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1972-06-08 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月八日(木曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君       阿部 文男君    天野 公義君       笠岡  喬君    篠田 弘作君       辻  寛一君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    山下 徳夫君       豊  永光君    木原  実君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局監         理部長     住田 正二君         自治大臣官房長 皆川 迪夫君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  高橋豊三郎君         労働省労政局労         政課長     森山 眞弓君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         自治省行政局振         興課長     砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     叶野 七郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     山下 徳夫君   中山 利生君     豊  永光君 同日  辞任         補欠選任   山下 徳夫君     鯨岡 兵輔君   豊  永光君     中山 利生君     ————————————— 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)  地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八九号)      ————◇—————
  2. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を許します。伊能繁次郎君。
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員 昨日の質疑で、同僚和田委員受田委員並び久保委員から、それぞれの角度から交通の安全、正確、迅速の問題について御議論がありました。そのうち、海運並びに航空については、それぞれの末端作業航空の飛行場、海運の港湾、これはそれぞれ国でそれに対応した整備をいたしておりますが、ひとり陸上交通については、鉄道バス等はみずからの力で安全、正確のあらゆる方途を講じなければならぬ。この点に私は三つの総合交通体系の上で大きな違いがあると思います。昨日、大臣和田委員質問に対して、国鉄運賃審議中に地方鉄道大手十三社が申請もしくは申請の気配がある、先般の新聞では、佐藤総理大臣便乗値上げは認めない——大臣便乗ということばは使われなかったのですが、なぜ私鉄申請をしなければならないかという点について、大臣からは、配当も若干やっておるし、他の関連産業の収益によってまかなえるから、いまのところ運賃については慎重な考えを持って、上げるという考えはまだ持っておらないというお答えでございましたが、私は、便乗値上げという意味がどういう意味であるか、大臣に率直にお伺いをしたい。
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 便乗値上げという、便乗というのはどういう意味かという正確な定義並びにお答えはやりにくい次第でございますが、大体こういうことが御質問要旨で、それによりまして総理も御答弁になったと思いますが、国鉄運賃が上がる、私鉄との間の運賃格差が非常に大きくなる、そういったところでその格差是正のために私鉄運賃値上げをする。要するに、国鉄運賃が上がるに伴いまして、事業者別適正原価主義ということを逸脱しまして、それでやはりそういったような格差是正のためにやる、こういう意味じゃないかと私は理解をしている次第でございます。
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員 昨日、受田委員通勤交通について大臣質問をされたときに、大臣は、通勤交通都市交通最大の要素である、したがってこれが確保についてあらゆる努力をしなければならぬという御答弁をなさいました。大手私鉄は、国鉄並びに営団もしくは都営、市営の地下鉄とともに通勤交通の大宗を預かっておる。これを円滑ならしむるには、ことに交通の本来の使命である安全とパンクチュアリティ、定時性というもの確保することが、事故を防止する最大の要因である。ところが大手私鉄は、御承知のように、運賃値上げの際に、大臣からの、運輸省からの整備計画を示達をされてもできません。国鉄については、国があらゆる助成をする。最近私鉄の新線建設については、政府がドラスティックな助成措置をする。これは私ども高い評価をいたしておりますが、当面の通勤交通その他の整備については、とても金がなくて回らない。こういうような問題は、公共事業であっても、みずからの経営をみずからでやるという体制をとる以上は、ある程度の助成なり、あるいは助成ができなければ運賃値上げという問題を考えるのが当然だろう。  ことに、先般の当委員会質問において、私は政府に対して、主として経済企画庁でありましたか、世界で国営の鉄道と民間の鉄道で、一定区間距離に、通勤であろうと一般輸送であろうと、片一方よりも五割も安い運賃でやっておる国がどこにあるかということを聞いたところが、世界じゅうにどこにもないという御回答があった。さいぜん大臣は、格差是正という問題をお話しになりました。格差是正をするにはどうしても、私鉄も、国鉄と同じように運賃値上げができなければ、特段の助成でもしてやらなければ、いまの通勤輸送を適正にすることはできないと思うのですが、この点で、単に運賃だけを上げないということで運輸省行政が一貫して安全と定時性が保てるかどうかの点を、お伺いいたしたいと思います。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 運賃を上げないということで、いまの現実の問題で、路線増強もはからぬで安全性定時性を保てるかということにつきましては、私も非常に疑問がある、こう思っている次第でございます。それゆえに、いろいろの五カ年計画、三カ年計画を提示をいたしまして私鉄の御協力もすでにお願いをしている次第でございますが、それらが具体的にできないのは、やはりそういったような、施設投資面におきまするところの手当て、またその金利負担、またそれらの施設工事費、そういったような問題が非常にかさんでおります。ただしかし、具体的な問題といたしまして、料金だけで都市交通の点をまかなうことがいいかどうかということがすでにもう検討時代に入ってきているということも一つ議論でございますが、何といたしましても、そういう方面につきましては、長年、運輸行政練達伊能先生の御意見でございますから、十分先生の御意見を拝聴いたしまして、これを十分私も行政の重大な指針としてこれから運輸行政に誤りなきを期したい、こういうように思っている次第でございます。
  7. 伊能繁次郎

    伊能委員 最後に、検討とおっしゃいましたが、すでに運輸省は、もう最近の通勤輸送が逼迫してから十分検討しています。検討だけで結論が出ておらない。これでは私は、運輸省として陸、海、空の総合交通体系を円満な形で調整をするゆえんでないと思いますので、運賃値上げができなければどういうことをやるのだということを明確にお示しにならないと、日本の私鉄業界並びに国鉄についても、また海上、航空交通についてもその万全を期し得られないので、この点をひとつ急速に、対策助成もしくはその他の具体的な方策を講じていただきたいことを最後に希望して、質問を終わります。
  8. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  9. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 ただいま委員長手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案提出されております。
  10. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 提出者より趣旨説明を求めます。加藤陽三君。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げます。  原案では、船舶技術研究所大阪支所の位置の変更等に関する改正規定を除き、昭和四十七年四月一日から施行することとしておりますが、すでにその日を経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  12. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  13. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、加藤陽三提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  14. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 山口敏夫

    山口(敏)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————   〔山口(敏)委員長代理退席委員長着席
  17. 伊能繁次郎

    伊能委員長 地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  18. 大出俊

    大出委員 この法案そのものにつきましては、現行ある制度でございますし、その手直しでございますから、そう大きく論議をしたくはないのでありますが、ただこの際、当面の問題について少し承っておきたいことがございます。おそらくこれはこの国会最後質問になるだろうと思いますから、時間的なこともありましてできればきょうじゅうに処理をしたいという気もございますので、短時間にいたしますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。   〔委員長退席塩谷委員長代理着席〕  鎌田財政局長の顔を見ますと、かつて都市交通再建をめぐりまして、当時参事官をおやりになっておった鎌田さんがいわば立案の責任者でございまして、お互いに将来を展望して、実はずいぶん長いいわば大論争をやってきた経験がありますので、いまさらどうも理屈を申し上げる気はないのです。ただ、振り返ってみて、なお都市交通をめぐる環境変化等も続いておりますし、真の再建というのは一体どうしたらいいかという点についてなお模索せざるを得ないわけであります。ある意味の間接的な社会資本でもございます都市交通でございますから、本来ならば、国の責任というものがもう少し明確になっていい気がするのでありますが、そこらを含めまして、基本的に過去を振り返って、これから将来に向かってどうあるべきかという点について御所見があればまずいただきたいのであります。
  19. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 都市公営交通は、都市人口集中化に伴いまして非常に赤字を生んでまいりまして、このために再建計画を立てたのでございます。過去の再建計画は、私はそれなりに意義があった、こう考えております。もしあの再建計画があのときに立てられておらなかったならば、いまではおそらく事業実施すら中止せざるを得ない程度の経営困難さを伴ってきておったのではないかと思っております。企業体質改善、またこれに対する一般会計あるいは国庫補助なんかの法的な資金の導入がなされたということは事実でございますが、私はむしろ、その体質改善がその後におけるところの企業環境悪化の激しさというものに追いつかないで、そこへもってまいりまして、公共料金が物価に及ぼします影響等から見まして、必ずしも適正料金——それだけを考えたならば適正料金と思われることが、それらの関係でおくれがちになってきた。そこへもってまいりまして、それらの環境関係もございまして、人件費増高というものを来たしておるというふうな環境悪化に伴いまして、今日の赤字累積を来たしたことは事実であろうと私は思います。この状況を打開するために、私は、本年当初の予算編成当時に、特にこの問題を取り上げて、運輸大臣も交えまして、大蔵大臣と私との予算折衝の過程におきまして、横浜を除く他の団体の再建計画の終了する年次でもありますので、四十八年度をめどに抜本的な手直しを行なってほしいという申し入れをいたしまして、大蔵大臣並びに運輸大臣の御了解を得、協力方をお約束していただいたような状態でございます。  私は、過去の再建計画の例にならいまして、企業環境悪化等のことを考えてまいりますと、ただ単に、過去の再建計画のように財政的見地からのみではこれは解決することができない。大きく都市交通全般の立場に立ってもの考え、抜本的な運輸行政にまで触れるような施策があって、初めて安定的な経営を模索することができるのではないか、こういうふうな観点に立ちまして、四十八年度の手直しを大きな視野に立って検討し、国としても対処しなければならない、このように考え月下検討をいたしております。これが現在の実情でございまして、そのために、地方行政委員会等におきましても、できれば小委員会等を設けまして、各省間にまたがる問題でございますので、建設的な御意見を賜われば幸いだとお願いしておるような次第でございます。政府におきましても、昨日、私の諮問機関として、関係各省経験者あるいは都市関係の学者の先生方の御快諾を得まして、調査委員会つくりまして、検討を始めていただくようにいたした次第でございまして、抜本的な対策を何としても四十八年度に打ち立てたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 大出俊

    大出委員 これは、鎌田さん、調査機関をおつくりになったといういま大臣のお話ですが、正式には何という名称をおつけになっておりますか。また、どういう方々中心にお選びになっておられるのかを、お差しつかえなければひとつお答え願いたいと存じます。
  21. 鎌田要人

    鎌田政府委員 名称公営交通問題研究会でございます。それから委員の数は十五名でございまして、構成メンバーといたしましては、いわゆる学識経験者方々でございますが、交通問題の専門家、それから自治大蔵運輸の前次官をされた方、それから朝、毎、読、日経、この四社の論説委員方々、こういう方々を主たる構成メンバーとしておるわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 このメンバー次第で意味があると私は思うのでありますが、実は四十一年でございましたか、この財政再建基本についての法案論議をいたしましたときにも審議機関があったわけでありますけれども、中身その他から見て、あまりにも経済性の追求のみに走られては困るというように私は心配をいたしましたが、事務局をおそらく自治省がおやりになるのだとすれば、また当時のような論争が起こるわけでありますが、ともかく衆知を集めてひとつ将来の展望を開いていただく、こうお願いしたいのでありますが、運輸政策審議会のいわゆる運政審答申などもございまして、将来のバス路線というものをどう考えるか、あるいはそれに伴うハイヤーのあり方みたいなことまで触れたものがございますけれども、実情なかなかそうはいかないのですね。  横浜にしても、四十一年十一月一日の制定以来、振り返りますと、再建計画変更第一次が四十二年の八月、さらに第二次が四十四年一月、第三次が四十四年十月、さらに変更第四次が四十五年の十月、こういうふうに計画変更をして今日に至っておるわけでありまして、この間に、実は当該労働組合横浜交通労組なども、これは非常に取り組みにくい問題なんですね。事ごと職場皆さんに説得して了解を得なければやっていけない。ワンマン電車を走らせろ、あるいは路線撤廃をしろ、またそれを早めろ——四十六年全部撤廃してしまったわけでありますが、さて、賃金その他諸手当についても、そこでこういじるということも、生活の基本につながるだけに——また、東京都交通などのように、地労委が中へ入って手当その他をきめるという先例もありますから、いわば大きな既得権でありますから、そういうものとぶつかる。そこら一つ一つ組合の職員の皆さんは苦心惨たんして解きほぐして、その間にいろいろな職場反対意見反対の動きなどもある中で、ほんとうにそれは苦労してきた。もちろんこれは、市の理事者側にとりましてもたいへんな課題でございましたから、まさに四苦八苦してやってきたというのが歴史でございます。  それだけに、ここまで来て、一体何をやったのだ、さっぱりどうにもならぬじゃないかということでは相すまぬ、対市民という意味でも相すまぬと私は思うわけでありますから、そういう意味で、四十八年ということを目途に、他の自治体の再建計画終了の時期、新しく始まる時期、そういうことで諮問機関をおつくりになったのはいいのでありますけれども、私はやはりこの際、一体何がネックなのかという、過去の経験を振り返って、何がポイントであったか、何を中心にこれから考えればいいのかという、そこら基本は、当該自治省もの考え諮問しないと……。よく私は引き合いに出しますが、恩給法改正のときの二条ではありませんけれども、二条ノ二を調整規定ですといってつくった。本来なら、法案を出すほうの側が有権解釈をもって出すべきなんだけれども、それもせずに、この調整規定というものをどう解釈するかを含めて恩給審議会諮問するなどということは、本来あるべきではない。  鎌田さんの時代に苦労をされて今日まで来た。何もかも御存じなわけです。そうすると、ここで一体どういう基本線を立ててさて諮問になるのかということ。この機関を発足させるにあたって、自治省がおとりになる中心的課題というのは一体何なのかにつきましてはっきりしませんと、どうも議論がしにくいのです。そこらのところはどうなっていますか。諮問にあたってどこを中心にどうしろという諮問になっているのですか。そこを聞きたい。
  23. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおりでございます。私ども、今度の公営交通問題研究会に期待いたしますゆえんものは、まず第一といたしましては、当面、御案内のとおり、現在の再建計画のときに解消すべきものとしておりました不良債務額四百二十五億でございます。ところが、最近の決算の見通しによりますと、それを別にいたしまして五百八十四億という新たな不良債務というものが発生をしておるということでございまして、いまのままで参りますと、四十一年三月三十一日現在の累積不良債務というものは、これは解消できるわけでございますけれども、それが終わりましたあとに、そっくりそれと変わらぬくらいの額のものが新しく不良債務として出てきておる、こういう事態になっておるわけでございますから、まず第一には、この不良債務というものをどういうふうに解消するか、まずこれが当面最も緊急を要する問題でございます。  それから第二の問題といたしましては、そういうことで一度消し、今度また二度消すということになるわけでございますが、将来に向かって不良債務が新しく発生するということをどのようにして抜本的に防止できるかという問題になろうかと思います。  その場合に、一つは、いま公営交通、特に大都市が行なっておりまする事業の中で、路面電車、それからバス地下鉄、こういうものがあるわけですが、その中で路面電車につきましては、大部分の市におきましては、大都市の場合でございますが、すでに廃止をいたしております。それのいわば累積赤字というものをどういうふうにして消すかという問題がございます。それからバス事業につきましては、これは企業環境というものが非常に悪くなっておる。そこで一体、バスの将来というもの地下鉄とのからみでどういうふうに考えるべきか。ここらになりますと、結局、大都市におきまする交通体系というものをどのように組み合わせて、その中で公営交通というものがどういうウェートを持つかという、これは基本的な問題の検討が当然その前提にならなければならない。その場合におきまして、やはり将来の大都市交通の基幹は地下鉄だ、バスというのはそれをいわば結ぶ。いままでのような比較的長大路線というものはやめまして、路線の再編成ということをやるべきではないだろうか。それと同時に、やはり何といたしましても企業環境をよくする。先ほども私うしろのほうで伺っておったわけでございますが、定時性というもの確保ができない。これが一番の基本でございまして、結局、当てにならないからだれも乗ってくれないわけですから。定時性を回復するためには、道路交通というものをどのように規制をしてバスが走れるようにするかという問題をあわせて講じなければいけないだろう。それと路線の再編成。こういった問題が地下鉄の問題と結びついて出てくるのではないだろうか。   〔塩谷委員長代理退席坂村委員長代理着席地下鉄の場合でございますと、これは何といたしましても資本費負担が多うございます。でありますから、これに対しましては、やはり資本費負担を軽減するためにどういうことが考えられるかという問題があろうかと思います。  さらに、将来的な問題といたしましては、いわゆる開発利益というものをどのような形で吸収還元できるかという問題がございましょうし、あるいは将来におきましては、現在のように国鉄あるいは民営あるいは公営、こういうものが乱立併存しておるこういう企業体系あり方というものにつきまする検討ということも、お願いすべきではないだろうか。大体大ざっぱに申しまして、そういうところに焦点を合わせて御検討をお願いいたしたいと思っております。
  24. 大出俊

