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1972-05-24 第68回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十四日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 井岡 大治君    理事 青木 正久君 理事 武部  文君    理事 有島 重武君       石井  一君    木村武千代君       坂村 吉正君    西岡 武夫君       別川悠紀夫君    田中 恒利君       松浦 利尚君    栗山 礼行君       谷口善太郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         沖繩開発政務次         官       玉置 和郎君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         大蔵政務次官  田中 六助君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁長官   亀長 友義君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君         中小企業庁次長 進   淳君         郵政政務次官  松山千惠子君  委員外出席者         通商産業省企業         局次長     斉藤 英雄君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君     ――――――――――――― 五月二十二日  公共料金値上げ反対に関する請願鳥居一雄君紹  介)(第三八七九号)  同(林百郎君紹介)(第四一二五号)  同(松本善明紹介)(第四一二六号)  公共料金値上げ抑制に関する請願津川武一君紹  介)(第四一二三号)  同(東中光雄紹介)(第四一二四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十三日  公共料金値上げ反対に関する陳情書外十二件  (第三一九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 井岡大治

    井岡委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 短い時間ですが、生協の問題について政府統一見解を求めたいと思います。  私は、この委員会で数年前から、生協法改正問題について、政府といろいろとやりとりをしてまいりました。今度の通常国会でも、先般も申し上げましたように、佐藤総理あるいは通産大臣厚生大臣いずれも、生協、特に消費生協物価問題の中で占める役割りについて、それなりの評価を政府自体がしておる。特に消費者運動の中で生協が、全国的に非常に活発に運動を展開しておるということを認めながら、生協法改正についてはっきりとした態度が示されず、今日に至りました。今回の国会あと二日を余すのみとなったわけでありますが、一体政府側は、私ども答弁をしたこの生協法の一部改正、特に地域制限緩和ということについて、どういう法律改正努力をしてきたのか。今日なおこの問題の決着がついていない状況でありますが、最初に、この生協法の一部改正についての政府の統一した見解を示してもらいたい、こう思います。
  4. 登坂重次郎

    登坂政府委員 武部委員の御説を拝しまして、私ども政府としては前向きに検討を重ねております。なお検討中でございます。その意味は、生協改正法を提出したい、改正法を作成したい、こういうことについて、各省とも力を合わせて検討中でございます。ただし、このよって来たる法律の趣旨が中小企業団体に正しく理解されることがまだできないので、それを含めて、わが自民党の党内調整もはかることを鋭意努力中であります。そして、遺憾ながら今国会には、法案の整理等もございまして、提出いたしかねますけれども生協法改正地域制限に関する改正をいたしたいということは政府の一致した意見で、前向きに前進しつつあるところでありますが、なお今後とも、中小企業との競合問題、それに対する理解を深めるよう、私ども生協及び通産省企画庁、そういう方面と鋭意努力を重ねてまいりたい、かように思う次第でございます。
  5. 武部文

    武部委員 検討中であるということをおっしゃったわけですが、国会あと二日しかありません。かりに延長になっても、ごく限られた期間であろうと思うわけですが、いまあなたが最後におっしゃった、今度の国会には提出できないということについては、そのように政府としてはっきり態度をおきめになった、このように見ていいのですか。
  6. 登坂重次郎

    登坂政府委員 国会延長されるかいなかは今後の問題点でございまして、あと二日、二十六日までという前提のもとにおいては困難であると、こういうように申し上げている次第でございます。
  7. 武部文

    武部委員 それならば、もしかりに国会がある程度延長された場合、政府はなお努力をして——いま鋭意検討中とおっしゃったわけですが、法律改正点というものは非常に微々たるもので、簡単なものであります。それならば、この延長国会中でも、さらに政府としては検討していく、そういうような努力をするということなのか、それとも、これはとてもだめだとか、それははっきり言ってほしいんですよ。ぐずぐず言ったって、日にちが来ればおしまいなんですから、だめならだめと……。延長国会になって、たいした改正じゃないと思いますから、あるいは出すかもしらぬ、そういう努力をすると。どっちなのか、それをはっきりしてください。
  8. 登坂重次郎

    登坂政府委員 御説のとおり、政府としては提出したいという努力は重ねまするけれども、今国会においては、今後の国会等関係もありますし、また事務的にも、また党内調整及びそういう問題について中小企業方面との調整が困難である、したがって今国会にはあるいは困難であると、こうお答え申しあげます。
  9. 武部文

    武部委員 そういたしますと、今度の国会にこの生協法改正提案をされなかった最大理由中小企業との競合の問題ということを、あなたは何べんもおっしゃった。前も、私はここに議事録を持ってきておるんですが、何回かのやりとりの中ではっきりしたことは、中小企業との競合問題ということになっておりましたね。しかし、この問題については、通産大臣は必ずしもそれに触れておらなかったわけです。しかし、いまあなたのお話によると、まず、この生協法の一部改正反対をしたのは中小企業庁通産省、こういうことに——あなた方の答弁をずっと見るとそのような結論になるわけです。したがって、この生協法改正が今回、何年来の私ども努力にかかわらず実らなかったという最大理由は、中小企業生協との競合問題にあるというふうに政府は考えておるというふうに理解していいか。だとするならば、これに反対をして法律改正をはばんだのは中小企業庁であり、同時にそれを管轄しておるところの通産省、このように理解してよろしいか。いかがですか。
  10. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 いまの先生の御指摘の点につきましては、私ども力足りませんで、たびたび国会生協法改正について努力するということを申し上げましたにもかかわらず、今度の国会提案できなかったことにつきまして、深くおわび申し上げたいと思います。  その理由につきましては、先生指摘のとおり、一番大きな問題は中小企業との競合問題でございます。ただ、通産省反対しているということでは必ずしもございません。通産省といたしましては、もろ手をあげて賛成というわけではございません。いろいろ問題があるけれども、この生協法地域制限緩和と申しますか、それについて絶対反対という態度ではございません。ただ、中小企業団体は非常に反対している。これは先般の、四月でございましたか、当委員会において私から先生にもお答え申し上げましたように、中小企業団体から非常に強硬な反対意見が出ている、こういうことでございまして、中小企業団体は非常に反対いたしておりますけれども中小企業庁ないしは通産省が、役所として非常に反対しているということでは必ずしもございません。ただ、今後この生協法改正をいたしますためには、やはり中小企業団体との問題をどういうぐあいに解決していくかということ、また、それを解決していくという方向で努力をしなければなかなか改正案が出せないのじゃないかということを痛感している次第でございます。
  11. 武部文

    武部委員 もう一、二です。  いまのお話でわかりましたが、いずれにしても中小企業団体反対している理由も、私も承知をいたしております。しかし、その理由も、必ずしもわれわれから見ると的確な反対理由ではない。全面的に生協というものが中小企業と肩を並べて争うような、そういうシェアも持っていないし、金額的に見てもそうであります、一%ということから見て。何べんも言うように、そういう状態でありますから、中小企業団体反対していることを中小企業庁通産省が、それを説得するだけの能力に欠けておったのではないかと私は思うのです。そういう点について調整通産省なり中小企業庁がやらなかった、できなかった、ここに私は問題点があると思う。  しかし、それを言っておったのでは始まらぬわけですから、それはそれとして、それならば次の国会厚生省としては——経済企画庁もそうでありますが、相談をして、この懸案の問題について次の国会に提出するという意欲で取り組む考えがあるのかどうか、これをひとつお聞きしたい。
  12. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 結論を申し上げますれば、私どもといたしましてはさらに努力を続けたいということでございます。  ただ、今度の国会を通じまして私ども痛感いたしましたことは、予想以上に中小企業関係者が、生協という問題について批判的な目を持って見ているということでございます。したがって、これをどうやって解きほぐしていくかということ、その見通しがなければなかなか、努力をいたしましても国会にまた出せないということだろうと思います。  いろいろ関係先生方その他と御相談いたしましたところ、一つの考え方といたしましては、生協法改正するなら同時に中小企業対策というもの、たとえば中小企業税金の問題とか、その他いろいろなものをあわせて中小企業に対する保護対策といいますか、そういうものを同時に出さなければこれはなかなかむずかしいというような御意見も相当あったわけでございます。したがいまして、そういう問題とも関連を持たせながら、簡単なお約束はできませんけれども、次の通常国会におきましてもそういった基盤づくり努力をいたしまして、その上で、見通しをつけた上で提案に持っていきたいというぐあいに考えております。
  13. 武部文

    武部委員 私は終わりますが、いままでのお話を聞いておりまして、厚生省がそうだとは私は言い切りませんが、政府自体が、生協というものに対する認識が非常に欠けておると思うのです。いま、中小企業団体が、もし生協法を通すなら中小企業に関するところの融資の問題とか税金の問題とか、そういうものをあわせて解決してくれというようなことを言っておるそうでありますが、一体生活協同組合というものが融資の面で、あるいは税制の面で特段の保護を受けているかというと、そうではないのですよ。そんなことは全然ないのですよ。そういうものを理屈づけて、中小企業保護をしてくれ、これはけっこうなことでしょう。しかし、生協法改正と取引するようなそういうやり方で、税金の問題とか融資の問題とかいうようなことを掲げてくることは、生協法改正をはばむための言いがかりにすぎませんよ。私はそういう面で、政府自体生協というものについてもっと認識を深めてもらわなければ困ると思うのです。確かに全国に二千の生協がありますよ。その販売高だって、資本金だって、調べてごらんなさい、どこに税金融資の恩恵を受けていますか。そんなこと、全然ないですよ。ないけれども、それは消費者運動の中で一つ要素を占めているのです。効果をあげているのですよ。そういうものに対して、あらゆる手を使って圧力をかけてくるようなそういうやり方は、私ども納得できません。  きょうは時間がありませんから、これ以上申し上げませんが、少なくとも今日まで、総理なり各大臣答弁をした経過があるわけですから、ぜひひとつそういう問題については政府自体が、この国会でできませんでしたけれども、真剣に努力をして、次の国会にはやはり、この改正問題について前向きでひとつ取り組んでいただきたい。私は、企画庁政務次官答弁を聞いて、この問題は終わりたいと思います。
  14. 木部佳昭

    木部政府委員 武部先生からたびたび御指摘がありましたように、消費者保護ないしは物価安定等を考えてみますと、生協を育成するということは非常に大事な時期に来ていると考えております。そういう意味で次の国会には、いろいろな困難な問題もあるでしょうが、そういう問題を排除しながら期待にこたえるように、最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  15. 武部文

    武部委員 終わります。
  16. 井岡大治

  17. 石井一

    石井(一)委員 きょうは私は消費者立場から、野菜価格安定について政府委員にいろいろと質問をしたい、こういうことでございますが、その前にほんの短時間、現在最も大きな問題になっております沖繩物価高について、せっかく御新任の玉置政務次官もお見えでございますので、要約してお伺いをいたしたいと思います。「豊かな沖繩県」ということでスタートをしておるわけでございますけれども現状は、すでに新聞にも報道されておるように、たいへんな異常な事態である、こういうことでございまして、さらに業者の便乗値上げであるとか消費者の買いあさりとかいろいろな要素が複雑に加わって、私はこの異常な状態になっておると思う。一体、この混乱がどういうところから由来しているのか。簡単でけっこうです。まず、この点からお伺いしたい。
  18. 玉置和郎

    玉置政府委員 石井さんの御質問にお答えする前に一言、お許しを得ましてごあいさつ申し上げます。  このたび、はからずも推薦されまして沖繩開発政務次官に就任をいたしました玉置和郎でございます。よろしくお願いいたします。  いま、どういうふうにして異常な物価高が起きたかという問題でありますが、この問題につきましては、山中長官がすでに記者会見でも述べておりますが、私たちは、大体三つに分けられるのではないか、こう考えております。  その第一は、やっぱり沖繩県民の心情的な不満であります。それは一口で言いますと、三百六十円レートで読みかえられるものと思っておったと思います。しかし、円経済というものをりっぱに推進していくためには、どうしてもこの交換レートというものを実勢レートのところで押えていかなければいかぬというふうなことから、三百五円にいたしたのでありますが、そういうものに対する非常な不満というものが物価にはね返ってきておるということが一つ二つ目は、三百六十円というものに対する従来からのなじみがございます。ことに、公共料金賃金労働者賃金の換算が三百六十円でなされてきた、しかし実勢は三百五円であるというふうなことから起こる混乱、特に商売人のほうにとりますと、公共料金賃金労働者のほうも三百六十円だ、自分たちはなぜ三百五円でこれを読みかえてやらなければならぬのか、この際損をしてはということで、そういう心理的な影響、また実際面における計算づくの立場から、物価の中にそのことを織り込んでおるという状態。  われわれのほうとしましても、やはりこういう問題が起こり得るだろうということを予期しておりましただけに、従来からこういった問題の対策については、沖繩県のほうともいろいろ御相談を申し上げておりました。そうして関税措置等についてもいろいろと手を打ってきたはずでありますが、そういう特別措置についてのPRがやはり県民の間に不足しておったというふうなことからこういう状態が起きておるのじゃないか、こう思うわけであります。
  19. 石井一

    石井(一)委員 比較的明快に三点をおあげになりまして、確かにそういう問題がこの混乱原因であるというふうに強く感じますが、御指摘になりました中で特に第二点の問題が、非常に大きな原因になっておるのじゃなかろうか。ドルと円の交換措置の不手ぎわとでも申しますか、いま政務次官が御説明になったとおりでありますから重複を避けますが、こういう措置になってしまって、もうすでにさいは振られておるわけですから、今後これにどういう具体的な対策を立てようとされておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  20. 玉置和郎

    玉置政府委員 石井さんも御承知のように、十月九日の時点で、一応沖繩県民の持っておられますドルというものを押えたわけであります。その後にドルの所有とかそういう問題が、経済成長に伴って起こってきております。それをいま、一ドルについて五十五円損するじゃないか、それをやはり政府のほうで見るべきじゃないかという御意見、これは私はそれなりに受けとめたい、こう思っております。  そこで、そうしたものをどういうふうな形で還元をしていくかということにつきましては、やはり沖繩県民全体の福祉という立場から考えていきたいということでありまして、具体的な方策といたしまして、いま沖繩県から出されている問題につきましても検討しておる最中でございます。
  21. 石井一

    石井(一)委員 基本的な政策面で、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、この問題を解決しないと、私は、この物価高というのはかなりの時間がかかるというふうな感じがいたしますので、ひとつ抜本的な何らかの措置をお考えいただきたい、こういうことを要望しておきます。  それともう一つ、具体的な問題として政治的なあるいは行政的な面で措置できる問題は、まず基本的な政策検討ということは重要であり、この間うちからいろいろ会議を持たれておるようでありますが、そういうもう少しこまかい問題でも一つ一つ解決していくという姿勢が非常に重要だ、こういうふうに考えるわけであります。  これは私、仄聞した話でございますけれども沖繩学童給食によく使われておるランチョンミートという、北欧風のソーセージとでも申しますか、これが非常に、沖繩の学校でポピュラーであるということでありますが、物資の不足というものをも加算して急騰しておるという現状のようであります。これは早急に手を打たなければいかぬようでございますけれども、何かそれらの物資を載せた船が、船員ストなり港運ストに当たってどこかで停泊しておる、こういうことも聞いておるのでありますけれども、もしそういうことが事実であれば、これは直ちに沖繩に対して——沖繩が復帰したことによって政府が手を打ってくれたのだ、こういう一つの明らかな事実にもなろうかと思いますので、こういう問題があれば、ひとつ具体的な解決を示していただきたい、こう思うわけでありますが、この点について何か聞いておられるかどうか、あるいは具体的な方策を持っておられるかどうか。
  22. 玉置和郎

    玉置政府委員 いまのランチョンミートの問題に触れます前に——。  物価安定については、開発庁が中心になりまして、関係省庁の幹部を集めましていろいろ協議をいたしております。その方策につきましてはすでに報道されておりますが、その効果が、きのういろいろ情報をとりましたところ、やや出てきたのじゃないかという観測も出ておるようであります。そこで先般、そういう冷やす効果ということだけでなしに、いま御指摘をいただきましたように、品目一つ一つについても、これは早急に検討を進めたいということでいまやっております。  そこで、御指摘をいただきましたランチョンミートでありますが、これは沖繩県民の食生活上欠かすことのできないものである、ことに学童給食に使っておることからしましても、学童栄養の向上という面からしましても、やはり政府として緊急に手を打たなければならぬ問題だ、こう考えております。いまお話のありましたように、たまたまそのランチョンミートを積んだ船、サバンナ号だというように聞いておりますが、沖繩に入りましたときに、ちょうど沖繩のほうもストでございまして、おろすことができない。そこで神戸に向かったのでございます。神戸で他の荷物を積みおろして、そうしてまた沖繩に引き返してというようなことをおそらく考えておったと思いますが、神戸のほうにおきましてもこれはストに引っかかっておりまして、いま身動きのできない状態であります。  しかし、問題が問題なだけに、これは何としても早く手を打ちたいというふうに考えておりまして、関係の筋と目下相談をいたしております。緊急に積みかえてこれを沖繩に持ってくるとかいう措置を講じたい。そういうことから一つ一つ物価値上がりを冷やしていく。そして当面のこうした学童栄養確保というふうな見地からも、政府として沖繩に対してこういう配慮をしておるのだ、沖繩の心を政府はやはり十分考えておるのだ、そういう姿勢理解をしていただきたい、こう思うわけであります。
  23. 石井一

    石井(一)委員 ただいまの御答弁でけっこうなんでございますが、ただ、どうすみやかに実行に移していただけるか、こういうことであります。私の調べました価格に関しまして、外国産品に関しても、県産品、いわゆる沖繩の土産のものに関しましても、それから本土から入れておるものに関しましても、三百五円前後のもので落ちついておるもの、三百六十円くらいのもの、それからそれ以上のもの、普通なら何かもう少し整理ができそうなものでありますけれども、いま申しました三つの部分、どれも非常に広範に広がっておる。私は、これをもう少しよく政府でも御検討になりますと、どこかに基本的な根というものがあるというふうな感じがいたします。外国製品であれば関税の問題であるとか、国内製品であれば輸送の問題であるとか、土着の製品であればストックの問題であるとか、いろいろあると思いますので、この点ひとつ具体的に早急にこの問題を解決し、沖繩県民の信頼をかちえていただくように御努力をいただきたい、このことをお願い申し上げまして、この問題の質問を終わらしていただきたいと思いますが、何か御意見がございましたら、最後にひとつ——
  24. 玉置和郎

    玉置政府委員 いま適切な御指摘をいただきましたが、開発庁といたしましてもすでにこの品目別検討に入っておる段階でありまして、輸入物資におきましても、全部が全部というわけじゃございませんで、また沖繩産物資にいたしましても、全部が全部ではない。また本土から、いわゆる本州から向こうに持っていきます物資にいたしましても、耐久消費財だとかあるいは繊維というようなものはあまり上がってない。やはり日常すぐに必要なこういう物資についてかなりの高騰を来たしておるというあたりからいろいろ仕分けをしまして、いま検討しておることを御報告申し上げます。
  25. 石井一

    石井(一)委員 それでは次に、野菜価格の問題に移らしていただきたいと思います。  そこで、家計費の中で非常に大きな比重を占めておる、まあ現在では米よりも重要度が高いともいえますこの野菜価格の問題でございますけれども、いわゆる過去の実績では、結局価格の安定というものが期せなかったということでありまして、高ければ主婦からの大きな反発を受け、安ければ生産者からの反発を受ける。やはり政府のもう少しぴしっとした強い姿勢対策というものが、私はこの分野では特に要請される、こういうふうに考えるわけでございます。ところが、一番むずかしいとされておる冬場の価格がここ数カ月比較的安定しておる、こういうことも事実でございまして、今後高騰がなければ、これは非常にいい傾向に進んでおる、こういうふうにも感ずるわけでございます。  そこで、過去にいろんな答申なり勧告なりというふうなものがなされておる。特に本年五月には、行政管理庁からの勧告が何点かにわたってなされておるわけでございますし、それ以前には物価安定政策会議なりその他、いろんな指摘というものがなされておるわけでございますけれども、まず農林当局にお伺いをいたしますが、現在やや安定のきざしを見せておるのは、これらの答申を忠実に実行してきたからそういう結果が出たのか、あるいはそういうことでなしに、今後の見通しとして、まだまだこれまで起こったような暴騰なり暴落というか、そういうような心配の懸念があるのかどうか、まずその点をお伺いしたい。
  26. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  野菜につきましては、相当前から非常な価格の変動が激しい作物であります。したがいまして、約七年ほど前に野菜の生産出荷安定に関する法律というものをつくりまして、野菜の指定産地制度を設けて産地の育成を行ないますとともに、消費地域には指定消費地域というものをつくりまして、大都市と指定産地とを結びつけて生産出荷の安定をはかっていく、生産出荷の安定によっておのずから価格の安定も期してまいりたいということで、野菜協会を別途設立いたしまして、暴落時に野菜の不足払いを行なうことによって農家がある程度安心して生産ができますようにということで、この法律を施行してきた次第でございますが、その後の都市化の波といいますか、国民経済の向上に伴いまして野菜に対する需要が大きな要求がある一方、また反面、供給面におきましては、産地がともすればうまく育成されないで、その他また農村労働力の不足等もありまして、野菜の生産から消費に至る一つの需給構造に多少の変化がございまして、冬野菜につきましては、ともすれば過去数年来暴騰のほうが多くて、たまたまことしはある程度安定した価格といいますか、むしろ暴落ぎみの形で推移した、こういうふうにわれわれは見ている次第でございます。  昨年からことしにかけましての野菜価格がなぜこういうふうに、低位といいますか安目に推移しているかということの一つ原因といたしましては、昨年の十月以来、野菜にとっては最もいい状態の天候が大きく左右しておるということは、基本的な事実だったと思います。それに加えまして、おととしから農林省で実行いたしております、農業生産の段階で稲作転換対策事業というものがございまして、それによりまして、昨年一年間の稲転の面積のうち野菜への転換というものが約七万ヘクタールばかり、稲作転換によって実行されておるわけでございまして、その野菜の稲作転換によります面積がある程度供給力となって出てきたのではなかろうか、こういうふうに見ておりまして、今後とも、ことし四十七年度におきましてもまた相当、いまのところの予測では七万ヘクタールをこえる稲作から野菜作への転換があるものと見ておりまして、ある程度、野菜の供給というものはふんだんに行なわれるものと期待しておるわけでありますが、しかし、われわれといたしまして、やはり冬野菜につきましてはまだ今後相当問題は残るのではなかろうか、こういうふうに見ております。特に四十七年度の施策におきましては、この冬野菜として問題視しております大根、白菜、キャベツ、タマネギ、こういったものについては施策の上で重点的に努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 石井一

