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1972-05-19 第68回国会 衆議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十九日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       野中 英二君    松永  光君       森  喜朗君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       日野 吉夫君    三木 喜夫君       山原健二郎君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部政務次官  渡辺 栄一君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合理事         長)      加藤 一雄君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合常務         理事)     三浦 勇助君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     地崎宇三郎君   中山 正暉君     原田  憲君 同日  辞任         補欠選任   地崎宇三郎君     小沢 一郎君   原田  憲君     中山 正暉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出第五八号)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は参考人として私立学校教職員共済組合理事長加藤一雄君及び常務理事三浦勇助君が出席されております。  なお、委員及び参考人に申し上げます。  参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくことといたしますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村委員 私学共済の問題につきまして四、五点お尋ねをいたしてまいります。お尋ねいたしますことは毎年同じような質問を繰り返す結果になりまして、まことに自分としても心苦しいのでありますが、お答えいただきたいと思います。  私はまず第一に国庫補助関係、第二に短期給付の問題、第三に未加入校の問題、第四に今度の年金改定に伴う幾つかの問題についてお尋ねをいたします。   〔委員長退席久保田委員長代理着席〕  毎年委員会附帯決議を付して、国庫補助の一六%から二〇%引き上げを要望してまいりましたし、政府努力を願ったのでありますが、ことしは幸いにして、文部大臣お力等を得て、一六%から一八%に引き上げられた。たいへんうれしいことであります。敬意を表します。しかし、私たち一体二〇%を要求してきたものの考え方はどうであったかと考えると、どうもこの時点でも一八%で満足するわけにいかない。それは私学共済長期給付の諸問題を考えてそのように受け取らざるを得ないのであります。  そこで、まず大臣の御所見を承っておきたいと思いますが、厚生年金と同じ根元を持っておる私学共済が、厚生年金同様に百分の二十の国庫補助をやれという一つ理由がありますが、私は実はそのほかにいろいろの問題を考えてみねばならぬと思います。そこで文部大臣、私たちが切実に要望してまいった二〇%国庫補助というのが認められなかった理由一体何でございましたでしょうか。私学共済側としても、毎年そのような要望書提出しておられます。先ほど申し上げましたように、私たち文教委員も、毎年附帯決議皆さん方の御努力を要請してきたところであります。ことしは二〇%の実現を見るのではないかと実は期待をしておりました。御努力によって一八%にはなりましたけれども、二〇%が認められなかったということは心残りであります。  そこで文部省は、その二〇%にすべきであるという必要性をお認めになっているのかどうなのか。認めているというようなお考えでございましたら、かくかくのわけで二〇%は必要だというお考えをひとつ初めにお聞かせいただきたい。
  4. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御承知のとおり、共済組合年金給付は、長期計算に立ちまして財源計算をいたしておるわけでございますが、現行の掛け金率あるいは国庫補助率等によりますると、かなりの責任準備金不足を来たすというような事態がございます。これをその掛け金の増に待つということは、私学教員給与実態等から考えましてきわめて困難でございます。  そこで、私どもといたしましては、国庫補助率アップというものを年来お願いをしてまいったわけでございますが、ただいまお話がございましたように、本年度は百分の十六からこれが百分の十八に引き上げられたということでございます。百分の二十の要求が十八しか認められなかったという理由でございますが、御承知のとおり、私学共済はもちろん私学振興という観点からの考え方もございますけれども、やはり社会保障制度の環であるという面も非常に強いわけでございます。そういうことになりますと、他共済とのやはりバランスという問題が非常に大きな問題になりまず。御承知のとおり、国共済地共済等につきましては、国庫補助率は百分の十五でございます。農林共済は十六であったものが、私学共済と同じように十八に今回なったわけでございますが、農林共済、それから他の国共済地共済、そうしたものとのバランスというものを社会保障制度一環として考えた場合に、私学共済だけ百分の二十の補助率を認めるということはかなり困難な課題であるということが申し得るかと思います。  ただ、私どもといたしましては、ただ単に社会保障制度一環ということだけではなくて、やはり私学振興という観点からもぜひ今後この国庫補助率アップというものには努力してまいりたいというふうに考えております。
  5. 川村継義

    川村委員 いまの局長の御意見、私たいへん賛成でございます。もちろん、他共済との負担バランスという問題もございましょうけれども、ただ単に地公共済国公共済が一五%の国庫補助であるという、そこに焦点を合わせますと、実はいませっかくのおことばでありましたが、社会保障制度という観点からするとまた問題が生ずる。いまの日本共済制度あり方は、非常に保険主義に立っておりますから、私たちも毎年国共済地共済の二〇%の国庫負担をしなさいと強く要求して、実はそれぞれの担当委員会には法案提出を認めて、ほんとうに社会保障制度立場共済制度というものはつくり上げていこうと実は考えております。実はそういう意味では地共済国共済の二〇%を実現するためにも、厚生年金制度は二〇%でありますから、そこから分かれて生まれてきた私学共済農林年金、こういうものをまず二〇%というのを実現をしていく、それがやはり一つ考え方ではないかと思っておるわけです。しかし、他共済とのバランス云々というお考えは、私はいまここでそれはだめだなんという否定をする気持ちはございません。  それからいま一つは、あとでもちょっと意見を申し上げたいと思うのでございますけれども、これはそんなことを言ったらことばが過ぎるかもしれませんが、いつまでも同じ厚生年金から生まれた農林年金だ、私学共済だ、こういうものの考え方でおるべきではない。私学共済はあくまでも私学振興、こういうふうな、私学であろうと国公立であろうと、教育を担当する先生方共済である、この観点にいま立ち返らなければならぬのではないか、こういう考え方からこの社会保険制度あり方というものを見ていきたい、こう思っております。そこで、二〇%というものをおそらく文部省否定はしておられないと思いますから、これは引き続いて御努力を、文部大臣先頭にお願いしたいと思います。  そこで、私学共済のほうからいただきましたパンフレットを見てまいりますと、いま長期給付負担が七十六でありまして、それを学校法人組合員折半をして出しているのであります。七十六になりましたのは、四十年から実は七十六になっております。それから、短期給付のほうを見ましても、短期給付は昨年までは七十程度であったのが、ことしはやはり同じように七十六に昨年の十月から改定をされておる。こういうことをずっと見てまいりますと、掛け金率をこの後も引き上げるというようなおそれなしとしない。それはいま局長もおっしゃったように、私学共済経理等を見てみましてもそのことが指摘できるようであります。  同じ私学共済から出しておられます資料によりましても、長期経理資産の表がありますが、負債の覧を見ると、流動負債責任準備金、それから資産の部との照らし合わせを考えると、差し引き資産が四十五年度で百二十一億という負債が実は出ております。これは一体どこに原因があるだろうかと申しますと、私はやはり責任準備金不足ではないか、こう思って見ておるわけであります。  そこで、年々、長期にせよ短期にせよ、きょうは長期だけに焦点をしぼって考えてみたいと思うのですけれども、二、三年前は七十の長期掛け金率負担率であったものが、ここしばらく七十六に引き上がっておるということでありますし、私はこのように負担率あるいは掛け金引き上げるというようなことは、いまの私学のいろいろの使命、あるいは私学共済の今日の現状からして望ましくないと実は思っているわけであります。  そこで、まず文部省にもう一度お聞きしておきますけれども、このお金は八千五百万ばかり出ておるようでありますが、ことしの二%アップというものは、そういう掛け金率改定であるとか、あるいは負担軽減というものに資することができるかどうか、その可能性はどうなんだろうか、この点、局長いかがでございましょう。
  6. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御承知のとおりこの補助金は、給付された実額に対して行なわれるわけでございまして、そのことが計算上は責任準備金の将来取得さるべき金額の現価の増ということによって計算上出てまいるわけでございます。したがいまして、その責任準備金不足の解消に計算上は充てられるわけでございますが、実際上これが掛け金負担率軽減に直接結びつくということはございません。ただ、ただいま申し上げましたように、将来の責任準備金内容充実ということに充当されるわけでございますから、長い目で見れば掛け金特に整理資源率等不足の穴埋めに結果的になるわけでございまして、そういう意味掛け金負担軽減、もしそれがなかったならば掛け金にかかったであろうものが軽減されるということにはなるかと思いますが、ただいまの長期掛け金率を直ちに引き下げるという効果はないわけでございます。
  7. 川村継義

    川村委員 私学共済参考人がおいででありまして御苦労さまでございました。いまの点につきまして私学共済のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  いま私が申し上げましたように、皆さん方長期経理資産表を見ると、四十五年度で百二十一億以上の実は資産負債が出ておる。私たち整理資源等充実して、責任準備金を高めていって、この負債をなるたけ少なくしていかなければ、将来いろいろの問題が起こってくるであろうということを心配いたしております。そこで私は、先ほど二〇%をぜひ実現したいものだ、こういうことをちょっと申し上げましたが、今度二%アップになったことは実は喜んでおります。おりますけれども、二〇%程度補助をもらって、そうして整理資源を高めていくというような考え方に立たなければ、この経理上のいろいろの不安が残るのではないかということなど考えておりますし、いまのような一八%でいっても、うっかりするとまた掛け金率——もちろん掛け金率には一つの制限がありますから、むやみに上げられないことはわかっておりますけれども、やはり掛け金率引き上げというようなことになりかねない、そういう心配をしておりますから、二%アップ問題にからむ二〇%要求の問題、それから皆さん方長期経理資産から見て、どうこれらの国庫補助問題をお考えくださっておるのか、ひとつつまびらかにお話しをしていただきたいと思います。
  8. 三浦勇助

    三浦参考人 お答えさしていただきます。  それに先立ちまして、先般四十七年度予算獲得にあたりまして、この長期給付に対する国庫補助率百分の十六を十八に上げられる際に、諸先生方の格段の御配意をちょうだいしましたことを、全国二十万の組合員になりかわりまして厚くお礼を申し上げます。加えまして、ただいまはまた当初からわれわれが要求しておりました百分の二十までの長期給付に対する国庫補助率引き上げに対しましての御配慮でございますので、私ども立場としてはきわめてうれしく存ずるわけでございます。  御質問がありました責任準備金の問題でございまするが、私どものほうの数理方式でございましょうか、平準保険料方式によりましてのただいまでの責任準備金所要額は千四百六十四億でございます。現在の保有財産は六百七十三億でございます。この引き当て金といたしまして、五百九十五億あるわけでございますが、結局不足金といたしましては、先ほど川村先生のほうから百二十億の資料でのお話がございましたが、これは昨年の資料でございまして、本年度は百九十六億程度不足額が出る見込みでございます。  この不足額補てんすることは、これは私学振興という大きな観点から、ひいては日本教育振興という観点から、やはり国公私立教育面での格差ということをなくさなければ私学振興は行なわれないと思います。国公立の場合は、国の財政地方財政という背景を踏まえておりまするから、年金制度の面できわめて安定した状態にあるわけでございます。これと同じような形で、私学教職員勤務意欲をかきたてていくためには、年金制度財政的な面での確固たる基礎が築かれなければなかなかむずかしいことであると存じます。したがいまして、この百九十六億円の補てんを行なうことなしには、私学共済年金財政的な確立ということはなかなかむずかしいわけでございます。おかげをもちまして百分の二の引き上げ、つまり百分の十八に引き上げられましたことによりまして、八十三億円程度責任準備金不足分補てんができましたわけですが、なお現在といたしまして百十三億円程度準備金不足額というものがあるわけでございます。  したがいまして、先ほど川村先生からお話がありましたように、標準給与月額のきわめて低い——いまの下限は一万八千円程度でございまするが、こういったいわば半分奉仕的に行なっておるような宗教立学校や、それから幼稚園の保母といったような人々を踏まえてのきわめて低給与組合員から、これ以上、千分の七十六以上の掛け金引き上げることはきわめて至難なわけでございます。したがいまして、おっしゃるとおりなかなか困難ではあるとは思いますけれども、やはり厚生年金等が百分の二十の線が出ております関係から、私ども立場といたしましては、これは全国組合員意向を踏まえてのことでございますけれども、やはりこれを目標として百分の二十の実現をはからなければ、そしてまた、その財政的な確立をはからなければ、この私学共済長期給付の基盤というものはなかなか保持し得ないんではないであろうか。したがいまして、結論的には、何としてもこの百分の二十の国庫補助率実現は、伏してお願い申し上げたいという気持ちでございます。
  9. 川村継義

