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1972-05-24 第68回国会 衆議院 文教委員会 第16号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十四日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 西岡 武夫君    理事 小林 信一君 理事 山田 太郎君    理事 鈴木  一君       稻葉  修君    小沢 一郎君       塩崎  潤君    中山 正暉君       野中 英二君    松永  光君       吉田  実君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       有島 重武君    山原健二郎君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君  委員外出席者         外務省情報文化         局文化事業部文         化第二課長   山野 勝由君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 五月十九日  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願中澤茂一紹介)(第三三〇四号)  同(西宮弘紹介)(第三三〇五号)  同(千葉七郎紹介)(第三三七六号)  同外一件(川村継義紹介)(第三三九三号)  同(卜部政巳紹介)(第三四三〇号)  同(川村継義紹介)(第三四三一号)  同(山原健二郎紹介)(第三四三二号)  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願山口鶴男紹介)(第三三〇六号)  同(田邊誠紹介)(第三三五一号)  同(山口鶴男紹介)(第三三五二号)  同外四件(山中吾郎紹介)(第三三七五号)  同外三件(山中吾郎紹介)(第三三九二号)  同外一件(金丸徳重紹介)(第三四三三号)  同(川俣健二郎紹介)(第三四三四号)  同外三件(久保三郎紹介)(第三四三五号)  同(斉藤正男紹介)(第三四三六号)  同(山口鶴男紹介)(第三四三七号)  同(山原健二郎紹介)(第三四三八号)  盲、ろう、養護学校の寄宿舎に勤務する教職員  の身分確立等に関する請願川村継義紹介)  (第三三九四号) 同月二十日  私立学校教育経費国庫負担に関する請願(川  端文夫紹介)(第三六二〇号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第三六二一号)  同(島村一郎紹介)(第三六二二号)  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願山口鶴男紹介)(第三六二三号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願神田博紹介)(第三六七七号)  公立高等学校事務長職制及び職務法制化に  関する請願神田博紹介)(第三六七八号) 同月二十二日  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願佐野憲治紹介)(第三七〇三号)  同(斉藤正男紹介)(第三七〇四号)  同(安井吉典紹介)(第三七〇五号)  同(山口鶴男紹介)(第三七三四号)  同(土井たか子紹介)(第三九三五号)  同(山口鶴男紹介)(第三九三六号)  公立高等学校事務長職制及び職務法制化に  関する請願南條徳男紹介)(第三七三五号)  同(濱野清吾紹介)(第三七三六号)  同(久野忠治紹介)(第三七九五号)  同(福田篤泰紹介)(第三七九六号)  同(藤波孝生紹介)(第三七九七号)  同(松田竹千代紹介)(第三七九八号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願濱野清吾紹介)(第三七三七号)  同(久野忠治紹介)(第三七九〇号)  同(南條徳男紹介)(第三七九一号)  同(福田篤泰紹介)(第三七九二号)  同(藤波孝生紹介)(第三七九三号)  同(松田竹千代紹介)(第三七九四号)  同(小林信一紹介)(第三九二八号)  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願箕輪登紹介)(第三九二九号)  公立学校における実習職員身分確立等に関す  る請願中村拓道紹介)(第三九三〇号)  学校砂場施設整備に関する請願川村継義君  紹介)(第三九三一号)  同(木島喜兵衞紹介)(第三九三二号)  同(小林信一紹介)(第三九三三号)  同(細谷治嘉紹介)(第三九三四号) 同月二十三日  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願外一件(土井たか子紹介)(第四一五九号)  同(山口鶴男紹介)(第四一六〇号)  同(川俣健二郎紹介)(第四三一四号)  同外一件(久保三郎紹介)(第四三一五号)  同外三件(斉藤正男紹介)(第四三一六号)  同(佐野憲治紹介)(第四三一七号)  同(松沢俊昭紹介)(第四三一八号)  同(安井吉典紹介)(第四三一九号)  同(山口鶴男紹介)(第四三二〇号)  看護教育充実のための学校教育法改正に関する  請願外九件(塩崎潤紹介)(第四三二一号)  同(床次徳二紹介)(第四三二二号)  同(森喜朗紹介)(第四三二三号)  同(渡部恒三紹介)(第四三二四号)  同(稻葉修君紹介)(第四四六八号)  同(久保田円次紹介)(第四四六九号)  同(橋本龍太郎紹介)(第四五六二号)  私立学校教育経費国庫負担に関する請願(伊  藤惣助丸君紹介)(第四四六四号)  同(和田春生紹介)(第四四六五号)  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願古寺宏紹介)(第四四六六号)  同(塩崎潤紹介)(第四四六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十三日  公立高学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の改正に関する陳情書  (第二五八号)  国立大学及び公立高校授業料値上げ反対に関  する陳情書(第二五  九号)  小、中学校の一学級当りの児童、生徒定数に関  する陳情書  (第二六〇号)  文教施設整備促進に関する陳情書  (第二  六一号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する陳情書  (第二六二号)  国立長崎大学歯学部設置に関する陳情書  (第二六三号)  へき地教育振興等に関する陳情書  (第二六四号)  学童保育施設助成に関する陳情書  (第三三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件(留学生に関す  る問題等)      ――――◇―――――
  2. 丹羽委員長(丹羽兵助)

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。川村継義君。
  3. 川村委員(川村継義)

    川村委員 きょうは私、大臣所信表明を受けました問題について、その中の教育学術文化国際交流という問題について、大臣発言になっております。   〔委員長退席河野(洋)委員長代理着席〕 それについてきょうはお尋ねをしてまいりたいと思います。  大臣がこの国会の初めに所信表明をなさいましたが、その前文にいろいろとその基本方針をお述べになっておりますが、その前文の後半に、「豊かでたくましい人間性創造的英知を備えた日本人として、国際社会で積極的に活躍できる人間の育成をはかっていかなければならないと考えます。このことは、わが国の伝統を踏まえつつ、世界から評価され、人類の歴史に輝きを添えるような高い学術文化の基盤を築き、美しく花咲かせることを目ざすことにもなると存じます。」一部分でありますけれども、このようにお述べになっております。  そこで、これが一体どういうような制度の上から、あるいは文教行政の上から進展を見るであろうかと実は期待をいたしておったのでありますが、たいへん大臣の意欲的な発言を、実は、最近またお聞きしたわけです。それは、今日日本外交の状態を見ても、内政のあり方を見ても、何かしらん胸詰まるような暗い気持ちにおおわれておりました私たちに、先般、去る二十二日の新聞に、「中教審を若返らす」というような大きな見出しで、文部大臣構想が実は発表されております。で、その新聞発表を見てみますと、文部大臣がどこまでお話しになったかよくわかりませんが、中教審諮問も「国際社会で活躍できる日本人づくり」を主要なテーマにしていきたい、あるいは「経済大国から文化大国に変身をはかる」ということをねらいとするんだ、こういう重要な記事が実は見えているわけであります。  私はこの記事を見て、最近になく実に気持ちよくさわやかな感じで受け取っておるわけでありますが、これが大臣が初めに所信表明されましたその所信表明に基づく中教審改革の第一歩であろうと、こう見ております。このことを今日の段階でまだ私、根掘り葉掘りお聞きしようと思いません。ただ、このような発表がありましたので、この新しい中教審委員選任あるいは中教審を若返らしていこうというような大臣の基本的な構想だけひとつお話しいただきたいと思います。
  4. 高見国務大臣(高見三郎)