    石井(一)委員 いろいろ御説明を伺いましたけれども、結局は、政府の強力な施策のもとに現在安値を保っておる、こういうことでなしに、やはり不安定な要素というものは野菜価格安定という面では非常に残っておる、特に天候に支配されやすい、その他の施策も十分に進行しておらない、そういうふうにもうかがえる御答弁でございまして、多少不安を感ずるわけでございます。  そこで、具体的な問題について一つ一つ簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、要するに日本の野菜をつくっておる農家というものは専業でない、いわゆる片手間に副業的にやっておるというのが、データ上も非常に強く出ております。大体七割以上が〇・三ヘクタール以下であるということでありますし、一ヘクタール以上の専業の者は全体の四%、こういうことが私の調べたところにも出ておるようでありますけれども、作付とともに、生産者の意欲を燃やせる専業農家の育成ということにもっと強力な手を打たなければいかぬということを、私非常に強く痛感をいたします。これに対する施策はどうなのか。ただいま稲作転換から七万ヘクタールと言いましたけれども、全体の転換面積の中で七万ヘクタールというのは何%を占めておるのか。休耕地に対してもう少し思い切った野菜への転換の施策というものを農林省が打ち出されない限り、私は供給という問題が解決しない、こういうふうに考えるわけでありますが、まず、この点にしぼってお答えをいただきたいと思います。
  28. 荒勝巖

    荒勝政府委員 稲作転換対策関係から申し上げますと、昨年の詳細な数字は、ちょっといまデータを持っておりませんが、約六十五万ヘクタール程度が、稲作から休耕もしくは転換への面積でございます。そのうち約半分の三十万ヘクタール程度のものは、草地あるいは野菜、果樹その他の園芸作物等、桑とかそういったものへの転換が行なわれたのでありますが、単品の作物への転換としては野菜が一番大きなウエートを占めたもの、こういうふうに理解している次第でございます。  また、農林省といたしまして、四十七年度から、特に野菜の重要性にかんがみまして、大きく野菜関係の予算を要求いたしまして、約百十一億円という直接的な野菜対策の予算を組んだわけでございますが、その中で、ただいま御指摘になりました野菜の生産ということにつきましては特段の努力を払いまして、この充実を期しておる次第でございます。  そのうち特に、ただいま御指摘になりました野菜の産地づくりということにつきましては、野菜の生産対策といたしまして約二十二億円ぐらいの予算を計上いたしまして、現在六百四十産地程度の指定産地がございまして、指定産地と指定消費地域とを結びつけていくわけでございますが、この指定産地づくりというのは、いわゆる専業的なキャベツの産地あるいは白菜の産地、あるいはキュウリの産地というふうに、従来の兼業的あるいは副業的な生産の段階から、一つの専門的な品種の統一等を含めまして、こういう指定産地づくりに全力を今後続けてまいりたい、こういうふうに考えておりまして、今後とも、この指定産地制度の育成強化並びにその産地づくりにつきましては大いに生産を振興してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 石井一

    石井(一)委員 次に、ちょっと問題が変わりますけれども野菜が非常に貯蔵性に乏しい、鮮度が非常に重要視される商品である、こういうことでありますから、この貯蔵方法というものを特に研究をして、二日か三日か延ばすということによって価格安定に寄与する度合いというものは、私は非常に大きいというふうな感じがするわけですが、民間の場合は、非常に研究開発というものに重点的な努力をさいておるようでございますけれども、農林省なり経企庁あたりを中心に、この問題にどのような意欲で臨まれておるのか、この点はいかがですか。
  30. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来から、ただいま御指摘のように、野菜のいわゆる出荷後といいますか、抜き取ったあとの鮮度保持ということが非常にむずかしい。また日本の国民の消費者立場からいたしますと、非常に鮮度の高いものは購入しますけれども、ちょっと鮮度の落ちたものはほとんど買わないというふうな、国民生活、消費性向の問題がございまして、非常に問題があったわけでございますが、いろいろと長い間、科学技術庁なりあるいは農林省なり各方面検討の結果、全部が全部はまだむずかしいと思いますが、ある程度、貯蔵性の多少ある作物については貯蔵できるんではないかということで、四十七年度の予算におきまして初めて、消費地域に大規模の低温貯蔵庫を設置して、これで今後推進してまいりたいということでさしあたり初年度といたしまして五億円の予算を計上いたしまして、大規模の低温貯蔵庫を京浜地区と京阪神地域にそれぞれ一カ所ということで、これがうまく設立でき、これがさらにうまくいくならば、今後ともさらにこの貯蔵庫の整備について助成してまいりたいと、こういうふうに考えておりまして、さしあたり、この貯蔵庫をつくりましてタマネギを入れて、相当長期の低温貯蔵を行なうとともに、バレイショあるいはその他の果菜類を中心に、逐次低温貯蔵による貯蔵性の効果を発揮できるように努力してまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  31. 石井一

    石井(一)委員 それに関連いたしまして、新聞報道では、野菜安定事業団の構想というものが報道されておりますが、要するに国が直接に介入をして、あるときにはストックをし、なにをしして、市場介入に乗り出すことによって価格安定に寄与する、こういう構想でございますが、たとえば畜産あたりでは、その効果は別といたしましても、そういう形態での市場介入というものがなされておる。この点、天候なりせりなりにまかされておるような価格形成をなしておる野菜に対して、このような一つのいい意味での政府のコントロール、これは貯蔵という技術を推進していく、そういう構想とのかみ合いにおいて、私は価格安定に寄与するような感じがいたしますが、この構想に関してはどのように進んでおるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  32. 荒勝巖

    荒勝政府委員 一時、野菜を研究をいたしております過程で、野菜事業団というふうなことも一つのテーマとして、昨年の秋ごろ出たいきさつはございますが、その後検討いたしました結果、野菜事業団ということよりも、現在、先ほど申しました野菜の生産出荷安定法に基づきまして、特別な法人といたしまして野菜協会ができておりますので、その野菜協会の持っております価格補てん事業ということにつきましては、従来以上に、特に大根、白菜、キャベツ等の問題野菜につきましては価格の補てん率を大幅に引き上げるとともに、国庫の負担割合も引き上げて、また支払い方法も、月別計算等、従来以上に一段と価格安定事業については努力するということにいたしますとともに、さらにこの野菜の現物を把握するということにつきまして、先ほど申し上げましたように、さしあたり、冬野菜のうちで問題になりますタマネギをこの際確保したらどうかということで、民法法人の財団法人を設立いたしまして、輸入タマネギにつきまして、秋口に外国と輸入契約を結びまして、冬場の三月ごろの端境期対策といたしましてタマネギを長期保管しておきまして、市場に放出することによって価格の安定に資することができますよう、われわれとしてはそういった形で行政を進めておる次第でございます。
  33. 石井一

    石井(一)委員 農林大臣がお忙しいのにおいでいただいておりますが、お許しをいただきまして、もうしばらく、この野菜の問題について議論を進めさせていただきたいと存じます。  そこで、局長このほうはごく簡潔にお答えをいただければけっこうでございますが、指定野菜価格補てんの問題について、まずその野菜生産出荷安定法に基づいて指定野菜というものが現在十三種類、そして安定事業の対策として四種類が指定をされておるようでありますが、今日その野菜の種類というものもどんどんふえておる、こういうことでありますけれども、新しく対象とすべき品目を追加する、順次取り上げてやく意思があるかどうか、この点いかがですか。
  34. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘になりましたように、野菜価格安定対策といたしまして、一応十三種類の野菜を指定しておるわけでございますが、これにつきまして、従来、過去五年間ほど、毎年二、三品目ずつ追加して、種類をふやすことに重点が置かれまして、その価格安定の対策について質的な向上が期せられなかったというようなこともございまして、われわれといたしましては、今後さしあたり当分の間、一応、野菜の種類をふやすことよりも、それぞれの野菜についての手厚い、濃密的な行政を行なうという方向で考えておる次第でございます。また、そういった十三種類の野菜のうち特に問題になります大根、白菜、キャベツの冬野菜につきまして、特別の価格補てん率を大幅に引き上げることによって、冬野菜対策として実行してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  35. 石井一

    石井(一)委員 次に価格補てん制度に関して、平均価格の四分の三をとって保証基準額とし、最低価格をとって最低基準額、その間を対象として補てんする、現在のこういう制度でありますが、たとえばトマトとかキュウリとかという、これまた非常に消費者に愛好されておる、こういうものが平均価格が四分の三以下になったものがない。そのままずっと続けばこれで非常にけっこうなんですけれども、従来の行政面から判断をいたしますと、要するに暴騰か暴落が起こってから、そのあとでいわゆる価格補てんなり何なりの、後手に回った施策というものがとられるのではないかということを懸念いたしますけれども、この価格補てんの再検討ということを考えておられるかどうか。
  36. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来四十六年度に対しまして、四十七年度で特に野菜価格安定対策には一段と充実したつもりでございまして、この保証基準額のきめ方につきましても、従来は平均値、過去五年間の市場の平均値の七五%を保証基準額とするということで、過去五年という数字がはなはだまずいではないかというようなことが、当委員会でも御指摘があったいきさつもございますので、それを趨勢値で出すことにいたしまして、過去の趨勢値で出しまして、それの八〇%を保証基準額とするということにまず改善をした次第でございます。さらに、国庫負担割合といたしましては、従来はその補てんの分のうち国庫負担は二分の一といったのを、今後国庫負担を十分の六に引き上げまして、残りの四割のうち二割を都道府県、二割を農業団体あるいは生産者負担という形で、この国庫負担割合も大幅に引き上げたつもりでございます。また、支払い方法も、従来は出荷期間ということでおおむね三カ月ないし四カ月計算いたしまして、平均値が出たところで初めて不足払いの支払いということになっておりましたのを、昨年の夏のキャベツ等で非常に問題がございましたので、今回から改善いたしまして、毎月ごとに出荷数量に応じて、不足払いの必要があれば月別計算によって支払うということに改善した次第でございます。
  37. 石井一

    石井(一)委員 もう一つ補てん制度に関しまして、いわゆる平均価格が基準以下になった場合に生産者補給交付金というものを出すことになっておるようでございますけれども、その基準の算定が出荷全体の平均をとっておるために、個々の生産者にとっては短期間に大きな打撃を受けるという面がある、こういうことのようでありますけれども、現行制度では、過去にあった最低価格を最低基準額としておるので、万一それ以下になった場合には、下がった分は全然補てんされない、こういう問題があるようでありますが、この点について何らかの改善策なり何なりを考えておられるのかどうか。
  38. 荒勝巖

    荒勝政府委員 問題は二点あると思いますが、指定産地制度によりまして、共同出荷ということでこの施策はつくられておりまして、指定産地でできます大体六、七割は指定消費地域へ振り向けるということを条件といたしまして、しかもばらばら出荷ではなくて、出荷組合単位で出荷してもらうということにしておるわけでございまして、それが長期にわたる出荷期間だと、昨年のように六カ月にわたる出荷期間だといたしますと、初めのほうに出された方は非常に価格がよくてよかったんですが、あとで出した者は非常に悪いということがありましたが、それを平均して出しますと支払いをしなくてもいいというようなことで問題がありましたので、今回から月別で支払いを行なうということが、まず問題の一点の改善であったと思います。  それからさらに、出荷組合に対しまして、われわれのほうで指定産地の補助金を交付いたします場合に、それぞれ希望にもよりますが、共同計算のためのいろいろな電算機の導入ということも補助対象にいたしておりまして、協会から支払います不足の補てん金の支払い方法につきまして、電算機によりましてそれぞれの出荷組合ごとに——いろいろな知恵を出されまして、農家に対する不足払いをプール計算でされるところもあるし、あるいは場合によっては個人別の計算をされるところもあるし、それはそれぞれの出荷組合に、その不足払いの支払い方法はまかしておるというふうな考え方に立っておりますが、少なくとも協会からは、出荷組合に一定の財源は月別に支払われるということで、相当改善になったんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、従来は平均市場価格で出しておりましたので、過去五年間の物価修正はいたしておりますが、相当低位水準であった。だから不足払いの水準が非常に低いではないかという御指摘がございましたので、平均市場価格の、さらにそれを趨勢値で出すということで、大体野菜の値段は過去五年間、常に高値の傾向値を出しておりますので、四十七年度の計算におきましても、その趨勢値で出しますと相当高値の保証基準額が出てまいりますので、それによりまして農家のほうに対する不足払いの機会も相当ふえるものと、われわれは考えておる次第でございます。
  39. 石井一

    石井(一)委員 いまの指定産地の問題で、もう少し産地指定も消費地域指定も限定のワクを広げて、国内をもう少し有機的に結びつけるという方策がとれないだろうか。運送面であるとかいろいろ問題がありますけれども、消費地域の拡大、生産者の補償の拡大ということを今後考えられることが、私はやはり価格安定に寄与するというふうな感じがいたしておるわけでありますが、この点はいかがですか。
  40. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来、指定産地制度が設けられましたときは、五年ほど前でございますが、やはり野菜というものは都市近郊を中心とした出荷ということを前提といたしましたし、また実態もそういうふうな、本に書いてあるような形で都市近郊が中心であったわけでございますが、その後道路網の整備あるいは交通機関の発達等によりまして、相当遠距離からの輸送も経済的に十分になってきたというようなこともございまして、また都市近郊は都市化の波で、相当早く産地としての価値がなくなってくるというふうに判断いたしまして、昨年から、新しく指定産地を指定するに際しましては、中距離圏もしくは長距離圏にまで産地を指定いたしておりまして、従来東京地区の産地の場合は、北は北関東までが限界だったのを、最近は東北まで伸ばし、将来できますれば、東北でも北東北まで伸ばしてまいりたい。それからまた西のほうにつきましても、南九州の産地は、従来、ともすれば都市に対する供給圏にはならないという考え方でありましたが、カーフェリー等の発達、あるいは将来高速道路網が南九州まで通ずるということを前提といたしまして、今後逐次、指定産地は南九州にもまた超重点的に配分してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 石井一

    石井(一)委員 五月の初旬に出されました行政管理庁の勧告が、大体五つぐらいに分かれておったようでありますが、内容は御存じのところでありますから省略いたしますが、これはそれぞれ実現可能なものであるかどうか、いま御検討中であり、そちらの態度なり、回答を間もなく出されるという、こういう時期に来ておるようでありますけれども、この点はいかがですか。
  42. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年来、野菜価格が非常に変動が激しかったいきさつもあり、行政管理庁も相当農林省とも接触されまして、いろいろ検討された結果、ああいう勧告が出たものと理解しておりますが、野菜の生産並びに出荷と価格安定に関する問題につきましては、相当行政管理庁との間で話し合いの上でああいう勧告が出ておりますし、したがいまして、われわれといたしましても、当然にこれは、十分に勧告を受けまして行政を推進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、われわれといたしましては従来以上に増して、勧告に従って今後野菜行政については努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  43. 石井一

    石井(一)委員 その中の一点、総合食料品小売りセンターの設置、いわゆる公設市場の設置ということでありますけれども、私はこれはぜひ、予算も大きくなっておるようでありますから、実現を期していただきたいという感じがいたします。現在の場合、都市の中で、非常に地代の高いところでいまのような形でやっておれば、いつまでたっても一つの基本的な安い価格というものが打ち出せないと思います。私は、産地から直接持ち込めるような形式をもってそういうものを打ち出していただきたいと思いますが、この案に対する実現可能性はいかがですか。
  44. 小暮光美

    ○小暮政府委員 総合小売り店舗の問題につきましては、私どもも、小売り段階の合理化の最大のきめ手として力を入れてまいる考えでございます。御指摘のように、大都市の場合に、現実の土地の入手あるいは商圏との調整というようなことに、末端でさまざまな苦心をしておることは事実でございまして、これに私どもとしましても全力をあげて指導しなければならないと考えております。具体的には、たとえば、従来公営で市場をつくります場合だけを助成しておりましたけれども、それとあわせて、関係の小売り業者が相集まってつくる、これは商圏調整のほうにむしろ便宜があるわけでありますから、こういうものについても、適切な計画であればこれを助成し得るという道を開きますとともに、別途、従来農村地域でございましたところに急激に住宅ができてまいっております、こういうところに総合小売り店舗をつくります場合には、生産者団体がその総合小売り店舗を運営するということも認めようということで、助成の道を三本にいたしまして、それぞれ地域の特性に応じてこの仕事を進めたいと考えております。特に、最後に申し上げましたような点につきましては、先生指摘のような点を新しく盛り込んでいく可能性が十分あると考えております。
  45. 石井一

    石井(一)委員 野菜質問はもうこれで終わりたいと思いますが、野菜対策予算が本年度百十一億になったと、さっき御説明がございました。これは昨年度に比べて相当の増額である、こういうことですけれど、私は、まだまだ農林省の姿勢なり、予算というものが少ないような感じがするのですが、直接の担当者として、この予算で価格安定がはかれるのかどうか、この点いかがですか。
  46. 荒勝巖

    荒勝政府委員 われわれといたしまして、四十七年度予算をつくりますに際しまして、野菜については従来以上に相当努力いたしまして、野菜予算の要求をしたつもりでございますが、これにつきましては、おおむね要求どおりの予算が実現した、こういうふうに見ておるわけでございますが、今後とも野菜予算につきましてさらに努力いたしまして、従来以上に予算を要求いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、ただいま百十一億と申し上げました予算は、大体普通の予算でございまして、さらにこのほか、土地基盤整備等の関係あるいは総合構造改善事業の関係で予算として計上されておりますものが、土地基盤整備として約三百億に近い二百九十数億の予算が計上され、さらに別途、構造改善としても約百億近いものが組まれておりまして、野菜の予算につきましては、稲作転換対策事業ともからみまして、今後も大幅にふえていくものと考えておる次第でございます。
  47. 石井一

    石井(一)委員 きょうの野菜の議論は序論のようなものでございまして、私がいま御指摘いたしました幾つかの点、それぞれに、検討の余地があるというふうに感ずるわけでございまして、今後私も問題をさらに追求し、引き続きこういう機会を持たしていただきたい、こう思います。  どうも、いろいろなものを読んだり何かして見ておりますと、野菜行政に対しては、これまで農林省の施策というものがなまぬるいというような批判が非常に多く見られるわけであります。私は、それが必ずしも正しいかどうかということをここで議論をしておるわけではありませんけれども、いろいろやり方によって、これは一番大きなウエートを占めてきておる、一番関心の大きい、台所に直結した商品だけに、ただいまお答えいただきました答弁の中からも、改善策あるいは前向きの姿勢というものもうかがえますけれども、またその反面、なまぬるい面も感じ取られるわけでありまして、今後この点についてひとつ十分配慮して対処していただきたい、こういうことを御要望申し上げる次第であります。  そこで、農林大臣においでいただいておりますので、米の問題について一問ないし二問お伺いをいたしまして、私の質問を一応終わりたい、こう思っておるわけでございますが、私は一週間前の当委員会で、新規参入に関する米価の問題について、食糧庁長官に一時間ほどいろいろとお伺いをいたしました。そのとき一番最後食糧庁長官が、これは大臣の問題だからということで答弁をされなかった点がございましたのは、この間新聞報道でもなされておりましたように、諸般の情勢から生産者米価の値上げに踏み切らなければならない事態が来ておる、こういう大臣の御発言でございました。その点について大臣としては、生産者米価に対してどういう態度で臨まれようとしておるのか、この物価委員会で一応御表明いただきたい、こう思うわけでございます。
  48. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 御指摘のような発言、しばしばいたしました。抑制するという立場はいけないということで、逆を言えば、ある程度上げなければならないのではないかというようなことにとられておるわけでございますが、どういう段階できまっていくかということにつきましては、まだ作業に入っておりませんし、政府部内でのいろいろな相談にも入っておりません。しかし、方式としては、いままでの生産者補償方式というような方式、これを変えて、そして——それを変えるということが、とかく押えるために変えるというふうにとられますから、なかなか方式としてもほかにいい方法が、いま差し迫っておるときに考えつかないようなことがございますから、生産者所得補償方式という方式に従って諮問していきたい。しかし、それについては、資料や何かまだ整っておりません。それが整い次第案をきめて、六月末ごろに米価審議会を開かれるようにしたいと思いますので、そこに諮問していく、こういう段階でございます。
  49. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、基本的には方針の変更をし、そういう形で個々事務的に検討を加えていくということのように受け取れるわけでございますけれども、具体的に決定までのタイムスケジュールはどういうふうになり、いつごろにそういう御決定をなさる見通しなんでございますか。
  50. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 タイムテーブルといいますか、これはいま申し上げましたように、六月末ごろに米価審議会を招集してそこへ諮問をするという考えですから、そろそろ事務的に資料を集めてそれで計算をしてみる、こういうことに入ろうかというところでございます。まだそういう事務的手続にも入っておりませんが、いま入ろうかという段階でございます。
  51. 石井一

    石井(一)委員 かりにそういうことが実現いたしますと、米価の逆ざやが一そう開き、食管会計の赤字がふえる、こういうふうなことになってくるから、当然消費者立場からすると、消費者米価のほうはどうなるんだろうか、こういう疑問が出てくるわけでございますけれども、この問題に関しては、農林大臣はどういう御所見をお持ちでございますか。
  52. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 消費者米価をどういうふうにするかということも、まだきめてはおりません。きめてはおりませんが、これらも、ご承知のように本会議でいろいろ質問がありました。  私は、消費者米価は上げない方向で考えておるんですが、消費者米価について、政府消費者米価をひとりで直接に決定するという制度ではなくなったわけであります。物統令を廃止しまして、直接政府消費者米価を、物統令に従って幾ら幾らというふうにきめるわけではない。しかし、政府が米の管理をしていますから、生産者から買い上げた米を政府が払い下げるということをしなくちゃなりません。その払い下げるときの価格をどうするかという問題が、問題になるわけであります。そのときにも私は、消費者米価を食管法によって、家計の安定をそこなわないように、しかし経済事情等を勘案してきめるというふうになっていますから、その趣旨は払い下げ米の場合にも、十分それを考えて払い下げるということになりますから、その払い下げたものに対しまして経費を計上して、最終的には小売りの人が価格をきめるということになると思います。その払い下げ米と消費者米価との関係につきましては、その払い下げる場合にも、消費者米価はストレートにいきませんから、ある程度弾力的な面があるということで、あるいは最終的に消費者米価が少し上がるというような結果になるかもしれませんが、そういう面もいろいろ勘案して払い下げ米価はきめていかなくちゃならぬと思います。  そこで、払い下げ米価を幾らにするかということも、まだきめておりません。生産者米価についても、まだきめるスケジュールに入っていませんから……。きめていませんが、この間申し上げましたように、逆ざやというものがこれ以上広がることは好まないということを、大蔵大臣は本会議答弁しています。私は、米価の決定というものは二重米価的なものだと思います。二重米価というもので決定しているんじゃありませんが、いまの制度でいけば、当然そういう逆ざや赤字というものが出るような仕組みですから、私はそれが出るのはいたし方ないと考えております。しかし、それがあまり広がることは好ましくないことではあります。しかし、財政面からだけこの米価問題、生産者米価でも消費者米価でも決定するというような考え方はいかがかと私は思っています。しかし、大蔵大臣は逆ざやが拡大することは好ましくないと言う。それは私も好ましくないと思っています。そういういろいろな問題を十分考えながら払い下げ米価をきめていこうということであります。でありますので、いまのところ、消費者米価がどういうふうになるかということの諮問案の作業にまだ入ってませんから、いま何とも申し上げられませんが、ある程度弾力的にならざるを得ない、こういうふうに考えております。
  53. 石井一

