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1972-03-18 第68回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十七年三月十四日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 三月十七日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       荒木萬壽夫君    大村 襄治君       瀬戸山三男君    二階堂 進君       西村 直己君    森田重次郎君       辻原 弘市君    安井 吉典君       沖本 泰幸君    和田 春生君 三月十七日  森田重次郎君が委員長指名で、主査選任さ れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十七年三月十八日(土曜日)     午前十時十分開議  出席分科員    主査 森田重次郎君       荒木萬壽夫君    大村 襄治君       辻原 弘市君    山本 政弘君       和田 春生君    兼務 川崎 秀二君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         皇室経済主管  並木 四郎君  分科員外出席者         衆議院事務総長 知野 虎雄君         衆議院庶務部長 三樹 秀夫君         参議院事務総長 宮坂 完孝君         参議院管理部長 前川  清君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   池田 英雄君         裁判官訴追委員         会事務局長   大迫 藤造君         国立国会図書館         長       久保田義磨君         国立国会図書館         副館長     斎藤  毅君         国立国会図書館         総務部長    鈴木平八郎君         大蔵省主計局主         計官      海原 公輝君     ――――――――――――― 分科員異動 三月十八日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     山本 政弘君   沖本 泰幸君     桑名 義治君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     広瀬 秀吉君   桑名 義治君     松本 忠助君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     木原  実君   松本 忠助君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   木原  実君     安井 吉典君 同日  第二分科員川崎秀二君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算皇室費及び国会  所管      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    森田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  不肖私が本分科会主査となりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会、裁判所、内閣、総理府、法務省及び文部省並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては、防衛庁及び経済企画庁を除く所管につきまして審査を行なうことになっております。お手元に配付してあります日程に従って審査を進めたいと思います。  昭和四十七年度一般会計予算中、皇室費を議題とし、政府から説明を求めます。瓜生宮内庁次長
  3. 瓜生順良

    瓜生政府委員 昭和四十七年度における皇室費歳出予算について、その概要説明いたします。  皇室費昭和四十七年度における歳出予算要求額は、二十一億四千三百十七万六千円でありまして、これを前年度予算額二十億七千五百四十九万三千円に比較いたしますと、六千七百六十八万三千円の増加となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億一千二百万円、宮廷に必要な経費十九億六千六百十七万六千円、皇族に必要な経費六千五百万円であります。  次に、その概要説明いたしますと、内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、一千七百万円の増加となっております。  これは、内廷費定額九千五百万円を、本年度において、一億一千二百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費は、内廷諸費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費二億三千二百二十八万七千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十七億三千三百八十八万九千円でありまして、前年度に比較して、三千八百八十万三千円の増加となっております。  なお、皇室用財産維持管理等に必要な経費には、皇族殿邸建設に必要な経費三億七千百十四万九千円が計上されております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法節六条の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、一千百八十八万円の増加となっております。  これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額八百三十万円を、本年度において、一千万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして、昭和四十七年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 森田重次郎

    森田主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 森田重次郎

    森田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻原弘市君。
  6. 辻原弘市

    辻原分科員 ただいま御説明のありました宮内庁関係予算に関連をいたしまして、少しく日ごろ私が思っておりますことについてお尋ねと要望をいたしておきたいと思います。  いま御説明のありましたそれぞれの予算の中で、皇室用財産維持管理等に必要な経費というのが本年度十七億強計上せられております。いろいろ宮内庁から資料をいただきましたうころ、現在、皇室用財産であって、一般参観の用に供しておる財産が、大きく分けまして六カ所になっているようであります。一つ皇居、いま一つ京都御所、それから桂離宮修学院離宮、正倉院、これは建物ではありませんが雅楽、こういうことに相なっているようであります。  私がここで特に申し上げることは、これらの皇室用財産は、いずれも国民が非常に関心の深いものであり、しかも、多くは、国民の長い伝承、伝統による、いわば皇室財産ではもちろんありますけれども、同時にまた、国民文化的遺産とも言えるものであります。したがって、現在、これらの財産一般参観の用ということで公開せられておりますることは、私はまことにけっこうだと考えておるのでありますが、問題は、はたして現在のようなやり方、現在の状態で、十分国民の側の満足、要求を満たしておるかということ必ずしもそうではありませんので、私はあえて申し上げるのであります。  いただきました資料によりますると、昭和四十四年、四十五年、四十六年、これは四十五年が万博の年でありましたので、必ずしもその数は平常の傾向をあらわしておるとはちょっと言えないかもしれませんが、おおむね年を追うて参観希望がふえてきております。特に、一、二をあげて見ますと、桂離宮は、昭和四十四年においては約四万九千人、それが四十五年では五万七千人、四十六年では六万四千人、それから修学院離宮が、四十四年が五万四千人、四十五年が五万九千人、四十六年が六万六千人、こういうふうに逐年増加をしている傾向であります。ところが、これはかなり現在のいろいろの参観に対する条件、こういうものの上に立って参観が行なわれた数でありまして、そこに各方面からわれわれに対して寄せられている声は、非常にこれらの参観希望は多いが、条件がきびしい、また、非常に回数が少ない、また、非常に言いにくいことでありまするが、事務的関係その他での、何といいまするか、扱いは必ずしも親切には行なわれていない、こういうこと等により、実際の希望相当数これは押えられた数である、相当押えられて、しかも、これだけの数に伸びてきているわけであります。  そういうことを考えますると、前段申し上げましたように、国民的所産であり、国民の非常に関心の深いものであるとするならば、私は、皇室におかれても、宮内庁においても、もう少しくふう改善があってしかるべきだ、こう考えているのでありまするが、こまかいことは、私は若干あとで申し上げまするが、私の見解というのは、いま申し上げましたように、できる限り国民公開をされる、また、国民が名階層参観希望していることにこたえられる措置が宮内庁としても必要ではなかろうか、こういうことを考えておりまするので、大筋として、次長から、そういう件についての御所見をひとつ承りたいと思います。
  7. 瓜生順良

    瓜生政府委員 いまほど仰せの宮内庁所管文化財的な意義を持っておる施設につきましての、一般の方に参観をしていただく関係のことでございまするが、これにつきましての表は、先ほど先生もごらんになってお話しになっていましたとおりでございますが、われわれといたしましては、一般の方に、差しつかえない範囲においてはなるべく参観していただけるように取り計らいたいとは思っておりまするが、しかし、ものによりましては、ある程度制限はやむを得ないと思うのであります。  たとえば、よく一番問題になりますのは、桂離宮とか、修学院離宮でありますが、これを参観したいという希望の方が相当たくさんございます。しかしながら、無制限にお入れするわけにもいきません。特に桂離宮修学院離宮とも三百年くらい前につくられまして、歴史的に意義のあるところであり、その庭園の美というものは、国際的にも評価されているりっぱなものでございますが、その庭園の美をあまり荒廃させてもいけない。あまりたくさんの方が入られますと、それが損壊する部分も出まして、いたんでいくというような点もあるものですから、そこで一応数を制限しまして、桂離宮修学院離宮とも一日二百人程度にしまして、午前二回、午後二回というふうに、五十人ずつくらいを御案内をしているわけであります。  この関係につきましては、御希望の方が相当多い。私たちのほうへも、いろいろ知り合いの方からも、こういうので行きたいというので、何とかできないかというようなことを言われましても、どうもできない場合が相当多いものですから、非常に頭が痛いわけです。といって、それをまたあまり範囲を広げますと、先ほど申しましたように、この庭園の美を維持するための点でそこなう点がある。なお、人によりますと、いたむだけではありませんで、たくさんの人が雑踏してあそこへ入りますと、庭園の美を鑑賞することもできないというようなことで、現在でも少し多いのじゃないかということを言う人もときによってありますが、しかしそうむずかしいことも言えないので、現在の程度はやはり維持して参観をお願いするというふうにしなければならないと思っております。  以前は桂離宮修学院離宮とも一日たしか百五十人くらいだったのをその後少しふやして二百人にしたものですから、一年間の人員もふえてきているわけであります。そういう点で、一般の方にも見ていただくということの実現考えながらも、先ほど申し述べましたような制限考えなくてはいけないので、十分のことができない点はわれわれも心を痛めるわけでありますが、これもやむを得ないことと思います。  ただ、事務を取り扱う者がどうも親切味がないというような御注意の点、この点は十分に注意していかなければならないと思います。こういうことを申してはなんですが、最近も、そういうことで、ちょっと人事異動で、よりそういう面の円滑にはかれる人にその係長をかえたり、前の人が間違っておったというのではありませんけれども、やはりより円滑に皆さんに接せられる人に人をかえたりもしたり、くふうはいたしておるつもりでありますが、しかし、なお不十分な点があるかもしれませんが、一そうそういう点は親切にお扱いするように、われわれといたしましても、その係員を一そう指導したいと思っております。
  8. 辻原弘市

    辻原分科員 イギリスの皇室国民という例を申し上げるまでもなく、これから皇室国民というこの問題は、よほど宮内庁でそれぞれの職務をやられる方々がお考えをいただいておかないと、皇室国民との関係というものが今後において現在より以上に密接になるかどうかということについては、率直に申していまの若い世代層から考えると、疑問がございます。そういう点についてより一そうのくふう改善を加えられるということが、今日の憲法にいわれる天皇象徴という、この天皇を中心とされた皇室国民関係改善していく上において非常に必要なことではないか。  小さいことのようではありますけれども、皇室財産だから非常にきびしい制限のもとにしか参観ができないのだという印象が国民の側に植えつけられたり、また、宮内庁のお役人だから、非常に一般官庁と違ってサービス的なものに欠けるのだ、こういうことの感じ国民の側に受け取られるということは、いま申し上げました、これからやっていかなければならぬ皇室国民との改善の中に一滴の水をさしていることだと私は考えるのです。そういう意味で、事は小さいようであるけれども、できるだけこういうことについて国民の側の希望にこたえるという態度がなければいかぬ。私は率直に言って、失礼ながらそう感じておりまするし、そう申し上げたいと思うのです。  たとえば、いまお話にありました、確かに貴重な文化財でありますから、無制限にということはお困りになる場合もあるでしょうし、また、心なき参観者が、せっかくの文化財に対してそれほどの注意を払わぬというケースもあるであろうと思います、大ぜいの中には。しかしながら、いま制限を受けて入っておる人々というのは、かなり何といいまするか、そういうことを心得、厳選をされた上で入っているのですから、問題はない。これをかりに現在の倍を入れてみたって、そう大きな問題は、他のいまやっておる寺院だとか、あるいは神社、仏閣、これを考えてみたときに、そんなに心配はないのじゃないか。私も、無制限にしろということは申し上げておりません。可能な限りそういう改善を加えてほしい。  そういう意味で、私は一、二のことを申し上げてみますると、まず最近新宮殿ができましてから、皇居参観についても非常に希望がふえております。しかし、これとてもなかなか一カ月や二カ月先に申し込んでも容易にその時期が来ないというのが実情でありましょうし、私も申し上げました、いままた次長もお答えになった桂離宮修学院のごときは、これもなかなか一カ月、二カ月ではらちがあかぬという、こういう実情になっております。とするならばもう少し、せめて申し込み者の全部とはいいませんけれども、大半を満たすようなことがいまの段階でできないのか、ぎりぎりなのか、こう考えてみると、必ずしもそうじゃなさそうであります。  たとえば日曜、祝日、土曜日の午後――年末、年始は、これは別でありましょう。しかし、日曜、祝日、土曜というのは一体どういう日かというと、これは、一般の人は、休日ということで行楽に出かける日であります。レクリエーションに出かける日であります。自分の趣味を生かす日であります。そうだとするならば、平日一生懸命に働いている人が、たとえばサラリーマンが、それじゃ平日の日にちょいと桂離宮を拝観させていただこうか――こういうことは団体か、あるいは特別の休暇でしか行けないはずなんです。むしろ行けるのは、そういう休日、祝日であろう。となれば、もちろんその職におられる方々は、これは同様に日曜、祭日、休日というのはお休みになりたいだろうけれども、それは管理者側のくふうでありましょう。適当に人事配置をやれば――これは他のいろいろな、これと同じような形で一般の用に供している場合も、日曜に多くは開放され、むしろ日曜の便益をはかっているのであります。そういうことを考えましたときに、私は、もう少しくふうがあってしかるべきだと思うのであります。それを除いて十分満たされておるならば問題はない。現在満たされていないのですから、それを満たすようなくふうは、休日に勤務された方は適当に代替をお与えになるとか、あるいはその日に勤務する管理者というものを特別にお考えになるとか、くふうをこらされれば解決のつく問題だと私は思う。どうも私の常識では、これだけの希望があるのに、なぜ日曜日はだめです、祭日もだめです、土曜日の午後もだめなんだ――私らだって今日、土曜日の午後なんというのはいろいろな用務であれします。しかし、ふと、きょうは土曜日だ、少し時間がすいた、ぜひ行ってみたいなと考える。そうしていろいろな、そういう文化的なものに触れる機会が土曜、日曜は非常に多うございます。しかし、せっかくのものが、そういうふうな取り扱いをきめられているものですから、なかなか満たされない。私は、これはくふうされれば解決のつく問題だ、こう思うのであります。  それから、文化財によりましていろいろな基準が多少異なってくることはやむを得ないと思います。たとえば、皇居の場合に小学四年生以下は認めておられない。これも適当であるかどうか、あるいはこまかく議論をすればいろいろあるでしょうけれども、一般的に、常識上言って、ちょっと無理ではないかという場合もあるでしょう。ところが、桂離宮とか修学院成年者でなければいかぬのだ、こういうふうにやられておる。私は、いま、こういう文化財的な遺産に触れさせての民族的な情操教育というものは、特に今日の教育上必要じゃないかと考えている一人なんですが、そういう意味からいって、どうして成年者でなければこの文化的遺産が見せられないのか、まことにその辺のお考えはかた苦しいじゃないか、私はそう思います。少なくとも高等学校の生徒くらいは十分見る価値があるのです。私は、そういうことが残念なんです。なぜ成年者でなければそれが見れないのか、こういう点も、私はいただいた宮内庁資料によって申し上げておるのですが、たくさんあります。時間もございませんから、こまかい点は申し上げませんけれども、いま申し上げましただけでも、まことに窮屈かつかた苦しい考え方に立っておられる。  それから、ついでに申し上げましょう。いまの事務的な関係で、私はそれぞれおやりになっておる方のお顔は拝見したことはございません。私は、ときどきそういうことの希望が、教育者関係なり、あるいはそれぞれの識者がひとつぜひ見たいのだというようなことで、お取り次ぎする場合がございます。電話でいたしますが、率直に申して、決してあたたいお取り扱いをいただいているとは考えられない。その人それぞれの性格もありますから、私は、あえてそういうことをこの席上で責めるのじゃありません。責めるのじゃありませんが、要するに、これも窓口なんですから、できるだけ皆さんの心情にこたえる――お断わりする場合も断わり方があるはずです。いま次長は、そういうことの人事配置ということをおっしゃいましたので、その上でくふうをせられるおつもりなんでしょうが、ひとつそれらの点については、やはり一般公開をしてその参観を募っている限りにおいては、窓口サービスなんですから、そういうサービスを十分に考えられた上で、来られた方々がよい感情で帰られた、申し込んで、その扱いは、きょうは断わられたけれども、まことにもっともな理由だったと納得のいくような、そういう断わり方があるはずなんです。私の申し上げるのは、そういうことです。これらについて、人事配置の上で特段のくふうをする必要があると私は思います。何かお考えがありましたならば、いま一度お答え願いたいと思います。
  9. 瓜生順良

