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1972-06-16 第68回国会 衆議院 法務委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月十六日(金曜日)     午後二時四十八分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 高橋 英吉君    理事 羽田野忠文君 理事 中谷 鉄也君    理事 林  孝矩君 理事 麻生 良方君       石井  桂君    大坪 保雄君       鍛冶 良作君    島村 一郎君       千葉 三郎君    福永 健司君       松本 十郎君    村上  勇君       米田 東吾君    沖本 泰幸君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 前尾繁三郎君  出席政府委員         法務大臣官房長 安原 美穂君         法務省入国管理         局長      吉岡  章君  委員外出席者         法務省入国管理         局次長     江幡 修三君         法務省入国管理         局参事官    岡田 照彦君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十六日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     米田 東吾君 同日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     石橋 政嗣君     ――――――――――――― 六月十日  甑島簡易裁判所庁舎建設並びに家庭裁判所出張  所の併設に関する請願池田清志紹介)(第  四九一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十日  出入国法案反対に関する陳情書外一件  (第三七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  出入国法案内閣提出第八七号)  請 願   一 広島法務局海田出張所存続に関する請願     (加藤陽三紹介)(第三〇三号)   二 同(青柳盛雄紹介)(第一六六九号)   三 佐賀少年刑務所移転改築に関する請願     (保利茂紹介)(第二四五七号)   四 出入国法案反対に関する請願安宅常彦     君紹介)(第三五一二号)   五 同(阿部昭吾紹介)(第三五一三号)   六 同(阿部哉君紹介)(第三五一四号)   七 同(阿部未喜男君紹介)(第三五一五     号)   八 同(赤松勇紹介)(第三五一六号)   九 同(井岡大治紹介)(第三五一七号)  一〇 同(井野正揮君紹介)(第三五一八号)  一一 同(井上普方紹介)(第三五一九号)  一二 同(石川次夫紹介)(第三五二〇号)  一三 同(石橋政嗣君紹介)(第三五二一号)  一四 同(上原康助紹介)(第三五二二号)  一五 同(卜部政巳紹介)(第三五二三号)  一六 同(江田三郎紹介)(第三五二四号)  一七 同(大出俊紹介)(第三五二五号)  一八 同(岡田利春紹介)(第三五二六号)  一九 同(大原亨紹介)(第三五二七号)  二〇 同(加藤清二紹介)(第三五二八号)  二一 同(勝澤芳雄紹介)(第三五二九号)  二二 同(勝間田清一紹介)(第三五三〇     号)  二三 同(角屋堅次郎紹介)(第三五三一     号)  二四 同(金丸徳重紹介)(第三五三二号)  二五 同(川崎寛治紹介)(第三五三三号)  二六 同(川俣健二郎紹介)(第三五三四     号)  二七 同(川村継義紹介)(第三五三五号)  二八 同(木島喜兵衞紹介)(第三五三六     号)  二九 同(木原実紹介)(第三五三七号)  三〇 同(北山愛郎紹介)(第三五三八号)  三一 同(久保三郎紹介)(第三五三九号)  三二 同(黒田寿男紹介)(第三五四〇号)  三三 同(小林信一紹介)(第三五四一号)  三四 同(小林進紹介)(第三五四二号)  三五 同(後藤俊男紹介)(第三五四三号)  三六 同(河野密紹介)(第三五四四号)  三七 同(佐々木更三君紹介)(第三五四五     号)  三八 同(佐藤観樹紹介)(第三五四六号)  三九 同外一件(佐野憲治紹介)(第三五四     七号)  四〇 同(斉藤正男紹介)(第三五四八号)  四一 同(阪上安太郎紹介)(第三五四九     号)  四二 同(島本虎三紹介)(第三五五〇号)  四三 同(下平正一紹介)(第三五五一号)  四四 同(田中武夫紹介)(第三五五二号)  四五 同(田中恒利紹介)(第三五五三号)  四六 同(田邊誠紹介)(第三五五四号)  四七 同(高田富之紹介)(第三五五五号)  四八 同(武部文紹介)(第三五五六号)  四九 同(楯兼次郎君紹介)(第三五五七号)  五〇 同(千葉七郎紹介)(第三五五八号)  五一 同(辻原弘市君紹介)(第三五五九号)  五二 同外一件(土井たか子紹介)(第三五     六〇号)  五三 同(堂森芳夫紹介)(第三五六一号)  五四 同(内藤良平紹介)(第三五六二号)  五五 同(中井徳次郎紹介)(第三五六三     号)  五六 同(中澤茂一紹介)(第三五六四号)  五七 同(中嶋英夫紹介)(第三五六五号)  五八 同(中谷鉄也紹介)(第三五六六号)  五九 同(中村重光紹介)(第三五六七号)  六〇 同(楢崎弥之助紹介)(第三五六八     号)  六一 同(成田知巳紹介)(第三五六九号)  六二 同(西宮弘紹介)(第三五七〇号)  六三 同(芳賀貢紹介)(第三五七一号)  六四 同(長谷部七郎紹介)(第三五七二     号)  六五 同(安宅常彦君外一名紹介)(第三五七     三号)  六六 同(華山親義紹介)(第三五七四号)  六七 同(原茂紹介)(第三五七五号)  六八 同(日野吉夫紹介)(第三五七六号)  六九 同(平林剛紹介)(第三五七七号)  七〇 同(広瀬秀吉紹介)(第三五七八号)  七一 同(藤田高敏紹介)(第三五七九号)  七二 同(古川喜一紹介)(第三五八〇号)  七三 同(細谷治嘉紹介)(第三五八一号)  七四 同(堀昌雄紹介)(第三五八二号)  七五 同(松浦利尚君紹介)(第三五八三号)  七六 同(松沢俊昭紹介)(第三五八四号)  七七 同(松平忠久紹介)(第三五八五号)  七八 同(松本七郎紹介)(第三五八六号)  七九 同(三木喜夫紹介)(第三五八七号)  八〇 同(三宅正一紹介)(第三五八八号)  八一 同(美濃政市紹介)(第三五八九号)  八二 同(八百板正紹介)(第三五九〇号)  八三 同(八木昇紹介)(第三五九一号)  八四 同(安井吉典紹介)(第三五九二号)  八五 同(山口鶴男紹介)(第三五九三号)  八六 同(柳田秀一紹介)(第三五九四号)  八七 同(山中吾郎紹介)(第三五九五号)  八八 同(山本幸一紹介)(第三五九六号)  八九 同(山本政弘紹介)(第三五九七号)  九〇 同(山本弥之助紹介)(第三五九八     号)  九一 同(横路孝弘紹介)(第三五九九号)  九二 同(横山利秋紹介)(第三六〇〇号)  九三 同(米田東吾紹介)(第三六〇一号)  九四 同(麻生良方紹介)(第三六〇二号)  九五 同(受田新吉紹介)(第三六〇三号)  九六 同(門司亮紹介)(第三六〇四号)  九七 同(青柳盛雄紹介)(第三六〇五号)  九八 同(浦井洋紹介)(第三六〇六号)  九九 同(小林政子紹介)(第三六〇七号) 一〇〇 同(田代文久紹介)(第三六〇八号) 一〇一 同(谷口善太郎紹介)(第三六〇九     号) 一〇二 同(津川武一紹介)(第三六一〇号) 一〇三 同(寺前巖紹介)(第三六一一号) 一〇四 同(土橋一吉紹介)(第三六一二号) 一〇五 同(林百郎君紹介)(第三六一三号) 一〇六 同(東中光雄紹介)(第三六一四号) 一〇七 同(不破哲三紹介)(第三六一五号) 一〇八 同(松本善明紹介)(第三六一六号) 一〇九 同(山原健二郎紹介)(第三六一七     号) 一一〇 同(米原昶紹介)(第三六一八号) 一一一 同(安宅常彦紹介)(第三六六六号) 一一二 同(大出俊紹介)(第三六六七号) 一一三 同(金丸徳重紹介)(第三六六八号) 一一四 同(米田東吾君外一名紹介)(第三六六     九号) 一一五 同(藤田高敏紹介)(第三六七〇号) 一一六 同(古川喜一紹介)(第三六七一号) 一一七 同(堀昌雄紹介)(第三六七二号) 一一八 同(黒田寿男紹介)(第三六七三号) 一一九 同(米田東吾紹介)(第三六七四号) 一二〇 同(米田東吾紹介)(第三七〇二号) 一二一 同(谷口善太郎紹介)(第三七三〇     号) 一二二 同(米原昶紹介)(第三七三一号) 一二三 同(青柳盛雄紹介)(第三七八四号) 一二四 同(浦井洋紹介)(第三七八五号) 一二五 同(沖本泰幸紹介)(第三七八六号) 一二六 同(西中清紹介)(第三七八七号) 一二七 同(林孝矩紹介)(第三七八八号) 一二八 同(丸山勇紹介)(第三七八九号) 一二九 同(林百郎君紹介)(第三九一九号) 一三〇 同(東中光雄紹介)(第三九二〇号) 一三一 同(松本善明紹介)(第三九二一号) 一三二 同(小林政子紹介)(第三九二二号) 一三三 同(浦井洋紹介)(第三九二三号) 一三四 同(谷口善太郎紹介)(第三九二四     号) 一三五 同(津川武一紹介)(第三九二五号) 一三六 同(土井たか子紹介)(第四一五五     号) 一三七 甑島簡易裁判所庁舎建設並びに家庭裁判     所出張所併設に関する請願池田清志     君紹介)(第四九一二号)      ――――◇―――――
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出出入国法案を議題といたします。  この際、前尾法務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。前尾法務大臣
  3. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 前回の委員会で御質問のありました、パンフレットの取り扱いにつきまして調査をいたしましたところ、その一部の取り扱いについて、公務員の中立性にかんがみまして、誤解を招くおそれなしとしない点がありましたので、今後十分注意いたしたいと存じておりますから、どうぞよろしく……。
  4. 松澤雄藏

