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1972-06-01 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月一日(木曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       大村 襄治君    笠岡  喬君       中山 利生君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    木原  実君       細谷 治嘉君    横路 孝弘君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       津川 武一君    東中 光雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君  出席政府委員         総理府恩給局長 平川 幸藏君         行政管理政務次         官       岩動 道行君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    小林  寧君         法務省矯正局長 羽山 忠弘君         農林大臣官房長 中野 和仁君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林大臣官房予         算課長     松本 作衞君         農林大臣官房経         理課長     石田貞二郎君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         食糧庁長官   亀長 友義君         食糧庁次長   中村健次郎君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   太田 康二君         水産庁次長   藤村 弘毅君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局監         理部長     住田 正二君         郵政大臣官房長 森田 行正君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  清正  清君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         林野庁職員部職         員課長     石川 博厚君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     大村 襄治君   上原 康助君     細谷 治嘉君   東中 光雄君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     鯨岡 兵輔君   細谷 治嘉君     上原 康助君   津川 武一君     東中 光雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第二八号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六六号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  許可認可等整理に関する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 きょうは行政改革全般についてお尋ねをしたいと思いますが、最初に法案に関連して、例の細則廃止法務大臣認可廃止の問題について、矯正局のほうに二、三お尋ねをしておきます。  「刑政」という雑誌がございますが、昭和四十四年に出されたこの雑誌に、東京家庭裁判所森田さんという裁判官が「少年院の新しい進路のために」ということで、こんなことが書かれているわけです。それは、少年院収容人員が年々減少してきた。従来は非常にひどい過剰収容状況だったわけで、ほんとう少年院教育というのができなかったけれども、ようやく最近は少年院教育に新しい活路を開くことができて、少年院というのを、ほんとうトレーニングスクール、あるいは治療とかカウンセリングの場として成長させることができる余裕がようやく出てきた。従来はどうかというと、審判をやって少年院送致という決定をするのに非常にちゅうちょした。ほんとうに行ってよくなるかというと、むしろ悪くなる。そういうような教育的な状況に置かれていなかった。アメリカの場合ですと、裁判官が自信をもって子供たちに、少年院に行きなさい、行ってみてもし悪かったらいつでも出してやるし、ほかのところにかえてやる、裁判官ことばを信頼してともかく行ってごらんなさいということが言えた。日本裁判官というのはそういうことが全然言えない状況だったという話が、具体的な例をあげながらこの中に書かれているわけですが、最近、少年院収容人員というのは非常に減ってきて、そんな意味では、少年院教育あり方ほんとうにみんなで考えることができるような状況になってきたというふうに私は思うわけです。昭和四十年当時の状況というのはあまりにもひど過ぎたというように考えるわけですけれども矯正局長、この裁判官ことば収容人員が減ってようやく子供に対するほんとう教育ができるようになったんだという発言について、どのようにお考えですか。
  4. 羽山忠弘

    羽山政府委員 私は現場の経験がございませんけれども、先般、まだ一週間足らずでございますが、少年院長中央会同をいたしまして、お尋ねの点に関する現場院長意見を聞きました。すべての人が申しますのは、ただいま森田判事の言われますように、前はあまりにも人間が多過ぎて矯正教育というようなことにとうてい手が回りかねた、最近やっと少年院らしい処遇ができるようになったということでございます。いまお尋ねの中にございました森田判事意見は全くそのとおりだと思います。
  5. 横路孝弘

    横路委員 そこで、行管の方にお尋ねしたいのです。おたくは人減らし専門ですから。ただ、何でもかんでも減らせばいいというものではないのでありまして、行管監察月報の去年の九月に出た一四四号、これを見ると、ちょっと気にかかることが書いてあるのです。それは「矯正施設間定員配置合理化」というところで、減ってきたところは、それに伴って職員定員を減らすなり再配分をしたらいいじゃないか。つまり、減っているところは減らし、また過剰状態にある刑務所等はそれに伴ってふやすというような措置法務省として考えなければならぬという指摘があるのですけれどもほんとうは、もうちょっと、少年院実態なりいまの刑務所実態というのをお話し申し上げてこういう質問をすれば御理解いただけるんじゃないかと思うのですが、きょうはその時間もございませんので……。  いま矯正局長のほうから話があったように、現場少年院長としても、あるいは刑務所長としても、とにかくいままでの状況はひど過ぎた。それは職員なんかも、三日に一回くらいの宿直勤務をしなければならぬような状態で、待遇もあまりよろしくない中で、ともかく苦労されていままでやってきたわけです。いま少年院などの収容人員というのは確かに非常に減ってきているわけです。減ってきているときに、それに伴って職員定員を減らすということでは、またもとのもくあみなんです。いま施設のほうも、どうやら少しずつよくなってきている中に、そんな意味では、職員を減らすということだけお考えにならないで、ほんとう少年院教育をどうすべきかということでの職員配置ということをお考えにならないと困るんじゃないかという意味では、ちょっとここの指摘というのは気にかかるところなんですね。その辺のところ行管としてどのようにお考えになっているのか。
  6. 小林寧

    小林(寧)政府委員 確かに、去年の八月二十四日、「国の行政事務簡素合理化に関する行政監察」で矯正施設間の定員配置の問題を取り上げております。ただ、私のほうでは、収容人員職員数というもののバランスの関係については非常に関心を持っておりますし、また国の行政事務が、そういうような観点から、適切な人員配置というものが必要になると考えて勧告したわけでありますが、その内容について、私のほうではアンバランスのところは再配分をしていただきたい。また、そうしたような定員職員数が非常に片寄っているところのものが各少年院なり各矯正施設にいろいろあるということに対して、やはり合理的な一つ基準、こういうものを考えていただきたいと  いうことを言っておるわけでありまして、ここの削減だけを取り上げたものではございません。
  7. 横路孝弘

    横路委員 これは従来矯正局のほうも、収容人員がふえたからということ、ただそれだけで定員大蔵省なり行管のほうに要求をしておる。逆に言うと、そういうことでは今度減ってくるというような状態になるので、ほんとう少年教育をするために職員配置というのはどのくらいだ。たとえば三日に一回宿直しなければならぬというのは適正な配置といえないでしょう。違いますか。行管のほうどうですか。
  8. 小林寧

    小林(寧)政府委員 確かにそういう点はございます。私のほうで調査した各施設状況等について見ますと、そうしたような非常に超勤をしいられるという事例もございますし、また逆に非常に人員が余っているというような事例が見受けられました。したがって、先ほどお話がありました、これは法務省関係と思いますが、森田判事等の  いろいろの御説のように、まず定員人員アンバランス定員収容者アンバランスというものの再配分、またそれに必要な基準、そういうものが矯正行政というものについて必要であるというような観点を盛ったわけでございます。
  9. 横路孝弘

    横路委員 外国の例等もいろいろありますけれども日本みたいに、従来の昭和四十年前後みたいな状況のところというのは、世界的に見て進んでいる国ではほとんどないわけであります。そんな意味では、こまかい議論は、法務省設置法少年院が新しくできるという法案がかかっておりますので、そのときにまた行管の方においで願っていろいろと議論したいと思いますけれども、やはり考えなければならぬのは、そんな意味で、収容人員定員というもののいままでのあり方がよかったのかどうかということをやはり考えないと、ただ単に減ったから減らすんだということでは、状況というのは全然変わらない。よくならない、進歩しないわけです。その辺のところをやはり行管としてお考えをいただかないと、ただ単に減ったから減らすんだということでは全然進歩がない。このことだけは、大臣、ぜひ頭の中に入れておいてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  10. 中村寅太

    中村国務大臣 横路委員の御指摘のありましたように、定員等整理をいたします場合には、行政需要実態と見合うような人員配置することが基本でございますが、御指摘になったような少年院等あり方、性格、特にこういうものは、非行少年等をいいほうに向けていくというような特殊な施設でございますから、ただ単に定員職員配置数をそろばんではじくようなことでなく、御指摘のような一つの精神を尊重しまして、そういうところには、目的を達するような人員をできるだけ十分に配置すべきである、かように私は考えております。
  11. 横路孝弘

    横路委員 そこで、いま分類処遇になっていますから、ある刑務所が人数が多いからといって、簡単にほかの刑務所にかえるというわけにはいかないのでしょうけれども、私は、定員のほうをいじるよりは、収容されている人間のほうを移動させることを考えたほうが、いまの刑務所の中の状況を改善していくためにはいいんじゃないかと考えるのですが、矯正局長少年院は別にして、刑務所のほうは若干過剰収容になっているところがありますね。その辺のところは、職員のほうをいじるというのではなくて、収容者のほうを動かすということは、いまのそれぞれの刑務所は位置づけされていますから、なかなかむづかしい面があると思うのですが、困難なんですか。
  12. 羽山忠弘

    羽山政府委員 それは困難ではございません。全体的に申しまして、刑務所も実は収容人員が減っております。それで、一部過剰のところはございますけれども、全国的な規模におきまして移送を行なっております。
  13. 横路孝弘

    横路委員 私、なぜこういう質問をするかというと、最近、家裁のほうに対して少年院のほうから、子供を送ってほしいという要求が出てきているというのですね。なぜ送ってほしいかというと、収容人員がどんどん減ると予算を減らされるというわけです。そういうことじゃ困るのですね。最近、子供の入っている期間というのも、だんだん少年院は長くなってきています。長くなってきているというのは、一がいには悪いとは言えないけれども、いままで、次から次へと期間が来れば出すというような、ところてん方式みたいな傾向もなかったわけじゃないですから、それはいいのでありますけれども、ただ予算の面で、収容人員が減っているから子供を送ってくれというような要求少年院から裁判所に出されている現状を見ると、どこが悪いかというと、そういう要求を出すほうも出すほうですけれども、やはり一番の大もと行管なり大蔵省のほうで、単なる収容人員定員ということで予算操作あるいは人間操作をやっておるから、そんなつまらぬことになるわけです。そこで、気がかりなので、いまのような御質問をしたのですけれども大臣から理解ある御答弁をもらったようでありますから、矯正局のほうでも、いまの段階では、そんな意味での少年院あり方をぜひこの際お考えをいただいて、単に、収容人員が減ったから定員を減らす、それに抵抗するために収容人員をどんどんふやそうというので、裁判所子供を回せなんという要求をしないようにしていただきたいというように私は思うのですが、いかがでございますか。
  14. 羽山忠弘

    羽山政府委員 その実情はよく存じませんけれども、あまり人間が減りますと、たとえは現在の極端な例は、私のほうの所管におきましては婦人補導院がございますが、職員仕事がないというようなことで士気に影響する、そこでもう少し少年がほしい。一部にそういう施設が出ているのではないかと思いますけれども、ただ、この機会に私どもは、少年院処遇内容を充実することによりまして、むしろ裁判所のほうから、処遇の向上を宣伝することによりまして、判事さんに安んじて送っていただくというようにしてまいりたいと考えております。
  15. 横路孝弘

    横路委員 私、先日、千歳特別少年院北海少年院に行ってきたわけですが、北海少年院の場合は、医療少年院初等少年院中等少年院三つみんな一緒なんです。施設北海少年院のほうがいいのですが、ああいうのを考えてみても、三つ一緒なんというのは問題がありますし、千歳少年院に行きますと、精薄子供なんかも一緒に入れてしまっているのですね。あれは、医療少年院というものがもうちょっと施設なりを充実できれば——特別少年院のあの中に精薄子供を入れたって、処遇するほうだって、そういう子供が二、三人いるだけでなかなかたいへんなんです。  そういう意味で、この際、そういう分類制度なら分類制度というものをきちんと確立されて、もう一度この中身を考えてみるということのほうがいいわけでありまして、職員がひまで困っているというようなことを、どこをごらんになったかわかりませんけれども千歳少年院の場合も、従来に比べて収容人員が減っている。減っているけれども、これでようやく子供自主性を見ながら一人一人の相談相手になって指導してやれる体制がとれるようになった、職員のほうもようやく年休も少しとれるようになりました、こういうことなんです。ですからその辺のところをぜひお考えをいただきたいと思うわけであります。  あと少年法の改正の問題を含めて少年院問題点はたくさんありますけれども法務省設置法のときに詳しい議論をすることにして、もう一つ、今回の少年院の中の細則規則ですね。この問題についてちょっと気になるわけでありますが、少年院処遇というのは、調べてみると、一応、一級、二級、三級に分かれておりまして、ほとんど三級というものはなくて、二級の下に編入になって、大体あと三カ月何もなければ、ともかくぽんぽんぽんと進級していって退院をする、こういうことになっているわけですね。  その処遇の進級するかどうかという判定の基準に実は細則が使われている。いろいろなやり方があるようで、くふうもそれぞれあるようですけれども減点制度なんといって、少年一人一人に持ち点を与えておいて、この間ここで東中委員から質問がありましたけれども、いろいろ収容心得みたいなものがあって、それに違反すると点をどんどん引いていって、そしてある点を割ると進級させない。あるいは、何か謹慎処分を受けるようなことをやると級を下げるということになっているわけですね。そうすると、子供というのはどうかと言いますと、表面上、教官に対してうわべだけ取りつくろって、ともかく時間だけ来るのを待つということになりかねないと思う。  そんな意味では、細則あり方というのを、法務大臣認可からそれぞれの少年院に移したということだけで、行政事務のほうは簡素化されるでしょうけれども少年院のほうは何も変わらぬわけでありまして、その辺のところの処遇について、もうちょっといまの状況をこの際考えるべき時期に来ているのではないかと思いますけれども、その点はどうですか。
  16. 羽山忠弘

    羽山政府委員 それはまことに御指摘のとおりでございまして、先般の地方会同におきましても、段階処遇あり方、それから成績評価の方法ということが議題になりまして、約半日、この問題で全国的な討議をいたしたのであります。  一口に申しますと、要するに、いま御指摘のように、ぽんぽんぽんと上がる形式的なことはいかぬ、減点制度あるいは点数制度でございますか、点数制度などのみによるということはやはり妥当ではない。考査制点数制を併用するとか、これは何らかの目安というものが必要でございますから、その点数を下げる、上げるというような問題につきましても、処遇審査会という全教官の関与する会議で十分に実質的な討議を尽くしまして、上げたり下げたりするというふうにいくべきだという意見が圧倒的に多かったと思います。
  17. 横路孝弘

    横路委員 ですから、これもある意味では、過剰収容時代にはこれをせざるを得なかった。つまり、どんどん入ってくるわけですから、どんどん出さなければならない。そのためには、ある程度年月をきめて、しかもともかく集団的に秩序を維持するということだけをお考えになっている。したがって、規則もつまらない規則をたくさんつくって縛っていくということになりかねないというように思うのですね。したがって、これもやはり、過剰収容時代といまの状況。いまの状況も、年齢的に少年層自身が減っているという面もないわけじゃないので、また何年かたつとふえてくるというのは、人口の状況、推移を見ると明らかなわけですね。したがって、その辺のところを、繰り返すようでありますけれども、いま収容人員が減っているときに考え直さなければならぬのじゃないかというように思うのです。  それからもう一つ、この細則等なんですけれども少年院処遇というのは、刑務所もそうですけれども院長によって指導方針がずいぶん違ってくるのですね。たとえば北海道あたりで非常に評判がよろしかったのは、前の帯広少年院ができた当時、自治会といいますか、生徒会みたいなものをつくって、子供自主性創造性というものを高めるような指導というのを行なってきて、それなりに成果があがったということがいわれておりますし、あそこの北海少年院ですと、内観とかいって一人にしておって反省させるというような方式をおとりになっていまおやりになっているようですが、いろいろやり方が違うと、それによって中の規則等も非常に違ってくる面が出てくるのじゃないか。まだ中には、少年院畑だけを歩いてきた人じゃなくて、刑務所畑を歩いてきた少年院長というのもやはりおりまして、どうしても考え方というのは刑務所考え方になると思うのですね。本来は少年院刑務所でもって取り扱いが違っていいとは私は思うのですが、ただ従来の刑務所はどうしても罰という面が非常にあって、そういうような刑務所の中の行政に携わってきた人が少年院へ行くと、これは矯正というか、教育ということがいまの現行法でも中心になっているわけですから、その辺のところで非常にアンバランスが出てくるわけです。教育ということを重点に置いた少年院長が出てきた場合はいいのですけれども、そうじゃなくて規律とか保安とかというようなことしか頭の中にないような人も、いろいろ話を聞くと、中にはおられるようであります。  そういうことになると、現場にまかせることによってこの細則が非常に変わってくる。そういう弊害もまたあるわけですが、また逆に言うと、それぞれお考えになって実験ができるという意味ではプラスの面と、両方やはり考えられると思うのですね。その辺のところを今回の措置についてどのようにお考えになっているのか。これは行管のほうでも矯正局のほうでもけっこうです。
  18. 羽山忠弘

