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1972-03-13 第68回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十三日(月曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 瀬戸山三男君    理事 大坪 保雄君 理事 田中 龍夫君    理事 二階堂 進君 理事 細田 吉藏君    理事 阪上安太郎君 理事 辻原 弘市君    理事 鈴切 康雄君 理事 小平  忠君       足立 篤郎君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    植木庚子郎君       小川 半次君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    仮谷 忠男君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       田中 正巳君    中野 四郎君       灘尾 弘吉君    根本龍太郎君       野田 卯一君    橋本龍太郎君       福田  一君    松浦周太郎君       松野 頼三君    渡辺  肇君       安宅 常彦君    石橋 政嗣君       小林  進君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    原   茂君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       大久保直彦君    鶴岡  洋君       林  孝矩君    矢野 絢也君       佐々木良作君    和田 春生君       谷口善太郎君    東中 光雄君       不破 哲三君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         大蔵省主計局長 相澤 英之君         大蔵省関税局長 赤羽  桂君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   草野一郎平君     渡辺  肇君   安宅 常彦君     石橋 政嗣君   正木 良明君     鶴岡  洋君   吉田 之久君     佐々木良作君   谷口善太郎君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     安宅 常彦君   佐々木良作君     川端 文夫君   不破 哲三君     谷口善太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度一般会計予算昭和四十七年度特別会計予算昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、防衛庁長官から発言を求められております。これを許します。江崎防衛庁長官
  3. 江崎真澄

    江崎国務大臣 沖繩航空自衛隊物資輸送いたしました件につきまして、いろいろ疑義が生じております。したがいまして、その経過調査いたしました結果、ここに御報告を申し上げたいと思います。  沖繩施政権返還に伴いまして、その局地防衛の責務を負うべきことは、すでに沖繩国会等において明らかにしてまいりましたとおりであります。したがって、自来沖繩への自衛隊部隊配備につきましては、部内で検討を続けてまいったのでありまするが、昨年の沖繩国会において御審議をいただきましたいわゆる久保・カーチス取りきめにも示されておりますように、沖繩復帰後、逐次所要自衛隊部隊配備することが政府方針であります。このことはまた、過ぐる二月七日に国防会議決定をされましたいわゆる四次防の大綱の中でも確認をいたしておるところであります。したがって、防衛庁といたしましては、部隊配備計画を立て、また、昭和四十六年度及び昭和四十七年度予算におきまして、部隊配備とその準備に必要な経費を計上し、さらに本年二月以降、準備要員として約百名を派遣することで準備業務を進めてまいったわけであります。この準備要員百名の取り扱い長期出張、こういう形で、その経費昭和四十六年度の予算で計上をいたしておるものであります。  このたび問題となりました航空自衛隊の約二百名分の物資輸送も、したがってこのような準備業務の一環として行なわれたものであります。  その物資内容につきましては、兵器以外の車両であるとか寝具であるとか事務用口等であります。また、これを運搬する運搬具等、数量的には、準備要員のもの以外に、今後配備される部隊のための物資も含まれていたのであります。これは復帰日以降早い機会に最小限部隊配備されることになる場合に備えて、少数の準備要員が事前に参りまして、これらの物資をあらかじめ使用に供することができるように準備をしておく、そういうものを送ったわけであります。  もともと防衛庁としましては、部隊配備、これは部隊の編成とか具体的な張りつけ、配置と申しますか、そういう問題につきましては防衛庁内局の起案するところであります。そうして、私、防衛庁長官命令によって執行されるものでありまするが、以上申し上げましたような物資輸送につきましては、部隊配備に付随する準備業務ということで、各幕僚長の権限に属する事項ということで、直接内局が指図をするという形にはなっていないものであります。  このたびは、たまたま米施政権下にある沖繩への輸送であるということから、通関業務等に関する大蔵省の折衝であるとか、そういうような面におきまして、装備局管理課長協議があったことは事実であります。ところが、送りつけまする内容の品目が差しつかえのないものであるというわけで、琉球政府側の了承も得まして、無為替輸出というような取り扱いでこの手続がなされてまいったわけであります。  ところが、沖繩への自衛隊部隊の具体的な配備につきましては、事柄が重要であり、国防会議議長である首相からも、慎重を期する上から国防会議を開いてこの部隊配備決定をしていきたいという強い御要望もあり、批准書が明後十五日に交換されるというようなこともありましたので、本来ならば明十四日閣議後に国防会議を開いて、そしてそれにかけようというような所存で、防衛庁側としては手順を進めておったこと、これも事実であります。したがって、部隊の規模や配備の構想、具体的なその時期等については当然国防会議にかけることが適当である、こういう判断に立つものであります。この点から申しますれば、沖繩への部隊配備基本方針がありまする以上、その準備のために最小限物資輸送するということ自体は、準備行動として必要であると言えないことはないと思いまするが、しかし、重要な点は、沖繩が旧軍に対するイメージが残っておりまして、自衛隊配備についていろいろ議論がある。そのときに、今日、配備の段取りについて国防会議に十分審議された上部隊配備にかかる物資輸送を行なう、こういうことのほうが望ましかった、いかにも一その点配慮に欠けるところがあった、この点は遺憾に思っております。したがいまして、そのことを承知いたしますと、私は直ちに、内局の幹部と協議の上凍結命令を出したわけであります。自今この荷物につきましては私が直接管理をするという立場凍結をいたした、これが今回の沖繩自衛隊関係物資輸送いたしました経過のあらましであります。御了解を願いたいと思います。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 ただいまの防衛庁長官発言に対し質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、石橋政嗣君
  5. 石橋政嗣

    石橋委員 さきに四次防が決定を見ないうちに、その初年度分が四十七年度予算案に計上されておるという問題が判明いたしまして、国会空白状態をつくりましたし、非常に大きな波紋を呼んだことは、私がいまさら申し上げるまでもないことであります。その中でいろいろなことが問題になったわけですけれども一、やはり一番中心に据えられた問題は、いわゆるシビリアンコントロールの問題であったと思うのです。最終的に議長のあっせんで事態が収拾されたわけでございますが、その際にも、今後は文民統制という意味で何らかの措置を講ずるようにという一項目があったことも、問題の中心がどこにあったかということをよく示しておると思います。  ところが、まだそれから幾日もたたないうちに、ほんとうシビリアンコントロールというものが機能しているのかどうかと疑わせるような問題が相次いで起きておるわけです。いま御説明がございましたこの沖繩への自衛隊要員と資材の搬入問題もそうでありますし、また立川の基地に深夜こっそりと自衛隊を移駐させたという問題についても一疑問が生じておりますし、衣笠統幕議長がサイゴンを訪問したということについても、一体最高の責任者である総理防衛庁長官がどの程度これを把握しておったのかという点で問題が出てきておるわけです。国民はこういう一連行動を見て、自衛隊防衛庁は何をしているのか、政府は一体ほんとう統制をきかしておるんだろうか、非常に憂えておるものと私は思います。私たち自身もなぜこのような疑問が生じるのか、考えようによっては無法と思われるようなことが次々にまかり通っていくのか、非常に疑問を持っておるわけです。ほんとうにいまこそこの問題真剣にお互い考えなければ、日本を再び誤らせることになるのではないかと実は思っております。私たち責任を追及する、あなた方が責任を回避して逃げ回るというようなことで済ましてはたいへんな問題になると私は思います。そういう態度ではなく、ひとつ真剣に、なぜこのような疑いを持たれるような事件が相次いで起きるのか、それを正すためにはどうしたらいいのかということを考えながらひとつ私もお尋ねいたしますから、総理長官も、そういった真剣な立場でまじめにお答えを願いたいと私は思います。  いまさら申し上げるまでもなく、社会党の立場は、自衛隊違憲存在としてこれを認めておりません。もともと違憲存在である自衛隊というものをコントロールするということ自体がむずかしいのではないか。第一、国の基本法たる憲法に、このコントロールするというようなことにかかわる事項というのは何にもないんです、軍隊そのものを想定しておりませんから。しかし、だからといって、あんなものは憲法違反だから認めないといって済まされない。百歩譲って現実にある自衛隊をどうしてコントロールするかという議論をしようというんですから、あなた方もひとつ十分にそのことは理解して対処していただきたいと思います。  非常に与えられました時間が限られておるようでございますから、あれもこれもとお尋ねをすることができないわけでございますが、いま説明のございました問題からまずお尋ねをしてみたいと思うのです。すなわち、沖繩に対する自衛隊要員派遣物資輸送、このことについては、全般的に防衛庁長官は掌握しておられたのですか。少なくとも私たちは、新聞報道その他を見ておる限りにおいてはそのように思えません。途中で態度が変わったような印象すら受けております。これは私たちだけではないと思います。国民のすべてがそういう疑惑を持っていることは事実です。もしあなたがほんとうにこのことについて完全に掌握しておったならば、あのような混乱はなかったはずです。  まず最初お尋ねしたいのは、この準備作業か何か知りませんけれども、一連要員派遣なり物資搬入の問題については確としたる計画が立てられており、その計画については防衛庁長官が完全に承認を与え、把握しておったのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お尋ねの点につきましては、もちろん昨年の沖繩国会以来の問題でありまするので、準備要員九十九名、このうち航空自衛隊の場合は五十三名でありまするが、これが準備要員として沖繩に行く、このことについては十分承知をいたしておりました。また、復帰後最も早い時期に沖繩にどういう陸、海、空を配備するか等々の問題につきましては、防衛庁原案というものはもちろんありまするが、これは議長である総理の御意思もありまして、国防会議において最終的に具体的な配備計画決定していただきたい、このように考えておりました。
  7. 石橋政嗣

    石橋委員 そうしますと、国防会議に具体的な派遣計画というものがかけられない限り、政府としての確たる計画はないというふうに見て差しつかえないですね。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、昨年の久保カーチス協定もございまするし、沖繩審議過程におきまして、しばしば防衛庁側としての原案を御説明の資料として申し上げてきたことは御承知のとおりであります。
  9. 石橋政嗣

    石橋委員 それじゃ私は総理お尋ねしたいと思うのです。  久保カーチス協定もあってもう方針は確定している、計画はもうちゃんと確定している。確定しておるということと国防会議にかけてきめるということと、どうつながるんですか、その辺が私にはよくわかりませんが。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国防会議に付すべき事項、それはもちろんかけなければならないと思います。また、ただいま言われておる点がたいへん、どこまでを国防会議にかけるか、これは議長そのものがきめるべきことだと思いますが、具体的にはまだまだずいぶんきまっていないものがございます。たとえば、三千二百名あるいは三千三百名というようなものは前国会できめてはございますが、さらにそれをどういうような時期にどういうような方法でというようなことは、これはやはり沖繩県民感情をも十分理解を得るためにわれわれが努力しなければならない、かように思いますので、それらの点についてはもっと詳細にかける必要がある、かように私は思っております。
  11. 石橋政嗣

    石橋委員 総理はそのように一貫してお答えになっておるわけです。最初に参議院でお答えになったときの速記録も私持ってきておるわけですが、だからそれはそれなりにわかるわけです。県民感情も考慮しなくちゃならない。国防会議にかけるべき事項としての第五項目、「内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に該当する問題だという御判断をなさったわけなんだ。だから、これからかけるとおっしゃることは理解します。ところが一方において、いま江崎さんに尋ねたら、もう大体かけなくても全部方針はきまって、計画もできているようにお答えになっている。そこに食い違いがあるんじゃないですかと私、聞いているわけなんですよ。
  12. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、食い違いはないと思いますが、要するに防衛庁案なるものは、審議過程防衛庁案としてお示しをして御審議に供したわけであります。ところがその問題の重要性にかんがみて、やはり国防会議の議を経て具体的配備については最終的な決定をしていただくことが望ましい、このように私どもも思って、この委員会においても答弁をいたしてきた次第でございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋委員 防衛庁案というものでそれじゃどんどん作業を進められるわけですか。正式なものは国防会議にかけて初めてでき上がる。いまあるのは防衛庁案だ。ちょうど、これは、四次防と四十七年度予算と同じような状態になってきたじゃありませんか。まだ国防会議にかけてないから正式のものは政府として持ってないが、防衛庁の案がある。その案を先行させて準備作業をどんどん進めているのですか。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっとその辺誤解があるように思うのでございますが、これは、政府方針はすでに久保・カーチス取りきめですね、これがきまっておるわけで、これは政府責任において認めておるわけです。したがいまして、大体復帰後半年以内に三千名程度のも一のは、三千二百と当時説明しておりましたが、一口に言ってその程度のものは配備するという基本方針はきまっておる。しかし、具体的に復帰時点で何百名にするのか、そして半年以内のテンポをどのように運んでいくのか、これはやはり国防会議において具体的に確認をしていただくこと、決定をしていただくことが必要である、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  15. 石橋政嗣