    大出委員 これはいずれも非常に困難な問題なんですね。かといって中途はんぱにもの考えると、木を見て森を見ずになってしまう。横浜の場合は、私は横浜におりますからですが、地下鉄の  一路線が、非常に短い距離でございますけれども、市議会の諸君なども乗せて試運転が行なわれ、ようやく始められるわけでありますけれども、本来、地下鉄というのは、一本引いたって予定乗車率はないわけであります。これは名古屋なんかいい例でございますが、池下くらいまで延ばさなければ七割までにはいかない。当初三割くらいしか乗車率はないわけであります。そうなれば、せっかくたいへんな資本費を使って開発いたしました地下鉄が、当初から大きな赤字を生んでいくということになる。そうすると、地下鉄の問題というのは、次から次から地下鉄路線つくりまして、差し繰っていっているわけですね。  しかし私、かつて鎌田さんがおいでになるところで質問したことがありますが、山手線の貨物の路線を含めましてキロ当たり単価、そしてまた地下鉄キロ当たり単価を比べますと、地下鉄は六倍以上になっておる。そうすると、この国会議事堂前から隣の霞ケ関までの今日的料金を百二十円から百四十円くらいにしないと成り立たないですね。そうすると、地下鉄に一区間、国会議事堂前から霞ケ関まで百四十円も払って乗るばかはないわけでありますから、つまりその差がどうなっておるかというと、赤字累積になっておる。それを不良債務と呼ぶならば、まさに初めから不良債務はできるようになっておるのです。そうすると、新しい路線をどんどんつくっていって、そっちで借りて、六分以上の利子の金を使ったことはないなんということを東京の当時の鈴木さんが言っておりましたけれども、そうすると、その差し繰りをやっている間はいいけれども、まさにこれは自転車操業でございますから、とどのつまりは終着駅が来るのですから、そうすると、この累積赤字というものはどうしたらいいんだということになる。それは乗車料金と広告費、国の補助、わずかなものでございますけれども、地下鉄一号線なんかの場合、これは利子だけで年間十五億返さなければいかぬものが、年間の収入が、広告費から何からみんな入れて五億七千万くらいしかない。利子も払えない。そういうことになることは初めから明らかなんです。  そうすると、いま鎌田さんのお話の中に、大都市交通中心地下鉄路線網なんだ。それはいいけれども、それによって大きな赤字になるものに対する国の責任は、しからばどうするんだ。開発利益を吸収するといったって、地下鉄をつくった、地下街もつくった、その利益を自治体が全部吸収する、こうはいかない。私鉄なんかなら話は別です。そうだとすると、そこらのところは抜本的にもう一つ何か考えていなければ、新しい再建計画にならない。だからその意味で、まず第一に地下鉄というものを将来どうとらえるのか。本来ならば、何十年か前に、もう百年も前に、ほんとうならば横浜なんかも、幹線下水道がパリ式に大きなものができていた。あるいは戦争直後に、名古屋ではありませんけれども、道路も整備されていた、そして地下鉄も幾つか計画がされていた、こうならなければならなかった。そうなれば、いま、あとのほうから出てくるバス路線の競合だとか、あるいは定時性確保だとか、そういうふうなことはあわせて解決されていたはずであります。それをいまやろうということだし、運政審の答申にありますように、長距離バス路線はやめましょう、地下鉄中心になって、そこから先、近距離路線バスが走っていきましょうということになる。  横浜で桜大線が走り始めておりますが、つまり、あの磯子なら磯子というのを中心考えていただけばわかりますけれども、どんどん奥が、洋光台だとか、あるいは汐見台とか、開発されている。そこから近距離バス路線をもっともっとたくさんつながなければ、マンモス団地がどんどんできるのですから、これは困る。ところが、聖天橋商店街とか商店街がたくさんありまして、ここの方々は、もっとバスをちゃんと定時に走らせろ、回数もふやせ、時間帯も少し広げろと言うんだけれども、それじゃおたくの前を通るんだから、少しは広げることに協力してくれと言えば、断じていやだと言う。そうなると手の打ちようがないことになる。  だから、机の上でお考えになるのはあかるんだけれども、その基本になる地下鉄なら地下鉄一つ取り上げても、さてそれを資金的にどう考えるかという点、これはもうそれがなければならぬ時期だと私は思うのですが、そこらのところはどうですか。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地下鉄の問題につきましては、私どもも同じ問題意識を持っておるわけでございまして、四十五年度から、御存じのとおり建設費の二分の一というものを国と地方団体とで補助をする、こういう仕組みもできておるわけでございます。ただ、補助対象のとり方等によりまして、これが実質におきましては建設費の三八%程度をカバーしておるということのようでございますので、これをやはり拡充してまいるということが第一の問題であろうと思います。  それから第二の問題といたしましては、やはり資金の金利あるいは償還年限、こういった条件を改善をする、これによりまして資本費のコストをできるだけ軽減する、これが基本であろうと思います。ただ地下鉄の場合、これは私は楽観に過ぎるのかもしれませんが、路上の交通機関と違いまして、ある程度これは期間はかかりますが、将来におきましてはペイできるのではないだろうかという感じがいたしておるわけでございます。  それから後ほど、あとに御指摘になりました例のマンモス団地ができる、こういったことと公営バスとの関連につきましては、これはやはり私ども、ある意味におきまして一種の行政路線的な考え方でこれを整理して、どういう形で財政負担というものに結びつけてまいるかということにつきましては、やはり先ほど申しました公営交通問題研究会の御意見等も伺いながら整理をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 具体的な問題としていま鎌田局長が答えたとおりでございますが、私、この四十八年度の抜本改正ののろしを上げましたときに感じたことは、都市交通というものは一体的に考えなければならない。なるほど、運輸行政という立場で運輸省が、許可、認可、今日問題になっております料金の問題に至るまで総括責任はやっておられますけれども、民間のバス、あるいは国鉄のやっております国鉄大都市内におけるところの輸送体制、市がやっておりますところの、さらには個人の自家用車あるいはハイヤー、タクシーに至るまでの総合的な都市交通というもの体系的に組み立てて、その上において都市の足となるべき交通機関はいかにあるべきかという検討が総合的にその都市に合うように計画されなければいけない、この根本から始めて、いま言われましたように、地下鉄の重要性というものが出てきたときに、初めて地下鉄の資本のためには国も金を出さなくてはいけないんだ、あるいは地方財政の中からも出していただかなければならないんだという理論がほんとうに生まれてくるのではなかろうか、このようにも考え、そういった点にまで触れての考え方を打ち立てなければいけないときに来ているのではなかろうかと思います。  けさあたりにおきましても、光化学スモッグ等によりますところの車規制の問題も起きております。結局、都市交通の足というものを一体的にとらえる、その中心は何かと申しますと、やはり私は、地方自治体の、この大都市公営交通中心にならなければならない、このような観点から一ぺん見ていただきたい。その上の観点に立って、いま鎌田局長が答えましたように、しからば、いま言われましたように、当然赤字になってしまうじゃないか、といって料金を上げることができないというなれば、その必要性のもとに資本に対する一般会計からの資金の繰り入れというふうな理論も生まれてくるのではなかろうか、このような考えで、今回は抜本的に取り組んでいくことによって当面の問題を解決しなければいけないという考えで立ち上がったような次第でございます。  実は、地下鉄の問題にただいま触れられましたが、かつて私は大阪の中馬市長に、地下鉄路線路線とをつなぐ、二分三十秒でございますが、試運転に乗せられまして、この区間に費やした金が九十億、しかもこれだけの乗っていただいたうちでは料金を上げることができない。しからばこの九十億をどうして生み出していくかという点も身をもって体験させられ、及ばずながら現在の補助金制度の確立のために私も努力をしているつもりであります。先般オリンピックを契機といたしまして、札幌の地下鉄南北線だけができましたが、私、先般も、あれの試運転を行ないますときに、経営状態、料金との関係等を調べたのでございますが、その後オリンピックの最中、その後にもオリンピックが終了後の乗客状態等もながめまして、あそこは非常に建設費が安くつきます、どうにか現在では引き合っておるという姿を見せられまして、資本金に対して何らかの手を打つことによって健全経営も成り立つものであるというふうなことを痛感したような次第でございまして、その点の理論を打ち立てての上での再建計画というものを四十八年度においてぜひとも立てたい、このことによりまして将来への経営の確立を目ざしていきたい、かように考えているような次第でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 これは、私はきょうは、冒頭申し上げましたように、時間もなるべくかけないようにという気持ちで聞いておりますので、大ざっぱなかけ足になっておりますけれども、私は四十一年の時代にこの議論をいろいろいたしましたときに、各国の状況などもずいぶん調べてみたことがある。日本の場合に、大都市交通の麻痺状態なり、交通戦争といわれる状態なりというものは、当初予見をされていた問題でございまして、明らかにこれは国の責任だという結論なんですよ。というのは、三十五年に池田さんの内閣ができて、年産百万台計画という自動車生産計画を立てたことがある。これは、アメリカの自動車の五大メーカーが最盛期を迎えた時期が、アメリカ資本主義の最盛期だったのですから。だから、あらゆる国の援助を惜しまず行なって、日産その他の自動車メーカーを育てようとした。その時代に、一軒に二台くらいに自動車が将来はなるぞということを池田さんが言ったわけであります。つまり、この年産百万台計画というものは、よけいつくって国内に売って、生産コストを下げて、競争力を高めて外国に売ろうというねらいなんですから、そうなるとこの政策から、当然ネコもしゃくしも車、車の時代が来ることを予見できたわけですね。そうすると、このときにすでに道路計画がなければならぬわけですね。はるかにおくれて、あわてて道路計画五カ年あるいは十カ年。だが、これはおそかったから、二兆円なんという金をつけてみたけれども、半分も使えない。みんな残ってしまう。道路開発ができない。つまりその大きなズレが今日に及んでいるわけですね。あとになってやろうとすると、ますます金がかかるということになる。だから振り返って、企業環境悪化という言い方は、これは国の責任をみずからそこに悪化だということばに置きかえているにすぎない。やはり思い切って国が資金的な面の措置をする。これがないと、いまの自治体の財政では、何をやれといったって、率直に言ってできない。  そこで、英国なんかの場合で、英国の港湾というものは日本の港湾とは形態が違いますが、ボンドであるとか、ビルであるとか、そういう債券、起債の方法がある。中には九十九年債などといわれる債券もある。起債がある。しかも金利は、無利子もしくはみんな三分以下ですね。九十九年債なんというのは、いわば永久債みたいなもの。つまり、そういうものを本気で国が考えなければ、都市交通政策の基本が解決をしない。だから、再建計画をお立てになって法改正をお出しになったときに、当時私は、これはずいぶん力説をした経験がある。あのときも、地方行政で藤田義光先生でございましたか、小委員会をつくって地下鉄に何がしかの補助をするという口があいたという時代。話にならぬ補助であります。だからそこらも含めて、国が抜本的にそれを考えるということでないと、やっていけないのではないかという言い方をしたのですが、いまのお話を聞いていると、問題意識はそっちのほうに向いてきている。向いてきているけれども金が伴わない。こうなんですね。  ごみ戦争といわれるその問題にしても、清掃法を改正して、地上に落ちているごみは、すべて産業廃棄物か家庭のごみに色分けされる。国がいろいろこれまた法律を提案するときに、自治体に対して口をきいた。ところが一生懸命ものは言うけれども、金は一銭も出さぬという。そういうつまり清掃対策横浜の白根というところにごみの焼却場をつくった。三十六億くらいかかるのです。ところが、三十六億かかるのに一体国は幾ら補助金を出したかというと三千万円。三千万円の補助金で三十六億のごみの焼却場をつくろうというわけですね。法的にはどうなっているかといえば、奨励補助で二五%以内になっている。奨励補助なのだから、そういう意味で幾らか出しておけばいいのだという。そういう形で三千万だという、神奈川県でさえ一億六千万も出しているというのに。そういうことでは、これは幾ら理屈を言ったって問題は前に進まない。  だから、一番のいまの都市交通中心的問題、光化学スモッグなんというものはなぜできるかといえば、都市交通のたいへんな混雑、都市乗り入れを解決できないからですよ。しかも、のろのろ運転が始終行なわれているということですから、なおもってこれはたいへんなことになる。そうなると、やはり抜本的にどう国が金を考えるかということですね。そこに問題の焦点がなければ、これは幾ら学者を集めてものを言って一つのビジョンを出してみたって、運輸の答申と一緒で、じゃ長距離路線をやめて短距離路線にみんな編成がえをしてみたって、地下鉄網は一体いつできるのだということになると、これは絵にかいたもちになってしまう。ですから、そういう意味で、国が思い切って下水道なんかを、三十八年でございますか、法律をつくったのですが、借金の第一号は横浜ですが、市長にすれば、市民の税金を使うのですから、たいへん金がかかる地下下水道なんというものは、しかも表に見えない、そういうじみなところにたいへんな金をかけることは、市民相手の政治をやっていく上でプラスかマイナスか危ぶむ人もいるけれども、しかもだれかがやらなければならぬのだということでやってきたわけですね、金を借りて。だから、そういう制度をつくってもらえば、例の地下下水道整備に関して国が金を出すというような形で、もう少し突っ込んだ制度をつくってもらえば、その借金の第一号になっても、思い切って地下鉄路線というものをもっと早急につくって進めていくことはできるのですね。  だがしかし、そういう手が打たれないということになると、さっき申し上げましたように、さっきお話がございました三八%ということになりますと、それは自治体の側としても、市民、市議会を含めましてなかなか問題は多いところでございますから、せっかく川を埋めて、だから経費がかからない、キロ当たり三十億だ。しかしやってみると四十五億になる。さらにそれでキロ当たりおさまらないということになる。  そういう苦い経験があるのですから、どうかひとつそういう点で、いまおっしゃった理屈はわかるのですけれども、基本的な問題として思い切って国が金を考える、ここが一本抜けていやせぬかという気がする。だから、そこのところをもう一ぺん、くどいようですけれども、お答えおきいただきたい。
  28. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私は、その点におきまして、ややもすると現在の縦割り行政の弊害でございまして、各省はできるだけ仕事をやりたい、しかし国の財源にも限度がある。やむを得ないものでございますからわずかの補助しか出ていかない。地方自治体は、やむにやまれぬものでございますから、わずかな補助でももらうことによって事業を行なっていく、そのために赤字も出す、やりくりもする、それが今日の地方自治体の苦しさの実態になっておるのじゃなかろうか、かように考えております。私たちは、そのために、各省協力を求めることによりまして、地方財源と見合った補助金、それらを要望していただくようにお願い申し上げておる次第でございます。  しかし、その一歩前に私は、これを国の財源で見るべきか、地方の財源で見るべきか、これは財源配分の操作でございまして、何も、下水にいたしましても本来市の固有事務として取り上げた場合、補助金あるいは奨励補助とかなんとかという形だけではなく、それだけの財源を与えるということを考えたらよろしいのであって、その面ではまず、国にしろ、あるいは地方財源にしろ、いずれにしても交通に対してこれだけのものは公共団体が持たなければならない分野である、これだけは利用する市民に負担金として受け持ってもらわなければならぬ料金であるという体制をはっきりすることによりまして、その一般会計——これは国、地方団体を通じまして、すべきものをまず明らかにするということからかからなければ、いま大出さんからお話ありましたような、国がわずかばかりの資本金を出して地方団体に対して迷惑をかけるというような姿に終わってしまうのではなかろうかと思います。  その一般会計から出す割合を理論的に研究会等で生み出していただくことによりまして、財源配分の問題で、あるいは補助金の形になりますか、あるいはこれを地方財源の中からまかなっていくか。現実に私もことしの予算執行をやらしていただきましたが、大都市に対する交付税の配付のときに、その市の経営状態にかかわらず、地下鉄をやっておることがそのまま交付税の算定の額の基準になっておるというふうな姿を感じまして、びっくりした次第でございまして、どの姿で財源をどう受け持つかということは別といたしまして、少なくとも理論的に一般会計から負担すべきものを確立し、それを今日、国、地方の財源に振り分けてやることによりまして、この交通問題の根本的解決をはかるという方策のもとに出てこなければ、解決し得る問題でない。  ただ、そのときの一番むずかしさは、いま大出さんも御指摘になりましたように、あまりにも都市環境が、道路その他がおくれておりますので、そういうような根本策を立てましても、なお道路のおくれのために、あるいは路面電車、路面バスの効率が減らざるを得ない、あるいは、地下鉄の一定期間のなにがおくれますために効率があがらないといった部面の赤字すら生まれてくるのではなかろうか。こう心配しておる次第でありまして、それらの理論的な体系的裏づけをひとつつくっていただきまして、その上に立って再建計画をつくらしていただきたい、このように考えておる次第であります。
  29. 大出俊

    大出委員 これは基本的な論議をしなければならぬ問題なんですが、時間の関係であまり深く入りませんが、ただもう一点だけ申し上げておきます。  これは、いま金の話に触れたやりとりになりましたが、一番逃げやすいのは一般会計ということなんですよ。ところがそうではなくて、ほんとうは大都市は、たとえば東京の美濃部さんのところで都民税を払っていて横浜へ入ってくる人、まだ横浜には市民税も何も払っていないこの人が、さあ道路をつくれ、学校をつくれ、何をしろということになるわけです。そうなると、周辺の都市というものはどうにもならない財政状態に追い込まれるわけですよ。だから、一般会計という逃げ方しかなくなるのだけれども、これは鎌田さんが財政再建計画をお立てになったときに、しからばなぜ一般会計と切り離すという話をやってこられて、また一般会計に戻るということになるか、これはお互いに苦労したのだからその意味ではいい。また将来の展望を持ち合わせた上でたいへん役に立っております。その点で否定はいたしませんが、ここへ来て一般会計にまた逃げるというなら、なぜ再建計画を始める当初にそこまでの展望を持たなかったかということになる。そうでしょう。だから大都市の特別交付金でも国が考えるというなら、都市交通というもの中心に国が考えるというなら、また話はわかる。  その理屈は、一番行き着く先はどこに行き着くかというと、税源配分なんですよ。シャウプ勧告以来、市町村というものは、御承知のとおりに中心は住民税と固定資産税しかない。この理屈は安定財源だという。だけれども、世の中、景気がよくなったからといって、この二つの市町村の税金というのはふえやしない。そうなると、税源配分の一番基礎に触れなければならないのですよ。十一兆四千七百四億円の大型予算を組んで、しかもその背後に五兆七、八千億に及ぶ財政投融資を見込んでおるわけでしょう。しかも公債を発行しているわけです。この公債発行だって、関門トンネルだとか北海道の電源開発。池田さんのときに、たしか四十年ですかそこらですが、赤字公債というのはこのときに初めて禁を犯したわけです。以来のふえ方を見ていると、われわれの側からすれば非常に心配せざるを得ない方向にも動く。だが、国民の側、市民の側から見れば、思い切った大都市交通整備の財源のために赤字公債を発行するというならば、これは実際は納得できるんですよ。だからそういう意味で、自治体に安易に一般会計へと言わないで、やはり財政措置というものを、間接的社会資本の充実、それらのものを国が考えるというのでなければ、また国が口だけ出して逃げるということになる。せっかくお立てになった鎌田さんがおいでになるんだから、いまそこに触れて考えなければ、私どもはじめ納得しないですよ。公営交通問題研究会が七日に発足したということですが、この発足にあたって、そこらのところまで触れて考えるのでなければ、どうもまた安易な解決にしかならぬという、本件はさっぱり進まない、不良債務は消えていかないという、長期展望を持たないままに暗中模索をすることになるということが目に見えた感じがするので、この際その辺のところまで申し上げておきたいということで質問している、こういうことなんです。
  30. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ことばが足らなかったのですが、私も同じような考え方をいたしております。一般会計と申しましたのは、国の一般会計、地方の一般会計を合わせての分でございます。いま例にあげました交付税における地下鉄出資金の算入等も、また起債の利子補給というものも、言われましたような意味で出しておるために申し上げた。残念ながら、他国でやっておりますように無利子と——日本の制度におきましては、無利子ということにしますときには、一定の資金運用部の利率がございまして一それから割る分は一つの政策として、補助金と申しますか、負担金という形で一般会計から出しておる。私は、財源配分の問題、これは税源の問題までのぼらなければならぬ、こう思いまして、今回も、いま御審議賜わっております地方制度調査会に、長期的展望に立ったものをやっていただきますために、特に委員の任期を二年間に一年延長していただくということをお願いしたわけでございます。そのような観点から、いま仰せになりました、現在の都市財源の充実ということを長期展望に立って見ていただきたい、このように考えお願いしておるような次第でございます。  なお、いま大出さんが外国の例をあげられましたが、欧米に比べて百年春おくれております社会資本のおくれを取り戻すためには、単に財政的なワク内でもの考えてはどうしても措置できない。むしろ日本の経済全般の中から、民間にいままで使われておりました資金というものを公共のほうへ振り向けていただくという意味において、この社会資本の実行に移す地方団体が大胆に民間資金を受け入れるという体系をつくらなければならぬというふうに考えておるものでございまして、その民間資金をいかに長期に安く手に入れるか、これは制度としてわれわれが考え、実際の利用をその使います地下鉄なら地下鉄の資金コストに合わして私たちがそれを考えていかなければならぬ。そんなことまでも触れて検討していただくつ要はそういった意味におきまして、国、地方公共団体が資本費として受け持たなければならぬ部分を、一般会計という意味に含めて言わしていただいたのでございまして、御趣旨の点は十分考えまして、財源計画検討を研究会等において議論していただきたい、かように考えております。
  31. 大出俊

    大出委員 もうやめますが、いまの民間資金の受け入れという問題も実は検討してみる必要があるのですよ。たとえば住宅公団などはいい例でして、当初は国が相当考えてきたんですが、途中からだんだんその金をしぼってしまいまして、保険会社だ何だという民間資本がどんどん入ってきた。結果的にそれはどうなるかというと、コスト高につながる。だから、民間資本の受け入れのあり方についても、そこらをよほど押えてかかりませんと、そういう構想を立てたが、しかしたいへんにコストの高いものになり、そのしわはどこに寄るかというと、また自治体に寄る。自治体に寄るというのは市民に寄るということですから、利用者負担という原則が出てくるのですから、そこらのところもあわせて考えなければならぬ。  問題はいろいろありますが、せっかく昔こしらえた制度調査会、それ以上の規模をお考えのようですから、地方行政その他の政策にお詳しい渡海さんのことでございますので、どなたがあとおやりになるにいたしましても、やはり将来展望を持てるように。それなら職場諸君はがまんできると思うのです。赤字累積不良債務がどんどんふえてくる、ふえるばかりで減らない。そうして、やれ路線の上下を詰めろとかいうことで、実は需要の面からいえば、たいへんに需要があるのにこたえられない。年じゅう文句ばかりいわれている。そういう状態で、しかも賃金に触れられる、がまんがならぬということになるのですよ。将来展望があれば、それじゃそれまでお互いにその展望に乗っていこうということにもなるのだけれども、そういう意味では、今度こそこれならばやれるという、大きくは資金の裏づけですが、そういう結論が出てくるようにぜひともこれは御努力をいただきたい。どなたがあとにおやりになるにしても、その点だけは御努力いただきたい。  そこで、いま発足いたしました公営交通問題研究会は、しからばいつまでに答申を出すのか。時期的に非常に急がなければならぬと私は思うのですが、そこら辺は一体どうお考えでございますか。
  32. 鎌田要人

    鎌田政府委員 明年度の抜本対策でございますから、できますれば八月の概算要求のときまでに結論をお出しいただけると非常にありがたいわけでございますが、これはきのう発足いたしまして八月と申しますのは、委員先生方に対しましてもやや失札かと存じます。私どもといたしましては、大体十月までに取りまとめをお願いいたしまして、それに基づきまして予算を要求する、こういう仕組みをとりたいという予定でおります。
  33. 大出俊