    川村委員 お気持ちはよくわかりました。実は昨日、農林共済法案農林水産委員会を通過いたしておりますが、農林水産委員会でも同じように、いろいろとこの点に論議がありまして、昨日附帯決議でやはり二〇%出すべきであるという委員会意向が表明をされております。これは一そう努力をお願いしたいと思います。  引き続いて、ちょっと私学共済参考人にお聞きいたしますが、都道府県から幾らかの補助を毎年いただいておられると聞いております。その金額は別にいたしまして、この都道府県から補助が出ております財源はどのようにお使いになっておるのか。いま申し上げますように、整理資源等補てんに使われておるのか、あるいは組合掛け金が増高しないように、七十六なら七十六で押えられるように、それぞれ学校あるいは組合員というような立場経理をされておるのか、あわせてお聞かせいただきたい。
  10. 三浦勇助

    三浦参考人 お答えを申し上げます。  この長期給付に対する補助金都道府県負担分といいまするのは、私学共済立場といたしましては、収支の面では結局影響のないわけでございます。ただいまのところ、その都道府県組合員数かける標準給与額かける千分の八でございまして、その額をもらいますると、都道府県組合員学校側折半負担の面が千分の八だけ減額されるわけであります。したがいまして、それはその千分の八の補助金のないところはそのままでございまするから、本来組合員である教職員組合員学校法人が納める補助金額肩がわりということに相なるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村委員 それは組合あるいは学校法人にとってはたいへんありがたいというか、どれくらいの、何%のあれがあるかわかりませんけれども一つの非常にいい方向だと思います。  それから、日本私学振興財団からもこれは助成があっておりますが、この助成整理資源に充てられておると聞いております。大臣、しかしこの日本私学振興財団から私学共済に出される助成金というものは、まだまだ少し少ないようでありますから、この後文部省とそれから日本私学振興財団とのいろいろ協議——これは文部省の力がないと財団もたいへんだと思いますけれども、できるだけそういう点は私学共済に少しでも厚く金が出されるように御配慮いただきたい。  それから、今度文部省のとっていただきました予算の中に財源調整分千万がありますね。この財源調整分という八千万は、私学共済はどう使っていけばいいのですか。そのまま八千万整理資源としてというか、そういうものにぶち込みなさい、ぶち込んでよろしいということなのか。いや、別途何か考えて使っていきなさいということなのか。財源調整分の八千万の出された趣旨、使い方、それもあわせてひとつこの際お聞かせを願いたいと思います。
  12. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまお話のございました財源調整資金でございますが、本年度は八千万円計上されております。昨年度はこれが一億五百万円でございまして、かなり金額的には減少したわけでございますが、最初にお話がございましたように、長期給付に対する国の補助率が百分の二引き上げられたというようなこととの関連もございまして、かつまた農林共済とのバランス問題等もございまして、これが八千万円というふうな金額に落ちついたわけでございます。  この趣旨でございますが、これはごく一般的な言い方になるわけでございますが、先ほど先生から御指摘がありましたように、長期給付経理につきましてはいろいろな問題があるわけでございます。そうした長期給付経理における予測しがたい給付の増、あるいは資産内容充実をはかるために政府から補助をしておるということでございます。これが具体的に何にということになりますと、これは長期経理全体の内容改善ということでございまして、どこに使われるということではございません。整理資源不足に充てられるというような考え方に基づいているわけではございません。そういう場合もあるかと思いますが、全体として長期給付資金改善に充てる、こういう趣旨でございます。
  13. 川村継義

    川村委員 ちょっと意見を申し上げまして、大臣所見をいただきたいと思うのです。  いま簡単に国庫補助関係について大ざっぱなお尋ねをいたしましたが、私学共済長期経理をいまいろいろ見ましたように、やはりこれが不安定な状況にあるということは、将来を展望していろいろな問題が考えられる。と同時に、あとお尋ねいたします未加入校の問題の一つの要素にもどうもからんでくるような気がいたします。とにかく、さっきちょっと申し上げましたように、あくまでもこの国庫助成あり方というものは、私学振興という立場でものをお考えいただきたい。当然お考えになっておられると思いますけれども、そう考えたい。ただ、社会保険制度がこうこうだからこうだというようなことでなくて、私学振興という立場私学共済あり方というものは取り組んでいきたいものだ、そういうように私は考えております。  たとえば一つの例でございますけれども、こんなことはもう余分かもしれませんが、非常に大臣努力いただきまして、ことし私学振興財団に三百億六千万でございますかの経常費補助を出していただいた。ところが、これは結局大学短大等に働く教員本務教員を実は該当考えておられるわけで、結局私立大学等経常費を受ける大学側考え方によると、この該当者でない教員がたくさん実は存在をしておるわけです。もちろんその中には兼務者というのもあります。兼務というのは、おそらくどこかの大学該当しておるということも考えられる。しかし、非常勤とかそういうような講師の方々でいま私立大学の授業が行なわれておる、それが最近実は非常に多くなっておりますから、そういう方々大学がやはり給与を支払っていくということになると、とてもじゃない、私学財団からいただくところの三百億余りの金では十分まかなえないのだ、こういう意見があるのは私も当然だと思うのです。  そこで、御承知のように昨年の十二月に日本私立大学連盟から、いまのままでいったら、四十七年度だけでも、私立大学関係だけでも実は一千二百三十五億の赤字が出るのだ、今日累積赤字が三千億程度にもなっておるというような意見が実は発表されたことを覚えております。そういうことを考えると、これは日本私学振興財団を強めていただく、つまり、当初文部省が予定されたような四百億程度経常費補助というものが少なくと本あってしかるべきではなかったかと考えたりいたします。財団のそういう力を強めていただくと同時に、私学振興の大きな柱としてもらう。と同時に私学共済も、そういう仕事は違っておっても同じ一体のものだとして実は考えていかねばならぬ。農林共済がこうじゃとか、あるいは厚生年金がこうじゃとか、そういう保険制度の横並び的な考え方ではもう私学共済あり方を受け取ってはならないのではないかと私は考えたりしております。この際、ひとつ大臣の御所見をお聞かせいただきたい。
  14. 高見三郎

    高見国務大臣 御趣旨はよく了解いたします。私学振興立場からという川村先生の御趣旨、ごもっともだと思います。しかし、これは私は、たしか昭和四十二年ではなかったかと思いますが、百分の十五を百分の十六に引き上げまするときに、たまたま私は農林関係におったのでありますが、非常に困難な問題であったのであります。これを一%引き上げるということは、わが党の総務会——最後には党三役に預けるというところまで参りましてあの一%というものが引き上げられたいきさつもございます。  私どもは、厚生年金が百分の二十ならば、農林年金にしても私学共済にしても百分の二十にすべきであるという立論の根拠に立っておるわけでありますけれども考えてみますと、私立学校振興というものを考えまする場合に、私は今年度予算に満足をいたしておるわけではございません。これは逐年やっていかなければならぬ問題であるとかたく信じておるわけでございます。その意味におきまして、今年度二%の増額を見ましたことは、不満不満でありましても、まずもって一通りの成果をあげ得たものだ、かように考えております。年を追うて百分の二十というわれわれの目標に到達する努力を重ねていきたいと考えておりまするし、これはひとつ皆さま方の御協力を得まして、ぜひ実現したいと思っております。  同時に、私学振興財団から出します金が二億九千万円ばかりになっておりますが、この額も許す限り増額をするという方向へ持っていきたい。何にいたしましても、私学がほんとうに健全な経営ができます状態になりますためには、少なくともいまの三百億程度予算で間に合うものでないということだけははっきりいたしておることであります。皆さんの御協力を得まして、ぜひこの大幅な増額を今後ともはかっていきたいものである、かように考えておるということを御理解をいただきたいと思います。
  15. 川村継義

    川村委員 文部大臣におことばを返すことは失礼かもしれませんが、これはどうも国民年金のことを思っても、共済制度あり方を思っても、厚生年金のことを考えても、こういうような年金制度が、医療制度もそうなんですが、この年金制度等については保険主義というものがいまの政府では頭から離れない。いわゆる社会保障という原点に立ち返ってものを考えるという必要があると思うのです。そういう意味からひとつ御努力を願い、なるだけ早い機会に、大臣がそのような政府の責任ある位置に立って、すべての問題を社会保障という立場から割り切っていくというお力をお示しいただくことを私はお願いをしておきたいと思います。これまでのやり方というのはみんな保険主義一点ばりでございまして、何かというとすぐ掛け金を上げるとかいうような形になってしまう。これでは社会保障というもののあり方が問題になるだろうと思っております。  時間をたくさんいただくわけにまいりませんから急いで申し上げますが、委員長あと私は短期給付と未加入校問題、年金問題等幾つかの問題が残るわけですが、大臣は十二時半までとかおっしゃっておりますから、この辺でできたら大臣に御質問がございましたらあと質問者の方にお尋ねをいただきたい。理事さんとお取り計らいいただきたいと思います。
  16. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 山田太郎君。
  17. 山田太郎

    ○山田(太)委員 まずこのたびの私学共済法の一部改正の法律案の審議にあたりまして、まず大きな問題で恐縮でございますが、国公立私学、この格差是正については、ことに高見文部大臣は非常に強い意欲を燃やしていらっしゃる。この格差是正についての文部大臣の基本的なお考えをまずお伺いして、それから次の質問に、また参考人の方にも質疑を申し上げたいと思いますので、この点まずお答え願いたいと思います。
  18. 高見三郎

    高見国務大臣 国公立私立との間には格差をつけないという方針でやっておりますが、先生の御質問は、むしろ共済という問題よりは奨学資金の問題じゃないかという感じがいたしますが、いかがですか。共済問題なんですか。基本的問題につきましては、私は格差は現在のところはない、かように考えております。
  19. 山田太郎

    ○山田(太)委員 共済の問題についてというふうな限定された意味でなしに、所信表明の中にもあったようにも思いますけれども、もっと大きな立場から大臣の基本的なお考えをお述べいただきたいと思います。
  20. 高見三郎

