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1972-04-26 第68回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       床次 徳二君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       渡部 恒三君    川村 継義君       木島喜兵衞君    山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     石田 博英君   森  喜朗君     荒舩清十郎君   吉田  実君     村上信二郎君   井野 正揮君     石橋 政嗣君   山原健二郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     森  喜朗君   石田 博英君     中山 正暉君   村上信二郎君     吉田  実君   石橋 政嗣君     井野 正揮君   津川 武一君     山原健二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件(医科大学設置  に関する問題)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木島喜兵衞君。
  3. 木島喜兵衞

    木島委員 最初に、きょう時間がないから、あるいはそれだけに終わるかもしれませんけれども医学部あるいは歯科のいろいろ問題があるようでありますから、それらのことを少しまとめてお伺いしたいと思います。  昨年の十二月に医科大学設置調査会が「医師養成拡充について」の報告を出しておりますけれども、この調査会の性格というのですか、これは文部大臣諮問機関ですか。
  4. 木田宏

    木田政府委員 正規の審議会というわけではございませんが、御専門関係者にお集まりをいただきまして、いろいろと御示唆を賜わりますために予算上の措置でお集まりをいただいております会議でございます。
  5. 木島喜兵衞

    木島委員 ここで医師養成計画等報告をしておるわけでございますけれども、元来、これは厚生省がやるべきこと、あるいは厚生省がきめて文部省お願いをするというようなものじゃないか。ことに、報告の中にも、医療構造の変化だとか、あるいは地域的な医療の確保だとか、そういう医療制度全体との関連でもって医師養成を言っているわけでありますから、そういう意味では、厚生省がまずつくって文部省と合議をするということのほうがというか、主体が厚生省であるべきじゃないのか。それで文部省にこれが設置をされておるという関係をまずお聞きしたいのであります。
  6. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように、医師需要数につきましては、厚生省のほうから責任ある御見解をちょうだいしなければ、私どものほうではいかんともしがたいわけでございますが、私どものほうで、医科大学設置につきましては、どういうふうな計画でどうするかという調査を、予算もそういうふうにつけていただいておりまして、進めなければならぬ責務がございますので、大学設置するにつきまして、どういうテンポでどの程度の拡大をはかることが適切であるかという判断は、一方、私どものほうでも加えていかなければなりません。そういう意味から、厚生省の必要とする医師数と、それに対応してつくるべき大学の数と、つくるテンポといいますか、そういうものを設置の前に詰めておきたいというのが、文部省でつくりました調査会設置理由構成理由でございます。したがって、その中には厚生省医務局長にも加わってもらいまして、厚生省サイドから特に医師需要数地域的な現状等につきまして詳細なデータをちょうだいし、その上での論議を皆さんにしていただいた、こういう関係でございます。
  7. 木島喜兵衞

    木島委員 わからぬじゃありませんけれども政府全体としますと、厚生省一つ必要数年次的にもきめて、それを文部省に要請するというのが筋であって、それは医務局長も入っていらっしゃいますけれども、しかし、報告されたものは文部大臣報告されておる。しかし、その報告はあくまでも報告であって、文部省意思イコールではないわけですね。そういう専門的なものも加えて文部省意思とするならば、その調査会医務局長が入っておっても、それはしょせん文部大臣に出す報告であって、その専門会議の者が専門的な立場からこの調査会報告をもとにした見解を持つことは実際には困難だろう。それには、政府という一つの統一的な機構とすれば、私は、厚生省がまずつくって、その要請に基づいて文部省がやるべきものだろうと思うのです。しかしけっこうです。  そこで、この報告は、すなわち、厚生省了承した報告あるいは拡充計画と考えてよろしゅうございますか。
  8. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように、医者需要数そのものは厚生省責任をもってお考えくださることでございますが、それか教育の場で医育教育としてどういうふうに受けとめるかという意味で、この中に厚生省担当局長も入っていただいて、御専門の方々によってでき上がったものでございまして、厚生省当局につきましても、人口十万人について百五十人の医師ということを現在の段階におきます目標数として先方からも言われております。その目標数は、今日の段階から拡充を進めてまいりましても、十年後の段階昭和六十年に達成できる、また、そのぐらいまでたたなければできないということにつきましては、両者一応見解一致を見ておるわけでございまして、これよりテンポを早めることができるならば早めたほうがよろしいという意味での見解一致も、同時にこの中に出ておりますから、少なくともこの程度のことはやる必要があるという、昭和四十七年から五十一年までの五年間に少なくとも千二、三百の入学定員増を行なうことが必要であるという点につきましては、厚生省のほうも担当省としてこのことについて十分な了解をしてくれておるわけでございます。なお、これを上回ることができるということであるならば、それはそれでけっこうなことであって、昭和六十年以前に達成できるならばそれもまたよろしいというような双方の意見交換でこの仕事をいま進めております。
  9. 木島喜兵衞

    木島委員 いまおっしゃるように、すなわち、昭和四十七年から五十一年までの五カ年計画で千二、三百名をふやすことが報告されておりますね。したがって、それを五カ年間で千二、三百ふやすことのための年次計画、それから国・公・私立年次及びその数、それから既設学部増員及び新設計画は、この五カ年でもって文部省報告されておる千二、三百名をふやすとするならば、そういうものがそうきちっといくかどうかは、またいろいろ問題もありましょう。ありましょうが、それでなければならないはずですね。それをちょっとお聞かせ願いたい。
  10. 木田宏

    木田政府委員 この増員にあたりましては、関係者意見は、半数以上は少なくとも公的な医育機関拡充するということを強くこの中でも示唆をされております。私どもも、国立さらには公立医科大学、あるいはまた公的な医科大学として今後考えられ得るものがあるとすれば、そういうものを検討いたしまして、公的なもので進めていくという考え方につきまして持っておりますが、この医科大学新設につきましては、自由設立主義をとっております私立大学動向につきまして、現在その私学のワクをどの程度に規制するというふうなこともできかねますので、率直に申しまして、四十七年度に発足をいたしました新しい私立医科大学が七校に及んだという点は、予想をはるかに上回った大きな数字になっておるというふうに思っておりまして、これらのそのときの動向を勘案しながら今後の整備を進めていきたいと思っております。  国立につきましても、少なくとも調査報告書の中に書かれてございます入学定員百二十人までの限度ということで入学定員の増をはかるという基本線を考えておりまして、個々大学と四十七年度の予算準備のころから折衝をいたしておりますが、それぞれの大学事情等がございますので、こちらで一律にいま、新設につきまして幾ら、あるいは入学定員について幾らという詳細な細分した計画を立てておるというところまでは至っておりません。
  11. 木島喜兵衞

    木島委員 この報告を尊重する、そしていまおっしゃるように、千二、三百は当面少なくともと報告しておりますから、いまあなたのおっしゃるように、そして国・公立でもって公的医育機関でもって少なくとも半数以上やれということですから、したがって、私学よけいであるかどうかは、プラスアルファとして少なくともという中に入るのだと思う。すなわち、千二、三百人を五カ年でやるならば、少なくとも半数なら半数というものは、また半数以上は国・公立でやらなければいかぬわけでしょう。そういう計画を立てて、その上でなお私学よけいになったものは、これはプラスアルファとして計画できるのではないのですか。そういう点で、報告されたけれども、それがなければ、実際にはあまり私学新設、増設がなければ、国立でやるというようにいまちょっととれますね。私学中心で、そして、それがよけいのときには国・公立が少なくて済む、私学中心で、国・公立がそれに付随して千二、三百に持っていくというふうにいまの御答弁では受け取れる。それはこの報告と違う。
  12. 木田宏