    高見国務大臣 中教審学校制度教育制度改革につきまして、四年間にわたる非常な御心労をわずらわしまして、昨年六月答申をいただきました。今後中教審が取り組むべき課題は何であるかということを考えてみますというと、私は教育学術文化国際的交流というものを考えざるを得ないのじゃないかと考えるのであります。これはひとり教育の問題だけではございません。少なくとも日本のこれからのあり方が、いわゆるテクニックとしての外交だけで片づく問題ではないと私は思います。国家間の相互の理解協力があって初めて国際関係というのが成り立つということを考えまする場合に、今後の日本教育あり方というものが、国際交流というものを基調にした教育あり方というものを検討してみなければならぬ時期が来ておるのではないか、そういう観点から、第十期中教審委員の選考にあたりましては、テーマをそういう面にしぼりまして、おおむね二年ぐらいな期間でもって答申をいただきたいということで、広く各界各層の御意見を伺いたいという考えで実は構想を練っております。まだ私はこの問題について正式に新聞発表したものではありません。新聞記事はあくまで憶測の記事でありますが、構想はおおむね新聞が伝えておるとおりでございます。これがこれからの教育政策にとって一つの大きな課題ではないかという考え方に立って諮問をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  5. 川村委員(川村継義)

    川村委員 たいへん期待をいたしたいと思います。  そこで、先ほど申し上げましたように、この時点で大臣に、新聞にはこういうところから委員選任するんだとは書いてありますけれども、そういうものを、私きょうこの委員会お尋ねしようとは思いません。なお明日、理事会で、いろいろと委員長配慮によりまして、この大臣中教審構想については御意見を聞くというような手順になっておりますから、ここでは私、こまかに大臣のお考えを聞くことは本日は差し控えたいと思いますが、大臣構想に対して、今後の日本教育全般考えて、あるいは日本世界に立っていく立場考え大臣の一そうのお力添えを実は期待をいたしたいと思います。  そこで、私のお尋ねの具体的な問題に入っていくわけでありますが、大臣が同じ国会の冒頭にお述べいただきました所信表明一つ課題として「教育学術文化国際交流についてでありますが、」と、こういうおことばで、実は教育学術文化協力等を十分ひとつ充実強化をはかりたい、こうお述べになっております。その大臣ことばをここで繰り返して申し上げることは私もう差し控えますが、実際、今日の日本教育文化国際交流というもののあり方を見てまいりますと、私は、せっかくの大臣の御所信ではありますけれども、実際問題としてはたいへん貧弱ではないか、こう思われてなりません。そこで、実はその点についてこれから二、三お尋ねをしていくわけであります。  文部省予算、私の手元にありますのは「予算要求額事項別表」というものでありますが、この中で、「教育文化国際協力の拡大」ということでことしは十五億三千七百万円予算計上されております。その中の大部分、十二億七千万円は二国間の協力援助ということになっております。二番目は、「ユネスコを通ずる協力援助」これは七千六百万円の増加しかなくて一億八千二百万円。国連国際大学調査についてが実は七百万円減額されて一千三百万円。それから「海外勤務者子女教育推進」これが四十七年度は六千六百万円。それから「国際教育協力に関する基本施策の検討」ここれが六百万円。まあ、この予算の上から見ましても、これは私は必ずしも拡充推進のための予算であるとは見ておりません。特にそれらの予算の大部分が使われる二国間の協力援助の十二億七千万円のうちでは、大部分留学生教育拡充に使われます十二億八百万円。私はきょうは特に教育文化交流国際協力等の中で、各般の問題が多い中で、この留学生の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思うわけであります。  そこで、まずお尋ねいたしますが、この予算の中の「国費外国人留学生受入等」ということで八億九千三百万円ありますが、この国費外国人留学生受け入れ支出といいますか、その金の使い方は一体どうなっているのですか。文部省が握っておって配分していくのか。あるいは例をあげるならば、日本国際教育協会等に委託をして配分をしていくのか。そういう問題が実は疑問になってまいりますから、まずその点からお尋ねをしてまいります。
  6. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 いま御指摘のございました留学生教育拡充等経費の中で、国費外国人留学生受け入れ等に八億九千三百万円の予算を計上いたしております。その金額は留学生のいわば給与費でございまして、国費留学生でありますために、その給与費は現在のところそれぞれ所属の大学を通じて留学生支出をいたしております。  なお、いまお手元にお持ちの予算資料でございますが、そうした国費留学生を中心にいたしまして、留学生世話をいたします機関として財団法人日本国際教育協会が設けられております。そこに留学生世話するためのいろいろな経費補助をいたしておるわけでございます。大きな流れから申しますと、その二つの流れ経費支出をいたしております。
  7. 川村委員(川村継義)

    川村委員 大学を通じて給与等支出をしておる、その点でことしの計画は新規受け入れが三百五人から三百七十人増し。ことしは三百七十人増し受け入れがありますが、一体、国費留学生というのは全体で何人おるのか、そして、皆さん方受け入れ支出をしておられる学生数は、留学生の中でどれくらいの割合なのか、国費留学生は全部めんどう見てやっておるのか等々、ひとつ明らかにしてもらいたい。
  8. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 国費留学生の本年度新規受け入れ数は、いま御指摘がございましたように三百七十名でございますが、その結果といたしまして、本年度受け入れております総数は八百二十三名になる予定でございます。  それが留学生の中のどのくらいになるかということでございますが、一応諸外国からの国費私費合わせました留学生総数が約四千六百名というふうに踏んでおりますので、そのうちの七百名が——四千六百名というのはこれは四十六年度現在で、四千六百名のうち七百名という割合でございます。本年八百二十三名というふうにふえますが、全体の留学生割合も若干伸びることと思いますので、国費留学生割合は約二割弱というふうに御理解をいただけるかと思います。
  9. 川村委員(川村継義)

    川村委員 本年度国費留学生援助対象にしておるのが八百二十三名。これは昭和四十五年度は五百八十六人であった。昨年は何人でしたか。
  10. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 四十六年度は七百九名でございます。
  11. 川村委員(川村継義)

    川村委員 その八百二十三名というのは、いわゆる世界各国から参っておるところの留学生の二割である、こういうことですか。
  12. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 日本に留学してきております総留学生国費私費を合わせました者の二割弱ということでございます。  その国費留学生と申しますのは、留学生生活費を国の予算でめんどう見ておる学生でございますから、この八百二十三名につきましては、こちらの滞在費等生活費全額国でめんどう見ておる学生というふうに御了解をいただきたいと思います。
  13. 川村委員(川村継義)

    川村委員 先ほどあなたは、四千六百人が全体の学生だ、こうおっしゃったのですが、国費外国人留学生、これがことし八百二十三名といたしましょう。そうすると、いわゆる私費留学生がおりますね、それを合わせると、おっしゃるように大体四千六百人程度になる。ところが、別途また外国人学生というのがおるはずですね。というのは、国際教育協会の年表によりますと、これは四十五年度なんですが、国費外国人留学生は、文部省の数字と同じ五百八十六人、私費留学生が三千六百七十六人、外国人学生というのが五千三百二十七人、合計いたしまして九千五百八十九人となっておる。この中の二割ではないわけでしょう。つまりあなたがおっしゃるのは、国費外国人留学生私費留学生の合計の大体二割ということになりますね。その中の外国人留学生というのはどういう位置づけになっておりますか。
  14. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 いま御指摘がございました外国人学生は、態様といたしましては日本にたくさん永住いたしております外国人学生でございまして、通常の日本人学生と同様の入学試験その他の進学の方法を講じて日本大学に在籍しておる者で、ございます。先ほど私の申し上げましたのは、日本大学で勉強するために海外から日本にやってきて、入国を許可されて大学に入ってきておる学生、これを国費でめんどう見ております者と私費負担学生とに区分いたして、国費私費、、こう申し上げたわけでございます。大学入学のために日本入国をしてまいりました学生総数が、先ほど申し上げましたように約四千六百名という数でございます。
  15. 川村委員(川村継義)