    高見国務大臣 これは御質問の趣意を私取り違えておるかもしれませんが、給与費その他につきましては、国公、私立の間に格差はないというような制度上のたてまえになっております。あるいは御質問の趣意を取り違えておるかもしれませんが、そういう給与のことですか……。
  21. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私大と国公立大との問題ですが、格差がいま現実にいろいろな面であるわけです。しかし大臣は、この是正についてはこういう面、こういう面、こういう面と、非常に多角的なお考えを持っていらっしゃる、そういう面をひとつお述べいただいておきたいと思います。
  22. 高見三郎

    高見国務大臣 御承知のように、学生一人当たりの経費で考えてみますと、私学の三十四、五万円に対しまして、国公立では大体七十万の経費を要しております。これは人件費の問題、研究費の問題、いろいろな面において格差があることは事実であります。そこで私は、今度の予算編成にあたりまして、実は法外もないと言われればそうでありますが、四百億という予算要求をいたしましたけれども、実際には五割増しの三百億というところへ落ちつきました。しかし、これを今後数年五割増し、五割増しで続けてまいりますというと、大体私は私の考えておる国公、私立の格差というものは少なくなる時代が来るのではないか。けれども、これはよほどの努力を要することでありまするし、また皆さんの御協力をいただかなければならぬ事柄であります。ひとつぜひよろしくお願いを申し上げます。
  23. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そこで、このたびの改正によって百分の十六が十八になったということは、非常に大臣の御努力というものは大きく買うのにやぶさかではございません。そこで、よくなっていくということは、もちろん私学共済関係方々も喜んでいらっしゃることには間違いありません。しかし、もう一歩竿頭進めて、きょうせっかく参考人としておいでいただいたお二人の方々——私のところへもいろいろ要望はいただいております。その点についてもう一歩というところも多々あるんじゃないか。要望書を拝見さしていただいても、まだもう一歩というところを私なりに感じておるわけでございますが、その点について御両人の方から、率直な御要望も含めて御意見をお伺いしておきたいと思いますので、御両人の方によろしくお願いします。
  24. 三浦勇助

    三浦参考人 まことにありがたい御質問でありまして、本来、学校教育法にもうたってありますように、法律で定められた学校という法的な表現の中には、私立も公立も差別はないわけでございます。しかも、この公私立学校全体が行なう教育の公共性にも格差があるはずはないわけでございます。したがいまして、この日本の全私学が果たしている教育の役割りというものから、これに従事する私学教職員の処遇の上に格差があってはならないというふうに私ども考えておるわけでございます。私学振興につきましても、実際私学に直接携わる教職員にその人を得なければ、実際問題として教育の効果があがるはずはないと思います。人事の交流はやはりその処遇に適正を得なければなし得ないと存ずるわけでございます。したがいまして、私ども先ほど来申し上げておりますこの年金制度充実も、また短期の医療給付の問題にいたしましても、教職員の生活を安定させ、後顧の憂いをなくして教育に専念できる生活環境というものをつくり出していく政策自体が、私学振興の要諦だと考えるわけでございます。したがいまして、何としてでもやはり公私立教職員の生活環境の格差のないような状態にしていく政策を、私ども立場で切にお願いするわけでございます。  以上でございます。   〔久保田委員長代理退席、委員長着席〕
  25. 山田太郎

    ○山田(太)委員 いま三浦参考人からの基本問題の御要望があったわけですね。そこで、もう一つ、二つ、これは立ち入ったお伺いで恐縮でございますが、具体的な御要望もこの際お述べいただきたいと思います。
  26. 三浦勇助

    三浦参考人 私ども立場といたしまして、やはり私学共済組合員としての実態から申し上げますと、他の業態に比べまして、そしてまた、公立学校教職員に比べまして、その処遇の上で、すでに平均給与の面で二万円の格差がございます。この低給与を踏まえまして切実に感じますることは、この私学共済を運営していきます面の財政的なひずみというものが出てまいりましても、もはや掛け金引き上げてその財政的なひずみを是正していくということは、もう不可能に近いわけでございます。したがいまして、短期給付の面におきまして、四十六年度末の経理で十四億の赤字が出てまいっております。それから、先ほど川村先生からの御質問にも答えさせていただきましたように、この長期給付責任準備金の上で、九十三億程度の準備不足金が出てまいっております。これを処理することなしにはこの私学共済の健全な運営ができないわけでございます。したがいまして、これは何としても国の助成を仰ぐよりいたし方ないというふうに考えるわけでございます。これがさしあたっての問題でございます。  それからもう一つは、これは未加入の問題にも及ぶわけでございますけれども、現状は、厳正な意味におきまして、二十八年の法律制定当時に、すでにこの積み残し分といいますか、未加入、未適用の学校があり、未適用の私学教職員がおるわけであります。ですから、第三者の立場で厳正に見ますと、任意加入の団体ではないかという御指摘を受けるわけでございます。国に政策として助成等をお願いする場合には、やはり全面加入のような姿勢をとらないとなかなかむずかしい面があるのではないかというように考えられるわけでございます。この辺のところもいま私学共済に課せられた大きな課題であるわけでございます。  以上でございます。
  27. 山田太郎

    ○山田(太)委員 いまの三浦参考人の御要望、大きな立場から教育基本法にうたわれる私学あるいは国立の差はあってはならないわけでございますが、そこに何としても教職員方々の処遇の適正化というものが大切である、これは当然な御要望だと思います。  そこでもう一歩、また具体的な問題で、私学共済短期の面についての十四億の赤字、あるいは長期責任準備金不足ですか、いま参考人の方からお話がありましたね。その問題についての解決策というものも、当然文部省当局としても将来を見通したお考えがなければならないと思いますし、また同時に、いまの未加入校問題、これも当面の大きな問題になっている一つでございますけれども、この両点について、文部大臣並びに局長から、少し具体的な御答弁をいただいておきたい、こう思いますので、お願いいたします。
  28. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 第一は、長期経理不足をどう処理するかというお尋ねでございますが、ただいま共済組合三浦常務理事から不足額についての御説明があったわけでございますが、一応私どもが四十五年度末ということで確実に押えております長期経理不足額は百二十一億円ということでございます。その後若干の増加があるわけでございますが、その金額について申し上げますと、先ほど川村先生からもお尋ねがございましたように、この財源調整資金というのが四十二年度以来国庫から補助が行なわれておりまして、累計で四十七年度分を含めて三億六千万円という金額になっております。  それから長期資産の運用につきましては、財源計算上の利回り、これが五分五厘ということで計算をされておるわけでございますが、実際上の利回りは、近年多少低下する傾向にはございますが、大体七分台ということでございます。したがいまして、その財源計算上の予定利回りの五分五厘と実際の運用上の利回りの七分台との差額がいわば利差益という形になるわけでございます。四十六年度末の計算でございますと、これが四十七億ということでございます。それからさらに、今後の努力によりまして国庫補助率が百分の十八から百分の二十になるというようなことを期待いたしますと、現在ございます長期経理不足額は大体解消できるのではないかというふうな見通しを一応持っております。  それから未加入校問題でございますが、昭和二十九年に私学共済が発足をいたしました当時、すでに厚生年金あるいは健康保険に加入していた者につきましては、その既得権を尊重するという考え方に基づきまして選択を認めたわけでございます。そのとき、選択の結果、厚生年金あるいは健康保険に残った方々がかなりあるわけでございまして、学校数にいたしまして百七十一校というものが健保、厚年に残っておるわけでございます。私どもは、私学共済のたてまえから申しまして、全員この私学共済に加入をしていただきたいというような考え方を年来持っておるわけでございますが、厚生省等との調整がなかなかつきかねるという段階でございます。昨年度予算要求の際におきましてもそうした要求をいたしましたし、厚生省とも折衝いたしたわけでございますが、それも成功しなかったということでございます。  基本的な考え方はただいま申し上げたとおりでございますが、しかしそういう考え方だけに固執しておりましたのでは問題の解決がなかなか期待できないものでございますから、場合によれば、希望する学校教職員だけでも私学共済に加入を認めるというのも一つ考え方であろうかというふうに考えております。
  29. 山田太郎

    ○山田(太)委員 いまの未加入校問題の件につきまして、一応のうわさなり話なりは聞いてはおります。そこで、文部大臣にお伺いしたいと思うのですが、厚生省とのいろいろな案件や問題点もあると思います。また、いま局長お答えの中にありましたように、希望校だけでもというふうなお考えもあるやにも承っておりますが、そういう厚生省との関連の上において、文部大臣のお考えもこの際お述べいただいておくほうがいいのじゃないかと思います。
  30. 高見三郎

    高見国務大臣 未加入校の問題につきましては、これはなかなか複雑な事情があるのでありまして、何としても加入しないという学校もあるわけであります。それから、どんな無理をしてもこの際加入させてくれという学校もございます。それから、厚生省の側から申しますと、保険制度全般の原則論からいったら、昭和四十一年度に一度洗い直しをしておるじゃないか、したがってこの際、未加入校を入れることについては反対だという、純保険理論がございます。これも全然筋の立たない話じゃないのでありますが、私は少なくとも、どうしても入らないとおっしゃる方は別問題として、入りたいとおっしゃる方を入れないということは、私学共済のたてまえから申しまして望ましい姿じゃない、だからこの際は思い切って私学共済に入りたいとおっしゃる学校教職員方々は入れたほうがいいじゃないかという方向に向かっての検討を実はいたしておるわけであります。実は未加入校方々にとってはどうも短期給付の問題がひっかかるようでありますけれども長期給付の場合は私学共済に入っておったほうが得だという御意見が圧倒的に強いということも知っておるのであります。しかし、なお三十校ばかりどうしても入らないとおっしゃるところもあります。極力全加入をしていただきたいという努力をし、あっせんをしてきたのでありますけれども、どうも話がかみ合いません。かみ合いませんので、やむを得ずこの際は、加入したいとおっしゃるところは加入させてあげるという道を開いたらどうかという方向に向かっての検討を続けておるという段階でございます。
  31. 山田太郎

    ○山田(太)委員 いまの御答弁の中で、私の聞き違いかもわかりませんが、一度四十一年に洗い直しているというようなお話があったと思うのでございますが……。
  32. 高見三郎

    高見国務大臣 間違いました。昭和三十九年に洗い直しをしておる。そのときに入らなかった学校はしかたないじゃないかというのが厚生省の言い分であるということでございます。
  33. 山田太郎

