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1972-04-19 第68回国会 衆議院 法務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十九日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 田中伊三次君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 中谷 鉄也君 理事 沖本 泰幸君       石井  桂君    大坪 保雄君       大村 襄治君    奥田 敬和君       鍛冶 良作君    坂元 親男君       中島源太郎君    湊  徹郎君       河野  密君    林  孝矩君       青柳 盛雄君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         法務政務次官  村山 達雄君         法務省民事局長 川島 一郎君  委員外出席者         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   千葉 三郎君     坂元 親男君   中村 梅吉君     中島源太郎君   中村庸一郎君     大村 襄治君   福永 健司君     奥田 敬和君   山手 滿男君     湊  徹郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     中村庸一郎君   奥田 敬和君     福永 健司君   坂元 親男君     千葉 三郎君   中島源太郎君     中村 梅吉君   湊  徹郎君     山手 滿男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件      ————◇—————
  2. 田中伊三次

    田中(伊)委員長代理 これより会議を開きます。  本日、委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行なうことにいたします。  法務行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 事実関係最初施設庁に確かめておきたいと思います。  安保条約六条に基づく地位協定による土地建物等賃貸借契約、その賃貸借契約書の内容というのは一条から二十九条までということに相なっているようでございますが、現在結ばれている契約というのは、この二十九条以外に特段特約条項を付したものはありますか、ありませんか。   〔田中(伊)委員長代理退席大竹委員長代理着   席〕
  4. 薄田浩

    薄田政府委員 本土関係で御答弁いたしますが、先生の御指摘の二十九条以外のものはございません。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 第五条は契約期間に関する取りきめの条項でありますが、本土における右賃貸借契約期間始期は、一体いつになっているのでしょうか。
  6. 薄田浩

    薄田政府委員 契約始期は、たいがいのものは昭和二十七年の七月二十八日、新しいものはその時点始期、こういうことであります。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、七月二十八日以前に契約されたものもあるという御趣旨でございましょうか。
  8. 薄田浩

    薄田政府委員 いわゆる講和発効前に米軍に提供しておったものもあるわけでございますが、これは法律的には継続いたしておりますが、整理の形といたしましては、いま御答弁いたしましたように二十七年の七月二十八日に整理した、こういうふうに考えております。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、もう一度お尋ねをいたしますけれども、七月二十八日以前、講和条約発効前、あるいは講和条約発効後の特別措置法の九十日の期間内というようないろいろな場合が想定されるわけですが、七月二十八日にということで、すべての契約書が作成されているという御趣旨なのでしょうか。それとも、七月二十八日以降にかけて、七月二十八日以前の契約書をもって充てているというものもあるわけでしょうか。
  10. 薄田浩

    薄田政府委員 始期といたしましては、御指摘のように、かつまた私がお答えいたしましたように、講和発効前もございますけれども、いわゆる手続上は整理いたしまして、始期は七月二十八日と御理解いただいてけっこうであります。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 整理をいたしましてという趣旨は、そうすると、七月二十八日以前から賃貸借契約締結されておったけれども、七月二十八日の時点において七月二十八日付の契約書始期を七月二十八日とする契約書を作成しておる。全部についてそうだという御趣旨でございましょうか。
  12. 薄田浩

    薄田政府委員 さようでございます。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 その契約は、従前から続いておる契約との関係においては、始期はいつになるのでしょうか。
  14. 薄田浩

    薄田政府委員 その始期は、いま申し上げましたように二十七年の七月二十八日、こういうふうに考えております。その前の占領期間中の、いわゆる政府との契約がございますが、講和発効後は七月二十八日をもって始期、こういうふうに解釈しております。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 七月二十七日に契約が失効して、七月二十八日に新しい契約締結されたという御見解なんですか。
  16. 薄田浩

    薄田政府委員 それでけっこうでございます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 けっこうでなくて、あなたのほうの見解です。
  18. 薄田浩

    薄田政府委員 七月二十八日にそれが始まって、契約締結もその時期、こういうふうに考えております。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうのは何件くらいありますか。
  20. 薄田浩

    薄田政府委員 いまいろいろ基地の整理統合返還等がございますので、確定数字をいま集計中でございますが、約二千件、こういうふうに考えております。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 民事局長お尋ねいたしますけれども、そうすると、七月二十八日にあらためて契約を結んだということですが、それは民事局長のお立場からはどういうふうにこの話を聞いていただいているのでしょうか。要するに整理上七月二十八日にと先ほどおっしゃいましたね。整理上七月二十八日に契約を結んだということであって、書面の上でそういうふうな契約書を作成したということだとすると、一体契約締結は七月二十八日にあったことになるのでしょうか、それとも整理上ということであれば、七月二十八日以前に契約があったという場合もあり得るわけですか。
  22. 川島一郎

    川島(一)政府委員 私もただいまのお話を伺っておりまして、整理の形の上で二十七年七月二十八日から始期を計算しておるというその御趣旨が、いろいろ理解できるのではないかという感じがいたすわけでございますが、これも具体的な事情、十分に承知しておりませんので、多少仮定的な要素を加えまして、たとえば以前から賃貸借はあった。しかし、それを七月二十八日で一応従前契約を御破算にして新しく新規の契約を結び直す、こういう趣旨であれば、最終的に、防衛施設庁のほうでお答えになりました二十七年の七月二十八日が始期であるというのが、法律的にもそのまま認められるのではなかろうか、かように思うわけでございます。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねいたしますが、防衛施設庁の御見解のようなそういう場合もあるでしょうけれども、本来は契約が継続しておって、整理のために七月二十八日付の書面をおつくりになったということであれば、本件契約締結の時期というのは、七月二十八日よりさかのぼることに相なるのではないでしょうか。
  24. 薄田浩

    薄田政府委員 いわゆる講和発効前の占領期間中に、即物的に申せば、そういう同じような土地が同じように使われているということはあろうと思いますが、占領期間中は、御承知のように勅令六百三十五号なり六百三十六号の土地工作物使用令等であれをいたしておりまして、いわゆる講和発効と同時に、われわれといたしましては、先ほど御答弁いたしましたように、契約始期を七月二十八日とするという新しい契約でスタートした、こういうふうに考えております。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、ではもう一度お尋ねいたしますけれども、従前契約書防衛施設庁では保存しておられますか。七月二十八日以前の契約書防衛施設庁に保存しておられますか。
  26. 薄田浩

