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1972-04-14 第68回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十四日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       床次 徳二君    中山 正暉君       野中 英二君    羽田  孜君       松永  光君    森  喜朗君       渡部 恒三君    日野 吉夫君       三木 喜夫君    有島 重武君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部政務次官  渡辺 栄一君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     三宅 正一君 同日  辞任         補欠選任   三宅 正一君     勝澤 芳雄君 同月十三日  辞任         補欠選任   渡部 恒三君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     渡部 恒三君 同月十四日  辞任         補欠選任   吉田  実君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     吉田  実君     ————————————— 四月十三日  公立学校における実習職員身分確立等に関す  る請願小林信一紹介)(第二四一二号)  同(小林信一紹介)(第二四六〇号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二四六一号)  同(小林信一紹介)(第二四九八号)  同(有島重武君紹介)(第二五八八号)  同(小林信一紹介)(第二五八九号)  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願田中武夫芳紹介)(第二四一三号)  同(芳賀貢紹介)(第二四一四号)  同(八百板正紹介)(第二四一五号)  同(山口鶴男紹介)(第二四一六号)  同(山口鶴男紹介)(第二四五九号)  同(山口鶴男紹介)(第二四九九号)  同(北山愛郎紹介)(第二五四三号)  同(佐野憲治紹介)(第二五四四号)  同(松本七郎紹介)(第二五四五号)  同(山口鶴男紹介)(第二五四六号)  同(山本幸一紹介)(第二五四七号)  同(松本七郎紹介)(第二五八四号)  同(山口鶴男紹介)(第二五八五号)  同(山本幸一紹介)(第二五八六号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第二五八七号)  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願麻生良方紹介)(第二四五八号)  同(中村梅吉紹介)(第二四九七号)  同(渡部通子紹介)(第二五四二号)  同(有島重武君紹介)(第二五八三号)  大学学費値上げ反対等に関する請願山原健  二郎君紹介)(第二五四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八号)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案昭和四十六年の六十五国会にも出され、また今回もこれが出てきておるわけなんです。そこで、この二つを対比しながら考えていかなければならぬ問題があると思いますので、質問をしたいと思います。  まず最初に、国立学校私立学校と両方ともこれは大事だと思いますけれども、今後どういうように私立公立について国としての立場を守っていくか、あるいはどういうように活用していくか、その方針をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  4. 木田宏

    木田政府委員 さきの中央教育審議会の御答申の際にも、その問題は、今後の高等教育を考える場合非常に大きい課題だというふうに指摘されております。文部省におきましては、将来の高等教育計画をどうするかという点で明確な構想を持つべきである、それを一刻も早く関係者会議によってつくれという御示唆がございまして、実は、四十七年度予算におきましても、高等教育改革推進会議を設けまして、わが国の高等教育の全体的なあり方、将来の動向、そうした問題についての御論議をもう少し具体的に詰めるようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  国立大学私立大学公立大学それぞれにはやはりいままで果たしてまいりました歴史的な使命もございますし、今後を考えました場合にも、その過去の果してきた使命、それから運営の実態というものを考えながら将来の方向を見きわめていかなければならぬと思っておりますが、いまこの三者をこういう形にするというところまではまだ考えておりません。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、昨年度もそうですが、本年度も、たちえば新しい学部学科、そして新設校、こういうものの要求というものをどういうところを根拠にして新設をなさるのか、文部省として方針がないのに、場当たり的に、あるいは要求の強いところからというようなぐあいに設置していく、こういうことになるのですか、その辺を、重要な問題ですから最初にお聞きしておきたいと思うのです。
  6. 木田宏

    木田政府委員 先ほど私申し上げましたように、将来におきます国・公・私立大学あり方は、高等教育制度のこれからの改革を進めていきます場合の非常に大きな課題でございます。その意味で、その改革の基本的な方向がいまきまっておるというわけではないというふうに御答弁を申し上げました。しかし、おのずから国立大学の果たしてまいりました役割り、それから地域における役割り、あるいはそれは公・私立との関係において国立大学として考えていかなければならない諸要素というのがございまして、それらの観点から、国立大学につきまして、もう将来の拡充を一切とめてしまうということよりも、御論議むしろ国・公・私立の将来のあり方を考えた場合に、国立あるいは公的な大学というものの拡充という一方向が、御意見としては強く指摘されておりますことを私どもといたしましても承知いたしておるわけであります。そういう線で、将来にわたります基本的なあり方は今後十分詰めていかなければならぬといたしましても、さしずめ、それぞれの国立大学が持っております課題、現在の実情から考えまして、少なくともこうした整備を行なうべきことが適切であるというふうに考えられます教育拡充整備につきましては少しずつ進めていきたい。また、私どもも、国立大学を全体計画としてどういうふうに位置づけるかということの論議とは別に、個々大学におきましても、それぞれ新しい方向を模索して考えておるという、その個々大学努力というものも踏まえまして、そうしたものを、将来をある程度大まかに考えながら今日の時点整備しておくべきもの、こういうふうに判断いたしましたものにつきまして、今回の学部学科整備を進めた次第でございます。  したがいまして、この方向を将来どういうふうにするのかといいますのは、個別の問題として考えるべきものと、それから国立大学全体を通じてのものと、両面から考えなければなりませんけれども、個別のこれまでの案件を考えながら、将来の方向から見まして、矛盾その他の点がないもの、整備しておいて一歩前進になると考えられますもの、こういうものにつきましては、学部新設等をお願い申し上げました。  また、研究所につきましては、やや新しい形での研究所整備ということを考えておりまして、これも、国立大学国立大学に置かれます研究所あり方ということにつきましては、なお論議をしていかなければならない点もございますけれども、個別の課題を即応しながら整備していくことによって、将来の新しい方向へ向かっていく場合に矛盾になると思われない、いまこの時点整備を進めていくことがむしろ将来のあり方を考える上において適切と思われますものについて、拡充新設をお願い申し上げている次第でございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまの御答弁によりますと、新設あるいは拡充する場合には大体三つ立場ですか。一つは、個々大学のやむにやまれぬ気持ちというものから出てくる。もう一つは、文部省として将来を考えた場合に、ぜひここで新設をしておくのがいい、こういうように考えた場合。それから、各地方から要求もだしがたく新設を願い出てくる、こういうものについても考える。こういうことですね。大体三種類ですね。まだほかにありますか。
  8. 木田宏

    木田政府委員 個々大学におきますやむを得ないと申しますか、個々大学実態から考えて、当然整備を必要とするという実態のものが一つございますし、また、個々大学のそういう具体的な要求でありましても、これは将来の国立大学全般を見渡しました場合に、一つの試みとして、その大学のみならず、将来の動向を考える上において適切と考えられますもの、これが第二点でございます。もちろんその中には、個々地域の御要望から起こってまいるものも確かにございます。しかし、それは地域におきます個々大学あり方の問題として適切なものは、これを受け入れていきたいというふうに考えておる次第でございまして、地域要望があれば何でもつくっていくという意味ではございません。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は地域の代表の意味合いできょうは質問しておるのじゃありませんので……。  三つ立場から大学がつくられていく、その最終的な判定はだれがなさるのですか。ここがいいだろう、この学科がいいだろう、この大学の熱心さにほだされるとかいうようなその見きわめはだれがするのですか。
  10. 木田宏

    木田政府委員 こうして法案として御提示を申し上げるまでに至ります間、文部大臣が最終的には御決断を下されることでございますけれども、その間におきまして、個々大学で、いろいろな学部学科、あるいは大学院等要求が出てまいります。個別の大学としてそれが適切であるかどうかという問題につきましては、これは法令上の要件ではございませんけれども大学設置審議会にはかりまして、大学あり方としてこれが充実したものであるかどうかというような手順は経まして、その御意見ちょうだいをいたしております。しかし、基本的には各大学から毎年毎年、その大学の将来計画とあわせまして、学部学科等拡充要求が出てまいりまして、その各大学の御要望を、私ども事務当局が中心になりまして伺いながら、いろいろな審議会で御論議になっております当面の案件その他を勘案して原案を作成するというのが実情でございます。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大学設置審のやる仕事ですね、これは大体条件にかなっておるかというようなことが主体じゃないのですか。将来を見通して、ここらに人間科学部を置くほうがいいとか、あるいは名古屋大学プラズマ学科を置くほうがいいとか、こういうことは設置審のやる仕事でしょうか。大体、設置審は、大学新設する場合あるいは増設する場合、それに対する条件が備わっておるかという、言うならば資格審査機関のような感じがしておるのですがね。もし資格審査機関であるとするなら、そういうような長期見通しやら、ぜひ必要があるとかいうようなことに対する権限があるのかないのかということに非常に疑問を持つのですね。どうですか、その辺は。
  12. 木田宏

    木田政府委員 先ほど私の御説明の手順がちょっと適切でございませんで、設置審議会の機能は、いま三木委員が御指摘になりましたように、その大学がそういうものとして適切であるかどうかということの資格判定いたします。しかし、そこへ持ってまいりますまでの間に、たとえばこれは研究所の場合のことをちょっと念頭に置いたわけでございますけれども学術審議会等で、こういう研究所を設けることが適切であるとかいろいろな御意見ちょうだいをいたしております。そうしたそれぞれの審議会が、各分野ごと技術者養成につきましても置かれておりまして、あるいは教員養成、あるいはコンピューター関係情報科学関係者養成であるとかいうことにつきまして、それぞれの領域から、いろいろな将来についての見通しなり要望なり処置なりについての意見が上がってきております。それらを勘案しながら、個々大学予算要求とあわせて事務当局原案をつくりまして、必要がありますならばさらに関係審議会意見も打診しながら、大臣の最終的な御決定をいただきます。大臣の最終的な判定をいただいたあとで、なお大学設置審議会に、個別の具体的な整備案件としてこれが十分に整っているかどうかという資格判定につきましては、意見ちょうだいすることにいたしております。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣あとから伺いますけれども、いまの局長お話では、各種審議会の御意見も聞く、そして最終的にはもう一ぺん設置審に諮問をして、そこで条件を具備しておるかどうかということを判断する。たとえば、図書がどのくらいあるとか、あるいは教授の陣容はどうだとか、教授の中に欠格者はいないかとか、あるいはまた他の大学と兼任して条件を具備していないのじゃないかとか、こういうことはやると思うのですが、いまおっしゃるように、非常に必要が出てきた大学学部学科に対しては各種審議会審議を経る、こうおっしゃいますが、どんな審議会を経るのですか。
  14. 木田宏