    木田政府委員 いま木島委員の御指摘になりましたとおりに私どもも考えます。私学予想よりもたくさん出てきたから国・公立を減らすという考え方ではございません。ただ、国・公立につきまして、千二、三百といたしますと、その半数程度、六、七百というものを公的な医科大学拡充ということで考えるという論理になってくるわけでございますが、それをどこの地域にどうするかという個々具体の問題とからめて立案をしていかなければなりません。五年間に国・公立につきましてそうした具体の案を検討するという、多少手順としてはおそまきのこともございますけれども予算上もそうした調査費お願いをいたしまして、そして国・公立の特に国立につきましては、医科大学設置をどの地域にどういうふうにやるかということを、ことしもまた検討課題として進めさしていただくというつもりでございます。  四十七年度は、御案内のように、三カ所国立医科大学創設準備費を計上さしていただいておるわけでございますが、それを今後どのようにいたしますかにつきましては、本年度またあらためて個々具体の問題として調査を進めていきたいというふうに考えております。
  13. 木島喜兵衞

    木島委員 この報告は十二月ですけれども中間報告は六月に出ている。そうして、その第一年度からこう無計画では、報告に従っては少し無計画過ぎますな。まあいいです。そうすると、ことしの国・公立の増の百六十、これはその報告に基づく計画とは全く関係なしということになりますか。
  14. 木田宏

    木田政府委員 中間報告をちょうだいいたしました時点から、四十七年度の予算をつくりますにつきましては、各国立医科大学に対しまして入学定員の増についての御相談を始めまして、そして御相談を進めて取りまとめましたものが、そのうちの六校分の百二十名でございます。なお、あと二十名は、三重の県立医科大学国立に引き受けるにつきまして、従来の定員を二十名ふやして引き受けるようにしたということで、増の計算をその中に組み入れたものでございまして、私どものそうした既存大学定員増という呼びかけに対しまして、公立で一校だけ御協力が出てまいりました。それを合わせまして百六十という国・公立定員増になったわけでありまして、これはできるだけ既存学部入学定員の増につとめるという中間報告の線に沿って用意を各大学と始めたものであります。
  15. 木島喜兵衞

    木島委員 急ぎますからいいです。そういう意味で、これはそう簡単にいかないけれども、国・公立既存だけでいっても、もし百二十名に全部することができるならば、かりに計算をすれば国立が六百名の増、公立が四百四十名の増になるわけですね。そうすればこの二つでもって大体千名をこえるのです。もう一つは、地方の総合大学の中に医学部のない大学が二十二、三校ございますね。これをやれば、これはもうたいへんな数になりますね。少なくとも、そういう新しい国立大学をつくらなくても——しかしやらなければならぬことですね。お医者さんを養成しなければならない。しかも国・公立でやらなければならないということならば、少なくとも一番の早道がそこにあるとするならば、そういうことの計画がもう少し計画的に努力がなされなければならないのじゃないかという気がします。これはけっこうです。  その次、私立でありますけれども、お聞きしたいのは、四十五年に私立申請があったもので兵庫名古屋保健衛生大学愛知医科大学、それから四十六年の継続になっている独協福岡歯科大学、それから不認可になった浪速医科大学、この継続なり不認可になったところの理由をお聞きいたしたと思います。
  16. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私立医科大学設置につきましては、大学局審査をいたしまする施設設備教育組織の面と、管理局審査をいたしまする資産の面の両面あるわけでございますが、管理局関係について申し上げてみたいと思います。  兵庫医科大学愛知医科大学、この二つ医科大学が四十六年度開設ということで新設申請があったわけでございます。それが継続審議になりまして、四十七年の四月からの開校が認められたという経過でごいますが、いずれも資産関係につきまして必要な資金量を満たしていなかったということがその理由でございます。  それか浪速医科大学につきましては、これは不可になっておりますが、これは資金計画につきまして重大な欠陥があるということ、がその理由でございます。  先ほど四十六年度から四十七年度に継続審議になりましたそのが兵庫医科大学愛知医科大学と申し上げましたが、さらに名古屋保健衛生大学がございます。これの継続審議理由兵庫医科大学愛知医科大学と同様、資金計画が十分充足されていなかったという理由によるものでございます。  独協につきましては、管理局サイド資金計画という面におきましては、私ども一応充足を見ておるというふうに判断をいたしておりましたが、大学局あるいは大学設置審議会のほうで問題がございまして保留になっておるということでございます。  それから福岡歯科大学でございますが、これも管理局サイドの問題といたしまして、資金計画になお確認を要する点があるということが継続審議理由でございます。
  17. 木田宏

    木田政府委員 四十五年度から四十六年度に継続になりました兵庫医科大学につきましては校地校舎が未整備でございまして、四十六年開校時点におきましては、とうてい四十六年度の学校新設校として認可できる状態にまで至っていないということが主たる理由でございます。  名古屋保健衛生大学につきましては校舎設備関係がまだ準備不足でございまして、そういう観点から継続審査となったものでございます。  愛知医科大学は、校地が整っておりませんので、そういう関係から大学設置審議会におきまして継続審査となったものでございます。  それから浪速医科大学につきましては、管理局長から御説明があったことでございまして、私立大学審議会のほうで不可の判定が出ましたので、私どもも同様に審査をそこで行なわないことにいたしました。  それから、福岡歯科大学につきましては、実は教官の構成につきまして非常に疑義が起こりました。独協につきましは暫定病院の問題がございました。  なお、申し落としましたが、兵庫名古屋、愛知の三大学とも暫定病院整備につきまして、これまた著しく準備不足でございまして継続審査ということになった次第でございます。
  18. 木島喜兵衞

    木島委員 そのうちの幾つかについて少しお聞きしたいでありますけれども福岡歯科大学の場合は、最初県立九州歯科大学同窓生系医師会系の二系があって、この両方が話をまとめましたね。この確認書によると、地元国会議員も入っておるようがありますし、同時に文部省大学局長管理局長あるいは係官も入っておるということを確認書の中には書いておるようでありますね。これは別に悪いと言うわけではありませんけれども両者が出したらだめだから、二つだと困難だから、一本にまとめなさいという趣旨でもってあっせんをなさったのだろうと思うのですね。だから、受け取り方によっては、二本ではだめだから、一本にしなければだめだというのは、一本ならいいのだという受け取り方をしなかったろうかという不安があるのでありますけれども、もちろん皆さんに質問すれば、そうではありません、一本で出した後において厳正に審査しますとおっしゃるでしょう。けれども私は、こういうものにどこまで介入するか、あるいはいろいろ事前相談があるだろうと思うのですね。この場合に、一体どこまで入るべきか、あるいはそのことが、後に申しますけれども、いろいろと問題がありますね。この審査が私は必ずしも十分にできたいと思っておらないのです。また、それができなかったことを責めるのじゃなしに、むしろ十分できないものだろうと思うのです。そこに私立のことに歯科系大学においては多くの問題が起こるのであって、その中における介入なり相談を受ける基本的な態度と申しますか、そういう点をちょっと聞かせていただきたい。
  19. 木田宏