    薄田政府委員 ちょっと急な御質問ですが、あると思います。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 この契約が七月二十八日に締結をされたものなのか、単に書類の整理上七月二十八日として契約を結んだものかということは、従前契約と七月二十八日付の契約の間に特段の変更その他がないということになれば、むしろ常識的には、始期を七月二十八日以前にさかのぼって見るのがすなおな見方だと思うのです。そうすると、そういう例の契約書を二、三、その続きぐあいを見るためにお出しいただけますね。
  28. 薄田浩

    薄田政府委員 正式の御要望でございましたら、提出いたしたいと思います。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 正式の要望というのはどういうことですか。——委員長、いま出すということですがよろしいですね。そういうことでひとつお取り計らい願いたい。お出しいただけますね。
  30. 薄田浩

    薄田政府委員 お出しいたします。  ただ、お許しいただきたいのは、原本を写しの形になっておることがございますので、よろしく……。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 そうしますと、では次に、七月二十八日が契約締結の日であるのかどうか明確ではないわけなんです。七月二十八日以前に契約締結されているような感じもするわけです。その点はあらためてお尋ねすることにいたしますが、七月二十八日にかりに契約締結されたとして、六百四条の賃貸借存続期間ということになりますると、いつになるのでしょうか。
  32. 薄田浩

    薄田政府委員 われわれといたしましては、当契約書の……。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃない。二十年が来るのはいつですかということです。
  34. 薄田浩

    薄田政府委員 二十年は、民法の六百四条の規定そのものを読みますと、ことしの七月二十七日、こういうふうに了解いたしております。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 そこでお尋ねいたしたいと思うのですけれども、第五条の、「本契約期間は、昭和何年何月何日から昭和何年何月何日までとする。ただし、乙において必要あるときは、」云々、こういうふうにあるわけですが、この不動文字で書かれでおります昭和何年何月何日から昭和何年何月何日までというのは、どういうふうな契約記載になっているのでしょうか。
  36. 薄田浩

    薄田政府委員 昭和二十七年七月二十八日現在に契約したものということで御説明いたしますと、その場合の記載の方法は、七月二十八日から二十八年の三月三十一日まで、こういうふうに記載されております。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、本契約期間は、昭和二十七年七月二十八日というときにつくられた契約書は、「まで」というのは、すべていまおっしゃった日を入れておられるわけですか。
  38. 薄田浩

    薄田政府委員 さようでございます。
  39. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、契約期間というのは、その第五条の文言によりますと、一体どういうことになるのでしょう。算術的なことですが……。
  40. 薄田浩

    薄田政府委員 これはわれわれといたしましては、いわゆる契約の不確定期限説といいますが……。
  41. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃない。期間は算術的に幾らになるのですかと聞いているのです。算術的に計算してくださいと言っているのですよ。
  42. 薄田浩

    薄田政府委員 毎年会計年度の終期までということでございまして、毎年更新しております。
  43. 中谷鉄也

    中谷委員 最初は何カ月ですかと聞いているのですよ。
  44. 薄田浩

    薄田政府委員 八カ月と、五日ぐらいでございますか。
  45. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、不確定期限をおとりになったということを何か先ほどから何べんか御説明をしたい意欲をお持ちのようでございますからお尋ねをいたしますが、民法六百四条との関係でいろいろな法律問題を含んでおるわけです。きょうは簡単にとりあえずお尋ねしておきますが、四十七年の七月二十七日、要するに二十年の期間が到来した場合に、本件契約についての法律問題としてはどういうものが生ずるわけですか。それについて、まずこういう法律問題が生じますということを述べてください。そうしてそれについて、そのあとで防衛施設庁見解を述べてください。
  46. 薄田浩

    薄田政府委員 ことしの七月二十八日が到来いたしますと、法律問題といたしましては、いわゆる契約が切れておるのではないか、こういう問題が起きると思います。それに対しまして私どもは、一応先ほどからちょっと申し上げております契約確定期限説というのを従来とっておりまして、これが、目的が契約書の冒頭にもございますように、日米安保条約に基づいて米軍施設区域を提供しておる、こういう関係から、今後ともこの条約を誠実に履行するために、引き続き米軍区域施設を提供いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。  この六百四条との関係、これをどういうふうに理解するか。これは国際間の信義と国民の生活にもかかわる問題でございますので、現在正直申し上げまして、鋭意関係省庁の御意向も聞きつつ検討中でございます。われわれといたしましては、でき得るならばやはりこの条約上の義務というものを踏まえた上での解釈ができないかな、こういうふうな考え方を持っております。
  47. 中谷鉄也

    中谷委員 不確定期限説というふうなことをおっしゃっても、それだけでは説明にはなっていないと思うわけです。民法六百四条の規定が、本件契約書適用を排除するとまではおっしゃらないわけでしょう。そういうふうにおっしゃるとすれば、その理由はどういうところにあるのでしょうか。
  48. 薄田浩

    薄田政府委員 現在検討中でございますが、排除するとまでは考えておりません。
  49. 中谷鉄也

    中谷委員 法務省のほうでは、この点についての見解はおありなんですか。
  50. 川島一郎

    川島(一)政府委員 法務省といたしましては、直接契約当事者になっておりませんし、ごく一般的なことしか申し上げられないわけでございますが、この契約書も詳しく検討したわけではございませんので、不確定期限というふうに考えるべきかどうか、その辺も必ずしも自信はないわけでございますけれども、かりに不確定期限であったといたしました場合に、民法六百四条の適用があるかどうかということが、まず問題になるわけでございます。  民法六百四条の規定は、確定期限を定めた場合には適用があることは当然でございます。それから期限の定めがない場合には適用がない、これも当然でございます。不確定期限の場合に適用があるかどうかという点につきましては、実はあわてて本を調べたのでございますが、特にその点をはっきり説明しておるものはないようでございます。ただ、比較的近い例といたしましては、古い判例でございますけれども、建物が朽廃したときに賃借権が消滅する、こういう契約をした場合に、その建物朽廃というのが不確定期限というふうにも考えられるわけでございますが、これが二十年をこえて存続するような場合に、この六百四条の規定で二十年に短縮されるかどうかという問題がありまして、この点につきましては判例で二十年に短縮する、こういう見解が示されておる、こういうことでございます。
  51. 中谷鉄也

