○沖本
委員 そういうお答えになるだろうとは予想されるわけでありますけれども、またそういう偏見があってはならないわけですけれども、捜査のあり方、いろいろな現場のやりようによっては、逆に差別している、こうとられる場合が非常に多いわけですね。この点は、今後も十分な
考えをもっていろいろな、これからの捜査なり
事件の処理に当たっていただきたいことをお願いしたいわけであります。一般の人たちにおいても、頭の中で差別する
考えはほとんどないわけなんですが、態度とか短い発言の中に無意識的に差別したことばを発言してみたり、そういうことのために、問題を全部すりかえられてしまうような
内容にまで問題が発展していく、こういうこともあるわけでありますし、この差別という問題は、ただ部落民だという差別ではなくて、あらゆる問題に対する差別概念、こういう問題を私たちは現在の
社会の中で十分とらえなければいけない、こういうふうに
考えるわけであります。
事件に戻りますけれども、警察は、現地の石田豚屋に常日ごろから出入りする部落民二十数名の者を集中的に見込み捜査をやった。この検査は、筆跡、血液型の採取、アリバイなど、五月八日から五月二十二日ごろまで、約十四日行なわれた。
また、犯人は知能程度が低く、土地の事情に詳しい者、犯人は二十万円を大金だと
考える程度の生活をしている者だと言っている。何にも証拠もつかんでいないときに、何を
基準としてこういうふうなことが言えるのか。これも単なる発言なんですけれども、だけれども、逆のほうから
考えるとこういうふうになってくるわけです。そういう点もよくお
考えいただきたいわけですけれども、まだ何にも証拠がないときに、こういう御発言を現地の警察当局でやっているという点にこういう疑問が出てくる。こういうところから、すでに部落民に対しての差別概念を持っておったのだろう、こういうことになってくるわけであります。この点も十分お
考えになってお答えもいただきたいと思いますが、時間もございませんので先に進めます。
今度は石川青年の別件逮捕という問題になるわけでありますが、五月二十三日早朝自宅で逮捕された。当時の中特捜本部長は、記者会見で、善枝さん殺しの容疑者は詐欺、横領など、殺人とは別の容疑で逮捕するようなことはない、あらゆる物的証拠をそろえて、そのものずばりの殺人容疑で逮捕令状を請求するつもりだ、こういうふうに記者会見で発表されておるわけです。しかし、物的証拠やアリバイなどが思うようにとれなかったために、捜査本部のほうでは短期に解決するために、違法な法律技術である別件逮捕を強行した、こう
考えられるわけです。
このような別件逮捕が許されていいかどうか。これは、最近の判決の中にも非常にいろいろ出てまいりますけれども、こういう類似
事件というものを十分お
考えいただきたいわけであります。ですから、こういうふうな別件逮捕の扱い方というものは、この前も当
委員会でいろいろ問題になったわけでありますけれども、こういうふうにあとになって、それですりかえられたんじゃないかという点を指摘されるというような点も、十分
内容的に明らかにして、そういう疑いを持たさないような捜査のあり方なりというものをお
考えいただきたい、こう
考えられます。ですから、別件逮捕によって——いままではしっかりした証拠を突きつけて逮捕すると明言をしておったものが、別件によって持ってきたというふうに、現在も裁判続行中ですから、そう言われるということにもなるわけであります。この点についてもお答えいただきたいわけです。
それから、石川青年の逮捕理由が次の
三つにあるわけなんですけれども、第一番目は、接触事故を起こし、相手の青年をなぐった暴行容疑。それから二番目が、友人の作業衣をトラックの運転台から盗んだという窃盗容疑。三番目は、中田栄作方に脅迫状を出し、現金二十万円を奪おうとした恐喝未遂容疑ということになっているわけであります。
一番目の暴行容疑につきましては、
事件を起こしたのは相手方のほうから
事件を起こしたのであり、現場には警察官も立ち会って、示談で話はついておるということが明らかになっているわけです。二番目の窃盗容疑は、仲のよかった友人の作業衣を寒かったので着て帰った、こういうふうに言っておるわけです。友人もそれを認めておって、洗って返せと本人にも友人のほうから述べておる。三番目の脅迫状については、石川青年が書いた自筆の書類何枚か集めて鑑定したけれども、何も確証がなかった。で、鑑定を求めたのは五月二十二日であったけれども、捜査本部が発表した中では、何の確証も得られなかったという点を発表されておるという事実。それから五月二十四日に出ている朝日の記事によりますと、捜査本部が石川青年の逮捕請求に踏み切ったのは二十二日昼過ぎ、こう言われている。これは
新聞に載っているわけです。警察は全く証拠に基づかない見込み捜査、部落民に対する差別、偏見と予断に基づいて、石川青年逮捕に踏み切ったのであると報道された。
こういう
内容をずっと捜していきますと、それが当時逮捕したときの真実であろうと私たちは
考えられるわけです。この点について、いままで数点お伺いした点、かためてお答えいただきたいと思います。