○細田
委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました
昭和四十七年度
一般会計予算、同
特別会計予算及び同
政府関係機関予算の三案に賛成、
日本社会党、公明党、民社党三党共同による
予算の編成替えを求めるの動議に反対の討論を行ないます。
以下賛成の理由を簡単に述べます。
まず第一は、財政の規模とその弾力的運用についてであります。
一般会計の前年度当初
予算に対する伸び率は二一・八%で、これは、
昭和三十七年度以来の大型
予算であります。
また、財政投融資計画も前年度当初計画に対し三一・六%増、これまた近年にない大幅の伸びを示しております。
さらに、
予算総則により
政府保証債を四千億円とし、
政府関係機関等の債券、借り入れ金等に対し、
経済情勢の変化ある場合は、五〇%までの拡大限度ワク内において、これが弾力的運用をはかれるようにいたしております。
これらの財政支出により、国、地方を合わせた
国民経済計算上の
政府財貨サービス購入は一七%となり、本年度の
経済見通しによる名目
経済成長率一二・九%を大きく上回ることとなっておりまして、本年後半には、個人消費支出、民間住宅投資の増大等を含め、国内の需給ギャップを均衡させ、安定した
経済路線へ回復させようとする景気浮揚策を打ち出すものとして、まことに当を得た措置であると
考えるものであります。
第二点は、公債発行とその運用についてであります。
本年度の公債発行額一兆九千五百億円は、四十一年の
不況の際の公債発行以来の多額なもので、公債発行の依存度は一七%であり、前年度の依存度四・五%に対して大幅の発行増となっております。
これは、今日の景気回復と社会
福祉の向上という施策遂行のための財源確保のためにとられた措置であり、また、インフレにつながらないための歯どめ策として、財政法第四条にいう建設公債のみの発行と、さらに、市中消化の原則を堅持し、財政の健全性に配慮したものであると
考えます。
次に第三点として、租税の軽減と合理化についてでありますが、今回は、税制の点においても、景気浮揚の対策と
福祉向上のための
考え方が取り入れられていると思うのであります。
すなわち、所得税減税については、昨年、本年度補正
予算により、
昭和二十六年以来初めての年内減税を行ない、この結果、四十七年度は二千五百三十億円の減税効果が見込まれることとあわせて、このたび地方税において、住民税の基礎控除の引き上げ、老人、寡婦、障害者、勤労学生等の控除の引き上げ、あるいは非課税限度の引き上げを行ない、多くの所得階層にその減税効果を考慮したことであります。
さらに、所得税においても七十歳以上の老人扶養控除の制度を設け、相続税では、配偶者及び心身障害者に対する税負担の軽減をはかり、地方税における措置とともに、社会
福祉的方向に減税の措置を講じていることは、今日の
国民生活の実態から見て当を得たものであります。
また、租税特別措置では、住宅購入等に対する減免措置を講ずるとともに、
国民の生活環境維持に必要な企業施設に対し公害準備金制度による助成措置を行なっており、一方、
経済の成長に伴い従来の輸出振興税制の削減を行ない、通貨調整に伴う企業の為替差損について、支払い期間の猶予措置を講じたこと、中小企業対策、土地税制、企業体質の改善及び設備の近代化等についてそれぞれ税制上の軽減措置を行なったことは、時々の社会
経済情勢を反映した
政策税制である点からも時宜を得たものとして賛意を表するものであります。
なお、今回、新たに航空機燃料税を設け、空港整備等に対し、財源措置を講じたことは、きわめて適切なものと
考える次第であります。
以下、歳出面のおもなる点について申し述べます。
まず第一に、
国民福祉の向上のための諸施策についてであります。
わが国の
経済の高度成長により民間部門と公共部門との間に大きなギャップを生じ、これがため、
国民生活にアンバランスが起こる結果となっております。
経済の発展も人間生存のためのものであることを
考えるとき、
社会資本の充実による
福祉優先の
政策こそ緊要であります。
そこでます、公共事業関係費について見ますと、対前年度出初
予算に比し二九%増、四十七年度
予算に占める構成比は一八・七%であり、主要経費中最も大きな割合を占めており、特に生活環境施設設備、住宅、上下水道等、
国民生活に密接な部門への整備に重点を置いたことは、
福祉優先への転換をはかったものとして賛意を表するものであります。
従来の道路、港湾、住宅等の五カ年計画に加え、新たに都市公園整備計画を策定したこと、廃棄物処理施設、治山治水の従前の計画を実情により適合するよう改定したこと、また、財政投融資計画においても、住宅、上下水道、厚生
福祉施設等に財源配分の重点を置いていることなどは、
国民の生活環境を計画的に前進させるものであります。
次に、
社会保障の充実についてであります。
四十七年度の
