運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-13 第68回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 仮谷 忠男君 理事 熊谷 義雄君   理事 松野 幸泰君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 千葉 七郎君    理事 斎藤  実君 理事 合沢  栄君       江藤 隆美君    小沢 辰男君       鹿野 彦吉君    坂村 吉正君       白浜 仁吉君    田中 正巳君       中尾 栄一君    中垣 國男君       野原 正勝君    別川悠紀夫君       森下 元晴君    渡辺  肇君       田中 恒利君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    長谷部七郎君       松沢 俊昭君    相沢 武彦君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林省農地局長 三善 信二君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     中澤 茂一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出、  第六十五回国会閣法第一〇〇号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷部七郎君。
  3. 長谷部七郎

    長谷部委員 農林大臣に若干御質問を申し上げたいと思います。  第一点は、今回の土地改良法改正によりまして、いわゆる公共用地、非農用地を創設換地制度によりまして取り込むことができるようになりましたが、この点は一歩前進とわれわれは受けとめておりまするけれども、いま農村で一番問題なのは、大臣も御承知のとおり、生活基盤整備という事業が非常に立ちおくれておるのではないか。今日過疎化現象が進んでおる、農村あと継ぎが定着をしない、こういう原因一つには、農村生活基盤整備がきわめて立ちおくれておるということがあげられると思うのであります。都市におきましては、都市計画法というものがございまして、この法律に基づきまして積極的な生活環境整備がなされておる。それに比べまするならば、農村における生活基盤整備、こういうものはきわめて立ちおくれておるわけでありまして、私は今回の土地改良法改正でも一部分については取り上げられることはできるのじゃないかと思いますけれども、一歩進めて、都市計画法に対比すべき農村計画法というものを検討する必要があるのではないか、こういうぐあいに考えておりますが、大臣の御見解をひとつ承っておきたいのであります。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御指摘のように、農村等に対して全体的には都市化が進行しておるような傾向もありますから、その農村のよさといいますか、農業自然環境とか、農村生活というものがだんだん脅かされているというような、そういう傾向がございます。でございますので、ことしの予算等におきましても、農業政策をやっていく上において、一つの目的として、農業全体の、農村全体の環境というものをよくしていくという方向一つ方向として、政策として取り上げておるわけでございます。そういう意味におきまして、この土地改良などにおきましても、公共用地とか工場用地とか、こういうものが現在虫食い的に出ておりますので、そういうのを整理して、一定の地域にそういうところをまとめていく、こういうことによって農村地域を、農業地域を侵さないように整理していこう、こういうねらいが一つあるわけでございます。  しかし、全体といたしまして、いまのお話しのように、都市計画法に匹敵するような農業農村計画法というものをどうかという御意見でございますが、その方向は私も賛成でございます。しかし、直ちに立法するかどうかという問題につきましては、なお研究を要することでございますが、環境をよくする——下水道とかあるいは農業者の住宅とか、あるいは農業地帯を荒らされないというような形で農業がよくいくような環境をつくるということが大事なことだと思います。そういう方向政策はとっていくつもりでございますが、法律として立法化するかどうかということは、なお検討を要することでございます。いますぐにそういうところに着手するということではありませんが、御意見はよく私ども理解できるわけでございます。
  5. 長谷部七郎

    長谷部委員 さらにお尋ねをいたしたいと思いますことは、土地改良事業長期計画でございますけれども、これは先般の改正以来、農業を取り巻く諸情勢というものは著しく変化をしておる、したがいまして、それに対応した土地改良事業長期計画というものは当然今回の法改正に伴いまして提示されなければならない問題だと思うのです。先般の農地局長に対する質問に対しても、四十七年度一ぱいかかりまして土地改良事業長期計画というものを樹立する、そうして四十八年度の予算編成の面からその長期計画に基づいた予算化をはかってまいりたい、こういうような御答弁がございました。私は、それはそれでひとつなるべく早い機会にこの土地改良事業というものの長期計画を示すべきだ、こういう観点に立っているわけでありますが、これに関連いたしましてお尋ねをいたしたい点は、先般農林省は「農業生産地域指標」、こういうものを発表されておるのでございます。この「農業生産地域指標」によりますと、今後の農業生産のブロック的な、地域的なあり方というものがほぼ明らかにされておる。これとこの土地改良事業関係、これをどのようにお考えになっておられるか。この際、私から言わせますならば、この地域指標というものは出ましたけれども、具体的な政策裏打ちというものが何一つない。ですから、具体的な推進という面になりますと、ほとんど進んでおらない。ですから、価格政策の面におきましても、また土地基盤整備の面におきましても、地域指標を達成するための具体的な裏打ちというものがなければならないのではなかろうか、こういうぐあいに実は考えておるわけであります。そういう観点からいたしまして、この地域指標土地改良事業との関係をどのようにお考えになっておられるのか、この点をひとつお尋ねをいたしたい、こう思うわけであります。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 土地改良長期計画でございますが、御承知のように、米の生産調整、こういうような問題も起きておりますし、それが土地改良等につきましても、いろいろ土地改良に対する計画基盤といいますか、基礎が変わってきております。たとえば土地改良も、もう長年稲作といいますか、米作に力を入れておったのでありますが、畑作という方面に相当土地改良そのものも力を入れていかなければならぬということで、ここ数年やっておりますが、なお一そうそれに力を入れております。こういう点から考えましても、土地改良長期計画というものの改定を必要とする時期に来ておると思います。でございますので、新たな十年計画策定したい、こういうことで作業をいま進めておりますから、四十七年度中に皆さんの御審議をわずらわすようなことに相なると思います。  それにつきまして、この地域指標土地改良との関連はどうか、こういうことでございますが、地域指標につきましては、私どもも一そう進めていく。現在各県に具体化検討を依頼しておるわけでございますが、それが各県から各市町村というふうにおりてきておる段階でございます。これを基礎といたしまして、実は農業生産自給率というようなものも、これは重要な資料として考え直さなければならぬ。これは自由化傾向もあるし、国内の自給率というものの再検討もしてみなければならぬ、こういうことでございます。それにつきましては、どうしても土地改良なんかとの関連は非常に深くなるわけであります。たとえば畑作物というようなこと、果樹、園芸というような問題、そういうような問題につきましても、土地改良が、畑作との関係、そういう点から見ましても、地域指標とにらみ合わせるといいますか、そういうものを非常に取り入れた計画というものが当然できてこなければならぬと思います。そういう関連において、土地計画長期計画等におきましても、この地域指標等に基づいたものを相当組み入れて計画をつくっていく、こういう作業を進めていかなければならぬと思いますので、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  7. 長谷部七郎

    長谷部委員 ただいま大臣の御答弁によりますと、長期計画改定の時期に来ておるし、四十七年度中にこれの作業を進めたい、さらに、この計画策定にあたっては、先般来新聞等にも出ておりまするように、各農産物ごとのわが国の自給率というものをひとつ策定をする、その上に立って地域指標考慮に入れた計画にしよう、こういうお考えのようでございますが、その点は、私、ぜひひとつ——地域指標というものがせっかく出されましたけれども、その裏打ちというものがない。特に、私、強調したいことは、価格政策の面あるいは土地基盤整備の面、こういう面が伴わないと、せっかくつくられた農業生産地域分担も私は絵にかいたもちになっちゃうのじゃないか、こういうぐあいに思いますので、ぜひひとつ今回の長期計画策定にあたっては、これらの問題を十分考慮に入れた計画策定していくように要請をいたしたい、こういうふうに考えているわけであります。  なお、今回土地改良法改正によりまして——土地改良事業は非常に公共性が強いわけであります。したがって、基幹的な事業については県並びに市町村の議会の議決があれば、これが先行投資ができる、こういう方向になりました点は、これは評価されていい問題だと私は思うのであります。  ただ、この基幹的な事業、たとえば水利事業にしましても、かん排事業にいたしましても、国、県、市町村が先行的に仕事をやれる点はいいといたしまして、問題は、土地改良事業末端事業というものが完成して初めてその経済効果があらわれるわけであります。その場合に、基幹的事業が先行しまして、関係受益者不在の形で進められる点が出てくるのではないか、こういう懸念が、私、してならないわけであります。したがって、末端土地改良区の意見を十分尊重しながらこの事業を進めていく、こういうことだと思いまするけれども、私はこの点につきましては、どうかひとつ事業実施紛争等が起こらないように、そごが起こらないように、基幹的事業を進めるにあたっても、十分ひとつ末端受益者意向というものを織り込んだ中で事業を進めていく方向で運用していただきたい、こういうぐあいに考えておるわけでありますが、この点、大臣から御見解を承っておきたいのであります。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のように、土地改良も非常に広い地域にわたって施行する場合も多くなりました。あるいは国、県、こういうことでありますので、今回の改正におきまして、財政機関決議によって、市町村会等決議によって行なえるようなことにはしましたが、これは一つは、いまお話のように、土地改良というのは公共事業にも入っていますが、実質上土地というものを改良することは、これは公共的な問題でございます。でありますが、一面において土地は私有地でございます。私有権もありますから、私権もあるわけでございます。でございまするから、いかに公共的といっても、個人の意向というものを無視してやるということも、これは当を得ておりません。でございまするから、このたびの改正によりまして、市町村会議決等によりまして発足、施行を始めることができるようなことにしておりましても、やはりこれは末端団体営というようなことが最後にはついてきますから、そういうようなこともありますから、住民というか、末端の人々の意向というものも十分聞いたり尊重したりしてやっていくというようなことでなければ、これは円満に施行できないし、工事そのものもよくいかないと思います。そういう点におきまして、末端意向も十分聞いて、そうして仕事を進めるというようなことに、これは行政指導で十分やっていきたいと思います。
  9. 長谷部七郎

    長谷部委員 もう一つは、土地改良事業というものはきわめて公共性が強いことは言うまでもございません。他の公共的事業に対しては地方自治体、たとえば県あるいは市町村から財政的な援助が行なわれておる。しかるに、土地改良事業につきましては、従来から市町村、県の財政的負担が要請されておるにかかわらず、これが依然として行なわれておらない。特に地方交付税法の中にも土地改良事業に対する交付金裏づけというものはいまだに行なわれておらない。あるいは市町村の、県の土地改良事業に対する起債等につきましても、これもきわめてワクが不十分である。私はこれは農林省大蔵当局あるいは自治当局に対しておそらくいままでこの土地改良事業に対する財政的な援助措置について折衝が行なわれたものと思っておりまするけれども、その実現がいまだ見ておらない。これは農林省折衝の点に私はきわめて弱い面があるのではないか、こういうぐあいに考えざるを得ないのでありまするけれども、なぜ土地改良事業に対してだけは起債ワクあるいは市町村、県の財政的措置がなされないのか、また地方交付税法の中になぜ土地改良事業交付金裏づけがなされておらないのか、それはどこに原因があるのか、この点をひとつ大臣お尋ねをしておきたい、こう思うわけであります。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、また長谷部さんも御指摘のように、土地改良というものは非常に公益性があるわけであります。土地というものはほんとう公共のためにあるものであると私は根本的に考えております。でありますが、何としても土地私権があるといいますか、土地所有者というものがございますので、土地改良農業上の受益者主体というようなかっこうです。しかし、これは根本的には公共性公益性があるものと私は思っております。でございますが、そういうような実態でございますから、で建設省関係道路のように、受益者負担なし国あるいは県だけでやれるというわけに構成上できないのはやむを得ないと考えています。しかしいまのお話しのように、公共性公益性のある問題でございますから、ぜひこの補助率等につきましても多くしたい。ほんとうは理想的にいえば、国から補助を出すというわけじゃなくて、事業をしてそうしてあとから負担などを出す、こういうような形で国とか県とかで仕事をしたあとから受益者負担を少し出させるというようなかっこうがいいと私は思うのでございますが、そこまで行っていません。でございますから、補助率を多くするというようなことには十分考慮もしておりますし、補助率引き上げという点につきましても折衝しているわけであります。  特に最近、非常にあちらこちらで希望の多い大規模農道あるいは大規模排水施設、こういうものにつきましては、これは受益者要望というばかりでなく、市町村とかそういう団体要望も非常に多いのでございます。でございますので、こういうものについての市町村負担というあり方につきましては、私は十分検討しなければならないと思いますので、自治省等関係官庁とも十分相談しておるところでございますが、特に現時点において起債の点につきましては十分できるように進め相談もしております。  あり方といたしましては、地方団体等におきましても、こういう大規模農道とかあるいは排水施設、こういうのは建設関係のところなんかと同じような方向へ持っていきたい。これは農業道路でございますが、そういうふうな考えは持っていますが、いまのところ起債の点におきましては十分自治省と相談して、円滑にといいますか、十分できるような方向へ相談しておりますから、その方向へ進めたいと思います。
  11. 長谷部七郎

