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阿部(昭)
分科員 私は
大臣にこの問題を特に申し上げましたのは、いま収用委員会で争われておるのです。この全体の第二期工業用水六十万トン給水事業からいえば、パイプがずっと布設をされてまいりまして、ほんのわずかの二十坪ぐらいのところの一人の地主が問題を提起しておって事がまとまらぬのです。なぜまとまらぬかということになりますと、この水を使う
企業が、重金属類は水で大量に薄めて
濃度基準にはひっかからないようにしておるが、絶対量としては大量の
汚染の
原因になるような有害なものを鹿島の海にどんどん出しておる。したがってこの
公害をきちっとしなければ私の土地の中をこのパイプは通すわけにいかぬといって立ち上がったのです。しかも奇怪なことは、最初任意で、土地収用以前の段階でのいろんな積み重ねが行なわれた。表向きは二万何千円かの、二十坪くらいの土地にパイプを埋め込む使用権の問題であります。とこがろだんだん話が
経過しておる間に五十万円になり百万円になり最後に一千万円になり、話としては一千五百万円にまでなったのです。現実にここに通帳がありますけれ
ども、一千万円という現金がちゃんと持っていかれたのです。二十坪の土地にパイプを埋め込む土地使用権、これの代償として一千万円の現金が持っていかれておるのです。その人は、この一千万円受け取って黙っていようかどうかと思って非常に悩んだそうであります。この一千万円をたたき返して、はね返して、私の土地にこのパイプを通すためには、この工業用水を使用する
企業が
公害に対して万全なる
対策を講じなければ私は協力できないといって、いま収用委員会で争われておるのですね。
そこで、私が申し上げたいのは、
企業というのはずっと詰まっていくと、全部の事業がもう九九・何%までいっておって、ほんのわずかの区間のパイプが通らぬというだけで、実際上機能はしない。だから一千万でもいいのだと思うのであります。しかし問題は、この
公害対策や、
有害物質を出さないという問題に対して、いまの二十坪の土地に対するパイプ埋め込みに一千万の現金を持っていくという気になるならば
——この人は一千万はねつけたのであります、そして
公害対策をしっかりせい、茨城の県に対しても、それまでの
経過の中で、
公害対策はどうするのか、水をむだづかいして薄めて、
濃度基準にはひっかからぬが絶対量はものすごいものを出しておるじゃないかと言ったけれ
ども、茨城の県当局もしっかりした説明やなにかを一切しないで、そしてとうとう土地収用委員会ということになった。この現状を考えまして、茨城県のこの工業用水事業の起業者が出しております事業
認定申請を見ますと、
公害の一切出ない理想的な開発をやる、農工両全で周辺の農業とうまくマッチをした理想的な開発をやるのだ、その一環としての工業用水ですから、一人の地主が協力をしないので事業
認定申請だ、こういうことになっておる。しかし現実にはどんどん
公害が起こっておるのであります。農業と工業はまだ過渡的な段階のいろいろな問題はあると思いますけれ
ども、いろいろな両立できない矛盾というものが起こっておる。私は、農工両全のほうはまずさておくにしても、
公害を出さない理想的な開発をやる、その一環としての工業用水、だから土地収用事業
認定してもらいたいといってきた、その場合には
環境庁が
——大臣、
制度としてもっとその前のことをやらなければいかぬと言っておるのですが、ものごとは全部
法律行為でぎりぎりの段階にいって決着をつけるというのは、これは確かに
大臣がおっしゃいますように一番よくない
方法、問題はその以前の段階でもっとベターなあるいはベストな結論を出す、
解決をする、これが一番いいんだと思う。そうはおっしゃいましても、なかなか現代社会はお互いがその以前の段階で善意でベターやベストな結論だけを得られるということにならぬことが多いわけであります。そういう
意味でいいますと私は当然に、この土地収用の
制度の問題は建設省
所管の問題でありますが、環境問題に関する限りは、これはいま日本の国民的な大きな課題であり、そういう
意味では、
公害など一切出さぬ開発をやるのだ、その一環としての工業用水、だから事業
認定、こうきておるような場合は、建設
大臣は当然法的な責任において
環境庁長官に対して協議を持たねばならぬ、こういう
制度をしっかりしておくことが必要なんじゃないだろうか、そういう時期なんじゃないだろうか。
企業はどんらんだということを痛感いたします。ずっとパイプがいって二十坪だけあいてないということになると、表向き出るのは二万何千円の
補償金なんですが、だんだん積み上げて千円札一貫日持ってくるがどうだといって、実際はお札じゃなくて小切手で持っていって通帳に突っ込んだようでありますが、一千万持っていっておる。しかもそれに起業者たる県が一枚かんでおる。こういうことになりますと、やはり
公害の問題に対して、
地域住民が今日の政治の基本的なあり方に対してもなかなか信用せぬようになってくるということを私はおそれるのであります。そういう
意味で、私が冒頭申し上げましたように、土地収用の
法律の中で、特に環境問題に関する限りは、これは
汚染物質を出そうと出すまいと公益性、公共性を云々しないということにならぬと思う、やはり
公害やそういうものをたれ流しするようなものは公共性、公益性に反する、他の産業をいろいろ
地域に定着をさせ、その
地域の産業的な力を強めるという
意味では確かに公共性、公益性を持つわけでありますが、もう一面、
公害をだんだんたれ流していくという行為は公共性、公益性に合致しない行為、このことに対しては、国民の基本的な権利であります私有権、この私権を押えようというこの土地収用、この場合には、
公害の問題に関する限りは当然に建設
大臣は
環境庁長官と協議をしなければならぬ、こういうぐあいに
法律上はっきりさせていかなければならぬ時期なんじゃないか。
大臣の、お互いがその以前にもっとよりベターな、ということはわかりますが、
法律的にはやはり
一つの根拠というものは、お互い善意やなにかだけで
解決できない面が現代には非常に多いわけでありますから、しっかりしておかなければならぬ時期なんじゃないか、こういう
意味でお尋ねしておるわけであります。