    木田政府委員 たとえば、いま御審議をいただいております法案そのものには直接出ておりませんけれども医師養成につきまして、医科大学整備をどうするかというようなことは、具体的な課題として私ども問題意識を持つわけでございますから、そのような場合に、医科大学設置につきましての調査会を設けまして、将来の設置——将来と申しましても、とりあえず数年間どうするかといったような御意見ちょうだいいたしております。さらに、そうした場合に、新しい大学設置だけではなくて、学部学生定員の増をはかるべきであるというような御意見も出てきておるわけでございます。それから、学術審議会におきましては、研究所新設等につきまして、これは各方面からいろいろな種類の数多くの研究所新設の御要請が上がってまいりますので、そうしたものの中から、どういうものを最優先的に取り上げていくべきであるかというような点につきまして、学術審議会の御意見ちょうだいをいたしておるところでございます。  なお、これはまあ将来の課題になるわけでございますが、大学設置審議会の中に設置分科会基準分科会と分かれておりまして、大学基準につきまして、こういう基準でこういう方向をというような御検討をいただく分科会がございます。これはただいまの御審議の中身には直接の関係はございませんけれども、しかし先般来、将来の大学院あり方について御審議をいただいておりまして、大学院はこういう方向に持っていったらいいのではないかというような御意見ちょうだいすべくいまお世話をいたしておりますが、そうした審議会意見というものが今後の具体的な措置を考えます場合に関連してまいります。また、教員養成につきましても、いま審議会で将来の方向の御意見を詰めていただいております。そうしたものの御意見の結果が、私どもといたしましては、個々大学要求を考えます場合のよりどころになるというふうに思っておるのでございます。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私どものよりどころになるということになりますと、結局、最終的には文部省がきめられるということになるのですね。  そこで私は、きのうの質問を聞いておりまして、なおまた各地からたいへん激しい医科大学等新設の陳情があるわけなんですね。その中でいまひとつわかったのですけれども、将来の長期見通しはまだ立てていない、いま当面これをどうするかという緊急の場としてこれに対処しておるという文部省態度はわかりました。しかしながら、国・公・私立のバランスを考えてやっていかなければならぬ、こういう立場に立つと、非常に要求の強いところ、それから私立なんかでも非常に激甚な競争をやられておるわけですけれども、この中ではっきりしたスタンダードがなければ、どちらかへ片寄ってしまうんじゃないかしらと、きのうからずっとそれを心配しておるわけなんです。いまのお話しでは、そのけじめのつけるところがどうもあいまいな感じです。  これは大臣にお伺いしておきたいのですが、まあつかみで、ことしは予算としては、生徒の募集増員はこれくらいの人数しかできない、あるいは新設も入れてこれくらいほどしかできないという、予算の面から考えなければならぬと思いますが、大臣立場はそうですけれども、そういうつかみ予算的に、私立をこれくらい置くと、そうするとかなり医学人数も多くなってくる、まあ十万人に対して百五十人、百八十人ということをめざすと、私立をこれくらいにしておく、公立はこれくらいでいいだろう、ことしの予算はこれくらいでいいだろう、こういうようなことで、その場その場で絵をかいていくのですか。やはり長期見通しというものが、いまはないとおっしゃるのですから、ないからこそ、毎年毎年こういう国立学校設置法の一部改正というものが、去年も出たのですが、ことしも出たのですね。そういうようなぐあいに一部改正を毎年行なわれるのか、その辺がどうもまだ私の腹にはまらぬのですが、大臣、ひとつそれについてどういうふうにお考えになっているのですか。もうちょっとはっきりと、あなたは何でもずばり割り切ってお話しになるんですから、ずばりと割り切ってお話しをしてみてください。
  16. 高見三郎

    高見国務大臣 国立学校設置法の一部改正というのは、これは私は毎年やらなければならぬ問題になってくる、率直に申し上げてそう考えております。  それから、医師養成の問題については、私は、かつては国立二十七校に対してわずかに六校か七校の私立であったものが、急激に、たしか二十八校対二十六校というような割合になっておるかと——これは数字の間違いは若干あるかと思いますが、大体私違っていないつもりでおりますが、これが一体いいことだろうか悪いことだろうかということを考えますと、私は国立大学というものが必要であるという考え方を真剣に持っておるのでありまして、ことに医療の問題に関する限りは、人さまの命にかかわる問題でありますから、なおさらこの問題については慎重に扱わなければならぬ、こういう考え方をいたしております。  毎年毎年法律改正をやるじゃないかという御意見、これは毎年やるのが私はあたりまえだと思っております。時代の進展に伴いまして毎年毎年やっていく、そのうちに高等教育基本計画というものが策定いたされますというと、これは国が思い切った金を出すということでなければとてもどうにもなりません。国が思い切った金を出す時期が来ましたら、三年や五年は、こうして国立学校設置法の一部改正などというものをやらなくても済む状態をつくりたいものである、かように考えております。  いまのところ、御承知のように私立大学国立大学の比率というものを申しますと、短大まで含めますと、大体四分の三が私立である。それにはそれなりの歴史的な事情もありますし、それから私立大学の中にも、はっきりした建学精神をお持ちになっておつくりになった大学もある、非常に高く評価しなければならぬ大学もあるわけでありますから、これはこれとして尊重しなければなりません。けれども条件さえ整っておればただもう認可をすればいいという考え方ならば、もう少し条件というものについての考え方を考え直さなければならぬのではないか、こういう考え方を私はいたしておるのであります。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私の申し上げたいのは、昨年六月に中央教育審議会答申が出されて、高等教育改革に関する基本構想が示されたのですが、大学教育改革に取り組む文部省の基本的な態度と今後のスケジュールをどう持っておられるかということをぼくは大臣から聞きたかった。毎年毎年国立学校設置法の一部改正を出すじゃないか、そんなこと何も言っておりません。これは毎年だろうが隔年だろうが、そんなこと一向かまわぬのです。私が最初から申し上げておるのは、文部省の基本的な態度と今後のスケジュールを伺いたいと思ったのですけれども、いまのお話を聞いてみますと、私立でも建学精神を立てられて高く評価する大学もある、こういうことになりますと、低く評価する大学もあるということになる。これは困るという大学もありそうですね、大臣の話を聞いておると。そういうことを許して、そして四分の三私立公教育一環をになわしておるわけです。それならそれでいいんですが、それに対する——要するにいまの大臣お話を聞いていますと、為政等が人民なり国民を支配するんだぞという立場から、その資格がどうだとか、それを審査する基準がどうだとか、こういうようなことにウェートを置いたお話だったのですけれども、私は、そういうことでなくて、私立なら私立、あなたがおっしゃるように高く評価できぬところはその質を上げるような努力をどういうふうにしていくのか、公教育一環を四分の三持たしておるならば。あるいは四分の一の将来の見通しをどういうぐあいにやるのか。プラズマ学科新設するとか、あるいは人間科学というようなもの、あるいは人間工学とか、こういうようなものはいま必要です。これの必要はわかっているのですけれども、それをどういうように長期見通しの中に配分していくか、こういうことを示していただかなかったら、高く評価するところもあるし低く評価するところもあるという評論家立場やら、資格をどうするか、あるいは条件を具備しておるかどうか、こういうチェックする立場でばかり考えてもらったら、いかにも大臣が、新しい大学設置するのはおれの胸三寸にあるんだということが言外に聞こえそうです。   〔委員長退席谷川委員長代理着席〕 そう言うてはおられませんけれども、私らの耳にはそう聞こえてくる。最初申されたように、そんなものじゃないと思うのです。それをひとつお伺いしておきたい。
  18. 木田宏

    木田政府委員 先ほど申し上げましたように、中央教育審議会で将来の方向として五種類にわたります大学あり方というものの御示唆がございました。それをどういう年次計画で具体的に改革手順を進めていくかということにつきまして、本年度課題として私ども責任のあることを感じておるわけでございますが、大学改革を進めてまいりますためには、将来の大きな見通しと同時に、一方では、個々分野ごとの、あるいは個別の大学事情というものをその中に加えて、そして具体的なそのときどきの改革の進め方あるいは具体的な案件の処理というものを考えていかなければならぬと思っております。  そこで、昭和四十七年度におきましては、一方で高等教育の国・公・私立割合を将来どういう方向に持っていくべきであるとか、あるいは国・公・私立大学を含めまして高等教育費全体に対して、どういうふうな資金の投入のしかたをすべきであるとか、こういうマクロの段階で考えました大きい見通しというものをぜひつくってみたいと思います。  しかし、それと同時に、それだけで事が運ぶわけではございませんで、医学領域につきましては、医師養成を将来どのぐらいの計画でどうしなければいかぬかというまた個別の課題が出てまいります。情報科学につきまして、関係技術者養成をどうしなければならぬかという個別の案件がそれぞれ出てまいります。それぞれの案件につきまして、またそれの分野別に将来の見通しをつくっていくということをしなければならない。同時に、それは全国的にいろいろの計画なり見通しができましても、個々大学でそうしたものをどう受けとめて具体化していくかという個別の大学事情がございますから、全国的な見通し分野ごとの将来の見通しというものを固めて、それを国・公・私立大学にわかるようにしてやる。国・公・私立大学は、それぞれマクロのガイドラインになりましょうか。そういうものを考えながら自分の大学整備というものをどういうふうに持っていくかという個々案件になってまいります。  で、設置法でお願いし、あるいは個々大学設置認可、学部拡充の認可といったような個別の処理が毎年毎年の課題として具体的に出てくるということになろうかと思いますが、いままでマクロの大きな見通しを立てるということにつきまして、私ども必ずしも十分でございませんでしたので、本年度は、予算の上でもそうした高等教育の将来計画を早く立てるべきだということから御措置をちょうだいしております。それによって一方ではマクロのものを進めたい。各専門分野ごとの将来の規模につきましてはいろいろと御批判もございましょうけれども医学医学につきまして、教員養成教員養成につきまして、一応それなりのめどというものは、関係審議会の御意見を通じ、私どもも腹づもりは持ち得るわけでございます。しかし、それは全体的なマクロの計画とあわせて、そしてまた、最終的には個々大学の具体的な動きとあわせて毎年確定をし、また、それによって次の改正を考えるという手順で進むべきものかと思っておるところでございます。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体わかりました。そうすると、いまのお話では、そういう判定はやむを得ざるものあり、やむにやまれぬものがある、こういう立場から出てきたものについては重視する、こういうことのようですね。  ここに一つの例として、国・公・私立の配分の問題になってくるわけなんですけれども、それを考えなくて、マクロの立場から判定しなければならぬ、基準を置かなければならぬということは必要ですので、そういう立場から四十五年、四十六年、四十七年と、いわゆる私立四年制大学の開設認可状況を見てみたいと思うのです。四十五年は、申請校が五つあって認可が四、取り下げが一。四十六年は、十三で認可が七、継続が二、そして取り下げが四。それから四十七年が十三、七、二、四。  これを一つ一つお聞きする繁雑だけは避けたいと思いますが、どういう傾向かということを知るために、かりに四十六年、昨年度をとってみたい。十三校あるのですが、そのうちで認可した学校の名前、それで継続審査というのが二ありますが、それは本年も入っていたろうと思いますから、その継続の学校名、そして取り下げの学校の数。これは私、浪速大学の問題とも関係あるので——話が関係あるので、私は関係ありませんけれどもちょっと聞いておきたいのですが、その申請校と認可校と継続審査校と取り下げられた学校、ちょっと名前を言うてみてください。
  20. 木田宏

    木田政府委員 四十六年度、御指摘のように私立大学大学または学部新設につきましては十三件ございまして、そのうち七件が認可になっております。六件がその意味では残ったわけでございますが、六件のうち三件が継続審査ということになりまして、四十七年度の審査に持ち越しになりました。他の三件は取り下げということになった次第でございます。継続審査になりましたものは、兵庫医科大学と名古屋保健衛生大学、それから愛知医科大学の三校が継続審査ということになりまして、この三校は四十七年度開校として認可の手順が進んだわけでございます。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それから取り下げ三校……。
  22. 木田宏

    木田政府委員 ちょっとあとで名称をお知らせいたします。いま手元に……。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうですか、秘密じゃないのですね。
  24. 木田宏

    木田政府委員 秘密じゃございません。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もうやっておることですからね。
  26. 木田宏

