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高見国務大臣 勝澤君の御
意見ごもっともであります。実は私は、私立大学の審査はきわめて厳重にやるように言うております。しかし、設置
基準がありますから、その設置
基準もこの際もっと厳格なものにしてはどうか。私立大学はただ金さえ集めればいいという大学であってはならぬ。むしろ私立大学は
——浪速大学の場合は、私は設置者自身に疑問があるという考え方をいたしておりましたから、初めから
——管理局長も大学
局長もこれは認可はできません。いろいろ新聞で何か汚職なんかがあるのじゃないかということをいわれておりますけれども、これに関する限りは、初めから認可しないという
方針であったのでありますから、おそらく汚職等の問題は出ていないと思います。これからの私立大学の設置
基準というものは、設立者の問題も
一つあります。それから自己資金の問題も、三分の二でいいのであるか、あるいは四分の三は自己資金にしなければならないか、今後検討の課題だと思います。ただ、私はできることなら国・公立をふやしたい、そしてどの県にも国・公立の医科大学があるという
状態をつくりたいという考え方を持っております。人口は一年に百万ずつふえているのであります。十万に対して百五十人のお医者さんが必要であるとするならば、
昭和六十年には、これから十三年あるわけでありますから、千三百万ふえることになります。お医者さんの数も当然それだけふえることになる。ことし八百八十人増員をしましても、これが一人前のお医者さんになるのは十年の後ですね、
昭和五十七年くらいになるわけでありますから、
昭和六十年にその目標を達成するということはとうてい不可能であるということはわかりきった話なんです。
そういう
意味において私は、国・公立をできるだけふやすことによって、
地域の医療水準というものを高めることを考えなければならぬ。一ぺん免許証をとれば死ぬまでお医者さんで通るということで一体いいのであるかどうかという、制度自体についても検討しなければならぬ。これは厚生省の主管の問題でありますけれども、私は国務
大臣の一人としてそういう考え方を持っておるのであります。
アメリカあたりでは、二年に一ぺん、四十八時間以上のゼミナーを受けておらなければ免許証の再交付はしないという州もあるのであります。これも
一つの方法であろうと思います。それだけの研究を積まなければ医者として通用させない、免許証は再交付しないといった制度をとっておる。シカゴあたりはそういう制度をとっておるのであります。私はこれも他山の石として参考にすべき事柄ではないかと思っておるのであります。
その
意味においては、国・公立大学の付属病院があるということは、
地域のお医者さんにとっては医療水準が非常に高まるということなんでありまして、立地条件等の関係もありますし、いますぐ急にふやすと申しましても、基礎医学の教官というものを確保することが、これは容易な問題じゃないのであります。新聞で御承知のように、ことし東大で基礎医学に残る学生がたった一人
——ゼロと新聞には出ておりましたけれども、ゼロではありません。一人という
状態で、医科大学を増設しましても、基礎医学の教官からまず確保することが必要であるし、国立大学の場合は、必ず看護婦の養成施設をつくらせておりますから、この問題は待遇の問題と同時に解決できる問題である、私はそう考えております。それから看護婦の場合は、相当老齢になりましても、パートタイマーで使う道が将来はできてくる。いまのニッパチ制がもう少し改善されるならば、一ぺんはやめたけれども、六時間看護婦で働いてみようかとかいう人が出てくるならば、看護婦問題もおのずから解決する時期が来るだろうという考え方を持っております。
私は、人口の増加というものを考えます場合に、いまの千二百とか千四百とかという数字が固定的なものではないという考え方に立っておるものでありますということをひとつ御了承願いたいと思います。
それから、文部省の役人に私は決してだまされておりません。私は私の信念でやっておりますし、文部省の連中は非常に熱心に
協力をしてくれておりますから、その点は誤解のないようにひとつよろしくお願いいたします。