○吉岡政府
委員 六十一国会と六十五国会に提出いたしましたこの法案は、その名称を出入国管理法といたしておりましたが、まずこの法案の名称を
改正いたしたのでございます。その理由は、外国人の出入国在留の許可等に関しまして、その処遇が公正に行なわれるように、
基準、
手続等を定めたものでございますが、出入国管理と申します際には、その名前が、あたかも規制ないし取り締まりを主とした
法律であるかのごとき印象を与える懸念がございますので、
内容とは違った誤解を生じないように、今回法案を、ただ単に出入国法と改めたのでございます。
それから、
内容的に
改正の主要点を申し上げますと、第一点は、まず出入国の
手続につきまして、思い切った簡易化と申しますか、簡素化をいたしました。また第二点は、外国人の在留
制度の合理化をいたした次第でございます。
第一点の出入国
手続の点につきまして具体的に申し上げますと、二、三カ月滞在する目的で日本に参ります外国人は、今度の法案ではきわめて簡単に入国できるようにいたしてございます。過去の統計によりますと、わが国に入国しました後、二、三カ月以内の滞在で出国する外国人の数は一大体全入国者の九五%を占めておりますが、現行の管理令のもとでは、短期間の滞在者を一律に取り扱うような
制度がございませんので、外国人に上陸許可をする場合に、その入国目的を個別に審査いたしまして、入国目的相当の在留
資格を決定しなければならないという繁雑な
手続がございます。そこでこの法案では、短期滞在者という新しいカテゴリーの在留
資格を設けまして、スポーツとか、親族訪問であるとか、見学であるとか、
会議参加あるいは業務連絡等々の目的で短期間日本に入ってくる外国人は、この短期滞在者という在留
資格で一律に受け入れることができるようになりましたし、それらの外国人の入国
手続を、現在の観光客並みの最も簡易なものにすることにいたしました。この結果、出入国の容易さは西ヨーロッパ諸国の場合とほぼ同じようになりまして、国際的に要請されております出入国
手続の簡易化、簡素化の要請に、大いにこたえるものと存ずる次第でございます。
次に、外国人は査証がなくとも十日前後の日本の観光ができるようになるということでございます。国際旅行の途中に日本に立ち寄って、数日間の上陸を希望する外国人の数は激増しておりますが、現行の令によりますと、無査証の外国人の一時的な上陸を許可できますのは、その外国人が乗ってきた同一の船舶あるいは同一の飛行機によって日本から出国する場合に限られておりまして、しかも、上陸できます期間はごくわずかでございます。そこでこの法案では、たとえば羽田空港におり立った外国人が、査証なしに一週間前後の上陸を許可されまして、
東京あるいはその近傍を見学しまして、別の飛行機で羽田から出国していくことができ、あるいは箱根だとか京都の観光を楽しんだ上で、伊丹の空港とかあるいは神戸の港から、飛行機や船舶に乗りかえて出国することもできるようなことにいたした次第でございます。
現行
制度のもとでは、寄港地周辺に上陸します船舶あるいは飛行機の乗員や乗客が、四十五年度の統計によりますと約百八十万人にのぼっておりまして、今度の法案で
手続が
改正されますと、観光旅行をする外国人にとっては非常に便利になるということで、国際旅行の簡易化ということが望まれておる点に、大いにこたえることができると存ずる次第でございます。
それから、二点の外国人の在留
制度の合理化について申し上げますと、今度の法案では、まず在留
資格の
制度を実情に見合うようなものにいたしました。すなわち、外国人がわが国に在留する場合には、原則といたしまして、在留
資格と在留期間がきめられるわけでございますが、日本には最近アジア各国をはじめといたしまして、その他中南米諸国、アフリカ諸国、いろいろな国から技術研修生がたくさん入っておるのでございますけれ
ども、現行の出入国管理令のもとにおきましては、この技術研修生をそのものずばりで受け入れる在留
資格がございませんので、そういった不備がございましたので、これを現状に即したものに改めた次第でございます。
それから次に、在留外国人が入ってきますが、いろいろ多様になっておりますので、わが国の国民の
利益が不当に侵害される面もふえてくることが懸念いたされますので、日本で興行を行なう者、あるいは貿易、事業などをする者、それから技術研修を受ける者、熟練労働者などの在留
資格で入国しようとかいう外国人に対しまして、日本人の職域が不当に侵害されることを防ぐため、あらかじめ入ってくる外国人の職種や
活動場所の指定をすることができることといたした次第でございます。
それからまた、日本に入ってまいりました外国人は、日本の政治に参与する
資格はございませんので、当然慎んでもらわなければならない政治
活動というものがございますが、これを規制することといたしまして、これの違反を是正するために、中止命令という
制度を設けたことでございます。
以上が、今度の法案の、前の法案と比べまして、
改正したおもな点でございます。