    羽山政府委員 私どもは、いま御指摘のように、施設長がかわりましたときに、極端にその処遇やり方なり処遇内容なりが変わるということを一番警戒をいたしておるところでございます。本省は年に何回か少年院に対して監察をいたしますし、矯正管区が一庁平均一年に二回ぐらいずつ、監察と申しますか、事実を見ておると思うのであります。それともう一つ、先ほど申し上げました処遇審査会議というものがございまして、処遇審査会議がいろいろ方針をきめますので、院長によりましてそうひどく変わるということはないように指導いたしてまいるつもりでおります。  ただ、画一的と申しますか、なかなか各施設施設長の持ち味がございまして、この種の仕事は、究極的にはある面で名人芸と申しますか、そういうものに若干依存をずる部分がございますので、多少変わるということはあろうかと思いますが、非常に処遇方針が動くというようなことはあってはなりませんし、そういうことがないように極力指導しておる次第でございます。
  19. 横路孝弘

    横路委員 私は今回の措置には賛成なんです。それは、事務簡素化ということじゃなくて、むしろいろいろと実験的に考えようという姿勢を持った人の考えを生かすことにもなるのじゃないかという意味賛成なんです。ですから、確かにこの処遇というのはあまり違っては困るのですけれども、しかし、そういう意味で何かやろうという意欲を持っている人を阻害するようなことになっては困る。従来のこんなことを法務大臣認可事項にしておけば、なかなか新しいことをやろうと思ったってできない。特に矯正の分野は非常に考え方が変わって、それぞれ世界各国でくふうをしている状況ですから、そういうものを取り入れながらやっていくということもどうしても必要なわけですね。したがって、従来のやってきたことをそのままやればそれでよくなるというものでは決してないわけですから、そんな意味では、あまりきびしくしない——あまり変なことをやられては、しかもあちこち違ってきたら困りますけれども、そういう意味で、少年のことを考えて新しい試みをやろうという、そういう現場の責任者の意欲というものを矯正局のほうで阻害をなさらないようにしてほしいというふうに、むしろ私のほうでは思うのです。
  20. 羽山忠弘

    羽山政府委員 御趣旨のとおり私どももやってまいりたいと考えております。
  21. 横路孝弘

    横路委員 矯正局のほう、けっこうでございます。  次に、陸運に関連して行政改革の問題を取り上げたいと思います。  行政需要が変化していくと、それに対応して行政機構も変化をしていかなければならぬというのは当然だろうと思うのです。ただ、いま進められている行政機構の近代化とか簡素化といわれる中には、ただ人を減らしたり、ただ従来国がやっているのを民間に委託すればそれでいいのだというようなことで、ちょっと大切な面が忘れ去られているのではないかというようなことを考えるわけであります。そこで、事務合理化として今回も許認可事務整理の問題が出てきているわけですけれども、許認可制度というものは、考えてみると、これはやはり、国民の生活とか命とか、あるいは権利ということにかかわり合いのある問題で、企業にまかせておいたのではどうしてもやはり利潤第一になってしまうというので、国が許認可権を持って企業を監督するというところに許認可というものの意義はあるだろうと思うのですね。その辺のところを、許認可整理にあたって、行管のほうとしてどのようにお考えになっているのか、最初にお答え願いたい。
  22. 小林寧

    小林(寧)政府委員 許認可等、これは特許、免許、許可のほかに登記、登録、検査、検定、報告、その他権限の委譲まで実は許認可等の中に入れております。これにつきましては、確かに御指摘のとおりでありますが、問題は、現在の情勢に合わないような許認可等が存在しないか。そこで、そういうものについては、国民の利便という観点から、これを現状に合うように合理化していこうというのが根本的趣旨であります。臨時行政調査会においても、大体そういうような趣旨で、廃止、統合、委譲及び規制の緩和というものについておもな基準をつけております。  たとえば廃止については、許可認可を設定した当時の背景、事情が変化したもの、あるいは規制が形式的で実質的効果のないもの。統合については、これは二つ以上の省庁が非常に競合し、そのために国民が困っているようなもの。委譲については、処分権者の処分が形式化し、その処分が下級機関の副申どおりになっているもの。規制につきましても、届け出制とすることで足りるものが許可制として依然として残っておるもの等と、いろいろの基準を臨時行政調査会では掲げておりますが、この許可等の整理に関する法律案におきましても、そうしたような考え方で、第一にはやはり、現状に合わないようなもの、その領域において国民の利便という見地でどうかということを中心に、従来、監察、あるいは行革三カ年計画、あるいは臨調の精神を受けてやっておるわけであります。
  23. 横路孝弘

    横路委員 国民の利便ばかりの要素じゃなくて、やはり国民の生命なり安全を守るということでの許認可制度というものもあったわけですね。たとえば去年あたり廃止になった操縦士の養成について民間委託するというような問題は、利便の問題ではなくて、やはり安全という問題から考えていかなければならない。そういう問題というのは実はたくさんあるわけでありまして、その辺のところをきょうちょっとお尋ねをしていきたいと思います。  たとえば民間委託についても、清掃とか、食堂とか、職員の福利厚生とか、いろいろな問題がありまして、そういうようなものは、確かに民間委託していったってどうということはない問題だろうと思うのですね。ただ、生命の安全にかかわる問題、たとえば、いま運輸省のほうで考えている航行援助施設等について、無線の保守なら保守というものは民間に委託していくというような問題は、簡単に考えることができない問題。これはあと議論しますが、民間車検等の問題も、何回も国会で議論されている問題でありますけれども、やはり同じように考えなければならない問題だろうと思うのです。  そこで、これも行政改革の一環として、あれは昭和四十三年の十一月二十五日ですか、民間に車検を委託するということになったわけなんですが、従来からいろいろと民間に委託した結果がどうかということが議論されてきたわけですが、去年の四月に茨城の行政監察局が茨城の陸運事務所に対する行政監察というのを行なって、この監察の中身というのは、ところどころに誤りもあるようでありますけれども、非常に適切な指示をしているわけでありまして、ただ指摘だけしてそれで行管仕事は終わりなんでしょうけれども、必ずしもそれだけではたしていいのかなという面が、この指摘を見て考えざるを得ないわけであります。  少し具体的にちょっとお尋ねしていきたいと思うのですが、たとえば「車検にあたって、陸運事務所は、自動車の整備不良部分の発見が必ずしも的確でなく、不良車を合格させている例がみられる」とか、「定期点検整備記録簿等の記載内容をほとんどチエックしていないなど、ずさんな車検が行なわれている」というようなことがいわれて、「今後は、車検を厳正に実施する」というようなことが指摘してありますが、ちょっと現状の認識でも違う点があるようでありますけれども、いずれにしても行管のほうにちょっとお尋ねしていきたいと思うのですが、こういう原因ですね。行管の見るところ、職員の資質とか、あるいは陸運事務所の管理体制にでも欠陥があるということなんでしょうか。その辺のところの、こういう指摘されてきた、問題が出てきた原因というのは、行管のほうではどういうようにお考えになっているか。
  24. 小林寧

    小林(寧)政府委員 これは茨城の行政監察局が、茨城県内にある自動車整備事業場から二十六事業場を抽出して調査した結果、種々の問題が出てきたわけであります。結局、自動車の整備不良部分等の発見が必ずしも的確でなく、不良車を合格させているような事例も見受けられます。また定期点検整備記録簿等の記載内容がほとんどチエックされてないという、そうしたようなずさんな面が出てまいりました。認証事務その他の仕事についてもいろいろ問題が出てきておりますけれども、結局、現在の車検方式というものをどういうふうに持っていくかという、むずかしい問題に突き当たらざるを得ないわけでありまして、私のほうでは、この茨城の行政監察の結果に引き続きまして、昭和四十六年度第四・四半期に、さらにあらためて全面的に監察をする必要があるということで監察を実施いたしまして、現在その結果を検討中でございます。したがいまして、これは一地方行政監察局の地方監察でありますが、それらの結果に基づいて、私のほうではさらに管理面、あるいは職員面、あるいは現在の車検のやり方等を安全という点から十分見直していきたい、こういうふうに考えております。
  25. 横路孝弘

    横路委員 指定自動車整備事業場における車検状況についても、書類審査で、現物検査を行なってないので、今後はできるだけ立ち入り検査を実施しなければだめだというような指摘があるわけですね。いま私のほうで指摘した「指定自動車整備事業場における車検状況の監督等について」というところ、この辺について、運輸省のほうではどういうように対策をお考えなのか。
  26. 野村一彦

    ○野村政府委員 茨城の行政監察局長から、私どものほうの陸運事務所長に御指摘がありました件につきまして、私ども、相当の不備があったということについては、率直に反省をいたしておるわけでございます。ただ、率直に申しまして、この茨城行監の御指摘の中には、私どもから見ると必ずしも当たっていないという面があるわけでございます。  たとえば認証という問題でございますが、これはいわば、許可あるいは免許というものと違いまして、一定の要件を具備したものについてはこれは認証を与えるということでございまして、その間、種々の調整とか、そういう許認可的な事務処理は行なうべきものではございません。そういう問題についての見解の相違というものがございますのと、それから、いま先生の言及されました、指定整備工場におきまするところの継続検査でございますが、これは法律のたてまえ上、指定整備工場がみずから整備をして、みずからの責任において検査をして、そして保安基準適合証というのを陸運事務所に提示するということでございまして、陸運事務所は、一件一件のその検査結果について現物の車を見ないというのが、これはむしろたてまえでございます。そういう意味におきまして、現物を見なかったのはおかしいという御指摘は、私は率直に言って当たってないのじゃないかと思います。  ただ、もちろん、そうかといって、その指定整備工場が行なっておる検査の状況というようなものを、それにまかせきりで、その実態というものを陸運局なり陸運事務所が把握していないという御指摘、これは私どもも十分貴重な御意見として是正していかなければならない、そういうふうに考えておりますが、全体として、この御指摘につきましては、私ども反省の材料が非常に多いというふうに考えておるわけであります。
  27. 横路孝弘

    横路委員 たとえば指定自動車整備事業場の点、行管のほうは立ち入り検査は実施すべきだと言い、いや法のたてまえはそうじゃないのだということですね。つまりそこにいまの民間委託の問題というのがあるわけです。行管のほう、若干勘違いされている点がないわけじゃないと私は思うのですけれども。つまりこれは、完全に行管指導によってこの車検の民間委託というものは行なわれるようになったわけですね。まあ政府の方針もあるわけですけれども、それで、行管長官と運輸大臣と自治大臣と、三者でもって何かこの陸運の民間車検の委託についてということを四十三年におきめになって、そしておやりになっているわけでしょう。  したがって、これは行管のほうにお尋ねしたいのですけれども、この指摘は正しいのですね。立ち入り検査をすべきだ、たとえば指定自動車整備事業場における車検状況の監督についてもやるべきだという指摘は正しい。ただ、法のたてまえは違う。民間委託というのは何かと言うと、まさに検査をやらなくていいというような趣旨になっているわけでしょう。つまり、民間委託の問題として、この行管指摘というのは、もっともな指摘なんです。もっともな指摘なんだけれども、それがまさに民間委託の問題点じゃないだろうか。これは、たとえば航空なんかについても、次から次に出てくるわけですね。だから行管のほうは、自分のほうでこうやりなさいと言って民間委託にしておいて、そしてこれをやらぬのはおかしいという指摘をしているのは、何かやってみた結果がそうなったということなんでしょうけれども、その辺のところ、基本的に行管としてどうお考えになっているのか。行管のお考えを聞きたいわけです。
  28. 小林寧

    小林(寧)政府委員 私ども、茨城の監察した結果、これはさきも申しました二十六の現場を見た結果からのもので、全体的な制度については、さきに申しましたように、私のほうで、本庁の中央計画監察で実施しております。  御指摘の点を正確を期するために読み上げます。「指定自動車整備事業場における車検状況の監督等について 従来陸運事務所では指定自動車整備事業が行なっている車検については書類審査のみで現物(自動車)については全く検査を行なっていないので、今後はできるだけ立入検査を実施し、当該指定事業場が車検を行なった自動車について立入検査員自らがチエックする等の措置を講ずることによって指定事業場における車検の適正を期する必要がある」。全部やれということではございませんで、こういうふうにずさんな面が出てきた。立ち入り検査は法的にできることになっております。そうして、それにつきまして、でき得る限りたまには見てください、見ることによって、こうしたような指定自動車整備事業場における車検というものが適切にいけるように。全然これへ触れないで、そしてまかせぱなしということは、法に書いてある精神にも反しますし、監督の趣旨ではできるだけ今後立ち入り検査を実施してほしい、こういう趣旨でございます。
  29. 横路孝弘

    横路委員 現実は全然行なわれていないというのが実態なわけですね。そんな意味では、民間委託の前提が監督だとすれば、いま現在、事業場に  ついて年間どのぐらいの監査というのは行なわれていますか。
  30. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在、指定整備工場につきましては、大体八十四名の監査、監督要員をもちまして、一年に二回という基準をもって実施いたしております。
  31. 横路孝弘

    横路委員 その八十四名というのは何ですか。それは各陸運事務所に配置されている監督要員ということですか。
  32. 野村一彦

    ○野村政府委員 陸運事務所及び陸運局全部合わせました指定整備事業に対する監督要員の数でございます。
  33. 横路孝弘

    横路委員 実際やっている回数、二回もやっていますか。
  34. 隅田豊

    ○隅田説明員 実績の数字を申し上げますと、四十六年度におきましては、対象の工場が五千八百六十九工場ございますが、それに対しまして八千七百十三やっております。
  35. 横路孝弘

    横路委員 札幌の例をちょっと調べてみたのですが、これは四十六年度だと思いますが、百五十六事業場、監査は百十五回、七三%。函館は、四十八事業場、監査七回で一四%。つまり、一・何回じゃなくて、わずか一四%しかやっていないということですか、いまの御答弁ですと。それは、全国統計ですからアンバランスも出てくるでしょうけれども、そういうところもあるようですね。そこで、監査というのは大体何回やることになっているのですか。
  36. 野村一彦

    ○野村政府委員 原則として一年に二回やるというたてまえになっています。
  37. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、それは自分のところできめておって、やっていないわけですね。いまのあれだと一・三回でしたか。
  38. 野村一彦

    ○野村政府委員 たてまえとしては一年に二回やることになっておりますが、八十四名の監督要員と申しますのは、二つの仕事を持っておりまして、一つは、いわゆる自動車分解整備事業者が指定整備工場になりたいという申請を出すわけでございますが、それを審査をして、そしてそれが指定整備工場たるの要件を満たしているかどうかということを審査する一つの任務がございます。これはおもに陸運局の職員がやっております。それからそのほかの仕事は、いま言いました、実際にすでに指定整備工場になっております民間の車検場を指導監督する。これは現場監査を含んだ指導監督をするということです。そういうことで、必ずしも所期の回数を達していないということは、私どもまだ監督不行き届きな点があるというふうに反省いたしております。
  39. 横路孝弘