社会保障関係費は、対前年度二三%の伸びであり、特に今回は、七十歳以上の老人に対し、医療の無料化とともに、老齢
福祉年金の月額三千三百円の支給、扶養義務者等の所得制限の緩和をはかったことは、老人対策への認識を一そう深めたものであります。
さらに生活扶助の引き上げ、障害
福祉年金、母子
福祉年金の額の引き上げと扶養義務者の所得制限の緩和をはかっております。
次は、公害対策の強化についてであります。
四十七年度
予算は、上下水道、廃棄物処理施設、水質保全、大気汚染防止、騒音、悪臭等の防止について、対前年度四八・四%増と多額の
予算を計上しております。
財政投融資計画においても、対前年度五四・六%増の計画をもって、公害防止事業団、開発銀行、地方公共団体等に対する融資を予定しており、また新たに、自然環境保全の見地から国立公園の民有地を交付公債により買い上げるための措置を講じておることは、人間尊重の
立場からまことにけっこうなことと思います。
次に、
物価対策でありますが、四十七年度の
物価対策関係費は、対前年度当初
予算に比べ二七・一%と大幅に増加しており、今回はその対策として、低生産性部門の生産性の向上、生活必需物資等の安定供給のため、野菜、牛肉、魚の価格、流通機構の近代化等の施策を進めるとともに、これら物資高騰の副次的要因をなす住宅、地価、労働力の流動化等についても幅広い配慮がなされております。
また、自由化対策として残存輸入制限品目の輸入割り当てワクの拡大、並びにその撤廃につとめ、関税面において税率の引き下げを講ずるとともに、特に輸入物資について、
円切り上げに伴う効果を価格引き下げの方向へ持っていくために、追跡調査等を含めた多角的措置を講じていることは、まことに適切なものであります。
次に、
沖繩の復帰対策についてであります。
四分の一世紀にわたり米国の施
政権下にあった
沖繩が、本年五月十五日、本土復帰をすることとなったことは、まことに御同慶にたえない次第であります。
沖繩関係費の四十七年度
予算は二千二百二億円であり、これにより、県民生活の安定
福祉の向上、
社会資本の充実等、本土との一体化のための施策を早急に講じようとするものであります。
予算のおもなものとしては、
沖繩返還協定特別支出金、公共事業費、臨時
沖繩特別交付金、通貨等切りかえ対策特別給付金等で、国庫補助率も高率なものとしており、金融面では、
沖繩振興開発に資するため、
沖繩振興開発金融公庫を新設し、一元的かつ総合的な融資を行なうことになっております。
一方、税制や関税の面でも、
沖繩の民生、
経済の安定のため、各種の措置を講ぜられ、これらの施策は
沖繩県民の
要求を十分とり入れたものであり、今後の
予算執行にあたっては、効率的な使用により豊かな
沖繩県の建設につとめられることを願うものであります。
以上のほか、主要な施策について簡単に触れますと、まず地方財政対策としては、地方財政の財源不足に対し、国による助成とともに、財源調達をはかるための所要の措置を講じ、国、地方の協力により景気回復と
社会資本等の充実をはかることとしております。
文教対策としては、国立、私立学校の授業料の均衡を考慮して国立学校の授業料を引き上げるとともに、私立学校経常費の補助金の増額、育英奨学資金の大幅増加を行ない、児童生徒急増市町村の義務教育施設の拡充等をはかることとしております。
このほか国際文化振興対策として、文化振興費の増額と国際文化交流基金を設けたこと、産業再配置対策として、工業団地の造成、工場
あと地の買い上げ等の施策を行なうこと、その他輸入自由化対策、エネルギー資源確保のための対策等諸施策を講じようとしておるものであります。
これらの施策は、いずれも重要かつ緊要な措置であり、今後のわが国の
経済社会発展のために果たすべき大きな役割りを持っているものでありまして、その推進に賛意と期待を寄せるものであります。
最後に、防衛関係費について
一言いたします。
本
予算と四次防計画との関係については、本
委員会の
審議劈頭において論議の対象となり、これがため十数日問にわたる
委員会の空転を見るに至り、ついに一部
政府修正が行なわれましたことは、このことに対する判断はいろいろあるといたしましても、ともかく遺憾なことでありました。
防衛のことは、国の安危にかかるまことに重大な、基本的な事項であります。本
委員会においてしばしば論議されたごとく、
政府は、いわゆる
シビリアンコントロールを堅持し、
国民的コンセンサスに立って、防衛の任に当たられることを心から念願いたします。
以上、本
予算案に対し賛成の意を表明いたしました。
なお今回
野党三党から提出された編成替えを求めるの動議につきましては、その財源調達の方法等においてわれわれの絶対承認できない点があり、また歳出についても、そのほとんどがただいま述べました討論の趣旨に反するものでありますので、賛成するわけにはまいりません。ここに反対の意を表明いたします。
これをもって私の討輪を終わります。(
拍手)