    長谷部委員 いま大臣指摘されたように、大型農免道あるいは広域市町村圏における大排水事業、こういうものは、単に農民受益ばかりじゃございません、各般にわたる関係者が全部恩恵を受けるわけであります。したがって、こういう公益的な道路あるいは排水事業等については市町村あるいは県費による財政援助を法的に裏づけをするということと同時に、地方交付税法改正して交付金の中にこれを算定する、こういう方向にひとつぜひ強力な折衝を願いたい、私はこう思うのです。  と同時に、起債ワク等についてはいまのところは全然ございません。したがいまして、この起債ワク措置をとっていただくと同時に、起債償還財源等については交付税でこれを裏打ちをする、こういうような方向で、ひとつぜひ前向きで検討していただきたい。  さらに、これに関連をいたしまして、農民負担軽減、こういう問題について実は私は申し上げたいのであります。いま土地改良事業は、国営事業によるものあるいは県営事業によるもの、さらには団体営によるもの、みんな受益者負担が違います。逆に申し上げるならば、国、県の補助率が違います。さらに、同じ基盤整備事業におきましても、農業構造改善事業によって施行されるものあるいは積寒法によって施行されるもの、こういう事業主体によりましてそれぞれ補助率が違うのであります。私は、同じたんぼを整備するにあたって国、県、団体営によってそれぞれ受益負担が違う、農民負担が違う、補助率も違う、これはきわめて不公平と言わなければならぬと思うのであります。したがって、この補助率の総体的な引き上げはもちろんでありますけれども事業種別によって格差のないように検討できないものであるかどうか、この点が一つであります。  それから、今日、大臣も御承知のとおり、生産調整昭和五十年まで行なわれる。私は末端土地改良区の理事長をやっておりますけれども、この生産調整によって賦課金の徴収にいまきわめて困難を伴っておる。それだけ農村経済農家経済が行き詰まっておる。ですから、私はぜひせめてこの生産調整を実施する間この償還延納を認めてもらうなりあるいはこの期間金利補給をやるなり、こういう措置をやってもらわなければならないのじゃないか、こういうぐあいに考えているのです。ですから、農民負担軽減の問題と生産調整実施期間中における償還特別措置について何か具体的な検討があるかどうか、ひとつこの点承っておきたい、こう思うわけであります。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 補助率の違いでございますが、国営県営団体営、それぞれ意味があるのは御承知のとおりあるわけでございます。たとえば国営広域にわたるから公益性が強いとか、また基幹的なものは広域的な共通性を持っている。こういう点でやはり公益性その他の関係から補助率が違っておると思います。しかし、負担の点から考えれば、負担するほうはどれも同じだ、荷がかかってくることは同じだということがございます。しかし、国営とか県営とか団体営とかの性格、性質によりまして補助率もそれぞれ違っておるのでございますが、できるだけ均衡がとれるようといいますか、調和がとれるような形に検討は進めていかなくちゃならぬと思います。  それから第二の、米の生産調整について、いろいろ情勢上から負担等についても検討する必要があるのではないか、こういう御意見でございますが、本年度におきまして、負担実態をよく調べる必要がある、こういうことで調査を実施するための予算もとっております。でございますので、この調査の結果によりまして農家負担軽減のための措置を前向きに検討していきたい、こういうふうに思っております。
  13. 長谷部七郎

    長谷部委員 まあ、生産調整実施期間中における償還金延納措置あるいは金利補給問題等については、いまの生産調整奨励金の中に水利費として計算済みだ、こういう説明でございますけれども、私はこれではきわめて不十分である、こう思っております。したがって、これは少なくとも土地改良は非常に苦労しておる問題でありますから、ひとつ何らかの特別措置を前向きに検討願いたい、こういうことを強く申し上げておきたい。  それから、時間がございませんので、最後にもう一つだけお尋ねをいたしますが、近年都市用水あるいは生活用水が非常に不足になってきておる。特に首都圏におきましては昭和六十年ですかには約三十一億トンの水不足である。阪神地方におきましても約十九億トンの都市用水生活用水不足になる。この不足な水を確保するために建設省等におきましては、すでに新聞等でも騒がれておりますように、農業用水転用という問題を強く考えておる。特にその中で、慣行水利権あるいは許可水利権というものを洗い直して農業用水にも使用料を徴収するなどという具体的な構想までが出されておる。これは明らかに大企業によって農業用水が奪われる、こういう事態になっていくものと私は思うのであります。そういう意味で、農民サイドから考えるならば、これはきわめて問題の多いところでございます。したがって、農林省としても、また大臣としても、この農業用水転用都市用水あるいは生活用水への転用という問題についてはよほどき然たる態度でやっていただかないと、ずるずると水を奪われる、こういう結果になりかねないことになると思うのであります。そういう意味で、私は、この際大臣から、この農業用水転用についてどういう態度を持っておるのか、慣行水利権あるいは許可水利権を守っていくためにどういう方策を考えておるのか、との点、ひとつ大臣から責任ある御答弁を承っておきたいところでございます。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御指摘のように、農業水利権というものは、これは慣行によってずいぶん長い間水利権というものを農業者は持っておるわけです。ですから、これは幕府時代から明治時代におきまして水利権の問題では血の雨を降らすくらいに水利権の争いがあったわけでございます。でございますが、いま御承知のように、いろいろ工業用等に水を使いたいというようなことで、その方向にも進んでおるのは事実でございます。事実でございますが、私は、そういう点で、空気や水というものは公共用といいますか、国の全体の考え方から使っていかなくちゃならぬという基本的な考え方からしまして、水もこれは国民全体のものだと思います。そういう意味で、水の有効利用といいますか、これを頭から拒否するわけでございませんが、しかし、先ほど申し上げましたように、農業水利権というものは、ことに慣行による水利権というものは一つ権利として認められておるわけでございますから、みだりに——みだりにといいますか、それを侵してほかに転用するということにつきましては、農業水利権というものの権利を保護していく立場にある私ども農林省といたしましては、それを強く主張していくという態度においては変わりないと思います。  ただ、いろいろ水の量等によりまして、ある程度転用してもいたし方ないというようなものもございます。大きな湖水の水とか、私のほうで言いますれば霞ヶ浦の水などというものにつきまして、いろいろ都市のほうに少し使いたいというような水利権の問題などがあります。しかし、基本は農業水利権といいますか、それを侵さない。それを一つきめて、その上に利用できるものは外へ利用するというような調整をしなければいかぬと思います。でありますので、慣行水利権とか農業を中心としてそれに必要な水、その権利を確保した上において他に転用するというようなことに話をつけていきたい、こう思います。  この問題につきましては、農業水利権研究会ども農林省におきまして調整の問題あるいは農業立場からの水利というようなものも十分いま研究しておりますが、私が先ほど申し上げましたような考え方に基づいて、農業水利というものあるいは水利権というものを守っていきたい、こういうふうに考えております。
  15. 藤田義光

    藤田委員長 長谷部君に申し上げますが、お約束の時間を十五分経過いたしました。
  16. 長谷部七郎

    長谷部委員 最後に申し上げておきますが、農地制度の改正、特に農地の転用基準の大幅緩和あるいは新都市計画法あるいは農村工業導入促進法、一連の法改正によりまして農業用地がどんどんいま奪われておる、取られておる。今度土地改良法改正でいよいよ農業用水についても手がつけられようとしておる。こういうことでどんどん農業の縮小、後退が余儀なくされる方向に進んでいるわけであります。少なくとも農林省は日本の農業を守る、食料供給産業である農業を守るという観点から、ずるずると土地が取られ、水が取られる、こういうような状態を許してはならぬと私は思うのであります。そういう意味で、もっとこの法律の運用にあたってはき然たる態度を明らかにしてやっていただきたい。このことを私は強く御要請申し上げまして、私の質問を終わります。
  17. 藤田義光

    藤田委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  18. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 土地改良法の一部を改正する法律案について農林大臣質問をいたしたい。  本法案については、去る四月四日、私も二時間にわたって農地局長なり農林政務次官に質問をいたしてまいったのであります。また一昨日四月十一日には、参考人を呼んで参考人の陳述をいただき、質疑を行なって諸問題を詰めて明らかにしてきたところでございます。本日は最高責任者である農林大臣の出席を得まして土地改良に対する質問をいたすことになったわけでございます。時間の制約がございますから、たくさんの問題について大臣の御所信を承りたいので、ひとつ大臣においては簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、今後農政を展開していく上で土地改良事業ないしは土地改良法の位置づけというものを農林大臣はどういうようにお考えであるか、そういうことを冒頭まず御見解を承って、質問に入りたいと思います。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 何としても、農業というものは土地主体として進められるものでございます。でございますので、一番重要なのは土地問題であり、また土地を改良していくということは、農業者にとりましても、日本の農業全体からいいましても、一番大事なことだと思います。でありますので、土地基盤整備というものは、農業における基盤といいますか、一番中枢的な問題だ、こういうふうに私は考えております。
  20. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、さっそく内容に入りますけれども国営県営団体営等を通じて一貫施行していただきたいという問題でございますけれども、当然これらの事業は総合事業として採用すべきじゃないか、こういうことを先般農政局長に私、質問いたしたわけであります。いままでの事業は、どちらかというと、面の事業でございます。一貫施行とは縦すなわち線の事業であるということが言えるわけでありますが、幹線水路は国営で、約十年内外かかる、支線は県営で四、五年もかかる、またその支線は団体営で二年くらいかかる。ゆえに着工から完工まで十五年ないし十七年もかかる。国営県営が終わってやっと団体営になる、こういうことが現状でございます。同時着工、一貫施行すると、いまの十五年ないし十七年のものが十年以内で完工する、こういうことになるわけでございます。そうすると、経営の面でもたいへんな利益を受けていくということになりますし、土地改良事業では、全体計画というものが当然わかっておりますので、どこをどういうふうに通っていくかということもすでに地元ではわかっているわけです。そういうことからいきますと、国、県、団体とも仕事を同時にやっても、すぐにつながるということになるわけです。先般も農地局長質問したんですが、愛知用水なんかも、結局これは大きい事業だったからそうであるとも言えますが、五年でできたという例があるし、そういったことは他にも当然できるということの実証である、私はこういうふうに思うわけです。当然これは法律上は問題はないわけでございまして、まさに運用上の問題である、かように思うわけです。  以上申し上げた理由によりまして、大臣にひとつこれは、一貫施行について面の総合ができたんであるから、線のほうもやる、こういうふうなことにしていただきたいと思うのですが、その所信を承りたい。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のような実態は、私もよく承知しています。たとえば国営県営団体営と、さように歩調を合わせていくというようなことにもなりますが、それぞれ重要性といいますか、また広い範囲ということがありますので、一緒にやるというようなことにもなかなかまいらぬ面が多いと思います。そういう面で国営県営団体営というように分かれてはおりますが、大体幹線の工期が長いことは少し長過ぎると思います。ですから、工期などはできるだけ短くしまして、そして最後団体営がすぐ着手できるようなことになれば、一貫性という方向へ相当近寄るといいますか、いくと思います。そういう意味におきまして、工期等を早める、こういうことによりまして完成のときを早める、こういうふうに進めたい、こういうふうに考えています。
  22. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から広範囲で一緒にやれる面があるとか、また一貫性に近寄っていく、工期を早めていくという決意があって、一歩、二歩前進したと思うのですけれども、工期が長くなると、当然物価の値上がり等によっていろいろと経費も増してくるし、効果が出てこない、薄れてくるということは当然の道理です。したがって、やれる範囲でやっていくということで進めるべきじゃないか、こういうふうにも思うのですが、その点もう一点、大臣、どうでしょうか。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その工事等の性質、性格にもよると思います。でございますので、そういう面をよく考えて指導していきたい。たとえば畑かんなどでは、一貫してやるという形になっております、そうしないと進みませんから。そういうような例もございますので、工事の仕様といいますか、そういうものに応じて御趣旨のような指導をしていきたい、こういうふうに思います。
  24. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一貫施行の問題については、いま大臣おっしゃったように、どうかそういう方向で、地元の要請も強いわけですから、今後さらに善処されるように強くお願いをしておきます。  次に、米の生産調整による稲作転換は、昭和四十七年でもう三年目、四十九年までで終わるわけですが、五十年以後は県営団体営等、水田を転用すると負担金が払えないというような理屈に一応なるわけです。それは今後の問題にかかってくるわけですが、稲転をしているときはまだよいけれども昭和五十年以後は負担金と借り入れ金の償還の二重の苦しみになるということが当然考えられるわけでございます。したがって、団体営政策的に免除すべきじゃないか、こういうことを要望しておりますし、さらには、政府は現在実態調査費をつけられて、たしか八百万ぐらいの経費で今年度から調査をされるやに聞いておりますが、免除できないとすれば、国が土地改良を進めてきたのであるがゆえに、それにかわる長期低利の資金を貸すなど対策を講じていかなければならない、こういうふうに思うわけです。この点について、大臣からひとつ明快にお答えをいただきたい。農地局長からも先般いろいろ質問して答弁いただきましたのですが、大臣からひとつ重ねてこの点御所信を承っておきたい、かように思うわけです。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、いまの御指摘のようなことになると思います。また、そういういま調査方向をとって予算を計上しております。実態調査を実施することが必要でありますので、いま御指摘のように、四十七年度予算案においてその経費を要求しておるわけでございますが、この調査、これはもうわかっておることでありますから、予算が成立しましたら早く進めて、そして所要の措置を早く手を打つ、こういうことが私どもとして一番大事なことだと思います。あまり長くなってくれば、いろいろいまお話のような支障といいますか、不利なことが出てきますから、早くこの実態調査をして措置をとっていくということにしていきたい、こう思います。
  26. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、急激な都市化の進展によりまして、家庭用水とか工業用水、または汚水、悪水が用水施設に入ってくるという問題が急増しておるわけでありますが、このことに対処しまして、農業用の用排水施設について用排分離の事業を積極的に推進すべきである、こういうふうに思うわけです。これに対しても、先般質問いたして、局長の答弁は得ておりますが、この点については大臣としてはどういうように将来お考えであるか、御所見を承りたい。
  27. 三善信二

