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前尾国務大臣 今回の
テルアビブの
空港の
射殺事件というものは、
ほんとうに非常に不幸な
事件であります。こういうことが繰り返されてはそれこそたいへんな問題であります。
ただ、この問題についてわれわれは、やはり深いところに根があるのでありまして、いろいろな段階を
考えていかないと、問題の解決にはならないというように
考えるのであります。
外国で行なわれた
事件でありまするから、またいろいろなそそのかしを受けたという
事件でありまするから、そういうことがどういうふうな形式によって行なわれたか、こういうことがまず第一の
問題点であります。
ところで、なるほど
岡本何がしは二月の二十九日に
日本を
出国いたしておるわけであります。その
出国につきましては、
観光の
目的によって
出国するということで
旅券を持っておるわけであります。率直に言って、年間百万人以上の人が
観光の
目的で
出国するという際におきまして、その一人一人に
出入国の
管理事務所で一々調べるというようなわけにはまいりません。まず
旅券があれば、また事前にいろいろ
指名手配でも受けていないと、なかなかそこでつかまえるというわけにはいかぬと思います。またもう
一つの問題、昨年の十月から十一月にかけまして、
アラブの
テロの一員と思われるのが、やはり
観光の
目的で入国しておるわけであります。それはある
映画社が行なっております
映画について、あちこちで
映画が行なわれた際に、その
外国人がその
映画の行き先についていったというような問題で、多少不審に思いましたところ、それが一カ月
足らずで帰ってしまった。その
あとでいろいろなことを調べておれば、あるいは多少なりとも片りんがわかったかもしれませんが、普通の
観光の
目的で一カ月
足らずで帰ってしまった、こういうような問題でありますが、これまた
観光の
目的というので、しかもちゃんと
旅券を持っておるわけでありまするから、なかなか
出入国でそれを拒否するということは、実際問題としてできなかったのではなかろうか。
そうなりますと、私はもう一度
出入国についても掘り下げてみなければなりません。率直に申しまして、たとえば
観光の
目的というようなことで
出国いたしましても、一カ月ということで出まして、一年たって帰らなくてもどうしようもない。また、虚偽の記載として
考えられるか
考えられぬかというような問題、帰ってきました際にどういう処置をとるかという問題について、いま検討さしておりますが、実はそれは簡単に押えるということになりますと、かえって
一般の旅客に非常な迷惑を及ぼすというような
関係がありますので、もう少しこれは突っ込んで検討していかなければならぬ問題だと私は思っております。
ただ、
法務省としましては、出る前にただいま申したような問題があるわけでありまして、これを、少なくとも
国内の
治安の問題あるいは
犯罪者の問題として
考えていかなければなりません。ただ、彼が
学生であるという点から
考えてまいりますと、
学校では気がつかなかったであろうか、こういう問題が
一つあるわけであります。その点につきましても、彼は
出国をいたしました
あとで、友人に託して
休学届けを出しておるわけであります。そこで、
学校当局としましてはどうも不審に思って親を呼び出した。そして親に聞いてみますと、最近は親のところにも通信があるから、
本人の
観光の
目的で
海外に旅行しておることは認めてやってもらいたい、
休学についても認めてやってもらいたい、こういう話で、
学校当局も、この
事件に関する限りは親を呼び出してそれだけの手を尽くしておりますから、そう大きな手落ちがあったとは
考えられないわけであります。しかし、こういう問題についても、まだまだ率直に申しまして、管理していかなければならぬ問題があったのではなかろうか。また、これはやはりいろんな人の
一つの
組織的な
活動に違いないのでありまするから、その
組織的な
活動について
警察当局あるいは
法務当局として、もっともっとそういうものに対する
警戒を厳重にし、あるいはその内部にわたっていろんな
真相をつかんでいくべきではなかったろうかというような点につきまして、これまた非常に掘り下げていかなければならぬ問題だと思っております。
したがって、
学校としましても、
法務当局としましても、
警察当局としましても、あるいは
出入国管理の
関係から申しましても、また
外務省の
旅券という問題につきましても、その虚を全部つかれてきておる。そういう点について何らか反省をし、改善する道はないであろうかということで、いませっかく検討いたしておるのでありますが、ただいますぐ結論を出して、これならという即効的な方法がないようでありますのは、非常に遺憾に思っておるわけであります。
しかし、なかなか根の深い問題でありまして、そういう
意味合いから、あらゆる点からもっともっと掘り下げて検討していかなければならない、今後絶対にそういうことがないのだと断言できるところまでわれわれは追及して
考えていくべき問題だ、かように思っておるのでありますが、まだ
事件発生後間もありませんのと、まだその他の
人間の
行動について、すでに
本人が二人死んでおりますし、その背後におきます
関係が、現在の
岡本某が言っておりますのは、はたして信が置けるかどうかというような点もありまして進捗していないということで、今後の問題として大いに深く掘り下げて検討していきたい、私はかように
考えておるわけであります。