○安原
政府委員 今
国会にすでに
提出し、または
提出を予定いたしております法案につきまして御
説明を申し上げます。
お手元に、「第六十八回
国会提出予定法案」という名称のリストを差し上げておりますので、これに基づきまして御
説明を申し上げます。
法務省が
提出しまたは
提出を予定しております法案は、
合計で十一件でございまして、コメじるしのありますのがいわゆる
予算関係法案、それが三件でございます。その他が八件ということになっております。
最初は、法務省設置法の一部を
改正する
法律案でございまして、これは、
所管は内閣
委員会の
所管になっておりまして、すでに二月八日に内閣
委員会に
提出、付託済みでございます。
中身は、ここに書いてございますように、松山
刑務所の所在地が、松山市から愛媛県温泉郡重信町へ移転することに伴いまして、その位置を改めること。その次が、北海道樺戸郡月形町に月形
少年院を設置し、一方、愛知県知多郡南知多町所在の豊浦医療
少年院を廃止するということ。三番目は、岩手県大船渡市所在の大船渡港ほか五カ所における出入国者の
増加等に対処いたしまして、岩手県大船渡市に仙台入国
管理事務所大船渡
港出張所を、茨城県日立市に東京入国
管理事務所日立
港出張所を、大分県佐伯市に福岡入国
管理事務所佐伯
港出張所を、熊本県八代市に福岡入国
管理事務所八代
港出張所を、
沖繩県石川市に那覇入国
管理事務所金武
港出張所を、
沖繩県コザ市に那覇入国
管理事務所嘉手納出張所を、それぞれ設置いたします。一方、出入国者の減少にかんがみまして、札幌入国
管理事務所根室
港出張所と、
沖繩県に那覇入国
管理事務所のほか出張所の設立されることによりまして、出入国の減少いたしますことが予想されます鹿児島の入国
管理事務所和泊
港出張所を、それぞれ廃止しようとするものであります。第四番目は、市町村の廃置分合等に伴いまして、札幌
法務局及び函館地方
法務局の管轄区域内の
行政区画の名称の一部と、旭川
刑務所、交野女子学院及び東京入国
管理事務所直江津
港出張所の位置をそれぞれ改めるものでございます。
以上が、法務省設置法の一部を
改正する
法律案の
内容でございます。
その次の
裁判所職員定員法の一部を
改正する
法律案及び、一枚めくっていただきまして、その次の
犯罪者予防更生法の一部を
改正する
法律案の中身につきましては、先刻
法務大臣が御
説明申し上げたとおりであります。
その次は、
刑事訴訟費用等に関する
法律の一部を
改正する
法律案であります。現行の
刑事訴訟費用等に関する
法律におきましては、国選弁護人に支給すべき
旅費は、運賃の等級が三階級に区分されました船舶による旅行の場合には、上級ではなく中級以下で、
裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとされておりますが、国選弁護人の社会的地位にかんがみまして、これを
裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとして、上級の旅客運賃を支給することができるようにするということを
内容とするものであります。
その次は、下級
裁判所の設立及び管轄区域に朝する
法律の一部を
改正する
法律案でありまして、市町村の廃置分合等に伴いまして、広島簡裁等若干の簡易
裁判所の管轄区域を変更いたしますほか、下級
裁判所の設立及び管轄区域に関する
法律の別表に
所要の
改正を加えようとする
内容のものであります。
その次は、民法等の一部を
改正する
法律案でありまして、この
法律案は、いわゆる休眠しております民法法人を整理する方途を講ずるため、民法等の一部を
改正しようとするものであります。
民法法人は、御案内のとおり、主務官庁の許可によって成立いたしますが、そのような許可を得た法人の中には、全く
事業活動をしていない、いわゆる休眠法人が多数存在して弊害をもたらしております。しかしながら、主務官庁がかかる法人を解散させることができるかどうかは、民法上疑義がございますので、それを整理いたしますために、民法の一部を
改正することによりまして、法人が正当な
理由なく引き続き二年以上
事業をしていない場合には、主務官庁がその設立許可を取り消すことなどによって、その法人を解散させることができるようにするということを
内容とするものであります。
ただ、この
内容は、まだ成案を得るまでには法制
審議会等にかけることが予定されておりますので、
提出できるかどうかは、まだ未確定の段階であります。
それからその次は、商法の一部を