    石井(一)委員 いや、生産者に対する配慮も必要でありましょうし、それから財政措置に関する問題も非常に重大で、これ以上赤字をふやすという問題も非常に重要でありますけれども、同時に消費者米価に対する影響ということをも十分お考えの上慎重に御決定をいただきたい、こう存じます。  終わります。
  54. 井岡大治

    井岡委員長 松浦利尚君。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最初に、農林大臣にお尋ねをいたします。  いま石井委員からもお話がありましたように、一週間前の本委員会で、大臣の発言をめぐりまして質疑がございました。私も米価の問題で質疑をしたわけでありますが、大臣の真意、本意が食糧庁長官では非常に不明確でありますから、本委員会に御出席をいただいて正確にお聞きをするということで、きょうおいでをいただいたわけであります。ですから、米価の問題にしぼってお尋ねをしたいわけであります。  実は先般閣議終了後、赤城農林大臣記者会見をなさったときに、生産者米価を値上げして、その逆ざやについては消費者米価にしわ寄せをする、消費者米価を値上げしてもやむを得ないのではないかということが談話として新聞に出て以来、消費者米価という問題が、実は消費者にとつて非常に大きな問題になってきておるわけであります。ところが、先般農業白書の質疑に際しては、そういった大臣答弁は、今度は不明確になってきた。本会議においては、米価審議会の議を経てきめるんだからというようなことで、消費者米価には触れられなかったわけでありますが、今日、農林大臣の気持ちとしては、新聞記者会見で発表なさった、生産者米価を引き上げるに伴って消費者米価も上げるべきだ、こういうふうに思っておられるのか、それとも生産者米価を上げるのが消費者米価は全然別個のものである、消費者米価は上げたくないんだ、そのいずれをいま大臣としては思っておられるのか、考えておられるのか、その点非常に不明確ですから、ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  56. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 非常に不明確なはずです、新聞記者が私の発表どおりに記事を書きませんから。だから、そのあとの話とあれすれば、非常に不明確だと思います。  新聞記者会見の状況を申し上げれば、生産者米価は上げると言っているが、財政当局でも何でも、赤字赤字、それだから赤字をなくするということになれば、当然消費者米価を上げざるを得ないんじゃないか、こういうような質問でありました。ですから、私は、先ほど石井さんに答弁しましたように、食管の制度からいえば赤字が出るのはあたりまえだ、私の考えでは。食管制度というものをなくしてしまえば別だけれども、ある以上、これは赤字が出るのは当然だ。だから、財政面からばかり米価をきめられるものじゃない。それは考えなくてはならぬが、全然これを無視してということはできないが、それからばかりは考えられない。ことに消費者米価の払い下げ価格については、直接消費者米価を幾ら幾らというふうに物統令できめるわけじゃない。払い下げ価格をきめるわけだ。払い下げ価格に諸経費をつけ加えて小売り価格が出るということになるだろう。払い下げ価格については、私は、消費者米価というたてまえじゃないけれども消費者米価というものは家計のあり方あるいは経済関係というものを考慮するという食管法の規定もあるから、そういうものを考慮に入れながら払い下げ価格というのはきめるが、しかし、ストレート消費者価格をきめるわけじゃないから、弾力的にきめざるを得ない。ですから、消費者価格が上がるというような、少しは上がるような結果にも払い下げ価格がなるかもしらぬ、こういう話をしたわけですから、そのことと同じなんです。  で、これについて、じゃ個人的に——というか、農林大臣としてどう考えるかというようなお尋ねだと思いますが、私は、食管法の規定の趣旨に沿うように払い下げ米価の価格をきめていくべきだと思います。思いますが、先ほども申し上げましたように、赤字の出るのは——大体赤字ということばが私はきらいなんです。赤字でないと思うのです。しかし、まあ財政当局からいえば、これは赤字だと言うでしょう。しかし、その幅、逆ざやの幅が大きくならないような配慮も、これはやはり政府の一員としては考えざるを得ない。その点も、考慮に入れるのは入れざるを得ない。それを全然無視するというようなことも、これはあまり責任がない、こう思いますから、そういうものも考慮には入れますが、しかし、どういうふうに考慮してやるかということによって、上がるか上がらないかというような結果になると思います。しかし、その点につきましては、まだ事務当局にも試算を命じているわけではございません、作業をまだ命じているわけではございません。でございますので、いまどういうふうにする、はっきり的確に言えといっても、そういう段階ではないので、まだ申し上げることはできない。ですから、本会議で申し上げたようなことで、弾力的には考えざるを得ないということだけは申し上げて差しつかえないと思います。その程度で、いろいろ部内においても検討を詰めていきたい、こう考えております。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 実はこの米価の問題は、予算委員会の三月十七日、大臣と私が質疑のやりとりをやったわけですが、その会議録の中で、実は非常に明確になっておるのです。このとき私の質問は、大臣が生産者米価の値上げを検討せざるを得ないという新聞発表をなさったが、それはそれでけっこうだけれども、それが一体消費者米価についてどうなるのか、こういった内容の質問に対して、大臣は、いずれにしても「消費者米価はやはり物価の問題で、これは国民のふところから取り上げる方向でいくべきじゃない。」こういうふうに明確に言っておられるんですね。生産者米価が上がったら、その上がった分を国民のふところから取り上げるようなものじゃない、こういうふうに発言をしておられる。まあしかし、そうは言っても、物統令を廃止して、いま言われたような形で、政府が管理している米を今度売り渡し価格ということで払い下げていくということで、そういう中から新たな制度として消費者米価がきまっていくんだ。しかし、「消費者米価に影響しないように、上がるというような方向でない払い下げの方法」を私は検討したい、こういうふうに答弁しておられるんですね。  さらに、物統令を廃止し、政府の払い下げ価格等の引き上げに伴って米価がどんどん上がったときには、物統令にまた戻したらどうですかという私の質問に対して、いや、物統令というのは戦後の遺物だから、こういうものについて物統令をまたもとに戻すという考えはありません、できれば抑制のための別の法律をつくるということも一つの案だ、こういうことを大臣答弁しておられるんですよ。  そのことは大臣の気持ちとしては、この予算委員会のときにおいてすでに、消費者米価を上げないということについて積極的に努力をする、生産者米価が上がっても上がらないように努力するんだ、そういう払い下げの方法を検討すると言っておられるんです。どんどん上がったときには別の方法で抑制すると言っておられるんですよ。  こういうことを予算委員会で言っておられて、そのあとまた、先ほど新聞記者云云ということもありましたけれども、いまの御発言を聞いておっても非常にあいまいとしておるんですね。この予算委員会で御答弁なさった、消費者米価は絶対に上げないという方向で検討を加えていくという原則に立ち、あまりにも上がり過ぎるときには別な方法で抑制することを検討する、この二つの柱はくずれたんですか、それとも現在でも大臣は堅持しておられるんですか、その点明確にひとつお答えしていただきたいと思います。
  58. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 予算委員会の松浦さんに対する答弁、大体そのとおりです。最初に生産者米価について、政府は、政府で取り上げるものはどんどん上げて、やるものは上げない、これは生産者米価について説明したんです、生産者米価を上げるかどうかということについて。政府は、これは閣内不統一とか政府意見が違うということになるかもしれませんが、公共料金とか何か、とにかく国民のふところから取るものは全部上げてきた。生産者米価というものは、国民のふところへ政府のほうから出す金である。だから生産者米価というものを、国民のふところから取るものばかり上げているんだから、今度は出すほうも少し上げなくちゃいかぬじゃないかという、生産者米価を上げる場合の説明に申し上げたので、消費者米価のほうを申し上げたのではございません。しかし、消費者米価は、先ほど申し上げましたように、上げるべきじゃない、上げない方向で検討するということは、確かに申し上げてあります。  ただ、物統令の問題ですが、それじゃ上がった場合には別の法律でやるかということにつきましては、物統令というものは戦後の法律で、ふろ賃とアルコールですか、あと米、三つにだけ適用されておった。だから、戦後に物価統制令というものがありました。それはGHQのマッカーサー政令でもってつくった法律だから、こういうのは、法律のたてまえからいっても、適用を廃止したほうが筋だと思う。それで、物が相当上がっていく、これを法律できめろというならば、法律で押えよというならば、物統令というような法律で押えるべきじゃなくて、マッカーサー勅令みたいなものでなくて、新たに法律をつくってそれで対応するというのが筋だということを申し上げたわけであります。長々と申し上げてはまことに言いわけのようなことでございますが、そういう趣旨です。  そこで、消費者米価はどうするかということでございますが、いまでも、消費者米価は、上げないでいければ上げない方法をとるべきだ、私はこう思います。しかし、いろいろ、生産者米価を上げた場合にどういうふうになるかというようなことがありますから、いまはっきり、私一人で、消費者米価は上げないんだというんじゃなくて、やはり弾力的にならざるを得ないんじゃないかという見通しも申し上げておるわけでございます。そういうわけで、まだはっきり態度をきめていると——方針を私一人できめるというわけにもいきませんが、気持ちにおいては、上げない方向が私はいいと考えて、検討はいたしますが、いろいろな生産者米価とのかね合いで弾力的にならざるを得ない見通しも申し上げておかなくちゃいけませんから、そういうことを申し上げておったわけでございます。
  59. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、くどいようですが、大臣がこの前言われたのは、生産者米価と関連して言われたんじゃないのです。生産者米価は生産者米価で言われました。「その上がった分をそっくり今度は消費者米価に積み上げて消費者米価は上げるんじゃないか、こういういまのお話でございましたが、私は、これは消費者米価はやはり物価の問題で、これは国民のふところから取り上げる方向でいくべきじゃない。」こういうことをはっきり言っておるわけですね。ですから、これは生産者米価のかね合いじゃなくて、消費者米価の大臣のお考え方を、ここで明確に言っておられる。だから、結論としては、かりに生産者米価が上がっても消費者米価に影響しないように、上がるというような方向でない払い下げ方を検討いたしますと、こういうふうに、きわめて具体的に答弁なさっておられるわけです。  そうすると、いまの大臣の御答弁を聞いておると、気持ちとしては上げたくない、しかし諸般の情勢で云々と、弾力的に、こうお話をなさっておられるのですが、それは、閣議その他事務当局の作業、いろいろ相談をしなければいけないのですけれども、それでは農林大臣として、この予算委員会お話しになったこのことはいまでも堅持しておられるのかどうか、そのことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  60. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 くどいようですが、私のほうもくどいようですが、生産者米価については、私は再々、予算委員会で松浦さんに発言したようなことを、生産者米価に関連して発言しておったのです、ほかの委員会でも。そういうわけですから、その考え方は直接消費者米価にも関連するでしょう。しかし、発言は生産者米価で発言しておった、こういうことを申し上げておったわけでございます。  そこで、考え方としては、やはりできるだけ消費者米価に悪影響のないような払い下げをしたい、払い下げ価格をきめたいという考え方を、私はいまでもそのとおりに思っております。しかし、諸般の事情というのもあるからして、私もいろいろ、弾力的ということばを使っておるわけでございますが、あのとおりで、御質問のとおりです。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 食糧庁長官に具体的にちょっと、大臣の問題を裏づけするほうでお聞きしておきますが、この前も私は長官にお聞きしたのですが、消費者に影響のない払い下げの方法というのは、御案内のとおり物統令がはずされておるわけでありますから、銘柄品の政府の払い下げ価格は上がる、現在われわれが食べておる標準米価格というものは据え置く。この標準米価格を据え置くというか、内容的には味が落ちる、品質が低下をする。そういうことをする以外に、消費者に影響を与えないような払い下げ方というのはないでしょう。標準米価をいじらない、しかも食管の逆ざやをなくすということになったら、銘柄品種別に払い下げる、それ以外に私は方法はないと思うんですよ、具体的に言うならば。払い下げ方法は、銘柄品種別に払い下げていく、それ以外に私は大臣の、具体的な、技術的な問題はないと思うんですね。ですから、いま大臣の言ったそういった作業を、かりに政府の意思として、消費者に影響を与えないという具体的な方法としては、そういう方法もあると考えられるでしょう。その点どうですか。
  62. 亀長友義

    亀長政府委員 もちろん、政府売り渡し価格の引き上げを行なう際にどのような形で行なうかということが前提になります。銘柄米だけを高くするのか、あるいは全般的に高くするのか、さらに両方かみ合わせてやるのかという問題がございます。それによりましていろいろ変わってくるわけでございますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、原則的には、政府が払い下げ価格を上げれば、当然、中間マージンがかりに同じと見ましても、その分だけは上がる。しかし、もちろんこれは、それに応じて他の自主流通米とかそういうものが便乗値上げというものがあると、こういうものは絶対に抑制をしなくちゃならない、そういうことになっていくわけでありますが、政府売却価格の引き上げをどうするかという問題につきまして、まだ私ども、率直に申しましてその作業に着手はいたしておりませんで、具体的にお答えはいたしかねますけれども、いま先生がおっしゃいましたような方法は、それはあるかと思います。しかし、標準価格米がまずくなったという批判も逆に出てくるかと思いますので、そこの点は、私どもも慎重に検討してまいりたいと思っております。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この際農林大臣に、ぜひ要望として申し上げておきたいんですが、消費者米価については、大臣が諸般の情勢で云々ということを言われましたけれども、農林大臣としてはぜひ、消費者米価に影響を与えない、こういう原則を踏まえて——それは諸般の情勢があるでしょうから、農林大臣自身がもう上げるつもりでいかれるのと、農林大臣消費者米価には影響を与えないということで努力されるのとでは、私は相当な違いが出てくると思う。だから、そういう意味では、生産者米価はよし上げても、消費者米価については原則として据え置くという態度を堅持してもらいたい。なお、今後の米価の行政のあり方として、どんどんと急騰する、上がっていくという場合には、やっぱり別の法律をつくって抑制する、この二つの原則を踏まえた上で新米穀年度の米価審議会等に対処していただきたい、このように思うのですが、この物価については、この物特委員会では、米がすべてに波及してまいりますのでくどくどと言うわけでありますが、最後大臣のその決意をお聞きして、米価に対する質問を終わらしていただきたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 御意見のような考え方を私もずっと持っておるのでありますから、そういうつもりでおります。しかし、くどいようですが、いろいろな情勢、これは私が総理大臣ならなおわけないのですが……(松浦(利)委員「なったらどうですか」と呼ぶ)してくれないのです、なかなか。なってもいいですが。そういうような関係で、私がぴしゃっとここで、松浦さんの御趣旨どおりにするということを言うわけにいきませんが、そういう趣旨は十分私も考えながら対処していきたい。  それから、上がった場合には法律でもきめて押えたらいいじゃないか、これはほんとうは米だけの問題じゃないと思います。ほんとうは全部の、統制経済というようなことじゃございませんが、やはり価格に対しての——暴利取締令というようなことが戦前もありました。暴利取り締まりというか、そういうような法律も、あまり物価——まあ物価等は需給のバランスできまるわけですが、そういうようなことではあるけれども、やはり何か法律が必要であると思えば法律をつくるべきじゃないかと私は思います。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、この米の問題は、この委員会では重大な案件としてさらに続くと私は思いますから、大臣、御苦労ですが、農水の委員会と本委員会をかけ持ちで、米価の問題ではぜひ御意見を承りたいし、われわれの意見もお聞きいただきたいということを申し上げて、大臣に対する質問を終わりたいと思います。  続いて、公取並びに通産省のほうにお尋ねをしたいのです。  まず、通産省の化学工業局長にお尋ねをしておきたいのですが、昨日の朝日新聞の記事に「お客に不利な補償体制」ということで、フィルムの事故についての記事が記載をされておったのです。ところが、たまたま私の手元に、京都の中学校の先生から投書が来ておったのです。  確かにフィルムを購入したとき、傷ものであったりあるいは現像上の事故とかその他があった場合は、と中に書いてありますね。ところが、この学校の先生の投書はそうではないのです。四月の二十日より京都から軽井沢まで家族旅行をして、一本しかなかったカラーフィルムを富士山、軽井沢のもとで家族、子供たちと一緒にとった。でき上がるのを楽しみに待っておったが、幾ら待っても全然言ってこないので問い合わせてみたところが、何回かこう問い合わせをしているうちに、その預けた現像フィルムが紛失しておった。どこかでなくなっておるのです。受けた小売り店、写真器材店がフィルムを現像所に送ったところまでは確認されている。しかし、送ってどこでどうなったかというのがさっぱりわからない。それで、この先生が非常に憤慨をして、実はこれは私にとっては非常に貴重な記録だ、どうしてくれるんだということを、再三にわたって現像所との間にやりとりをしておられます。ところが、最終的に向こうからきておるのがどういうことかというと、要するに、たいへん申しわけなかった、一生懸命、鋭意努力をしておるけれども見つからない、見つからないから、業界の商慣習に従って新しいフィルムをお送りいたします、こう言って、ほんとうは一本だそうですけれども、この人の場合はどこかで紛失しておるものだから、商慣習として二本のフィルムを送ってきてくれたというのです。幾らフィルムを送ってきたって、家族と一緒に軽井沢や富士山を背景にしてとった写真というものはもう私の手元に返ってこない、どうしてくれるんだ、こういうことで再三やりとりをしているけれども、どうも具体的な解決策は見つからない。こういうものについて一体どうしてくれるんだ、法律的にこういうものを救済する道があるのかどうか。こういった投書が実は来ておった。  ところが、今度は朝日新聞によると、フィルムの事故、現像上の事故といった場合についても、商慣習として一本返ってくるだけで、無体財産権といいますか体のない財産権に対する補償について何ら規定がない。一体こういった商慣習というのはどこできめられておるのか。その点をまず第一点、お聞きをしたいということです。  それから二点目には、もうこれほど各家庭の中に記録ということが広がっていって、現実に写真機を持っておらない家庭なんというものはもうほとんどない。当然こういった問題はこれから大きな問題となってくるわけでありますが、無体財産権に対するこうした補償体制というものについてカラーフィルム業界、こういった業界を指導するというようなお気持ちがあるのかないのか。  この二つについて、ひとつ明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
  66. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  現在、フィルムの現像の場合の事故につきましては、約十年前に業界内部で一つのきめごとをつくっておりまして、それがいま先生お話のいわゆる商慣習ということだと思いますが、いろいろな事故がございますが、特に紛失のような場合には、非常に金銭で評価しがたいような損失が行なわれているわけでございまして、それを新品の一本、二本等々で解決するということは、私の考え方といたしましても、おかしいんじゃないか、こう考えます。  しかし、いずれにしましても現在、現像施設を持っております業者、いわゆるラボといわれておるものでございますが、非常に数が多く、しかもその九割二、三分が中小企業でございます。これは現実にそういう業者が存在しておるわけでございますので、今後、第二の御指摘の御質問にも関連いたしまして、現在クリーニング業界、カメラの修理業界、それから印刷屋さんに出しました原稿が紛失したような場合の補償条項等、いろいろと関係の関連したそういう規定もございますので、早急にフィルム業界の中にこういう問題を処理すべき、検討すべき一つの議論の場をつくりまして、われわれといたしましてもその改善の検討案の作成にかかっていきたい、こういう考え方でおります。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま局長からの御答弁で、将来の問題として、クリーニングその他と同じように業界を指導し、業界の中にそういったものに対して検討するものをつくるということですから、できるだけすみやかにこうしたものに対する指導体制を強化して、少なくとも消費者がこのことによって迷惑を受けないようにしていただきたいということを、私は希望として申し上げておきたいと思うのです。  ただ、これは朝日新聞の記事によるものでありますから、具体的に私自身が把握したことでありませんが、「重要フィルムである旨お申出のあった場合の事故については金何円、というようなことを預り証などに書くように指導している」と、これは業界の、全日本写真材料商組合連合会の見解が朝日新聞に記載をされておるわけでありますが、現実的にこういったことがなされておるわけでありますか。
  68. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 これも約十年前に全日本写真材料商組合連合会という組織が、いろいろと法律的な検討も加えまして、いまから考えますと若干不備な点があるかと思いますが、フィルム預り証の契約のモデル契約書というものを作成いたしまして、これを全国のラボに流しております。いま先生指摘のように、非常に重要フィルムであることを預けますときに申し出しますと、それに対しまして、それが事故があったり汚損したりいたしましたときの補償金額等を、相対の契約で契約を取り結ぶという約款ができておりまして、一部確かに実施されております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、この際局長にもう一度お願いをしておくのですが、根本的なものについては先ほどの御答弁でけっこうであります。しかし、事実十年前にきめられたこうした約款による手続、こういったものをもう一ぺん業界等指導していただいて、いまあるこういったものについて積極的に下部の業界も指導するように、その点もあわせてお願いしたいと思います。よろしいですか。
  70. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 御趣旨に沿いましてやっていきたいと思います。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 次に、有島委員質問関係政務次官の時間がとれないそうですから、私は簡潔に質問を終わりたいと思いますので、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思うのですが、カラーテレビの問題なんです。これは公取の委員長、それから重工業局長のほうにもお尋ねをしたいと思うのです。  実は前もって通産省のほうにお願いをしておきました。四十六年、昨年の一月以降発売されておった機種で、四十七年四月五日現在、製造中止により価格撤廃をした機種は幾らか調べてもらいたいと。私は実は、四十七年一月以降に製造されてと、こういうことを申し上げておったんですが、製造されてというのがなかなか調査しにくかったので、四十六年一月に発売されておったカラーテレビのうち、こういうふうに通産省のほうで調べがえをされて、四十六年一月に二百三十四種類のカラーテレビが売られておった、ところが四十七年四月五日現在で、そのうちの約九十というものが標準価格が撤廃をされておる、製造中止による価格の撤廃を行なっておるということなんです。その点でまず、いま私の言ったこと、通産省、間違いありませんね。
  72. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いまの先生の言われた数字、間違いございませんです。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 では、公取委員長にお尋ねをいたしますが、実は四十七年四月五日現在で電子機械工業会が、四十六年一月公取委の事務局長通達による、カラーテレビの製造中止、価格撤廃等措置機種一覧表というのを出しておられますが、これの確認を——公取委のほうは見ておられますか。——けっこうです。首を振っておられるから、見ておられないということだと思います。  それで、具体的に公取委員長にお尋ねをしたいと存じますが、標準価格が、製造中止になったためになくなってしまった。標準価格がなくなってしまって——撤廃されるのはけっこうなんですが、それは通達によるものですからいいとしても、小売店段階に価格の表示がないんだ。極端に言うなら、新価格の表示がない。消費者は買う目安すがないんです。逆に言うと、そういう小売店の人はおられぬでしょうが、標準価格よりも高く売ろうと思えば売れるんですよ、これに価格がないから。こういう標準価格撤廃後の価格表示の有無について、ないという現実に対して公取委員長はどう思われるのかということが一つ。  それからもう一点は、百貨店、スーパー、こういった大きなところに参りますと、御承知のように撤廃されたはずの標準価格というものが、広告その他を見れば表示せられておる。そういうものについてどういうふうに判断をされるのか、公取委員長の御見解をまず承っておきたいと思うのです。
  74. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私自身は、いまおっしゃった機種の廃止また標準価格の撤廃といったようなことについての表は存じませんが、あるいは事務局は承知しておるかもしれません。その点はそれだけお答え申し上げておきます。  実体問題として、撤廃されてしまった場合には、確かに価格の目安というものはございません。おっしゃるとおりだと思います。普通ならば、これは幾らで売りたいという売値を大体表示するのが、商売人の商売のしかただと思います。しかし、ものによっては別に価格を表示しておらずに、幾らだいと聞かれれば、このくらいでございます。もっとまけないか、いや、それはまた御相談で、というようなこともあり得るわけでございます。必ず価格を表示しなければならないということではないと私は思います。価格を表示することがいい場合はもちろんございますけれども、ものによっては、そういうことでなしにやることもあり得るかと思います。しかし、いずれにしても、私の気持ちからいえば、お客と取引きしようと思うときには、自分はこういう値で売るという、それを出しておくのが商売の一般的のやり方だろうと思うし、それがお客さんのためだろうと思います。第一の問題はそういうふうに思います。  第二の問題は、非常に機種が古くなったりして標準価格がもう撤廃されているにもかかわらず、その古い標準価格をつけておいて、それをいかにも大割引して売っているかのごとく客に思わせる、あるいは誤認させる、不当な二重表示を形成するようになれば、それは私ども立場から、かねてカラーテレビその他、テレビに限らず家電製品について申しておりますような、悪い不当表示になると思います。ただし、それは程度の問題であるかと思います。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 重工業局長にお尋ねをいたします。  実は私は、製造中止をしたカラーテレビの製造年月日を教えてくれというふうに申し上げたのですが、製造年月日を教えていただくことができなかった。いただいた資料の中で知り得る範囲内で調べてみました。そうすると、一番新しいところでは四十六年の八月に製造を始めた十八万六千円の標準価格のカラーテレビ、これが四十七年の三月三十一日には、古い機種だということで標準価格が撤廃されておるのです。一年たっておらない。洗剤、洗たく石けんのように、どんどんライフサイクルを短くしていくということは商慣習としてあるにしても、少なくとも十八万とか十六万とかそういったものが——これで一番製造年月日の早いのでも四十六年の二月に製造開始して、四十七年の三月三十一日には標準価格を撤廃しておる。しかも発売してから流通ルートに乗るのは一、二カ月あとなんです。消費者の手元に来るのは一、二カ月あとです。四十六年八月、十六万五千円のICトランジスター、コンソール型のテレビが、消費者の手元に新品として来るのは四十六年十月ごろです。そのときに買った。ところが、それが現実に四十七年三月三十一日には、古い型になりましたといって標準価格をとってしまうわけであります。こういうやり方が行なわれたときに、消費者の感情としては不愉快な気持ちになる。新品と思って買ったら、すぐそれは旧型だといって価格が下がる。私は、消費者に対してたいへんな影響を与えると思う。  具体的にお尋ねをするのですが、四十六年の十月に長期ローンで、いま言ったICトランジスタ型コンソールの十六万五千円のテレビを買った。そういう価値があるものだとして買った。ところが、四十七年の三月三十一日には標準価格がなくなったから、逆に言うと十二万にそのカラーテレビの価値は落ちた。ところが、買っておる者は、十二カ月月賦あるいは十三カ月月賦ということで払わされておるわけでありますから、価値のなくなったものに対しても対等の旧価値で支払っていかなければならぬという、たいへんな消費者に対する矛盾をいま起こしておるのです。こういう点について局長のほうはどういうふうにお考えになっておられるのか、その考え方を聞いた上で質問さしていただきたいと思うのです。
  76. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃったようなケースはよくあるわけでございまして、こういう十数万という、われわれとしては簡単に買えないようなものを買ったところが、半年もたったら非常に安く売られているということは、われわれ、消費者感じとしては釈然としないという気持ちだろうと思います。現に私自身も感ずることもありますし、われわれの主婦を含めて、主婦の連中からよく聞く話だろうと思いまして、その気持ちはよくわかると思います。  ただ、いま先生、具体的に割賦販売契約に関連しておっしゃいましたけれども、十六万のものを割賦で買って、気持ちとしてはまさに釈然としない気持ちで、よくそういう話はわれわれの主婦を含めて聞くわけでございますけれども、割賦販売契約で買ったものについて、割賦販売の期間を過ぎない間に、うんと下がったから、割賦販売契約そのもののベースの価格を変えろということは、法律的にもむずかしいんじゃないかと思います。気持ちはわかりますけれども、むずかしいというのが私どもの考えでございます。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あと、有島委員質問あとでちょっとまた続行させてもらいますけれども、いま言われた内容で、業界が発売をして、業界が製造中止をして標準価格を撤廃をして、現実に在庫を早くはけさすために新価格でずっと安くして売るわけです。そうした場合には、売った消費者に対してその差額分だけは業界が戻すべきだ。価値のないものを売っておったわけですから、そうすることがほんとうの商売人のやり方だ、そういう考え方についてどうかということについては、いま有島委員質問がありますから、事務当局と十分打ち合わせをしていただいて御答弁をいただきたいということで、私の質問は保留いたします。
  78. 井岡大治

