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美濃委員 いや、私の趣旨も、経営
拡大の負債あるいは経営安定
計画書の全部がこれだと言ってはいない。あなたの言ったそれでいいわけですね。やはり基準反収を実際反収に合うように
制度として努力する、それならば私は話はわかるわけです。それはもちろん不幸にして災害が発生した場合に、この法律第一条の
目的でできるだけ高い補てんをする、掛け金ももちろん高くなるでしょう。損害保険というものは掛け金が安いだけではだめです。掛け金が安いからそれでいいというものじゃないわけです。いわゆる実際反収よりも基準反収が低ければ
被害率が出てこないわけですね。
被害率が出ないわけですから、すると共済
目的にならぬわけだ。掛け金の安いのはけっこうだけれ
ども。ですから、こういう損害保険の設定になると、掛け金の安いことだけが能じゃないわけです。負担が高くても、それに見合うきちっと安心できる
補てん措置があれば——高いのも
程度がありますけれ
ども、正当に高いのは私はやむを得ないと思うのですよ。国が掛け金の五割を補助してほんとうにきちっと——さっき言ったように、たとえば
ミカン山を二ヘクタール、三ヘクタール持って、六百万、七百万という収入を見込んで、そのかわり何千万という金を借りておるわけですから、現金支出も当然、そのくらいの
農家になってくると、五〇%じゃないわけです。経営が七〇%近い現金支出になっておるわけですから、そういう
農家が
被害にあった場合の
補てん措置なわけですから、国で掛け金五〇%を見て、そういう損失が正当に補てんできる
制度にきちっと——
制度はそうなっておるのですから、あとは基準ですから、
制度はこれでいいわけですから、法律の悪いところはないわけですね。
制度はこれでいいのですから、あなた方が算定する基準反収だとかそういうものの行政あるいは政令によってきちっとする。
制度の運用ですから、運用のよろしきを完全にするためには、やはり半分持つ。掛け金はある
程度高くなっても、そのことは私はやむを得ないと思うのだ。高くなっても、
制度としてはっきり農民が安心できて、いざというときの根拠になっておるものでなければならない。たとえば、過去において北海道の麦類の基準反収が低くて——道庁からもずっと四、五年の資料をもらってきました。きょうは
果樹保険ですから、その問題を蒸し返してここで追及しようとも思いませんけれ
ども、とにかく基準反収が問題にならないというその資料を持ってきました。ここに持っておりますけれ
ども、それをいまここで五年前、六年前のものを農林
大臣に追及してみても、早急に払えというわけにもいかぬですから……。しかし、そういうものだということを話しておきます。実際に農民の平年収量が三百キロに達しておる秋まき小麦が、基準反収は百二十キロ、百五十キロというのだ。基準反収が低いですから、それに麦の価格をかけて
被害率をかけた
共済掛け金は確かに安いです。保険金額も安いです。共済金がもらえないのですよ。かなりの凶作でも百二十キロくらいとれるのですから。私も麦作
農家ですが、全然かけっ放しです。共済金が払われるということはないわけだ。実際反収の半分くらいの基準反収で共済の運用が行なわれた場合、よほどのことがなければ共済の支払い対象になってきません。そのかわり掛け金は安いのですね、収量が低いと。ですから、過去平年の災害が出てきませんから、無災害になっていきますから、災害率が出ない。掛け金は安いのです。掛け金は安いのだが、その安い掛け金と
事務費が共済組合の運営経費にただ取られになってしまう。そういうものですよ。設計が悪いと、設計というよりも運用でしょう、運用が悪いとそうなるわけです。損害保険の掛け金というものは安いばかりがけっこうなことじゃないわけです。いざというときに役立つものであれば、ある
程度の負担はしてよろしいわけですね、損害保険というものは。その安心できる見合いがあれば、高いことはないとわぬわけですね。それは法外に高いことはいけないですけれ
ども、正当な負担というものはしなければならぬわけです。そういう点にまだまだ欠けておる面があると思います。しかし、それからかなりよくなってきております。今度の共済の保険設計にしても、これは
昭和二十三、四年当時の、終戦直後ですから、
統計資料も整ってなかったということもあったでしょう。しかし、そういう時代から見れば、もう皆さん方の保険設計技術も進んでおりますから、今度の
果樹共済の保険設計がそれほどだとは思っておりませんけれ
ども、いまでもそういう要素が中にあるわけですね。ずっとよくなってきてはおりますけれ
ども、どうしてもありますから、それをひとつ解消するように努力をしてもらいたい、こういうことであります。
それから、これは今回の
調査の中で見ましたが、米麦など穀物と
果樹類、それから、例をあげますと北海道のてん菜ですか、こういう
果樹、園芸作物になってきますと、どうしても穀物よりも個々の
農家の技術差というものが収量に出てきます。これがいまのところ穀物よりも高いわけです。それから畜産ですね。畜産、
果樹、園芸作物、これはいまのところ穀物よりも
農家の個人差というものは高いです。しかし、これは共済組合が基準収量を設定するにあたって、それを綿密にした個別の基準収量、その差をきちっと掌握した個々の
農家単位の基準収量というものは、これはなかなかめんどうだと思うのです。ある
程度村の中で、共済組合の中で差をつける場合もあるでしょうけれ
ども、ある
程度は統一基準収量でいかないと、その実情を完全把握したものなどということは、ちょっと事務的には不可能じゃないかと思うわけです。
そこで、無事戻しの問題を念を押しておきますが、個別に無事戻しをしますか。そうすると、たとえば甲という
農家は平均反収がある
果樹で五百キロだ、乙という
農家は、同じ
条件であっても技術差から四百五十キロあるいは四百二十キロだ。そうして災害がないとそれは問題になりませんけれ
ども、それに災害が加わると、同じ基準反収であった場合、乙の
農家がぐっと
被害率が高まるわけですね。災害が起きて評価に入ると、技術の低い
農家の
被害率が高まるわけです。いい
農家の
被害率は出てこないわけですね。これはもう必ずあります、去年の損害評価で。やはり米でも若干出てきます。ところが、申し上げておるように、穀物は少ないわけです。米なんかになりますと、同じ
条件のところの技術差というものは少ないのだが、
果樹、園芸作物、畜産にはまだまだ差がある。穀物のように技術の水準が平均化していない。こういうところがありますから、これを無事戻しというのは個別対象にやるのだということになれば、その損害は無事戻しで救済されるわけですね。無事戻しは個別対象にやるというたてまえで、きちっと共済組合にやるようになりますか、どうなりますか。