    ○三善政府委員 大臣の御答弁の前に、私からちょっと答弁させていただきたいと思います。  用排水の分離の問題、先生御指摘のとおり、これはやはり私どもは一般的にいって進めてまいりたいと思っております。現在も相当推進はしております。ただ、地域実態に応じまして、水なんかが非常に少ないようなところにこういう分離の方向をやっていったほうがいいのかどうか、そういう点もあろうかと思いますので、その点は地域実態に応じてやっていかなければいかぬと思いますが、全般的にはこういう方向で現在も私ども進めておりますし、今後も一そうそういう方向で進めていきたい、こういうふうに考えております。
  28. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 土地改良事業で行なった施設について利用に関する権利関係を明確にして——道路など不特定多数の者が利用する場合がだんだん多くなってきたわけですが、そういう不特定多数の者が利用する場合は、事実上個人個人から負担金を取るということが今後なかなか困難である。本法の改正によって非農業者から負担金を取ることになってまいるわけですけれども、これらの維持管理費というものは市町村が出すことが至当である、かように私たちは思うわけです。この点についても、先般いろいろ論議したところでありますが、大臣、こういったことに対する見解をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 維持管理を一般的に市町村等にやらせるということは、これはちょっとむずかしゅうございますが、いまの公共的なもの、道路などは、これは管理をすれば道路が国有地になるわけですから、そうすれば道路については、国道とか県道とかあるいは市町村道とか、道路法にきまったところに組み入れられるわけです。でございますから、当然この維持管理費は、市町村道ならば市町村、府県道なら府県、あるいは国道なら国ということにならざるを得ない、なることが当然だと思います。でございますので、管理をしましたらばすぐ手続をとって、道路なら道路は国有地にする、あるいは府県道なら府県道に認定するという手続をとらせる、あるいは市町村道に認定する手続をとらせる。それで土地改良区としてはそれを換地処分みたいなときに国有地にしてしまう。そして市町村や県等によりまして、府県道あるいは町村道というふうに認定していく。当然そうなるのです。そうすれば、維持管理というのは、当然それらの団体が維持管理をするというふうになると思います。一般的な施設につきまして、なかなか市町村で全部持てというようなことは非常にむずかしいとは思いますが、できるだけそういう方向へ分担するといいますか、持たせるように、よく監督官庁等とも相談していきたいと思います。そういうような方向を進めたいと思います。
  30. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から答弁がありましたように、国道、県道、市町村道に編入していくということでございますけれども、それまでの間に問題があるわけでございまして、これだけ詰めておりましても時間の関係もございまするので、一応の方向だけきょう伺っておきますけれども、実際は、そういう認定をするまでの間に、かなり長期にわたってそういう負担金を払わねばならぬという問題が起きてくるわけでございますから、そういった問題についてもっと核心に触れた答弁をほしかったわけですけれども、今後また十分御検討をいただいて、こういった不特定多数の者が利用する場合の問題等は、農村ではしばしばあるわけでございますから、十分ひとつ地元農家に負担が重くかからぬように、そうでなくても生産調整でだんだん負担がかかってくるし、過疎現象が起きてきておるわけでございますので、よくそういったことを配慮してやらなければたいへんな問題になってくるということでございます。本法改正によっていろいろ負担金を取ることができるようになっておりますけれども、実際問題、事実現場に行って考えたときにはたいへんな問題になるということでございますので、問題提起をしておくわけでございます。  次には、維持管理費の助成について、これまた農林大臣に伺っておきたいわけでございますけれども土地改良区で特に大規模農道、ため池、ダムですね。大きいのは愛知用水から、小さいダムもございます。それから圃場整備事業の中の農道、または干拓堤防、すなわち潮受け等の問題もありますし、こういう問題と、さらに排水施設、防災施設等公共的施設を維持管理しているものについては、団体公共性にかんがみて、農民負担軽減をはかるために国の助成を行なうのが当然である、こういうふうに思うわけです。今後、土地改良もまだ百万ヘクタール改良していかなければならぬし、今後大いに土地改良のやり方が高まっていくわけでございますので、大臣も積極的にこれをひとつやっていただきたいと思うのですが、この維持管理費の助成について大臣の意思はどうであるか、御見解を承りたい。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、道路、いまのお話のため池等は、管理すれば国有地になるわけでございますから、その方面の管理はできると思いますが、お話のように、国有地とかに管理を移転するまでの間が問題だ、こういうことでございますが、この維持管理費の助成ということにつきましては、一般的にはむずかしい問題でありますが、土地改良区の性格などの制度の基本的な問題ともからむ大きな問題でございますので、いまどういう手を打つ、どういう方向でやるということは申し上げられませんが、今後の大きな問題として検討を進めるということにいたしたいと思います。管理が移れば、土地改良区の利用負担はしなくともいいわけですが、その間のことというような御指摘でございますが、これは基本的な問題として検討してまいりたい、こう考えます。
  32. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの問題で大臣にさらに一つお聞きしておきますけれども、新潟県なんかの土地のゼロメートル地帯とか、低いところの用水路等については、雨が降ったりまた災害があったりしますと、用水路に水がたまる、汚水、悪水がたまる。一例をあげると、九州においては、佐賀県のクリーク地帯等におきましては、ちょっとした雨でも全部汚水がたまってくる、こういうふうな現象があるわけです。それを一生懸命農家は自費でもってくみ出しておる、排水しておるということなんです。こういった問題は、当然公共的な性格も強く持ってくる。例は幾つもあるのですけれども、新潟県、九州の場合等の二つとりましたけれども、そういったことに対してかねがねわれわれも陳情を受け、当委員会でも調査をして、現地でもいろいろ強い要求を受けたわけでありますが、そういったことを思いますときに、今後そういったことに対してやはりあたたかい政治の手を伸ばしてやらなければいかぬ、かように思うのです。そういった面で、大臣、どういうふうにお考えですか。あまりのんきなことを言っておられないと思うのですけれども、御所見を承っておきたい。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま御指摘のようなことは災害的な問題だと思います。でございますので、土地改良区とか関係農民とか、そういう問題よりも、やはり市町村の問題とか、こういう問題に移さるべき問題だと思いますが、基本的な問題で、その辺の分担といいますか、責任といいますか、こういうことは非常にまだむずかしい問題もありますので、先ほど申し上げましたように、御指摘のようなことも頭に入れまして検討を進めさしてもらいたいと思います。
  34. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣は災害等ということでおっしゃいましたが、災害であればまた災害復旧とかいろんなやり方もあるのですけれども、普通災害とまではいかない雨量の雨なんか降りますと、そういうことが低地帯ではしばしば起きるわけです。特に佐賀県なんかのクリーク地帯、福岡県にも一部ありますけれども、そういったことがひんぱんに起きているわけです。そういった問題等についても、今後ますます農村開発が急激に進展してまいりますので、今回の法改正によりまして一部改正されますけれども、さらにこういった問題が重要になってまいりますと、遠からずまた改正しなければならぬ時期が来ると思うのですけれども、十分そういったことを踏まえまして、ひとつ確信ある答弁ができるような対策を立ててもらいたい、かように思うわけです。  次に、私、質問申し上げたいのは、先ほどから論議もされましたが、土地改良事業について、起債または交付金問題等について大臣に御所見を承っておきたいと思うのです。  申すまでもなく、農振地域市町村の申請等、新方式の創設に即して、今後土地改良事業市町村の役割りが高まっていくことはもう当然でございますし、義務づけられることになるわけでございます。しかし、市町村は何%負担金を持てという法律上の義務がないわけでございまして、土地改良事業もいよいよ総合化されてくるわけでございますから、今後市町村として、実際上財政的に乏しい財源の中から必要に迫られて一部現在でも自前で負担をしている市町村もあるわけでございますが、今後ますますこういった役割りが高まってきますと、その必要が多くなるのは当然で、財政事情がよければ一部負担もできましょうけれども、その必要があっても、財政に乏しい市町村はなかなか負担することができないというのが現状であることは、大臣もよく御承知だと思うのです。かりに市町村が一部持つにしても、自治省が認めない。一昨日の参考人も、そういったことで強い要請が陳述の中で述べられておりました。われわれもまた、地元でもそういったことをしばしば要望を受けておるわけです。それは市町村負担をする義務がないからであります。  そこで、さっき大臣は、公共性公益性があるので、補助率を多くすることについては考慮をしていきたい、引き上げ折衝もしている、大規模農道、排水等についても自治省関係省と折衝を進めておる、こういったことで、起債については十分今後考えていく、できるだけやっていきたいというような答弁がございましたが、自治省のほうと折衝をされて、交付金起債も両方認めてもらいたい、私はこういうふうに申し上げたい。そういったことで大臣は自信があるのか、実際自治省と交渉されて、いつごろそういった見通しがあるのか、その点、さっきの論議に加えてひとつさらに御答弁をいただきたいと思います。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のように、土地改良に対して市町村会議決を経るというようなことで介入するといいますか、責任を持つというような形になりますから、お話のように、市町村のほうに起債等について便宜をはかるというようなことは当然必要だと思いますが、上のほうの自治省というような監督官庁の問題もございますから、それにつきまして私も便宜をはかるように自治省当局とも相談を進めておるわけでございます。それでは、いつそれをいいということを言うかということは、いま相談中なので答弁する時期ではございませんが、話し合いを進めていきたいと思います。  それから交付税の問題でございますが、交付税の基準というものがございまして、たとえば道路などは、市町村道路の延長などが交付税の基準の中に、直接算定されませんが、そういうものが算定されるというようなことになっております。土地改良の結果をこの基準に入れるか入れないかというのは非常にむずかしいと思います。これは抵抗といいますか、理論的にもその他においてもむずかしいと思いますが、こういう点も、特別交付税なんというものがございまして、いろいろ市町村で費用を支出した場合に特別交付税というような形で出している面もございます。でございますので、市町村負担するというようなことになれば、そういう面の考慮もしてほしいと私は思います。こういう点はいろいろ自治省との折衝の結果によりますので、いまどういう結果にするとかなるとかいうことを申し上げる時点には来ておりませんが、これはよく折衝したり何かして検討してまいりたいと思います。
  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、ただいまの件については、重要な問題でありますので、ぜひひとつ、積極的に推進をはかっておられるようでありますが、さらに一そう積極的に推進をはかっていただきたい、かように強くお願いをしておきます。  次に、水利権の問題を私、少しお尋ねしておきますが、農業用水及び施設の他用途への転用を認めるにあたっては、農業を行なうための水利用に支障を生じてはならないし、農業水利の歴史的特性というものを考慮して、水利権、施設管理権等が不当に侵害されないようにすることは当然でありますが、このように農業者側の権益を守るために本法改正にあたって農林大臣はどう考えておられるか、御所見を承りたい。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは先ほども答弁申し上げましたが、農業に対する水利というものは単なる水利じゃなくて、慣行による水利権として、これは法律上も非常に強力に認められている権利でございます。でございますので、これをほかに転用する、利用するというようなことにつきましては、やはり農業水利というものが主体でございますので、その主体を十分守って、そしてまだ転用する余裕があるというような場合には、私は、転用もやむを得ないといいますか、認めることもあり得ると思いますが、土地改良区とか地元とよく協議をしまして、最大限権益を侵されないことにしながら転用をするというような方向へ持っていかなくてはならぬ、こういうように私は考えております。
  38. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣から、最大限権益を守るということの決意がありましたので、ぜひそうしてもらいたいと思います。  そこでもう一点、このことについて先般も質問したのでありますが、農林省は四十五年一月、専門家よりなる農業水利問題研究会を発足して、「都市化過程における農業水利」の中間報告で、用水路の管路化をいっておられます。現在の用水は、生産調整で一部水が余っていることは事実でありますけれども、減水があるから自然が保たれ、地下水となって地盤が安定することになっている、このように私は理解をしているわけであります。先ほども大臣はこのことに若干触れておられるようでありましたが、去る十一日の佐藤参考人の陳述の中に——私は速記録が手元にないので、聞いただけで十分筆記しておりませんが、東京農大の佐藤参考人はパイプラインは地域に適合した形で選択すべきで、すべてパイプ化することは疑問である、近代化は問題があるというような意味のことを、結論的に私の質問に対して答弁があったわけでございます。  このことについて、いわゆる工業関係用水の獲得のために、通産省、建設省等からもいろいろと、農業用水の過剰水を、いわゆる生産調整等でもずいぶん水が余ってきたんだということから、慣行水利権で長年歴史的に保ってきた水をどんどん取るような意味のことがなされ、先般もある新聞にそういったことが載りまして、あちこちでいろいろ物議をかもし出しておるわけですが、農林大臣はこのことにつきまして、将来をどういうふうにお考えであるか。もちろん現在この研究会においても中間報告で、いま調査を進めている段階であるというようなこともおっしゃっているようでありますが、大臣としては、このパイプラインの問題、いわゆる水路の管路化という問題について、基本的な考えはどうお持ちであるか、この機会に大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  39. 三善信二