    井岡委員長 有島君。
  79. 有島重武

    ○有島委員 報道によりますと、昨五月二十三日の定例閣議のあと関係閣僚がお集まりになって、そして郵便貯金の金利引き下げを郵政省のほうで了承なさった。新聞には、正式に了承した、そして今後郵政審議会を開いて、その金利の引き下げ幅とそれから引き下げの時期をきめる、そういうことでございました。  私たちとしては、これは非常にショッキングな話でございまして、昨年来郵政省のほうでは、再三にわたりまして、郵便貯金の利子は引き下げない、引き下げには絶対反対だというような表明をしておいでになったわけでございましたが、このたびこういうことになってしまった。国民としては非常に期待を裏切られているわけであります。  きょうは、お忙しい中を郵政政務次官大蔵政務次官においで願いまして、わずかな時間でございますけれども、基本的なことだけを伺っておきたいと思います。  そこで、松山郵政政務次官に伺いたいのでございますけれども、郵便貯金の利子引き下げには反対の意向をいままでずっとお示しになってきた、それでいまもやはり、大幅引き下げということについては反対姿勢でいらっしゃると私は信じるのですけれども、この利子引き下げの反対の根拠はどこら辺にあるのか、そのことを明らかにしておいていただきたい。
  80. 松山千惠子

    ○松山政府委員 郵便貯金は、銀行の預金とちょっと性質を異にしていると存じております。国民の零細な貯金をお預かりしているものでございます。ですから、郵便貯金の利下げを行なうということは、国民の貯蓄意欲に非常に大きな影響を及ぼすと存じております。それからまた、零細な一般大衆が毎日毎日を切り詰めながら、生活の中から幾らかずつでもたくわえを残していくわけでございますので、私どもといたしましては、郵便貯金の利下げということにつきましては、ほんとうに反対をし抜いてきたわけでございます。いままで反対をしてきた理由はそういったことでございます。
  81. 有島重武

    ○有島委員 ただいま郵政政務次官のほうからお話がございまして、最初に、銀行とは性質が違うのだというお話です。それで、郵便貯金の法律を見ますと、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」そういうふうにいわれておるわけでございまして、しかも、いまの政務次官の御指摘にもあったように、一般大衆、それも低所得者の層の方々が、貯蓄というよりは、たとえばいまお産をするのにも、普通はお金が十万くらいかかってしまう、あるいは子供の入学であるとか、そうした身近な冠婚葬祭のようなことの予備金として、家計の中からわずかにやり繰ってそれを貯金しておる。これは社会福祉が非常に立ちおくれているわが国の、しかたなくこれをやっているみたいな傾向が非常にあるということは、しばしば指摘してきたところであります。  大蔵政務次官田中先生にただしておきたいのですけれども、最近金融業界のほうでは、郵便貯金はあまりもうけ過ぎているのじゃないかというような言い方もされているようでございますけれども、大蔵省としても、郵便貯金は一般の金融とは性質が違うんだ、同列には考えられないんだというふうに御認識はいただいているのかと私は思いますけれども、大蔵省が並みの金融と同じように考えるというようなことはまさかないであろうと思うのですけれども、その御見解を承っておきたい。
  82. 田中六助

    田中(六)政府委員 大蔵省としては、一般の並みの金融機関と郵便貯金のいわゆる金融の取り扱いとは別のように考えていくのが筋道じゃないか、という御趣旨だと思います。  金融全般ということから考えますときに、私はやはり、金利体系とかそういうものを含めまして金融機関という大まかな線の中には、一般の市中銀行もあるいはその他の金融機関、それから郵便局で扱う金融、そういうものは含まれると思いますが、あなたのおっしゃるように、それを細目にずっと分けていくということになりますと、確かに、一般の金融機関と庶民の零細な金を扱っておる郵便局とはおのずから違ってくるのじゃないかということはいえると思います。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  83. 有島重武

    ○有島委員 金を扱っているという点では、大ざっぱに申しまして確かに似ているところがある、こまかい点では違うんだとおっしゃいましたけれども、決定的にこの点では違うんだという線は、どの辺にお引きになるでしょうか。
  84. 田中六助

    田中(六)政府委員 御承知のように、郵便局で扱う金融というものは、今回の改正が九十年来の初めての改正だというふうにいわれておりますように、預金はしてもらうが貸し出しはしなかったということに、他の金融機関と本質的に違ったものがあると私は思います。
  85. 有島重武

    ○有島委員 いまのは庶民金融のことであろうと思うのですけれども、その話はいま、ひとつ度外視いたしまして、従来ともに一般の金融と郵便貯金とが決定的に違っているという点は、その貸し出しをしないという点が一番決定的だったんですか。いまのお話、その片半分の、何といいますか、貯金の目的について、あるいはその運営の目的について、やはり違った点があるのじゃなかろうかと思うのですけれども、その点、いかがですかね。一般金融は、お金を動かすことによって、そこに利を生じてもうけることが主体であったんじゃなかろうかと私は思うのです。郵便貯金の場合には、その郵便貯金自体がもうけるということが目的ではなしに、むしろ国民の経済生活の安定、福祉の増進、こういったことが目的である。その目的観について、一般金融と郵便貯金とでずいぶん違うんじゃなかろうかというふうな見方もできるんじゃなかろうかと私は思いますけれども政務次官はいかがでしょうか。
  86. 田中六助

    田中(六)政府委員 委員のおっしゃる点も大きな違いの一つだと思っております。   〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、先ほど政務次官おっしゃいましたように、このたび庶民金融がなされるとすると、貸し出しのほうはすることになる。そうすると、いままで郵便貯金と一般金融との違いは、一つは金もうけのためであった、それから郵便貯金は国民の福祉のためであった。もう一つの違いというのは、一般金融機関は貸し出しをどんどんして利をかせいだ、ところが郵便貯金は一般の貸し出しということはしないで、資金運用部資金の運用にまかせておった。その点が二つ違ったわけです。目的の点とそれからその運営の方法、その点が二つ違っていたわけですけれども、その一方はこのたび変更するやに伺っているわけです。  それで、その庶民金融を始めると、いままでの運用の形式については一つの変更をするわけですけれども、それによってこの運用の精神と申しますか目的と申しますか、その目的までも運営に連動して違わなければならないのか、あるいはその目的というものはいささかも変更するところがないのであるか、その辺はいかがでしょうか。
  88. 田中六助

    田中(六)政府委員 大まかな、国民の福祉というようなことが大きな目的の一つになるならば、その目的は、技術的な変更がありましても少しも変わっておらないと思います。
  89. 有島重武

    ○有島委員 いまの大蔵政務次官お話で私はよく了解いたしましたけれども、郵便貯金が国民大衆のための福祉のものである、その点ではいささかの変わりがない、そういうことを私は聞いて、その点だけは安心——安心といいますか、まあ当然といえば当然かもしれませんけれども、その点に非常にいまの危惧の念を、国民はたくさん抱いていると思うのですね。それで大蔵省は、郵便貯金を一般の金融と同列には考えないと言ったその基本的な態度、これは今後ともにくずさないでいただきたい。これはお願いであります。  それから、利子についてでありますが、この利子というものは、郵便貯金法の第十二条によりますと、「郵便貯金には、政令で定める利率により、利子をつける。」そして「前項の規定により政令で利率を定め、又はこれを変更する場合には、郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定と福祉の増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意し、」——これは一番最初の法の目的と同じですね。「その利益を増進し、」——国民の利益を増進する方向。それから「貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払う」これが一つですね。それから、「とともに、あわせて一般の金融機関の預金の利率についても配慮しなければならない。」まず法の目的に沿った利率であって、あわせて一般金融機関の預金の利率についても配慮しなければならない。これはわれわれ善意に解釈しておりまして、一般金融機関の預金のときの利子がどんどん上がっているにもかかわらず、郵便貯金の利子が上がらないということになるとまずいから、そのときには国民の福祉並びに、その郵便貯金がこんなことをしていては損だからといってこれが減らないようにという、そういった配慮をここの「あわせて」というところに含められたんではないかと私は思っておりました。  そこで、現実に郵便局に預けておけば安心だから、あるいは自分が持っているよりもずっと確実に少しなりともふえていくから、利子があるから、だから預けようというふうな意識でもっていま国民が郵便貯金をやっているかどうか、これは非常に疑問ではないかと私は思うのですね。このことは、物価の指数というものが五・五%のあたりを上下しているというふうに大ざっぱに言えば言えますけれども、一般の感覚からいって郵便貯金の利子というものは、国民の利得になっているというよりも、ちょうど物価上昇と相殺されて、せいぜい過度な損害を与えない程度、非常に消極的な意味しか現在メリットがないんじゃないか、それが現実ではなかろうか、これが私どもの判断ですけれども、この点について、経済企画庁政務次官は、お帰りになった、それじゃ国民生活局長でけっこうですから、こうした判断を大体一般庶民はしておるようですので、そのことについて、経済企画庁ではどのようにお考えになりますか。
  90. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いわゆる貯蓄と物価との関係という問題については、四十六年度の国民生活白書でも分析をいたしております。わが国が非常に貯蓄率が高い、これはけっこうなことでありますけれども、その貯蓄率が高いゆえんは何かということにさかのぼってみますと、社会保障の制度がまだ非常に貧しいというようなこともありましょうし、特に住宅の取得について非常に困難があるというようなことから、やむを得ずといいますか、とにかく一生懸命になって貯蓄をしておるというようなのが、一応常識的に言えるだろうと思います。そういうこととの関連において、貯蓄の減価という問題について、四十六年度の白書でいろいろ指摘をしておるところであります。  そういうことから考えますと、やはりわれわれ、物価政策について責任を負う者といたしましては、物価そのものが安定してくれる、安定させなければならないということが、第一の課題ということになるわけであります。しかしながら、なかなかそれが思うようにならないとすれば、やはり預貯金の利子率というようなことについても、ある程度バランスということを考えなければならないということになるだろうと思います。そういう点から見まして、現在の貯蓄性の預金の利子率というものは、いろいろの理由はあるにいたしましても、一定のバランスをもってきめられておる、こういうふうに考えております。したがいまして、そういう面から見ますと、私どもは、今回の金利の引き下げに関する政府の方針というものは、現在当面しておる不況の脱出という非常に大きな経済的な使命から見まして、方向としては経済企画庁としてもこれは賛成せざるを得ないわけでありますけれども、こういったことと関連いたしまして、物価問題あるいは国民生活という観点からまた、どういうふうな対策を講じていくかということについてはいろいろ考えなければならない、こういうことで議論はいたしておるわけでございます。  特に消費者行政の面では、消費者金融ということにつきまして、半年ぐらい前からいろいろと検討を重ねておりまして、こういう面でいろいろ改善策を打ち出してまいりたいと思っておる次第でございます。
  91. 有島重武

    ○有島委員 時間がないので、いま国民生活局長に伺ったのは、いまの利子が物価の上がりに大体相殺されてしまっているんじゃないだろうか、郵便貯金の利子というものは、一年間の物価の値上がりに大体相殺されてしまって、積極的に国民、貯蓄者に利益を与えているというよりも、まあ損害を少なくしておるというような、消極的な意味しかいまの利率では持たないのではないだろうか、そういうことを伺いたかったのです。政務次官、お時間があるようなので、あとでまた……。  そういうわけで、特に大蔵政務次官にお願いしたいことは、これ以上国民大衆に損害をかけないでもらいたい。郵便貯金というものそのものをもう否定してかかって、並みの金融にしてしまえというなら、これは話はわかりますけれども、こういった郵便貯金をつくったそもそも出発点といいますか、から考えて、経済的に非常に弱い基盤しか持っていない国民大衆をわずかにささえている一つのとりでなんですから、これを一方には庶民金融ということがあるとか、あるいはほかの金融機関もあるんじゃないかとか、そういうようなこともあるかもしれませんけれども、そういったことをできないような人がたくさんいるわけなんで、そうした人たちをこれ以上苦しめるようなことはしないでいただきたい。それで、そうした立場に立って、今度の金利の問題についてはなお慎重に扱っていただきたい、そういうふうにお願いしたい。いかがですか。
  92. 田中六助

    田中(六)政府委員 有島委員のおっしゃることは十分わかります、私どもはもともと、有島委員が誤解なさっておられるんじゃないかと思われるのは、苦しめようというような観点からこれを処置していることは、さらさらあるわけではないわけでございまして、九十年来ずっと郵便貯金というものはそのまま置いてこられたということ自体を考えましても、そういう歴史的背景を見まして、これは私どもも、むしろそういうあたたかい取り扱いをしたんじゃないかという気がしますし、それから第二点目になるわけですが、貸し出しを今度許したいということも、これは苦しめるんじゃなくて、むしろ、私ども郵政省との話し合いがついたのは、こういう大衆の人々をあたたかく迎えようという趣旨を貫いているわけでございます。  ただ、先ほど有島委員がお読みになりました郵貯法の第十二条の前半の趣旨はもちろんですが、後半に、もしも利子率つまり利子をきめたりあるいは変更する場合は、他の金融機関の利子を参考にするというところがあるわけです。したがって今回の金利体系全体を勘案して、大きくマクロ的に見た場合にどうか。先ほど生活局長がちょっと答弁しておりました中にもございましたように、私ども、景気後退というものを刺激して、景気を浮揚させるのにはどうしたらいいかという観点から金利というものを考えているわけでございまして、たとえば百万円貯金をして、〇・五%金利が下がった、そうすると五千円年間に損をするというような例の場合、景気が浮揚して非常に賃金も上がり、国民生活が豊かになった場合に、年間五千円の損失とどうかというような計算も頭の中にした上で私たちも考えておりますし、そういうことをいろいろ考えますと、むしろこれを優遇しておるというような気がして、これを痛めつけようというような精神はさらさらございませんので、その点御安心願いたいと思うわけです。
  93. 有島重武

    ○有島委員 貸し出しをすることによって優遇される面が、それは少しはあるかもしれません。だけれども、いまは貸し出しの点のことを言っているのじゃないわけです。それは多少の関連はあるかもしれないけれども、金利そのものがいますでに物価の値上がりに追いつかない。ですから、ほんとうは損しながら預けているのだということを知っての上でだけれども、とにかくいまの所得の上がりもすでに物価に追つかない状態、その中で不時に何かけがをしたときでも、人がなくなったとき、お祝いのとき、これはどうにも義理が欠かせない、そういうようなほんとうに差し迫ったことでもってやっているわけです。これ以上金利を引き下げられたならば、まるまる損してしまうわけだ。それは全体の面を考えればいいでしょうとおっしゃるけれども、扱っている人の中には、全体なんかそんなに扱わない人が多いわけですよ。ですから、全体的な金利をちゃんと見て扱えるような人にとっては、それは多少潤うかもしれません。しかし、そうでない人が大ぜいいるわけなんです。その大ぜいいる人のほうを苦しめるということになるわけだ。そのことをよくお考えいただきたいわけです。そのあたりがたいへんシャープに響くのでありまして、今度引き下げ幅が〇・五%以内ということであろうかと思いますけれども、ぜひともこの点は考えていただいて——これはお役人さんのベースからいきますと、いろいろなことがあると思うのです。田中先生、政治家としてほんとうに考えていただきたい、これをぜひお願いしたいのですけれども……。
  94. 田中六助

    田中(六)政府委員 有島委員の御趣旨は十分体得していきたいというふうに考えます。
  95. 有島重武

    ○有島委員 たいへんお忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございました。  あとは松山政務次官に聞きます。松山政務次官もお忙しいと思いますが、あと一言……。  〇・五%以上ということはまさかあり得ないであろうと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  96. 松山千惠子

    ○松山政府委員 郵便貯金の金利の引き下げにつきまして、いまいろいろと御質問があったわけでございますが、郵政省といたしましては、これから郵政審議会を開きまして、そこでこれについていろいろと御意見を伺った上できまるわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、〇・五%以上になる可能性は少ない、そのように判断はいたしておりますけれども、郵政審議会におきまして、引き下げるか、そしてまた、引き下げるとすれば何%くらいになるかというようなことも、いろいろと御意見を承ることになっております。
  97. 有島重武

    ○有島委員 〇・五%以上の引き下げということはまずあり得ないであろう、何とも言えないが、というお話ですね。以下であろう、そういうことになります。以下の中には〇・四%もあれば〇・一%もある。〇・〇五%もあればゼロというのもあるわけです。ゼロという可能性もありますね。
  98. 松山千惠子