    中谷委員 では、質問はこの程度にいたしておきます。  民事局長に私のほうから次回までにお調べいただきたい点は、次の点であります。防衛施設庁のいわゆる土地建物等賃貸借契約書なる書式を御検討いただいて、防衛施設庁が言っておられるような本件契約が不確定期限などというふうなもの、これも非常にさだかでない、抗弁といいますか、御主張だと私は思うのですが、そういうことが成り立つ契約であるのかどうか、これをまずひとつ次の委員会のときに御見解を述べていただきたいと思います。特に七月二十八日以前からの契約がありまして、そうして七月二十八日の契約が何月何日までという期間にしておる。その契約書の移り変わりはどういうことになっているのかということを含めて、この契約について六百四条との関係についてお述べをいただきたいと思うのです。  なお、防衛施設庁としては、条約国内法あるいは条約地主、国とのいわゆる契約について何か特段の考え、率直に申しますと、この契約を更新あるいは有効ならしめるための非常な努力をしておられるようですけれども、私はちょっと無理なような気もするのですが、何か条約とのかかわり合いがあるなら、かかわり合いを持ち得るなら、その点についても法務省のほうから御見解を述べていただきたいと思うのです。条約国内法というような問題に相なるのでしょうかどうでしょうか私わかりませんが、審議をしていくといいますか、お尋ねをするスタンドポイントといいますか、そういうものだけをきょうは明確にしておきたいと思いますので、お願いいたしたい。  なお、施設庁施設部長さんのお話は、苦慮しているとか、配慮しているとか、努力しているとか、検討しておるとかいうことですけれども、これはすでに各委員会でこの点についての質問がなされているわけですが、当委員会法務委員会でございますので、ひとつこの問題についての明確な見解を、来週の水曜日に相なろうかと思いますけれども、次の委員会で述べていただきたいと思うのです。それだけをお願いをしておきますが、よろしいでしょうか。
  52. 川島一郎

    川島(一)政府委員 できるだけ御趣旨に沿うように検討してみたいと思います。法律の解釈ということになりますと、民事局検討しただけで直ちにそれが決定的なものを出せるかということになりますと問題がございますし、法務省、まだほかにも聞いてみる部局がございますので、御趣旨に沿うべくできるだけ検討をいたしてみたい、このように思います。
  53. 薄田浩

    薄田政府委員 来週の委員会までにいろいろ詰めてみたい、こういうように思います。
  54. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうな御見解を承った上で、いわゆる質問者のほうは、二十年の期間がもうこえることになるじゃないか、したがって、賃貸借契約そのものの運命が消滅するじゃないかというふうな問題をあらためて論議させていただきたいと思います。  それで次に、私、これは防衛庁長官等に御出席いただいてお尋ねすべきことだろうと思いますが、一点だけお尋ねをしておきます。  沖繩弁護士会というのが意見書を出したということが、かねてから私、心がけておりましたけれども、新聞等でもいよいよ報道されました。そこでお尋ねしたいのは次の点であります。核兵器、毒ガス使用は許さない、二つは、これに反すれば直ちに解約ができる、その疑いがあれば立ち入り点検ができるというふうな付帯条項を二十九条にプラスアルファしてつけるべきではないか、そういうふうな契約を結ぶべきだという要望が出ております。まずお尋ねしたいんですけれども、二十九条の条文のほかにそういう契約を結ぶことは可能でございましょうね。
  55. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私どもまだ十分検討はいたしておりませんが、事務的にだけ考えますと、こういう条項契約の中に入れるということは何もないような気がいたします。
  56. 中谷鉄也

    中谷委員 そういう条項契約の中に入れることは、法律的に可能でしょうねとまず聞いているわけです。必要性のことまで言っていないのです。可能でしょうねと聞いているのです。
  57. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そういう必要があれば可能だと思います。
  58. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないんです。契約条項にそういうものを入れることの必要性と、それからそういうことを入れることが可能かどうか、法律的にそういうことは当然契約条項として入れ得るのだという問題と分けてまず質問しているわけです。必要があればという問題以前に、そういう契約書の中にそういうものを入れることは、別に契約書ていさいとして法律的におかしな問題は生じない、それは当然のことなんだ、法律的にはそれが許されますね、許容されますねと聞いているんです。
  59. 銅崎富司

    銅崎政府委員 十分検討しておりませんが、いまのところはっきりとお答えできません。
  60. 中谷鉄也

    中谷委員 防衛施設庁に何も秘密文書について質問しているんじゃないのだから、そういうことを契約の中に入れることは法律的に許容されることでしょうねと、こう聞いているわけです。あなた自身だって調停官でしょうが。こんなことは検討するもせぬもないじゃないですか。あたりまえのことじゃないですか。沖繩に何回も行って地主を説得し回っているあなたは当事者の一番の責任者でしょう。そういうふうな契約書の中に、いま言ったような問題点契約条項として書き加えることは、法律的にまず可能でしょうねと、こう聞いているんですよ。検討する事項じゃないです、そんなことは。
  61. 銅崎富司

    銅崎政府委員 可能だと考えます。
  62. 中谷鉄也

    中谷委員 当然そういうものですね。  そこで、核の問題、毒ガスの問題、こういうふうな問題について、非常に沖繩県民が不安を持っている。こういう問題について、わが国は非核三原則もこれありというふうなことは、政治レベルの中での問題としては指摘されるでしょうけれども、地主土地を提供する、しかしどうしてもこの条項は入れてもらいたいという場合に、施設庁の従来の見解は、円満にとにかく地主を説得して地主要望に沿いたい、こういうふうに言っておったのが、従来の沖繩国会以来のあなたの見解なんです。そうだとすれば、そういう地主要望が非常に高いということになってまいりますと、そういうものを入れることの必要性というものが当然生じてくると思います。もし地主要望が非常に強いということになり、地主がそういうものをぜひ入れたいと言った場合は、当然あなたのほうはそれを受け入れる用意がありますか。
  63. 銅崎富司