    川村委員 外国人学生の中には、いまお話しのように、いわゆる国費留学生私費留学生、それらのほかに、これまで主として日本におって、日本高等学校なんかを出てそして勉強しておる学生がおる。それらの学生については、これは日本人と同じようないろいろの待遇を受けておる、こういうことでございますね。そこで問題は、国費留学生私費留学生に対して国が一体どのような手当てをしておるかということに帰すると思います。  そこで、もう一ぺん予算のほうに返りますけれども、先ほど局長のお話にも出たのでありますけれども、外国人留学生世話をするのに、文部省が主管するといってはなんですが、文部省の主管のもとにある日本国際教育協会というものがある。ここにお話しのように二億八千四百万円だけことしは補助をする。これは、先ほどお話しのように、おそらくここの運営等についての経費になるわけでありますが、その内訳のおもなるものは、この予算書に書いてあるのは「日本人家庭臨泊(里親)「制度」についての手当、「留学生交歓パーティ」「医療費増加」「関西留学生会館増築」ということで、この財団法人日本国際教育協会補助金が二億八千四百万円計上されておりますが、相当部分関西留学生会館増築に振り向けられるということをまず念頭に入れておかなければならない。それは、私は決して留学生諸君にマイナスという意味で申し上げているわけじゃない。この中で考えなければならぬことは、留学生医療費の問題とか、あるいは月々出しておる手当の問題とか、こういうものが十分なのかどうなのかということに私は実は問題があるということを初めに申しておきたいと思うのです。なお、そのほかに公私立大学国際交流のいろいろの資金が、これは一千三百万円計上してありますが、国際教育協会補助金、これもことし計上されておる。  そこで私は、いまここで聞いておきたいのは、この日本国際教育協会というものの沿革やら目的やら組織、人員やら施設やら事業内容等は、私が  ここにいただいております「日本国際教育協会年報」というものに詳しく書いてあるから、私それに目を通しまして、これはもうお尋ねをいたしません。私はこれで承知をするつもりです。ところが、その中でこの国際教育協会経理についてはちょっと説明をしてもらいたいと思うのです。いわゆる収入はどうやっておるのか、支出はどういうようにしてやるのか、大体の事業内訳というものはどうなっておるのか、これを御説明いただきたい。
  16. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 四十七年度について申し上げますと、国際教育協会への国庫補助金が、いま御指摘がございましたように一二億八千四百万円でございますが、そのほかに一千百万円の事業収入を予定しておりまして、事業総額としては二億九千四百万円ほどに相なっております。この事業収入でございますが、これは国際教育協会運営しております宿舎居住者から、その宿泊費として一人当たり月三千円から四千五百円ほどの幅で徴収をいたしておりますものの収入でございまして、それ以外は全部国の補助を充てまして全体の運営をいたしておるわけでございます。  なお、支出内訳は、その世話をしております国際教育協会役職員人件費が九千六百万ほどございますが、それ以外に事業費といたしましては、会館運営費でございますとか、日本に渡ってまいりました国費留学生につきましてはそのつど出迎え等をいたしまして、渡日の一時金二万五千円を支給してやるとか、あるいは下宿をあっせんいたしました場合に下宿料補助金を出してやるとか、あるいは医療費につきまして実費の七割を補助してやるとか——この医療費につきまして、ことしからさらに私費留学生全員に対しましてもその五割を持つようにいたしましたが、国費留学生につきまして七割、私費留学生につきましては全留学生を含めましてかかった経費の五割を補助する等の事業をいたしております。そのほか、先ほど御指摘ございました日本人家庭への臨泊というような、留学生の指導に対しまして世話をしてくれた家庭に手みやげを考える、こういうような事業費でございまして、そのつど会館のほうで支出経理をいたしておるわけでございます。
  17. 川村委員(川村継義)

    川村委員 お話しのように本年度給与の引き上げが若干行なわれるようであります。四十四年度から下宿料補助であるとか、医療費補助であるとか、そういうものの増額考えられてきた。いま局長お話しのように、私費留学生にも医療費補助が行なわれるようになっておる。ところが、文部省国際教育協会に対する補助の移り変わりを見てみると、たとえば四十五年度はちょっと多かったな、こういうように踏んでみますと、大体研修棟の新築の予算が大きい。四十七年度また多くなったと見ると、関西会館増築分が相当占めておる。そこで、いま医療費とか下宿料とか、あるいは日本にやってきたとき二万五千円を渡日費として渡すというようなこまかな配慮はしてあるようでありますけれども、まだまだ留学生に対して、たとえばたくさんの留学生を全部一つ宿舎に収容できない、民泊を相当考えなければならない、こういうような事態がございます。これはあとでお尋ねしますが、私費留学生については特にそれが実は大きな問題であります。そういうことを考えると、もう少し留学生待遇ということについては思い切った予算措置が必要であって、留学生日本に留学してほんとうによかった、こういうような立場で勉強して自国に帰る、そういうような待遇に熱意を見せるべきではないかということが、実は私の希望でもあるし考えでもありまして、皆さんに御努力を願わねばならぬと思っておるところであります。  この点はひとつぜひ、これから申し上げる私費留学生のことについても、私の申し上げることを十分頭にとめていただきまして努力をいただきたいのであります。私費留学生の今日の状況を見ると、国費留学生よりもっと考えねばならぬ幾つかの問題があるようであります。そこで私は、次に私費留学生の問題についてお尋ねをいたしますが、私費留学生は外務省のほうが大体担当しておられるということであります。きょうは山野文化第二課長に来ていただきましたので、幾つかお尋ねをしてまいります。  まず、お尋ねをいたしたいと思いますことは、あなたのほうで管轄というか、管轄というのはちょっと語弊がありますけれども、関係をして指導してもらわなければならぬ国際学友会というのがあります。文部省のほうに国際教育協会私費留学生を扱うのに国際学友会、こういう仕組みになっておるが、私の考えはあとで申し上げます。  そこで、この国際学友会についてちょっとお尋ねをいたしますが、これも私の手元に「国際学友会概要」というのをいただいておりますから、これをずっと読んでまいりますと、創立がどうなってきたのか、事務所がどうなっておるのか、目的、事業はどんなものか、役員はだれがやっておられるのか、施設はどうなっておるか、あるいは事業はどんな事業をやっておる、大体これでわかります。それらについて一々質問する必要はないと考えますので、二、三お尋ねをいたすわけでありまが、第一に目的及び事業等から見て、先ほど文部省お尋ねした国費留学生世話をしておるところの日本国際教育協会との違いは一体どこにあるのですか、これをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  18. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 ただいま御指摘がありましたように、国際学友会の概要にも書いてございますように、沿革は非常に古うございまして、戦前から主として東南アジアの私費留学生世話をしておるわけでございます。それで、そういった事業の沿革によりまして、現在主として私費留学生に対しまして宿舎の提供、それから大学進学前の学生に対しまして日本語の授業、それから大学に受験するために必要な一般科目の授業、これを行なっております。この二つの点が学友会の主たる事業内容となっております。
  19. 川村委員(川村継義)

    川村委員 この国際学友会の仕事は、目的、事業から見て、いまお話しございましたが、国際学友会館の経営、日本学校の維持経営、これが重点的な仕事のように私は受け取るわけです。  そこで、昭和四十四年度に八千四百十八万四千円、あなたのほうから補助が出ておる。ところが、四十五年度は一体幾らお出しになったのか、四十六年度は幾らお出しになったのか、本年度は幾らお出しになっておるのか、その補助金額を教えていただきたい。実は四十七年度年度の政府提出の外務省の予算を、不敏でございますが、縦横十文字に調べてみたけれども、どうしても四十七年度のこの予算が出てこない。どうしたことだろうと実は疑問に思っておるわけです。おそらく出ていないとは思いませんから、教えていただきたい。
  20. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 初めに国際学友会全体の予算を申し上げます。  四十五年度は全体の予算額が二億一千三百万円、そのうち政府補助金は一億三百万円となっております。それから四十六年度でございますが、総額が二億九千八百万円となっております。そのうち補助金は二億百万円となっております。それから四十七年度予算案でございますが、総額は二億五千八百万円、そのうち補助金は一億四千六百万−円でございます。  それで、四十六年度と四十七年度補助金の額が違っておりますというよりも、減ったように見えますが、四十六年度の二億百万円の中には仙台に新しい寮を建設するための資金約一億円が含まれております。したがいまして、四十六年度補助金の二億百万円から一億を引きまして、ネットの一億百万円が補助金で、ございます。それで、四十七年度は一億四千六百万円で、ざっと四千五百万円の増になっておるわけでございます。
  21. 川村委員(川村継義)