    瓜生政府委員 参観希望の方に対して、土曜の午後とか日曜日あるいは祭日等考えたらどうかという御意見でございます。その点につきましては、たびたび部内でもいろいろ討議したことがございます。その際、すぐ、いつも問題になるのは、代休をどういうふうに与えるとか、人をどういうふうに配置するとか、いろいろ勤務強化になる、定員をふやすとかいうような問題がいつも出てまいりますと、実際問題としまして定員増加がなかなかできない実情でございます。しかし、何とか考えようというのでいまやっていますのは、京都御所につきましては、修学旅行で来られる人だけです。普通じゃありません。そういう修学旅行団体については、土曜の午後とか、日曜日も参観をしていただいておるわけで、これも二、三年前からやり出してそういうふうになっているわけでございます。そういうくふうはいたしたのですが、しかし、その他の桂離宮とか修学院離宮あるいは皇居参観というのは、いま先生が申されたようなことできておりますが、なお、これについては今後も研究をすべき問題かとは思いますけれども、いますぐにちょっと結論が出にくい、定員関係とか、いろいろなそういう勤務関係の点でむずかしい点があるものですから。そういうことで、なお研究させていただきたいと思います。  それから年齢の関係でありますが、これは皇居関係では、いま申されたように小学高学年以上の人になっておりますが、桂離宮とか修学院離宮成年以上になっています。これは成年以上というふうにしましても、相当御希望も多くて御希望をかなえられない方も相当あるというので、何らかしぼる一つの方法で、これはこう言っては何ですが、戦前ですと格式もむずかしく、身分で縛っておったようであります。いまの施設は、宮中席次があるとか、あるいはどこでこういう地位をもっている人とかなんとかかんとか、そういう身分で縛ることはいまの時代では適当でありませんので、戦後はそういうことはあまりやってない、しかし、希望者が多いから何らかしぼろうということで成年以上ぐらいのところでというしぼり方をいたしております。特にあの庭園のすぐれた美をほんとうに鑑賞していただける方、ある程度の方となると、成年以上の人のほうが、そういう点ではそういう観察眼もある程度進んでおられるというような点もありましょうからというようなことでありまして、成年に達していなくとも、学生で高学年の人はどうかという点も、おっしゃられるような点もあるかと思いますけれども、これはいまのところではなかなか実現――そこまで広げますと、また一般の方のおいでになりたい方がさらにまたむずかしくなるというような点もありますので、これもいまのところはむずかしいと思っております。これも将来の研究問題にさせていただきたいと思います。  なお、窓口関係について先ほど申しましたのですけれども、これは御注意のありました点はもっともなので、皇室国民との結びつきというものを親愛の情によって深めていくということが大切なことでありまして、したがって、皇室関係する仕事をする者が一般の方に接する場合においては親切にやっていかないといかぬということは言うまでもないことでありまして、今後ともそういう面で一そう力を入れてまいりたいと思っております。
  10. 辻原弘市

    辻原分科員 次長がおっしゃられたことを、私はことばじりをとらえるわけじゃございませんが、おっしゃったように、戦前はいわゆる皇室と申しますると、それに関係するすべての者は確かに一種の身分制度によって事が行なわれておった、そういうことが長い伝統、長い慣習となって今日ある種の格式というような形に変化してやはり温存せられているのではないかという感じを受けます、私はこの問題を通じてでも。したがって、公開せられた以上、もし取り扱い者の中にそういう感覚があるならば、私は、その払拭にもつとめていただきたいと思うのです。格式が必要なこと、あるいはそういう伝統が必要なことは、私も承知をいたしております。しかし、この種問題については、今日ではいささかもそういうことを要求せられる時代ではないわけでありますから、したがって、そういうような感じがあるとするならば、どうぞそれは払拭していただきたい、こう思うのです。  一つ、こまかい点でありますが、たとえば皇居参観は何時から何時までやられておりますか。それから桂離宮修学院も大体同様だろうと思いますが、桂離宮の場合には何時から何時までおやりになっておりますか。一日二百人で四回、要するに一回五十人で四回の割りになっておられるということなんだが、何時から何時までやっておられるか。どうも非常に窮屈だ窮屈だとおっしゃっているのは、私はどうもそういう時間的なことを考えましたならば、必ずしも次長のおっしゃることに、わかりました、まことにむずかしいのですなと納得がいきがたいものですから、一日に四回、一回五十人。私は一日の時間というのはもうちょっとあるように思うのです。特に夏場になりますと、大体七時くらいまでは明るいわけですから。また、朝はもちろん役所の勤務時間というのはありまするけれども、しかしながら、実際、日の明るいうちにそれをできるだけ活用していこうという考えに立つならば、これは一日に見れる時間の範囲というのはもっと大きいと私は考えるのですが、何時から何時までやられていますか。
  11. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇居参観は一日二回にまとまって来ていただいて御案内していますが、午前の分は九時半に集まっていただいていろいろ御説明して御案内している。午後の分は午後の一時半に集まっていただいて御説明している。その間に外国人の分が一つあります。これはたしか十時だったか、ちょっと時間がはっきりしません。皇居参観関係は午前が千人以内、午後が千人以内という内規で、このほうは先生のおっしゃいましたそれほどむずかしくはないと思います。ただいっとき、たぶん皇居参観を中止していたことがあります。去年の秋からお正月にかけて治安状況が非常に悪いときがありまして、その間中止をしておったときがあるものだから、あるいは願い出てもさっぱり許可にならぬじゃないかということがあったのじゃないかと思いますが、二月からまた普通にやっておりますので、普通のまじめな団体の方であれば許可になっておる、そうむずかしいことは言っていないつもりであります。  なお、桂離宮修学院離宮関係は、午前二回、午後二回まとめて御案内していますが、たしか午前は九時半と十一時だったと思います。午後は一時半と三時だったと思います。ある程度一時間ずつ中をゆっくり見られますから、三時に入られた方は四時過ぎにまでなると思いますけれども、それからあとまた職員がある程度よごれたところを整理したりしますので、そういう時間も要るものでございますから、それで現地の話を聞きますと、これ以上回数をふやすのは無理だというふうに聞いておるわけであります。
  12. 辻原弘市

    辻原分科員 いまお聞きいたしました時間の範囲内でも、これはもちろん現在の人員なり現在の管理、あるいは参観のための人員の配置では、非常に無理が生ずると私は思います。しかし、くふうさえすれば回数をふやすことは可能ではないかと私は拝察をいたしました。もう少し積極的にくふうをこらされるならば、たとえば桂離宮の午前二回、午後二回は、時間的に考えても、午前三回、午後三回くらいのところへは可能ではないか。皇居の場合も非常に大幅に申し込みをお断わりしているという現状ならば、これとても若干のくふうが加えられてしかるべきものではないか、こう思います。  いずれにいたしましても、それに要する若干の人のくふうというものが要ってまいりましょう。しかし、いいことであれば、私は幾ら――きょうは大蔵省おるかどうか知りませんけれども、決して私は反対すまいと思います。まことにこういうことこそ国民へのサービスなんですから大いに主張される、われわれは賛成いたしますよ。けっこうだと思うのです。  それから、もう一つくふうをしてもらいたいことは、これは宮内庁のこの問題に限らず、いずれの役所もそういうことが多いのですけれども、実際国民の側に立ってみると、手続がめんどうだ。どういうふうに手続をしてどういうふうに申し込めば何時からどういうふうに見れてというようなことは、なかなかこれはよくわかっていないのです。そういうことでつい私どもが仲立ちになることが非常に多うございます。けっこうなことでありますから、われわれもできるだけそういうことのサービス国民方々にするというのは大いに歓迎すべきところでありますけれども、しかし、なかなかそれだけでは追いつきません。  そこで、たとえばこれを希望される方々は大体いままでの実績から見たらわかるのです。どういう関係のところが一番多いか、こうわかるわけです。しかるべくそういうことに対するPRというものも必要なのじゃないかと私は思うのです。そのPRというのは、さあ見にいらっしゃい、見にいらっしゃいというPRもあると同時に、たとえば桂離宮でありますと、庭園の問題については、非常に大切にしなければならぬ、こういう歴史的なものであります。したがってひとつお越しになるときにはぜひそういうことに留意してお越しいただきたい、取り扱いは何時からやっております、どこでやっております、だれがおります、そういうことのPRが非常に欠けておるように私は思います。パンフレットまでおつくりなさいということは申しませんけれども、しかし、場合によってはそういうくふうもこらされていいのではないか。これらの点についても、これらの所管の責任者の方もいらっしゃると思いますから、そういう方々がもう少し知恵を働かされて、申し込んだけれども一カ月、二カ月どうも問題にならぬ、あきらめましたよというような、そういう不満がこれ以上高まらないように、ぜひともひとつ私の申し上げました真意をよく御理解いただいて、早急にひとつくふうをお願いいたしたい。そのくふう改善のあとを見て、私はまた次の機会に御意見を申し上げることにいたします。  ちょうど時間が参りましたものですから、私の質問と要望をこれで終わりたいと思います。
  13. 森田重次郎

    森田主査 次に大村襄治君。
  14. 大村襄治

    大村分科員 先ほど次長さんが読み上げられました「皇室費歳出予算計上額説明」というのを読んでみますと、皇室費の四十七年度における歳出予算要求額が二十一億四千三百十七万六千円、前年度予算額に比べて六千七百六十八万三千円の増加となっております、と述べられております。これをちょっと計算してみますると、伸びで三・三%くらいで、一般予算の伸びに比べますと非常に低いような印象を受けたのでございます。  そこで、お伺いしたいのは、この皇室費のほかに宮内庁自身のお役所の経費があると思うのであります。皇室費宮内庁自身の費用とを加えての広い意味宮内庁経費の総額が、前年度との比較においてどういう関係になっているか、その点を承りたいのであります。
  15. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この皇室費宮内庁費と合わせた全体の経費の総額というものを出してみますと、四十七年度は四十六億三千四百万円で四十六年度が四十三億八千万円ですから五・八%の増というふうになっております。
  16. 大村襄治

