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川村委員 基本的なお考えはごもっともだと思いますが、これはまたいずれかの機会にお聞きすることができると思います。
そのように考えて、いま
大臣がお話しのようなものを私たち受け取りますと、これは各種の教育政策、
文教行政において、よほど検討を加えていかなければならぬ問題が累積をしておるのではないかと思います。初等中等教育を考えても、教員定数というものは一体どう考えたらいいか、あるいは
大学の今日の学部の増設、定員の増加等々に見合う専任教員の定数というものを一体どう考えたればいいか。今日の状態でいいとはだれも思っておりません。
大臣がお話しの、幼稚園教育を進めなければならぬ、これもその一つでございましょう。とにかく質的に充実させるということになると、いまある義務教育、後期中等教育、高等教育、こういうものにメスを入れなければならないものがたくさんあると思うのですね。そうなると、中教審答申の実現ということを一応意図しておられますけれども、中教審答申を受けられていろいろの教育制度の検討、研究をなさること、それはもう答申を受けられた
大臣としてはやむを得ないかもしれませんが、そういうものにのみ力が伸びていって、いまの量的にも、あるいは刷新という面から考えても、人間性の育成ということを考えても、陥没しているのをどうしてわれわれは埋めていくかというところに、もっともっと今日的課題があると思うのです。これはお願いになりますけれども、そういう意味で御努力を願いたい、このように考えているわけであります。
さきの国会で、いろいろ問題はありましたけれども、いわゆる教特法というものができた。これは
大臣はじめ当時の
文部政務次官、非常に御苦労いただいて、教員団体との意思の疎通をはかり、そして一つの基準をきめていただいて、それが各県条例に移されて、そこでいまでは好もしい
学校運営ができているようであります。これが私なんかは逆作用をしないように
注意をすべきであると言っておりますけれども、そういうような進め方、
大臣が胸襟を開いて教員団体等との話し合いに応じていただく、こういうようなことも、私は新しい道を見出していく大事な大事なものではないかと考えておるわけであります。
先ほど私は授業料のことをちょっとお聞きしましたが、この
大臣の
所信表明のこういう意図を考えて、「わが国の伝統を踏まえつつ、世界から評価され、人類の歴史に輝きを添えるような高い学術・文化の基盤を築き、美しく花咲かせる」そういうような生徒、
学生を教育するということになると、率直にいって、受益者負担なんという思想でなくて、ただにしてやる、一生懸命勉強せい、実はこういうものの考え方も成り立つのです。そういうこともこの中に含まっていると思うのです。授業料をこうこうした理由でこう上げるのだというようなことは、むしろこの
大臣の
所信表明と逆行しているような姿が実は私は言わせると出てくるわけですね。いろいろの問題はございましょうけれども、せっかく
高見大臣のもとで、いままで何かごたごたしておったようなものを切り捨ててしまって、教育の新しい道が開かれることを私は念願をしているわけであります。
時間が参りましたから次は割愛いたしますが、私はもう一つ実はお聞きしなければならぬと思っておることは、これは次の機会に保留いたしますが、戦後教育改革の一つの原則というものが実はあったわけです。その基本的な性格は、
文部省はあまりお好きじゃありませんが、家永さんの教科書裁判のときに南原元東大総長が証言をしておられる。その証言のことばによくあらわれている。実はそれも私たちは忘れてはならない。そのほか、戦後教育の民主的諸原則、こういうものがあるはずです。それを忘れないようにしていただきたい。
特に、最近私が気になるのは、一九四九年、戦争が終わってから四、五年しましてから、
文部省が「民主主義」という高等
学校用でしたか、教科書を出した。その教科書に実にりっぱなことが書いてある。これを私は読んでもいいですが、時間がありませんから読みませんが、
大臣は御存じでございましょうけれども、お読みでなかったら一ぺん
大臣それを読んでおいていただけませんか。私はこの次にその
文部省が出した——
文部省が出したのですよ。ほかの県でじゃないですよ。その「民主主義」という高等
学校用の教科書に実にすばらしいことが書いてある。こういうものをどこかへ捨ててしまって、これから先の教育を回転させていこうとすると危険なものが出てくる。こういうものをちゃんと踏まえておかなければならないと私は思うのです。今日、どうもやかましくなりまして、軍国主義化だとかいろいろなことがいわれておりますが、また
文教行政に対しても相当の批判がかぶさってきております。そういうことを考えると、憲法、基本法を踏まえた民主主義教育の原則というものをあくまでも貫いていくことが今後の、やはりこれから先の、特に
大臣がおっしゃるように、国際社会にひとつうんと働け、こういうようなことであるならば、なおさらそういう点を大事にして教育というものを考えていきたい。また
大臣がそのようなお考えでお進みくださることを要望申し上げておきたいと思います。
大臣何かございましたらひとつ……。