○野田(卯)
委員 第二
分科会の
審査の経過及び結果を御
報告いたします。
第二
分科会の
審査対象は、
昭和四十七年度総
予算中会計検査院、
防衛庁、外務省及び大蔵省
所管のものでありまして、去る三月十八日より二十五日まで休日を除き六日間慎重に
審査いたしました。
まず、各省庁ごとに
予算の説明を聴取した後、
質疑を行ないました。
質疑者は延べ四十九名、
質疑時間は約三十時間余に及び、いずれも貴重な
質疑応答で、
分科会各位の御
協力により円滑に審議を進めることができました。その詳細は
会議録でごらんを願うこととし、その概要を
報告することにとどめます。
防衛庁関係では、自衛隊の基地建設に対し、
分科員から、地元の利用
計画や市町村議会の反対要請についてどのように対処するのか、補償措置や代替地の検討を考慮すべきではないかとの
質疑があり、政府当局より、国防の必要性と地元民の十分な理解のもとに、住民の利益と共存し得る措置を検討しながら円滑に事を運びたいとの
答弁がありました。なお、青森県、
防衛庁技術研究本部下北試験場による補償問題、同県西津軽郡車力村射撃場の用地買収、新潟県魚雷艇基地の建設、兵庫県宝塚市の長尾山演習場の返還要求、大阪府能勢町のナイキ基地建設、八尾市の八尾飛行場からの自衛隊の引き揚げ等について、慎重な検討を行なう旨の
答弁がありました。
また、基地提供用地の賃貸借契約について、二十年を経過した今日、民法第六百四条による再契約の取り扱いについて提供地生の了解が必要であり、この点をどのように考えるかとの
質疑に対し、政府当局は、なるべく円満に再契約をお願いするとともに、その方法等を含め、
関係省庁と協議を行なう旨の
答弁がありました。
さらに、一例として、所沢基地返還に伴い、防衛医科大学校の設置に関連し、地元の反対特に医師会等の
協力等について
質疑があり、政府当局より、自衛隊の医官養成とともに病院、研究所等を建設し、病院は一般市民の診療と開業医師のこれが利用を含め、でき得る限り開放的な方途で活用をはかりたい旨の
答弁が行なわれました。
その他、米軍基地等の問題としては、キャンプ朝霞の利用状況と返還、グランドハイツの返還と従業員、メイドの処遇問題、横須賀の米軍鑑船修理部のドック返還問題、水戸射爆場の返還、
山田弾薬庫の返還とあと地利用、福岡県芦屋射爆場の返還、神奈川県への米陸軍調達事務所の移転、東京湾区の米軍ヘリポートの移転、北富士演習場の返還問題等、いずれも地元側の要望が述べられ、政府当局との間に
質疑が行なわれました。
なお、福岡県春日町陸上自衛隊駐とん地において、配送業務に従事する郵政外務職長と自衛隊員の間にトラブルが生じた問題について
質疑が行なわれましたが、この件について、
分科員の所属する党より、現地に
調査団を派遣する旨の発言がありました。
以上のほか、新
島本村前浜海岸における漂流弾丸め爆発事故の取り扱い、陸上自衛隊富士学校の遊就館の運営を含む教育のあり方、自衛隊機と民間航空との
協力体制、那覇空港の返還問題、
沖繩の自衛隊配備
計画と国防
会議での検討等々、多くの点についても
質疑が行なわれました。
次に、外務省
関係では、流動する国際情勢に対処するため、外務省の機構充実を含め、国際外交に対処する必要性が述べられ、特に職長の充実、休暇帰国制度の
改善、在外公館員の宿舎の確保等について
質疑があり、政府当局より、外務省職員の定員は諸外国に比べ数も少なく、休暇帰国は四年に一度の割合であり、今回三年に一度程度に改正を予定しており、少しずつでも他国並みの水準へ近づけたい旨の
答弁がありました。
また、経済
協力のあり方について、機構の整備とわが国の諸外国に対する経済援助の内容の充実について
質疑があり、これに対し、政府当局より、平和外交の推進のためにも今後は経済援助の質的充実をはかり、今回はその一環として、国際交流基金の設置を含め、経済
協力の実をあげたい旨の
答弁がありました。
日中問題については、最近、中国友好代表団の来日に際し、国内において不愉快な印象を与えるような行動が見られたが、入国の取り扱いや、警備その他の点で十分配慮がなされるよう要望があったのに対し、政府側より、日中国交回復の前提のためにも十分慎重に本問題に対処したい旨の
