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瀬戸山三男君 ただいま議題となりました昭和四十七年度
一般会計予算外二案につきまして、
予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
本予算三案は、去る一月二十八日
予算委員会に付託され、二月四日政府から
提案理由の説明を聴取し、即日質疑に入りましたが、八日午後から二十五日まで
防衛関係予算と四次防との関係をめぐって紛糾し、審議が中断され、その後も台湾の帰属問題、
沖繩軍用地復元補償費の
日米間折衝の経緯等をめぐって審議はしばしば停滞しましたが、この間、
分科会、
公聴会を含め、前後二十九日間
委員各位の熱心な審議が行なわれ、本日、
討論採決をいたしたものであります。
予算案の内容につきましては、一月二十九日の本会議において
水田大蔵大臣より詳細な説明があり、すでに十分御承知になっておられますが、なお、二月二十六日内閣は本院の承諾を得て、
一般会計歳出予算のうち、防衛庁の
航空機購入費二十六億三千万円、
装備品等整備諸費一億六千百万円、計二十七億九千百万円を減額し、かつ、これらに関する
国庫債務負担行為については、二月二十五日の
衆議院議長あっせんの内容によって取り扱うこととし、また、
歳入予算のうち
国有財産売払収入を二十七億九千百万円を減額することとした修正を行ないました。この結果、昭和四十七年度
一般会計の規模は、
歳入歳出とも十一兆四千六百七十六億円となり、四十六年度当初予算に対し二一・八%の増加となっております。また、
公債金収入は一兆九千五百億円で、
歳入総額の一七%を占めております。
特別会計については、従来の
石炭対策特別会計を石炭及び
石油対策特別会計に改めるほか、
労働者災害補償保険特別会計及び
失業保険特別会計を統合して、
労働保険特別会計を設けることとし、その数は四十一となっており、
政府関係機関については、新たに
沖繩振興開発金融公庫を設立することとし、その数は十五であります。
次に、質疑の概要について申し上げます。
委員会は、
開会劈頭より
防衛関係予算が問題とされ、
日本社会党、公明党、民社党の各党は、それぞれ
議事進行の発言を求め、四十七年度
防衛関係予算といわゆる四次防との関係について政府の見解をただした後、質疑に入りましたが、質疑においても同じく
防衛関係予算が問題とされました。
その趣旨を要約すれば、「政府は、四十七年度
防衛関係予算は、三次防の延長であって、いわゆる四次防との関係はないと説明しているが、予算の中には四次防原案に予定している
新規装備の一部
購入費を計上している。このようなことは
国防会議の議を経ないで四次
防予算を先取りしていることではないか。しかも四次防を策定した場合、四十七年度予算を四次防の初年度として位置づけようとしていることは、この予算の先取りを後日に至って追認しようとすることではないか。四次防の策定を一年延長してはどうか」というのであります。
これに対して二月七日、政府より、「一、昭和四十七年度予算は、四次防の決定を見るに至らなかった段階において編成されたので、
防衛関係予算については、沖繩への配備は別にして、三次防の
継続事業、従来装備の維持、更新にかかるもの、
人件費等について必要な経費を計上するとの原則によって
予算編成を行なった。二、三次防計画は四十六年度で終了するので、四十七年度以降の計画を策定することが必要であり、政府は四次
防大綱の作成の準備を進めてきたが、本日、
防衛庁設置法第六十二条の規定に従って
国防会議にはかり、その議を経て決定した。三、政府としては、大綱の決定後引き続き四次防の
主要項目の内容を検討し、
国防会議を経て決定する所存である」との
統一見解が示されましたが、この見解に対し、社会、公明、民社の各党より、「一、四次防の初年度と位置づけされる四十七年度予算を、四次防の策定もせず、大綱すらも決定しないで作成し、
予算審議の過程で急遽四次
防大綱をつくったことは、政府の過失をおい隠そうとするものであり、かりに予算の内容に重要な変更がないにしても、
予算編成前に
国防会議の議を経ることは
文民統制のたてまえではないか。二、予算の中に、
RF4E偵察機、C1
輸送機、T2
高等練習機の
新規購入費を計上しているが、これらの中には、T2
高等練習機のごとく、明らかに
戦略構想の変更と認められるものがある。これらに関しては、