    石橋委員 これはだれが聞いてもちょっとわからないんじゃないですかね。防衛庁長官のお話でいくと、もう久保・カーチス取りきめもあることだし、政府方針はもうきまっているのだ、半年のうちに三千三百人送り込むことも、もうこれは義務づけられているのだ。それ以上に何をそれじゃ国防会議にかけるのですか。
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 沖繩県民感情も一配慮したり、またそのいろいろな事情を勘案して総理国防会議にかける、こういうことを言っておられまするので、復帰の、五月十五日の時点で一体何名ぐらいにしていくのか。それから半年以内に約三千名と言っておりまするが、そのテンポは一体どういうふうにいくべきか、陸、海、空の配分はどうすべきか、これは防衛庁の、原案に基づくわけでありまするが、そこで削減をされたりあるいは原案配置日が延期されたりとか、そういうことはやはり国防会議でやる。しかし、沖繩復帰時点配備をするということは、これは二月七日の国防会議における大綱で、沖繩部隊配備してその部隊を整備するということで確認をいたしておりまするので、準備作業に入ることは、これは私、国防会議の面からいいましても一疑義はないように思っております。
  17. 石橋政嗣

    石橋委員 久保・カーチス取りきめの中で、初期においては、返還の日後六カ月以内に日本国は三千三百人に近い下記の各部隊配置するとして、陸上自衛隊司令部一、普通科中隊二、航空隊一、施設科中隊一、補給中隊一、その他、海上自衛隊基地隊一、対潜哨戒機隊一、その他、というふうに全部規定されているのですよ。それじゃ国防会議にかけてこれを変更することもあり得るわけですか。県民感情その他を考慮して、この取りきめを修正することも、手直しすることもあり得るという前提でございますか。これは総理お尋ねいたしましょう。
  18. 江崎真澄

    江崎国務大臣 あとから総理にはお答え願いますが、これは沖繩国会でも申し上げてまいりましたが、取りきめですから、したがって、事情の変化によっては多少の変動はある、こういうことでずっと沖繩国会でも御答弁を申し上げてきたところでございます。
  19. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いわゆる国際協約、そういうようなものではございませんから、久保・カーチス取りきめ、これはもちろん変更はある、かように御了承いただいてさしつかえございません。
  20. 石橋政嗣

    石橋委員 それなら一応それなりに理解できます。ところが今度逆に新しい問題が出てくるわけですね。それじゃまだ政府の案はきまってない。防衛庁の案はあるかもしれぬけれども、政府の案はきまってない。国防会談にかけて正式にきまる。その段階では久保・カーチス取りきめというものが修正されることもあり得る。わかりました。  まだきまってもおらないのに、どうして準備作業ができるのですか。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは御承知のとおり二月七日の四次防大綱におきまして、その二項の七号に「沖繩施政権返還に伴い、同地域の防衛を担当するとともに、災害派遣その他の民生協力を行なうため、所要部隊を整備する。」こういうこうで根本方針国防会議においてきめておりまするので、準備行動というものはこれによってカバーされる、そういう見解でございます。
  22. 石橋政嗣

    石橋委員 所要部隊を整備するというのはどういう意味ですか。これは沖繩配備するという意味ですか。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりでございます。
  24. 石橋政嗣

    石橋委員 これをつくるときに、そういう前提であなた方はおつくりになったのですか。そうすると、またいまお答えになったことと矛盾を来たしてくるのじゃないですか。それじゃもうこれは国防会議にかけた、こういうことじゃないですか。
  25. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは御承知のとおり基本方針決定したわけでありまして、しかも準備要員については四十六年度予算でこれをまかなっておる、御審議を経たものであります。したがいまして、今後具体的に復帰の五月十五日の時点以降の配備、隊員の張りつけ等につきましては、これは国防会議で詳細にきめていただこう、こういうわけでございます。
  26. 石橋政嗣

    石橋委員 だから、いま四次防の大綱というのをあなたお持ち出しになった。これに準拠してやっているのだとおっしゃいますけれども、これに準拠してやれないわけですよ。まだ具体的にどういう形で配備するのかはさまってないじゃないですか。配備計画はないじゃないですか。その配備計画を近いうちに国防会議を開いて策定しようというのでしょう。それがなければ進められないじゃないですか、作業は。前面的に修正されるかもわからないのですよ。
  27. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それは基本方針はもうきまっているわけですから、五月十五日のときに自衛隊配備がゼロということは、これはあり得ないので、こういうことで配備をしていくという基本方針がきまっております以上、準備に入った、こういうふうに御理解願いたいのでございます。
  28. 石橋政嗣

    石橋委員 どういうふうにして配備するかということは、これから国防会議を開いてそこできめようというのに、まだ計画もできてないのにどうして準備作業ができますか。どこにどういう部隊を何人持っていくかというのは全然きまってないのですよ、政府の案は。それでいてどうして準備作業ができるのですか。だれにでもわかるようにひとつ説明してくださいよ。
  29. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは施政権返還を控えまして準備に入ることは、これはしばしば沖繩国会等でも皆さまの御審議に供し御了解を得たつもりでございます。そして沖繩自衛隊配備に直接あたっての調査準備、特に自衛隊に対する疑問がありとしますならば、そういった雰囲気をある程度感知することも、これはやはり準備要員としては必要であります。いろいろな意味を含めて準備をさせるための派遣である、こういうふうにわれわれは考えております。
  30. 石橋政嗣

    石橋委員 最初に要望したのですけれども、やはりほんとうにまともにものを考えようとしておりません。何とかして言いのがれをしようという態度です。あなたがそういう態度である以上、私は具体的ないま起きておる問題を取り上げてお尋ねをせざるを得ないと思います。  先ほども、すでに那覇の港に持っていった物資防衛庁長官の手によって直接管理する、いわゆる凍結ということばを新聞では使っておりますが、凍結することにしたとさつき御報告なさいましたが、この事実は間違いございませんか。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 間違いございません。
  32. 石橋政嗣

    石橋委員 それは不適当な行為だったからでしょう。
  33. 江崎真澄

    江崎国務大臣 準備要員分だけを送っておけばまさに問題はなかったと思います。しかし、この準備要員が参りまして、いつでも配備につけるように準備作業をするという考え方で持っていったわけです。人数を多く持っていったそのこと自体は、私、適当であるとは思いません。
  34. 石橋政嗣

    石橋委員 一つそこで問題が明らかになりました。あなたのいまの説明お答えでは、準備要員の分だけ持っていけばよかったけれども、本部隊の分まで持っていったからこれは不適当、だからそれは凍結する、こういうことですね。百歩譲ってその点だけいま確保しておきましょう。  そうすると、その不法な、あなた方の意向を無視してかってに輸送した分については直ちに持って帰らせますか。
  35. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはいまは外国扱いでやりますので、大蔵省等協力も得て、無為替輸出というようなことで向こうに持ち運んだものでございます。しかも一また、これを微細に調査してまいりますと、この、五十三名の準備要員というものが、準備一つ段階としてそれらの物資準備しておく、使用に供することが直ちにできるように準備しておく、こういうものであったわけであります。しかし、いま申し上げたように、数量以上に持っていくということはこの際好ましいことと思いませんので、凍結をしたわけでありまして、無為替輸出で出しましたものを行きつ戻りつということも非常に琉球政府、関連機関にも迷惑をかけることでありますから、厳重に凍結をするということで今後処していきたい、このような機宜の措置をとったわけでございます。
  36. 石橋政嗣

    石橋委員 承服できません。先ほどから問題にしているのは、総理大臣や防衛庁長官国会国民に向かってどのように答えようと、説明しようと、責任を負おうと、その言うこととはおかまいなしに、いわゆるユニホームが自分のかってな判断でこういう行動をするということが問題になっているんですよ。ささいなことなら、この程度のことならばといって容認するような習慣をつけて、あなた方のいうシビリアンコントロールというものが確立するのですか。アリの一穴ということもあるじゃありませんか。そういうささいなことからきびしく正していってこそ、ほんとうにコントロールができるのです。この程度のことだからいいだろうなどという、そういう態度をとって、どうしてシビリアンコントロールができますか。私は容認できません。
  37. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点につきましては、私どもも反省するところがあると思います。しかし、兵器であるとか部隊具体的配備というものは、これは内局側が起案をし、そして厳重な監督をするわけでありますが、そういう寝具であるとか食器であるとか、そういう日常の物資であります。したがいまして、大蔵省等にも協議をし、大蔵省側でもこういうものならよかろうという了解に立ってこれが行動に移されたわけでありまして、そういう部隊の付属部品等々につきましては幕僚長以下に従来権限をまかせておった。それじゃあの当時の発表と違うではないか、まさにそのとおりでございます。実はあれをわれわれが承知いたしましたのは夜の九時過ぎの段階でありまして、たまたま航空幕僚長は出張をしておる、直接これに関係をした装備局局長及び管理課長等々もいないというようなことで、一応次官も知らない、防衛庁長官も知らないというので、正直に率直にその事態を新聞記者団に対しても世間に対しても御説明をしたというのが真相でありまして、直ちに出張先からそれぞれを呼び戻しまして詳細調査した結果が、先ほど御報告を申し上げたような順序である、こういうわけでございます。
  38. 石橋政嗣

    石橋委員 私は、直ちに本土に持ち帰ることを要求いたしたいと思います。同時に、そのような行為を行なった者についての責任を明らかにしていただきたいと思います。そして、断固たる処置をとっていただきたいと思います。この点についてのお答えを願います。
  39. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この点等につきましては、目下十分きびしい態度調査に臨んでおります。
  40. 石橋政嗣

    石橋委員 これは引き続きまた同僚各委員からも質問がございますし、私は次の質問に移りたいと思うのです。  それは、沖繩というのはまだ五月十五日に施政権が返還されるとはいいながらも、アメリカの施政権下にあるのであります。その地域に自衛隊派遣するということが、そんなにお手軽に行なわれていいものでしょうか。施政権が何カ月後に返ってくるからということだけで、手軽に自衛隊員が派遣されていいものであるかどうか、この点についての見解をお尋ねいたします。
  41. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは久保・カーチス取りきめ以来アメリカ側とも十分了解の上に立っておるわけでありまして、その具体的な準備に入る要員等が参りますことについては、これは暮れの沖繩国会以来しばしば御了解を得ておるところでございます。
  42. 石橋政嗣

    石橋委員 施政権下にある現在、自衛隊の要員などを派遣するということについて、どこでどういうふうに取りきめられておりますか。
  43. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その意味ですが、いわゆる久保・カーチス取りきめという基本方針ですね。これを踏まえまして、準備要員をこの程度こういうふうに派遣するということは、米軍側にもランパート高等弁務官にも文書をもって了解を得ておりますし、琉球政府に対してもそういう連絡は部署部署においていたしておるわけでございます。
  44. 石橋政嗣

    石橋委員 久保・カーチス取りきめはまだ確定したものではございません、先ほどから何度もお答え願っておりますが。しかし、それにしても、久保・カーチス取りきめのどこに復帰以前の派遣についての取りきめがございますか。
  45. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それには事こまかにもちろん指摘してないことはお説のとおりであります。ところがすでに施設庁の要員が、公用地等を暫定使用するためのあの法案に基づいて、地主等との契約その他で掛帳いたしておることは御承知のとおりであります。したがいまして、そういうことは琉球政府、また施政権者であるアメリカの高等弁務官、その機関等々と詳密の打ち合わせ、了承を得て準備に入っておるというわけでありまして、部隊の本隊が配備されたということではありませんので、この点はひとつ御了承を願いたいと思います。
  46. 石橋政嗣

    石橋委員 あなた、都合のいいときに都合のいいことばかりおっしゃいます。先ほどは四次防の大綱の中で、「沖繩施政権返還に伴い、同地域の防衛を担当するとともに、災害派遣その他の民生協力を行なうため、所要部隊を整備する。」この項目によってやっておりますと言ったでしょう。じゃ、この整備するというのは配備すると同じですかと言ったら、同じだとおっしゃったでしょう。間違いないですね。
  47. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私の申し上げたのは、国内的な手続、了解としては、準備行動に入るのはその条項でカバーをいたしました。しかし、事こまかに人員を張りつけ、具体的な配備については今後の国防会議にまちますと、こう申し上げたつもりでございます。(「配備すると言った」と呼ぶ者あり)いや、そう申し上げたつもりですが……。
  48. 石橋政嗣