    木田政府委員 はい、申請が出たものでございます。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでは、十三校のうち六校ですから、七校認可されていますね。七校の認可はどういう学校ですか。私は傾向を見たいと思うので聞きたいのです。
  28. 木田宏

    木田政府委員 ちょっと個別の名称が、昨年の案件でございまして、担当者の手元にございませんので、たいへん恐縮でございますが、年次別の大きな流れを、実は学生定員を通じてちょっと御説明申し上げたいと思います。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、私は名前が知りたいんだ。医科を重視したのか、文科を重視したのか、それはどんな観点に立ったのかということ。国・公立でなくて私立を見ればわかりますから、それで聞きたいのです。   〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
  30. 木田宏

    木田政府委員 即答ができませんでまことに申しわけございませんが、四十六年度七校認可になりましたうちの二校が医学関係でございまして、他が人文関係だったと思いますけれども、いま個別の名称を至急取り寄せましてお答え申し上げます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は大体の傾向でいいのですが、取り下げられた学校をひとつ言ってみてください。それもわかりませんか。
  32. 木田宏

    木田政府委員 取り下げられた学校数は、学部の段階で三校でございます。いま個別の名称をちょっと……。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それもまたあとで……。
  34. 木田宏

    木田政府委員 はい。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、二校が医学、そして継続が三校ありましたから、昨年度の分は五校というようになりますね。十三校のうちで三校が取り下げですから十校、十校生きておったわけですね。十校のうちで半分が医学、半分が人文その他のようですが、その希望の状況というもの、あるいは割り当ての状況というものは、どこがどういうようにしてこれをきめるのですか。大体条件にかなって、これは質がよいという判定を下した場合に、相手の希望するままに許していくのですか、バランスをとりながら許していくのですか、そこを聞きたい。
  36. 木田宏

    木田政府委員 現在まで、私立大学設置認可につきましては、大学としてそれぞれ学部別に基準がございますけれども、その基準に合致しておれば、全体計画との関連は考慮の外に置きまして、個々大学案件として設置の可否をきめるというふうな進め方をいたしております。ですから、従来から個別の申請がございましたものについて、この分野は大学がたくさんあり過ぎるから、どんなにりっぱなものでも認めない、こういうふうな態度はとっておりません。その意味で、私どものほうでは、その総数についての私立大学新設拡充のコントロールは全然いたしていないということになります。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わかりました。大体いまのお話では、私立大学新設の相手の意向が主体で、これに対して文部省としては、全体的なこれに対するところの計画の上でとやかくとチェックはしてない、こういうことですね。そこで、先がたおっしゃいました、全体的な今後のスケジュールというものを持っていない、これはやりたい、本年度課題だということが、通して見てわかりました。  そこで、浪速大学の中身に入りますけれども、浪速大学のこういうような事態が起こってきたということに対して、きのうは勝澤委員からもお話があったようですが、どこにそんな原因があるのか。私の心配しておるのは、その申請した大学設置者に一つのモラルが欠けておる、こういうようにきのうはお話があったようにも思いますし、一方、父兄も、これは医科大学の場合ですけれども、ぜひ医者にしたいという希望が強過ぎるというところにもあるようですが、私の心配しておるのは、設置のチェックをする側にそういう心配はないのか、あるいはそういう事例はないのかと思うのです。きのう大臣に伺ったときには、浪速大学は初めからわれわれは認可しない、いい大学じゃなかったから、そういう腹づもりだった。そういうところへは審議会委員やあるいは私大審の委員は寄りつかないですわね。しかしながら、やっと審査にかかるというようなところは激烈な競争をすると私は思うのです。激烈な競争が行なわれるでしょう。行なわれておるのを私も見ておるのですが、そうなってくると、ここに何らそういうことでいままで事故を起こしたり——まあ事故を起こしたら新聞に出ますから表に出てきますわね。これなどはどっちかというと現行犯ですから、現場をきちっとつかまえなかったら、汚職だとか違反だとかいうものは出てきません。しかしながら、そういうようなおそれは、大学局長としてあるいはまた大臣として持っておられないか、持っておられるか、そういう点をひとつ聞いておかないといかぬと思うのです。そういう点、どうですか。
  38. 木田宏

    木田政府委員 いまいろいろな論点でのお尋ねがあったかと思いますが、第一は、なぜ浪速医科大学のようなああいう問題のある申請が出てくるかということであったかと思います。これは過日の勝澤委員の御質問に対しましても、まあ端的に申しまして、医学教育を受けたいという希望者が非常に多いという問題、それで現実の課題としては、医科大学の学生入学定員数が必ずしも社会の医師の需要に対して十分であるといえない面が一つあろうかと思いますが、個々大学設置審査につきましては、医学でありましょうとも何でございましょうとも、一定の基準に合致しておるかどうかということを大学設置審議会並びに私立大学審議会のそれぞれにおきまして検討をしていただきまして、その基準に合致して・おれば認可としての可の御答申をいただくということで処理をしてきております。  それで、私ども審議会関係者あるいは文部省事務当局を含めますこの設置関係者につきまして、何か問題になるところはないかという意味での最後のお尋ねであったかと思いますけれども、過去におきまして全然そうした問題がなかったかということになりますと、遺憾ながら一、二疑惑を招いたようなケースもあったと私も記憶いたしております。しかし、その後大学設置の審査にあたりましては、関係者にもあるいは審議会委員にもそうした点について疑惑の起こることのないように十分な御注意をいただくようにお話も申し上げておりますし、また、私どもの担当者にも自戒をさせておりますので、私どものサイドに疑惑を招くようなことは、最近のところ全然ないというふうに確信をいたしております。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 なぜこんなことを言うかといいますと、新聞の切り抜きですけれども、三月三十日から起こってそれから四月の十一日まで約十日間あまりの新聞の論調をずっと縦に私も見てみたわけですが、その中に文部省の振興課がこういうことを言っておるのですね。医大新設に百億円かかる、ここ数年来認可申請はメジロ押し、三番目に医師養成を企業化して甘い汁を吸おうとする不心得者も出てくる。四十六年度は十校申請して六校認可した、こういう談話が新聞に載っておるわけです。こうなってきますと、文部省として身ぎれいでも、甘い汁を吸おうとする不心得者がどういうことをするかわからぬ。それで、八日ぐらいの新聞になってきますと、「浪速医大不正」「文部省に疑惑」「係官に供応、贈賄」安嶋文部省管理局長談話「贈り物は返したはず」。それから九日になってきますと「私大審に贈賄攻勢」「時子山会長と会食」会長は「手はつけなかった」。現実に高級時計や毛布をぶつけておる。それから四月の十一日浪速医大の問題は「政界にも波及か」。私大審、政治家、文部省筋に——これは相手の自白ですよね。数千万円の現金をばらまいた、こういうように新聞には載っておるわけです。だから、いまおっしゃるように、私立大学設置するためにメジロ押しに申請が出てくる。そこで、どうしてもこれに乗らなければならないという運動が熾烈になるのはこれは当然の勢いだと思う。そうなったときに、だいじょうぶかどうかというようなけちなことは私は聞いておりません。あるいは時子山さんがどうだったとか、こういうことは聞いておりません。問題にしません。また、時計や毛布をお返しになりました武庫川大学の公江学長ですね、この話も新聞に載っておりますが、こういう身辺のきれいな人は突っ返した。こういうこともあると思うのですけれども、こういう攻勢の中で、制度として、いまおっしゃるように、資格だとか条件だとか、教授がそろうておるかどうか、こういうようなことを調べるという権限を与えたところに、将来もあるいは現在も問題は起こっていないとしても、考えなければならないところはないか、こういうことをお伺いしておるのです。
  40. 木田宏

    木田政府委員 大学設置をどういうふうな手順でやっていくかということにつきましては、いま私どもが日本の大学について行なっておりますところが唯一絶対のものとは考えません。アメリカのように、つくること自体はかなり自由につくっておるところもございますから、そういう個別の審査というものを、大学について設置の前にやる必要があるかどうかという御論議まで基本的にはあり得るかと存じます。しかしながら、また一方では、一つ一つ大学をつくりますのに、法的な措置によって、まあ日本の国立学校と同じような手順を踏みながらつくっていく国もございますので、この現在のやり方については、考え方といたしまして検討していい点はいろいろあろうかと思います。  しかしながら、ちょうどベビーブームに対処いたしますころからの大学設置申請の急増、それから医科大学につきましても、自由設立主義でございますからいつでも出てきてよかったはずでございますけれども昭和四十四年度までは一校の申請も起こってきていない。四十五年から急にたくさんのものがメジロ押しに出てまいりました。こうしたものの審査の実態を私ども設置審議会等を通じて見ておりますと、手放しでいいというふうにはとうてい考えられません。むしろ、何か医師が不足であるということから、それっとばかりに医科大学の申請がメジロ押しに出てくるというような動きに対しまして、できるだけ慎重に、いいものをつくっていただくというそういう立場で、押えるものは押え、指導するものは指導するということをしていかなければならぬと思います。その意味では審査機関というものが現在の日本の場合どうしても必要であって、教職員が十分にそろうかどうか、資金の規模、財政的な基盤が十分であるかどうかということにつきましては、やはり当分慎重な審査をしていきたいというふうに考えております。  ただ、審査をいたしますその手順が、現在やっておるのでもう完ぺきであるかということにつきましては、私どももその審査を行ないましたつど反省もいたしておりまして、特にいま問題になっております医科大学の審査につきましては、来年度以降、この一、二年の経験にかんがみて改善すべき点は改善すべきではないかということで、審査の手順基準整備ということをいま急いで関係者に御検討いただいておる次第でございます。いまやっておりますことすべてが全部これでいいとも思っておりませんけれども、お尋ねになりました審査というものを、基本的にはしっかりやっていく必要があるというふうに現在の段階では考えております。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もうちょっと中身に入りますよ。まあきょうのところで問題になったところは、長期見通しスケジュールはないということはわかりましたけれども、今度はそれじゃ個々の問題に入ってみましょう。  あなたは、いまのところは審査をしっかりやらなければいかぬ、こういうことです。なるほどしっかりやらなければいけませんよ。私の言うのは、しっかりやった結果がどうかということなんです。たとえば、これを運営するところの学校の基本金幾ら、それから運動場の敷地、これが何ぼあるか。これも条件を具備した、それから学校の図書も十分だ、教授陣営もだいじょうぶだ、こういうようにしっかりやった結果、パスするべき条件を全部具備した。そしてなおこの中で落ちていくのはどういうことなんですか。しっかりやった結果落とされる基準はどこにあるのですか。それを聞いておかぬと、しっかりやって、しっかりやり過ぎたことが、将来陳情合戦といいますか、贈賄合戦に連なるのです、しっかりやればやるほど。こういう反応を示してくることは私は事実だと思う。そこで、落としていくのは——しっかりやった結果これはどうなるのか。  それから、これもあとで資料として出してもらいたいと思うのですが、国・公立のバランスというのはまだ何にも考えていないという話ですけれども、現在、医学の場合、入学金として大体昨年度六百万でしたか、文部省の発表では六百万でしたね。入学金として先に金を納めるのは……。本年はまた上がっておるだろうと思うのです。これは私立の場合ですね。公立ならそんなものは要らないわけです。協力金くらいのことで済みますけれども。その陳情したりあるいは申請があれば、それはどんどん条件に合わせてみて許していくという、こういうところに問題がありますけれども、それからその入学金が六百万から一千万になり一千二百万になっていくということになりますと、医は金で買うというこういう現実の姿が出てきませんか。そこで、本年度の入学金、一ぺん各校の状況を出してもらいたい。これは公立を今後どうやるかという一つの目安にもなると思うのです。私立は許すなと言っておりませんよ。私のいま申し上げていることは、私立に対して厳格にやって、それに対して全部条件がそろっておるときに、それを落とす基準はどこに設けてあるかということなんですね。初めからもう大臣の言われるように、これは通さぬのだということなら、いろいろな条件をなにして、一番最後にどこへ逃げるかといいましたら、私大審が四対三になったとか、五対六になったとか、五は賛成で六が反対だったからこれは通しませんでした、というところで、それを隠れみのにして逃げていくわけです。何もかも条件はみんなそろっておるけれども、その中に文部省の恣意は入ってこないかということです。あれは初めから通すまい、こういう恣意が入っておれば——今度の浪速と違いますよ、去年のことを言っておるのです。浪速のことは何にも言いはしないのです。御心配なくどうぞ。  そういうことになってくるわけですね。最近の十日間ほどの新聞の論調を見ておっても、数十万円現金をばらまいた。これはいよいよもう通してもらわれぬようになりそうだということで、私はあせりが出ておるのだと思います。浪速大学の場合は、私が見ましても条件は具備していませんよ。これはだめだと思いますけれども条件を具備したときに、強力にやってそれをアウトにする場合ですね、最終的には五対三とか、五対六とか、こういうことでアウトにするのですか。その辺を聞いておきたいと思うのです。そうでなかったら、いよいよ大詰めに来て、問題点に入ってきたときにどうなるのかということを私たち心配するのですよ。
  42. 木田宏