    松澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
  5. 米田東吾

    米田委員 出入国法案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  最初に、私、前尾法務大臣一言敬意を表しておきたいと思うことがございます。  前尾法務大臣佐藤内閣の有力な国務大臣とされまして、大きな影響力を持っておられるものと確信いたしておりますが、大臣に就任以来、特に在日外国人と、とりわけ在日朝鮮人中国人の再入国あるいは在日中における権利擁護等の面につきまして、非常にあたたかい御配慮をいただいておる。法務省といたしまして、外国人管理を扱っておられる役所として、かつてないような前進を示したのじゃないかと、私ども実は評価をいたしておるわけであります。私は、大臣の御努力に対しまして、評価をするものでございます。  しかしながら、特に在日朝鮮人中国人、この方々日本における権利といいましょうか、市民権あるいは生活権というものは、それであるにもかかわらず、なおまだ十分確立されておりません。不十分だと私は思います。また、朝鮮人にして約六十万、中国人にして約五万といわれておりますが、この諸君のおのおのその祖国への交流あるいは旅行、それからあわせて再入国、さらにまた海外に対しての旅行や再入国等が、なおまだ不十分であることは大臣も御承知のとおりであります。しかしながら、こういう面について、私は当然大臣は今後も努力をされていただけるものと思いますし、また入管当局等におかれましても、私は一そうそういう積み重ねの御努力がなされるものと確信をいたしておるわけでありますけれども、この面について、基本的な問題でもございますので、大臣のひとつ率直な御感想をまず承っておきたい、私はこう思っておるわけであります。
  6. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 現在、日本に在留される外国人と申しましても、もう申すまでもなしに、これは終戦前われわれと同一国家国民ということであった特殊な地位にあるわけであります。ただ、客観的な世界情勢が変わりましたため、その結果で、これはどちらの意思でもなしに外国人となられた、こういうことでありますから、情から考えまして、何も従来とそう変わった処遇をするという筋合いのものではないと思います。  ただ、入管行政なり法律のたてまえからいたしますと、独立国家である以上は、これはやはり国際慣例に従って、そうして自主性を持った法律を、たてまえとして持つことは当然だと思います。また、すでに外国人であるわけでありまするから、日本におられるということについては、やはり日本におられることについての利益があるというふうに考えていかなければならぬわけであります。  ただ、残念ながら、韓国とは相互協定ができておりますが、協定のないということから考えますと、未承認国の場合には、やはりたてまえ上はあくまで協定のない外国人である、こういうことでありますから、その間におのずから違った処遇といいますか、実際上の運用はそう違えたくはありませんが、たてまえとしては、あくまで違っておるというふうに考えていかなければならぬわけであります。  ただ私は、だんだん世界国連によって統一的に、またお互いに協定が結ばれていく、こういう段階にあると思います。いつかは解決され、また平等でいけるくらいの時代も来るんじゃないかと思いますが、現実においてはそこまで参っておりません。そういう意味合いからいたしますと、たてまえはあくまでたてまえとしていかなければなりませんですが、しかし、できるだけその情勢に応じて、取り扱いにはあまり甲乙のないようにという努力は、当然われわれとしてなすべきことだ、かように考えておるのであります。  したがって、世界客観情勢が変わるに即応して、常にわれわれはそういう意味合い前進をしていかなければならぬ、少なくともおくれるようなことはよろしくないということでありまして、そういう意味で、私も今後入管行政が、その時代また客観情勢に即応して、常に改善されるということに努力していきたい、かように考えておるわけであります。
  7. 米田東吾