国防会議の議を経るべきではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府より、「一、
明年度は防衛上の大転換はなく、予算の規模も、特別の事情にある
沖繩関係費を除けば、伸び率は一五・六%で、本年度より二%以上も低下しており、三次防の継続として
現有勢力を維持するための
最小限度の計上にとどめたので、
国防会議にははからなかった。しかし、今後は、このようなことのないよう留意していきたい。また、四次防の策定に関しては、
事務当局でかねてから研究していたので、大綱は通常のベースで決定した。二、新機種の購入は装備の更新であり、この種の装備の更新は
国防会議にはかる必要はないという従来の見解を踏襲したものである。T2
高等練習機は、現在使用中の
練習機86Fの四十九年及び五十年に損耗欠落する分の更改であって、すでに三次防段階で八十四億円の予算で実験機を作製し、性能もよいというので、更改することとしたものである」との趣旨の答弁がありましたが、各質疑着とも政府の答弁には納得し得ないものがあるとして、
委員会は休憩に入ったまま審議は中断した次第であります。
二月二十五日、
事態収拾についての
船田衆議院議長の
あっせん案を政府並びに自民、社会、公明、民社の各党はそれぞれ受諾することとなり、翌二十六日、
委員会は再開を見るに至り、その際、
佐藤内閣総理大臣より、昭和四十七年度の
防衛関係予算と四次防との関係をめぐり疑惑を生じ、長
時日審議が中断されるに至ったことは申しわけないとの遺憾の意の表明があり、続いて
水田大蔵大臣より、先に申し述べましたとおりの予算の
内閣修正についての説明があり、かくて、二月二十八日より質疑が開始されましたが、まず、予算の
内閣修正に関し、「
予算編成の過程で政府に非があったことを認めた結果修正したのか。それとも
国会運営の便法として修正したのか」との趣旨の責任の追及が行なわれ、また、予算の
修正内容に関し、「
国庫債務負担行為を削除した場合と凍結した場合との
予算執行上の効果はどうか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府は、「予算を修正したことは
議長あっせんを受け入れ高度の
政治的判断によったもので、一たん提出した予算を政府みずから修正することは重大なことで、この点、理解してもらいたい。また、
議長あっせんは
文民統制に重点が置かれていることを十分に考慮したい」との趣旨の答弁がありましたが、なお、
文民統制に関し、政府の姿勢に対して強い反省を求める質疑が行なわれ、
佐藤内閣総理大臣より、防衛に関しては
文民統制を明確にし、今後誤解と不安を残さないよう万全を期していきたいとのかたい決意の表明がありました。
また、
国庫債務負担行為については、「
国庫債務負担行為を削除すれば契約は不可能となる、四次防が策定され議長の確認を得た
あと契約権が与えられたにしても、通常の慣例上頭金なしに長期契約することは事実上困難で、努力してみないとその結果については何ともいえない」との答弁がありました。
なお、T2
高等練習機の価格問題については、
秘密理事会で検討されたことを申し添えておきます。
以上のほか、
防衛関係につきましては、自衛力の現況とその評価、
国防会議のあり方、
防衛委員会の設置、
兵器産業、米軍基地問題、核問題、自衛隊の
立川基地移駐、沖繩への
航空自衛隊の
物資輸送等についても質疑が行なわれ、政府よりそれぞれ答弁が行なわれました。
第二は、
財政経済政策に関するものでありますが、
明年度予算は不況の克服と福祉の向上を重点として編成したというが、過去に示した
政府施策の進め方から考えると、景気の浮揚に主体を置いているように見受けられる。景気が回復されれば再び
民間設備投資の成長型に移行し、
生活環境等の
公共事業は圧縮されるのではないか。また、
福祉路線を定着させるため、その
具体的内容を明らかにした五カ年程度の
長期計画を明示すべきではないか。
福祉優先、
不況克服というなら、
所得税の減税を行なうべきではないか。財源難と称し、大量の公債を発行しながら、
配当控除制度、
海外市場開拓準備金制度等の
租税特別措置を何ゆえ廃止しないのか。
交際費に対する課税はもっと強化すべきではないか。都市における事務所、
事業所税の新設を何ゆえ見送ったのか。
公債発行の歯どめをどこに置くのか。政府は
福祉国家建設の軌道を設定すると言い、他方、今後の経済を