    木田政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、現在の段階では、条件と申しますか、設置基準に適合しているかいなかが合否の判定の基本でございまして、設置基準に適合しておりながら、なおかつ不合格というような措置はとっておりません。そのことに別の意味では一つ問題がございます。したがって、もう少し個別の案件としては、条件に適合しておりましても、全体のあり方から見て認めるべきでないとかなんとかという論議は、事柄につきましては起こり得ますし、将来の扱いの方向としての御論議は伺っております。しかし、今日までやってまいりましたのは、基準に適合しているかどうかという判定の問題でございます。判定につきましても、委員個々の御意見は、このボーダーラインのケースにつきまして議論が分かれるということはあり得るであろうと思います。そういう点から、大学設置審議会におきましても、最終的な委員意見をまとめます場合には、投票によります表決によるという手順が従来一貫してとられております。その意味では、確かにそのどちらが多数であったかということが最終的な審議会の意思決定になりますけれども、その意思決定は、提示してあります基準に合致しておるのになおかつ不可にするということではございません。基準に合致しておるものについての判定をお願いをしております。また、しっかりやっていきたいという意味は、基準をりっぱなものにし、いい大学ができるようにしていきたいという意味でございます。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 基準に合致しておるのに不可にするとかしないとか、そういうことはありませんということですね。そういうことはないですよ。確かに私はそういう事実を知っておる。基準には合致しておる、けれども不可になった例を私は知っております。  そこで私は、伺っておきたいのは、その表決する場合、各審議会委員の中に選択基準というものを、いわゆる教科書の検定基準のように、そういうものが守則として渡してあるのかどうか、それは秘密で言えないのかどうか。単なる各審議会委員の個人的な感情やら個人的な見解だけではやられないと思うのです。何かものさしが与えてあるのですか。最終段階に入ったときに、これをアウトにする場合はこうするのだという十カ条くらいな、五カ条くらいなものさしが与えてあるかどうか。そうでなかったら、個人がかってに、もうその権威で、その人格全体でこれを判定するのか、その辺をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  44. 木田宏

    木田政府委員 たとえば医学部について申し上げますと、医学部の審査基準というものがつくられてございまして、これは申請者のほうにもこういう基準であるということを提示もし説明もいたしておりまして、その基準によって審査をいたすわけでございます。  いま御指摘がありましたような点で多少論議が起ころうかと思いますは、教官につきまして、教授相当であるかどうか、あるいはこれを助教授なり教授で格づけていいかどうかということにつきましては、個々の教官の業績の判定ということになりますから、これは私どももその業績の判定につきまして相手方に明示をしておくということもできませんので、その意味ではその教官一人一人が、これは医学部基礎の教官としてりっぱな人であるかどうかという判定は、専門の方々の合議の御判定にゆだねるということになります。そのことにつきましては、これは専門家の間の論議として、その結論を私どもちょうだいするということになりますので、基準として明示できるものにはなっておりません。しかし、一応外形的に、学生定員がどのぐらいの場合にどうした教員組織が必要であって、どれだけの施設設備、校地が必要であり、図書がどうであるかということは明示してございます。その基準によって御審査をいただいております。
  45. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは表でしょう。たとえば各人の履歴書を出し、そして文部省の前もってのそれに対するところの調査もしてもらって、これならいいということで出てくるのですね。みな出すんですね。ほとんど私の知っておる範囲、私のタッチした範囲では、履歴書からもう全部出して、兼任はどう、専任はどう、講師はどうというようなことも全部文部省に下見を先にしてもらって、これならだいじょうぶです。りっぱです。——だからあなたのおっしゃる基準はこれは表向きの問題ですね。それを具備しておらなければ通らぬのはあたりまえですよ。これは、先がたのあらゆる条件なり基準というものを、表向きの基準をパスしておって、そこに遺憾な点はなくて、それでもなお落とされる場合は何によるかというと、いま申しました審議会委員の全人格でそれを判定されるのか、あるいは何かものさしが与えてあるのかどうかということだけを聞いておるのです。その二つだけ答えてくれればよろしい。最終判断は審議会委員に全部まかしてあるんだということ……。
  46. 木田宏

    木田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、申請者側にも明示してございます基準というものについての御判定をお願いをいたしておりまして、それ以外のものはないかと思います。しかし、その基準についての判断はあげて審議会委員に一任をいたしておるところでございます。
  47. 三木喜夫

    三木(喜)委員 判断はというて、これは一般的なちゃんと整うたものになっておるはずでしょう。それまでもうだめだったら、書類を見たときにもうそこで書類で落としてしまったらいい。審議会にかけてそういうことまでやらなくても、大体文部省で下見して、これは具備する条件がだいじょうぶだといろことになっておればいいんだと思うのです。それはいいでしょう、その辺は本論でないですから。  そこで、私の申し上げたいのは、最終的に——年度の三校わかりましたか。
  48. 木田宏

    木田政府委員 失礼いたしました。計数もちょっとずれておりましたので、校名を申し上げながら四十六年度の申請の概況を申し上げます。  大学は十三の申請校がございまして、四十六年度の申請で取り下げになりましたものは東京キリスト教大学、それから北部薬科大学、京都国際大学、九州厚生大学でございます。継続になりましたものが三校と申しましたうち一校は学部としてでございまして、学校数の中に入っておりませんでしたものですから、継続になりました学校数は二校でございます。取り下げが四校、それから可となりましたものが七校でございます。訂正させていただきます。
  49. 三木喜夫

    三木(喜)委員 取り下げは四校ですか。
  50. 木田宏

    木田政府委員 はい。
  51. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはそんな心配するなということになるかもしれませんけれども、やはり文教行政としてここまで考えなければいかぬのじゃないかと思うのです。この四校がはたしてどういうふうなところでアウトになったのか、これも聞きたいところですけれども、時間的な制約もありますし本論でないものですからこれは避けまして、一括して私申し上げたいのですが、でたらめな設立の申請ということで世の批判も受け、われわれもどうかと思いますからこれはもう論外ですが、しかしすでに校舎だとかこういうものを全部設立しておるのですね。これなしには申請できぬでしょう。これまで虚偽のものはできないでしょう。これまで建ててしまったのか建てさしたのか、これだけの条件を具備しておらなければだめだということで条件をどんどん出してこられて、つくられてそういうあと片づけばどうなんですか。これはもう知らぬのですか。文部省は幾らでもやらしておいて、あとはまた売れるだろう、適当な工場にでも何にでも売れる、こういう態度ですか。不正をやっておったんだからもう知らぬぞ、何なりとせい、こういうことですか。さしずめ四十六年度でアウトになった四校、あるいは四十七年度でそれが拾い上げられたとかなんとかいうのなら別問題ですけれども、四校は、校舎も図書も教授陣も——教授も、継続審査になれば一年間というものは、専任の場合はやはり給料を出さなければならぬでしょう。そうでなかったら来年までそれを温存するわけにいきませんからね。そういう場合はたいへんなお金がまたかかる。それはどうなんですか。その辺を私は老婆心かもしれませんが心配するのですね。
  52. 木田宏

    木田政府委員 申し上げるまでもないことでございますけれども大学は建物だけでできるわけでもございませんで、審査の基準に合致するかしないかという点は厳重に審査をしていきまして、審議会の御判断によって文部省としてもその態度をきめておるわけでございますが、不合格になりましたもののめんどうまではとうてい見切れるものではございませんし、これはやはり私立大学をつくるということが、そう甘い考えでやられては適切でないと私ども思っております。十分に事前に御説明もいたして、申請の適正を期するように事前の御相談には常に応じておりますけれども、しかし、毎年毎年相当数書類だけつくってかけ込んでくるというのがございます。そして審査の経緯で見てまいりまして、とうていお話にならぬというのが若干数は出てくるということがございまして、審査の段階で、早目にこれはもう出直しをしなければだめですということを事務当局が言うこともございます。しかし、本格的な申請書として出てまいりましたものにつきましては、どうしても審査を進めてくれという御要請があれば手順に乗せて審査を進めてまいります。その審査のそれぞれの段階で、審議会からこれは取り下げ勧告を適切とする、視察に行くまでもないという、その中間的な御判断が出まして、それによって相手方に申し伝えるということなどはいたしております。にもかかわらず、いやその途中でがんばるから、整備をするから審査を続行しろとか、いろいろと、不十分である教官については教官の組織を変えるから、審査を継続してくれというような御要請が出てまいりまして、不十分なものを何とか間に合わせようという御努力をなさる、その御努力は多とする点もございますけれども、そこに非常な無理があるというケースが間々起こってくるわけでございます。これは私どもといたしましては、大学設置ということは決してそう軽はずみでできるものでもないし、十分な準備と資金とを用意して、そして何年間かかまえてくるぐらいの姿勢で申請者のほうもお取り組みをいただきたいというふうに思っておるところでございます。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 公式なことばとしては当然それで満点のお答えですけれども、私の言うのは、そういう経緯を経てなおかつ皆さん方がよく指導なさって充実した場合にアウトになったときに三つの問題が起こってくる。大体、可能でないということを思わせる、初めからだめならだめと言うておくほうが私はいいと思う。そうでなかったら、こういう努力をしてたくさんの金をかけるでしょう。そうしてどたんばでアウトということになると、これはたいへんな物入りだということが一つ。だからその物入りがどうあとで消化されるか、文部省は知ったことでないという答え、一つ聞きました。しかしながら、こんなに金を入れたんだからということで競争が激甚化してくる。これは事実かどうかわかりませんよ、数千万円ぶつけたというのですから。これは司直がこれから調べるでしょうから、それにかかせておいてもいいでしょうけれども、そうならざるを得ぬということが一つあるでしょう。これはいま申し上げておるいろいろな設備、施設を充実したところはどうなるんだということを、そういうところから聞いておったわけです。それからその次は、制度として、それなら審議会委員を三回も四回も続けてやらさないとか、任期一ぱいでかわってもらうとかいうようにしなければいかぬということになるのか、いやそういう心配はありませんということになるのか、その辺をこの浪速大学の問題から派生してお聞きしておるのです。私立大学というのは公立と関連して考えなければいかぬ問題ですからね。こういう問題からその三つの問題が出てくるのですね、アウトになった場合に。四校アウトになっていますね。これは四十七年度でまた拾い上げられたのですか、この四校は。その辺もあわわせてひとつ御答弁願いたい。
  54. 木田宏

