○水田国務
大臣 付加価値税の問題は、
わが国の税体系に大きい関連を持つものでございますから、したがって、当面の税制ということではなくて、中長期の課題としていま税制調査会に勉強を願っておりますし、また大蔵省自身でも広い角度から慎重に検討を行なっているという
段階でございます。
そこでいま中小企業からいろいろ反対があるというような
お話でございましたが、私は、いまの状態ではこれは無理がないと思っております。と申しますのは、以前取引高税という税金を実施いたしました。これが非常に先入観となって頭に残っておりますので、また証紙を張ったこういう税金が復活するんじゃないかというふうに思っている人が非常に多いということがまず
一つでございます。まだいままで
日本で実施したことのないことでございますので全貌というものがちっとも示されておりませんので、したがって何だか知らないが、めんどうくさい税金がかかって税が強化されるということなら反対というような先ばしった反対の声が出てきておることも聞いてはおりますし、ある程度またこれは無理からぬことというふうに思われますが、そういうような欠点を全部除去して、
日本の国土に合ったやり方で、
国民がそうめんどうくさがらずに協力できる税制というようなものを、これは時間をかけても
考えなければならない問題だと思います。
で、よく税の逆進性というようなことがいわれていますが、欧州で私
どもが行っても勉強した範囲におきましては、これは所得水準の非常に低い国ではやはり逆進性というような問題が当然論議されるでしょうが、一定の所得水準の国になったらこの逆進性という問題はこれはもうそう支障を来たす問題ではなかろう、問題は何のためにこういう税制がとられなければならぬかということの意義との比較においてこれはもう克服されていい問題であるということが
一つと、それからこの
一つの欠点といいますか何といいますか、付加価値税というものは、もう何%と付加価値税率がきまればきまっただけ、物価はそれだけ上がるということを踏み切らなければできない税制である。これも欧州各国から私
どもは十分勉強してまいりました。これは最終的には消費者に負担してもらう税金でございますから、中間の製造
段階、流通
段階の
人たちがこれを背負うべきものじゃない、これは立てかえるということがあっても自分が負担すべきものじゃない、したがってこの付加価値税をその
段階において吸収してもらおうとかなんとかというようなことを
考えたら、これは税制はできないから、そのまま機械的にそれだけ物価が上がってもいいんだ、こういう仕組みで
考えなければこれは実施できないんだということになりますと、記帳というような問題のむずかしい問題がありますが、これがまた青色申告でもなかなか中小企業に対しては負担になるので、こういう煩瑣な手続が、はたしてこの付加価値税、いまの欧州が実施しているような付加価値税、進歩した形のああいう消費税が実施できるかというと、これはそう簡単にいくとは思いません。したがって、向こうのようなものをそのままこちらに導入してくるということはできませんので、もっとくふうをこらさなければならぬ。
そういうような問題と、それからもう
一つは、これは各国でくれぐれもそれだけはと言って忠告された問題は、この税制というものは、もう
国会が与
野党全部が一致して理解して実施する腹になならなければ実施できない税制である。これほど、たとえば選挙のときに反対しいい税制はない。逆進性とか、やれ税金が上がるぞとかなんとか、理屈をつければ幾らでもつんくで、一方でこれを反対するというような気分がある間は、この負担をするのは
国民でございますから、これはできない。与
野党が、たとえば高福祉高負担のためにこういう間接税をもってこの需要に応じようというようなこと、十分目的から見て、こういう形ならいいというような理解ができてでないとこの税制は実施できない。そのためには、おそらく三年間はそういう問題のためにもかかるだろう。ですからあせらないでゆっくりやって、中小企業者に対しても、ああそういう税制ならばといって納得させるまでの準備がなければできないんだということも私
どもは聞いてまいりましたので、私は、そうだと思います。
そこで、欧州のいまの付加価値税は非常に進んだ形でございますが、
日本においては、欧州があそこまでいく過税をもっと勉強する必要があると思いまして、私はフランスのジスカールデスタン氏に、ひとつ
日本にも勉強するにいい人を派遣してもらいたいとこの前お願いしましたら、四、五日前に返事が参りまして、向こうの主税局次長を
日本によこす、そうして私に協力してくれるということになりましたので、向こうから専門家が来ましたら、私
どもも時間をかけて、合理的な税制ができるように、これは取り組んで勉強したいと思っている
ところでございまして、決して軽率にこれに取り組んでいるわけではございませんし、また、これが簡単なものであるというふうに
考えているわけではございません。