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佐藤内閣総理大臣 ただいまの
阪上君の御所論はたいへん基本的な問題でございます。お述べになりましたことはたいへん広範多岐にわたり、まん基本的な問題になっておる、かように思いますので、簡単に、承知しました、こう実は言えません。十分検討して、しかる上で述べなければならばい、かように思います。まず第一に、
土地の実態調査、この実情等につきましても思い切ってやらないと、現状そのものがどうなっておるか、これもよくわからない、こういうようなもとでは、ただいまのものがなかなか立たない。また部分的にはそれぞれの対策が立てられましても、総体的に見ました場合に、はたしてこれが、私権の制限、こういうことが均衡のとれた
方法で行なわれるかどうか、そこらも、これは基本的な問題でございますから、憲法上の問題として十分検討する必要があるだろうと思います。ただいまのお話しになりました点は、そういう意味で非常に示唆に富んだ事柄だと思います。これは表現としては全国的な買い上げ制度、こういう表現をしておられますけれども、これもなかなか簡単な問題ではなくて、実情によっての買い上げ制度、こういうことを
阪上君はこなしていらっしゃるのだと思いますが、これは基本的な問題と
関係がございますから、そういう意味で十分われわれが取り組む姿勢、先ほど来、部分的には、憲法の問題ではあるけれども、それと正面からぶつかる問題ではあるが、私権の制限やむを得ない、こういうような態度であったと思います。
次に開発許可制、これをもっと徹底して全国的な規模においてやれという、これまたいままでもやられたことではありますけれども、開発許可制、これがいま言われるような
一つの、一貫した筋の通った
方法でなかなか行なわれておらない。都市
計画法そのもの、あるいは
住宅団地そのもの等から申しましても、いわゆる開発
計画というものはありますけれども、しかしやはり筋道を立てて社会的な開発
計画、こういうことでないと、やはり学校や病院やあるいは道路や上下水道なり、それらのものが十分整ったようにはなかなかきまらない、こういうことをかんで含めるように理解さす必要があるだろう、かように思います。私はただいま御
指摘になりました点に賛成でありますがゆえに、これはもっと正確な準備をして初めてその問題と取り組み得るんじゃないか、かように思った次第であります。
ことに、こまかな問題ではありますけれども、税制の問題にいたしましても、あるいは
市街地と
農地との
関係でいままですでに手はつけてみたもののなかなか混乱を生じて、実際には合わないじゃないか、こういうような問題にもぶつかっておりますので、ただこの点がよさそうだというので直ちに取り上げる、こういうわけにもいかないように思います。しかし御
指摘になったとおり、これはこのままでは済ませない問題だ、やはりこの税制のあり方につきましても十分
考えていかないと、現在の状態そのものについても不適当だが、さらに
土地が処分された場合の税制のあり方等、これはまた非常な影響がございますから、それも筋道を立てて
考えていくことが必要だろうと思います。
こういうようなことを
考えてくると、最終的にやはり、お話しになりますように、
土地の再
配分、そういうものと取り組め、こういうことになるだろうと思います。これは
土地の再
配分と一口でいわれますけれども、やはりなかなかそう簡単なものではないこと、これはもう国、
地方公共団体等々の
関係においてすらなかなかたいへんな問題でございます。私ども
一つの
公共事業の
用地を獲得するにも、いろいろな問題が起こっております。これはもう苦い経験をなめております。それらのことを
考えると、ただいま口でおっしゃることは非常に簡単でございますが、なかなか複雑なものであること、これはもう御承知の上でおっしゃることだと思いますし、ことに
阪上君、いままでの御経験から、地方団体の長もしておられた、そういう点で当面されたこと、それらがいまのような御意見となって出てきたように思います。そういうところから最終的に
土地基本法、そういうものの制定が必要だろう、かような結論になっておるのだと思います。
私は先ほど来のお話を、たいへん建設的な、またそれに示唆に富んだお尋ねであり、たいへんむずかしい問題だ、実はかように思いながら伺っていたのであります。簡単に、ただいま、賛成でございますからその方向でと——ただ単に、方向は私も賛成ではございますが、ただいま、それではいつになって基本法ができる、こうなりますと、まだまだ私は非常にむずかしいのではないだろうか、かように思いますので、それらの点も御理解いただいて、時間もかして、また
政府もそういう意味では積極的な姿勢でこれらの問題を取り上げる、こういうことでありたいと思います。
ところで、誤解のないようにお願いしたいのは、
取得もたいへんだが、いま持っておる
政府の、国有の
土地あるいは公有の
土地、そういうものは機会あるごとにふやしていくということもこれは
一つの
方法だと思いますが、これの払い下げのほろについては非常に慎重でなければならない、かように思います。先ほどの墓地公園などはあまりにも私、常識離れの議論であった、そういう実例があるなら、これはもう至急に直さして、そういうつまらない理屈にとらわれないで、もっと積極的に総体としての
考え方に徹するようにしたいものだ、かように思います。
どうも話が、なかなか大きな話でありますだけに、大問題でありますだけに、まとまった御返事ができませんけれども、ただいま御
指摘になりましたことは、大体私そのつもりでおります。そういう意味で
政府もこの問題と取り組む、さようにその姿勢だけを申し上げておきます。