    銅崎政府委員 受け入れる用意はありますが、  この契約書の中に入れるかどうかは、検討したいと思います。
  64. 中谷鉄也

    中谷委員 受け入れる用意があるというのは、そういうことを契約条項として書く用意はあるという意味ですね。そういう用意があるということ  ですね。
  65. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そういうことでございます。
  66. 中谷鉄也

    中谷委員 これは沖繩のほうへ連絡してあげたら、非常に喜ぶだろうと思うのです。  そうすると、もう一度お聞きしてみますけれども、毒ガスと核などというふうなものはとにかく全然置かないということ、それからそのようなものがあった場合には解約をするということ、立ち入り検査をするというふうなこと、そういうものを契約書に書く用意がある、それについて契約書に加える必要性ありとして地主が非常に要望した場合には書く用意があると、こういうことなんですね。そういうことをお聞きしておいて、その点について、しかも地主側とそういう問題について折衝されるということですね。
  67. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そういう地主側要望がありましたら、これを取り上げて検討いたします。  ただ、個々の現在あります契約書に入れるかどうかという点については、なお検討してみたいと思います。
  68. 中谷鉄也

    中谷委員 要するにこの契約書かどうかは別として、土地提供に伴う契約の中にはそういう契約書を作成しなければいかぬ。そういう契約書として、そういうようなものをとにかく作成することについては用意もありますし、そういう点については努力もしますと、こういう趣旨なんですね。
  69. 銅崎富司

    銅崎政府委員 契約に関連する取りきめといいますか、そういう地主との話し合いの結果を、何かに書きとめるということを努力したいと思います。
  70. 中谷鉄也

    中谷委員 そこまで書くんだったら、契約書に書いても同じだと思いますが、立ち入り検査の点なども含めてというふうに私お聞きしましたけれども、よろしいですね。それから解約という点も含めてお聞きしましたけれども、何べんも同じことを聞きませんけれども、そういうことで地主との間の折衝、あるいは契約書記載をする、あるいは取りきめをするというふうにお伺いしてよろしいのですね。
  71. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そういう点を含めて、そういうことを書くという方向で、ひとつ十分検討いたします。
  72. 中谷鉄也

    中谷委員 問題は、三つだけ出しているわけですからね。そういうことは、契約書に書くという点については、施設庁長官なり防衛庁長官と、もうすでに話に入っているわけですね。
  73. 銅崎富司

    銅崎政府委員 この契約の中でそういう要望が出て、契約書の中に追加して書くという点について、まだ施設庁長官とは話し合っておりません。
  74. 中谷鉄也

    中谷委員 そうしたら、どういうことですか。本契約書のほかに付属契約書でもつくろうということについて検討するという意味ですか。いずれにしても契約であることについては間違いないんですね。そういうことについて現在必要性があって、地主要望があれば、それについて検討する用意がある、こういうふうにおっしゃっているわけでしょう。
  75. 銅崎富司

    銅崎政府委員 この点につきましては、昨日の新聞で承知したわけですが、この問題をどうするかというのは、ただいま私個人の個人的な見解を申し上げたわけで、施設庁長官にはこれから御相談して、施設庁としてどういうふうに取り扱っていくかを相談してまいりたいと思います。
  76. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、もう一度確認をしておきまするけれども、そういうことを契約書記載をする用意がある、まず法律的にそういうことは全然問題がないという点が一点確認をされている。必要ありと地主のほうから特に強く要望した場合には、その点は契約書に、かっこうはともかくとして記載する用意もある、こういうふうに言われている。そこまで答弁が出たんだけれども、その点について施設庁として、最終的な見解は、そうすると来週のやはり水曜日に、その点についての見解を述べていただけますね。
  77. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そういたします。
  78. 中谷鉄也

    中谷委員 最後の質問ですが、四月のいつごろ告示をされますか。軍用地についての告示、要するに公用地法にいう告示をいつごろされるか。
  79. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在、四月の二十八日あるいはそれ以前に告示をしたいと考えております。
  80. 中谷鉄也

    中谷委員 早くていっでしょうか。
  81. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在考えておりますのは、二十七日か八日ということで、早くて一日前でございます。
  82. 中谷鉄也

    中谷委員 なるべく早くというのが、従来からのあなたのほうの見解でしたが、それがなるべく早くですか。
  83. 銅崎富司

    銅崎政府委員 従来から御答弁申し上げておりましたのは、批准書が交換されて復帰までの間になるべく早くというふうにお答え申し上げておったわけですが、いろいろな準備作業の過程でついおくれおくれになっておりまして、現在のところでは、ただいま申し上げました二十七日か八日であります。
  84. 中谷鉄也

    中谷委員 調停官、あなたにばかり聞いて恐縮だけれども、ではおくれおくれになったという、不本意ながらおくれたという事実は認めるわけですね。
  85. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私としては認めます。
  86. 中谷鉄也

    中谷委員 予定よりどのくらいおくれたんですか。
  87. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩国会のときに予定しておりましたのは一カ月前ということですので、半月ばかりおくれております。
  88. 中谷鉄也

    中谷委員 官報による告示、そして図面を付する、縦覧に付する、いろいろなことが政令で定められ、それに基づく手続が行なわれるわけですけれども、管轄裁判所が東京地方裁判所で、要するに裁判の機会を奪うことになるんじゃないかということを、私は他の同僚委員とともに、この告示のあり方をめぐってずいぶん政府お尋ねをしたわけです。  では、一点だけお尋ねしますけれども、告示後あなたのほうは、訴状が提起された場合に、五月十五日までに答弁書はお出しになりますか。
  89. 銅崎富司

