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辻政府委員 一般的に申し上げまして、
刑事責任を追及するという立場でものを
考えざるを得ないわけでございますが、その場合に、
刑事責任ということは、結局
犯罪構成要件に該当する事実を行なったということがまず第一でございます。
そういうふうに
考えてまいりますと、いわゆる監督者というものは、その監督者がみずから
犯罪構成要件に該当する行為をしたというふうに評価できる限りにおきましては、これは一般の末端の者であろうと監督者であろうと、問題は、抽象的に申しますと、構成要件に該当する事実を犯したかどうかという問題に帰着するわけでございまして、一般論といたしまして、この監督者というものは、
行為者がそういう
犯罪構成要件に該当する事実を犯したことについて、十分な監督をしたかどうかという観点から問題を問われるというのが通常でございます。
そういたしますと、それはとりもなおさず監督者自身はみずから
犯罪構成要件に該当する事実を犯したというふうにはなかなか見られることが少なくて、その場合に民事的に、そういう
行為者が
犯罪構成要件に該当する事実を犯したことについて、監督責任を全うしたかどうかという点からものごとが見られる場合が多いわけでございます。そういうことになりますと、結果的には監督者というほうは、通例の場合直接
刑事責任を問われるというようなケースが少ない、これは民事上の監督責任で責任を問われるというのが、おのずから多くなってくるという結果に相なるわけでございます。
しかしながら、検察におきましては、一定の
犯罪が行なわれました場合に、そういう監督者自身が
犯罪構成要件に該当する行為を犯したというように見得る限りは、当然その点について十分な追及をして、
刑事責任が必ずしも監督者等について、のがれやすいというようなことにならないように十分配慮して、検察事務を進めていっておるものと確信する次第でございます。