○沖本
分科員 そこで、大臣の御在席の間によくお聞きになっておいていただきたいと思うことがありますので、その点だけを先に拾って申し上げたいわけです。
これは先ほど厚生省のときにも申し上げたのですが、
解放同盟から「
解放新聞」というのが出ております。その中に書いてある記事なんですが、「部落差別はない、ねてる子を起すようなことをするな、というひとびとは、今日かなりすくなくなったようだが、まだまだ根強く残っている。部落問題についてあるていどの認識と同情をもっている場合でも、そんなに深刻な問題であるとは
考えていないひとびとが沢山いる。しかし、ここに特集した数々の差別の事実は、部落差別の深刻さと悲惨さをひとびとに問いかけその再認識を要求している。むかしむかし、こんな差別がありました、というのではない。人間衛星が飛び国の経済が
世界第二位、外貨保有百五〇億ドル突破という現在のわれわれのまわりにおこって、……部落
解放を国民的課題として、全国民に正しくうけとめていただくために、なまなましい事実を特集した。」こういうことなんですが、この
解放同盟の運動、「われわれの運動は、まさに部落差別からの完全
解放を目的としているのであって、いくら部落の環境がよくなり、きれいな浴場や住宅ができても、それだけでは差別意識は自動的になくなるわけではない。生活、経済めんでのたたかいは、同時に差別意識とのたたかいとがむすびあわされなければならない。このためには、部落差別の本質をしっかりつかむこと、そして、部落民がおかれている
社会的立場を正しく自覚することがたいせつである。差別とはなにか、どんな差別が現実にあるのか、それはどうしてうまれてくるのか、こうしたことをしんけんに
考えることがひつようである。具体的な差別の事実を、みんなで
考えほりさげて、おたがいの理論的意識水準をひきあげること、そして差別にたいする理性的な怒りをもやすこと、このために
努力しよう。」こういうふうな記事があるわけです。
したがいまして、各省ともの問題になるわけですけれ
ども、まず、部落の本質というものを、担当なさる方々が握っていただかなければならない。ただ単に同和対策特別措置法という法律があって、その法律のために予算を執行しなければならない、あるいは予算面に盛られたものをいろいろと具体的に消化していかなければならないということだけにとどまらないわけですね。予算を組む方々あるいはこの問題についていろいろ
関係していらっしゃる方々が、いま言ったような問題の本質というものを握ってからでないと問題は解決していかないということになるわけです。
そういうことで、たとえて言いますと、部落のある地域で
一つの講堂ができた、あるいは体育館ができた、これは同和対策特別措置法に従ってその地域にできた。ところが、それと隣接するところの他の地域では体育館がうまくいっていない、講堂もできていないというようなことになると、直ちにその隣のほうから、あそこだけどうしてよくなるんだ、こういうふうな逆の面からの差別が起きてき出す。なぜあいつらだけ恵まれるんだ、おれたちは恵まれない、私たちの子供はよくならないじゃないか、こういう問題もいま盛んに起きてきておるわけです。そして、そのよくなったほうをとらえてまた下へ引きずり落とすようないろんな言動があるわけですね。その辺にも、いろいろ問題が出てきておるわけです。
ですから、
解放同盟の方々も言っておりますし、私たちも当然ではないかと
考えられるわけですけれ
ども、たとえば、りっぱな体育館なり講堂ができた、その周辺がそれよりうんと劣っておるということであれば、その周辺のレベルを上げていくということによって、全国的な
教育面なら
教育面の低下していを問題あるいは非常に生活水準の低い
社会、こういうところに対していろいろな施策が講じられていかなければ、まず物の面からの同和問題が解決してこない、こういうことになるわけです。しかし、その地方自治体としては、部落
解放同盟からのいろんな要求が激しいからというようなことから、そこだけをよくしていく、その地域だけはぽっこり浮き上がってよくなっていく。また、そういうことをしてみて、はたからいろいろな批判を起こさせるというような問題も出てくるわけです。そして、ことさらに担当の地方自治体のお役人方は、結局あれはしようがないんですからとか、あれはもう要求がきついからああいうふうにしたんですとか、おっしゃるとおりですとか、こういうふうに言って、結局また差別をかき立てるような内容が非常に多くなってきておる、こういうことになるわけです。
ですから、一面は、その同和
教育という問題を
一つのラインにしていただいて、そこにいろんなライン以下の
人たちを浮き上がらせていく。たとえば、
教育問題なら
教育問題にしても、結局非常に学力の低い、水準の低い子供をレベルアップしていかなければならない。ところが、実際にやっているところは、上を押えて下のラインにみんな持ってきてレベルを低くしていっている。そういうことによって、かえってまた担当する
教師の方に変な
考え方が出てきたり、あるいは周囲の子供を持つ父兄の方々の中から、あそこの
学校へ入れるのは困るんだとかなんとかというような問題もいろいろ出てきておるわけです。
そういう問題は、やはりこの差別問題を解決するという観点に立って、それで同和地域の方々あるいは隣接する周辺の方々、そういう問題をとらえていろいろな
考えを持つ方々が、むしろそういうところから差別感をなくしていくような方向に変わっていってもらわなければ、これはとうてい解決する問題ではない、こういうふうに
考えるわけです。非常にむずかしいような問題を大臣に提起しておるわけですけれ
ども、やはりそういうところに立っていただかなければならないわけなんです。
そこで、こういう問題を今後大臣として、解決するにはどういう点に力を入れてお取り組みになっていかれるか。特別措置法もありますし、それとからみながら、この差別に対する
教育方針というものについて、今後大臣はどういうお
考えでいらっしゃるか、それをお伺いしたいと思います。