    大村分科員 そういたしますと、宮内庁のお役所の経費宮内庁費でございますか、これが二十四億円強であるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  17. 瓜生順良

    瓜生政府委員 宮内庁費は二十四億九千百万となっております。
  18. 大村襄治

    大村分科員 それでわかったのでありますが、皇室費宮内庁費を合わせての宮内庁経費の総額が、いま言われましたように四十六億三千四百万円で、対前年度五・八%の伸び率である。これを大別すると、皇室費が、先ほど読み上げましたように三・三%、宮内庁自身の経費が八・一%、そういうふうになると思うのでありますが、一般会計の予算の規模が二一%伸びておるのでありまして、それに比べますると、宮内庁全体の伸びも少ないし、特に皇室費の伸びが少ないような印象を受けるのでありますが、はたしてこれで現在の皇室並びに宮内庁関係の仕事が円滑に運営されるとお考えであるかどうか、その点をあらかじめ承っておきたいと思います。
  19. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この皇室費関係のふえ方、三・三%で、ふえ方が低いという話でありますが、その理由の一番おもな点は、四十六年度にはこの下田の須崎御用邸の建設費として四億三千九百万円というのがございましたけれども、これが完成いたしましたので、落ちております。そのかわりに皇族殿邸の建設費として二億四千九百万円とか皇居施設維持費で二億六千七百万円余りを増加したりしておりまして、結局のところ少しふえておるということで、ふえ方が足らないのは、須崎の御用邸の経費が去年あったのがないということがある程度の大きな理由であります。特に皇室関係で何か新規事業がありませんと、そう経費がふえないというような点もあるのでございます。  なお、営内庁費のほうのふえ方につきましては、これは主として人件費的なものが多いのでありまして、これは一般官庁と同じようにベースアップをする、給与がふえるというような点がありまして、八・一%ふえておりますが、これは他の官庁並みでありまして、特に悪いことではないと思っております。
  20. 大村襄治

    大村分科員 少し内容について伺いたいと思います。  今回の予算、また関係の法律におきまして、内廷費及び皇族費の定額が改定されるようになっておりますが、改定の理由並びに改定の積算基礎についてお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  21. 瓜生順良

    瓜生政府委員 内廷費皇族費の現在の定額は、四十五年度にきまりまして、四十五年度、四十六年度と二年たっておるわけです。その間に、一般の物価の上昇もございます。また、人件費の関係では国家公務員のベースアップのこともございます。それに関連しての、この内廷費なり皇族費でお出しになります物件的なものの経費の増、それから人件費的なものの増というものがございますので、その率が一割以上増額をする必要があるということになったのであります。一割以上といま申しましたのは、実は昭和四十四年の暮れに皇室経済に関する懇談会というのが開かれました。これは皇室会議のメンバーとそれに総務長官が加わられて、総理が座長になって懇談会が開かれました。その際いろいろなことがございましたのですが、その際に、この内廷費皇室費についての増額をする場合の基準というのを一応意見をまとめられました。それは、今後計算して、物件費とか人件費というものを勘案して、一割以上増額しなければならないというような場合においては増額しよう、一割に達しない場合においては見送るという考え。で、四十五年度それでスタートをして、四十六年度予算の場合にはその一割の増額は、もちろん一年間に物価指数なり人件費は上がっていますけれど、もその増額必要の金額が一割に満たないということで見送ってきたわけです。ところが、二年たってみますと、その増額を必要とする金額が一割をこしてきております。そこでこのたび内廷費皇族費の定額を増額をしていただいて、御無理のかからないようにしていきたいというのが増額の理由であります。  その積算の基礎を申しますと、先ほどもちょっと申しましたが、物件費的なものには東京都の消費者物価指数のこの二年間においてふえたそのものをかけております。それから人件費的なものには、この二年間の国家公務員の給与の改善率というものをかけております。で、物価指数の関係でいきますと、ちょうどこの二年間で一四・一%上がっておるわけです。それをかけております。それから給与費の関係では、この改善率が二五・九%。ですから二五・九%をかけてそれで金額を出しまして、端数を削ったりはしておりますが、その結果、内廷費が、九千五百万円というのにそういう指数をかけますと一億一千二百万円ということになるわけであります。それから皇族費の定額も、そういう指数をかけますと、現在の定額八百三十万円がちょうど一千万円というふうになるわけでございます。
  22. 大村襄治

    大村分科員 大体考え方は明らかにされたと思うのでございますが、念のために伺います。  新しい基準によると、一年間の諸材料による値上がりの割合が一割未満の場合にはその年の改定は行なわない。つまり、前回の四十五年四月一日――現在の基礎がですね、四十五年四月一日でできておりますので二年たっておるように思うのでございますが、そうするといま述べられた今回の改定額内廷費九千五百万から一億一千二百万、また皇族費の八百三十万から一千万、それぞれ一八%というように思うのでありますが、これは一年分では足りないけれども二年ためておく――ことはばたいへん悪いのですか、ためておくと一割以上になるので改定をする、そういうふうに受け取ってよろしいのでございますか。
  23. 瓜生順良

    瓜生政府委員 一部の方で、よく、国家公務員のベースアップなんか毎年やっておるから、そんな一割になるまで待たずに毎年上げたらどうかという御意見もあったりもしておりましたけれども、しかし、一応予算のたてまえが、計算なんかする場合も、内廷費皇族費とも全体の金額の一割ぐらい予備費というのを考えたものが算定をされておりますので、その一割をこすような状況になるまではまあ増額しないで待っていただく。特に皇室においては昔から先憂後楽というようなことを言っておられまして、一般国民に先んじて憂え、楽しみをあとにする、そして質素を旨とするということを常におっしゃっておりますので、そういう精神を受けて、その一割以上増額必要な状態が生ずるまではお待ちするということを方針としてとっておるわけであります。  なお、先ほどちょっと間違った点がありましたので訂正しますと、皇室経済に関する懇談会は四十四年の暮れと言いましたが、四十三年の暮れで、ちょっと一年違ってズレがありましたから訂正さしていただきます。
  24. 大村襄治

    大村分科員 大体考えはわかったと思うのでありますが、終戦後今日までの内廷費定額につきましても、十回以上改定が行なわれていると思うのであります。現在の九千五百万なり八百三十万も、それぞれの経緯はあると思うのでありますが、それがはたして実情に合ったものであるかどうか、その辺の点にも問題はあろうかと思います。今後のほうは物価なり何なりに見合って伸ばしていくことは当然だと思うのでありますが、日本の置かれている状況も終戦後とはたいへん趣を異にしておりますし、皇室の御活動も国の内外にわたって活動の範囲を広められていると思うのでありますので、先憂後楽はたいへんけっこうだと思いますが、実際支障を来たさないように今後とも算定の合理化につとめていただきたいと思います。  そこで、関連いたしましてお尋ねいたしたいのは、今回の法律改正案の中に賜与及び譲り受けの制限額の改定が取り上げられておるようでありますが、その理由並びに積算の基礎、簡単でけっこうでございますが、お聞かせを願いたいと思います。
  25. 瓜生順良

    瓜生政府委員 憲法第八条からくることでございますが、この関係制限額については、現在のこの制限額は、天皇陛下以下内廷関係のが六百五十万円、それをやります、その他いろいろずっとありますが。これがきまりましたのは昭和三十九年度からであります。ちょうど八年たっております。その間物価指数の変動等で一般の経済情勢も変わっておりまして、いろいろ賜与される、たとえば災害者のお見舞いをされるとかそういうような金額についてもやはりある程度お上げになっていく必要があるということであります。譲り受けの関係、つまり献上なんかの関係、現在内廷ですと二百二十万になっていますけれども、ある程度これも、物価指数等が上がっていますから、この際上げたほうがいいじゃないかということで金額を増額する。他の皇族さんの場合の賜与、譲り受けの限度額についてもそういうことでお上げしようというのが考えで、経済情勢の変動に応じてこれは上げたほうがよかろうということで考えているわけであります。
  26. 大村襄治

    大村分科員 この制限額のほうは、先ほどお尋ねしました内廷費などと違いまして、八年ぶりに改定を行なう。したがって、賜与の価額の制限額も六百五十万円を九百九十万円と五割ほど引き上げられることになっておりますが、こちらのほうが幅が広いのはどういうわけか、何か特別の理由があるのかどうか、内廷費などの改定と並行して同じ時期にやることも考えられると思うのでありますが、その辺について伺いたいと思います。
  27. 瓜生順良

    瓜生政府委員 賜与、譲り受けの関係は一応の制限額、ワクをきめられておりまして、そのワク一ぱいになさっていないのが現状であります。したがって、内廷費皇族費のように、実際に御活動なり御生活になるために必要な経費を出していくのとは違うものですから、それで実情をある程度拝見していて、そのワク内でそう御無理がなければそのままにしてある。情勢を見てやはり幾らか上げないと、これは御無理だなというような時期が来たときに上げるということでありますので、内廷費皇族費のようにたびたびは上げていない。昭和三十九年に上げておりますが、たしかその前はこれもやはり十年以上据え置いてあったと思います。そういうことでございます。
  28. 大村襄治

    大村分科員 次に、皇族殿邸建設に必要な経費、これは先ほどの御説明では、「三億七千百十四万九千円が計上されております。」と述べられておりますが、この中で秩父宮及び高松宮殿邸をどのように進められる予定であるか、皇族殿邸についてお尋ねいたします。
  29. 瓜生順良

    瓜生政府委員 秩父宮の殿邸は四十六年度から建設にかかっておりまして、四十七年度予算は第二年度でございますが、四十六年度、つまりちょうどこの三月一ぱいぐらいに、この殿邸の躯体工事、つまり主体になる形の全体の工事、躯体工事ができ、それからサッシュ工事、窓とかそういうところのサッシュの工事ができ上がります。四十七年度はこの建物の仕上げ工事、いろいろ内装したり壁をきれいにしたりというような、そういう建物の仕上げ工事をし、なお機械設備をいたします。それから周辺の土木、道路をつけたり庭園を整備したりというようなことで、その経費が一億六千七百六十一万八千円が四十七年度予算にあがっているわけであります。  それから高松宮殿邸のほうは、四十六年度、今年度はあそこの、以前光輪閣がありましたが、その光輪閣のそういう建物など、既設の建物の取りこわしというようなことが主に行なわれまして、すでに取りこわしが終わり、新しい殿邸の設計をする、設計も一応できております。四十七年度はその設計に基づいて工事をいたしまして、四十七年度には躯体工事とそれからサッシュ工事、なお仕上げの一部を行なう。あと残りは四十八年度に行なうというのでございます。  これの完成の予定を申しますと、秩父官邸のほうはことしの十月一ぱいででき上がる予定になっております。高松宮邸のほうは四十八年の九月、来年の九月一ぱいででき上がる予定というふうになっております。
  30. 大村襄治

    大村分科員 先ほどの御説明によると、下田の御用邸はすでに完成したというお話でございますが、関連しまして葉山の御用邸を今後どういうふうに利用計画をお立てになっておるのか、また、常陸宮の殿邸について何か御計画があるのか、お尋ねいたします。
  31. 瓜生順良

    瓜生政府委員 葉山の御用邸につきましては、昨年の一月に放火事件がありまして御本邸が焼失をいたしました。しかし、幸い付属邸のほうが残っておりまして、そこで付属邸を中心に手入れをして、昨年も陛下も葉山のほうへお出ましもあったわけでありますが、しかし、付属邸は何ぶん手狭でありまして、本邸を復興したらどうかというような意見もございますが、これはなお慎重に検討をしようということで、特に下田の須崎の御用邸もできましたことでもありますし、御本邸の復興についてはさらに慎重に検討するということで、まだ結論は得ていないわけであります。  それから、常陸宮殿邸でありますが、あの建物は以前の東伏見さんの屋敷で相当古いのであります。関東の大震災にもゆられて少しひびが入ったとかいうような点もあり、その後修理はいたしておりますが、大きな地震が来た場合にどうだろうかなんというような懸念もちょっとあるようであります。したがって、高松宮殿邸が完成したあとにあるいは常陸宮殿邸についても建設を考えなくちゃいかぬじゃないかということが話題にはなっておりますが、しかし、これはまだ結論を得ておるわけではございません。
  32. 大村襄治

    大村分科員 今回の予算には両陛下の海外御旅行の予算が特に計上されていないようでございますが、明年度には御旅行計画はないのか。また、将来海外御旅行の計画等があればその点についてお話しを願いたいと思います。
  33. 瓜生順良

