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矢口最高裁判所長官代理者 まず、最初にちょっとお断わりしなければいけないと思うのは、他の省庁に比べて管理職の占める割合が非常に多いという御指摘は、必ずしもそうではないというふうにお答えを申し上げたいと思うわけでございます。私
どものところよりも管理職の割合が多い省庁が、ほかにもございます。それは、たとえば
自治省でございますとか、法務省、人事院等は、私
どもよりもその割合は多くなっております。決して私
どものところだけが多いというわけではないわけでございますが、少ない庁もございます。
では、どうして比較的私
どもの
裁判所の管理職の割合が多いかということでお答えを申し上げたいと思いますが、御承知のように各省庁でございますと、これはいわゆる行政官庁のシステムとして、当然ピラミッド型というものが想定されるわけでございます。下のほうは広がっておりますけれ
ども、上のほうに行きますとどんどん狭まってまいりまして、最終的には大臣を頂点、次官一名、政務次官も入れますと二名の次官を置き、さらにその下に数名あるいはせいぜい十数名の局長、そして課長というような、きわめてピラミッド型をなしてまいっております。それがブロック機関になりましても同様でございますけれ
ども、府県単位の官庁においても同様でございます。
ところが、
裁判所というのは非常にそのシステムが異なっております。御承知のように、東京地方
裁判所、これをもし行政官庁で申しますならば、府県単位にある官庁でございまして、そういった規模は非常に小さい規模であるはずでございますが、東京地方
裁判所におきましては民事部だけでも、それだけをとってみましても三十五という非常に多い
数字になっておるわけでございます。それで各
裁判体が、それぞれ先ほど御指摘もございましたように独立して
仕事をいたしております。したがいまして、そのもとにあってこれを補佐いたしております書記官の群というものを
考えてみましても、三十五の書記官群があるわけでございます。そうして三十五の書記官群の中に、それぞれの管理
職員というものがいることになるわけでございます。
調査官にいたしましても同様でございます。東京家裁におられる数十名の
裁判官に対しましても、それぞれ
調査官群というものがございます。
調査官群の中にそれぞれ管理
職員というものがいるわけでございます。そういうふうに
裁判所におきましては、
国民に接します
裁判の
段階においては、それぞれの
裁判官が自己の
責任において接しておる。ということは、言ってみれば各
裁判官が管理職、行政官庁でいう管理職、地方官庁の長に当たるほどの
職責を持っておるわけでございますので、そういったものが三十五、場合によっては、単独体ということで
考えますと、民事部だけでも百人近くの直接
責任を担当する
裁判官がおる。その下に書記官が配置されておる。そしてその書記官が
裁判官の命を受けて、その一群の書記官、
事務官等々の者を管理しておるという体制をとっております。
それから、もう
一つ各官庁と違いますところは、
裁判所の
職責というものはそれぞれ
法律で明定され、きわめて重要な
職責を持っておる。
裁判官は当然でございますが、書記官にいたしましても独自の権限を持っておる。
調査官にいたしましても、それぞれは独立して
仕事をいたしております。そういった者は各官庁の、少し比較がいかがかと思われるかもわかりませんが、参事官的な要素を持っておるわけでございます。御承知のように、各官庁の参事官というのはそれぞれ管理職でございますが、参事官と全く同じであると申し上げるのはいかがかと思いますけれ
ども、そういった者が中央官庁だけでなくてブロック官庁たる高等
裁判所、地方官庁たる地方
裁判所、さらにその地方
裁判所の支部等にもそれぞれあるわけでございます。
そういったことから、
裁判所は勢いいわば高次の官職というものの数が多いために、それを別途の観点からする、給与体系等の観点からする管理職、非管理職というふうに分けてみますと、管理職のカテゴリーに入るということで、数がある
程度多くなるわけでございます。もちろん、先ほど御指摘ございました、管理職になるということはすなわち給与を高くするという面がございますが、これは別とさせていただきましても、いま申し上げましたような観点から、
裁判所の
職務の特殊性というものが管理職群の数を多くせざるを得ない、また当然そういう
職責の人が多いのだということでございます。その結果、割合、パーセントというものが他の省庁に比して多くなっている。しかしそれでも、先ほど当初に指摘いたしましたように、
裁判所がずば抜けてよそより多いということはないわけでございます。