    川村委員 大臣、いまお聞きのとおり、なるほど四十六年度は、実は外国人受け入れるいろいろの施設のために、いままで全国に十八カ所かあった施設を十九カ所にするとかというようなこと、あるいは十七カ所かあったやつを十八カ所にするのか、その辺のところ記憶が正確じゃありませんが、一カ所だけ増加をする、それを仙台につくるわけです。それが実は四十六年度に非常に補助額が増額をしておることであります。ところが、数千人の私費学生受け入れていかなければならない国際学友会、これに対する国の補助が四十四年度は八千四百十八万円、四十五年度は一億三百万円、四十六年度はいまの問題がありまして二億百万円、四十七年度は一億四千万円というような補助で学友会を経営させ、数千人の私費留学生受け入れていこうとするものの考え方は、私はたいへんなことだと実は受け取っておるわけです。これは実は外務大臣にも要求すべきことでありましょうけれども、事、教育関係でありますから、そういう点も、文部省が直接タッチをしていないかもしれませんけれども、文部大臣として十分頭に入れていただきたいと実は私お願い私するわけです。  そこで、それらの学友会の経営等につきましては、私ちょっとお尋ねをいたしますけれども、収入がどうなっておるか、支出がどうなっておるか、事業内容の経理等について実は詳しく聞きたいのですが、そこまでいまのところ深くはお聞きしません。ただ外務省にお聞きしておきたいのは、一体この学友会の収入というのはどうなっておるのか、この寄付行為によりますと——この寄付行為はいまも生きておるのかどうかわからぬけれども、この寄付行為を見ると「政府補助金及ビ助成金」、これはあなたがおっしゃったところの金額であります。「基本財産ヨリ生スル収入」「本会事業ヨリ生スル収入」と書いてあります。あと「繰越金」とか「寄付金」とか書いてありますが、「基本財産ヨリ生スル収入」などということで一体資産はどうなっているかを見てみますと、「本会ノ資産ハ左ニ掲クルモノヨリ成ル」こう書いてあって、その次に「本会ノ基本財産ハ左ニ掲クルモノヨリ成ル」と書いてあって、前の条文の第一号の財産目録の資産中一万一千円が基本財産になっておる。そういうものから生ずる収入で実は支弁に充てようとしておる。寄付行為を読んだだけでも、何か明治ははるか昔のような印象を受けるわけです。あなた方が補助なさるところの金額も、先ほどお話しのように一億そこそこの金である。これで学友会が一体うまく運営できるか。私費留学生に対して何をやろうとしておるのかという疑問が起こるわけです。何かお考えがありましたらお述べください。
  22. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 ただいま国際学友会に加入しております学生の数は、たとえば宿舎につきましては四十六年度、延べで約五百名の学生を扱っております。日本学校につきましては四十六年度で約四百名の学生日本教育を行なっております。それで、収入につきましては、現在のところ寄宿舎の規定によります館費収入、それから日本学校の授業料収入、それから各方面からの寄付金、この三つが現在では大宗をなしております。  そういうわけでございまして、現在の施設の状況から、日本語の授業とか、その他大学入学のためのいろいろな指導ということにつきましては、集中的な講義を行なうわけにいかぬような状況でありまして、現在の施設をフルに活用して効果をあげるように鋭意努力しておるわけであります。留学生需要といいますか、そういった日本語を勉強したい、それから宿泊施設もほしいという希望が強く出ていることは私どもも十分承知しておりまして、自己資金、補助金を含めて収入の増大につとめるように努力しておるわけでございます。
  23. 川村委員(川村継義)

    川村委員 三千六百名か三千七百名の私費留学生をかかえておって、東京で三百何人あるいは関西のほうで二百人ですか、わずか四、五百名の諸君をこういう施設に収容して勉強させよう、考えてみるとちょっとはだ寒いような気がします。  そこで私は、これは実に大きな問題だと思うのですが、東京の新宿区にあるところの国際学友会館留学生が、残念ながら昨年の十月ストライキを起こした。その理由を御存じですか。
  24. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 昨年の十月にストが起こりましたが、学生側の主要な要求はいわゆる環境の整備ということでございまして、具体的には食堂施設の改善、それから洗面所その他生活環境を整備してもらいたい、それからレクリエーション施設として運動施設を整備してもらいたい、大体以上の点が主要な要望でございました。
  25. 川村委員(川村継義)

    川村委員 それについて外務省としては何か学友会館と提携をされて有効な措置をなさいましたか。
  26. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 当時、事件が発生しましてから解決に至りますまで、連日学友会当局と連絡をとり、協議をして、収拾に努力してまいりました。それから環境整備の必要性、これも十分に痛感されまして、実は毎年、環境整備に関連する経費補助金の対象として支出しておるわけでございますけれども、何らかの抜本的な措置が必要であるというふうに判断されましたので、大蔵省当局とも相談いたしまして、四十七年度予算補助金に環境整備費として経費を計上いたしまして、目下環境整備に手を打っております。
  27. 川村委員(川村継義)

    川村委員 全部読むことは差し控えますが、この学生の要求を見ると、何かしらんこれはちょっと驚くのです。一つは、前の理事者側と学生側と約束したことを守らないことに抗議をする。あるいは年間の授業料を二回で割って払うようにしてくれ。食堂のおかずと換気問題を改善しろ。運動の設備を充実しろ。暖房を祭日及び日曜日二十四時間で、平日六時から午後十二時まで出してくれ。ごみ処理問題を改善し、生活環境を美化しろ。各部屋の設備を充実し、各階に電話受信器をつけてくれ。お湯を一日じゅう出してくれ。これがストライキの要求項目ですね。言うならば生活環境の改善をしてくれということでしょう。これはちょっと国内では考えられないようなストライキ要求ですね。ところが、今日まで十分な手が打たれていない。これが問題なんです。  そこで当時、十月三日の新聞に、「留学生パワー爆発 新宿の国際学友会 寮の施設改善せよ」というようなこと「トイレ直して、図書室もほしい」「東南ア留学生が無期限スト 国際学友会」こういう新聞記事が出て、実は、昨年の十月十六日に朝日新聞に、「外人留学生受入れ対策を確立せよ」という社説が出たのですね。この社説を読んでもらい、外務省としては大きな大きな反省をすべきだと思うのです。これをここで全部読む必要はないと私は思いますけれども、念のために二、三点指摘いたしますと、こういう問題が起こったのは、ただ次元の低い要求だと考えてはいかぬということである。留学生の一人は、親善交流のつもりでやってきたのに、これでは日本が好きになれない。こんな気持ちで国に帰れば、留学生一人につき数千人の同胞が日本ぎらいになりますよ、と言っておる。これは外務省だけに言ってはいかぬかもしれぬ。文部大臣もひとつお考えいただかなければならぬ。これは実に大きな問題ですね。約四千人になろうとしている留学生のうちで、その九割が実は私費留学生です。文部省国費留学生はおっしゃるように八百何十人ですよ。九割が私費留学生です。その九割のまた八割が東南アジアの諸君です。日本が一番考えなければならぬ東南アジアの諸君です。  そこでお聞きしますが、とにかく彼らは、私費留学生というものは、一体どういう目的で日本に勉強に来るのですか。外務省御存じですか、お考えになっておりますか。
  28. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 国際学友会で扱っております私費留学生は、日本流に言いますと、現地で高等学校を終了した程度の学生が大部分でございまして、それで日本大学学部に入りまして、そこで大学教育を受けて帰りたい、こういう目的で来日する者が全部でございます。
  29. 川村委員(川村継義)

    川村委員 大学教育を受けて帰りたいというのはわかっているのです。文部省局長、御存じでございましょう。あなたからちょっと一言、私費留学生日本留学の主目的……。
  30. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 その点につきましては、それぞれ個々人によって目的もいろいろとあろうかと思いますけれども、基本的にはやはり、一番底には日本に対するあこがれというものを持って来ておるであろうというふうに私ども推察をいたします。そして、アジアの中での先進国としての日本で、一緒に学んで、何か自分でそれぞれ専門分野ごとに身につけて、帰国の上はその専門の領域で自分たちの国を興したいという気持ちを持って来ているであろうというふうに考えております。
  31. 川村委員(川村継義)