改正する
法律案でありますが、資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する
法律案、それから商法の一部を
改正する
法律等の施行に伴う
関係法律の整理等に関する
法律案、これらは一連のものでございまして、まず粉飾決算防止のために、監査役の権限等につきまして、監査役は
業務監査をも行なう、いわゆる会計監査だけではなくて
業務監査をも行なうことにする等、監査役の権限を
強化するということ。
それから、会社は、計算書類について、定時株主総会前に公認会計士または監査法人の監査を受けることとし、会社の株主、従業員、取引先及び下請企業者等の
関係者の
保護をはかるという、粉飾決算防止のための
所要の
改正。
それから、経営の安定をはかるという意味におきまして、取締役の選任につきまして、定款をもって累積投票の請求を完全に排除できることとして、
業務の運営の安定をはかる。
それから、会社の資金の調達の便をはかるため、転換社債は、新株の発行と同様、原則として取締役会の決議によって発行できるとか、あるいは準備金を資本に組み入れた会社は、株主に対して発行価額の一部の払い込みを要しないものとする株式を発行できることとして、会社の資金調達の円滑をはかるということ。
それから、一年決算の会社につきましても中間配当の道を開く。あるいは休眠会社の整理、いわゆる休眠会社を整理する方途を講ずる。たとえば、
最後の登記をしてから五年間何らの登記のない会社について、これを整理する方策を講ずるということがおもな
内容でございます。
そこで、これらの
法律の
改正につきまして、特に会計監査人に関する規定につきましては、この制度が円滑に行なわれますよう、たとえば、資本金一億円以上の証券取引法適用会社、いわゆる上場会社については、
昭和四十八年一月一日から
実施することとするが、その他の会社については、段階的に
実施していこうということを
提案しようとする
内容を盛っております。
その次は、資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する
法律案は、先ほど申し上げましたような監査役あるいは会計監査の規定をそのまま一億円未満の株式会社に適用しないような特例を設けようというものでございまして、中小
規模の株式会社の実情にかんがみまして、資本金一億円未満の株式会社の監査役は、従来どおり会計監査のみを行なう、それから資本金一億円未満の株式会社につきましては、商法の適用除外として公認会計士または監査法人の監査を受けることを要しないものとする等の
内容を盛っておるものでございます。
それから三番目の、商法の一部を
改正する
法律等の施行に伴う
関係法律の整理等に関する
法律案、この
法律案は、先ほど申し上げました商法の一部を
改正する
法律等の施行に伴う関連諸
法律の整理に関するものでございます。
以上が、商法
関係の三法案の
概要でございます。
その次は、
罰金等臨時措置法の一部を
改正する
法律案でございまして、刑法その他の刑罰法規に定めております罰金及び科料の額等につきましては、現行の
罰金等臨時措置法、
昭和二十三年
法律第二百五十一号によって暫定的な臨時特例が定められておりますが、同法が制定されましてから二十三年の間に、物価は約三倍、賃金は十倍以上に上昇しておりますので、罰金及び科料の額等を現行のままにとどめておきますことは、これら
財産刑の刑罰としての機能を低下させるばかりでなく、
刑事司法の適正な運営を阻害するおそれもあるということにかんがみまして、この際、このような
経済事情に適合するよう、一律に罰金及び科料の額を、いずれもその四倍に相当する額に改めようとするものであります。
最後は、
出入国管理法案でありまして、現行の
出入国管理令は、御案内のとおり
昭和二十六年に、いわゆるポツダム政令として制定されたものでございますが、制定後二十年を経過する間に、国際旅行の普及、航空機による大量輸送により、
わが国への入国者が飛躍的に
増加しております。このような最近におきます出入国の状況から、現行制度を全面的に
改善いたしまして、今日の国際的な諸要請及び
わが国の国情に応じた
出入国管理制度を
確立する必要があるというのが
改正の
理由でありまして、その
内容は、第六十五回
国会に
提出いたしましたものとほぼ同
内容でありまするが、同法案に与えられました各方面からの御批判、御意見を十分にくみ取って、近く成案を得て
提出を予定いたしております。
以上が、
提出予定法案の
概要であります。