    瓜生政府委員 両陛下の海外御旅行のことは、四十七年度中にはまずないとわれわれ考えております。よくアメリカとの関係で御訪問になったらどうかとかいうような話も情報なんかで出ておりますけれども、しかしながら、これは全然まだ具体的に話を進めておるわけではございません。特にニクソン大統領の関係では、この十一月には大統領の選挙があるようでありますし、そういうような問題が済んでからあと、あるいは場合によるとまた何か相談があるかもしれませんが、いずれにしても今年はそういうようなことは無理だというふうに考えられておりますので、今年度については御旅行はまずないものとわれわれも考えております。来年以降については、これはまたそのときの情勢でさらに検討を進めて、あるいはそういうことがあるかどうかということはちょっといまのところはわかりません。
  34. 大村襄治

    大村分科員 万一年度内に海外にお出かけになるということが急にきまりました場合には、予備費で支出されるということになるわけでしょうか。昨年の欧州御旅行も、たしか予備費が支出されておるように承っておるのでありますが、その辺はどうでございますか。
  35. 瓜生順良

    瓜生政府委員 もしもそういうことがあれば予備費の支出をお願いするわけですが、昨年の御旅行の際の経費は、全体が一億九千万円ぐらいですが、そのうち既定の経費で二千万円ばかり出されて、足らない一億七千万円ばかりの金額は予備費でまかなっていただくように手続をしたわけであります。したがって、万が一今年度中にあれば、それは予備費の支出をお願いするわけですが、いまのところはまずないと思っております。
  36. 大村襄治

    大村分科員 既定が二千万円だと予備費のほうがはるかに多いんでございまして、やはり急に必要が出た場合には予備費で出さざるを得ないと思うのであります。  最期に、沖繩への行幸啓の計画について次長さんのお考えをお尋ねいたしたいと思います。五月十五日に沖繩が祖国に復帰するのでございまして、いろいろ現地におきましても計画等の話があると思うのでありますが、この点について宮内庁で現在どのようにお考えであるか、その点をお尋ねいたします。
  37. 瓜生順良

    瓜生政府委員 沖繩の関係は、この五月十五日に本土に復帰してまいりますが、復帰後適当な時期に陛下がおいでになることは、これは望ましいことだと思っておりますが、しかし、いまのところ具体的には何も話がございません。特に今回、そういうような場合においては、その県の当局とか、その行事を主催する団体などからおいでいただきたいという要請があってそれから検討するというのが普通のやり方ですが、そういう要請というものは現在のところはまだ何もないわけでございます。
  38. 大村襄治

    大村分科員 沖繩県の植樹祭の計画があるように承ったのでありますが、その点はまだ公式には聞いておられないのですか。
  39. 瓜生順良

    瓜生政府委員 沖繩で十一月に、何か特別の植樹祭――毎年のずっと県を回っての植樹祭とは別個に、復帰記念の特別の植樹祭を行ないたいという計画があるということは、情報としては聞いております。しかし、その際に両陛下にお出まし願いたいというような要請というものは、現在のところはないので、これも情報で見ていますと、なかなか地元の空気もそう簡単でないようでございますので、あるいはむずかしいのではないかというふうにわれわれも推察いたしておりますが、これは推察にすぎませんですが、いまのところは何もきまっておりません。
  40. 大村襄治

    大村分科員 ひとつ現地から要請があれば、前向きに御検討賜わりたいと思います。  終わります。
  41. 森田重次郎

    森田主査 これについて皇室費の、質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  42. 森田重次郎

    森田主査 次に、昭和四十七年度一般会計予算中、国会所管を議題といたします。  まず、衆議院関係予算説明を求めます。知野衆議院事務総長
  43. 知野虎雄

    ○知野事務総長 昭和四十七年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十七年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、百四十四億三千九百四十二万六千円でありまして、これを前年度予算額百三十六億三千百十七万三千円に比較いたしますと、八億八百二十六万三千円の増加となっております。  要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百三十一億三千七百八十八万円を計上いたしております。この経費は議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費、旅費、庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度予算額に比し、七億九百二万円の増加となっております。  そのうちおもなものは、昨年の給与改定による議員の歳費並びに議員秘書及び職員の給与の増額と立法事務費の増額に要する経費、沖繩の復帰に伴い必要な委員派遣の旅費、沖繩からの出頭に要する証人等の旅費及び外国旅費、憲政記念館の管理運営費等であります。  第二は、衆議院の施設整備に必要な経費といたしまして十二億九千四百五十五万六千円を計上いたしておりますが、このうちおもなものは、本館の委員室等の照明設備改修費四千九百七十七万円、本館昇降機の改修費二千七百二十七万九千円、傍聴人用昇降機の取設費四千二百四十二万六千円、第一議員会館の整備費五千百十二万円、九段議員宿舎の改築費三億六千九百五十一万一千円、赤坂議員宿舎等の整備費七千七百八十一万四千円、不動産購入費として国会図書館の分を含め五億五千万円等であります。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――
  44. 森田重次郎

    森田主査 次に、参議院関係予算説明を求めます。宮坂参議院事務総長
  45. 宮坂完孝

    ○宮坂参議院事務総長 昭和四十七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十七年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、八十二億四千九百二十八万四千円でありまして、これを前年度予算額七十六億八千二百七十六万六千円に比較いたしますと、五億六千六百五十二万八千円の増加と相なっております。  要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、七十八億二千四百二十八万六千円を計上いたしております。この経費は議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費、旅費、庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度予算額に比し、四億一千九百三十三万四千円の増加となっております。  そのうちおもなものは、昨年の給与改定による議員の歳費並びに議員秘書及び職員の給与の増額と立法事務費の増額に要する経費、沖繩の復帰に伴い必要な委員派遣の旅費、沖繩からの出頭に要する証人等の旅費及び国外旅費等であります。  第二は、参議院の施設整備に必要な経費といたしまして四億一千九百九十九万八千円を計上いたしておりますが、このうちおもなものは、事務局庁舎の新営費二億一千三十九万六千円、本館の委員室等の照明設備改修費四千九百七十七万円、本館昇降機の改修費二千七百二十七万九千円、傍聴人用昇降機の取設費四千二百四十二万六千円等であります。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――
  46. 森田重次郎

    森田主査 次に、国立国会図書館関係予算説明を求めます。久保田国立国会図書館長。
  47. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 昭和四十七年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十七年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、二十五億一千七百二十九万二千円でありまして、これを前年度予算額二十二億五千六百二十八万五千円と比較いたしますと、二億六千一百万七千円の増加となっております。  要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でありまして、二十三億七千八百七十六万四千円を計上いたしております。これは、職員の給与に関する経費、立法調査業務に要する経費、図書の収集及び利用に要する経費、目録・書誌等の作成刊行に要する経費、図書の製本、印刷カードの作成・頒布に要する経費、図書館間協力業務に要する経費並びに図書館業務の機械化に要する経費等でございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、一億一千一百四十七万六千円を計上いたしております。  第三は、国立国会図書館施設整備に必要な経費といたしまして、二千七百五万二千円を計上いたしております。これは、書庫内照明設備の増加、敷地境界の外柵取りつけに必要な経費であります。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――
  48. 森田重次郎

  49. 大迫藤造

    ○大迫裁判官訴追委員会参事 昭和四十七年度裁判官訴追委員関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十七年度国会所管裁判官訴追委員関係歳出予算要求額は、三千三百七十五万円でありまして、これを前年度予算額二千八百七十三万一千円に比較いたしますと、五百一万九千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうちおもなものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――
  50. 森田重次郎

  51. 池田英雄

    ○池田裁判官弾劾裁判所参事 昭和四十七年度裁判官弾劾裁判関係歳出予算について御説明申しあげます。  昭和四十七年度国会所管裁判官弾劾裁判関係歳出予算要求額は、二千九百万一千円でありまして、これを前年度予算額二千四百六十二万五千円に比較いたしますと、四百三十七万六千円の増加となっております。  この要求額は、当裁判所の裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基く裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費であります。  以上簡単でありますが、裁判官弾劾裁判歳出予算概要でございます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  52. 森田重次郎

    森田主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  53. 森田重次郎

    森田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎秀二君。
  54. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 衆議院の一番持っておる宝は速記者だと思っておるのです。これはほかにかけがえがない、むろん参議院もそうですが。この速記者の養成というものはいまどういうふうになっているか、両院でどのくらい数があるか、そういうような問題について。また給料ですね、サラリー、それから加俸みたいなものはないんですか。
  55. 知野虎雄

    ○知野事務総長 ただいま川崎先生がおっしゃられましたように、議会開設以来、先覚者の先見もございましたでしょうけれども、第一回帝国議会以来、本会議及び委員会の速記が完全に残っておりますことは、これは速記者の非常に大きい功績であろうと思います。そういう点で、衆参両院とも大正七年に速記者養成所というものをつくりまして、現在すでに五十数年の歴史を持って、日本の最高の速記者の養成をやっておるわけでございますが、現在も非常に優秀な人たちがここに集まっておりまして、二年半の特別の教育を受けた人たちが両院の速記をささえております。  この待遇につきましては、われわれも、その速記者の重要性にかんがみまして苦心しておるところでございますが、一般職員の平均給与に比べまして大体二〇%くらいは高くなってはおりますけれども、なお今後も、速記者の確保並びにその待遇の改善ということにつきましては、特段に努力をしていきたいと考えております。  なお、最後にちょっとお話がありました加俸……(川崎(秀)分科員「技術俸というんですか」と呼ぶ)そういうものは特別にはございません。
  56. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 本俸に繰り入れているわけですね。
  57. 知野虎雄

    ○知野事務総長 さようでございます。
  58. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 わかりました。  最近は地方議会も非常に速記録を中心にしての質疑なりが多いので、だんだん充実はしておるようですけれども、ところによっては、速記が誤謬を起こしたりして問題になっておるところもあるようです。各県議会、それからおもなる市会はみんなやっておると思うのですが、こういう点で、衆議院に援助を求めたり、あるいは養成所の訓練に参加するというようなことはいままでありますか。
  59. 知野虎雄

    ○知野事務総長 衆議院の速記者養成所は、毎年大体十五名ぐらいの採用をいたしまして、ここで速記をやるわけでございますが、そのうちで、衆議院に採用をいたします者は、毎年全部ではございません。その中から特に優秀な人たちが数名ずつぐらい衆議院の速記者として入ってまいりまして、その他の人は、いま先生がおっしゃられましたように、地方議会でございますとか、あるいは新聞関係等、そういうふうな意味での日本の速記界の供給源になっておるわけでございまして、特に向こうから来る人を集めて研修するということはございませんが、大体速記者養成所を卒業した人たちがそういうところに行っておる状況でございます。
  60. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それで、だんだん大量に養成していく必要もあると思うので、十五名ぐらいではたしてそういう需要をまかない得るかどうかということについて私は実情を知りませんけれども、心配をしております。  それから、やはり速記者も教師みたいなものが必要でしょうし、トレーナーみたいなものも必要なんでしょうが、そういう段階の人もあるわけですか、教えるのに。
  61. 知野虎雄