    石橋委員 私は念を押したのです、整備と書いてあるじゃないですかと、沖繩配備するとは書いてないじゃないですか、この整備というのは配備と同じですかと私が言ったら、そうですとおっしゃったのですよ。私はそれだから問題だと指摘したんです。そうしたら、今度は、配備するわけじゃないんだ、そういうのを詭弁というのですよ。どちらかが無理なんです、それは。無理なんです。配備なんですか、配備じゃないんですか。
  49. 江崎真澄

    江崎国務大臣 配備基本方針をきめたことにはなると思います、これは。しかし、配備の具体的な数は重要問題と考える、県民感情もあわせ考慮して、国防会議にかけたい、これが首相の考え方であるというふうに理解をいたしております。したがって、配備基本方針はきめておるということを申し上げたように思いますが、ことばが足りませんでしたら、あらためてそういうふうに御了解を願いたいと思います。
  50. 石橋政嗣

    石橋委員 そうすると、すでに準備要員として配備が行なわれておるのですよ。そうしなければつながらないのです。これは従来の自衛隊員がちょっと行くというのと違いますよ、性格は。先遣隊がすでに配備されつつあるのです、そうすればつながりますよ、いまのあなたの説明は。どうなんですか、今度は違うんですか、配備じゃないんですか。
  51. 江崎真澄

    江崎国務大臣 本部隊具体的配備基本方針をきめたわけでありまするから、準備要員が行ってその準備行動準備作業にかかるということはこれはこの七項によって十分カバーされておる、こういうふうに理解をしておるわけであります。
  52. 石橋政嗣

    石橋委員 アメリカの施政権下にある沖繩自衛隊員が行くということは、将来の配備というものを前提にして行くということに、ことばを私、変えてもいいですよ。相当重要な意味を持っておることは、あなたお気づきでしょうね。お手軽に考えているわけじゃないでしょうね。
  53. 江崎真澄

    江崎国務大臣 よくわかっております。
  54. 石橋政嗣

    石橋委員 そうしますと、日米間のどのレベルで、どういうふうな話し合いが行なわれた上でいまの準備作業とやらが行なわれているのですか。
  55. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その詳細については、政府委員からお答えをさせます。
  56. 久保卓也

    久保政府委員 久保・カーチス取りきめによりまして、政府のおおよその方針はできておるわけでありますが、具体的な準備のやり方といたしましては、大使館におりまするカーチス中将と私が中心になって、あとワーキンググループをつくりまして、在日米軍司令部、それからわがほうの陸、海、空の幕僚監部の関係者との間で打ち合わせが逐次進められておりまして、その結果のあらわれが準備要員の現地派遣であり、各種の準備業務であります。
  57. 石橋政嗣

    石橋委員 復帰後に日本の施政権下に戻った段階自衛隊員を派遣するということ、そのことについてすら国防会議にかけるほどの重要事項だと総理お認めになっている。それなのに、施政権はまだアメリカにある、そういうときに自衛隊員が、準備行動であろうと何であろうと出かけていく、配備前提にして派遣されていく、それがあんなレベルのところの話し合いでがちゃがちゃっと片づけられて済む問題ですか。あなた、重要な問題と認識しているとおっしゃったじゃないですか。
  58. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もちろんこれは重要な問題ですから、一々報告を受けておること、もとよりでございます。  それから、五月十五日に施政権が戻る、その時点沖繩自衛隊を、何がし以下を——まあ数百名と言っております、防衛庁原案では約六百名と、こう言っておりますが、その程度のものを配備する、その数はともかくとして、具体的な内容はともかくとして、部隊配備するということは二月七日の国防会議でその基本方針がきまっておるわけでありまするから、したがってその準備作業準備行動に入ることはこれは当然必要である。しかもまた自衛隊配備については、昨年暮れの国会において御審議に供したとおりでございます。
  59. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 アメリカの施政権下にあるところへ、よしそれが兵器でないにしろ、自衛隊の日用品、いわゆる寝具その他、炊さん用具、用品、そういうものを送るということは私は重大だと実は思って、とにかく施政権が返ってきた後でも沖繩の方の感情十分理解しなければいかぬが、その前の段階にこういうことが行なわれるということは重大なことではないか、だからよくその実情を調べろ、こういうことをまず言いつけたのでございます。大体いままでのところでその実情のわかったところ、これは通産、大蔵当局等とも十分連絡をとり、そしてこのものならばそれを送っても差しつかえない、こういうような結論を得たようでございまして、私はいま御指摘になること、それ自身が私どもにもたいへん重大なことであった、かように思いまして十分調査した次第でございます。それが先ほど防衛庁長官から説明しておるそのものでございます。
  60. 石橋政嗣

    石橋委員 私は、いまだアメリカの施政権下に置かれている沖繩に、総理はいま物資だけをあげられましたけれども、いわゆる先遣隊の形で要員が行っているのです。これがどのように重要な意味を持っているかということをもう一度考えていただきたいと思う。まだ沖繩はアメリカが各国と結んでおる相互援助条約の共同防衛区域なんですよ。そこに自衛隊員が行くということがどういう意味を持っているかということは、私があらためて繰り返すまでもないと思います。実際に沖繩に対する武力攻撃があった場合には、合意議事録によってほんに限られたものだけが承認されている、その程度なんです。これは条件は変わってないはずです。それをしっかりした政府レベルで話し合うんではなくて、そんな下のレベルにまかしておいてどんどん作業を進めさせていいものかどうか、そういうことをやっているから間違うんですよ。今度のような間違いを起こすのです。そう思いませんか、長官
  61. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはいいかげんにしておるとはゆめにも思っておりません。少なくとも十五日に施政権が返ってまいります。その施政権が返ってまいるときには数百名の自衛隊を、これは日本の領土になるわけですから配備をする、こういう基本方針があるわけでございまして、これは国防会議でもきめられておるわけでありまして、そうすると準備要員全然なしで十五日から直ちに自衛隊配備する、そんなことになればそれこそ県民感情にも沿わないことになるでしょうし、また不測の事態が起こりかねないと思います。したがって、やはりあらかじめこの数百名の部隊を受け入れるための準備行動準備作業、そういったものが行なわれることは必要であるというわけで長期出張の形で現在は出しておる。これが真相でございます。
  62. 石橋政嗣

    石橋委員 立川の基地に暗夜ひそかに移駐するという態度、これと今度の沖繩への派遣物資の搬入というものとは同じ精神から出ているのですよ。ここでは皆さん国民感情だ、国民感情だとおっしゃるけれども、実際にはもう反対されようと何しようとおれたちがきめたとおり実行するのだ、問答無用という態度じゃないですか。ここでやりとりしているときにはじっくりと話し合いをいたします、説得し、納得してもらいます、そうおっしゃりながら、全然そんなことをやる気がない。あなたたちはやる気があるかもしれないけれども、それじゃ制服の諸君はそんなものは待っておれぬといってどんどんやっているじゃありませんか。そういうことになりますよ。これが問題なんです。  時間の都合でもう一つお聞きしますが、衣笠統幕議長がサイゴンに行ってアメリカ、南ベトナム政府軍の首脳部と会ったということについて、事前に防衛庁長官の了承はとっておるわけですか。あるいは閣議にはかかっておるわけですか。
  63. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私承知をいたしておりました。閣議には、短期間の出張でありまするので、法的にその必要はないということであります。
  64. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 石橋君に申し上げますが、お約束の時間が相当経過しておりますので、そのつもりで御質疑を願います。
  65. 石橋政嗣

    石橋委員 あなた了承したとおっしゃいますが、それじゃ日本のいわばユニホームの最高の地位にある者が戦争当事者の一方と話し合いをするということは適当なことである、日本国民も十分に理解する行為であるというふうにお考えになったのですか。
  66. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはたまたまバンコクで——防衛駐在官ということばは使っておりません、これはまあ外務省の外交官としての処遇を受けておるわけでありまするが、それぞれの大使の便宜によりまして、その会議を開いて東南アジア情勢、極東の情勢等々の報告を聞くということで彼は出張をいたしたわけであります。その帰途、たまたま米中会談というものも行なわれておりまするし、はだであのサイゴンかいわいの雰囲気を感知するということも、これはやはり必要であろう。しかも私ごとかもしれませんが、たまたまサイゴンの東郷大使とは彼は中学時代の同窓同期ということで、彼のそういう大使等からいろいろな事情を十分聴取して、特に極東情勢の緊張緩和ということがいわれておりまするだけに、その緩和の方向、これが平和の形で定着することを、われわれはしばしば申し上げておるように望んでおりまするので、そういうことをはだをもってりしでも感じ取ってきたい、それはわかったということで了承を与えたわけであります。米軍等についてはほんの形式的な表敬程度のものであったという報告を受けております。
  67. 石橋政嗣

    石橋委員 少なくとも交戦国の一方の軍首脳部と日本の軍の最高の責任者とが会うということをそのようにあなたは安易にお考えになっておられるのですか。日本の軍国主義の復活というようなことがいま国の内外で非常に懸念されておる。特にかつて日本の軍国主義によって大きな被害を受けたアジアの国、東南アジアの国々が神経をとがらしておるというようなことはあなたの頭にはないのですか。日本軍の最高の責任者がこういうことをやればどういう反響を呼ぶというようなことの、そういった警戒心もあなたの頭にはないのですか。私はそのことを問題にしているのです。  時間がないようで、ございますから、締めくくりに入りたいと思いますが、いわゆるシビリアンコントロールというものは、私は制度をどうするとか機構をどうするとかいう問題ではないと思うのです。もちろんそれも大切でしょう。しかし幾ら制度をいじくり回しても、機構を変えてみたところで、それでコントロールができるものじゃありません。そのことを言いたいのです。事実コントロールできてないじゃないですか。総理なり防衛庁長官がこの場で何と言おうと、そのようなこととはかかわりなしにいろんなことが行なわれているという、これだけでコントロールが行なわれてないことの何よりの立証です。これについては、私はもっと危機感を持っていただきたいと思います。  一番大切なことは、軍部の立場から見てどうあろうと、政府の最高の責任者であり、自衛隊の最高責任者である総理や直接統轄する防衛庁長官がこうしたいと言ったことがびっと直ちにユニホームによって実行をされる、言ったことが守られるということがあって初めてシビリアコントロールが確立しているのです。制度なんか幾らつくったってだめなんです。すぐに、シビリアンコントロールといえば国防会議の構成を変えたらどうだろうかとかそういう制度問題にすりかえようとなさるが、それじゃだめだということですよ。  私は、総理にあの三矢問題が起きたときの私とのやりとりを思い出していただきたい。松野小委員長の報告をもう一回読み起こしていただきたい。あのときのやりとりなり小委員長の報告なりが実行されていますか。何一つ実行されてないじゃないですか。またもや同じような空論をここでやるのかと思ったら私自身むなしいですよ。問題はあなたたちの腹がまえなんです。とにかく、こうしろと言ったことはやれ、やらない者は処置する、き然たる態度をおとりなさい。太平洋戦争の英雄であるマッカーサーを断固としてトルーマンが処分した。これがシビリアンコントロールの本質ですよ。初めて事態を聞いたときには、けしからぬ、それが正しいのです。ところが妙な抵抗をされてくるとだんだんだんだん変わって、後退して一生懸命弁解これつとめている。自民党の諸君にも私は言いたいのです。そんなことがどういうことにつながっていくのか。日本の将来にどうつながりを持っていくのか。私は、自民党員である前に国会議員として考えてもらいたいと実は思っている。(発言する者あり)  総理、最後に私はお尋ねしますけれども、今度のこの問題について責任の所在を明らかにし、はっきりした態度をおとりになる決意がございますか。このことをお尋ねして、私は質問を終わりたいと思います。   〔発言する者あり〕
  68. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 御静粛に願います。
  69. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろんただいまの御意見は、御意見を交えてのお尋ねはたいへん大事なことだと思います。これは私ども一十分考えておるつもりでございます。でありますから、今回の問題が起こりました際もよく事態を調べて、そうして実態を把握して、しかる後で処理すべきだ、かように実は申したのでございます。ただいままでいろいろ究明されたように、私は今回の事態についての実態はおわかりができたと思います。問題は、あとの処置だと思っております。これがはっきりすればおそらく皆さんも納得がいくだろう、かように思います。また国民も納得いくだろう。また、そういう方向で問題を片づけなければ、シビリアンコントロール、これが口頭禅になっては申しわけがないと、かように私は思っております。  申すまでもなく、私どもは、いまの制度そのものは十分にできておりますから、はっきりこれを行なうこと。まあ防衛庁長官、気の毒だがたびたびかわられている。こういうところにも、実態としてこれはどうも気の毒になっているので、この段階防衛庁長官を責める、こういうことはちょっと私は無理ではないかと思っております。こういう点をやはり正していかなければならない。  また、ただいま御指摘がありますように、やはり国会は最高の機関ですから、そういう意味で、皆さん方が防衛問題について真剣に取り組んでいただきたいし、また社会党の方も自衛隊違憲だと、かように言われないで、やはり合憲のものとしてこれを、その域を出ていかないように十分自分たち協力してやると、こういう態度であってほしい。これを私は最後にお願いを申し、同時に、私どもの姿勢を正していくことも、これはただいまお話のありましたとおり気をつけていくつもりでございます。
  70. 石橋政嗣