    大出委員 たいへん精力的な鎌田さんのことでございますから、ぜひひとつこれは急いでいただくのど、あわせてこの間、いろいろな心配が、私どももそうなんですが、関係団体に出てくると思うのです。だからそこらは、なるべくひとつ、関係団体等の意見なりあるいは申し出なりというものを聞いていただく。そうして、それもできる限りその論議の場所にのせていくという配慮をいただきませんと、出た結論に基づいて総合戦力を発揮してみんなでやらなければならぬわけですから、またそこで問題が起きてまいりますので、どうかそういう運営のあり方についても、ここでいろいろな人の意見を聞くような場所もおそらくおつくりになると思いますけれども、ぜひひとつ皆さんのほうで配慮をいただいておきたいものだという気がいたします。これはお願いでございます。  ごく大ざっぱではございますが、基本となるものの幾つかを実は申し上げたのですが、さて横浜のような自治体の立場からすると、じゃ当面どうするかという問題ですね。将来の展望はさておきまして当面どうするか。  これは、四月の段階でございましたか、三月の末でありましたか忘れましたが、渡海大臣鎌田財政局長にたいへん御努力いただきまして、私ども横浜の出身の参議院側二人、審議会の代表二人を交えましてお願いに行った経験がございます。そのあと横浜の市長ともずいぶん相談をし合ったわけなんですが、私がその前に鎌田さんに質問をいたしましたときに、当面、財源計画をいろいろやって努力してきたんだが、ここから先、新しい累積赤字に触れて、これを片づけるとすればどうすればいいんだ、財産は売ってしまってない、路線を撤廃しろといって撤廃してしまってない、いわゆる合理化をやれと言ったからぎりぎりまでやってきたが、これもこれ以上というわけにまいらない。その間の自治体の管理者側、経営者側の御数力は認めていただくとして、さて当面の解決のために何かあるかといったら料金に触れる以外にないだろうという。いま私が自治省の立場で申し上げるのはいかがかと思うけれども、論理の詰まってまいりますところ、料金に触れざるを得ない。それじゃ幾ら上げたらいいのだ、言ってくれと言ったところが、それは言えぬと言う。ここで論議一つある。それは、再建計画を立てて責任を負ったのは歴代の自治大臣でございますから、それで忠実、不忠実はありますけれども、それなりにできる努力を六大都市理事者側はしたと思われる。そこで、当面、さっきお話しの新規赤字が出てきているとすれば、料金に触れるにあたって、非常に重なっておりますだけに、市民に与える影響もあるのだから、自治省料金を上げるしかないのだということを明らかにして、五大都市なり六大都市のカルテを書いて、あなたのところはこれぐらい上げなさいとなぜ言ってくれぬかということを私は言った。それは言えぬとおっしゃる。  私は、ここらあたり、きわめて国の不親切さが目立つと思うのですよ。長年一緒にやってきたのだから、それならば、再建計画責任者である自治大臣横浜市なら横浜市は幾らぐらい上げなさい、こういうふうに言わなければならぬ筋合いだと思っている。ところが、それをおっしゃらない。おっしゃらぬから自治体の側は考えざるを得ない。そこで考えて、さてぎりぎりの詰まったところで、自治省、どうしたらいいのですかと言ったら、なるべく早くしてくれぬかと言う。それしかないのだからと言う。かといって、地方議会を通らぬものはこれはしようがないですから、そこらのところもずいぶん考えて、東京側はもう少し先に行きましょうというわけですから、横浜市も地続きですから、もう少し先に行きましょうと言いたいところなんだけれども、そこをひとつ踏みとどまって、社会党のぼくらがこんなことを言うのはおかしいけれども、背に腹はかえられない、とめてしまうわけにいかない、そうだとすれば、市民負担になるけれども、何とか考えざるを得ないということで、七月から何とか五十円ぐらいのところでいこうということで、市議会がいろいろもめまして、賛否の政党問の対立もある中で、かろうじて七月から年内は四十円にしようじゃないか、そして一月からは五十円にしようじゃないかということになった、反対意見もたくさんある中で。  ところが、さて、事務的にはこれはさっぱり進まぬで、これを運輸審議会で通常にやれば最小限度三週間かかるとすれば、今日、七月には間に合わない。だから、一昨日私は丹羽運輸大臣に、これはどうしてくれるのだ。私はあのときに野村自動車局長ともずいぶん話をしたはずだ。経済企画庁がとおっしゃるなら、内幕をぶちまけてもいい。宮崎局長と再三私は話をした。率直のところ上げざるを得ないでしょう、しかし当面ちょっと待ってくれと言う。つまり、経済企画庁ここにありと一言言わなければ、ぐあいが悪いということです。しかし腹の中はわかっている。運輸省のほうも、いやそうでしょう。野村局長のことばを聞いてみれば、自治省皆さんに聞いてみます。聞かなくたってわかっているじゃないかと言ったら、それは実はわかっているのだけれども、聞く形にはせざるを得ぬと言う。これはみんなわかっている。わかっていながら、一体何でこういうずらせ方をするのだ。自治体のほうは九月の補正を考えていて、それに向かって四苦八苦して、市議会の全員協議会なんかをやっている。説明のしょうがないじゃないか。あんなに大騒ぎをした市民を前に置いて、自治省の方針に乗ってせっかくここまで来たものを、責任者運輸大臣じゃないか、だから、おくれたらおくれただけの予算上の目減りというものは、歳入欠陥というものは、運輸大臣、あなたが負いなさい。あなたが大蔵省から金をとってきなさい。そうでなければ、上げると踏み切った以上は市民に申しわけが立たぬ、そういうふうに申し上げた。  おくれることは、市民は安くて済むからいいけれども、市民の足である公営交通赤字解消には役立たぬ。とすれば、やはりどこかを縮小するとかなんとかしなければならぬことになると、市民に不利益がはね返る。だから、そういう観点でとらえて、一体運輸大臣責任はどうなるのだ、こう言ったところが、や実は四大都市バス料金値上げというものは、物価に対する寄与率のみならず、たいへん大きな心理的な影響がございましてと言う。それで私は丹羽さんに、そんなことを言うのならば、物価に対する寄与率から心理的影響が大き過ぎるものは、あなたが提案している国鉄料金じゃないか、何ということを言うかと言ったら、それはごもっともでございますと言う。それじゃ、国会国鉄運賃法といろもの審議しているからいま困ると言うのか、もう少し答弁のしかたがあろうと言ったら、いや、そこまでおっしゃるのであるとすれば、私もあなたの意見を同意見でございますと言う。同意見だと言えば、運賃法を審議しているからということになってしまう。そうでしょう。それじゃわかった。わかったが、そこから先、運賃法が通ったら——十六日になれば上がるのは間違いない。佐藤総理国鉄出身なのだから、通るに違いない。そこから運輸審議会が始まるとして、三週間かかったら七月には間に合わない。そうすると、各自治体が公聴会も開き、いろいろやっているのだから、自治体で議論してきているのだから、そんなものは省略をして七月に間に合わせる方策はないのか、その責任を負いなさい、こうぶつけてある。全くごもっともだと言うのだが、はたしてどこまで運輸大臣やっていただくか、これはわかりません。  だから、基本政策をお出しになっているのは自治省であり、再建計画責任者自治省なのだふら、その意味自治省にも責任なしとしません。そういう意味運輸大臣に私は聞きましたが、あわせて自治大臣からも、一体この時点で値上げ問題をめぐって——おくれることは市民にとって、ふところ勘定からすればプラスですが、あわせて公営交通の当面の解決策はおくれることになる。歳入欠陥が出てくることにもなる。だからそこらのところを、一体自治省はいかなる責任をおとりになるのか、何が間違っても七月に間に合わせるとおっしゃるのか、そこのところを承りたい。
  34. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いま丹羽運輸大臣との質疑応答の模様、詳細をお聞かせ願いました。私からも御礼を申し上げたいと思います。  実は、この横浜料金値上げにつきまして、大出さん直接私のところへ参られまして、きめた以上は、運輸省並びに経済企画庁の了解を求めて責任を持って自治大臣申請どおりのものをやってくれと、だめを押されたことも私、承知いたしております。私たち、いままで、現在の都市公営交通の苦しさをよく知っておる、しかし、国のやるべきことをやってくれ、やってくれと言うだけで、いたずらに自分の努力をしていただかぬようなことでは私もできない。まず料金も、市民に対して申しわけないであろう、また議会に対しても苦しいであろう、しかしやってください、そのかわり、私も国のやるべきことは要求いたします、こういうふうに、就任以来、市長さん方とお話ししてまいったような次第でございます。その意味からも、私はもう昨年から五大市の動き、東京都を入れまして、そのときにはスムーズに申請ができるように、運輸大臣あるいは経済企画庁長官に連絡をとってまいったつもりでございます。  実は、今回の申請も四大都市になっておりますが、その中で京都は五月からということになっておりましたので、五月一日から実施するためにはもう行動をせなければならぬ。三月末の段階におきまして運輸省と話し合い、運輸省としては、その当時、京都は五月からの申請になっておるが、市会の附帯決議で七月一日からということもあるし、ほかの市の申請が七月一日からになっておるので、あわせて七月一日から実施したいというふうな御意向であるということも承りまして、さっそく京都とも連絡をとりまして、市の理事者の同意を得まして、七月一日ということでいくというようなこともございました。その後、七月一日に向かいまして、ぜひとも実行に移していただくように関係各省にお願いをし、今日まで至っておるわけでございます。その問いろいろ市当局の皆さま方からの、また関係方々からの御援助も得まして、私たち、この七月一日実現のためにあくまでも邁進したいと、いま、財政局というよりもむしろ自治省あげて取り組み、関係各省と折衝を重ねておる次第でございますので、今後ともその線で努力いたしますので、ここに関係の辻先生もおられますが、お願い申し上げたいと思う次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
  35. 大出俊

    大出委員 渡海さん、この八月には御存じのとおり人事院勧告がまた出るわけですね。実は昨年の人事院勧告というのは一一・七四で八千五百七十八円という勧告なんです。ところが、一・〇六ぐらい昨年に比べて本年の春闘というのは落ち込みました。それでも落ち込みが非常に少ないのですが、一・〇六ぐらいですね。そうすると、昨年の一一・七四で八千五百七十八円の人事院勧告は、本年どのくらいの勧告になるかという見当はつく。私は何とか九千円まで持っていけという言い方なんですが、一〇・七七という勧告になると九千円をちょっと出る。ところが、公労協の中で国鉄、国労の関係が、裁定は三百十二円昨年より金額で多いのです。そうすると、八千五百七十八円の勧告を出した人事院は、プラス三百十二円を考える。とすると、これは八千八百八十九円になるのです。いまからこんな勧告が出ると言ってはぐあいが悪いんだけれども。そうすると、これは一一・一七になる、人事院のいまのふところ勘定から言っても。あと、公務員の諸君がもっと上げていこうというのですから、それ以上上がるということを見なければならなくなる。そうすると、公営交通において、財源が給与において一体幾らかかるかということがわかる。そうでしょう。これはそういうものをかかえている。そうすると、公務員の退職金なんかでも、三十年勤続で五百五十五万くらい。民間が六百二十万くらいですから、だから六十万くらいは上げろと言いたいのです。これは一ぺんにやめるのじゃないのですからいいとして、すぐそういう新規財源も要ることになる。そうすると、何がどうあっても働く人のことも考えなければいけませんので、七月からずらされては困るのです。これはきめた以上は、いみじくも大臣おっしゃったように、私は確かに念を押したはずです。これでいこうじゃないかということになったら、そのとおりいってくれぬと、いろんなことになるのでまずい。何と言われてもそのとおりやってもらいたい。われわれの側でもそういうことで努力をする。いろんな努力をしてごらんになって、御存じのとおりに出されていくんですから。だから、その点はもう一ぺん聞きますが、七月に間に合いますか。この点、いかがでございますか。
  36. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 必ず間に合わさなくちゃいけないという覚悟で現在折衝に当たって努力を続けておる、これが現状でございます。
  37. 大出俊

    大出委員 そこで切ります。お答えとしてはそれでけっこうですが、そこまで言っていただければ、ずれたらその責任はどうするんだという言い分が私のほうには残りますが、これはお答え要りませんが、そのことを一つ申し上げまして、格段の御努力をいただきたいということをつけ加えさせていただきまして、終わります。
  38. 坂村吉正

  39. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、週休二日制の問題と定年制の問題について質問したいと思います。  まず、その前に、この法案の中身についてでありますが、この委員の任期を一年である現在の期間をさらに一年延ばす、いわゆる一年を二年の任期にするという法案でございますから、きわめて簡単明瞭で問題はないように思います。ただ、聞くところによりますと、地方制度調査会というものはきわめて重要な存在であって、これは地方自治あるいは地方自治体のすべてのものが決定されていくという問題を答申させる機関、また、そういうような意味から申しましても、委員の選定、その委員審議する問題は、きわめて重要な問題があるように思われます。ただしかし、この調査会がそういう重要な問題を討議するにあたって、何か聞くところによりますと、一回が五千円程度の委員に対する手当といいますか、そういうものがきめてあるというようなことも聞いたわけであります。しかも委員によって、あるいはまた、調査会の中に小委員会でも設ければ、議題によっては一年に二十回もやるときもある。こういうことになりますと、一年のうちに二十回もあり、しかもそこに出る前には相当の研究や勉強や調査をしなければならない。そういうことから考えますと、きわめて安い報酬で重要な議題、大事な問題を審議してもらう。これは、そういう委員会の持ち方、あるいはまた、その手当の出し方にいささか問題があり過ぎる、このように思うわけであります。いまの面から言いまして、一年を二年にする、しかも二年でなければならないというその問題について、まず初めに伺いたいと思います。
  40. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御承知のとおり、このごろの社会経済の変動というものはたいへん激しいものがございますし、これに対応する地方行財政のあり方というものは、非常に変化のきびしさを加えておるのが現状でございます。御承知のとおり、地方制度調査会というものは、そのような地方の行財政運営の根本に触れての御審議を賜わるために設けられておる委員会でございますが、現在の運営状況をながめますと、ややもすると、当面する問題の変化があまりにも激しく、議題が多いものでございますから、いま仰せになりました、一年間に小委員方々なんかは二十回以上も御出席を賜わる、しかもやっていただく議題というものが当面の問題だけにとらわれてしまうというふうな姿が現在の運営の姿でございます。しかし、地方行財政の運営のあり方というものは、単に当面の問題だけで解決すべき問題でなく、今日の状態からながめましたなれば、すべての問題を長期的展望に立って考えていただかなければならない転機の時代に立っておるのでないか、かように考える次第でございます。したがいまして、任期を二年にいたしますことによって、一方では長期的展望についての御審議を賜わりながら、他方、当面する問題を考えていただく。そのためには、任期が現在の一年ではそのような御審議を賜わるわけにいきませんので、二年にすることによりまして、長期的な展望を御審議賜わると同時に、起こってまいります短期的な当面の問題についてもあわせて御審議賜わるという運営の行き方にしていただきたい。そのような意味で、今回、任期を一年延ばすことによってそのような問題の解決をはかる審議をしていただきたい、このように考え、二年にいたした次第でございます。
  41. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 地方の財政問題、制度の問題については、これ以外の調査の機関というか、何かございますか。
  42. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 地方制度調査会は総理大臣諮問機関でございます。これとともに、総理大臣諮問機関でありますところの税制調査会、これは地方税もあわせて御審議賜わることになっておりますので、大体この二つが一番重要なる審議会であります。
  43. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理大臣諮問機関自治大臣諮問機関ですか。
  44. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 税制調査会並びに地方制度調査会、ともに総理大臣諮問機関でございます。片っ方は税制だけでございますが、地方税もあわせて御検討賜わっております。地方制度調査会におきましては、税を含めて地方行財政運営の一般的な総括しての御審議を賜わっております。
  45. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ですから、これが非常に重要な諮問機関である、これは私も率直に認めますよ。ですから、この調査会というものが、最近、先ほど大臣からも説明がありましたけれども、たいへん長期にわたって審議することもある。一年では当面する問題だけしか審議できないので、やはりそういった問題について長期に取り組む、そういう面から二年にする、この趣旨はわかるのです。ですから、私が申し上げたい点は、この委員に選ばれた方々、これは五十二名ほどで、衆参両院議員あるいは学識経験者並びにその他の方々含めておりますけれども、非常に処遇が悪いということを私は言いたいわけですよ。それほど大事なものを、しかも、最近の複雑多岐にわたる諸問題をこの調査会で問題にしいろいろやっていく上において、一回当たりが五千円である、こういうふうにきまっておるわけですね。片手間にやるならば、あるいはまたこういった問題について時間がある人がひまにまかせて参加して審議するならば私はいいと思うのですが、これほど重要な問題について、そしてまた専門家を必要とするこの調査会において非常に処遇が悪いのじゃないか。たった五千円で二年間も縛って、しかも問題によっては長期にわたっていろいろこの調査会でやっていくということについては、委員の立場に立った場合、たとえば私が委員になった場合には、あまりにも処遇が悪いので不満です。それについては大臣どう思いますか。
  46. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 実は政府のこのような諮問委員会というものは、総理府のほうで統一してその単価をきめておられるという姿で、その拘束のために、地方制度調査会の委員先生方もいま申されましたような数字になっております。そのほかに実費弁償をさしていただいておりますけれども、それにいたしましても、いま伊藤委員の御指摘のとおりの姿でございます。私たちも痛切にそのことを感じております。国務大臣という立場で、私もその意味でもできるだけ、まあ順次ふやしていただいておりますが、上げていただくように所管の大臣等にお願いしておるわけでございまして、今後ともにそのような努力をさしていただきたいと思いますが、全部の統一単価でございますので、ひとつこれだけという姿にはまいりません。しかしながら、統一単価でございまするから、その統一単価そのものを上げるように、閣僚の一員として今後も努力さしていただきたいと思っております。
  47. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、きまっているからしようがないんだという行き方は反対ですね。たとえば制度とか法律というものは確かにそういうふうな画一的なことを常にやるわけですよ、全体の財源を押えるために。それはよくわかるのですが、やはりケース・バイ・ケースでこれは弾力的に考えなければ、いいものが答申されませんよ。たとえば法務省などの人権擁護委員、これは非常に安いのですけれども、一年に一回であるというのなら話はこれまた別です。小委員会つくり、いろんな問題を審議するにあたって、それこそしょっちゅうその小委員会が開かれる。そしてその小委員会に参加した以上は、そのときに問題が出たことについて、そのときに勉強し、そのときに考えて答えを出すのじゃなくて、出るからには、それだけの準備、それだけの研究、それだけのいろいろなものを勉強し時間をさいて、そして結論を持ってそれぞれの専門委員は集まるわけでしょう。ですから、月に一回開かれる小委員会の運営というものについては、やはりそれ相当のいろいろな問題を研究しながらそこで委員が発言をしていく。大体専門家というのは、一つの問題についても、テーマによっては勉強し、研究をいろいろやるわけでありますから、現在のような、きまっているのだから五千円でしかしようがないのだ。——実費弁償というのは旅費だけでしょう。そんなことじゃいい委員は出てこない。しかも地方制度調査会ともう一つは税制調査会ですか、これ二つしかない。地方における行財政のいろんな重要な問題を審議するにあたっては、やはり優秀な専門家委員によって構成され、そしてりっぱな答申案を常に要求される立場でありますから、私はそういうような処遇ではいけない。実費弁償とは旅費だけでありますけれども、やはりほかに方法を変えてこれは取り組むべきじゃないかと思うのです。その点、いかがですか。
  48. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御承知のとおり、これは総理大臣諮問機関でございまして、そういった予算面の分は全部総理府が所管するということになっております。しかし、やっていただいておるのは自治省の仕事でございますので、いまも申しましたように、国務大臣の一人といたしまして今後ともに——ただ、総理大臣諮問機関としてわれわれに関係するのはこの二つでございますが、それ以外の諮問機関もたくさんあろうと思います。それが、いままでのところでは、先ほど答弁さしていただきましたように、総理府が所管しております報酬は、毎年わずかでございますが、ことしたしか五百円上がっておりますが、伊藤委員御指摘のようなあれであるということでございますので、私も実際のところ、自分のところでやっていただきます委員を、他の諮問機関委員と比べてこれだけにせいという御議論でございましたけれども、その点は、必ずしもそうすべきであるかどうか、一ぺんよく検討さしていただきますが、少なくとも、総理府の所管しておられる総理大臣諮問機関、その単価があまりにも低いじゃないかということで、閣僚の一人といたしまして、いままでもお願いしてまいりましたが、今後も続けてお願いしてまいりたいと思います。
  49. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 処遇改善をもっと急激にやりなさいということを要望しておきます。要するに、きまっているのだからそれしかあげられないのだという考え方、これは問題だといまも言っているわけです。ですから、自治省でそれだけの調査、研究をしてやる場合には、やはりそういうものを別ワクに考えて、調査費であるとか研究費であるとか、そういうものが出せないものかどうか。実費弁償、これは旅費なんかに限られちゃっているんじゃないですか、いまのところ。ですから、そのほかにも出してあげるべきじゃないかということです。それだけ要望しておきます。大臣は努力するとおっしゃいましたから、それを含めて検討して、前向きで今後の問題として取り組んでいただきたいと思います。
  50. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いまそれだけの発言をするためには、それだけの調査、研究をしなければならないのじゃないか。実費弁償が単に旅費ということだけでなしに、研究費の分も自治省から出せ、それだったら、各委員会各省に対して問題も起こってまいるかと思いますので、検討はさしていただきますけれども、その点はむしろ、伊藤委員御指摘のように、現実の姿と比べましてあまりにも低いのではないか。ただそのためにりっぱな先生方が得られないというおそれがあること当然でございますが、現在私たちが感じておりますところでは、その点は先生方にはまことにお気の毒なのですけれども、費用の点は割り切って、大体私たちがお願いしたいと考えております方の御協力を得まして、むしろ先生方の犠牲と申しますか、それによって御協力を賜わっているというのが実態であるということだけ申しておきますす。
  51. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それではこれに関連しまして、週休二日制について伺いたいと思います。  私は、さきの内閣委員会において、労働省設置法のとき、労働大臣から週休二日制について話をいろいろ伺いました。原則的にはこれは今後行政指導やあらゆるところで推進するというお話があったわけであります。そこで現在、自治大臣所管の愛媛県庁で、すでに週休二日制を実施しているわけですが、まずその実態について簡単に伺いたいと思うのです。
  52. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 愛媛県の週休二日制の実態について御説明申し上げたいと思います。  愛媛県は、御承知のように、昨年秋、知事選挙がございまして、知事に新しく白石さんが就任をされたわけでございますが、白石さんはかねてから、週休二日ということを頭に置いていろいろお考えになっていたようでございます。昨年の暮れに私どものほうにも御相談がごございまして、本年の一月からいわゆる週休二日制というものを愛媛県においては実施をしているわけでございます。  で、その週休二日制の趣旨でございましたが、愛媛県といたしましては、一つは住民サービスの向上をはかっていく。御承知のように、現在は公務員の勤務時間、土曜日は半日でございます。土曜の午後というものは職員が原則として勤務をしない、こういうことになっているわけでございますけれども、そういたしますと、やはり土曜の午後にいろいろ役所に用があるというような住民にとりましてはたいへん不便であるというようなことから、第一番目に住民サービスの向上ということが、週休二日制の一つ考えの基礎になっているようでございます。  それからもう一つは、職員の福利増進と申しますか、そういうような観点でございます。ことに地方庁は、御案内のように汽車で通勤をする人間も多うございます。そういたしますと、土曜は通勤時間にかなり時間をかけて、しかも勤務時間はきわめて短いというような観点もございまして、職員を隔週に土曜を休ませることによって職員の福利向上をはかっていきたい、こういうような点があったようでございます。  そこで、そういうような観点から本年の一月から実施をいたしたわけでございますが、週休二日と申しましても、勤務時間といたしましては、二週を通じて八十八時間という勤務時間は変えておりません。職員を二つに分けまして、ある職員はある週、土曜午後五時まで勤務をいたします。次の週はその職員は土曜は休み。こういうような形で、二週を通じて八十八時間という現在の国家公務員の勤務時間の長さ自身を変えておりません。この中でそういう運営をはかっていく、こういう実態でございます。
  53. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ぼくは、週休二日制をやってどんな成果があがったのか、ということを聞きたいわけですよ。あなたのいまおっしゃること、さっぱりわからないわけですけれども、隔週ごとにいまやっているわけですね。それで率直に申しまして、何が問題なのか、よかったのか悪かったのか、その点もう少し自治省なんかで検討する必要がありはしないか。よかったら推進すべきだと思うのです。しかも愛媛県庁だけとは言わないで、東京都であるとか、もっと首都といわれるようなところで試験的にやってみる必要があるのじゃないか、そう私は思うのですがね。まず、さっきの点について伺います。
  54. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 いわゆる週休二日制をとった効果なり何なりでございますが、これはやはり、県のほうでもいろいろ心配をいたしておりまして、アンケート調査をとりましてというようなことをやっております。私どものほうにも、その一部、報告が来ております。なお、現在いろいろ各方面の反響を研究をしておるようでございまして、反響といたしましては、大体、全般を通じますと好評のようでございます。職員の側から見ましても、特に労働強化になるというふうには考えていないような回答が多いようでございます。それから一般の県民からの賛否にいたしましても、賛成のほうが多いというような模様でございます。  そこで、さような状況であれば自治省としていわゆる週休二日に踏み切ったらどうか、こういう御質問でございますが、これは申し上げるまでもないと思うのでございますが、私どもも、基本的な認識は、特に世界的な国際的な環境から申しまして、日本の労働関係も、民間、公務を問わず、いずれそういう時期が近いのではないか、こういう認識は持っております。しかし公務はやはり住民に対するサービスでございます。民間の企業におきましても、まだそれほど普及、徹底しているというふうには思われませんので、先憂後楽と言うとたいへん思想が古いわけでございますけれども、やはり公務員に対する国民感情というようなものもございましょうし、それから地方公務員につきましては、これも御承知かと思いますが、勤務条件につきましては国家公務員と大まかなバランスをとるというような法律上のたてまえもございます。そういう点から私どもも、大勢の方向といたしましては、いずれそういうふうになるであろうというようなことで、いろいろ資料も集め、また愛媛県等の措置につきましては、私どもも私どもなりに前向きに措置をしたと思っておりますけれども、まだ、一般の地方公共団体なり全部を通じまして、積極的にこうあるべしという指導をするまでには至っていない、率直に申しましてそういうことであります。
  55. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 アンケート調査をとったのなら、それは公表もしてあるのですか。してなくても、とにかくとった結果はまとめたわけでしょう。それをちょっと伺いたいのですが……。
  56. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 これは愛媛県がいたしましたアンケート調査でございまして、地元では公表いたしております。私どももその控えと申しますか、その要約の一部を私いまここに持っております。
  57. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その概要をちょっと説明してください。
  58. 叶野七郎

