といま折衝いたしておるところでございます。
  98. 上原康助

    上原分科員 そこでバス企業の統合問題ですが、私も政府が次年度の予算対策をはかっておられるという点もわかります。ここで指摘をしておきたいことは、特に赤字路線に対しての政府補助あるいは統合との関係における補助等も、十分現在の企業経営なりあるいは会社側の統合問題等に対して、また地域住民の足を確保していくという積極的な姿勢ということも踏まえてやっていただきたいということ。いま一つは、何といいましても合理化問題が出ると、労働者の解雇等の問題というものも出ないとも限らない。したがって、将来のバス企業の健全な発展と安定というものを考えて、なお労使の関係をよりよくしながらサービス業としての公共性というものを生かしていく。そういう点、特に補助金の問題ではお考えになっていただきたいし、ただ資本サイドの言うことだけを聞いた上での行政的な統合であってはならない。働いている労働者の立場というものも踏まえてやっていただきたいということを強く念を押して、また要請をしておきたいと思います。  そこで、バスの構造改定の問題等は三回に分けて推進をしていかれるということですが、左側通行に切りかえる時期ですね。復帰後三年以内ということなんですが、懸念されるのは、昭和五十年の海洋博の時期とかち合うわけですね。御承知のように戦後二十六年間、右側通行、左ハンドルで運転をしておるわけですから、すべての車両というものを一挙にかえた場合の交通困難というものをわれわれは非常に懸念をするわけなんです。聞くところによりますと、二年半ないし二年に短縮をしていくというような政府のお考えもあり、まあ警察庁と密接な連絡をとりながら進めていかれるということですが、その時期については、一体いつごろを目途にしておられるのか、もう少し明らかにできるならば示していただきたいと思います。
  99. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいまの切りかえの時期でございますが、これは冒頭申し上げましたように、道路交通法に基づく措置でございまして、直接の責任と権限は警察庁にあるわけでございます。しかしながら、私ども道路交通の円滑化のために常時警察と定期的に意見交換をやっておりますので、また先生の御指摘のような海洋博等を控えておりますので、その輸送機関をスムーズに確保するためにも、なるべく早くそのめどを立てるということが必要だと思います。したがいまして、私、所掌の関係先生に明確な時期はお答えできかねるわけでございますが、御指摘の趣旨、十分警察当局に伝えまして、また私どもも十分警察と意思疎通をしなければ、その切りかえの指導、財政措置ということを進められないわけでございますので、十分御意見を体しまして、それがスムーズにいくように伝えまして協力をしていきたいと考えております。
  100. 上原康助

    上原分科員 それでは、復帰後交通の区分を変更することによって困難が起きないように、やはり人命尊重という立場からも、特に交通事故の対策というものは考えて、この区分変更というものをなさなければいけないし、それに伴ういろいろな支出については、やはり原則的には国の補償でやっていただきたいし、またそれだけでむずかしい面もあろうかと思いますので、低利融資の補助対策ということもあわせてやるように、一そうの御配慮を要望いたしておきたいと考えます。  次に、港湾問題についてお尋ねをしたいわけですが、政府のほうでも重要施策というものを一応お立てになって出しておられますが、復帰後、特に離島の港湾を含めて、まずどういう面を重点的に整備をしていかれるお考えなのか。また、琉球政府が七〇年でしたかつくった長期計画と、今度政府が重要施策として出しておられる重要港湾の指定なり特別港湾の指定というものが若干違っているような気がするわけですが、なぜ食い違いがあるのか、そういう点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  101. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 まず二点あろうかと思いますが、あとのほうの重要港湾の指定の問題をちょっと先に御説明申し上げたいと思います。  御承知かと思いますが、現在本土で行なっております港湾法によりますと、特定重要港湾、重要港湾、地方港湾、そういうふうに分類されてございます。特定重要港湾と申しますのは、重要港湾の中で特に外国貿易上非常に重要な港湾というふうに定義づけされております。  現在琉球政府で実施されてございます琉球政府港湾法によりますとちょっと違いまして、特定港と重要港湾、地方港湾という区分でございまして、その琉球政府が行なっております港湾法によりますと、特定港というのは琉球政府自分で管理している港湾、そういうふうな意味でございまして、これをほかの各県の港湾の大きさあるいは貨物量、そういうものの重要度を比較いたしまして整理いたしまして、現在那覇につきましては旧那覇港、泊港あるいは那覇新港を入れまして那覇港として考えてございます。そういうことで那覇、石垣それから平良、運天という港を重要港湾といたしたいというふうにいま検討している最中でございます。  次に、沖繩の港湾整備の考え方でございますが、基本的には御承知のように沖繩振興開発計画の一部に相なろうかと存じております。それが明確になりまして全貌が出てまいると思いますけれども、当面最も急がれると思われるのは、先生指摘のように離島の港でございます。  それで沖繩の港湾の配置をちょっとかいつまんで申し上げますと、本島のほかに港湾が全部で七十七港ございますけれども、離島の港湾が六十二港ございます。この離島の配置を申しますと、本島の周辺に約二十八、それから宮古群島、これは宮古を中心といたしまして離島は八つ、それから八重山群島、これは石垣を中心にいたしまして約十、そういうふうにグループと申しますかかたまって、非常に広い距離に点在しておるというのが特徴でございます。したがいまして、港湾の開発と申しますか、特に離島の港湾の開発につきましては、宮古群島でございますと、その中心になる平良をまず中核にして、あとの島との連絡をとりたい。それから八重山群島にいたしますと、石垣を中心にして、またその周辺の配分を考える、そういうふうな方向で進めたいというふうに考えておる次第であります。
  102. 上原康助

    上原分科員 確かに本土で施行されている港湾法と沖繩の現在の港湾法との違いはあろうかと思うのですが、やはり原則的には沖繩が重要港湾として、さらに特定港湾として指定したものは踏襲するという方向をとっていただきたいわけです。特に那覇商港の場合は、国際的な面からいっても特定港湾としての価値といいますか、これは十分あろうと思いますし、そういう面でやはり政府としても港湾整備の問題をやっていくということが望ましいことだと思います。  さらに沖繩の離島関係ですが、何といいましても離島振興というものを考える、あるいは沖繩本島との交通の問題、その他貨物の輸出等々を考える場合に、港湾整備が急務であるということはいま御指摘のとおりなんですね。台風が常時といいますか非常に多い。そして船舶そのものも、ほとんど百トン以下の船舶が就航しているわけなんですね。そういう面を含めてこの港湾整備というものを積極的にやっていただきたいということ。復帰後はパスポートやそういう面の繁雑さが省かれることになりますので、観光客がかなり沖繩に行くという面もあると思うのです。将来の観光行政の面、開発の面から考えても、港湾整備というものは急務でございますので、その点ぜひ早急に琉球政府なり、あるいは新しく振興計画をお立てになる場合にやるようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、琉球政府の振興十カ年計画の中でも、主要事項として那覇新港の継続的な整備というもの、これも現在建設されつつありますが、そういう面とか、那覇港の整備、現在特定港湾に指定されておりますし、あるいは中核都市圏における新港の整備、特に中部、泡瀬の商港としての新設ということがいま言われておりますのでそういう問題とか、さらに工業地帯における工業港湾整備なり、その他重要港湾として現在琉政が指摘をしておる平良港、石垣港、渡久地港、運天港等の拡大整備ということも、ぜひ政府の重要施策の中に入れてやっていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  時間がありませんので、あと空港問題についてお尋ねをしたいわけですが、これも港湾整備と同じように、復帰後の観光開発あるいは経済開発にとって欠かせない重要な事項でございます。  まず那覇空港の問題ですが、これは自衛隊との共用になるわけですか。それはどうなっているのかひとつ明確に、この点は大臣のほうからお答えをいただきたいと思います。
  103. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 那覇空港は民間空港として復帰する次第でございますが、沖繩には自衛隊の空港一つもございませんので、当分共用をさせるつもりでございます。
  104. 上原康助

    上原分科員 共用になるわけですね。われわれはやはり自衛隊との共用を避けるべきだ、やるべきでないという主張を繰り返してまいりましたが、その点なお一そう御努力をいただきたいと思うのです。  そこで時間ありませんので、特に宮古、石垣等の、現在YS11が就航しておりますが、ボーイング737ですか、そういった滑走路を拡張していくと同時に、特に海洋博あるいは復帰後の観光面から必要だと思いますので、そういった面を早急に整備をしていただきたいということ、ILS、計器着陸装置というものがまだなされていない。VOR、いわゆる超短波全方向式無線標識というものも整備をされていない。天候が少しでも悪くなると就航できないというような、安全面の装置というのがなされておりませんので、そういった面も復帰後早急に着手をしていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  あと一点ですが、この那覇空港関係がございますが、エアリンクの職員の問題ですね。前にもお尋ねをしたのですが、復帰後、身分の取り扱いについてどうなっているのか、現在の状況というものをちょっと説明をしていただきたいと思います。
  105. 山本長

    ○山本説明員 ただいまの御質問、私所管でございませんけれども、前の経理課長をやっておりましたので知っている限りお答え申し上げます。  エアリンクは御存じのようにアメリカの民間会社でございますけれども、国際航空の通信業務を担当しておるわけでございます。この取り扱いにつきましては、羽田等日本に返還になりますときにもやはり同様な措置がございまして、日本側がこれを引き継ぎますときにその資産等を日本側が買ったという経緯がございます。沖繩につきましても、このエアリンクにつきましては四十七年度予算でエアリンクの資産を買い取るという予算案になっております。それからそのエアリンクに働いておられる方々につきましてはできるだけ御希望に沿って、それを引き継ぎます航空関係日本の機関が引き継ぐように、いま現地でそういったことで準備を進めております。
  106. 上原康助

    上原分科員 時間が来ましたので言いっぱなしになりますが、特に日本に引き継ぐにあたって、要するに勤務年数あるいは前歴等を十分加味して、運輸省の職員としての身分を保証してもらいたいということであります。  さらにいま一つは年金問題があるわけですが、過去の勤続年数というものを全然無視した形で身分引き継ぎをやってもらいたくないという強い要求もありますので、そういった面を踏まえて、この件についてもぜひ十分処置をしていただきたい、労働者の不利益にならないように政府としてもお考えになっていただきたいということを要望いたしまして質問を終えたいと思います。
  107. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で上原康助君の質疑を終わります。  阿部昭吾君。
  108. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 国鉄の御当局おいでになっていると思いますが、この間の新しいダイヤの関係でありますが、なかなか各方面でダイヤの問題があるのであります。丹羽運輸大臣はこの新ダイヤにつきましては固執をしないで手直しをする、こういう御意向を表明されておられるのでありまして、私ども実情に即した手直しをぜひやってもらいたい、かように考えておるのであります。  そこで、私のほうでも若干の資料を準備しておるのでありますが、たとえば、私の地域は羽越線、ここから東京にストレートで入ってまいります急行列車が何本かあるのでありますが、特に夜間の寝台列車、これはいままでたった一本しかなかったのであります。私などもときどき郷里に帰りますが、ほとんど席をいただけることがないのであります。四日、五日くらい前にお願いをしてもまるっきりいただけない。そこで、私はたまたま新潟までの寝台専用列車に乗って、新津で鈍行列車に乗りかえて郷里まで帰るということをずいぶんと繰り返しました。そういたしますと、新潟までの寝台専用列車というのはがらんぼうで全然乗っておらぬのです。がらんぼうで全然乗っておらぬ列車を国鉄はずいぶんと長年にわたって走らしておったようであります。「天の川」という列車です。いま資料を見ると、当局の資料では相当もっともらしいパーセントの資料が出ておるのですが、私もしょっちゅうあの辺を走るものでありますから、車掌さんやその他に聞きますと、この列車はいつもこうなんです。ただちょっとシーズンのとき、たとえていえば、スキーとかそういう時期にちょっと乗る程度で、あとはほとんどがらんぼうなんです。このがらんぼうな列車を走らせておって財政は非常に苦しい、これでは話にならぬと思うのであります。この間、去年の九月ごろだと思うのですが、国鉄本社の関係の方面に、こういう点改善すべきではなかろうかと要請申し上げましたところ、今回の新ダイヤの中に、この寝台車半分は新潟に残すのでありますが、秋田まで羽越線を走らすようにしたようであります。こういうことはわれわれが問題を提起する以前に、赤字でたいへんだからマル生をやらなければならぬとかなんとかいう以前に、いまの国鉄経営というものを、どこをやったならばどういうふうに改善ができるのかという意味で、もっともっと努力しなければならなかったのではないだろうかと思うのです。現在でもわれわれの地域は新ダイヤになったにかかわらず——実は私今度の土曜に選挙区に帰りたい。おとといぜひひとつ寝台券がほしいということで要請いたしましたが、「天の川」が通ったにかかわらず全然取れない。いままでの夜行寝台一本が二本になったが、依然としてぼくらお願いしてもいただけない。ぼくらがいただけないくらいじゃ一般の方々はもっともっと乗りたいと思っても乗れない状態になっているのではないかと思うのであります。したがって、国鉄全国まだまだそういうところがたくさんあるんじゃないかと思う。乗りたいという希望がたくさんあるのにそこは走っておらぬで、あんまり乗りたくないようなところをがらんぼうの列車が走っておるということが相当あるのではないかと思う。そういうのはどこで点検をして、どこでチェックをして国鉄内容改善するような作業をどこでおやりになっていらっしゃるのか。そういう問題について具体的な改善計画などというものは一体どういうふうにお持ちになっていらっしゃるのか、お聞かせを願いたい。
  109. 磯崎叡