    木田政府委員 一般的に大学設置につきましては、それぞれの専門分野ごと設置基準がございまして、その基準運用等につきまして、事前申請予定者から事務的な御連絡大学局あるいは管理局担当者のほうに承るということが通例でございます。  いまお尋ねのございました福岡歯科大学につきましては、当時私ども関係者のところに、ことによると福岡の地に三校の申請で出るかもしれないというふうなうわさが流れてきておりました。これはなかなかたいへんなことだろうなというばく然たる印象でございましたが、そのうちに二校の予定地からそれぞれ農地転用についての御意見が出てまいりまして、農地転用に関連いたしまして農林省からも私どものほうに照会が参ることになりまして、その段階で県の担当部局を通じた事務が始まるわけでございます。実は、福岡につきましては、その時点県当局から、一体三校の申請が出ておるがどうであろうかという内々の御連絡と御相談がございました。私は管理局とも相談をいたしまして、それらの点につきましては非常にむずかしい事情が起こるのではないかと思うから、県内の問題としてひとつ十分地元の御調整を願ったほうがよかろうという御返事を差し上げたということを記憶しております。関与と申しますと、そういう程度の御連絡意見交換はいたすことになろうかと思います。
  20. 木島喜兵衞

    木島委員 福岡歯科大学資金計画ですね。私はその資金計画が多くの場合なかなか困難だろうという前提に立つのでありますけれども、これは管理局長のほうでありましょうけれども最初は、昨年の最初に、寄付者優先入学前提とした寄付があったのが、一たん返されたことになっておりますね。だから、返されたことになっておって、その後の申請のし直しをして出てきたものには、優先入学前提にした寄付金というものはないという前提でもって資金計画に対する皆さまの御判断があったのですか。
  21. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、福岡歯科大学は、当初の福岡歯科大学と日本歯科大学二つの構想が合体をいたして出てきた申請でございますが、福岡歯科大学側入学前提とする寄付金の多額の受け入れがあるという新聞報道がございましたものですから、私どもは、審査段階におきましては特にその点に重点を置いて資料を精査し、あるいは関係者から事情を聴取したわけでございます。  関係者説明によりますと、新聞でああいう報道はあったけれども、絶対にさような入学条件とする寄付金は取っておりません。取っておりませんが、しかし甚下に冠を正さずというようなことわざもあるように、私どもはそこのところはさらに慎重に配慮したいということで、寄付者の中でいわゆる浪人中の父兄から出たものであるとか、あるいは高校三年生の父兄から出たものであるとか、そうした寄付金は返却をいたしましたということを説明として申しております。私どもは、一応その説明了承はしておるわけでございまして、特にこれをくつがえす資料は現在のところございません。ただ、その辺のところにつきまして、心証としてなお調査を要するのではないかという私立大学審議会委員の一部の御意見もございましたので、先ほど御説明を申し上げましたように継続審査、さらにそういう点について確認を進めたい、こういうことにいたしたわけでございます。
  22. 木島喜兵衞

    木島委員 ないと言ったと言うけれども、さっき言いました二つを一本にするときの「覚書」の中に、本件解決基礎条件一つとして「甲側における資金集めの際、世の疑惑を受けることは極めて遺憾である。速かにこれに対する最善の措置をとられたい」ということがある。両者確認しているということは——少なくとも、全くないことであるならば、「覚書」の中にこんなことが入るわけがまずないと見るの、が当然である。しかもこのことは、この文章の中でも、本件決定に際しては——名前は申し上げませんけれども文部省大学管理局長その他係等々入っているのですから、したがって、問題がないということを一応了承したということそれ自体も、私がどういう関与のしかたをするのかということをお聞きした理由なんでありますけれども、少なくともこういうことが書かれることは、了承をすると言ってはよくない中身だったろうと思うのです。これは、責めるのじゃなしに、しかし実際にはつかみがたいことだろうと思うからそう申し上げるのです。  ことに、これからなお調査をなさるというのでありますけれども、その後文部省学生が出しました資金繰り表にずっとあるでしょう。四百万の寄付金がありますね。そのうち初年度は、三百万をすでに寄付している人があと百万寄付すればいい者が百五十名、その次の第二年次が、百万寄付すればいい者が五十名、三年次が、百万寄付すればいい者が三十名。そのようにして優先入学を許可するという前提に立っての三百万を納めた者が、第一年次百五十名、第二年次五十名、第三年次三十名というものを定めていること。資金繰り表は、文部省に出たかどうかわかりません。出たかどうかわかりませんけれども、少なくとも大学中身におけるところの計画の中にはそれが明記されておるとするならば、少なくとも入学前提としたところの寄付金があったと見るほうが至当ではないかというのですがどうでしょうか。
  23. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま先生指摘資料は、私ども学生の側から受け取っておりまして検討いたしております。確かに御指摘のように疑わしいという感じはございますが、これを設立者代表に見せまして、こういう書類をそちらのほうで作成したことがあるかというふうに尋ねますと、そういう事実はないという答弁でございます。かつまた、その間の経理にずっとタッチいたしておりまする公認会計士も、さようなことは絶対にございません、こういういう答弁でございます。そこに文部省としての調査権限の限界というものを感ぜざるを得ないわけでございますが、設立代表者から責任をもってそのような証言があり、公認会計士もそう申しておる。それから、逆にそれを具体的に裏づける事実もあがってこないということでございますと、一応申請者側の説明を信頼せざるを得ない、こういうことでございますが、さつき申し上げましたように、なおかつ疑問の余地があるということで、さらに確認を進めたい、こういうことで継続審査ということにいたしておるわけであります。
  24. 木島喜兵衞

    木島委員 申請者の証言、それから公認会計士の問題はあとで申し上げます。これも信憑するに足るものかどうかという問題も出てくると思うのですが、実際には学校設立者が出した書類というものを、しかも確実に経営できるものに限れという設置調査会報告がいっていますね、そういう点で私は今回の場合たいへんあぶなっかしいのがたくさん出てきたと思うのです。たくさん出てきてもそれを調査することができない。設置したが、この間大臣もおっしゃったように、学生人質論で、学生が入ってしまったらなかなかやめさせられないでしょう。そういう意味で私は言うのでありますけれども、たいへん疑わしい。しかも、これによると、百二十名の定員に対して、二百名の定員資金計画ができていますね。これは、後にまた入学定員の問題で申し上げますけれども、こういう問題を一体文部省はどこまで裏づけできるかというと、でさないのじゃないか。そういう点で学校設立に対して管理局長、自信を持てますか。この資金計画について、どこまで確実であるかという点にについて自信が持てますか。
  25. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 なかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけの調査をするということでございます。資金計画具体的な裏づけと申しますと寄付者の問題になるわけでございますが、多額の寄付をなさった方でございますと、たとえばその方の前年度の納税証明書を出していただくとか、あるいは資産を処分して資金をつくったということでございますれば売買契約書を出していただくとか、あるいは不動産の移転登記を証明するものを出していただくとか、そういった私どもとしてはできる限りこの資料なり証言なりを得て、申請が真実であるということを確認しながら事を進めておるわけでございますが、実は文部省の権限はそれ以上はございません。その辺のところの資料なり証言なりがそろいますれば、これは一応真実と判断せざるを得ない。積極的に疑う材料がない限りはそういう判断をせざるを得ないということでございます。  そこで、ちょっと先回りかもしれませんが、浪速のようなああいう問題が起こる余地があるわけで、その点はまことに遺憾なことでございますが、私どもの権限は警察のような捜査をするというようなことはできないものでございますから、多少不安な点がございましても、できるだけのことをして、その段階判断をせざるを得ない、こういうことであります。
  26. 木島喜兵衞