    木田政府委員 昨年取り下げを勧告いたしました四校は、四十七年度の申請は出ておりません。本年度の審査はしたがってしておりません。まあ、申請につきまして、審査が進んで最終の段階までにいろいろと申請者側で努力をされる。施設も整備し、中の設備も充実される。それは御努力をなされるのが申請者側としては当然であろうかと思いますけれども、総合的に判断をいたしまして、この段階で基準に合致していない場合には——個々の項目と全体としての基準に合致していない場合には不可に、可の判断が審議会からは出ないわけでありますから、認可の処置がとられないということになります。そのことにつきまして、実はいろいろと申請をされる側に困難な事情が起こるということは、それはわかりますけれども、しかしそのことは別の問題だと私は思っております。大学大学としてりっぱな基準に適合し、りっぱな基礎を持った微動だにしないものであるというところまで御用意をいただきたいものと思っております。審議会委員がその間いろいろと専門分野に分かれながらまた全体としての審査をしていただく。これはかなりの激務でございまして、いろいろな意味もありまして、私ども委員が長過ぎるということは御迷惑でもあり適切でもないと考えますから、大体長くて三期をめどとして交代をしていただくというふうにお願いをしておりますが、大学設置審議会委員は、各領域から御推挽をいただいておる委員の方がございます。それらにつきましても、一人の方が三期を越える場合に、特例として四期までの例はございまするけれども、三期までの間に人をかえて御推挽をいただくというふうなことにもいたしております。また、審議会仕事を進めます場合に、各専門分野別に専門事項を担当してくださる専門の委員をお願いしておりますが、これらの方々はもう少し短い期間に御交代を願うというような措置をとっております。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省にも関係があるのですが、この宇宙開発委員会、それから原子力委員会、こういうようなものへの委員の出ていき方についても私自身意見はあるのです。意見はあるのですが、これらと関連をして考えたときに、どうしてもわれわれがこうあってもらいたいというのは、何とか公選するというか、あるいは学術会議の公選とか、あるいはいま何か各分野から御推挽があったという話がありましたが、そういう方法をとるとか、文部省としては、こういう問題が起こりそうなところではやはり李下に冠を正さぬということになると思うので、そういうようにあってもらいたい。これは希望なんです。  そこで、私立学校、国・公立学校との関連の問題はそのくらいにしておきまして、この中に起こりましたいろいろな贈賄だとかなんだとかいう問題については、これは後日やります。きょうはあなた方に基準を聞いただけでおいておきます。そんなところまできょう入ると問題が逸脱しますから、これは別のときにやらしていただきます。  そこで、第二の問題に入りたいと思うのです。非常にやかましく言われておりました筑波大学、それから放送大学の設立の準備状況、両大学の発足のめど、これはマクロ的なスケジュールはないと言いながら、喫緊の問題としてすでに文部大臣がこれについては提起をされている。あるいは筑波大学というものはいままでいろいろ問題を呼んだ大学ですね。どうするのですか。そしてどういうめどなんですか。一向これに出てこないですね。先がたの話とちょっと違うような感じがするんですね。各大学のやみがたいところの希望によって大学設置するのだと。放送大学はここで論議されたんですからね。あるいは国連大学、こういうようなのは非常にやかましく言われたのですよ。国連大学、一体どこにいっておるのですか。あるいは筑波大学はどこへどういうぐあいになっているのですか。放送大学は一体どういう見通しがあるのですか。それらをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  56. 木田宏

    木田政府委員 いま御指摘になりましたように、個別の大学をどうするかということの問題といたしまして、まさに御意見のとおり、筑波大学をどうするか、放送大学をどうするかといった問題がございます。筑波につきましては、本年度予算でもなお創設準備費をお願いをいたしまして、筑波新大学の創設準備体制を人員の整備も若干入れまして進めていきたい。施設につきましては、すでに筑波の土地にかなりの施設の整備を取り進めておるところでございます。大体筑波大学をどういうふうにつくるかということにつきましては、すでに筑波大学設置準備調査会で一応の青写真ができております。それを具体的な大学としてどういう組織でどういう手順で進めていくかという関係から、現在筑波大学の創設準備会をもちまして、その準備会の中で教育研究の体制を整えるための分科会、それから施設を整備してまいりますための分科会、それから学生の生活、教官の生活問題を担当いたします分科会、それから筑波の地に医育機関をあわせて整備すべきであるという御論議がありまして、その筑波の地に考えるとすればどういう医育機関をどういうふうな形でつくるかという医学教育関係分科会、四つの分科会でいまそれぞれ検討と具体案の作成に取り組んでいただいております。  めどでございますが、四十九年の四月に、できればある部分につきましてでも新大学としての学生の募集ができるようにいたしたい。それから五十二年くらいまでの間に何とか全体の輪郭を取り進められるようにいたしたい。そうしたおよその心組みでいま関係者の方々に御論議を詰めをいただいておりますので、来年の予算案等につきましてはもう少し具体的な姿として御審議をいただけるようになろうかと考えております。  放送大学につきましては、文部省に放送大学の問題を調査する調査会が松方三郎先生を会長としてかつて設けられまして、そこから——これは社会教育局が担当して意見をまとめていただいたわけでございますが、現在それを具体的にどう具体の課題としてつくるかという段階に進んでまいっております。具体の課題として放送大学を位置づけますためには、どうしても大学関係者の間でこれを大学の仲間として取り組んでこういうものをつくろうというふうに御意見をまとめていただく必要があろうかと考えまして、四十六年度の後半、暮れになったわけでございますけれども、放送大学調査会を主として国立私立——公立の御関係の方々はいまのところ御委嘱をいたしておりませんが、国立大学関係者、それから私立大学のそれぞれの御関係の方々、さらに放送教育の問題に御関係の深い学識経験者にお集まりをいただきまして、大学の新しいタイプのあり方として放送大学大学人がどういうふうにつくるかという御論議をいま鋭意進めていただいております。このことにつきましては、放送大学が必要でありぜひつくるべきだという御論議は非常に強うございまして、私どもも十分その御希望のあるところを伺っておりますが、これを具体の課題として大学設置する場合、大学関係者がどう受けとめ、どういう手順で進めていくかという論議を、今年一ぱい十分に尽くしていただく。そして、御希望のあります教育内容を、ほんとうにその希望によって実現するとすれば、どうしたカリキュラムと大学基準とを考えたらいいかという問題の詰めを一両年やっていく。そして、早ければ四十九年度中にこの姿ができ上がるというくらいのめどで、筑波よりも若干おくれてその大学の準備を進めておるところでございます。  最後の国連大学の問題は、これは国際機関としての大学でございまして、いまの段階ではまだ国際機関、国連及びユネスコを舞台にいたしまして、関係者がどういう内容にするかという論議を進めておられます。国内の大学担当者としてすぐという段階にはまだ相なっておりません。いろいろとこのことにつきましては、前次官の天城氏が、日本側の専門委員ということで国連の関係機関に出席等をいたしておりまして、日本側関係者の希望等も申し述べ、技術的な処理についての論議を進めるべく努力をしておられますけれども、現在のところ国際舞台におきますところの計画の段階ということで、必ずしも案がまとまっておる段階ではございません。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 国連大学の問題、大臣この間もユネスコのアジア地域会議に出ておられたんですが、私も出ていって大臣の演説を聞いたわけですけれども、そういうことですから、これは大臣としてどうですか。強力に推進したい、天城さんも専門委員として行っておられるわけですが、そういう方針を強力に出して、早く設立をしたい、その場合、日本につくりたい、こういう御希望を持っておられるのですか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  58. 高見三郎

    高見国務大臣 国連大学の問題につきましては、きのうも天城君に来てもらいまして、いろいろな行きがかり、事情等を伺いました。  御承知のように、ソ連、アメリカは、必ずしも積極的ではない。低開発国では非常な熱望がある。そこへ日本は、国連を通じての拠出がある、日本に国連大学が来る来ないにかかわらず、積極的に協力をいたしますという申し出を天城君がいたしたわけでございます。これはたいへんな好感を呼んでおるようであります。むしろ、日本に国連大学を招致したいということを積極的に日本から言い出したらどうだ、われわれは賛成だということまで言っているようでありますが、問題は、天城君としては、この問題はやはり国際関係上非常に微妙な関係があるから、日本は日本にほしいという名のりをあげる時期はもう少しおそめましょう。実はまたすぐ行くのでありますが、日本がユネスコを通じてこの問題についていかなる協力も惜しみませんという発言をしたということがたいへん高く評価されております。だから日本に持っていったらいいんだという意見まで実は出てきておるという話を聞きまして、私も非常にこれは喜ばしいことだと思ったわけであります。いま私どもは、これをすぐ日本へ持ってくるという提案を日本側として主唱しようという気持ちはございません。天城君の見通しは、いずれはそうなりますということを言っておりますので、もう少し国際情勢の動きを見ていたほうがいいだろうと思っております。しかし私どもは、どこの国へ国連大学の本部が行きましても、国連大学というものについては積極的な協力を惜しまないという態度は、依然として堅持をいたしておるわけであります。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私も、ユネスコの国内委員をやっておりまして、できるだけユネスコの国内の会議には寸暇をさいて出席するようにしておるんです。それというのは、国連大学の問題だけではございません。科学だとか文化だとかいうような問題が文教にも非常に関係があります。私の所属しておる文教委員会と科学対策特別委員会両方とも関係がありますから、世界の一つの動きとして注目しておるわけです。だからこの国連大学の問題も注意して見ておったわけです。それで大臣の御意向を聞いたわけです。ユネスコ問題については、また別途お話をしようと思っておりますから、この辺にしておきまして、まだ質問が二十ほど項目があるんですが、二つだけ済んでまだ時間が——会議になりますが、続けますか。
  60. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 丹羽兵助

    丹羽委員長 速記を始めて。  午後三時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後三時五十八分開議
  62. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。三木喜夫君。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)委員 出席がちょっと少ないようですが、たってやれとおっしゃいますので、午前中に引き続きましてやらしていただきたいと思います。  大体二十問ほど用意しておったわけですが、二問まで済まして、あと皆さんおそろいになるまで、昨年度の質疑の中で問題になって残っておりますことについてただしておきたいと思うのです。  昨年度大学局長のほうから、博士課程について、理工系は非常に需要が進んでおるけれども、人文系は非常におくれておる。究極して、博士コースだけはひとつ国の費用でやる、また計画を立てる、こういうことを早急にやりたい、こういう答弁がなされておるわけですが、私もこのことは大事だと思う。全体で見まして、同年齢の人口に比例しまして、概算ですけれども大学院に学ぶ者は大体三%か二%だと思うのです。その二%ないし三%の人が、要するに国の将来を決定するような学問あるいは研究というものを中心的にやっていく。別にエリートを養成するという意味合いではないですけれども、そういうことを考えますときに、これに対してはっきりした計画を立て、そして国がめんどうを見るという姿勢を昨年度答弁になっておりますが、これに対してどういうようにお考えになっておるか、お伺いしたいのと、それからもう一つは、きょう最初に申し上げましたように、大学のマクロ的な計画というものを持たなかったら、中教審がどういう答申をしたりサゼスチョンをしようと、やれないじゃないかということと同じ意味合いにおいて、いま私の関係しておる教え子の中にもそういうのがおるのですが、博士浪人ですね、こういうようなことになってきては意味がないと思う。しかも博士のコースは国・公立——どこの学校かということは申し上げませんけれども、特に国立の学校の博士課程をとって、しかも博士号をとっておる人が浪人しておるというようなことでは、やはりこの計画も考えなければいかぬじゃないか。こういうぶざまな話はない。これは博士が偉くて、そうでない人がだめだという意味合いじゃないのです。去年そういうことが提起されておりますので、この二つをあわせて考えてみて重要じゃないかと思いますので、お伺いしておきたいと思います。
  64. 木田宏