    ○山田(太)委員 その点はよくわかりました。当然、私学共済の始まりのときにすでに洗い直しをしたじゃないか、そういう意味だとも思いますが、その点は実情とは非常な差がありますし、できた当時のいろいろなニュアンスが各校、各校によって違ったようでございます。その点、いまの未加入校全校が加入をなされることは望ましいことでありますけれども、当然希望校は加入できる道を私も強く要望しておきたいと思いますので、この件についてのともども努力を強く御要望しておきたいと思います。  そこで、次に移りますが、少しこまかい問題になりますけれども、このたび文部大臣に対して社会保障制度審議会から答申が出ておるわけですが、その答申の文案は一々読むのは避けまして、この答申についての大臣あるいは局長の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  34. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この法案につきましては、この二月七日付で社会保障制度審議会の意見を求めたわけでございます。  社会保障制度審議会の意見の第一点は、共済組合制度が社会保障制度一環である限りいつまでも恩給追随の方式を踏襲すべきではないという点でございますが、私どもは、今回の改定につきましては、他共済と同じような改定をするという基本方針に立っております。他共済と申しますか、私学の場合は国立学校国共済、公立学校地共済と同様の改定をするという基本方針に立っておるわけでございますが、将来、御承知のとおり、公的年金制度全体をどうするかという大きな問題がございます。そうした問題につきましては、現在公的年金制度調整連絡会議におきまして検討いたしておるわけでございますが、その結論が出ました場合にどういう移行をするかということを考えました場合に、やはり国共済地共済と同様の切りかえ措置を講じていくことが、将来の移行、切りかえが容易にいくのではないかという判断を持っておるのでございます。したがいまして、恩給の改定に準じて国共済地共済年金改定が行なわれ、それにさらに準じて私共済年金政定が行なわれるということも、経過的な措置といたしましてはやむを得ないと申しますか、あるいは当然な措置であろうかと思います。  それから、遺族年金の受給資格あるいは最低保障額についてさらに努力せよというお話でございますが、この点については他共済との関連もございますので、今後の課題として十分検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、社会保障制度審議会の意見の第三点は、最初に申し上げましたスライド制との関連でございますが、恩給はスライド制が事実上確立しておる、この方式を基礎にすれば共済年金についてもスライド制が早急に策定し得るはずではないかということ、これが社会保障制度審議会の答申の第三点でございますが、この点につきましては、最初にもちよりと触れましたように、現在総理府に公的年金制度調整連絡会議というものが設けられておりまして、ここで鋭意検討中でございます。私学共済につきましては、私学農林グループというグループが結成されておりまして、このグループにおきまして将来の方向について検討中である、こういう段階でございます。
  35. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そこで、先ほど川村委員からもお話があったわけですが、やはり社会保障という観点を土台にしていきませんと、他の国共済地共済あるいは厚年なり、純粋な立場で言うと——全く一緒の意味ではありませんけれども、そういう他との連携ということのみを考えて、個々に合ったところの自主的な方針というものについて、いまの御答弁ではどうも努力が足りないというふうな感じを受けるわけです。ことに局長さんは、総理府の公的年金制度調整連絡会議ですか、いまの御答弁の中にありました連絡会議にも当然御出席なさっておるはずですが、これについては何回も、すでに六回か七回開かれておる、そうしてグループに分けただけで、その後の進展というものは何らないやに承っておるわけですが、その進展状況ですね、やはり同じような経過を踏むのであれば、この連絡会議の価値はないと言ったって間違いないと思うのです。文部省当局としてどのように自主的にそれを進展させていくのか、その点に少し意欲が足りないんじゃないかというふうな感じさえ受けるわけですが、その点についてはいかがですか。
  36. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもとしては大いに努力をしておるつもりでございますが、先ほど来申し上げておりますように、共済組合制度は非常に関連する制度も多い問題でございまして、御承知のとおり厚年、国民年金、船員保険、国共済地共済あるいは公企業体の共済組合、あるいはさらに民間の労災、国家公務員の災害補償、地方公務員の災害補償、こうした問題と全般的に関連する問題でございます。したがいまして、私どもといたしましても大いに努力はいたしておるつもりではございますが、こうした全体の動きと離れて、私学共済だけがある種の方向を出すということも実際上非常にむずかしいわけでございます。  現在どういう段階に至っておるかということでございますが、中間的な段階といたしまして一応方向が出ております点は、第一に、将来の年金改定を行ないます場合の対象でございますが、これは退職給付、障害給付、遺族給付のすべてを対象とするという点。第二は、改定の対象となる部分でございますが、年金額を全体としてスライドすべきであるということ。第三点は、年金改定、スライドを行ないます場合に、年齢によって差をつけるべきではないということ。第四点は、改定にあたって用いるべき指標でございますが、これは消費者物価指数、同時に給与の動向というものを考慮すべきであるということ。第五は、現職者の給与年金算定の基礎になっておる給与水準との差が一定率以上に達した場合には、半自動的に改定を行なうような方向が適当であろう。こういった中間的な一つのまとめが出ておるわけでございます。  この公的年金制度調整連絡会議は、先ほど申し上げましたように、厚生年金等の民間グループ、それから公務員グループ、それから私学農林グループ、労災グループ、この四グループに分かれておるわけでございますが、ただいま申しました私学農林グループの大体の方向は、これは公務員グループの方向とほぼ一致しておるわけでございますが、やはり何と申しましても一番大きな問題は、以上申し上げました方向で年金改定を行ないます際の財源をどう処理するかということでございます。こうした改定を行ないます場合において、掛け金率整理資源率ということになるかと思いますが、そうしたものの引き上げに待つということは、実際問題として非常に困難でございます。したがいまして、この改定財源につきましては国庫補助に期待をしたいということでございますが、そうしたところにつきましてまだ財政当局等との詰めが十分行なわれていない、こういう状況が現段階でございます。
  37. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そこで、いまの方向はわかりました。その方向もやはり一歩も二歩も前進の方向には間違いないですが、私学農林グループだけ特別の決定ということは、他のグループとのかね合わせがなければできないというお考えかどうか。グループがこう分かれておりますが、私学農林グループの決定というものが他のグループと違うといった場合も当然出てくると思います。あるいはぐっとよくなるという場合もあると思いますが、そういうふうな場合、当然それを強く進めていけるかどうか、その点の御判断はどうですか。
  38. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは、先ほど来申し上げておりますように、関連するところが非常に大きな一連の問題でございますので、私学農林グループだけが特殊な結論を出すということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
  39. 山田太郎

    ○山田(太)委員 あわせて、いつごろをめどにやっていくかを……。
  40. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは具体的にいつまでというめどは現在立っていないわけでございますが、社会保障制度審議会の答申にもしばしば述べておられますように、なるべく早い機会にこの結論を出したいということでございますが、全体的な連絡会議の調整と申しますか方向は、これは総理府の人事局が中心になっておるということでございます。
  41. 山田太郎

    ○山田(太)委員 総理府の人事局が中心となってやっているというのはよくわかります。しかし、めどもなしに、できるだけ早く、できるだけ早くと言ってもう何年たっておりますか。
  42. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、めどはなかなか立ちにくいわけでございますので、担当官の気持ちといたしましては、来年あたり線を出したいということでございます。
  43. 山田太郎

    ○山田(太)委員 担当官の気持ちとしては来年あたりにはめどをつけたい、その御答弁を、ひとつ誠意をもって強力にお進めいただきたい、これを強く御要望申し上げておきます。  そこで、この私学共済についてもう一点、ちょっと具体的な問題ですが、沖繩の本土復帰に伴う沖繩私学共済の引き継ぎ、この問題は、算定方法なり算定の数字を見てみますと、昭和二十九年の一月一日、日本本土において私学共済が設立されております。それから三十七年の一月一日、本土私学共済新法が適用になっています。そして四十五年一月一日沖繩厚生年金設立、次いで四十六年の十月一日沖繩私学共済が設立されております。そして四十七年五月十五日本土復帰、こうなるわけです。この各期間の一年あたりの給付率の算定を見てみますと、いわゆる控除期間、すなわち二十九年一月一日から四十五年一月一日沖繩厚生年金設立のときまで、その間の算定、それから沖繩の厚生年金の期間、それから私学共済新法の期間、こういうものがそれぞれ算定が別々になっておりますのは当然です。これを計算してみますと、私学共済立場に立ったとき、やはりここに修正実額負担方式をとるか、あるいは責任準備金に充当するか、いずれかの方法をとるにしても、そこに約一千万円ほどの不足が出てくるわけですね。なぜかならば、沖繩厚年設立までの——本土においては二十九年一月一日から発足しておる、ところが、四十五年一月一日の沖繩厚年設立までの間の期間の算定が少し低い計算になっているわけです。この点のギャップ、この点については当然お考えを願っておきたいと思います。ここでもし算出基礎なりをお持ちでなかったらまた後刻お知らせいたしますが、これは答弁は要りません。当然私学共済が約一千万円ほど負担増になる、そういう計算になっております。この点は、時間がありませんから要望しておきます。  そこで次は、時間がもうわずかしかありませんが、同じ私学に関連した問題で、共済法には直接関係ないので恐縮でございますが、この際ちょっとお伺いしておきたいのは、いまの日本育英会の育英奨学制度についての問題に時間の関係でしぼります。いわゆる特奨制度、これは大学学術局長のほうに御答弁をお願いしたいと思います。  その場合に、先ほど大臣の御答弁がありましたように、私学であろうとも、あるいは国公立であろうとも、差がついてはならない、この基準を踏んまえて、現在特奨制度を受けている学生の割合が、国公立においては七〇%、それから私大連盟の調査の六十七校について見ますと、これが三〇%。特奨制度の受益学生数というもの、これは数じゃありません、パーセントですが、国公立は七〇%、それから私大連盟の調査によるとこれが三〇%、非常な差ができておるわけです。大臣に最後に御答弁をお願いしたいと存じておりますが、なぜこういうような結果が出てくるのか。これは一応の当局のお考えは知っております。しかし、その当局のお考えどおりじゃありません。また育英会からもらった資料の算定基礎も、そのまま算定基礎が合っているわけじゃありません。これはもっと詳しく、別の機会に当委員会でも問題にしたいと思っておりますけれども、まずきょうは局長の御判断をお伺いしておきたいと思います。
  44. 木田宏

    ○木田政府委員 十分御案内のことと思いますけれども、特奨生につきましては、学力と家計の条件というものによりまして一定基準に合致した者に、本来ならば高校在学中にあらかじめ予約をするという制度でございます。四十六年度の実績で見ますと、高校在学中に進学を希望する者につきまして特奨生の予約をいたしましたところ、六千八百人の採用者の中で結果的に国公立に入りました者は四千六百、私学に入りました者がその二分の一の二千二百というような結果になって出てまいっております。学生数のトータルから申しますと、御指摘のように、確かに私立大学の非常に多い学生数に対しまして特奨生の数が少ない。国公立は学生数に対して特奨生の数が多い。その比率があまりにも目立つではないかということも御指摘のとおりと思います。しかし、そのことにつきましては、学生の生活条件と家計の生活条件と学力の条件との差が加わるということを勘案いたしますと、ただトータルの数字だけの比較で不均衡だとばかりはいえない面があると一思っております。しかし、現実に同一条件の学力、家計の状況ということをとって考えてみましても、なおかつ私立大学の学生に対して必ずしも同じ割合で特奨生とするまでに至っていないということも、私どもも十分承知いたしておりまして、その観点から昭和四十七年度には、他の分野の奨学生の増は、これはあまりできなかったし、考えもできなかったのでございますけれども私立大学の特奨生につきましては一千人の増をいたしました。その不均衡是正ということには今回も特に意を用いたつもりでございます。
  45. 山田太郎