    米田委員 大臣のただいまの御意見でございますけれども、後段におきましての大臣の御発言につきましては、私はやや意見を申し上げなければならない部分があるように思いますけれども、前段におきましては、私は、大臣はそのような御答弁をなさったといたしましても、大臣の御努力については評価すべきものがあるんじゃないか、こういうふうに実は思っておるわけであります。   〔委員長退席田中(伊)委員長代理着席〕 何も変わっておらないとおっしゃいますけれども、私ども在日朝鮮人中国人権利擁護、あるいは日本からの海外旅行祖国への里帰りまたは再入国、こういうような関係を扱ってきた者といたしましては、変わっていないと言いながらも確かに進歩があるのではないか、大臣がおっしゃる客観情勢に即応した行政配慮というものがあるのではないかと、私は確信をするわけであります。また当然これはあってしかるべきだ、私はそう思います。ひとつ今後とも、大臣の御努力を私は期待をしたいわけであります。  それから、独立国家としてのたてまえでございますが、これも私は、この部分については、日本独立国家としての国民の一人といたしまして、大臣のおっしゃる意図といいましょうか、意味というものについては理解できると思いますけれども、しかし、私はそのことによって在日外国人、とりわけ、かつて日本人であった朝鮮人中国人に対して、日本主権の名において、独立国家としての主権の名において、不当に在日活動やあるいは市民生活、そういうものを規制することは間違っておるし、許されないのではないか。そこには一定の行政当局の基準といいましょうか、配慮というものがなければならぬだろうと私は思います。筋としての独立国家のたてまえ論というものについては理解をしながらも、特に戦後続いてまいりました日本入管行政の中における在日外国人市民権やあるいは日本における在留権というものについて、相当きびしい抑圧の政策が続いておったのじゃないか、こういうふうに実は思っておりますだけに、私は大臣の言われるそのことについて、無条件に賛意を表することができないのでございます。しかし、そのたてまえをとりながらも、今後日本におる在日外国人中国人朝鮮人皆さんに、引き続き日本におることがしあわせであるという、そういう行政上の配慮というものをもっと強めていかなければならぬのではないか、私はこう思っておるわけでありまして、このことについても、ひとつ大臣の御配慮を私はお願いしておかなければならぬだろう、こう思っておるわけです。  それから、未承認国についての関係がいま大臣から言われました。これは大臣の率直な矛盾としての指摘、あるいは行政当局にある者の未承認国に対するたてまえというものがあるということについての御指摘だろうと私は思うのであります。しかしながら、世界情勢は変わっております。現に未承認国である中国との国交回復はもう、オーバーな表現かしれませんけれども、時間の問題になっているのじゃないか。おくれればおくれるほど日本国際政治の中で孤立をするという、国益に反するという、そういろ情勢が来ているのではないか。当然また朝鮮に対しましても、私はそういう時期に来ておると申し上げて差しつかえないと思うのであります。韓国との日韓協定が、結果的に朝鮮半島を分断するような日本行政運用の原因をつくったわけでありますけれども、こういう状態が今日継続されるとは思えませんし、もうすでにそれを許さない国際情勢になってきているのではないか、こういうふうにもまた思うわけでありまして、この未承認国に対する行政のたてまえはとにかくといたしまして、私はそれをきょうここで議論をしても、これは場が違いますし、私は多くを申し上げるつもりはありませんが、とにかく日本に最も近い隣の朝鮮民主主義人民共和国やあるいは中華人民共和国、そういう未承認国だといわれるこれらの国と、それからその在日国民権利擁護という点については、もっと積極的に、大胆に、私は大臣からさらに行政の効果をあげてもらわなければならぬのじゃないか、こういうふうに実は思うわけでありますが、大臣からもう一回そのことについて所見を聞きたいと思います。
  8. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 私は率直に言いまして、在日朝鮮人の問題ではなしに、最初質問の点について申し上げたのは、要するに行政としてはできるだけ人道上の原則に基づいて平等に取り扱っていく。ただ、外国人から政治的な介入を受けるということは、あくまでたてまえとして排除すべきである。ただ、以前日本人であり、しかもまた、それが自分の意思によってではなしに外国人となったというような方については、われわれはできるだけ平等な取り扱いをしていきたい、こういう考えを持っておるわけであります。  それから未承認国の問題について、私はずっと申し上げておりますように、やはり世界的に国連というものが中心になり、国連中心主義でいっておるこの際において、中国につきましては、現在国連において中華人民共和国が承認されるというような事態に来ておりますから、それは当然時間の問題で、いずれにしましてもこれは協定ができ、承認国となるということに間違いがありません。むしろそれをできるだけ促進することが日本として望ましいわけであります。そういう意味からいたしますと、私はもうほとんど承認国と同様な考え方で処理してまいってきたわけであります。  ただ、韓国の場合におきましては、韓国内のいろいろな事情があります。したがって、日本立場からいたしますと、やはり両方の政府に対してわれわれは外交交渉を持つべきでありまして、持っておるものと持っていないものとに分かれてはおりますが、そこに総体として日本国益という点から、どういう処理なりどういう態度で臨んでいったのが、最も正しく、また日本国益に合致するかと、こういう問題があるわけであります。一方において非常に促進されましても、片一方においてまた非常なマイナスをするということになれば、プラスマイナス・ゼロならよろしいが、もっとマイナスというような面も出てくるわけであります。そういうことを常に現在は比較勘案していかなければなりません。  しかし、これもやはり歴史の流れが解決していくということを常に頭に持ちながら、その流れにさからわないで、また、いつも申しますように、そのときそのときの事態に最も即応した処置をしていくという考えでなければならぬ。そういうような意味合いからいたしまして、私も、多少前進したということであり、また当然それが現在の実情に合っている、かように確信して、いろいろな問題を処置してきたわけであります。根本の考え方においては、ただいまのお話とそう違うとも私は考えておりません。
  9. 米田東吾