    ○松山政府委員 郵便貯金の本来の趣旨から考えれば、そういうこともあり得てけっこうではないか、そんなふうに考えます。
  99. 有島重武

    ○有島委員 政務次官、どうもありがとうございました。ひとつがんばっていただきたい。  では、貴重な時間をいただきまして……。私もまたあとから続けますから、お願いいたします。
  100. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 先ほどの質問を続けます。入れかわり立ちかわりで混乱をしてくると思いますが、これは政府委員関係で、しようがないと思うのです。  それで、先ほど私が質問をしただけで打ち切っておりますから、答弁をしてください。
  101. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 とぎれておるわけでございますので、先生の御質問に対して、あらためて初めからお答えいたしますけれども先生指摘のような事実があったと思いますが、それにつきましては、私ども、ごく身近にそういうことをよく感ずることもありますし、親しい人からいろいろそういう話を聞いておりまして、消費者の実感としては、そういうことについては非常に釈然としない、不満であるということは、よくわかるわけでございます。  ただ、その実情をもう少し分析してみますと、一般的にいって、テレビにつきましては、技術革新が相当進んでおる、それからメーカーも非常にたくさんありまして競争しているわけでございますので、当然のことながら、技術革新と競争を反映しまして、長期的に見ると値段が非常に下がってくる。十万円そこそこのカラーテレビがこんなに早く実現するとは考えていなかったわけでございますが、長期的に見ますと、こういうことになるということは消費者一般の利益につながるものであると思うわけでございます。  ただ、先生の御指摘のような場合の、数カ月、半年でそういうことになるというのは、これは非常に遺憾でありまして、他方、異常な現象でもあると思われます。どういうことかというと、あのころは技術革新のうち、特に新しいブラウン管の適用あるいはICの適用というような技術革新が非常に激しい切りかえどきにあったわけです。こういう事情もありまして、特にそういう現象が激しかったのではなかろうかと思うわけでございます。  そういうのが私の考えでございます。
  102. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、いま、切りかえ時期で非常に異常だったから、こういうことですが、現実に四十六年八月ごろに発売されて、四十七年の三月三十一日に一斉に標準価格がなくなってしまっているのです。そういう機種がたくさんある。先ほど言っただけで、四十六年一月以降発売されておった二百三十四機種のうち、九十機種はきょう現在標準価格がなくなって、現実的には安くて、新価格で売られておるわけです。そうすると、具体的な問題を先ほど指摘したように、私なら私がかりにいま、標準価格で二十万円のテレビを買いますね。そうしたら、半年もたたないうちにそれが十五万円の価値しかなくなった。十カ月月賦で毎月二万円ずつ支払っていく。実質的には、カラーテレビの価格は十五万円ぐらいの価値しかないのですよ。そういうことが現実的にあるわけですね。しかも、これからますますあると思うのです。それは、先ほど言ったように、ICに変わるとかそういった技術開発によって、全くそういった形で変わっていくのなら、あるいは消費者も納得するのかもしれませんね。ところが、新しく発売された機種の内容、そのものの性能、機能は全く変わらないで、デザインをちょっと変えて新しい機種として売り出されていく。古いものは製造中止して、これは標準価格を撤廃してしまう。こういうライフサイクルでやるわけですね。それでは消費者だけが泣き寝入りをしなければいかぬのじゃないか。少なくとも売り出した機種について欠陥があったとかなんとかなら別、競争において新しい機種を売り出す、あるいは技術革新によって、標準価格が撤廃されて非常に価格が安くなった場合は、現実的には価値のないものを売りつけておったわけだから、それに対して、消費者に何らかの形でその分については補償する。そういう考え方に立たないと、消費者は高いものを買わされて、実質的には、もうけは全部メーカー側が吸い上げてしまっておる。メーカー本位の消費者不在という家電業界というものをつくり出してしまうと私は思うのです。しかも、機種を製造中止して、在庫がなくなるまでは、標準価格のない新製品として売られておる。買うほうは——製造年月日なんか入っておらないのですよ。連合審査でもこのことを指摘しておるように、四十六年A、Bというシールが横のほうにちょっと張ってある。AとかBとかいうのがどういう符号かというのを知っておる消費者なんておりませんね。少なくとも、このカラーテレビは何年に製造されたものであるという、そういう表示ぐらいは見えやすいところにすべきだという約束も、守られておらない。しかも、これは新たな二重価格ですよ。二重価格であれだけ騒がれた。その二重価格の抜け道として生まれてきたのが標準価格の撤廃ですよ。公取の一月の通達ですよ。二十万で出しておったものが、今度は新しい製品ができたからといって標準価格を取っ払っておきさえすれば、二重価格はなくなった、幾ら安くてもいい。——損をするのは消費者だけでしょう。  こういうものに対する保護行政、こういったものを通産省で、もっと具体的に業界を指導して検討してもらいたいと思う。少なくとも一年間なら一年間だけ、あるいは二年間の間に価格が暴落した場合には、その暴落したものについてはメーカーが補償する、そういったことぐらいは明確にしておってもらわないと、消費者が非常に犠牲をこうむる、このように私は思うのですよ。そういう点について、局長もっと——私の言っておることも非常に突然だし、むずかしい問題があることはわかりますが、現実にいまそういうカラーテレビの問題がある。あるいは洗たく機の問題もあるのですよ。そういう点について、明確に業界を指導してそういうことができるかどうか、具体的検討に入る意思はありますか。
  103. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 御質問は突然ではございましょうけれども、私ども、そういう事実を現に自分で経験しておるわけですから、そういう問題意識はかねがね持っておったわけでございます。それで、再三申し上げておりますように、消費者の実感として、全くそういう点は釈然としないと思います。しかしながら、考えてみますと、二年間は、もし暴落したらその差額は返すというようなことを、全小売り商にわたってやらせるというふうなことは、ちょっと検討する余地がないと申し上げるわけじゃないわけでございますけれども、いま私、率直に申し上げまして、そういうことはちょっと実行不可能じゃなかろうかと思うわけでございます。  こういうのが私のいまの考えでございます。
  104. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民生活局長にお尋ねをしておきますが、いま申し上げたように、家電業界の二重価格問題が特にこの委員会でも問題になって、実質的には規制されて標準価格が生まれた。ところが、実際にはライフサイクルを短くして、標準価格は公取の通達に従って撤廃をしてしまう。先ほど言ったように、二十万で買っておったものが、いつの間にか十五万の価値しかなくなってしまっておる。私は、これは新しい二重価格的な性格を持った問題だと思うのです。しかも、これに対して通産省のほうは、無理だ、そういうものに対して、消費者のサイドでそれに保護を加えるということはちょっとむずかしい、こういう御答弁なんですが、私はいま二年と言ったから問題ですが、四十六年の八月に製造を始めたものが、四十七年三月三十一日には製造中止して、標準価格が撤廃されておる。こういうことがたくさんあるのですよ。通産省の調べただけでも、この一年間に九十機種あるのです。こういったものについて、物価庁である経済企画庁は、消費者立場に立ってこうした問題を解決するために、消費者が犠牲をこうむらないための保護措置、こういうものを講ずべきだと私は思うのですが、局長はどういうふうに思われますか。
  105. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この問題につきましては、実は私、きょう初めて拝聴したわけでありますが、正直に言いまして、これは非常にむずかしい話だという感じを持ちました。といいますのは、ローンで買うというのがほとんど一般的であれば、またそれに応じたような形がとれるのかもしれませんが、現金で買ってしまった場合とローンつきで買った場合とのバランスということを考えなければならないという感じはちょっと持ちました。  いずれにいたしましても、私どもは、ちょうどいま消費者ローンという問題で、こういう耐久消費財等も代表的な例でございますが、国民生活審議会の消費者保護部会、ここに研究会をつくりまして、いまいろいろの検討をやっておるわけです。いまの問題について何らかの方向がうまく出せるかどうかということになると、私、いまのところ何とも自信を持ったことが言えないのでありますが、確かに非常に重大な問題と言えば言えるのかもしれません。そんなに急に値段が下がるということが大体どうかしているのではないかと思いますけれども、その辺も含めまして、ひとついまの研究会あたりに問題を持ち出してみまして検討してみたい、こういう感じを持ちます。
  106. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民生活局のほうでもぜひ検討を加えていただきたいと思うのですが、私が把握しておる範囲内では、これは非常にメーカー側の行き過ぎであるということで、現実的にはその下がった分については、現金で買った人も月賦で買った人も、その分を返済をしてあげる、返してあげる、全額ではないが、ある部分を返してあげる、こういったことをしておる小売り商の人もおる。小売り商だけではできぬから、おそらく卸ですね、メーカーの卸との関係でそういうことをしておるところもある。ですから、私はメーカー側の誠意の問題だと思うのですね。これからクーラーが目玉商品だといわれていますね。あるいはコールドチェーンに従って冷凍庫が目玉商品だといわれておりますね。どんどん新しい製品が出てきて、いつの間にかその製品が価値がなくなってしまう。逆に言えば、価値のないものを高く買わされておったということになる。現実にやっておるそういう卸もあるし、小売りもあるわけだから、通産省は電子工業会に対して、こういった問題に対してもっと積極的に指導する、そういうことがあってしかるべきだと思うのです、ただむずかしいと言うだけじゃなくて。株の値動きでも、家電業界の株が一番いいですよ。下に下がるんじゃなくて上に上がるんですからね。そういう面では家電業界に、通産省はもっとこうした問題について積極的に指導してしかるべきだ、こう私は思うのですが、局長、電子工業界なりそういった業界に対して、この問題について指導するという気持ちはありませんか。
  107. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 再三申し上げておりますように、消費者としては、電機メーカーなり電機の小売り商のそういうやり方について、数カ月でもって下がるというようなことは全く釈然としないわけでございますが、正直に私申し上げて、そういうことが通産省の指導その他で全小売り商にわたってできるかというと、これはちょっとできないということを率直に申し上げているわけです。現にやっているものがあるじゃないかという先生の御指摘に対しては、特定の時期だったと思いますけれども、もし下がったらその分だけは戻しますというようなことを言っている小売り商が一部あったということは、私ども十分承知しておりまして、そういうのが、消費者立場から考えれば非常に望ましいということは全く同感でございますが、全部についてやれというと、ちょっとむずかしいのではないかと思います。
  108. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、メーカーの姿勢だと思うのです、小売り店が製造しておるわけじゃないのですから。家電業界がやはりカラーテレビ、洗たく機全部やっておられるわけだから。しかも、おたくのほうで調べたこの数字によっても、二百三十四のうち九十種は標準価格がなくなっておるわけです。標準価格がなくなっておるということは、安く売られておるということですよ。もっと具体的に言いますと、四十六年の七月に製造されたもの、これが現金で十五万一千円です。十カ月の金利が一万五千円で十六万六千円で買った。ところが、四十六年の九月に、どういうわけかこの製品は標準を撤廃した。たった三カ月。そして市場で幾らで売られているかというと、現金で小売り価格十二万九千円ですよ。たった三カ月ですよ。こういうことが現実に行なわれておるという事実を見て、むずかしいと思われますか。むずかしいからこそ業界等を指導して、こういう点についてはこういうふうにせよ——私が二年と言ったからだと思いますけれども、現実に、購入したカラーテレビについては一年間の保証期間がありますね。ですから、その一年間の保証期間については、標準価格以下にかりに暴落した場合についてはこうするといったくらいのことは、メーカー側を通産省が指導していいんじゃないですか。それも全然だめですか。そういうことはできません、あとは全部相対取引で小売り店の自主性にまかせます、こういうふうに言われるのか。その点を、くどいようですが、局長ひとつもう一ぺん明確にしてください。
  109. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いま先生指摘の、月賦で買った場合の話について申し上げますと、割賦販売法では、割賦販売の価格と現金の価格とはっきり明示させて、その上でやるようになっているわけでございます。ですから、消費者といたしましては、月賦で買う場合には、現金正価と月賦の価格とを十分見て、そして買うようになっているわけでございますので、当然現金のほうが相当低いということを比べた上で、しかし月賦のほうがいろいろの関係で都合がいいということでやるわけだと思います。それで、その後さらに下がるというような場合に、月賦のものも下げるとすれば現金で買ったお客さんに対しても下げなければ不公平ですね。結局問題は、現金で買ったお客さんも下げるかどうかということですが、そういうことを強制することは法律的にも不可能だし、それから実際問題として凡百の現金正価で——月賦のお客さんはちゃんとつかまえています。しかし、現金で買った凡百のお客さんにそういうものを全部やるということは実行上も不可能であるということで、率直に申して、私は、実現性があるかないかという観点からお答え申し上げているのですが、それはできないのではなかろうかというのがいまの気持ちです。  しかしながら、いま経済企画庁の国民生活局長の話しましたように、こういうものは、こういう耐久消費財全般の流通問題、価格体系の問題ということで基本的に検討しなければならぬ問題だと思います。いまの委員会でもって検討しようとおっしゃっておるわけでございますので、私どもも、できればその委員会の一員としてあるいは一幹事として、基本問題としてこれをどういうふうに扱うかということは研究したいと思います。
  110. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 間違っちゃいかぬですよ。さっきの問題は、十五万一千円の製品が、三カ月後には十二万九千円の現金正価になっておるのですよ。現金で十五万一千円で買った人も、三カ月後に買えば十二万九千円で買えたわけです。極端に言えば、価値のないものを消費者は高く買わされたわけです。そういうものについて、先ほどから私がくどいように言っておるが、現金のものも割賦のものもすべてを含めて、そういうものの保護措置を考えてもらわなければならぬ。ライフサイクルが将来は、洗剤が大体六カ月でどんどん変わる、あれと一緒です。これからカラーテレビというものは六カ月で変わってしまう。どんどん新しい機種、デザインをちょっと変えて新しい機種ですからね。どこかちょっといじって新しい機種、こうして六カ月ごとに回転していったら、前の製品は全部古い製品だということで標準価格を取っ払ってしまって、安くどんどん市場で売られる。しかも末端では新製品で売られるのです。小売り店ではわからぬから、古いものが新製品で売られてしまう。逆に言うと、本来ならば安くなっておるものを高く買わされるという例も出るわけです。標準価格が十二万円だったものが、いつの間にか標準価格がなくなって十五万円で買わされたというケースも生まれてくるのです。先ほど公取の委員長も、好ましくない、新価格をつけるべきだという見解がありましたから、そういう点を考えると、この問題は私は、金額がかさむだけに、大きいだけに重要な問題だと思う。御承知のように、カラーテレビの中に入っている保証カードをメーカーに送りさえすれば、一年間は無償で修理してくれる。ですから、メーカー側にそういう指導をすれば、現金だろうが割賦だろうが、どこのだれそれが自分のところのどういうテレビを買っておるかということは、そういう気があればみんな把握できるのです。だから、そういう意味ではこれからの大きな問題として、新しい、形を変えたこういった二重価格的な制度のものについて、消費者立場に立った通産省の積極的な業界の指導、これをさらに要望しておきたいと思う。  ですから、先ほど国民生活局長が言った、企画庁として流通問題の中に含めて検討しますという答弁は基本的な答弁、現実にやろうと思って、やる姿勢があるのかないのか、それがいまの局長に対する私の質問です。そういうことについて業界と話し合う気持ちは全くないのか、なければないでいいです。そういうふうに言ってください。あればある、そのいずれかでわれわれは判断しますから。
  111. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおり、これは大きな問題です。基本問題にも触れるわけでございまして、しいていえば新しい二重価格問題ともいえるわけでございます。それについてどういうふうに一体やるか、とくと検討いたしたいと思います。
  112. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは局長に要望しておきます。  実はきょう、この問題は非常に重大ですから、兼務しておられる通産大臣に御出席をいただく予定でしたが、商工委員会があるということで局長にお願いしたわけです。できれば、この問題について通産省としてはどう考えられるか、その点を大臣と詰めていただいて、これに対する見解を次の本委員会あたりに、大臣おいでいただかなくてもけっこうでありますから、通産省見解として御開陳をいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますが、よろしいですか。
  113. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど申し上げましたように、これは非常に重大な問題でございますので、これに対する扱い方をとくと検討いたしたいと思っております。
  114. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、次のこの委員会までに委員長の手元に見解が渡されましたら、本委員会にお渡しいただきたいということを要望申し上げて、終わります。
  115. 井岡大治

    井岡委員長 承知しました。
  116. 有島重武

    ○有島委員 通産省、来ていらっしゃいますか。——私は、英語の百科事典の割賦販売について少し質問しようと思います。  このことについては、かねて昭和四十五年の十二月二十二日付ですか、通産省が、外国系百科事典の訪門販売方法等の適正化ということについて通達をお出しになりました。その後、これがあまり実施されておらぬということを同僚の渡部通子委員のほうから去年、ことしにかけて質問がございました。業者と消費者の間にまだいろいろトラブルがある、そういうことで、この通達に基づく改善計画について、昨年十二月二十八日までに通産省の消費経済課に回答せよ、そのようにおっしゃったということを聞いております。各業者がこれにどのような答えを出してきたか、そのことをお伺いしたいと思います。
  117. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 ただいま先生からお話がございましたように、十二月の二十二日でございましたが、通達を出しました。通達を出しました各社からは、われわれがいろいろ要望、こういうふうにしてくれという指導方針に従ってやりますという返事をいただいております。
  118. 有島重武

    ○有島委員 そのとおりやりますという答えは来たということですね。  たとえば、駅の構内や道路で勧誘はしない。二番目、現物を持ち歩いて必ず消費者に見せる。三番目、初めから百科事典のセールスに来ましたと、こういうように目的をちゃんと言いなさい。それから四番目、価格をはっきり書いたものをあらかじめ契約の前に消費者に手渡しなさい。それから五番目、ここには幾つかありまして、損害賠償額を通産省の指導条件によってなどということを言っておどかしてはいかぬ。それから(2)番目に、不当に高い予定額を改めなさい。これはいまきめてくれさえすれば半額にしますよとか、そういうことであろうと思うのです。それから(3)番目には、契約が威圧的なことあるいは人をぼうっとさせてごまかして、その間に正気を失わしてやってしまうようなこと、あるいは知的詐欺的なこと、そういったようなことが見られれば、当然これは損害金を取るべきではないということ。それから六番目、契約成立後は必ず契約書を購入者に渡せ。それから七番目、苦情処理についての責任ある窓口を設けて、これを契約書等に明記しなさい。  こういうようなことであったらしいですね。  それからそのほかに、これは非公式ではありましたけれども、弁護士をみだりに使うな。——そういうようなことがあったらしい。それから、手形支払いを強制しないようにしなさい。それから、裁判は必ず東京でやるということを地方に行っておどかすなというようなこと、それから強制執行なんかですね。こういったようなことは通達には書きにくいから、これはよく口頭で言いますと。  それから、このときに消費者向けの「訪問販売撃退法」といったようなリーフレットをつくるということをおきめになったそうなんです。この点、リーフレットはどうなっておりますか。  それからモニターですね、消費者モニターの調査をやる、そのように言われたそうですが、そのモニター、やりましたですか。その結果はどういうふうに処置なさったのか。  ここらの一連の経過、これを御説明いただきたい。
  119. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  第一点の御質問のございましたリーフレットでございますが、それはそのまま新しく、いま手元に持ってきておりますこういうものを一応つくりまして、これを広く消費者の皆さんに分けるように、そういうように心がけております。  それから第二点でございますが、消費者モニターを使っていろいろ調査をしたかどうか、こういう御質問だったかと思います。これは本年の一月に入りまして、私どもはさっそく通産省消費者生活改善監視員、いわゆる消費者モニターといっているものでございますが、全国七百人お願いをしておりますが、その方々を通じまして、一応点検と申しますか調査をいたしました。  それで、全国でおおむね五千六百企業に対しまして調査を行なったわけでございますが、そのうち、いまいろいろと議論のございます割賦販売を行なっておりますものは約四千九百企業でございます。したがいまして、それにつきまして重点的に調査を行なっておるわけでございますが、調査の内容につきまして簡単に申し上げます。  まず、割賦販売法にそういうような割賦販売をいたす場合には必ず書面を交付しなさいという交付義務が規定をされております。今回の改正法では、これに罰則を伴なうように改正をいたしましたが、その改正前は、これは訓示規定でございます。それで、書面の交付をしておるかしてないかということを調査いたしました結果、交付をしているものがおおむね八割くらい、こまかくいいますと七九・三%という数字でございますから、おおむね八割でございます。それ以外のものは、交付をしていない、あるいはそれに対して明確な返事をしていないということでございます。交付をしていないものが、私ども調査ではおおむね一割ございます。  それから二番目に、割賦販売法の三条によりまして、割賦販売条件の表示をしなければいけない義務がございます。これに関しまして、そういう表示を明示しておるかどうかということを聞きましたわけでございますが、これに対しましては、明示をしておると答えたものがおおむね六七%でございます。残余のものは、不明のものが多少ございますが、明示をしていないということでございます。  それからなお、明示をしていない、どういうことが明示をしていないかという事項でございますが、やはり一番多いのは支払い回数、支払い期間という、非常に割賦販売にとっては重要なことでございますけれども、これを明示していなかったという事例が一番多うございます。なおその次には、割賦販売価格自身が表示をされていなかった、これも相当重要なことだと思いますが、そういう結果が出ております。それからなお、金利の問題でございますけれども、私ども今回の改正法によりまして、一応アドオン金利を禁止するように考えておりますが、現在しからばどういうふうになっているかということを調査いたしたわけでございます。この結果、アドオン金利表示を行なっているというものはわずか二割にすぎませんでした。残りのものは回答なし、あるいは行なっていないというものがおおむね四割くらいでございます。それからなお、それ以外にいろいろ不当な表示等ございますが、たとえば通常の市価に比べて割賦販売の場合における表示価格、いわゆる現金販売価格といっておりますが、それが不当に高いというものもございます。あるいは、頭金が必要であるにかかわらず、頭金が必要である旨の記載がないというふうなものもございました。  こういうふうな調査の結果を私ども一応入手いたしました。そのときには、私どものほうで今回の改正法の骨組みをほぼつくっておりました。したがいまして、こういう問題につきましては、今回の法律で、たとえば表示につきましては今回は罰則をつける、それからなおそういう表示事項、あるいは表示の内容等について不適当なものがあれば、今回の改正法案四条におきまして、通産省令でいろいろなことを定められるようになっております。そこで一応通産省令で定めますと、契約上はもちろんはっきりするわけでございますが、それ以外に罰則の規定も働く、こういうふうなことで今後措置をしていきたいというふうに考えております。
  120. 有島重武

    ○有島委員 いまのはモニター調査の結果でございますね。それから、モニターの調査の結果は公表されておりますか。私はいま初めて伺ったのですけれども、公表するようにしていただきたいと私は思います。されているのですか。
  121. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 特に新聞発表等はいたしておりません。
  122. 有島重武

    ○有島委員 大体八〇%までは交付したとか、六七%は明示したとか、それからアドオン方式をとったのが二〇%まだあるとか、そういったことは当然公表すべきことではないかと思いますけれども、公表なさるおつもりありますか。隠しておくのですか。隠す気はないのですね。公表なさいますね。
  123. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 私どものほうは、結果についてこれを隠す、そんな意思は毛頭ございません。したがいまして、先般の国会のときであったか、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、あるいは国会答弁のときに申し上げたことがあろうかと思いますが、もしいまの結果につきまして公表する必要があるならば、もちろん公表いたします。
  124. 有島重武