    木島委員 時間がないから進みます。  それからもう一つ福岡歯大の教授の問題ですね。十五万円支度金をもらったというのはほんとうですか。
  27. 木田宏

    木田政府委員 全然聞いていません。
  28. 木島喜兵衞

    木島委員 御調査もなさらない。
  29. 木田宏

    木田政府委員 現地に参りました際に、担当者——設置審議会調査を担当されました委員の方々から、そういう事実について申請者側に、このことはどうなっているかという質問をいたしました。しかし、そのことにつきまして明確な答えはもらってないということでございます。
  30. 木島喜兵衞

    木島委員 新聞なんかでは、ある教授が、軽率であったという談話まで発表していますね。とすれば、いまの御答弁では文部省としてはいかがですか。
  31. 木田宏

    木田政府委員 たいへん恐縮でございますが、私自身がちょっとうかつにしておりまして先ほどのような御答弁を申し上げましたけれども担当者のほうでは、現地に参ります場合に、そのことにつきまして承知をしておりまして、先方に質問をしその返事を求めたわけでございますけれども、その事実についての確認答弁はなかったということでございます。
  32. 木島喜兵衞

    木島委員 各教官がこのように出るということの一番基本の原因は一体何かというと、一つは教授資格者あるいは基礎医学を勉強する人たちの不足というところに一番原因があるのじゃないだろうか。私は十五万円なんかのことは、新聞に出ていますからあまり言いません。けれども、こういうようなことが、これからお医者さんをたくさんふやすというときに、実は、学校はそれはある程度できるかもしれないけれども、たぶん一番困るのは教授陣容じゃないだろうか。これがますます先細りなんじゃないだろうかという気がする。このことと、さっき言いましたところの千二、三百名、あるいは、よりもっとふやさなければならぬ養成機関の教官の関係は自信がありますか。
  33. 木田宏

    木田政府委員 歯科関係につきましては、現実に現在までの学校数というのが必ずしも多いわけではございませんから、新しい歯科大学ができます場合に、その新歯科大学の教官構成にかなり苦労があるであろうということは予測できるところでございます。その意味で、福岡の地に二校、三校という動きが出ますことに対しまして、実際に困難であるという見通し等を私どもも持った次第でございますが、これは地域関係もございまして、一律には、いまの点についてむずかしいとかどうとかというお答えはいたしかねるかと思います。非常にむずかしい事情にあることは事実でございます。   〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕
  34. 木島喜兵衞

    木島委員 それから、継続になっておりますけれども校舎は大体でき上がったようですね。これがもしも不認可になった場合、社会的な問題をさらに大きくいたしますね。しかも寄付金をずいぶんたくさんから集めておる。あるいは入学前提寄付とおぼしきものも取っておる。私は、これから私学というものは、医科に関してはきわめてきびしくせねばならぬと思う そうすると この大学がはたして認可されるかどうかということも、これは今後とも皆さん動向を見守りたいと思うのでありますけれども、それだけにきびしくせねばならないけれども校舎はできています、金はかけた、こういう問題は一体将来どうするつもりですか。
  35. 木田宏

    木田政府委員 大学設置審査基準につきましては、いかにいたしましても物的な条件はそろう、しかし人的な条件がそろわないというケースが、これは起り得ることだと考えております。その場合に、申請した初年度に開校がうまくできませんでも、次年度、場合によればその次までに十分に体制を整えて学校としての発足ができるだけの十分なゆとりというものがなければ、大学としていい発足ができないのではないか。したがいまして現在までは一年間で事実上施設の整備が先に行なれた段階申請書が出てくるというような審査の手順になっておりますが、これをもう少し早めることも検討いたしまして、私立の特に医科、歯科のような大きな資金を要する大学につきましては十分な期間——その資金で新設準備ができるだけのゆとりのあるものということを、今後の審査では期待をするようにしたいと思っております。
  36. 木島喜兵衞

    木島委員 時間がありませんから先に進みますが、認可された愛知医大も、一つには入学を優先的にする寄付があった。ある理事が、十一人から一億五百万、三人返済したから今日七千万借用されておるといわれておりますね。これはおつかみですか。
  37. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 新聞報道でそうしたことは聞いております。また現在の理事長でございます太田元次氏からも、その点について報告を受けておりますが、理事長の説明では、それはある理事が個人としてやったことであって、学校法人としては全く関知しないところである、こういう説明でございます。一応その説明了承いたしております。
  38. 木島喜兵衞

    木島委員 この学校を設立するときに、四日市の医師会にある記録では、四十四年の八月にいまおっしゃった太田理事長と、いま金を借りておる、個人的だとおっしゃった理事が、四日市の医師会の理事会でもって、医大設立の趣旨説明の中で、医師の子弟を入れるためにこそつくるんだ、ずいぶんおりますけれども、簡単に言えばそういう発言をし、その記録が残っておりますね。とすると無関係ではないんじゃないか。太田理事長は、そういうことはある一人の理事が個人的にやったと言うけれども、太田理事長も出て、その四日市の医師会でもって言ったと医師会の記録の中にある。そういう発言をしている。こまかく言わぬでもいいけれども、これは時間がありませんから省きますけれども、その中心は何かというと、投資をして開業しているお医者さんの子弟がお医者になれる保証はない。だから、そういう子弟のためにこそこの学校をつくるんだということを言っておりますね。とすると、そういうこととうらはらにあわせ考えますと、やはり優先入学寄付というものがあるんじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  39. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そういううわさも耳にいたしておりましたので、設立につきましては特に厳重な条件をつけておるわけでございます。特に理事長から公証人役場に届け出た誓約書、これは公正証書に準ずるものと考えていいかと思いますが、そういう書類の提出を願いまして、その中で一般の寄付、特に愛知医科大学設立後援会の寄付のうち、いろいろ二百五人から寄付金がございますが、この寄付金入学時の寄付金の先取りではありませんという事項、並びに今後の課題といたしまして、入学条件となるような寄付金は今後一切取りませんという誓約書をいただいておりますので、私どもはこの誓約書を信頼し、特にこの誓約書が誤りであるという反証もないものでございますから認可をしたという事情にございます。
  40. 木島喜兵衞

