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笛吹政府委員 まず保護観察の
目的でございますが、わが国における保護観察と一がいに言っておりますものには二つの種類がございます。
一つは、
犯罪あるいは非行を犯した者を、
社会内において
更生をはかっていくというために、初めから矯正施設に収容しないで
更生教育をしていこうといういわゆるプロベーションでございます。それからもう
一つは、矯正施設に収容された後、その収容期間が満了するまでに、むしろ
社会内で教育をしたほうが、その人の
更生をはかる上において適当であるという判断のもとに、
社会内で、かりに出しましてそこで
更生をはかっていこうといういわゆるパロールと称するものでございますが、この二種類あるわけでございます。
この二つともに考えますと、
犯罪ないし非行を犯した者を矯正施設内で矯正教育を施すことも必要ではございますけれども、それとともに、さらにこの
人たちはいずれ
一般社会に
復帰する人でありますから、そういった
人たちを
社会内において教育していこうということが、この保護観察の
目的でございます。
それから、二番目に
対象者でございますが、まず
一つは、家庭
裁判所において少年事件として取り扱われまして、家庭
裁判所がこの少年を保護観察に処するという決定をいたしました者でございます。これは期間といいますのは、満二十歳になるまででございます。
第二番目に、家庭
裁判所の決定によりまして少年院に送られまして、少年院におきまして矯正教育を受けておりました者が、これは本来は二十歳になるまででございますけれども、それまでの間に矯正の成績がいいということで、満二十歳になるまでに仮退院をさせまして、
社会内において教育をしようというのが第二番目でございます。
それから三番目には、いわゆる仮出獄といっているものでございまして、
刑法の二十八条によりまして、
一般の刑務所に懲役、禁錮で収容された者が、刑期が満了するまでの間に改俊の状が顕著であり、また
刑法で定められました一定の期間を経過いたしております者について、いろいろ環境その他を調べまして、
社会内において教育するほうが適当であろうという者について、仮出獄させまして保護観察いたしますのが三番目でございます。これはその刑期の満了までの期間でございます。
それから四番目は、
裁判所におきまして自由刑に処せられ、執行猶予に付せられますが、この執行猶予を付する際に、保護観察処分に付するということがつけられる場合があるのでありまして、いわゆる保護観察つき執行猶予の判決でございますが、そういった保護観察に付せられた執行猶予者であります。これは
裁判所の判決によるわけでございまして、この期間は執行猶予の期間でございます。
それから五番目に、婦人補導院に収容されております、いわゆる売春婦の経験者でございますが、その者たちが婦人補導院に入れられておりまする六カ月の期間でございますが、この六カ月の期間の満了前に、成績のいいということで仮退院させます者、これを保護観察に付しておるのでございまして、これも六カ月の期間が満了するまでの期間でございます。
それから三番目に、保護観察所の設置の基準といいますか、単位でございますが、これは各都府県に一カ所ずつ置いております。北海道につきましては、道
一つじゃございませんで、札幌、函館、旭川、釧路、四カ所になっておりますが、その他の都府県におきましてはそれぞれ一カ所ずつでございます。それから、東京の八王子と大阪の堺、福岡県の北九州には、それぞれ観察所の支部がございます。
それから、保護観察官と保護司の業務の問題でございますが、これは、保護観察官は、保護観察所におる保護観察官と地方
更生保護
委員会の事務局におる保護観察官の二種類がございまして、ここで御
質問は、主として保護観察所における保護観察官の業務であろうと思いますが、この保護観察官は、ただいままでに申し上げましたような各種の保護観察の
対象者につきましてそれぞれ担当いたしまして、自分の担当の保護
対象者につきまして常に観察をいたしております。しかしながら、保護観察所における保護観察官が現在全国で七百二十数名でございまして、そのうちさらに所長とか総務課長とかといった管理業務に属しておる者もございますので、実際に観察業務に従事できる者はまあ六百人を切れるようでございますが、そういった
人たちで、現在のところで約八万何千人かの
対象者を担当いたしておりますので、一人当たりたいへんな受け持ちになる。それをカバーする
意味もございまして、保護司が全国に約五万おります。この保護司は、保護観察官と保護司が共同でこの保護観察に当たるということになっておりまして、保護司は保護観察官の足りないところを補うということに
法律上なっておりまするけれども、保護観察官と保護司が共同で保護観察の業務を行なうということになっておるのであります。
それから、保護観察官は主としてその
対象者を見ていくわけでございまするけれども、そのほかに保護司の教育というものもございます。全国五万の保護司は民間の人でございまして、初めは全然この道のしろうとでございますから、そういった
人たちを、こういった
犯罪者を
更生さしていくというむずかしい仕事をさせるためには教育していかなければなりませんので、その
意味におきまして専門的な知識、経験を持っておる保護観察官がこれを教育するということもやっております。それからさらに、
更生保護会といいまして、
犯罪を犯した
人たちで居住場所のない
人たちを収容する民間の施設がございますが、こういったものの指導といったこともやっておるわけでございます。
大体、以上でございます。