    磯崎説明員 全般的に申しますれば、つくりました列車の毎日毎日の状況の報告をとりまして、それによってその次の改正を考えるわけでございますが、いまの御質問の具体的問題につきまして担当の局長が来ておりますので、担当局長からお答えいたします。
  110. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、シーズンに非常に波動がございますのが私どもの輸送の悩みでございますが、それは一応別に申し上げることにいたしまして、大体全国的に流動調査というのをいたします。これは十月というのが大体平均の落ちつきの月でございますので、十月に全国大々的に流動調査いたしますが、その間三月、五月、八月この三月にわたりましてその地域の局のそれぞれの列車につきましての抽出した調査をいたしております。そういったことをもとにいたしまして大体列車計画を立てるわけでございますが、先ほども御指摘のとおり寝台列車の数が実は足りませんので、今後の増発につきましては寝台列車を中心にしまして、もちろん昼間の特急もそうでございますが、特に夜間の寝台列車の増発ということを考慮いたしております。  御指摘の「天の川」でございますが、今回秋田まで延長したわけでございますけれども、寝台列車ということで、御指摘のとおり座席が取れない、寝台が取れないという程度に非常に混んでおりますので、今後はそれをもう一ぺん見直しをいたしまして、羽越線の電化もことしの十月にはいたしますから、その際を目がけまして改善計画その他を考慮したい、かように存じております。
  111. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 新潟までですと、特急「とき」が何本かあるわけであります。それ以外にもいろいろあるわけでありまして、そのあたりの時間帯にかなうような夜行寝台列車などというものがはたして要るのかどうか。したがって、たとえば新幹線の区間内の皆さんはわりと寝台など乗らぬと思う。大阪まで三時間十分で参れるという時代にわざわざ寝台に乗って出かけていくような人はおらぬので、輿台で出かけようという人は大体岡山より向こうのほうの皆さんです。この皆さんも大阪あたりまでは新幹線で参ってその先寝台に乗りかえる、普通の考え方の人ならば大体こういうかっこうにするだろうと思う。そういう意味で見ると、国鉄でいま寝台が足らぬ足らぬとおっしゃるのですが、私のお聞きしておる範囲では、まだまだ相当改善の余地がある。箱はあるのです。たとえば、新幹線区間のように昼の列車でもあるいは夜の列車でも特急などがずいぶん走っておるような区域、夜間ずっと寝台で行かなければならぬような、そういうことをせぬでも特急で十分に行けるような区域もずいぶんと寝台が走っておる。したがって、寝台というのはそういう利便に恵まれておらぬ、どうしても夜行で行かざるを得ないような地帯、こういう地帯に重点的に配置をするということが国鉄の利用効率を高めるという意味ではたいへんいいことではないかと思う。  そういう意味でこの間国鉄の当局の方にいろいろお伺いいたしましたところ、十月ダイヤ改正のときまで抜本的な検討を加えたい。しかし、われわれから見ますると、現実にずいぶんむだなことをやっていらっしゃる。もっと乗りたいという場所にもっと走らせたらいいじゃないかという指摘をいたしましたところ、それは十月ダイヤ改正まで待たずに、この間のローカル線打ち切りと同じように、丹羽運輸大臣指摘されておるように、ダイヤにはそのまま乗っからぬけれどもいわば臨時ダイヤのようなかっこうで考えてみたいというようなお話もある。そういう意味で、十月ダイヤ改正のときは当然でありますけれども、やはり実情に即したいいことは何もそう待たなくたってその以前の段階で急いでやったって悪いことにはならぬはずでありまして、御検討願いたいというふうに思うのであります。  一例を申し上げますと、磯崎総裁時代、私のところのあの列車は育つだろうと言われた記憶があるのです。汽車が育つというのは汽車が大きくなるのかと思ったら、そうじゃなくて利用率が非常に高いということを育つというらしい。急行「羽黒」号以来、「鳥海二号」「鳥海三号」というのはたいへん育った列車です。今回「天の川」を秋田まで通すにあたって「鳥海」の編成を変えた。どう変えたかというと、A寝台は「天の川」に移してしまって「鳥海」は普通寝台と普通座席、あとは新聞の箱だけを引っぱらせるというぐあいにしたのです。そうすると、私どもの地方自治体の皆さんやあるいは産業界の皆さんにしても、十数年間、国鉄でおっしゃる育ってきたこの列車の編成を変えるということはちょっと軽率ではないか。その編成は編成として守りながら「天の川」なら「天の川」の新しく乗り入れるものは大いに宣伝をしながら、PRをしながら利用効率を高めていく。従来うんと育ってきて、満員でぼくらもどうにも乗車券の取れないような列車の編成をさらに落としていくというような考え方は非常に軽率だと思う。そのことを私の地域の駅長さんや皆さんに聞くと、局の幹部がなかなか聞かぬのですとこう言うのであります。局の幹部が聞かぬというので、本社の軸部は聞くのかと思って本社の幹部と話したら、やはり局がきついというのです。国鉄の局というのは何ですか。下のほうでも局はきついというし、上のほうの幹部もいや局がなかなかきついとおっしゃる。局というのは一体何なんですか、植民地か何かですか。
  112. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 局と申しますのは鉄道管理局のことでございまして、全国に二十七管理局ございますが、これが一定の地域に対する権限を持ちまして、その中の列車の運行、保安、そういうものに責任を持って局長がやっておるわけであります。この輸送の問題は、全国的にまたがる輸送改善とそれから地域的な輸送改善ということに分かれるわけでございますが、地域的な輸送改善は管理局長が現実の輸送状況を見まして、その管内におきまして輸送手配をいたします。こういうのが局長でございます。  本社のほうでは局は分かれましても線路は全部続いておるわけでございますから、全国的に車両は入り組みはいろいろあります。そういうものを本社のほうで調整するということで、具体的には急行列車、特急列車、そういったものは本社で大体めんどうを見ている、こういう状況でございます。
  113. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 わかりました、管理局は決して独立国でないということがよくわかりました。私どもから見まするとずいぶん——特に私なんかひがみがあるかもしれませんが、わが県は仙台の管理局、新潟の管理局、秋田の管理局三つに分断をされておる。したがって、みんな接点にあるためにどっちもまま子扱いでうまくないという感じです。具体的に言えば、羽越線の酒田という私の郷里の町がある。人口十万、ここにいま臨海工業地帯が開発されつつある。そうすると、ここから羽越線の本楯、南鳥海、遊佐、吹浦、女鹿の信号所までがわが県の領域なんでありますが、酒田までが新潟の管理局で、本楯より向こうは秋田の管理局だ。したがって、ダイヤの編成等を見ましても秋田の管理局の関係というのはわがほうにとってどうも非常に不都合なこをたくさんやられるのであります。したがって、いま山形県に管理局を置いてくれといっても総裁運輸大臣もなかなか承知をしてくれぬだろうと思う。そこで山形の境界線までのものを、いま秋田管理局に入っておる四つの駅、信号所を入れて五つの場所を新潟の管理局に統一するようにお顧いしたいという地元の意見が強いのであります。そうでないと、秋田管理局の治外法権的な独立国のような——駅長に聞くと局がなかなかきつい。本社の出先局の課長さんあたりに聞くと局がなかなかきつい、こう言うので、私ども局に若干意見を持っております。羽越線で酒田以北のあの五つほどの駅、信号所、これはひとつ新潟管理局一本にしてもらえるように御配慮願えないか。いまそれではそうしましょうという御答弁をいただくというわけにはまいらぬでしょうけれども、御検討をぜひお願いしたい。いまの御答弁で私どもから見ますると、そういう急行などもっと改善されるべきだ、そのほうが国鉄にとっても営業収支にいい影響があるはずだと考えられる幾つかの点についてぜひ御検討をいただいて善処してほしいと思うのであります。  第二の点、これは運輸大臣、実はさっき申し上げましたとおり国鉄がロングラン合理化をやろうとなさっておる。私はそれなりに評価をいたします。従来、羽越線などでいえば途中に幾つかの機関区がございまして、今度ロングラン合理化に伴って新潟−秋田間がほぼ三百キロ、途中のそういうものは要らぬ、こういうことになりつつあるのであります。私はそれなりに一つの行き方だと思います。ただしかし、酒田のように陸羽西線、陸羽束線の起点で、さらに従来の小さな貿易港からいま総工費二百七、八十億から三百億くらい投ずる事業として新しい港の建設が始まっておる。ここにおそらく一千数巨億を投じて住友軽金属等の企業の立地が進められる。こうなりますと、ロングランはわかるのですが、新しい臨海工業地帯が開発されても、秋田−新潟間の羽越線という意味では途中駅であってロングランの中では要らぬということになるのかもしれませんが、陸羽西線と陸羽東線という起点でもあり、大きな臨海工業地帯としていま新しい港湾整備等も進みつつある。新潟地震の直後の段階では貨物の取り扱い量等も酒田の港は新潟に匹敵できるほど急速度に伸びたと伝えられます。このあたりに、たとえば動力基地のようなものはロングランだから要らぬという単純な議論じゃ私ども困るわけでありまして、それじゃなかなか、酒田の開発を進めよう、私たちの地域の工業開発を進めようと思っても、それは簡単にいかない。そういう意味では、ぜひひとつ実情に即した立場で配置を考えてもらわなければならない、こう思うのであります。そのことは決して、長い目で見た場合に国鉄のいわば収支、そういう面でも足を引っぱる要因などには絶対ならぬ。いいかげんな新線開発などよりははるかによい。あそこに動力基地などしっかりしたものを整備建設するといったようなことは国鉄の長期的な収支の問題からいっても決してマイナスにならぬ、私はこういうように思っているわけでありますが、もし前向きな御答弁——前向きでない御答弁は実はこの際いただきたくないんですが、前向きな御答弁がいただけるとすれば、この際御答弁をいただきたい、こう思うのであります。
  114. 磯崎叡

    磯崎説明員 おかげさまで羽越線がことしの十月一日に全線電化開業することになりますので、電気機関車になりますと、蒸気と違ってうんとそれが走れるようになるということで、動力基地の配置等を再検討したいと思っております。私、まだ実情をそこまで話を聞いておりませんが、いろいろだだいま先生のお話を参考にさしていただきたいと思います。
  115. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大臣、いまの問題、私はロングラン合理化はわかるのです。しかしながら、べらぼうな資金を投じて工業開発が進められておる拠点都市です。秋田−新潟では途中駅であるが、いま言ったような問題のあるような場所は、一般論的な、ロングランだから途中駅は機関区も動力基地も何も要らぬという議論は実情に即さぬ。あとになってからやろうと思うと、たとえば、用地などを手当てしようという段階でも、臨海工業開発がどんどんと進んでいけば地価などもどんどん上がっていって、国鉄があそこに一定の基地なり何なりを整備しなければならぬということがあと追いになっていったのでは、地価なども上がってたいへん金もよけいかけざるを得ないという状態が起こってくる。したがって、長期的な展望を踏まえながら早期に具体的な行動に入っていく。開発がどんどん進んでからそこに基地を建てなければならぬということになったら、これはたいへんなことになると思う。早めに、また地価なども上がっておらない現段階で打つべき手は打つべきだというふうに思うのであります。  時間がございませんので、最後にもう一つ、これは運輸大臣にお伺いしたい。  大臣、かつて私も建設委員会ではたいへんお世話になりました。大臣のお人柄も私尊敬をしておる一人でありますが、一体政府国鉄の将来構想、ビジョンというものをどういうふうに思っておられるのか。私はどうも出たとこ勝負でしかないように思えてならないのであります。御案内のように、いまも建設委員会の理事をやっておりますが、五カ年計画で財政資金だけで十兆三千五百億を投じつつある。しかも、おそらく今年後半から第七次道路整備五カ年計画が始まって、新聞紙上——建設省ははっきりしたことは言っておりませんが、第七次計画は大体二十兆じゃないかという説さえある。かりに二十兆にならぬにしても十七、八兆くらいの第七次道路五カ年計画が出てきそうな気が実は私もいたします。もちろん、その場合には道路特定財源をどうするかということが一つの大きな問題になるでしょう。なるでしょうが、道路が急速度に整備をされていく。たとえば、高速自動車道のネットワークが整備をされて、どんどんこれは財政資金だけでやられていくのであります。そうすると、国鉄はいまちょっぴり出資をしたとかなんとか言っておりますが、全体から見ればこんなものはまるっきり問題にならぬ。私はやはり道路にこれだけの資金・財政資金だけで突っ込んでいくということになりますれば、残念ながら国鉄との間でだんだん差がついていく。一体、国鉄の前途はどうなるのかということを私ども考えさせられるのであります。特に国鉄は東海道、山陽新幹線のみならず新幹線のネットワークもやってもらわなければならぬ。そうしなければ日本全体のバランスある国土の開発はできない。やってもらわなければならぬのでありますが、いまの国鉄の営業収支の中でやりなさいなどということを言っておったのでは、とうていわれわれの地域まで新幹線ネットワークが及んでくるなどということは——あるいは羽越線の複線電化等について見ましても、ほんとうは複線ももっと進めなければならぬのに、複線は金がかかるので電化だけやってお茶を濁す、複線のほうは先にずれている、こんな感じですね。したがって、これをどうするかということになりますと、国鉄の営業収支の努力だけでやろうといったって道路との間にだんだんハンディがついていく、こういうことで国鉄の前途がどうなるのか、私ども非常に不安でございます。一体政府は、特に丹羽運輸大臣は、こういう問題、国鉄のビジョンというものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  116. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま阿部先生からの御指摘の点につきましては、私も十分その点を憂慮しておる次第であります。実は昨年の暮れに総合交通体系におきましてはっきりと政府の閣議でもきまりました位置づけにつきましても国鉄の国内交通の大動脈としての地位、その使命というものは、はっきりしておる次第でありまして、道路網が幾ら整備いたしましてもモータリゼーションが行なわれましても、大量輸送交通機関として、特に全国的な視野における国鉄の使命というものが非常に重大だということははっきりしておる次第でございます。したがいまして、今回の国鉄の十年間の計画にいたしましても、新幹線網の整備はもちろん、大都市交通、通勤、通学を含めましたところの大都市交通、それから都市間の交通、また貨物におきましてもいわゆる貨物輸送の拠点直通を根幹といたしまするところのいろいろの近代化ということをしておりまして、ただに赤字の整理のための今回の十年計画ではございません。国民に良質な交通サービスをいかにして提供するかということを根幹にいたしまして、それとあわせて健全な財政再建をはかっていくということが根幹でございます。  阿部先生すでに御承知のとおり、道路におきましては改定改定に次ぎまして五カ年計画を策定しておりますが、しかしながら私はっきり申し上げますると、国鉄の現状、ことに前のときは高速道路と同じものじゃないかというような感じもいたす次第でございます。御承知のとおり高速道路は財投だけでやっておる次第でございます。その償還も利子負担も漸次大きくなってまいりまして、これを全国網でやってまいります場合に、はたしてそれだけでいけるかということは御論議のとおりでございます。国鉄はもうすでにその時期が来ておる次第でございまして、それに今回はまだいろいろ御期待から申しまするとあるいはそこに論議がございますけれども、今回は十カ年でもって何と二兆円という、政府といたしましてもいままでにない大出資を政府援助をもちまして、それからまた財投その他におきましても七兆円という輸送サービスを、工事をもとといたしまして、今回発足をした次第でございまして、この御審議を願っておる次第でございますが、これら審議の過程におきましていろいろ御指摘をいただかなければならない点も多々あると思う次第でございます。そういったようなことで私どもは国民の国内の足としてこの国鉄はただにそういった営利の観点だけでなく、あくまでも国民の足を確保するために絶対的に必要であるという観点に立ちまして、その確信をもちまして今日やっておる次第でございますので御了承願いたい、こう思う次第であります。
  117. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 時間がありませんので、これは言いっぱなしになると思うのですが、大臣いまの十カ年展望、この程度のことでは激動する社会情勢の変化にとうてい太刀打ちできるものじゃない。やはりそれは道路をやるように相当まとまった財政資金をぶち込んで一気にいかなければ、ちょびちょびやっておる間に周囲の情勢はがっと一気にいってしまうのであります。私が感じまするに、現業公社等々の現場職員の中で国鉄の労働者くらいよく働く職場は珍しいと思っておる。たいへんみんなよく働いております。ぼくらひるがえって、ああいう現場でほんとうに終日働くことができるだろうか。最近ネクタイを締めたホワイトカラーが多くなってまいりましたが、国鉄の労働者みたいな現場労働者はなかなか日本では少なくなってきておる。この労働者にいまマル生とかいろんなことできびしいあれをやりながら、営業収支を何とかしょうとして国鉄近代化の条件整備なんてやっておる。そんな努力をした程度では、いまの世の中の急テンポな変化に国鉄の条件整備やいろんなものは、いまのやり方では全然太刀打ちできるものじゃない。したがって、道路に対して五カ年計画で十兆三千五百億、第七次計画は二十兆になるというのならば、財政資金を相当まとめて、独立採算の壁をぶち破ってやっていくということにならなければ、私は国鉄の将来なんてどうにもならぬのじゃないかということをおそれるのです。したがって、そういう影響はこっちのほうの目につくところの東海道や山陽のほうはみないくだろうけれども、しわは全部ローカルな地方のほうに及んでくる。私のところなんか今度のダイヤ改正で夕方の通勤通学のときに、家に帰れぬような状態がつくられておるのです。これもさっき言った秋田の独立管理局の関係で何ぼ頼んでもどうにもならぬ。幸い丹羽運輸大臣答弁がありましたので、何とかひとつ地元と協議機関を持って善処しようというところまできましたけれども、そういう状態をぜひひとつこの際根本的な面で——私はいまの十カ年展望、ああいうものじゃどうにもならぬと思っておるのです。そういう意味でなお一そうのあれをお願いしたい。もしあれば答弁をひとつ……。
  118. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 貴重な御意見を承りました。これは御承知のように企業でございますので、利用者の負担と一般の納税者の負担との割合の問題もございます。しかし規模を大きくすることは、私はもとより大賛成でございます。御鞭撻をいただきまして、その方向に進んでまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  119. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 なおダイヤ改正の是正策も一生懸命やりますね。——それではこれで終わります。
  120. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で阿部昭吾君の質疑は終わりました。  広沢直樹君。
  121. 広沢直樹