    木島委員 その理事は、一昨年の保留になったときの理由に、付属病院が、その理事の個人経営の病院を個人寄付する。それで病院には二十一億の借金があってということがわかったということが一つ理由ですね。私は、したがってそういうことはだめになったけれども、そういう自分の借金だらけの病院を寄付して、その借金の肩がわりを意図した者が理事に入っておるということが、そして優先寄付——個人的であるといまおっしゃいましたけれども、個人的であったにしても、受けておる。そういう人が理事になっておる。しかし、いまおっしゃるように、疑問を持っても反証できなければ、形式的に書類が整っておれば認可をせざるを得ないということで、公的な教育機関というものが認可されていいのだろうかという疑問を持つのですが、どうでしょうか。
  41. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 愛知医科大学設立の過程におきましては、ただいま木島先生が御指摘になりましたように、重富という理事が守山十全病院という病院を愛知医科大学寄付をする、寄付をする際に、負債も承継してもらいたいというようなことで計画が進行しておったわけでございますが、私ども、そういう進め方は適当ではないということで、守山十全病院の愛知医科大学に対する寄付も、これはお断わりすべきであるということで、それは重富理事個人にお返しをする。同時に、重富氏個人の負債も愛知医科大学は承継をしないということを明確にいたしまして認可をしたわけでございますが、その点につきましても、誓約書の中におきまして、重富理事個人の負債、これが約十六億円でございますが、そのうち三億二千万円については大学設置に関する経費として使用されたということが認められるので、これは学校法人両国学園と申しますか、両国学園がこれを承継し、その残余の負債は重富理事が個人の責任において返済をする、こういう誓約書を取っておりまして、その重富理事関係寄付並びにそれに関連する負債というものの扱いは学校法人と完全に切り離したということでございます。  なお、その過程におきまして、御指摘のように、入学前提とする寄付金を取ったというような新聞報道がございましたので、確かめましたところ、先ほどお答え申し上げましたように、それは大学とは全く無関係のことであるということでございますので、一応これを了承せざるを得ないこういうふうに考えております。
  42. 木島喜兵衞

    木島委員 大臣、私はこういうことを聞いておりますが、まだ幾つかのことについてもう少し申し上げたいのです。というのは、ここのところ、いわば医科、歯科のブームですね、民間の。これがはたして、いま認可できなかったもの、あるいはしたものについても言っていますけれども、いままでしたものもずいぶん不安のあるもの、あるいはたいへん疑義のあるものもなっているのじゃないかという気がたいへんするのですね。そこで申し上げているのです、今後のこともありますから。  たとえば浪速医大の場合、私もう申し上げません。申し上げませんけれども、しかし問題になっているのは、幽霊土地の転売、大口架空寄付優先入学前提寄付、多額の使途不明金、これは贈賄、供応、政治家工作、事務員の横領等が今日あがっておるようですね。これは不認可になりましたけれども、しかしこれがいま警察にあがっているようなものがはたして皆さん調査でどこまでわかっておっただろうか。いま警察であがっているようなものは、不認可になったからある程度つかまえたと思う。しかし、すべてがつかまえたとは思えません。いま公認会計士の話が出ましたね。しからばこの公認会計士がいま新聞で問題になっているようなことをどこまで報告をしているだろうか。公認会計士の書類というものが信頼できるのだろうかと思うのです。その点いかがでしょう、時間がありませんから簡単に。
  43. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 浪速医科大学につきまして不可の扱いをいたしました時点におきましては、資金計画約五十億円のうち、十億円が全く架空のものであるという事実をつかんでおりました。その後、私どもさらに調査をいたしましたところ、その裏づけ、つまり十億円の部分じゃございませんが、その他の部分の裏づけとして提出された土地の登記謄本が全く偽造であったというようなことをつかんでおりました。その他のただいま先生のおっしゃいました点につきましては、これは警察でなければちょっとつかめないことでございまして、私どもとしてはつかんでいなかった事実でございます。
  44. 木島喜兵衞

    木島委員 決して、再々言いませんけれども調査ができなかったことを責めているのじゃない。実際できないだろう。しかし、できないだろうけれども、そういうことが調査できないままに学校が設立されていく。ことに私が心配する点を実は例をあげて申し上げたのであります。  そういう意味で、たとえば自治医科大学の場合も、これはどうなんですか。資金は国と県ですね。ですから都道府県と国の補助ですね。
  45. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは資金源は知事会の寄付でございます。
  46. 木島喜兵衞

    木島委員 知事会ですから各府県が出しておるでしょう。
  47. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 知事会の寄付でございまして、その財源といたしまして、国から知事会に補助されたもの、各府県から知事会に補助されたもの、それが知事会という窓口を通して自治医科大学寄付されているということでございます。
  48. 木島喜兵衞

    木島委員 それから入学金、授業料あるいは実験実習費等も都道府県が学生に貸与しますね。それで運営される。そうすると、一体これは私立と国・公立というのはどう区別したらいいのですか。知事会というけれども実際には各府県が出して、国が補助しているわけでしょう。これは公立あるいは公立の組合ですかな——という性質のものじゃないですか。一体、私立公立の区別というのは何でつけるのですか。私はむしろこの報告にあるように、自治体と国と協力してやれという報告がありますね。私はおもしろい意味だと思いますよ。と同時に私は、国・公立私立関係一つと、もう一つは、これは平均的に入学させましたね。いわばこれは各府県の優先入学の出資ということになりますね。結果的にはそうでしょう。僻地にお医者さんがいない。だからそういう意味で金を出して、そして知事会がつくる。そしてその入学は、大体二、三名を平均して入れましたね。とすると、これはやはり一種の優先入学前提とする出資と見るべきではないでしょうか。その辺どうでしょうか。
  49. 木田宏

    木田政府委員 私立大学と国・公立大学をどこで区別するかと申しますと、やはり適用法令によって区別すると考えるほかはなかろうかと思います。財源の中に公的な資金が含まれておりましても、学校の設置認可の適用法令といたしまして私立学校法による認可申請が自治医科大学の場合にございました。その意味で自治医科大学私立の学校であるというふうに考えております。  また、その学生地域別の配分でございますが、この点は認可申請段階から私どももいろいろに意見も申し上げてまいりました。学校の設置の趣旨から考えまして、ある程度普通の私立大学と異なって、学生地域的なばらつきを保持したという申請者側の御要請というものも考えましたし、また選抜の方法を、都道府県単位と中央と二段の選抜制度にするという御相談も受けました。それも一つの方法かと考えたわけでございますが、個々学生の側から見ますと、地域的に選ばれた者が入学をするというとこでございまして、その学生に対して都道府県は奨学金等のめんどうを見るということは確かにございますけれども学生の一定水準に達したものが入学するという意味では、学校の設置の趣旨といまの選抜制度との関連から見て、ある程度一つの試みとして行なわれてしかるべきではなかろうかという判断を、現在の時点でいたしております。
  50. 木島喜兵衞