    ○有島委員 そこで、まだまだ通産省の通達というものが実施されていない、通産省はなめられているという印象が強いわけです。それで、たとえばモニターにつきましても、こういった事実は御存じかどうか。これはある会社の営業所の資料なんです。グロリアです。社名も言ってしまいましょう。  「各支社長及び営業所長へ」、「消費者モニターの総点検に対処するについて」、「二月十五日の衆議院物価問題等に関する消費委員会に於て、洋書セールス及び銀行の住宅ローンのアドオン方式に関する行政指導の質疑のなかで、」——これは外国人の方がお書きになったらしいのですが、「質疑のなかで、通産省企業局消費経済課では、昭和四十七年一月を洋書訪問セールス総点検実施要項を実施することを決定し、通産省の委嘱による消費者モニター八百人を動員して、われわれ業界の実態調査を行うことになっている。消費者モニターの実態調査報告の集計結果は、通産省企業局よりラジオ、TV、新聞等のマスコミによって報道されるものと考えるので、これの対処について、紛争業務開始より、一月末日までは下記要領を熟読の上全員に周知徹底を計り、遺憾のないよう配慮されたい。」こういうような書き出しなんです。  それで、省略しますけれども、この一番で、「オフィスにかかる電話の応対について」、「消費者モニターは女性であると考えられる。」これは中年女性であろうと考えられるというのですよ。それから「消費者モニターは、現在のアイビー市場(見込客層)とは異質であると考えられる。」二は、「対処の注意事項」というのがございまして、「所属オフィスの社員名を知らず、また具体的事由によらず「商品の説明を聞きたい」などの電話については注意すること」、こういうのですよ。三番目、「特定のセールスマンにではなく、オフィスに電話があった場合。「私共の誰かがご連絡申し上げたことがございますか」「失礼でございますが、私共の商品をご希望の方はどなたでいらっしゃいますか」「失礼ですが、生年月日をご参考までにお教え下さいませんか」こう聞けというのですよ。それから「私共の会社、商品のことをどのようにして、お知りいただいたのでしょうか」、こう切りかえせ、こういう資料です。  こういうのがございまして、次に「応対の注意について」というのがございます。「これは消費者モニターに限ったことではなく、日常の営業活動でしばしば注意事項にとり上げていることであるが、特に注意しなければならない点は、A 商品価格はセットの定価を明示すること、B 「学習の手引」をフルに利用のこと、C バインダー資料、ブロードサイド、プロスペクタスを全般的な知識を与える意味で説明すること、D 特に割引(デモセットを除く)等の言葉を使ってはならない、E 特別会員の言葉を使ってはならない、F 解約不能をいってはならない」。それから「質問についての答え」、「契約書裏面の解約(キャンセル)条項について「割賦販売法に基いて印刷されていますが、当社では、不当な解約金は一切求めません。過去においてもこの例はございません。」」こう言い切れ、こういう資料が回っているわけです。  モニターもいろいろやっていただいたかもしれませんけれども、これはほんの一例でございますが、向こうはこうした段取りを組んで答えを出しているのだろうと思いますね。ですから、実態がこうであるなら別にこんな通達を回す必要はないわけでございますから、まだまだいまのこの数字は甘い数字ではないかと思います。  私も現実に、二月のある日に錦糸町の駅で呼びとめられまして、あなたは英語について御関心をお持ちですか、と言われました。私は非常に急いでいたもので、これだな、と思ったのですけれども、そのまま見のがしてしまいました。それから、現実に部屋に質問に来られた方がいらっしゃいました。その方も、あなたは特にアメリカ本国から指名されておる数少ない日本人の中の一人である、それで、本来は四十数万円のものを、特にあなただけには十九万三千円にしておきますとか、そういうようなことを言われました。現実にまだ行なわれておる。それで、その例を、まだたくさんあるのですけれども、最近のことを言いましょう。  これは、昭和四十七年二月一日の午後四時ごろ、セールスマンの五十嵐さんという人が来たと書いてある。これはたずねてきたのですね。それで、これはレットゥファインドアウトブックスというのを見本にして、この程度のものだったらば、二歳のお子さんからが対象になっておりますから、四、五歳のお子さんであればもう十二分にだいじょうぶです、英才教育をするには、テレビよりもこのほうが効果的であるという説明をした。英才教育ということばをつい信じてそれをとってみた。ところが、二十日後に届いた品物を見たらば、セールスマンの説明とは全く異なって、子供には利用不可能のものであった。なお、契約事項の説明がないのに、送付のときのオファには、確認も求めないで一方的に承認印が捺印されていた、こういうことで、契約を取り消したい、こう言ったわけですね。このあとがついているのです。この五十嵐さんという方から、なぜそんなことを言ってきたのだ、ぐずぐず言うなという押し返しがまた来たのです。  事実、これはございます。それで、今後一生懸命やってもらいたいということだけをきょうは言いたいのです。  このリーフレットもたいへんいいのですけれども、特に英語の百科事典のことについては、私も見せられて非常に簡単なわかりやすいページをぱっぱっとめくるのですね。どれ、見せてごらん、と言って手にとろうとすると、手に持たせないですね。それで、まあまあと言って私は全体を見ましたけれども、見れば、とてもこっちは読めないような内容です。それはたんねんに読めば読めるかもしれませんけれども——ここに手紙がたくさんある。一々字引きを引けば読めるかもしれないけれども、日本語の本一冊読むのも相当たいへんなのに、そんなのをずうっと何冊も並べられて——結局それはむだづかいということになろうかと思うのですね。そういうことについてここには触れていらっしゃらないようですけれども、その辺も、特にこの英語百科事典、こんながめついことをやられると、これは国際問題になりかねないと思うのです。  それで、きょうはもう時間もたいへん延びまして、おなかもみんなすいちゃったと思うのでもうやめますけれども、もっと本格的に取り組んでいただきたい。また、渡部通子さんがきのう中国から帰ってまいりまして、きょうも出たいとかなんとか言っておりましたけれども、ちょうどタイミングが、参議院でもやっているところでもございますから、きょうをはずしたくないということでもって、私がかわってやったようなものでございますが、私どもはまだまだこれは注目してまいりますから、しっかりやっていただきたい。  以上であります。
  125. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 ただいまの御質問に関しまして、その後の経緯を簡単に申し上げたいと思います。  いま御指摘のように、外国系の百科事典の業者が路上その他においてさらにいろいろ不当な顧客誘引をするという事例を、私どもも実はしばしば耳にいたします。したがいまして、これに対しまして、二月の中旬でございますけれども、実際に各通産局のほうにお願いをいたしまして、実は街頭に出ていただきまして、そういういろいろ話のあったところへ出ていただきまして、どういう状況かという実情を調べていただきましたところ、実はある会社につきまして、そういう街頭の勧誘行為が三件ないし四件発見されました。その社に対しまして、私どもは直ちに厳重な抗議をいたしました。実はその会社は、三月末をもって外国系の百科事典の販売を中止いたしたのでございます。  なお、私どもは、日本割賦協会という社団法人がございますけれども、そこに外国図書の販売部を設けまして、いまのいろいろ不適正なところ、契約の適正化、勧誘する場合の行き過ぎ、苦情窓口の設置、こういうことに関してそこで徹底的に指導する、と同時に、もし今後相変わらずキャッチセールスをやるような業者がありました場合には、私どもは、むしろ会社名を公表して、悪質業者に関しては社会的な制裁を加えるようにしたいというふうに考えております。  なお、これはすでに御案内でございますので申し上げるまでもないと思いますが、改正法におきましては、一応クーリングオフ制度がございまして、これによりまして従来のようなことはある程度防止できるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  126. 有島重武

    ○有島委員 また、このリーフレットは非常に不徹底なので、しっかり徹底していただきたいと同時に、このようなことは法律で禁じられておりますというようなことをぱちんとうたっちゃったほうがいいと思うのです。こういうようなときは注意してください、みたいなこともいいかもしれないけれども、心がまえもいいかれしれないけれども、そのものずばり、一々問い合わせないとわからないみたいなんじゃなしに、こういったことはもう禁じておる、通達はこういうふうに出しておる、それははっきりお出しになったらいいと思うのです。先ほどのモニターの結果、中間報告でもけっこうです。これはこういうような状況の経過報告であるがこうだ、なおやれ、そういったような公表はぜひやっていただきたい。お答えは要りません。  どうもありがとうございました。
  127. 井岡大治

    井岡委員長 栗山礼行君。
  128. 栗山礼行

    ○栗山委員 いまお話がございましたように、きょうは昼食抜きで、労働基準法にたいへん違反行為の委員会になりまして、私もまだ一ぱいの番茶も飲んでおらないような次第でございます。非常に関係各位に恐縮をいたしますが、できるだけ要約いたしまして、若干関係方面の御質問を申し上げてお答えをいただきたいと考えておる次第でございます。いろいろ整理をいたしておりませんので、どの方面から順位をつけてまいるかというようなことについてはちょっと判定がしにくうございますので、私の質問順位で私自身の選択におまかせをいただいて、あとにお残りをいただく人が貧乏くじだ、こういうふうにひとつ御了解をいただかなければいたし方ないのじゃないか、かように御了承いただきたいと思います。  私は、きょうはガス料金の問題について若干の質問をまず冒頭に進めてまいりたいと考えております。ここに通産省の公営企業局長及びガス課長の御参加をいただいておるやに承知をいたしますが、たいへん御苦労でございます。  ガス料金の問題は、過般の委員会で、社会党の同僚の武部委員がいろいろ質疑をいたしましてお答えをいただいたというふうに理解をいたしております。速記録をまだ拝見いたしておりませんので、十分その御答弁の内容をうかがい知るわけにはまいらないのでありますけれども、若干質問者から意見等も伺っておるわけでありますが、結論的に申し上げますと、いわゆる公益事業の問題として、特にガス料金という公共性の重大性にかんがみまして、十分なる検討を加えて御回答を申し上げます、というようなことで、私どもからいうと一般的な公式的な御答弁をいただいたというように、質問者から承ったのであります。  相当の日時の経過をいたしておると思うのでありますが、その後どのような検討をお運びをいただいて、現在どういう時点に進展をし方向づけがなされておるか、こういうことについてお答えをいただきたい。
  129. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 お答えいたします。  武部先生からの御質問は、たしか五月十日の当委員会であったかと思いますが、東京瓦斯の料金値上げ申請、供給規程の改定に関する申請が出ましたのが連休中の五月四日でございましたので、私どもは連休明けの九日ごろから、東京瓦斯を呼びまして詳細なヒヤリングを開始し、また資料の追加要求をいたし、さらに今週に入りまして東京瓦斯の経理の監査をしておる段階であります。ガス課長以下ガス課のメンバーかかり切りで、いまそれについての検討をいたしておる段階でございます。したがいまして、十日の委員会武部先生に申し上げまして以降、まだ私の腹案として新しいものが生まれておるということはございません。
  130. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ短い期間でございますから、せっかくの調査作業をお運びをいただいておるという経過の一端をお伺いいたしたのでありますが、その中で東京瓦斯の実情監査ということでいま実施中だということでございまして、たいへん真摯なお運びをいただいておる、こういうふうに理解をいたすのでありますが、きょうの新聞で、「紙上公聴会」「ガス料金値上げ」こういうようなことでごらんになったかと思うのでありますが、非常にでかでかと、この問題の重要性と消費者の深い関心度を高めておりますことは御承知のとおりでございます。私はお伺いいたします前に、まずガス料金の申請は現在の時点で東京瓦斯だけでございますか、ほかのほうから上がってきておりませんか。
  131. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 全国にガス会社は、いわゆる私営並びに公共団体の公営にかかるものを含めまして二百四十前後ございます。その中で、昨年若干、数件値上げをいたしました。現在申請が出ておりますのが、秋田県のガス会社がございます。私の記憶では、天然ガスの減少に伴いましてナフサを混入せざるを得ない、それのために料金が上がるのだという申請内容であったかと記憶しております。東京瓦斯を含めまして二社でございまして、それ以外には、現在のところ申請はございません。
  132. 栗山礼行

    ○栗山委員 これは非常に抽象的な想像論でございますが、東京瓦斯の値上げ申請の決定いかんという動向待ちということも必ずしも想定できないことではない。と申しますことは、これがトップバッターになりまして、通産省の、政府の決定行為というものによって、順にならって直ちに値上げを申請するというケースもこれはなきにしもあらず、こういうふうな感を深めるのでありますが、三宅局長はどのような御見解をお持ちになっていらっしゃいますか。
  133. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 御存じのとおり、ガス事業は非常に大規模のものも中小規模のものもございまして、全国で二百四十前後ございます。それぞれ地元の原料事情、たとえば天然ガスに依存するとか、あるいは石炭に依存するとか、あるいはナフサを混入するとかいうことで、原料事情がそれぞればらばらでございます。そういう意味では非常に地域性の強い産業であります。またLPGとかあるいは灯油といったような競合エネルギーとの競争関係も、非常に地方では強いわけでございます。これらの状況を背景にいたしまして、現在のガス料金は区々のレベルで、ばらばらのレベルで全国的に値段が設定されております。ばらつきが相当ございます。それぞれの企業の適正な原価計算並びにフェアリターンをベースにいたしまして、区々の料金が設定されておるわけでございますので、こういう地域的な特殊性並びに現在の料金が一律ではないということ、並びに地方では持に代替燃料との競合関係も相当あるという点から、東京瓦斯の値上げがかりに実現いたしましても、これが契機になって直ちに値上げムードを誘発するとは考えておりません。  ただ、東京瓦斯の料金申請の背景には、十二年間一応料金の据え置きをはかってきたけれども、近年における資本費の高騰、あるいは保安業務、サービス業務等につきましては、どうしても機械化、省力化ができない分野でございますが、こういう分野における人件費の上昇、あるいはOPECの値上げ問題に伴う原料費の高騰、こういったようなものが東京瓦斯の値上げ申請の背景になっておりますが、このような事情は、大なり小なり地方のガス会社にもあろうかと思います。現に公共団体の営んでおる地方のガス企業も含めまして、現在赤字ないしはそれに近い会社もございます。その中には合理化努力でなおがんばろうというものもあろうかと思いますし、先ほどちょっと申し上げましたように、昨年数件、地方ガスで料金を上げたところがございます。これが契機になって一斉に地方が上がるのだ、また通産省が上げるのだということはございません。個々のケースにつきまして厳重な審査をいたしたい、かように考えております。
  134. 栗山礼行

    ○栗山委員 基本の方向づけについて御答弁いただいて、それなり理解ができるのでありますが、一つは、都市ガスと申し上げましても、七大都市のガスがございますし、中都市、小都市のそれぞれのいろいろ条件を持つガス供給会社というものが存在するということであろうかと思うのでございますが、率直に申し上げまして、いま波及効果というものについては、東京瓦斯がかりに上がって直ちに波及効果があって、これを契機に値上げの方向に進んでいくとは理解しがたい、こういうふうな御答弁でございますけれども、しかし、波及効果がない、こういう考え方の上に立って東京瓦斯の値上げ問題を消費者がながめてまいる、あるいは物価問題を検討してまいるというようなことにつきましては少しいかがなものか、こういうふうに考えるのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  135. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 波及ということばの解釈でございますが、ガスが上がったから何かが上がるという波及効果じゃなくて、地域的な波及効果の問題であろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、東京瓦斯の値上げ申請に至る背景の理由は、大なり小なり地方のガス会社にもあろうかと思います。その点では、東京瓦斯の持っている問題点は、全国のガス会社が持っている問題と共通のものがあることは事実でございますけれども、先ほど申し上げましたように、地方のガス会社の料金は、非常に高い料金を設定しておるのもございます。たとえば東京瓦斯の料金レベルは、現在、全国のガス会社の平均レベルよりもずっと低いレベルでございます。非常に高いのもございます。たとえば一万キロカロリーで七十円前後のガスもございますから、そういうように料金のレベルが全国区々である。そして地方ではLPGや灯油との代替関係があって、どこまで合理化努力で吸収し、どこから料金値上げに及ぶかという問題は、いまにわかに予断はできない。ただ、東京瓦斯の資本費の上昇とか燃料費の高騰とか保安業務に伴う人件費の高騰とかいったような一般的な事情は、全国的に共通のものがあるということを申し上げておきます。
  136. 栗山礼行

    ○栗山委員 いわゆる同一ガス会社の値上げ料金というものが、業界といたしましての動向を見守っておる。そして、これによる影響面も軽視すべからざるものがある。同時に、消費者のほうからまいりますと、この事柄が都市の国民生活への影響性がございまして、そういう国民的立場においてこの問題をとらえてまいらなくちゃならぬというのが理論上の一つの本筋であろうか、こういうふうに理解をいたすのであります。あえて局長の御答弁を求めませんけれども、この東京瓦斯の問題をめぐりまして消費者が、各種の団体がそれぞれの意見とそれぞれの運動を展開いたしておりますことは、御案内のとおりであります。また、その内容等につきましてもすでにご承知でありますし、また、同僚武部委員が御質問いたしました内容について、私は、具体的な東京瓦斯の経営及び実態あるいは値上げを申請した理由等々について重ねてお尋ね申し上げるということは避けてまいりたい、こういうふうに考えておるのであります。  ずばり申し上げまして、いま監査等もやっておられるのでありますが、値上げの方向を中心としての形で運んでおられるのであるか、あるいは世論及び消費者意見等も考えつつ、しかも国民生活への影響の重大性を考えつつこの料金の適正なあり方をどこに求めていくかということの、そういう基本的な一つの考え方の基調といいますか、あるいは見解といいますか、こういう点をお聞かせいただけたらけっこうだと思います。
  137. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 東京瓦斯の料金値上げの資本費の高騰等々の理由は、一般論として理解できますが、それが具体的にいつの段階で、どの程度の幅の問題として考えたらよろしいかという点は、現在検討中でございます。  いま御指摘の紙上討論会も拝見いたしましたし、あしたはたしか消費者団体の御意見を承る会もあると思っておりますし、政府といたしましても、ガス事業法の規定によりまして六月の五日に公聴会を開くことになっております。そういった討議の場を通じ、また、われわれの検討結果を踏まえまして、この問題についての結論を、あるいは結論の試案を事務局としてはつくりたいと考えておりますけれども、ガスの安定供給という供給サイドからの要請と消費者保護というサイドからの要請とをどう調和するかという、非常に高次の判断を要する問題でございますので、物価対策閣僚協議会の議を経ることになっております。同時に、その前には経済企画庁に御相談をする過程が要るわけでございますが、現在のところ、私どもとしては実態の分析に全力をあげておるということしかお答えできない段階でございます。
  138. 栗山礼行

    ○栗山委員 これ以上追跡質問をいたしましても、なかなか、厳として三宅局長はお答えにならない、こういうことであろうかと思いますので、とどめてまいりたいと思います。  特に、お話のございましたように、二十五日に消費者八団体の主催による公聴会が開かれるということで、この問題の反対ののろしをひとつあげてまいって、値上げについての苦しさと切実さとそして問題の方向づけをしていきたいというようなことで、新聞が書いておるわけでありますが、お話しのように、六月五日に、通産省が主催によります消費者団体をお招きになっての公聴会、それから閣僚協議会というようなことで最終的におきめになっていくというようなことであろうかと思うのでありますが、東京瓦斯が申請いたしております一つの内容は、平均的需要家の料金を三二・二%引き上げる、それから最低料金が、現在月使用七立方メートルで二百六十六円を、二・二五倍引き上げて六百円とする、新料金制度は八月一日から実施するというようなことで申請の内容を運んでおる、こういうふうに新聞は伝えておるのでありますが、そのとおりでございますかどうか、これが一点でございます。  第二点の問題は、私お伺いいたしたいのでありますが、御承知のとおり産業用の大口需要家と、それから家庭用の需要家という、小口需要家と申しますか家庭消費用のガス料金というように、料金の構造上の問題があると思うのであります。ここにいろいろ、産業を重点として考えます場合と、今日的に、物価高で悩む国民生活、いわゆる福祉を優先とする経済、政治、社会の方向立てをひとつ転換して進んでいこう、こういうこと、従来の料金制度と、それからこれからの料金制度の構造上の問題というものは、新たな原理において進めてまいらなくちゃならぬ、こういうふうな時代の一つの変化の局面にいま臨んでおるのではないか、私はかように考えておるのでありますが、従来の料金構造方式によりますと、やむを得ないものだというようなことで一応の手続きをとられて、しかもやむを得ざるものだというようなことで料金が値上げされるということが結論だ、私はこういうふうな悲観的な見方をするのでありますが、いま、先ほどの監査されておりますこと及び消費者団体の意見を聞くこと、公聴会等もみずから招く、そして閣僚協議会等も開きまして、もちろんその中には経済企画庁意見等も徴して最終的に決定してというお考えの運びはよくわかるのでありますけれども、私は、従来のガス料金の制度の構造上の問題を転換する一つの方向で検討せなくちゃならない時点に立ち至っているのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、局長の御所見を伺っておきたい。
  139. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 御質問の第一点、三二・二%等々の点は事実かという御質問、そのとおりでございます。  それから、料金の構造上の問題という御質問でございますが、質問を取り違えておるかもしれませんけれども、非常にむずかしい問題で、どこをどういじったらいいのか、私にはさっぱりよく理解ができないむずかしい問題でございます。ただ、御指摘の点は、おそらく最低基本料金を上げた点を指摘されたのかとも思います。あるいは工業用の需要に対してどう考えるのだ、大口需要に対してどう考えるのだ、こういう御質問かと存じますが、まず前段のほうにつきましては、一需要家当たりの固定費的な経費が非常にかさんでいる。東京瓦斯の説明では千二百円はどうしてもかかるんだということでございます。現在の二百六十六円ではいかにもやりづらい。結果的にはその差額は他の需要者に転嫁されておるわけでございますので、最低使用料金の問題は、ガスの消費者の各階層間のバランスの問題ないしは負担の公平論、それからガスの消費量の少ない方々に対する消費者のインパクトをいかにやわらげるかという二つの問題をいかに調整するかということになるのではなかろうかと、非常にむずかしい問題でございますが、慎重に検討しておる問題でございます。  それから、工業用の問題につきましては、ガスは電気と違いまして、そう工業用のウエートは高くないのは御存じのとおりでございます。大体七割ぐらいが家庭用で、その辺のそば屋さん等々含めました商業用が二割、工業が一割にも足らない。その中には非常に負荷のいいケースもございますので、特に工業用が現在優遇されておるとは私は考えておりません。おそらく原価計算の配分からいってもその程度の線に落ちついておるのではなかろうか、かように考えております。
  140. 栗山礼行