    川村委員 実は、日本学校日本語を研修をして、そして大学を受ける私費留学生等のトータルから見ると、いま大学局長がおっしゃったように——いままでは東南アジアの諸君は欧米に留学する傾向が強かった。それが今日では日本にたくさん留学しておる。それは身近であるとか、日本にあこがれておるとか、いろいろ心情的なものもありましょうが、しかし、何といっても大学に志望する率から見ると、理工科系、社会科学系の志望者が多い。ということは、先進工業国としての日本でいろいろな勉強をする、技術も習う、そして国に帰る、こういうことだろうと思うのですね。そういうような傾向にあるときに、いま問題を起しこすような受け入れ体制では実は困るということが指摘できると思うのですね。大体新宿区にあります国際学友会館だって、どうもいまごろあんな建物を——それは一部分はりっぱになっておりますが、あんなものを残しておくというのは、これはちょっと日本として恥ずかしくありませんか。りっぱな寮をつくってやって、そしてりっぱな生活ができるようにしてやるべきです。何かしら、ゆさぶったらこわれるような建物では、もう東京のどまん中で学生受け入れるような姿ではちょっとないですね。とにかくそういうような状態の中でありますから、これは文部省とよく協議して、十分なる充実向上をひとつはかってもらいたい。また、先生にしましても、先生の待遇、これは初任給からして、あるいは平均給与からして、あるいは毎年人事院勧告があるのだけれども、ほかの公務員と比べて、賃金の引き上げ方にしても、この国際学友会の日本学校等に働いてくださっておる先生方の待遇がよくない、これを考えてください。私、これはいまここで数字を申し上げませんけれども。  そこで、私考えるのには、外国人を相手にして日本語を教えようとするには、日本の子供を相手にして日本語を教えるのと違い、やはりずいぶん苦労が多いと思うのですね。そこには専門的な何か技術というか、ある違ったものがないととても教えられないと思うのですね。そういう先生が実はその学校にとどまらないとかいう状態が、なるたけここから逃げていこう——逃げていくということばは語弊がありますけれども、できたらほかへ移りたいというそういう先生が非常に多いのです。お聞きになっておりますか。そういう状態ではいけません。文部大臣ことばではないけれども、日本世界のいろいろな国と交流をしていかなければならぬ、その使命をになっている留学生教育をあずかっている先生に対して、その使命の自覚とそれにふさわしいところの待遇というものをやはり考えていかなければいかぬのではないか、こういうことであります。  そこで、先ほど申し上げた当時の朝日の社説にも、一番最後にこういうことばが書いてあるのです。「日本が大国を自覚するなら、それにふさわしいだけの一貫した留学生受入れ政策を確立したい。国際親善の重要な道はここから開かれるといえよう。トイレが汚ないから日本ぎらいになった——では、余りにわびしい。」と結んである。  そこで、外人留学生受け入れ対策については、いまの国際学友会館等の問題、あるいは学生のそういう問題等に関連をしていろいろの問題が提起されておりますから、これはよほど文部省、外務省一体となって受け入れ体制を進めてもらわないと、文部大臣国際社会に活躍するところの人間をつくると理想を漏らしておられるが、それだけでは日本の使命というものは果たせないのですよ。これは、外国から来ておる留学生等に対してどのような対策を進めるか、受け入れをするか、これがないと、日本という国はもう何年か後には世界から毛ぎらいされてしまう、やはり日本は経済アニマルだと総スカンを食らうようになるかもしれない。そういう意味からして私は憂えておるのであります。  そこで、教職員待遇等も十分考えてやりなさい、学友会館の設備等も近代的な学園にふさわしいようにやりなさい、こういうことを申し上げざるを得ません。ひとつ外務省からお考えをお聞かせいただきたい。次いで、文部大臣よりひとつ御所見を賜わりたいと思います。
  32. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 ただいま御指摘にもありましたように、現在の国際学友会の施設の現状につきましては、非常に老朽の度合いが激しくて、部分的な修理にもおのずから限度があるという状況でございます。それで、私どものほうといたしましても、目下新築移転計画というものを学友会当局と相談中でございます。まあ敷地の選定、それからどういうところに移転するか、いろいろな問題がございまして、目下慎重に検討しております。いずれは御指摘のように新しい建物でやっていきたい。現在の建物は、ものによりましては建築後三十年を経ているようなものがございまして、私どもその点は非常に気になっております。  それから、日本語の問題につきましても、学友会は戦前から日本語の授業を行なっておりますけれども、昨年から外国人に対して日本語を教える場合には、授業方法、コースといったようなものをつくりまして、そういった海外であるいは外国人に対して日本語を教えたいという人のための訓練、養成といいますか、そういった授業も始めております。先生の待遇につきましても、十分仕事の内容に応じた妥当な待遇ができるように努力しておるわけでございます。いま先生がおっしゃいました点につきまして、私ども十分考えまして、今後の施策に反映していきたいと思います。  それから最後に、留学生一般の問題でございますけれども、私どももこういう留学生問題につきましても、在外公館を通じていろいろ仕事をやっておりまして、国費私費を問わず、常時文部省と連絡協議を密にして、実施に遺憾なきよう努力してやっておるわけでございますが、これらの事柄に関係する会合その他にも私ども出席いたしまして、意見交換を行なって、日本留学生制度の発展と効果的な運用に協力していくべきだと思います。今後もこれを続けていきたいと思っております。
  33. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 留学生をわが国に受け入れますにつきましては、実はそれぞれの国におきまして日本受け入れ事情等を十分紹介し、理解をさせ、そして日本に来てもらうというふうに、日本入国する以前の段階からかなり手を尽くしていかなければなりません。また、そこの点での行き違いから、入国したあと、言っていたことと来てからの事実と違うではないかという問題も起こりかねないわけでございます。したがいまして、まず第一には、招致する前段階のところで、日本の事情あるいは日本教育の体制を整えるというような問題から問題が始まろうかと思っております。  受け入れましたあとの日本教育あるいは生活面におきましては、ただいま御指摘がございましたように、これまたたくさんの問題がございます。国際学友会は、一応戦前からの御経験があるわけでございまして、そこの日本学校は、日本教育を進めていく体制としては一番経験豊富なところでございますが、正直申しまして、日本語を外国語として教えるという体制が日本の学問体系の中に十分に育っておりませんために、それぞれの学校で、国際学友会の日本学校のみならず、大阪外国大学とか東京外大の日本学校とか、そめほか民間の長沼学校等、歴史の古い学校等もございますけれども、それぞれが努力をしておりながら十分な日本教育の体制が整っていないということも、私ども身にしみて感じております。  さらにまた、こうした前段階の受け入れ準備をいたしまして、個々の大学紹介をし、大学の中で留学生として十分勉強ができるような体制がどこまで整っておるかという点につきましても、大学関係者もわれわれも含めまして必ずしも経験が十分でないものでございますから、十分に満足のいけるようなところまで来てないということは、私ども身にしみて感じております。そういう点は、今後その前段階から、また帰国後のアフターケアまで含めまして、一貫した体制を外務、文部両省共同してとっていかなければならぬと思っておりますし、文部省といたしましても、いままでどちらかと申しますと、国費生活費をめんどう見てまいりました留学生を中心にして、それ以外の分野に対する十分な配慮はまだ行き届いていない面が多々残ってお。ますので、国費私費を問わず、留学生全体に対する体制をさらに整備したいと思っております。しかし、そのためにはやはり日本の社会全体の受け入れ体制、個々の大学受け入れ体制が整ってまいりませんと、特定部分だけでは必ずしも十分にいかない点もございますので、できるだけ留学生を多く受け入れたいという気持ちを持ちますとともに、足元の体制を整えていくというじみな施策をそれぞれの分野について進めてまいりたいと考えております。
  34. 川村委員(川村継義)

