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田中(恒)
委員 この問題であまりこまかい
議論をするというわけにはいきませんが、やはりこれはたいへんな問題ですよ。特に
瀬戸内海等、あれだけ船が出入りしておるところで、網を張って魚をとっておりましたら、
——私なんかも小さいときは、四つ手網という網を持って小さな船に乗って一晩じゅうイワシをとったものですが、ちょっと大きな船が、商船が通っても、横波を受けてたいへんなものなんですよ。これが十万トン、二十万トンの大型タンカーがどんどん走り出して、網を
上げよと言ったって、目の前に来たときは速度が速いし、横っ腹に波を受けて転覆する、こういう現象が特に
瀬戸内海等におきましては次から次に私は起きると思うのです。だから、いま
お話しのように、大型船の規制等も当然考えられなければいけないと思いますが、とにかく全体として
沿岸漁業の問題が
日本の
漁業の問題として非常に行き詰まってきている。それを行き詰まらせる
状況というものは、
汚染の問題から始まって、こういう船舶の航行が非常に激しくなっていくと、
沿岸漁業をめぐる条件というのが非常にきびしいわけですね。そこで、零細な漁民は魚をとって生計を立てていかなければいけない、こういう問題があるわけであります。私はあとでいろいろまた御
質問いたしたいと思いますけれ
ども、沿岸のこういう
漁場や漁民に対して特別に強力な保護
処置をとらないと、時の流れで押し流されてしまって、
漁場もなければ漁民もつぶれる、こういう事態が進んでいったら、こういうことになっていきますよ。だから、こういう点を特に問題点として御指摘を申し
上げて、
水産庁当局が今後取り組む
一つの
方針としていただきたいと思うのです。
いま
一つ、原子力発電所の問題ですが、との問題も、私は、
水産庁のそれに対する対策が最もおくれておると思っておるのです。いわゆる原子力発電所というものが
漁業にどう影響を与えるかということが、実はいまこの原子力発電所の
建設をめぐって漁民が一番これについて不安を持っておるし、また反対をやっておる。その最大の理由は、やはり
漁業に対する影響が非常に大きい。
水産庁の見解というのは、必ずしも科学技術庁の見解と私は一致しないと見ているわけですけれ
ども、
水産庁として、一体、この原子力発電所というもの、特に温排水の問題をめぐって、
漁業にどういう影響を与えているかという調査
研究がさほど進んでいないように聞いておるのです、人間も何人おるか知らぬが。これは
現実の問題としては、非常に大きな問題ですけれ
ども、
日本のこれからのエネルギーの
方向がそうだということになってきておりますし、私のところも
一つ原子力発電所の問題をかかえていま弱っておりますけれ
ども、私は、この問題を蒸し返したら、
水産庁に文句を言わなければならないことはたくさんあるのです。いずれ機会を見て申し
上げなければいけぬと思っておりますが、この問題に関連の
漁業の指導から始まって、
関係漁民に対する行政的
措置はほとんどなされておりません。この原子力発電所が
漁業に対してどういう影響を与えているか、こういう問題については、これは
大臣、農業も
関係あるわけですよ。私なんかのところはミカンの地帯でありますから、ミカンに影響ありはせぬか、こういう心配をしておるわけであります。あるとかないとかということは別にして、やはり実証してやらなければいけぬと思うのですよ。こういう点を十分検討していただきたいということを、
漁業問題をめぐる一般問題として御指摘申し
上げておきたいと思うのです。
もう
一つ、せっかくあれですからお願いしておきますけれ
ども、
気象庁長官、ことしの四月から全国四十一カ所の地区測候所の予報業務が簡素化されて、いわゆる県庁所在地の気象台がやる、こういうことになったわけですけれ
ども、この問題でも、実は私も二、三の地区から陳情を受けているわけですけれ
ども、やはり漁民が最も心配をしておるわけです。気象予報は、おたくのほうは、出せないことはない、管区気象台で出したものを発表するんだとおっしゃっているのですけれ
ども、
現実にいままで測候所の予報というものを受けておった漁協やあるいは漁民が戸惑いをしておることは事実なんですね。私は、この問題について特に気象庁に申し
上げなければいけないのは、こういう公共的な
政府が行なっておる予報業務を簡素化していく
——なくしていくとわれわれは言っておるわけですけれ
ども、そういう場合には、これは国鉄の貨物駅を廃止するとか駅の集約化とかといったような場合でも同じでありますけれ
ども、やはり
関係地区の市町村とかあるいは漁協とか、こういう
関係団体にはあらかじめ連絡をして、こういうふうになるので、この点については今後こうなりますよというような、
事前の相談や了解というものをある
程度得た上でこういうことをやらないと、一方的にあなたのところの御都合で、私のところは宇和島ですが、宇和島の測候所で一人減らして予報業務をなくします、こういうことをやられたんじゃ、さっそくそのことが
関係地区の
——特に気象というのは、長官は一番御
承知ですけれ
ども、
日本の場合は局地的に気象の
変化が激しいのでありまして、一本づりで、正直言って命を的にして海へ行って、突風でも吹いたら命がなくなるという商売を漁民はやっておるのです。そういう人々にとっては、この測候所の予報というものは、当たるか当たらぬかは別として、頼みになっておったわけです。ところが、
現実に予報がなくなるということになる。しかも漁協も知らぬ、町村も知らぬ、こういう形でやるわけですよ。私は、あなたのところはいまからいろいろ人間を減らしていくという
方向にだんだん向いていくんじゃないかと思いますが、やはり国鉄だって、その他郵便局だって、いろいろ
政府の
関係した仕事をやっておるところは、少なくとも
関係地区の町村なり、あるいはおたくの場合には漁協であるとか、こういうところと相談をして、あらかじめ了解を得た上でやってもらわなければいけぬと思うのですが、この点、どうでしょうかね。