    ○栗山委員 この問題の最後にお尋ねを申し上げるのでありますが、現在におきましても、いろいろ公益企業の本質にかんがみまして、資金面の対策上の問題、あるいは税制上の問題というようなそれぞれの問題が対処されてしかるべきであり、またそうされておる、こういうふうに私は理解をいたしておるのでありますが、先ほど私の質問にお答えになりましたように、私自身はきめこまかく、御案内のとおり、同じ一円上がりましても、十円の所得の者と五円の所得の者と一円というものについての負担増が非常に大きい。生活に、家計に響く率が大きいわけでありますから、私自身としては、そういう適正料金が国民生活の上に負担の不公平にならない、きめのこまかい料金制度というものを行政指導することが必要でなかろうか。それから、料金構造の問題というて申し上げましたのは、実はそういう問題をガス会社のサイドでものをながめるということではなくて、国民の負担と生活必需品という条件の中から行政指導するということが適正でなかろうかということでございます。それから、もとより私、賛成論者でありません。したがって、東京瓦斯の一つの値上げというものが、できればみずからの企業努力の問題、あるいは政府自身がどのように値上げなくして済んでまいるような一つの行政上の処置がとられるべきかということが真摯に検討されなければ、安直な値上げに通ずるという結論より得られないのではないか、こういうふうに理解をいたしておるわけでありますが、最後にその御見解をお伺いいたしたい。  もう一点の問題については、四十五年でありますか、ガス法が改正されまして、ことしの七月から、新聞に伝えられるところによりますと、認定されたガス器具というものに取りかえるということになっておると、こう書いておるわけであります。これは従来一つの規格がございましたものを、安全性の問題であるとかいろいろ公害要因の問題であるとか、それから合理的使用の問題であるとかということで、器具自体の検査を行ない、新しい一つの規格品にかえていこうという内容のような中身に受け取れるわけでありますが、そういたしますと、実際は、需要家といたしましては、新しい器具の取りかえというような別の意味における相当高額の負担増という結果もこれによって招いてまいるということに発展するのではないか、こういう点についてどのようになっておるかということをお答えいただきたい。
  141. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、料金問題は、片や供給サイドの問題、東京瓦斯の例をとりますと、約二百四十社の中でおそらく三分の一以下のレベルでございます。ガス会社の数の三分の二は、東京瓦斯よりも高いレベルでございます。そういう料金体系ではたして今後の安定供給の責任ないしは需要家に対する設備投資並びに保安業務の充実化をはかれるかどうかというサイドからの検討と同時に、消費者の家計に与える影響をなるべく軽減したいという要請とのからみ合いを十分慎重に検討してまいりたいと考えております。  なお、第二の器具の問題でございますが、七月から新しく販売される器具は全部検査を通っていなければならないというルールにいたしております。それは既存の器具には及びませんので、需要家の方で取りかえるという問題は起こりません。ただ、東京瓦斯がいま大きなパイプライン網を敷きまして、高圧導管でハイカロリーのガスを送る、しかもそれは天然ガスを中心にするという大きな計画を持っておりますが、それになりますと、カロリーアップに伴ってガス器具の取りかえという問題が起こりますが、これは全部東京瓦斯の負担でやると、こういうことにになっております。
  142. 栗山礼行

    ○栗山委員 ガス問題は以上で、私いろいろ要望を申し上げるということになるのでありますが、いままでの段階と見解をお伺いをいたしまして、重ねてひとつ消費者の、あるいはまた公共料金のあるべき姿の一環として適正な一つの方向づけを願いたい、こういうことの要望だけ申し上げて、これで終わることにいたします。御苦労でございました。  農林省の藤村水産庁次長さんに御足労をわずらわしておると思います。私は、これは簡単にお尋ねを申し上げます。生鮮魚介の最近の値上げ問題についての状況、それからこれらの対応策ということについて主として二、三点お伺いをいたしてまいりたいと考えておるわけであります。  四月十四日の新聞を見たのでありますが、魚の値上がりはなぜか、そして物価安定政策会議がこれにメスをふるう、こういうような見出しのもとに新聞を拝見いたしたわけであります。その中身はいろいろございますけれども、最近の魚介類の値上がりというものはまことに高いものがございまして、「一昨年は二一%、昨年は一九%と急ピッチの上昇ぶりを示している。それにもかかわらず値上がりの原因が流通の実態に即して調査されずじまいになっていた。」ということで、追跡調査をして分析をやっていこう、こういうふうな大体新聞の内容であろうか、こういうふうに私は理解をいたすのであります。  この数字の適正は、私はもとより、そういう新聞の数字でございますからわかりませんが、ただ実感といたしまして、異常な最近の生鮮食料品中におきまする生鮮魚介類が値上がりをいたしておるということにつきましては、これは市民及び国民の声でありまして、むしろ声でなくて一つの恐怖を感じておる、こういうのが一つの実感でございましょう。  その生鮮魚介類というものは、やはり、生鮮食料品の野菜なんかに比べまして特性がございます。しかし最近、御承知のとおり大手資本によりまして供給体制が非常に確立されてまいりまして——もちろん、生産性が非常に高まってまいったという面がございます。そういたしますと、当然、特殊な小さい漁場において、あるいは魚類の減少とか、あるいは漁場の捕獲についての零細的な要素がございますけれども、そういう例外的なものを除きまして、最近の傾向というものについては、やはり大手によって魚介類を収集しておるというような一つの状況であろうか。そういたしますと、値段がそう急ピッチに上がる原因はどこにあるかということについて深い疑問を持たざるを得ないということが一点でございまして、何ゆえにこういうふうな急ピッチで値段が上がってまいるかということについて、どう認識理解をされておるか。あるいはこれについての対応策はどう進んでこられたのであるか、こういうことでございますが、総じて大手資本によります供給品というものが寡占化されてまいりますと、これによります一つの値上げムードに拍車を加えてまいるというようなことで、魚介類全体の大きなウエートで値上がりをいたしておるというようなこともまた、いなめない事実であろうかと思うのであります。たとえば、例に引きますが、サケとかタラバガニというようなものがどういう状況になっておるかということについて、ひとつ専門的に御説明をいただければけっこうであろうか、こういうふうに考えておるわけであります。  その次には、近年、産地で冷凍能力も非常に向上いたしておりまして、その市況に応じて供給体制をとられておる。したがって、市況で需給関係のコントロールをされておるというような事柄がかえって魚介類の物価に与える影響というものが、値上がりの方向に進んでおるのじゃないか、こういうような見方もされるのですが、この問題についてどういうふうな見解をお持ちになっていらっしゃいますか、ということでお伺いをいたしたい。  それから、特に魚介類の中でも、市場に出ておりますものの約五割が冷凍魚であるといわれておるのでございますが、この冷凍魚介類が、市場に出回っておるものの五割というような大きなウエートを占めておるのでありますが、それが大手資本によって寡占化されておるというものでございますけれども、これが上がってまいるということは、先ほど申し上げましたように、一体どこにその要因が存するのかということについて、まことに私どもは究明に困るのでありますが、率直に御説明を承りたい。
  143. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 最近、魚の価格が上がっておることは事実でございまして、これは基本的には、生産と需要のバランスがとれていないということにあるかと思っております。と申しますのは、生産は昨年九百万トンをこえたのでございますが、そのうちの二百五十万トンがスケソウダラで百万トン以上がサバ、サバも特に昨年の場合は小型のサバが多くて、一般の需要者の振り向かないようなものが多かったということで、特に最近の所得がふえてきたような面から見まして、中高級魚を特に消費者は選んでおりますので、そういう点で魚の供給と需要のバランスがとれていない点が一番大きな原因かと思います。  さらに、中高級魚の資源問題や人件費の上昇によりまして、生産費のコストが上がっている。ということは、必ずしも流通問題も十分円滑にいっているものではないと思いますので、先ほど御指摘がありましたような流通の追跡調査などもやって、これの円滑化をはかりたいと思っております。  そこで、これの一番根本的な対策といたしましては、現在やっております、昨年の国会で通りました海洋水産資源開発促進法に基づきまして、沖合いにつきましては新しい漁場、新しい魚種の開発、それから沿岸につきましては増養殖によりまして、現在の消費者が好むような魚をたくさんつくりたいというような政策をとっておるところでございます。  それから第二番目の、大手の漁業者が独占をしているので、そういう魚種について寡占化しているのではないか、それが価格上昇の原因ではないかという御指摘でございますが、いま、使用漁船の合計総トン数が千トンをこえるものを大規模漁業経営体として考えてみますと、それの経営体数といたしましては、年々少しずつ増加しております。それで経営体数、その経営体のとっております漁獲高も若干増加しておりますが、ただいま申し上げましたような比較的安い魚種をとっておりますので、ここ数年は、金額的には全体の二四%ということで横ばいになっておりまして、特に寡占化が進んでおるということは、私ども考えておりません。  特に、御指摘のサケ、マスにつきましては、これは確かに母船式というものが非常に多くなっておりまして、重量の割合で全体の約三分の一、四十六年につきまして三三%でございますが、しかし値段は、塩ザケにつきましても、小売り価格につきましてもこの二、三年は決して上昇しておらないと私ども考えております。  カニ、特に先生指摘のタラバガニにつきましては、非常に母船式漁業のウエートが大きくなっておりまして、約八八%が母船式でとっておる現状でございます。これにつきましては、国際的な規制が強化されまして、漁獲量が非常に減少いたしております。持に日ソ漁業の関係、日米の関係で漁獲量の割り当てが減っておりますので、減ったのと需要の好調なのと相まちまして、価格は上昇傾向にございます。しかし、カニ、タラバガニにつきましては、ほとんどが西カムチャッカとそれからアメリカのアラスカのブリストル湾でとっておりますので、これは母船式でとるほかはないのではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ指摘の産地冷蔵庫は、非常にふえておりまして、これがあるいは、かえって逆に値段をつり上げているのではないかというような御指摘でございますけれども、一部に、昨年のイカ等についてそういう傾向が見られましたけれども、私たちといたしましてもそういうことがないようにいたしたいと思いまして、特に補助金等を出した冷蔵庫につきましては、できましたあとの指導を十分にやっていきたいというふうに考えておりますし、補助金以外のものにつきましても、これからそれが指導できますように、県を通じて実態を調査いたしてまいりたいというふうに考えております。
  144. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、新聞のとらえ方を必ずしも適正だというように考えておりませんが、この新聞の伝えるところによりますと、流通部門についての追跡調査等もされておらないということで、物価安定政策会議がこれをきめつけておるということであろうかと理解をいたしておるわけなんです。その点について、流通面についての追跡調査等もいたしておるというような御答弁があったように思うのでありますが、その点をどちらに真を求めたらいいのかということに、ちょっと迷いを生じますから、明確にしていただきたい。  で、御案内のように、こういう新聞の記事になっておるのです。これについて同様に、いまの直接御答弁を伺った内容とそれから新聞の記事との一つの関連性を、あらためて私の認識を新たにいたしてまいりたい、こう考えておりますので、一、二分ですから読むことにいたします。  「魚値上がりはなぜ?」「物価安定政策会議がメス」「生鮮食料品の中でも魚類の値上がりがこのところ目だっているが、物価安定政策会議は十三日、第一調査部会(部会長、馬場啓之助一橋大教授)を開き、魚類の流通と価格形成についてメスを入れることを決めた。同会議は一昨年、昨年の二回にわたって野菜について同様の調査を行なったが、魚類についてはこんどが初めて。同部会としては、大手資本漁業ウエートの増大や産地貯蔵能力強化が魚類の価格上昇にどのような影響を与えているかを中心に調査をすすめ、長崎などで現地調査も行なったうえ、七月下旬に調査結果を提言の形でまとめることにしている。生鮮魚類が消費者物価指数に占めるウエートは三%だが、ここ数年の値上がり率は生鮮食料品の中でもきわだって高く、一昨年は二一%、昨年は一九%と急ピッチの上昇ぶりを示している。それにもかかわらず値上がりの原因が流通の実態に即して調査されずじまいになっていた。第一調査部会は、同じ生鮮食料品でも魚類は野菜と違って1大手資本漁業のウエートが増大しており、サケ、タラバガニなど一部の魚種に供給の寡占化がみられる2産地冷凍貯蔵能力が強化されるなど供給コントロール能力が増大している3冷凍品のウエートが約五割に達し、市場取引が変化していること——などの特徴かあることに注目し、これらの点が魚類の価格形成にどのような影響を与えているかに重点をおいて検討する。  まことに、私どもがながめまして肯定し得るような一つの記事の内容として示されておる。こういうことなんでありますが、いま御答弁を伺う限りにつきまして、私は、この内容と現在の政策路線に本質的な相違の御答弁をいただいたやに理解するのでありますが、あらためまして、この記事がひとつ正当なる認識、判断といたすべきか、御答弁をいただいたことが正当な認識であるか、もう一回、恐縮でございますけれども、そういう点だけお示しをいただければけっこうだと思います。
  145. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私ども、流通の追跡調査をしていないという、何か新聞記事のようでございますが、調査の方法とか目的がどういうことにあったのかわかりませんが、私どもといたしましては、四十五年に二回、四十六年に二回、特に昨年の十月、十一月につきましては、業界の方あるいは学識経験者の先生方の御協力を得まして、流通調査をやっております。しかし、いま先生指摘のありました産地冷蔵庫につきまして、一部に投機的なことを考えた者があったのではないかというようなお話は、私どもも調査いたしましたが、実際がどうであったかわかりませんが、そういう声がありましたことは確かにございます。そういう点につきまして今後も十分な指導をしてまいりたいというふうに考えておりますが、寡占化の点につきましては、特にサケ・マスにつきまして、私どもが塩サケの調査をいたしましたところでは、東京都の卸売り価格も、四十四年をピークにいたしまして、決して上昇はいたしておらない。タラバガニにつきましては、先生指摘のように上がっておるのでありますけれども、これも、寡占化と申しましても、やむを得ない事情でございまして、先ほど申しましたように、割り当てが減少いたしますのに需要は一方的にふえているということで、やむを得ないのではないかというふうに考えます。
  146. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後に、一つお願い申し上げておきます。  サケの問題についてお話がございまして、私、この間ソウルから帰りまして、そして何にも買ってこなかったものでありますから、せめてひとつ夜のさかなを買って帰ろうというようなことで、カニは、とても値段に合わないものでございます、びっくりするような値段でございまして、買わなかった。甘ザケといいますか、そういうものが、羽田の飛行場でございますから、一匹を裂きまして四つにやるのでありますが、四切れでありまして、それが驚くなかれ一切れ二千五百円であります。そういたしますと、若干それより分割して売っておるのでありますけれども、一匹が一方円になる。こういうふうな最終価格が、あそこでの表示をいたしておる値段である。こういうような内容等は、ついこの十四日の夜ソウルから帰ってまいりまして、十五日にそれを買って帰ろうということをいたしまして、こういうようなおっかない料金で買って帰れないということで買わなかったというような事実等もあります。  私は一例を申し上げるわけでありますが、特に魚介類の値上がりについてのひとつ最大努力を、そういう実態を把握して考えなくちゃならない、こういうふうに考えております。これは具体的に将来の一つの方向路線としてお願いを申し上げるわけであります。きわめて常識的でありますが……。  先ほどの問題につきましては、新漁場の開発の問題にちょっとお触れになったのではないか、かように理解をいたしております。それから増養殖事業の推進ということが、将来の政策一つの方向路線としてお考えをいただかなければならぬということでなかろうかと思うのであります。それから、流通段階の合理化問題につきましては、この種の生鮮食料品にきわめて重大な問題でございますので、この点のひとつ合理的な流通機構の整備の方向づけというものを特にお願い申し上げなければならぬと思うのでありますが、特に生鮮食料品につきましては一部にいわゆる投機性がございまして、いわゆるばくちを打つといいますか、投機で物を操作するという要因がいまだにあとを断たない、こういうふうなことをいろいろお伺いをいたすのであります。私も若干仲間がおりまして、そういうことを伺うのでありますが、現に、国民の消費生活あるいは消費者物価というものが非常に高まってまいりまして、この問題に政治が全力投球をしなければならない今日的問題の一つでありますので、そういう問題について、そういうような投機的な価格操作というものについて厳に排除するというような行政上の方向だけでもお願いをいたさなければならぬ。  以上、私は私なりに一つ意見を持つのでございますが、申し上げました諸点について御見解といいますか、将来どのように対処願うかということを最後としてお承りをいたしたい、かように思います。
  147. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいま御指摘がございました新漁場の開発それから増養殖につきましては、先ほど私が申し上げましたように、すでに昨年から海洋水産資源開発促進法に基づきましてやっておるところでございます。  流通の合理化につきましても、私ども、従来から流通加工につきましても力を入れておりまして、流通加工センターの建設、開設についての助成金なり、あるいは流通対策事業、たとえば全漁連を通じまして冷凍魚の安いときに買っておきまして、東京、大阪について高くなったときに放出するというような実験事業をやっております。あるいは鰹鮪連合会が自分で産地直売をための助成金等を出しておりますが、先生指摘のありましたように、これについて十分の調査をいたしまして、合理化についてさらに一そうの努力をいたしたいと考えております。
  148. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへんありがとうございました。  亀長食糧庁長官、どうも御苦労さまでございます。これ一問でございます。  きょうは、午前中農林大臣が本委員会に御参加いただいた。私はちょっと、逓信委員会質問を展開いたしておるときでありまして、残念ながら直接お伺いをすることができなかった、こういうことでありますが、御案内のように、これまた新聞でございます。五月の十六日でございますから、新しい一つの記事として載っております。「消費者米価引き上げも」ということで「農相「食管赤字でやむをえぬ」」というようなことで、きわめて赤城農相らしい一つの表現をされておるやの記事が出ておりますことは、これはお読みになったのではないか、こう思うのでありますが、実は私、物特と農林それから通産の連合審査がございまして、そのときに直接大臣に、消費者米価の問題について、四月一日から物統令の廃止による一つの問題で、将来、消費者米価の値上げがないかということと、生産者米価との関連において、あるいは食管赤字財政との関連において消費者米価を上げてまいるというようなことはございませんかということを、特にお尋ねを申し上げた一人なんであります。これは赤城農林大臣らしゅう明快に、そのときはお答えになりました。生産者米価の問題というものだけを他の問題と放置するわけにはいかないということで、暗に値上げの一つの心がまえという表現に理解をとれるような発言がございました。しかし、消費者米価の問題ということにつきましては、これはもう食管赤字がどれだけ出ようとも、それから逆ざやになろうとも、これはもう一つ政策的な価格なんだ、社会保障なんだ、だからもう断じて上げるということはありません、その点はひとつ御安心をということで、きわめて自信に満ちた御答弁があったのでありますが、連合審査からあまり日にちを経過いたさないのでありますが、あなたの入れ知恵か、あるいはまた赤城さんの一つの発想転換か、これは存じませんけれども、こういうことになりますと朝令暮改ということになって、もうきょう言うておることが、場所が変わればあれは違うんだよということになりますと、ますます政治の不信が高まってまいるということに私は非常に憂慮するのでありますが、赤城大臣なら、大先輩でありますけれども、これは少しおきゅうをすえて、あなたは少し休養せなくちゃいけないということを私申し上げなければならないのでありますが、食糧庁長官でありますので、私は、もう政治サイドでということは申し上げませんが、あなたの行政サイドで、長官の政治生命を傷つけない立場における御答弁がいただければけっこうだ、かように考えております。
  149. 亀長友義

    亀長政府委員 お答え申し上げます。  大臣がけさほど詳細にお答えになりましたので、もう速記録に掲載されておると思いますが、生産者米価については弾力的に考えるというお話がございまして、現在もそういうお考えのようであります。それから、消費者米価につきましては、けさほども、いま先生の御質問と同じような御質問がございましたが、生産者米価を弾力的に考えるといっても、まだ政府全体としては何もきまったわけではないし、財政の問題もあるし、また閣議という問題もあるので、農林省だけできめるわけにはいかないし、もちろん赤城大臣のお考えだけというわけにもいかないのだということを、けさるる御説明になったわけでございます。  御承知のように、生産者米価をかりに一%上げますれば百億をこえる金がかかるわけであります。そういうようなもとで、現在の食管には、御承知のように本年御承認いただきました予算に九十五億の調整資金というのがございます。これだけが余裕財源といえば余裕財源ということでございまして、残余は何らかのそこに、食管に対する財源措置というものが当然伴わなければ、生産者米価の引き上げというものもそう容易にはできないという問題が事実上あるわけでございまして、これは国も、いろいろな形のまた余裕のものがないとは限りませんが、まだ財政当局とも、そういう話が具体的に進んでおるわけでもございません。また、米価に関しましても、これは一応算定方式というものをつくりまして、生産費調査の数字もまだ出ておりませんが、これを見た上で計算をすることになりますので、そのほうの具体的数字もはっきりとしておらない。消費者米価につきましても、そういうふうな財政状況なりのもとで、これを全然上げないということをいま即断するというわけにもいかない事情にあるんだ。ただし、大臣としても、私どもとしても、消費者をお預かりしているという立場からいえば、これは上げたくないという気持ちは十分持っておりますし、大臣もその気持ちは持っておるんだ。ただ、全体的な情勢として、それがそのとおりできるか、きまるかという点についてはいろいろ問題があるので、これはいずれ米価審議会のときまでに、具体的数字について内閣全体として詰め寄せをしてまいりたいということでございます。けさほど大臣がお答えになりましたのも、そういう事情をお答えになったわけでございます。  前の記録云々ということでございますが、新聞には、大臣もけさほどおっしゃいましたけれども、多少大臣の真意とは違ったような書き方をされた面もあるがとおっしゃいましたが、国会での大臣の御答弁に関しましても、大臣の気持ちとしてそういうことだけれども、内閣全体としてはこれまた別の観点のいろいろ問題もありますし、いずれ米価審議会の時期に結論を出すということで、できるだけの努力はしてまいる、かようなわけでございます。
  150. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ行政サイドで慎重な表現で御答弁いただいて、これは何を私のお尋ねについてお答えいただいたかということについて、ちょっと理解しにくいような解釈に落ちつくわけであります。なかなかむずかしい問題でございましょうが、何といいますか、赤城農林大臣は、やはり農政通であり、権威者で、われわれはその意味では、高い政治的な評価と、それから個人的人格にも尊敬いたしておる共通性を存するというふうにあれしておるわけですが、その赤城さんが、そういうふうに短い時間で発想転換、こういうことで、赤城さんでももうなかなか、官僚の皆さんに足を引っぱられて、そうして発想転換しなくちゃならないのでないかというような感を、私は私見としては持つわけでありますが、何といっても、こういうことになりますと、もう何もかも、これは日本の経済ももうパンクでありまして、それから、国民の政治についての不平と不満と怒りの絶頂に達するというふうに、私は憂えるものでございます。特に、消費者米価というものの影響の甚大性というものにつきましては、御案内のとおりでありますから、特にひとつ農林省でがんばるということで、経済企画庁にもそれに迫力をかける、あるいは閣僚協議会においても迫力をかけて、これはかなわぬなというくらいのことに向かってひとつ、いまの大相撲でありませんけれども、勝負を展開していただいて、消費者米価については値上げをしない、こういう方向に最大の御努力をお願い申し上げるということで、これは一問で終わることにいたします。ありがとうございました。けっこうでございます。  運輸省の自動車局のほうで御足労をわずらわしまして……。  これはむずかしい問題ではございませんが、一点だけでございますが、非常に御説明をいただかなくちゃならないような内容であろうかと思います。  お尋ね申し上げます点は、バス運賃制度の問題及びバス運賃、料金の値上げの問題、この二つが加わっておると承知をいたします。運輸省では、去る四月の二十一日に新しいバス運賃制度を発表されました。これによりますと、赤字を推定される年度内から値上げを認められるということになるということでございます。公共料金であるバス運賃が、企業主体、経営主体の値上げ含みの行政指導で今後決定されることに相なるというように、これは理解をいたします。もしそうだといたしますと、この制度はあまりにも企業本位でございまして、バス公共料金の原則を無視した一つの制度上の問題ではなかろうか、こういうふうに理解をいたすのであります。したがいまして、この制度上の問題につきましては、二年サイクルで実質的に値上げが固定化される、こういう一つのシステムで進められていくということになりますと、企業は常に値上げの一つの方向を前提として経営を行なってまいることになりましょう。公共企業の完全な営利企業化の一つの危険性というものの要因をはらんでまいるのではないかということを危惧いたすのでありますが、もちろんこの中には七大都市を除くということは、新聞では伺っております。  もう一点、過疎路線には割り増し運賃もということで、同時にそういう方式をおきめになったやにお伺いをいたすのでありますが、この間の内容的説明、そして私どもの得心のいくような合理的な御答弁をいただきたい、かように思います。
  151. 小林正興