    銅崎政府委員 答弁書は当然出すことになると思いますが、五月十五日までに出せるかどうかは、ただいまのところはっきりと申し上げられません。
  90. 中谷鉄也

    中谷委員 民事局長お尋ねしておきたいと思うのですけれども、五月十五日、要するに復帰の日からとにかく使用が始まる、そうしてその以前に告示をしますと、裁判の機会を奪うものではありません、こういうふうに従来公用地法案については答弁してこられたわけですね。早くて四月二十七日、おそくて二十八日ということですが、沖繩へ官報が行くのは一体いつごろになるのか、縦覧の機会を得るのは一体いつごろなのか、あるいはその他の方法によってその告示を知り得るのは一体いつなのか、告示の効力が沖繩に及ぶかという基本問題はさておきまして、そういうような問題がある中で、四月二十八日告示なんということは、裁判の機会を奪うことになる。従前から、この告示制度というものは裁判の機会を奪うことになるじゃないか、こういうように言っておりましたが、告示の日が四月二十八日だということに相なってまいりますと、復帰前の訴訟というものは少なくとも事実上不可能という点は、実務家であればこれはお認めいただけると思うのです。そういう中で、一体それは裁判の機会を奪うことにはならないのでしょうか。このあたり、公用地法そのものにとにかく非常な問題点があったし、そうしてその問題点に乗っかって、不本意ながらおくれましたと言う。おくらしたのかもしれない。あるいは軍労のストが関係があるとかなんとかという説もありますけれども、私はそんなものは全然関係がないと思います。そういうふうにおくらさしたということになると裁判の機会を奪うことにはならないのでしょうか。  たとえば極端な場合、五月十五日復帰の場合に、五月十四日に告示するとはだれもおっしゃっていないのですけれども、こういうふうな場合には、裁判の機会を奪うことは明らかだと私は思うのですね。それは四月二十八日という日であったとしても、これは裁判の機会を奪われたことになると思います。これは民事局長からも昨年ずいぶん詳しい御答弁をいただきましたけれども、実際こういうことになってまいりますと、私は、この点について裁判の機会を与えられていない、事実上裁判を訴える権利を奪われたというふうに言わざるを得ないのですが、この点について、民事局長どのようにお考えになりますか。
  91. 川島一郎

    川島(一)政府委員 仰せのとおり、裁判に相当の日数がかかるということは事実でございます。そのために、おくれた裁判は裁判の拒否にひとしいというようなことも言われるわけでございまして、実際上は、裁判がおくれるために権利の保護がその面で十分でないという場合が生じ得ることは事実でございます。  さればといって、今回の場合に告示が四月の末になされる、沖繩の返還までに半月少ししかないということになりますと、おっしゃるような実質的な問題が起こってこようかと思いますけれども、法律的には、やはり裁判をする権利を奪われたということにはならないのじゃないかというふうに考えます。
  92. 中谷鉄也

    中谷委員 五月十四日告示、五月十五日復帰ということであればどうでしょうか。それでも法律的に奪ったことにならないのですか。
  93. 川島一郎

    川島(一)政府委員 はなはだ適当でないということは言えると思います。
  94. 中谷鉄也

    中谷委員 はい、わかりました。そういうことになれば、四月二十八日もはなはだ適当でない告示だということに相なるわけでございますね。とにかく訴状を書けと言ったって、これはもう局長はそういう点については何といっても一番の専門家だから、私、申し上げなくてもおわかりいただけると思いますけれども、訴訟の準備その他渡航を含めてというようなことを考えてみた場合には、はなはだ適当でないのは、五月十四日も四月二十八日も全く私は五十歩百歩だと思うのです。そういうふうな点で、四月二十八日はやはりはなはだ適当でないということに相なろうかと私は思いますけれども、いかがですか。
  95. 川島一郎

    川島(一)政府委員 まあ、この辺の判断になりますと、人によっていろいろ考え方もあろうと思います。私は、はなはだ適当でないということはないのではないかというふうに考えます。
  96. 中谷鉄也

    中谷委員 調停官はどういうふうに考えているのですか。不本意ながらという、あなたの不本意だと言われるのは、地主との契約がどんどん進まなかったのが不本意だと言っているのではなくて、私が聞いたことは、告示がおそくなったことが非常に不本意だと言ったわけでしょう。ですから、結局不本意だということはどういうことかと言えば、告示前に裁判を起こしますよという地主、すなわち県民、土地所有者の権利、その権利を主張できる機会が制約されたという点について、あなたははなはだ不本意だというふうにおっしゃったと思うのですね。たしかはなはだとおっしゃったですね。そういうことだとすると、四月二十八日ということについては、防衛施設庁としては、裁判をする権利——法律的に違法であるかどうかの問題については、私、民事局長と必ずしも見解を同じくしないわけで、この点については疑義があるわけですけれども、少なくとも実質的に、実務上の問題として、裁判をする権利というものが事実上制約をされることに相なったその責任は、どういう経過があるか知りませんけれども、防衛施設庁はお認めになるわけですね。
  97. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先ほど確かに申し上げたわけですが、当初計画した日数から半月ばかりおくれたということで、たいへん申しわけなく思っておるということでございます。
  98. 中谷鉄也

    中谷委員 おくれたことが申しわけないというのは、だれに対して、どういうことが支障を来たすから申しわけないのですか。
  99. 銅崎富司

    銅崎政府委員 告示の内容を見まして、それについて異議があり、あるいは裁判をしようという方々が、その点を十分わかってそういう手続をされる場合に、時間が、当初予定したより少なくなったということについて、したがいまして、そういう地主の方々に対して、おくれたことは申しわけないということでございます。
  100. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  101. 大竹太郎

    大竹委員長代理 青柳盛雄君。
  102. 青柳盛雄

    ○青柳委員 ただいま中谷委員のほうからお尋ねした問題は、来週に最終的な回答が持ち越されましたので、その際にもまたお尋ねいたしたいと思いますが、不確定期限というお話が出ましたので、それならば二十年以上であってもかまわないという解釈が前提にあるような感じがいたします。その点、はたしてそれでよろしいかどうかも研究してもらいたいと思います。  そこで、具体的な問題としては、いまお話のあったように、ことしの七月二十七日で二十年の期限がくる。民法六百四条の適用が民有地についてはあり得るという見解に立つ限りは、当然更新を拒絶するという地主も出てくると思いますね。その場合どうするのかということも研究されなければならないと思うのです。  そこで、仮定の議論になるかもしれませんが、もし民法六百四条の期間適用があるということになれば、拒否された場合、どういう措置をとる必要があると考えておられるか、これを簡単にお答え願いたいと思います。
  103. 薄田浩