    木田政府委員 いま御指摘がございましたように、わが国の大学院修士課程、博士課程、特に博士課程の学生の実情がはたしてこれで将来いいものかどうかという点は、非常に大きな課題だと思います。学部の学生が同年齢人口に対しましてかなり幅広い横に広がっておりますときに、大学院の学生の進学率というものは、これは諸外国に比べまして一番少ないと言ってもいいくらいに極端に少のうございます。今後私ども高等教育計画を考えてまいります際には、どうしても必要になってまいります大学の教官あるいは研究者、そういうものの大まかな見通しの上に立って、大学院というものの整備充実をどの程度にしなければならないかということが、昨年も政府委員がお答え申し上げましたように、当面の大学改革の中で大きな検討課題でございます。  午前中にもお答えを申し上げましたが、高等教育計画を立てます際には、学部段階におきます大学あり方とともに、大学院の大きさをどのように考えたらいいか、それに対応する大学院基準というものをどのようにしたらいいかということにつきましては、非常に大きな検討課題と考えております。なお、午前中にもちょっと御説明を申し上げましたのですが、そうした問題意識をもちまして、大学院基準改定を大学審議会基準分科会にお願いをいたしております。御答申の中では、大学院基準ということを論議していただきます間に、いま御指摘になりました問題も十分踏まえて御結論がちょうだいできるものというふうに考えております。  一方、そう申しながら、これまた御指摘がございましたように、大学院の修了者——修了のしかたにもいろいろ問題がございますけれども、その中になお職につけない者がかなりたくさんあるということは御指摘のとおりでございまして、専門分野によりましては極度にその状況が出ております。昨今新聞にもいわれておりますように、理学関係につきましてはことのほかそうした問題がたくさんあるわけでございますが、これはもっぱら学問研究ということを生涯の課題として勉強しておる学生たちでございまして、その人たちに学問研究の場として将来どういうふうにつくっていくか、これが日本の学術研究の振興策とも関連いたすわけでございます。一方におきましては、学術審議会に学術の研究体制の整備について本明年の間に何とか明確な線を出していただきたいというお願いをして審議を進めております。それとの関連をとりながら、私どもも事務的な見通しというものを立てたいと思っております。  なお、大学院につきまして、これはわずかのことであるからできるだけ十分な経費をもってこの教育に当たるべきだということは御指摘のとおりでございまして、大臣から先般もお答えを申し上げたと思いますけれども、今回の育英資金の単価の改定をいたします場合に、大学院学生につきましては相当大幅な単価増を見込むことになりました。これはいま御指摘がありましたような御趣意に立って、私ども大学院の学生——修士につきましてはほぼその半数に対して、博士につきましては希望者の全員に対して、生活費に近い奨学資金が出せるようにし、もっぱら研究のリーダーとなってもらえるように体制を整えたいと思っておりますが、その一端でございます。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これに関連しまして、やはり昨年度言われておることで高専大学をどうするかということですね。袋小路になっております高専を先に進めるような方途をとらなければいかぬじゃないか。しかし本年になってもこれが芽を出していないような状況ですが、これはどうなったのか。
  66. 木田宏

    木田政府委員 その点も高専制度とともにかねてからの懸案でございました。高等専門学校の制度を示してございます学校教育法の中にも、卒業生に対しましては大学等への編入学ができるように書いてございます。現実にそういう線で高専の卒業生を受け入れてくれております大学も若干の学部数はあがっておるわけでございますが、必ずしもその受け入れ方につきましては高専側の満足を見るような実態に現在のところ至っておりません。それは、一つには大学におきます卒業資格大学四年間で修了すべき教育内容と、高専で五年間に受けてまいりました教育内容とのかみ合わせを大学側がどう受けとめて消化するかということにかなり大きな問題点があります。これも個々の専門領域ごとに検討すべき課題もございますので、先般来一部の教官とも相談をし、特に東京工業大学には何とか——東京工業大学としての過去のいろいろな伝統もございますものですから、工業高専の卒業生の中で将来伸びていく可能性のある者について気持ちよく受け取るというようなことを考えていただけないかという御相談を進めてまいりまして、この四十七年度の新入学生につきましては、優秀な学生を受け入れてあと二カ年間でこなせた場合に卒業学士として資格が出せるようにしようという試みも一つはつけていただきました。これは今後四十八年度に向けてどのようなことにすればいいかというのはなお東京工大の関係者とも相談を詰めていきたい。また、かねてから高専の卒業生を積極的に受け入れてくれておりました山梨大学その他の大学関係者とも、個別の相談として相談を進めていきたいと思います。  一方、高等専門学校の関係を議論しております高等専門学校の審議会、さらには高専卒業生等を予定いたしました技術者養成大学院問題を論議しておる調査会も活発に検討を進めておりまして、最近一応の御意見ではございますけれども、まとめたものを提示していただけるところまで進んでまいりました。これを今後の大学制度全体の改革の中でどのように位置づけるかというのはこれからの課題でございまして、本年度、四十七年度の間に他の諸問題とともにこれも積極的に取り組んでみたいというふうに考えております。
  67. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣、これはいまのところでは既設の大学に吸収したり、あるいはそこに進学できるという、こういう答えと、もう一つは、また新たに制度としての大学を考えようという、こういう話も出ておるというのですけれども大臣のお考えはどうですか。たとえば水産高専の場合、海洋大学、それから修士大学、こういうようにいま時代の要請というものが海洋開発を非常に必要としておるわけです。もちろん、周囲海に囲まれておるという日本の立地条件もあります。しかしながら、これぐらい海洋に囲まれておって海洋に対する学問が進んでいない国もない。周囲の国を見回してみて、ソ連にしましても、アメリカにしましても、フランスにしましても、イタリアにしましても、ドイツにしましても——海洋の地質、それからその他のものをほとんど日本海とか太平洋側について知り尽くしておらなければいかぬ、陸上の資源の少ない日本は、やはり海洋に生きていかなければならぬという考え方があるので、そういうことも加味して水産大学、それから海洋の高専、それから修士大学というような一連の制度、こういうことは先がたお聞きしたら、大学の増設、新設というものは必要から出てくるのだ、そういうお話局長からなされたのですが、そういう観点からするならば、いま時代の要請が特に日本に課せられておるのはこういう課題である。特に袋小路高専といわれた高専の生きる道はそういうところにあるのじゃないか。これについてはっきりとした大臣としてのお考えを聞いておかなかったら、高専といものに対しての将来の見通し、それから昨年度質問に対して、生かされたということにならないわけですね。
  68. 高見三郎

    高見国務大臣 これはただいま検討中で、答申が出次第あれしますが、実は高専を袋小路のままで置いてはいかぬ、だから大学に頼んで無理にとってもらっておる、これは肩身の狭い思いをしておるということでありますので、むしろ新しい構想として考えられるのは、修士課程の工業技術大学院というものにして、修業年限を一年延ばせば大学の課程とほぼ匹敵する、しかもそれで修士課程のあれが得られる状態になるので、それらの問題を含めて目下検討をいたしておるわけであります。  それから、先ほど御指摘のありました海洋開発の問題、これは日本では残念ながら私立大学に東海大学に海洋学部があるだけなんです。ことに、これからの日本の海洋開発の問題というものは非常に大事な問題だと思うのです。いままでの航海術だとかあるいは漁労だとかいう問題を離れて、海洋開発という問題はきわめて大事な問題になってくるだろうと思っておるのでありまして、この問題は御指摘のとおり積極的に手をつけなければならぬ問題だと思うのでありますが、実は既設大学に情熱があまりありません。そこへ持ってきて、日本ではこれを教育するだけの教師がなかなか得にくいという状態があります。それらの問題から、海洋開発研究のための学者の海外派遣というものを少し幅広くやってみて、そうして相当の実力がついたところで海洋開発学部というようなものをつくるか、あるいは海洋大学というふうなものをつくるかするということを考えなければ、教育者自身がなかなか得がたいという状態で、御承知のように海運国日本というものが明治時代から伸びてまいりましたのは、船舶工学だったのですね。それが学問の中心であった。ところが、海を資源として考える場合の海洋開発というものについては、全くめくら同然であったということが今日あらわれてきた日本の病根の一つであろう、私はそういうように考えております。だから御意見は全く同感でありまして、私どももその方向に向かって検討を進めていくつもりでおります。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう一つお伺いしておきたいのは、天城前文部次官がリカーレソト大学ということを主張されておる。これについてはどういうぐあいに考えておられますか。
  70. 木田宏

    木田政府委員 いま御意見がございましたが、これからの大学がどういうふうな姿になるかということを考えました場合に、いろいろな様相を予想することができようかと思います。現在の段階におきまして高等学校を卒業した青年たちが十八歳から二十二、三歳までの段階で大学に大量に進学をしてくるということがございますけれども、しかしそれだけが大学のすべてでないということは、私どもも十分予測をしておかなければならぬ。特に学問の研究が進みまして、日進月歩で、いろいろな知的情報というものがふえてまいります。そうした場合に、現実に社会人になっております一般の市民、成人が、日々の新しい知識をどこかで学ぶ場所が必要である。それをやはり学問研究の府である大学がになうべきではなかろうかということは、大学問題を論じております関係者のかなり一致して指摘されているところでございます。  そうなりますと、アメリカのある学長のことばでございますけれども、これからの大学は、学生のほうがむしろ社会に出て、社会人が大学に入ってきて、大学のキャンパスは社会全体に広がる、こういうような意味のことを言っております。大学が、人生の長い生活航路の中で、常に知識を新たにするために環流してくる、その意味でリカーレント・エデュケーションの場であるということを指摘しておりまして、中央教育審議会におきましても、大学が社会に開かれた大学であり、そして社会人のために学習を新たにする場である、そのことを第四種の大学院の機能として指摘されております。私ども大学設置基準大学院設置基準の改定をいま御検討いただいておりますときにも、大学の新しい使命として、特に大学院の新しい使命として、一方では研究者へつながっていく者の養成、一方では社会にあって常に仕事をしている第一線の人たちに必要な情報を提供し、訓練の場を与える大学大学院、こういうことを実現したいというふうに考えております。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体それでわかったのですが、私の知っておる人で、大学を出て社会へ出てみまして、やはり社会保障のことをもう少し勉強したい。そうすると、社会保障関係大学というものは当然望まれるわけですが、そういうものはないということで、先がた、海洋開発の問題で大臣の所信をお聞きいたしたのですけれども、やはり福祉国家という、予算にさえそういう名称をつけるくらいになってきたのですから、日本としてもそういうような環流するところのシステムと同時に、社会人の望む大学というものを、社会に開かれた大学という意味ならば検討なさる必要があると思うのです。社会保障というのは、これは一例なんですね。大学を出てから二年、三年とたっておりますけれども、社会保障ということを非常に望んでおるわけですよ。が、大学がない。何か基督教大学なんかでそういう社会保障のことをやっておりますが、そういうところ一、二しかないということですね。そういうことになってきますと、そういうこともあわせ制度として考えてもらわなければならぬと思います。  以上、昨年度審議の内容で、問題として残っておるところをお尋ねしたわけでありますけれどもあとまだ私のほうの質問は十八残っておるのですけれども、やりますか……。
  72. 木田宏