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、新しくバスの運賃制度を、制度として改正いたしたわけでございます。その骨子は、ただいま御質疑がございましたが、二年で運賃を値上げしていく。何か積極的に運賃改定をむしろ助長するんじゃないかというように受け取られやすいわけでございますが、今回の制度改正は、決してそういうことではないわけでございます。  簡単に申し上げますと、従来は、赤字が実績としてはっきりいたしまして、その後これは改定が必要だというようなことを認定いたしまして、作業をいたしまして、新しい賃率をきめておったわけでございます。こういうふうにいたしますと、改定の時期そのものは確かにおくれるというような意味で、運賃値上げがしばしば行なわれなくなるというようなメリットはございますが、従来の方式ですと、一つの非常に問題な点は、各企業が経営改善、合理化の努力というようなことをいたさなくなりつつあるわけでございます。つまり赤字が出なければ改定してもらえないというようなことで、むしろ放漫な経営に堕していくというようなことがあるわけでございます。これが一般の競争体制下にある企業でございましたら、そういったことはないわけでございます。タクシーとかあるいは貸し切りバスとかいうような、一定の地域でそれぞれ経営の努力をいたしまして、そして与えられた運賃でできるだけ能率的な経営をやろうというような業種でしたら、そういった問題は起こらないわけでございますが、先生御案内のように、路線バスというようなものは、それぞれの地域におきまして競争体制がとられていない。したがって、赤字になれば改定してもらえるというようなことですと、なかなか経営改善の努力がされないという点が一つあるわけでございます。もう一つは、なるほど改定の時期はそういったことで、もう少し待てというような観点から極力押えることは可能であるわけでございますが、その結果はむしろ非常に高い値上げ率になってしまっているというのが現状であるわけでございます。  したがいまして、現在のように、バス企業は年々約七割を占める人件費というようなもののコストアップがございます。その他経費もやはり若干のコストアップがあるわけでございますが、そういった状況下におきましては、むしろはっきりと改定のルールというようなものを定めまして、いわゆるローテーションシステムといいますか、二年ごとに運賃を見直す、こういうような制度をはっきりとって、その運賃改定の作業と関連いたしまして、経営改善、合理化の計画というようなものをあわせて見てまいりたい。こういうことによって、むしろ結果的には運賃の値上がりを少しでも低位に押えることができるのではないかというような趣旨でございます。したがって、二年ごとに改定するといっても、これは決して、必ず改定するということではございません。あるいは、改定する必要がないのに改定するということはないわけでございまして、従来のように、赤字になってしばらくたってそれから改定するということでなくて、赤字が見通せるというような段階で改定作業に入る、こういうことでございます。  それから二番目の問題、過疎路線のほうにつきまして割り増し制度を考えるということですが、過疎バスの問題につきましては、私どもといたしまして、運賃で過疎バスを何とか維持するというようなことは、需要が非常に減ってきておりますので、これは無理であるというような基本的な認識に立っております。したがいまして、今年度から過疎バスの維持対策といたしまして、非常に乗客の密度が低い路線というようなものに限りまして、国及び地方公共団体の助成というようなものを大幅にふやすことにいたしたわけでございます。  それで、その際にやはり国及び地方公共団体が財政援助をいたすわけでございますが、それにはやはり一定の条件といいますか、一定の線がなくてはならない。そういう際に、地元においてたとえば乗客を確保するというようなことも一つの方法であろう。あるいは地元の市町村において何らかの形で援助できる、これはたとえばバスの停留所の施設の面とかあるいは車両の面とかいろいろあろうかと思いますが、そういった面で援助できるというようなことも考えられましょうし、また、そういった財政援助というものはなかなかできない市町村もあろうかと思います。むしろ若干の運賃を上げることによって、そして地元としては財政負担にかえるというような問題もあろうかと思いますが、そういった何らかの形でもって、地元の市町村が現在考えております方式は、経費の三分の二のところまでは地元において何らかの形で収入を確保する、残りの三分の一につきまして国と都道府県とで半分ずつ、つまり六分の一の補助をしたい、こういうようなことによりまして、企業といたしましては、これはもう経費収入とんとんのところまでの補助、そうなるわけでございます。その前提条件として、市町村の何らかの形での援助というものの一環といたしまして、たとえば運賃割り増しの方策をとりたいというような市町村の考え方がある場合には、その補助とのからみでもって、三分の二のところまでの運賃割り増しということも考えられる、こういうような意味でございます。
  152. 栗山礼行

    ○栗山委員 なかなか巧妙な御答弁をいただいて、恐縮をするわけでありますけれども、どうも私は、多くの時間がございませんから討論をいたすわけにはまいりません。  第一点の問題は、赤字予想ということによって二年ごとに料金を上げていくという一つの原則的なシステムをお定めになったということは、いなめない事実である。私は現状の制度と新しいシステムの相違点を申し上げますと、結局従来は、赤字の決算が出る、そしてその事実に基づいて申請する、許可はそれに対する対応策として値上げを認めるというようなことで、三年目に値段が上がってまいったということが実情であろうかと思うのです。その点が二年で、しかも赤字予想という前提のもとに一つの値段を上げてまいるということが、経営の健全化の方向から問題点があるのでないかというのが私のお尋ね申し上げる私の見解でございます。御答弁を再度求めるということはいたしませんが、やはり制度上の一つの欠陥がそういうところに存するということを強く指摘をしたい。私は、適正価格という一つの条件が望ましいと考えております。適正料金の値上げということなら、必ずしもすべて反対だということを申し上げるものではございませんけれども、ものには筋と、それからそういうプロセスとがございますので、この制度はあまり飛躍して、結局温床的企業の方向をもたらしたという、私はあなたの説明と逆な結果に推移するのじゃないかということを非常に杞憂する一人でございまして、御参考に御検討をいただきたい。  過疎の問題につきましては、これまた逆なんですね。過疎とか過密というものは、いまの時代が生んだ悲劇の要因であります。不健全な一つの容体が過密になり過疎になっておる。しかも過疎地域というものについて、一つの経済的な基盤及びその生活の実態というものが現代から取り残されたみなしごという方向に進んでおることは、大なり小なり、いなめないことも事実である。もしそうだといたしますなれば、地方自治体に負担をせしめるほど自治体の能力は、企業も財政基盤も鈍化の状態で困窮しておる。そこに負担を求めるというところに、私は国の政治の主客転倒があるということ。それから、そういうふうに補助するために一つの呼び水として利用者負担、受益者負担という手段で、過疎対策の料金問題というものに制定してきたのだという事柄についても、私はどうも理論的にあるいは実際的に、お説まいりましたと言って降参するような御答弁でなかったということだけ強く指摘をいたしまして、私は、この問題はこれで終わってまいりたいと考えます。  次に、通産省のほうからお伺いをいたしてまいりたいと考えます。  問題は、四月十五日に認可されましたエチレンの不況カルテルの問題でございます。公取は、公取の立場においてこの問題の不況カルテルを認可された、こういうふうに承知をいたすのでありますが、大体私の理解いたします点によりますと、石油化学企業の設備競争の結果、こういう今日的な不況カルテルというような方向の場面でひとつ進めてまいろうという内容に立ち至ったのでないか。間々、不況カルテルの場合におきましては、いろいろそういうふうな本質上の問題がございます。裏を返せば、生産減をいたしまして、そして価格を上げてまいるということが不況カルテルの本質だ、こういうふうなとらえ方もまた一面持てるのでありますが、エチレンの場合におきまして、何か生産過剰が五十年まで解消しないということが一部の人にいわれておるのでありますが、これを行政当局としてどのようにお考えになっていらっしゃるか。  それから、申請は六カ月でございますから、この十二月末までに、カルテルの認可の期限内にこの業界の再建策というものが立つような業界情勢であり、かつそういう適正な指導をされておるかどうか、こういうことについてお尋ねを申し上げたい。
  153. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、石油化学につきましては非常なる過剰設備に相なっておりまして、この原因が各社の競争の結果相なったことは認めざるを得ないと思うわけでございますけれども先生お話しのとおり、カルテルは一種の緊急避難でございまして、このままで置いておきますと、病人でたとえますと死んでしまうというような状態になりましたときに、一時的に、独禁法に基づきまして緊急避難的なカルテルを認めていただく、こういうことであろうかと思います。  需要全体の見通しに狂いがあったのではないかという御質問につきましては、全くそのとおりでございまして、当時石油化学は非常に成長が高い業種でございまして、四十五年ごろまでは年率大体三割をこえるような成長を遂げておったわけでございます。官民ともにその当時の需要想定としましては、いまから考えますと非常に高い成長を想定いたしたわけでございます。今後の見通しといたしましては、すでに四十六年一〇%台に成長が落ちております。四十七年につきましては、これがまた半減くらい、四、五%の段階にいくのではないかという見通しが、いま非公式になされておるわけでございますけれども、こういう需要の減退を受けまして、今後石油化学業界の再建といいますか、どういう取り組み方をするかということにつきましては、われわれのほうとしては非常に重大な問題だと思いまして、実は来月の九日に、産業構造審議会の中の化学工業部会というものを四年ぶりで再開いたしまして、年末までいろいろ御審議を願いまして、今後の化学工業、特に石油化学工業の長期ビジョンといいますか、そういうものをやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  154. 栗山礼行

    ○栗山委員 これ以上追及いたしません。これはもうエチレンの問題の不況の要因というものも、無原則に設備投資、過剰投資、そうして過当競争、こういうような姿によって、落ちつくどころか、パンクする事態の責任を、緊急待避という姿によってこれをひっくるめて救済策をとろう、こういうところに一つの問題の本質がある。私も同様に考えておるわけでございまして、まことに日本の経済の悲劇の最たる要因だと考えております。  ただ、残念に思いますことは、こういうような緊急避難の処置をするというようなことは、もう非常、異例的な一つの条件だ。そういうようなことにならない前に、いかに自由経済でございましても、日本の産業構造やそれからそういう需給構造の問題をひとつ的確にとらえて、そうして業界みずからが自縄自縛におちいらないような行政指導というものがあってしかるべきだ。これはこれだけに限って申し上げるわけでございませんが、私は、大きな行政の政策転換をやっていただいて、そうして国民的経済の一つの落ち込みと、それから健全な発展の方向への行政のあり方というものを強く望む一人でありますが、その点についての局長の御所見はいかがでありますか。
  155. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 先ほど申し上げましたように、需要想定に非常に食い違いがございました。これは石油化学に限らない点は、先生の御指摘のとおりだと思います。今後こういうことを二度と繰り返すことは国民経済上の非常に大きなロスだと思いますので、御趣旨の意を体しまして、先ほど申し上げましたような産業構造審議会の場等を通じまして、二度とそういうことがないような正しいあり方というものについて真剣に検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
  156. 栗山礼行

    ○栗山委員 中小企業庁の次長に御参加をいただいて、どうもたいへんおそい時間まで恐縮でございます。私は、中小企業のカルテルの問題について、これまた所見だけを伺ってまいりたいと考えております。  現在、中小企業カルテルの数は七百七十六に相なっておるのではないか、非常に不十分な資料でございますが、もし数字上の差異がございましたらお教えをいただきたいと思うのであります。  それから、第二点の問題は、中小企業カルテルの場合には長期にわたるものが非常に多いわけでありますが、十年以上連続でこのカルテルの実施をいたしておるというのが、その数字の中で何業種あるか、何件あるかということが一つお伺いしたい問題であります。  それから、次の問題といたしましては、こういうような中小企業の安定と振興の政策的方向から見て、こういう長期的な中小企業の不況カルテルの存在それ自体を一体どのように認識、評価いたすべきかということについて御所見を承りたい、こういうことであります。
  157. 進淳

    ○進政府委員 カルテルの数でございますけれども中小企業の商工組合といたしましてカルテルを実施いたしておりますのは、現在のところでは五十五業種、五百九十六件でございまして、これは業種の数あるいは件数につきまして、たとえば繊維雑品、組みひも、広幅等を一業種とカウントします場合とか、これらを小分けいたしまして三業種と数えますとか、数え方によりまして数が変わってまいろうかと思います。それからまた件数につきましても、同じ業種でも国内における共同行為と輸出向けの場合とございまして、これらを別々に数えます場合でございますとか、一緒に合わせて一業種あるいは一件と数える場合によって違うと思いますけれども、当方で計算いたしておりますのは五十五業種、五百九十六件ということに相なっております。  それから二番目の御質問の、十年以上の業種の数でございますけれども、十年以上の業種につきましては現在二十六業種ございまして、組合数では二百十一に相なっております。  第三番目に、このような長期のカルテルの存在でございますけれども、実は私ども、カルテル全体の数といたしましては、現在まで毎年できるだけ減らしたいと存じまして、これは毎年、公正取引委員会の事務当局とも御相談いたしておりますけれども、できるだけ逐次減らしてまいっております。さらに、昨年の六月には新しい審査基準も設けまして、減らす努力をいたしておりますが、御指摘の十年以上長期のものにつきましては、それぞれいろいろ事情がございまして、二十六業種のうち、たとえば繊維関係だけでも二十ございます。これは御承知のような構造的な不況あるいは日米関係の問題等々いろいろございまして、現在までのところ、長期のものについて、業種としてあるいは業界としていろいろ苦心はいたしておりますが、なかなか遅々として進んでいないというのが実情でございます。しかし、私ども、決してそれでよいと思っているわけではございませんので、それぞれの業種組合ごとにできるだけ効果をあげるように指導してまいりたいとは存じております。
  158. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ御説明をいただきまして、たいへんけっこうでございます。いま私お伺いをいたしました問題の中で、十年以上の問題について業種別及び具体的企業の内容別等を検討して、そして漸次それの縮小の方向に進んでまいりたい、ただし構造上の欠陥に属する問題等については、たとえ十年でございましても不況カルテルの実施を継続して、企業の維持と振興の方策を生み出していこう、こういうのが中小企業庁としてのお考えだ、こういうふうに理解をさしていただきましてよろしゅうございますね。私自身は、とにかく一束からげというようなことで、どんぶり勘定でやられることを非常におそれるものでございますから、特に中小企業の不況カルテルの問題については、業種別それから内容別に検討を深めていただかなくちゃならぬということが私の中心の意思でございましたので、あえて次長の御見解をただしてまいった、こういうことでございます。  いま一つは、中小企業の置かれた条件というものが非常にきびしい状況に直面しているということでございまして、これも、不況カルテルによって一つの非難処置をやっているということだけでは中小企業の振興と安定的発展は望めないということも、原則的な基調でございます。特に近代化、構造改善及びいまの置かれた条件につきましては、いろいろ業種もございますけれども中小企業が総じて国際競争の対応力というものを持ってまいらなくちゃならぬ。国際的対応力のない業種についてはすみやかに転廃業をして、そして新たなる中小企業の進路を見出していくというような、いわゆる線を引いて区画整理をやっていかなくちゃ、中小企業問題というものはいつまでたちましても解決のつかない問題だ、こういうふうな見解を持っておるのでありますが、次長の御見解はいかがでございますか。
  159. 進淳

    ○進政府委員 御指摘のとおりでございまして、たとえば十年以上長期にわたっておりますカルテルにつきましては、二十六業種のうち二十は繊維でございますけれども先生十分御承知のように、繊維につきましては抜本的な構造改善の施策を繊維雑貨局で進めてまいっておりますので、これは将来は国際競争に耐え得る安定した規模、安定した企業というものの存続を目ざしている次第でございます。私どもといたしましては、業種ごとに毎年見直しをいたしておりますが、そういうような見地から、この業種につきまして、繊維については特別でございますが、それぞれ事業の内容等におきまして、御指摘のような将来安定した国際競争に耐え得る力をつけさせたいという方針で進めてまいりたいと存じます。
  160. 栗山礼行

    ○栗山委員 ありがとうございました。  あと三点、公取の事務局長に……。  いまお聞きのとおりでございまして、新聞で伝えられるところによりますと、公取が、中小企業のカルテル十年以上は制限すると独禁懇が結論を出した、こういうことでございますから、まず中小企業の行政をお進めになる中小企業庁のほうの御意見を伺ったということなんでありますが、こういうふうな内容についていろいろ載っておりまして、私もいろいろ説明しなくちゃなりませんけれども、要約いたしますが、中小企業カルテルについて公取はどのようにとらえていらっしゃるかということが一点でございます。  それから二点の問題について、これはお隣の武部委員が専門分野でございまして、私は大体孫弟子ぐらいに当たるのじゃないか、こういうふうに理解をいたしておりまして、あまり注訳をいたしません。ただ、依然といたしまして再販価格の維持契約制度の問題というものは、現下の非常に重要な問題として提起をされておる。この本委員会においてもしばしば論点を展開いたしておるということは、これは事実でございます。業種別におきましても、製薬であるとか化粧品であるとかあるいは石けんであるとか、いろいろな業種別の問題を列挙されまして、この問題の論議がされております。したがって、この再販制度の大きな矛盾を指摘されておるということにつきましては、もういまさらここで私が論ずるというようなものではなかろう、こう思うのでありますが、いつまでたってもこういう問題の論議を重ねてまいるというところに、公取の姿勢の問題も存するのではないか。人が足らないとか手が回らないとかいうようないろいろなことがございましょうけれども、やはり問題は速戦即決の即応体制をもって臨んでいただかなくちゃならぬということでございまして、結論として、この問題は、制度上の抜本的な一つ改正をやるという公取の決意が存するかどうかというような問題が一つであります。  いま一つは、問題になっております再販制度の規制強化のためのメーカーについては、弊害のあるものとして、その名を公表いたしてないということでございますが、私は公表に踏み切るべきじゃないか、こういう意見を持っておるのでありますけれども、この点はいかようなお考えをお持ちになるかということが二点でございます。これはついでに申し上げます。  それから、三点の問題につきましては、公取もすでに御承知のとおり、成田分譲地におきます目に余るインチキ広告をもう断じて許さぬということで、公取が規約全面改正に踏み切るというふうなこと、これは称賛に値する記事として載っておるわけであります。この中身については、成田国際空港の周辺に騒音その他の公害要因があるにもかかわらず、静かな森で、閑静なところでというような誇大広告をもって、そしてずいぶん被害者が続出いたしておる。こういうものについて、公取はすみやかに適正措置ができないのかどうかという事柄の三点をお尋ね申し上げたい。  はなはだことば足らざる質問でございますけれども、要約いたしまして三点のお答えをいただきたい。
  161. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 まず第一点の問題でございますが、中小企業カルテル、十年をこす長期のものがかなりある、こういう中小企業カルテルについて、公取の向かうべき今後の姿勢はどうかというようなお尋ねであったと思いますが、特別法によりまして独占禁止法の適用除外をされております中小企業カルテルの多くのものは、これは中小企業団体法によります安定カルテルでございまして、その目的としましては、中小企業者の経営の安定——不安定な事態を克服するために必要最小限度の範囲で認められるものでございますけれども、カルテルの存続が安易に流れ、漫然と延長するというような事態が起こりますと、かえって事業者の合理化あるいは近代化の意欲を阻害する、ひいては一般消費者及び関連事業者の利益にも悪影響を及ぼすおそれがございますので、公正取引委員会としましては、特に長期にわたります中小企業カルテルにつきましては、これはできるだけ早く打ち切るように主務官庁に要請をいたしまして、主務官庁もその線に沿って努力をしておるわけでございます。つきましては、昨年からは中小企業カルテルの審査基準というようなものを設定いたしまして、特に必要がある場合を除きましてカルテルがいたずらに長期化しないように、慎重に厳格に審査をしてまいっております。  それから第二点の、再販売価格維持契約の規制の問題でございますが、これを制度上の問題として抜本的に考え直すべきではないかという御意見でございます。再販の問題につきましては、昨年の四月十五日に一応再販の弊害規制という方針を打ち出しておりまして、その後品目の削除でありますとか、あるいは届け出規則の改正でございますとか、あるいはあまりにも過大なマージン、リベートの自粛を業界に対して要望いたしておりまして、業界のほうから、それは自粛をしてきておる部分もございますし、あるいは再販契約の品目を減らしてきているという事例もございます。ただ、これをいまの段階で再販廃止というふうな方向に持っていくということは、現在のところ公正取引委員会としては考えておりませんが、一応今回、いままでに調べてまいりました過大なマージン、リベートの実態でございますとか、そのほか業界の実態を公表いたしまして、これは個別に、あまりにも多過ぎるような、特に累進リベート等に問題がございますので、こういう問題については個々的に是正をしていこうという方針で、大体これから年末あるいはおそくとも年度末という間にはその作業を終わりたいというふうに考えておるわけでございます。過大なマージン、リベートと申しましても、一律に線を引いて、どの限界を越すと過大であるとかいうことは、これは業界の実態あるいは競争条件によりまして非常に無理が出てくるということでございまして、むしろ問題は、マージン自体よりもその累進リベートあるいは販売促進費、広告費、こういうものにあるんじゃないかと思われますので、そういう特に目に余る過大なものについては、個別に是正をしていこうという方向で再販の弊害というものは是正できるんじゃないかというふうに考えております。  それから、メーカーについて個々の名前を公表したらどうかというお話でございますが、これは企業の秘密にわたる事項は公表してはいけないという規定が独禁法にございますので、秘密にわたる事項を除いて、可能な限りは公表していきたいというふうにわれわれは考えております。ただ、各メーカーのリベート等につきましては、これは企業の秘密という面も多いかと思いますが、できるだけその実態を国民の前に明らかにしていくということで、秘密にわたるものを除いてはできるだけ公表してまいりたいというふうに考えております。  それから、最後に成田の分譲地の問題でございますが、これは確かに新聞に出ておりまして、公正取引委員会としましては、従来から重点施策の一つとして、虚偽、誇大な不動産の広告の取り締まりを行なってきております。御指摘の、毎日新聞に掲載されております成田の分譲地に関する記事のとおりに不動産業者が販売を行なっているとすれば、これは不当表示になると考えられますので、実態を至急調査いたしてみたいというふうに考えます。  それからなお、現在まで成田周辺の付近の地域におきまして、非常に不動産に関する誇大広告の事例がございましたので、昭和四十六年の一月から昭和四十七年の三月まで九件の、不当表示をしている事業者に対して排除命令を出しております。これは大体いずれも、千葉県印旛郡八街町で土地を売り出していた事業者でございます。本年度で申しますと、四十六年度では六件というものに対して現実に排除命令を出しておるということでございます。今後も、こういう成田空港中心の地域におきましてそういう事例がまだあるかと思いますが、そういうものに対してはこちらで積極的に調査をいたしまして、違反があれが法に従って措置をしてまいりたいと考えております。
  162. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうも長時間、ありがとうございました。
  163. 井岡大治

    井岡委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十分散会