    薄田政府委員 まだ現在四月の段階で、ちょっと仮定の問題でなかなかお答えしにくいのでございますが、われわれとしましてはできる限り、先ほど申し上げましたように、条約上のわれわれに課された政府としての義務と、国民の福利、生活権との問題がございますので、何とかうまく折衝によって努力いたしたいと思っておりまして、拒否された段階のことまで、現在まだ考えておりません。
  104. 青柳盛雄

    ○青柳委員 二重の意味で仮定論になると思うのですけれども、政治的にそれを言うのをはばかるという面があるのかどうか、そこが問題ですけれども、最後には伝家の宝刀を抜くのだ。例の米軍土地使用特別措置法ともいわれるような法律がありますが、これで認定を受けるという道がある。これはなるべく使いたくないけれども、やむを得ない場合には使うんだということもあり得ると思うのです。  そこで、これを使う時期の問題でございますけれども、拒否された段階でだと思うのです。拒否はあらかじめすることもできますが、期間の満了の際に拒否することもできるわけですね。満了のとたんに拒否された、さて伝家の宝刀を抜いた、しかしその認定が出るまでに時間がかかります。このことについてどう考えておられるか。それも全然考えていないということであるならば、次回にお答え願いたいと思います。
  105. 薄田浩

    薄田政府委員 法律論といたしましては、先生のおっしゃるような筋書きになろうと思いますが、われわれといたしましては、先ほどお答えいたしましたように、全力をあげて、現在もう四十七年度に入っておりますので、契約更改、いわゆる契約の更新の同意取りつけにいま全国的に努力さしておりますので、そういう方向でわれわれ全力をあげたい、こういうふうに思っております。
  106. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それは一年ごとの書きかえといいますか、そういうことはやっているわけでございますから、全国的に二十年であろうと十九年目であろうとそれはやるわけなんでしょうが、二十年目の一年更改といいますか、契約上の書きかえといいますか、そういうことでございますから、これは特段意味が法律的にはあると思うのです。十八年目、十九年目とは違う。したがって、地主のほうでも、ここでいままでと同じような惰性でもって書きかえてしまえば、もう更新はまた二十年延びたんだ、かりに六百四条の適用があるとしても、もう延びたんだという理屈も出てくるわけですね。それだけに、この辺の見解は非常に明確にしてやりませんと、地主を欺いたというような結果になりかねない。ちょうど昭和二十七年の七月二十八日の契約の際には、それ以前に米占領軍あるいは連合国占領軍が強制的に接収をした、そしてそれが今度は安保条約で駐留軍にかわる、駐留軍の基地になるのだということで、地主の側はもうほとんどそれよりほかに手がないという状態でやったと思うのです。だから自主性がほとんどなかった。拒否するというような人は、よほど変わり者のような情勢じゃなかったかと思うのですね。  だから、あとから言えば、あれは強制的なものだから自由な契約でないというような議論もできたと思うのですが、それはそれといたしまして、今度もまたこの二十年の適用があるのかないのかという点については、研究中でございますとか、その先のことはまだ考えておりませんとかいうようなことですが、地主たちがどういう考えを持ち、どういう選択をするかの自由を十分に保障してやるということでなければ、私は公正なやり方ではないと思うので、この点はどうしても急速に政府としての態度を明確にしていただきたいと思います。  これは詰めておきませんと、たとえば最近のニクソン・ドクトリンの日本における適用といいますか、日本の基地の再編成ということが行なわれています。そういう中で、返してもらいたいという気分を持っている地主は相当あると思うのです。単に安保条約に反対であるというんじゃなくて、むしろ賛成という立場であっても、自分の地所だけは返してもらいたい、再編整備の中でこれを他の用途に使用できるように返還してもらいたいという地主だってあると思うのです。そういうことを考えなければいけないと思います。  そこで、次の問題に移りますが、実は全体の本土における米軍基地の面積が相当にのぼっているということでございます。新聞の報道などによりますと、百十カ所内外で、総面積が二億平米くらいだ。そのうちの三分の一という説もあるし、四分の一という説もありますが、公有地、民有地がある。そこで民有地のことについてはいまお話がありましたが、公有地の中で、行政財産につきましては地方自治法の規定によって特別に使用許可を受けているというものがあると思います。たとえば新聞に報道された横浜市の岸根の兵舎あとですか、兵舎地、これなども横浜市有の土地であり、使用を許可されているというものだそうでございますが、これについても期間が来て返してもらいたい、こういう請求が出ている場合に、どういう措置をとるのか。具体的には米軍基地として返還を求められている横浜の岸根の土地についてでもよろしいですけれども、お答え願いたいと思います。
  107. 薄田浩

    薄田政府委員 先生御指摘になりましたように、前段の民有地の問題につきましては、先ほど中谷先生からも御指摘がありましたとおり、各個人の方々の福利をどういうふうにするかということ、その場合にも個々のケースにつきまして、返還をも含めてわれわれ考えております。  いま、最後の御質問の公有地につきましても、御指摘のように相当な地積が公有地で行政財産の形で貸し付けを受けております。これはわれわれといたしましては、やはり公共団体の所有する土地等でございますので、できる限りの御協力を得たいというふうな考え方を持っておりますけれども、たとえば岸根につきましては、たまたまあれは閉鎖いたしましてからもう二年くらい遊休化、われわれ遊休化と申しておりますが、それで具体的に岸根でお答えいたしますと、早急に単純返還、いわゆる無条件返還を受けたい、こういう交渉を連日やっております。
  108. 青柳盛雄

    ○青柳委員 法律問題にならずに円満に返還されることが一番望ましいと思います。東京都も都有地の返還を求めたいということで検討しているそうでございます。これも円満な話し合いで返還がつくように努力が払われてしかるべきだと思います。  さて、立川の飛行場のことでございますけれども、御承知のとおり、これは自衛隊があそこに入ってきて使うことに何か方針がきまり、現に先乗りのような形で夜襲的に入りてしまったというような事態があります。そこでお尋ねをするのですが、地位協定の二条四項6によりますと、米軍使用が一時的になされていないときには、これを日本国がみずから使ってもよろしいし、日本国民に使用さしてもよろしい。もちろん米軍の了解のもとということでございますけれども、この一時的に使用しないという解釈はどういうふうに見たらよろしいのか。防衛庁としては、もう米軍は実際上は使わない、しかし、あとを自衛隊にまかしておいて、必要があればまた一緒に使うというような場合、これでも一時的に使用しないという部類に入るのかどうか。また立川の基地に自衛隊が入ったのは、おそらく地位協定二条四項8に基づくものだと思いますが、その点について誤りなければ、一時的に使用しないということはどういうことをいうのか、それを明確にしていただきたいと思います。
  109. 薄田浩