    石橋委員 私たちは、自衛隊はあくまでも違憲存在であると考えます。しかし現実にあるという、これを認めた上で議論をしているわけなんです。冒頭申し上げたように、ある以上はコントロールしなくちゃならない、違憲存在だからどうなってもかまわぬという態度はとっておらないということを申し上げておるのです。  最後に、どうもお答えが明確じゃございませんから簡単に一つ。決してうやむやにはしない、三度とこういう事件を起こさせないようにするためにも、責任の所在を明らかにして断固たる措置をとるということを、総理からはっきりお答え願いたいと思います。
  71. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは明らかにしたいと、その決意でございます。
  72. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 次に、矢野絢也君
  73. 矢野絢也

    ○矢野委員 私、二月八日の日にこの予算委員会で質問いたしまして、さらに二十八日の日にも質問をしたわけでございます。で、御承知のとおり、この四次防問題につきましては予算を削減するという形での一応の収拾がとられたわけでございますが、二十八口の予算委員会での私の質問で、政府においてこの政治責任の問題についての統一見解をお出しいただける、このようになっておるわけでございます。  要するに予算を削る、これはまあ政府に言わすと、議長のあっせんがあったからである、こういうような御説明でございました。まあ、伝えられる話によれば国会対策の上から、国会が空白になっておるので、いつまでも空白にしておくのはぐあいが悪いから、収拾するために予算の修正に応じたのだ、こういうような説明でございます。しかし、私たちが考えておりますことは、そういうことが問題ではない、むしろこの予算措置に重大な誤りがあったから世論の批判を受け、また国会での追及を受ける、こういういきさつになったのだ、だから、この政府予算措置が誤っておったのかどうなのか、またそれについての責任はどうするんだ、ただ刈ったからそれで済むという問題ではないのだということを、そのとき二時間近くも総理に申し上げたわけでございますが、それについては、後ほど統一見解で回答したいということでございました。  私は、政府がとにかくあの四次防の先取り問題について、そういうようなシビリアンコントロールを無視した手続上の誤りを認めない、国会対策のためあるいは議長あっせんがあったからという、いわばこそくなものの言い方であの四次防問題を収拾したと一応考えていらっしゃるようでありますけれども、これは私は絶対そういうことではない。ですから統一見解をお出しいただけると思って私たちは待っておりましたが、 いつまでたってもこれはまだ拝見しておりません。しかし、その後立川のいわば抜き打ちの移駐問題あるいは沖繩に対する装備の問題、こういうような事実を見ますと、これが私たち野党あるいは国民に対する政府の答えであるかと思うと、もう憤りと申しますか、これではお話にすらもならないと、こういう気持ちで一ぱいなんです。  そこで私は、いま石橋社会党書記長から具体的な問題について御質問をされたわけでございますが、それに重なる部分もあるかもわかりません。しかし、私の場合はいま申し上げたとおり、あの四次防についての政治責任の所在を明らかにしてもらいたいという統一見解をお願いしておる本人であるという立場において、これはもうその問題も含めてひとつお答えを願わなくちゃ、私はちょっとこの場所から動けないのであります。  そこで、その後いろいろと御検討をなさったと思いますが、あの四次防の予算削減について政治責任、これはどのようにその後お考えになったのか、これをまずお聞かせを、願いたいのであります。
  74. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この問題は議長あっせんがあって、ただいま御指摘になるような経過でこの問題を処理した、かように思っておりましたところ、ただいま統一見解を出せ、こういうお話が出ております。委員長においても、さような意味で統一見解を政府が用意をするようにと、こういうことで私どももその注意を受けております。ただいまそういうものをつくろうとしていろいろ検討をしておる最中でございます。たいへんおくれておること、申しわけございません。そういう次第であります。
  75. 矢野絢也

    ○矢野委員 何となくぴんとこないお話でして、まあいつまでに出せという期日の指定はあるいはなかったのかもわかりません。しかし統一見解という形で、いまここで正式の形で御説明をいただくいただかないは、いま考えておるということでありますから、これは後日であっても、私が聞いておるのは、あの問題についてだいぶ時間も、いわばお貸しをしておるわけでございます、二十八日以降。ですから、それなり総理がお考えもきめていらっしゃるのじゃないか、こう思ってお尋ねをしておるわけなのです。  私は、予算を削ったこのポイントは、まあ大蔵大臣が来ておられませんが、大蔵大臣や政府説明によれば、この四十七年度予算にはいわゆる四次防の新規分がなかった、新規分がなかったんだから国防会議にかける必要はなかったんだ、だからいわゆるシビリアンコントロール無視というようなことにはなっておらない、これが政府のいままでの一貫した、この予算措置に対する誤りはなかったということの説明なんです。つまり、新規分がなかったから国防会議にかける必要はなかったんだ、だからシビリアンコントロール無視にはなっていない、だから政治責任はないんだというのが、いままでの政府の一貫したお考えだった。しかし、これも一明らかに新規分が含まれておったわけです。この事実を無視して、新規分はなかったんだ、だから政治責任はないんだ、これは子供だましの議論でありまして、この問題をはっきりとしてもらわなければ、これは国民も納得しない問題であります。ですから統一見解はとも一かくとしても、まず総理の御所信を伺いたい。   〔委員長退席、田中(龍)委員長代理着席〕
  76. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 当時の問題は、御承知のように年度内に四次防計画を策定する、これが政府の考え方でございます。しかしこの問題が議論になりまして、いわゆる先取りではないかというようなことで、政府防衛大綱をきめまして、そうしてそういう意味のものではないんだからとにかく誤解のないように、こういう意味説明をしたと、かように記憶しております。  ただいま矢野君から発言がございますけれども、いわゆる四次防、四次防といわれておるものが、いわゆる中曽根長官時代の防衛庁原案そのものが大きく国民の間に植えつけられている、そうしてその観点からいろいろ予算もごらんになる、検討される、そういう意味から、開発部門などはどうも先取りではないか、こういうような意味の解決をされたように思います。私は、議長のあっせんを受諾したこの際に、とやかくの経過を申し上げるつもりはございませんが、これより以上申し上げるつもりはございませんけれども、ただいまのような事柄があったということだけを申し上げて、そうしてただいま議長あっせん案をわれわれは受諾したのですから、そのもとにおいて新しくこの四次防計画というものをただいま策定中である、かように御理解をいただきたいと思います。
  77. 矢野絢也

    ○矢野委員 四次防問題につきましては統一見解を出していただけるということでありますから、そのときにもう一度お尋ねをすることになろうかと思います。  ただしかし、私が本日緊急質問の機会を与えていただきましてお尋ねをするのは、この四次防問題と決して無関係ではない。あの問題を中途はんぱにして、いわばそれに上塗りをする形でまたこういう事態が発生した、だから私は問題を蒸し返す形でありますけれども言わざるを得ないわけであります。  大体、国防会議ということばを防衛庁長官先ほどから何べんも一使っておられましたけれども、ほんとうにあなたは国防会議なりシビリアンコントロールを守っていくんだという精神をお持ちなんですか。たとえば今回の沖繩のこの事件にいたしましても、あなたがシビリアンコントロールをきちっとやっていくんだという立場でやっておりながら、どうしても機構上の問題で不可避的に発生した事件なのか、あるいはあなたがやる気がないからそういう事件が起こったのか、ここのところが一番問題なんです、はっきり言いまして。ああだこうだといろんなことをおっしゃる、おっしゃるけれどもやる気があるのか、やろうと思ったけれどもできなかったのか。やろうと思ったけれどもできなかったとおっしゃるなら、私たちは本気になって応援もします。どのようにすればいいんだということをみんな知恵を出し合って考えるべき問題です。しかし根本的な問題は、その気持ちがあなたにない。だから私たちはこんなに大きい声を出さなければならないことになるのです。国防会議だってそうじゃありませんか。開いたとか開くとか言うけれども、あくまでもみずからの行為を正当化するための方便ぐらいにしか考えてないじゃありませんか。私、大きい声を出してしまいましたけれども、ほんとうにその気になってやらなければ、私は自衛隊の諸君だってかわいそうだと思いますよ。  公明党の場合は、国土警備隊構想というのを持っております。これは現任の自衛隊が第何次防だという形で、いわば無制限の形で拡大していく。しかも防衛範囲というものがこれまたきわめてあいまいな形である。あるいはまた日米安保条約において、米軍との共同行動というものを余儀なくされておる。自衛隊の指揮権というものを、シビリアンコントロールの最高責任者である内閣総理大臣が本来持つべきなのに、安保条約その他の関連においてきわめて制約されてしまっておる。こういう意味において、この自衛隊ほんとう国民が信頼もし、安心もできる、領域保全に任務を限定した国土警備隊に改組すべきである。私たちはわが国の自衛権を認める立場で、わが党の政策を述べてきておるわけです。そのゆえにこそシビリアンコントロールというものがきわめて重大なんです。オール・オア・ナッシングで考えるならば、比較的そのことは私も言わなくても済むかもわかりませんが、国土警備隊という構想を持っておる、国民が信頼もできるものにしていかなくてはならないと思うから、シビリアンコントロールが大事だということをやかましくいままでも申し上げてきている。ところが、いまのような政府のやり方をなさっておったなら、ほんとうに一人一人の自衛隊の諸君だってそれなりの信念をもって入隊をしていらっしゃるのでしょう。ますます肩身の狭い思いをするのじゃありませんか。これはほんとうに考えなくちゃならない問題だと思います。  そこで私、いろんなことばかり言いましたけれども、御質問をしたい。この四次防の先取り問題のときに、いわゆる三機種分について先取りであるとかどうとかこうとかということが議論になりまして、私たち沖繩配備これ自体が先取りであるということを主張しておったのです。いま石橋書記長さんからも一具体的な御指摘がございました。防衛庁長官から、今後国防会議において具体的配備について相談するんだということをお答えになった。それでは私お尋ねしたいのです。今回の予算沖繩関係が幾らついておるか、それが一点。そしてその予算をつくるに至った根拠というのはどういう根拠があったのか。まさか久保カーチス協定が根拠だなんてばかなことをおっしゃらないでしょう。少なくとも沖繩自衛隊派遣するということは防衛範囲の拡大を意味するのです。防衛範囲の拡大なんです。国防計画にとってきわめて重要な要素をなすものです、防衛範囲の拡大ということは。先ほどからの話を聞いておれば、主権が拡大する、領土になって返ってくるんだ、だから行くのはあたりまえだ、そんなもんじゃありません。それならシビリアンコントロール意味なんか全然ないじゃありませんか。たとえ主権が返ってくるにしても、そこに自衛隊派遣することが正しいかどうか、従来の防衛構想の全般などから見て、沖繩に兵を置くことが防衛計画にどういう意味合いを持つのか、これは基本的な防衛構想の上から派遣の是非を考えていかなくちゃならないのです。領土が返ってくるから行くのがあたりまえだ、これこそ思い上がり意識というものです。そういう防衛構想に基づく派遣の是非を考えなくちゃならない。だから、具体的配備については今後の国防会議でおきめなさる。それでは基本的な構想についてはいつおきめになったか、予算を請求するその前にきまっておったかどうか、ひとつはっきりお答え願いたい。
  78. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは当然概算要求のときに、すでに防衛庁原案というものに基づいて大蔵省側と折衝に入っておるわけであります。  しかし久保・カーチス取りきめというものは、日本が自分の領土の局地防衛に任ずるというその概略についての取りきめでありまするから、さっき首相も言われましたように、何もこれはぴったりきまったものではない。したがって今後国防会議に、本来は、ほんとうは明日ということで先週来実は考えておったわけであります。しかしこういう問題も起こりましたので、そういうことも踏まえながら、この調査の結果も十分しながら、いま御指摘になるようなシビリアンコントロール、この面のことも深く考慮しながら国防会議を開いて沖繩配備の具体的な方針、また具体的な計画、こういったものをきめていただくことがよかろうというわけで、官房長官と相談をいたしておるわけであります。  お尋ねの点については、昨年来しばしば機関を通じ私も了承をし、まあ年末でございましたからその前の防衛庁長官等とも、十分配慮をしながら大蔵省側との折衝に当たってきた、これはもう当然なことでございます。
  79. 矢野絢也