    広沢分科員 私はきょうは本州四国連絡橋について若干御質問申し上げようと思っているわけでありますが、御存じのように、これは運輸省だけではなくて建設省の所管でもありますし、さらには経済企画庁とも関係がございましょうし、直接には架橋公団がこれをやっております。そういうことを踏まえてきょうは皆さんの御出席をいただくわけにまいりませんので、建設省の道路局長並びに運輸省の皆さんに関連して御質問申し上げたいと思います。  まず総体的な面でありますが、新全総、いわゆる新全国総合開発計画ですか、その中で、四十年を基準として昭和六十年までに四国の連絡橋三ルートありますが、これは全部完成させるということがうたわれておるわけであります。ところが、それからいたしますと、四十八年に着工するということ、公団でもその方向で調査を進めているようでありますが、そうなりますと、あと期間的に十二年ぐらいしかないわけです。いま新全総も改定をするということで作業中であると伺っておるわけでありますけれども、六十年までに三ルート全部を完成させるということは実質的に変わりがないかどうか、まず運輸省、それから建設省にお伺いしておきたいと思います。
  122. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 新全総を改定するということでございます。また新経済社会発展計画も改定する、こういうような話でございましたが、その際におきましても、いわゆる公共事業といったような方面につきましては、ただいまの五カ年計画ないしは十カ年計画というものはむしろ積極的にすべきであるという結論を経済企画庁長官も申し述べているところでございます。私どもはこういったような公共施設につきましては、やはり既定計画おり進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  123. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 本州四国の三つの橋につきましては、ただいま先生おっしゃいますように、新全総におきまして昭和六十年までに一応架設することがきまった次第でございます。われわれの建設省といたしましても国土建設の長期構想、昭和六十年度を目標にいたしますが、この中でも三橋をかける予定で、それをもとにいたしまして、ただいまの五カ年計画も策定されておりますので、われわれも昭和六十年度までには三ルート完成するものと思っております。
  124. 広沢直樹

    広沢分科員 いま両得のほうから六十年度までに三ルート完成するということでありますので、その方向で全力をあげていただきたいと思うわけでありますが、御存じのように四十七年度、新年度予算編成にあたってもいままでの経済運営のあり方を変えて、特に生活環境整備あるいは公共投資に力を入れていくということでありますので、多少年限が延びるようなことがあったとしても、この総合計画の中でルートの完成に全力を入れていただくように強く御要望申し上げたいと思います。  それからロバ体的に入りますけれども、四十五年度に連絡橋公団が発足して以来四十八年度着工を目標に具体的に調査を行なうことになっておるわけでありますが、それまでどのような調査が行なわれたのか、客年度ごとの具体的作業内容を御説明いただきたいと思います。さらに、四十七年度はどのような作業が進められるのか、この点建設省道路局長のほうからお答えいただきたいと思います。
  125. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 本州四国連絡橋公団は一昨年の七月に設立したわけでございますが、設立と同時に従来日本道路公団並びに日本鉄道建設公団の行なっておりました調査事業を引き継ぎまして、できるだけ早く建設に着手することを目標に架橋に必要な調査を行なってきているわけでございますが、昭和四十五年度、六年度の調査につきましては後ほど申し上げますけれども、四十七年度の調査は、昭和四十八年度に三ルートに着工できることを前提にいたしまして実施しているわけでございます。  ただいままでにやってまいりました調査のおもなものを簡単に申し上げますと、まず第一に経済調査でございます。これはこの事業の経済効果並びに採算性などについての検討をいたした次第でございます。  第二番目に自然条件の調査でございます。その中には海象、気象の観測をはじめ地震の観測、航行の安全調査等が含まれておりまして、これらも昭和四十五年度から継続してやっております。  第三番目に測量調査でございまして、これはまず陸上部の測量とそれから海底部の地形図の作成などが中心でございまして、この調査は四十六年度から実施しているわけでございます。  それから四番目に地質地盤の調査でございますが、陸上部の道路、鉄道についての土質調査それから海峡部におきます長大橋の基礎工についてのボーリングの調査、これが非常に大きな事業になっておるわけでございますが、これらに中心を置きまして、これも四十五年度から継続してやっております。  それから五番目に路線調査でございますが、これは道路並びに鉄道の路線の計画並びに設計等の調査を行なっているわけでございます。  それから六番目に長大橋の設計の調査でございます。これは海峡部におきます長大橋についての計画設計図の作成、それから設計方法、それから材料の研究などを含めまして広範な調査を、これも四十六年度から実施しております。  それから七番目に、海峡部の長大橋についてでございますけれども、主として施工法でございますけれども、海底岩の掘さく機や、それからハッパによります掘さくの実験、海中のコンクリ施工法の大規模な実験などが主体でございます。  なおそのほかに施工機械の開発、これは海底岩掘さく機の掘さく実験のための作業用船舶の開発であるとか建造等が中心でございますが、そのほかに海中作業足場、調査船であるとか、あるいは投錨船などの開発建設などが中心になっております。そのほかに船の航行の安全施設の開発等が含まれています。  それから八番目の用地の補償調査でございます。これは地価であるとか特殊権利等の調査を行なっております。  以上のような調査は非常に順調に進んでおりまして、これによって、事業計画のための調査は四十七年度中にはおおむね完了する予定でございますので、四十八年度中には三ルートのいずれかどこかに着工できるような状態になろうかとわれわれは考えております。
  126. 広沢直樹

    広沢分科員 いま具体的な御説明をいただきましたが、四十八年度から着工ということでありますね。あと一年余すところでありますけれども、全面的に一応四十七年に全ルートの調査を終わるということでありますか。部分的に調査が終わるというのではなくして、基礎的——基礎的というか全面的というか、三ルートについての調査は一応完了する、こういうように了解してよろしいでしょうか。
  127. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 三ルートにおきましてすべての調査が終わるということを意味しておりません。たとえば、一番東のほうの明石−鳴門につきましては、明石海峡に関する調査はまだ完了しておりません。したがいまして、ここの個所の着工というのは不可能でございますが、それと同様なことが各ルートにございまして包括的な調査をやっておりますので、特に特殊な条件において特殊な技術の必要な個所につきましての調査はまだ完了しておりません。ということは、要するに三ルートのうちいずれも着工できる態勢に入る個所があるということでございまして、三ルートのすべての調査を終わったということではございません。
  128. 広沢直樹

    広沢分科員 すべての調査が終わらなくても一応四十八年度からは公団のほうとしては建設工事に着手するという意味にとってよろしいでしょうか。
  129. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 三ルートにそれぞれ着工できる態勢に入るというふうに考えてよろしいと思います。
  130. 広沢直樹

    広沢分科員 三ルートそれぞれに着工できるといいますと、具体的にAルートについてはいまお説のように明石と淡路間についてはある程度まだ調査が残っているということでありますが、これはいつごろまでに完了するような予定でしょうか。
  131. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 調査の進行状況によってきまることでございますので、ただいまの時点においていつ調査が完了し、いつごろ着工できるかということはちょっと私もわかりかねますが、少なくも三、四年の間には何とかめどをつけまして、三、四年後には着工できるように持っていきたいとわれわれ考えております。
  132. 広沢直樹

    広沢分科員 いまのお話ですと、一応三ルートについては四十八年からは、調査完了の部分からは具体的に着手するというお話でありますので、そのように理解したいと思います。  それから、次の問題としては、いま併用橋の問題と道路橋の問題が論ぜられてまいりました。三ルートについてすでに併用橋として御調査いただいているのはAルートとDルート、Eルートは道路橋であるというふうに伺っているわけでありますけれども、併用橋の場合——これは運輸大臣にお伺いいたしますけれども、在来線で併用橋としての調査ということになっておるわけでありますが、新幹線構想ということも強く要請されているわけであります。その点についてお答えいただきたいと思います。
  133. 山口真弘

    ○山口政府委員 Aルート、Dルートにつきましては、併用橋といたしましてただいまのところ在来線の形で調査を行なっております。しかしながらこの架橋の完成には十数年かかるわけでございます。したがいましてそういう長期間の先のことでございますから、その間におきまして将来新幹線鉄道ができた場合に手戻りになるというようなことがあってはいかぬわけであります。したがいまして、この新幹線鉄道自体の計画全国新幹線鉄道整備法によりまして鉄道建設審議会の議を経て基本計画をきめるというような手続がございますから、その手続を経なければいかぬわけでございますが、先ほど申しましたような長期間を要することでございますので、将来その併用橋に新幹線を通すこととなった場合においても支障のないように、設計等につきまして十分に配慮を加えておくというふうにいたしたいと思います。
  134. 広沢直樹

    広沢分科員 いま十分なる配慮を加えるということでありますが、いまAルートとDルートについては併用橋で、現在は在来線であるけれども、将来の新幹線ということを考えて調査をし、そして四十八年からこれは工事に着手するということであります、部分的にせよ。そういうことになりますと、それ以前にやはりきちっとした取りきめをしておく必要があるのじゃないか。そういう構想も含めてというあいまいなことではなくて、時代の要請が在来線じゃなく新幹線であるべきだということは当然のことだろうと思うわけでありまして、それならばそれとして、鉄建審からの建議がなければというのではなくて、運輸省においてもそれだけの考え方でこれは指示もし、あるいは具体的にそういう構想でもう進んでいかなければならぬと思うわけでありますけれども、その点についてもう一ぺんお答えいただきたい。
  135. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま鉄監局長からお答えいたさせましたが、私のほうはそういうふうに考えておる次第でございます。いま広沢先生おっしゃったように、将来は新幹線でもやれるというふうなことを踏まえていろいろのものを調査するということでやっている次第でございます。ただ、ほんとうに新幹線を共用させるかどうかという具体的の問題になりますと、鉄建審の決定を待たなくてはならない、こういうことでございます。将来の新幹線網の計画その他もにらみ合わせまして、十年先のことでございますから、新幹線も通し得るという道でもって調査をするということで、いまさしておる次第でございます。
  136. 広沢直樹

    広沢分科員 この新幹線の構想については、四十五年、いわゆる公団ができる前に一応鉄建審のほうでは新幹線法案要綱というものをおつくりになった。これは新聞に出ておるわけでありますけれども、それによりますと、新幹線ルートの内容まで具体的に検討されたようであります。後にこれは一応訂正されたと伺ったわけでありますけれども、その満場一致で決議された法案要綱によりますと、四国も新幹線構想が明記されているわけであります。ところがいまのように、そのような方向でということでありますと、これは新幹線を通していくのだということがはっきりまだおきめになっていないようなのですが、その構想をおきめになるのはいつごろになるのか。  それからもう一つは、すでにいま建議されている、あるいは工事を実施している、完成しているというふうに分けてみましても、四国だけがそういう面からいまのように抽象的な構想の中に置かれているだけでありまして、これを一日も早く具体化していかなければならないし、四十八年の公団の着工ということとにらみ合わしてこれを決定していくべきものじゃないかと思うのです。その点いかがでしょうか。
  137. 山口真弘

    ○山口政府委員 新幹線鉄道整備法が策定されます前に、新幹線鉄道整備法の要綱を鉄道建設審議会が決議をいたしました。その決議の内容には、ただいま先生指摘のように、四国におきまする新幹線構想というものも当然載っておったわけでございます。その後、これを法文化いたします際に、具体的な路線を書くのはいかがかということになりまして、具体的な路線を書かずに、法律では別表をつけずに、そうして具体的な路線は基本計画等できめていくという形になったわけでございます。  それで、現在やっております新幹線は、先生御存じのとおり、東北の盛岡まで、それから上越の新潟、それから東京から成田まで、この新幹線を現在建設中でございます。その他につきましては、まだ建設中ではございません。今後の建設に待つわけでございます。  それで、新幹線鉄道整備法によりますれば、新幹線を整備いたしますためには、まず基本計画をきめまして、そしてその基本計画がきまりますと、それで初めて建設を行なうべき新幹線というものがきまるという形になりまして、それから整備計画、工事実施計画という段取りを経まして新幹線が整備される、こういう段取りになっております。したがいまして、新幹線の整備のスタートはまず基本計画の決定、それに基づく建設すべき路線の指示ということに相なるわけでございます。基本計画の決定のためには鉄道建設審議会の議を経るという手続になっておりまして、問題はこの鉄道建設審議会でいっそういう決定をなさるかということにかかっておるわけでございます。今後いろいろな問題を踏まえまして、この問題は検討してまいりたいと思います。
  138. 広沢直樹

    広沢分科員 いま御説明があったことはわかっておるわけです。しかしながら、建議がなければという、それはたてまえ上は建議があって、基本計画を立ててということになりますけれども、当然それは鉄建審のほうにも、運輸省のほうから、一応在来線で現在は調査していることになっておるわけですから、当然これは新幹線構想を含めて新幹線としてのルートを決定するというか、具体的な構想を練っていくように指示すべきじゃないかと思うのですね。鉄建審から出てきたらやりましょうというようなことではなくて、むしろこちらのほうからも、皆さんのお考えはいまお伺いして大体わかっておるわけですから、四十八年着工ということになるならば、新幹線ルートとして調査すべきであるということの指示は出すことはできないわけでありますか。
  139. 山口真弘

    ○山口政府委員 実は非常に似た例が青函トンネルにございます。この青函トンネルにつきましても、現在調査をし、工事を始めたわけでございますが、盛岡から札幌までにつきましては、鉄道建設審議会で建設を行なうべきであるという建議がございましたが、まだ基本計画の決定に至っておりません。したがいまして、青函トンネルにつきましても、新幹線を通すという決定はまだいたしておりません。しかしながら、これは将来のまだ相当先のことでございますので、それも新幹線を通し得るような設計によって工事をするようにということを指示いたしておるわけでございます。ちょうど本四につきましても同様でございまして、かりに新幹線をつくるということが基本計画としてきまりますれば、それからまた正式な意味での新幹線の建設ということになるわけでございます。現段階ではまだそこまで至っておりませんので、これは新幹線を通し得るような設計その他をやって、将来手戻りが生じないようにしておく必要があるわけでございます。
  140. 広沢直樹

    広沢分科員 それでは、長期収支における国鉄の工事費、総投資額といいますか、一応十年計画はおありだろうと思うので、これをお示し願えませんでしょうか。
  141. 山口真弘

    ○山口政府委員 国鉄の長期投資でございますが、これは今回国会に御提案申し上げております国有鉄道運賃法並びに日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部改正、この法律に基づきまして新たな十カ年計画を策定するという形でやっておりまして、これは現在やっております新幹線とその他の在来線の電化、複線化その他の工事というものを対象としております。ただ、この本州四国の連絡橋に関しましては、これはその外でございまして、したがって、今後それをどうするかという問題は、国鉄自体の工事計画の外で一応考えておるわけでございますが、ただこれを今後その十カ年計画とからめてどうするかということは、これからの検討課題になろうかと思います。  なお、鉄道建設公団が行ないます新幹線につきましても同様でございまして、国鉄自体設備投資計画の外でございます。
  142. 広沢直樹

    広沢分科員 それでは具体的に四十七年度の投資総額は幾らになっておりますか。
  143. 山口真弘

    ○山口政府委員 四十七年度の国鉄自体の投資総額は五千三百億円でございます。
  144. 広沢直樹

    広沢分科員 私がいただいている資料によりますと、四十七年にお説のとおり山陽新幹線が一千九百億、東北新幹線が五百億、それから在来線が二千九百億、総計で総投資額が五千三百億、そうですね。
  145. 山口真弘