    ○知野事務総長 速記者の養成というのは、非常に高度の技術でございますものですから、大量養成ということは実際上むずかしいのであります。それで十五名ぐらい、これは速記者養成所の教官と申しますか、専門家の意見も徴しながら一応その辺を限度にしておりまして、その中から優秀な人が育っていっておりまして、それのすべてが私どものほうに入るわけじゃございません。  それから先生は、一般教養につきましては大学の教授でございますとか、一般の人を依頼しておりますが、速記技術そのものにつきましては、衆議院の速記の先輩が技術養成にもっぱら当たっております。
  62. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 速記術というものは非常にむずかしいし、技術も要るわけですが、やはりむずかしいのは日本語だろうと思うのですね、英語の速記もあるわけですけれども、中国あたりでは若い要人は中国語の速記をうまくとるらしくて、われわれいろいろ会談している記録を速記者なしでとっておるので、この間びっくりしたことがあるのです。あれはどういう技術でやっておるのか、こういうのも少し勉強する必要があるんじゃないかというようなことを感ずるのですが、ぜひ速記者に対しては待遇を充実をしていただきたいということを、この際、要望しておきます。  きょうは分科会が一斉に開かれて速記者がなかなか忙しいのですが、今度の国会ぐらい、いままではひまだった国会はないのです。これは、この四、五日、記録を調べてみると、内閣の寿命はすでに七年四カ月、戦前戦後を通じての最高記録、桂内閣は三回やって七年十一カ月というんですから、これはまあ佐藤さんが十月の十九日まで生き延びないと記録を更新することはできない。内閣の寿命は最高記録だが、残念ながら予算委員会審議の期間がこんなに長くなったのも最長記録ですね。これは今日で四十四日審議をやっているはずなんだが、実際に審議をやったのは十七日で、予算委員会委員長が私どものほうに配付した記録によっても、二月の九日から二十五日は理事会協議という、理事会何も協議してないのです。これは国会対策委員長が協議をしておったので、そういう不名誉な記録もあるし、会議録、速記録はまず最低の記録をついにつくったのです。それから、各委員会がストップしたのも最高記録、参議院の速記に至ってはあくびしているんじゃなかろうかというふうに思うので、実に驚いたから回り国会。この間オーストラリアの議員が来まして、予算委員会、バジェットコミッティーをやっておるならぜひ見たいと言って、来たら、いすがあくびしていたので、委員はどこに行ったんだというような話もあったほどでして、実に最高、最低記録をつくった国会だと思う。外では米中会談、これが最高、最低は赤軍リンチ事件。  こういう記録の中で、速記者がとにかく今まで非常に待機をされておる、議会の後半期になりましていよいよ忙しくなるときに、その待遇について十分お考えいただきたいということを申し上げておきます。  実質的な問題でいろいろお聞きしたいことがあります。  衆議院の渉外部は最近非常に充実をしてきておる。けれども、私残念なのは、ドイツ語、フランス語に訳を頼むと、外務省まで持っていっている。こんなことでは困るので、議員外交の時代ですから、各議員がフランス語、ドイツ語のできる秘書を持つわけにもいかぬし、これはどうかひとつ専門の者を持っていただきたいけれども、実情はどうか、対策はどうか。ことしはだめなら四十八年度予算ということで実施をしてもらいたいと思います。一問だけ聞きます。
  63. 知野虎雄

    ○知野事務総長 衆議院の渉外のうちで、英語につきましては一番需要が多うございますので、いま先生のおっしゃられたように、大体充実してきておると思います。フランス語につきましても、一応フランス語まではやる人がおりますが、これがさらにドイツ語、スペイン語、ロシア語というふうな特殊語学になってまいりますと、なかなか人の確保も容易ではございませんので、そういうふうな場合に、ごくわずかな人を確保することがいいのか、あるいは外務省等に依頼をしてやるのがいいのか、そういう点もありますけれども、お話しのように、フランス語、ドイツ語のほうの充実につきましては、今後検討して考えていきたいと思います。
  64. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 来年度、四十八年度予算要求しなさいよ。そして実現したほうがいいですよ。それは外務省へ持っていくとやはり三日ぐらいかかるのですな。手紙なんか訳してもらう場合に、下にいればすぐ翌日は間に合う、こういうことになりますから、スピード時代にぜひドイツ語――ドイツ語は非常に需要が多いのです。ドイツ語、スペイン語――フランス語もおられるそうだけれども、そういうことでお願いしたいと思います。  二十一日は憲政記念館の発足日であります。多年、事務当局には、尾崎記念館があったにもかかわらず、その他の憲政功労者の表彰あるいは憲政の貴重なる記録を収集する専門の機関がない、そういう意味でこの記念館の発足は意義深きものを感ずるわけですが、私、これは内幕も知野事務総長にも劣らず知っておるわけですが、この間うち行ってみると、開館の前に行くというのはまことに恐縮なんだが、選挙区の地図やなんかをつくって見せようとしておる。参観者にはいいでしょうが、私はむしろ憲政の功労者――尾崎さんはだんだん充実しておるのですが、たとえば犬養木堂、河野廣中、島田三郎というような偉大なる功労者、さかのぼれば明治の三大功労者である大隈重信、伊藤博文並びに板垣退助のこともしっかりした資料をそろえていただきたいと思うのですが、こういう憲政功労者の表彰並びに憲政史の発展というようなことについてはどういう具体的な準備をしておりますか。
  65. 知野虎雄

    ○知野事務総長 議会制度八十年の記念行事としまして、衆議院が建設に着手いたしました憲政記念館が、新国会になりましてちょうど二十五年の記念すべきことし、いま先生のおっしゃられましたように、二十一日に開館の運びになりましたことは、まことに意義の深いことだと考えておりまして、かつて尾崎記念会館建設の功労者でございました川崎先生から、その間われわれに側面からいろいろ御支援、御鞭韃をいただきましたことを、この機会に感謝を申し上げます。  この記念館は、議会制民主主義が人類の長い歴史の体験からの英知の所産であって、永久に守らなければならないという議会人の共通の認識の上に立ちまして、議会政治、議会制度に関する内外の文献あるいは資料等を集め、また、憲政に功労のありました先人のそういう関係がある資料等を展示して、国民に議会政治に対する認識を深めていただこうということが設立の趣旨でございますが、何しろこれはようやく開館に至ったということでございまして、この内容の充実は一にこれからにかかってくると思います。幸い、憲政記念館の趣旨につきましては、財政当局も非常に認識をしておりまして、予算につきましても、十分考えてくれております。今後は、先生方はじめ各界からのいろいろ貴重な御意見を承りながら、憲政記念館運営委員会におきまして、これらを取捨選択をして、その内容の充実ということに一段と努力をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  66. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いま憲政記念館ができまして、尾崎記念会館はその中に包含をされまして、尾崎メモリアルホールというので、特別の一室を展示その他に開放され、また、尾崎記念財団もあそこの一角におるわけですが、この尾崎記念財団というものはだんだん人員も整理をしまして、鈴木理事長のもとにやっておるわけでございますが、記念財団のやっておりまするあの記念講演というものは実質的に非常になかなかいいものがあるわけです。明治以来の功労者というものに対しての風格を残そうということで、それを知っておる署名な方々に、「大隈重信を語る」とかあるいは「原敬を語る」というような記念講演をやってもらっておる。これについては、文部省から半額の補助が出ているわけです。これは衆議院の口添えもあって、七、八年前から始まったものですが、何せやっぱり半額か三分の一の補助なものですから、あとは自己でまかなわなければならぬというようなことで、たいへん財政的にも苦慮をしておるようであります。将来、そのもののうち、毎月やるものに補助するというのもどうでしょうかと思いますが、憲政功労者というものの特別講演があった際には、その中から三回であるとか五回であるとかというようなものをピックアップして、衆議院が委託事業として、そういうものに補助を与える。そして、文部省の補助とともに、十分先覚者を後世に伝えるという意味での会合などを催してはどうかというような案もあるわけなんです。そういうことに御配慮願えるものかどうか、また、御検討願えるものかどうかということをお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  67. 知野虎雄

    ○知野事務総長 尾崎記念財団が非常に有意義な講演をずっと続けておられますことは、私どもも敬意を表しておるわけでございますが、立法府であります衆議院が、特定の財団に対しまして補助金的なものを交付することがなじむかどうか、そういうふうな問題もありまして、ただいまお話しのように、われわれのほうも文部省にそういうことをお願いをしたといういきさつもございます。今後、憲政記念館ができ上がりますと、憲政記念館の行事として取り上げていいものはそういうふうな方向に持っていけばいいんじゃないか。それから尾崎財団としてどうしてもやらなければならぬ場合は、憲政記念講堂の使用を活発にやっていただきますことはけっこうでございますが、補助金という問題になりますといろいろ問題がありましょうから、私どものほうでできます限りのことはいたしたいと思っております。
  68. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 その次に、私は国会図書館のことでちょっと伺いたいと思っております。  また衆議院の問題にも返りますけれども、国会図書館が議員の利用率が少ないということは、もう前々から言われておることなんです。お手元に資料がございますか。最近一年間で図書館を衆参議員が利用した数ですが、統計はないでしょうけれども、何人ぐらいが利用しておるものか。また、任期中に一ぺんも利用しないという者があっては非常に困るので、ぜひこれは一般にも周知するようにしていただきたい。  これはまあよけいなことですけれども、佐藤榮作議員は利用していますか、ちょっと伺いたい。
  69. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 議員さんの閲覧利用の関係でございますが、昨年一月から十二月までに本館で御使用になられました議員は二千三百五十九人、これは延べでございます。それから分館が千二百人でございます。
  70. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 延べですね。
  71. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 延べでございます。なお具体的に……。
  72. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 各個はわかりませんか。個人はわかりませんか。
  73. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 いまその表を持ってまいっておりませんが……。
  74. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 佐藤さんのことはどうです。
  75. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 個人議員の点につきましては、いま私、手元にも持っておりませんし、また、実際にそういうことは私のほうで発表いたしておりませんので御了承いただきたいと思います。
  76. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 やっぱり図書館の利用率が非常に少ないということについては、これはやはり問題だと私は思うのです。あそこには議員閲覧室というものがあって、個室もあって、ほとんど利用してないですな。これはぜひ図書館のほうでも個人は別にしても、まあバッテンのほうは別にしても、よく利用するというようなものはときどき奨励の意味でも出して、そうして国会図書館の利用ということについて、国会議員全体が関心を持つということにしてもらいたいと思うのです。主査もよく利用されておりますので、敬意を表します。  あそこに議員著作文庫というのができたのはけっこうですが、あれも二冊ずつ献本してくれということをみんな知らぬですよ、議員が。これは何かの機会にもう一ぺん通達してみたらどうでしょうか。去年やりましたですか。
  77. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 議員著作文庫はたいへん御理解をいただきまして、非常に最近もふえてまいりました。その点につきましては、新しく議員になられますときに、私の名前をもちまして、お手紙でもってこういうふうなものがございますからよろしくお願いいたしますというふうにいたしておりますし、最近は非常に議員さん著作がふえまして、われわれちょうだいをいたしておりまして、ほんとうに感謝をいたしておる次第でございます。  それから、議員の閲覧の関係でございますが、議員さんは直接あそこにお見えになられます関係よりも、レファレンスと申しまして、いろいろ調査を御依頼がございますが、その点は昨年一年間で、一月から十二月まででございますが一万六千六百九十九件ということでございまして、前年に比較しまして約千八百件ほども増加をいたしております。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  78. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これはまああまり追及するという意味でなしに建設的に意見を申し上げているんですが、図書館の議員閲覧室の諸君にしてもあるいは立法考査局の連中にしても、非常によく協力してくれますので、あれを利用すれば、非常に議員が、たとえば質問する際にもあるいは特殊な調査をする際にも非常に便利なものだということが、まだ十分全議員にわかっておらない。五分の一、六分の一くらいの議員はそれをよく知っておるけれども。そういう意味で周知方法をもっと広げていただきたいというふうに思う次第であります。  それから、近ごろ永年勤続議員が非常にふえてきて、医療制度の改善並びに栄養がいいのか、若年にして永続議員になった方が出てきておるわけです。たいへんけっこうなことと思うのですが、一部には五十ぐらいで表彰をされて、そして自動車をもらう。自動車はけっこうですけれども、実際は会社の自動車も持っておれば、党の重要職の自動車もあれば、ひどい人は四つくらい自動車を持っておるというのがあって、あれは遠慮してもらったらどうだという声があるそうです。     〔主査退席、大村主査代理着席〕 議運の委員にもあるそうですが、われわれ、ほぼそれに近くなって、あまり言いたくもないわけです、ほんとうの話が。けれども、何か聞いてみると、とにかく、自動車を提供しなければならなくて、いま国際ハイヤーなんかを借り上げているのですね。これもますますそういう傾向になるのですが、――まあこれは、あなたに聞くのはおかしいな、議長に聞くならわかるけれども。何かこう若年停止――恩給だって、私は軍人恩給を、召集軍人だけれども、もらっておったが、四十五くらいのときに、そんなばかなことはないや、もっとということで、十年くらい預けてあったことがあるんですが、何かそういう運動が起こってませんか、そういう質問をします。
  79. 知野虎雄