    ○矢野委員 要するに予算要求をなさった。これは、沖繩派遣というのは四十六年度予算にはない新しい予算でございまして、従来のものと同じであれば国防会議はいいんだという御説明でありましたけれども、私たちの認識からいけば、防衛範囲の拡大になることは、まずその基本方針というものをきちっと国防会議におはかりになるべきではなかったかということを言っておるわけです。これは少なくとも、その後もめましてからの大綱には触れていらっしゃるようでありますけれども、その以前の予算を編成する段階においては、この基本方針国防会議の承認抜きでおやりになったというこの事実はお認めになりますね。
  80. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それは認めます。国防会議は開いておりません。
  81. 矢野絢也

    ○矢野委員 このことについてくどく言う気はありませんが、やはり防衛範囲の拡大であるということは重要な要素だと思います。やはり国防会議にかけておいたほうが妥当ではなかったかと思いますが、その点はどうですか。
  82. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、かけないで従来の習慣はきたということで、私も就任以来そういうことで答弁をいたしておったわけであります。しかし沖繩国会を通じまして、久保・カーチス取りきめの内容、それに付随して相当細微にわたる御質問もあったわけでありまして、それらについては、審議の場にいろんな資料を出しまして御審議をいただいたわけであります。しかし、いま矢野さん御指摘のように、これはかけたがいいという見解に首相、いわゆる国防会議議長が立たれたわけでありまして、大体防衛庁原案なるものはあるが、この審議を通じて、やはりこれは今後具体的に部隊配備するに際してきめていこう、こういう考えに立たれた。これはもちろん重要事項ということに判定されたわけですが、そこで、その後はそれにかけるべき原案作業を進めておったというわけでございます。
  83. 矢野絢也

    ○矢野委員 だいぶ前置きが長くなりましたけれども、立川の問題、沖繩の問題をお尋ねをしたいと思いますが、端的にお伺いをして、沖繩の問題ですね、これはまずかったから凍結という措置をおとりになったんだと思います。どういう点がまずかったのですか。私が最初に申し上げた、やはりシビリアンコントロールに対する熱意が欠けておったとは、まさかあなたもおっしゃらないと思いますけれども、どういう点にやはり問題があったのですか。
  84. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、あの輸送しました物資に関する限りは、幕僚長会議において従来取り運んできたということは事実であります。しかし、あの五十三名の準備要員の分だけを送れば、これは問題はなかったわけですが、それ以上のものをその荷物に便乗させた。要するに沖繩県民自衛隊というものにまだ疑問がある、一種の軍アレルギーといいますか、これがひいては自衛隊にも及んでおる、こういうことを判断することに欠けておったというわけです。幕僚長としては、これはやはり制服でありまするから、政治判断をするのはわれわれでなくちゃならぬと思います。あまり幕僚長なるものが政治判断をして、緩急自在にいろいろな挙措動作に出るということは、望ましい場合もありまするが、また一面から言うならば非常な疑義が出てくる弊害の面もあろうかと思います。したがって、沖繩にその程度の、寝具、食器というようなものではあるが人員以上に送るということについて、やはりその政治的な配慮を内局側において、これは私を含めてです、十分でながかったという点は遺憾に思っております。
  85. 矢野絢也

    ○矢野委員 確かにユニフォームの諸君が政治的判断をすることは好ましいとは思いません。政治的判断というような大それたものの以前に、こういうことは適当であるかどうかというくらいの判断はあってしかるべきだし、またそれを内局の諸君が、特に国会でこういうことは重大な問題になっておるわけでありますから、もっときびしい姿勢でコントロールするのが、これはあたりまえであります。ですから、私が冒頭にあの四次防の問題の政治責任、まあ政治ということは抜いてもいいです、責任についての反省がほんとうになされたのかどうなのか、ここに問題か帰ってくるわけです。だから私たちこれを何べんも何べんも言うわけなんです。  まず防衛庁長官に伺いたいのですけれども、凍結だなんて中途はんぱなことをなさらないで、内地へ至急にお持ち帰りになったほうがいいと思います、こういう問題は。この点どうですか。
  86. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、たまたまいまは外国の取り扱いになっております。そこで大蔵省、通産省等々の協力を求めて物資を送ったわけですが、その物資を送ったこと自体疑義ありということで保税倉庫に厳重凍結をした、これは私の命令でございます。そして今後これにつきましても、解除については一々チェッするということできびしく臨んでおるわけでありまするから、事実上外国扱いでありまするので先方にも非常な迷惑がかかるわけでありまして、事実上持ち戻しと同じとは言えませんが、処理の方法としてはきびしくいたしておりまするので、現在の凍結ということで御了承を願いたいと思っております。
  87. 矢野絢也

    ○矢野委員 私が申し上げたいことは、沖繩自衛隊派遣するとか派遣しない、これはおそらく政策の違いの問題だろうと思うのです。わが公明党は、それは派遣しないほうがいいという立場をとっておる。しかし、あなた方が国会に多数を持っていらっしゃるでしょう。筋をきちっと通して正々堂々と、国民が理解できる形でおやりになるという立場をとるべきですよ。だから、そういう意味で一ぺんこれは戻したほうがいいのです。私は沖繩県民立場に立っても、こんな不明朗なやり方をされて自衛隊がやってくる、沖繩県民の中にも自衛隊派遣が必要だと考えておる人がやはりおるでしょう、その人たちだってこれじゃおもしろくないですよ、こういうやり方をしたら。もっと筋を通した形で、また自衛隊の諸君も立川へ行ったように、夜中にこそこそ行くような、そんなかわいそうなことないじゃありませんか。もっと住民との話し合いを真剣に詰めて。いま戦争中じゃないんですよ。一日おくれたらどうなるこうなるという問題じゃないのです。もっと、政府がこういうことが必要だと判断をしたならば、それを既成事実を一つずつ積み上げていく。場合によっては力で積み上げる、場合によっては陰でこそこそ積み上げていく、こういうやり方をしないで、きちっと話し合いを、たとえ時間がかかろうとも、シビリアンコントロールの本質は民主主義じゃありませんか。それはきちっとルールを守ってやっていったほうが。政策の違いはこれは別です。自民党とわが党とは政策の違いがあるでしょう。それを私はいま議論しているのじゃないのです。政策の違いを議論するなら、だめだと頭から言います。言っているのはその前の手続の問題、国民感情をさかなでするようなやり方、それこそこれはみずからの首を締めていることになります。政府が自分の首を締めるのはこれはかってです、自分が悪いんだから。先ほども言ったように、自衛隊存在そのものがいいとか悪いとか、これは意見が分かれるにしても、まじめにそこで働いている諸君がますます小さな気持ちを持たなくちゃいかぬ、こういうことをしてはいかぬということを私は言っているのです。この点については総理のお考えを聞きたい。
  88. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私から先にお答えをしたいと思いますが、これが兵器であるとかそれに関連する物資であれば、私は直ちにあの日に取り戻しております。それじゃ寝具や食器はいいのか、軽重を言うわけではありません。しかし、物自体がそういうものでありまするから、それぞれの機関の協力を得て向こうへ無税手続が済んで送り込んだもので、そこでまあ持ち戻しの次善の策として凍結、しかもこれは厳重に私自身が監督する、こういう命令を出したわけでありますので、この点はひとつ、他の機関等々にも迷惑もかかりますし、物資内容というものが、これはあとからこまかく資料を出せということならば出すことにやぶさかではございません。いつでもお目にかけますが、そういう点でひとつ御了承を願いたいと思っております。
  89. 矢野絢也

    ○矢野委員 この問題もあわせて、次に、関連いたしますから伺いますが、例の立川の問題です。あれだって、こまかいいきさつは説明してもらわなくてもこちらはよく承知しております。問題は、住民のほとんどの方々が——騒音その他いろいろな反対の意味はあるでしょう、人によって。しかし、どうあろうとも、自衛隊の移駐については大多数の方々が反対をしておられたわけです。そこで私、基本的な考えとして伺っておきたいのです。反対がある。その場合、その反対をしないように十分な話し合いをして、それでもどうしても反対なら、また別のことを考えるという含みのある姿勢を持つのが、私は国民に愛される自衛隊の育つ最高、最大の道だと思いますよ。それを、反対があるにもかかわらず抜き打ち的にやる、こういう方針をこれからもやはりおとりになるつもりですか。基本的に国民とともに歩もうとされるのか、国民がどう思っていようと自衛隊としては既成事実をつくっていくんだ、こういう方向をおとりになるのか、どちらなんです。
  90. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはもう申し上げるまでもなく、十分土地の理解を得て事を処していきたいというのが私どものもともとの考え方であります。それじゃ今度どういうことだという御質問になるわけでありますが、これはもう何べんとなく市長さんをはじめ関係者と話し合いをしてきたわけです。ところが、市長さんは、選挙中にも、自衛隊がもし立川に配備されれば違憲訴訟を起こす、こういうようなことを演説でも言っておられる。なかなか御懇談、懇請をしても、これは理解を得ることがむずかしい。そのうちに、私二度目に市長さんとお目にかかりましたときに、市議会の議長が一緒に来られました。もういろいろ事情は御承知でしょうから簡単に申し上げますが、この議長が、もちろん自衛隊の本務というものは、本来の任務はあるが、その背景に、京浜地区に災害が起こったときのこれは救援活動、民生協力になる部隊であるということならばわかった、いままでは自衛隊配備反対ということで市議会の決議をしておるけれども、至急帰って、自分は市長と意見が違うから市議会と相談してみたい、こういうお答えがあったわけです。その後自衛隊配備反対というのを撤回された。撤回のあと、議長さんをはじめ多数の議員の皆さん方から、もうきめた以上、われわれも撤回したんだから一日も早く来てくれ、これはまさに地元の強い要請という形になってあらわれたわけです。  これは、公明党の鬼木さんであるとか伊藤さんの御質問にも、先週実は詳細にお答えをしたわけでありますが、ただ全部反対——なるほど八二%反対という数字も一時は出たようであります。それは議長をはじめ全面反対をしておられる時点のことでありまして、議長以下多数の議員諸君が反対決議の撤回をされてからは、私は市民世論というものも変わってきておるのではないか、そういう背景を踏まえて実はこの挙に出た。市長さんと十分の了解点に達することができなかったということは、市長さんの政治的なものの考え方、こういった点等々でどうしてもなかなか御理解をいただくことがむずかしかった、こんなふうに理解をいたしてあの挙に出た次第でございます。
  91. 矢野絢也

    ○矢野委員 市長さんの政治的お立場、これはあの市長は、立川基地に対する自衛隊の移駐については反対ということを選挙の政策として出られて当選しておられる方です。ですから、これは市長さんだけが反対しているのじゃないのですよ、そういう方が当選しておるということは。ですから、あなたのように、だいぶ世論が変わっておるんだという認識は間違いです。これはもう選挙の結果それははっきり出ているわけですね。  それともう一つは、そんなに世論が変わってきているなら、昼間堂々とおやりになればいいのです。やはりこそこそとおやりになったことは、反対を予想しておられるからそういことをされるわけですね。これも同じことです。私が言いたいことは、あやまちを改むるにはばかるなかれです。これはゴリ押しをされたときに、むしろもっと大きなしこりが残ってよけいに変なことになってしまう。これは、自衛隊の移駐、これももとへ戻されたほうがいいです。沖繩に行っておる荷物も、あなたの説明ではたいした荷物じゃないじゃありませんか。船賃だけの問題だ。残るのはあとメンツだけの問題じゃありませんか。立川の自衛隊沖繩に行っておるお荷物は大至急もとへ戻す、このようにきめるのが最も正しい方法だと思いますが、防衛庁長官、もう一度お考えを聞きたい。間違ったことをどうだこうだと言いくるめて、これをこのままで次へ進もう、こういう態度は絶対に許せないということをあらかじめ承知願いたい。
  92. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、実は今度の問題につきましては、やはり正直に率直に申し上げることがいろいろ疑義を解明していく上に必要であろうということで、正面に実はありのままを申し上げているつもりであります。当面を糊塗しようとか、そういう気持ちはもちろんございません。いま御質問の点等につきましては、十分考慮をいたしまして今後慎重に検討いたしてまいりたいと思います。
  93. 矢野絢也