安定成長路線で運営するとも言っているが、
安定成長路線で運営する場合、税の
自然増収は多額を期待し得ぬと思われる。
福祉国家建設の
財源対策についてどう考えているか」との趣旨の質疑が行なわれたのであります。これに対し、政府は、「
経済成長は手段であり、目標は
国民福祉であるとの
基本的立場をとっており、従来、
国際収支等の
制約要因もあり、必ずしもこの態度を貫き得なかったが、ここに来て条件も整ったので、
福祉充実に踏み切り、施策を貫いていこうというのである。したがって、景気が回復しても
公共投資等の予算は縮小されるものではない。
社会保障関係費は、その性質上
あと戻りはできないものであるが、今後の
経済見通し計画と並行して
長期計画を策定する必要があると思う。
所得税の減税については、さきの
補正予算で講じた措置は、
明年度予算で予定していたものを
不況対策を考慮して繰り上げ実施したもので、四十七年度には平年度化されて二千五百億円以上の
減税効果を持つので、従来の減税額に比べ、規模の小さいものではない。なお、地方税の減税も行なっている。今回は
社会保障の充実に力を入れたので、
追加減税は見合わせた。配半
所得控除制度については、
税制調査会でかねてより研究している問題で、まだ結論が出ていない。
海外市場開拓準備金制度については、
通貨調整の輸出に及ぼす影響等をいまだ見通し得ない状況なので、事態の推移を見て対処したい。
交際費課税については、四十六年度の改正で
否認割合を六〇%から七〇%に引き上げたばかりであり、現行法の
適用期限が明年三月に到来するので、その間の実施の状況を見て、十分検討したい。
所税等については今後も検討を続け、実現したい。
公債発行のりっぱな歯どめは
財政法それ自体であり、さらに、
市中消化を原則としている点も有効な歯どめである。今後の
福祉政策の推進と財源の問題については、
税制調査会が
長期税制のあり方として示している方針、すなわち、
所得税は年々減税を考慮すること、法人税は
現行水準を維持すること、間接税は手直しする方向で研究することを採用していく以外に方法はないと考えている」との趣旨の答弁がありました。
第三は、物価であります。
時あたかも、
診療費、
郵便料金、
タクシー代等の一斉
値上げが行なわれ、さらに
国鉄運賃の
値上げも予定され、また、政府の
公共投資の拡大を反映して地価の高騰が懸念される際でもあり、質疑は
公共料金の
値上げ問題と
地価抑制に重点が置かれました。
まず、
公共料金について、「最近の軒並みの
値上げは
消費者物価にどの程度の
上昇寄与率となるか。
景気情勢などから、本年こそ
物価上昇の鎮静が期待されるのに、
値上げを集中したのは何ゆえか。国鉄については、
利用者に対する
サービス向上の約束もなく、
赤字線三千四百キロの廃止の方針をきめながら、他方、二百キロの
赤字線の新設をするなど、また、随所に
不用資産を放置し、
企業努力に見るべきものがなくて、生じた赤字を
利用者に負担させることは全く納得しがたい。
受益者負担に限界を設ける必要があると思うが、政府の見解はどうか。また、政府は、
明年度の
消費者物価上昇を五・三%と見込んでいるが、との程度に抑え切れるか。さらに、
物価対策の中で、農産物の
輸入自由化を大きな柱としているが、真意はどうか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府より、「
公共料金の
消費者物価に対する寄与率は、
診療費、郵便料、電報料、
国鉄運賃、
タクシー代、
国立大学の授業料を総合して〇・七三%である。
公共料金を抑制することは政府の
基本姿勢であるが、長期にわたって押えておくことも不可能なので、たまたま
値上げせざるを得ない時期が来たものと理解されたい。
国鉄運賃については、
経済社会情勢の変化により収入は必ずしも伸びず、このまま放置すれば、四十七年度は償却前すでに千六百七十六億円に及ぶ赤字が出る。
利用者への
サービスのためには、輸送力の増強をはかることとしているが、あとう限り
利用者負担の増加を避けるため、
経営合理化をはかるとともに、
明年度は千百八十四億円という
画期的財政援助を行なうこととしたが、なお、
燃料費、
人件費等の諸経費の上昇が見込まれるので、この種の
可変経費については、ある程度
利用者に負担してもらうこととしたい。
赤字線の廃止は、特に
過疎地帯の住民の心情を察するとき、簡単に踏み切れない面もある。あくまでも地元民の了解を得て促進したい。また、