    木田政府委員 いま御指摘になりました海洋科学の問題、これも事柄といたしまして本質的に考えますと、かなり従来の大学あり方に対する大きな変革の要素を持っております。と申しますのは、別の意味でも、たとえば環境科学——公害問題等でございますが、これが当面の緊急課題だというふうに指摘されております。海洋科学にいたしましても、環境科学にいたしましても、関連いたします学問分野というのは非常に幅が広うございます。従来の学問研究は、専門的な分野別に、どちらかと申しますと専門がこまかくなっている。そして間口が狭く深くなっているという方向で進んでまいりました。そのことだけでは非常に総合的な問題が問題として取り上げられ、海洋全体をどうするかというような際に間に合わないのではないかという問題指摘になるわけであります。  海洋に関しましても、地球物理学もございますし、生物学の領域もございますし、あるいは地質学の領域もございますし、それから水産の関係もありますし、商船の関係もあるというふうに幅広くなってまいりますと、これは問題としては確かにそうなんでございますが、どういう学生を教育するかという教育課題として、大学の専門的な研究のシステムと教育のシステムとを今度はどういうふうに改めて組み直さなければならぬかという、大学の従来やってまいりました教育研究の体制を本質的に根本から考え直さなければ対応できないような大きい要素をそこに持っている課題でございます。その意味では、ただ従来と同じような意味において、新しい学部をつくればいい、こう簡単にもいきかねますので、これからの大学学部あり方あるいは学科あり方、そういうことと関連さして基本的に検討を加えなければ対応できないような大きな課題だというふうに承知をいたしております。  それらを含めまして、これからの高等教育計画あるいは新しい学部新設、そうした問題に取り組みたいと思っておりますけれども、いま御審議をいただいております新しい学部の中の一つ人間科学部は、その意味では従来とってまいりました学部学科のシステムに対して、やや新しい方向、総合的な学問と総合的な教育のシステムを考えていきたいという一つの試みでございます。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 人間科学のほうに話が入ったのですけれども、そういうものを一体どこが必要を感じてやるかということが大きな問題にならないですか。いま局長はそれを誇らしげに言われましたけれども、文学部に置くのでしょう、この人間科学部を。大阪大学人間科学部ですね、生徒を文学部に置いておくのですか、どこに置いておくのですか。
  74. 木田宏

    木田政府委員 大阪大学人間科学部は、新しい独立の学部でございまして、人間科学部という学部に生徒を受け入れるということになります。その意味では、完全に新しい学部一つつくりましてそこに学生をあらためて受け入れるということでございますが、実体的にはどうだと言われますと、いままでございました文学部の中の教育学科並びに哲学科の中にありました社会学、心理学の関係部門というものを中核にいたしまして、社会におきます人間の諸科学を総合的に取り上げていくという新しい学部にしたい、こういう次第でございます。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま文学部に預けているわけでしょう。それを、この法律案が通りましたら、そのときには人間科学部のほうに移行するわけですね。そうすると、科学的な見地ということよりもむしろ——人文科学でも自然科学でも科学ですけれども、そういう人文的な意味合いの科学ということになってきますね。そういうことがどこから必要になってきたかという大きな立場ということが問題になってくるのですよ。だから、思いつきだと言えばたいへん言い過ぎだと思いますけれども、ここでプラズマ、ここで人間科学というように、単発的に、花火がはぜるように、あちこちにそういう新しいものができて、それが総合して一つの流れになることもありますけれども、やはり総合的に考えて、最初言われましたように、全体的な位置づけをしていかなければいかぬのじゃないかということもここに起こってくるわけですね。  きょうお話を承りましたところでは、海洋開発についてもとにかく高専と関連さして考えていく。それから公害に対しても、これも時代の要請に応じて考えていく。それから社会保障についても考えていくというお話ですから、それでいいと思うのです。ただ私、こう言いますと、大学学科あるいは新設というものはあまりにも功利的に考えていくようになって悪いのですけれども、しかし、そういう考え方もあるという全体的な意味合いからお伺いしたわけでございます。  それでは、もうちょっとやれということですから次に移らしてもらいます。  同じく大学あり方一つですけれども大学教育改革を推進するについては、勤労者のための夜間高等教育機関、特に短期大学あり方について政府の見解をこの際聞かしておいていただきたいと思う。
  76. 木田宏

    木田政府委員 先般、中央教育審議会大学改革に関する答申につきまして、関係大学の学長その他関係者から御意見ちょうだいいたしました際に、いま御指摘になりました勤労者の教育というものをどうするかという御指摘がございました。一般的な問題と、個別の個々具体の問題として考えなければならないものと、二つ分けて考えることができると思います。  一般的な問題といたしましては、日中勤務しておる、あるいは夜間に勤務しておる者に対して、勤務の時間の合い間を見て教育をできるような機会をどう進めるかということでございまして、現在とられております一つの形態では、夜間の学部あるいは短期大学その他では、さらに夜間だけではございませんで、第三の形態というふうに考えておりますが、勤労の時間と学習の時間とを適宜ミックスして教育課程ができるような短大の認可ということもいたしております。そうした個別の要望に適合していくという措置を講じておりますが、現在のところ必ずしもそれが十分な成果をあげておるというところまでは私どもは考えておりません。しかし、今後一般的な課題として、勤労者の教育を進めていく、そういう観点から、一つは午前中にも御説明申し上げました放送大学というような新しい形態がとれないか、これは勤労者も含めまして市民のための大学というものをどういうふうに構想するかという大きい課題でございますから、そうした課題の問題として一般的にはその問題も取り組んでいけるかと思います。  さらに個別には、個々大学の中で昼間の大学と夜の大学との中にいろいろなこまごました問題がございます。こまごました問題ではございましても、これはそうした夜間学部なり夜間の短期大学の課程というものを充実していく上においては、解決していかなければならない大事な課題でございまして、あまり小さいことだとういふうには考えておりませんが、これはいろいろな施設の整備でありますとか、人員の配置でありますとか、そういう措置をきめこまかく考えてみて、運営が適切に行なわれ、夜間勉強をしている学生が気持ちよく勉強できるように改善をはかっていくという具体の問題として考えて取り組んでおります。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 考えていただく上の要素はわかりました。市民性ということと、それから社会の要請ですから、社会性ということ、それから学問それ自体の勉強でありますから、学問の上に立ってという、この三つを大体根底にしなければならぬということがいまの御答弁ではっきりしてまいりました。  そこで、先がたは浪速大学の問題から医学の問題を申し上げたのですけれども、昨年度やはりこの医学の問題について医師不足に対処するために議論が出ております。それを受けまして若干この問題についてお伺いしておきたいと思うのですが、一時、日本のいわゆる医師養成機関としては、最高では年間一万人の養成をしたときがある。現在では大体六千人でいいのじゃないだろうかということが昨年度話をされておるのです。本年度勝澤委員質問に対してそういうお話も出ただろうと思いますけれども、昨年度の経緯を見ましても、厚生省の見解と文部省の見解と若干違うておるような感じがするのです。本年度それが大体一致したかどうかということですね。これも見通しを持っていただかなかったら、午前中のような質問の出てくることになるわけでして、医師養成機関の大学、非常に要請が多いということなら、勢いそれにウエートがかかってしまうというかっこうになりまして、これも一つ見通しを持っておらなければいかぬのじゃないか。特に最近、医師に対するところの父兄の考え方も非常に強いですし、公害からだんだん病気が複雑になってきますと、医師に対するところの希望、要請、要求というものが多いと思うのです。医師をつくってくれということでなくて、医師に対して市民が希望する、期待するというのですか、そういうものが大きいと思うのです。だからこれにはこたえなかったらいかぬのじゃないかと思うのですね。そういう意味合いでお尋ねしておきたいと思います。
  78. 木田宏

    木田政府委員 文部省大学設置し、将来の需要に対応するということを考えます場合には、大体十年先の見通しがほしいのでございます。特に医師のように、養成そのものに約十年間かかるといたしますと、いまから学校をつくってどうするかという場合には、その十年先、二十年先くらいまで見通して、どれくらいになるかということがほんとうは見通しとしてほしいところでございます。ところが、あらゆる経済計画その他の計画をつくっていただきましても、そういう長期の人材需要の見通しというのはなかなか出てまいりません。やむなく現在の状況を他の諸要素と比べましてどうするかというふうな比較案件になってくることでございまして、医師養成につきまして、昨年来目標といたしまして、人口十万に対して百五十人という基準線にできるだけ早い機会に到達しようということで、厚生省とも相談をし、現在の養成のテンポを考えておるところでございます。しかし、これがはたしてどうかという突っ込んだ御議論になりますと、それをどの時点までに間に合わせるようにすれば将来どうなるかというこまかい議論になるわけでございますが、私ども厚生省の関係者にも入ってもらいまして、医科大学設置調査会で相当の論議を詰めました際に、できるだけ早く人口十万人に百五十人という基準線を達成することを考えまして、そのためにはどんなに少なくても、昭和四十七年から数年の間に学生定員を千二、三百人はどうしてもふやすということを考えておきたい。その線に達した後にどうするかという問題は、またそのつど考えるべき問題であって、将来の見通しを考えながら、またこれが将来の医療体制、医療需要というものの大きな動きとの関連で考えていくべきことだと、引き続き検討することにして、とりあえずの目標をつくろうというふうに意見の合致を見ております。
  79. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、大体医師見通しはつきますね、計画として。医師だけではこれは困るんで、やはり看護婦さんがなければいけませんが、看護婦さんの計画というものはどうなるのですか。
  80. 木田宏