    ○矢野委員 私は、たとえば江崎さんも、いいかげんずいぶんいろいろな問題があったから、この辺でおやめになったほうがないじゃないかとほんとうは思っておるのです。しかし、それよりも先に、誤った事実をもとへ戻すということが、これは後世に対する戒めになる。これをまずはっきりしてもらいたい。それからその次に、これは先ほど石橋書記長も御要求なさり、また総理もお約束なさった、今回のケースについての政治責任というのは一体どういうことになっておるのだ、これははっきりしてもらいたい、こういうことになるわけでありますけれども、これは総理、荷物をもとへ戻すとか戻さないとか、立川へ行っているのが何千人と行っているわけではない。これはもとへ戻すことに意味があるのです。   〔田中(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 これはひとつそうされたほうが、私は、国民の疑惑を晴らすことにもなるし、政府のみずからの姿勢を国民の前にもはっきり示すことになる。これははっきりと御答弁を願いたい。
  94. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろいろただいままで御高見は私、拝聴いたしました。ただいまの、もとへ返ることに意義があると言われますが、私は、立川においてもこれが返らないことに意義がある、かように実は思っております。こういう事柄は、やはりものごとをはっきりさせる、こういう意味からも、むろん政府がやったことで、しかもこの問題は、昨年の六月すでにアメリカと共同使用という、そういう話がきまり、その後ずいぶん長いこと市長や議長と折衝を続けてきております。そうしてその状態で不測の事態を起こさないために、私は夜間行なったと思います。こういうことを考えると、事を好むものではございません。私どもは、こういう事態を簡単に取りかえるとか、さような浮き足、浮き腰で政治などできるものではございません。だから私は、ただいままでの御高見は御高見として十分拝聴し、それを私どもの鞭撻の資にしたい、かように思いますが、ただいまのところ、いままでもやっていることを、先ほど沖繩の問題にしても、防衛庁長官お答えしたとおり、凍結がしてございますからそれは安心だ、こういう意味で御了承をぜひ願いたい。立川はいま別にその連中を返すつもりはございません。
  95. 矢野絢也

    ○矢野委員 立川について総理は非常に高姿勢の御意見がいまあったわけですけれども、私が申し上げているのは、総理が言うことは、せっかく政府がやったこと、防衛庁がやったことを軽々に変えると士気にも一影響するし、権威にもかかわるということなんでしょう。私は同じ音一味において申し上げているのですよ。たとえば住民がここまで反対しておる。それを、そういう権力主義的なやり方で既成事実をつくって、そこに居すわろうということは、決してこれは国民感情から見ていいことじゃない。話し合いをしたけれども話し合いがまとまらない、それならあきらめたらいいじゃありませんか、その場所は。ましてや立川の土地は、都知事も非常に東京都のための有意義な構想も持っておるわけです。国民は、都民はそちらのほうを求めているわけですよ。それならば、そう、既成事実にこだわらないで、また、やってしまったことを戻さない、そんなことを言わないで、反対しているところならやめたらいいじゃないですか、そこまで努力されて——住民か反対していらっしゃるのでしょう。その硬直した姿勢をいままで何回となく繰り返して、政治不信も頼み上げてきたんですよ。  それから、沖繩凍結だってそうです。かっこうだけじゃありませんか、凍結は。凍結するくらいなら持って帰ったほうがいいです。私が言っていることは、物を沖繩から内地へ移動する、そんなことよりも深刻な反省、そしてこれについて今後こうするんだという決意の表明、そういう意味において持って帰るということは重要だと言っているんです。
  96. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もともと自衛隊、またこれはおそらく国土警備隊も同じだろうと思いますが、住民の、国民の理解と協力なくしてはその使命を達成することはできません。しかしどうも一部の方々には、やはりこういうものについて十分の理解を示してもらえない部分もございます。私は、これはいまの国内の国民が、全部がこぞって賛成だということはなかなかあり得ないんじゃないか、かように思います。そういう意味で、先ほども申したように、それはやはり政治の責任において処理すべき事柄と、また国民の支持を得るにしても、やはり政治の責任において処理すること、これがあるのではないか、こういうことを申しておるのでありまして、反対があるからといってわれわれが簡単に変えられる、こういうものではないように実は思うのです。どうも、全部が賛成される、そういう場所に移ればいいじゃないかと言われることは、しごくもっともでございますけれども、私はそういう場所はないだろうと思います。私はそういうことを考えると、やはりこういうことこそ政治家の政治の責任だ、そういうところでやはりきめるべきだ、かように思います。そうして、先ほど来言われておるシビリアンコントロール、このものが十分効果を発揮するように——しないことには、あるいは自衛隊といい、また昔のような軍部的な体制になる。全然さような事態がないとはなかなか言えない、こういうような危険がございますから、そのほうについては一そうシビリアンコントロール、これに徹する、そういう考え方でこの問題、これに処していきたい、かように思います。
  97. 矢野絢也

    ○矢野委員 まあ国民にはいろいろな考えの方がいらっしゃることはわかりますけれども、その大部分の人が納得できないようなやり方はとるべきじゃないということを申し上げておるのですよ。これは野党だってそれぞれ政策が違うでしょう。しかし、なぜ全部の野党がこのように政府を追及することになるのですか。やはり政策以前の問題がある。大げさな言い方だとおっしゃるかもわからぬが、私は大げさだと思わないけれども、おそるべき憲法感覚の麻痺というやつです、これは。住民がどう考えようと、そんなことは知ったことじゃねえ、手続はどんなことがあっても、無視してもかまわない、事実がなければいいんだ——まあ憲法感覚といいますか、憲法精神といいますか、個々の条文のことを言っているわけじゃない。そういう主権在民の立場に立った政治の運営、これが完全に麻痺しておる。だからわれわれはやかましく言うのです。  時間が参ったようでありますからまとめに入りたいと思いますが、私はもっといろいろなことを具体的にお尋ねしたいことがたくさんあります。まあこれは別の機会にいたしましょう。具体的にここでお約束を願いたいことは、まずあの四次防の政治責任、これはお忘れになっていないとは思っておりますが、単なる予算の削減で済む問題ではない。あのような紛糾といいますか、巻き起こした最大の原因は政府予算措置の誤りにある。シビリアンコントロールを無視したやり方にある。この根本的な姿勢を改めるためにはどのように政治責任を明確にするか、これについての統一見解をすみやかにお出しを願いたい、これが一点でございます。  さらに、今回の立川の問題あるいは沖繩の問題、これについて、先ほども言いましたとおり、いきさつ、単なる事実の説明じゃなくして、本質的には、政府なり防衛庁長官シビリアンコントロールをやる気があるのかないのか。やる気があったけれどもできなかったのか、機構上。この辺についての具体的な回答を願いたい。そしてその責任の所在、その処置というものを明確にやっていただきたい。  第三点は、先ほどからいろいろ言っております立川に移駐しておる部隊沖繩に送っておる荷物、これは至急もとへ戻されるべきである。  この三点、これについて政府責任ある御処置といいますか、御回答を私たちはお待ちしております。中途はんぱな御回答であれば、これは何もおどかす変な意味じゃありませんけれども、これはやはりこの委員会の、審議には責任持ちません。このことをはっきり申し上げておきます。
  98. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 委員長から矢野君に申し上げますが、四次防と予算の関係についての政府の統一見解につきましては委員長が預かっております。これは政府に連絡いたしまして、官房長官の手元で目下取りまとめ中でありますが、理事会にはかって今予算委員会中に処置する、こういう方針でありますから、これは御了解願っておきたいと思います。
  99. 矢野絢也