    ○知野事務総長 お話でございますけれども、二十五年間、国民の支持を受け続けられまして、憲政のために尽くされたということは、やはり非常に偉大なことだと思っております。それに伴いまして、御承知のとおり表彰額を年齢にかかわらず掲げまして、それから自動車を使っていただくということにしておるわけでございますが、あと、車の使い方につきましては、これはやはりそれぞれの先生方の判断でやっていただかなければしょうがないかと思いますが、ただ、将来、いま自動車がかなりもう普及してきております時代でございますから、自動車を提供することが表彰に値するのかどうか、そういう意味での検討は、考えてみたらほかに何かいい方法があればというふうな意見は出ておりまして、まだ結論は出ておりませんけれども、そういうふうな検討はしなければなるまいという話は出ております。
  80. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 とにかく、たとえば六十五歳以上の方々になられて表彰を受けられたというのは、これは当然だし、われわれの大先輩であった松村先生などが、七十を過ぎて表彰されたときに、衆議院から車を配属になっておるということに対してとても喜んでもおられたし、見ておると乗り降り実際不自由になられて、自動車がなければ困るわけです。そういう点と、最近の傾向についていろいろ意見が出てきているだろうという意味の質問をしたわけで、やめちまえなんということは言いません。とにかく若年でもそういう名誉ある地位につかれれば、当然の衆議院の儀礼であると思いますけれども、いろいろそういう意味での他の方法なども加味した意味で御検討を願っておくことが必要だろうと思う。昨日、一昨日あたりも、議院運営委員の諸君から、何か国会の機会でそういう問題が出た場合にはというような意見もあったものですから、紹介かたがた質問をしたわけであります。  それから、この国会の付近に、ずっと整備をされましたが、ある意味ではコンクリートで固めたような形になりまして、緑が樹木以外にはない、戸外で運動する場所がない。職員もあれば、議員もあればというので、一時、古井喜實君などは、参議院の車庫のほうに体育館をつくってくれということの運動をしたと思うのです。あれはくぼ地になっておって、ああいうところに体育施設というようなものをつくる計画がないのか。  またもとへ戻りますが、憲政記念館の中に尾崎メモリアルホール、さらに今度は名前を改めて憲政記念講堂、これもわれわれは合意申し上げたのでけっこうですが、憲政記念講堂とならば、将来、五百でなしに、もっと大きな講堂をつくって、ああオーディトリアムはあすこにあるのかという意味で、国会の付近に政治というものを中心にした大衆講堂ができるということは、非常に意義深いものだと思うので、そういう計画があるかどうか、これを最後に承りまして、きょうの質問を終わりたいと思っております。
  81. 知野虎雄

    ○知野事務総長 国会周辺の体育施設の問題でございますけれども、この周辺で運動場的なものを確保することは、もう現在すでに困難になりました。なお、議員会館等にも、議員並びに職員の体育施設、道場でございますとか、プールでございますとか、小さな体育施設は持っておるのでございますけれども、なかなか、お忙しい国会議員がひまを見て運動をしなければならぬという場合には、これは役に立ちません。将来、事務局庁舎と申しますか、いまあの記者会館の下のほうに建築することになっておりますが、そういう際にそういうふうなものが多少でもできればと考えておるわけでございます。  もう一つの、憲政記念講堂拡張の問題でございますが、これは、とにかく憲政記念館がようやく開館の運びになったといういま段階でございますので、将来やはりこの記念講堂の拡張という問題が起こってくる可能性は私もわかっておりますが、いますぐはまだ計画を持っておりませんのと、あの建物自身が、先生が設計を依頼されました海老原さんが芸術院賞をとられた、非常にりっぱな設計でございますので、そういう点もあわせて、設計者等とも相談の上で、将来の問題として考えてまいりたいと思います。
  82. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 終わります。
  83. 大村襄治

    大村主査代理 森田重次郎君。
  84. 森田重次郎

    ○森田分科員 ただいま川崎分科員から、図書館についての非常に意味深い質問がございました。それに関連して二点、だけひとつお願いいたしてみたいと思うのです。  第一点は、なぜ国会議員がこれを利用する率が低いのかということなんですが、実は、すぐ国会のそばにあるけれど、外を回らなければ中へはいれない。それは国会議員は中にいて相当忙しいのですから、そう簡単に行けないという欠点があると私は思う。せっかくあれだけの設備をこしらえておるのですから、その意味で地下道を通してもらいたいということを、私はもう長い間の希望なんですが、これはいま参議院の別館が、あそこまで通っていますから、あの地下を道路を通すことはそう困難じゃないと思うのです。幾らも金かけずにあれは通せるように思う。あれを通してもらうと、私は国会議員が利用する率がもっと高まるのではないかと思う。この点についてひとつ御意見を承っておきたい。  第二の点は、あれだけの設備があるのに、日曜日開館していないということは一体どういうことか、私は非常に疑問に思うのです。近ごろは、なるべくゆっくり遊ぶ日のほうを多くしたほうがいいなどという議論もありますけれども、一億の人間の子供の中には、苦学しても何でもいいから、一生懸命勉強したいと思う者がたくさんいる。通信教育がいまのように盛んだ。ところが、なかなか勉強する部屋などがないので非常に困っている。図書館で勉強したいと思う者が相当いるわけです。特に日曜などは非常に多いと私は思う。これを何とか日曜も開いてもらえないか。これは予算関係があるでしょうけれども、予算はここで決議すればそれで通ることなのですから、何も遠慮することはないと思います。  その意味で、私は、世界を一回りした際に、時間があれば図書館へ行って、日曜利用さしているかどうかということを聞いてみました。大体日曜利用させているところが相当多いのであります。日本だけこの設備をただ寝かしておくということはまことに惜しいことじゃないかと、実はこう思って、これも一ぺん意見を館長に具申して、そしてやりたいと思っておったのですが、今日までそのままになってまいりました。  簡単に申し上げますと、私などは、学校の先生をしながら上野の図書館へ通って、全然独学で弁護士試験などを通っている。私は、図書館の価値というものをその意味において非常に高く評価している者の一人なのです。学生の中にそういう人がたくさんいるはずです。ですから、何とかこれを日曜公開してもらえれば、相当の読者が私は入るのだと思う。あれを閉鎖している理由がどこにあるのか、非常に疑問に思っております。  この二点についてひとつ御意見を承りたいと思います。
  85. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 お答えいたします。  最初に地下道のことでございますが、地下道につきましては、一応の計画は持っておるわけでございまして、参議院の別館ができましたときにも、参議院のほうから図書館のほうに通じるところの地下の入り口と申しますか、そういうものの準備は両者で協議をいたしております。それから図書館側のほうも、そういう入り口的なことになるようなふうには設計もできておるわけでございます。ただ、当館にとりまして、いままで本館の建築ということに非常に追われておりましたのと、ただいまは、あの北側のほうの民有地の買収ということに予算も相当に取られております関係上、それが全部買収を終わりまして、それと同時に地下道及びその間の整地その他をやりたい、こういう計画にただいまのところいたしております。  それから、日曜開館のことでございますが、これは、日曜開館をいたしておりますところは、大体におきまして月曜日を日曜のかわりに振りかえておるというのが実情でございますが、当館におきましては国会図書館の関係でございまして、もし日曜開館すれば、一週間というものを全部開いていなければならないことになるわけでございますが、そのために相当の人員というものをあてがいませんと、なかなかただいまの陣容では労働過重にもなりますし、実現は困難だというところから、日曜開館にまだ踏み切れないというのが実情でございます。
  86. 森田重次郎

    ○森田分科員 いまの地下道の問題は、四十七年度予算に計上されているのでしょうか、それとも、もしされていないとすれば、いつから具体的に予算に計上する予定かということ。  それから、図書館の日曜開放の問題でございますが、これは何も全面的に、議員のほうなど開放してもらわなくてもいいと私は思います。それよりも一般の勉強している学生、そういう方々に開放する便宜を部分的でいいからためしてみられたらどうか、こう私は思うのですが、もう一ぺんひとつ御意見を……。
  87. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 地下道の予算は、四十七年度には計上いたしておりません。と申しますのは、まだ民有地が相当期間かかる、まだ二、三年あるいはかかるのではないかと思いますので、地下道の問題も二、三年後くらいになるのではないか、このように予定をいたしております。  それから、日曜の開館の問題でございますが、図書館の一部開館をいたしますにしましても相当の人数というものが必要でございますのと、それから私のほうの図書館は、大体二十歳以上の研究者ということにいたしておりますので、日曜日よりも、あるいは普通のウイークデーを御利用なさる方も相当多いのではないかという点も一応考えなければならないのではないか、こういうふうに思っております。
  88. 森田重次郎

    ○森田分科員 この地下道の問題はまだ未確定のことのようですが、これはそうめんどうな問題でないように思うのですがね。四十七年度予算に計上されていなければ、これはしかたがありませんが、少なくも四十八年度にやろうと思えばそう困難なことじゃないように思います。ひとつ御努力を願いたいと思います。  以上で終わります。
  89. 大村襄治

    大村主査代理 次に、山本政弘君。     〔大村主査代理退席、主査着席〕
  90. 山本政弘

    山本(政)分科員 最近における国会審議というのが、健保、それから公害、沖繩国会、いずれを見ても深夜に及ぶ審議が行なわれております。その間に、国会事務局の職員の話を聞きますと、机の上で仮眠をとったり、あるいは友人のうちで宿泊をしたり、そういうことで仕事をやっておるという話を聞いておるわけでありますが、そういう意味で、やはり数年来お伺いをしてきておるわけでありますけれども、ともかくも待遇という問題がやはり問題になってくるのではないだろうか、こう思うわけであります。  職員の国会における待遇改善問題については、これは人事の流れといいますか、そういった点からいたしますと、他の行政府と違って、国会という、横の関連がないといいますか、そういう職場の特殊性が一つあるのではないだろうか。いま手元にありますが、等級別の定数とそれから実在数とに関する資料によりますと、どの給与表を見ても頭打ちの状態が見られておる。特に行(一)の三、四、五等級、それから別表の関係の一、二等級等に集中的にあらわれておるように思うわけであります。そういうわけで、事務当局で一体この問題についてどのようなお考えをお持ちなのか、そして今後どのような方途を講じていくつもりなのか、これをひとつ具体的にお示しを願いたい。  それからもう一つは、職員の昇給昇格問題についてであります。  職員の間におきましては、特に昇格についていわゆる間差ダウンのない昇格の実現をやってほしいということで、これを強く要望しておるという話を聞いておるわけであります。しかし、これがなかなか実現をされない、その辺一体どういう理由によって実現をされないのか、それから、今後その解決策を一体どうなさろうとするおつもりなのか、この二点をまずお伺いしたいと思います。
  91. 知野虎雄

    ○知野事務総長 毎年、職員のことにつきまして特段の御心配をいただきまして、ありがとうございます。  第一の、三、四、五等級の問題でございますが、国会の特殊な環境もありまして、ここの職員は、経験が非常に大事であるということから、在職年数がかなり長うございます。そういうことが一番根本の問題になるわけでございまして、一方においては職階制という問題もございますので、そういう意味で、三、四等級、五等級あたりにそういう問題が出てくるわけでございますが、ことしは二等級の定数というものをふやしておりますので、三、四等級の問題は、そういう点で特別の配慮をいたしておるわけでございます。  それから、間差ダウンのない昇給昇格という問題でございますが、いま申しましたように在職期間が非常に長うございますので、まるきり間差ダウンのない昇給方法をとりますことはなかなかむずかしい状況でございます。給与表は、各党一致の法律で通りました一般職の給与表というものを基準にしてつくっておるわけでございますが、なおこの役所の特殊な事情を考えまして、そういう間差ダウンを全然なくするということはむずかしゅうございますが、いま申しましたように、二等級でございますとか、あるいは暫定定数等の措置によりまして、できるだけそういう特殊性を加味していくしか方法がなかろうかと考えております。
  92. 山本政弘

    山本(政)分科員 時間がないものですから、その第二の質問をするのに時間がないのでたいへん残念なんですけれども、外注問題でお伺いしたいと思うのですけれども、特に自動車関係でお尋ねいたしたいと思うのです。  先ほど川崎分科員のほうからもお話がありましたけれども、昨年の分科会事務当局から、現在の人員は確保するというふうにお答えをいただいております。その点は現在も変わらないかどうか、これがまず第一点。  また、先ほどの話でありませんけれども、永年表彰議員の専属車というのですか、これに対応しての十台を含めて、いま約二十台の営業車が入っておるというふうにお伺いしておる。いまの交通事情の中で安全運転についての条件というのは、やはり安定した職場環境だろうと私は思う。それに基づいて安定した精神ができるんだろう、こう思うわけでありますが、営業車の導入以来、職場の縮小ではないかというような危惧を内心感じておりますということを聞いておるわけであります。そこで、自動車課の職員に対して、今回の十台余の営業車の導入にあたってそういう危惧を払拭するような十分な配慮を理解できるように、一体なさっておるのかどうだろうか。あるいはまた今後の問題として、専属車がさらに増加していく場合、これに関連して当然増員が行なわれなければならぬと思うのでありますけれども、いわゆる代車要員というのですか、そういう要員の確保を一体どうなさるおつもりなのか、これをひとつお聞かせをいただきたい。
  93. 知野虎雄