    横路委員 これは変わったんですね。昭和四十四年の十二月二十六日の「指定自動車整備事業規則等の取扱について」というのを見ると、「少なくとも年三同程度監査を実施する」ということになっておったのが、いつの間にやら四十六年に変わりまして、「少なくも年二回以上厳正に実施する」、今度は年二回にして、ことばだけですが、「厳正に実施する」というように「取り扱について」という通達において変わっているのですね。四十四年から四十六年に変わったのはどういうことですか。現状に合わせたということですか。
  40. 野村一彦

    ○野村政府委員 率直に申しまして、現状に合わせたと申しますか、当時におきましては、年三回やるということを理想に置いて、目標にしておったわけでございますが、その後、実績といいますか、実際に監査を実現できる可能性と申しますか、それをいろいろ材料にしまして検討しました結果、回数を減らさざるを得なかったという実情でございます。
  41. 横路孝弘

    横路委員 そのできていない原因はあとでお話ししたいと思うのですが、四月に運輸委員会で議論されたときに、自動車局長のほうも、この指摘を受けて非常にショックを受けたということを言っていますが、ショックを受けるなんというはずはないのでありまして、いろいろないまの職場の状況を見れば、大体、民間車検についての監査あるいは指導なんというのは、ほとんど現実に何にも行なわれていないというのは、これはもう皆さん方は公然の事実になっていたのですが、いまどんどん民間に委託していって、パーセントも全体の割合としてはふえているわけでしょう。ふえているわけですから、大体いまの状況でできるはずはないのでありますが、それはあとお尋ねをしたいと思うのです。  認証事務についての行管指摘ですね。「整備工場の認証に当り、陸運事務所は現地調査等を全く行なっていない」、「虚偽の申請を行なって認証を受けている」、「今後は、現地調査を実施し、審査を十分に行なうこと」ということですね。それに対して先ほどは、別に法律上の許認可というものじゃないから、やらなくてもいいのだ、こういう御答弁だったのですね。この勧告の趣旨とはだいぶ違う御答弁だったのですが、運輸省のほうではどのようにその辺を……。
  42. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほどの私の答弁、あるいは少し舌足らずであったかと思いますが、認証というものは、いわゆる許認可ではございませんで、そういう意味で私ども、認証では事前の現地調査というものはやっておりません。書類を審査いたしまして、そしてそれが認証の条件に合致しておれば認証をする。ただ、認証をいたしましたあと、一年以内に現地調査をする。そしてもちろん、そのときにおきまして認証条件に合致しておりませんければ、これは改善命令を出すとか、その他是正措置を講じる。それがどうしても不可能であれば認証を取り消すということもあるわけでございますが、そういう意味で、許認可と同じような事前の現地調査、これはやっておりません。こういう趣旨でございますが、一年以内にはこれを必ずやらすというふうに指導いたしております。
  43. 横路孝弘

    横路委員 この行管の勧告の趣旨というものは、どういう実態を踏まえてのことですか。
  44. 小林寧

    小林(寧)政府委員 今回の監察の中間報告によりますと、非常に要件を満たしていないような事例がある。そこで私のほうは、この点については運輸省が専門でございますから、そういうことになると思いますが、認証というのは、少なくともある一つの事実に対してそれがある要件に合致しているということの結果与えられるアプルーバルといいますか、そういうものだと思います。ところが、これは地方監察でありますから、現地のそうしたようなところを回ってみますと、虚偽の申請など行なって認証を受けているものがいる。それは認証というところの要件を欠くことになる。そういうことのないように、正確な事実を報告して、それによって要件を満たしているものには認証を与えなければいけないという趣旨を言ったわけでございます。
  45. 横路孝弘

    横路委員 いまの自動車局長のほうは、一年以内にやればいいのだ。おたくのほうは、そうでなくて、ある程度事前にきちんとチェックすべきじゃないか、こういう御答弁の趣旨のように思うのですが、この辺のところは……。
  46. 野村一彦

    ○野村政府委員 私どもは、いま監察局長が答えられましたように、認証の要件に合致しておらなければならないことは当然でございます。そういう意味で、要件に合致していないものを認証しておったという事実があるとすれば、これはまことに不届きなことでございますので、その点、私どもがそういう点をチェックしないということではございません。ただ、それは私ども事務処理のやり方といたしまして、書類によって十分審査をして、そして認証をし、一たんこれを認証した上で、一年以内に実際現地について調査をして、そして要件を満たしているかどうかということを事後にチェックする。これは全国に六万幾つかの認証工場がございまして、それはいわば検査をしている工場ではございませんで、いわゆる修理工場でございます。そういう意味で、この認証制度というものは指定整備事業の指定とは違うということから、私ども事後の現地調査ということにゆだねておるわけでございますが、もちろん基準は当然満たしておらなければならない、こういう趣旨のものでございます。
  47. 横路孝弘

    横路委員 いまの行管指摘は、虚偽の申請を行なっているということでしょう。それを書類で審査しようといっても、審査のしようがないじゃないですか。やはり現地に当たって確認しなければならないということになりませんか。
  48. 野村一彦

    ○野村政府委員 もちろん現地に行きまして、書類と実際の現地の状況を見て、そしてやるというほうが私はもちろんより正確であると思います。しかしながら、いまも申し上げましたように、一般の状況から見まして、六万幾つという認証工場というのがありまして、これは絶えず申請が出てきておりまして、認証事務というものはあるわけでございますが、これはいま申し上げましたように、直接の検査をするといういわゆる民間車検場ではございませんで、いわば自動車の修理屋でございます。こういうものに対して、ほかの、たてまえは違いますけれども、たとえば登録というような実態から見ましても、これは全部事前審査によってチェックしておるという状態ではございませんし、私どもいままではこういう書類の審査でやっている。虚偽であるかどうかということは、これはやはり書類を審査してそこでわかる限りのことと申しますか、そういう書類審査によってチェックしておるという方法を従来もとっております。実情から見ましても、なかなか事前審査というものは私はむずかしいのではなかろうかと思います。
  49. 横路孝弘

    横路委員 その認証工場に対する監査というのはどのくらい現実には行なわれておりますか。
  50. 隅田豊

    ○隅田説明員 四十六年度の実績を申し上げますと、六万百九十七の工場に対しまして約四千の監査を行なっております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 六万で四千だと一〇%いかぬわけですね。これは北海道の例だと、札幌あたりでは千三十四の工場数で監査一カ所ですね。パーセントで言うと、これはゼロ%ですね。函館も、工場数三百二十のところ監査三カ所。釧路は、二百三十の工場数で監査ゼロ。こういうことになっているわけですね。これはもうこの行管指摘というのは、茨城だけじゃなくて、やはり全国的に共通して言えることじゃないかというように思うわけなんですが、これについて行管のほうで、認証工場の実態が把握されていないからだめなんだということで、「検査主任者がいない」とか、「無届で屋内作業場を増築している」とか、いろいろな指摘がございますが、その中で、「職員の機動配置を行ないすみやかに実態把握を行なえ」とありますが、これはどういう趣旨なのですか。
  52. 小林寧

    小林(寧)政府委員 具体的には何項目でございますか。
  53. 横路孝弘

    横路委員 2が認証事務でしょう。3が「認証工場の実態が把握されていない」というところですね。運輸省のほうでまとめたものです。
  54. 小林寧

    小林(寧)政府委員 (三)の「自動車分解整備事業者の営業実態の把握等について」の点で、確かに「したがって、陸運事務所はできるかぎり所内職員の機動配置を行ない、すみやかに、これら事業者の実態把握を行なうとともに違反事実等が明らかになった場合は法定の罰則を適用するなど適切な措置を講ずる」。この「機動配置を行ない」というのは、所内職員において、重点的にこうしたようなところについてやってほしい。たとえば保健所等でもって、食品衛生に重点的にみんなが出ていく、そういうような意味を申し上げたわけでございます。
  55. 横路孝弘

    横路委員 行管のほうは、現在、陸運事務所の要員の状況がどうなっているかということについては、掌握されているのでしょうか。
  56. 小林寧

    小林(寧)政府委員 現在、監察で調査中でございます。
  57. 横路孝弘

    横路委員 たとえば要員とこの検査の業務量とちょっと比較をしてみると、たとえば昭和三十七年を一〇〇とすると、要員は七百三十人ですね。この要員というのは整備と車両と両方入っているんじゃないかと思いますが、昭和四十五年になりますと、指数が二一一になって要員のほうは八百五十九というようなことですね。つまり業務量の伸びに人の配置というのが全然行なわれていないで、定員削減のあおりを食らって人は全然ふえない、仕事の量だけは膨大になってきているというのが実態じゃないかと思うのですが、自動車局のほうでその辺のところは掌握されていますか。
  58. 野村一彦

    ○野村政府委員 私のほうで調査をいたしました検査要員と検査業務量の数字を申し上げますと、これは検査要員でございますが、現場におきまして実際に検査事務をやっている者及びそれの補助の事務をやっている者を含めまして、四十二年が七百六十三名、四十三年が七百九十七名、四十四年が八百十二名、四十五年が八百五十九名、四十六年が八百七十一名、四十七年が八百七十三名でございまして、指数といたしましては、四十二年を一〇〇といたしますと四十七年は一一四ということになっております。  それから検査は、御案内のように、実際の検査の数を私ども見まして、実際の一人当たりの検査件数と、いま申し上げました検査要員の対比をとっておるわけでございます。これで見ますと、昭和四十二年、これが一人当たりで六千二百八十二件、四十三年が六千八百四十一件、途中省略いたしまして四十七年が六千六百三十八件でございます。指数といたしまして、四十二年を一〇〇としますと、四十七年が一二一、こういう対比になっておると承知いたしております。
  59. 横路孝弘

    横路委員 それは四十二年などという数字をとるからですよ。三十七年から四十二年まではほとんど人は変わっていないでしょう。三十七年が七百三十人、四十二年が七百六十三人、三十三人しかふえていないわけでしょう。そういう指数をとると誤解をするわけなんです。業務量そのものは昭和三十七年とたとえば四十六年でもいいですが、四十六年とを比べてみると、とにかく倍になっているでしょう。ところが人員のほうは、倍どころか二〇%程度しかふえていないですね。そもそも無理というのは、四十二年当時からもう無理になってきているわけですよ。  しかもいまの数字の、たとえば四十五年で八百五十九といっても、これは要するに定員上の要員だけでありまして、実際の仕事をやっている人というのは、それより百人ぐらい少ないですね。少ないというのはなぜかと言えば、たとえば陸運事務所は、地方へ行ってみると、総務、輸送、登録、整備、車両、ないところもありますけれども、大体こういうぐあいになっていて、総務、輸送というのは、これは一般会計から金が出ているわけでしょう。それから登録、整備、車両は特会ですね。そうすると、やはりその辺のところで、管理部門といいますか、総務とか輸送というのは人がなかなか認めてもらえないものだから、実際はこっちのほうの仕事をやっている人というのは非常にたくさんいるわけですよ。私のほうで調べたところによると、実際にこの検査業務、もちろんそれ専門じゃなくて、いろいろやりながら整備とか車両の調査をやっている人というのは、それよりも百人ぐらい少ないというのが現状になっているわけですね。実際はそうでしょう。なかなかおっしゃりづらいことでしょうから、それは指摘だけにとどめておきますけれども、実際はそういう現状になっているわけですよ。したがって、実際に検査業務に携わることのできる人というのは、いまの数字よりもさらに少ない。そうすると、指数からいうと二・五倍ぐらいに業務量のほうは伸びていて、要員のほうはなっていないという現状にあるのじゃないかと思うのです。これは札幌あたりの例を見てみても、伸び率というのはすさまじいぐらいの伸び率になっているのです。その辺のところが私は一番実は問題じゃないかというように思うわけです。  この指摘を受けて自動車局長はショックを受けた、なんという答弁を運輸委員会でしていますけれども、そういうことは昔からいわれていることで、陸運事務所に現実に行ってみて話を聞いてみると、これは全国すべての陸運事務所がそうなんで、とにかく仕事に追われてろくな検査はできないという実態です。このほか、たとえばダンプの法案が通って、あのこともやらなければならぬ、何だかんだと仕事のほうはふえる。だから、皆さんのほうでは、例の軽四輪でしたか、例の車検の問題を皆さんのほうでやらぬで、協会のほうでやらすような形にしたわけでしょう。ですからその辺のところを行管のほうはどういうぐあいにとらえられておるのか。  私は、この指摘は、現実を踏まえた全く正しい指摘だと思うのです。いまの民間の車検の状況をとらまえた全く正しい勧告になっているわけです。ただ、いまの状況から言うと、やれるかという体制の問題として考えると、まず絶対できない。ですから運輸省のほうも、かっこうのいい対策だけ、答弁でしょうが、出ていますね。「勧告の概要及び対策」というところで、たとえば「定期点検記録簿の不実記載について何らチェックしていない」という勧告に対して、「今後チェックを充実したい」という回答。これは行管のほうに送ったのでしょうけれども。それから認証事務についても、現地調査を実施しなさいというのに対して、「必要に応じて現地確認を行なう」、こういう答弁になっております。つまり、やるやると言っているけれども、それじゃいまの体制でできるのだろうかということを現実に考えてみると、私はまず不可能じゃないかというように思うのですが、その辺のところを行管として、つまりこの指摘は全く正しい勧告なんだけれども、その原因がどこにあるのかということをやはりきちんとつかまえなければ意味をなさない。ですから、正しい指摘をしたとしても、運輸省のほうでは、その勧告に対する間に合わせの答弁はしても、現実には何もできないから何もしない、こういうことになるのじゃないかというように思うわけです。その辺のところをぜひ行管中村さんのほうから聞きたい。
  60. 中村寅太

    中村国務大臣 私は、いま横路君の御指摘になったところは、自動車行政一つの盲点を突いてあると思うのです。私もかつて運輸大臣をいたしましたときに——行管の立場から申しますと、いま行管が勧告しておりますようなものは正しい勧告です。しかし運輸行政の立場に立ってこれを見ますときには、実行のできないかまえであります。私は、この自動車行政というものは、根本的に原点に立って考え直さなければならぬことではないかと思うのです。役人が監督するということはいまの日本行政一つの基本ですが、民間人は悪いことをするものというような考え方の上に立ってやはりこの自動車行政というものはずっと歩いてきておると思うのです。いま陸運局長も言いますように、これはやらなければならぬことはわかっておるが、やるには手が届かないということなんです。しかし、その手の届くだけの人間をふやせるかといえばふやせない。  私は運輸大臣をやりましたときに、やはり民間をもっと信用して、民間に責任を持たせてやらせるような方向に持っていかなければ、御指摘のように、自動車の需要というものは際限なく伸びていく。それに対する監督体制というものはどうしても追いついていかない。追いついていかなければ、いま御指摘のようなことが起こるのは当然のことだと思います。基本的にはそういう観点に立ってやらなければならぬが、しかし、それかと申しまして、一気に百八十度転換するような行政の変化もなかなかむずかしいと思いますから、方向としてはそういうことを踏まえながら、現実をできるだけその方向に持っていくように努力をしていく。その一つがやはり車検等の問題あるいはその他いわゆる民間でやれるものはやはり民間に責任を持たせて移していく、そういうことをしなければならぬのじゃないか。私はこれは行管の長官として基本的には考えておるのであります。
  61. 横路孝弘

    横路委員 だから、民間車検にまかしたことについていいとか悪いとかという議論をしているのじゃなくて、現実に民間車検にまかせて、しかし何でも自由にしたのじゃだめだという。やはり監督権限というのは運輸省にあるわけでしょう。その監督が十分に行なわれていないという指摘がこの行管の勧告なので、ちょっといまの御答弁はおかしな答弁じゃないかというように思うのです。つまり監督を行使できない。つまり民間に委託したのはいいのだけれども、しかしその監督ができないという指摘行管指摘なわけですね。その監督ができない現状は、あるいはその原因はどこにあるのだろうかということを考えてみると、業務がぽんぽんふえているのに、民間車検の数だってふえているのに、それを監督すべき人員というのが配置をされていないというところにやはり一つの問題があるのじゃなかろうか。だから、この行管の勧告というのは全く正しい勧告なんです。つまり大臣がおっしゃられたような趣旨で民間にまかせたけれども、やはり民間というのはいいかげんなことをやっているじゃないか、しかもそのことを野放しにしておって運輸省のほうでは放置をしておる、監督が十分に行なわれていないですよというのがこの勧告の趣旨になっているわけですよ。したがって、あくまでも、この勧告をどうやって生かしていくかということで体制づくりを行管も運輸省のほうも考えなければならない、私はそういうように思うのです。その体制づくりの一つに要員の問題が実はあるのじゃないかということを指摘しているので、その辺のところはいかがですかということを、皆さん方のほうに御質問しているのです。
  62. 平井廸郎