    ○矢野委員 了解。どうもありがとうございました。
  100. 瀬戸山三男

  101. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 総理に端的にお伺いいたします。  四次防問題以来、次々に問題が起こり過ぎております。この原因等についてはいろいろ思いをめぐらしておられるところだろうと思いますが、端的に、そのおもなる原因、お考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  102. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まあ四次防以来、次々に問題が起きている、こういう御指摘であります。大体、四次防そのものについても、ずいぶん皆さん方と私どもとの考え方に相違がございます。政府はどこまでもはっきり申し上げておるように、四次防はまだできておりません。年内につくるというのが最初政府の考え方でございましたが、それから後にもその状態のもとにおいて予算審議をお願いした。ところが、政府が言っているように、四次防はできてないというけれども、この予算の中に先取りをしているじゃないか、これが野党の皆さん方の御理解であります。そこで、ただいまの問題は、いわゆる議長あっせん、こういう案ができて、まあとにかくあっせん案をのんだ、こういう状態で一応四次防問題はあるようなないような、結局なくなった、かように私は理解しておりますが、そういう状態になっておる。したがって、四次防は新しくつくらなければならない、こういう状態だ。これは三次防、これがいままでのところで期限が切れておりますから、次の段階の四次防はつくらなければならない。これはしばらく時間をかしてください、こういうことでございます。  さらに、今回の立川問題。この立川問題は、昨年の六月にもうすでに日米間で共同使用の話ができ、同時に立川についての移駐の計画、これは閣議決定をいたしております。しかし、なかなかそのとおりにはやれない。これは先ほど来、矢野君ともただいまお話をしたように、現地の方々の積極的な支援を得るような状態ではない。逆に反対の立場だと、こういうことであります。しかし、先ほど防衛庁長官説明いたしましたように、これは議長と市長とそこらに意見の相違もあったようでありますから、しばらく時間をかけましたが、とにかく決定されたとおり行なわれた。その行なったことについていろいろの批判を受けておりますけれども、私は、現状においては全部一〇〇%の支持を得るということは、これはできないことだ、かように思っておりますので、これはやむを得ないかと思っております。  また沖繩の問題については、これは先ほど石橋君ともずいぶん議論もいたしましたが、問題になっておるのは、何といいましても、復帰前、その時期において自衛隊物資を現地に送った、これがよし武器ではなくて平和的な物資にしろ、この自衛隊最初の数以上のものが現地に送られたという、そういうことはたいへん現地の県民の感情をも刺激する、こういうように考えて私どももいますので、これについては厳重に凍結したと、こういうことであります。  以上はいわゆる経過についての話でございますが、なぜそういうような事態が起きているか。私はシビリアンコントロール必ずしも完全にできておると思えない節もございますが、しかし、一部でいわれるように、シビリアンコントロールが全然用をなさない、効果をあげておらないんだ、かような非難も当たらないのではないだろうか、かように思っております。問題はやはり、シビリアンコントロール、これにさらに徹すること、そのために組織その他についてももっと私どもも考えていかなければならないのだろう、かように思っております。それらの点でみずから反省するものも大きいものがあることを、この際につけ加えさしていただきます。
  103. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は、いまの総理の御答弁、いろいろ言われますけれども、先ほど来、矢野書記長、石橋書記長から、政治の姿勢についての反省はずいぶん求められておるのにかかわらず、どうも総理、まあ大体三人目で民社だから済むだろうぐらいな感じで、話が少しおかし過ぎると思いますよ。それは総理、少なくとも政治の責任立場からもう少し次元を上げて考えられ、答えられなければ、これはきょう言っても、あしたまたとまりますよ。あさってまたすぐ事件が起こりますよ。私は、総理のこういう問題についての認識、答弁の姿勢等についてほんとうは率直に反省を求めたいと思います。  こんな問題が次々に起こる最大の上原因は、やっぱりシビリアンコントロールというものに対する基本認識が、悪いけれども、歴代内閣の中で知らぬ間に本物でなくなってしまっておる。いまここに来て、ほんとうシビリアンコントロールということを現実に役立たせなければならぬときが来ておるのにかかわらず、情性のままにずるずると来てしまって根本認識が足りないところに私は基本的な問題があると思う。  それから、もう一つ二番目は、総理、私はたいへん言いたくないし、総理も聞きたくないと思いますけれども、内閣がたがたし過ぎてしまっておる。たががゆるみ過ぎてしまっておる。これは何といっても答弁されないでしょう。へ理屈でまた答弁されるでしょう。どう言われてもだめなのは、新聞も書いておるし、世間さまもそう思っておるし、自民党自身もそう思っておる。私はそのような意味で、こういう問題が次々に起こることについての、もう少しほんとう意味の政治責任をお感じにならなければならぬと思う。  第一の問題のシビリアンコントロール問題について若干の意見を言って、御所信を承りましょう。  私は、シビリアンコントロールというものの基本的な意味を、まだ江崎さんにしても、総理にしても、ほんとうはわれわれさえも知らぬ間に、何か軍が独走する、自衛隊が独走することをシビリアンがコントロールする。理屈はそのとおりかしらぬけれども、そう思いがちだと思うのです。ほんとうは、そうであるならば、私は社会党的な違憲論や問題が頭を上げてくると思う。むしろ基本は、日本国民の安全、日本国防衛それ自身をシビリアンであるわれわれが責任を持ってやるんだ、総理、こういうことじゃありませんか。そしてわれわれが責任を持ってやるその手段としては、あるいは防備力みたいなものも使うかもしれない、あるいは平和外交を中心にして事件が起こらないように断固としてやるということも含まれる。大きい意味で、広い意味でのシビリアンコントロールという意味は私はそう解すべきだと思う。それを官僚的にぐうっと文字どおりに詰めてシビリアンがコントロール、それならば、軍が完全に今日存在しておって、そしてこれがかってに走ってしまうことをコントロールするという狭義に解されるものだから、私は、四次防問題の際にも、外交、国際的環境の変化に対する配慮が足らなかったということを指摘した。同時にまた、御案内のように、いま新しいごとくに福祉優先の政治をやらなければならぬという、国民生活安定というものを持ち出したのも、そのような意味で、国民の安全、日本国家の安全というのは、われわれ自身シビリアンがやるのだというところに、私はシビリアンコントロールの基本的精神があると思うのです。  この観点に立たれたならば、ほんとう総理は、閣内においても一、政府部内においても、その姿勢でもって押し通されなければならなかった。それから国会に対する態度でも、一々にその立場からどんどん相談をかけられるべきであった。それを何かシビリアンコントロール自身が、いかにも軍あるいは自衛隊の強大なるものの存在前提としておるというふうに思われるものだから、そこを避けよう避けようとしておられる。この前、四次防のとき私が言いました際にも、シビリアンコントロール問題に対しても、たとえば国防安全会議みたいな話でも、そんなことをやっていいだろうかみたいに逃げられる。総理、基本的な問題はここにあるとお考えになりませんか。率直にお答えいただきたい。
  104. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 シビリアンコントロール、これは文民統制というような言い方はしますが、実際のところは政治優先、それでなければならないと、かように私は思います。ただいま言われる、われわれがと言われるのはそれだろうと思います。政治優先、そういう立場でこの問題と取り組む、その姿勢、かように思います。
  105. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 沖繩への自衛隊配備ということは高度な政治問題だと言われております。したがって、高度な政治問題であればあるほど、高度な政治判断が必要だ。だれがどこでやるものだとお考えになりますか。
  106. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。高度の政治判断を必要とする。だからこそ私は、国防会議を開きましても、県民の理解を得るように、また協力を得るように一そうの努力をすることだと、かように申しておる。
  107. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 だから、その高度な政治判断をだれがどこでやるべきだとお考えになりますか。
  108. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国防会議でやるべきです。
  109. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そこに、石橋さんと先ほど防衛庁長官との論議に、また戻ってきてしまう。私はこの問題が起きたときの直観は、やっぱり先ほど石橋さんも言ったように、あなたや江崎さんが感ぜられると同じように、私は制服の独走、こういうことでむかむかっとしました、正直言って。ところが、きのう一日じゅうかかって新聞を読んだり、あっちからこっちから聞いてみるに従って、一体ほんとうにそうだろうか、高度な政治判断がいつどこでだれがされたんだろうか。先ほどお話があったように、国会側には、まだ国防会議を開いてそれから説明することになっておられる。ところが、準備のほうはもうやらねばならぬことに命令されておる。どこからだれがどうしたのか知らぬけれども。私はこのあいまいさがすべていつでももとだと思うのです。立川移駐問題もほんとうは高度な政治判断だ。いつだれがどこでしましたか。行政府の内部で総理はっきりときめられましたか。今度の問題もはっきりときめられましたか。  これはいま理屈を聞こうとしておるんじゃないですよ。そうするとまた、へ理屈が出るのだ。沖繩移駐問題にしましても、先ほどお話がありましたように、去年六月のアメリカとの取りきめがある。しかしながら、その取りきめに基づいて、現実に防衛庁では自衛隊の業務計画をつくって、その業務計画は承認されておりますよ。その業務計画に基づいて四十七年度予算案にも経費が盛り込まれておる。高度な政治判断はタイムリーにやらなければならない。いっどこでやられるのですか。防衛庁長官じゃない。総理総理が一番高度な政治判断をされなければならぬ。
  110. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先に私からお答えして、あと総理お答えすることにいたしたいと思います。  立川の問題につきましては、これは機宜の措置でありまするし、現実の部隊配備でありまするから、私が決断をし、そのことを官房長官を通じて総理に遅滞なく連絡、報告、了承を得ておるわけであります。  それから沖繩のこのものにつきましては、石橋さんの御質問にお答えいたしましたように、こういう武器以外のものについてはこれは幕僚長限り、その習慣、慣習がいい悪い、これは議論の存するところだと思います。従来そういうことで取り扱ってまいったわけであります。したがいまして、内局がこれに関係をいたしましたのは関税の手続、いわゆる無為替輸出というような関係において内局が関係をした。したがって上層部に対する了解がなかった、これが真相であります。  しからば、なぜあんなに表現されたのか、これは当時空幕長も……(佐々木(良)委員「よろしいわ、それは」と呼ぶ)というわけで、一々私どものところでチェックはするわけであります。  立川の場面に限りましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
  111. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 いまのお話を聞きましても、総理のたぶん言われようとすることも、悪いけれども、税金、関税をなしにして送ろうとかなんとか、そういう次元の話じゃないんだ。そうじゃないのですよ。おそらく制服にしてみれば、沖繩移駐は既定の事実としてアメリカとも決定済みだし、内閣でも決定済みだ、おれはやらんならぬ、こう思って準備せんならぬと思っている。準備ほんとうは少し足が出たのか出なかったのか知らぬけれども、やらんならぬと思ってやったことは事実だ。一体政府部内で、行政部内でその高度な政治判断がやられた、いつどこでやられたか、このけじめがないから常にこの問題が起きるわけだ。立川移駐問題だってそうだ。われわれのほうは、まだあんな町のどまん中にあんなものはやるべきじゃない、こう思っている。しかしながら、おそらくもうそういうふうにきめられておるわ、内閣では。そしてきめられておって、そのようにほんとうは移駐しなければならぬという、そういうようにきめられておれば、そのワクの中で考えるのはあたりまえの話だ。高度な政治判断というのは、どこでも行なわれる余地はないわけだ。すべて総理、そこですよ問題は。そうお考えになりませんか。くどくど返事は要りませんよ、時間が忙しいらしいから。
  112. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国防会議さらにまた閣議決定、これで最終的な行政の決定はなされる、かように御理解をいただきます。
  113. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 しかもそれがやられていないでしょう。私は正直に言って、総理——よろしい、私はあげ足はとりはせぬから。ただ本気にさえお答えいただけばよろしいわ。  国防会議、いま総理の頭にある国防会議というのは形式的に国会対策上のことだ、手続としてしか考えられておらない。高度な政治判断国防会議でやらなければならぬわけだ。それをやっておられないじゃないですか。そしてほんとうは制服以下、事務次官も、その高度な政治判断が行なわれて内閣が決定されたものだという前提に立って準備を進めんならぬわけだ、あるいは仕事、事務を進めなければならぬわけだ。私は、この判断を回避されておるところに最大の原因があると思う。佐藤さん、どう言われたって、あなたの政治姿勢の根本原因はここにある、根本の問題はここにある。立川移駐問題でも野党は反対しておりますよ。われわれは、あんなところに自衛隊が、また軍として出てくるべきじゃないと、こういうふうに反対している。反対しているけれども、おそらく内閣内では既定の事実に、あすこに自衛隊が移駐するものだときめられておる。われわれのほうはまだ来ぬと思っている。ところが行政の事務連絡あるいは命令で、制服のところに出てくる命令みたいなものは、そのワクの中で突っ走らなければならぬ状態になっている。酷じゃありませんか、あまりにそれは。政治家が政治の判断を回避したら、これは政治が成り立ちませんよ。先ほど石橋さんとのやりとりの中で明らかに、何か事務はどうか知らないけれども、もう御承知のような形で沖繩自衛隊の移駐はだんだんと進められなければならぬし、進めることを前提として動いていることは事実だ。にもかかわらず、これから高度な政治判断を必要とする国防会議できめてなんて、あまりにも佐藤さんいけませんぜ、このことは。御答弁求めても処置なかろう。私は端的に言いますよ。だからシビリアンコントロール問題については、もうこの段階でつべこべ言われてもだめだ。私はもっと言おうと思ったのは、最初から見まして、総理立場からごらんになれば、今度の問題でも、それならば江崎防衛庁長官が、あるいは政府に独断で独走したということなのか、あるいはまた航空幕僚長というのがかってにやったというのか、あるいは防衛庁内局ほんとうは怠慢で、コントロールすべきものをせなかったというのか。私は三つともそうじゃないと思う。そうじゃない。そうじゃなくて、一番政治決断をして、さあやるのかやらないのかという判断を、政治が行なわなかったところにある。佐藤総理、そう思われませんか。その必要があるならば、国会でも相談されたらいいじゃないですか。違いますか。違うなら言ってごらんなさい。
  114. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの佐々木君のお説、ちょっと私理解いたしかねております。ただいまのように、ものごとを、ものによりまして、こまかなことまでも相談するかあるいは大綱をやはりきめていくか、いろいろあると思います。そのためにやはり事務当局もいるのですから、そういうものが準備をすること、これはあたりまえです。何もかもみんな総理大臣がやるとか、何もかもみんな大臣がやる、それなら事務当局は要らない。だからそういうものじゃないので……(佐々木(良)委員委員長、違う」と呼ぶ)やはり大綱というか、事柄の性質によって、これは政府が、最高の責任者がきめる、そういうことじゃないかと思います。
  115. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 その大綱をそれならきめられたのか、きめられなかったのか。総理、もう一ぺんお伺いしましょう。むしろ方針をきめてから役所は動くべきものだ。役所の準備が先に行くものじゃない。  承りましょう。高度な政治判断をしてきめられましたか、いつどこで。——いや、長官と違う、総理からだ。総理はだれだ。総理からだ。
  116. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私でなければいかぬとおっしゃる。(佐々木(良)委員「そんないいかげんなことで逃げられては困る」と呼ぶ)これはここにちゃんときめたことがございますから、防衛庁長官からお答えさせます。
  117. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それなら三十秒。
  118. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、これはもう昨年の沖繩国会等々でも御了解を願っておるわけですが、この大綱の二項七号、「沖繩施政権返還に伴い、同地域の防衛を担当するとともに、災害派遣その他の民生協力を行なうため、所要部隊を整備する。」こういう基本方針をきめて、この準備に入るということは、これできめておるつもりでございます。
  119. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それならば、国防会議をこれから開いてきめるというのは何だ。国防会議をばかにしなさんなというのだ。まあよろしいわ、そんなものでも。  いずれにしても、いまごろになって説明されるけれども、そんな方針ほんとうに、政府が頭を一生懸命集め、首脳部が高度の政治判断をし合ってきめられたなんて、見たことも聞いたこともない。事務的にきめられただけだ、そんなもの。私は、そのようなかっこうできめられて区切りがつかないところに問題があると思うんだ。そして責任を、何だか制服がかってに走っただとか内局が税関を何とかするときにうまいことチェックしなかった。税関を通るときにチェックするとかしないとか、かってなこと、そんなこと問題じゃないじゃないか。むしろ制服にしてみれば、行くのにきまっておるのだから、銭がかからないように、シビリアンのほうから、内局のほうから大蔵省のほうに交渉してくれというだけの話じゃないですか。こんなところで、本来部隊が動くことをチェックするのを、税関を渡るか渡らないかみたいなことでチェックするなんということであるなら、それは行き過ぎだ。基本方針がきまって、基本方針中心にしてやられないからだ、政治判断をされないからだ。(「きまっている」と呼ぶ者あり)きまっちゃおらぬて。きまっておったのならば、文句が出るわけはないじゃないか。時間がなさそうですから、よろしいわ。  総理、そらなら同じことをもう一ぺん、第二番目の問題を聞きましょう。内閣はがたがたし過ぎているからあきませんで、このものは。先ほど来話がありましたように、最初この問題が起きたとき、あなたもがあっと腹が立ったでしょう。江崎さんもかあっとしておった。そういう感じに新聞が書いておったから間違いないと思う。そしてそのあと、やはり官僚中心にしてごちゃごゃっと整理された。佐藤総理、この間の台湾の地位の問題について、矢野さんとの質問で、せっかく前向きの、すぽっと答弁された。私は正面言って、政治の姿勢としてもうそういくべきだ、こう判断されて総理が言われた。ところが一挙に幅出答弁によって、むしろ外務官僚のペースに、きゅっきゅっきゅっと一ぺんに元へ戻られた。この姿勢は、もうすでに佐藤内閣の中には、すでに佐藤内閣として各省に対する、言うならば政治指導力が失われておる。むしろ逆に、各省の中における官僚ペースの政治があるだけですよ。私は、その責任総理、感ぜられなきゃならぬと思うが、いかがですか。
  120. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの佐々木君のお説は、十分私もありがたく謹聴し、拝聴しております。
  121. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 同僚からも一批判がありますが、私はこの緊急質問に立つのでも、まさに憂うつそのものですよ、総理。私は、決して一部に言われているように、敵失に便乗して責め立てるほどの気持ちはない。むしろ私どもがここに立って本質的な問題を掘り出そうとすればするほど、総理国民の現在の政治に対する不信感を強めるばかりだからだ。そうお考えになりませんか。いま国会に対して国民の大部分は、一体何をしているんだ、私は国民はそう思っていると思いますよ。それに対する責任、感じられませんか、総理。野党も考えますよ。しかしながら、やったものは行政府じゃないか、政府じゃないか。政府自身そのことを責任お感じになりませんか。
  122. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 政府自身も一感じております。
  123. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 防衛問題に対して、先ほど言ったように、私は、常に防衛問題を避けて通られたところに最大の問題があると思う。行政府内部においても、先ほどお話ししたような形のシビリアンコントロールの基本姿勢に立って内閣を操縦されるならば、やはり自衛隊よりも外交が優先するでしょうし、それよりも一国民生活が優先する姿勢がとれたはずだ。多数を持っておられるんだ。国会の中においても、国会論議を通じてなぜ国民の前に明らかにされませんか。沖繩移駐の問題にしろ、それから現在の自衛隊の装備問題にしろ、社会党が違憲だっていわれたのは、違憲だっていわれたっていいじゃないですか。それはそれこれはこれの問題だ。国民の前に国会の中でそれを提示して、われわれが国を守り、国民を守るんだ、おれはこれが必要だと思っている、やっぱりぐあいが悪いかと、どうしてさらけ出されませんか。国会対策上ぐあいが悪いといって避けて通り、避けて通りしている間に二十年たった。二十年の間、官僚と制服によって育てられたところの自衛隊というものが、おかしいかっこうに育っていかなければいいがという心配はだれも一持っているわけだ、総理。そしてこういう問題が起きれば、それ見たことか、やはりこれは常識もなし、おかしくなっちまうんじゃないかと——連合赤軍がちょこっとあっただけでも、国民はこれだけ不安を感じている、心配をしている。にもかかわらず、日本自衛隊というものは、相当なものになったことは事実ですよ。しかもこれをまだ全然よけて通り、避けて通る。われわれは、これを国民の中に明らかにして、いいか悪いかをほんとうは吟味する義務がある。合憲であろうが、非合憲であろうが、かまうことはない。石橋君自身も、実在しておることを承知しておると言っておられるじゃないですか。責任をもってどうして国会の中に持ってきませんか。そして一々相談にかけられませんか。相談されたらいいんだ。現実に防衛計画でもいまの国防内容でも、それから沖繩移駐の問題でも、いつどこできまったかわからぬようなことを、一々書きつけを出して、いまから答弁されるんじゃなしに、これからこういうふうに今度の約束に基づいていつごろこれぐらいの部隊をこう派遣しようと思うと、で、出されたらいいじゃないですか。反対でいいんだよ。反対だっていいのは、あたりまえの話じゃないか。国会が全部自民党の言うとおりにならなきゃならぬということはないじゃないか。意見が違うから、反対があるのはあたりまえの話じゃないか。賛否があったって、あなた方は絶対多数を持っておられるんじゃないか。どうしてその姿勢をとられないのだ。私は根本的にそれらを避けて通られるところに問題があり、それから、悪いけれども総理、ここまで来るともういけませんぞ、正直言って。(笑声)笑っておられる状態じゃない。ここまで来るといかぬて。沖繩返還の行事をせにゃならぬとかなるとか、あるいはポスト佐藤準備ができておるとかおらぬとか、そんなことは国民にとっては別な話だ。内閣自身が行政指導力も、ほんとうに政治指導力も失ってくれば、政治が行なえなくなるのはあたりまえの話だ。私はいさぎよく決断をされるべきだと思う。御所見、承りましょう。
  124. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、必ずしも自衛隊の問題をよけて通っておるとは思いません。また各党も、これには賛成も反対もそれぞれの立場はありますが、十分その主張でいままでの自衛隊のあり方について御批判があったと思います。ことにただいまの沖繩の問題などは、これはもう昨年の沖繩国会で十分論議されました。あのくらい各党から忌憚のない意見の出たことはないように私は思っております。それで、ただいま自衛隊沖繩配備、これもあのときの大体三千二百名、これが数まで言って話をされております。だから私は、いま佐々木君の言われるように隠しているとかあるいはないしょにしているとか、さようなものでないことだけは、これはひとつ認識を改めていただきたい。私ども、やはり国会においてこのことは堂々と話し合わなければならない。予算でも皆さん方に御審議をいただくように、あらゆる便宜をはかっておるつもりであります。事柄の性質上、秘密会議を要求したものもありますけれども、それ以外には皆さん方の御要望にこたえてちゃんと資料も提出している。だから防衛、これは自衛隊、このものは必要なんだ、国家的に必要なんだ、そのことは私も胸を張って皆さん方にお答えできると思います。そういうものはそれなりに私は評価していただいて、ただいまのようなお話は、やはりこれは引っ込めていただくか訂正していただくことが望ましいんじゃないか。また私に対する御批判、これはもう御自由ですから、それもまた私自身もみずから考えるところもありますし、この点は大いに私は参考にしてまいるつもりでございます。
  125. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 総理がどう考えておられ、秘密にしておられないと言われましても、国民が現実に知っておりますか。民主政治は客観的でなければならぬわけだ。新聞論調ごらんなさい。全部国民がいまの自衛力を知っておって、そうして国会の中で防衛問題が十分に論議されておるというふうに解しておりますか。私は取り消せと言われるのは逆だ、あなたこそ取り消しなさい。政治のほうは主観ではないわけだ。国民の中に現在の自衛力に対する認識がどれだけありますか、あるいは新聞、マスコミの中にどれだけの内容を持っておりますか、知られておりませんよ。昔の軍隊と比べて、ほとんど知られちゃおらぬて。(「知り過ぎておる」と呼ぶ者あり)知り過ぎておる、いいかげんなことを言うな。文句があるならこの中でものを言えよ。知り過ぎちゃおらぬて。国民がわからないところに、いまのような独走みたいな問題が起きているわけじゃないですか。もう一ぺん言いましょう。この問題とともにあとで質問した……。佐藤総理、内閣自身が各省に対するコントロールを失い、各省大臣が省内に対する統制力を失う、私は、政治はそのような状態になったならば、転換されるのが憲政の常道だと思う。言い過ぎましたか。私は、そうするとかせぬとかいう答弁を求めておるわけじゃない。お答えございますか。私は正直言いまして、先ほど矢野さんもずいぶん憤慨してお話をされておりましたけれども、ここまで来ますと防衛政策というもののほんとうの検討あるいはシビリアンコントロール体制の確立という問題は、もうこの内閣じゃなしに、新しいので出直して心機一転してからのほうがいいと思う。つじつまの合わぬことばかりだからだ。御所見ございましたら承りましょう。
  126. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私についての御意見は御意見として承っておきます。しかも私は冷静に承っておりますから、その点は別に感情を交えて承る、こういう状態でございませんから、冷静に承っておきます。  ただ私、この場所で論議されることは、これは最近はとにかくテレビがございますから、これは国民にもそのままテレビで報道されると思います。新聞が何よりも一番いいようにおっしゃいますけれども、私はさようには思いません。ずいぶん新聞の諸君も向こうで速記はしているけれども、これは私、必ずしもそのまま全部が真実を伝えている、かようにどうも判断しかねます。だからテレビ自身がこれはそのままを伝えておりますから、このほうをひとつ大事にしていただくようにお願いいたします。
  127. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 また勘違いをされて問題をそらされてはいけない。私は新聞論調が正しいとか正しくないとかと言ったのじゃない。世論の一つのあらわれであることだけは間違いないでしょう。そして批判が集中されれば、その批判に対してやはり耳を傾ける姿勢というものが政治の上で必要であることは間違いございますまい。新聞の論調に対して、批判は私どものほうが強く持っております。民社党に対してもいろいろ書かれたり言われたりしたことも事実だ。そんなことを言っているわけじゃないのです。耳ははっきりと傾けておるわけだ。私は、総理自身がそういう姿勢がよろしくないと思いますよ。現実にあなた、一週間か十日ごとの間に、普通ならばこれはそのまま総辞職事件がこれだけ起こっておるのにかかわらず、何とかかんとか言うておられ、しかもくやしかったらかかってこいみたいな姿勢がありますか。それで政治の姿勢と言えますか。私は端的に御反省が必要だろうと思いますよ。私は決して、これは事件の一つ一つを追おうとしているのじゃないわけだ。最初に言いましたように、累積してきてここに来て三つ、四つとどうしてこう起きるかということに対して、私は、政治の最高の責任者として十分反省がなければならぬ、そう思うわけです。心から善処を要望いたしまして失礼いたします。   〔東中委員「議事進行について発言」と呼ぶ〕
  128. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 東中光雄君。
  129. 東中光雄