国土開発上必要欠くべからざる新線の建設もあるが、どこまでも合理性を貫きたい。
利用者負担の限界については、特定の
利用者のために
一般納税者がどの程度の負担をすべきかということは大きな問題であるので、
目下専門家をまじえて研究している。五・三%の
上昇見込みは、四十六年度の
上昇見込み六・一%が、最近の状況では五・七%程度に落ちつく可能性が生じ、また、
明年度は野菜の
価格安定策を十分に講ずることとしているほか、
円切り上げの
輸入効果等を勘案すれば、五・三%にとどめ得るものと考えている。農産物の
自由化については、一次産品の比重の高い
わが国では直ちに
自由化することはできない。特に
基幹作物はできるだけ
自由化を延ばしていかざるを得ないと思うが、他方、
総合農政の推進、
農業体質の改善と相まって
自由化を進めていく必要がある。要は、農業の保護と
消費者の便益の両者の調和をはかるところに目標を置いている」との趣旨の答弁がありました。
次に、地価問題については、「最近の地価の高騰はまことに著しいものがあり、
事業費の平均二〇%ないし三〇%を
用地費、
補償費に食われてしまう状態では、
土地所有者を利するばかりで、事業量の進捗をはばみ、
景気浮揚にもならぬ。また、最近、法人の土地への投資がふえ、土地を担保とする金融は、めぐりめぐって通貨量を増加させ、諸
物価高騰の一要因となっているのではないか」等々、あらゆる角度から質疑が行なわれ、同時に、
地価抑制のため法人の
土地購入を許可制にし、
不動産投資への金融を規制すること等、多くの具体的な提案がなされました。これらの提案につき、政府より、「
地価抑制については、あらゆる角度から検討しているが、性質上きわめて困難な問題である。提案は建設的で、示唆に富んでいると思われる。最近の土地の
値上がり等を考えると、憲法上の権利について、ある程度の拘束を加えざるを得ないのではないかと感ずる面もあり、真剣に取り組んでいきたい」との趣旨の答弁がありました。
第四は、
社会保障であります。
政府は、
社会保障の充実を
明年度予算の
重要施策の一つとして掲げておりますが、これに関して、「政府は
福祉重点への
発想転換というが、
社会保障関係費の予算に占める割合は一四・三%で、過去二、三年と変わりはないではないか。新
経済社会発展計画では、
国民所得に対する
振替所得の割合を五・二%から七・二%に引き上げることとしているが、今後作成しようとする
長期計画では、七・五%までに引き上げる考えはないか。
福祉年金については、四十八年度には五千円程度に引き上げる考えはないか。
年金制度について、
修正積み立て方式を
賦課方式に改める考えはないか。年金の
保険料積み立て金の使途は
福祉優先となっているか。
老人医療の
無料化は七十歳以上を対象としてスタートしたが、いわゆる
成人病は六十四歳より七十四歳に発病が多いとされている。
脳卒中患者だけでも
年齢制限を六十五歳に引き下げられないか。
健康保険法の一部改正について、
社会保障制度審議会並びに
社会保険審議会に諮問しながら、その答申を全く尊重していないのは、
審議会を無視しているのではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府は、「総予算に占める
社会保障関係費の割合は、三十年代は一一・四%であったが、四十年代には一四%となった。
明年度総予算中には
沖繩関係費等特別の要素が加わったが、これを差し引くと実質一%多く、一五%以上の比重となり、従来よりはるかに伸びている。
振替所得の引き上げについては、
目下検討中である。
福祉年金については、
所得保障という考えを加味して、
拠出制年金の増額と見合って増額する必要があり、四十八年度には少なくとも五千円の給付を実現したい。年金の
修正積み立て方式を
賦課方式に改めるには、なお日時を要するので、にわかに移行しがたい。年金の
保険積み立て金は、四十七年度総額一兆四千八百九十四億円であるが、これらは住宅、
生活環境整備、
厚生年金施設、
文教施設、
中小企業、
農林漁業、道路、
地域開発、運輸、通信簿、ことごとく
国民生活の安定、向上に役立つ部面に使われている。
老人医療の
無料化の
年齢制限を引き下げる考えはないが、医療の
抜本改正で、
成人病のごとき
高額医療については、年齢に関係なく全額を
保険給付ができるよう措置したい。
健康保険法の一部改正案については、