    ○山口政府委員 さようでございます。
  146. 広沢直樹

    広沢分科員 それによりますと、四十八年が六千四百億、四十九年が六千八百億、五十年が七千億、ずっとこう、五十六年までの計画が一応できていると思います。その総額が、四十七年を初めとして五十六年までに七兆ということになっておりますが、そういう計画は一応立っておるわけでございましょう。
  147. 山口真弘

    ○山口政府委員 今後十年間におきます国鉄設備投資計画はおおむね七兆ということにいたしております。
  148. 広沢直樹

    広沢分科員 そうしますと、四十九年から「その他新幹線」という項がございまして、その中に百億円、それから五十年に「その他新幹線」の項が三百億になり、五十一年が千五百億、五十二年がぐっとふえて千八百億、あとずっと千八百億の計画のようであります。それで、十年間にその他の新幹線で一兆一千億、こういう計画があるようでありますけれども、それはそのとおりでありますか。
  149. 山口真弘

    ○山口政府委員 七兆円の内訳につきましてはまだ検討中でございまして、在来線と新幹線その他の配分等につきましては、今後さらに詰めてまいるつもりでございます。  なお、新幹線につきましては、先ほど申しましたように、この国鉄自体の投資のほかに、鉄道建設公団の投資というものもあるわけでございますし、さらに本四連絡橋公団が新幹線をかりにやるということになりますれば、そのほうのものとしてもやはり計上されてくるということになっておりますが、まだそれにつきましては未決定であります。
  150. 広沢直樹

    広沢分科員 そうするといまのところ、将来の十年計画でありますから、この七兆円の中には本四の新幹線の計画予算、投資額というものは含まれてないということでありますか。
  151. 山口真弘

    ○山口政府委員 一応別ワクと考えております。
  152. 広沢直樹

    広沢分科員 そうしますと、今度鉄建審から建議がありましたおりには、一応それはこの十年計画の中にまたプラスされる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  153. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま申し上げました七兆円の投資は国鉄自体でございます。それで鉄建審からかりに建議あるいは答申等がありましてやる場合に、その施行主体の問題とも関連してくるわけでございます。国鉄が直接その建設を担当するということになれば、もちろん国鉄のほうでございます。この七兆の中に一応考えなければならないという問題が生じてくるわけでございますが、かりに本四連絡橋公団がこれを行なうということになりますれば、これは別ワクとして追加されるという形になるわけでございます。
  154. 広沢直樹

    広沢分科員 現在の法律でいいますと、これは御存じのように鉄道建設公団がやることになっておりますね。また架橋公団法によりますと、これはまた鉄道のほうは架橋公団でもできるというふうになっておりますから、当然実施する場合においては法律の改正も必要でありましょうし、あるいはどちらかにきめていただかなければいけないと思うわけであります。したがって、やはりこの中の七兆円に含まれていないということになれば、建議され、そして基本計画が出される段階において、その予算化ということは考えられるわけなんでしょうか。
  155. 山口真弘

    ○山口政府委員 本四連絡橋公団の予算につきましては、ただいま現に調査をいたしておるわけでございますが、かりにこれが新幹線を通すということになりますれば、この七兆自体の予算でなくして、かりに本四公団がやるということになれば、本四公団の予算として計上されてくる、こういう形に相なるわけでございます。
  156. 広沢直樹

    広沢分科員 次に、資金の計画についてでありますけれども、これは具体的にいろいろな問題がありますので、ここで全部論じ切れませんけれども、総体的にいいますと、四十三年度の建設省と運輸省との資金計画によりますれば、Aルートが三千七百二十八億、Dルートが二千五百五十一億、Eルートが一千四百七十八億、合計七千七百五十七億円ということになっておりますね。その後、当然それは物価も上がり情勢も変わってきておりますですから、これが相当大幅に伸びてきているんじゃないか。しかしながら、この四十三年度ではこうであったけれども、その後においてはこれがもっとうんとふえていくんだということであれば——この橋が四十三年度に着工したらすぐできるわけじゃないわけです。十年ないし十数年という月日がかかるわけでありますから、当然それを考慮に入れた試算が行なわれておったんじゃないかと思うわけでありますけれども、現時点において試算なさっておれば、その金額についてお示しいただきたいと思います。
  157. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 昭和四十三年に、先生いまおっしゃったように三ルートで七千七百五十七億の事業費がかかるというふうに発表したわけでございますが、その後さらに調査を続行いたしておりまして、現時点においてはまだ確定した金額はわかっておりませんが、おおむね五割増し程度ふえるだろう、したがいまして、一兆円をこえるだろうということが考えられております。
  158. 広沢直樹

    広沢分科員 道路局長、いま申し上げたように、これは四十三年度時点での試算を発表なさったわけじゃないでしょう。四十三年度に発表なさったときには、これは十年か十五年かかるわけですから、その間を全部総合して、完成するまでにこれだけ要るという発表ではなかったと思うのです。四十三年度にもしもつくるならば、七千七百億要るという計算だったのでしょう。これが一兆円をこえるであろう。じゃまたその時点、時点で、それは物価の変動だのを予測するというのはむずかしいかもしれませんけれども、それくらいのやはり計画がなければ、その他の、単に国だけの負担じゃなくて、これは地方負担というものもありますし、民間の資金を計画しているところもあるわけでありますから、やはり資金計画というのは明確にしていただく必要があるんじゃないかと思うのです。その点いかがでしょう。
  159. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの七千七百五十七億の金額は、昭和四十二年十二月現在におきます単価で試算されております。単価の増によるものはさほど大きくございませんが、その後の調査の進展に伴いまして、予想以上に基礎工事に多額の金がかかるということが現在判明しつつあります。現在時点でまだ完全な試算は終わっておりませんが、考えられますことは約五割増し程度の金額、つまり一兆円程度の金になるだろうと考えられておるわけであります。
  160. 広沢直樹

    広沢分科員 その負担の割合というのは、具体的にどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  161. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 負担の割合と申しますのは、おそらく道路と鉄道の負担割合並びに国と地方の出資金の割合並びに財投と民間資金の割合、そういったことかと思いますが、ただいまの出資の割合は、国と鉄道と道路の割合は必ずしもはっきりしておりませんが、三対二程度というふうにわれわれは見ております。  それから出資金につきまして道路分だけ申し上げますと、おおむね国の出資が一、地方公共団体の出資が一、それに対しまして国から出ます財投資金が四、民間の縁故債等が四であります。これをわれわれは一、一、四、四と言っておりますが、大体そういう比率でもって現在の建設費の資金が構成されております。しかし、これは現在調査段階でございますので、これでよろしいわけでありますが、建設段階に入りますと非常に多額の金額を必要といたします。現在の比率の割合ではとても地方公共団体ないしは縁故債を求めることは非常に困難と思われますので、財源の割合につきましては、今後大蔵当局とも十分相談をいたしまして構成を改める必要があるのじゃないかというふうに私たちは考えております。
  162. 広沢直樹

    広沢分科員 時間がありませんので、以上で終わりにしたいと思いますが、当初申し上げましたとおり、六十年までに三ルートは完成するという両省の意気込みでありますし、さらにまた、具体的には四十八年から部分的にせよ三ルート同時に着工するという御答弁をいただきました。さらにまた新幹線も、建議あり次第これは新幹線として認めていくというお話でございました。その点について変更のないように、地元の要望はあくまでもやはり時代に即応した体制で鉄道建設も考えてもらいたいし、それから全国的に見ましても、四国については相当おくれている。いろいろな事情はあったにせよ、青函はもうすでに実際の工事にかかっておりますし、関門のほうは御存じのように超大橋、いまのところは日本で一番大きな超大橋になるわけでありますが、これも具体的には四十八年には完成しようかというところまできておるわけであります。ですから、いたずらに調査調査ということでおくらす時期じゃない。もうすでに一日も早くこれは着手しなければならないし、もっともっと具体的に突っ込んでこのことは明確にしていかなければならない問題だと思うわけであります。その点、強く要請申し上げまして、私の質問は終わります。
  163. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 これにて広沢直樹君の質疑は終了いたしました。  島本虎三君。
  164. 島本虎三

    島本分科員 だいぶお世話になりますが、よろしくお願いいたします。  まずきょう私が質問したいと思ってまいりましたのは、今度予算の大綱の中の柱ということで、以前には社会保障について重点的に扱うというふうに大体閣議できめられておったのでありまして、その線に沿うてやはり運輸予算なりまた国鉄関係なりも当然考えておられなければならないはずである、こういうふうに思量するわけであります。予算重点を置かれているそれも、当然それに反するような発言をしたために、以前は原健三郎前労働大臣も罷免のやむなきに至ったということはあるわけでありまして、これはなかなか重要な意義があるのであります。  そこで、ちょっと聞いてまいりたいことが若干ございますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。順序不同でありますが、四つの点からお伺いいたします。  その一つ公害に関しての問題で、いわゆる廃油処理施設ですが、今度、海洋汚染防止法が本年六月二十五日から施行されます。運輸省としても海洋関係日本国有鉄道としても連絡線関係でそれぞれ船を使用しておりますが、今後六月二十五日以降は、これはいままでと同じような状態でなく処理されなければならないことになるわけでございます。それで廃油処理施設については大体どのようにお考えでございましょうか。まずその点からお伺いしておきたいと思います。
  165. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 実は、具体的な数字につきましては港湾局長か官房長から御説明申し上げます。  ただいま御指摘がございました公害防止、これはいま最も国政の中心の、内政の中心の問題で、運輸行政といたしましても騒音の防止あるいは大気汚染の問題あるいは海洋汚染の問題、これらにつきましては今後重点的にこれらの防止に当たっていかなくちゃならないという強い決心を持っておりまして、廃油処理施設におきましても、港湾におきますただいままでつくりました廃油処理施設の拡大をはかっておりまして、今回の予算にも相当の個所づけも考えてやっておる次第でございます。  また、この六月に全面的施行になります海洋汚染防止法、これらにつきましても、もうすでに御承知のとおりこれが実施されない以前から、四面海に囲まれているわが国といたしまして、最近は廃油ボールの海洋汚染が非常にひどい次第でございますので、いろいろのタンカーその他につきましてはロードオントップ方式と申しますか、そういったような油水を分離する施設を各船につけさせるという指導をいま強力に進めておる次第でございまして、これが海洋における投棄その他の取り締まりはなかなか容易ではございませんが、海上保安庁の巡視艇等も相当に今回の予算面においてもつけたと思っている次第でございますが、まだまだ足りませんで、先生方の強い御指導と御協力をいただきまして、それらのほうも充実いたしてまいりまして、日本の海洋が汚染されないような措置を講じてまいりたい、こう思っている次第でございます。  また航空につきまして、空港騒音防止ということがいま一番の問題になっておりますが、離発着の時間制限とかあるいは度数の制限とかいろいろのくふうをしておりますが、やはり空港近辺におきますところの騒音施設をいかにするかということでいませっかく努力している次第でございまして、たとえば教育施設等の公共施設の防音工事に対する補助だけではなくて、一種空港につきましては個人住宅につきましてもある程度騒音防止施設を補助をしなければならぬというので千六百万の調査費をとりまして、来年はぜひこれを実施したい。すでにもう成田空港の周辺につきましては、われわれの責任におきまして県におきましてすでにこれを実施させるということを決定をいたしまして、先般自治省と大蔵省と私ども協議をいたしまして、これはすでに確認をした次第でございます。それらの方向において進んでまいりたい、こう思っている次第でございます。  また列車の騒音施設あるいは公害施設につきましてもそれぞれのやはり予算措置を見まして、できるだけ早くそれらのものをなくなすようにやってまいりたい。  新幹線につきましてもただいま問題がございますが、今度は岡山新幹線につきましては特別の防音施設を講じているということはもうすでに先生御承知のとおりでございまして、それらの方向に向かって進んでまいりたい、こういうふうに思っている次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  166. 島本虎三

    島本分科員 あとから新幹線また航空騒音をやろうと思っておりましてあらかじめ言っておいたら、みんな答弁してしまったが、しかしそれは時間の節約になっていいと思います。  それで大臣、まず油はまだ詰めていませんから、これだけはっきり詰めさせていただきます。  というのは、廃油処理施設の事業はこれはもう許可制でございまして、これは運輸大臣の許可によることは法第二十条によってはっきりきめられございます。それと二十三条には許可の基準がこれまた具体的にきめられておるのであります。そうなりますと、新潟沖で遭難して世界の話題になったタンカー船ジュリアナ号もございますが、今後そういうふうな船の基準等についても十分大臣として今度はもう責任を持たなければならぬ。いまでもそうですけれども、今後は特に厳重になるわけであります。タンカー船は荷を入れて帰ってきた場合はいいが、から身で帰る場合は安定性を欠くから水を入れます。水を入れて、その水をまたどこかへ出さなければならぬ。これが油濁防止法、現行の海洋汚染防止法、これによると施行六月二十五日以降は世界的にこれは厳重に禁止される、こういうような点については十分対策はあるだろうと思います。今度事務的な問題になりますけれども、こういうような状態に対しての規制はどういうようにして行ないますか。
  167. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に廃油処理施設でございますが、これにつきましては先生ただいま御指摘がありましたように、民間事業者によりまして廃油処理施設をつくるという面と同時に、港湾管理者につきまして、またその地域の港湾にそれぞれ廃油処理施設を設置する、こういう二本立てになっておるわけでございます。港湾管理者によりますところの廃油処理施設の整備につきましては、来年度の港湾整備事業におきましては、港湾管理者分として十二港、十二カ所、事業費約八億五千三百万円の施設を予定しており、そのうち国費は約四億二千七百万円で、これを四十七年度末までに完成いたします。すでにいままで完成したところが約十カ所あります。四十七年度末までに港湾管理者によりますところの廃油処理施設については二十一港、二十一カ所というものを設置したいということでいろいろ作業を進めておるという状況でございます。  また第二に船舶の問題でございます。いま御指摘ございましたように油のたれ流しと申しますか、そういう現象が従来ともかなり多うございます。そういうようなことで、現在までに海洋汚染防止法の前身でございます油濁防止法の段階におきましても、それぞれの船舶に対しまして油水分離装置というものを設置させるように指導し、また必要な資金を援助したいというようなことで、徐々にこれを整備しつつある状況でございます。本年の六月におきますところの全面施行また国際的ないろんな動きというようなものも考え合わせまして、逐次これを拡大強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  168. 島本虎三

    島本分科員 それで連絡船等については現在どういうふうになっておりますか。
  169. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄が持っております連絡線、宇高連絡船と青函連絡船と両方ございます。宇高連絡船につきましては、法に基づきまして現時点までに持っております五隻全部油水分離装置を装備いたしました。青函連絡船につきましては現在十三隻で運航しておりますが、このうちもうすでに四隻はつけまして、残りは九隻だったと思うのですが、四十六年度中に大体六隻を処置いたしまして、残りは三隻ございますが、これも法の定めるところによりまして、六月までに三隻全部油水分離機を装置いたしまして万全を期したい、こういうふうに考えております。
  170. 島本虎三

    島本分科員 ビルジの排出、これはやはり防止装置を義務づけられてございますが、これらについては、連絡船にはどうなっておりますか。
  171. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま申しますようにその装置を大部分つけまして、残りを六月二十五日までにつけることにいたしております。     〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕
  172. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、廃油処理施設については、青森それから函館これが両方の港になりますが、それぞれにございますか。またなければ今後どうしようとする対策がございましょうか。これもこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  173. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま地上設備につきましては、四十七年度一ぱいに青森方にこの装置ができるようになっておりますので、それに入れたい。ただ、その間一年近くございますので、その間は、船内のそういう油をためておきますタンクがございます。それにためておいて、そうしてそれまで持っていきたい、こういうふうに考えております。
  174. 島本虎三