    ○山田(太)委員 先ほど局長の御答弁にありましたように、育英会からの資料によっても、同じ学力あるいは同じ家計基準等を算定した結果から見ても大きな差ができております。これは御答弁のとおりです。この点を是正するために昭和四十七年度は千名を追加した。この千名追加したこと自体は非常にいいことです。しかし、千名くらいでは、とてもじゃないが、このバランスをとるわけにいきません。そこで当然、これの措置は来年度に対する予算措置にも通ずるわけでございますが、まず現在の文部省と大蔵省とのこの特奨制度の予定数算定基礎が大幅な改定がなければならぬ。この特奨予定数、これが改正されないまま大蔵省との予算折衝に当たっているのではないか。これが改正されてあればこのような結果は当然出てこないのです。その点について、来年度についてはこれを改正していかなければならないと思うのですが、これは予算措置の基礎の段階です。その点についてのお考え局長にお伺いしておきたい。  それから大臣に、この前私大連盟との陳情並びに会見があったようでございますが、そのときの大臣の、銀行ローンに対する——奨学とは別の問題で、いわゆる学資に対する銀行ローン——時間があればもっと詳しく言いたいところですが、約束の時間がもう来ております。そこで、途中をはしょりて、大臣はおわかりですから、この銀行ローンについての具体的な、一歩進めた——大臣は大体育英ということばがきらいである、ただ単なる英才教育というのはきらいだ、やはり奨学ということばが適当じゃないか、当然現在の育英会法も改正しなければいけないのじゃないか、そういう面も踏まえて、その問題が一つ。もう一つは、銀行ローンについてのお考えというものをお伺いしておきたいと思いますから、まず局長から先ほどの御答弁を願って、それから大臣お答え願いたい。
  46. 木田宏

    ○木田政府委員 現在の育英制度につきましては、その貸与人員の点におきましても、また給付額の面におきましても、本年度ある程度当面の是正策として特に四十七年度貸与額の大幅な増という措置をいたしましたが、育英制度のあり方、あるいは奨学制度のあり方として、もっと基本的に考えなければならぬ点がございます。特別貸与の制度というものを、現在の育英会の制度の中で二本立てに残していくのがいいかどうかということも、もう一つ検討課題としてあり得ると思っておりますが、そうしたことを含めまして、将来の育英奨学制度につきまして、一年来かなり詰めた論議をいたしております。私どもとしては、まだ不案内で若干心配の残る点もございますし、専門家の間におきます検討を、民間資金の活用という面で、いま御指摘がございましたローン制度の採用を、新たな性格の奨学制度としてどういうふうに取り入れられるかということもいま鋭意検討を進めておりまして、できることならば、明年度育英奨学制度につきまして、先般大臣も答弁しておられることでございますし、かなり基本的なあり方考え直して将来の構想を組み立てたいと思っておるところでございます。
  47. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私大に対する予算定数の是正という問題が抜けておりますが……。
  48. 木田宏

    ○木田政府委員 その際にも、もとよりのことでございますけれども、国公私の実情等を踏まえて基本的に検討し直す必要があろうと考えております。
  49. 高見三郎

    高見国務大臣 奨学資金——私も、育英ということばは、これは戦前のエリート教育のなごりだという考え方を基本的に持っております。ただ問題は、大学の博士課程におります人たちは、むしろ育英という形で存続することが必要ではないかという感じもいたしております。しかし、いずれにいたしましても、民間資本を活用すること等も考えなければならぬだろう。それに対して政府は一般会計から利子補給だけをすればいいことであって、政府負担がそうべらぼうにふえるという性質のものじゃなかろうというところで、実は銀行筋にはそれぞれ当たらしておるのでありますが、どうもいまの日本の銀行は——こう低利ムードが出てまいりますと今度は乗ってくるのじゃないかとも思いますが、いままでのところでは、銀行がイエスと言ってくれない、これが非常に大きな障害になっておったのであります。私はむしろ、育英会がまとめて借りて、そして個々の学生に貸与する、ある程度の利子補給を政府が一般会計からしていくという方法ならば、別に非常に大きな障害が起こるとは思いません。ただ、育英会の立場になりますと、それをやると育英資金のほうが減額されるおそれがあるという対大蔵省関係の懸念があるようであります。しかし、これを一ぺん乗り越えなければ、学生の生活費まで貸してやるという制度をとることはとうていできないと思いますので、この問題については目下検討さしておるところであります。育英会側でも積極的にこの問題に取り組んでくれということを要請をいたしております。大学学術局でもそれをやっております。ことに私は、山田先生がいまおっしゃったような私立国公立の間に生活基準——生活基準は確かに国公立のほうが低いわけであります。学力の基準というもので見ますと、学生は四倍もおって、しかも私立のほうは三〇%だという非常に大きな格差がついておることは現実の問題として事実であります。そこで今年は、実は予算要求としては、私は私立大学に対して特別に貸してやる道を講じようじゃないかというので、二千人要求して千人認められたというのがほんとうのところであります。これも私は一歩の前進であると考えておるのでありまして、これを来年はどれだけふやすかという問題になるだろうと思うのですが、どうも奨学資金が、アメリカの奨学資金の例などを見ましても、州のほうで出しておる奨学資金よりもむしろ民間資金の活用という面で非常に幅広く出しておるという事実から見ますと、やはり銀行ローン制度というものは、いろいろな障害はあるでありましょうけれども、これを乗り切ってひとつやっていかなければならぬという感じでおるわけであります。その辺のところをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  50. 山田太郎

    ○山田(太)委員 まだたくさんの質問を保留しつつ以上で今日の質問は終わるわけでありますが、私学共済への補助率の大幅なアップはもちろん強く要望申し上げておきたいことと、それからもう一つは、奨学制度の国公私立の差をなくしていくための措置というものも、予算定数等も勘案しながら、現実に一応国公立の場合は年七万二千円で授業料三万六千円、ちゃんと手取りが三万六千円残ります。ところが、私立の場合は、増額にはなっておりますけれども、大体平均授業料十万円、そうすると、授業料を払うだけでもまだ非常に足りない現実になっておるという点も勘案しつつ、金額の増額と、それから率の格差是正、こういうことを強く御要望申し上げて質問を終わりたいと思います。
  51. 丹羽兵助

  52. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、私学共済の運営について質問をいたしたいと思います。  一つは、大臣にもお聞きいただきたいのですが、私学においても講師制度というものができております。時間講師、専任講師あるいは専任時間講師、また最近新任の教師に対しては一年契約の試用期間制度をとっております。これに対しては共済に加入が許されていないという問題があるわけですね。私はこれはきわめて不都合だと思うのです。もともと低賃金で身分も不安定である状態の中で、しかも共済組合にも加入させないということは、これは全く——公立の場合でもそうですけれども、非人間的な取り扱いの上にさらに差別をつけるものだ。これは大臣にお伺いをしたいのですが、ILO、ユネスコの教員の地位に関する勧告、これはもう一度読んでみる必要があると思うのですが、こう書いてあります。「すべての教員は、勤務する学校の種類のいかんを問わず、同一の又は類似の社会保障制度の保護を受けるものとする。この保護は、試験的任用期間及び教員として正式に任用されている者の研修期間にも適用されるものとする。」こうなっていますね。この国際的な原則から申しましても、こういうことは当然改善すべきだと私は思うのですが、これは大臣の決意を簡単に伺いたい。
  53. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘の点は確かに基本的な問題だと思いますが、現行制度について御説明を申し上げることは必要かと思います。現在の共済組合組合員というのは、御承知のとおり、専任でない者、臨時に使用される者は組合員ではないというたてまえをとっておりまして、これは私学共済だけではなくて、ほかの共済あるいは健保、厚年もそういうたてまえをとっておるわけでございます。確かに一つの大きな問題点ではあると思いますが、社会保障制度全体を通ずる基本問題でもございますので、私どもも十分検討してまいりたいというふうに考えます。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、大臣の答弁を待つまでもなく、改善すべき問題だと私は思いますので、その点を御理解をいただきたいと思うのです。  もう一つは、私学共済の運営についてでありますが、これはまさに経営者中心主義であると私は見ております。たとえば、きょうお見えになっております理事長よく御承知だと思いますが、愛知会館の場合ですね。これはすでに昭和四十六年に問題になっておりまして、私学共済組合から七億五千万という金額が出されてつくられておりますが、その構造を見ますと、地下一階地上九階、しかも一階から四階までが結婚式場、宴会場、大会議室、五階以上がビジネスホテル。しかもここには、できたときから、愛知県議会において問題になるまで、ビジネスホテル愛知会館というたれ幕が出ているわけですね。これは全くおかしな話でありまして、現在副知事をしております当時の総務部長の議会答弁を見ましても、ホテルではありません、このたれ幕は行き過ぎだという問題が出ているわけです。こういうことが行なわれているわけですね。  さらに、もう一つ例をあげますと、これは東京の私学共済組合の直営しております下谷病院でありますけれども私学共済が病院を経営することがよいかどうかについては論議すべき問題だと思いますが、当時設立にあたって問題があったにもかかわらず、これが行なわれておるわけですね。ところが、組合員の利用率というのはわずか六%、東京を見てみますとわずか四%というような状態なんですね。これはどういうところからこういう問題が起こってくるのか。これはここにつとめておられる職員の方々はずいぶん努力されておると思います。だから稼働率は他の病院に比べてかなりいいわけですけれども組合員が利用しないというようなところ、しかもここでは十名の指名解雇、合理化というものが行なわれているというふうな形で、運営というものが経営者中心になっているのではないかという点であります。  また、私学におきましては、組合員の資格というものについては、これは全く理事者側が生殺与奪の権を持っておりまして、たとえば首切り、解雇というようなものが至るところで出ておるわけですね。しかもその出方というのが、これは非常に前近代的な首切りなども行なわれる。たとえば、ネクタイを締めない教員の問題が出ましたけれども、そういうノーネクタイの教員が首を切られるというような、ちょっと普通では考えられないことが当然のごとく行なわれておる。しかも裁判の結果は、経営者側といいますか理事者側が負けておるわけですね。敗訴している。そういう事件が、もう数え上げれば切りがありません。私の調べたところでも、現在解雇が百三十名、係争中のもの大体八十名ないし九十名というものがおるわけでありまして、しかもそれが裁判の結果ほとんど経営者側が敗訴しておるというような問題があるわけです。これにつきましても、当然その組合員の資格というもの、これは、たとえば昭和二十五年の十月の厚生省通達によりますところの、係争中のものについては資格を残すという、あるいは裁判で敗訴した場合には資格を復元さすということがあるわけですけれども、そういうことが行なわれていない。これは全く不都合きわまることで、掛け金折半をしておるにもかかわらず、そういう不当な取り扱いが組合員に対して行なわれているということはこれは了承できないのですが、これについて文部省、何か検討されておりましたら答弁をいただきたい。
  55. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私立学校教職員の身分関係につきまして最近非常に紛争が多いということは、私どもも非常に遺憾に考えておるところでございまして、特に最近訴訟に持ち込まれるケースが非常に多いわけでございますが、文部省といたしましては、こうしたケースを一つにまとめまして、各都道府県私学の担当部局に送付をいたしまして、私立学校に対して教員の身分関係、雇用関係についてさらに慎重な配慮をするように要請をしたいと考えておりまして、私学の主管課長会議におきましてもそうした指示を行なっておるわけでございますが、さらにそれを徹底するために、最近の事例等をまとめまして送付をすることを検討いたしております。   〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕  それから、資格喪失の問題の扱いでございますが、私は具体的にどういうケースがあるかということはあまり詳細に存じません。あるいは参考人の方からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、そうした問題につきましては、一般的な救済機関といたしましては審査会というのが各共済組合にあるわけでございますので、問題があればそこに持ち出していただいて、適正な判定を受けていただきたいというふうに考えます。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 これは二十五年十月の厚生省通達というものを私は尊重してもらいたいと思うのですよ。そうでなければ全く、私が申しましたように、生殺与奪の権を握って、かって気ままなことをされてはたまらないわけであります。これは私学共済の役員の方にお聞きしてもいいわけですが、時間があまりありませんので、きょうはお聞き願っておいて参考にしていただきたいと思うのですが、ぜひこれは守っていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  それと関連しまして、運営について、これは組合代表というものを入れるべきではないかというふうに考えておるわけです。そのことがかえって運営を円滑にしていく道でもあると思いますし、実際問題として共済組合の機関には職組あるいは労組代表が入っているわけですね。地方公務員共済組合の場合でもそうですし、あるいは公共企業体の共済組合の場合も同様です。それから国公共済組合の場合も同じであります。国公の場合は評議員会には大蔵省の反対で労組代表を締め出しておりますけれども理事長の諮問機関としての運営協議会には、各労働組合、労使の同数十名が出ておるということを考えましたならば、これは私学共済の場合におきましても、職員組合の代表を入れることによって、より民主的な運営ができるのじゃないかと思うのです。これは当然実行してもらいたいと思うのでありますが、この点について検討されておりますか。
  57. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国共済地共済におきましては、これは使用者とそれから職員の二者構成というのが運審の大体の原則でございますが、私学共済の場合は多少事情が異なりまして、使用者あるいは職員だけではなくして、都道府県から相当額の給付費、掛け金についての補助をもらっておるというようなこと、あるいは私学振興財団からも整理資源等につきましてかなりな補助をもらっておるというような関係からいたしまして、発足以来三者構成をとっておるわけでございます。全体が二十一名でございますが、組合員関係が七名、学校法人の役員関係が七名、それから学識経験者といたしましてこれが七名という三者構成をとっておるわけでございます。他の組合と違いまして、私学共済の場合は、ただいま申し上げましたような事情がございますので、こうした構成をとることは、従来全く問題もございませんし、適当なことであろうかと思います。  ただ、組合員関係の七名の選任についてでございますが、この選任につきましては、御承知のとおり、私大連盟、私大協会、私大懇話会、私立短期大学協会、それから中高連、小学校連合会、幼稚園連合会といった、いわゆる私学の七つの団体に対しまして候補者の推薦を求め、特にその際は組合員代表として特にふさわしい方を選んでもらいたいという要請をいたしまして、現在の運営審議会委員の中に組合関係者が選ばれておるということでございます。この私大の各団体でございますが、これは大学あるいは高校等の学校加盟の団体でございまして、別に経営者の団体、協会ということではございません。役員、管理職、教職員すべて含めた学校をもって組織されておる協会が、そういう広い観点から運審委員を推薦する。その中には、いま申し上げましたような点を特に留意をして推薦しているということでございます。こうした方向で大体はよろしいのではないかと私ども考えております。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 いままでの構成の経過とか、あるいは財政支出の関係とか、あるいは私学には労働組合が、たとえばかなり加入数が少ないとか、組織率が少ないとかいう問題があることはわかるのです。しかしながら、他の組合の場合を見ましても、これははっきり入っておるという状態の中で、何らかいわゆる関係職員の意向というものが反映できるような運営というものがこの際必要だと思うのです。そうでなければ、私は愛知会館の例を引きましたけれども、こういう事態が起こるわけですね。言いかえれば、もうけ主義というような形になりかねないわけでありまして、しかも共済制度の発展のためにもそのことは必要なことだ、かえってそれは繁栄をしていくわけですから、その点はしかと理事者のほうにおいてもお聞きをしていただきたいと私は思います。また、文部省もそういう指導をしていただくように要請をしたいと思います。  最後に、もう時間がありませんが、高見文部大臣に未加入校の加入の問題について、これは大臣考え方が変わっていないかどうか伺いたいのです。  これを見せていただいたのですけれども、昨年の三月の「私学共済」の中に、まだ大臣になっていないときの高見代議士の発言が出ておるわけです。これは読む必要ないと思いますけれども、かなりはっきりと加入促進の決意を示されておりますが、この考え方はいまも変わっていないか、それをこの際前進さす気持ちを持っておるかどうか、最後に伺いまして、私の質問を終わります。
  59. 高見三郎

