○山中国務大臣 安井さんは
社会党の
沖繩問題の特別
委員長だと思います。したがってこの際、本土の私
どもがお酔いの
質疑応答の問題点をいたします前に、全国民にも知ってもらいたいと私がかねがね思っておりますことをちょっと言わしていただきます。
通貨問題に対して、
沖繩の人々は自分たちが希望し選択してドルを使用し、ドル圏に入ったものではない。そして
沖繩の
人たちが希望をして、本土の物資を八割選択をして生活のために買い入れているものではない。やむを得ずそういう境地に置かれておる
日本国民なんだ。そうして本土の円が変動相場に移行し、そうして切り上げられていく過程における国際通貨の調整の
段階においても、ドルの価値が下がってもドル圏の中においてドルを生活物資の中で使用しておる人々については、若干のニュアンスの差はあっても深刻な問題ではない。円を使い、そして円圏の中におる人々にとっても、また若干のニュアンスの差はあっても変化はない。しかし、
沖繩の人々はドル圏の中に生活を余儀なくされて、そして円物資をほとんどが購入を余儀なくされておる。この問題から、
沖繩県民の気持ちというものが、私はまだ本土の各界各層にわかっていないような気がしてなりません。このようなことは、少なくとも安井さんと私との間には、もう当然認識は、前提は一致しておるわけでありますけれ
ども、このようなことを、復帰を目前にして大混乱を来たしておる
沖繩の現状について、
日本国民全部が知っておいてもらいたいということから、公式の場において一ぺん述べさしていただきたいと考えておりました。
そこで具体的な問題としては、ただいま安井さんのほうからは、すでにとった措置等についてもお話がございました。琉球
政府との間においても十分に連絡をとってその措置を進めておるわけであります。しかしながら、お話のありましたように、たとえば銀行あるいは保険業界等については、日銀の貸し付けをしてくれというような話もありました。日銀の預託をしてくれという話もありました。しかしながら、要はその低金利で預託されたものを運用することによる運用の利子のメリットを賃金の三百六十円、現地でいう読みかえということの財源にしたいということに目的はあるわけであります。日銀の問題は大蔵省の所管でもありませんが、
関係のある省としては大蔵省でありまして、その筋から日銀の独自の、中央銀行の自主性の立場から、総裁まで含めて判断をしてもらいましたが困難でありました。
したがって、とった措置は、現在本土法において、本年三月の事業年度から始まる銀行並びに保険業界に対して、貸し倒れ準備金の非課税繰り入れ率を千分の十五から千分の十二に下げるという措置、
沖繩においては現在千分の十でございますので、これを一年間延期することによって、さらにまた一億円以下の資本のものについては、租税特別措置法による二割増しがきいてまいりますから、千分の十八の非課税留保ができるわけであります。それは可能かということで調べてみましたところ、現在琉球
政府税法のもとにおいて千分の十の非課税繰り入れのほかに、それぞれ琉球銀行、
沖繩銀行ともに千分の十八・八とか、そういうような、明らかに千分の十五をこえる積み立てを、課税積み立て分まで含めていたしておりますので、これは明らかに、要望である百億の預託をしたときに予測される金利によるメリットは三億円余りにしかすぎませんが、この税法をそのまま適用いたしますと四億に相当いたしますので、この問題については話が片づいたわけでありますけれ
ども、他方において産発資金の十億、大衆金融公庫の一種、二種をかきねを取り払って七億六千万円で、すでに措置いたしてありました十五億にプラスして大体二十二億というものを措置することによって、おおむね解決をするということで琉球
政府との間に合意をいたしました。
しかしながらその反面、まず合意をいたしましたが、しかしながら読みかえによって実質上補償される公務員、公社あるいは電力会社、株式会社等の職員、あるいは軍労等もほぼ同じ線で解決に近づいておりますが、いわゆる
沖繩の方々の一般の気持ちからいえば、親方日の丸はうまく解決をする、また民間の大企業も許認可料金等の、三百六十円とは言っておりませんが、新しい料金設定ということで解決をしていく。そうすると、零細な従業員をかかえて生活をしておる人々に対して、自分たちはどうすればいいんだという問題に、はたして決定的にこたえているのかどうかは、私自身もまだ最終的な疑問を持っておりますので、さらに
沖繩の現状をよく調査の上、まだ不足する面がありますならば、賃金の支払いに融資をもって充てるということは理論上は成り立たないことでありますけれ
ども、補償ということがきわめて困難でありますので、それらの問題を念頭に置きながら、さらに検討、善処をいたしたいと存じます。