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松本(忠)
委員 私は、きょう航空
事故調査委員会の問題について若干のお尋ねをいたしたいと思います。
航空
事故調査委員会を
設置せよということは、私のかねがねの持論でありますし、血の羽田沖の
事故につきまして、四十五年九月、最終報告が出されました時点、この前後に、五回にわたりまして、
国会において私は
質問をいたしてまいりました。その中で、四十五年の十月九日に、運輸
委員会におきましても、この航空
事故調査委員会を常設をしなさいということを強く
お願いをいたしました。なおまた、同年十一月九日に交通安全対策特別
委員会におきましても、木村参考人あるいは楢林参考人の二人を呼びまして、参考人の
意見を聴取いたしました。その際にも、当時の橋本
運輸大臣に対しまして、この問題を聞こうとしたわけでありますが、当日、残念なことに
大臣が出なかったので、翌々十一月十一日に、運輸
委員会におきまして、この問題を橋本
運輸大臣に詰め寄りました。そのときの答弁でも、常置の
事故調査体制の必要性を橋本
運輸大臣は認められました。それについては、もちろん
法律上の改正等いろいろ必要だというようなことで、当時もこういうふうな答弁があったわけであります。「こういう
制度を将来日本としても取り入れる必要がありはしないか」、こういうふうに橋本さんは話し始めまして、「それには、もちろん
法律上の改正等が要りますので、いま直ちにこれを実施することは困難ではありますが、そのような
制度についても今後検討をしてまいりたい。そして
運輸省の
事故関係の人は、そのスタッフとして下働きをする、かような
制度がやはり必要ではなかろうか、こう考えておりまして、このような
制度についての検討方を私から
関係者に命じております」。当時橋本
運輸大臣がこのように前向きな答弁をされました。その後四十六年の七月三日に、函館付近におけるYS11のいわゆる「ばん
だい号」の
事故、これがありました際にも、七日に現
運輸大臣の丹羽さんにも、常設の
事故調査委員会をおつくりくださいということを要望いたしました。これに対しまして
大臣もその必要性を認められました。その答弁の内容をいまさら申し上げる必要はないと思います。
大臣がそこにいらっしゃるわけでありますから。
そうした結果今回こうして航空
事故調査委員会設置法という形になって
提出されてきたものと思います。その点、私の要望に対しましての結果として出てきたわけでございますから、もろ手をあげて
賛成をしたいわけでございますけれ
ども、内容を拝見いたしますと、そうはまいりません。数々の疑問点がございます。そこで、本法の審議が、運輸
委員会でなく内閣
委員会において行なわれることになりましたので、皆さま方の御
同意を得まして
質疑の機会を与えていただいたわけでございまして、この点を私、
委員長はじめ、
委員の各位に対して感謝をする次第でございます。
そこで、私がこれから申し上げることの中には、
質問もありますが、要望もあります。こうすべきだ、こう変えるべきだ、こういうふうな点もかなりございます。それというのも、本法がこのままの形で
賛成多数というようなことで通過してしまったならば、大きな禍根を残すと私、思います。したがいまして、この問題につきましては徹底した
論議がなさるべきではなかろうか、こう思うわけでございます。
そこで、まず各条項についてこれから
質疑をするわけでございますが、まず第一条の「
目的」、この
目的のことにつきましてお尋ねをいたしたいわけでございます。読んでみますと、「この
法律は、
航空事故の
原因を究明するための
調査を
適確に行なわせるため航空
事故調査委員会を
設置し、もって
航空事故の防止に寄与することを
目的とする」となっておりますが、この「
適確」という
ことばであります。この「
適確」という
ことばの内容をもっとさだかにする必要があるのではなかろうか。たとえて言うならば、「公正かつ
科学的な」というような表現にすべきであると思うわけでございます。これがまず第一点であります。
御承知のように、航空技術は日に日に進歩しておりますし、とどまるところを知りません。
事故調査も、
事故防止体制も、それに追随していたのではだめだと思います。一歩前を行くということでなければ、未然に防止するということは不可能だと思います。時代によって
調査技術も変化するわけですから、そういうものを巧みに取り入れ、反映していかねばならない、そういう
意味もこの「
適確」の中に含まれているのではなかろうかと思います。正確に言いますと、「
目的」を満たすことを期待する
組織だ、こう思います。そうなると、
「
目的」を満たしているのかいないのか、だれかがチェックをして、満たされていなかったならば直すようなしかけが、どこかになければならないのではないかという点が第二点であります。このしかけをどこに持つか、中に持つか、外に持つか、あるいは両方に持つか、こういうことが考えられるわけでありますが、その点をどうするかということであります。公正な
調査をしよう、
科学的な
調査をしようとだれもが心がけてやるわけでございますけれ
ども、やってみなければわからないと思うのです。そこで、結果は結果として
批判にさらされるというか、チェックのしかけを持つ必要があろうかと思うのであります。そこで、このチェックを、内部にも、あるいは外部にも、あるいはまた内外ともに持たせるということが、公正さを確保するという
意味から非常にいいのではなかろうか。この
組織が「
目的」を満たしているかどうかチェックする、そのチェックをどうするか、こういうようなことがこの「
目的」の中に考えられねばならないのではなかろうかと思うわけでございます。この点について、まず
大臣の御見解を伺っておきたいわけであります。