    薄田政府委員 御質問が立川に関連いたしますので、私も条約解釈につきましては資格はあまり有しておりませんので、立川について御答弁さしていただきたいと思います。  立川の場合は、米軍はなるほど飛行活動は一応停止したという発表をしておりますが、立川のいわゆる飛行場部分を含めてそれ以外の施設、住宅とか病院とかいろいろございますが、いわゆる立川を飛行場としての機能を、使用を停止したとは言っておりません。かつまた返還をするとも言っておりませんで、いわゆる米軍使用しておる、こういうふうに考えておりまして、その飛行場部分に、特に滑走路部分について現在あいておるので、自衛隊が二4(a)によりまして一時使用をする、こういうふうにわれわれは理解しておりまして、決して自衛隊が、いわゆる返還前に先取りするというような形で入っておることは毛頭ございません。
  110. 青柳盛雄

    ○青柳委員 いまの地位協定二条三項には、米軍が使う必要がなくなった場合には検討をして、なるべく返還をすべきものであるという精神がうたわれておるわけですね。だから使わなくなった場合には、なるべく検討して早く返すということがたてまえだと思いますが、米軍が使わなくなったあとを自衛隊に引き継ぐというやり方は、法的には脱法行為じゃないかと思います。いかに一緒に使うんだというようなことをいっても、実際は自衛隊が、国の地所ならば使うことができるでしょうけれども、民有地がその中に含まれておる場合には、強制的に取り上げることはできないたてまえになっておりますから、そこで、米軍が強制的に取り上げた民有地を自衛隊に引き渡す、こういう便法、やみ取引といいますか、そういうものに「一時的に使用していないとき」というのが、かっこうな文句として使われる危険性があると思うのですね。まさにこういうやり方で日本国民の権利を侵害していくということは許されないことだと思うのですが、このような脱法行為をしないという何か歯どめになるようなものが考えられるかどうか、研究したことはありますか。
  111. 薄田浩

    薄田政府委員 先生の御質問は、いわゆる米軍基地があいているのをいいことにして、やみ取引的に自衛隊がというふうな御趣旨の御質問だと思いますが、なるほど、先ほど説明しましたように、立川につきましては、いわゆるあいている、いわゆる一時的に飛行活動を停止していることは事実でございます。しかし、それが米軍の提供施設として不要なのかというふうな考え方はわれわれはとっておりませんし、米側もとっておりません。  それから、返還問題につきましては、地元の方はすぐ全面返還ということになるのでございますが、こういうふうな形で実際上米軍がキープしておりますので、われわれといたしましては、しかしそれでもやはり地元の福利、それから住民の方々の御生活との関連も考えつつ、われわれ一部返還というようなこともいろいろ努力しておるわけでございまして、その間の調整はやりていきたい、こういうふうに思っております。  したがいまして、民有地の所有者の方々をだましてというふうな考え方は毛頭ございませんし、そういう事実もございません。先ほど申し上げましたように、米軍への提供施設ということで、われわれの借料の支出項目も、米軍についての借料という形になって支出しております。
  112. 青柳盛雄

    ○青柳委員 民有地を借り上げた契約書によると、賃借権の譲渡あるいは転貸は当然のことながら賃貸人、地主のほうの承諾が必要であるという条項も入っておりますし、そういう条項がなくたって、民法適用がある以上、当然、強行規定としてそれが、六百十二条という規定が生きてくるわけです。  そこで、この六百十二条の規定地位協定二条四項(a)との関係お尋ねするのですが、(a)によりますと、先ほど指摘しましたように、日本国がみずから使用してもよろしいし、日本国民に使用させることもできる。この「日本国民に使用させる」というのは、まさに賃貸人の承諾がなければできない相談でございますが、こういうことはかまわない、地位協定のほうが優先権があって、六百十二条なんというのは、あるいは契約書の中にそういう文句がうたわれておっても、それはもう何の役にも立たないのだというような見解を持っているのかどうか、それが一点。  それから、自衛隊に使うというのは、これは日本国がみずから使うのだから、別に第三者ではない、だから何ら違反はないと言いますけれども、そもそも、先ほども申し上げました契約書には、前文があって、それには、米軍基地に使わせる目的で次のように契約すると書いてある。だから、目的がもう一番重要なものとしてうたわれて、その米軍が使わないというときに自衛隊に使わせるというのは、明らかに地主に対する背信行為になるのではないか。この点は目的違反としてもけっこう重要な問題ではないか。賃借権の目的にあまり縛られてしまうと、契約の自由の中に制限が入り過ぎるけれども、賃貸人は米軍が使うのだからしかたなしに貸したのだ、それが自衛隊が使うということであったら、もう私はとても貸すつもりはないのだと言う。それはあまりにもおかしいのではないか、そんなことで契約の解除を求めるのは不法であるというような議論が成り立つかどうかですね。この点研究したことがありますか。
  113. 薄田浩