    米田委員 実は、きょう九時半の羽田着の飛行機で、三月の末に里帰り朝鮮民主主義人民共和国を訪問されました、朝鮮総連の副議長であられる李季白先生はじめ六名の方々が、非常に元気な姿で帰ってこられました。これはもちろん、大臣がずっと続けてこられました在日朝鮮人里帰りの、ことしの春の一行に再入国を認められて、実は朝鮮を訪問されたわけでございますけれども、しかし、たまたまこの時期には、朝鮮民主主義人民共和国金日成首相の六十周年の誕生お祝いが、国家的な慶事で行なわれておりました。当然それに参加をされてきたものと私は確信するわけであります。私も日本政治家の一人として、もっと早く在日朝鮮人皆さんが、少なくとも戦後二十七年、日本におるだけで一歩も外へ出れない、ようやく人道上の配慮がありまして、四十年からやや、里帰りという方法で祖国の土を踏むことができたけれども、これすらいまわずか五十九名、今度大臣が認められた三月の里帰りを加えましてわずか五十九名、そういう状況でございまして、私は党派を越えて、このような在日朝鮮人人道上の問題や、あるいは最小限の市民権在留権というものについて、もっともっと引き上げていかなければならぬということを、実は痛感して私はお出迎えして帰ってきたわけでありますけれども、あわせて、大臣人道上の配慮をされたことが、これほどりっぱな事業として日朝両国の友好に役立っている、こういうことを私は大臣にひとつ承知をしていただきたいと思って申し上げたわけであります。  大臣がいま答弁されました中で、韓国との関係その他国益上の問題もあるということです。私は、大臣のおっしゃる意味立場について理解ができますけれども、しかしややもすると、この種の人道上の問題というものは政治に優先すべきなんでありますけれども、日本においては逆に政治が障害になっている、こういう事情等も私は認めざるを得ないと思うのでありますが、ひとつ在日朝鮮人皆さんが、お国へ帰るあるいは海外旅行をされるというようなことが、今日この事態で、かつてのような、国益に反するというような、そういう事態があり得るはずはありませんし、また、韓国からの不当な内政干渉等があるはずはありませんし、またあっても、これはそれこそ主権国家である日本として、き然たる措置がなされなければならない問題であろうかとも思いますし、どうか、私の言いたいのは、今後ともひとつ大臣が勇断をもって、この種人道上の問題や、あるいは日本の憲法にある、世界のどこの国とも協調し、仲よくして、そして日本の平和と民主主義の国家づくりをやっていくというこの精神に立ち返って、日朝や日中の友好を深めるこの種の事業に、私は、ひとつ大臣の一そうの御努力を実は期待をしたいわけであります。  こうした大臣の御努力を私は評価をいたしておるわけでありますが、さて、この出入国法案に戻ってまいりますと、どうも私は、大臣のいまの御答弁や、あるいは大臣が就任中なされたこの法務行政、とりわけ入管行政、この面を見ますときに、同じ大臣のもとに提案された法案とは思えないぐらいに、実は私は矛盾を感ずるわけであります。きょうはとりあえず、私はその主要な、基本的な二、三の問題について、大臣から御意見をお聞きしておきたいと思うのでございます。  まず、第一に私は大臣にお聞きしなければならぬのは、この法案は違憲性が強いという指摘がございます。これは大臣もそういう指摘があることについてお認めだと思うのであります。私どもも、十分ではございませんがこの法案について幾度か検討してまいりました。きょうはその中の最も中心点である、この法案の二十六条にかかわってくるかと思いますが、在日外国人政治活動の規制の関係でございます。これは私は、あなたのほうがまかれたという自由民主党の「新しい時代出入国制度」というパンフ、これを読ましてもらいました。それから法務省のしばしばの見解表明等についても、実は承知をいたしておるわけでありますけれども、しかし、何と説明されてもこの二十六条の条項、すなわち外国人政治活動の規制の条項でありますが、これは私は、どうしても違憲性について払拭できないわけなんです。  もちろん、憲法違反の法案政府当局が出すはずはないと御答弁されると思いますし、私もそのたてまえはわかりますけれども、しかし、この二十六条の関係は、これは行政当局運用とかそういうことによって処理できる問題でありませんし、法案がこのように効力を発することになりますと、どうしてもこれは憲法上の問題が必ず出てくる。   〔田中(伊)委員長代理退席、羽田野委員長代理着席〕 具体的にそういう事案が出たときに、最終的には違憲裁判で争って、そうして、先般の在日朝鮮人の外国旅行による再入国について法務省が認めないで、とうとうこれは裁判になりまして、高等裁判所までこれが行きまして、結果的に国の主張は負けておるわけであります。要するにこれは違憲性があるということと、それから日本におる在日外国人についても日本の憲法上の、特にこの基本的人権や市民権に属する部分については、当然保障があるというたてまえで、法務省は敗訴しているわけであります。そういう轍を再び三たび繰り返すことになるのじゃないか。そうして、この法案というものが、言われておりますように治安立法的な、違憲立法的なものとして、日本国内だけじゃなしに、世界の笑いものになるのじゃないかという心配もするわけであります。このことについて、基本的に私は重要な問題だと思いますので、大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  10. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 外国人、すなわち参政権を持っていない、こういう人が日本に来て政治活動をやるということについては、これは当然慎んでいただかなければならぬのでありまして、国際慣習から考えましても、どの国でも独立国はそういうたてまえであることは当然でありますし、それは私は憲法違反というふうには全然考えておりません。また憲法も、それだけの外国人に対して制限をやることは、これは当然認めておることであると思います。  ただ問題は、先ほど来申しておりますように、終戦前は国民であり、まあそれが世界情勢で、その個人の意思ではなしに外国人になったという人は、特別な地位にあるというふうに考えるべきものだと思います。  先ほど来引用されました再入国の問題につきましては、これは最高裁の判決までいきませんでした。はっきりしない点もありますが、いずれにいたしましても再入国はやはり入国という問題である、向こうへ出る出国と入国と二つに分離して考えるべき問題であるという点が争点であったかと思います。しかし、最終的な判断はなされずに終わったのでありまして、私は憲法のたてまえから考えましても、また事柄の実際から考えましても、あの裁判で最終的に負けるとは考えておりません。外国人に対して、参政権を持たない人が自由に政治活動をやるということは、これは私は認めるべき問題ではない、かように考えておるわけであります。
  11. 米田東吾