    ○東中委員 わが党から発言の通告を出しておるわけでありますが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ぜひこの発言について委員会にはかってもらって、どうして制限をするのか、この点をはっきりしていただきたい、この点申し上げます。
  130. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 ただいまの東中君の発言でありますが、委員会の運営は、従来の慣行上理事会において相談をして運営する運びになっております。不破哲三君から本問題についての質問の申し出がありますが、残念ながら理事間において意見の一致を見ておりませんので、遺憾ながら発言を許すことができません。いまの発言については、後刻の理事会で相談をすることにいたします。
  131. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいま提起されております問題は二つございます。  一つは、せんだっての自衛隊の立川への抜き打ち的な移駐についての問題、いま一つは、沖繩への物資輸送についての問題、それぞれ三党はこの問題は議論の中でも指摘をせられておりますように、内閣の統制上の問題、それからせんだって議長あっせんで政府も各党も受諾をし、国会としては重要な問題であるという認識で、今後具体案を国会みずからも一検討していこうというシビリアンコントロールの実証にかかわる重大問題である、こういう認識に立って具体的な処置の要求をいたしておるのであります。  特に物資輸送の問題につきましては、これらを実行した責任の所在を明確にしなければならぬ。いま一つは、既成事実として物資沖繩にすでに運び込んでおりますが、それは少なくとももとの、原状に復帰させるべきである。この二つを、物資輸送の問題については具体的措置として要求をいたしております。  また、立川問題につきましては、住民の八二%以上これに対して強く反対をしておるという現状は、総理政府がしばしば言われておりまする住民との合意を得て云々というその趣旨にも反しておる。したがって、これはやはり白紙撤回をすべきである、こういう要求をいたしておるのであります。  それらについて、立川問題につきましては、政府の見解はわれわれとは異にいたしておりますが、物資輸送については、総理先ほどこれに対してすでに詳細な調査を行なった、その調査結果によってまことにこれは遺憾である、したがって断固たる処置をとりたいということをここで明言されたわけでありまするので、したがって、われわれはその総理の明言の趣旨に従っていかなる処置といかなる責任を問われるか、このことをすみやかに明らかにしていただきたい。したがって、私どもも、政府のその処置に暫時時間をおかしいたしたいと思う。  委員長にお願いをいたしますが、それらの問題の取り扱いを今後政府におとりいただくためにも、当委員会は直ちに休憩をせられることが私は適当であろうかと思いまするので、休憩の動議を提案いたしたいと思います。
  132. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 午後は、理事会を開きまして、理事会において再開の時間を御連絡することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