    島本分科員 それは青森ですか、函館ですか。
  175. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私、青森と函館を間違えました。北海道の函館でございます。申しわけございません。
  176. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、四十七年度に完成するとしたら、四十八年三月末までに——これは海洋汚染防止法の附則によって、四十七年六月二十五日から厳重に実施するということになります。まして、本年六月になりますと、これはあのストックホルムでいわゆる環境保全に関する国連の会議がございまして、日本からも環境庁長官をはじめ、官房長を含めて十五名の大チームが出席して、世界のために汚濁防止のことについてはこういうふうに建議してくるわけでございます。この六月二十五日から四十八年三月の末までの間のこのズレは一体どういうふうにしますか。
  177. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄としましては、青函連絡船には法律の定める範囲内につくるわけでございますが、港湾管理者のほうで函館市内にタンクをつくっていただくことになっておりますので、そこで処理をしたい、それまではやむを得ませんので、船内に保有いたしまして、それができたときにそれに入れたい、こういうふうに国鉄としては考えている次第でございます。
  178. 島本虎三

    島本分科員 これは津軽海峡の中にいままでたれ流していたんじゃないですか。今度こういうふうになったから、あらためてそういうふうな施設をする、しなければならないということになって、いままでの間はこれはもうどういうふうになっていたか。函館側のほうにも施設はございません。青森のほうにもございません。函館にできるのは四十八年三月。いま建造中でございますから、まだできておらないわけでありますから、当然それは、連絡船はしょっちゅう運航していますから、これはどこかでだれかが処理しないとそれはたれ流しだということに普通推定されるのであります。法律ではいま推定規定が抜かれた抜かれないでだいぶ問題になりますが、公害に関しては、これをやったものは社会的な犯罪者になっているのですから、国鉄当局がいかに権限が大であろうとも犯罪を犯すことは許されないことであります。これは若干の期間でもそういうようなことは見のがされない状態にございますが、この点については十分対処しないと、時間のズレ——ことばではわかりましたが、ズレだけはあるわけです。これだけのズレがあったら、新幹線なら脱線してしまいますよ。公害だから目をつぶりますが、これだと大臣困りますよ。
  179. 高林康一

    ○高林政府委員 国鉄連絡線の具体的な状況についてはちょっと手元に資料がございませんので、詳細わかりませんが、原則的には従来そういうようなものを、船内に油をためておく。ためておきまして、もよりのそれぞれ着きましたところで陸上に運んで、陸上でいろいろ処理するところもございますので、そういうところでその油を処理するということを一般的にはやっております。
  180. 島本虎三

    島本分科員 それは存じておるのであります。前回公害対策特別委員会で、両方に処理する施設がないのにどうするかと言ったら、遠くへ運んで処理する、遠くはどこだ、わからないままに終わっているから、今度はこれはあらためてそれまで言わないで、温情あふれるような質問をいましているのです。それにもかかわらずまたここでそうごまかそうたってもうだめです。投げる場所がないのです。国鉄は、ない、そう言ったのです。だけれども、もうすでにそれをやっちゃだめな事態になっているから、今後はそのズレは直しなさいというのですよ、大臣
  181. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生指摘のように、この法律ができますまでは、その船に処置していないものが大部分でございました。この法律に基づきまして、いま申しますように、新造船につきましてはこの装置をつけ、それからついてないものはその後改造いたしましてつけます。あと残り三隻につきましても、早急につけるような段取りをしておるわけでございます。いまおっしゃいます地上設備につきましては、これは港湾管理者のほうでつくっていただくことになっております。そこへ入れることになっておりますが、それができますまでは、今後は、さっき申しますように、タンクの中に入れて保有しておきまして、一年後にそこに投棄する。それがたまった場合、どうしても容量をオーバーするという場合には、函館ドックに持ってまいりまして、そこで処置をしたい、こういうふうに考えております。現在までは、御指摘のように、陸上から約十キロ離れた、一番流れの早いところで処置をしておったのがいままでの現状でございますが、こういう海洋汚染防止法ができまして、それに合うような処置を考えて今後進めたい、こういうことであります。
  182. 島本虎三

    島本分科員 大臣、こういうような実態ですから、今後これを許さないように、ひとつ厳重に投棄を監視し指導されるように、これは国際的見地から要請しておきたい、こういうふうに思うわけであります。
  183. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私の答弁の中に、現在函館ドックにあるような答弁を申しましたが、これは間違いでございまして、設けられる予定のところへ入れたい、こういうことでございます。間違いでございました。
  184. 島本虎三

    島本分科員 ないのですから、これから完全にやるようにしてやってくださいということです。それと同時に、これはいままでたれ流ししていたという事、実もございます。これは指摘したところが、困って、遠くまで持っていったという答弁があり、処理施設がないままにいままで過ごしてきていますから、この点は大臣としては厳重に督励するように要請しておきます。  次に、現在離島航路に就業している船は全部で何船くらいございますか。
  185. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま離島航路に就航いたしております船でございますが、全部で六十七航路ございまして、船舶の数が百五、これは昨年十月一日の統計でございます。
  186. 島本虎三

    島本分科員 これは離島といってもいろいろございましょうけれども、特に冬をかかえておる北海道には、これは何航路くらいございますか。
  187. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 北海海運局管内で申しますと、補助対象航路でございますが、北海道は現在四航路、船舶の数で五隻というふうに相なっております。
  188. 島本虎三

    島本分科員 これは念のためですけれども、六航路ではございませんか。
  189. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま補助している航路というふうに私はお答えしたのですけれども、補助している航路が四航路……。
  190. 島本虎三

    島本分科員 補助してない航路は……。
  191. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 補助してない航路は、ちょっといま手元にございませんので、申しわけありません。調べてまいります。
  192. 島本虎三

    島本分科員 調べてください。六航路のはずです。あとで調べたらいいから、あと事務段階のほうでよく調べて——こういうような質問をすると言ってあるのですから、ちゃんと調べてくださいよ。  それで、これはいかがなものでありますか。四国あたりではいま三方から大橋がかけられようとする動きがございます。これは既定の事実になるでしょうから、そうなると、四国では今度就航が当然だめになると、業者並びにそれに働いている人たちは、これはもう海上運送法に取り入れて救済の対象にしてもらいたいという運動がいまあるやに聞いておりますが、この件についてはどのようにお考えですか。
  193. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 架橋等によりまして航路がだめになってしまうということは、いままでもそういう例がございましたので、これにつきましては、たとえば、いまおっしゃいましたように海上運送法でそういう場合補償をしろというような声も確かに前から出ております。これはいろいろ法律論がございまして、たとえば免許した航路というのは憲法でいうと財産権になるかどうかということ、あるいはまた新しい架橋を設置した設置者とかあるいは埋め立てをした者とか、そういった者が補償する義務があるかどうかという点、いろいろございまして、法律論としては非常に疑点が多いようでございます。したがいまして、いまここではっきり立法論として海上運送法の中に入れるということは、いまのところそういった法律論からいいましてきわめて困難であるというふうに存じております。しかしながら、いま御指摘のように、橋なら橋ができるまでの間こういった航路事業が公共輸送を遂行した、社会的な貢献をしていたわけでございますので、政策論といたしては、もしそういうふうに橋あるいは埋め立てができましてその航路が維持できないという場合には、何らかの補償に準じた損失を見るというような措置をそういった施設をやる者が見てやる、それが好ましいのではないかと思います。前例もいろいろございまして、たとえば農林省が干拓事業をやるとかあるいは県が道路をつくるという場合に——名前はいろいろございます、たとえば見舞い金とかあるいは補償金とかございますけれども、そういった損失の補償という意味でも実質的には資金を出したということでございますので、今後もそういった方向で、運輸省といたしましては、航路業者の立場に立って関係の向きにそういう場合の補償につきまして協力あるいは支援の立場をとっていきたい、かように存ずる次第でございます。
  194. 島本虎三

    島本分科員 これまた北海道のほうへ参りますと、四国のこういうような就航線と違って、あそこではもっと社会保障的な意味で運営されているわけです。ことに江差−奥尻航路、それから岩内−川白航路、それから小樽−利尻−礼文航路、それから羽幌−天売航路、それから増毛−雄冬航路、稚内−利尻−礼文航路とそれぞれございますけれども、この岩内−川白航路はもう北海道開発道路ができておってあそこまで行けるようになったわけです。したがって、あと若干たつと陸路を行けますから、いままで万難を排し、困難を顧みないでやっておったこの就航船の航路が当然なくなるわけです。そうなります場合には、そこに従事して長い間その開発のために挺身してまいりましたものが一片の届け出でだめになってしまいますから、そういう場合なんか考えます場合には、やはり海上運送法に取り入れる云々の問題とは別にして、何らか転用なんかも考えてやるようにしておいたらいいのではないか、大臣こういうように思うのです。これは必要がなくなったのだから、おまえの補助は打ち切りだ、やめた、これでは血も涙もないやり方でありまして、いままで開発に延身してきたこれらの人の苦労を考えます場合に、もっとあたたかくこれに対して措置してやったほうがよくはなかろうか、私どもはそう思うわけであります。陸路を行くようになったらバスが通るでありましょう。そうでなければそれに見合うような交通機関というものが当然設定される、そういう場合にもいままでやってきた人にこれをやらせるなり——バスとの競合があってむずかしい状態もあってなかなか困難ではあろうと思いますが、しかし何か考えてやらなければならないのではないかと思いますが、今後開発が進み、いろいろな世の情勢が進むにつれまして、こういう離島に就航しておる船、こういうものが徐々に廃止されていくことになりますが、そのあと始末に対しては十分考えておいてやらないといけない、この点、大臣やはり十分考えてやらなければいけないと思いますが、どう思いますか。
  195. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま先生から御指摘いただきましたように、先ほど午前の委員会でも、平戸の架橋ができましてそこに就航していた航路業者の離職の問題その他の問題につきまして補償をどうするかというような御質問もいただいた次第であります。確かにごもっともなことでございます。それらにつきまして国が補償するか地方団体に出させるか、また道路運送法にあるような規定を設けるか、これを直ちに海上運送法の規定に入れるかどうかというようなことをひっくるめまして早急に十分検討いたしまして、それらの近代化のために転職を余儀なくされた者、また生業に困っておる者の救済策は十分考えていかなければならない、こう考えておる次第でありますのでさっそく検討をさせたい、こう思っております。
  196. 島本虎三

    島本分科員 大臣答弁は早くていいです。  それで、やはり船の転用を考えることと従業員自体を考えた転業方策を完全に考えて指導の完ぺきを期する、こういうふうにやっていただきたいし、そうしなければならないと思いますので、ひとつこの点万全を期してやってもらいたい、こう思います。  次に移りますけれども、今度は国鉄関係のほうです。これはどういうものですか、国鉄でいま赤字線の廃止ということをやっておりますね。きのうの本会議大臣答弁によると、やはり今後の開発を十分考えてそれにマッチするようにこれを運営しなければならないということばもあるわけであります。新しい認可という問題とそれから赤字線の廃止という問題と考え方においてズレがないかどうか、この点についてやはりこの辺しっくりしたものがないのでありまして、この点はっきりお聞かせを願いたい。
  197. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私から答弁させていただきます。  これは常に非常に御論議を呼んでおる次第でございますが、閑散線につきまして私ども考えておりますのは、大量輸送機関としての鉄道としての特性を失ったものを赤字線というわけであります。赤字線でございましても将来、需要の増加が見込まれる、地方開発のために役立つというので、当分赤字線でも続けていかなければならないというものもございます。いろいろございますが、どう見ましても、あらゆる点から見ましても鉄道としての建設の意義がない、特性がない、しかも将来においてもない、そしてまたそのほかに少量の輸送といたしましては道路その他が整備をされまして、ほかの代行機関というもので十分足を確保できるような線を赤字線と認定いたしまして、今回の場合におきましては、これにつきましては地方の御要望によりましては、五年間はその運営の赤字につきましては国と地方でもってある程度の補助をしてまいろう、こういう趣旨でございます心それから新線につきましては、この間の本会議でも私答弁を申し上げましたが、たとえば短絡をするために地方線でも輸送量が非常に伸びてくる、便利になる、あるいは将来ここは開発拠点として有望であるというような開発計画にのっとりまして、これは有望であるというような点で、やはり鉄道建設をするために大量輸送ができてくる、将来においてその必要があるというような鉄道建設の意義を認められる点を重点といたしまして新線建設をやっていきたい、こういうように思っておる次第であります。御了解願います。
  198. 島本虎三

    島本分科員 よくわかりました。建設の意義がない場合、また道路が整備されて代行機関がある場合、こういうように考えておられるようであります。  これで少し具体的な問題があるわけであります。北海道に岩内という港がございます。あの岩内には岩内線という支線がございます。これは赤字路線になり、廃止予定線になっておるように承っておりますが、これはどうなっておりますか。
  199. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの先生の御質問は現在線の岩内線。新線のほうではないわけでございますね。——この岩内線は一応三年ほど前の例の諮問委員会の八十三線に入っております。いま数字を具体的に手元に持っておりませんが、はたして鉄道としての使命を失ったかどうかということで十分いま検討中でございますし、その後道路の状況その他もだいぶ変わっておりますので、いまこういった第一次の廃止候補にあがったものにつきましては、一線一線現在もう一ぺん最近の時点における調査をやり直している最中でございます。
  200. 島本虎三

    島本分科員 これはもう以前からずっと問題になっており、数年かかって、最近結論が出たんじゃないかと思いますが、いわゆる岩内新線、この岩内新線は西海岸鉄道ともかつていわれた鉄道でありますけれども、これについては現在計画はどうなってございましょう。
  201. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま先生指摘の岩内新線は黒松内−岩内間、四十七キロという路線でございまして、これは三十二年に調査線になりました。さらに、三十九年四月に工事線に編入いたしております。ただ、これは現在まだ未着工線でございまして、公団が調査をいたしまして、そうして工事の実施計画の作成のための準備をいたしておるという段階でございます。
  202. 島本虎三

    島本分科員 国鉄本社と鉄道建設公団とでこの建設計画書、これは大体きまっているように承っておったんですが、片やそのそばに岩内まで出ている旧線が廃止線になっている。当然それが延長されるはずなのに廃止線と新線の着工線とごっちゃになっている趣がありますが、これは何でもないものですか。私どもどうも異な感じを受け、同時にこれはいろんな意味で聞かれるのであります。もうすでに岩内までいっている線は旧縁であります。それから先へ延びる線は新線であります。新線を先に延ばしたならば、いままでの旧縁と全然別個なものなのか、それならばわかります。そうでないと、一方は廃止して一方はまたつくるということは、廃止と新線とがごっちゃになってわけがわからなくなってしまう。この点はどうですか。
  203. 山口真弘

    ○山口政府委員 もとになっておりまする現在の運行しております岩内線の部分が廃止されるということになれば、その先の新線部分の線を着工すべきでないことは当然でございます。先ほど申しましたように、現在岩内線は未着工線でございまして、まだ着工いたしておりません。調査を進めておる段階でございます。いずれにいたしましても、両者の考え方というものが同じ基礎に立ったものの考え方をしなければならならぬということはおっしゃるとおりでございます。
  204. 島本虎三