    米田委員 大臣、私は違うと思うのです。誤解を受けると困りますから申し上げておきますが、大臣が言われる参政権に属する政治活動、そういうものがかりにあるとすれば、外国人日本において参政権がございませんから、政治に参加することは、これは憲法上からいきましても禁止されておるところでありますから異論がありませんけれども、そのことを私は申し上げておるわけではないのであります。ただ、参政権がないからといって、ストレートに政治活動は一切できないぞ、してはいかぬぞ、国の政策の決定や機関の決定についてものを言うなという、これは一体どうかということが私の問題提起なんです。参政権がなくても、市民権的な政治活動あるいは基本的人権に属する政治の分野における活動というものは、当然私は外国人といえども権利があると思う。また、そうでなければ民主主義国家としての国の基本というものは危うくなる、私はこういうふうに実は思うわけでありますが、それを私は申し上げておるわけなんであります。  この二十六条の法文によりますと、これは非常にあいまいな法文になっておりますけれども、法務省の決定に批判を加えたりあるいは反対したりして、集会をやったりデモをやったりビラを配ったりしてはいかぬ、そうやればすぐ中止命令を出すぞ、それで聞かなければ国外に退去強制やるぞ、こういうおどかしなんです。私はこれは混同されるおそれが十分あるし、現にいままで皆さんやってこられたのです、日本の法務行政の中では。ですから、私はこれを指摘をしているわけなんでありまして、参政権云々で直ちに、外国人には政治活動は与えられておらないし、ないのだというこのことについては、私は大臣と見解を異にするのでありますけれども、私の申し上げていることについて、大臣はいかがにお考えでございますか。
  12. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまのお話を聞いておりますと、政治活動という範囲といいますか、定義の問題にも関係あると思いますが、いずれにしましても、政策の決定とか根本的な政治活動、これは私は当然参政権のない人がやるべき問題ではないと思います。いろいろ行政上の問題について、それに対して異議があるというようなことは、これは別個の問題で、必ずしも政治活動と考える必要はない。要するに、政策の決定というようなことが政治活動であります。  したがって、ただいまのお話は、具体的にどういう行為であるか、それがはたして政治活動であるかどうかという認定の問題になると思います。私は、あくまで政策の決定といわれるような政治活動は外国人としてやるべき問題ではない、これは当然慎んでもらわなければならぬ、かように考えております。
  13. 米田東吾

    米田委員 私の言っていることは、大臣は御理解なさっていられると私は思うのでありますけれども、政治活動とは何ぞやというこの解明のほうも大事だと思いますけれども、私は、大臣並びに法務当局に聞きますけれども、しからば、いま大臣が説明されましたようなそういう日本の独自な主権に基づく政策の決定、実施について、在日外国人が、このような法規制をしなければならないような、そんな一体政治活動をいままでやってきたのですか。一体そんなことあったのですか。私はそういう事実があったとは全然思いませんし、そういうことはなかったと思う。ことに在日外国人は、戦前から引き続いて日本におられる方々などについては、これはまたあとで議論をいたしますけれども、日本に上陸する際には、現行入管令によって、上陸の段階、在留の段階でそれぞれ政治活動等については大きなワクをはめられておるのであります。これは法文上はっきりしておるのであります。国益条項があるのです。いままでこの条項によって、在日外国人についての政治活動等について、十分これに対する対処の効果というものはなされてきていると思いますし、それを不足として、なおこのような抽象的な法文によって政治活動を規制する。この限りにおいては全般的な規制にならざるを得ない。そういうことをなぜ一体必要とするか、そういうことが一体具体的にいままであったのかどうか、このことが一つ私はお聞きしたい点であります。  ことに、在日外国人といえども、日本に参政権がないとしても、みずからの基本的人権や生活権に触れる問題が出てくるとすれば、これは最小限正当防衛の——正当防衛と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、やはり私は、市民権基本的人権に属する最低の条件として、政治的な効果的な活動をするようなことは許されるべきだと思うのです。そのことについていままであったのかどうか、これは大臣いかがでございますか。
  14. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 それはあったかどうかということではなしに、あってはならないということだと思います。おそらく現在までにおきましては、戦前から在留しておられる朝鮮人あるいは台湾人、こういう方々については政治活動を認めておりますから、これは問題はないわけであります。しかし、それ以外の外国人で、現在まで認めていない外国人政治活動をやられる、もしそういうことがあってはならないので、こういう規定を設けておるわけであります。あったかなかったかという点については、私は、なければけっこうでありますし、そういうことがあってはならないという規定だと思います。  法文の関係については、局長から答弁いたします。
  15. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 御指摘政治活動の中止命令につきましては、わが国の内政に干渉するような態様の政治活動は好ましくないから、これは規制しようということでございますが、国の決定いたしました政策の実施に反対するデモとか集会を主催するのは、やめていただきたいということでございますが、この集会に、単なる参加はこれは問題といたしておりませんし、それからまた政策に関する自由な批判というものも、これは規制の対象となっておりません。ですから、政治活動の中で非常に極端な、内政干渉にわたるような態様のものを規制しようということでございます。  それから、ただいま大臣から説明がございましたように、この政治活動の規制の対象からは、法律百二十六号の該当者を除いておりますから、現在日本に在留しておる朝鮮半島の出身の方及び台湾から来られた方の大部分は、この政治活動の規制の対象からはずされておる状態でございます。
  16. 米田東吾