    川村委員 国際学友会は、もちろん外務省の力添えで昭和十年ですかにできた歴史がある。それは今日外務省の管轄というか、お世話を受けるように引き継がれておる。ところが、留学生問題等がいろいろと大事になってきたときに、昭和三十二年ですか、文部省のほうの日本国際教育協会というものができた。実は私は、目的は同じだと思うのですよ。そこで外務省は、専門の外交官がおられるのですから、世界各国に対するいろいろの折衝やらあるいは教育、そういう準備、受け入れの宣伝、PR等々について仕事をしてくださることは、それは皆さん方にまさるものはないと思う。しかし、一たん外国の諸君が日本に来たら、やはり大学受け入れそのほかの教育あり方等々は、これは文部省が専門ですから、どうですか、この私費留学生の問題も、国際学友会の問題も、外務省から文部省に移したらどうですか。そして一本化する、一元化する、こういう考え方がないものか。というのは、実はこの国際教育協会ができるときに、こういうことがいわれておるのですね。「昭和三十一年三月、「教育学術文化に関する国際交流の促進について」文部大臣諮問を受けた中央教育審議会は、同年七月、人物交流に関する業務、すなわち外国人留学生、研究者等の受け入れおよび派遣のあっ旋、宿舎の経営およびあっ旋などの事業を一元的かつ円滑に実施する中央機関の設立を答申した。本会は、この答申の趣旨にもとずき、昭和三十二年三月一日設立認可された。」この主目的は、そういう事業を一元的にかつ円滑に実施するという答申を受けておるわけです。ところが、せっかく日本国際教育協会ができたけれども、外務省の学友会、これはそのまま存続されておる。私はどうもこの辺にぴんとこないものがある。そこで、いまからでもおそくはないと思うのです。これはやはり外務省、文部省十分相談いただいて、文部省としては、外務省に外交官の皆さん方にお願いしなければならぬことはたくさんあるでしょう、外国の人たちを受け入れるというのですから。しかし、国内に入った教育について、私費留学生受け入れ文部省の手に移す、文部省に責任を持ってやらせる、こういう一元的な組織になれないものかどうか。これはどなたにお聞きしようか、大臣どうですか。大学局長からでもひとつ。
  35. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 留学生がわが国に入ってまいりましてからあとの生活の問題につきまして、国際学友会は戦前からの経験を持っており、そういう経緯がございまして、戦後も外務省が主としてめんどうを見て今日まで来ておられます。文部省国費留学生を主体にいたしました教育協会、外務省の国際学友会のほかにも、民間の団体でいろいろと留学生世話に当たっている財団等もあるわけでございます。どこかの施設で全部すべて世話をし尽くせるものではございませんので、現在の段階では、それぞれこれまでの経験を踏まえながら、また協力し合って、政府関係団体におきましても、民間の団体におきましても、留学生受け入れということにそれぞれ努力をしていかなければならない段階だと思っています。しかし、そのために施策の上での統一が、きょう御指摘がございましたように、ばらばらになってしまう、そういうことはやはり是正し改善をしていかなければならぬところでございますから、そういう点につきましては、今後とも外務省当局とも十分な相談をしながら、留学生全体のあり方につきまして、各方面の協力を得て私どもも十分な指導ができるように進めてまいりたいと考えます。
  36. 川村委員(川村継義)

    川村委員 あと少し時間をいただきたいと思います。  私は同様な考え方からして、この際、先般衆議院を通過しました国際交流基金法案についてちょっとお尋ねしておきたい。実は、この法案が通過しないときに私はお尋ねしようと用意したのですが、一般質問をいただく時間がありませんで衆議院を通過してしまったのですけれども、それにしてもやはり今後の検討願える事項もあるのじゃないかと思ってお尋ねします。  実は、外務省のほうから国際交流基金法案の提案理由の説明やらあるいは法案等をいただいておりまして、これについて一々お尋ねをしたいのですけれども、時間の関係上省かせていただきますが、実はこの国際交流基金については、今度どうももう一本似たようなものができてくる。仕事は違うかもしれませんが、今度は財団法人の国際文化振興会というのができる。どうしてこんなものを一々つくっていかねばならぬのか、そういう疑問もわずかですがあり、この国際文化振興会の運営等につきましても幾つかの問題が指摘できます。私は七項目ばかり拾い上げているのですが、振興会の運営についてよほど慎重にしなければこういう問題が生ずるであろうということを一つは懸念をしております。急いで指摘いたします。  それから、新聞でごらんいただいたと思うのですけれども、新聞でも「天下り先じゃ困る 民間の創意を」という見出しで「国際交流基金の誕生」というようなことで相当批判をしております。また、ある新聞では「とんだナワ張り 国際交流基金法人格」こういう見出しで、行管と外務省が対立をしたなんということが、もう法案が提案される前から指摘をされておる。そういうことを含めて、この国際交流基金の内包する問題あるいは新しくつくられようとしているところの国際文化振興会の運営上の問題が指摘できます。しかし、それらはおくといたしましても、この国際交流基金の要綱を見ますと、その目的を達するため、次の事業を行なう。」、「国際文化交流の目的をもって行なう人物の派遣及び招へい」、「海外における日本研究に対する援助及びあっせん並びに日本語の普及」、「国際文化交流を目的とする催しの実施、あっせん、援助及びこれへの参加」、「日本文化紹介用資料等の作成、収集、交換及び領布」、「国際文化交流を行なうために必要な調査及び研究」、こういう業務があります。  これは両方でお答えいただきたいと思う。文部省は一体この中でどうなるのか。文部省も実は国際文化の交流であるとかいろいろなことを考えてやってきておるんですね。この国際交流基金というものができて、国際文化振興会ができ、文部省は一体これについてどうなるのか、文部省としてはどういうタッチのしかたができるのか。ノータッチですか、どうですか。  外務省にお尋ねしますが、これは一体文部省とはどういう提携がはかられていくのか、その辺のところを少しお話しいただきた。
  37. 木田政府委員(木田宏)

    木田政府委員 国際交流基金につきましては、むしろいまお尋ねの点は外務省のほうから先にお答えいただいたほうがいいかと思うわけでありますが、文部省としてもこのことに全く関係がないわけではございません。いま御指摘がございましたように、やはり国際文化交流ということを念頭に置いた人物交換でありますとか、あるいは催しもの等につきましての問題、あるいは日本文化海外紹介といったようなことは、すべて国内の学術文化ということとの関連なしにあり得るはずはございません。この法案を制定いたしますときに、私ども関係者で外務省当局とも十分御相談を申し上げましたけれども、従来やはり外務省は各国との接触点に立ちまして、そして国内のいろいろな諸事情を踏まえた上で国際的な日本というものを国際社会においてどのように紹介もし、理解をしてもらうかという観点からの政策的なお骨折りをいただく、そういう目的に立って、従来ございました国際文化振興会を母体とした国際交流基金をつくるというお話でございました。今田までやってまいりました国際文化振興会は、その事業目的にもありますように、日本文化海外紹介ということをかなり大事な課題として運営されておりますし、また海外におきます日本研究の援助等の事業を、ヨーロッパその他にも文化会館等を建設いたしまして進めておられます。そうした面での仕事は、この国際交流基金で今後一そう活発にやっていただくことになろうと思いますし、また文化学術のみならず、広く政治、経済も含めまして、人物の交換という事業も活発により一そう行なわれることになろうと思います。そうした場合に、国内におきます文化学術そのものとの関係なしにはうまくは行なわれませんので、この事業運営その他につきましては、両省十分な相談をし、緊密な提携のもとに国際交流基金がこうした事業を行なうということになっておるわけでございます。  それでは文部省は直接にどういうことをするかということになるわけでございますが、教育学術文化の交流、そのことは基本的には国内におきます教育学術文化の振興をはかる、その教育関係者あるいは学術団体、文化団体あるいは文化をささえておる芸術家等々が、みずからの芸術活動として国際的に結ばれていく、その活力を養っていくというのが、文部省の一番基本として考えるべき施策だというふうに思っております。芸術家、学者がそれぞれ自分の芸術、文化、学問というものを十分に育てることによりまして、国際的な交流が実を結び得るように根をつちかう、この点を文部省の基本的な課題としたいと思います。  なお、具体的には、留学生の問題でもそうでございますけれども、学術交流とか芸術交流等につきましては、直接学術関係者そのものが国際的な提携をするということのほうがいい面がございますので、そういう面につきましては、文部省の国内団体に対する助成という観点から国際的な事業を伸ばしていくということも、なお文化庁の予算あるいは学術局におきます日本学術振興会等の事業予算を通じて、これまでどおり、あるいは従来にも増してまたその事業を進めていくつもりにしておりますが、国際交流基金におかれましては、一般的な日本文化の観点に立って、しかも国際社会の中で日本を十分理解をしてもらうという観点からの政策的な施策を進められる、このように理解し、協力をしていくことになっておる次第でございます。
  38. 川村委員(川村継義)