    高見国務大臣 私は前から未加入校の解消ということに特に力を入れてまいりました。しかし、どうしてもいやだとおっしゃる方を無理に入れるというわけにはまいりません。とするならば、希望される方だけでも入れてあげるというのが私学共済のあるべき姿じゃないかというのが年来の主張であります。この考え方に変わりはございません。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  61. 川村継義

    川村委員 それでは、たいへんおそくなりましたが、引き続いて少しお尋ねをいたします。大臣、お差しつかえございましたらどうぞお引き取りください。  先ほど三浦参考人からもお話がございましたように、やはり特に教育に携わる教員、職員が一生涯教育にささげて老後を安定して暮らせるというような問題は、これはもう三浦参考人ことばを待つまでもなく、お互い全部が認識しているところでありますから、長期給付につきましても、できるだけひとつ充実させていくということを念願しておるものであります。  そこで、大急ぎでお尋ねしてまいりますが、同様な考え方に立って、いま教職員が直面しておる短期給付、特に私学の場合を見ると、心配な点が多々ございます。文部省からいただきました資料によりましても、短期経理の収支状況が示してございますが、収入九十一億五千万、支出八十八億四千三百万、累積赤字が十億九千九百万円、こう出ております。  なお、私学共済の四十六年度短期給付の収支見込みによりましても、大体同じような支出、収入が計上されるようでございまして、たいへんな赤字を出しているわけであります。ところが、この文部省資料によりましても、四十六年度推計はありがたいことに三億七百万円ばかりの黒字が見込まれる。これはちょっといいことだ、こう思っているのでありますが、それにはいろいろ理由があると思います。  そこで、私学共済参考人の方から、四十六年度短期経理の収支において四十六年度年度収支三億七百万くらいの黒字が見込まれるようになったその理由をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  62. 三浦勇助

    三浦参考人 この短期給付赤字ができました原因は、大体四十五年度を境にいたしまして、前年度に比しまして二〇%から三〇%の医療費が上昇したということでございまして、標準給与月額の低い掛け金率とそれから医療費の上昇率とのアンバランスがこの赤字の原因になったわけでございますが、この黒字になりましたのは、医療費の上昇がやはり今年度においてもあるであろうというふうに予定いたしまして医療費の引き上げを予期したわけでございますが、実際はこの医療費の値上げが実現いたしましたのは四十六年の二月でございまして、四十六年度の収支には給付額のかさみとして影響がなかったということでございます。  それからもう一つは、短期給付赤字克服の対応策といたしまして、健保並みの掛け金率に上げないでおいて、健保並みの掛け金率と見合う程度の自己努力をすることなしにできた赤字を国が助成するというのは理屈としておかしいんじゃないかという指摘を予期いたしまして、かなり無理ではありましたが、十月から千分の六の掛け金引き上げを行なったということで、それによります収入増加分が出てまいったということでございます。  それから、昨年の七月に保険医の総辞退がありまして、その直後にやはりそれが組合員全員の診療回数に影響を及ぼして、それまで一〇%から二〇%あった医療費の伸びが四%ときわめて低い結果をもたらした。そういったきわめて予期しないアクシデントな要件が黒字を生むことに相なったわけであります。  以上であります。
  63. 川村継義

    川村委員 いまお話しのように、医療費の伸びがたいへん落ちた、それにはいわゆる被保険者の受診率の低下ということが考えられる、これは経理上から非常に好ましいことでございまして、厚生省は喜ぶかもしれませんが、しかし、この受診率の低下というのはまた考えなければならぬ問題であると私は思うのです。つまり、お医者さんに行かぬで薬店あたりでどんどん薬を買うてそれで済ましておくというようなことなどにこれはつながってくる問題をはらんでいると思いますから、受診率の低下というのはよほどお互いに問題として握り締めておくべきものだと思います。  ところが、今度四十六年度に単年度の黒字が見込まれるということは、一つは千分の七十を七十六に千分の六負担引き上げられたその力が一つ大きな効果を持ってきたのじゃないか。そうなると、掛け金引き上げなどは、先ほど長期のときに申し上げましたけれども、何か非常に残念な気が実はいたします。これはいま現在私学教育に全力を尽くしておる方々の今日の状況を思うと、こういうことはなるたけ避けていかねばならぬ、このように思うわけであります。いままでずっと赤字が累積してきた原因は、おそらく健保とほとんど同じと考えていいと思いますが、この際もう一度三浦参考人から、この赤字を生じてきた原因というものを、どの辺にその原因があったか、いまもお話がありましたが、医療費が値上がりをしたとか、あるいは低給与所得の人が多いからどうもうまく金が入ってこぬとか、いろいろありましょうが、その辺の事情を私学共済立場から詳しくお話しをしていただきたいと思います。
  64. 三浦勇助

    三浦参考人 私学共済の独自な原因といたしましては、やはり何といっても教職員組合員の構成が、下は幼稚園から大学まででございまして、平均給与がきわめて低いということでございます。標準給与額の最下限がいまの段階で一万八千円でございます。保母の資格を得るには短大卒業同等ということに相なっておりますが、そういう保母さんが一万八千円で働いているという実態があるわけでございます。その低い給与をもとにして掛け金率をかけた掛け金収入が出てまいるわけでございます。ところが医療費のほうは、これとは全然かかわりなくぐんぐんと伸びてまいります。そうして、その短期経理給付額だけは、収入とは全然反対な傾向として上昇してまいりました。そのアンバランス赤字という形になって出てまいるわけでございます。  それから、私立大学等の職員構成等を見ます場合にも、高齢者——一応何といいますか、第二職場的な立場で専任の立場を得ている組合員が多いわけでございまして、その高齢者の組合員や、それからもう一つは女子職員がきわめて多いということでございます。それ等がいわゆる受診率の上昇という形で出てまいりました。したがいまして、それに伴いましての経費支出が多く相なるわけでございます。これが主として赤字を生んだ大きな原因でございます。
  65. 川村継義