    米田委員 入管局長、私はまだ法文の具体的なことをお聞きしておりません。基本的なものの考え方を実はお聞きしておるわけであります。二十六条の内容に入ればたくさん問題はありますから、私はいずれその機会があれば申し上げます。  ただ、いま大臣の御答弁でありますけれども、大臣の御答弁は、あったかなかったかということよりも、あってはたいへんだからこういう法的措置をするのだという御答弁だと私は承知いたします。そのことも私はわからないわけではありませんけれども、しかし、それであるならば、私は現行入管令のあの条項で十分じゃないかということを言いたいのです。これはもう皆さんは専門家でありますが、現行入管令の中に政治活動について二つのチェックがあるはずであります。あれで十分じゃないか。しかも、あの条項に照らして、在日外国人が退去強制されたりあるいは大きな市民権を奪われ、抑圧の生活をしなければならなかったという歴史があるわけであります。私はそれで十分じゃないかと思う。  要するに主権国家大臣が言う独立国家、そこで必要な日本人以外の外国の方々管理等について、何らかの法的措置はやはり必要だということであるならば、現行入管令のこの政治活動についての二つのチェックで十分じゃないか、実はこう思うのでありまして、それ以上に、何でこの二十六条のこのような、きわめて違憲要素の深い政治活動規制の条項を入れる必要があるか。私が言いたいのは、実はその基本的な大臣並びに法務当局のお考えについて聞いておるわけでありまして、そのことについての御答弁が入管局長からはないわけであります。どうでありますか。もちろん入管局長はその衝に当たられて、この二十六条の関係に入りますと、こんな法文はあなたのほうは答弁できなくなりますよ。これまでせぬでも、現行の入管令でなぜ一体足りないのか。かつてそういうようなことがあったかということは、それは私はいま答弁として、そういうようなことについての具体的な、あったという答弁はいただいておりません。おそらくなかっただろうと思うし、ないだろうと私は確信するのです。どうしてこういうものが必要なのか。  それともう一つは、諸外国ということがありますけれども、諸外国の例も大いに参考としなければなりませんが、ただ抽象的に諸外国ということで合法づけられることについては、問題があると私は思う。私どもも諸外国の例を調べておりますけれども、このような規制でやっているところは数少ない。もっと言うとすれば、諸外国に比べものにならないくらい日本は平和憲法を持っているわけであります。この平和憲法は、前文にありますように、国民の不断の努力によって、この民主主義的な平和国家というものは守っていかなければならない。これこそ世界に類例のない憲法を持っている日本でございますから、私はそれに反するような、こういう二十六条のような規定のしかたは、全く逆行じゃないかと思いますし、実際的にもそういう必要はないのじゃないか。  それにもかかわらず、なおかつあるとすれば、私は疑いたくないけれども、こういうあいまいな、いいかげんな条文をつけておいて、それこそまた依然として敵視政策を進められる、あるいは在日外国人の不当な弾圧等の材料として、根拠として使われる、そういう陰謀があるのじゃないかということすら疑いたくなるのであります。そのことを私は申し上げているわけでありますから、ひとつ入管局長、法文の説明でなくて、少なくとも大臣を補佐する入管局長としてのあなたの見解というものを、基本的に伺っておきたいと思う。
  17. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 御質問の点につきましては、利益公安条項というのが現行の入管令にございますが、これは解釈のしかたによりましては、非常に広範な適用ができるということがあると存じまするが、今度の出入国法案で二十六条を入れましたことは、利益公安条項の解釈が恣意的に、そのときどきによって広げられるということを防いで、具体的にこういったケースは好ましくないものであるから、中止命令の対象にするということでございます。  そうなりますと、利益公安条項に該当するものは、二十六条の規制の対象とは違った程度の高い行為でございまして、わが国の国益に合致しないものであるということがはっきりするかと思いまして、われわれとしましては、このことは、われわれのほうからの自由裁量の幅を狭めるという意味において、前向きの姿勢ではないかと考えております。
  18. 米田東吾

    米田委員 いまの局長の答弁、非常に問題が残ると思いますが、現行法令の中にある公安条項は、いまの御答弁だと、それだけでは非常に範囲が広過ぎるから、もっと前向きに狭めていくんだということでの二十六条だという御発言のようでございます。私は、むしろそれは逆じゃないか、こういうふうに実は思うのであります。要するに、このことによって、結果的にはこの公安条項をさらに補強することになる、こういうふうに私は実は思うのですが、これはいずれまた十分あなたのほうと意見交換をしなければならぬ、議論をしてみなければならぬと私は思います。  いずれにいたしましても、入管局長、どうでございますか。たとえば憲法の二十一条、二十二条、これらの基本的人権、しかも国籍とかそういうものを越えて、人間の自然的権利、生存権的権利に属するこれらの憲法上の規定については、公益上一定のセーブをされることがあったとしても、入管法の上にこれらが全然不問に付されていい、適用されないんだ、外国人については、煮て食おうと焼いて食おうと自由なんだというこのことは、私は承服できないと思うのでありますが、憲法二十一条、二十二条、これらの関係について、一体外国人にはこれは適用されるのですかされないのですか。あなたのほうはどうお考えになっておられるのですか。
  19. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 国際慣習法で認められた範囲において、それらの権利は、在日外国人にも認めることが至当と存じます。
  20. 米田東吾

