○
松本(忠)
分科員 博学の
大臣は十分御
承知のことと思うのでありますけれ
ども、たいへん古い話でおそれ入りますが、私、子供のころに、明治四十三年の大洪水の話を祖父から聞いたことがあります。東京の下町が泥水で埋まってしまったという大被害の話でございますが、このことがございましてから、荒川の水を処理するための荒川放水路が設けられた。
〔
細田主査代理退席、
主査着席〕
東京都北区岩渕町に岩渕水門が設けられまして、増水時におきますところの流水の調整をはかることになった、このように聞いております。
私の調査によりますと、大正五年にこの岩渕水門は着工しまして、大正十三年に完成したということでございますが、もうすでに五十年の歳月を
経過しておりまして、非常に老朽化し、たいへん亀裂が入っているわけでございます。この岩渕水門は、春先になりますと北区の区民のいこいの場所になります。小公園もありまして、桜の花も咲き、行楽の場所とされております。私も何回か行ったことがございますが、実はきょうこの質問をいたしますにつきまして、けさ方、午前八時ごろ現場へ行って、その
状態を見てまいったわけでございます。と申しますのは、私がかつてこの岩渕水門を、二、三年前でございますが、見ましたときに、だいぶん亀裂ができておりました。心配をいたしておりましたが、その後手当てをされているのかどうか、修復されているかどうかということをこの目で確認をしてまいったわけでございます。
大臣も御
承知のことかと思いますけれ
ども、この岩渕水門は、
昭和三十六年に水門のとびらの巻き上げ装置を改善いたしまして、さらに三十六年にはとびらの開閉が遠隔操作できるように改良されて、非常によくなってはいるわけでございますけれ
ども、御
承知のように、この付近一帯がいわゆる浦和水脈の地下水くみ上げによりまして不等沈下を起こしているわけであります。現在ございます岩渕水門の対岸に熊野神社というのがございます。この神社の前のところでこの沈下の測定をいたしましたところ、年間に百六十七ミリ沈下するという記録をとっているわけでございます。この不等沈下によるものと思いますけれ
ども、岩渕水門の基礎のところで大きく縦に裂けておるわけでございます。亀裂の幅は三十センチから四十センチぐらいに及んでいるわけでございますが、しろうとの私が見ましても危険きわまりない。専門家の方々の御意見によりますと危険性はないという話でございますけれ
ども、私
どもが見ますとどうも非常に危険だと思うわけです。けさも見てまいりましたけれ
ども、亀裂の個所に上から鉄板でふたをしてございます。外から見える部分は木片でカバーされている。また外側のほう、要するに水に接するほうの側はゴムでカバーがしてございます。こういうこそくな
状態のまま放置されている、この現状を私確認して見てまいったわけでございます。
要するに、水門の中央部の両橋げた、橋げたと申しますか、東京側と埼玉側の水門の基礎になっているところでしょうか、そこが大きく割れているわけですね。特に東京側のほうが亀裂がひどいのです。ちょうど水門の上が前は人が通れましたけれ
ども、いまは危険であるので通っておりません。要するに、東京側の道路の亀裂の上部に幅約一メートルの鉄板がかぶせてあるわけでございます。上流側のほうの水門の上、これが五十センチ、下のほうの水に接しているほうが二十五センチぐらい亀裂しております。東京のほうの
下流側はどうかといいますと、上部が五十センチ、下部が三十センチぐらいの亀裂、一方の埼玉県の側のほうですと、道路の上のほうは幅三十センチぐらい亀裂がありまして、そこへ六十センチぐらいの鉄板がかけてあるわけですね。上流のほうの側が上下ともに十五センチぐらい、
下流のほうも同じく十五センチぐらいの亀裂です。埼玉側のほうが東京側よりも亀裂が少ない。こういうふうに言えるわけでございます。
それに加えまして、水門の上はずっと石畳になっているわけでございますけれ
ども、先ほ
ども申し上げましたように、車両の通行は危険だということで、いまは歩行者のみ、こういうことになっているわけであります。車両を通さないということも、
建設省のほうでも危険を
考えての上の処置だろうと思うわけでございます。かつて、この付近に水門自治会というのがございますが、そこで毎年水門祭りというのをやっていたわけです。これも危険を予想されたのか、
昭和三十九年から祭りをやめてもらいたいというふうなお話がございまして、それ以後水門祭りも中止されて今日に及んでいるわけでございます。
大臣が
所管されておるところの
建設省の河川局の荒川
下流工事事務所でも十分このことは御
承知のことと思うわけでございますけれ
ども、非常に危険でございますので、私
どもとしましてもこのことをたびたび指摘しております。特に北区の区議会でも三十九年九月にわが公明党の原田という議員がこのことについて区長に注意を促しております。都民の生命財産を守るためにもこの補修を一刻も早くやれ、このことを強く
建設大臣に
要望しろということをやっておるわけでございます。その結果といたしまして、北区長から
建設大臣のほうにも水門の修復についての申し入れがあったわけでございますけれ
ども、私、見ますのに、一向にどうも補修されたような模様が見えないわけでございます。
御
承知のように、この水門が決壊をいたしますと、東京の下町は大洪水になるおそれがございます。最近荒川の護岸はかさ上げ工事を行なっておりますけれ
ども、新荒川大橋の
下流、特に東京側はまだ完成もしておりませんし、けさも見てきましたけれ
ども、朝早くから一生懸命工事をやっておりました。したがいまして、大量の降雨等がありました場合には、またさらに上げ潮どきなどになりますと、危険が一そう多くなるのではなかろうか。この水門も、先ほ
ども申し上げましたように五十年の歳月をけみしておりますし、老朽化しておりますので、一日も早くこの水門を取りかえ、新しいものにするという抜本的な解決策を
考えなければならないと私は思うわけでございますが、都民の生命財産を守るためにもぜひとも至急対策を
検討していただきたい。この点を特に
大臣に強く
要望する次第でございます。