    ○平井政府委員 ただいま先生の御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私どももそういう観点から指定整備事業の監督要員については、先生から見れば不十分と仰せられるかもしれませんが、本年度も重点的に配意いたしているところでございまして、三十三名の増員を認めております。今後におきましても、指定整備事業の推移に即応いたしまして、そういった点について検討を怠らないことにいたしたいと思います。
  63. 横路孝弘

    横路委員 ただ、現状は、そうやってそこに要員がふえても、ほかのところが人手がないですから、みんな回っちゃうというのが現実なわけです。これはもう官庁はどこだってそういうことをやっているわけでしょう。要するにいろいろと苦労しているわけですね。基本的に、たとえば総務課にしたって何にしたって、仕事がどんどんあるわけですから、処理しなければならぬということになれば、どこに手抜きがいくかというと、これはもうどうしてもそういう現場、監督のほうに手抜きがいってしまう。だから、その辺のところを私が言っているのは、検査要員もさることながら、全体としていまの陸運事務所というのはやはり人が足りない。だから、人が足りないから——これは去年の予算委員会で指摘したのですけれども、自動車整備振興会とか何とか協会というようなたくさんの外郭団体がある、その外郭団体から人が入って、そこがお金を出して人が入って、運輸省の陸運事務所の行政をやっている。それは全国でかなりの数がいるわけですね。そういう実態なんです。それはともかく、仕事を処理しなければたまるわけで、だれが迷惑するかというと、国民のほうが迷惑するわけですから。そういう形で実は業界から出向してもらって、机を与えて陸運事務所の仕事をしているというような現実にあるわけですよ。  だから、その辺のところを、皆さんのほうで全体的にいまの陸運事務所の体制というものを見て、やはり要員の適正な配置というものを考えてもらわなければ、苦労するのは、国民のほうから文句を言われ、みんな現場の一線で働いている公務員ということになるわけですから、そこのところを行管のほうとしてもぜひお考えをいただきたい。そのことによって、私は、この行管のほうがいろいろ苦労されて調査された勧告の趣旨を生かすことができるのじゃなかろうかというように思うのですけれども、そこの点をぜひお考えいただきたいということです。
  64. 平井廸郎

    ○平井政府委員 御指摘の点、ごもっともでございますが、一方におきましては、私ども、先生に申し上げるまでもないことでございますが、事務の電算機化ということも三年計画で進めておりまして、そういった面において要員の配置転換の問題もあるいは出てくるかもしれませんが、そういう点もございます。それから、ただいまあまり評判がよくないようでございますが、検査業務の民間への委託ということも、昭和五十年度六六%を目ざして進めている点もございます。したがいまして、もちろん自動車の絶対数の増加による増というのもございますが、そういった面の事務簡素化という努力を踏まえまして、一方において生じてくる必要な要員についてはできる限り配慮いたしてまいりたいと思います。
  65. 横路孝弘

    横路委員 そういうような措置をとりながら、ともかく今後勧告を全部運輸省でやろうとすれば、これはいまの倍ぐらいの人がいないと実際にはできないことですね。だから現実として、認証工場なんかももう五%程度しか行なわれていないわけですし、わざわざ自分のほうで通達を出しておきながら、厳正に二回といいながら一・三回ぐらいしかやられていない、こういう現状になっているわけでしょう。初めはあれは三回、三回が今度は厳正に二回になって、実際は一・三回だ。こういう自己矛盾になってしまうわけで、そこのところは何かというと、やる気がないわけじゃなくて、やろうとしても人がなかなかいなくて、仕事に追われてできない。そうでしょう、自動車局のほう。違うんですか。
  66. 野村一彦

    ○野村政府委員 人員の問題ももちろんないとは申せませんが、私ども仕事やり方のくふうの問題もあるかと思います。こういう点は十分くふうもさらに重ねていきたいというふうに思っております。
  67. 横路孝弘

    横路委員 皆さん、行管の方がおられるとどうも答弁がすっきりしないんで、運輸委員会あたりではだいぶ思い切った発言をなさっておられるようですが、それはいろいろ事情も察してこれ以上あれしませんですが、もう一つ最後に、やはり要員の問題と関連して、車検場に働いている人々の労働条件の問題で、自動車の排気ガスの関連で伺いたいのは、これは一酸化炭素とか窒素酸化物、炭酸ガス、鉛、炭化水素というようなものが非常に多いというようなことが、これは大阪の公害監視センターの測定の結果として出ていますね。これは運輸省のほうでも御承知だろうと思いますが、ここでもって学者の指摘によると、大体一日三時間半くらいの実労働が妥当じゃなかろうかというような指摘もありますが、現実は大体四時間半ぐらいの状況になっているわけであります。これも何かというと、やはり要員の問題が出てくるようですね。その辺のところ、そういう車検場における労働条件の、こういう排気ガスの関係実態を運輸省のほうとしてとらえられておるのかどうか。学者の指摘されている、労働時間、そこでの現実の仕事をできるだけ短縮するようにという指摘についてどうお考えになっているのか、これもあわせてお聞きいたしたい。
  68. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生おっしゃいました大阪の学者の方が御指摘になりました具体的な例は、私、実はここに手元に資料を持っておりませんが、一般的には、この検査の業務というものが労働的に非常にきびしい仕事であるということは、私も現場を見ましてよくわかっております。したがいまして、検査業務の自動化、検査コースの自動化というようなことを極力進めますとともに、またこれと直結いたしております登録についても電算化等進めてまいっておるわけでございますが、他方、たとえば新しい庁舎をつくりますときに、あるいは上屋を増設いたしますときに、休養室をつくるとか、あるいは入浴場をつくるというようなこと、それから排気ガス等の除去装置など、環境整備の面の予算というようなことにつきましては少しずつ改善をしておる実情でございます。しかしながら、この検査の業務というものは、心身ともに相当の重労働であって、これの健康管理及び環境保全については私ども十分意を用いなければならないというふうに理解しております。
  69. 横路孝弘

    横路委員 そういうような実情をやはり大蔵省なり行管のほうにきちんと申し上げて——その大阪の調査結果は運輸省としても掌握されているわけでしょう、いまそこに資料がないだけで。あるわけですね。そういうことで、現場の人たちのいまの状況というものを少しでも改善するようにする。その中で安全という面も、民間委託をしたからといっても、とにかく皆さんのほうは全く責任がなくなったのじゃなくて、きちっと監督をするということが前提になって初めて民間委託ということが認められるわけですから。だから、監督をする体制がないのにいまのような状況で、ともかく民間車検だけ昭和五十年度で七〇%ぐらいですかにふやしてしまうというようなことになれば、これはとんでもないことになるわけですから、その辺のところを行管も運輸省もぜひお考えをいただきたいというように思います。その点大臣から、最後にくどいようですけれども、やはりこの勧告の趣旨を生かすような体制を皆さんも一緒になってお考えになってつくるということだけはぜひここでお約束を願いたいと思います。
  70. 中村寅太

    中村国務大臣 勧告の実態、それから運輸行政実態等を見合わせまして、御指摘のようにできるだけ調整をとりながら国民に迷惑のかからないような方向で行政をやってまいりたい、かように考えております。
  71. 横路孝弘

    横路委員 それでは陸運のほうけっこうです。あと航空の関係で同じような質問をしてみたいと思います。  航空局来ておりますか。——昨年「ばんだい号」事故、それから自衛隊機による例の衝突事故のあと大臣のほうで、八月四日の連合審査会で、航空の安全を確保するために必要な要員は総定員法のワクの中で処理ができない場合はワク外でも考えてみたいと思いますというふうに、非常に積極的な御答弁があったわけです。はたしてそういうことになっているかどうか。この答弁の趣旨が生かされているかどうかということがこれからの質問の趣旨でありますので、そのことを頭に置いて御答弁をいただきたいというように思います。  第二次空港整備五カ年計画ができて、保安施設の面ではかなり予算がついたわけでありますが、これは運輸省のほうでも、昨年の交通安全対策特別委員会での答弁にあるように、金はいつでもつくけれども、人は簡単には確保できないという問題が、皆さんのほうからも悩みとして実は答弁されていたように記憶をしているわけです。結局そのとおりでありまして、金が幾らついても、それを動かす人がなければ仕事は何もはかどらないということになりますので、これから第二次空港整備五カ年計画が始まると同時に、いろいろな意味での人というものはとにかく必要になってくると思うのです。きょうはそんな意味で、少しこまかいことになるかもしれませんけれども実態を明らかにしながら質問をしていきたいと思うのです。範囲はともかく航空関係の全般にわたりますので、少し仕事別にこまかくなりますが、お許しいただきたいと思います。  初めに、先日日本航空のDC8型機が羽田で危機一発というところで大事故にならずに済んだ。その大事故にならなかった陰に、実は消火活動が非常にすばやかった。たまたま見ておって、すぐ飛んでいってすぐ消すことができたし、それからまた羽田という、たまたま、化学消防車あるいはその他隊員のいるところであったということもまた、大事にならなかった、あまり目立つことではないけれどもやはり一つの要素じゃないかと思うのですね。ところが、いま空港の消防の実態というものを見てみると、これはずいぶんさびしい限りであります。  これは航空法できちんときめられているわけですね。航空法の四十七条の一項ですね。それから施行規則の九十二条の六号で、「飛行場における航空機の火災その他の事故に対処するため必要な消火設備及び救難設備を備え、事故が発生したときは、直ちに必要な措置をとること」、こういうことになっているわけなんです。こういう措置をとるためには、これはまず消火施設、消防車を含む施設、それを動かす人、そういうものを含めた体制、こういう問題があると思うのですけれども、いまとりあえず化学消防車が必要だろうと思うのですが、これの実態はどういうことになっておるか。概括的でけっこうです。
  72. 住田正二

    ○住田政府委員 詳細な資料は手元にございませんが、ICAOの基準から申しまして、ICAOの基準を完全に充足いたしておりますのは、東京羽田空港と大阪の伊丹空港だけでございまして、あとの地方空港につきましては、大体ICAOの基準の半分程度ではないかと思います。
  73. 横路孝弘

    横路委員 そのICAOの基準も、もちろんICAOの基準なんかにはとても及ばないわけですけれども、第三種空港の場合、これは行管からもだいぶ指摘を受けているようなんですけれども、これの化学消防車の配置というものは大体終わったのですか。まだ全然なされていないのか。第二種空港の場合、一応化学消防車はありますね。車だけはあるわけですが、第三種空港の場合はどういうことになっていますか。
  74. 住田正二

    ○住田政府委員 現在の空港設備法のたてまえでは、一種、二種空港は国が管理する、三種空港は地方公共団体が管理するというたてまえになっております。地方公共団体といたしましては、管理能力がないという理由によりまして、いま先生のお話のありました化学消防車を持っている空港は非常に少ないのではないかと思います。
  75. 横路孝弘

    横路委員 この行管監察月報というのを見ると、ほんとうにいろいろな行政の分野について非常にいい指摘をしているわけですね。しかし指摘をしてあとどうなっているかというと、さっぱり改善されていない。前の自衛隊機の衝突事故のときも、十年ほど前の監察結果が何も実行されていなかったじゃないかということが問題になって、それは指摘を受けた官庁の責任であると同時に、皆さんのほうも指摘のしっぱなしで、あとそのままにして放置をしておるということにも責任があるのではないかと思うのですけれども、三種空港の場合でしたらほとんど現実にはないでしょう。皆さんのほうでは前からその辺のところは、六九年のナンバー一二三、この中の「消防行政に関する行政監察」の中で指摘がありますし、それから去年の五月の中にも指摘があるわけです。その辺のところを、ちょっと質問は横にそれますけれども、こういう勧告をした場合、あと措置というのは、一応主管庁から回答が来るでしょう、それで終わりですか。あともう毎年の予算に目配りをして実行されているかどうかというところまではなかなか手が回りませんか。
  76. 小林寧

    小林(寧)政府委員 一般論といたしましては、大臣が勧告をいたしまして、大体これは事情によって違いますが、三月後に回答をいただきます。その回答の六カ月後に再調査というのをいたします。その再調査の結果もやはり月報等で記録に載せる。と同時に、そのときに推進監察といいますか、再度監察、追跡調査でございますが、それをやるかどうかをきめまして、そして相手方と折衝し、その結果に基づいて推進監察をやる。  たとえば航空行政につきましても、昨年のような大事故がありました上に、大臣からの命令によりまして現在航空行政監察をやっております。四十四年の十二月だったと思いますが、消防行政につきまして、たまたま空港を見ましたところ、ほとんど消防体制というものが弱体である。しかも要員がいない。のみならず会社等の職員でもって自衛消防を組織しておるが、訓練すら行なわれていない。そして特に重要なのは地元消防との協定がはかどっていないということで、消防行政ではありますが、空港の消防体制の強化ということを勧告したわけでありますが、これは個別事項でありまして、勧告後、ほとんどの空港において、地元においては協定を結んでおりますが、肝心かなめの消防体制についてはまだ十分とは言いがたい状態でございます。
  77. 横路孝弘

    横路委員 そのところを運輸省としてはどういうようにお考えになっているのですか。その回答を見ると、ICAOの基準にまで二種空港を引き上げる、三種空港もそれに準じていきたいという回答が出ているのですが、回答したって現実よくならなければだめなので、その辺のところはどういう計画をお持ちですか。
  78. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、一種空港につきましては、大体消防体制は整備されているように考えております。問題は二種、三種でございまして、三種のほうは地方公共団体が消防についての責任を負うわけでございますので、私どもといたしましては、三種につきましては地方公共団体を指導するという立場にあるわけでございます。  運輸省が直接やらなければならないのは二種でございますが、御指摘のように二種空港の消防体制というものは非常に不完全な状態にあるわけでございます。一番大きな問題はやはり要員の問題であろうかと思いますけれども、現在、航空局関係行政は量的にも質的にも非常にふえておりまして、なかなか手が回らないという現状でございます。したがいまして、現在、根本的にどうするかということをいろいろ検討いたしておるわけでございますけれども、できれば自治体消防と一緒に空港消防もできないだろうかということで、その一つのテストケースといたしまして、板付空港につきましては、福岡市の消防署に入ってもらっておるわけでございます。それから羽田のほうにも、先ほど羽田は非常にいいというお話がありましたけれども、羽田も大森区の消防が入っております。今後、できましたらできるだけ自治体消防を空港の中に設置してもらうという方向で自治省あるいは消防庁と話をいたしたいと思います。  その財源といたしまして、本年度成立いたしました航空機燃料譲与税の財源の一部を消防に充てるということにいたしております。したがいまして、今後、自治省あるいは消防庁と話しまして、できるだけ自治体消防でカバーしてもらう。それがどうしてもできない場合には、やはり自衛消防ということで処理せざるを得ないのではないか。そこら辺の検討をいたしました上で、必要な定員等を来年度以降要求いたしたい、こういうふうに考えております。
  79. 横路孝弘