    川村委員 私共済のほうから「事業統計月報」というのをいただいておりまして、これらをずっとあけてまいりますと、それらの幾つかの問題点がございますが、時間もございませんからこの資料に基づいて一々お尋ねをすることは差し控えたいと思いますが、とにかくこの短期給付医療の問題で私共済がだいぶ長い間苦しんでおられる。これは私共済だけじゃなくて、いま問題になっております政管健保もたいへんな問題をかかえているわけでございますが、こういうものをそのままにしておいて、七十の掛け金を七十六に引き上げる、こういうようなことは簡単にやるべきことではない。私は賛成しかねるわけです。  そこで実は私たちは、国共済も私共済長期給付に準じて短期給付国庫負担を導入すべきである、こう長い間主張し続けて今日に参ったわけであります。政管健保はいままで定額の補助を出しておりましたが、今回は政府案によると五%の国庫補助考えておる。ところが、それで一方ではぐんぐん掛け金引き上げていくということになると今日のような問題を起こしておることは御承知のとおりであります。昨日からその問題について政府与党と野党の間に折衝が行なわれておりまして、その五%という補助率を今度はもうちょっと高めていこうというのがいま非常に大きな折衝の焦点になっております。この補助率がもしも一〇%に引き上がるならば組合員負担を下げることができる。そして単年度赤字は出さないで済む、こういうことが実は見込まれるわけであります。そういう意味からいたしますと、私たちは政管健保についても一二%アップを少なくともやるべきである、こういうことを今国会においては主張しておりますけれども政府は五%。いま話が煮詰まってずいぶん進みつつある。  そこで、大臣もお聞きいただきたいと思いますけれども、私先ほど申し上げましたように、医療制度にしても、年金制度にしても、やはり私たちはもう一ぺん社会保障制度とは一体何なのか、こういう立場に立ってものごとを考えていく。保険主義一点ばりでなくて、社会保障制度というものはどうあるべきかということを考えると、私は私共済短期給付についても国庫補助を、国庫負担を導入すべきである。そして赤字を出さないで組合員が安心して医療を受けられるような体制をつくるべきではないか、実はこのように考えるわけでありますが、大臣おいででございますから御所見をひとついただきたいと思います。
  66. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまの問題にお答えいたします際に一つだけつけ加えておきたいと思います。  ただいま三浦参考人から、短期掛け金率を昨年十月から千分の六引き上げたというお話がございました。実はこの千分の六の中身でございますが、そのうち千分の二は付加給付を新たに始めたそのための財源でございます。付加給付といたしましては家族療養費の付加金、育児手当金の付加金、埋葬料の付加金、この三つの付加金を昨年十月から新たにつけ加えておりまして、そのための財源千分の二を含めて千分の六掛け金率引き上げたということでございます。  それから次に、短期給付につきまして国庫補助金を考えるべきであるという点でございますが、私ども川村先生のお考えには全く賛成でございまして、実は三浦参考人からもお話がございましたように、私学教職員共済組合の標準給与は、先般塩崎先生の御質問にもお答えをしたわけでございますが、他の組合に比べてかなり低額でございます。四十六年度私学共済の標準給与の平均月額は五万七千三百四十七円でございますが、これに対しまして文部共済が七万一千五百三十円、公立共済が七万五千三百十四円、厚生年金の標準給与が六万九百九十三円ということで、厚年の標準給与よりも私学共済の標準給与のほうが低額であるというのが実態でございます。  どうしてそういうふうになっているかと申しますと、これも三浦参考人からお話をいたしましたように、実は組合員総数の二五%が幼稚園関係の職員でございまして、これの標準給与平均月額は三万二千四百四十三円。これが全体の平均給与単価を非常に引き下げる要素として非常に大きく働いているわけでございます。  こうした事態が実はこの私学共済組合の職員構成あるいは給与に関する実態であり、問題点であるわけでございます。そういうことに対応いたしまして私どもは、ただ単に短期給付につきまして掛け金率を上げるということではなくて、それについての国庫補助をお願いしたいということで、実は四十七年度予算におきまして二つの要求をいたしました。  一つは、累積赤字の解消について国の補助をいただきたい。これは健保につきましてもややこれに類似した考え方累積赤字肩がわりというようなことが考えられておりましたので、それに対応する措置としてそういうことを考えてもらいたいということを申しました。それから第二は、療養の給付、家族療養費、傷病手当金、出産手当金につきまして国庫補助要求いたしましたが、両者とも実は認められるに至らなかったわけでございますが、前者につきましては、先ほど来問題になっておりますように、短期赤字が、四十六年度でございますが、黒字に転じてきたというような事情もございまして、これはやはり見送るべきであるという考え方でございます。  それから、給付費につきましても、国庫補助につきましては、これまた他共済とのバランスを申し上げて恐縮でございますが、共済組合としてこの種の短期国庫補助をもらっておる例はないわけでございます。大蔵省がその点たいへん固うございまして、私どもは、私学共済給与の実態は先ほど申し上げたわけでございますが、それからしてやはり健保と同じような補助というものが考えられてしかるべきではないかということを申したわけでございますが、他共済とのバランス問題等が問題になりまして、これまた認められるに至らなかったということでございます。基本的な考えといたしましては、私ども先生の御趣旨の方向で努力はしておるつもりでございます。
  67. 川村継義

    川村委員 私共済組合員は、国共済、それから地方公務員の地共済、公立学校共済、こういうところの組合員よりも高い掛け金でやっておるということはいえると思うのですね。私共済は政管健保と同率でとっておられるわけですが、その辺のところもお考えいただきたいと思います。  それではその次に、かけ足で恐縮でありますが、残った未加入校の問題、これはもう毎年お尋ねしておりますから、くどく尋ねる必要はないと思いますが、文部省からいただきましたこの資料の一番初めのところに「学校種別私学共済組合適用状況」という資料が載っております。その合計数で一万二校が掲上されておりますが、これは局長、甲種組合員といわれるもの、乙種組合員といわれるもの、丙種組合員といわれるもの、すべての合計でございましょうね。甲種組合員だけの学校数ではございませんでしょうね。それが一つ。  それから、先ほども山田さんの質問にちょっと出ておったようでありますが、昨年でしたか、未加入校の総数は四十四年十月現在で百七十一校ある、そのうち完全に短期長期とも入ってないのが百十五校ある、それから短期ばかり入っておるのが二十校ある、長期ばかり入っておるのが三十六校ある、実はこういう答弁をいただいたことがあるのですが、現状はどうでございましょうか。一体私学共済私立学校を全部くくったとしたならば何%くらいまだ入ってないということがいえるのでしょうか。その辺のところ、ちょっと二つを初めにお答えください。
  68. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 最初お尋ねの一万二校でございますが、これはいわゆる乙種組合員、丙種組合員をも含めた数字でございます。いわゆる甲でございますが、長短とも入っておりますのが九千九百四十七校、それから短期のみ入っております乙が二十一校、長期のみ入っております丙が三十四校、計一万二校ということでございます。  それから、この適用除外校の数でございますが、実は私ども百七十一校と申しておりますのは四十四年十月調べでございまして、したがいまして昨年度御答弁申し上げたものと数的には変化がない、つまり新しい数字がないわけでございますが、これは二十九年来ある学校でかなり古い学校でございますから、おそらく異動はまずはないだろうというふうに考えます。ただ教職員数につきましてはこれは出入りがあるかと思いますが、学校数につきましては変化はないと思います。  それから、百七十一校の学校数は、これは学校数の適用除外率といたしましては一・八%でございます。それから適用除外校の教職員の数でございますが、これが三万五千八百八十九人でございまして、率といたしましては二八・四%ということでございます。
  69. 川村継義

    川村委員 こまかにお尋ねする時間がないですから、私のほうからいろいろ申し上げてお答えいただきたいのです。  先ほど大臣お答えになっておりましたが、やはり法律でくくってすべてのものを加入させるということは問題が残る。   〔河野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕しかし、加入したいという学校が加入できない状態は取り払ってやらなければならぬのじゃないか。そういう意味では加入させるべきである。そこでこの委員会でも、たびたびそういう附帯決議等も付したわけでありまして、昨年はこの委員会でも実は法改正も考えたことでした。しかし、それがまだ今日までだめになっております。そこでいま、長期は入る、短期はいやだ、短期は入る、長期はいやだ、こういうような姿で私学振興だとかいろいろ考えてみても、何か組合員の生活安定ということを考えてみても、割り切れないものが残るわけですから、でき得べくんば法改正でもして、何とかひとつ加入促進をはからねばならぬと実は考えたりしておるわけであります。  そこで、お尋ねする第一は、加入を拒んでおる学校考え方一体何なのか、それから健保組合や厚生省が反対をしておる意見は何なのか、もう一回ここに明らかにしていただきたいと思います。  その次にお聞きしたいのは、文部省も本年度予算を獲得していただいておるのですが、本年度のこの共済予算の中に、あるいは未加入校の加入実現ができるかもしれぬ、できたらこれぐらいの金が要るという見込みを立てて予算要求なさったのか、予算の上にそれがあらわれているかどうか、これ三つ、初めに御説明ください。
  70. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学側の中で私共済に入りたがらないものが若干ある、その理由は何かというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように百七十一校が未加入でございますが、短期給付、医療保険の関係で申しますと、百七十一校のうち二十校がすでに私共済短期給付のみ入っております。残りの百五十一校が実は政管健保と健保組合に加入しておるわけでございますが、六十七校が政管健保、八十四校が健保組合ということでございます。この健保組合は比較的大きな規模の大学が多うございまして、内容的には掛け金の率が比較的低い、給付内容が比較的いい、私共済に比べてそういう実態でございますから、なかなか入りたがらないということかと思います。  年金につきましては、これは厚生年金内容よりも私共済長期給付のほうの内容がようございますから、大体こちらに入りたいという気持ちが強いわけでございます。もう一つつけ加えますと、学内年金制度というものがございまして、これも主として大きな大学にあるわけでございますが、従来は、学内年金制度厚生年金制度の上積みになりまして、全体として私共済長期給付に比べて遜色がなかったというようなことがあったわけでございますが、最近、私学の経営状況が漸次苦しくなりまして、学内年金制度を維持できないというようなところも出てまいりました。そうなりますと、厚生年金の対象にしかそうした大学の職員はならないということになってまいりまして、そうしたところから長期給付についても私学共済のほうにできれば入りたいという気持ちが強くなってきておるように伺っております。  それから第二点は、厚生省がどういう理由によって反対をしておるかということでございますが、第一は、二十九年にこの米加入校問題というのはすでに決着がついたことではないか、それをいまさら蒸し返すと申しますか、また問題として持ち出すことは適当ではないということが第一点。第二点は、やはり健保組合から私学共済短期のほうに抜き出すということにつきまして、厚生省側も健保組合側も——健保連でございますが、健保連、健保組合等におきましても異論があるわけでございます。この点は、当初私どもは、強制的に私学共済短期給付のほうに加盟さしては、どうかということを考えておりましたのでそうした反論もあり得たかと思いますが、最近は必ずしもそういうことではございませんので、事態がかなり変わってきているかと思います。  それから、厚生年金の点につきましては、この厚生年金は各職場を通じての大きな年金制度でございまして、これが将来の年金制度あり方としては原則であり基本方向である、私共済といったような個々の長期給付に厚年適用者が分散して加入するということは、そうした基本的な方向に反するものであるというような原則論、それから職場を転々としたような場合は、厚生年金の場合は継続をするわけでございますが、私学共済に入ればその間が多少まずくなる。通算年金という制度もございますが、その間がぐあいが悪くなるといったようなこと、こうしたことが厚生省側が難点として指摘をしておる点でございます。  それから第三点でございますが、適用除外校関係とことしの予算関係でございますが、以上申し上げましたような経過によりまして、関係各省の了解が得られなかったわけでございますので、したがってことしの予算には、こうした分は計上されていないわけでございますが、当初の要求といたしましては、長期給付につきまして九百十三万円ばかりを要求いたしております。ほかに事務費といたしまして七百八十三万円ばかりを要求をいたしておりますが、いずれも認められなかったということでございます。
  71. 川村継義