    叶野説明員 ただいまの愛媛県の週休二日制に対するアンケート調査の結果の概略を申し上げたいと思います。  愛媛県で実施いたしましたのが四十七年の一月八日からでございます。大体三月程度までの実施状況につきまして、県民の意見といたしましては、県政モニターというのがございますが、その県政モニター二百五十人につきまして、県民の意見ということで聴取してございます。  私たちのところに届きました概略を申し上げますと、県民サービスの向上になったと思うかどうかということにつきましては、大体六〇%程度の人間が、思うという発表をしてございます。それからこの週休二日制の制度自体に対する賛否でございますが、賛成が七六%、反対が九%。そのほかの人間については、おそらく意見の述べがなかったというふうに思います。それから、土曜の午後、県の機関を利用したことがあるかどうかという質問に対しましては、あると答えた者が九%でございます。本来ならば土曜の午後は休みでございますが、この週休二日制実施ということで土曜日の午後も開庁しておる、その開庁している土曜の午後で利用したことがあるかどうかという質問に対しましての答えが九%ということでございます。これが県政モニター二百五十人に対する質問の結果でございます。  それから県職員の意見聴取でございますが、これは四千六百人調査してございます。この質問のおもなものは、労働強化になったと思うかどうか、これに対しましては、八〇%以上の人間が思わないというような回答を出してございます。それから制度の存続に賛成かどうかに対しましては、賛成が大体八四%でございます。それから余暇の利用状況でございますが、これは当事者ということになりますが、当事者の余暇の利用状況は、家事の手伝いが大体四〇%程度、読書で過ごした人間が二〇%ちょっと切れる。それらの人間がそういうような状況で土曜の休みを過ごしたというような要旨でございます。  それから第三番目に、県職員の家族の意見でございますが、これもやはり四千三百家族くらいの家族調査をやったようでございます。  家庭生活によい影響を与えたかどうかということに対しましては、六〇%が家庭生活によい影響を与えたというふうな答えをしているわけでございます。それから制度の賛否につきましては七〇%が賛成の旨を答えている。  以上が大まかな調査項目に従っての数字でございます。
  59. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは世界的な傾向なんですからね。この間労働大臣も言っておりました。今後はいろいろなところで推進をしていきたいという話でありましたけれども、これを自治省としては分析したわけですね。これを見てどう思いますか。  先ほどあなたはいろいろ影響を考えていらっしゃいましたね。それは確かに、たとえば中小企業であるとか零細企業であるとか、民間企業に対する影響はあります。だけれども、それを考え、しかも民間すべてがやってからということになれば、そういう考え方が最初からあるのであれば、何も試験的にやってなんて、推進するようなかっこうだけ見せる、こんな必要はないと私は思うわけですね。ですから、この結果を検討してどういう結論を出したか。または、自治省としては、これを参考にして今後どういうふうに考え、また実際の問題として取り組んでいくのか。もう少し具体的に明確に教えていただきたいと思います。
  60. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 週休二日と申しましても、中身はいろいろニュアンスが違うことは伊藤委員御承知のとおりでございまして、完全に土曜休みという完全週休二日もございますが、いま申しましたように、愛媛県のようにいわば隔週休みというようなものもあるわけでございます。  それから、先ほどもお話しのように、労働大臣に対していろいろ説を問われたというお話でございます。   〔坂村委員長代理退席塩谷委員長代理着席政府部内におきましても、先ほど私、先憂後楽というようなことを申しましたけれども、むしろ官が率先してそういう模範を示すべきではないかという意見と、それから、ちょっと私が申しましたように、わが国の風土なり国民感情からいって、民間の大部分が行なったところで政府なり地方団体も考えるべきではないかというような御意見、いわば政府の首脳部の間にもなお多少そういう感覚の違いがあるように私は思っております。  そこで私どもといたしましては、先ほども申しましたように、早晩そういうことにはなるであろうという認識を持ちながら、しかし、先ほど来申し上げておりますように、国家公務員の勤務時間その他のバランスの問題もございます。国家公務員は週四十四時間でございます。それを二週で八十八時間という範囲内で、いわば変則的ではございますが、一種の週休二日制を実施する、それによって住民サービスを向上し、あるいは職員の福祉も増進するということならば、政府基本的な大方針というものが今後どうなるかということは一応別にいたしまして、少なくともその範囲内で一歩でもそういう方向に近づけられるというのが、ただいま御議論になっております愛媛県のような方式ではなかろうか。こういう方式でございますれば、私どもは、地方公共団体がそういう方向に進もうとする場合には、積極的にそういう方向を指導してまいりたいと考えております。
  61. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それぞれの地方公共体でもしかそういうことをやりたいということであれば、それは積極的にこちらも応援してあげたい、こういうことですね。
  62. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 少しこまかい話になって恐縮でございますが、国家公務員は週四十四時間という勤務時間がございます。したがいまして、そういう原則をくずすということはいまはちょっと困難であろうと私は思うのです。そこで愛媛のように、二週を通じて八十八時間というような、そういうワクの中で、しかもある程度週休二日というような考え方を具体化する知恵というものが出てきているわけでございます。そういう方向につきましては、私どもも積極的に協力、援助をしていきたいと思います。
  63. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これはいいことですから、推進したほうが私はいいと思うのです。  それで、先ほどアンケートの中で反対が九%あると言いましたね。この反対の中身はどうなっているのか伺いたい。——じゃ、よく研究してみてください。次の質問をしますから、まとまったところで手をあげてください。  いまあなたのおっしゃることは、二週で八十八時間というワクの中で週休二日制を行なうことはいいだろう、ということは、一日八時間であったものが、場合によって八時間四十五分であるとか、あるいはまた曜によっては九時間にして、勤務時間が五時までであればそれを六時にするということも含めて調整しながら、週休二日制を実施することによって労働時間を減らすのではなくて、結局五日の中で消化しよう、あなたのおっしゃっていることはこういうわけですね。
  64. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 非常に数字的なことになって恐縮でございますが、ただいま伊藤委員がおっしゃったようなことを極論をいたしますと、月曜から金曜まで何時間か延ばしてまいりますと土曜が全く休みになる、計算としてはそういうことになり得るわけでございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、やはり住民サービスということがございますし、国家公務員のいわゆる勤務時間なり何なりということもございますので、ただいまおっしゃいますようなことで、月曜から金曜まで積んでいけば土曜が休めるじゃないかということにつきましては、ちょっといまの段階ではそこまでは踏み切れないと私は思っております。
  65. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それはいろいろ問題があることはわかりますよ。たとえば、民間が一カ月に休みが一回とか二回、そういうかっこうで仕事をしているところも実はありますね。そういうことから考えて、役所だけが週休二日制を実施して、土曜、日曜休んじゃって五日間にまとめて働くということについて、いまあなたのおっしゃられたように、確かに問題はあると思うのです。  ただ、最近非常に公害の問題が出ておりますね。私はこの公害の問題について、どうすれば公害から国民の命を守り、また交通混雑を解消するにはどうすればいいか、私も通勤しておりますからそれは毎日毎日感じております。そこで、これは全く新たな観点なんですけれども、土曜日というものものすごく混雑しますよ。これは役所が半日である、あるいはまた各企業でも半日であるということから、交通面においては全くたいへんな混雑があるわけですよ。私は、この日を休みにしてしまえば、土曜日一日休んだことによって、むしろいまの排気ガスあるいはオキシダントという公害から少なくとも国民の生命を守ることができる、こう思うのですね。だから、愛媛県庁でやりましたけれども、もしか東京都において土曜日は休みだ、そのことの影響によって金曜日が六時までであるとか、あるいはほかの週が夕方五時で終わるものが六時になったというふうなことを考えた場合に——みんな、いまの官庁というのが、大体九時から五時でしょう。それで国鉄なんかは、これはなるべく通勤に集中化を避けるように行政指導してもらいたい、そういう話はいつもありますよ。ですから私は、たとえば現在の五時から一時間延ばして六時にするとか、あるいはまたその中間をとるとか、それはいろいろ技術的な面はありますが、そのことによってこの集中化を分散することができるのじゃないかと思うのですね。だから、たとえば東京都における交通問題を考えたときに、自治省が思い切って政策をとれば、私は、最近大問題になっている公害についても大きな貢献をすることができるのじゃないか、こう思うのです。その点いかがですか。
  66. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 新しい観点からの御意見であろうと思います。私どもも、土曜というのは普通の日に比べて、むしろ交通がこむことを身をもって感じておりますので、したがいまして、もしそういうことになりますれば、いまの交通緩和なり、あるいはそのほかのいわゆる大都市のデメリットといわれるような問題の解決に寄与するであろうということは、私も想像できます。しかし、たとえば東京都庁だけ土曜休みにするというようなことは、いまの現実の問題としてはむしろなかなかむずかしいのではなかろうか。やはり国の官庁というものが、原則的に土曜休みであるというようなことと歩調を合わせていくことが、国、地方を通ずる一つ行政あり方といたしましても通常であろうと思いますし、また国民感情なり住民感情もこれを支持するのではないかと思いますので、たとえば、いまおっしゃいましたように、東京都庁だけが一週間の勤務時間を変えないで土曜を休みにするということにつきましては、いま私は直ちに、それはよかろうという意見は、ここで申し上げるのははばかりたいと思います。
  67. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは政策の問題ですから、事務屋である皆さんがかってに発言することはできないと思うので、大臣来たら聞きますけれども、労働省、来ていますね。  きょうの新聞なんか見ても、大日本インキが週休二日制を完全実施するという。ほかの企業は隔週の週休二日制が多いけれども、大日本インキのは毎週週休二日制にする、こういうことがきょうの毎日新聞に出ておりました。私は非常にいいことだと思っておりますけれども、そういうことも含めて、いま自治省の方の答弁にもありましたように、私は新しい観点から考えてみてはどうか。首都圏、特に東京における通勤混雑は、もう実態を調べているから御存じだと思いますけれども、私だって通勤するのに、朝、まっすぐストレートに来れば五十分で来るのを、交通混雑のために、あるときは二時間、あるときは二時間半とかかっていま通勤しているのが現状なんですね。ですから、土曜日の日なんかにつきましては、もうどうしようもない混雑がいつもあるわけですよ。しかもその通っている方々、みな遠くから来ています。最近の家賃の高騰であるとか、あるいはまた公害の問題であるとか、また過密する都市に生活できないということで、みんな郊外に持ち家を持ったり、あるいはまた郊外に住んで都心に通う、そういう人が非常に多いわけですよ。ですからいろいろ問題はあるかと思いますけれども、私はやはり、労働省が週休二日制についてはいいという方向、または国際的にもそういう方向なんだから、この間の労働大臣の発言ではありませんけれども、推進したい、こういう話もあったわけでありますが、さらに私は、特に最近の練馬区における石神井南中学校のあの公害問題、あしたも天気になればまた同じような問題が起きます。これはもうきわめて緊急を要する問題であります。ですから私は、そういった面から考えましても、まずこの車の規制についていろいろ問題があり過ぎる。早急な実施はできない。しかしながら、現実問題としては、公害問題等において、排気ガスや、あるいはまた工場地帯から出すスモッグが合流してオキシダントになる。光化学スモッグになって、それが校庭で運動している、あるいはまた最近では教室で勉強している生徒にまで影響を与えている、いまだに重症で数名の方が入院している、こういう現実も実はあるわけであります。ですから私は、そういう問題も新たな面から考えて、少なくとも土曜日という現在の交通混雑を解消するためには、まず大企業であるとか主たる官庁において実施すれば、少なくとも土曜日の日のこのスモッグ公害問題だけは幾ぶん薄れる、こういうふうに思うわけです。そういう観点からひとつ週休二日制について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  68. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいま先生のお話、たいへんごもっともだと思います。私どももかねがね、週休二日制につきましてはいろいろ実態を調査いたしましたり、いろいろ普及宣伝につとめるところでございますが、昨年の十二月に労働基準法研究会におきましても、週休二日制の普及促進ということに関連いたしまして、一日の所定労働時間が多少延びても一週間の労働時間が短縮される仕組み、そういったようなもの考えて、実質的な内容で普及促進をはかったらどうか。また週休二日制の実施につきましては、週を通じての通勤に要する時間の短縮に寄与するところが大きい、こういうような御指摘がございます。民間企業におきまして、労使がそれぞれの話し合いにおきまして、完全週休二日制、すなわち土曜日が休みをとれるような仕組み、そういった形に徐々にいきますように、私どもといたしましては、いろいろ指導なり指導の援助なり、そういったことにつとめてまいりたい、そういうふうな考えでございます。
  69. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣来ましたからちょっとお伺いしますが、私は、週休二日制を公害から国民を守るという立場からもっと推進して考えるべきではないかという質問を展開しているわけです。  そこで、大臣御存じのように、最近ものすごい勢いで公害が出ているわけですよ。最初に杉並の女子高校生がある日突然倒れました。あの地域なんというのは非常に閑静なところです。しかしこれは気圧の配置の関係で、どうしてもその地帯に光化学スモッグが集まってくる。その発生以来何日もたたないのに、次々と光化学スモッグというものが起きているわけですね。そして練馬区の上石神井における石南中学生、累計でも五百数十名出ているわけですね。まだまだその原因というものははっきりしません、はっきりしませんといいますけれども、やはり川崎方面から飛んできた硫酸ミストであるとか硝酸ミストですか、そういうものと自動車の排気ガス、これが太陽に当てられて化学変化を起こす、これが光化学スモッグである、こういわれておりますね。それから自動車の排気ガスの中に入っているアクロレイン、こういう毒性のもの、あるいはまた二酸化系のもの、こういったものがありまして、杉並が一番先に発生しましたけれども、石神井南中学校の生徒五百数十人、あるいはまた大泉中学、または石神井中学、そしてまた豊島区の道和中学、あるいはまた葛飾区の堀切小学校、あるいはまた最近では埼玉県の川越市、それから川口市それぞれの学校、また田無中学、もうこの二十三区内の周辺、これには、次々と児童が、目が痛いとか、あるいはまた、のどがひりひりするとか、肩が張るとか、全身がけいれんを起こすとか、こういうことでたいへんな公害問題が実は起きているわけです。  私はそういう実態を調査し、また見ているわけでありますが、これには、原因がまだまだはっきりはしないといいますけれども、やはり自動車が出す排気ガスというものがこの事故の最大要因になっていることは間違いない。これはもうどの学者でも言っているわけですね。それが一次現象か二次現象かわからないだけだ、こういうふうにいわれているわけです。ですから私はそういう面から考えてみましても、この交通混雑というものは何とかしなければならぬ。  私はかつてこの委員会において、自動車の混雑を解消するには、いろんな問題があるかもわからぬけれども、自動車の番号の末尾の偶数、奇数によって、たとえば偶数の日には偶数の自動車を、奇数の日には奇数の自動車を走らせる。それだけでも半分の自動車になるではないか。そうなれば排気ガスの量も半分になる、これはいろいろ問題はあります。あるけれども、特別な人はまた特別な考えをするにしても、そのぐらい思い切ったことをやらなければ公害から国民の命を守ることができないではないかと、私はこの委員会で強く関係の局長に指摘したことがあります。そういったことも、東京都、あるいはまた関係方面で検討されているようでありますけれども、何といっても土曜日なんというのは、官庁やあるいはまた大企業は半日であるという実態が実はあるわけですね。そういうことから、土曜日の混雑というのはどうしようもないぐらい混雑するわけです。御存じのように自動車の排気ガスは、走っているときよりもとまっているときに多く出すのです。私も自分で車を運転するからよくわかりますが、一リットルで十キロ走る自動車でも、東京都心に入ればひどいときには五キロしか走らない。短い距離で倍の排気ガスを出す。ですから交通が混雑すればするほど排気ガスがたくさん出るわけです。しかも一番出るのは土曜日です。ですからこの土曜日を休みにしてしまえば——やはり半日だから皆さん急ぐわけですよ。きょうは半日しかないというので、同じ時間に非常に集中するわけです。集中すればするほど、きまった道路のきまった道路幅をいつも通るわけですから、五十分で来るところが二時間また三時間となる。そしてまた、その中から公害が出まして、いろんな現象が起きる。ですから新しい観点から、週休二日制は首都圏からまずやって、そして土曜日を休みにしてしまう。そうして土曜日の都心に対する集中化がなくなれば、排気ガスやそういう問題は、少なくとも土曜日は薄くなる、こういうように考えられるわけですね。先ほど労働省からもお話を聞きましたし、宮澤さんからもお話を聞きまして、東京都庁からだけやるということについてはどうかとか、また、大企業、民間がやらないのに官庁がやることについてはどうもとか、いろいろな話もありますけれども、土曜日の交通混雑を解消して、そして公害を出させない。国民の命を守る立場からするならば、やはり相当勇敢な考え方、また勇敢な一つの姿勢というものをもって実施しなければならぬと私は思うのです。  私はそういう意味で、週休二日制についてのアンケートを先ほど聞きましたけれども、非常にいいということが出ているわけですから、それを今度は、東京都あるいはまた労働省とよく連絡をとりながら、中央官庁なり、あるいは国会もいつも土曜日には本会議はないのですから休んだっていいと思うのですよ。そしてみんなで都心に集まることをやめることによって公害から国民を守るということができるというなら、みんなで協力しなければならないと思うのですね。そういう面から私は週休二日制をとらえているのですが、大臣、見解はいかがですか。
  70. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 けさのNHKでしたかで光化学スモッグの問題を取り上げまして、それが自動車の排気ガスによるものであるということ、そのときに五十万台が東京にある、そのためにはわれわれは不自由を忍ばなければいけない、不自由を忍ぶのかどうかということについての議論をされておりまして、私もそれを見ました。要は光化学スモッグについて、自動車の台数にまで触れての議論をするかどうか、これも一つの御意見であろうと思います。そういうふうな意味で、全般の施策として取り上げられる中で週休二日制というものをあわせて考えてやれ、考慮すべきであるという点については一つの御提案だと思いますが、週休二日制をその目的のためにやれという点につきましては、こちらが先頭を切ってという点については、いささかとらえ方が私のほうとしましては非常にむずかしいのでないかという意味答弁させていただきたいと思います。私はそのように考えますが、御意見は御意見でございますので、むしろ根本に触れての問題の一環としてそれもやるべきではないか、根本に触れての一環としての検討がぜひともなさるべき問題であろう、かように私は考えます。
  71. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 週休二日制を実施するには確かに問題がありますね。国民へのサービスという点からいってもマイナスがあるんじゃないか。私もほとんど賛成かと思ったら九%反対があった。どういう理由で反対しているのかということを私、聞きたかったわけですが、わかりましたか、さっきの……。
  72. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 反対は非常は意見が多数に分かれております。私なりに多少整理して二、三の点を申し上げますと、基本的には、公共性のある公務員がみずから先んじて二日制をとることについては反対であるというような意見がわりあいに多うございますし、それに関連をいたしまして、労働者間の不均衡があるのでこれは反対であるというような一つの傾向がございます。それから特に一週休二日になった場合の余暇時間なり何なりのこととの関連でございましょうが、弱年層にとってはどうも少し生活が乱れてくるのではないか。まあこれは地方は地方なりの一つの感覚かもしれません。そういうような意見もございますし、またそれに関連をいたしまして、先ほど伊藤委員交通のことをおっしゃいましたけれども、むしろそれについて反対のような意見でございますが、週休二日制になるとますます行楽と結びついて交通事故が多発をするのではないか、こういうような意見もございます。  それからもう一つ、これは特に農業関係に関連をした意見でございますけれども、農家の後継者がまねをしたがるので非常に困りはしないか。これもあるいは愛媛県のある実態を反映しているのかもしれません。また同じく農家関係では、農家のつとめ人はこの制度をたいへんありがたいと思うだろうけれども、非農家の人にはあまりありがたくはないというような意見もございます。  たいへん意見がいろいろに分かれておりますが、大別をいたしましておもなものを御紹介いたしますと、そんなようなことでございます。
  73. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この実施にあたっては、地方でありますと、土、日が休みになった場合、むしろ行楽客がたくさん押しかけて事故が起きるということで、首都圏と全然違う性格なわけですから、われわれとすればあまり参考にならぬことでありますけれども、ただ私は、週休二日制というものは大企業も実施してきている、そして愛媛県庁においてもそれが非常に成果があがった。労働時間を短縮する問題については、これはまた別な問題です。ですから、役所ばかり、四十四時間あるいはまた四十八時間働いているものを、四十時間あるいはまた四十四時間に短縮してしまったということでありますと、ほかの民間の労働者との間に非常に問題が出てくると思うのです。ただ、やはり第一段階とすれば、労働時間をそのままにしておいて週休二日制にする。そのことが現在大きな問題になっている公害から国民を守ることに役に立つならば推進すべきではないか。この私の意見は私は率直に認めていただけるんじゃないかと思うのですよ。ですから東京都がもしか実施するというふうに考えるならば、これは自治省とすれば応援してあげてもいいんじゃないかと思うのです。東京都は自分のことは自分で考え一つの主体性があるわけですから、もし東京都においてやる考えがあれば、自治省とすれば、問題点はチェックするとしても、認めてあげていいんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  74. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、私の答弁に対しまして、伊藤委員も、事務的にはそうかもしれないとおっしゃったわけでございますけれども、愛媛方式のようなことでございますれば、私どもも現在の制度のワク組みの範囲内で、しかも週休二日制の趣旨のほうに逐次到達していく方向でございますし、一般の国民感情、県民感情もこれを許容するだろうと思うのでございますが、先ほど来の御議論のように、東京都が率先をして土曜を休むというようなことにつきましては、なお私どもとしては踏み切りがたい点があるということを、再度申し上げざるを得ないと思います。
  75. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣に伺いたいのですが、要するに、土曜日を休むことによって、排気ガスが少なくなる、交通混雑が解消するということになりますと、現在起きている光化学スモッグの問題、これがある程度防げるということが考えられるのです。私は公害が発生している区に住んでいるのです。きわめて深刻な問題です。この辺で出すものが全部向こうに行くのですよ。大体、気象学的に言いますと、二十三区内から近県、千葉県と東京都、埼玉県と東京都、三多摩と二十三区内、この一帯は気圧が落ち込むところだそうですね。ですから、川崎のほうや横浜のほうで出したものがずっと山の手に飛んでくる。全部、二十三区内、そういうところの周辺に、静かなところに沈んでしまう。その地域にある学校が全部やられているわけですよ。これは生徒だけではないのです。住民を含めてです。三人に一人は、歩いている人はみんな目が痛い。あるいはタクシーの運転手さんはほとんどがそれを経験しております。私も実はしております。それは、光化学スモッグ、あるいは一時現象と見られる排気ガスによる影響ですよ。この間、科学技術庁ですか何かわかりませんけれども、その方面で研究した結果、赤外線写真をとったところが、ほとんどのイチョウの木や樹木というものは、この十年くらいに枯れるだろう。また、モミの木とか非常に排気ガスに強い木であっても五十年はもたない、こういうことを指摘しておりますね。そういう樹木が五十年もたないということは、人間とどんな関連があるか。やはり人間に対しても相当な影響を与えるわけですよ。ですからどうしても、自動車の排気ガスをなくす、そして国民の生命を守るためにはたいへんな思い切った抜本策を講じなければならぬ、そのことがいわれていますよ。たいへん議論されております。実施しない限りは、夏になりますとますます被害が大きくなってきますね。もう何千名という学校の生徒。被害を届け出ない人はまだそのほうにたくさんいると思うのですね。ですから一つの例として、やはり土曜日なんかの交通混雑というものを解消するためには週休二日制をやったほうがいい。たとえば国会議員だって四百何十名いる。みんな車に乗っています。それでお役人さん方もみんなたくさんいらっしゃる。みんなたくさん来ますよ。きょうは雨だからいいけれども、これが晴れていますと、ここで出された排気ガスが風に乗って練馬あたりに行くのです。練馬あたりの住民はたいへんな迷惑をしているわけです。静かでいいと思ったけれども、窓をあけてひなたぼっこをできない。あるいはまた、向こうに行ってやっと落ちついたと思ったら、自動車があまり通らないからいいと思ったら、子供が行って光化学スモッグで倒れた、現実問題としてあるのです。  ですから私は、この中央官庁なり労働省——大臣がいないからあなたに聞くのは酷かもしれませんが、やはり首都圏の中にあっては、そういうことに貢献できるならばちゃんとした大義名分があるのですから、民間がやらないから、民間に優先してやることはどうかとか、民間と官庁との労働者の労働時間や何かの問題、これは別だけれども、サービス向上という面についていささか問題があるから考えるとかというふうにおっしゃっておりますけれども、私はそこで自治大臣に大英断を考えていただきたい。東京都がそれを望み、あるいはまた、労働省あたりもそれは推進したほうがいい、もう将来は必ずそうなるだろうということは認識している。あなたもさっきおっしゃいましたね。労働省も同じことを言っていましたよ。ただいろいろな問題がある。それでこのまま放置した場合には、間違いなく毎週、毎週土曜日の交通混雑のときに必ず光化学スモッグが出、そしてその光化学スモッグによって住民が被害を受ける。これがますます明確になったときには、これは大問題だと思うのですね。ですから、そういうようなことからも考えまして、週休二日制を東京都が望み、そしてそれをやるというなら、自治省は積極的にこれを応援したほうがいいのではないかと私は思うのです。どうしてもサービス向上面でまずいということならば、その部門だけをひとつ残しておいて、あとは週休二日制をやれ、こういうことをしても私は問題ないと思うのですよ。いかがですか。
  76. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたように、何ものにもまさる生命に対する危険でございますので、所管、そんなものにこだわらず英断をもってやらなければならない問題であるとは考えますが、問題は、根本はむしろ自動車の規制というものを、それぞれの所管において総合的に考え、その一環として提案されたら、十分検討に値する御意見である。   〔塩谷委員長代理退席委員長着席〕 もしそのようなことがございましたならば、それらの点とあわせ考えまして、東京都からそういうようなことがございましたら検討させていただきます、こう答えるより私の立場としては——あるいは伊藤委員の御趣旨に沿わぬかもしれませんが、それが自治大臣としての立場ではなかろうかと思いますので、御理解を賜わりたいと思います。
  77. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣は、佐藤さんがおやめになりますと、またかわるかもわかりませんけれども、私はやはり、大臣がもう少し主体性をもって、国民がこういうことで困れば、やはりこうやるぞ、多少の問題はあっても先頭を切るという、そういう考え方を私は大臣にお願いしたいわけですよ。この問題はイデオロギーは関係ないです。党派を越えて何とかしなければならぬ問題ですよ。  たとえば日曜日というのは車はありませんよ。東京なんかほんとうにがらがらしておりますよ。こういう日は公害はないのです。土曜日はものすごいです。機会があれば私の住む石神井方面の中学校にぜひお寄りいただきたいと思いますが、飛んでいる鳥が落ちてくるのですよ。実は十日ほど前に練馬の区役所の建築関係の議員と役人が視察にきました。その校庭のまん中にハトくらい大きい野鳥が落っこってきたのですよ、行っている前に。それくらい光化学スモッグというものはすごいものなんです。だから最近、公害の問題だ、PCBの問題だ、重金属汚染の問題、いろいろあります。それは、長年の蓄積、あるいはまた食べ物にも入っています。それも大事な問題だと思いますけれども、光化学スモッグの場合は急にやられちゃうのです。ですから日曜日には公害が起きない。土曜日が一番起きる原因をつくっている。その光化学スモッグ、あるいは最近の被害というものは自動車の排気ガスによるのだということが明確になればなるほど、土曜日の通勤交通混雑に対して、やはり行政官庁は何らかの手を打たなければしょうがないじゃないですか。どうするかといえば、どうしても土曜日休めないというならば、極端にいうと半日を一日に伸ばすなりして、そして朝の集中を分散させない限りは、現在の排気ガスというものを押えることはできないと思いますよ。それはふだんの日を考えてみましても、ふだんの日は午後五時で終わりますけれども、官庁が六時までやってくれれば、ほかの民間が五時であれば助かる場合もありますよ。それだけ車が集中しませんから。もうどの高速道路の入り口、どの交通面にいきましても、五時になった直後から込み出すのですから、たとえば終業時間が一時間おくれた場合、これはもうスムーズにいくようになりますよ。だから考えてみれば、一日に通る車の量は大体同じなのだけれども、しかし、集中するために排気ガスをたくさん出す、集中するために何時間もかかる。それは分散する方向でやはり行政指導しなければいけないでしょう。  そういう意味から言っても、労働時間を短縮することは問題があるから、これは今後検討することとして、思い切って土曜日あたりは週休二日制にすると東京都が言うならば、認めないなんて宮澤さんはさっきから言っていますけれども、大臣のほうはもう少し検討するなんて前進しておりますけれども、もう少し前向きで守ってあげる。要するに、東京都が望めば、それはいいだろう、いろいろな問題点は問題点としてまた解決する、こういうふうに自治大臣はお考えになりませんか。
  78. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御質問の中身は、私の立場を認めていただいたような——私が検討する、これより答えられないのだということを認めていただいたのと、一方では蛮勇をふるえ、できる権力があるのだと言う。自治大臣というものは地方自治趣旨を生かすことなんです。伊藤さんは、直ちにおまえがやったらいいのだ、だれが何と言ってもやれという意見ですが、自治大臣としての蛮勇のふるい方は、そういう意味ではしたくない。しかし御検討に値する意見でございます、十分検討させていただく、こうお答えいたします。
  79. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それを強く私は要望しておきます。  土曜日が休みになって排気ガスがなくなる。少なくとも一週間にやはり土曜日が一番多いわけですよ、公害の発生する要因というのは。今後ほんとうに検討することを考えますとか、大体いい意見だから善処しますなんて、なかなかやったことがないといわれるような答弁が多いですから心配するのですが、どうぞぜひ実施されんことをお願いいたします。
  80. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 伊藤さんが質問の中で、あるいはそれができないのだったら一日にするとか、土曜日が半日であるために集中しておるということは事実です。それに対する措置のあり方、問題はそれなんですから、それにあわせて行政の運営のあり方として検討させていただく、こういうふうに思います。
  81. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう一つ、定年制の問題ですが、私たちは、定年制の法案が出ますと、いままで反対してきました。今国会は出ませんでしたけれども。この問題について簡単に質問をしたいと思うのですが、まず労働省が、きょうの新聞にも新構想というものを発表したようですけれども、それによりますと、定年の五十五歳を六十歳にし、そうして六十五歳以上からの老人に対しては生活ができるような年金制度を確立したい、こういう構想を新聞で見たのですが、その概要について簡単に御説明いただきたいと思います。
  82. 森山眞弓