    横路委員 羽田が非常にいいのじゃなくて、この間はたまたまよかったということなんで、誤解をなさらないようにしてください。  伊丹等は、そういう自治体消防との提携ができておるようですけれども、たとえば釧路なんか、飛行場は町から一時間以上離れているわけでしょう。そうすると、それはもうとうていできない。そういうところがたくさんありますね。それから常駐させるわけにはいかない。また普通の消火と違うわけでしょう、飛行場の場合の火災というのは。そういう特殊な要素というものがあるわけなんで、ぜひ私は独自の体制というものを強化することも必要じゃないかと思うのです。  そういう意味で専任の職員がいるのは、東京と大阪と板付、三つだけですね。共用空港の場合は自衛隊にまかせておるということになっていますね。そこで、これもやはり行管のほうなんですが、いまも指摘があったし、それからいまの第二次の監査のときに、二種空港の大部分は化学消防車が配置されているけれども、これを運用、操作する専任の要員が確保されてないと、まことにそのとおりの指摘があるので、これはぜひ二種空港に化学消防車を整える。飛行機火災の場合には非常に特殊な火災で、しかもいま二種空港といったってジェット機がどんどん入って大型化しているわけですから、これはやはりそういう体制というのは整えてもらいたいというように思います。ひとつその辺の要員の問題も、いまともかく化学消防車だけあって、だれがやるかというと、飛行機に給油する人が各飛行場にいますが、その給油をする人に車の運転をしてもらって、そしてあと一般の人が飛び乗っていくというわけでしょう。消火するのにどういう服装でやるのかということを聞いてみると、大阪あたりだって、ちゃんとした消防の服装なんか何もなくて、ナッパ服みたいなものを着て、いつも正月に消防団が全部集まってやるときに、ひとり大阪の空港の消火隊だけは肩身の狭い思いをしているという話を聞くわけです。これは火事のときに、二種空港で一般の事務をとっている人が飛び乗っていくといったって、こんなかっこうで飛び乗っていって大型ジェットの火災に対処しようといったって、これは絶対不可能な話なんで、やはり専任の人間を一人くらいは置く。航空機火災というのはめつたにあってはならぬことですし、めったに起きることはないので、むだなものに思うけれども、事故が起きたら、必ずまたああこうすればよかったということになるので、その辺の要員問題、これはやはり、行管としても、運輸省としても考えていただきたいが、とりあえず第二種について、化学消防車が置かれているところにそういう措置をとるべきではなかろうかというように思うのですが、いかがですか。
  80. 平井廸郎

    ○平井政府委員 空港の消防体制強化のための要員確保の問題はかねがね議論されているところでございます。四十五年度以降、若干名ずつは施設の整備等と関連をして増員をはかっておりますが、今後におきましても、先ほど運輸省のほうから御答弁がございましたように、地方公共団体と連携をとりつつ所要の人員の確保につとめていきたいと思っております。
  81. 横路孝弘

    横路委員 そこでひとつ運輸省に要望するのですが、共用空港の場合どんなことになっているかというと、名古屋の場合を調べてみると、自衛隊が訓練をやっているときには消防車がちゃんと飛行場のそこまで出てきて待機の体制に入っている。ところが、自衛隊が訓練をやめてしまうと、これはのこのこ引っ込んでしまう、そういう協定になっているようなのです。あそこのところは、自衛隊ばかりではなくて民間もあるので、あそこは運輸省所管の飛行場なんで、現地では協定を結んでいるでしょう。名古屋の場合も、自衛隊が訓練をやっているときだけ化学消防車がのこのこ出てきて、あと民間のときはやめてしまうというようなことのないように、これは一つ指導を願いたいと思います。
  82. 住田正二

    ○住田政府委員 自衛隊と民間空港の場合とで、消防のやり方といいますか、消防車の配置のしかたが異なっているわけでございます。自衛隊の場合には、ジェット機が着く場合には必ずそのそばにいるというたてまえになっているわけでございます。そういたしまして、民間空港の場合のほうは、一応待機所におりまして、これは羽田でも大阪でもいろいろございますけれども、事故があればすぐ飛んでいける体制に常にあるということで、やり方が違うことがそういう結果になっているのではないかと思います。
  83. 横路孝弘

    横路委員 それはやり方が違うのじゃなくて、やはり自衛隊のほうがそれは隊員の命を考えているからですよ、配置をしておるというのは。島隊の消防隊なんというのは、たとえば立川なんというのは移駐になったばかりで、視察に行ったら、化学消防車がばんとあって、二、三人隊員が乗っていて、こういうりっぱな消防車があると言っておりました。立川の強行移駐のときですよ。あれは飛行機がほとんど飛んでないような飛行場でもつまりそういう体制にあるのですね。何も民間機のときには体制が違うのではなくて、命を大切に考えているかいないかの違いでしょう。だから羽田の場合だって、この間は隊員がたまたま目撃をして、すぐ飛んでいったから間に合ったので、雨が降っていたから、そういう要素があったので、へたすると、離陸のときですから燃料を積んでいるので爆発する。そうしたら一発で終わりでしょう。本来から言うならば、羽田だって常に待機をしておって、何かあったときすぐやれる体制にほんとうはなければならない。自衛隊の場合と運輸省のほうの民間航空の場合の取り扱いがなぜ違うかというと、それは別に戦闘機と民間航空機とが違うわけじゃなくて、命を大切にしているか、粗末にしているか。最近は自衛隊は隊員の命を非常に大切にしているようでありますから、その辺のところは皆さん方のほうとしても考えなければならぬことじゃないですか。体制が違うからということで済まされる問題じゃないように思います。
  84. 住田正二

    ○住田政府委員 羽田で例をとりますと、羽田は現在BランとCランとを使っておるわけでございますが、飛行機はCランの場合には海から入る場合も陸から入る場合もあります。Bランは大体海から入ります。そういたしますと、常に消防車が飛行場の中を、おそらくタクシーウエーあたりを使うと思いますけれども、動き回らなければいかぬ。飛行機の着陸に応じまして、海のほうへ行ったり、陸のほうへ行ったり、実際タクシーウエーをそういうふうに走ると非常に危険であるということで、民間空港では一カ所に待機しておって、連絡があれば、見ておって、あるいは事故があればすぐ飛んでいく、そういうやり方になっており、これは各国共通であると思います。  自衛隊の場合に、着陸する場合に消防車が現場に待機するというのも、やはり各国共通のやり方で、民間空港の場合と自衛隊の空港の場合とはやり方が違うというように御理解いただいていいのじゃないかと思います。
  85. 横路孝弘

    横路委員 何も着陸するところにいつも消防車を配置しておけ、そういう意味ではなくて、自衛隊の場合、ほんとうにいつでも即応できる体制にあるわけですね。そういう即応できる体制をつくるように、自衛隊のほうは協定でそういう取り決めになっているのですよ。自衛隊が訓練のときはこう、訓練が終わったときにこちらで待つ、こういうように分かれているわけですね。したがって、そこのところを何も自衛隊機とあれとで取り扱いを変える必要ないじゃないかということなんで、それは取り扱いの問題だけではなくて、姿勢の問題だろうと思うので、ぜひ検討をしておいてください。  それともう一つ訓練の問題ですね。化学消防はやはり特殊な分野ですから、それに応じた訓練が必要なわけでしょう。大阪なんかの場合は、ほとんど元米軍勤務者、それから元航空自衛隊勤務者で訓練経験のある者ということなんですが、いまの状況の中で、化学消防の訓練は業務処理規程の中にあるようでありますけれども、ほとんど現実には行なわれていないのが実態ですね。各空港事務所に行くと、緊急の場合どうするか、だれがどう担当するという図面がありますけれども、しかし中身は、実際化学消防を取り扱うだけのそういう訓練をしているかというと、これはほとんど行なわれていないのが実態ですね。したがって、そういう意味での技術訓練をあとで御質問をしますけれども、空港の関係現場担当者における技術訓練はほとんど行なわれていない。徒弟制度みたいに、ともかく人を配置してそこで訓練する。実際の仕事をさせながら訓練するというシステムになっていて、技術訓練はほとんど行なわれていないわけですね。別なことばで言えば研修ということばになるかもしれませんけれども、そんな意味で、特に要員として配置されている人の訓練も不十分である。それから専任がいないところも不十分ということなんで、その辺のところを、専門的に第二種空港すべてに要員を配置するということ。そして配置もとに監督して、一人ではもちろんできませんから、あと何人かということになるのでしょうけれども、そういう場合の訓練もやはり考える必要があるのじゃなかろうかというように私思うのですが、その辺のところ、何かお考えになっていることがございますか。
  86. 住田正二

    ○住田政府委員 消防関係の訓練でございますが、私どもが聞いておりますところでは、東京、大阪につきましては十分訓練をやっておるというように聞いておりますが、いま先生のお話がございましたので、もう一度よく調べたいと思います。  消防以外の一般の現場職員の訓練といいますか、研修制度の問題につきまして御指摘がございましたけれども、先ほどの五カ年計画の遂行にあたりまして、要員の問題が一つ大きな問題としてあるわけでございます。同時に、その要員をどのように訓練するか。最近は非常に施設も新しいものがどんどんできておりますし、また管制等につきましても技術が発達しておりますので、再研修というものが、この五カ年計画を遂行する上において非常に重要な意味を持ってくるのではないかというように考えております。この問題は、確かにいままで十分な体制をとってないわけでございますけれども、今後は、そういうものを含めて、五カ年計画の遂行上の問題点といたしまして、再研修の問題を取り上げたいというふうに考えております。
  87. 横路孝弘

    横路委員 それは再研修ではなくて、あとで管制通信官とかそのほかの関係をいろいろお尋ねしていきますが、ほとんど行なわれていないのが実態じゃなかろうかというように思うのです。そういうことで、空港の消防体制、消火体制、これは人の問題が一番おろそかにされておる、それから訓練の問題がおろそかにされておるということで、これもまたぜひひとつお考えをいただきたいと思います。  次は管制の問題ですが、管制官の問題というのは、四十一年の事故以後いやになるくらい議論してきて、よくなるかというとさっぱりよくはならない。特に去年からことしにかけて、板付、沖繩、成田空港ということで、そういう事情を私のほうも十分承知しておりますけれども、それにしても、現状というものはきびしくなって、去年に比べると、沖繩配置、成田配置ということで、各空港の管制というものはますます有資格者が減って、無資格者がどんどんふえておるわけです。したがって、そういう意味で要員の確保の問題と、それからもう一つレーダーの問題ですね。特に羽田のレーダーの故障で混乱する、そんな空港では困るので、特に最近、アメリカ、外国あたりで、アルファニューメカルディスプレーという、電子計算機と直結させて高度や何かさっと出るレーダーが出ましたね。いまの管制官の業務はどういう業務かというと、大体、飛行機に高度何フィートか問い合わせて、じゃ何フィートおろせということを、頭の中に入れながらやっておるわけでしょう。そうではなくて、こういう技術が外国で発達しておるのですから、第二次空港整備計画の中で調査費がついておるのですけれども、それは何も無理して国産を入れる必要はないので、外国で開発したものを買ってきてすぐ入れてもいいのじゃないですか。その辺のところの方針、レーダーのアルファニューメカルディスプレーについては、運輸省のほうでどうお考えになっておりますか。
  88. 住田正二

    ○住田政府委員 第二次空港五カ年計画におきましては、管制の自動化をやるということを一つの目標にいたしております。現在、日本の管制の自動化は、フェーズワンという段階がすでに完了いたしまして、いま先生のお話のありましたフェーズツーの前半の段階であろうかと思います。アメリカでもフェーズツーはまだ全部完成しておりませんので、第二次レーダーのほうに飛行機の番号が出るというのが現在のアメリカが採用しておるシステムでございます。これを私どもといたしましては、四十九年度末までに完成したいということで、現在調査をいたしております。日本に十分いい技術がないというような場合には、アメリカになりますけれども、外国から輸入も考えております。
  89. 横路孝弘

    横路委員 一応は国産の方向でやるということですか。
  90. 住田正二

    ○住田政府委員 現在、国産とかアメリカということでなくて調査の段階でございますが、調査を終えましたら、日本、アメリカの共同入札といいますか、アメリカの業者も含めまして入札をいたしたいというふうに考えております。
  91. 横路孝弘

    横路委員 コンピューター、ぜひこういうところに文明の利器を利用してもらわなければ困ると思うのです。  そこで名古屋空港ですが、どこの空港も同じですけれども、よく羽田とか大阪とか議論しますので、名古屋の例を取り上げてみたいと思います。実態は御承知でしょう。どうですか。
  92. 住田正二

    ○住田政府委員 名古屋空港は、御承知のように民間空港と自衛隊との共用空港でございまして、一応管理は運輸省がやっております。したがって、管制のほうも運輸省のほうがやっておるということでございます。
  93. 横路孝弘

    横路委員 それは当然そうなんですが、要するに人の関係を言うと、去年の四十六年度末の場合は定員四十五名、これがことしの五月現在で四十九名に四名ふえておるのです。しかし、フルレーティングを持っておる人が昨年の末で三十一名だったのがいま二十五名に減ってしまった。そして。パーシャル、一部分の資格を持っている人が四十六年末八名だったのが現在十名。それから、全くのノーレーティング、無資格者が四十六年末五名だったのが現在十四名にふえている。完全な資格がある人間は二十五名です。これで各チームを構成して運用しているという実態になっているわけです。そうすると、無資格者の割合は五〇%、完全にフルレーティングを持っている人は五〇%しかいない、こういう現状になっております。パーシャルを含めても三分の二、三分の一は無資格者、こういう現状です。管制のこういう状況行管のほうでも十分御承知だろうと思いますが、定員も確かにふえてはいる。ふえてはいますけれども、全然現状は追いついていかないということになっているわけです。この辺のところは行管のほうとしては認識されていますか。
  94. 平井廸郎

    ○平井政府委員 名古屋空港の定員関係につきましては先生御指摘のとおりでございますが、ただ、定員を充足すべき職員実態という点になりますと、航空保安大学等の研修生の増員ということは運輸省にできるだけお願いをして、そういう点で今後十分遺憾のないようにしていかなければならぬだろうと考えております。四十八年度以降の第二次空港整備五カ年計画におきましても、そういった点、運輸省においてもいろいろ御検討中のようでございまして、その線に沿って私どもも要員計画を考えていきたいと考えております。
  95. 横路孝弘

    横路委員 これはあまりにひどいので、ちょっと中身を明らかにしたいと思うのですけれども、名古屋の場合、非常に離発着回数がふえていますね。しかも全く神わざみたいなことになっているのです。たとえば、昭和四十六年五月十一日の交通量をある時間帯をとってみると、一番ひどいときは一時間に七十三機です。羽田の場合は一時間三十四機と押えられて、三時間通して九十機ということに管制官の処理の基準がきめられています。名古屋の場合は一時間に七十三機。七十三機というと五十秒に一機処理しなければならぬ。全部の資格がある人間が半分しかいないということです。これをたとえば午後の一時から四時まで通してみると、三時間でもって二百一機。羽田があれだけひどいというので三時間で九十機でしょう。一時間三十四機でしょう。名古屋の場合は、定期便ばかりじゃなくて自衛隊が使っていますから、それ以外の部分があるので、これはたぶん基準もきめられていないし、ともかく飛びたいやつは全部飛ばしているということになっているのじゃないかと思うのです。一時間に七十三機、三時間で二百一機というと、管制官が仕事をやっている間じゅうしゃべりっぱなしです。こういう空港の場合は、全然基準というのは設けないで、ともかく飛びたいというやつはみんな飛ばすということでいいのですかどうですか。
  96. 住田正二

    ○住田政府委員 名古屋空港の離発着の状況は詳しく知っていないわけでございますけれども、おそらくこの大半は有視界飛行の飛行機ではないかと思います。民間航空機といたしましては一時間に数便程度ではないかと思いますので、あとは自衛隊機あるいは小型機ではないかと思います。
  97. 横路孝弘