    島本分科員 これはもうすでにそういうようなものは全部きまっておって、工事線に指定され、それがまだ未着工、こういうようなことだけだと思うのです。そういうようなときにまた赤字廃止線というのがあったりすると、どうもその辺のものは違うのだ、この辺はどうなんだ、こういうようなことなんですが、これは大臣としてはそこまできまっておったならば、変な誤解が生まれるようなことのないように——新設はするぞ、しかしこれは赤字廃止線だぞというと、これは何だかわけがわからなくなる。この点、大臣も認可する当事者ですから、そういうことになった場合に、こういうような点は万世憾なきを期してこれはやるべきじゃないか。だいぶ誤解されている面が多いようでありまして、これはそうでなければ早目にこれをやらせるのでなければ——ケリをつける。あるものは廃止をする、新たにまたつくるのでは、どうもわからぬのであります。この点もはっきりさしたほうがいいと思います。そうでなければ、いままでの線と違う計画であるから廃止するというならいいんですが、そういう計画のないままに廃止するというようになれば、片や新線をつくる、片や廃止する、これではさっぱりわからぬと思うのです。私もわかりません。この点、大臣は最近国鉄国鉄と焦点に立つことばかり多いのですが、こういうようなところに対しても十分配慮しておいたほうがよかろう、こう思います。雪の降らない日本海沿いのいいところで、これは未着工であります。新線として考えられておるようでありますが、この点を十分考えたほうがよかろう、こういうように私は思うわけなんであります。この点、大臣はどう考えましょうか。
  205. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまの新線といわゆる撤去線の問題におきまして、始終先般から御指摘をいただきまして、私、率直に申しまして、まことに恐縮に思っておる次第でございます。これを早く調整することが、これは私の責任であります。これを必ず調整をいたしまして、国民に誤解を与えないように、せっかく貴重な国民の税金を使ってやる仕事でありますので、むだのないようにやりたい。いま御指摘の問題につきましても、私どもの考えといたしましては、先ほど申しましたように、国鉄が国の大動脈として国民の足としての重要性、ことに今日一番の問題でございます国土開発、過疎過密の解消という点にも非常に重点を置かなければいかぬという問題がございまして、これをつなぐことによりまして、りっぱにこれは地方開発の利益になる、そうしてそれをつなぐことによりまして国鉄の意義が十分認められるというようなものにつきましては、あくまでもそれらを尊重さしていきたいというような気持ちで検討してまいりたい、こういうように思っておる次第であります。
  206. 島本虎三

    島本分科員 次に新幹線の騒音公害その他の公害についてちょっと伺っておきたい、こういうように思います。  まず山陽新幹線が通りいろいろと話題を投げかけているようであります。いままたそれに並行して青函トンネル等も掘られ、それも大いに今後の一つの話題になるだろう、こう思うわけであります。青函トンネルはいつでき、東北新幹線がこれから延びていく構想はどうなっておるのか。これは年次計画があるならそれを示してもらいたいし、将来どのようにお考えになっておるのか、ちょっと大綱をお知らせ願いたいと思います。
  207. 山口真弘

    ○山口政府委員 青函トンネルにつきましては、現在工事を実施中でございます。それで一応の目標といたしましては五十三年度に完成するということを目標にいま工事を進めておる段階であります。  なお、盛岡から札幌までの新幹線鉄道整備に関しまして鉄道建設審議会からこれを基本計画に早急に組み入れるべきであるという建議が提出をされております。したがいまして、将来この盛岡から札幌までの新幹線が北海道まで青函トンネルをくぐる場合には、当然現在着工しておる青函トンネルを使うということになるわけでございますので、工事に際しましては新幹線鉄道が通り得る設計とするように指示をいたしておるところでございます。
  208. 島本虎三

    島本分科員 青函トンネルはいつ完成することになりますか。
  209. 山口真弘

    ○山口政府委員 一応五十三年度を予定いたしております。
  210. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、東北新幹線青森までのものはちょうど五十三年度の終わりまで、それから札幌から北海道の入り口までも五十三年度の終わりまで、こういうようなことになると、両地区から両方一回に使えるということになるのですか、そういう発想ですか。
  211. 山口真弘

    ○山口政府委員 盛岡から札幌までの新幹線の完成年次につきましては、現在のところまだ決定をいたしておりません。したがいまして、現在東北新幹線が五十三年の時点を目標といたしまして建設いたしますが、これをどういうふうに調整するかということは、今後できるだけ早く詰めてまいらなければいかぬ問題だと考えております。
  212. 島本虎三

    島本分科員 これは基本計画ですから、当然鉄道建設審議会におはかりになるのじゃなかろうか、こう思います。やはりこれははっきりとした理念を打ち立てて、それに基づいて新幹線をつくる、その意義に沿うた行き方にしないと、おそろしいのは、またどこかのほうにつくる駅、荒舩清十郎さんではありませんが、私がつくる駅、こういうようなのがいろいろできてくるようなことがあっては困る。したがってあくまでもそういうようなことがないように、新幹線をつくるために必要な、こういうような発想をきちっとしておく必要があるんじゃないか、こういうように思うわけです。したがって、この点についてはいまからでもきちっとやっておかないとだめだ。ことに新幹線による公害、現在あるところに割り込んでいく場合には、いまの山陽新幹線のように相当これまたわれわれの手元にきてございますけれども、しかし今度の場合は年次がぐっと下がりますから、いかにやっても公害がないのだ、こういうようなことでつくってもらわないと困るのです。新幹線は延びたわ、公害はばらまいたわ、これが住民の阻止運動になったわでは困りますので、こういうような点は大局に立って計画をつくり上げていかなければならない。基本計画はこういうような意味でつくり上げなければならないと思うわけです。それでいつごろ審議会にかかることになりますか。見当はつきませんか。
  213. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道建設審議会の開催の日時につきましては、ただいまのところ確定はしておりません。ただ、昨年鉄道建設審議会の中で、三新幹線につきまして基本計画に組み入れることを措置すべきであるという建議がございました。また来年度、四十七年度の予算国鉄並びに鉄道建設公団に対しまして新幹線の調査費が計上されておりますので、来年度の工事に支障のないような形で鉄道建設審議会を開かなければいかぬというように考えております。
  214. 島本虎三

    島本分科員 その場合の基本的な考え方はどこに置きますか。
  215. 山口真弘

    ○山口政府委員 基本的な考え方といいますのは、ただいま申し上げました建議線がございますから、この三建議線につきまして、これをどう処置するかということが基本的な問題であろうかと思います。
  216. 島本虎三

    島本分科員 それだけが基本的な問題じゃなかろうと思います。これを延ばしていった場合にはどういうふうな観点に立って延ばすのか。おそくゆっくり行ってもいいから、各重要都市を全部回っていく、こういう産業立地的な観点もあるでしょう。それから早く行ってそこから分散させるというような発想も当然あるでしょう。それから観光を十分楽しませながら行くというような発想もあるでしょう。すなわちそういうようなのがはっきりしないと、あっちへつけろ、こっちへつけろ、あっちへ曲がった、こっちへ曲がったで、新幹線にならぬ。したがってそういうものがはっきりあるかと聞いているのです。
  217. 山口真弘

    ○山口政府委員 新幹線鉄道の基本計画の策定につきましては、これは全国新幹線鉄道整備法がはっきりときめておるところでございますが、結局その新幹線鉄道というものは、国土の総合的なかつ普偏的な開発に果たす役割りということから国民経済の発展国民生活領域の拡大に資するというような観点に立って、これを建設すべきであります。しかもその路線というものは、それが全国的な幹線鉄道網を形成するという性格に立ち、そしてそれが全国の中核都市というものを有機的かつ効率的に結びつけるという姿のものをつくれということになっておりまして、基本計画におきましては各般の調査をいたします。たとえば国土開発の重点の方向だとか、それから経済的な効果だとか、それから時間、便益の効果だとか、その他各般の調査をした上で、ただいま申し上げましたような点を考慮いたしまして、基本計画を策定するということになります。  さらに具体的な問題につきましては、基本計画よりもさらに下の段階の整備計画等できめてまいる、こういうかっこうになるわけでございます。
  218. 島本虎三

    島本分科員 政治計画……。
  219. 山口真弘

    ○山口政府委員 整備計画でございます。
  220. 島本虎三

    島本分科員 政治計画であってはだめだということを言っているのです。どうも語彙からすでにおかしいような……。ですからこれは地域開発の動向を十分考えたり、高速性をはっきり生かさせたり、それからいろいろ内部の情勢もあるでしょう。そしてそれに沿って、いまの新幹線の目標に沿うようにやればいいのであって、それだけじゃだめだということです。政治的に云々じゃなくて、もっともっと考えなければならないのは、今後やる場合には東北、北海道の場合にまだ年次が次に残りますから、騒音だとかテレビの映像障害、これもすでに岡山でそんなものが起きているのです。航空機騒音や航空機によるテレビ映像障害はわかっているのです。新幹線によるところのテレビの映像障害なんてこんなのは私どもも全然予定していなかった。しかしいまそれが問題になっているのです。今後はこういうことのないように十分やるべきだ、これはマル生運動とともにこういうようなことを十分考えてやらないとだめですから、大臣はじめ総裁に強力にこのことを申し入れて、私はこれで終わります。ありがとうございました。
  221. 松浦周太郎

    松浦主査 これに島本虎三君の質疑は終わりました。  次は、小濱新次君。
  222. 小濱新次

    ○小濱分科員 私は質問に先立ちまして、現地の図面と最近とった写真を持ってまいりましたので、運輸大臣にごらんをいただきたいと思います。     〔主査退席、安宅主査代理着席〕  神奈川県真鶴港、御存じのとおり地方港湾でございます。この写真にありますように、港の命といわれる南と北の防波堤がございます。これが前面根っこの崩壊、テトラポッドの沈下、こういうことで本体が非常に危険となっているという状態でございます。早急に消波工を設置いたしまして、堤体の安定をはかる必要があるわけでございます。そこで簡単にその経緯について申し上げてみたいと思います。  この港は、昭和五年に出発をいたしまして、十一年の秋の台風で港が全部やられております。本防波堤は二十四年九月にキティー台風で崩壊をいたしまして、二十七年に完成をいたしました。さらに三十三年九月の狩好川のあの台風によって前面根っこが七十九メートル、これが崩壊いたしましたが復旧をしていただきました。さらに三十六年九月に室戸台風で同個所が大幅に決壊、そして三十七年災害復旧工事で完成をしていただいております。その後この北防波堤の隣接の二十五メートル、まん中の部分が、これが危険となったために単独事業によって十六トンテトラポッドを投入していただきました。ところが最近ダイバーよりの報告によりますと、現在も潜水夫が入っておりますが、この方々の報告によりますると、前面根っこ崩壊及びテトラポッドの沈下、ところによって五十センチから六十センチくらい。非常に水のきれいなところですから、中がはっきりと見えるわけです。     〔安宅主査代理退席、主査着席〕 こういう程度の基礎の空隙といいますか、洞窟みたいなものがあることが判明いたしました。こういう状態が過去の経緯でございます。土地の老人のとうとい体験を伺いますと、台風は約二十年ごとに定期的に来るというのですね。なるほどこう調べてみまするとそういう形になっております。特に御存じのように、相模湾は太平洋の荒海といわれる相模灘になっております。ここでまともに受ける波浪は、これは瞬間の力ですから計算のしょうがない、そういう力であるとも言われておるわけであります。しかも台風というのは必ずといっていいくらい満潮時にやってくるのですね。始末が悪いのです。これも老人の話でございます。そこで地元の住民の何よりの願いはこの防波堤の安全性ということでございます。そこでこの際、根本的な安全対策を講ずべきであると私どもは現地を視案いたしまして特に感じたわけでございますが、このことについての運輸大臣の思い切ったひとつ御決意をお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  223. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま真鶴港についての防波堤の問題につきまして御質問がございましたが、もとより地方港湾としても重要港でございますし、これが船舶また人命に及ぼす影響も非常に大きい次第でございますので、いまも御指摘ございましたが、積極的にこの整備に当たりたい、こう思っておる次第でございます。
  224. 小濱新次

    ○小濱分科員 積極的に整備に当たりたい、こういう御決意を伺ったわけですけれども、南北の防波堤の中で、北防波堤は南のほうの約七十五メートルくらい、これが非常に危険視されてきたので補強してあるわけです。添わせて補強してございます。はっきり見えます。まん中部分の三十メートルぐらいが補強してないでテトラポッドがこう押えてある、その写真にありますように。これがたたかれまして非常に沈下して散ってしまいまして、それは干潮時にとった写真ですけれども、その露出部分がこわれています。あの十六トンのテトラポッドが折れている。したがって、先ほども潜水夫の話をいたしましたけれども、これはこのままでは非常にあぶない、こういうふうにいわれております。残った北側のほうの七十五メートルくらいのところが古い昔の残った部分をささえるようにして大きな石が巻いてあるわけです。これで補強してある。この下も相当根っこが洗掘されているという実態が出てまいりました。この北防波堤が命取りになるわけです。一隻だけの問題じゃない。第二避難港としてこの相模湾、ここは約六十キロくらいありますし、ここの太平洋岸で台風時には全部この真鶴港に避難してくる。さあそうなった場合にこの北防波堤が唯一の守りなんです。これがいま言ったような危険な状態になってくずされまするというと、一隻だけの問題じゃなくして船舶は全滅していくわけです。したがって、積極的にという大臣の御答弁がございましたけれども、私はその危険性を特に感じております。私も船乗りでございました。特に十一年のあの秋の台風のときにはこの相模灘に五万三千トンの船が木の葉のように漂流いたしまして、そしてスクリューがかけられない、波が高いものですから、けつが上がってしまいます、船体が割れてしまいますので流しました、それで生死の境を越えたという、そういう体験もあって、台風時の相模灘の波浪の大きさとか激しさというものは言語に絶するわけです。そういうことですから、積極的にということですが、早急にこの問題を手をかけていただきませんと、これはもうあと何ともしょうのない結果になることをわれわれは心からおそれているわけです。これは決して身びいきじゃございません。実態を私は見てまいりました。海の中に顔を突っ込んで、海底が十五メートル、二十メートルまで見えますから、そこで見てまいりました。その結果そういう図面とその写真のような内容になってきたわけでございます。したがって、大臣の決意はわかりましたけれども、港湾局長もひとついまの大臣の御決意を体して積極的にやっていただきたいと思いますが、港湾局長の御意見も伺っておきたいと思います。
  225. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生のお話しのとおりだと私存じます。真鶴港にも長いことおつき合いしてございますのでよく知っております。  これは先生のほうがお詳しいかもしれませんけれども、もともとあそこは当時非常に風の陰になっていいところだったと思います。ただ、いまだんだん広がってまいりますと御指摘のような問題が起こってまいりますし、特に真鶴の港というのは奥行きの狭い港でごごいますので、一度波が入りますと非常に荒れるという特徴を持っておりますので、先生おっしゃいましたようにやはり波を入れちゃいかぬということは基本的な問題だと思います。  それから御指摘のように、過去を私どもも調べてみましたけれども、防波堤が壊滅的な打撃を受けたのは古い話でございますけれども、局部的にかなり荒れておるということで、現在、港湾管理者は神奈川県でございますけれども、県当局と話をいたしまして、いままでは御承知のように防波堤をつくる場合は設計波高というのを押えまして、何メートルなら何メートルの波が来たときにどうするということで設計するわけでございますけれども、どうもその設計波高の取り方が低いのじゃなかろうかという感じがいたしまして、新しく設計波高を再検討してもう少し、というよりも、従来以上に十分な波に対しても持ちこたえられる防波堤をつくりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、先生指摘のように現在確かに根固めその他で深掘れをしている場所がございますので、当面急ぎますのは、そういうところを早くふさいでおいて、大きな災害を起こさないようにまず当面手当てしなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  226. 小濱新次