    ○森山説明員 先生おっしゃいましたのは、きょうの毎日新聞に載っていた記事かと思いますが、あれは実は労働省の見解として正式に発表したものではないわけでございます。ああいう意見が部内で検討されているということは事実のようでございますが、正式にきまったものではございませんので、私はそれ以上のことは申し上げかねます。
  83. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 検討されているという段階で、決して発表になったものではないとおっしゃいますが、検討されているということは事実なんですね。そうしますと、この新聞に出ている、いま申し上げました点について、どういうこれに関連する意見が出ているのか、伺いたいと思います。
  84. 森山眞弓

    ○森山説明員 私は、実は私の立場といたしましては、その検討の場に一緒に居合わせているものではございませんので、詳しいことは承知いたしておりませんけれども、労働省といたしましては、寿命も長くなっておりますし、高齢労働者の能力を有効に発揮することも必要であるということで、できるだけ定年を延長していただきたいという態度は、かねてから持っているわけでございます。そういう趣旨で省内では一致しているわけでございます。
  85. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣に伺いたいのですが、毎日新聞をごらんになったかどうかわかりませんが、いまも申しましたように、現在の定年を六十歳に延ばす、また六十五歳以上の老人に対しては食える年金制度を確立する、これがこの六十歳定年の新構想だというようなことが実は出ているわけです。ですから、その問題を通しまして、前回出しました定年制の法案、これは、当時は五十五歳で定年にするというような中身を持つものではなかったですか。それで、少なくとも定年制という制度をつくることに野党はみな反対したわけですよ。そうですね。ですから私は、労働省がこういう構想を練ったことに対して、自治省としてはどんな考えを持っているか、その点から伺っておきたいと思います。
  86. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私たちがかねて御審議を仰いでおりました定年制というものは、現在定年が地方自治団体にはないのでございます。ないというよりも、定年を設けるようなことが法律上できない、そこに問題があるのではないか。だから、定年をやろうと思えば、地方の条例によってつくることができるというのが根本でありますが、国会その他の状態も勘案し本年は見送りました。しかしながら、最も効率的に地方自治団体の運営を行なう、これは住民の等しく願うところではないかと思います。そのために、人事管理が最も重要な点の一つであろうと思います。そのために、現在地方団体におきましても、そのような制度がないために新陳代謝が思うようにいかないというふうなところがございまして、各地方団体で、これは超党派的に要望があるのも事実でございます。その点を考えまして、ただ、そのつくられます条例がいかなる姿であるかということになりましたら、いま取り上げられました労働省のお考えといいますか、検討しておられるような問題が問題になってくるのではないかと思います。根本はそれだけでございまして、私たちも、でき得ることでありましたなれば、各党の後援を得まして、公務員の団体の中にも、一部には当然あるべきじゃないかというような御意見も聞いておりますが、それらの御理解も得まして、自治体にそのような制度つくり得るのだという道は開かしていただきたい、こう考えておるような次第でございます。
  87. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、私は定年制の問題についていろいろ考えますときに、やはりやめたあと食える保障というものの確立を先にしなければ、定年制の問題は、たとえ六十歳に延ばそうと、またそれ以上延ばそうと問題は解決しない、こう思うのです。ですから、基本的な考え方を大臣に伺っているわけでありますけれども、その老後の保障の問題を確立する、そしてまた働かなくても食っていける、そのときにはじめて定年制もつくり得るのだという案を出されたらいいのではないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  88. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 もちろん当然でございまして、そのために、あの法案の中には、特に定年制をつくる一方、片一方におきましては再雇用の道を開く。単に、現在の自治体の人事の渋滞というものが定年制がないということだけでなく、現在の年功序列型の給与の体系あり方、あるいはそれに対する部署のきめ方というふうな点にも問題があるのではなかろうか、こういうふうに思いますから、おそらく道が開けましても、いま言われましたような点を考慮してやるように、法律的には再雇用の道も積極的に勧奨するような条文を入れさせていたのもその意味でございます。当然考えられることである、かように考えます。
  89. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは次の国会あたりに出す考えなんですか。
  90. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 各党の合意を得られるような姿でございましたら、ぜひ出したいと思っております。現在におきましてもそのような姿でございますので、法律ではやってはおりませんけれども、各市長さんに対しましても、国会対策上の関係等もありまして、予定にはしておりましたが、提案を見合わせました関係上、各自治体ごとの話し合いによってできるように、私たちも、行政運営の面において各種め運営を指導し、応援をしておるという姿でやらしていただくようにお願いしておるような次第でございまして、現在、行政運営でやってまいりましても、各市長さん方に限度があろうと思いますので、現在のところでは、まだ要望を続けておられますのが実情でございますし、それも無理ないと思いますので、できれば、ぜひとも各党の合意を得てそのような道を開き、法制化させていただければ幸いである、かように思います。
  91. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 前回出されたような、各野党が最重要法案として反対しましたけれども、やはりそれなりの問題点があったからだろうと私は思います。ですから大臣も、各党の合意が得られればという、その合意というものについては、野党が心配する点を払拭しない限りはなかなか合意はしないだろうと思うのです。ですから私は、定年制の問題については、まず老後の保障を先に確立すべきだということを意見として申し上げたいのです。  いろいろありますけれども、ほかの委員の方の質問もございますので、一応これで終わりますが、どうか、先ほどから審議しておりますこの地方制度調査会の問題につきましては、その中心となって活躍する委員方々に決して不満が起きないように、そして十分なる委員会の運営ができるように配慮をしていくべきだと思います。その点について最後大臣から所感を伺って質問を終わりたいと思います。
  92. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 これは、前にもお答えいたしましたように、総理府の所管でございますが、閣僚の一人といたしまして、また自分の省の関係を所管していただきます任務を持つ一人といたしまして、御趣旨の線に沿うよう、できるだけ老後にお報いするもの——いま言われました委員方々は、そんなことを意に介せずやっていただくために、それに甘えるばかりでもいけないというつもりで努力さしていただきたいと思います。
  93. 伊能繁次郎