    横路委員 有視界飛行は三分の一程度です。それだって離発着のときには、管制官の許可そのほかみんな必要なわけでしょう。通過飛行機もいますけれども。ここは高度が二万一千フィートくらいでもって、向こうは大阪でしょう。こっちは横田でしょう。それから北のほうは小牧ですか。そのあたりまでずっと含めて全部名古屋で管制しているわけでしょう。だから通過飛行機の管制もやらなければならぬ、横田との連絡もあるということで。有視界飛行が多いからといって、仕事が楽ということには決してなっていないわけです。ですから、その辺のところの実態、幾ら何でも三時間に二百一機なんというのは、ちょっとひどいんじゃないか。  しかも、ふだんの場合はどういう職員配置になっているかというと、いろいろ席がありますね、現在の定員で行なわれている場合は、非常に気象状態がいい場合と悪い場合とに分けて配置考えている。別の配置になっているんですね。  非常にいい場合はどうかというと、飛行場管制の場合は訓練生、つまり資格のない人間で、これは監督官がついています。補助管制の場合には訓練生で、監督官はいません。地上管制の場合も訓練生で、監督官はいません。それから上のほう、ターミナルのレーダーのほうはどうかというと、着陸誘導管制については訓練生、これは監督がおりません。捜索管制については資格者がすわっております。補助管制の場合には主任が兼務しております。それから入域並びに出域の管制の場合には主幹が兼務しております。補助管制はいないし、出域管制はだれも人はいないということであります。ですから、たとえば上のほうの飛行場管制のほうを見たって、やっているのは訓練生ばかりです。監督者が一人ついてやる。あとは全部訓練生です。席がありながら人がすわることができないところがありますし、それを主任とか主幹が全部兼務してやらざるを得ない。これが天気のいいときの状況ですね。  天気が悪くなるとどうなるかというと、今度は訓練生をはずしてしまいます。たとえば飛行場管制の場合は訓練生にやらすわけにいかぬ。そうすると主任が兼務する。補助管制は人がいない。地上管制の場合には資格者がすわる。あと着陸誘導管制も資格者がすわる。もちろん、捜索管制は主任が兼務、補助管制は不在になって、入域、出域は主幹が兼務。わずか五人で処理する。みんな訓練生をはずしてある。あそこは前に訓練生にやらしておって事故を起こして、たしか名古屋空港でしたね、起訴されて有罪の判決になったでしょう。そういう経験があるから、ちょっと気象状態が悪くなると、訓練生は仕事をやめさせる。あとみんなが兼務でやるから、上と下の連絡は何もできない。飛行場管制のほうとレーダー室の連絡は何もできない。そういう状態で、さっき言ったように一時間に七十何機という処理をしている。  だから、この人間の点、これは確かに沖繩にも派遣しなければならぬし、板付にも派遣しなければならぬ、成田もできるというので、そういうたいへんな事情はわかるのですけれども、いまの時期での過渡的な現象なのかもしれませんけれども、しかし、どうもこういう状況を見ておると、今度事故が起きれば管制官のミスによる衝突事故だ、こう一般的にいわれでいるでしょう。羽田の上空かどこか、こういう航空の混雑しているところで管制官のミスによる衝突事故が今度起きる大きな事故だ、こういわれている。そんなことに現実にならぬように、こういうことでやりくりしなければならない。  ですから、訓練生というのは定員の中に入れないで、現状では無理なのかもしれませんけれども定員のワク外に置いておいて訓練する。しかも教官をきちんと配置する。定員としても教官を確保するということをもうちょっとやらぬと、どうもこんな状況では、一般的にいわれているそういう心配というものは現実になりかねないのではないかと思うのですが、どうですか。
  98. 住田正二

    ○住田政府委員 現状は、確かに先生のおっしゃるとおり、無資格者が非常に多いわけでございます。その原因は、成田、板付、沖繩が返ってきたということによる結果でございまして、経過的な問題であって、できるだけ早くレーティングをとらして体制を整備したいと考えております。  訓練生といいますか、学校を卒業して資格をとっていない訓練生といえば訓練生でございますけれども、こういうものを定員の中に入れて管制をやらせるということは、非常に問題があるのではないかと考えております。現状ではそういう人も配置しないと足りませんので、実際に配置いたしておりますけれども、将来は、レーティングをとってから定員の中に入れて管制をやらせるという方向が望ましい。そのためには、訓練の体制といいますか、教官をつけるなり、あるいは訓練室をつくるなり、そういう体制の整備をする必要があると思いますけれども、将来の問題としていまそういう方向で検討いたしております。
  99. 横路孝弘

    横路委員 それは行管のほうでも、いま運輸省のほうから答弁があったようなことで、実際には資格のない人間が、これは何も管制ばかりじゃないんでありまして、ほかの分野もそうなんですが、いまの現状から言うと、そんなことをしたんじゃ全く機能麻痺しちゃって、日本の空なんか飛行機が飛べなくなりますのでやむを得ないのかもしれませんけれども、しかし、これはやはり定員のワクの外に置いて、資格をとってからワクの中に入れるということを考えるべきだという点と、それから教官としての定員配置をやはりきちんとすべきじゃないかというように思うんですけれども、その辺のところ、行管としてはどのようにお考えでしょうか。
  100. 平井廸郎

    ○平井政府委員 将来の望ましい形としては、航空管制に当たる者に無資格者が従事するということはできるだけ避けるようにしたほうがいいと思いますが、現実の問題としては直ちにはそういうことになりかねることは、先生御指摘のとおりでございますので、今後の問題は、先ほど申し上げましたような、第二次空港整備五カ年計画の中におきましても、研修職員の増加ということも考えておりますし、現に昭和四十七年度におきましても、すでに養成規模をかなり拡大しておりますので、今後はそういう点に期待してやってまいりたいと思います。
  101. 横路孝弘

    横路委員 特に名古屋の場合は、あそこは緊急着陸する飛行機が多いのですね。ことしになってからも、いまの段階でもうすでに十三件、おもにエンジンの故障が多いんですけれども、緊急着陸をしているわけですよ。そういう場合に、いまお話ししたような現状ですと、これは処理をちょっと誤っちゃうと、訓練生だ、資格がない人間だから何だかんだ言ったって、これはやはり業務上過失致死傷とかなんとかいって起訴されて、有罪判決になってしまうわけです。去年の中華航空のときの事故の場合も、やはり資格のない人間が羽田のターミナル管制をやっている。資格はないんだけれども、やはり責任があるということでしょう。本来ならば、資格のない人間に責任を持たせるというのは、たてまえからいってもおかしいと思うんですけれども、警察のほうでは、やはり現実に仕事をしていてその人間の指示に従ったんだからということで、検察庁のほうに書類送検されていますね。責任だけを負わされて、その人間ほんとうの責任があるかというとそうじゃなくて、いまのような行政機構の中に組み込まれていって、本来なら別に訓練しなければならぬ者が、そこで訓練で仕事をして、ミスをおかしたら、仕事だからということで刑事責任を追及される、こういうようなことになっているんで、その辺のところをぜひお考えをいただきたいと思います。  航空の現場へ行くと、管制官だけ花形だけれども、ほかのところはさっぱりよくならないという不満が実は非常に多いんですね。で、聞いてみると、ほんとうにみんなが、自分がどういう仕事にかかわり合いを持っているかということさえも認識ができないというんで、たとえば無線なんかの保守をやっている人の希望というものはどんな希望が多いかというと、一度飛行機に乗ってみたいというのですね。飛んでいる飛行機と自分の仕事がどういう関連があるのかわからぬというのですよ。それであるとき、これは話ですよ、その人から聞いた話ですが、どういう影響があるかというのでとめてみたというのですよ、無線を出すのを、レーダー出すのを、電波出すのを。そしたら、ようやく自分の仕事というのがそこで認識できたという話を聞いたので、その意味では、たとえばこういうような人に、飛行機の関係仕事をやっていながら飛行機に一度も乗ったことがない、山の中で無線の保守ばかり一生懸命やっている人もいるので、そういう点でのこまかい配慮もひとつお願いをしたいというように思うんです。  そういうことで、管制技術と通信技術の問題について少しお尋ねをしたいと思います。これもやはり訓練が非常にいいかげんなんですね。たとえば管制技術官についてちょっとお尋ねすると、東京の航空交通管制部、ここではいまの人数では二十三名いて、航空交通管制技術職員試験規則というのがありますね、あの六条によって技能証明書の取得をしているのはわずか十五名。二十三名のうち十五名ですね。あと八名はまだ取得をしない人間になっている。取得をしないけれども、これまたワクの中に組み込まれて仕事をしているというのが現状ですね。  そこで、この訓練というのは基礎訓練と実地訓練になっているんですけれども、この規則を見ると、これがまた、たとえば基礎訓練なんというものは四カ月以上というようになっていますね。規則はそこにありませんか。規則の四条で、四カ月以上というようになっているんですけれども、現実は一カ月しか行なわれてないんですね、基礎訓練が。これは御承知でしょうか。東京航空交通管制部、これはたしか羽田かどこかでやるんじゃないですか、基礎訓練は。そこの条文を読んでみますか。「基礎試験は航空局長が四月間以上行なう研修を履修した職員について行なう」というようになっていますね。ところがこれは、四カ月じゃなくて一カ月程度で、これもやはり人手不足のために規則を曲げてやっていることなんですけれども、そういう現状は御承知でしょうか。
  102. 住田正二

    ○住田政府委員 この無線関係職員のソースといたしまして、航空保安大学校の電子科を出た人間と、それから一般から採用する人間と、二つあると思います。航空保安大学校におきましては基礎教育をやっておりますので、いまお話のありましたのは一般から採用した人間についての教育訓練ではないかと思います。たてまえといたしましては、確かに四カ月というたてまえになっておると思いますけれども、実際にはそれより短い期間しか行なわれてないということは聞いております。といいますのは、先ほどの管制官と同じで、やはり現場にすぐつけなければいけないということで基礎訓練期間を切り上げているのではないかと思います。
  103. 横路孝弘

    横路委員 その八名のうち、その規則四条による基礎訓練、その終えてない者が四名ですね。それから実地訓練を終えていない者がやっぱり四名ということになっているこれが八名の内訳です。そこのところも、たとえばともかく実際にその現場に入れて仕事をさせるんだ、こうおっしゃるけれども規則ではちゃんときまっているんですよ、「管制技術業務は、航空路管制業務、飛行場管制業務、進入管制業務及び誘導管制業務に供せられる無線設備の技術的操作であって、当該業務に係る技術証明書を有する職員以外の者に行なわせないものとする。」と。わざわざこの規定は、そういう者以外の者には行なわせないものとするというように、ちゃんとこの試験規則ではきられていながら、現実には、その技能証明をまだもらっていない人も実際のローテーションの中に入っちゃっているというのが現状ですね。だから、そこのところも、これはぜひお考えをいただきたいというように思うんです。
  104. 住田正二

    ○住田政府委員 無線関係の保守職員につきましても、成田ができる、あるいは板付、沖繩が返ってくるということで業務が非常にふえておりますので、定員がふえて人を採用いたしましても、なかなか教育をして一人前にする時間が足りないわけでございます。そのために、やむを得ず現場配置するというのが現状でございまして、これは決して望ましい姿ではないと思いますので、できるだけ早く訓練をやって資格をとらしたい、そういう方向で努力をいたしたいと考えております。
  105. 横路孝弘

    横路委員 行管のほうもあとでまとめてお尋ねしたいと思うんですけれども、ともかく、管制技術の関係もそういうことで、規則をきめられていながら、実際には人が足りないために、規則できめられた資格のない人がやっぱりローテーションの中に入って現実の仕事をしているわけです。しかも、人がなかなかいつかないということから教官もいないので、全く徒弟制度みたいになってしまっているわけですね。特に東京管制部なんかの場合ですと、あそこで一年か二年訓練をしてものになりそうだと思うと、人が足りないものだから、みんな地方にとられてしまって、いつもあそこは養成所みたいになっているのです。だから、その辺のところの現状もぜひ掌握されて、措置をとっていただきたいと思うのです。  もう一つついでに聞きますが、通信技術の関係ですね。これもたとえば通信技術の場合ですと、VORとDME、こういう関係は、研修といいますか、技術訓練というものが行なわれるのですけれども、それも両方きちんとみんな受けているかというと、VORはやったけれどもILSの関係はだめだとかいうようなことで、きちんとした研修制度というものを通信技術とか管制技術等についてはつくって、そして技術訓練をやるということをもうちょっと考えないと、いまはともかく現場配置をして、その中で訓練をして資格をとらせるということで、実際の仕事に携わっている人がその資格をとらすための教育もしているわけですね。そうじゃなくて、それはきちんと別にそういう訓練機関を設ける。しかし訓練機関といっても、現状ではやると人が足りなくなってだめですよ。いまの人手では、長期に研修に人を出すということができるような体制にはとてもないわけですね。したがって、そちらのほうの人のめんどうを見ながらなおかつ技術訓練をする場というものをきちんと設ける。もちろん実地も必要でやらなければならぬと思いますけれども、いまのような、ともかく実地に入れてそしてやるという制度を改めていかなければ、これはなかなかたいへんじゃないかというように思うのですけれども、その辺のところは、運輸省としてはお考えになっているのでしょうか。
  106. 住田正二

    ○住田政府委員 現在、技術関係は管制技術と通信技術の二つに分かれておるわけでございます。これは歴史的な沿革もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、管制技術と通信技術を分けることがいいか悪いかという基本的な問題を検討いたしたいといま考えておるわけでございます。その上で将来の保安施設の整備を考えまして、どの程度の人間にどういうような資格をとらせたらいいかということをいま検討いたしております。管制技術、通信技術を一本化し、資格制度もはっきりさせた上で、それに必要な再訓練、研修制度というものを今後確立していく必要があるのじゃないか、そういう検討をいま行なっているわけでございます。
  107. 横路孝弘

    横路委員 どうもくどいようですが、再訓練じゃないのです。再訓練じゃなくて、ともかく現場に入れて仕事をやらせながら、ローテーションの中に組み込んでおいて資格をとらせるというあり方じゃなくて、基礎の段階の訓練をもうちょっときちんとすべきじゃないかということですね。あるいは一度現場に入れてもいいのですけれども、入って半年くらい現場を見たらあとは半年なり一年なりきちんとどこかで教育をするということをやらぬと、第二次空港整備五カ年計画でこれからいろいろレーダーなんかがあちこちにできても、その人をどうするかという問題を考える。管制はそれで失敗したわけですから、いまからきちんと要員確保の展望を持って、そして訓練のこともお考えになってほしいというように思うのです。現場へ行くと、ともかくそういう技術訓練の場がほしいという要求が、これは非常に強く出てきているのです。
  108. 住田正二

    ○住田政府委員 現在の保安要員の訓練体系といいますのは、航空保安大学校の卒業生でまかなうというのがたてまえになっているわけでございます。ただ現状では、先ほどから申し上げておりますように、成田ができるとか板付ができる、あるいは沖繩が返ってくる、あるいは急速に航空路関係施設を整備しなければいかぬということで人が足りないわけでございまして、そういう足りない人間は外部から採用しているということでございます。したがって、現在外部から採用している人間についての訓練問題がございますけれども、基本的には保安大学校の卒業生をどういうふうに教育するかということが今後の大きな問題でございまして、そういうような意味で再研修ということばを使ったわけでございます。  航空保安大学校を卒業いたしますと、大体NDBとかVORというようなものもレーティングがとれるということになりますので、そのあとで、ILSとかレーダーとか、あるいは一級の通信技士の資格をとる。そういう資格をとるための研修、そういう研修制度を今後確立する必要があるのじゃないかということで先ほど申し上げたわけです。現在、外部から募集している人間については適当な研修制度というものがないわけでございまして、先ほどから話が出ておりますように、現場に入れて訓練をしながら実際に実務についてもらっているという状況でございまして、今後の方向としては、やはり保安大学校の卒業生の研修制度を確立するということが大きな問題ではないかというように考えておるわけでございます。
  109. 横路孝弘