政府案が最善であるとの考えで諮問したので、政府の
考えどおりの
法律案を提出したものである。なお、本件は
予算作成後に答申を得た事情等もあるが、
各種審議会等に諮問しなければならぬ内容を含んだ
予算関係法律案については、
予算作成前に答申を得るよう、
関係機関と相談している」との趣旨の答弁がありました。その他、
成人病対策等についても質疑が行なわれました。
次に、外交問題について、二月下旬には
ニクソン米大統領の
中国訪問が行なわれ、
国際情勢にも大きな変化が見られようとしておる際でもあり、
ニクソン訪中に対する評価、
外交政策の転換、
日ソ外交、
朝鮮民主主義人民共和園との
友好推進等、多面にわたって質疑が行なわれ、特に
日中国交正常化をはかろうとする政府の中国に対する
基本姿勢がただされ、台湾の帰属が問題となりましたが、政府より、本件に関して、「
わが国は、
サンフランシスコ平和条約により、台湾に対する一切の権利・権原を放棄しているのであるから、台湾について発言する立場にはない。しかしながら、台湾が
中華人民共和国の領土であるとの
中華人民共和国政府の主張は、従来の経緯、国連において
中華人民共和国政府が中国を代表することとなったこと等から十分理解し得るところである。したがって、政府は、右の認識に立って積極的に
日中国交正常化に努力する所存である」との見解が示されたのであります。この
統一見解についても各党より質疑があり、政府よりそれぞれ答弁が行なわれたのであります。
なお、
沖繩米軍用地復元補償費に関して、「
返還協定四条三項により、旧
所有者に返還される軍用地の
復元補償費約四百万ドルは、
アメリカが自発的に支払うこととなっているのに、
日米間折衝の過程の電文によれば、
わが国が
アメリカに支払うこととなっている三億二千万ドルの金額の中で日本側が肩がわりしていることは明らかであると認められる。このことに関してさきの
沖繩国会でも指摘したが、政府はそのような事実はないと答弁しているが、この
政府答弁は国民をだましているのではないか」との趣旨の質疑と責任の追及が行なわれました。これに対し、政府より、「折衝の段階ではいろいろのいきさつはあったが、高度の
政治的配慮から、最終的に一括して三億二千万ドルを支払うこととなったものであり、
裏取引等は一切ない」との答弁がありましたが、この
政府答弁に対し、社会、公明、民社の各党とも納得し得ないとして、三月二十八日午後より、審議は再び中断されました。
本日ようやく審議の再開を見るに至り、
開会冒頭、
佐藤内閣総理大臣より、「
内外時局のきわめて重大なとき、四十七年度総
予算審議中に種々の批判を受ける事態を招いたことは、まことに遺憾であり、深く責任を感じている。各党の本件に対する御意向はよく承知しておる」との趣旨の所信の表明があり、続いて、この
所信表明について、
成田知巳君、竹入義勝君、
佐々木良作君より、それぞれ党を代表し、
佐藤内閣総理大臣は責任をとってすみやかに辞任されることを希望する旨の
意見開陳があり、続いて、特に沖繩返還に伴う諸問題その他について質疑が続行され、政府よりそれぞれ答弁が行なわれ、本日をもって質疑は終了いたしました。
総予算に関連しての質疑は、以上のほか、政治姿勢、公害対策、交通災害、農業問題、
中小企業対策、貿易、経済協力、国際通貨、沖繩問題等、その他国政の各般にわたってきわめて熱心に所なわれましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
なお、本
委員会に提出せられていた
日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提案による予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、本日趣旨説明が行なわれましたあと、予算三案及び三党共同の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案に賛成、三党共同提案の動議に反対、
日本社会党、公明党及び民社党は、三党共同提案の動議に賛成、政府原案に反対、日本共産党は政府原案に反対の討論を行ない、採決の結果、三党共同提案の動議は否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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