    木島委員 時間がありませんから深追いしませんが、しかし私は、少なくとも公立ならばある程度認められる部分も、私立であるからこそ私はそういうことをあえて言っている。こういう点はこれはこれなりにおもしろいと思いますよ。おもしろいと思うんだけれども、少なくともその前提寄付というものが、教育の機会均等ということがあるから否定されるとするならば、いかに知事会が設置したといえども、憲法の機会均等というものを否定することはできない。そういう意味で一考を要する。方法的にはまだ他に方法があるだろうと思う。あるだけにこの点は一考を要する。今後の研究課題にしていただきたいと思います。時間がありませんから深入りいたしません。  それから、ことし認可しました松本歯科大学の水増し、この松本の水増しは幾らですか、何%ですか。
  51. 木田宏

    木田政府委員 先般お答え申し上げましたように、七割の増であったかと承知しております。
  52. 木島喜兵衞

    木島委員 文部省は水増しを今日まで長い間黙認してきましたね。これはどういう反省に立っていらっしゃいますか。
  53. 木田宏

    木田政府委員 学生入学定員については、私学に対して現行の制度のもとで規制力がないという判断に立たざるを得ない状態でございますので、その入学定員の増等につきましては、大学側からの届け出を待って、その届け出に対して指導するというのが現在の制度上の実態でございます。
  54. 木島喜兵衞

    木島委員 法律的にないとおっしゃるのですけれども、学校教育法施行規則四条では、学則に定員を規定するとなっていますね。そして定員増は学則変更でありますから、学校教育法施行規則第二条でもって文部大臣に届け出をしなければならないとありますね。届け出は届け出だから許可制じゃないからしかたないんだとおっしゃいますけれども、指導はなさいますね。そして、最終的には、その指導に従わないときには、法令違反がされるならば、最終的ではありますけれども、解散を命ずることができる。もちろん、解散を直ちにするということは、大臣がこの間おっしゃったように、学生が入っているのに困難じゃないかということでありますけれども、法律的にはできるんじゃないですか。   〔河野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは学校教育法施行規則の第三条では、大学設立申請の場合には、その経費、維持方法が規定されますね。そして第四条では、学則には授業料、入学料その他費用徴収に関することを規定する。したがって、やみ入学というものは、これはずいぶん大きな額になりますよ、ことに医学の場合のやみ寄付金を考えれば。そうすると、これによって経費、維持方法が変わってくる。資金計画が変わってくる。これまた届け出をしなければならない。だからそういう意味で、設立の場合も新設の場合もやみ入学というものがみんな行なわれておる。だけれども申請をするときには百二十名で出すけれども、先ほど言いましたように、ある大学では二百名も受け入れておる。資金計画は全くうそだと言っていい。だからそういうものは指導する、助言をする、けれども、最終的には法律的には解散を命ずることができる。これは法的にはだめだとおっしゃるけれども、法律的にはそういうことが可能であるという姿勢が必要なんじゃないのか。あなたはどうにもならぬと思うのですか。私はそうは思わないのですが、どうですか。
  55. 木田宏

    木田政府委員 届け出事項になっておりまして、届け出られた中身と実態とが違う場合に、それをもって直ちに法令違反の事実があると言えますかどうか。その学校の閉鎖命令等をいたす場合には、いま御指摘がございましたように、法令の規定またはそれに基づく監督庁の命令に違反した場合というような規定がございます。御意見ではございまするけれども、いま御指摘になりました届け出の中身と事実とがずれた場合に、この閉鎖命令まで出せるような法令違反と言えるかどうかにつきましては、疑念を抱いておるのが現状だという実態でございます。
  56. 木島喜兵衞

    木島委員 私はその点はいま松本のことから全般のことを言うのですが、松本歯科大学を許可しましたね。しかし、これはもし百名だとすれば、七〇%で百七十名。これは許可しても入らない子供もいるだろうから、多少のことは見なければなりませんけれども、しかし百名のところに七〇%増とるとすれば百七十名。もしも世間にいわれるような一千万円やみ寄付金があるとすれば、何だかんだ入れて七、八億円が入っているわけですね、そのやみ入学の分で。これは資金計画以上にその七、八億円が入って彼らが利潤を得ておるのかというと、科はそうは思わないのですね。提示した資金計画そのものがうそで、これを導入しなければならない初めからの計画だったと思うのです。今日、医大をつくるのに金がかかる。いま松本歯科大学認可しましたけれども、その資金がきわめて潤沢で、その上にやみ入学をたとえば一千万とすれば七、八億も入ってくる、それだけ浮いたと考えられますか。それほど設立の場合においては非常に困難だということを私は言いたいのです。  それと同時に、一方においては法律的に学則の問題があり、あるいは学則による経費、維持方法なり、こういうものとやみ定員は全く無関係じゃないのですよ、たいへん多額なものになりますから。授業料をもって七割の学校経営をやっているわけでしょう。経常費を使っているのでしょう。七割というのはたいへんなことだと思うのです。しかし、実はそうしなければならないところの資金繰り、なんです。その資金繰りなんだけれども、それで出したのでは許可にならないから、実は虚偽の申請をしておると見るべきだろうと思う。この辺に問題があると思うのですが、それはいかがでしょう。
  57. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 確かに御指摘のような問題点があるかと思いますが、私どもの理解といたしましては、御承知のとおりこの設置費は三分の二が自己資金であるということが要件でございまして、三分の一は借り入れ金その他によって支弁されるということでございます。したがいまして、当初計画された以外にそうした寄付金が入るということでございますと、借り入れ金でまかなう予定であったものを自己資金でまかなうというような計画の変更ということもございましょう。それからまた、当初計画した以上に学校の施設なり設備なりその他を充実したいということもございましょう。おそらくはそういう方面に充当される資金である、こう理解せざるを得ないわけでございます。現に、一例でございますが、北里大学医学部でございますが、これなどは、当初予定した以上に大きな病院をつくり、あるいはその病院の内容もかなり充実したものにしておるようでございます。そういうところにそうした資金が使用されるというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  58. 木島喜兵衞

    木島委員 いまそうおっしゃいますけれども、ことに医科・歯科大学の場合においては、やみの寄付金が非常に多いですね。こういうものとの資金計画は一体どうなのか。あるいは裏入学の第一補欠とか第二補欠とか金が順次上がりますね。こういうものは資金計画にあるのだろうか。たとえば、いま自己資金が三分の二とおっしゃるけれども、見せ金というものを見抜く力がありますか。そういうものとの関係が無関係じゃないでしょう。だから自己資金が三分の二だからといって、それでもって認可することはできるのか、どうでしょう。
  59. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 いろいろ問題がございますが、第一に見せ金を見抜く力があるかというお話、これも非常にむずかしい問題でございますが、先ほど申し上げたように、銀行から残高証明をとるというようなこと、あるいは寄付者につきましては、さっき申し上げたように納税証明書をとるとか、あるいは資産の処分を証明する書類をとるとかいうことをいたしておるわけでございますが、絶対にそれが見抜けるかということになりますと、私ども実は一〇〇%確信を持てません。詳細にそうした手を尽くして、できるだけ研究をしているということを申し上げる以上申し上げようがございません。
  60. 木島喜兵衞