    伊能委員長 東中光雄君。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 地方公共団体の役務の提供についてですが、地方自治法の第十条二項に、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」と、当然のことでありますが、公平の原則というか、うたっておりますし、憲法二十一条も、集会、結社の自由を保障して、特定の結社に入っていることを理由にして公共団体の役務の提供について特別の利便をはかり、あるいは入ってないことによって特別の不利益を与えるというふうなことは許されないという原則を出しておると思うのです。同時に、憲法十四条もまた、国民は法のもとに平等の権利を有する。当然のことでありますが、その原則も連ねておると思うのでありますが、普通地方公共団体の役務の提供について、特定の団体に入っておる、あるいは入っていないということによって差別をするということがあってはならないと思いますけれども、自治大臣のお考えをまずお聞きしておきたいと思います。
  95. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 地方公共団体の役務の提供につきまして、特定の団体に入っておるというふうなことで区別してはならない、これはもう根本的な原則論でございまして、そのためにも、地方自治法にも明記されており、いま御指摘になられたとおりでございます。そのように運営されなければならない、かように考えております。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 私、いまここに、堺市と堺市教育委員会が出しております「同和対策事業窓口一本化について」というパンフレットを持ってきております。昭和四十六年八月一日に出されておるわけですが、これを見ますと、「発刊にあたって」という序文に相当するところで、いわゆる部落解放行政といいますか、同和行政ですか、「どう考えて解放行政をすすめていくか。堺市の基本的な姿勢について表明するため」、こう言っておるわけですが、その中にはこういう記述がなされております。「堺市では昨年七月、部落解放同盟大阪府連合会および堺支部と確約書をとりかわし、「今後、堺市のすべての同和事業は部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施する」こととした。土師市長は本年六月一日の市議会でこれを受けつぐことを言明し、同じ内容の確約書をとりかわして、市の同和事業の方針を明確にしました」、こういっておるわけでありますが、問題は、「同和事業は部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施する」、ここを通じなければ行政、役務の提供はしないという基本方向が公然と出されておるわけであります。そしてあとのところでは、「部落解放同盟のほかに、同盟との考えかたのちがう政党政派の指導する組織をみとめることは、解放をめざす大衆運動の破壊であり、行政効果をもそこなうことになります」、こういう記述もあります。「行政が地区住民とのパイプをとおす窓口を、同盟と、同盟の指導する組織に一本化して、最大限の行政効果を期待するのは、当然のことです」、ころ書いてあるわけです。結局は、通じて行政をやる、それ以外の団体、政党政派の指導する組織を認めることは許されない、これが堺市の公式の——公式といいますか、こういうパンフレットで出されておるわけですが、行政あり方として、これは先ほど申し上げた原則に間違っておる。訂正されなければいかぬことだと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  97. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 具体的な事実でございますので、私、詳細に存じ上げないので、直ちに可否を申し上げることは差し控えたいと思いますが、要は、本同和対策事業の目的がそこを通じなければできないのだという考え方そのものの当否は別といたしまして、とにもかくにも、いま前の質問にもお答えしましたように、特定の団体に入っておることによりまして役務の公正を欠く、不公平を行なうというふうなことにおちいるようなことがあってはならない、かように考えております。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 これは具体的な問題が起こっておって、自治省もこういう問題については何回かお聞きになっておるはずであります。この団体を通じてやらなければだめだ、それ以外のものを認めることは同和行政行政効果をあげないのだ、だからやらないのだ、これは自治省としてはこういうことは具体的に言えないと言われると、私がいま非常に卒然と出している問題じゃなくて、前から出ている問題ですから、これは非常にまずいと思うのです。地方自治法の精神から言っても、憲法の精神から言っても、これはきわめて不正常だということははっきり言っていただきたいと思います。
  99. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 この点につきましては、私もそのように分科会で聞かさしていただきまして、事務当局にそれの検討を命じておるような次第でございます。各市でそういうことのないように、大阪府等を通じまして善処方を要望しておるというのが事実でございますが、なお、それから下に下げてのいまの御質問でございますが、抽象的には私も、東中委員のおっしゃいましたように、そんなことがあってはならないという意味から、自治省におきましても、善処方をお願いしておるというのが実情であります。詳しいことは事務当局から答弁させますが、しかしながら、これは東中委員御承知のとおり、大阪府におきましても、その点につきまして、これが適正化されますように力を入れてやっていただいておりますが、いままでのところ非常に困難性がございまして、御苦労になっておるということも伺っておるのでございます。今後とも、われわれとしましては、自治省のでき得る限りのバックアップをもって、そのようなことが一日も早く改善されるように努力してまいるという立場で臨んでおりますのが現在の私たちの立場でございます。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 具体的な例で申し上げますと、ここにいわゆる隣保館の使用についての市側の二つの回答文書があるわけなんですが、たとえば堺市の同和地区解放会館長という名前で出されております文書によりますと、これは四十七年四月一日のことでありますが、「堺市立同和地区解放会館使用申込について みだしのことについて、昭和四十七年四月一日付にて貴殿より会館使用申込をなされましたが、使用目的が部落解放同盟正常化堺支部執行委員会となっておりますが、本市が認めている解放同盟は、部落解放同盟大阪府連合会堺支部をもって交渉団体といたしておりますので、別紙使用目的では受理することが出来ませんのでご通知いたします」ということで、使用目的を部落解放同盟正常化堺支部執行委員会ということで申し込んだ正式の会館使用申し込み書、これを突っ返しているわけであります。だから、「通じて」とかということばは、確約書では「通じて」ということになっておりますけれども、具体的な隣保館の使用についてということになると認めないということで、使用を許さない。  それが堺市だけではなくて、たとえば富田林でも同じようなことが書かれてあります。昭和四十七年四月二十日付の富田林市立文化会館長の会館使用申し込みについての回答書ですが、「標記のことについて次のとおり回答いたします。一、許可いたしません。二、理由、今解放運動は水平社以来五十年の歴史をもつ部落解放同盟が組織され富田林市においては部落解放同盟富田林支部が活動をおこなっているのであります。文化会館は部落解放運動五十年の成果として部落解放のセンターたるべく設置されたもの考えます。したがって会館は諸業務は部落解放同盟とのかかわりをぬきにして考えるべきでありません」ということで、「部落解放正常化連絡会議富田林支部上本千代美殿」ということでこの文書が出されているわけです。  こうなりますと、特定の役務の提供という点でいって、全くその特定の結社に関係がなかったらやらないということで、地方自治法にまつ正面から違反するわけなんでございます。それも、ごまかして事実上そうやっているというのではなくして、白昼公然と文書でこういう回答を出してきている。自治省は一体どういう指導をされているのか、こういうことになるわけであります。  特に堺の場合で言いますと、協和町のいわゆる同和地域の全世帯が千五百世帯であります。そのうち、いわゆる部落解放同盟大阪府連堺支部というのは約二百世帯です。正常化連絡会議の支部は約三百世帯。そうすると、千五百世帯のうち二百世帯入っておる。これもずいぶん無理をしてつくられた経過があるわけですけれども、その二百世帯のほうには許すけれどもそれ以外はもうだめだ。それより大きな三百の組織を持っておるところも使用は許可しない。それ以外の組織されていない人たちというのがずいぶんいるわけですね。圧倒的に多いわけです。これは全部もちろん使わせない。これでは同和事業というものは、全く一部の者の力でゆがめられている。行政がそれに乗っているという形になっております。こういう具体的な、ここまでくれば——「通じて」というようなことだと、まだなるほど抽象的な面がありまして、そんなにひどいとは思わないわけです。まさかと思う表現になっているわけですけれども、事実こうなっておるわけです。こういうことについて、これはもうこういうことはあるべきでないということをはっきりと自治省として見解をお示し願いたいと思うのです。先ほど申し上げた、役務の提供についてひとしく受ける権利を持っておるわけですから。その点の御見解をはっきりお示し願いたいと思います。
  101. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 ただいま東中委員のほうからお話のございました事実関係につきまして、私たちも承知いたしております。このことに関しましては、先ほど大臣から申し上げましたように、同和行政が同和地区に住む人々に対して公平に行なわれなければならぬのだという考え方に私たち立っておりまして、そういう面から、そういう不公平なことが行なわれるということがあれば問題であるということで、府県を通じて注意はいたしております。ただ前にも、隣保館の問題なりそういう問題に関しましては、厚生次官からすでに、そういう差別的な取り扱いをしてはならぬという通達が出されておると聞いておりまして、府県でもそういう運用をしておるということでございますので、私たちもその府県を通じてのみの指導をいたしておるわけであります。  いずれにいたしましても、東中委員御存じのとおり、同和行政は複雑困難な問題でございまして、長い歴史の過程の中でこれが解決されなければならないという問題もございますし、いろいろなことがございまして、一がいに行政の面の解決だけではあるいは満足のいかない点もあろうかということを考えております。いまそういう過程の段階でもありますので、そういう不公平な取り扱いが行なわれるということに対しましては、私たちのほうからも強く注意はいたしますが、窓口一本化の問題につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、その可否についての論議につきましては一応差し控えたいと思います。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 どうも公平にやるんだということを言われておって、注意をし指導をしておるというふうに言われておって、そして、なおしかし窓口一本化のことについては一声えないというふうに言われると、これは国のあり方がそういうあり方だと、結局、行政が力でそういうふうにさせられてしまっておる。もう暴力的な事犯もいっぱい起こっているわけです。そういうのには、行政としてのあり方をはっきり出す。それはいけないということで、そしてほんとの同和事業を促進する。私たちもこれはやらなければいかぬというふうに考えていますし、その先頭になってやってきてるつもりなんですけれども、これじゃむしろ今度は部落の中での差別をさらにつくっていく。逆行するわけであります。そういう点で、まだ隣保館の問題だけじゃなくて、たとえばこういうのもあるわけです。  これも非常にひどいと思ったのですが、「昭和四七年度保育措置児童の申請受付要綱」というのが羽曳野市から出ております。これの「入園決定基準」というのがあります。そこには「入園決定に際しては、部落解放同盟向野支部と協議して決定する」、こう書いてある。そしてその協議決定した基準というのが発表されておるわけですが、これによりますと、「同和対策事業の一環として同和保育を推進する向野保育園の運営に関し、その入園措置決定基準につき部落解放同盟大阪府連向野支部及び保育守る会と協議した結果、下記の順位による入園優先順位を定める」。そして第一順位というのはこう書いてあります。「保護者のうちどちらかが向野地区の土着民であり」、ずいぶん妙なことばを使っているわけでありますが、「かつ向野保育守る会々員であるものの保育に欠ける乳幼児」ということで「向野保育守る会々員」というのが条件に入ってくるわけです。それから第二順位が「保護者が向野地区に居住し、向野保育守る会々員であるものの保育に欠ける乳幼児」。結局、土着民じゃなくてもそこに入ってる人、こういういい方ですね。しかし「会員であるもの」というのが条件になっております。第三順位もまた「保護者が向野地区周辺に居住し、向野保育守る会々員であるもの」、こうなっております。全部いわゆる部落解放同盟大阪府連支部または支部で指導する団体に入っておる、これが順位の条件になっておるわけであります。  これは、「保育園入園措置基準」なんということになれば、きわめて具体的な切実な要求であります。これは羽曳野市の例でありますが、東大阪市の例などは裁判にもなりましたけれども、保育所の入所の申請昭和四十六年三月十八日に出しております。ところが、窓口でいわゆる解放同盟の大阪府連支部に入っていない人たちは受付を受理しないので、申請書を置いておいた。そうすると、ずいぶんだってから、かってに置いておいたんだといって送り返してくる。また送り届ける。あまりにもひどいから、ことしになってから裁判をやって、三月に、それはけしからぬ、そういう市の扱い方というのは間違いだということで、受理しなければならないという判決が出ました。しかしこれも一年たっているわけですね。保育は一年間でございましょう。それでもう小学校に行く人もある。まだその後処理しない。こういうちょっと常識で考えられぬことであります。  だから、いまそれはよくないということははっきり御答弁願ったわけでありますけれども、それを正常にしていくのに具体的にどうするかということについて、解放運動といいますか、同和事業を促進するという点からいって、行政の公平さという点からいって、具体的な態度を自治省として示していただきたいと思うわけであります。いかがでございましょうか。
  103. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 ただいまのお話、私のほうもこれは聞いてございます。私たちも、先ほど申し上げましたように、公平に行なわれなければならぬということは念頭に置いておりますが、一応、保育所とかそういう問題に関しましては、実は厚生省の問題でございまして、入所基準その他につきましても、厚生省である程度指導をしてまいっておる内容でございます。そのとおり実行しておるかどうかわかりませんが……。そういう意味で、私たちのほうといたしましては、一応、自治体に起こりますいろいろなそういう差別の問題に関しまして各省に注意を喚起をしているわけでありますが、しょせん自治省が取り扱います権限の中ではそこまで手が及ばないのは、現在の行政機構の中の立場の問題でもありますから、私たちといたしましては、なるべく近いうちに、政府各省で集まっておる幹事会がございまして、その幹事会にはいろいろ公共団体から出ておりますので、そういう差別の問題を提起いたしまして、政府としてどうきめるかということをきめていきたいというふうにいま考ええおるわけでございます。自治省一省の考えだけで進むことがなかなかむずかしい点もありますし、これはむしろ政府全体として、まとめて議論すべきものでもあろうと思いますので、そういう措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 同和事業については、総理府がそういう点で見解を示されたりしておるわけでありますけれども、しかし、地方自治体が実際に現場でやっておることでありますから、これは単に各省にまたがっておるということで、結局、責任のがれといいますか、そういうかっこうになってしまう。こういった不正常な状態が公然と横行している。悪いことをやっているということでそういうふうになっているというのだったら、これはまた正しやすいわけですけれども、そうでないだけに、これははっきりとした見解を持って、そういう部落解放同盟という特定団体が行政の窓口になって締めつけてしまう、あるいはその結果が差別になっているということについては、これを具体的にどういうふうに是正するかということは、各省で協議してもらって早急に進めていただきたいと思います。そういうことはやめさせるという姿勢を政府として示してほしいと思うのですが、大臣いかがでございましょう。
  105. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 このことは自治法にも示されております。法にももとるものでございまして、よくないことであるという見解は、いま担当事務官からもお答えさせていただいたとおりでございます。それをいかに是正するかという点についてでございますが、各省にまたがるそれぞれの問題でありますので、協議してきめるということは当然でございますが、根本にあるものは、自治体の同和事業の運営に対する姿勢であろうと思います。それを直していかなければならぬ、これは当然でございまして、私もそのような方向で努力をさせていただきたい、かように考えます。  ただ、御理解を賜わりたいのは、いまも申し述べましたように、この問題、御承知のとおり長い歴史を持った問題でございますので、これを私がここで言明いたしましたから直ちに行ない得るというふうな状態でないことは、東中委員よく御了解願えると思います。長い目をもちまして、私たちも最善の道を尽くして一日も早くこのような運営が行なわれないように、ほんとうに正しい意味の同和対策事業の推進のために努力させていただくことを申し述べまして、答弁にさせていただきたいと思います。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 長い歴史を持っている。これは五十年にわたる未解放部落の解放運動の歴史というのがあります。そういう苦難の戦いの中で、同対審の答申も出、法律も制定されて、一定の方向を向いておるわけでありますけれども、こういう暴力的な支配関係で特定の団体が、気に食わないところは除名もし処分もし、そしてたとえば他の政党政派の指導する団体の存在は認めない、こういうふうな考え方を自治体自身が出してくる。これはもう全く常軌を逸していますし、これは長い歴史でも何でもないいです。最近そういう一部の大阪府連の中におる幹部の暴力的な手段をもってやる人たちの、いわばまさに不正常な、解放を阻害する契機というものが出てきておるわけでありますから、それだけに、本来の部落解放の方向を目ざして正常化していくという点で、積極的な態度をとっていただきたい。解放運動の長い歴史とこれをすりかえたらいかぬことじゃないか、こう思いますので、特に要望しておきたいのです。
  107. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 長い歴史と申し上げた、いま東中委員、問題の考え方を端的に表現されました。もう東中委員御指摘のとおりであると私も認識いたします。長い歴史と申し上げますことばは、いま御指摘になったような意味で私は申したのでなくして、非常に困難な問題であるという点を御理解願いまして、そのために間違っておるから直すべきなんだというだけで解決し得るような問題でないという点を、五十年の歴史的な長い間の問題であると申しましたので、問題解決の困難さを御理解賜わりまして、私たちはいま東中委員がとらまえましたような事実の間違っておる点は、同じ認識でございます。   〔委員長退席加藤(陽)委員長代理着席〕 この認識をもとにして、私たち一日も早くこれが是正され、本来の正常な姿で自治体の運営が行なわれるように努力をいたしたい、かように申し上げておるのが私の気持ちであります。ただ、その行ない方に非常に困難なる問題があるという点は御認識を願えると思いますので、御批判もあろうと思いますが、最善の道を選びながら一日も早く正常化することに努力をいたしておりますのが、私たち自治省のいまの姿でございます。この点、御理解を願いまして、建設的な御援助をひとつ賜わりたいということをあわせお願いいたしまして、私の答弁とさせていただきます。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 窓口一本化という形で、特定の団体に入っていなければ、あるいは団体の推薦がなければ、役務の提供で差別をするというふうなことをやるのは、これはきわめて遺憾な不正常な状態。なるべく正常化するために、困難であっても全力を尽くすということを大臣言われたように私お聞きしたのですが、それでよろしゅうございますか。
  109. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 そのとおりでございます。
  110. 東中光雄

    ○東中委員 私はぜひそれを進めていただきたいと思うのですが、地方の自治体、小さいところにいけばいくほど、暴力的な一部の人たちによる圧力で、こういう、普通ではあるいは法律的には考えられぬような不正常な事態が、公然と起こっておるわけでありますので、それだけに、国とかあるいは府県段階の、要するに直接的にそういう物理的な力が加わってこない、そしてはっきりとした立場を打ち出してもらう、そういう立場を表明してもらうこと自体が非常に大切なんじゃなかろうか、こう思いますので、政府としてそういう点の態度表明といいますか、それをはっきりすみやかにしていただくようにお願いしたいと思うのですが、どうでございましょう。
  111. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただ、東中委員ぜひとも御理解をお願いいたしたいのは、窓口を一本化して、そういうふうな特定の団体だけに不公平な行政を行なうことは間違っておる、それらがはっきり改められるというふうな指導をいたしておりますが、個々の団体に対し、間違っておるからそれをやめなさい、こういう方向で持っていくような指導をいたします際に、頭からそれだけで持っていくことが直ちにその問題解決の立場になるかどうかというふうな点も、個々の事例としてはあるということを御理解願いまして、東中委員御指摘の点の、誤っておる点は一日も早く解消する、それにはどういう道を選ぶのがよいかということで、御理解ある態度で私たちの努力を御支援賜わりたい、このことをお願い申し上げているのが実情であります。
  112. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、政府の姿勢をはっきりしていただくことが非常に大切なのじゃないか。同時に、裁判所の判決が出ても、まだ事実上従わない、こういうようなことが続いておるようなことでは、法治国家として許されないと私は思うのであります。そういう点で強力な指導をされるように要求をしまして、質問を終わりたいと思います。
  113. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 政府の明確なる姿勢は示しておかなければならない。その解決の方法として進む道であろうと私どもよく承知しております。そのような姿は、いま申しましたような具体的な経過がありますときに、おのずからの最も有利な道を選ぶというための努力をしなければならないという点がこの問題の根本にあることを御理解の上、私たちの努力に御援助賜わりたい、これが私の気持ちでございます。よろしくお願いいたします。
  114. 加藤陽三