    ○三善政府委員 水路のパイプ化の問題でございますが、私から答えさせていただきます。  この問題は、私どももその地域の実情、地形等から見て、あるいはパイプラインの経費、こういう問題から見て、地域に合う場合もあるし合わない場合もあるというふうに考えているわけです。  具体的に申し上げますと、一般的に漏水を防ぐとかあるいは土地改良の効率化になる、わざわざ水路を掘らなくていいというような問題もありますし、それから、汚濁水が流れ込まない、こういう利点はあろうかと思います。また反面、これは現段階ではわりあいに経費が高くつきます。そういうことをいろいろ加味しまして、これは地域実態に応じて、進めていく場合には進めていきたいと思います。ただ、農業用水の合理化と申しますか、そういう見地からは、この水路のパイプ化というのは、私どもとしては積極的に取り上げていったほうがいいというふうに考えております。  具体的な問題としては、いま申し上げましたようにいろいろな問題はありますけれども、一般的には、やはり地域の実情に応じて、もうちょっとコストが安くなればかなり普及もいたすと思いますが、そういう意味で、いろいろの問題はあっても、今後は一応進めていったほうがベターであろうかと現段階では考えております。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のように、工業において水というものは一番大事なものでございますので、工業用に水をほしがるということは非常にふえてくると思います。しかし、これに対しましては、水がほしいということならば、やはり農業用水の余ったものを転用するということであってしかるべきだと思いますし、また工業用に使うならば、その用水を持っていく費用は工業に必要とする者が出すべきものだと思います。そういう意味におきまして、水の配分の量ということからいえば、パイプラインで持っていけば水がむだにならぬ、また配分する水の量もはっきりきまる。でございますので、必要なる者が負担をしていくということであるならば、私はパイプラインというものも進めていいものと思います。しかし、これは全般的にいい悪いと言える問題ではなく、その地区の水の利用状況、こういうことを勘案しての結論でなくちゃならぬと思いますので、一般的にはちょっと申し上げられないと思います。
  41. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、換地技術者制度の創設の問題で若干お尋ねをいたしておきます。  圃場整備事業における換地処分等が、換地技術者の不足と事務の未熟等によりまして、著しく遅延しているのが現状でございます。ちなみに申し上げますと、昭和四十四年七月の調査によりますと技術者の総数が四千二百五十人であったのが、昭和四十六年三月の調査によれば、三十九県分で換地技術者強化対策による技術者選定結果によりますと、指導員が三百四十二人、経験三年以上の一級が八百四十一人、経験三年未満の二級が二千二百五十一人、特殊技術者が四百二十七人、計三千八百六十一人、四千人足らずとなっているわけです。  そこで、換地技術者の人員の確保について、年間三万ヘクタールくらいの区画整理をやっているわけでございまして、今後必要とするものは年間十万ヘクタールくらいあるというように私は思っておるわけですが、土地改良を今後とも推進するということであるとすれば、今後人員が不足するということはだれが考えても当然のことであります。なるべく少数精鋭ということも言えますが、やはりこういったことがたいへん問題になってくると思うのです。人員の適当な確保ということがやはり必要ではないかと思うのですが、これら人員の充足について大臣はどういうように御検討されておるか、承りたい。
  42. 三善信二

    ○三善政府委員 この換地技術者につきまして、ただいま御指摘のとおり、現在圃場整備で換地を必要とするような面積が七、八万町歩、それが近い将来は年間十万町歩くらいになろうかと思っております。そのためには、何を申しましても、ただいま述べられましたように、技術者の確保というのが必要になります。  その件につきまして、私どもは、第一に、いろいろ講習会、研修会というのをやりますし、また換地事務費の中でいろいろ助成等もやっておりますけれども、やはりその資質の向上と待遇の改善的なことをやっていくことが非常に必要ではないか。幸い今回の改正法をお認めいただければ、この換地技術者の国家試験等をやりまして、一定の資格を持った者ができていくということになれば、勢い彼らのプライドも出てくるでしょうし、またそういう人たちは事務能力も相当ある人が試験にパスするということになりますから、そういうことで、今回の改正によりましてそういう措置をやっていきたい。また、その措置をやると同時に、換地計画なんかをつくります場合に、そういう人たちの意見を聞くというようなことも当然制度的にやっていくわけでございます。  そういういろいろなことをやりまして、換地技術者の待遇をもう少し改善することが一つと、それから換地技術者の資質の向上をやることが第二点。そのために講習会、研修会、そういうことを現在やっておりますけれども、なお一そうそういうのを充実していく。そういうことで、将来の換地技術者の確保をはかり、あわせて換地の事務のおくれ、そういうものを取り戻していきたいというふうに考えております。
  43. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの換地でございますが、私は、土地改良をやっていて、新しく土地改良をやるのを渋るというのは、いまの換地事務が非常におくれている、それから登記がおくれている、こういうことで、そういうのを見ていると、近ごろどこでも土地改良をやるのにやりたくないと渋っている事実を、私もよく承知しております。でございますので、換地事務を早く進めること、それによって登記を早く進めること。初めは勢いよくやって、終わりになるとぐずぐずして、何年も何年もかかってきまりがつかぬ、こういう状況は私は好ましくないと思います。でありますから、いま農地局長が言うように、換地の技術者というのは足らないのです。県あたりから頼んでも、なかなか換地は、工事のほうは一生懸命指導しても、換地はめんどうくさがってやらなかったり、また人がおらぬ。ですから、連合会やその他にいるもので充足しているということでございますから、いま農地局長の言うように、資格あるいは待遇、それから増員、こういうものをやって換地を早くすることが、土地改良に対して、やる人が非常に土地改良をやってよかったというようなことになると思いますので、農地局長が申し上げたような方向で強力に進めていきたい、こう思います。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大臣からも重ねて答弁がありましたが、今回の本法改正によりまして新たに国家試験が設けられることになるわけで、身分が安定するわけでございます。権威と資格を持たせるということが当然大事でありまして、いまも大臣並びに局長から答弁がありましたように、やはり待遇改善をしてやるということが最も大事である。たとえば、五等級を四等級とか、六等級を五等級というようなことで、資格に見合うところの待遇改善をする。それから資質の向上をはかるための研修、また講習会をやるというようなことを当然やってもらいたいし、それに伴う旅費等の増額もはかっていただくというふうにしていただかなければならぬと思います。大臣からも、十分充足していくということで御答弁ございました。  さらに、大臣から答弁ありました登記の促進、これは今回あらためて申し上げておきますけれども、実際登記所にはいま二、三人しかいない。換地技術者等がいわゆる手伝って促進をしておるから五、六年くらいで済んでおりますけれども、もしそうでなかったら、十年以上もかかる。いわゆる登記が済まなければ土地改良も最終完結にはならぬ、何かしらん宙ぶらりんである、こういうふうにみんな思っているわけであります。こういった面で、どうしても人員の充足、それから登記の促進、早く土地改良が完結するように望みたいわけです。  大臣からも、初めは早く勢いよくやっているが、あとはぐずぐずしてけしからぬというようなことですが、全くその通りで、大臣がそう言ったのではどうしようもないのですけれども、どうかひとつ、十分御承知だと思いますので、やっていただきたい。四十七年度はどうなんですか、予算的に人員を充足して幾らか前向きの考えがあるのですか。その点、御答弁をいただきたい。
  45. 三善信二

    ○三善政府委員 御承知のように、試験をやりますと申しましても、すぐ一挙に全部資格が上がるというわけにもなかなかまいりませんし、私ども計画としましては、大体五年間くらいに二千人くらいこの試験にパスするようなかっこうで講習会、研修会等を充実してまいりたいというふうに考えております、具体的な話でございますけれども。  それから四十七年度の予算につきましては、従来からいろいろ講じておりますが、たとえて申しますと、こういうのは研修の問題では講習会、研修会ということで、連合会職員あるいは土地改良区の職員等の研修、講習をやっております。また中央研修と申しまして、県の職員、まあ指導員格の方、それから私ども農政局の職員なんかも研修をさせていくというようなことで、それぞれ四十七年度予算をこの研修会関係で千三百九十万でございますか、一千四百万程度要求をいたしております。  それから換地事務の促進のためには、これは圃場整備等の換地を必要とする事業事業費の中で一応見るようにしております。御承知と思いますが、大体こういった事務費的なものは事業費の三%くらいでございますけれども、そういうことで事業がだんだん拡充してまいっておりますので、こういう換地事務費等の増額も当然なされていくわけでございます。その他連合会や県の職員の方の換地事務に対する指導旅費、そういったものも予算的には相当組んでおります。いろいろなことを講じまして、私どもこの換地事務の促進のために今後とも一生懸命努力してまいりたいと思っております。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、最後に一点だけお伺いしますが、ただいまの問題については局長から四十七年度予算についての概略の説明がありましたけれども大臣もこれに対してはかなり強い姿勢で今後充足をして強化していくということで御発言がございましたから、ひとつ局長の今後の腕の見せどころ、こういうふうに見ておりますので、十分今後充足していくように、そして登記が早く促進されまして、最終完結が早くできるような態勢で進めていただきたい、かように思っておる次第でございます。強くお願いをいたしておきます。  最後大臣に、時間がずいぶん迫って参りましてわずかでございますので、かなりの問題が残っておりますけれども、最終的に若干お尋ねをして、結論的に御答弁をいただきたいと思います。  農村地域工業導入法が発足していよいよわれわれも期待しておるわけですが、さらに御存じのように工業再配置促進法案とか、同関係公団法案あるいは新都市基盤整備法案とかいろいろ法案が今後も考えられるし、さらに現在立法化されたものもあります。こういったことで今後農林大臣建設省、通産省、こういうものといろいろと折衝をされていくということになると思うのです。先般の質疑のときも、局長は、今回の土地改良法農村地域工業導入法との関係等から、また建設省や通産省からいろいろ提案されている法案等と対比して、農業サイドで見たならばまことに好ましくない、こういう答弁をしておりましたけれども、われわれもこういったことでたいへん不安に感じております。大臣が今後建設省、通産省等々と折衝される場合に、強い姿勢で対処していかなければ当たり負けするのではないか。こういったことでせっかく今度の法改正並びに今後の運用にあたっても問題を残すのじゃないか、かように思うわけです。したがって、農林大臣の今後のそういった他の法案等に関する、本法改正それから昨年五月審議しました農村地域工業導入法との関連において、どういうように今後対処していかれるお考えであるかということが一点。  さらに、今回の法改正で重要な法案が実は積み残されて本法の改正になっております。もちろんいずれ本法をさらに改正して詰めなければならぬという問題であることも当然でありますし、一歩前進ということから、われわれもこの法案に対しては、これを何とかひとつ通過させて、早く農村地域に見合った体制を整えていきたいというふうに思うのですが、土地改良施設の維持管理問題、土地改良区の運営問題、農業水利権等の重要な問題が残されておるわけです。こういったことについて、今後さらに本法改正等やっていかなければならぬし、さらには長期計画を立てていかなければならない、かように思うのです。そういったことについての大臣の今後の方針なり御決意を承って私の質問を終わります。
  47. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 工業導入と農業との関係を全般的に見ますと、農業においても特に第二種兼業農家がふえております。でありますから、出かせぎなどにつきましても、都会まで出かせぎしなくて、地方で農外収入を得られるような機会を与えられたならばなおいい、そういう面において私は工業導入というものも賛意を表しておるわけでございます。土地改良におきましても、現在農村地帯を見ますと、工場なども田んぼのまん中へあっちこっちできたり、非常に不規則的に入っている、工業導入がされておる、これは農業にとっては好ましくないことであります。でございますので、土地改良などにおきましても公共用地とか工場用地とかというものを一定のところにまとめてそういうものを指定する、スプロールを防止するというような意味において、今度の土地改良法は非常にそういう点で寄与すると思います。そういうことにすれば、下水の問題につきましても、農業用水等の問題につきましても非常に整理される、こういう点で私はいいと思いますので、工業導入、工場などが来る場合も、土地改良公共用地等になっているようなところ、こういうところにきめて入ってもらう。むやみやたらに入って農業を、農村を荒らされるというようなことは好ましくないのでございますから、あるいは建設省あるいは通産省等と十分工業導入等については協議してからやっていきたい。今度また法律を、新しく工場の分散など通産省で考えていますから、それにつきまして私が強く、農林省と協議をしてからこの法律案をつくらなければいけませんぞ、かってにやられちゃ困るということを言いましたので、通産大臣農林省の事務当局ともよく打ち合わせしますということをはっきり言ってます。閣議でもそういうことを私は言っておきました。そういうふうに調整をとって、農業ほんとう自然環境というものの保持者でございますから、農業が害されないように、自然環境というものを害されないように、土地改良の面からも十分協議していきたい、こういうふうに思っております。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  49. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 田中恒利君。
  50. 田中恒利

    田中(恒)委員 主として農林大臣に、保留をいたしておりました事項を二、三点お尋ねをいたします。  私ども土地改良法改正を審議いたしてまいったわけでありますが、やはり一番心配をいたしてまいったのは、土地改良法改正内容もさることながら、農業に対する自信や意欲を農民が失っておる、そういう状態の中でわざわざ負担金を出して——土地改良事業というものがいままでも困難であったが、今後さらにむずかしくなるのではないか、こういうことが各委員の質疑なり参考人の意見陣述の中に非常にたくさん出ておったと思うわけであります。したがって、この農業に対する農民の意欲をいかにふやしていくかということは、たいへん大きな問題でありますが、この際私は、農業基盤整備、いわゆる農地の拡大という問題について、政府当局は一体どうお考えになっておるのか。やはり本法の改正で宅地をつくったり工場用地をつくったり大きな道路をつくったり、こういう非農業施設、非農家、こういうものをからませながらやらなければいけないという事態もよくわかりますが、同時に、農業本来の土地をいかに農用地として拡大していくか、この積極的な路線に対して農林省は一体どうお考えになっておるか、やはりこの点は大臣から直接お聞きをしておきたいと思うわけであります。
  51. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農業に対する夢というか、希望というか、意欲を失っておるというようなことは私も感じておりますが、土地改良等関係から言いますと、土地改良が費用がかかって、土地改良に対しての魅力も失っているのじゃないかという面もございます。私は、土地改良そのものは農業に対する魅力を持たせることだと根本的には考えています。たとえば、土地がよくなって、区画整理されて、圃場整備できて、そうして機械も十分使えるようなことになれば、何か農業というものは奴隷の仕事みたいに考えることでなくて、近代的な農業もやれるのだ、労働力も非常に軽減される。その基盤をつくっている土地改良というものは、私はそういう意味において農業一つの近代性を持たせる、若い人たちも近代性を持たせるという意味におきまして、貢献すると私は考えています。そこで、既耕地ばかりの整備というように考えているのじゃないかと思いますが、私はそうでございません。団地制度、団地という構想を出してやっておりますことも、私は、既耕地の作目に従った団地的な経営ということも必要でございますが、やはり既耕地でない農業用地を団地的に造成していって、そこで団地的経営ができるような方向までも含めて、私は団地構想というのを出しておるわけでございます。実際、現在農地が虫食い的に荒らされている面もありますので、今度の土地改良法改正によってこの虫食い的なところを改めるという面もございます。新たにまた農地が、宅地、工場用地公共用地その他で相当減っておりますから、農業に適しているようなところはやはり団地的に開発していくということも必要である、また団地経営というものがそういうところにはよりよく行なえるのじゃないかという面もあると思います。でございますので、既耕地の整備だけではなく、農用地の造成というものも団地的な農業がやっていけるような方向を持っていただいて、そういうものについて造成をしていく、そういう面で土地改良長期計画などにもそういうものを含ましていったらいいじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  52. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま農林省の段階で、いわゆる既耕地じゃなくて農用地を拡大していくということについて何らかの具体的な検討なり、あるいは対策なり方針なりというものがありますか。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま具体的には持っておりません。それからまた、農用地拡大ということにつきましては、私は埋め立てということは少し控えたらいいと思っていますが、しかし、畑地農業といいますか、農業では畑作を進めていくという方針は非常に強く出していますから、そういう線に沿うた計画といいますか、方向検討しておるのは検討しております。
  54. 田中恒利