    米田委員 この種の判断について、国際慣習法とか国際法で、一定の定着した国際法上の解釈が確立しているということについては、私は承知いたしておりません。ですから、あなたが言う国際慣習法とか国際法に従ってやるんだという抽象的なことばだけでは、どうもこれはそのときそのときのあなたの恣意的な判断による、そういうふうに思いまして、これは問題だと思います。この問題につきましては問題提起をしておきますが、いずれまた局長さんと意見交換をしたい、こう思っております。  私は、憲法二十一条の集会、結社、表現の自由、それから二十二条の居住、移転、職業選択の自由、外国移住の自由、国籍離脱の自由、これらについては、全面的にとは申し上げておりません。しかし、少なくとも固有の基本的人権に属する生存権的なこの基本的なものについては、在日外国人といえども当然保障される、適用される、こういうふうに思っておりますので、これはあとでまた十分あなたのほうと意見交換をしたいと思っております。  次に、私はお聞きしたいのでありますが、いま局長から、この法律在日朝鮮人中国人の大部分方々については適用除外だというお話がございました。そのことは、私も法務省の説明を読んでおりますので承知をいたしておるつもりであります。しかし、これにも実は問題があるのでありますが、それはきょうはおくといたしましても、あなたのほうが法的根拠にしている一二六、それから特定在留ですか、これらの方々について適用除外にされるということなんでありますけれども、それは一応おくといたしまして、この一二六の関係、それからその子供に与えられておる特定在留の関係、私はこれは日本が法治国家として、まさにこの一二六号にありますように、当分の間の一つの措置だと思いますけれども、このこと自体、これが適用される方々日本における法的地位が確立しておるかというと、確立しておらぬと私は思う。暫定的な当分の措置として法律一二六というものが有効な作用をしておる、その部分については適用除外、これはわかります。わかりますけれども、最も根本になる在日六十万の、これはあとで数がわかったら聞かしてもらいたいと思いますが、これらの一二六関係方々の法的地位というものは、この法律との関係において、一体今後どうなっていくのかということです。これは四月二十二日、参議院の予算委員会でございますが、第一分科会で入管局長と公明党の鈴木参議院議員でございましたか、この部分についての質疑がございまして、非常に重要な答弁をあなたはなさっておられるわけであります。私はその会議録をここに持っておるわけでございますが、こういう答弁があるだけに、この関係につきまして、これは法律以前の問題、入管法以前の問題として、ぜひ明らかにしておかなければならぬと実は思うのであります。  私の聞きたいのは、この一二六に関係する方々の法的地位というものは、この法律との関係において、あなたのほうは今後どういうふうに考えておられるのか、このことをお聞きしておきたいと思います。
  21. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 すでに御承知のとおり、一二六の該当者の方々は、在留資格なしに、在留期間を定めずに日本に滞在しておられますが、これはあくまでも暫定的な、御指摘のとおり、ある意味において非常に不安定な身分でございますから、当局におきましては、出入国法が制定されたあと、なるべく早い機会に法一二六にかわる法律をこしらえまして、その人たちの在留資格及び処遇というものをきめたいと考えております。  また他面、韓国との協定に基づきまして、協定永住で日本に在留される方がおられるわけでございまして、これらとの関連において、でき得べくんば、朝鮮民主主義人民共和国及び台湾政府それ自体の帰属がきまりましたら、いずれ双務的協定を結んでその処遇をきめるほうがいいのではないかという感じもいたしますが、情勢はまだそこまで進んでおりませんので、それにかかわらず、ある程度の処遇を与えていくという方向で検討したいと思っております。
  22. 米田東吾