    加藤(陽)委員長代理 午後二時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十八分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  115. 坂村吉正

    坂村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。受田新吉君。
  116. 受田新吉

    受田委員 政府御提案のこの法律は、地方制度調査会委員の任期を一年を二年に延ばすというだけのことでございますが、いままで一年でよく済んだものですね。済まされた事情を説明願いたい。
  117. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま責任者が参るかと思いますが、私から御答弁を申し上げます。  これまでも、かねてからそういう議論があったわけでございまして、御承知のように、地方制度調査会でございますので、しかも府県、市町村を通ずる制度基本議論をするということで、いろいろ御審議を願っているわけでございます。同時に、当面の地方財政対策というような、その場限りの議論というのもしていただいたわけでございます。そこにおきましては、やはり地方制度の根幹に触れる問題を調査、審議をしていただく、こういうことでございますので、在来から一年の任期では短いではないかというようなお話が内外ともにございます。そういうような関係で、任期は一年であるけれども、やはり大体同じような方の御再任をお願いするというような形でつないできたというようなのが実情でございまして、この際任期二年ということでお願いをいたしたい、こういうことにいたした次第でございます。
  118. 受田新吉

    受田委員 ちょっと委員の顔ぶれを拝見さしてもらいましょう。大体同じようなのが毎年続いておるという御答弁でございましたが、毎年同じような者ではあじけないなと思っておりますか……。
  119. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 毎年すべて同じ方という意味ではございません。
  120. 受田新吉

    受田委員 いま地方制度調査会の第十五次委員の顔ぶれを見せていただいておるのですが、学識経験者二十一名、このマルがついているものは、これはかわった顔ぶれでございますか。
  121. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 臨時委員だそうでございます。
  122. 受田新吉

    受田委員 臨時の委員
  123. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 さようでございます。
  124. 受田新吉

    受田委員 この臨時委員の任務は、どういう臨時に——補欠要員という意味ですか。
  125. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 通常、初めに委員の方を御委嘱をして審議をいたすわけでございますが、臨時にある特定の事項を審議をいたします際に、そのために臨時の委員をお願いすることができる、こういう制度になっておるかと存じます。
  126. 受田新吉

    受田委員 現にどういう問題がこの三人の方に課せられた任務でございましょうか。
  127. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 事務当局からお答えをいたさせます。
  128. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 三人の方が臨時委員になっておいでになるわけでございますが、この第十五次の地方制度調査会におきましては、引き続きまして、特に大都市の問題ということ、それからさら・に財界等で御議論があります道州制というようなものとの関連も出てまいります。そういう意味合いで、三人の方を臨時委員にお願いをしている、こういうふうに私は存じております。
  129. 受田新吉

    受田委員 これを拝見すると新しい質問事項が発生してきたわけなのですが、地方制度調査会設置法が二十七年で、ちょうど満二十年間続いているわけでございますが、この二十年の間にこの設置法の改正をやったことがありますかどうですか。
  130. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私の記憶が正確でございますれば、おそらく改正をいたしたことはなかろうかと存じます。
  131. 受田新吉

    受田委員 二十年間改正しなくて済む法律というのはきわめて珍しいわけですね。時世の変転とともに随時改正されるのがあるはずなんです。したがって、二十年たって成年に達した時点で、一年の任期が二年になるというありふれた改正がされるわけです。この任期が一年延びた問題について、いまお話しのような、毎年大体顔ぶれが同じであるから二年にしてもいいということでございますが、一年にしてもそう困るわけじゃない。つまりいままで二十年間困らなかった。二十年間困らなかったということは、これはもう定着したということになると思うのです。困ればいままでの二十年の間に出なければならない。あなたのお話によりましても、そういう問題が二十年間なかったということになると、定着した法律である。いまここであらためてわざわざ一年を二年にするということをなさらなくても済むのじゃないか。  それからもう一つは、委員の顔ぶれは適当に変えていいと私は思うのです。そのほうが新鮮さが盛り込まれる。特にこうした地方制度というような、行政機構上の問題を含む、時世の変転に即応しなければならない問題を扱う委員としては、適宜、その時点によっていまの臨時委員のような方が本委員、正規委員でどんどん入ってもらって、その委員の顔ぶれが変わったかっこうでいろいろの問題を討議していただく、これは筋としてはそのほうがいいと私は思うのです。これを拝見して、いま御答弁を聞いて、これに質問の時間をかける予定じゃなかったのですが、根本的には法案そのものは、ずばり地方制度調査会の委員の任期を一年延ばすという、これが法律の目的でございますので、あえてお尋ねをしたいと思うのです。
  132. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御承知のとおり、近時、社会経済の変動が急激に進んでおります状態でございまして、これに即応をするための地方行財政の運営のあり方ということにつきましては、毎年の相当慎重なる検討を要するという状態になっておりますのが地方自治行政あり方の今日の姿でございます。  地方制度調査会は、御承知のとおり、自治体運営、地方行財政運営の根本の審議を願うものでございますが、そのような姿から、たいへん激動する社会に応ずる問題として、当面の問題として重要なる御審議を賜わっておるのでございますが、同時に今日は、抜本的に長期的な展望に立って、地方行財政のあり方について検討をしていただかなければならない、そういった長期検討を必要とする時期にも差しかかっておるのが事実でございます。ところが、従来の運営のあり方からながめましたら、この激動いたしますところの当面の問題のみの御審議に終わってしまいまして、長期的な視野に立っての御審議を賜わるということが、期間一年では困難な状態になってまいりましたので、期間を二年に延長することにおきまして、一面は長期的な展望に立っての地方行財政運営のあり方を御検討願い、また他面、現在、当面する変貌にこたえていくための御審議を賜わるという面から、ぜひとも期間二年にしていただきたいというところから、今回一年延長のお願いをいたしたような次第でございます。
  133. 受田新吉

    受田委員 一年は準備の基本的な御討議を願い、二年目に完成するというような見方もあると私は思いますけれども、ところが、現在の委員の任期を一年延長するということに現実なっておるわけです。結果は来年まで延長する。そうすると、現在の一年間、いま大臣のおっしゃった前段が片づいた、その後段を処理するためにということになると思うのです。この法律が改正された時点で、この法律に基づいて委員が任命せられ、その任命せられた委員が二年間、前段と後段の目的をもって職務に精励されるというなら筋が通るのですけれども、いまの委員がもう一年延ばすというのは、これはいまの大臣の御答弁趣旨から言えばちょっとおかしいじゃないですか。つまり法律改正の時点で新しく委員が任命される、その委員が二年間ひとつ根本的な御討議を願うというならいいけれども、これはいまの委員を一年延長するという法案ですね。これはちょっと大臣の御答弁とは型違いの延長になると私は思うのです。
  134. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 法律の現時点におけるとらまえ方、受田委員の御指摘のとおりでございます。しかし、法律のおくれたような関係もございますが、私たちの運営、もの考え方、御審議あり方につきましては、一応そのような法改正もしていただき得ることを予想しながらの御審議のスケジュール等も組んでいただいておりますので、この法律案が通りましたら、いま申しましたような点でさらに制度的にも確立されまして、そのような審議の運営をとり行なっていただけるという姿で、地方制度調査会の現委員方々には御審議を賜わっておりますので、この点、たいへん法律がおくれるようなかっこうでございますが、実情があの当時そうなっておったものでございますから、そのような運営のあり方であらかじめ予想いたしまして運営を願っておるというのが実情でございますので、御了承賜わりたいと思います。
  135. 受田新吉

    受田委員 いまの委員諮問されている議題は何であるか、行政局長からお示しをいただきたい。つまり、いま大臣の御答弁によれば、いまの委員の方にもう一年御苦労を願いたい、いまの委員でなければいけないのだ、新しい委員に交代するとぐあいが悪いのだ、もう一年延びてもらわなければ困るのだという理由がどこにあるかをただしたいわけです。
  136. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 現在地方制度調査会におきまして御審議願っております基本的なテーマは、最近、地域社会の変動が非常に激しいわけでございますけれども、地域社会の変動に応ずるような地方行財政のあり方、これが基本のテーマでございます。この基本のテーマから、都道府県制度、特に都道府県制度に入ります前に大都市問題について御審議がございました。大都市の問題を討議いたしますと、さらに次の問題といたしましては、先ほども私ちょっと申し上げましたが、道州制等の問題を含めました府県制度あり方というような問題がこの次の基本的なテーマになってくるであろう、こういうふうに考えられるわけでございます。
  137. 受田新吉

    受田委員 そうすれば、現在の委員の方よりも、むしろ新鮮な感覚でそういう面で新しい要請にこたえる人をもう一度再検討した上で委員を任命されて、過去は一年の任期だが、皆さまこれから二年間じっくり落ちついて、腰を据えてひとつ御検討願いたいという形で委員の任命をする。切りかえの時点で、法律実施とともに二年間の任期で御苦労願うという任命のしかたのほうが、筋として私は通ると思うのです。これは、宮澤先生は官戻長であると思っていたけれども、行政局長でいらっしゃる。大臣は行きがかりがよくわかられないかもしれぬ。局長は長く自治省におられてこの調査会を担当されておられたと思いますので、事務当局が立案、計画された構想は、いま私が申し上げたような形でやるほうがむしろいいんじゃないか、こういう見解を私、持っておるのですが、いかがでしょう。
  138. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 実は立案の過程におきまして、そういう扱いにしたらどうかという者もあったわけでございます。いろいろ検討したのでありますけれども、現在の審議会自体が、すでにかかえておる問題が早急に秋までに結論が出そうにもないというような状況もあったりいたしまして、なおまた、こういう場合に、たとえば選挙制度審議会等におきましても、現在の委員の任期を延長したというような経緯もありますので、このような案にいたしたわけでございます。
  139. 受田新吉

    受田委員 選挙制度審議会との比較ですか。私も選挙制度審議会の委員をやったこともありますし、そういうときには、スタートの時点から、皆さんにこういう問題の御討議を願いたいというおはかりがあるわけですから、いまちょうど一年やった時点で、もう一年追加して皆さんの任期を延ばすから、皆さんにもう一年の間やってくれなどという言い方というのは、ちょっとおかしい。第一次、第二次、第三次というような形で委員の任命をされるべきだ。法律改正と同時に任命された新しい委員が、この法律の適用によって御審議をいただくというほうがすかっとしておるわけだ。前の残りをもう一ぺん一年延ばすための法改正というような印象は、私、自治省ともあろうものとしては新鮮さを欠くと思うのです。場当たり的な措置だという感じがするわけです。大臣、どうでしょう、私の言うことは筋が通っていませんかね。
  140. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 受田委員の御議論の点、この法案立案当時、いま官房長も申しましたとおり、十分考え、また、そのほうが一つの道であろうとも考えたのでございますが、現在当面しております状態が、長期的に取り組んでいただかなければならぬ問題があったというふうな実情でございましたので、この法案作成の時点においてなお任期も残っておりましたので、この法案が御審議願える、御可決願えるというような仮定のもとに、含みをもって現在委員会審議等もお願いしておるというふうな姿でこのような形態にいたしたのでございます。その前に、いま現在任命しております委員方々の発足前にこの法案を成立させておきまして、二年間、長期的に問題と真剣に取り組んでいただくことが一番十分でございましたが、そのような時期にちょうど至りませんでしたので、いまの審議の過程において、そういうふうな気持ちで取り組んでいただいておるというのが実情でございまして、いま申しましたような過程になったのでございます。
  141. 受田新吉

    受田委員 大臣、あなた非常に誠意のあるお方だから、大臣を責めるにおいて、いささかほこ先がにぶる危険性があるが、筋論は私の筋論のほうが通ると思う。つまり、この法律をつくりましたそこで、今度任命された委員の方には、従来一年間であったが今度は二年間皆さんのお世話になるのですと言って大臣説明されるかっこうのほうが、かっこうとしては通りますよ。中途はんぱだからもう一年延ばす、つまり内閣の寿命を延ばすようなかっこうに見られるわけです。  御答弁はもうあえて要求しませんが、この調査会というのは、調子よく議員が相当数あるわけですし、各省からそれぞれ有能な高級公務員が入っておられるのですから、出席は圧倒的にいいでしょうね。過去一年間の開催日数と出席状況をちょっと御説明願いたい。
  142. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 今次の委員の総会は六回開会いたしました。出席は区々でございますけれども、学識経験者の諸先生方には大体御出席をいただいており、国会関係先生方には、国会の事情等もありまして、若干御欠席の向きもあったようでございますが、比較的よく出席をしていただいておるように思っております。
  143. 受田新吉

    受田委員 第十五次地方制度調査会の開催日数は六回しかないのですか。
  144. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 去年の十一月に発足いたしまして、実は国会等も始まりましたので、いまちょっと休んでおりまして、国会が終わればまた本格的な御審議をいただくことになっております。半年足らずの間でございますが、六回開会いたしました。
  145. 受田新吉

    受田委員 これは一カ月に二回、隔週ぐらいに開いて熱心に討議してもらったらどうか。一カ月に一ぺんぐらい、忘れたころに集まるというのでは、いかに学識経験者といえども頭の回転がにぶってきますから、やはり隔週に一回ぐらいやられるというように、テンポを早めて御熱心に御討議願うというのが筋として通ると思うのです。国会議員の諸君も、閉会になってくると、事実問題として総選挙間近しで、十七名の皆さんはくにへ帰るという方々が大量になると思うのです。その方々に、隔週、一月に二回ずつでも集まってもらったって、委員の国会議員席は空席、学識経験者関係行政機関の代表者が両側にあるというような変なかっこうのものになりはせぬでしょうか。今後はそういうことはあり得ない、国会議員の皆さんもきっと出席できるという保証はあるか。御答弁を願いたい。
  146. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 委員会の運営につきましては、確かにお話しのように、あまり期間をおきまして飛び飛びにやることもいかがであろうかと思っております。したがいまして、ある時期になるべく集中的に詰めた議論をいただきたい、かように存じておりますが、いろいろな事情がございまして、その結果、なかなかやりにくい点もお話しのとおりございます。ただ、これから先の問題でございますけれども、部会等を設けました際に、多少基礎的な問題は集中審議していただけるような運営の方法をとってまいりたい。これは運営委員会等にもはかりまして、できるだけ御趣旨のような運営にしてまいりたいと存じております。
  147. 受田新吉

    受田委員 思いがけなく法案そのものに関する質問に時間がかかって、私まだ非常に不満足な状態で時間の関係でこれをおかねばいかぬが、こういう調査会とか審議会とかいうもの、そのことを簡単に考えておられて、このくらいのものは簡単に国会を通るぐらいに軽くけなしてもらうと困るわけです。私がいま御質問申し上げたごく端的なポイントさえも、あいまいな点があるわけです。そういうところで、こうした調査会とか審議会とかいうような付属機関に対する認識が、いささか軽々しいというそしりを免れないと思うのです。国会でこういう問題は簡単に通るだろう、質問もほとんどないだろうということで、軽く大臣もお考えになっておられたと思うのですが、これは与野党の皆さんと根本的に討議して、調査会の性格などを皆さんと十分御相談しておると、これはいかぬぞ、今国会は通さぬほうがいいぞということになりかねない空気が醸成される可能性が相当あるわけですよ。そういうことも含めて、もう少しこれを真剣に考えていただきたいと思います。  そこで、いまの地方制度調査会の答申にも関係してくるし、また臨時行政調査会等の答申にも関係することだし、いま付議されている諮問にも関係してくることでございますが、この大都市の新しい制度をどうするか、地方制度の改革をどうするかという、第十四次調査会の結論として出された問題につきましても、それぞれ具体的にお尋ねしたい問題があるのですが、その中で一つポイントとして取り上げたい問題は、大都市の中で特別区という区制をしいている東京都に例をとりたいと思います。  昭和二十一年でしたか、終戦直後、私たちも大体あのころからの経緯を知っておるのですが、占領時代に六年か七年区長の公選をやっております。ところが二十七年にこれを取りやめた。これは東京都知事と区長との権限関係なども含めた意味の扱いであったようですが、これは私、非常に誤りをしたと思うのです。つまり、都知事の持つ権限を区へもっと委譲していく問題とあわせて、公選の問題を考えたいというような理屈が一応成り立たぬことはない問題ですけれども、そのようなものとは別に、選挙そのものは住民の意思によってきめられるわけです。したがって、区長の選挙というものは、答申だ何だという前に、こんなものはおはかりせぬでも、もうきちっと自治大臣で処理されていい問題です。答申の結果に基づく、そういうようなことをしておると、百年河清を待つようなものになるのですから、したがって、かりに例を東京都にとりますが、東京都の区長が区議会で承認されないかっこうで放置された期間というものが相当長い期間になっておるものがある。一年以上も区長がきまらぬところもある。選挙であればきちっと投票によってきまる。公選をやらないばかりに区の行政事務が渋滞している実例を私、数々いま知っておるのですが、これはどうですか。自治大臣、これは事務当局の御答弁をいただかないで、大臣御自身から御答弁願いたいのだが、区長の公選をやらぬばかりにそれぞれの区で問題が起こる。それから区長は、区会議員を何人か買収すればそれで区長にもなれるという、汚職にもつながりやすい。公選をやるのならとても買収などできはせるわけです。区会議員を買収すればいいというようなことで、区会議員その他を買収する事件も現に起こっている。御存じのように事例がある。そういうようなことを考えると、すみやかに公選をやるべきだ。  自治省の事務当局にまず御答弁願いたいのは、区長の選出が何日間空白の後に行なわれたかという一番ひどい分。大体平均どのくらい区長の空白期間があったか。事務当局のそのほうの御答弁をいただいて、これを参考にして、いかに区長というものは公選でなければならないかという立場で大臣から御答弁願いたいのです。
  148. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 最近の区長のいわゆる空白期間でございますが、それにつきまして申し上げますと、私いま手元に持っております資料では、昭和四十五年から現在時点というようなデータでございます。それで申し上げますと、空白の日数でございますが、一番長く空白期間のございましたのが中野区の百九十四日でございます。それから港区の百四十八日、それから豊島区の百日というようなところでございます。あとは数十日、区によりましては空白期間なし、つまり即日ということでございます。
  149. 受田新吉

    受田委員 いまのような状態です。たいへんな事態です。
  150. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 区長公選問題にからみまして、各区において、現制度によりまして区長を決定することが非常に困難である、そのために、空白期間を置くことによって行政に支障を来たしておるという事実は、いま受田委員御指摘のとおりでございます。大体、現制度がある限り、現制度によりましてそのようなことのないように行なわれるべきが当然でございますが、残念ながらそのようなことが起こっておるという点については、私たちまことに遺憾に考えておる次第でございます。しかし、それなるがゆえに直ちに、現在の制度ではそういった姿であるから公選制に持ってくるということが行なわれるべきかどうかということにつきましては、これは全般の問題として考えていただかなければならない。都政全般の問題も含んでおりますので、地方制度調査会にも御審議を仰ぎ、いま御検討を賜わっておるような状態でありまして、何ぶんにもこのような問題を起こして空白をつくっておりますことは申しわけない、かように存じておりますが、それだけに慎重を期して問題を検討させていただきたい、このように考えておるような次第でございます。
  151. 受田新吉