    田中(恒)委員 私が申し上げるまでもないわけですけれども土地改良法は、農用地の改良と開発と保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に行なう、これが目的でありまして、第二条で、農用地とは、ということで各項目があって、農用地の造成ということが相当大きく掲げられておるわけですね。いま大臣は、農業団地等で、既耕地だけではなくて、すそ野等を採草地をやりながら畜産なり豚なりの団地造成をやるのだ、こういうことでありましたけれども、現実にこの法案の中に織り込まれておる方向は、既耕農用地を宅地化していく、工場化していく、集会所の施設をつくっていく、道路をつくっていく、こういう形が実際問題としては中心になってくると私は思うのです。これは今日の農村をめぐる客観情勢というものがそういうふうにさしておるからそれに対応せざるを得ない、こういう側面はわかるわけです。しかし、同時に、日本の国土の中で、いわゆる農業に供せられる土地をどれだけ拡大していくかという基本線があるはずです。どうも最近の農林省土地改良に対する基本姿勢の中には、土地をいかに増大していくかという線は見られないと私は思う。ちょうど農民農業に対してあきらめを持って意欲を失うと同じように、農業の前提条件である土地を拡大をし、そして経営規模を拡大していくというきわめて単純な方式が、最近の農林省土地政策の中に見られない。だから、私どもがここで議論をする場合に、この法律を通していろいろなことをおっしゃっておるけれども土地がつぶされ、農業用水農業経営に支障を来たすような状態になるのではないか、こういう不安を持たざるを得ない原因もそこにあると私は思うのです。昭和三十六年には六百八万六千ヘクタールの農用地がありましたね。ちょうど農業基本法ができた年であります。六百八万六千ヘクタールの土地が、十年たった今日、昭和四十六年五百七十四万一千ヘクタールに減っております。ちょうど三十四万五千ヘクタール減っておる。一年間に三万四千五百ヘクタール毎年毎年農用地がつぶされてきておるわけです。これが今日の実態であります。この事態を受けて、しからば、農林省がいわゆる「農業生産地域指標」なるものを出して、将来の日本農業地域分担というものの青写真をいま描かれようとしておる。これを見ると、これは四十五年に発表されておりますが、農地面積は四十五年五百八十万ヘクタール、五十二年には五百五十八万ヘクタールになる、ちょうど七年間に二十二万ヘクタール減ることになっておるのですね。毎年の平均を計算すると三万一千ヘクタール土地が減るということになっておる。大体、昭和三十六年に農業基本法ができてから十年たった今日の経過とほぼ同じような状態で農地は減っていく、こういう想定でこの農業生産地域指標地域分担なるものをおきめになっておる。私は、この姿勢の中にも、いま大臣が言われた、土地を造成していくという基本的な政策路線が出てきてないと思うのです。この点を重ねて大臣のほうから御答弁をいただきたいし、一体どうするのか、この点についての具体的な方針をお伺いいたしたいと思うわけです。
  55. 三善信二

    ○三善政府委員 私からちょっと具体的な話を一応させていただきます。  土地改良事業で農用地の造成ということをやっておりますし、現に、今後の将来の問題として私ども調査をし、何とか事業に持ち込んでいきたいということでいまやっておりますのは、たとえば畜産の大規模開発ということで全国四地域、根室中部、北上・北岩手の地域、阿武隈・八溝地域、それから九州の阿蘇・久住地域、こういったところには、やはり需給関係等も見ながら需要の伸びているような畜産を伸ばしていきたい。ここで考えておりますのは、やはり相当広い面積の未墾地を開発し、そこに新しい模範的な経営をする酪農を造成したい、そのためには施設等も、現在より相当近代化した施設等を設置したい、こういう構想を持っていま進めております。根室のごときは四十七年度から実施設計を一部やるということでやっております。また干拓に対していろいろ御批判もございますけれども、現在も、従来調査が済んでいるところについては事業を実施して、農用地面積の増大をはかっております。ただ、経営等の問題で、一部、水田を畑に転用して、畑としてのモデル経営をつくっていくとか、そういうようなことをいろいろ考えてやっております。  それから、これは先生御承知と思いますけれども、農地保有合理化法人というのが発足して、現在、三十一か、できております。この農地保有合理化法人も、経営規模拡大のために、既墾地だけの問題ではなくて、やはり未墾地を買い入れて、未墾地を造成して農家に売るとか、あるいは未墾地と既墾地とを一緒にして経営規模拡大に資するとか、そういうようなことも考えているわけでございます。  そういうことで、土地改良長期計画を今年じゅうにつくるわけでございますけれども、当然、将来の農地需要のバランス等も考えながら農用地造成をどの程度やったらいいかということも、目下いろいろな角度から作業をいたしているというような段階でございます。具体的には、いま申し上げましたように、動き出して、農用地造成、経営規模拡大のためのそういう措置をいろいろやっているという例を申し上げたわけでございます。
  56. 田中恒利

    田中(恒)委員 私も、何かやっておることは承知しておるわけですよ。やっておることはやっておるのですけれども、やり方がみみっちい。土地が少なくなっていくやり方のほうがたくさんあって、土地をつくっていくやり方のほうが現実には立ちおくれているんですよ。大体、いままで土地が一番たくさんつぶされたのはやはり宅地ですね。これは住宅問題を控えておるのだから、宅地づくりもしなければいけないということもわかるわけです。その次に多いのはいわゆる工場用地ですね。これはおたくの農業白書だから間違いないと思うが、宅地が四三%ぐらいですか、工場用地が一八%、それから、ごく最近になって、農業がこういう状態になっておるから、山間部等においては木を植え出して——これはいま問題になっておる畑作振興地帯ですよ、水田の奥のほうの畑、いわゆる採算ベースのとれないところは植林をして、これが一七%ぐらいですか、これで七八%ぐらいですね。こういう形で急速に土地が非農用地として転用されておる。これはいろいろな状態があるから、私はこの流れがいけないとは言いませんけれども、しかし、同時に、そういう流れが出てくるならば、同じような速度でいわゆる土地造成というものに力を入れないと、私はいまの日本の——もう六百万町歩に減りましたけれども、この農地は決して多い農地とは言えない。自立農家というか、農業で食える百姓をつくるには、経営規模を拡大しなければやれぬわけですから、そのためにはやはり農用地造成というものは並行してなされなければいけない。現実に日本の地形の中でいわゆる山岳地帯が非常に多いといわれているのだけれども、国際的に見た場合には、わが国の農用地面積というのは全体の一八%くらいですか、確かに国際的には低いはずですね。イタリアや何か日本と同じような状態だといわれるけれども、このほうがまだ高いと思うのです。イギリスですら日本よりも国土面積の中で農用地に使っておる面積は多いはずですね。だから、日本の国土でむずかしい点があるのだろうけれども、私はやればやれると思うのです。問題は金が要って効果が少ないから断わるのだといえばそれまでですけれども、その辺の姿勢を明らかにしてもらわないと、土地改良法は、既存の土地に対する改良や保全やあるいは合理化、集団化をやらすということ、それだけじゃないので、やはり土地造成というところに一本の大きな柱があるわけなんで、この一本の柱がどうも最近——かつて学者なんかを動員して、日本の国土面積の中で一体農用地として使われるのは三百万町歩くらいやれるのじゃないか、二百万町歩やれるのじゃないか、こういう話を聞いたことがあるわけですけれども、こういうものがいつの間にか姿を消して、ともかくいまの時代の流れの中に対応する土地政策というものがとられようとするときに、このままでいったら日本の農地はだんだんなくなって、土地の側面でも農業をやれなくなっていく。これは毎年三万から四万ヘクタールくらい減るわけですから、二十年たったら百万町歩減るわけです。そうしたら農業をやれなくなるのですよ。その辺の歯どめをもうこの辺でばしっと立ててもらわないといけないと思うのですよ。この点を私は特に申し上げておったわけなので、具体的に土地改良長期計画の中に——それはいままでだって何千億かぶち込んで土地造成費というものは組んでおりますよ。農林省の項目を見ると、四番目か五番目、一番最後のほうに大体書いている。ああいう書き方も気に食わないといったらおかしいけれども、なぜ上のほうに、これほど重大な土地造成問題というものに取り組まないのか。この辺が私はちょっと片一方になっておると思いますので、土地改良長期計画の中にこの辺の点を今度しっかりと打ち立ててもらいたいと思いますし、同時に、いま御承知のように、土地問題は、単に昔のように農林省が中心でやった時代ではなくて、いわゆる新全総の問題、新経済社会発展計画の問題、いずれも今日の経済情勢の中で再検討しなければいけないということで、プランメーカーとしての企画庁や建設省でそれぞれ作業に入っているわけです。こういうものの中に、日本の農用地というものをどの程度位置づけるのかという農林省の明快な方針が出てこないとこれは押されますよ。そういう方面も考慮しながら、私は、土地造成というものについて、この際農林大臣にこの法律改正をめぐってはっきりとした方針を打ち出していただく必要がある、こういうふうに思って御質問しておるわけでございますので、重ねて農林大臣からこの問題についての御所信をお尋ねしておきたいと思うのです。
  57. 三善信二