    川村委員 お話、異議はありませんが、問題は、考え方よりも具体的にどうするかということが今後の課題だと私は思います。いまお話の点について別に異議を言うつもりはありません。ただ、こういうものができたいきさつ、いろいろなよくないうわさをわれわれ聞いたわけであります。そんなことをここで申し上げようとは思わないが、百億も出資をして基本金をつくる、初年度五十億になっていると思うのです。これをただ外務省の国際文化交流という名前のもとにサロン的なものにしてはいかぬということなんです。これは外務省もそんなことは考えていないと思うのだけれども、ある一実力者がどうも推進をしたという話も聞いている。ただ、何か外務省の名目、今日日本があまりにも経済大国だと世界各国からたたかれるから、それをのがれるための配慮に基づいた一つの施策である。外務省のサロン的な存在にしてはいかぬ。せっかくつくるならつくるように、やはりほんとうのものにしなければならぬということでしょう。そこで、どうぞひとつ、これは具体的に、振興会に対して学術文化の面で文部省はどうタッチできるのか、外務省とこれを運営するについてどうタッチしていくのか、高い次元からひとつ考えていただきたいということです。でないと、さっき留学生で私は言ったのだけれども、文部省教育協会がある、外務省の学友会がある、今度は文化交流なんていいながら、また一つこんなものがここにできる。お役人さんたちは、どうもその辺のところが、新聞ことばじゃないけれども、なわ張りというか、何かそんなものをつくりたがるようなあれがあって、行管が顔をしかめるのもゆえあると思うのですね。こういう点をひとつ十分考えてやっていただきたい。実は、外務省に国際交流基金のことについていろいろとお聞きするつもりでございましたが、外務省としても十分ひとつ御配慮を願わねばならぬと思います。  そこで、私が最後に意見を聞きたいのは、私に言わせると、百億もの金を基金として積み立てて文化交流をやる、そのことは決して否定はしません。否定はしませんけれども、先ほど話したように、留学生、特に外務省受け入れ私費留学生、これの問題がある。一体、なぜこういう金をこっちに使わないのか。国際交流基金というのができてもいい、国際文化振興会というのができてもいい、できたら、こういう金をやはりこういう方面に何か回す方法はないのか。これはどうも外ばかり考えておるような文化交流ですが、それはそうとして理解できないことはありませんが、やはり私費留学生の問題、国費留学生問題等にこういう金をつぎ込む、先ほどお話しのように、私費留学生補助をするのがことしわずかに一億余りでしょう、外務省は。一方では、百億の出資をして、何か振興会の運営をしようという。どうも少し考え方がぼくたちにぴんと来ないのですよ。外務省、この基金の運営にあたっては、財団法人の国際文化振興会からいわゆる国内の留学生に対して、経理の上でこれを使っていくという構想は全然生まれてきませんかね、どうでしょう。
  39. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 法案が参議院のほうで審議をしておりますので、まだ具体的なことは検討中でございますが、一応現在の基金法案の内容からまいりまして、私費留学生援助というものを排除をするものではないわけでございます。したがいまして、法案上は私費留学生に対する援助は可能であると思っておるわけでございます。したがいまして、いろいろ御指摘がございました国際学友会の今後のことについて、特に国際学友会に対する補助金問題等も含めまして、基金発足後の問題として今後十分検討していきたいと考えておるわけでございます。
  40. 川村委員(川村継義)

    川村委員 たいへんありがたい答弁をいただきました。ぜひ法案が成立して動き出しましたら十分御検討を願いたいと思います。  当初申し上げましたように、大臣所信表明の前分で、これからの日本人教育一つの目標として、国際社会にほんとうに活躍できる人間の育成というふうなこともお話しになっております。当初お話しになりました中教審委員選任にあたっても、そういう観点からやっていこうというお話がございました。また、所信表明の中では、教育学術文化国際交流についてこのように努力をしていると申してございます。しかし、何しろ教育というものは幅が広くて何から何までというわけにはまいりませんでしょうから、大臣所信表明にもございましたように、量から質だとおっしゃっております。いま私が一つ、二つ指摘してまいりましたように、国費留学生の問題にしても、私費留学生の問題にしても、そういう点をなおざりにしながら何かしらん組織的なものだけに手をつけていくということでは、大臣の理想が、お考えが実現できないのではないかと思います。どうかひとつその点をお考えいただきまして、新しい国際舞台に乗り出していく日本人教育、それは日本人だけの教育でなくて留学生を含めての教育であることを私は実は申し上げたいのでありますから、せっかくの御努力を賜わりたい、このように申し上げて、大臣の御所見をいただいて私の質問を終わります。
  41. 高見国務大臣(高見三郎)

    高見国務大臣 非常に異義のある御質問をいただきまして、私も全く同感であります。  国際交流と一口に申しますけれども、私は、二つあるんじゃないか、と申しますのは、外国人日本人への受け入れ、同時にまた、日本学生外国への留学、たとえばアメリカに対してはフルブライト計画による留学生の派遣をいたしております。研究者も派遣いたしております。ところが、西ドイツのフンボルト財団の理事長が先ごろわざわざおいでくだざいまして、お目にかかりました。日本経済大国になったんじゃないか、何もかもドイツにおんぶしておるということはどうもおかしい、西ドイツでは千人の外国人学生を留学受け入れをしているんだが、そのうち七百人が日本人である、しかもこの日本人学生を全部財団でもって受け入れておるんだが、せめて旅費ぐらいは日本で持ってくれないかという申し出がありました。私は実はこの話を伺いまして、なるほど教育国際交流というものについて考えなければならぬのは、ただ留学生受け入れるというだけの問題じゃなくて、留学生を出すほうの側である日本のあるべき姿というものも考え直さなければなるまいということを考えさせられたのでありまして、いま、お話のありました留学生に対するいろいろな問題、まあ一番大きな問題はことばの問題であり住居の問題であろうと思うのでありますが、それらの問題につきましては、十分配慮するつもりでおりますし、また同時に、外務省の今回の基金の問題につきましては、なわ張りという立場を離れまして、隔意ない相談をいたしました結果、十分な了解を双方でいたしておりますので、この問題についての御心配は私は万あるまいと信じておるわけであります。どうぞその意味におきましてこの上とも御協力をお願いいたします。
  42. 川村委員(川村継義)

    川村委員 たいへん失礼でございますけれども、いま大臣のおことばをいただきましてちょっと思いつくことがありますので……。御承知のことでございますけれども、やはり気になることがありますからひとつ申し上げておきたいと思います。そして終わります。  御承知でございますけれども、昭和四十六年度文化事業費を見ても、フランスが六百億使っておる。西ドイツが三百二十五億使っておる。米国が百四十四億使っておる。英国が七十八億使っておる。それに対して日本は締めて八億四千万しか使っていない。これは文部省がいろいろ使っておるこういう関係の費用を合わせても、外務省、文部省合わせて二十億しかないのです。いかに文化事業関係の費用が日本が貧弱であるかということをまざまざと見せつけられる数字です。こういう点も含めて、先ほど申し上げますところの各種の問題に御努力をいただくように要望して質問を終わります。
  43. 河野(洋)委員長代理(河野洋平)