    木田政府委員 看護婦につきましては、現在看護婦さんの総数が三十万というふうに聞いております。これが医療需要との関係で、将来どの程度まで伸びていくべきかという点につきまして、厚生省のほうからも、必ずしも私どもはっきりした御要請を伺っておりませんけれども、現在までのところ、看護婦等の養成につきましては、正規の学校で養成するという体制が必ずしも十分に整っておりません。御案内のとおりだと思います。ようやく高等学校の中で看護料が整備されて、五十二校を数えるようになった。しかし、なおかつたくさんの各種学校で看護婦が養成されておる。准看の養成につきましてもそのような状況でございますし、正看の養成につきましては、正規の学校、短期大学大学養成されております看護婦というのは、いまのところ非常にわずかでございまして、私ども医科大学設置してまいります場合には、どうしても設置する地域におきまして将来の看護婦の需要がどうなるかということを勘案しながら、病院の整備等をはかっていかなければなりません。また同時に、医科大学整備いたしました場合には、そこに付属の看護婦あるいは放射線技師等の養成施設というものを付置いたしまして、そうしたパラメディカルの職員の需要に応ずるように、個別の課題として整備をはかっていきたいと思います。全体の計画としてどこまでになるかということは、厚生省当局が、正規の学校教育のほかに、多数の各種学校という別の系列の養成をはかってこられましたので、いま学校制度としてこれを計画的に私どもがあわせて教育をするというところまでは進んでおらないのが実情でございます。
  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 十年前に池田さんのときに、十年を目ざすところの人材開発についてという計画を立てられましたね。そのときに文部大臣は荒木さんだった。それから科学技術庁長官は池田正之輔さんだったと思う。この二人の論争ということで、非常に本気になってこの問題を論争したものです。われわれも一緒になってね。そのときには高級技術者、上級技術者、中級技術者、技能者ということで、あのときにはいわゆる高度経済成長というわけじゃなかったですけれども、経済成長に見合うところの人材開発という計画が持たれた。いままたそういう全体の計画を立て直さなければならぬときがやってきたと思うのです。看護婦さんについても、そういう計画だけ持ってみたところで、やはり全体的にどうなっておるかという見通しを持たなければ私はだめだと思うのです。いま、私はあまり感心しないのですけれども、女子の警察官あるいは女子の自衛官、これは看護婦さんの役目もするでしょうし、そのほかの役割り、交通関係役割りもするだろうと思いますけれども、一体自衛隊にどれだけの女子がいま採用になっておるのか、警察にどれだけ女子がいま採用になりつつあるのか、これは御存じですか。
  82. 木田宏

    木田政府委員 まことに残念ながら、まだそこまで勉強しておりません。
  83. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは看護婦の問題と同時に、女子の進出する職域という問題でやはり考えておいてもらいたいと思うのです。かってきままに女子の領域を広げていくとしても、国としての計画、国としての考え方というものは私は必要だと思うのです。そういう意味合いで、警察官の場合も、自衛官の場合も考えてもらって、むしろ私は、国民の健康を守るという方面の自衛官であり、警察官であってもらいたいと思うのですね。それが不足しておるのじゃないですか。非常に逼迫しておる中で、一方、女子はどんどんと進出しておる。むしろ、こういう方面に来てもらったらと思う人が取られていくような感じがしてしかたがないのですね。そういう意味合いにおいて、この計画も等閑に付さずして一緒に考えてもらいたいと思うのです。  それから、国立大学学部、特に付属病院の教職員の定数については、いわゆる総定員法の適用を除外し、そのワク外にすべきだと思うのですが、これに対する文部省の見解、この問題に関する行政管理庁及び大蔵当局との折衝のいきさつを伺いたい。これは折衝されておると思うのです。ずいぶん県立の大学国立に移管されてまいりましたし、そのときに定員問題ということが問題になっておると思うのです。その点をひとつ伺いたい。
  84. 木田宏

    木田政府委員 定員の管理についてお答えを申し上げます前に、一言、恐縮でございますが、将来の計画のことについて補足をさせていただきたいと思います。  文部省大学で必要な人員養成を考えます場合には、先ほど申し上げましたように、実はことしから始めても数年先にやっと供給が出てまいりまして、それが社会に意味があるというのは大体十年先ということになってまいります。したがって、中央教育審議会で将来の計画を数量的に考えます場合に、私ども事務担当者の間では、できることならば専門分野別にどのくらいの需要があるかということを聞きたいということで、関係先にそれぞれ連絡もとったのでございますけれども、いずこにおきましても、十年先の需要ということについてお答えをしてくださるということ自体がまた非常にむずかしゅうございまして、的確な反応が出てまいりません。そこで、ある程度のめど、腰だめというふうなかっこうにならざるを得ない。女子の職場進出のことにつきましても、そういう意味で私どもも考えてみたいというふうに思っております。  なお、お尋ねのございました定員の問題でございますが、国立一つ医科大学をつくります場合には、付属病院の看護婦その他の職員を含めまして、規模にもよりますけれども、大ざっぱに申し上げまして約一千名の定員が必要でございます。そういうことから、いま予算では三カ所の創設準備をお願いしてございますけれども、これら三カ所の定員を整備いたしますにつきまして、現在の総定員法のワクでやっていけるかどうかということは、昨年来大臣も政府委員もここでお答えを申し上げましたように、かなり大きい問題でございます。私ども関係省と折衝いたしておりますが、一つは定員法という制度の趣旨から考えまして、特定の者だけをはずして処理をするということは定員制度全体にかかわる大きい問題である、だから、むしろそういうことよりも、現実に必要にこたえるような定員の割り振りをするから、何とか個別の問題として相談を持ちかけてくれぬか、こういうのがそれぞれの責任当局の立場でございまして、私ども具体的に設置を進めます場合にも、ある年に突如として一千名の定員が全部要るというわけでもございませんので、その辺のところは将来の見通しと、数年間にわたります一つ手順とを考えまして、なお個別に関係省とも十分折衝をしていきたいというふうに考えております。
  85. 高見三郎

    高見国務大臣 私からちょっと……。実は、私が総定員法の年次計画というものについて閣議の席で発言いたしましたのは、大学教官の定員は一%減、これも非常に少ないのですね。少ないんだが、民法の教授が欠けたから刑法の教授で充てるというわけにはいかぬじゃないか。そういう点からいうと、大学の教官なんかの定員減というのはやるべきでない。それからもう一つ考え方は、三公社五現業はこれは定員外になっておりますね。それで、病院の看護婦の場合あるいは病院の教官の場合は、収益を伴う事業をやっているんじゃないか。現に赤字を出しておるかもしれぬけれども、ともかく収益を伴う事業をやっておるんだ。だからこれを総定員のワク内に入れることがおかしいということを極力主張をいたしました。まあ、将来はそれは考えざるを得ないことであろうということになっておりますが、私はいまでもその考えは捨てておりません。行政管理庁が何と申しましても、収益を伴う事業を現に病院でやっておる。それは赤字を出しておるかもしれませんが、やっておるというのならば、これは現業職員として何も総定員法のワク内に入れなければいけないということはない。これから医科大学国立でもってつくっていくということになりますと、もう三年もたたないうちに総定員法はパンクするにきまっているのですね。それじゃ文部省の職員だけは総定員法からはずしてくれということになりますと、実は総定員法の一番の大株主は文部省なんですよ。五十何万のうちの十二、三万になりますか。それは考えてはくれております。たとえば大学の教官等については考えてくれてはおりますけれども、その考え方の根底が間違っておる。たとえば大学の教官などというものは余人をもってかえがたい科目があるはずだ。だから、一%のやりくりがつかぬことはないはずだという理屈もありますけれども、私はそうじゃないという考え方をいたしておるのであります。この点については党派を越えてひとつ御協力を願って、少なくとも看護婦を定員からはずすということができますと、国立大学をまだ十校やそこらつくってもだいじょうぶ定員に間に合うということになりますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。いままでのいきさつだけを申し上げておきます。
  86. 三木喜夫

    三木(喜)委員 まあ、事態に即応するような定員法の解釈なり、あるいは医師をふやせ、医師養成機関をつくれ、こういう要請がある一方では、定員法で押えてしまって、その中でパンクするというような現状に置いておくことでは困りますから、やはりそれは事態に即応したやり方というものを考えてもらわなければいかぬと思うのです。  そこで、池田さんのときに、十年後を目ざすところの人材養成計画というものを持ちましたということをいま申し上げましたが、いま十年たって高度経済成長は大体極限にきたのですから、そのあとは、十年間というものはアフターケアの時代じゃないかと思うのですね。公害問題について、あるいは病気についてもですね。あるいは経済の行き過ぎ、円・ドル問題、あるいは防衛問題、そういう問題が爆発的にこの国会で出てきたわけですね。こういう問題は、いや自民党が悪いとか、あるいはまた産業界が行き過ぎたとかいうように、だれに責任があるというようなことを言う前に、やはり教育機関、文部省としては率直にこの事態を見詰めて、そうして、いや中央教育審議会答申を待ってこれらをずっと配分するんだというのでなくて、次の内閣はだれがやられるにもせよ、高度な立場から、文部省的な立場——さきにやられたのですから、荒木さんと池田さんとの論争があったように。池田正之輔さんですけれども……。そのあとはやはり文教の立場でこれを立て直す、考え直すという、十年間のアフターケアという立場に立って大学教育ということを見ていかなかったら——私は皮肉のつもりで言うたのじゃないのですよ。あれも文部省出したじゃないか、ことしも文部省出したじゃないか、そんな意味合いではないのです。全体計画というものをやはり立ててもらいたい。いま大臣も言われましたように、これはもう与野党ないんですから。こんな問題は、そういう立場論議をし、そういう立場計画を立てていく必要があると思います。この次は、計画を立てられるんなら与党だけでやられるんじゃなしに、野党も何かの形で参加するということにすれば、こんな文教問題にしても、あるいは国の政治の問題にしても、対立するはずはないと思うんです。まあ、そういう希望を付しておきたいと思います。
  87. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 丹羽兵助

    丹羽委員長 速記を始めて。
  89. 木田宏

    木田政府委員 ちょっと御答弁を申し上げます。  先般もだいぶ問題になりましたが、所得倍増計画のときの人員養成は、主として所得の増、生産の拡充ということでございまして、その時点で問題になりました際には、高等学校段階の進学率が六〇%で、さらに四十五万人ほど工業高校の卒業生を必要とするというような論議がなされたことを記憶しております。大学関係におきましても、約八万人の人材が不足をしておるからというので、一万数千人の拡充計画を議論をしたというようなことが私も記憶に残っておりますが、現在の時点では、高校の進学率ももう八割をこえましたし、大学におきましても、当時の進学率が昭和三十二、三年ころの論議で一二、三%という状況でございましたが、現在は二五%を上回ったという進学率になっております。これからの高等教育ということを考えました場合には、先ほど御指摘になりましたリカーレントの教育ということも含みながら、ただ社会の生産を拡大するとか所得をふやすということではなくて、むしろ国民全体の資質と日常生活におきますものの考え方を豊かにしていく、こういう発想で教育全体を考えなければならぬというふうに私どもも心がけておりまして、中央教育審議会答申にもそうした御示唆はございますが、これからの計画を進めていきます場合には、いま御指摘になりました新しい視点に立っての高等教育整備ということを進めていきたいというふうに考えております。
  90. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまの御答弁ですが、あの当時、所得倍増計画における人材養成の問題のときは、高級技術者、中級技術者、技能者、こういう考え方計画が立てられたわけですすね。そういう考え方で立てられて、あれはどっちかいうと工業ということを中心にしましたね。今度は工業でなくなってきたのですから、いまおっしゃいますように、この十年は所得倍増から高度経済成長へ進んだのですから、したがって、アフターケアという意味合いの人材計画を立てることになる。リカーレントという問題については、また別の考え方があると思うのです。先がた私が申し上げまして、それは今度の大学計画の中に、マクロ的な計画を立てられる中では当然考えられる。考えてもらいたいと思うのです。そうでなかったら、いま大学がこれだけ問題が多くなってきたときに、やはり外から新しい要素、新しい血を入れるということが、大学の生き返りといいますか、確立するというのですか、いまもう生々発展した大学へわれわれ早く返さねばいかぬのですから、そういう意味合いでも私はいいんではないかと思う。リカーレントの天城さんの考え方というものを特に私ここで取り上げたのは、そういう意味合いです。新しい血を注入していって、そして大学は市民のために開かれたというそういうあかしをちゃんと立てねばいかぬのです。そういう意味合いでした。そういうことで御答弁いただいたことはけっこうでございます。  一応これで中止したいと思います。
  91. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次回は来たる十九日開会し、本案の質疑を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会