    ○三善政府委員 大臣の御答弁の前にちょっともう一度私、補足させていただきたいと思います。  基本的にはこの農用地というのはどの程度要るかという問題、これはやはり需給関係、需給の見通し、そういうのから考えていくべきものではなかろうかということを考えております。土地改良長期計画をいま作業しておりますけれども、基本になりますのは、そういった需給の見通し等を相当こまかくはじきまして、その上から水田はどの程度、畑地はどの程度必要であるかというような計算を具体的にはしてまいっていくわけでございます。現在までもそういうことでやってきた。多少これまでのいろいろな計画と現実というのがそごを来たしているということは、これは事実でございます。  そこで、具体的に私どもも農用地の開発すべき可能な面積というのが一体どのくらいあるだろうかというようなことも、四十四年ですか、調査をしております。農地として開発可能な面積、あるいは草地として開発可能な面積ということも調べておりますが、開発をします場合に、いろいろなむずかしさというのもこれまたつきまとうわけでございまして、たとえば先ほど申し上げました大規模畜産基地をぜひつくりたいということで、阿蘇なんか非常に努力をしておりますけれども、入り会い権地帯でございまして、その入り会い権の解決が非常にむずかしいという問題も現実にあるわけでございます。そういうことで、可能地とも実に開発されていく地域というものは、これまた別の角度から考えていかなければならないかとも思いますが、いずれにしましても、つぶれるだけ農地をつくっていくというような、そういうバランスではなかなかまいらないだろうと思います。それは先生もおっしゃいますように、いろいろな情勢の変化があるわけでございますが、ただ、必要な農地、需給上その他から見て必要な農地というものはできるだけ確保するというような一つの目標を立てながら、土地改良長期計画についてもそういうことを目標に置いて、いま作業考えているわけでございます。蛇足になりましたかもしれませんが、一応補足させていただきます。
  58. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 基本的な私の構想を申し上げますならば、団地構造というものを出して、その予算もとってありますが、団地は既耕地、既農業におきましても団地的な経営に持っていきたいということがありますが、同時に、工業の方面におきましては、いま御指摘がありましたように、工業団地がある、あるいは住宅については住宅団地がある。そしてそういうものを造成しておる。こういう点から考えても、農業においてもやはり既耕地の経営を団地化する方向に持っていかなければならぬと同時に、新しく農業団地の経営をやっていくには、最も適当した方向は団地として農業用地を広げていくということも必要だというような考え方も含めておるわけであります。でありますので、畜産とか果樹とかそういう面におきまして、もっと団地とかあるいは草地として造成できる面も日本の国土にはあるはずであります。御指摘のように、世界的にいっても農業用地が多いわけではございません。もっと農業人口が少ないところでも日本より農地がもっと多いところもあるのは御指摘のとおりでございます。でございますので、農業人口が少し減ってきておるような状況でございますが、農地というものはふやしていっても差しつかえない、ことに団地的な経営をしていくというような点で、ふやすということは私は日本として進むべき道だ、こう思いますので、ことに草地のたぐいとか畜産とかあるいは果樹とか、こういう方向に持っていくという構想は、私は持っています。その幾ぶんを、先ほど農地局長が御説明したような畜産の団地というようなことも考えておるわけでありますが、そういうふうに私は基本的には考えておるわけでございますから、土地改良の十カ年計画等におきましても、そういうものを組み入れた計画というものをつくっていきたい、こう思っております。
  59. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、やはり土地改良長期計画なりその他の政府の長期計画の中で、できるだけ具体的にこの際農林省が日本の農地の必要なものを出して、そうして積極的に土地をこれ以上——つぶされるものはつぶされても新しくできるものはできて、総体としては現状を少なくとも維持する、あるいは拡大していく、そういう方向に向かっての政策をはっきり打ち出して、その方面に向かって努力をしなければいけないのじゃないか、こういう意見を強く持っておりますので、この機会に申し上げさせていただいたわけであります。  第二に、時間が参りましたのであれですけれども一つだけお尋ねをしておきますが、先ほど来お話がありました慣行水利権の問題でありますが、この問題も、土地と同じように、これからの日本農業にとってはいろいろな影響を与えてくると思います。先ほど来お話があったように、全国の利水調査の結果なんかを見ますと、昭和四十年から昭和六十年の二十年間に都市用水は全体として四倍以上の必要量になっていく、こういうことになるわけでありますので、水の需要はいずれにせよ急速に拡大をしてまいります。一面、農業用水慣行水利権という形で法的に位置づけられておりましたが、慣行水利権というのは法律的に一つ権利を与えられておるわけですけれども、具体的な内容や細目についてはないわけでありますので、単に慣行水利権があるということで、水問題が起きると、それぞれの地域で、端的に言えば、これは力関係のようなもので押したり押されたりしながら問題を解決していくという取り扱いが行なわれてきたと思うのです。ところが、これは正直に言いまして、従来あった水利調整組合といったようなものの機能も、この変貌の中で急速に機能を喪失し始めてきておる面もあります。一方、農民の分解も急速に出てきておるし、特に都市周辺においてはいわゆる非農業者のいろいろな用水要求が非常に強くなっていくということで、ざっと言えば農業側の力は急速に減退しておる、こういう状態だと思うのです。力関係で問題を解決していくということは、いいか悪いかという問題はありますけれども、ここらで慣行水利権をさらに細目的に明確にしていく何らかの判断基準が法的に整備されているのかどうか、この辺私ども専門家でありませんのでまだよくわかりませんけれども、何らかの形で農林省慣行水利権についての、いわゆる水質であるとか用水であるとか、そういうものについて全国的に把握をして、場合によれば法的に慣行水利権以外の特別な権限が付与できるのかできないのか。この辺の検討を始めてみなければいけない段階に来ておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点について最後に御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  60. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 田中さんも御承知のとおりでございますが、土地改良法ができる前、従前は水利組合法というのがありまして、土地改良をしたあと水利組合にこの権利義務を譲ってしまって、水利権なんというものもあったわけであります。ところが、これがなくなってしまった。でございますから、慣行水利権というのも具体的にどこにどうあるというんじゃなくて、争ったとき、判例なんかで慣行水利権というようなものが認められたりしているという実情は御指摘のとおりでございます。でございますが、先ほど申し上げましたように、水だとか空気だとかいうものは国民のものだ、ことに農業においては、農業水利というものは農民のものだ、こういう基本的な観念を持っていますが、しかし、これが具体的にどこにどういう権利があるかという権利につきましては、いろいろ問題がまだ確定してないと思います。で、水利権問題等につきましては、水の問題としてこれから相当検討——あるものはあるんだけれどもこれをどういうふうに位置づけたりなんかするかということはこれからの問題であろうと思いますので、いまどうこうということは申し上げられませんが、深く研究をしていきたい、また御意見等も承っていきたい、こう思います。
  61. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 質疑者に申し上げますが、約束の時間を経過しておりますので……。
  62. 田中恒利

    田中(恒)委員 たくさんありますけれども、私の質問は以上で終わりますが、土地改良の施行、これは事業が伴うので、事業の施行にあたって、大臣もいま言われましたが、大臣は団地化というところに焦点をしぼってと、こういうお話でありましたが、私もやはりこの政策の焦点はそこにしぼって、いろいろな土地改良事業を進めていただくように——きわめて散発的に、市町村なり県なり、あるいは政府を含めて、農道整備から始まって、いろいろな宅地造成、工場敷地等、多様な諸問題が出てくるので、それに引っぱり回されて、実際の農業の生産力をふやしていくという観点がそれほど効果がないという場合もしばしばあるようでございますので、そういう点に十分配慮しながら本法の運営に当たっていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  63. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 合沢栄君。
  64. 合沢栄

    ○合沢委員 土地改良法の一部を改正する法律案関連いたしまして、農林大臣に御質問をいたします。  今回の土地改良法の一部改正は、かねてから懸案のものでございましたし、一応前向きのものとして評価し、賛意を表するものでございますが、ただ、先ほど来も御質問があっておりますが、重要な水利権の問題あるいは施設の維持管理の問題あるいはまた団体土地改良区の運営に関する問題等、懸案の問題が残されておるということでございまして、この点非常に残念に思うわけでございます。特に水利権につきましては、先ほども話がございましたが、最近都市用水、工業用水等の需要が非常に旺盛で、近い将来には絶対量が不足するのではないかというようなことまでも心配されているというような情勢の中において、この水利権が今回の法律改正にあたって全然前進を見ていないということを非常に残念に思うわけなんです。先ほども答弁がございましたので答弁は要りませんが、ぜひひとつ水利権の問題について確たるものを出していただきたいということをまずお願いするわけでございます。  同時に、土地改良区の問題、これは実際はこれからやる土地改良仕事を担当する団体でございますが、現状のような土地改良区の情勢においては、仕事がやはり順調に進めなくなっていくということだと思う。土地改良区の強化というか、こういった面、さらにまた施設がだんだんふえてくる、また老朽化してくるといったような問題がございます。こういった土地改良の施設の管理運営、こういう問題について、近い将来にこれが対策というものを確立してもらいたいということを要望し、なおこれについての大臣の御所見を承っておきたいと思うわけでございます。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私の考えておることといまの御要望とは一致しておる次第でございますので、十分検討して御要望にこたえるような方向へ進めていきたい、こう思います。
  66. 合沢栄

    ○合沢委員 次に、土地改良事業についてですが、一昨日でしたか、参考人の方からも御意見があっておりましたが、やはり土地改良事業については何といっても農業の将来に希望を与えることだという意味の発言があっておりました。私も全く同感に思っておるわけでございます。特に最近の農業の状態は、専業農家がだんだん減っていく、そして兼業農家が非常にふえてきておるというような情勢、そういった中で、外国の農産物の圧力も加わってくるというような事情もございまして、農業の将来に対しての希望というものを失っているというような情勢であろうかと思うのでございます。いかに土地改良法改正をやりましても、農家の方が将来の農業に対して希望を持つということでなくては、土地改良等は順調に進まないと思うわけです。  まず、農家に農業の将来に対して希望を与えるということを大臣はどのような方法で考えておられるか、ひとつお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農業者に対して希望を与えるにはどうしたらいいかということは、非常にむずかしい問題だと思います。しかし、これは一つは国の政治の姿勢だと思います。農業というものを粗末にして、経済成長だけをして、工業方面あるいは外国との貿易方面、こんな方面だけに力を入れているという姿勢で農業あるいは農民をネグレクトするというか、そういうような姿勢の問題だと思います。そういう姿勢でやると、農民も希望を失うと思います。しかし、農民に希望を持たせるためには、価格政策もありましょうし、あるいはまた経営の面もありましょうし、これはいろいろたくさんな要素があると思います。また環境整備というような問題もあると思います。  しかし、土地改良だけに関連して申し上げますと、土地改良におきまして専業農家の農業が近代化される、そして生産性もあがる、生産性があがれば、価格の面におきましても、価格問題としての保証、支持政策と相まって相当恵まれる。こういうような面で、土地改良というものは全国的に全部やれるような形にしていくべきじゃないか、私はこういうふうに考えるわけでございます。  農業に対する希望といえば、第一はやはり国全体の政治の姿勢だと思います。農業農民というものがなくてならぬものであり、これに対して重大な関心を持ちながら農業農民の問題に力を入れているんだという姿勢の問題が一番大きな問題じゃないかと思います。いろいろこまかい点につきましては、私もなかなか申し上げるほどの頭をまだ持っておりませんが……。
  68. 合沢栄

    ○合沢委員 私も大臣のおっしゃるとおりに実は思っているんで、国、内閣の姿勢そのものが一番大事だというように考えるわけです。そういう点について、今日の内閣についてはどうも農家が信頼してない。大臣は、大臣就任にあたって、一番大事なことは農民の信頼をつなぐことだということをおっしゃったわけで、私も全く同感でございますが、今日の内閣の姿勢について、特に農業の姿勢については必ずしも信頼してないというふうに感じるわけです。  しかし、私たちは、赤城農林大臣は歴代のどの大臣よりも御信頼を申し上げておるわけなんです。それで、大臣の在任中にぜひこれだけはというようなことをこれから二、三お願い申し上げ、その姿勢をはっきりしていただきたいというように考えるわけです。  その第一が、やはり姿勢は予算裏づけというか、こういったものが必要だと思う。今回、土地改良法の一部の改正が行なわれます。前向きの改正と評価しておりますが、しかし、この中で非常に大事な問題は、何といってもこの仕事をやっていくに必要な補助率のかさ上げの問題なりあるいは融資条件の緩和の問題だと思う。日本の農業考えていった場合には、近代化、国際化が最も大事だ。そのためには土地改良事業と組む基盤整備事業が最も前に進まなければならないと思うのですが、それに必要な補助率やあるいは融資条件が従来と変わらないということでは、これは画竜点睛を欠くというように考えるわけです。そこで、ぜひ大臣の在任中に、この補助率の問題やあるいは融資条件の問題について目鼻をつけていただきたいということを御要請申し上げ、これに対する大臣考え方をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  69. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 口だけ言ったんじゃまずいんですけれども、私は、土地というものはほんとうは国有的存在だと思うのです。これはこれを耕作する人や使う人が時代によってかわったり所有者がかわっても、国全体としては国のものとして残っているものです。アメリカとの戦争に負けてもアメリカに持っていかれるわけでもない。そういう点から考えますと、土地改良というものは、これは国の財産として土地改良をしていく。だから、根本的に言えば、これはほんとうは国で全部やるのがいいんじゃないか。まあ、そういう考えを持っていますけれども、しかし、とにかく土地の所有権というのがございまして、土地を持っている人もございますので、国有地じゃありませんから、やはり自分の土地を改良するというような考え方を、政府でも、国でも持っておるわけでございます。私権の保護的な関係もございます。  そういう点から考えまして、土地所有者農民が費用を負担して、そして国がこれに補助するというようなたてまえに現在なっています。しかし、根本的には、私は前に私が申し上げるような考え方ですから、国の負担率というものを多くしていく、こういうことが筋であろうと思います。でございますから、私の任期中にできるかできないか、これは任期もあと少ないかもしれません、長ければいいんですけれども、あまり長くなさそうですから、できるかできないかわかりませんが、努力します。また、私でなくても、農林省を担当する者にはずっとそういうふうな方向で進めてもらうように強力に考えておるわけでございます。
  70. 合沢栄

    ○合沢委員 確かに土地は個人の土地であると同時に、国土なんです。土地改良事業というのは、生産性の高い国土をつくるということなんです。これは国民の財産といってもいいと思う。そういった面からいっても、私は当然こういった事業については補助率のかさ上げなり、融資条件等も少なくとも五十年くらいの長期で、しかも三分よりも高いのはいけない、三分未満の金利にするというくらいなことに何とかひとつ大臣の格段の——残り少ない期間か知りませんが、ひとつ最大の努力をお願いしておきたいということを申し上げるわけでございます。  それからもう一つお願いしたいのですが、たしか土地改良十カ年計画を準備されているということのようでございます。基本的な問題としてお聞きしたいのですが、この土地改良十カ年計画というのは、十カ年で全部のものをやるのか、あるいは一部やるのか、まずその辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  71. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げたように、私はほんとうは全国土を改良すべきものだという考えを持っていますが、具体的にはそんなわけにはいきません。具体的にはそんなわけにはいきませんし、これはまた経費との関係土地関係がございます。でございますので、これはいろいろ検討した結果、どれくらいのものとか、こういうおのずから限度というか限界が出てくると思いますが、この点につきましては、事務当局の者が検討していますから、御答弁申し上げさしていただきます。
  72. 三善信二

    ○三善政府委員 いま作業しております土地改良十カ年計画で、その十カ年の間で全部やるのかどうかという御質問だろうと思います。正直に申しまして、十カ年の期間にはやれない、まだまだ整備がいろんな点でおくれております。圃場条件の整備その他、土地改良をやるべき必要の面積というのも相当まだ残っておりますので、今度の十カ年間でそれを全部残りをやっちゃうというわけにはなかなかまいりませんで、ただ、全体をどの程度のテンポで、面積的にもどの程度を考えてやるかということ、こういう具体的な非常にこまかい作業になりますので、そういう点を目下一生懸命やっている最中でございます。
  73. 合沢栄