    薄田政府委員 米軍提供中における共同使用の態様の問題でございまして、これは二4(a)、二4(b)にあるわけでございますが、いずれの場合も、われわれといたしましては、米軍への提供施設というふうに考えておりまして、先ほどお話しいたしましたように、借料等も米軍関係ということで支出しております。かつまた、先生の御指摘の、自衛隊がどうして使うか、また一方自衛隊以外の民間の方々も二4(a)あるいは二4(b)という形でいろいろお使いになっておるわけでございますが、この場合にも、われわれは転貸借というふうな解釈はとっておりませんで、いわゆる条約上の二4同、二4(b)の解釈に基づきまして所要の措置をとっております。ただ、いろいろ地元に、入りますときに、地元の方々の御了解なり御理解を得るというふうな努力は、絶えず続けておるつもりでございます。
  114. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それだと、契約書は非常に不親切といいますか、人を欺く内容のものだと思うのです。譲渡してはいかぬ、転貸借してはいかぬという六百十二条の規定をそのまま明文化したようなものを置いておいて、地位協定というのが別にあって、二4(a)、二4(b)というのがあるのだから、もうおまえさん知っていなくたってそんなことは無関係なんだということでは、これは公正な取引ではないと思いますね。だから明らかに賃貸人のほうの権利を侵害していると思います。  そこで、お尋ねするのですが、これは法務省のほうにお尋ねするのですけれども、このような法律問題が当然のことながら裁判所に問題を提起されて、そして賃貸人、地主の権利の侵害に対して救済してやるということがあり得ると思うのですが、その場合、一時的に使用していないというのが単なる口実にしかすぎないというような場合、それから先ほど指摘しました第三者に使わせる、共同使用の名目であれ何であれ第三者が使うというのは、これは六百十二条に違反して契約解除の理由になるという主張が日本の裁判所で争われることについて、そういう主張は、事実関係は十分調べなければならないけれども、当然あり得るというふうに考えられるかどうか。そしてそういう主張が法廷でなされた場合に、法務省とすれば国を代表してどのような見解を表明しなければならないか、これをお尋ねしたいと思います。
  115. 川島一郎

    川島(一)政府委員 協定上の一時使用民法六百十二条の関係の御質問でございますが、これは契約の内容それから契約趣旨、事実関係、そういったものを総合して判断しなければならない問題であろうと思います。そういう問題につきまして、私といたしましてはまだ研究したことがございませんので、いま何ともお答えいたしかねる次第でございます。
  116. 青柳盛雄

    ○青柳委員 最近のベトナムの事態などを考えてみますと、日本本土の基地から、たとえば横須賀から航空母艦が出ていくとか、あるいは岩国から発進してダナンに行くとか、非常に日本の基地が、いわゆる事前協議もなしに直接戦闘任務に役立つ形で利用されている。こういう際であるだけに、この日本の基地の問題というのは、非常に国民の間で再検討されなければならない状態にあると思います。国の財産を米軍との条約の中で使わせるということについても、国民は非常に主権者としての意見を持っておりますし、それに加えて、私有財産として憲法二十九条の適用で保障されている地主にとってみれば、二重の意味で、そのような基地について自分の権利をどのように行使すべきかということを、考えさせられる時期に来ていると思います。  そういう意味で、村山政務次官に最後にお尋ねするのですけれども、こういう重要な政治問題化している事案について、国が、法治国家でありながら法を無視して不法に国民の財産を占有するというような事態が起こった場合に、それではたしていいのかどうか。たとえば先ほど言った米軍十地使用特別措置法というようなものがあって、そして強制的に取り上げたというならば、それの当否はともかくとして、一応法的根拠があって米軍に提供するわけだからよろしいのだけれども、期間が来てしまって、もうその手続もしないで事一実上がんばっているということになれば、これは不法占拠と言われても弁明のしようがないと思うんですね。だから、不法占拠にならないという確信があるならあるような態度を、説得力ある形で国民に示さない限り、これは法治国家の政治とけ言えないですね。この点をどう考えられるか、畠後にお尋ねしておきたいと思います。
  117. 村山達雄

    ○村山政府委員 非常な精緻な議論が展開されまして、私が答えるのが適当かどうかわかりませんが、一般論といたしまして、もとより法治国でございますから、その法秩序が破られるあるいは国民の権利が不当に侵害されるというようなことはあり得べからざることだということは、まさにそのとおりだろうと思うわけでございます。  ただ、いまのお話を聞いておって、私しろうとながら非常にむずかしいところだなと思ったのは、いまの地位協定関係に伴う問題、それと賃借権の問題でございますが、おそらく米軍に使わしているのは、別に日本と米軍との間に賃貸借契約を結ばしているわけではなくて、まさしく協定で結ばしておるわけでございます。そして形式論で申しますれば、ただいまの一時使用という問題も、協定に基づく米軍の専属的な管理権に基づいて一時使用させているというのが事実なのか、あるいはそうでなくて、それは契約条項とか内容とかから見て、実態はもう返還すべきものなのか、したがってその契約の当初の日本側の政府と向こうとの、地主さんとの賃貸借契約に基づいて当然返還要求があれば返還すべきなのか、法益と法益の結びついた非常にむずかしいケースであると思うのでございます。一般の国民の権利を守るための諸法律があると同様に、また日本にはいろいろな国際信義上の条約があるわけでございますが、一般的に申しまして、もとより法治国でございますから、国民の権利をいやしくも侵害するようなことがあってはならぬことは当然でございます。具体的な問題としては非常にむずかしいと思います。一般論として申しますれば、当然法治国でございますから、国民の正当なる権利は守らなければならない、かように考えておるわけでございます。
  118. 中谷鉄也

    中谷委員 一点だけ。政務次官にお願いしておきたいと思うのですが、先ほど民事局長のほうから、六百四条との関係での民事局の御見解を承りたい、それから防衛施設庁のこの見解、要するに賃貸借契約解約あるいはまた失効するのではないかという点についての御見解を承りたいということでお約束をいただいたわけですが、政務次官にお願いしたいことは、これは相当各地で問題化している問題でありますし、この点について各委員会では問題になっておりますが、政府の統一見解というようなものがまだ明確に出されておらないと私は思うのです。  そこで、政務次官にお願いしたいのは、次期国政調査の日、すなわち水曜日までにこの点についての政府の統一見解、法務大臣見解あるいは民事局長から精緻な御見解を承りたいと思っておりますけれども、ただ単に法務省見解というものでなしに、防衛庁、そうして法制局を加えた統一見解、もちろん法務省がこの中心になられるのだと思いますけれども、そういう政府の御見解を承りたいと私は思うのですが、この点についてひとつお約束をいただきたいと思うのです。
  119. 村山達雄

    ○村山政府委員 いまの質問趣旨は、先ほどの六百四条の関係でございますね。——できるだけ努力したいと思っております。
  120. 大竹太郎

    大竹委員長代理 次回は、来たる二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会