    ○知野事務総長 自動車の現在の運転員の定数を確保いたしますことは、昨年も申し上げましたとおりでございますが、なお、病気その他、そういう若干予備の人も要るということもありまして、ことしは、定数を確保いたしますのみならず、四月には若干ふやしますので、去年よりは定数はむしろふえておると思います。  営業車の問題につきましては、確かにいま先生のおっしゃられたような面もございましょうけれども、いま営業車は、大体各党がフリーで順次順繰りに使っておりました車を営業車に切りかえたような状況でございまして、この営業車も日本の一流のハイヤー会社でございますから、その点はだいじょうぶであろうと思います。
  94. 山本政弘

    山本(政)分科員 先ほど速記関係の話が出ておりました。私は、昨年もこの問題についてお伺いをいたしたわけであります。先ほどの御答弁によれば、給与についても努力をしたいというお話がありましたけれども、この問題に対して四十六年四月以降、人事担当部長を中心とした抜本改正のための検討機関を設けられた。そうして概算要求時期を目途に具体的な案をまとめるというお話もあったと思います、これは私がお伺いした御答弁だったと思いますけれども。そして事実、検討委員会が持たれて、話によれば十一回に及び精力的な検討が行なわれた。私は、この努力に対してはたいへん多といたしますけれども、結果的には成案を得るに至らなかった。一体これはどういう意味なんだろうか、どういう理由だろうかということが一つであります。  それからもう一つは、総長は、抜本改善策というのはことしが一つの山だ、それ以後になると見込みがなくなる、こう述べられておるわけであります。そうすると、私は具体案ができるということを信じますけれども、もしできなかったら、一体そのあとの処置をどうなさるおつもりなのか、あわせてお伺いをしたい。  それから、四十七年度予算の概算要求時期を迎えるにあたって、職場側といいますか、衆参両院は一致した特一案というものを示したそうであります。それで事務当局は、暫定案として速一等級の延伸案というものをお示しになった。しかし両案合意ができなかったというお話も聞いておるわけでありますけれども、なぜ特一案というものが受け入れられなかったのだろう、この理由もひとつお聞せかをいただきたいと思います。
  95. 知野虎雄

    ○知野事務総長 速記の給料表の抜本改正がなぜまとまらなかったかということでございます。これは昨年お答えをいたしまして、昨年の国会が終わりましてから、実は精力的に取り組んだわけでございますが、いろいろ問題点がかなりございまして、問題点はかなり明らかになったと思いますけれども、八月の予算の概算要求までに速記職給料表該当者の希望と、国会のほかの職種、それから外に出しまして通るというふうな意味で、なかなか決着がつかないままに概算要求の時期を迎えましたものですから、さらにこの検討を続けていこうということで速記職給料表の該当者との間で話し合いをいたしまして、一年間延期をしたわけでございます。  それから、ことしが山だと申しましたのは、私は、これだけいろいろ検討を続けてまいったわけでございますから、ことしは何とか案をまとめなければならぬという決意を端的に申し上げた意味でございまして、速記職給料表適用者の希望だけで案をつくったとしましても、これはやはりほかの給料表の関係もありますし、また一般職の公務員との関係もありまして、なかなかそう簡単にはいかないむずかしい問題がございます。そこいらは、やはり折り合うべきところは折り合ってと申しますが、妥当性のあるところで案をまとめなければいかぬ、そういう意味で、かなり問題点も出ておるわけでございますから、それは今度の議会が終わりましたら精力的にまとめるべきだ、こう考えておるわけでございます。  それで、まとまらなかったらどうなるかという点でございますが、もしそのときになりまして、なお検討を続けたいということであれば、それも一つの方法でございますが、やはりことしの八月には案をつくるという決心で双方が取り組むべきであろうと考えております。  それから、昨年の段階で特一を希望したけれども受け入れなかったと申しますのは、実は一応暫定案として出された特一案と申しますのは、課長職との微妙な関係がございまして、速記の特一案といいますのは、現在、課長職といいますと二等級と一等級がございまして、原則として二等級。二等級から一等級に行っている者が、一般官庁の平均からいいまして半分にはいかないかとも思います。一等級というのは、私のほうでいいますと大体副部長の基本俸給でございますが、その一等級とほぼ同じ――まるきりとは言いませんが、その一等級の最高の大体九八・八%ぐらいまでという案が特一等級としての暫定案でございまして、これは副部長等の俸給との均衡がありまして、その段階ではまとまらなかったといいますか、簡単にはそれはけっこうだろうと言うわけにはいかないという事情でまとまらなかったということでございます。ことしは、そういう問題も全部含めまして、議会が終わりましたら、さっそく精力的に取りかかってみたいと考えております。
  96. 山本政弘

    山本(政)分科員 他の行政官庁との関係もあるだろうし、それから、いまお伺いしたように、副部長というような関係もあるかもわかりませんけれども、いまさっき話を聞いてみますと、地下道を通せとか体育館をつくれとか、ぼくに言わせたら、ぜいたくな問題が出ているのですよ。少しぜいたく過ぎるのですよ。ですから、そういう意味では、働いている人のほうを少し考えたらいいと思うのです。歩いて行けばいいのですよ、国会図書館、私だって利用しているのだから……。  速記職表においては、有資格者の昇格のおくれが特に目立っておるそうであります。しかも今年度においては、特に速一等級、速二等級においてはついに一名も増加をされなかった、こういう話も聞いております。毎年級別定数の大幅な拡大が要望されておったけれども、それが全然改正されておらぬ。一体どう対処されるのか。  さらに大きな問題は、速記職の給料表に初めてワク外者が出現をした、こういうことを聞いております。今後そういう事態がふえてくるのじゃないだろうか、こういうことも実は予想されるわけでありますけれども、これは、こういう人たちに対する救済策といったらいいのですか、この点、一体どういうふうにお考えになっておるか、これをお伺いしたいと思います。
  97. 知野虎雄

    ○知野事務総長 速記の一等級、二等級がふえておりませんけれども、行(一)の二等級でとっておりますので、実質的には昨年と同じように、最高の人たちの数を上げるといいますか、そういう措置は実質的にはとっておるわけでございます。
  98. 山本政弘

    山本(政)分科員 議警職についてお伺いしたいのですけれども、先ごろの沖繩国会のおりにも、連日連夜たいへんきびしい勤務に服務しておられたと思うのです。あるいは、国会請願に私ども立ちましたけれども、夜おそくまで出ておられる。たいへん御苦労だと思うのですけれども、このことについては、総長のほうからも議運において発言をなされたということを仄聞しております。同時に、今度の国会では異常な事態が起こった。私自身、どうも申しわけないと思うのですけれども、そういう異常な事態が今後起こらぬということは断言できないと思うのですね。そうすると、いろいろ配慮されておることは十分理解できますけれども、これもやはり、関係職員の待遇改善にかかってくるのじゃないだろうか、こう思うわけであります。  そこで、議警職表というものが公安(一)から出ておるということはこの前お伺いしたわけですけれども、人事院の勧告に伴って、議警職表においても特一等級という形で取り入れられたわけですけれども、運用において、当時、不利な扱いはしないということで、職場でもある程度希望を持っておった、こう思うのであります。しかし、実情においては不利な状態に置かれておるという話もお聞きしておる。たとえば、衛視長は行(一)の二等級の移行が行なわれていたけれども、特一等級の導入によって、これが不利な取り扱いになっておるのではないだろうか。また、これに関連しまして一等級あるいは二等級についても、運用面について特別の配慮をお願いしたい、こう思うわけであります。一等級と特一等級は、格づけにおいて関連する点もあります。そういう意味で特一等級を十分に活用していただきたい、こう思うのですけれども、その辺を一体どのようにお考えになっておるか、この点をお伺いしたい。
  99. 知野虎雄

    ○知野事務総長 議警職の特一等級が新設されましたときに、従来よりも不利な扱いをしないということを答弁申し上げました。もともと、この特一等級というものを議警職に設けましたこと自身が非常な改善でございまして、従来は特一等級というものがありませんでしたものですから、古くなりました人を行(一)の二等級で救済するという措置を講じたことがありました。これは当然にそこへ行くというわけではなかったわけでございます。そういう意味で、議警職に特一等級が設けられましたこと自身が非常な改善なのでございまして、それによりまして俸給の歩みというものがそれだけ有利になっておるわけでございます。  なお、さらに、特一等級でもまかなえないという場合におきましては、従来とっておりましたようなことも関連しまして、不利になるようなことのないように配慮をいたしたいと思います。
  100. 山本政弘

    山本(政)分科員 総長に最後にお尋ねをしたいのですけれども、たぶん、前の事務総長の時代ではなかっただろうかと思うのですけれども、行(二)の撤廃の方針というものが一ぺん出されたのじゃないだろうか、こう思うのです。それから七年か八年たったわけでありますけれども、いまなお存続をしておる。そうして現在八十数名の職員にそれが適用されておる。この問題については、さきに事務当局が議運の席上で明らかにしたことをお伺いしたわけですけれども、明年度以降の行(一)表への移行打ち切り、こういう話が出ておる。そうすると、さきの方針と事務当局が議運の席上でお漏らしになった真意とは矛盾をするのじゃないだろうかと私は思うわけです。それが一つであります。  それからもう一つは、行(一)表への移行にあたっての基準あるいは移行後の昇格昇給についての基本的な考えというものがあるのかないのか、もしあればお伺いしたい。私はこの人たちもある意味でたいへん御苦労なすっていると思うのです。そういう点でひとつ格別の配慮をやはりしていただきたいと私は思うのですけれども、この点はどうなんだろうか。
  101. 知野虎雄

    ○知野事務総長 まず第一点の行(一)移行といいますか、行(二)撤廃の打ち切りという問題でございますが、これはたびたび申し上げましたように、昭和三十八年でございますが、われわれが行(二)をなくそうということを申しましたころは、衆議院千六百名の定数に対しまして約四百名近い行(二)職給料表適用者がおりまして、それが全職員に占めておりましたパーセントは、実は二二%ぐらいあったわけでございます。この役所の特殊性からいたしまして、できるだけ同じ仕事をしている人を職種によって分けないほうが、一体として仕事をしていくためにはいいだろうということで、今日まで御協力を得まして、順次大幅な移行を続けてまいったわけでございますが、来年度予算の実施期におきましてはこれが六十名ということになりまして、現在の千八百の衆議院の定数に対しますると、もう約三%ちょっとというふうなぐあいに減ってまいりました。これは一般の官庁についてわれわれが申し上げたことでなくて、議会の特殊事情ということで言ってきたことでございまして、そういう意味では、大体目標というものが実質的に達せられてきたということが一つございます。  それからもう一つ、この六十名残ります行(二)職適用者というのは、用務員の方でございますとか、あるいは自動車の運転をされる人の最初の採用にちょうど当たってまいりまして、これらの人は、大体家族をかかえたり、また自動車の運転手にしましても、大事な議員の生命を預かるという意味では相当の経験を持った人を採用いたします関係から、かなりの年輩の人を採らなければならないということでございます。そうなりますと、行(一)の給料表で高校卒の一番下から採りましたのでは、実はわれわれが必要とします人の採用というのは非常に困難な状況になってまいりまして、そういうふうな中年齢といいますか高年齢といいますか、必要な人の確保のためにも、衆議院としては大体六十名ぐらいの行(二)の定数を持っていたほうが、採用につきましても、また採用される人の側にいたしましても必要であろうということで、今年をもちまして一応打ち切りまして、六十名ぐらいの定数は残しておこうということにした事情でございます。  それから、その基準でございますが、従来は基準を一応設けましたが、大体その基準を上回ったようなことで移行してまいりました。六十名となりますと、あとはもうごくわずかな用務員の方、それから自動車運転員の人になってくると思いますが、そういった人たちが、いままでの例でいきますと大体十人ぐらい、かなり中高年齢で採ります関係でやめていく人がおります。したがいまして、大体十名ぐらいというのは行(一)に移行し、またそれを補充するという形で運用されていくのではないかと考えておるわけでございます。
  102. 山本政弘