答弁がありました。
日ソ問題については、平和条約締結のための交渉時期、交渉代表はどうなっているか、領土返還と、同
地域に対し非武装宣言をする考えがあるか等について
質疑が行なわれ、政府側より、秋より年末にかけて平和交渉を開始したい。交渉代表はまだ検討の段階であり、交渉の際には、各党と党首会談の機会を持つつもりである。北方領土に対する非武装宣言については、交渉前の段階では、推察にまかせる旨の
答弁がありました。
日米間の事前協議の問題について、核を対象とする日米安保協議
委員会の開催見通し、事前協議の具体的取り扱い等について
質疑があり、政府当局より、日米安保協議
委員会については、
予算成立後の早い機会に開催を考慮する旨の
答弁がありました。
沖繩関係については、那覇空港の返還は、復帰日における返還が
予算成立との
関係でできないこと、全軍労ストについては、現在日米間で最高の政治的判断を要する時期に達しているので、これが解決に一そうの努力をしている旨、
質疑を通じて
答弁がありました。
その他、核兵器の撤去費、日中国交正常化のための考え方、尖閣列島の領有権問題、マラッカ海峡の航行と領海権等について
質疑が行なわれました。
大蔵省
所管では、多くの
分科員から、国有地の払い下げとその対策について
質疑があり、特に米軍
施設返還に伴うあと地利用、たとえば王子キャンプ、
山田弾薬庫、福岡地区の米軍
施設や万国博のあと地利用等の諸問題が提起され、地元の
計画に沿った公園緑地等、住民福祉の立場に立った措置の要請がなされました。これに対し、政府当局より、都市及びその周辺の国有地については、三月十日の国有財産中央審議会の答申を尊重し、できるだけこれを公共用地に利用し、都市再
開発に寄与させるとともに、国有財産の効率化につとめる旨の
答弁があり、その他、万博あと地については、独自の評議
委員会により利用
計画を定めることとし、また米軍
施設については、解除の方向で検討中のものも二、三あるとの
答弁がありました。
さらに、専売公社の
関係についても多くの質問があり、その中で、刻みたばこの生産、販売の現況について、数名の
分科員から、できるだけ入手しやすい方途を考慮することが老人対策上からも望ましい旨の発言があり、公社側より、生産
計画と販売範囲の検討をする旨の
答弁がありました。
その他、暫定
予算の規模と方針、那覇空港の返還に伴うP3Bの移転経費、第四次防と四十八年度防衛
予算、立川基地への自衛隊移駐と暫定
予算の
関係、財政投融資
計画の
国会承認、国有林野
事業特別会計の抜本対策、
沖繩の円・ドル交換、在
沖繩の米国資産引き継ぎ、郵便貯金の小口金融、国民福祉につながる金利政策、外貨の有効活用と円の再切り上げ、歩積み・画建ての
調査、円・元決済、台湾における日本の債権の取り扱い、日韓経済
会議と中国に対する姿勢、物品税の改正、徴税執行上の申告税の割り当て徴収、交際費課税のあり方、税収見積もり、租税負担と税制との
関係、生命保険会社、証券会社、商品取引所の外務員による取引事故防止策と紛争処理の適正化、地方公共団体による市街地再
開発事業問題、物統令の廃止と米価問題、特定業種への融資と地価高騰との
関係、林野
事業従事者の処遇
改善等の
質疑がありました。
専売
事業関係については、たばこの火災とたばこの形状の検討、葉たばこの病虫害対策と補償措置、
沖繩の葉たばこ、製塩
事業の助成措置、専売公社倉庫の移転、たばこ配送
事業のあり方、専売納付金の目標と実績、たばこのニコチン含有量等の表示、輸入たばこの値下げ、たばこ乾燥室の助成措置、中国葉たばこの輸入等について
質疑が行なわれました。
最後に、会計検査院
関係では、国有地の貸し付け状況、特に名古屋市における平和公園内のクレー射撃場の貸し付けについて、国有財産法第二十二条にいう無償貸し付けの契約目的に違反していることに対する名古屋市、大蔵省、会計検査院の措置に対し、今後とも十分なる措置を講じ、これが市民の公園としての機能が十分に発揮されるよう要請がなされたのであります。
質疑終了後、
分科会の討論、採決は本
委員会に譲ることと決定いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(拍手)