    ○小濱分科員 二十日に、現地では大体十五メートルから二十メートルくらいの台風がございました。私はあの雨の中を波止場へ立って見ました。ところが静かなんですね。港はふだんと変わりないような……。ですから、南風の場合には、いま言ったように、春風には強いのです、あそこの港は。ところが北東の風になりますと、まともに受けるわけです。これが一番こわい。そういうけわで、とにかく波高の問題もありますけれども、もう実態が実に痛々しいような形になっておりますので、これは住民の方々も非常に心配しておりますから、何とか早急に手を打っていただきたい、こういうことでございますので、局長さんもひとつ積極的に御努力をお願いしたいと思います。  それからさらに、その写真にございますように、南防波堤の補強部分が亀裂ができております。洗掘されて、そして落ちてしまった部分が、大きな亀裂部分になっております。その写真のように、表面に亀裂ができておるということは、落ちてしまっている。私も海底に目を向けてみましたところが、何かテトラらしきものが十五メートルぐらい下のほうに少し散っているという形でした。はっきりしません。そういうわけで、全然補強部分がありません。これは南も北東の風が岸壁に当たって、横波をまともに受けるわけです。ですから、南の防波堤も非常に危険視されております。この南防波堤についても、これも何とか早急に手を打たなくちゃならないと思うのですけれども、北の防波堤と同じ御意見でいいかどうか。これもやはり大臣から伺っておきたいと思います。
  227. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 私のことばが足りませんでしたけれども、防波堤の設計波高その他、あるいは当面、陥没あるいは亀裂を生じたところの手当て、これは南北ともに申し上げたつもりでございまして、早急に手当てをするようにいたしますし、根本的にやるものも続けて進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  228. 小濱新次

    ○小濱分科員 これはお願いでありますが、将来取り返しのつかないような結果にならないように、ぜひひとつ一そうの御努力をお願いを申し上げたいと思います。  次に、もう一点お尋ねをしたいと思いますが、この真鶴港の公共物、公共荷揚げ場、これは大きいのが一つございます。それから第一から、第三がなくて第五までの荷揚げ場がございます。第一は魚市場で使っております。その魚市場の反対側が石材の専用置き場になっております。それから第二と第四、第五、これがやはり石材の搬入搬出に使われております。こういう状態で、この四十年間、地元の企業は、砂浜時代から、あれは昭和の初めからこの港を使って常業してきているわけです。いろいろと企業主にも会って、御意見を伺ってまいりましたけれども、ほんとうにもう公害は認めております。申しわけないと思っております、何とかしなければならない、私どもも御意思に沿うように努力をしていきたい、こういう御意見もございました。過去の経緯は別にいたしまして、この荷揚げ場の公害対策ということでございます。これもひとつ運輸大臣の御意見を伺いたいと思うのですが、騒音とじんあい、これは非常に多くて、付近住民に及ぼす影響というものはまことに大きいわけであります。問題点は、まず騒音とじんあいで、作業中のタイヤショベルですか、これは見ておりますと、力が強いのですね。そして非常にうるさい。そしてダンプトラックが、大体七トンから十一トンくらいでございますけれども、これが毎日百八十台から二百台くらいここへ搬入いたしまして、そしてあけていくわけです。それをタイヤショベルが処理をしておるわけです。これがほこりと騒音をまき起こしておるわけです。特に私が強調したいのは、この荷揚げ場で、最近ダンプによって、ダンプがバックする、ゴースターンするときに四人ひき殺しております。それから、その前が県道になっております。ここで、付近に小学校がございますけれども、学童を二人か三人ひき殺しております。まことに痛ましい事故が最近あったわけです。こういう状態でございまして、特に申し上げたいことは、水産物第二製品加工業というのですか、アジ等の干ものをつくっております。これが港にずっと干してあるわけです。これにまた与える影響というものは大きくなっております。それから魚市場がこの石材置き場の作業場のまん中にあるわけです。これがまた被害をこうむっております。聞くところによりますと、毎日三回ぐらい魚市場は開かれておったようですが、最近は一回しか開いていない。こういう状態のようでございます。その企業主もたいへん申しわけないというので、年じゅう無休でやっておった作業を、最近は日曜も月のうちに二回ぐらい休むようにいたしました。それから始業と終業時間も定めました。組合は、この規制を厳守していこうということで、お互いに話し合いで努力をしております。こういうことでございます。  次に、この港には常に百隻からの大小の船舶が停泊をしております。避難時にはこれが一ぱいになるわけです。そういうわけで、特に南と北に船揚げ場があるのです。これが聞くところによると日本一だそうであります。よくできたそうです。これも運輸省の四十二年から五年間の計画で非常に力を入れていただいて、まず湾内は見事に整備された。これは心から感謝をしておる、こういうことの話もございました。ただ公共的有効利用という問題ですね、この港をどう利用していこうか、こういうことで、その一番目玉になるその地域に十一隻の石材運搬船が出入りをしておる。作業をやっておりまして、係留をしておるわけです。ですから、これがまた及ぼす影響というものは町民の五分の二ぐらいの人のひんしゅくを買っておる、こういう状態になっております。この問題について、私はどうしてもその写真をよく見ていただきたい。そして提示した図面にあるように、南防波堤の南側、ここに新設埠頭の建設にどうしてもならざるを得ないであろう、こう思っておるわけです。先ほど局長さんからもお話がございましたように、県にというお話でありますけれども、県でもいろいろと気がねもしておるようですよ。運輸省にえらいお世話になって、これ以上御無理を言うこともどうかという、そういう気がねもあるようです。だからそんなことを言っておっては、この湾口の整備ができません。どうしても観光地として、そして交通事故もなく、そして公共物の有効利用という点からも、この石材の搬入搬出は、これはやはり所を変えてやるべきであると私どもは判断をしたわけでございます。したがって、この石材埠頭といいますか、新設埠頭建設についてどのような御計画をお持ちになっておられますか。これはもうすぐにやれというわけにはいきません。テトラポッドの問題とは違います。したがいまして、将来計画についてどういう御意見をお持ちになっておられるのか、運輸大臣からお答えをいただきたいと思います。
  229. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 私がかわって説明申し上げます。県のほうからいろいろと計画案は見せていただいております。御承知のように、港湾法は港湾管理者がつくった計画を国が援助するというたてまえでございますので、やはり地元の方々の意見がまとまったところで始めたいというふうに考えてございますが、いま先生おっしゃいましたように石材埠頭、それから漁船が混在するということは、港湾の機能上もよろしくない。やはりここは動かすべきだろうということは基本的に考えております。  それから、なお防波堤のお話もございましたのでありますが、ここは非常に波が荒い。そういう意味から考えますと、むしろ将来の問題につきましては石材埠頭を新しく建設する場合も、やはりそれを遮蔽できるだけの防波堤なりなんなりというものはまずつくらなければならぬだろうということで、先ほどもちょっと触れましたけれども、設計波高その他も十分とりまして、防波堤の方向あるいは延ばし方、そういうものとからみ合って、石材埠頭の形をどうするとかどこにとるということを、港湾のサイドから考えなければならぬと思います。  それからなお、先生おっしゃいましたように、石材あるいは砕石が非常に昔からよくここから出る港でございますので、場所が変わればそれを運搬する方法なりなんなりというものも検討していただかなければならないと考えておりますが、先生指摘のように昔はたいしたことなくて済んだものが、いまは非常な問題を起こしているという事実でございますので、やはりこれもなるべく早く計画をまとめまして、できるものからどんどん進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  230. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま港湾局長から御答弁をいたさせましたごとく、やはり魚市場、漁港と申しますか、それと石材のほうと同じ場所でやるということは非常にそこに無理があると思う次第でございまして、将来の問題としてはやはり分離をいたしまして、そうして両方面が立っていくようにいたしていかなければいかぬ。しかし、具体的の問題になりますると、そうすると石材のバースをどこへつくるか、運ぶ埠頭をどこにつくるか、というのが一番の問題、これはどうしてもやはり地元の問題でございます。地元の港湾管理者がやはりその点で地元の方々の意見を十分調整をされて、そして計画を立てていただく、それに対しまして私ども国といたしましてもできるだけの援助をするということが、やはり筋道じゃないかと思う次第でございまして、いまお話がございましたが、県庁で遠慮しているということは、御心配ないと思う次第でございます。これはできることは何でも私のほうでやっていきまして、せっかくの観光地でもありますし、それから魚介の集散地でもございますし、また石材港でもありますから、地元繁栄のために私たちもできるだけの援助をいたしたいと思っておる次第でございます。せっかく御指導いただきまして、りっぱな案ができるようにいたしたいと思っておる次第でございます。
  231. 小濱新次

    ○小濱分科員 最後に申し上げたいのですが、そこにあるいろいろな資料は、これはごらんのように県でも積極的に調査もし、資料もつくり上げておるわけです。先ほど申し上げましたような事情もあって、それで私はあえてこちらで御質問しているわけでございますから、したがって交通緩和の問題についても、その新しい埠頭ができるというと、その先に県道がつながっておるわけです。そちらへ回れば交通渋滞の問題も緩和される。それから交通事故がなくなる、全く全体が緩和されていく、それから公共物の有効利用の点からも、観光業の問題からも、避難港としてのそういう役目の上からも、すべてが円満解決になっていく。ただ、問題は、ここに相当の予算が投入されなければできないことですから、したがって県からも積極的にまたお願いに来るだろうと思いますが、そのときにはひとつ十分きょうの御意見を参照されまして、りっぱな不安のない安全港になりますように特に御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。たいへんありがとうございます。
  232. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて小濱新次君の質疑は終了いたしました。  次は中川嘉美君。
  233. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 時間がたいへん限られておりますので、ひとつ重点的に要点を、しかも誠意ある答弁をいただきたいと思います。  上野の京成駅拡張に伴う工事推進の件についてまず伺いたいと思いますが、成田国際空港の建設に伴いまして、京成が上野に外国の旅客等を輸送する計画がございます。この件は運輸省当局もすでに建設にかかる免許を与えておられる、このように聞いておりますが、本件に関する工事許可は東京都の建設局で与えるということになっておりますが、先般来新聞で報道されておりましたように、政府、環境庁では上野の自然を破壊するということで反対の意見があるというようにも私は聞いております。ところが、現地においてわが党が調査しあるいは都で調査したところによりますと、環境が破壊されるものとは考えられない、こういうような結論を得ておられるようなんですが、さらに上野の現地に関連のある約二百本内外の樹木、こういった樹木は京成が他に移植をして、そうして完成後に責任をもって緑を保存するという確約もとれておる、こういうふうにも私は聞いておるわけですが、まずこの辺の現状について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  234. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在の京成の上野駅でございますが、これは昭和八年に地下に建設をされまして今日に至っておるものでございますが、非常に狭隘でございまして、四両の二線、それから六両の一線、合計三線の使用しかできません。能力としては十四両の発着能力しかないのであります。しかもホーム、コンコースが非常に狭いということであります。これが新空港が開通いたしまして空港までの直通ということが行なわれますと大量の旅客が予想されるということでございますので、どうしても拡張しなければならぬという必要性が生じてございます。  そこでただいまの計画といたしましては、十両編成の発着ができるようなことにする、そして四線を設けるということにいたしまして、能力といたしましても先ほど申しました、現在十四両の能力を四十両の能力にこれを大きくするということに考えております。なお、駅の構造でございますが、地下二階を駅といたしまして、地下一階には駐車場を予定して、駅前広場の機能をもあわせ持たせるという考え方で計画をいたしております。  なお、上野の駅の上部でございますが、これは上野公園でございます。したがって、この工事に伴いまして、当然自然環境への破壊というものが予想されるわけでございますが、この点につきましては、先ほど先生からも御指摘がございましたように、樹木二戸六十本くらいを損傷することになります。これを当然移植をいたしまして、そうして完成後さらに植えかえをするということにいたしております。  なお、この地区は都市公園法の適用区域でございます。したがいまして、都市公園法に基づく東京都の占用許可が要るわけでございます。その点につきましては、現在東京都で審査中でございます。運輸省のほうといたしましては、地方鉄道法の工事方法の変更という手続がございまして、これは現在調査中でございます。い、ずれにいたしましても、そういう諸般の問題を解決いたしました上で工事に着手するというかっこうになっております。
  235. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いずれにいたしましても、最近のニュースでは、環境庁のほうも、長官も、いわゆる環境をそこなわないということであればというようなニュアンスの発言をなさっておられるようですし、それから具体的には上野駅周辺の商店街の方々ですね、その方々は、上野発展のためにもぜひとも推進をしてもらいたいんだという非常に強い要望がありますし、このことに関連した請願等が台東区においてはすでに採択をされているというのが実情でありますけれども、都の建設局においても、ただいまの緑化問題ですね、この対策については十分注意を払って、環境整備については格段の努力を払う、このように言っておるわけであります。どうかひとつ、この点について運輸省と環境庁といいますか、この辺の意見の食い違いのないように、ぜひとも政府の統一見解というものをまとめていただいて、この工事の強力な推進をはかっていただきたい、このように思うわけでありますが、所管当局、すなわち都の建設局ですね、この調査はすでにそのように終わっておりますし、先ほど申し上げたように、環境整備についても調査済みであるという点に関して、一歩一歩ですけれども、事態が進んでいるように思います。ぜひともきょうは運輸大臣に対しまして、このことについて伺うとともに、強い要望を申し上げたいということで私はきょうここへ立たしていただいたわけですが、このことに関して運輸大臣のひとつ意欲的な御答弁をここでいただきたいと思います。
  236. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問の御趣旨のとおりだと思っている次第でございます。もとより環境保全、これの必要なことは当然なことでございますが、環境庁とも意見の食い違いは私はないと思っている次第でございます。先般の閣議のときにおきましても、もしそういうことがあればと、こういうような前提でございます。ただいま事務当局でそれぞれやらしておりますが、そういうようなあれもない。むしろ将来上野公園をいかに美化し、そうして都民の公園としてやるかということについて、東京都でもいろいろな計画を持って、その計画にのっとっての、今日いろいろの土地の一時借用の問題も片づけてまいりたい、こういうふうに聞いている次第でございます。これはただいま御指摘のようなことで早急に解決をさしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございますが、具体的にはやはり東京都の計画に基づくのが至当だと思っている次第でございますので、その判断を待っている次第でございます。
  237. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いずれにしましても鉄道輸送である以上、多分に公共性というものを持つものである。京成そのものの一企業のためにどうなるこうなるということでない。いわゆる非常に公共性のある問題、そしてまた国際的見地から見ましても、私はそれ以上の公共性に富むものじゃないかと思います。どうかひとつ、ただいまの運輸大臣の御答弁で私も非常に、いわば意を強くしておるわけですが、どうか東京都のそういう最終的な許可に見合った運輸省としての絶大なる御協力をひとつ要望したいと思います。  次に、都内各所で国鉄のいわゆる拡張工事、さらには路線の延長計画、また建設等が行なわれておりますが、このことに関連して、工事現場に携わる担当者の方ですね、責任者といったほうがいいかもしれません。それと地元の住民の間に、しばしばこの工事に関連したトラブルが聞かれるわけです。すなわち工事に伴う地盤沈下とか、あるいは井戸水の断水、上下水道の断水等、場合によれば騒音公害、そういったものが原因となりまして、都や区にひんぱんに請願とか陳情がなされておるのが実情であります。そういうわけで、まず担当運輸当局として、このようなトラブルがないように行政指導というものを徹底していただきたい、このように思いますが、この点に関してどのようなお考えを持っておられるか。
  238. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 新しい一つ計画をつくりましてそれを実行いたします場合におきまして、やはり現状の変化が起こりますので、その点についてはいろいろ、ことに現場に居住なさる方には御迷惑をかけることが非常にあると思う次第でございます。私も実は先年、やはり地下鉄の工事に伴いまして、そのそばにあった家が非常にひん曲がっちゃって、それで騒音と両方で非常に難渋した実例をよく知っておりました。それがために営団にもだいぶ私も話をしたこともございます。そういうような事態が相当に多いのじゃないかと思う次第でございますが、全体といたしまして、どうしてもそういったような工事が必要だというときには、先生指摘がございましたが、ほんとうに現場の者がきめのこまかい、御迷惑をなるべく少なくするという配置、受ける被害者と申しますか、影響を受ける方の身になりまして、こういう点はこういうふうにしたいというできるだけの配慮が、これからの工事施工者としては一番必要であろうと思う次第でございます。私も責任者といたしまして十分そういうほうを指導してまいりまして、できるだけ影響を受ける皆さま方の御苦痛をやわらげるような方法をとるように指示してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  239. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 たとえば国鉄の総武線の東京駅への導入建設工事、これに伴う沿線の被害補償ということがいまちょっと問題になっているようです。すなわち家屋の地盤沈下による実害であるとか、あるいは既設の井戸水が断水した等のこういった補償の問題ですね。こういったことについて、運輸当局ではこのことをすでに聞いておられますかどうかという問題ですが、この点はどうでしょうか。
  240. 山口真弘