    受田委員 地方制度調査会は二十年の歴史を持っておる。そして区長公選が廃止されたのも二十七年で、ちょうど二十年。しかも、いま行政局長が答弁されたのは、空白のないほうがむしろ少なくて、半年以上も空白を持つようなところが各所に出ておる。百日以上というのがたくさん出ておる。こういうのを見ると、そういう空白が出るような事態というものは地方行政の大欠陥ですよ。これは公選でぴしっと勝負をつければ、一ぺんにきまってしまう。そして、区会議員を買収すればすぐ区長になれる、そういう大欠陥を二十年間放置して、いま地方制度調査会の御審議をいただく、御審議をいただいて二十年たって、そのうちに人生終わりになってしまう。これは、住民の不安、住民の不便、こういうものを無視してなぜいままで解決していなかったかという問題です。お互い東京にいると、区長公選をあれだけ住民が叫び、準公選条例をつくってやろうなどというところもできている。その切実な願いがそこに出ている。問題が長い間放置されている。区会議員のほうは公選になっている、区長のほうは公選でないというふうな、こんな片手落ちを二十年も放置して、いまから御審議をいただいて御答申を待ってというようなことは、これは無理ですね。これは自治大臣としてたいへん遺憾な責任のがれの御発言だと私は思うのです。私が申し上げることが間違いなのか。なぜいままでやらなかったか。あなただけ責めるわけにいかぬ。前の大臣が歴代この問題をなまけておる。そういう点、何でなまけないでやっていただけないか。それから地方制度調査会になぜ早くおはかりにならなかったか。私、残念ですね。いまの大臣の御答弁が少しなまぬるいがゆえに、私はあえてこれを御質問するのです。
  152. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御指摘のとおりであろうと思います。諮問はこれからするのだというのでなくして、御承知のとおり、大都市制度の一環として区制を審議していただきましたときに、この区長公選制の問題を制度審議会で審議していただきまして、そのときの中間答申的な案といたしまして区長公選の問題は即時に実施せいという御意見もあるけれども、この問題はその他の制度とあわせて考える。二十七年に変更になった当時のことも考え合わせて慎重に検討すべき問題である。なお、都道府県の問題について、都政の問題について議論すべき点があるので、その点についてはその際に根本的な検討を行なう。ただし、公選制の問題はとにかくとして、区と都のあり方について、このような事務を直ちに区に移管してはどうかということにつきまして、具体的な例をあげていただいているのが実情でございます。  私になりましてから、その点をとらまえまして、いま都限りにおきまして直ちにこの答申どおりに実施し得る事務もございます。また法律で提案してしなければ委譲できないような事務もございます。その点につきまして具体的に検討をはかり、現在途中になっておりますが、地方制度調査会において、都政全般としてとらまえますときに、直ちにこれを受け入れることができるという姿をいま自治省と都と事務的に進めておるというのが現段階でございまして、これから諮問をはかるというような点でなくして、その中間にあって、答申に直ちにこたえられるような姿の事務的な連絡、検討をいまやらしておるというのが現段階の状態でございますので、御理解を賜わりたいと思います。
  153. 受田新吉

    受田委員 その問題は非常に遺憾であるがゆえに、御答弁に不満足です。つまり自治省の事務当局は、もう少しだれにも気がねなしにこの問題を十分検討してもらいたかった。事務当局も当たりさわりを考えながら、右顧左べんしておる傾向があったのではないかと思うのです。区といえば、七十万、八十万という人口を持っている、そういうところのりっぱな大都市ですよ。その首長を公選するというのは理の当然である、民主主義の原則である。それをあえて今日まで無視して、東京都の場合、区長というものの選挙が行なわれないで、区議会の承認によって、しかも東京都知事の承認事項であるということ、これもおかしなことだ。そういうようなことで、この際直ちに、私のいまの主張を天の声として、大臣すみやかに調査会の審議を進めるとかなんとかして、調査会に正義の声を送らなければいけない。正義の声を早く促進して答えを出しなさいというようにしむけていただきたい。  次、いまのせっかく調査会の問題ですが、調査会は地方自治法の第百五十八条の自治体の組織の問題についてどういうふうに進めてきたか。ちょっと調査会抜きに御答弁していただいてもいいと思うのですが、地方自治法の百五十八条には、東京都で地方自治体の組織として局は十局、北海道では九部、人口二百五十万以上の府県では八部、百万以上二百五十万未満の府県には六部、人口百万未満の府県には四部、それぞれ置かれることとなっておる。そしてその次に、第二項に、「都道府県知事は、必要があると認めるときは、条例で、局部の数を増減することができる」となっているが、しかし、その場合でも、「国の行政組織及び他の都道府県の局部の組織との間に権衡を失しないように定めなければならない」、こう書いてある。そして、そのことについては「予め自治大臣に協議しなければならない」となっておる。ところが現実に、この地方自治法の百五十八条の規定を乗り越えて、局や部がよけいできておる県がどれだけあるかを御答弁願いたい。
  154. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま御指摘のような制度になっておるわけでございます。この標準部局をこえて局部を設ける場合には自治大臣と協議を要する、御指摘のとおりでございます。  そこで、ただいま御指摘の、たとえば東京都でございますれば、法定の局は十局でございますけれども、これが三つこえて十三局、こういうことになっております。各個別の府県によって、人口段階に応じて、私ども標準部局と申しておりますが、傾向といたしましては、二あるいは三、この標準部局からオーバーしておるというのが実情であります。
  155. 受田新吉

    受田委員 はなはだおもしろい県がある。あえて県をここで指摘することをよしますが、おわかりと思うのですが、部の下に局をつくっている県があるのですね。幾つぐらいありますか。
  156. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 もし正確な数字でございましたならば、ただいま御答弁のあとで数えて御報告申し上げますが、確かに、御指摘のように、部の下に局という名前の組織をつくっているところはございます。
  157. 受田新吉

    受田委員 大体、局の下に部があるので、部の下に局があるというような変則が地方自治体にはあるのです。たとえば局長さんの下に部長がおるのが筋ですよ。ところが、部長の下に局長がおる。だから、ちょっと中央から行くと、局長と書いてあるから、局長のほうがえらいと思って、あなたの部下の部長はどうですか、こう質問でもすると、わしのほうが上ですといって居直らなければならぬという問題が起こっておる。はなはだ変則的な地方組織がいまできておる。それから二つないしは三つははみ出ておる。こんな変則を自治大臣はどうして承認されたのですか、お答えを願いたい。
  158. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 大臣答弁いたします前に私からお答え申し上げます。  御承知のように、この自治法百五十八条の規定は、自治法ができました当時からの規定でございます。したがいまして、その後二十数年たっておりまして、わが国の国情もだいぶ変わってまいりましたし、行政需要も新しいものがふえてきたわけでございます。そういう点から申しまして、たとえば、御承知のように、最近の環境問題あるいは公害問題というようなことから環境保全局を置いたり、これは一つの例でございますけれども、そういうようなことで、基本自治法施行当時の規定でございますけれども、その後の新しい行政需要に応じて各県が行政組織を考えまして、自治大臣と協議をして、自治大臣としても必要なものは承認をする、こういうことで数がふえてきているわけであります。
  159. 受田新吉

    受田委員 中央官庁においては、外局を設けた際に、外局の下に局を設けることはできないことになっている。自治省であれば消防庁があるが、消防庁の下に局はないのです。にもかかわらず地方には部の下に局がある。室の下に課がある。どこからこういう変則が生まれてくるのか。中央、地方をして一貫した体制ができておらぬです。われわれ国家行政組織をじっと見ておるときに、久しぶりに地方自治体の実態調査をやってみると、それが著しく目につく。部長の下に局長がおるのですからね。下部機構に局長を置いておる。部の下に局長を置いておる。それを平然と自治大臣が認めておる。中央官庁との、国家行政組織とのバランスを考えながら地方行政組織を考えなければならぬほうが、地方行政組織をばらばらになさるのだ。自治大臣が承認されなければ済むことなんです。なぜそんなことを承認されたのか。何かこれは自治省にはおかしな零囲気があると思えてしょうがないのです。国家行政組織と大体同じように、部長の下部組織に局長がおるなどという変則は、私これは自治省ではきちっと締めてもらいたい。
  160. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまお話しの、部の下に局があるというのは、私どもの正式の協議事項なり承認事項ではございません。それじゃ一体どうしてそういうものがあり、その中身は何であるかということでございますが、局と名がついておりますのは、たとえば青少年の保護局でございますとか、あるいは公害対策局でございますとか、総じて一つの部で処理できないような、多くの部にまたがっておりますようなものが中身になっているのが私は多いと思います。そういうことで、一般的に申しますと、部の下に局があるというのは確かにたいへん不合理と申しますか、常識に反するわけでございます。私どものほうといたしましては、組織をつくる場合に、局という名前をつけるということ自身——これは協議事項でも承認事項でもございませんけれども、局という名前をつける場合でも、局の下に課を置くというようなことは、まさに自治法の部の制度に対する事実上の例外措置をつくることでございます。したがって、局には課をつくらないで、スタッフの組織と申しますか、よく地方では主幹とかいうような名前をつけておりますけれども、そういうようなものであるならば、これは部のもとにおける一つの組織として事実上考えられはしないか、こういう態度をとっているわけでございます。傾向といたしましては、私も、部の下に少なくとも局という名前のものがあるということは、どうも常識にそぐわないとおっしゃるお気持ちは同感でございます。
  161. 受田新吉

    受田委員 この問題は、国家行政組織を勉強して、地方行政組織を比較検討しながら、へんてこだなという感じがちょいちょいしておったのです。局長とわれわれが一緒に自治省のことをやる機会がめったにないので、たまたまそれが出てきたので一挙に申し上げた。地方行政委員会に行って発言したい問題もあるのですけれども、いいチャンスだから私は申し上げるが、それをきちっと締めるのは自治省です。自治省が国とのバランスを考え、また府県との均衡を考えて、そういうおかしなへんてこな機構をつくらぬように指導さるべきですよ。自治省の承認事項でないが、指導することによって幾らでも救える。これははなはだおかしい現象が起こっている。十分御注意願いたい。  それから事実問題では、二つも三つもはみ出る部をつくっておるということはおかしいじゃないですか。こういう現象を事実認めるならば、むしろ自治省が地方自治法の百五十八条の改正をなぜ申し出ぬのですか。法律違反を平然とやって、二部も三部もはみ出るようなやり方をして、法律に忠実でない指導を加えて、そしてやむを得ませんというような言いのがれをされるということは、私は許されないと思うのです。自治省はややもすると、そういうところが非常にずるい役所になる。法律に忠実でない役所です。現実に忠実じゃないでしょう。何のために自治法の百五十八条があるのですか。府県の人口割りにぴしっとしてあるじゃないですか。それにもかかわらず、大体二つか三つはみ出ておる、これが現実ですとおっしゃっておる。そういう実情を私は見のがすわけにいかぬと思うのです。もしやむを得ぬ実情があるならば、百五十八条の改正をなさいませよ。法律に忠実であるのが中央官庁ですよ。御答弁願いたい。
  162. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 実情受田委員の御指摘のとおりであります。ただ、言いわけになるような姿で申しわけないのでございますが、現実に私が在任いたしましてから、部の申請大臣の認可という点につきましては、事務局といたしましても相当厳格に取り扱っておることは事実でございます。私自身、たびたびの実情を通じての承認方の陳情を受けてきたというのが私の体験でございまして、その意味から言いましては、法律に定めておりますものが乱に流れないように、相当厳格に事務当局も処置いたしておる、かように考えます。  しかしながら、御承知のとおり、現在、桂会経済状態もたいへん多様化してまいり、行政需要もまた多様化してまいり、はたしていま申されました自治法百五十八条が実情に合ったものであるかどうか、再検討をすべき問題ではないかと思います。したがいまして、いま御指摘もございましたので、百五十八条そのものを改正することにもう踏み切らなければならないか、あるいは法改正をすることによってかえってまた部を多くするというふうな弊害におちいる、どちらをとるべきかということを慎重に検討せなければならない時期に来ておる、この点をいま御指摘になられたと思います。その点、いまの局の問題等ともあわせまして十分検討させていただきまして、至急結論を出すように検討してまいりたい、かように考えます。
  163. 受田新吉

    受田委員 至急結論を出していただきたい。つまり部を増設することを認めないか、あるいは百五十八条は実情に即さなくなったのでこれを改正するか、せっぱ詰まって何らかの措置をとりたい、こういう御発言と了解いたします。  それで、私、自治省の事務当局はよく注意していただきたいのだが、国家行政組織のほうは、行政管理庁がちゃんとできるだけそこを締めていくから、選挙局が選挙部になっても自治省がまんされた。非常にやかましい。一局削減でちゃんと協力しておる。ところが、地方行政組織になってくると、これは自治省責任になってきておる。いまのような承認事項、協議事項になっておるのだから。そうなれば、自治省行政管理庁の役をしてぴしっと締めてくれればいいと思うのですよ。そこがだらりと抜けておる。私、自治省のお役人たちにその点十分考えてもらいたい。地方へ三十歳台で課長で行くとかいうことをいばっておるだけが自治省の仕事じゃないのですよ。自治省はそういうところでいばっていただく役所ではない。むしろ地方行政組織をきっちりと締めて、国家全体の立場の自治省である。中央の官庁の若い方が行くために課ができたり室ができたりするような細工に興味を感ずるような役所は、私は許されないと思うのだ。もっと真剣に地方自治体のあり方を事務当局自身が考えて、また大臣は、そのときどきの情勢を十分大所高所から判断して、国家全体の立場から地方自治体のことを考えるという、そういう大政治家でなければならないと思うのです。そういう点がどうも自治省のやり方におかしいところがある。  もう一つ、これに関連する地方事務官の問題です。国家公務員が地方事務官で地方へ行っておられる。そういうときに、完全な地方行政組織の構成員であるにかかわらず国家公務員の身分を残しておるという、きわめて変則な状態がいま自治省の所管事項の中にあるのです。労働省とか厚生省とかの保険とか職業安定とかをなさる方々が、課長などになって、地方事務官というような地方にありもせぬような名前で行かれる。都道府県知事の監督を受けるけれども身分は国家公務員であるというような、こんなことでは地方自治体は大迷惑ですよ。もう地方に行った瞬間には完全な地方公務員にぴしっと切りかえるべきだ。それから本省に戻ってまた国家公務員に戻ればいいのです。そこに中央集権的な悪い印象を与える根源がある。そうして適当に地方の課長などを二、三年やって中央へ帰っていく。いかにも中方から来た立場の権威を誇っていらっしゃるような立場であったのでは、これは私、残念ですね。地方へいらっしゃる方は、なぜすっきりと地方公務員へ切りかえて行かれないのですか。国家公務員の名になぜ恋々として、国家公務員たる地方事務官などというくだらぬところに魅力を残しておられるのか。残念である。これは自治省もっとしっかりせにゃいかぬ。これは残念だ。しかもそれに対して、地方公務員の仕事をして、そうして地方自治体の職員として働く場合に国家公務員の格がどこに要るのですか。どこに必要があるのか。地方制度調査会も臨時行政調査会も地方事務官の廃止を答申している。にもかかわらず自治省はなぜ恋々としてこれに未練を残しておるか。御答弁願いたい。
  164. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 これまた御指摘のとおりでございまして、いま自治省が恋々としておるというよりも、いま御指摘にありました、労働省、運輸省、厚生省との間の連絡を私たち絶えずとりまして、一日も早く答申どおり、これがはっきりと地方の職員に身分が切りかえられるように努力をいたしておりますが、努力足らずして今日に至っておるというのが実情でございまして、今後とも、いまのような御激励のことばを承りまして、力を倍にいたしまして、各省と連絡の上、一日も早く御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。なお、今日に至るまでの各省に対する経過等もございますので、その点に関しましては行政局長からお答えいたさせます。
  165. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 確かにこれにつきましては、全くただいま受田委員のおっしゃるとおりでございますが、私ども力足らずして今日に至っているわけでございますが、ごく簡単にただいまの現状を申し上げます。  ただいま一番進んでおりますのは運輸省の陸運行政関係でございます。ここ二、三年、運輸省当局とずいぶんいろいろ折衝いたしまして、私の見通しでは、大体、来年度から運輸省関係の地方事務官は解消できるのではないか、こういうふうに思っております。  それから労働省関係につきましては、労働省の地方行政機構の改革という考え方を労働省が持っておりまして、それとの関連で検討するということで話を進めていたのでございますが、労働省の地方行政機構の改革につきましてのかねての考え方が、いま少し変わってきております。しかし私は、それとは関係なく地方事務官の廃止にぜひ踏み切ってもらいたいということで折衝いたしておりまして、これは陸運行政よりも一年ばかりおくれるかと思いますが、ただいまその話しを進めておる段階でございます。  厚生省関係の問題が、これが一番まだ具体的な話し合いがございません。御報告を申し上げるようなことがないのはまことに残念でございます。厚生省関係のほうは、医療保険の抜本改正に際して地方事務官の解消もあわせて考える、こういう基本的な了解には立っておりますけれども、それにつきましての具体的なスケジュールは、まだここで御報告を申し上げますようなことがございませんのは、まことに残念であると思います。
  166. 受田新吉

    受田委員 お二人の御答弁で私の発言を原則として承認していただいておることを、私、うれしく思うのですけれども、これはほんとうに国家行政組織上の基本問題です。国家公務員が地方公務員の仕事をしておりながら、国家公務員の仕事は一つもしておらぬのに国家公務員の身分であるというこの変則、これに対して行政管理庁のほうでは、国家公務員に地方公務員の仕事をさせることについて、また、そういう機構上の問題について、国家公務員の地方事務官制度というもの、地方の出先機関の仕事をさせることについて、各省の間の連絡調整、きちっとした措置をされておるのかどうか。御答弁願いたい。
  167. 高橋豊三郎

    ○高橋説明員 ただいま自治省のほうから御答弁がありましたように、地方事務官制度につきましては、臨調の行政改革の三年計画の上にも載っておりまして、その線で私どものほうでも各省庁に対し、自治省、それから労働省関係でいろいろ御推進になっておられるわけでございますが、一応そういう三年計画を推進するという立場でただいま実施しておるわけでございます。
  168. 受田新吉

    受田委員 それだけですか。まだあるのですか。
  169. 高橋豊三郎

    ○高橋説明員 それだけでございます。
  170. 受田新吉

    受田委員 それはなまぬるいよ。つまり臨調の答申を担当される役所として、いま各省から地方に出ている地方事務官の問題については行管がもっと本気で扱ってもらいたいのだ。いまのお話によると、これは自治省だけではやれぬのだよ。行管が手伝いをしなければいかぬのに、その行管がぼんやりしている。これは自治省と行管が一体となってこの問題の解決をはかるということでなければいかぬ。いまの行管のお話のような三年間ということではだめだ。もう少し国家行政組織、地方行政組織というものの関連をりっぱにやっていただいて、国家の形態の中にこんな変則を長い間認めてきたこの悪慣例というものを早く断ち切る。私はこれを憂えますよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私はいま、内閣委員会自治省の仕事についてやった、たまたまきょうのこの機会に、われわれ政治家というものは、大所高所から各省にまたがって物事を検討すべきで、一部分については専門家であっても他はわからぬというのは、それは政治家の責任なんだから、そういう意味からお互いに、いま委員皆さんも、社会党の方も自民党の方も、そのとおりだと賛成をいただいておるので……(「そのとおり、そのとおり」と呼ぶ者あり)そういうことですからね。ひとつもっとしっかり真剣にやっていただきたい。国会をなめないでくださいよ。われわれの主張をすなおに受け入れてもらう。いや、むしろわれわれは、行管にもっとしっかりしてもらいたいと要求しておるのだ。こんなおかしな制度を残しておいて行管の存在意義はどこにありますか。臨調の答申をあずかる行管の立場いずれにありやということを言いたい。そういう点、私はきょうは、行管庁長官がおられれば一緒にやりたいところだが、委員皆さんもこうしてたくさんの方が待っておられるので、私もその気持ちはわかりますから、これで質問を終わらしてもらいますが、この友情あふれる同僚諸君と一緒に、自治省も行管も一体となって、これに真剣に取り組んでもらいたい。そしてこういうぶかっこうなことはぜひひとつやめてもらいたい。  きょうはほかの行政機構、地方行政組織の改革の問題、選挙の汚職の問題、いろいろな問題をひっくるめてやろうと思ったが、皆さんがこれだけ待っておられるので、したがって私は、いまの大事なポイントだけを押えて、通告してある問題の半分も質問していないが、とにかく、私の願っておる方向は、健全な地方行政、国家行政との間にバランスがとれた地方行政、そこに働く人々にそれぞれ希望を与える、職務に精励してもらって国家、国民の繁栄のために尽くしてもらう、そういった願いを持って私はお話しをしておるのです。大臣おわかりですか。御答弁を願って質問を終わることになるのですが、どうですか。答弁次第によってはまた……。
  171. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 地方自治あり方につきまして御理解ある御質問を賜わりまして、また、私たちの至らない点、率直に認めなければならない点も御指摘を賜わりまして、御意見十分肝に銘じまして、私も在任の間中、この問題に向かいまして全力をあげて取り組むことをお誓いして、答弁にかえさせていただきたいと思います。
  172. 受田新吉

    受田委員 では、終わります。
  173. 坂村吉正

    坂村委員長代理 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  174. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  175. 坂村吉正

    坂村委員長代理 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 坂村吉正

    坂村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  177. 坂村吉正

    坂村委員長代理 次回は、明九日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時九分散会