    木島委員 時間がありませんからなるだけ簡単にしたつもりでありますが、大臣、私はこういうように認可されたもの、あるいは継続になっておるもの、あるいは不可とされたものの幾つか、七つばかりの学校の例をとりまして、いま具体的なことを少しお聞きしたのですけれども、こうして考えてくると、実際に申請をしたところの、あるいはいま許可し、あるいは昨年発足したような大学においても、私はたいへん不安が残ってくる。これは私は決して皆さん能力がないとかというのではなくて、やれるものじゃないんだろうということなんです。やれるものじゃない。したがって、逆に言うと不安だ。こういう事例がこんなにたくさん出てくればたいへん不安です。不安だけれども、しかし認可してしまった、あるいはこれから認可するかもしれない、こういう問題をどうこれからしていくかということですが、極端に言うならば、私は医科歯科の場合には、私学は一切やめて全部公立にしたいというぐらいな気持ちですよ、こうなると不安ですから。これに対する処方せんを、これは大臣からお聞きしてもいいしその他からでもいいですが、どうするかということですね。
  61. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど大学局長から申し上げましたように、私立の医科・歯科大学につきましては、多額の資金を必要とする事業でもございますし、また、先ほど来るるお話がございましたように、資金的に非常に問題がございます。そこで私立大学審議会といたしましては、現在小委員会を設けましてその問題を検討いたしておるわけでございます。  大体の方法といたしましては、二年間にわたって審査をしたい。第一年度には資金計画について審査をする、第二年度が資金計画についての審査に合格したものが初めて校地の造成だとか校舎の建築等に着手できるようにいたします。そういたしますと、先ほどお話がございましたように、せっかく建った校舎がむだになるではないかというような点の問題も解決できるかと思います。そうした二段審査の方法によりまして資金計画確認をし、そして第一段階におきまして資金が確認されたものにつきましてこれを供託をするという方法を考えてみたいというふうに考えております。見せ金でございますと、役所に書類を出したときだけあればそれで書類がつくれるわけでございますが、供託を一定の銀行等にさせまして、継続的にそれが大学の資金であることを保証させようといったような方法も検討いたしておるわけでございます。その他資金計画の内容といたしましては、現在は三分の二が自己資金であるということを求めておりますが、これを四分の三にいたしますとか、あるいは負債率も現在は三分の一ということでございますが、これを四分の一以下にするといったようなことをいろいろ考えておりまして、いずれ私立大学審議会におきまして御審議がまとまれば、それを受けてそうした方向で文部省としても事務を処理してまいりたいというふうに考えております。
  62. 高見三郎

    ○高見国務大臣 私からお答えしておきましょう。  建物の膨大なものをつくって、そしてこれが不可ということになると非常に大きな社会問題を実は起こす。そうかといって、教授組織もうまくいっていないし、資金関係もどうも疑わしいというものを許可するわけにもまいりません。それで何とかして建物をつくる前に予備審査というものをやる方法はないだろうか。つまり二段審査をやるという方法を考えるべきじゃないだろうか。建物だけつくらしておいて、許可になるものだと思って、その中にはインチキなものもありますが、建物をつくったのだから許可してくれというものもありますけれども、真剣に考えている人にとりましては非常に大きな社会問題だという考え方をいたしまするので、電波の関係でよくやります予備審査というようなものの形をひとつとってみて、そしてこの地域でこの資産でこういう組織ならそれじゃ建物をおつくりなさいという二段審査をやっていく。それでもなおぐあいが悪いというなら保留するとかあるいは不許可にするということもありましょう。けれども、初めから建物をつくらしておいて、そしてそれがどうもぐあいが悪いから不許可にするということになりますと、このこと自体が非常に大きな社会問題の一つになると考えますので、実は大学設置審議会のほうにもそういう方向で御検討をお願いを申し上げておるわけであります。  それから、水増し入学の問題につきましても、何とか処罰の方法はないかということを実は考えておるのですけれども、少なくとも私学教育の独立性を文部省がチェックするという態度は基本的にとってはならぬ態度だということになりますと、どうもぐあいが悪い。その辺の調和をどこでとるかということを私ども実はいま苦心して検討しておるところであります。法令違反があるじやないか、そうすると学校教育法によって閉鎖を命じたらいいではないかということを申されましても、そう簡単に閉鎖を命じられないというところに私どもの悩みがあるということを御承知願いたいと思います。
  63. 木島喜兵衞

    木島委員 第一の認可基準なり認可審査手段の方法については、私十二時までという時間制限でありますから、多少意見もございますけれども、せっかく御検討でありますから、御検討の成果なり素案ができたら一度お示しいただけますか。そうしたらそれについて私ども意見も述べたいと思いますが、お示しいただけますか。
  64. 高見三郎

    ○高見国務大臣 ぜひこの案につきましては超党派で一ぺん御懇談を申し上げたいと思っております。その上に立って、いっそ私立大学というものをやめて、国・公立大学オンリーでいくかという問題も考えてみなければならぬ時期がきておると思うのです。私は、ここ一両年に私立医科大学のブームが来るというような感じがすらいたしておるのでありまして、その点ではぜひ御相談を申し上げたい、またひとつ超党派で御協力をお願い申し上げたい、こう存じております。
  65. 木島喜兵衞

    木島委員 わかりました。  それから、最近なぜ私立の医大の申請が多いのか、そうして申請する者は一体どういう意図を持っておるかということを見抜かなければいかぬだろうと思うのです。今回申請されたもののほとんどは実質的にはお医者さんであります。このお医者さんが一体なぜ今日までこのように多くの学校をつくろうとして、さっき言いましたように、いろいろな寄付を集めているが、この人たちはほとんど自分の金を持っておりません。自分のお金を五十億、百億ぽんと出して学校をつくっておるのじやありません。たくさん寄付を集めておりますね。その寄付者はだれかというと、大体お医者さんが多い。ここには、さっき申しましたように、医師の子弟が医師になるという保証は今日少しもないが、多くの投資をして開業していらっしゃる、だからそこに特権的な意識が医師の中にある。医者というのは、よらしむべし知らしむべからずの企業かもしれません。われわれわからない。だから、それだけ閉鎖的であり特権的である。自分たちの子弟をまた医者にしたいという独占的、独善的気持ちもある。これがお医者さんが中心になって医科なり歯科大学申請している一つの背景だと思うのです。この意図は私はたいへんいやであります。否定すべき意図だと思うのですが、その点は大臣どうですか。
  66. 高見三郎

    ○高見国務大臣 お医者さんがせっかく築いた地盤といいますか、これを何とか維持したいということは、私は人情だろうと思うのです。しかし、一番大事な問題は、人の命を預かるお医者さんでありますから、二千万、三千万というような大金を投じて、できもせぬ子供をお医者さんにして、一生涯かかって人を助けるより人を殺した数のほうが多いようなお医者さんをつくることが、国家の医療体制としてほんとうに望ましいことであるかどうかということになりますと、これは大きな社会問題だと私は思うのです。  その意味において、医育というものは公的機関においてやるべきではないかという基本的な考え方はどうしても私の脳裏から去りません。大体、医育に、自治医科大学計算してみましても、六百八十万かかるんですね。実は自治省から当初出しました案は千八百万円であったんです。こんなべらぼうな話があるかという話になりましたが、削ってまいりまして六百八十万。けれども実際は、医育にそれだけの金がかかるということになると、これは医育の問題というよりは、医療制度自体の問題が一つ根本的にはあると思いますね。  私の口からこんなことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、国家試験なんていうものは厚生省はもっときびしくやってもらいたいという気持ちを持っております。獣医の国家試験合格は五六%であるが、医師の国家試験は九六%も合格しておるということ自体が、頭が悪くても医者になれるということなんでしょう。この辺にも私は医療制度全体の問題として考えなければならぬ問題があるし、それからお医者さんが自分の子供を医者にしたいというお考えの根底には、お医者さんというものは案外もうかるということじゃないでしょうか。私は、税制上の特別措置等についても考えなきゃならぬ問題があると思うのです。文部大臣が口にすべきことではございませんけれども、御一緒になってこの問題をひとつ検討してみたいと思っておるのでありまして、先ほどから申し上げますように、この問題については超党派でひとつ御懇談を申し上げたい、こういう気持ちでおるわけでございますから、御了承をいただきたいと思います。
  67. 木島喜兵衞