    ○山口政府委員 総武線の地下線等につきまする各種の家屋の傾斜、沈下あるいは建物の被害というようなものにつきましては、こまかくは聞いておりませんが、ごく概略を伺っておりまして、それにつきまして、十分に現地の実情というものにつきまして、きめこまかい措置をとるように申しておるところでございます。
  241. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 確かにこれは、たいへん失礼な言い方かもしれませんが、いまの質問に対して、かりにたまたま調査を進めていらっしゃらなかった場合にはいまのような答弁も可能だと思うんですね。大体は聞いております、まあこまかくはやっておりません、こういうことになるわけで、どこのどういうところにどういう実害が出ているかというふうに突っ込んでいけは——そのつもりは私はここではございません。要するに、まだならぜひ調査をしてもらいたい、こういうことです。  それから、工事に伴って今後とも家屋に損害を与えたり、あるいは上下水道が断水したときに、言うまでもなく十分な補償をしてあげなければならない、このように思うわけですが、まあこまかいことはここでは申し上げませんが、十分な補償をすべきであという私どものほうの見解に対して、ひとつ誠意ある答弁をお聞きしたいと思います。
  242. 山口真弘

    ○山口政府委員 工事によりまして生じまする損害につきましては、工事を行なっておりまする国鉄がこれを補償すべきことは当然でございまして、御指摘のとおり十分な補償をなすべきものと考えます。
  243. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 それでは次に移りますが、都市交通審議会が答申したところの首都圏高速鉄道、いわゆる地下鉄ですね。これが東京都の場合に、昭和六十年をもって完成するというふうに聞いておりますが、現在の東京都の交通事情から考えますと、都電の撤去に伴って、都内を走る車、これが二百二十万台とも聞いておる。このために都民の足が著しく奪われるということも事実でありまして、これを解消するためにはどうしても地下鉄の完成にまつ以外にはないわけであります。特に都心部である中央区ですね。これはどまん中になりますが、中央区に関係のあるものは、八号線であるとか十号線、あるいは十一号、十二号、これらがあるわけですけれども、これら中央区を通過する地下鉄路線は当然一日も早く実現していかなければならない、このように考えます。運輸大臣としましても、このような申請に対して早急に答申に沿った実現をしていただきたいと私は思うわけですが、ひとつこの地下鉄の計画に対する大胆の意欲的な御答弁をひとついただきたい、このように思います。
  244. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般首都圏につきまして、都市交通審議会の御答申をいただいた次第でございます。大体におきましていまの現有路線の三倍の距離と承知している次第でございます御承知のとおり、道路輸送というものは限界がございまして、大量輸送はとてもいまの道路、ことに東京のごときところでは、幾ら道路を拡張いたしましても、それでもってまかない切れるものではございません。どうしても地下鉄工事、高速鉄道にたよるほかにはないと思っている次第でございますので、私はその点は積極的に進めてまいりたい。また御承知のとおり地下鉄工事につきましては、それがための建設費の約半分を国と地方団体で持つということになっておりますが、それらの予算措置も十分にひとつ積極的に取り組みまして、そして甲急にそれらの施策を進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  245. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 八号線とそれから十二号線に関係すると思いますが、中央区の月島、あちらの方面の方々は、タクシーは高いし、そう毎日毎日タクシーに乗るわけにいかない。あるいはまたバスもなかなか思うように来ないということで、これはずいぶん前から私どもに地域の方々からも要請があるわけですけれども、昭和六十年ということになりますと、ずいぶん先の話なので、いろいろ困難な事情もあろうかとは思いますけれども、この点もっと早く実現するように、ひとつ運輸当局としてもまた大胆御自身も早期実現方御尽力を願いたい、このように思うわけです。  これに関連しまして、この都内における地下鉄計画に関する資料なんですが、この資料はあとでいただけますかどうですか。もしいただけるんであれば、この現段階ではこういうことになっておるというような資料の提出についてお伺いします。
  246. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在建設中のものあるいは計画中のもの等に関する資料でございますが、提出させていただきたいと思います。
  247. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 地下鉄につきましても、やはりさっき国鉄路線で伺ったような補償問題というものが当然起こり得ると思いますし、先ほどの御答弁で、私はこのことについても運輸省の考え方というものは当然同じだと思います。それとともにいまの補償の問題につきましては十分な補償をこのことについてもぜひお考えいただきたい。  それと同時に、国として、用地取得の金額をやはりここで大幅に見込むべきじゃないだろうか。これが少ないといろいろな問題が出てくるわけですね。少なくとも住民が納得するような額は当然考慮されなければならないと思っております。この用地取得の金額の大幅な増額、これについてはどうでしょか。今後のことについてひとつ。
  248. 山口真弘

    ○山口政府委員 地下鉄路線でございますが、これは都心部から周辺部に至るというものが大部分でございます。その他一部は都心の比較的周辺部を環状的に運行するものがございますが、大部分は都心から周辺部に至るものでございます。それで、都心部の場合におきましては、これは道路の下その他を使うという場合が非常に多いわけでございまして、なるべく民家、民地の下を使うということは少なくしてまいりたい、このように考えております。周辺部に行きますと、必ずしもそうもいきません。これはむしろ一般の民地等を買収いたしまして、そして建設をするということに相なるわけでございますが、いずれにいたしましても、用地の買収につきましては、地元の方々の十分な御理解、御納得を得なければできないことでございますので、その点は十分に予算も計上いたしまして、そして事態を処理いたしてまいりたいと思います。
  249. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 それでは、先ほどちょっと私聞き落としたことが一つありますが、営団建設か、都単独の建設かという問題なんですが、これはやはり関係当局と十分調査、打ち合わせをしていただきたい。地下鉄に関するこういったことに対する考え方はどうであるか、またこういったことに関する資料ですね、これまたあれば、ひとつ提出をしていただきたいと思うのです。この点どうでしょう。
  250. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在建設中の線でございますが、先ほど先生指摘がございました八号線につきましては、現在帝都高速度交通営団が建設いたしております。なおこれは先ほどお話がございました六十年ではなくて五十年までに完成をしたいということで現在作業を進めております。  それから十二号線でございますが、これはまだ申請がございません。今後事業者が計画を立てまして、そして申請をしてまいるということでございます。  なお、現在建設いたしておりまする路線につきましての事業者の割り振りと申しますか、それにつきましては資料を提出さしていただきます。
  251. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 時間も十分ありませんので、次へ進んでまいります。  別な観点でもう一つ伺いたいのですが、東京都の交通がたいへんふくそうしておる、都民の足が奪われているということは前にも述べたわけですが、都電の撤去に伴ってバスの利用が非常にふえてきたということも事実であります。  そこで運輸当局に伺いたいことは、バスの専用レーンですね、もうバスがつっかえちゃってどうにもならぬということなんですが、このバスの専用レーンの実現を考えられてはどうかということなんです。これにはいろんな問題があると思います。しかしながら地下鉄の建設に伴って都民の足を確保する意味からも、こういったことにも真剣取り組んでいただければと思うわけですが、バスの専用レーンについてどのようなお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
  252. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 東京都の、ことに大都市交通でございますが、東京都の交通につきまして、実はバスの専用レーンにつきまして、私、運輸大臣に就任いたしました当初から、これをどうしてもやらなくちゃいかぬ、そしてまたやっておるところはふやせということを強く主張して今日までまいっておる次第であります。その主張はいまだに変ってない次第であります。先般も私のほうの自動車局長とそれから警察庁の交通局長とも再三会合をさせまして、私ども列席をいたしまして、それらの問題につきましてもできるだけ早く結論を出すように慫慂した次第でございますが、御承知のとおり、ただいまでは往復六車線、片道三車線なら十分できるけれども、それ以外のところは非常にむずかしいというような問題もございます。またバスの路線におきましても、バスの通行度数が非常に少ないようなところもございます。そういうのを勘案いたしましても、ひとつできるだけ多くいたしまして、バスの運行をよくする。先般私はタクシーの値上げのときの条件といたしまして、大衆の足としてバスの確保ということをやはり強く打ち出しました。それらを見合わせまして、片一方タクシーはできるだけ選択的なものにしたいというような運政審の答申を方針といたしましてやっておる次第でございますので、できるだけのことをしたい。先般またそういったような東京都における交通会議でも、専用レーンを二倍にするというような考えが出たようでございます。まことにけっこうなことだと私は思っている次第でございますので、私のほうといたしましてもますますそのほうを進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  253. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 大臣の就任時のこの件に関する所信をひとつぜひとも実現していただきたい。お願いします。  それから、次の問いになりますが、三月十五日、岡山までの新幹線も開通して、関西と首都圏を結ぶ交通網というものが、交通網と同時に九州方面へ向かってもいわゆる所要時間の短縮がなし得たということ、これはまことにけっこうなことだと思います。一方東北新幹線の計画と相まって青函トンネルが工事中である。こういうことになりますと、東北、北海道へ向かっての所要時間の短縮を目ざすことにもなるわけで、これまた私どもも大いに賛成の意を持っておるものですが、ここで先ほどの上野駅にまたちょっと話が戻るみたいですが、さっさの話とは違うので……。いわゆる東北方面を一手に引き受ける上野駅の拡張、これが現在のままではあまりにもお粗末きわまるわけです。運輸大臣としてこの上野駅の改革をぜひとも行なっていただきたい、私はこのように思います。新宿とか東京駅は非常に発展しておるのに、東北に関係する上野駅だけはどうも昔から一向に姿を変えない、こういうことがいえると思います。そういった意味でも新宿とか東京駅のように民衆駅にするおつもりはないかどうか、この点に関して上野駅の大改革という御構想をひとつ大臣から承りたいと思います。
  254. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御提案、私も大賛成でございまして、私も上野駅をしょっちゅう利用しているものでございますが、これについては国鉄当局で相当に考えているようでございますから、そちらから御答弁させたいと思います。
  255. 磯崎叡

    磯崎説明員 上野につきましては、御承知のとおり現在約七十億くらいかけて線路の整備をやっておりまして、二階にプラットホームをつくりまして、ああいうふうにいたしまして、わかりにくい上野駅をまず線路の整備をしてプラットホームから直すということで、これはもう大体七分どおり工事が終わりまして、あとはいま先生のおっしゃいましたように、東京の北の玄関としての上野をできれば町の方々の御協力を得まして民衆駅と申しますか、国鉄側と協力した駅をつくりたいというふうに思っております。ただ、あそこは残念ながら私どもの土地が全然ないのでございます。駅前広場もほとんど都有地でございまして、国鉄のいまの駅舎のあるところとあと線路の上しかないものでございますから、土地がいまのままでは少し狭いのじゃないか。あるいは線路の上につくるということになりますと非常に金がかかりますので、そういったことにつきましていろいろ地元の方々と今後御相談いたしまして、上野が北の玄関として関東一円の中心になるようにいたしたいと思います。
  256. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 私どもも現地を見まして、なるほど土地の問題がいろいろ考えられるわけなんです。したがって、特に始発駅の大改革の構想というものはやはり地下とそれから地上のほうに、立体化というのですか、こういうことも当然考えていかなきゃならないと思います。こういったことを近い将来の計画に織り込んでぜひ鋭意御検討いただきたいと思います。また、現段階においてこういったことの資料でもあればぜひひとつ提出していただきたいと思います。  あと一、二問ございます。それでは大体時間も来たようなので最後にお伺いしますが、成田新空港が完成したときのために日本橋箱崎町に送迎用のターミナル、いわゆる箱崎エアターミナルを建設中である。これに伴って駐車場の建設も聞いておりますけれども、地元住民からはできれば民間にもぜひこれを開放してもらえないか。これは建設省の関係にもなるかと思うのですが、地元の方々がこういったターミナルの民間に対する開放ということを要望されておるわけで、はたしてそういったことのためにこれの開放が可能であるかどうか、ひとつ住民の意思というものを十分尊重した御答弁をいただきたいと思います。
  257. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  箱崎町に予定されております駐車場は、いわゆるシティエアターミナルといいます自動車ターミナルの付帯事業として行なわれるものでございます。それは先生のおっしゃいましたように建設省と私ども運輸省の共管でございますが、これは届け出事業になっておりまして、その運用方針につきましては東京都の首都整備局長に対して建設省の都市局長から回答が出ております。  それによりますとただいま先生のおっしゃいましたように、「特定の利用者を一般の利用者に優先させて利用させないこと。」、「特定の利用者にあらかじめ特定の場所の指定をして専用の車庫として利用させるような供用をさせないこと。」ということで、広く一般の人に利用させるというようなことを、一般的な方針としてもうすでに示達してございますが、これに基づいて運用をされるということでございますので、その辺につきましては十分地元の方の御要望に沿い得ると考えております。
  258. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 それではその件につきましてぜひともそのような方向に持っていっていただくように、現実にでき上がったときに実はそうでなかったのだというようなことのないようにくれぐれもお願いしたいと思います。  最後にお伺いしたいと思うのですが、首都圏の交通網を確立するという意味から東京にモノレール建設をぜひ実現していただきたいわけですが、すでに日本モノレール協会ではこれらの構想について種々計画を進めておられるようですけれども、運輸当局として環状モノレールであるとか前にも述べましたエアターミナル等に接続をするようなモノレールを建設するということが私はぜひとも望ましいと思います。当然いろいろな計画は進めていらっしゃると思います。羽田と浜松町を結ぶモノレールが完成して新しい交通機関として非常にクローズアップしてきたことは羽田線で証明済みでございます。したがって、モノレール計画についての構想を御説明いただきたいと思うのですが、十分全貌を詳しくというわけにはいかないと思いますが、その分についてはまた資料があれば提供していただきたいと思いますが、モノレールの建設について大体どういう構想を持っておられるか、このことを最後に伺いたいと思います。
  259. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在モノレールは全国各地にございますが、主要な交通機関としての大きな役割りを果たしておりますのは羽田のモノレール、それから大船からの湘南モノレール、この二つでありまして、あとは非常に短いものが大部分であります。  それでモノレールの将来でございますが、私ども基本的には、やはり輸送力等からいきますと地下鉄あるいは在来型の高架鉄道というほうがはるかに輸送力が大きいと考えておりまして、非常に大きな輸送力を必要とする場合には地下鉄とか高架鉄道によらざるを得ないだろうというふうに考えております。しかしながらモノレールの長所も非常にあるわけでありまして、地下鉄あるいは高架鉄道のような大きな輸送力を必要としないようなものはモノレールも大いに適用していくということになろうかと思います。  それでどういうところにそれが適当かということになりますと、一つ先生指摘のような環状の路線でございますが、これは放射線状の路線と比べまして輸送量がはるかに小さいわけでございまして、こういったようなものがモノレールによってきめこまかにサービスができるのではないかというようなことが考えられます。あるいは周辺部に行きまして、周辺部の輸送を担当するというようなことも考えられるわけでございます。現在東京都におきましてモノレールの具体的な計画はまだございません。ございませんが、基本的にはそういう考え方でモノレールは進めてまいらなければならぬかと思います。最近モノレールの建設を促進すべきではないかという声が非常に高くなっております。
  260. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 では終わります。  四つの資料をお顧いをいたします。  御答弁の中で非常に希望の持てる御答弁をいただけたと思いますので、大臣の意欲的な取り組みを最後にお願いいたしまして質問を終わります。
  261. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて中川嘉美君の質疑は終了いたしました。  次回は明二十三旧午前十時より開会し、建設省所管及び運輸省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会