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米田委員 実は、きょう九時半の
羽田着の飛行機で、三月の末に
里帰りで
朝鮮民主主義人民共和国を訪問されました、
朝鮮総連の副議長であられる
李季白先生はじめ六名の
方々が、非常に元気な姿で帰ってこられました。これはもちろん、
大臣がずっと続けてこられました
在日朝鮮人の
里帰りの、ことしの春の一行に再
入国を認められて、実は
朝鮮を訪問されたわけでございますけれども、しかし、たまたまこの時期には、
朝鮮民主主義人民共和国の
金日成首相の六十周年の
誕生お祝いが、国家的な慶事で行なわれておりました。当然それに参加をされてきたものと私は
確信するわけであります。私も
日本の
政治家の一人として、もっと早く
在日朝鮮人の
皆さんが、少なくとも戦後二十七年、
日本におるだけで一歩も外へ出れない、ようやく
人道上の
配慮がありまして、四十年からやや、
里帰りという方法で
祖国の土を踏むことができたけれども、これすらいまわずか五十九名、今度
大臣が認められた三月の
里帰りを加えましてわずか五十九名、そういう状況でございまして、私は党派を越えて、このような
在日朝鮮人の
人道上の問題や、あるいは最小限の
市民権、
在留権というものについて、もっともっと引き上げていかなければならぬということを、実は痛感して私はお出迎えして帰ってきたわけでありますけれども、あわせて、
大臣が
人道上の
配慮をされたことが、これほどりっぱな事業として
日朝両国の友好に役立っている、こういうことを私は
大臣にひとつ
承知をしていただきたいと思って申し上げたわけであります。
大臣がいま答弁されました中で、
韓国との
関係その他
国益上の問題もあるということです。私は、
大臣のおっしゃる
意味や
立場について
理解ができますけれども、しかしややもすると、この種の
人道上の問題というものは
政治に優先すべきなんでありますけれども、
日本においては逆に
政治が障害になっている、こういう
事情等も私は認めざるを得ないと思うのでありますが、ひとつ
在日朝鮮人の
皆さんが、お国へ帰るあるいは
海外旅行をされるというようなことが、今日この
事態で、かつてのような、
国益に反するというような、そういう
事態があり得るはずはありませんし、また、
韓国からの不当な
内政干渉等があるはずはありませんし、またあっても、これはそれこそ
主権国家である
日本として、き然たる措置がなされなければならない問題であろうかとも思いますし、どうか、私の言いたいのは、今後ともひとつ
大臣が勇断をもって、この
種人道上の問題や、あるいは
日本の憲法にある、
世界のどこの国とも協調し、仲よくして、そして
日本の平和と民主主義の国家づくりをやっていくというこの精神に立ち返って、日朝や日中の友好を深めるこの種の事業に、私は、ひとつ
大臣の一そうの御
努力を実は期待をしたいわけであります。
こうした
大臣の御
努力を私は
評価をいたしておるわけでありますが、さて、この
出入国法案に戻ってまいりますと、どうも私は、
大臣のいまの御答弁や、あるいは
大臣が就任中なされたこの法務
行政、とりわけ
入管行政、この面を見ますときに、同じ
大臣のもとに提案された
法案とは思えないぐらいに、実は私は矛盾を感ずるわけであります。きょうはとりあえず、私はその主要な、基本的な二、三の問題について、
大臣から御
意見をお聞きしておきたいと思うのでございます。
まず、第一に私は
大臣にお聞きしなければならぬのは、この
法案は違憲性が強いという
指摘がございます。これは
大臣もそういう
指摘があることについてお認めだと思うのであります。私どもも、十分ではございませんがこの
法案について幾度か検討してまいりました。きょうはその中の最も
中心点である、この
法案の二十六条にかかわってくるかと思いますが、
在日外国人の
政治活動の規制の
関係でございます。これは私は、あなたのほうがまかれたという自由民主党の「新しい
時代の
出入国制度」というパンフ、これを読ましてもらいました。それから
法務省のしばしばの見解表明等についても、実は
承知をいたしておるわけでありますけれども、しかし、何と説明されてもこの二十六条の条項、すなわち
外国人の
政治活動の規制の条項でありますが、これは私は、どうしても違憲性について払拭できないわけなんです。
もちろん、憲法違反の
法案を
政府当局が出すはずはないと御答弁されると思いますし、私もそのたてまえはわかりますけれども、しかし、この二十六条の
関係は、これは
行政当局の
運用とかそういうことによって処理できる問題でありませんし、
法案がこのように効力を発することになりますと、どうしてもこれは憲法上の問題が必ず出てくる。
〔
田中(伊)
委員長代理退席、羽田野
委員長代理着席〕
具体的にそういう事案が出たときに、最終的には違憲裁判で争って、そうして、先般の
在日朝鮮人の外国
旅行による再
入国について
法務省が認めないで、とうとうこれは裁判になりまして、高等裁判所までこれが行きまして、結果的に国の主張は負けておるわけであります。要するにこれは違憲性があるということと、それから
日本におる
在日外国人についても
日本の憲法上の、特にこの基本的人権や
市民権に属する
部分については、当然保障があるというたてまえで、
法務省は敗訴しているわけであります。そういう轍を再び三たび繰り返すことになるのじゃないか。そうして、この
法案というものが、言われておりますように治安立法的な、違憲立法的なものとして、
日本国内だけじゃなしに、
世界の笑いものになるのじゃないかという心配もするわけであります。このことについて、基本的に私は重要な問題だと思いますので、
大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。