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田中(恒)
委員 この際、大臣に申し上げておきたいと思いますが、オレンジ、果汁の自由化については、
日本の
関係産地の
農民諸君を中心にしてたいへん強い反対があった。これは基本的にはこの影響がたいへん大きな打撃を与えるということでありまして、現にグレープフルーツの自由化の際にも、
農林省はさほど影響はないということを私なんかとのやりとりで言われておったわけですが、
現実に今日グレープフルーツの自由化が夏ミカンに対しては決定的な影響を与えていることは、もういまの事態が証明をしておると思うのです。ことしは晩カン、夏カンは非常に収量が少ない。収量が少ないというのは、実は非常に質がいいのであります。従来でありましたら、高値が出なければいけないわけですが、ことしは二割か三割下がっております。これは完全にグレープフルーツの影響であるわけでして、
見通しがたいへん甘いわけでありますが、こういう国内の果樹
農業、果樹産業というものを守っていくという観点で、少なくとも現在自由化してないわけでありますから、牛肉、オレンジ、果汁というのはワクを拡大したということでありますから、入ってきたものは国内の果樹産業の
発展という観点に立って、私は輸入処置を講ずるという側面が一つあると思うのです。
いま一つは、この前の物価対策の連合審査会等でも問題になった
消費者問題がやはりあると思うのです。これは一面全然違った立場に立っておるようでありますけれ
ども、私は、このオレンジジュースの自由化等については必ずしもそうじゃないと思うのです。たとえば私は前から言っておりますが、
日本の果樹の消費拡大
政策はどうしてもジュースでやらなければいけない。そのジュースは、現在いわゆる本物ジュースじゃないのですね。これは私、
数字をあまり的確にまだ調べてないですが、おそらく一〇〇%果汁——全部
日本の温州ミカンでしぼったジュースというのはごくわずかでありまして、あとは一〇%から二〇%果汁が入って、色がついて水でまぜられておる、
消費者が言うインチキジュースであります。これが大半を占めております。だから、こういう食慣行を直さなければいけないのでありますから、やはり天然ジュースというものを普及させていく。これは
消費者の要求にも合うはずであります。本物のジュースを飲ますのでありますから、栄養価は高いわけであります。そうして
日本の果樹の消費の拡大は、やはりこの路線を強めていくということが必要になると思うのです。そういう意味では、いま
局長もちょっとおっしゃっておられたが、やはり
日本の温州ミカンのジュースは少し甘いわけでありますから、それにアメリカのオレンジが入ったのを入れればたいへんいいかおりが出るそうでありますが、これをまぜて天然ジュース一〇〇%で売り込ませていく。これをやれば、私は国内の果樹産業という観点に立っても、
消費者という観点に立っても、理屈は立つと思うのです。こういう
政策をやはり輸入ワクを拡大する際に
条件といたしまして示さなければいけないと思うのです、それをやれと。
この間三百トンの輸入をやったときに、これは物価対策だと言われたけれ
ども、あれは物価対策になっておりますか。なっていないですよ。あの三百トンはどこへ行ったかわかってないでしょう。いろいろな形でどこか別のところに流れておりますよ。あの問題は、あのとき私も
指摘をしてここで議論いたしましたけれ
ども、物価対策に全然なっていない。やはり輸入の非自由化品目でありますから、入ってきたものの使い方なんかについてはこうする、こういうような形で今度の場合はぜひ取り上げていただく必要があるのではないか。特に
農林省は、果樹問題については、数年来いま私が申し上げましたような趣旨に基づいて果汁工場というものを、
予算を相当つけて毎年二工場、三工場あちこちでつくっておるわけです。これがオレンジジュースの自由化でつぶされるという心配も一つあるわけです。この際、そういう
農林省が補助金を出したような工場にこういうものを割り当てさせて、ブレンドしてそうして一〇〇%ジュースで売り出していく。こういうものと結びつけさせてやられないと、この自由化の、わずか五百トンといいますが、また来年はもっとふえると心配せざるを得ません。そういうものがやはり自由にそのまま流されると、私は大きな影響が出てくると思うのです。そういう点を、特にまだ非自由化されておって
政府の権限で輸入ワクが設定されていくときに、どこに行くかわかりませんけれ
ども、少なくともそういう
考え方に基づいてこの輸入ワクの業者の設定とか扱う団体等なされると思うのですが、その際に示すべきだ、私はこういうように
考えるわけでありますが、
農林大臣としてこれはたいへん御心配いただいた点でありますが、あと始末をしてもらわなければいけませんので、私はそういう
考えを持っておりますが、大臣はどういうふうにお
考えになっておられるでしょうか、この際、御所見をお聞きしておきたいと思うのです。