    河野(洋)委員長代理 小林君の関連質問を許します。
  44. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 非常に国際交流の大きな問題のお話があったのですが、これは私いま思い出して、この際つけ加えてお伺いすることがいいと思うのですが、実は私、去年ソ連へ参りました。そのときに羽田から一緒に乗っていった女の子があったのですが、その女の子は、私は音楽の勉強に行くのですというのです。ソ連を通っていく飛行機に乗ってさらにヨーロッパのほうに行くらしかったのですが、話を聞いておりましたら、私は実はソ連へ留学をしたかった、ところが、そのソ連では入れてくれないという話でした。内容を聞いてみますと、ソ連との留学生交換がかつてはあったけれども、いまは日本のほうで受け入れてくれないから・われわれ日本人も留学を向こうで受け入れてくれないんだという話でした。これはいま大臣お話しの、日本に来ておる留学生の問題だけじゃないんだ、日本学生諸君が海外へ留学するこの問題も考えなければならないというお話があったのですが、それとたまたま一致しておるのですが、その学生の希望というのは、せっかくあなた方国会議員が乗ったんだ。しかも私たちは向こうから出迎えてくれる人があるわけです、ソ連の政府から。したがって、その人たちに話をしてもらって、たとえ一日でも二日でも私をモスクワに滞在さしてくれぬかという話がありまして、できるかできぬかわからぬがというわけで、一応飛行機がおりてそこで出迎えてくれましたから話をしてみたのです。ところがだめでした。そこに飛行機がとまる間だけモスクワにいることができたのですが、学生諸君がソ連のこうした芸術関係の問題で希望するのは非常に切なるものがあるということを私はそのときにつくづく感じたのですが、ソ連との留学生交流はどうなっているのですか。この際、どちらからでもいいのですが、お伺いしたいと思うのです。
  45. 河野(洋)委員長代理(河野洋平)

    河野(洋)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  46. 河野(洋)委員長代理(河野洋平)

    河野(洋)委員長代理 速記を起こしてください。
  47. 山野説明員(山野勝由)

    ○山野説明員 ソ連との学術文化交流、この際は学術交流の一環と考えられるわけでございますが、御承知のように、ソ連を含めまして共産圏との交流関係というものは、相手国の国情、政策を反映いたしまして非常に特殊な性質を持っておるわけでございます。現在政府レベルで交流を行なっておりますのは、日ソ学者研究員交流計画と申しますが、これは沿革は昭和四十年に、当時文化協定の締結問題がありまして、実はある問題にからみまして協定が流れまして、それで本来協定に盛り込むべき学者研究員の事業だけ切り離しまして、アドホックベースで毎年交流計画をやるということで、現在までほぼ七、八年の実績を持っておるわけでございます。これは学者はいわゆる大学教授とか助教授クラスでございまして、研究員は助手もしくは大学院の博士課程程度の比較的高度の研究員でございます。期間は二カ月から八カ月、十カ月、こういった期間でやっておるわけでございます。  ただ、御承知かと思いますけれども、ソ連は非常に相互主義ということを厳格に考えておりまして、日本が入れなければソ連側も受け入れない。これは全く文字どおり厳格に適用してまいりまして、それで交流が、、他の自由主義諸国との間に比べますと、やや円滑を欠くということも事実でございます。  それから、ほかに一般的にソ連とのそういった学術上の交流関係というのはどういうふうになっておるのかといいますと、実は私どもいろいろ調べたわけでございますけれども、大体私どものわかっておるところでは、日本大学もしくは研究機関とそれからソ連側の該当研究機関との間の直接の一これはもう研究者同士の個人的な関係を通じた話が多いわけでございます。それから民間レベル、これは日ソ友好協会を通ずる交流というのもあるように聞いておるわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、いわゆる学生レベルの交流関係といいますか、実はこの点ではソ連とたとえば東ヨーロッパの国と若干違っておりまして、ソ連からそういった留学生の派遣希望というものはいままで出てきたことはございません。したがいましてわがほうも、そういった相互主義のたてまえを貫いておる以上、向こうが言うてこない以上は、こちらが言っても実現できないであろう、こういう判断でございます。それで最近、御承知のようにグロムイコ外相が参りまして、やっと日ソ文化取りきめというものができたわけでございますが、この文化取りきめの中で規定されております項目のうちで、さっきも申し上げました、四十年から始まっておる学者、研究員の交流に限定されておるわけでございます。私どもとしては、ソ連側はそういった政策を一貫してとっておるということでございまして、いま申し上げましたように、政府レベルとしましては学者、研究員レベルの交流しか行なえない、こういう判断できておるわけでございます。  以上でございます。
  48. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 学生がモスクワにあこがれておる。それは決して共産主義にあこがれてとかなんとかいうことじゃなくて、ほんとうに芸術的な文化、これに対する国境を越えた希望というものを私どもに訴えられたわけです。したがって、もしできるなら私は、ここで五日でも一週間でも滞在をさしてもらって、ソ連のそうした芸術、文化に接したいという熱望を持っているわけで、それを私どもを迎えてくれたソ連側の人たちに話をしたのですよ。私たちもそれは理解できる、だからこそあなた方も、日本に帰って文化交流ができるように、あなたの国でもひとつがんばってくださいというふうに、われわれのほうに何だか責任を追及されるような形になりまして、友好親善というものはいろいろ方法はあるかもしれませんが、文化的な交流からいこうということがよくいわれております。たとえ共産圏であろうとも、われわれはいまあらゆる面からお互いの友好親善をはかっていかなければならぬ。この場合に文化面で大きな障害を持っているというようなことは残念なことだと痛感したわけでありますが、われわれが痛感をするのでなく、実際勉強しようという若い人たちの希望はもっと切なるものがあると思うのですよ。そういう面からも、いつか機会があったら外務省、文部省にお願いしよう、こう思っておったのですが、いまのお話を聞けばむずかしい問題かもしれませんが、これが打開できないようであれば、国際親善というものははかれないわけだとも私は言いたいのです。  いつかフランスへ行ったときに、留学生のためにフランスがいろいろな施設を整備している。文教視察だったのですが、その場合に留学生村を見せてもらったことがあります。その中に日本館と  いう日本学生を特に入れるものがあり、しかも、それが単に事務的にそこに宿泊させるのじゃなくて、そこのめんどうを見てくれる女の人は、留学生のおかあさんのような感じまで持たせる。要するに、ただ厚くもてなすというだけでなくて他国に行っても家庭的な気持ちを留学生が与えられるという配慮があってこそ私はほんとうに学生交流がなされるものではないかと思います。  いま私たちいなかに住んでおるものでありますが、私たちのようなところにもアメリカの学生が来て、一般民家に泊まって勉強するというふうなことが民間ベースで行なわれておる。そういうふうな学生交流というものは、これは民間ベースとは申しますけれども、相当政治的な考慮というものがなされておると思うのですよ。いま川村先生から大きな問題が投げかけられたわけでありますが、そうした個々の問題を取り上げますときに、もっともっとこの問題については、金を出すとか施設を整備するとかいうことでなく、ほんとうに日本学生を呼んで、その学生がかえって反感を持って帰るような、かっては日本留学生の扱いだったわけです。これじゃせっかく、多少でも金をかけ、そうして日本の人たちが接して好感を持って帰ってもらうつもりでおっても、かえって自国に帰って日本に対する反感をその国の人たちに投げかけるような、それが日本留学生の扱いだったことがあるわけです。そういうものを根本的に私ども改善をしていただきたいし、いまのように非常に国際関係が至難な中で、若い人たちの希望を満足させてやれないようなところもあるわけでありまして、これらにも万全の対策を講じていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  49. 河野(洋)委員長代理(河野洋平)

    河野(洋)委員長代理 次回は明二十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会