    米田委員 あなたの答弁を聞いておりますと、この法律一二六ができる経過、それからこの法律の意義、そういうものを局長さん、失礼でありますけれども十分御理解なすっておられないのじゃないかという感じがするわけであります。この法律ができたらそれを手始めにするとおっしゃるのでありますけれども、一体どういう方法でそんなことができるのですか。国内法としてやるんだ、どうやろうとこっちが考えればよいということであれば、これは何をか言わんやであります。そんな簡単にこの一二六は手をつけられるはずがない。これは二十七年からでありますから、すでに二十年を経ておるわけであります。しかも、その間に日韓条約の締結とか、外国人の法的地位の関係ではいろいろ変動がございますから、そういうことがおそらく当然なされたと思うのでありますけれども、これはできないはずなんです。日本だけでいじくってみたところで、これはいずれ一二六というようなかっこうで暫定的に直していく以外にないのであります。どんな単独立法をしたところで、外国の国との関係を抜きにしてきちっとできるはずはないじゃありませんか。  それから、あなたは台湾の帰属がはっきりすればとおっしゃいましたけれども、台湾の帰属はもうはっきりしているんじゃないですか。これは日本政府が認めないだけの話でありまして、佐藤総理だってもうはっきり、中華人民共和国の不可分の領土だということを国会できちっと言われておるのであります。ですから、私はあげ足をとるつもりはございませんけれども、あなたの真意は、台湾の問題等については、中国との国交の樹立によっていずれ解決する、そのときに考えるということなら、これはもう話が通っておりますからわかります。実は私はそれしかないと思いますだけに、あなたのおっしゃる真意はそこじゃないか。あげ足とりはいたしませんけれども。私は、やはりこれはそういうふうに解決する以外に、法的地位を日本において確定させる方法はないんじゃないか、こういうふうに実は思うのであります。  同様なことは、朝鮮との関係においても私はそう思います。日韓条約が結ばれまして、この条約に基づく南のほうの皆さん日本における法的地位というものは、単独立法ができまして確定しておりますし、協定もできております。この部分に関する限り、事一二六やあるいは特定在留というような関係における方々よりは十分確定しておると私は思う。  しかし、中国人にしても大多数の朝鮮人にしても一二六の関係者であり、適用者であります。ですから、あなたがこの問題の本質というものを理解されて、そしてまずこれらの方々日本における法的地位というものを確定させなければならぬ。さっき台湾の帰属のお話が出ましたけれども、いずれにしても関係国との間に正常な関係ができて、そうして法的地位が両国の間で合意に達する、そういう状態ができて初めて、この一二六というものがなくなっていくと私は思うのであります。そうでなくて、あなたのほうが行政的な措置で一二六をはずしていくようなことは、混乱を拡大するだけで、私はこの問題の解決にならぬと思うのです。たとえば一二六からはずす条件を拡大する。いま大体外国人登録法違反とかあるいは日本における実刑ですか、刑余者の方々は、これは本人の意思にかかわらず一二六からはずされてきているわけであります。そういうかっこうでなしくずし的にはずしていこうと思えば、これは私はできると思いますけれども、それこそさっき大臣が答弁されましたように、国際情勢の変化、前進、それから日本における民主主義の拡大、こういう国内の趨勢を考えますと、そういう時代逆行は入管行政の中にはもうでき得ないと私は思います。  そうだとすれば、いま私が前段に申し上げたことしかないと思うのでありますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。これは、最高責任者でありますから、ひとつ大臣からもぜひ御答弁をいただいておきたいし、入管局長からもあわせて答弁をいただきたいと思います。
  23. 吉岡章

    ○吉岡政府委員 私の申し上げたかった点は、ただいまの先生の御意向とほとんど変わらないんじゃないかと存じますが、私の説明が足りなかった点もあるかと存じますので、ふえんさせていただきます。  法律一二六号にかわるものをつくる場合に、在留資格あるいは在留期間だけを与えるということでございますと、これはわりと簡単かと存じますが、しかし、御指摘のように外交、内政両面にわたる関係がございますし、その点におきまして、先ほど申し上げましたように、それぞれ両国の双務的な協定ができたほうが望ましいということであるならば、われわれ、外交的にこの処遇をきめるということはむずかしかろうかと存ずる次第でございます。
  24. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 まあ韓国との交渉の経緯を考えましても、現実問題として、向こうが引き取りに協力してくれるんでなければできないということが明らかになっておるわけですから、やはり向こうとの話し合いということが自然であり、そのことを前提としませんと、ちょっとなかなかできないような感じが私はしておるわけです。
  25. 米田東吾

    米田委員 私、もうこれで打ち切らせてもらいたいと思いますが、いずれまた理事会の御決定に従って、質問を許されれば、今後もやらせていただきたいと思いますが、願わくは、今国会ではこの質問でもう終わらしていただきますように、私は委員長にお願いしておきたいと思いますけれども、最後に、いま大臣からも御答弁がございましたように、法律の専門家としての立場と、それから政治家としての立場、この二面の上に立って一番いい方法を考えるといたしますならば、いま大臣が大体御答弁されました線、それから入管局長も私の考えとそう違いはないだろうという御答弁がございましたけれども、私はやはりその方向で、少なくとも日本におられる六十万、そして中国五万の方々が、しかも、これはみずからの意思に無関係日本において外国人としての扱いを受けて、戦後二十七年、まだその居住の基本的な法的地位というものが確定しておらない。そういう不安定な状態に置かれておることでもございますので、これらについての確定をまず急いでいただいて、その上に、公正な出入国法というものが、ポツダム政令でいかぬというならば、これは当然直していって差しつかえないと私は思います。また、大量出入国時代、もうジャンボ飛行機でどんどん観光団や外国人日本に出入りをされるという大型の時代に対応するだけの国内法の整備が必要だとするならば、法律改正の必要があるとするならば、これはもう当然そういう方向で進めていかなければならぬと私は思う。  しかし、少なくともいま私が指摘いたしましたような基本的な点、私はこの種の関係というものは、議論するとするならば、まず不安のない外国人の法的地位を確定した上で、そしてその上に立って日本国益、公安の条項に照らすなり、あるいは政治不参加という原則のもとにおける一定の政治活動についての規制というものが必要だとするならば、それこそ何ら不安なくそういうことについての議論もできるわけでありますから、そういうふうな方向に持っていくべきではないか、こういうふうに実は思うわけでありまして、ひとつ私の真意は、法務大臣からも、入管局長からもぜひ御理解をいただいて、今後の入管行政に私は生かしていただきたいと思います。  この法案については、以上の関係について私は質疑をやらせていただきまして、これで終わりたいと思います。
  26. 羽田野忠文

    ○羽田野委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後四時一分休憩      ————◇—————    午後五時五十一分開議
  27. 松澤雄藏

    松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先刻、理事会において申し合わせを行ないましたので、この際、委員長から御報告申し上げます。   閉会中、各党は出入国管理令にかわる出入国  に関する法律の内容につき、具体案を持ち寄  り、誠意をもって協議を行なうこととする。以上であります。      ————◇—————
  28. 松澤雄藏

    松澤委員長 本日の請願日程全部を議題とし、審査を進めます。  今国会、本委員会に付託になりました請願は百三十七件であります。  各請願の内容につきましては、すでに文書表で御承知のことと存じますし、また、先ほどの理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちに採否を決したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第一三七の請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  32. 松澤雄藏

    松澤委員長 この際、御報告いたします。  今国会、本委員会に参考送付された陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、八件であります。      ————◇—————
  33. 松澤雄藏

    松澤委員長 閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件並びに国内治安及び人権擁護に関する件、以上の各件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  閉会中の委員派遣の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行なう必要が生じました場合は、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、派遣期間及びその人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十四分散会