    山本(政)分科員 六十名というのが国会の職員の中の三%程度ということはよくわかります。しかし、逆に考えれば、三%であるがゆえにどうかしなければならぬだろうという問題も出てくるのじゃないだろうか。採用にあたっての問題はあるかもわかりません。しかし、採用後にそれを一体どう処遇していくかということは、やはりあらためて考えていい問題ではないかと思うのです。ぜひその点についてひとつ配慮していただきたい。  それから最後に、図書館長とそれから衆議院の事務総長にお伺いしたいわけなんです。  国会図書館の職員の院内立ち入りに対する規制がございました。昨年の十月二十五日から約三カ月間にわたって、国会図書館の職員の院内立ち入りが禁止されました。これは爆竹事件をはじめいろいろなものがあったことはよくわかります。しかし、この事件というのが、実は国会図書館の職員によって起きたものじゃないということであります。にもかかわらず、国会職員の中からひとり図書館の人たちだけを取り上げて、そしてこれを規制するという理由が私は実は理解がいかないわけであります。あるいは警備人員の不足だ、とこうおっしゃられるかもわかりません。しかし、それならば衆参両院において警備員の増員ということを予算要求なさったのかどうか、私はなさってないと思うのであります。そうしますと、たいへん失礼でありますけれども、国会政府の総定員法には拘束されないんだという総長の言明というものは実はほごになりはしないだろうか、こう思うわけであります。逆に言えば、自己規制をしているんではないだろうかという感じがしてならないわけであります。これが一点。  それから、今回の国会図書館の職員に対する規制の措置ですね、これの法的根拠が一体あるのかないのか、おそらく私はないだろうと思います。逆に言えば、国会のさくの内と外とでは――先般私どもの若い議員が警察官につかまって、そして質問されたというようなこともありました。そういう意味で、会館とそれから本館ですか、これの施設の管理権というものについては一体どういうふうになっているんだろうか、この辺をひとつ、これは事務総長のほうにお伺いしたほうがいいかもわかりません。まずその点をお伺いしたいと思います。
  103. 知野虎雄

    ○知野事務総長 昨年の沖繩国会におきましてああいう警備をやったわけでございますが、議会が国民と一番深いつながりを持っておるという一面と、それからまた、国民を代表する国会議員がここで国政を審議する場合にあたりまして、外部の一部の不穏な分子によりまして、議会の審議がじゃまされたり、国会議員の安全が危殆に瀕したり、あるいは善良な一般の参加者が巻き添えを食うということは避けなければならぬという二つの要請がありますものですから、ここの院内の警備についてはいろいろむずかしい問題があることは事実でございまして、その関係でいろいろと御迷惑をかけたり、そういう波及したことがありましたことは残念でございますが、そういうことによりまして、いろいろ言われておりました沖繩国会の警備を一応遺漏なく果たしたという点では、各党の御協力を感謝しているわけでございます。  まず、図書館職員を規制したという点でございますが、実は図書館の職員が何もしたわけでもないのにということはそのとおりでございます。図書館の職員が何かあったから規制したわけではございませんで、同じ国会議員の中でも、衆議院の事務局あるいは参議院事務局のようにこの中が本来の職場であるというのと違いまして、国会図書館職員は国会図書館が本来の職場でございます。そういう意味で、各省庁に対しても、内閣官房を通じまして非常に厳重な規制の協力を要請したわけでございますが、それと同時に図書館につきましても、できるだけ衛視がいろいろ規制をするのを少なくするという意味でお願いをしまして、五十名ぐらいの特別記章のワクの中で出入を規制するという措置を一応とりました。私どもは、やってみまして、実際の利用者が五、六名しかなかったという事情もございまして、その措置は廃止して今日に至っておるわけでございます。そういう意味で、図書館の職員に不便をかけた点があったのじゃないかと思いますけれども、そのときとしては一応警察小委員会にもおはかりをしましてとった措置でございました。  その根拠ということでございますが、一応議会の審議というものを守るために国会法で議長に警察権というものを認めておりまして、院内の衛視並びに、議長が派出を要請します警察官は、議長の指揮下に入って院内警察を取り扱うわけでございますから、警備のために必要であるという規制は、議長警察権によって行なったわけでございます。  会館につきましては、これは一般施設管理権と申しますか、そういうことで同様の規制をいたしたわけでございます。  なお、そのに関連しまして、ただいま、衛視が足りないということから起こったことではないかというお話でございますが、現在の衛視の勢力をもってしまして、あらゆる警備を全部それだけでまかなうということになりますと、これは足りないと思います。そういうことのために一般警察官の派出要請ということをいたしておるわけでございまして、すべての職種につきまして一番忙しいときを基準にいたしますと、これはもうとてもまかなえないと思いますが、やはり人員は標準をもって一応定員としまして、そして特殊な場合には特殊な対応のしかたをするという考えでおるわけでございます。
  104. 山本政弘

    山本(政)分科員 お願いしたいことは、国会職員、衆参の職員が、しばしば公安警察に身分証明書を出せとか、こう言われますね、そういう点については、これはもちろん議長の警察権ですから、そういう場合にひとつ十分に、外部から来たそういう警察官に対して慎重な態度をとってほしいということは、私はぜひやっていただきたいと思います。  それから、国会図書館の職員が迷惑をこうむったことは何と言ったって事実なんですよ。図書館長がこのことについて何ら疑義をはさまなかったのかどうか。私は、国会図書館の職員といえども、あの異常事態を認めるということにはやぶさかではなかったと思うのです。ただ、それを一片の通達で院内立ち入り禁止と、こう言われれば反発を招くのは当然だと思うのです。私は、やはりそういう意味では自粛を要望するとかなんとかという、まずそういう穏当な方法が最初とられてしかるべきじゃないだろうか、こう思うわけであります。国会の図書館の職員が何人おるか知りませんが、七、八百人はおるだろう、こう思うのです。その人たちに対して図書館長は、衆参の両院については、これは何といいますか、いまさっきのお話ではありませんが、庁舎の管理権がないからということで責任をもし回避されるならば、それは誤りだと思うのです。ですから、一方的な通達だけで出すというのではなくて、図書館には組合もあるでしょう、そして国会関係には国会職連というものもある。そういうところで意思の疎通をやはり十分にやってもらわなければ、私は運営というのほうまくいかぬのじゃないか、こう思うのです。そういう意味では、図書館長がなさったやり方というのは、私は、やはり館長として見識を欠いているのじゃないか、こう思えてならぬわけでありますけれども、一体その点どういうふうにお考えになっておるのか。図書館長というのは少なくとも国務大臣相当の待遇を与えられておるわけですから、少なくともそれだけの識見を持っていいのじゃないか。一体どのような処置をおとりになったのか、そのときに。衆参あるいは衆議院のほうからそういう活があったときにどういう処置をおとりになったのか。この点は、私はやはりはっきりとさせていただきたいと思うのですよ。
  105. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 今回の沖繩国会におきまして、国会図書館の職員が出入の制限を受けましたことは、私はまことにやむを得なかったと考えております。それは当時の状態は有史以来の、要するに火炎びんあるいは爆竹その他の関係国会の中の状態は異常の状態にあった、私自身はそのように認識をいたしておりまして、その際に衆議院のほうから、政府のほう及び政党それから議員にお渡ししている記章等にも大幅に制限をいたし、警備の強化をいたしていきたい、したがって図書館のほうにも制限を加えることになろう、このことは参議院も同調されるはずであるというような通告を私は受けたわけでございます。率直に申しまして、私はそのときに、これはよほどの異常な事態である。しかも私自身は、警備の責任というものは持たない私が、警備の責任にある方からのそういった通告に対して、この際はとやこう言うべきものではない、協力すべきものであろう。ただし、図書館というものは国会に奉仕する本来の職務を持っておるわけでございます。その職務の遂行に支障を来たしてはいけない、それについては善処しなければならないということで、八十七枚の通行証というものをいただきたい。そういうことによって、もちろん不便はございます。しかしある程度の不便は忍んでも、それだけの数があれば国会の議員さん方に御不便をかけたりするようなことはなかろうという判断のもとに、そういうふうに踏み切ったわけでございます。  なお、組合との関係につきましても、その間たびたび私は組合ともいろいろ話をしておりました。しかし私自身の判断は、この異常事態というものはやむを得ないというふうに自分も考えまして、それ以上に申し上げることをしなかった、こういうわけでございます。
  106. 山本政弘

    山本(政)分科員 私は異常事態を認めるのにはやぶさかではないというのですよ。それから、協力をすべきなんです、あたりまえのことであります。しかし、職制を通じてそして強権的にやるということに問題がありはしないか。通行証を八十三枚もらったから、あるいは五十枚もらったからという問題ではないでしょう。少なくともそういう場合にあなたが、管理をなさっている職員に対してもっと理解をさせるような努力をなさっていいと思うのですよ。なぜならば、あなたみずからが採用された七百人か八百人かの図書館の職員でしょう。そういう意味では、あなたは自分の職員を信用なさっているはずなんですよ。信用なさっているはずだったら、その点に対してはもう少し、職制ということではなしに、何回もお話しになっていると、こうおっしゃるけれども、私がお伺いした範囲では、要するに職員たちは必ずしもそれを納得しておらぬ、そういう意味で努力が足らなかったのじゃないだろうか、この点を私は指摘しているのです。その点について、もう一度お答えをいただきたい。
  107. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 この職制を通じてのお話と申しますか、この問題は国会の警備という問題からきた問題でございまして、その警備問題を私がとやかく論議できる立場でもございませんでした。問題は組合と私との、これは初めから最後までかみ合わない意見でございまして、私自身も会いましたし、また職連にも、また私のほうの場合にも会いました。毎週、私のほうは水曜日に総務部長が組合とも会っております。また、あるいは副館長も会ったり、たびたび会っておりましたが、ついに最後までこの問題は平行線と申しますか、そういうような状態で説得し得なかったという点は、私まことに残念に思っております。
  108. 山本政弘

    山本(政)分科員 最後に、また私は館長に要望して質問を終わりたいと思うのですけれども、異常事態が国会に出てきた。館長としてはどういう通達の方法があるかもしれませんけれども、しかし、院内に異常事態が出てきたんだから、そういう意味では院内の立ち入りをひとつ自粛してもらいたいというのを、まず第一番目に私はそのことを出すべきだと思うのですね。それを一体お出しになったのかどうだろうか。これは私は答弁いただこうとは思いません。しかし、そういう措置というものをまず第一番目にやるべきじゃないだろうか。  もう一つは、国会職員法の第十八条の二に、「国会職員は、組合又はその連合体を結成し、若しくは結成せず、又はこれらに加入し、若しくは加入しないことができる。」とあるが、そのあとに引き続いて、「国会職員は、これらの組織を通じて、代表者を自ら選んでこれを指名し、勤務条件に関し、及びその他社交的厚生的活動を含む適法な目的のため、当局と交渉することができる。」ということがあるわけですね。何回やっても平行線だということでは――私はいままで、不当労働行為を何件も取り扱ってまいりました。しかし、何回やっても平行線だという態度では、これは少なくとも館長と職員との間の意思の疎通はできないと思うのです。私の知っている範囲では、一つの件について五千回以上の長い、そしてねばり強い交渉があった経過があります。これはもちろんケースは違いますよ。違いますけれども、労使の関係です。その中でそういうケースがあって、最終的には非常にうまく解決をしたという例すらあるわけです。三回やったか五回やったか、私は知りません。しかし、私はそういう意味ではもっとやって、意思の疎通というものを十分にひとつはかっていただきたい、こうお願いをしたいと思います。どうでしょうか。
  109. 久保田義麿

    ○久保田国立国会図書館長 この通告の来る前に、前もって院内に出入を自粛したらいいだろう、すべしというようなことを私が職員に言うべきであったろうということ、それについては、私がその措置をとらなかった点、私は遺憾だと思います。あるいはその通告の前に、私自身、異常事態であるから、判断すべきであったかもわかりません。しかし、私はその点については考え及びませんでした。  それから、いまの組合との関連でございますが、今度の問題は、私は、その職員法の十八条の勤務の条件その他云々の交渉の事項ということでははずれておるんじゃないか。と申しますのは、これは国会のことでございまして、私自身にその権限はないわけで、そういう意味から申しまして、ただ、職員からの意見と、私自身の館長としての、国会に協力すべきだという自分のそのときの信念と、それがなかなかかみ合わなかった。その、ただいまの組合との交渉その他につきましては、何しろ総務部長は毎週会っているわけでございますし、そのほかにも副館長もおりますし、私もおりますというような関係で、その点は私は今度はちょっと違うように思いますが、御了承いただきたいと思います。
  110. 山本政弘

    山本(政)分科員 これで終わりたいと思いますけれども、ただ、私は、しつこいようでありますが、図書館長が衆議院の事務総長という経験のおありのある方だから申し上げているのであります。もちろん、ケースとしては労使の関係とは違います、当面起こっている問題は衆議院の院内で起こっていることですから。しかし、院内にはいれるかはいれないかということ、国会図書館の職員がですね、そのことに生じて起こった誤解あるいは危惧あるいは不満というものがあれば、その間に立って、やはりあなたのほうがそれを円満に処理をする責任というものがおありになるだろう。この責任は、免れることはできない。そういう点でなお一そう私は努力をしていただきたい、こう申し上げておるのであります。どうぞひとつその点、間違いのないように御理解をいただきたいと思います。  質問を終わります。
  111. 森田重次郎

    森田主査 以上をもちまして国会所管の質疑を終了いたしました。  次回は、来たる二十一日火曜日、午前十一時から開会し、文部省所管について審査を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会