    木島委員 たいへんいい御意見で、私も率直に言いまして、いまのお医者さんが自分の子弟を医者にということは、いわば医師会の企業内子弟教育機関的な感覚、そして多額の寄付を取られるから、そしてたいへん金がかかるから、そしておっしゃるように、七二%の基礎控除とか必要経費とか、乱診乱療とか薬とか、このことは結局国民の負担に返ってくる。そして、おっしゃるように質の悪い医者ができる。このことは、またおっしゃるように、私はこの養成ということだけでなしに、医療制度全体の問題でもあろうと思うのです。そういう意味で私は、いまおっしゃるように、実は国立あるいは公立でもってやることのほうが一番いいとおっしゃることを私はたいへん支持し、そのことを強引にやっていただきたい。  ただ、その場合に、常に地元医師会の反対がある。これが一番ネックであろうと率直に思うんです。これを勇断を持てるかどうかが文部大臣意思だと思うんです。いまおっしゃることが実現できるかできないかは、医師会の反対を振り切って、もちろん協力は必要なんでしょうけれども、それをやれるかどうかという勇断こそ必要なんじゃないかという気がしますが、どうでしょう。
  68. 高見三郎

    ○高見国務大臣 医師会が強く反対をしておって、御承知のように何年問か国・公立医科大学ができなかった。ところが、最近になりますと、医師会のほうがむしろ地域医療素質を向上させるために、国立医科大学を誘致したいという気持ちが多くなってまいりました。山原君がおられますけれども、高知県にも国立医科大学をほしいという動きが出てまいりました。島根県にも同じような空気が出てまいりました。だから私は、医師会もこの問題について強力な反対をすると思いません。たとえ反対がありましても、私は国家のために、医療の充実のために、断じてやるべきであるという決意を持っております。どうぞひとつ御協力をお願い申し上げます。
  69. 木島喜兵衞

    木島委員 もう時間が来ましたから最後にいたします。  いまおっしゃるとおりで、たいへん敬意を表します。お医者さんをつくっても、今日臨床のお医者さんばかりですね。これで、いまのままつくっていっても、一体僻地にお医者さんが行くのか。国民皆保険の中で、僻地の人たちは保険金はかけておるけれども、実はお医者さんにかかれない。僻地の人たちの掛け金でもって町の人たちがかかっておるということが一体解決するのか。あるいは予防をになうところの保健所の医師がたいへん少なくなっております。あるいは基礎医学、公衆衛生学の学生がたいへん少ない。診療所や地方病院もたいへん少ない。救急機構が整備したってやはりなかなか困難である。こういうものを今日数をふやすということ、しかしいま必要なものの公的な医療機関のお医者さん、あるいは僻地のそういうもの、あるいはさっき申しましたように、教授がいない、お医者さんをつくる人がいない、こういうものを含めて、いまたくさんつくらなければならぬということと別の問題が存在しておる、これをどう解決するかだと思うのです。
  70. 高見三郎

    ○高見国務大臣 御指摘のように、基礎医学の教官を確保するということが非常に困難になったことは事実であります。実は、医科大学をつくります場合に、いま一番大きな悩みは、基礎医学の教官を確保するということ、もう一つは解剖死体を確保するということが容易でありません。これらの問題を考えますと、実は国民生活が豊かになりました関係上、行路死亡人というものが非常に減ってまいりました。その関係で解剖死体というものを、学生二人当たり一体ということで要求しますとこれは非常に困難な問題になります。  同時に、昔は自分のあと継ぎにするために将来お医者さんにしようと思っておった学生が、自分は基礎医学をやるのだというので、親の意思に反して基礎医学のほうに走ったというような学問に熱心な学生がおったのでありますが、いまはその点が非常に欠けておる。というのは、臨床のほうがもうかり過ぎるということじゃないかと私は思います。  それから、たとえば過疎地帯のお医者さんの問題にいたしましても、北海道に現に国立医科大学と道立の医科大学とがございます。人口十万人について北海道は八十何人という割合になっておりますけれども、それでは北海道全体がそうであるかと申しますと、札幌市の医師を見ますと、札幌市の医師の分布率は日本最高なんです。そこで、僻地のお医者さんというものを、自治医科大学でかりに金を貸してやって二人や三人つくりましても、六百万や八百万の借金なら二年もやれば返してしまって、そしてまた町に出てくるということになれば、これは意味をなさぬということになる。だからこの問題は、医育の問題と申しますよりは、私は医療制度全体の問題として御一緒に考えなければならぬ問題だと思うのであります。医療制度全体の問題として考え、その考えの上に立って公的医療機関というものも僻地へ置くということを真剣に考えなければ、お医者さんの数を幾らふやしてみても、これは都市へ集中するだけです。これで医育が完成したから僻地のお医者さんの問題が一ぺんに解決するという性質のものじゃないということを、私は統計上そういうような判断をいたしておるのでありまして、医育全体の問題としてひとつお考えをいただきたいし、私もこの問題を厚生大臣とも十分話し合って相談をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  71. 木島喜兵衞

    木島委員 最後であります。だから私は最初に、実はこの医科大学設置調査会の「医師養成拡充について」という報告は、元来厚生省がつくって——量だけじゃなく質もあるんだから、したがってその計画に基づいて文部省にこういう大学をつくってくれということが基本ではないか。最初に聞いたのは実はそこであります。  もう時間がありませんから申し上げませんが、そういう中で、これは文部大臣といえども国務大臣でありますから、どうか政府の統一的な見解で、いま厚生大臣に相談するとおっしゃいましたが、原則的には国家公務員にしたらいいというのが私の主張なんです。特別の教育を受けて国家試験を受けた教員は僻地へ行っているのです。研究所へ行っているのです。同じことだろうと思うのです。あるいは公的医療機関でもっておっしゃるならば、公的医療機関でつくったならば一定の年限だけは、たとえば自治医科大学——九年間ありますね、公的医療機関につとめるということを試験に際して義務づけることもできるでしょう。そういうことも含めて十分御検討を、しかもあまり時間をかけることの許されない状態だろうと思うので、そういうことを含めてお願いを申し上げまして、私のこの問題に対する質問を、十二時を過ぎましたから終わりまして、残余の質問は後日機会がありましたらさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  72. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