    ○合沢委員 私はこういった十カ年計画をつくるにあたっては、全体の計画の中でこの十カ年間にはこれだけやるんだというようなものでなければならぬだろうと思うわけなんです。ただ予算を組んで、この計画を組んで、漫然と十カ年金額なり改良する量を示すというようなものでは全く意味がない。だから、国土全体の田なり畑なりあるいは草地開拓その他含めまして、この程度のことを全体としてやっていくのだ、それにはこれだけの金が要る。しかし、財政的には一挙に十年でできないとするならば、そのうちのこれだけのものを十カ年間でやっていくんだというような内容のものでないと、意味が薄いのじゃないかというように考えるわけでございますので、そのような考え方を進めるかどうかということと、それからもう一点は、先ほど田中委員からもお話があっておりましたが、大事なことは、私はやはり農地の面積だと思うのです。どの程度やるかということ。それは一億の国民に食わしていくためには、一億国民の胃袋を満たしていくためにはどの程度の農地が要るのか。おかしな生産性の低い土地では、これは問題にならなくなってくるわけなんです。やはり一億国民に必要な農地、草地等含めた農地、そういったものを、必要面積というものを想定しながら、開墾等も加えて十カ年計画というものをつくっていくということが必要だと思うのです。ぜひこの際、十カ年計画をつくるにあたっては、そういった広い立場に立ってまず全体をながめ、その中の十カ年というようなことで進めていただきたいというように考えるわけでございますが、この点についての御意見なりお聞かせ願いたいと思います。
  74. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御指摘のとおりだと思います。先ほど申し上げましたように、農業人口は減っても、耕地を何も減らす必要はないので、これは確保していかなければならないし、できれば、団地的に経営すれば、耕地はもっともっとふやしていってもいいのですから、全体の立場から見てどの程度を十カ年計画の中に入れるかというようなこと、それから土地改良の性格が、水田ばかりをいま力を入れていましたから、水田でなく畑地農業といいますか、ですから、草地の造成、これは別に草地計画というものもありますけれども、草地とかあるいは果樹とか、そういう方面に土地改良もしていくんだということなども含めて計画を立てていかなくちゃならぬ、私はそう思っています。
  75. 合沢栄

    ○合沢委員 わかりました。  次に、ちょっと事務的なことを、この前の質問で落ちておりましたので局長に一点だけお伺いしたいのですが、この国営造成施設の他種用水の共有化に関連してでございますが、これについては九十四条の四の二の第二項に、「本来の用途又は目的を妨げない限度において」他目的の事業を行なう者に対し共有持ち分を与えることができるようになっておるわけでございますが、その際の持ち分の算定の基準について御意見なり考え方をお聞かせ願いたいと思う。
  76. 三善信二

    ○三善政府委員 その施設の共有、それに対して共有持ち分を与えるという場合のその算定の基準という御質問だろうと思います。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 それはどれだけ水量を分けるかという、そういう水の量が基本になろうかと思います。
  77. 合沢栄

    ○合沢委員 水の量が基本になるのはわかるのですが、その際基本になる金額というか、それはどの時点の金額を考えておられるか。
  78. 三善信二

    ○三善政府委員 その施設を現段階でつくるとした場合のその際の事業費、それからいままでの償却費を引いたようなもの、そういうのを主体にして全体の額を考えたいと思っております。
  79. 合沢栄

    ○合沢委員 いまのよくわからなかったので、もう一度聞かしてください。
  80. 三善信二

    ○三善政府委員 額はどのくらいになるかというお尋ねだと思います。そこで、その施設の共有でございますから、その施設を、水を分けるときに、その時点でいまこの施設をつくったら幾らぐらいかかるかという事業費が出てきます。それからそれまで使った償却費的なものを差し引いた残りの額が一つお尋ねの額であろうかと思っております。
  81. 合沢栄

    ○合沢委員 最後に、農林大臣にお聞きしたいのですが、今回のこの法律改正はやはり運用というか、法律を実際施行するにあたって注意せんならぬ点がたくさんあるというように考えられるわけであります。これまでの質疑を通じていろいろそういった問題点は指摘されておるわけでございますが、換地に非農用地を取り込むという問題にしても、その規模等よほど考えなければならぬ。先ほども意見があっておりましたが、やはり農地が年々縮小してきておる。農村地域工業導入促進法等もございますし、あるいは都市工場等の農村への再配分というような問題等々をはじめとして、農地はどんどん縮小してきておるというようなこともございますし、この換地にあたっての非農用地の取り込みという問題についても、規模考えなければならぬと思うわけでございますし、この国の造成施設の他種用水の共有化の問題にしても、やはりこれらはよほど考えていかないと、水の問題は近い将来は絶対量が不足するのではないか、水源そのものが不足するのではなかろうかという心配もございますし、この水の問題はだんだんむずかしくなっていく。そこに、この問題を契機にして市町村の施設のものまでもやはり問題が起こってくる可能性もあるというような問題もございますし、さらにまた、市町村が三分の二の同意を得ずしてやれる仕事もできるというようなことで、そういう点では民主的な運営がそこなわれるという危険も存するし、法律の運用にあたってはよほど慎重なる注意が要るというように考えるわけでございます。特に、農業サイドの側からするところの自主的な法律の運用ということがきわめて重要ではないかというように私は考えるわけでございます。そういう点についての大臣の所見を承って質問を終わりたいと思います。
  82. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは改正といいますか、立法の趣旨から考えなくちゃいかぬと思います。農業外用地を入れてまたこれを換地処分する問題につきましても、水の利用の問題につきましても、あるいはいまの御指摘のいろいろの問題点等につきましても、農業サイドからの土地改良法改正でございます。でございますから、農業者土地の利用を十分できるようなサイドからこれを運用しなくちゃいかぬと思います。そういう立法の趣旨、また基本的な構想から運用というものを考えていくべきだ。それは御注意のような点を十分注意して、これを施行された上におきましては運用を十分慎重に考えていきたい、こう考えます。
  83. 藤田義光

    藤田委員長 松沢俊昭君。
  84. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 簡単に御質問を申し上げたいと思います。  この法の改正案というのは、一番大きな問題といたしましては土地と水の問題、そして農民負担の問題、この三点がやはり一番大きな問題だと思います。そこで、各委員のほうからいろいろと質疑がございましたので、なるべく重複しないように御質問申し上げたいと思います。  最近の社会情勢が急激に変わっておりますので、土地改良事業というものが単に農業だけの問題でなしに、公共性公益性、そういうものが非常に強くなってきている、こういうことを大臣は言っておられるわけなんでありますが、そのことを私は否定するわけではございません、しかし、一面、田中委員のほうからも御質問がございましたように、土地改良事業はやはり農業の生産を高めるというところの強い一面性があるのだ。これもまた大臣も、それは認めておられるわけなんであります。ただ、問題は、自給率を高めるというお話がございますけれども、最近の土地に関するところの法律というのがたくさん出てきているわけなんですね。新都市計画法なんというのはやはり土地関係する法律であります。あるいはまた農村工業導入法あるいは工場再配置の法案、それから公有地の拡大の法案、これは全部既存の農地に目をつけたところの法律、こういうことに私はなると思うわけなんであります。そうなりますと、田中委員のほうからもだいぶ言われましたように、農地はだんだんと縮小していくのじゃないか。それじゃ、縮小はしていっても自給率は高まるのかどうか、やはりこういう問題が大きな問題になってくるのじゃないか、こう思うわけなんであります。  そこで、私は、地域指標、ガイドポストが出ましたが、それを見ますと、全体で五十二年におきましては六百五万ヘクタールですかの農用地というのが必要だということがいわれているわけなんです。ところが農林省の統計では、これは四十五年の統計でありますけれども、五百七十九万六千ヘクタール現在ある、こういうことであります。ところが、一つのこの法律、新都市計画法で市街化区域の面積というのはどのくらいになるかといいますと、百二十万ヘクタールだ、こう聞いているわけなんであります。そうすると百二十万ヘクタールをいままであるところの農地から引きますと、これは四百五十九万ヘクタール、こういうことになるわけです。そうするとガイドポスト五十二年、農用地が必要だというそれが六百五万ヘクタール、差し引きいたしますと百四十六万ヘクタール足りなくなるということになるわけなんですよ。これは一面において地域性を考えながら農業経営を考え、そうしてその農業経営から自給率を高めていこう、こういうお話がございますけれども農林省の発表されているところの数字をこう合わせていきますと、そのような方向にはいかないということになってしまうのじゃないか。  そこで、大臣は団地計画というものを立てながら未墾地もどんどん開拓していくんだ、こういうお話なんでありますがへ一体五十二年に直ちに六百五万ヘクタールというものができるのかどうか、これはできないと私は思うのです。  それからもう一つは、団地ということを言っておられますけれども、その団地のところで経営するものは一体だれなんだといえば人なんです。ところが、さっきも大臣は希望のある農業、こう言っておられますが、やはり総合的に農業政策というものを再検討しなければ、団地ができても農業経営をやるところの人がいなくなるのじゃないか。それはやはり多分に価格政策等が問題になってくると思います。  そういうふうに考えていきますと、私はこの法律改正というものは何かもっともげに提案されておりますけれども、いままでの農業の既得権というものを公益性の名のもとに他産業が侵害する、その侵害するものを認めようとするところの法律なんじゃないか。そういう意味からいたしますと、農業の側から見るならば、これは不平等条約、こう言っても私は過言でないと思うのです。そういう点で、将来の自給率を高めるという大臣お話でございますけれども、この法律改正というものと自給率を高めるということは要するにどういう関連性を持っているのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  85. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 土地改良自給率の問題ですが、私は国全体の自給率というものを改定するといいますか、見直す段階だ、こう思うのですが、それとは別にいたしまして、土地改良そのものは自給率を高めることはこの改正法を待ちません。土地改良をしたところは農産物の生産の自給度も増しているわけです。土地改良をしたところと、していないところでは、生産性も上がっている。労働の生産性も上がっている。これはもう私から申し上げるまでもなく松沢さんも十分御承知だと思います。ですから、今度の土地改良自給率との関係はどうかといえば、自給率ということからいえば、土地改良をすれば土地の生産性も労働の生産性も上がる、こういうねらいから土地改良は必要であり、土地改良法改正も必要である、こういうふうに見ております。  それから土地の問題につきましては、いろいろの法律があって農業土地に対する侵食といいますか、侵入が非常に各方面から多いから、土地改良は不平等条約じゃないかと言いますが、そういうようなことがあればこそ、土地改良をして農地を確保するといいますか、いい農地にして農地を確保する、そしてまた土地の侵食に対するいろいろな法律との調整をとって、農業サイドから農地というものを確保し改良し、いいものにしていくということから考えまして、私は不平等条約というようなことには考えませんが、全体として農業というものに対する外部からの侵略といいますか、そういうものは多いわけでございます。これは全体として農業を守っていかなくちゃならぬということでございますが、土地改良法そのものは決して侵入を押えるということじゃなくて、侵入に対しましてそれとの調整をとり、あるいは侵入を阻止しながら土地の生産性あるいは労働の生産性を上げていくというような方向でやっていくのでございまするから、そういうふうにお考えにならずに、わかっていることだと思いますが、土地改良法改正にむしろ率先して御協力をお願いしたい、こう考えます。
  86. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 どう考えようと、客観的に見ますと、やはりそういう傾向というのが非常に強く出てきている。そういうところでこの改正というのが行なわれるわけなんですから、したがって、侵害をされるというものを合法化していこうという意味では、やはり不平等約条と言わざるを得ないのじゃないか、こう思っているわけなんであります。  問題は、長期計画をことしからいろいろ作業まれまして来年発表される、こういうことになると思いますけれども、この長期計画はガイドポストとは関係なくおつくりになるのですか、どうですか。
  87. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ガイドポストはガイドポストでございますが、関係なしということでなくて、せっかく農業地域生産というものを考えてガイドポストをつくったのでございますから、これは土地改良計画をつくる上では大いに参考になると思います。土地改良計画を進めていくにつきましても、これは非常な参考だと思います。たとえば、先ほどから言っていますように、畜産の面から土地改良を進める面もありますし、果樹の面からやる面もありますし、あるいは水田なんかにつきましても、団地的な構想面からも考えなくてはならない。そういう面から考えますれば、このガイドポストというのを非常に参考にしながら土地改良計画策定していくことになると私は思います。
  88. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 時間がございませんので、次に、負担の問題で若干御質問をいたしたいと思います。  いままでの大臣答弁では、起債を認めるように努力をする、こういう御答弁であります。これは非常にけっこうなことだと思います。それから、地方交付税法改正をやって交付税の中にも認めてもらいたいというところの強い要望が出ているわけなんでありまして、その点も努力をしていただきたい。これは希望であります。  そこで、問題になりますのは、さっきのどなたかの御質問に対します大臣答弁の中で、たとえば大型の農道などは、できてから国、県、市町村道に移管して維持管理費というのを軽減していくという御答弁がなされたと思います。その場合は、維持管理費というものは、移管されることによって確かに軽くなるわけなんでありますけれども、問題はこの建設費ですね。工事費、こういうものは移管のとき補償されるのであるかどうか。私は、当然、農民負担をしてつくったところの農道というものを他の財産に移管がえをやるという場合においては、それは補償してもらわなければならぬじゃないか、こう考えるのですが、この点はどうお考えになっているのですか。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この移管という問題は、こういうふうな手続になると思うのです。建設の費用まで負担しろということではなくて、農道なんかをつくりますね、そうすると、民有地にしておきますと農業者負担がかかるわけです。土地改良区で税金の負担もしなくてはならない。それでございますので、これらはできるとすぐに国有地に編入する登記手続をするのです。そうすると、その道路なら道路が国有地になる。その国有地になったのを、今度は国道にするとか県道にするとか町村道にするとか、それぞれ府県道の規格とか町村道の規格がありますから、県なり町村道に編入する場合にはそういう手続が要るわけでございます。でございますから、土地改良におきまして道路等をやりましたら、できるだけ早く国有地にして、道路法による道路にしたほうが維持管理費がかからなくていいから、私はそういうように進めていくべきだと思います。  しかし、その際に、町村道をつくった費用の負担、あるいは県道になる費用の負担まで県が持つか持たないかといったら、それは持たせるわけにいかぬと思います。しかし、その県道なり町村道になってからの維持管理費は府県なりあるいは町村が持つ、こういうたてまえというか、筋道というか、そういうことだと私は考えております。
  90. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私はそのところが問題だと思うのです。確かに大臣の言われるのには一つの合理性というものがあると思って聞いておりましたけれども、問題は、先に補助率を高め、農民負担というものをなくしてやるという方法と、できてしまってからそれを肩がわりしてやるという方法と、二つあると思っておるのですが、大臣お話では、あとのほうで処理していったらいいじゃないか、こういうお話なんです。あとのほうで処理する場合において、建設工事費というものが含まれないということになれば、これはまやかしということになってしまうのじゃないか。その点は、建設工事費というようなものは当然国が負担をしてやる、どういう方法で負担をするかということは別として、それは負担をしてやるということがあって初めてあとのやり方というのが生きてくると私は思いますので、この点はやはりやってもらわなければならぬと思いますが、大臣考え方をお聞きしたいと思うのです。
  91. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 なお事務当局から答弁させますが、たとえば町村道とか府県道で、これが初めから道路法による府県道をつくるという意味なら、府県で国の補助を受けてやるとか、町村道なら町村道としてやれば町村が負担するということになりますが、農業道路というのは道路法上の道路じゃございません。これは農免道路とかなんとか、新しくそういう制度ができた。ですから、初めから負担させる、できてから負担させる、こういうことは要望してもなかなか無理だと思います、ほんとはそういう筋ですが。ですから、あとの維持管理費を少なくするという意味におきまして、完成した早い機会にその敷地は国のほうにかえてしまう、そして道路に編入して府県道なり町村道にすれば、あとの維持管理費というものは土地改良区や何かで持たなくて済む、こういう意味で私は申し上げたので、工事費につきまして先にするかあとにするかということは、これは道路法による道路として建設するわけじゃございませんから、あとになってもその負担を持てということはちょっと無理だと思います。しかし、そういういまのお考え方というものも頭に入れていろいろ研究してみますけれども、いまの段階ではちょっと無理だと思います。
  92. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 その考え方に立ってひとつ検討するというお話なんでありますが、いまのこれは、大臣もおわかりだと思いますけれども、大型農道だとか農免道路というものは、実際は、農業専用道路ではなくして、あらゆるところの車が走っているという、こういう現状なんでありますから、また、市町村のほうでも強く要望しているというのも、要するにそういう公益性を持っておるがゆえに、これは強く要望しておるということなんでありますから、そういう公益性というものを十分考えて、それならば負担を最初からなくしてやるとか、大臣もそれが筋だ、こう言っておられるわけだから、その筋どおりに、あとからあと払いで支払いをやってやるとか、こういう点は私は決して無理な話ではないと思いますので、十分前向きに御検討を願いたいと思います。
  93. 三善信二