    横路委員 ですから、たとえば名古屋空港なんかの場合、あそこはタカンですね。その場合に米軍からの引き継ぎになっておるのですが、この関係の技術研修を受けた者はわずか三名しかいないのですね。チームは四チームあるのです。ですから、ともかく必ず一チームはタカンの技術訓練を全然受けたことのないチームがあるわけですよ。故障したらそれでアウトですね。あるいは見ながら覚えておることでともかくやる以外にないわけですね。  そういう現状というのは、あちこちの空港を指摘していったら切りがないのでありまして、そんな意味で、この管制の技術、あるいは通信技術の関係も、特に東京管制の場合でしたら、マイクロウエーブとか、有線通信とか、通報の機器の関係施設がありますね。範囲が非常に広いたくさんの計器があるわけです。それを取り扱うということになりますとなかなか期間がかかるので、二年くらいたって一人前になったかなと思うと、足りないところに回されて、要するに東京の管制センターはいつも人の養成場所になってしまっているというのが現状なんです。  その辺のところは、行管のほうでも定員の問題としてぜひお考えをいただきたい。つまり定員削減というのも、これは政府の方針なんでしょうけれども、やはり行政需要の変化に応じて、こういう新しい行政分野についてはどんどん人を認めるということでやってもらわなければ困ると思うのですね。その辺のところを、大臣からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  110. 中村寅太

    中村国務大臣 航空行政実態は、横路議員が指摘をなさるように、現在の実情から考えますときわめて弱体である、これはもう率直に認めざるを得ないと思います。やはり一番需要が大きい航空事業の実態に沿うような体制を急いでつくらないと、航空事故というものは必ず国民の事故死に  つながる。そこで、パイロットの養成、それから管制官、通信技術者、機体の整備要員、これはどうしても十二分の整備をすべきである。この点から、行管といたしましては、この航空行政の強化のための人員等を新しく認めないというような考えは毛頭持ちません。  最初に横路議員も指摘なさいましたように、私はやはり航空庁くらいつくって、本格的に航空体制を強化しなければならぬ段階であると思うのです。いま国際的には旅客機だけは通っていますけれども、やがて貨物の時代も来ます。そうしますと、いまのような体制で間に合わないことはわかっておる。私は運輸省の悪口を言うわけじゃありませんが、運輸省の気がまえも足らぬと言えると思うのです。それで行管としては、人員の面で要るものはどこまでも差し上げたい気持ちを持っておりますけれども、それにはいろいろいままでのいきさつ等もありまして、やはり運輸省のほうがそういう点をもっと積極的にやらなければいかぬ。これは大事なことであると思っておりますので、運輸省ともよく相談をしながら、できるだけ皆さんの期待にこたえて、航空の安全を確保してまいりたい、かように考えております。
  111. 横路孝弘

    横路委員 時間もあれになったのですが、最後に一つだけ。  この現場要員ばかりじゃなくて、第二次空港整備五カ年計画が始まって、しかも沖繩と、それから最近は特に騒音の関係の公害の問題ということで、実は管理要員もかなり足りなくなってきているのですね。  ちょっと大阪の航空局の例を申し上げたいと思うのですけれども、大阪の航空局の定員配置の中で去年とことし比べますと、たとえば、施設課とか無線課というのはふえているのです。これは第二次空港整備五カ年計画に伴った保安の要員ということで、人員がふえているのですけれども、ところが、大阪航空局の範囲というのは非常に広いのでありまして、特に今度沖繩が返ってまいりましたので、その沖繩の関係、あれは別に那覇空港ばかりじゃなくて離島空港もたくさんあるわけで、非常に行動半径が広い。その中で、しかも最近は、騒音の問題ということで補償の問題等が非常に苦情が多くなって、その処理に職員はてんてこ舞いになっているのですね。したがって、大阪航空局の例でちょっと見ると、こういう計算をするのがいいのかどうかちょっと議論もあるだろうと思いますが、たとえば補償とか騒音係なんというのは、一時期に比べると非常に予算額というのはふえて、一人当たりの取り扱う予算というのは、たとえば三億七千五百万円くらいになっている。これは防衛施設庁あたりだと一億くらいですね。毎年毎年業務量がどんどんふえている。航空局のほうに、ともかくこんなのじゃ仕事ができないと言うと、いいから仕事を積み残せと言うらしいですね。大阪の航空局のあたりでは、幹部のほうは、いいからもうできない仕事は来年に回せ、こういって、どんどん積み残せということを口を開けば言っているらしいですよ。仕事を積み残すのじゃなくて、仕事をできる体制をやはりどうやってつくるかということに持っていかぬといけない。これは、苦情処理を申し立てたって処理できなかったら、いいからもう来年に積み残せといって、だいぶいろいろな仕事が積み残っているようですね。その残っている仕事をここで一つ一つ指摘するのはやめますけれども、そういうような現状なんで、特に補償課関係ばかりじゃなくて、施設そのほかも全部そうですけれども、やはり管理要員をふやさなければならぬのじゃないか。  もう時間があれなんで、私のほうから指摘だけしておきますけれども、たとえば職員の有給休暇なんというものを見てみると、補償課なんというのは一人当たり年間二日ですね、一・九日、無線課が二・一日。そして出張なんというのは、施設課の場合延べで二十八人で、三百六十五日、三分の一は人が常にいないというような状態で、出張ばかりですね。これは、ともかく大阪航空局の範囲というのは非常に広いのでそんなことになるので、有給休暇の平均は、大阪航空局の場合ですと、一人当たり年間三日しかとれないという状況ですね。これは四十六年度の調査ですけれども。管制通信の場合でしたら、だれも一日もとれないというような状況になっているのですけれども、かわりの交代がいないから全然できないということなんでしょう。したがって、その管理要員についても、第二次空港整備五カ年計画の関係は、わりあいと行管あたりでも見てくれているし、大蔵あたりでも見てもらっているようですけれども、この騒音の関係とか公害関係とか沖繩関係というのは、実は意外と人が昨年からことしにかけてついていないというのが実態じゃないかと思うのですが、その辺のところ、運輸省のほうで、仕事ができないなら積み残せとおっしゃらずに、それをつくるための体制として要員を確保する、こういうことに指導をしてもらわなければ困ると思うのですが、いかがですか。
  112. 住田正二

    ○住田政府委員 私のほうで、仕事ができなければ積み残してよろしいというようなことを言っている事実はないと思いますけれども、先生の御指摘のように、管理要員が足りないというのはそのとおりでございまして、まあ本年度予算におきましても、行政管理庁、大蔵省に特にお願いしまして、管理要員については従来より大幅にふやしてもらっている現状でございます。しかし、現状ではなお足りませんので、来年以降もできるだけ配慮していただくようにこれから折衝をいたしたいと思います。
  113. 横路孝弘

    横路委員 こまかく議論していけば問題点というのは実にたくさんあるのが、いまの航空の現場状況だろうと思うのです。  そこで最後に、行管のほうと、それから大蔵省から担当の主計官の方に来ていただいておりますので、ほんの一部分だけにすぎないわけですけれども、ともかくこういう状態の中で事故が起きないのがふしぎですね。事故をなくすための体制をとるということで、第二次空港整備五カ年計画が始まりながら、じゃその要員がどうかということになりますと、レーダーができても資格のある無線保守をやるような人が十分に配置されていないというような現状になっている。運輸省のほうはいつも逃げ道はどこかというと、いや大蔵省が認めないので、いや行管が認めないのでというのが逃げ道になっているので、ぜひ皆さん方のほうで、そうじゃない、やはり新しい行政需要に応じたこの辺のところの形は考えていただくということを、行管のほうにも大蔵のほうにも姿勢としてとっていただきたいというふうに思いますし、そのことをお尋ねしたいと思います。  それから運輸省のほうには、さっき話をした無線の保守なんかやっている人が、自分の仕事とかかわりあいがわからないので、電波を出すのをとめてみて、飛行機がうろうろするのを見て、やはり重要な仕事なんだなということを考えるなんてことがないように、やはりたまに飛行機くらい乗せてやるくらいの、待遇改善として措置考えてもらいたいということですね。  まとめて御質問して終わりにしたいと思います。
  114. 平井廸郎

    ○平井政府委員 新しい行政需要に対応する要員の確保という点は、私どもも常々考えているところでございます。したがいまして、基本的には先生の御意見に全く賛成でございますが、ただ御指摘のように、航空保安大学校の例をとりましても、本科は二年ということにもなりまして、さしあたり非常に増大する航空行政需要に対応して若干のタイムラグという問題が出てまいることは、まことに残念でございますが、やむを得ないところだろうかと思います。ただ、そういった点も頭に入れながら、十分要員確保の問題についてつとめていきたいと考えます。
  115. 金子太郎

    ○金子説明員 航空保安行政関係の要員確保の問題につきましては、先ほどからの質疑で明らかになったと思いますが、少なくとも四十七年度に関する限りは、絶対数の不足の問題よりは質の問題が大きいのではないかと考えております。要するに教える人が足りないというような問題があるかと思います。この問題は、大きな組織がある一年で十数%も二〇%も定員をふやすということは、十年、十五年先で非常に大きな問題を引き起こすことでもありますし、何と申しましても、三年とか五年とかいう相当長い期間にわたって継続的にふやしていくという考え方をとらなければならないというふうに考えております。航空保安要員の質的な向上の問題も、成田がオープンいたしますれば、そのあとは次第に改善されていくというふうに考えておりますが、今後ともこういう方向で努力いたしたいと思っております。
  116. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほどの無線関係職員が自分のやっている仕事の重要性がわからぬという問題につきましては、御指摘のとおりでございまして、本年から無線、それから航務、通信関係職員を、毎年ということではございませんけれども、三年に一ぺん程度体験飛行という形で飛行機に乗せたいという計画をいたしております。
  117. 横路孝弘

    横路委員 これで終わりにしますけれども、絶対数が足りないのじゃなくて質の問題というのでは必ずしもないのでありまして、つまり質の悪いのはなぜかというと、絶対数が足りないから、無資格者を別に訓練することができなくて、結局そのローテーションの中に入れて仕事をせざるを得ない。つまり絶対数が少ないからそういう仕組みになる。どっちが先かという議論は別にして、そういうことに現状としてはなっているわけですね。もちろん質の向上も、研修の問題そのほかありますけれども、やはり絶対数が非常に足りないという現状もいろいろな分野にあるのでありまして、その辺のところも含めて、ぜひ大蔵、行管、運輸あたりで相談しながら、事故が起きないような体制をとっていただきたいということを要望してこれで終わります。
  118. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本件につきましては、横路委員が、航空保安要員問題について特に関係官庁を通じて質疑を展開せられましたが、明日、運輸省設置法は、特に航空局の機構改正の問題を論議することでもあり、本件につきましては、先般、大出委員からこの問題についての指摘もございました。ことに、有資格者と航空保安大学校を卒業した無資格者の間における給与の差等についてもいろいろ指摘がありましたので、運輸省としては、今後の運輸省設置法改正の趣旨にかんがみて、これらの問題に関する詳細な——要員の長期計画等についても、いずれ各委員からなお質問が出ると思いますので、十分御調査の上、質問に応ぜられたいと思います。この点、委員長からも御注意申し上げておきます。午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議
  119. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。細谷治嘉君。
  120. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、農林省設置法関係して、特に試験研究機関について質問をいたしたいと思います。  まず具体的な問題から入りたいのでありますけれども、私は福岡県でございますが、現地の五月十日の朝日新聞に「ナシ園に病害 筑後地方などで霜害に似た細菌性」という見出しで出ておりまして、筑後地方と大分県日田市一帯にありますナシ園がたいへんな被害を受けたのであります。この新聞記事によりますと、これまでのナシ園の病源というのは糸状菌によるものがほとんどであったけれども、今度は細菌性の病害である。たまたま九州農業試験場の調査では、これはおそらくナシの火傷病ではないか、こういうことで九州農業試験場が指導をいたしました。御承知のように、このころたいへんな雨が続いたのであります。いつもでありますと、大体五日か一週間程度の開花期でありますけれども、ことしは十日とか二週間とかかかっておる。花が全部腐れてしまったわけですね。こういう事実を農林省は御存じか。御存じであるとすれば、これははたして火傷病であったのか、あるいは他の病害であったのか、その被害は一体どの程度と予想されるのか、まずお尋ねしたいと思うのです。
  121. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘になりました九州におけるナシの開花期における病害の問題でございますが、これにつきましては、九州農業試験場と九州大学が一緒になりまして、昨年もちょっとそういうような問題があったように聞いておりますが、それがどういう種類の病気であるかということの調査、研究を進めておったわけでございますが、ことしの問題も、昨年の問題もそうでございますが、要するに開花期のあとにちょうど小さな実ができたころに、長雨と、それから温度が低かったということで、若干被害が起きましたところへ、ただいまの調査の結果では二次性のカビがついたということでございまして、その後、それを摘果することによって大体大きな被害にはならない、そういうふうな結果の報告が来ております。  それからもう一つ、ただいまお話のございました火傷病でございますが、火傷病というのは、わが国には現在ないことになっておりまして、これはアメリカのフロリダあるいはカリフォルニアの洋ナシに発生いたすものでございまして、現在そういう心配はないと思いますが、そういうことであってはたいへんなことでございますので、引き続き菌の同定等につきまして調査を続けておるわけでございます。
  122. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお答えの中で重要な発言があったわけです。火傷病が日本にないというのはおかしいでしょう。そんなばかなことないですよ。私は二、三火傷病についての文献を調べてまいったのですけれども、これはアメリカから渡ったことは事実でありますけれども、「明治十三年、苗木について北海道及び東北地方に輸入せられてから、一時日本各地に発生した。甚だしいときには七、八割の被害がある」と本に書いてあるのです。日本には火傷病がないなんという認識は、こういう専門の本に書いてあるのを御否定なさるのですか。どうなんです。
  123. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 専門の本に書いてありますことを私は否定するわけではございませんが、われわれ病害関係の研究をやっております者の中では、現在火傷病という同定ができないわけでございます。現在その同定を急いでおるという段階でございます。
  124. 細谷治嘉

    細谷委員 実は、筑後地方でも火傷病というのはかってあったのですけれども、私が専門家に九州農業試験場でお聞きしたのです。そうしますと、ボルドー液等を使ってきたのでこの火傷病というのは防がれてきたというのです。ところが昭和四十二年以降ボルドー液を使ってないわけですよ。この専門のものの本の中に、一番いいのはボルドー液だと書いてあります。火傷病はナシ、リンゴの火傷病として「薬剤撒布はうすい過石灰ボルドー液が最も効果的」と書いてある。それを使ってきたからたいへんな被害が起こらなかったのでありますけれども、今度は、大分県の日田市の農家が四月十日すぎに被害の花を持込んだのがきっかけで、九州農業試験場は火傷病と判定しているわけです。それが四十二年以降今日まで新しい農薬にたよって、そしてボルドー液を全然使ってないのですよ。それで今度の開花期において、普通五日か一週間くらいの開花期が十日も二週間もかかったところにこういう火傷病が再発した、こういうふうに言っているのですよ。ですから技術会議の加賀山さん、ちょっとそれはあまりにも認識不足というか、あるいは現地の状況を御存じないお答えではないかと思うのです。いかがですか。
  125. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 われわれも、現地の九州農業試験場のその関係の者に連絡をとっておるわけでございますが、現在のところは、先ほど申し上げましたように、まず菌の同定を急いでおるわけでございまして、これがなかなか火傷病という同定ができないということでございますので、学問的には、菌の同定ができませんとそういう決定はいたしかねるわけでございまして、それを急いでおる、現在継続調査中である、こういうことでございます。
  126. 細谷治嘉