    川村委員 先ほど私が、七十六の負担に引き上がった、こういうことは好ましいことじゃないと意見を申し上げましたが、局長から弁解がましく、いや、その中の二は付加給付分だ。それはいままで私共済の付加給付は、国立や公立共済に比べてよくないですからこれは当然なことであって、それを口実にして引き上げるということはどんなものかという疑問が一つ残る。そういう点がまた、おれは私共済短期はいやだという原因にもなりかねない。それから、厚生年金等あり方について厚生省の異論も出ておる。もちろんいまのたくさんの年金関係——しぼって考えても共済制度がいろいろあるのだから、これをある点何かまとめていくというような考え方があってしかるべきだ。私たちも今度の国会に、公的年金の問題について、先般本会議趣旨説明をいたしましたような考え方には立っております。しかし、いまの私学共済をこのままにしておかぬでも、整理すべきものはいま整理しておいて、そして地域共済、地域年金あるいは別の組合年金と、こういうように持っていきませんと、何かとてもじゃないという考え方が出てくるわけです。  それらのことは別にいたしまして……。急ぎますけれども長期厚生年金だけにしぼって考えても——実は、きょうは私、厚生省を呼んでおらぬのですけれども、厚生省は何か持っていかれるのがいやだというような気持ちを持っておるようですが、御承知のとおりに厚生年金の積み立ては、昭和四十六年度末で五兆三千億あるわけですね。国民年金にしましても一兆円あるわけです。その五兆三千億のそういう積み立ての中から、ことしは財政投融資で一兆二千百六億円の原資を求めて財政投融資計画をつくっておる。この膨大な積み立て金の中から、私立学校厚生年金に入っておる諸君の原資をはずしても何ほどのことがあろうかと実は私は考えるわけです。どうもその辺に厚生省がこだわるということについて、私はちょっと合点がいかないものがあります。  それからいま一つは、観点は違いますけれども、御承知のとおりでございますが、国民所得に対する社会保障の給付費の割合を考えても、わが国は五・八%しかない。西独の二〇%、フランスの一九・三%、英国の二二・八%、実に雲泥の差がある。先進国であれば、日本もやはりこういうところに社会保障を高めていかなければならぬ、そういうことを考えますと、これは話はもとに返るのだけれども短期でも長期でも思い切って国庫負担を導入しなさいという議論になります。そういう意味からすると、私はどうしても、もう少し私学共済私立学校というような立場考えて夫加入校の問題に取り組んでいく、論点がいろいろ出てくると思いますが、これは一そう努力していただかなければなりません。実はそういう意味から、乙種の諸君が共済に入っても、何も厚生省あたりが文句を言う必要はないと思うのですから、何とかひとつ未加入校促進の手だてを講じたいという念願を持っている。  そこで、この点につきまして昨年も法整備の話が出ましたが、今度委員長のもとで一体法律修正等が出ているかどうか。私、待望しているとこるなんですが、その辺について文部省と私共済参考人のほうから、そうすべきであるか、いや、ちょっと待っていくべきなのか、これは文部省、特に厚生省に関係があるようですが、お聞かせをいただきたい。
  72. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 たいへん好意的な御意見をいただきまして、私どもありがたく感謝を申し上げるわけでございます。ただいま御指摘の点は、議員立法としてそうした方向について御検討いただいておるというふうに伺っておりますが、私ども気持ちといたしましては、できればそういう方向でお願いをいたしたいというふうに考えております。
  73. 加藤一雄

    加藤参考人 いまお尋ねのことで、私まだ新しいものですから、はなはだ恐縮でございますが、ただいまの問題につきまして、先ほどからいろいろ話がありましたけれども、特に希望したい学校で、われわれがなるほど気の毒だなと思うところは、学校内の人事交流という問題に非常に大きな支障を来たしておるということ、これは私学振興の面から申しましても、いい先生大学に持っていこうとしても、大学共済組合に入ってない、高等学校は入っておる、そういうことになりますと、将来を考えると、入ってないところに行くわけにいかない、こういう問題が深刻に起きておるようでありますし、また、ある大学から優秀な者を持ってこようとして努力してみるけれども、Aの大学は入っておるけれども、Bの大学は入ってないじゃないか、それじゃわれわれ行くわけにいかない、こういうことで人事交流という点から非常に大きな悩みがあるということを聞かされます場合に、できれば希望する学校だけでも、先ほど大臣からお話しのように、一日も早く入れてやりたいなという感じを抱いておるわけであります。
  74. 川村継義

    川村委員 あと、今度の年金改定に伴う問題を二、三急いでお聞きしておきたいと思いますが、今度、恩給も地共済私学共済も一〇・一%のアップ考えていただいた。この一〇・一%というものの計算はどうなっておるのですか。
  75. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 一〇・一%の根拠でございますが、四十五年度の四十四年度に対する国家公務員の本俸の上昇率、これが一二%でございます。それから四十五年度の四十四年度に対する消費者物価指数の伸び率が七・三%でございます。この一二%と七・三%の差、これが給与の実質改善率と申していいかと思いますが、それの六割に物価上昇率の七・三%を加えたもの、これが一〇・一%ということの計算の基礎でございます。
  76. 川村継義

    川村委員 よろしゅうございます。そのとおりと思います。  そこで、今度の年金改定で幾つか指摘しなければなりませんが、最低保障額の引き上げというのが行なわれる。補助率引き上げもあります。標準給与の下限の引き上げ考えられておる。既裁定年金額の改定もあります。最低保障額の引き上げ等で退職年金、廃疾年金、遺族年金等の保障額がそれぞれ引き上がっていく。老齢者にかかる最低保障は引き上がっておる。これについて大臣のこの趣旨説明をお聞きしましても、国公立学校教職員にかかる年金の額の改定に準じて改定を行なう、右へならえをする、こういう趣旨なんですが、私が一つ気になるのは、最低保障額の引き上げで、なるほど退職年金、遺族年金、廃疾年金は、これは恩給も国公立共済も同じ引き上げが行なわれておる。ところが、恩給や地共済のほうには、公務にかかるところの廃疾年金、公務にかかる遺族年金引き上げがあるわけです。そうすると、私共済一体どうなるんだろうかと私は疑問を持ってながめておる。私学共済にも廃疾年金等は給付するわけですから、公務にかかる廃疾年金や遺族年金引き上げは、私共済の場合には今度はやるんだろうか、あるいはあるんだろうか、こう思うのです。  そこで、時間がないから私急いで申し上げるわけですが、実は今度の引き上げで、ほかのところは、たとえば公務廃疾年金の場合をいうと、一級が、現行五十五万四千円が九十五万三千二百円になるわけです。公務の遺族年金も、十六万一千四百六十円が、十月からは二十一万七千六百七十一円、来年の一月からは二十四万円に引き上がる。ところが、こちらのほうの、公務といいますか、私共済の場合は職務と読みかえますか、そちらのほうのやつは一体どうなるだろうか、もとのままなのか、ということですね。もう次から申し上げますよ。ということは、私共済の場合の一級の年金の、これはことしの一月現在で、一級の場合でも二十五万二千四百六十三円になっている。わずかに二十五万ですよ。これは私共済の事業月報にそれがあらわれている。二級はもちろん低い。三級のごときは十五万六千七百五十一円になっている。遺族年金にいたしましても、公務上死亡した場合の私共済の遺族年金は、わずかに十九万五千九百九十三円になっている。こんなことをずっと数字で見ていくと、いまのは平均額を申し上げたわけですが、そう見ていくと、このままでいいのだろうか。これは一体、一般国民の国民年金等と比べても、生活保護法なんかのあれと比べても、これは問題じゃないかということが考えられるわけです。あれやこれやお聞きしながらお尋ねしなければなりませんが、時間がありませんから、最低保障額のいまの点明確にしていただきたい。
  77. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘の点は確かに一つの問題点かと思いますが、これも川村先生よく御承知のとおり、国共済地共済は、恩給制度をそれに引き込んだ制度でございます。恩給制度におきましては、御承知のとおり増加恩給という制度があり、あるいはその公務扶助料という制度がございまして、これがつまり今回引き上げられておるわけでございますが、それに対応いたしまする国共済地共済の公務上の廃疾年金、遺族年金の最低保障額が恩給法の改定に準じて引き上げられた、こういうことでございますが、御承知のとおり私共済あるいは農林共済におきましては、この恩給制度との関連が全くないわけでございます。したがいまして、その増加恩給あるいは遺族扶助料の引き上げに伴うそれに準ずる最低保障額の引き上げということが行なわれていないというのが現実でございます。  実はこの問題は、非常に基本的な問題にかかわるわけでございます。職務上と職務外の給付につきまして、こうした社会保障制度の中におきまして扱いを異にするということが適当かどうかという点、これは一つ問題点のようでございます。御承知のとおり厚生年金でも、公務と申しますか職務外の給付、それから職務内の補償につきましては扱いを異にしていないわけでございまして、私共済農林共済は、現状を申しますと、厚生年金と同じように、職務の内外による差というものを給付の差として持ち込んでいない。持ち込むことが適当かどうかという基本的な問題があるわけでございます。しかしながら、私ども立場といたしまして、国公立学校教職員に比べて私立学校教職員の最低保障がこのとおりでいいかどうかという点につきましては、御指摘もございますので、今後ぜひ検討してまいりたいというふうに考えます。
  78. 川村継義

    川村委員 簡単に意見を申し上げますが、私共済はいわゆる厚年からずっと一つ系統を持って、まだその制度にこだわっているということがいえる。国共あるいは地共済、公立共済等は恩給を一つの形で持ってきている。だから恩給の改定が出るとどっと出てくる。一体私立学校先生国公立学校先生を別途に考えたそういう制度というものは一体どうなんだ。もうそういうものにこだわっておる時代ではないのじゃないか。教育というものをまず焦点に合わせて、公立、私立、これを一体的なものとして進めていくという制度が共済組合にもあってしかるべきである、そういうことをも私は考えるわけです。だから、長期の問題につきましても、短期の問題につきましても、いま一つ今度の年金改定に伴う公務上の廃疾年金等が全く私共済のほうで手が触れられていないということは問題ではないか、こういうことを実は指摘を申し上げたわけであります。これはぜひひとつ、何かこだわったあれでなくて、思い切ってやはりそういう制度の欠陥は埋めていくというものを、私立学校教職員立場に立ってお考え願いたい。これだけを私の意見としてつけ加えさせていただきたい。  最後に大臣の御所見をいただいて私の質問を終わります。
  79. 高見三郎

    高見国務大臣 これは二つの問題があると思います。一つは恩給法の観念に出発しておる考え方、それからもう一つは、保険の理念からきておる考え方、それからもう一つは、私は、社会保障という面に立って考えなければならぬ問題のとらえ方があるだろうと思います。これらの問題を考えてみますと、国公立私立との間に区別をつけるべき筋合いのものじゃないと私は思っております。ただ、この問題は、理屈はそのとおりでありますけれども、非常に長い歴史的な経緯があるのであります。なおよく十分検討いたしまして、御趣旨に沿うよう前向きな努力をいたしたい、かように考えております。
  80. 川村継義

    川村委員 どうも大急ぎでお尋ねいたしまして、少し要を得なかったのですが、長い間どうもすみませんでした。ありがとうございました。
  81. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は来たる二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会