    ○三善政府委員 先生、ちょっと補足的に私から……。  いま具体的に農道の問題で例をとって言われておりますけれども土地改良事業農道をやります場合には、なるほど最近大型化になって、そういう公共的な色彩が強くなってきたということは事実でございますけれども、やはりそういう大規模農道であろうと農免道路であろうと、これは農道というかっこうで、建設省がつくる一般の道路ということにはならないわけでございます。  それはなぜかと申しますと、大規模農道の例をとりましても、流通団地とかそういうものを、将来の農業計画でいろいろこまかくそういう施設の配置等も考えて、路線も位置づけをしておりますし、ほかの小さなものにおきましては、耕作道的なものは全く農業経営の問題。そういうことで、どうしても建設省のつくる一般の道路と違いますものですから、私ども土地改良でやります場合には、やはり農業上の機能というのがこの農道の本質的な使命である。ただ、それが大きな長い農道をつくっていけば、一般的なそういう受益といいますか、そういうのも加わっていくということで、本質は私は農業上の必要な道路だということになろうと思います。  したがいまして、現在の土地改良法の仕組みから申しますと、やはりどうしても農民負担というのは、受益者負担というのは伴わざるを得ないわけでございます。それを実際面で、御指摘のように、大型農道について市町村負担しているところがあるわけです。それだから全体の大規模農道の性格が変わるというわけでもございませんし、その辺はひとつ土地改良の仕組みの中でやっている農道ということで、受益者負担というのは当然伴うので、それをいかに軽減するか。その軽減するために、公益性等の問題もいかに入れられるかということで、検討を本質的に考えていかなければいかぬと思いますので、その点ひとつ十分御了承をお願いしたいと思います。
  94. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 農地局長の御答弁は、それはわかりますよ、農林省がやるんですから。だから、大臣はなかなかいい名案を出されたと思うのですよ。あと払いにやるという、これは一つの理屈として私は通ると思うのです。だから、所管をかえる場合、農民負担した分というのは補償してもらうという大臣の構想というのは、これはなかなかグッドセンスだと思うのです。これは当然農地局のほうでも考えていただきたい、こういうことを言っているわけですよ。つくるときにおいては、農林省でつくるわけだから、これは農業サイドからつくっていく。それをかえる場合、今度は一般のものになるわけですから、一般のものになる場合においては、農民負担というものをそこで補償してやる、これは非常にいい理屈だと思います。どうですか、農地局長、はっきり大臣がせっかく言っておられるのだから、検討して前向きに努力するというのはどうですか。
  95. 三善信二

    ○三善政府委員 具体的に道路市町村に移管するとか県に移管するというような場合に、これは制度じゃございませんで、実際上市町村負担しているようなもので、農家負担市町村がカバーして見てやっているというのが、大体現実の例じゃないかと思います。そういうことで、先生のおっしゃるようなことは、なるほど非常にうまい知恵かもしれませんけれども、制度的にどういうわけにもなかなかまいりませんし、その辺のところは、今後私ども研究はしてみたいと思っておりますが、制度的にそれをひとつすぐ解決できるような方向で何か考えろと言われましても、なかなか土地改良法の仕組みの中の問題ですし、やはりそれと当然関係するわけでございますから、その点ひとつ、先生おわかりのことと思いますけれども、御了承をお願いしたいと思います。
  96. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それから、これは水の問題、水利権の問題で、盛んにいままでも質問がありましたのですが、大臣は、水はやはり国民全体のものだ、だから有効利用は否定しない、しかし、農民権利というのは、これはやはりずっと古くから農民水利権というやつをいろいろな努力をやってつくり出してきたものであるから、これは守っていかなければならない、こういう御答弁があったと思いますが、これはいろいろ議員のほうから出ましたように、農業用水がだんだんと工業用水に押されていくということは、これはやはり時代の一つの趨勢であると思うわけであります。水の問題というのは、これはもう昔から農家ごとでけんかをやるとか、あるいはまた府県ごとでけんかをやるとか、最近は工業と農業のけんか、こういうことになってきておりますので、非常にこれから深刻な問題がたくさん私は出てくると思うのです。  そこで、これもひとつ確認したいわけなんでありますが、この前の質問のときにおきましても、水利権というそのものが、たとえば河川法二十三条の許可水利権の場合におきましても、こういう新聞の記事があるということを私は読み上げたわけなんです。それはどういうことだかというと、権利は公権であるが、財産的価値を内容とするものであって、私権に準じ、譲渡性を持つ、こういうことが出ている。こういうことを建設省の治水課のほうにも問い合わせてみたところが、そういう権利がやはりあるんだということを答えたわけなんであります。ところが、農林省のほうでは、そういうことにはなっておらないということで、建設省のほうがそういうふうに答えておるにもかかわらず、農林省のほうが答えないのはおかしいじゃないかということで、この前は終わったわけであります。その後、建設省のほうからも来てもらいまして、いろいろお話し合いをしましたところが、これは法律的な解釈からすると、たとえば県が持っていたところの権利団体に移る、こういう場合は、要するに、そういう権利というものがあるんだ、そういうことですね。だけれども、そうでなしに、たとえば百トンの水がある、そのうち三十トンなら三十トンを工業用水に回す、こういう場合においては、これは一たん許可を取り消してそして新たなものに許可を与える、こういうわけなんですね。しかし、そういうことをかりにやるにしたところで、実際問題としてはなかなかたいへんなことになるんじゃないかという話し合いをしましたところが、実際はやはり両者の合意によって解決する以外にないでしょう、こういったわけなんです。ところが、その両者の合意によって解決するということであるならば、それは一札やはり出してもらいたいと言いましたところが、一札はなかなか出ない、こういうことを言っているわけなんでありまして、そこで、この水問題というのはこの際明確にしておかなければならないと思います。  許可水利権の場合、あるいはまた慣行水利権の場合、いろいろあるわけなんでありまして、慣行水利権の場合におきましては、田中委員のほうからもお話がありましたように、力関係によって解決をしていくということですから、それはそれで、現在では慣行水利権というのは農民のものだという考え方をわれわれは持っております。許可水利権の場合においては、そういう法的な解釈というものが出ているわけなんでありますが、実際はどうなるかということになると、実際はそういうわけにいかないということを言うわけですね、建設省自体が。だから、私は農林省立場で、水問題というのが必ず大きな問題になってくるわけなんでありますから、この際、農民の合意に基づかなければ、これは許可水利権たりといえども簡単に工業用水に転用するわけにはいかないんだというはっきりした言明をしていただきたい、こう思うわけなんですが、大臣、どうでしょうか。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのとおりだと思います。やはり許可水利権も、水利権を持っている農業者農業のために使う権利を持っているし、あるいは建設省の言うように、その権利は財産権にもなっている。だから、これを無断でその財産権を侵害するということは、工業用水に必要だといっても、そういうことはでき得ないことだと思います。ですから、実際問題としては、どれくらい余っている水を買いたいとか回してもらいたいとかいう話し合いの上でなければ、それはかってに工業用に使うとかなんとかいうことは権利の侵害だと思います。でございますから、実際問題としては、話し合いの上できめればいいので、その話し合いがきまらなければ、依然としてその権利者たる農業者のほうの農業用水としての権利をこれは守っていかなければならぬ、こう思います。
  98. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 大臣から非常にはっきりした御答弁をいただきまして非常に感謝しておりますけれども、ぜひ農林省のほうでも、これから水問題というのがたいへんなことになりますから、大臣のその趣旨を体しまして事に当たっていただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたから、これで質問を終わります。
  99. 藤田義光

    藤田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  100. 藤田義光

    藤田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  土地改良法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 藤田義光

    藤田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  102. 藤田義光

    藤田委員長 この際、本案に対し附帯決議を付したいと存じます。  案文を朗読いたします。    土地改良法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近におけるわが国農業をめぐるきびしい情勢の下において、その体質改善を図るため、農業基盤整備事業の果たすべき役割が一層重要となっている現状にかんがみ、政府は、早急に土地改良長期計画改定を行ない、土地利用の動向、農業生産地域指標、農産物の需給動向、農村環境整備等に十分配慮しつつ事業計画的な推進に努めることはもとよりであるが、特に、本法の運用に当っては、左記各項のすみやかな実現に遺憾なきを期すべきである。       記  一 土地改良事業の促進を図るため、国庫補助体系の簡素化、国庫負担の拡充、補助率の引上げ、採択基準の引下げ及び借入金の貸付け条件の緩和等所要の措置を講ずること。特に米の生産調整により土地改良事業に支障を生ずることがないよう必要な措置を講ずること。    なお、土地改良事業における地方公共団体の役割が高まっている現状にかんがみ、その負担につき、すでに対象になっている起債の枠拡大と一般起債等についても所要の措置検討すること。  二 土地改良事業の総合化、農業振興地域整備計画に係る事業市町村申請等新方式の創設に即して、今後の各事業につき、一貫施行、同時施行等を採用することにより事業の早期完成をはかる措置検討すること。    なお、市町村特別申請事業の実施に当つては、事業実施にそごを生じないよう関係農民意向を十分尊重すること。  三 農業用水及び施設の他用途への転用を認めるに当っては、農業における水利用に支障を生じないよう留意することはもとより、農業水利の歴史的特性を考慮し、水利権、施設管理権等が不当に侵害されないよう特段の配慮を行なうこと。    また、農業用用排水施設について、急激な都市化の進展に対処するため、農業用用排水が地域の生活用用排水としての性格を併せ有していることにかんがみ、事業負担の公平を図りつつ用排分離等の事業を積極的に推進すること。この場合において、特に施設利用に関する権利関係を明確にし、農民の施設利用の権利が不当に侵害されないよう積極的な措置を講ずること。  四 創設換地により生みだされた土地工場用地等として使用させる場合には、公害防止等に万全の措置を講じ、周辺の農業経営に悪影響を及ぼすことのないよう十分配慮すること。    なお、換地について、事務の円滑化のため、換地技術者の研修等による資質の向上、人員の確保、処遇の改善等の措置を講ずるとともに登記の促進を図ること。  五 土地改良事業団体公共性にかんがみ、その地位向上のため積極的にこれが整備育成対策を講ずるとともに、特に、排水施設、防災施設等公共的施設を維持管理する土地改良区等に対しては、その受益の態様が広汎にわたることを考慮して農民負担軽減を図るため、国の助成等積極的な措置を講ずること。   右決議する。 以上でありますが、本附帯決議案を本案に付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  103. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。赤城農林大臣
  104. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 りっぱな附帯決議をいただいたと思いますが、ただいまの附帯決議につきましては、その決議の趣旨を体し、十分検討の上善処いたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  105. 藤田義光

    藤田委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  107. 藤田義光

    藤田委員長 次回は、来たる十八日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十九分散会