○青柳
委員 まさに理論的にはいまの回答のとおりでおかしくないと思いますけれ
ども、
現実には、一本だけ投げられた
状況のもとでは、あるいはその区別がつきやすいわけでありますが、本
法案のいわゆる
火炎びんと、それからいまの地裁、高裁の判例のような種類の
火炎びんとがまぜられたときには、どちらがどうなのかということが非常にあいまいな
状況になる
危険性があるということだけは
指摘できるんじゃないかと思います。しかし、時間がありませんから、
問題点だけ提起いたしまして次に移ります。
たまたまこの地裁、高裁の判例を取り寄せて読みましたところが、これはまさに驚くべき事実が明らかになっているわけでございます。それは背叛社といわれるアナーキストの
学生の団体で、約二十数名の者が寄り集まっていたようでございますが、その
指導者らしい人物が、まず
最初に日本共産党の議会主義を非難するという
目的で、日本共産党本部に
火炎びんを投げることを計画して、
昭和四十三年六月二十九日にそれをあえて行なったわけであります。そのときの
火炎びんは、これは点火装置でやったようでございますけれ
ども、まさにこれは
火炎びんの
取り締まり法みたいなものはありませんから、暴力
行為等
処罰法でもって
処罰をされているわけです。これで間に合っているわけなんですね。要するに数名でやりましたから。一人でやったんでは、これは
放火未遂ということになったかもしれませんが、あえて
放火未遂では起訴していないわけであります。鉄筋コンクリートの
建物の玄関で投げたんだから
放火未遂にもなるまいというので、暴力
行為で取り締まるということにしたわけであります。
引き続きましてこの連中は、自由民主党の本部及び公明党その他等々をも襲撃することを企てまして、それに使うのには今度はもっと強烈な爆弾のようなものを使いたいということで、やはり
火炎びんの強力なものを製作の途中で爆発をしてしまった。いわゆる暴発をしてしまった。それで
目的を達しなかったのでありますけれ
ども、これはまさに爆発物取締罰則違反で打たれております。
ところで、だんだん読んでまいりますと、この被告人は、実は警視庁の公安第一課の間々田という
警察官と深沢という
警察官からいろいろと指示を受けたのだ、そのもとでこれはやったことであるから、有罪にされるのはおかしいという
趣旨の抗弁をしたわけでございます。
そこで、証人として間々田敬作という方と深沢亮治という二人の
警察官が取り調べを受けまして、その証言によってこの裁判所がどういう
認定をしたかというと、大体
昭和四十三年の七月八日ごろから九月二十五日ごろまでの間に約五回にわたってこの被告と会って、同人らの依頼によって、この被告らは背叛社等に関する情報を提供し、その謝礼として合計十一万円の金を受け取っておるということであります。そして本件攻撃計画については、この計画というのは、自民党本部と公明党の本部を攻撃するということについでは、九月初めごろにその
警察官には報告してあるという事実が
認定されたわけであります。報告はしたけれ
ども、まだ品物は完成しておらぬ
状態でありましたが、たまたま暴発した日は、間々田という先ほどの
警察官の供述の記載によりますと、本件
犯行の当日、背叛社というその暴発した家の周囲には数名の
警察官が張り込んで、被告人らの行動を監視していた事実が認められるというのであります。だから
警察監視のもとでこういうことが行なわれている。また共産党も襲撃をかけられている。これを私
どもは泳がせ政策ということで要約するわけであります。
それで、
火炎びん取り締まり法を今度つくっても、このような泳がせ政策がしばしば行なわれるのであるならば、これは非常に危険なものであるし、またあまり効果もないじゃないかということをおそれるわけであります。
前回、参考人が出たときにも私、引用いたしたのでありますけれ
ども、昨年の十二月十日付の
サンケイ新聞の「コンピューター一〇〇〇人調査」によりますと、このような
火炎びん取り締まり法ができましても、二十代くらいの人は二割以上が、全く過激派
学生の
火炎びん闘争にブレーキをかける効果はないであろうということを言っておるというのであります。はたして、この二十代の
人たち、そして大半の
人たちが、あまり効果はないだろうと言って期待をかけていないようでありますが、この原因がどこにあるのか、そういうような意見を持つ原因がどこにあるのか、私は、このコンピューター調査の
報道でははっきり理解することはできませんけれ
ども、
一つの見方としては、
警察がこういう連中に対して甘いのであろうということを直観的に感じて、ああいうものができたってやはり泳がされるよ、こういうふうに思っておるのではないかというふうに、私なりに理解するわけであります。
したがって、この点について
国家公安委員長に
お尋ねをしたいのですが、どういうふうにごらんになりますか。