    細谷委員 この新聞の中にも、九州農業試験場の研究室の担当者が、私は四十二年ということを申し上げたのですが、「細菌性の病気が出た原因は、省力化で四十年ごろから細菌にもきく石灰ボルドーを散布しなくなったためとみられており、同研究室は「いまの農薬はかびにしかきかないので、細菌性の病気が出たことは問題だ。早急に防除法を再検討すべきだ」といっている」、こういうふうに語っておるわけですね。ですから、いまのお答えでは、一体、今度のこの火傷病でどの程度の被害が起こったかということは、おそらくおつかみになっておらぬだろうと私は思うのですが、これ以上聞きません。  ただかつては押えられてきておった細菌性の火傷病というのが、新しい農薬を使ったために、いわゆるきわめてオーソドックスなボルドー液等を使わないために、こういう事件が起こった。しかもこの新聞によりますと、大分県の「日田市をはじめ、甘木、久留米、八女、筑後の各市、それに朝倉郡の杷木、八女郡の黒木、広川の三町でも発生している」、そうして「日田市では一枝全部がやられた園もあった」、こういうふうに書いております。ひとつ十分御調査いただきたいと思います。  そこで、私はお尋ねいたしたいのでありますけれども、私はかつて、あと質問が出ると思うのですけれども、私の住んでいる近くに、有名ないわゆるタカナの名産地があります。そのタカナの名産地はずっと続いてきているわけですけれども、そのタカナの苗というのは特殊のところしかとれない。九州農試のすぐ近く南隣に野菜園芸でかなり有名な瀬高町というのがございます。その瀬高町は有名な野菜産地であり、タカナの苗もそこでできておったのであります。その苗を各地に配って、例のタカナづけのタカナができているわけです。ところが今度は一向にタカナの苗がとれなくなったのです、長い間つくっておったために。そこで私は、九州農業試験場に行って、あなたのところのすぐ近くじゃないか、一体このタカナの苗がどうしてとれなくなったのかと聞いたのです。いまその苗をつくるところは別のところに移っておりますが、こういう点はどうして国の農業機関で調べられないかと言ったら、九州農業試験場のある技官が、いや、これは園芸試験場の問題であります、私どものほうでは手が触れられない、こういうお答えが返ってまいりました。ナシというのは園芸ですよ。それを園芸試験場でない九州農試がナシの火傷病についての対策を指導して回ったのですよ。これは正しいやり方でしょうか、正しくないやり方でありましょうか。いかがでしょう。
  127. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまのタカナのお話でございますけれども、確かに先生おっしゃるとおり、瀬高はタカナの名産地であります。ところが最近はタカナが減ってきておるというお話でございました。減ってきている理由はいろいろあると思いますが、最近、食生活の高度化ということもございまして、タカナが果菜類なり葉菜類にかわっているという事実もございますし、確かにそこで連作いたしておるわけでございます。タカナというのは一般的に水田の裏作でつくる作物になっておるようでございます。水田というのは、大体いや地現象というのがあまりないのでありますが、やはり水田裏作であっても、連作いたしておるといろいろ問題が出てくるわけでございます。また最近、需要の方面が果菜類なり葉菜類がふえたということと、もう一つは、あまり連作しておるために土壌に少し問題があるのじゃなかろうか。土壌といいますと、いや地現象でございますが、いや地現象というのはいろいろ原因がございます。その中で、あまりにも連作をし、化学肥料を多投するために、土壌の物理的構造なり化学的状態がおかしくなるという問題が一つございます。もう一つ、土壌伝染性病害の問題もございます。特にタカナにおきましては、菜っぱ類につきますビールスがたくさんございますが、タカナにもビールスがつくわけでございます。アブラムシがいわゆるベクターとなってビールスを運ぶような機能がございます。そういったこともいろいろまじり合いまして問題が出ているのではなかろうか。  これにつきましては、当然園芸試験場が扱う一つの品物でもございますから、園芸試験場というものがやるのは当然でございますが、特に、その地域農業試験場、九州にございます九州農業試験場の環境一部というのが病害関係の研究をたくさん持っておるわけでございます。当然、地域のそういった問題については、九州農業試験場が園芸試験場と縦糸と横糸になりまして当たるべき筋合いのものであろうと思います。  先ほどの火傷病の場合に、九州農試がいろいろ問題を扱ったというようなことでございますし、当然それはそういったタカナの問題についても九州農試の扱う筋の問題でございます。もしもそういったものがあったとすれば、われわれの指導の不十分なところでございまして、今後そういうことのないようにいたしたいと考えております。
  128. 細谷治嘉

    細谷委員 私は九州農試が、あれは園芸試験場の問題であります、野菜園芸といわれておりますから、野菜は園芸試験場の問題だから、地域対応をやっている九州農試は野菜園芸に触れられないのだ、これは間違っていると思うんですよ。しかしそのときに、はっきりそのことばが返ってきたのです。そういう姿勢ならば、今度このナシの火傷病が起こったときに、ナシは園芸ですから園芸試験場がやるべきですよ。それをやらないで、何で一体九州農試がやったのか、越境じゃないか、こういう議論を今度は、前のことばから言うと言いたくなるわけですよ。これは間違いですな。たまたま環境一部でその火傷病の経験者がおったわけで、適宜適切な対策を講じられたようであります。ここに一つ問題点がありまして、私がこの辺の運営上の問題についても、きょう特にこの問題を取り上げた理由の一つなんです。まあ、技術会議事務局長さん、そういうことではいかぬわけですから、ひとつ十分に農林省の研究機関としてあらゆる総力をしぼって、適時適切な予防なり対策を講じていただくように、特に要請しておきたいと思います。  もう一つ具体的な問題でありますが、いま九州縦貫道路というのができておるわけですね。どんどん工事が進んでおりまして、間もなく開通式——もう一年もしたらできるでしょう。福岡から熊本までは、その高速道路の分離帯にビャクシンという木を植えるんだそうですよ。でありますから、その地域の農家の人はたいへんなことになっているわけですよ。ビャクシンを植えますと、私はしろうとでありますけれども、ビャクシンという木は、ナシの赤星病というおそるべき病気の中間宿主なんですね。ナシの葉っぱが落ちてしまいますと、そのビャクシンに宿借りして、ナシの葉っぱが出てくると、今度はこの赤星病の病原菌がナシのほうに移ってくるわけですから、これはたいへんなんです。それを分離帯に植えますと、ものの本の中には、ビャクシンが一本でもあったら、それから五町か六町か——これは昔のことばですよ。ですから、五、六町といいますと、約五、六百メートル。五、六百メートル以内にはナシの木はもうだめだ、こう言われているくらいですね。そういうことがいま問題になっておりますが、建設省はその辺のこと御存じないでしょう、農業との関係は。さらに農林省は御存じですか。もしそういうことになっては困るわけですから、それについて何らかの対策をおとりになっているかどうか、お尋ねしたいと思います。
  129. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、九州縦貫道路の分離帯にビャクシンを植えるというお話でございますが、確かにビャクシンと申しますのはナシの赤星病の中間宿主になるわけでございまして、それを植えたために近隣のナシが赤星病にやられるという危険性を持っておるわけでございます。ナシの栽培農家の方々にとっては重大問題であるというふうに私ども考えます。道路公団のほうにも尋ねてみたわけでございますが、地元の農民の方々あるいは関係者の方々から、非常に問題であるという御指摘もあったようでございまして、ビャクシンを分離帯に植えることは差し控えたい、そのような連絡を受けております。そのかわりどういう樹種を植えるかということはまだはっきりしておりませんが、確かに先生おっしゃったように、ビャクシンというものがナシの赤星病の中間宿主になることは、そのとおりでございます。
  130. 細谷治嘉

    細谷委員 この専門のものの本の中にも、ビャクシンという木があったら、大体全部赤星病の中間宿主になっているというのです。全部もう焼き捨てなければいかぬというふうにものの本に書いてありますから、そんなことが絶対ないように、十分にひとつ公団のほうと打ち合わせをして指導をしておいていただきたい、こう思います。  そのほかに現地ではいろいろな問題があるのですけれども、話の糸口は、具体的な事実はこの程度にして、そこでひとつ本論に入っていきたいと思うのであります。  今度の農林省設置法の中で、試験研究機関については、農林省の機構の改革に関連いたしまして、いわゆる従来の園芸試験場というものを果樹試験場と野菜試験場に分けると、こういうことになっております。いま私が質問をいたしましたように、地元の病害虫の体制等から考えてもまだまだ不十分でありますから、この際、園芸試験場というものを野菜と果樹に分けて研究機関を拡大強化するということについて、私は賛成であります。けっこうなことだと思います。けれども、私が調べた限りにおいては、いまの農林省の試験研究機関というのはおおよそ五千名の研究員でやっているわけですね。研究員及びその他の人で約五千名でしょう。そうしていままでの園芸試験場というのは二百八十四という定数であったようでありますけれども、これを二つに分けるということは強化するということでありますが、一体、人的なものを含めてどういう強化をなさるのか。まあ経費の問題もあります、研究費の問題もありますけれども、何といってもこれはやはり研究員並びにその研究員を補助するいろいろな体制が必要であろうと思うのです。今度の改正でどういう具体的な構想をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
  131. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 園芸試験場を果樹試験場と野菜試験場に分離いたしますということにつきましては、先生から御賛成をいただいたわけでございますが、特にこれまでの園芸試験場の中における研究者の割合と申しますか、大体、果樹のほうにウエートが高うございまして、野菜関係の研究者というのはわりあい数が少のうございます。特にその環境部門と申しますか、土壌、肥料なり病害虫関係というものは、野菜関係ではほとんどいないというような現状でございまして、先ほどからお話しのように、地域の農業試験場というのは、かなりそういった部門で強化いたしておりますから、それと両々相まってということもあるわけでございますが、しかし、少なくとも最小限度のそういった関係の研究所の強化をいたさなければならぬということで、果樹試験場と野菜試験場の強化をこれからはかっていくわけでございますが、現在の園芸試験場の定数は、先ほどおっしゃいました二百八十四名ということになっております。  その中で、これは私のまだ頭の中の一つの構想でございますけれども、これを将来園芸試験場を二つにした場合に、果樹も一本立ちできない、あるいは野菜も一本立ちできないということでは、やはり分離いたします趣旨に反するわけでございますので、できるだけ研究員の強化をはかってまいりたいということでございます。四十七年の定数で申し上げますと果樹試験場のほうが二百二十二名、それから野菜試験場のほうが二百三名、そういう形で発足をいたしたいと考えておりますが、その後どのような年次計画でというところまで十分まだ詰めておりませんが、将来構想といたしましては、果樹試験場のほうが二百九十二名、野菜試験場のほうが二百七十八名という一応の構想は持っておりますけれども、まだ時間がかかることでもございますし、その中の部の編成だとか、あるいは研究室の編成だとかいうものにつきましては、具体的に固めてまいる必要があろうと考えております。
  132. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの二つに分けて、将来の構想としては、大体いまの園芸試験場の人的規模くらいにそれぞれをするということですね。したがって園芸試験場が果樹試験場と野菜試験場に分かれたために、大体現在は二百八十四名でありますけれども、果樹試験場のほうが二百九十二名、野菜試験場が二百八十名程度の規模で体制を整えたい、こういう構想のようでありますが、その人間は一体どこから持ってくるのですか、お答えいただきたい。
  133. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、試験研究機関全体で先ほど御指摘のように約五千名ということになっておりますが、試験研究機関全体のワクの中で、私たちはやはり非常に問題になっている部門、成長部門と申しますか、今後、拡充強化しなければならない部門もございますし、いろいろと農業事情を十分に反映いたしまして、それほど強化しなくてもいいという部門もあろうかと思いますし、また地域農業事情もいろいろ変わってきておりますから、それに対応いたしまして試験研究機関のあり方を十分に検討いたしまして、その中で強化部門とそうでない部門ということでこれは進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  134. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、ことばではきわめてきれいにつじつまが合うようでありますけれども、そう簡単にはいかぬようですよ。  それではお尋ねいたしますが、農林省のいわゆる閣議決定の定員削減計画、いま第二次に入っているわけですけれども、第一次は各省の中で農林省の削減計画というのは一番大きかった。割り当てが八・二%、五千八十七名ですね。これは、各省の中で五%削減というのを、農林省は一・六倍の削減計画を受けたわけですね。そうして今度は第二次に入ったわけですけれども、これも予定として大体八%ぐらいの削減を受けておるわけです。そして第二次定員削減計画の中においても、わずか五千名足らずの研究職が四十七年度に十六名減るということになっているでしょう。わずか五千名足らず、四千九百三十八ですか、その研究職の中から十六減るわけですね。研究職が十六でありますから、それに関連する人たちも当然減っていくだろうと思うのですよ。一体どこをどうやって強化するのですか、お答えいただきたい。
  135. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 定員削減全体の問題につきましては、私からお答えするよりは官房長のほうがいいかと思いますが、まあ研究機関でございますので……。  確かに一律でかかってくるという問題はありますけれども、研究職につきましては特に配慮をしてございまして、もともとのパーセンテージも低くなっておりますし、また四十七年度の定員削減につきましても、ただいまおっしゃいました十六名でございますが、この比率と申しますのは、ほかの一般の研究職員以外のものに比較いたしますと、約四分の一ぐらいの率になっておりまして、そういう意味では非常に優遇されておると申しますか、研究の重大性ということを考えてこのような配慮をしていただいておるわけでございます。
  136. 細谷治嘉

    細谷委員 確かに四十七年度の場合は、一般の人は二・一四%の削減だということでありますが、研究職は〇・五%の十六名ということでありますから、四分の一程度で優遇されておるのでありますが、では、全体的な農林省の中において、いま事務局長が答弁された、二つに分けたものをそれぞれいまの園芸試験場の規模程度にするというのでありますから、二倍の人員配置をしなければならぬということでありますね。しかもこういう第一次削減、これはまだ完遂しておらない。そして第二次に入っていく。第二次も八%というかなりきびしいあれを受けておるのでありますから、技術会議事務局長の要望、いまお答えのようなことをやれますか、お答えをいただきます。
  137. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 私といたしますれば、それは研究者がたくさんふえることはありがたいことでございますが、国全体の総ワクというものもございますし、私たちはその中での努力をいたさねばならない、そう考えておりまして、将来どのようなことになってまいりますか。しかし、定員削減、そういった問題というのはずっとかかってくるわけでございますし、この中でいろいろ苦しい問題もございましょうが、私といたしましては、その研究機関の持っております中で操作をしながら強化部門は強化をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  138. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう答えが出ますと、どこを削るのですか。あなたのいまの構想では、二百八十名ぐらいどこかからしぼり出さなければいかぬわけですね。どこを削るのですか。今度の設置法では食糧研究所というのが食品総合研究所になるわけですね。これは百二十九名でありますけれども、百三十二名にするわけです。これもふえるのですよ。四千九百三十八というワクはふやさないようでありますけれども、一体どこを削るわけですか。しかもワクをふやすどころか、第二次削減がかぶってくるわけです。ほかのほうよりは少ないようでありますが、かぶってくるわけですよ。どこをどうするのですか、具体的にお答えいただきたい。
  139. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 先ほどから申し上げておりますように、研究機関というのは常に農業の実態に即応して動いていかなければならないという問題がありますので、われわれもいろいろと苦しい問題がございますけれども、そういった農業の実勢に即してその研究体制というものも常に考えていかなければならない。そういった意味で、全体の状態を見まして、その中で研究者を新しい部門に持ってまいりまして強化するということを考えてまいらなければいけない、そう考えておるわけでございます。でございますから、全体でわれわれは二十の農業関係の研究機関を持っておりますけれども、この二十の農業関係の研究機関の中で考えてまいりたい、こう考えております。
  140. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣お尋ねいたしますけれども、四千九百四十名くらいでたいへんけっこうな機構のあれでありますけれども、研究者の裏づけというのはあくまでも四千九百三十八名、おそらく第二次の削減を受けますと、これは四千八百ぐらいになってくるんではないかと私は思うんですよ。そういう中において、幾つかの試験研究機関がありますけれども、ワクをふやさぬで一体地域の農業に対応できる、あるいは将来の農業に対応できるような試験研究ができるかどうか。私はしろうとでありますけれども、アメリカでは一体どれくらいの研究者がおるのか、よその国ではどれくらいの研究者がおりますかということを大ざっぱに調べてみますと、大体日本の二倍から四倍くらいの間にありますよ。でありますから、私はある研究者に間いたら、ほんとうのところ、このきびしい国際化の状況の中において日本の農業が立っていくには、いまの四倍くらいの研究者にしてもらわなければ、ほんとうの確信ある対応と将来の開発はできないのだ、こう言っております。私は、四倍というのはちょっといま主張しようと思いませんけれども、少なくとも日本では一万人くらいの研究機関に対する人がおらなければ、いまの五千名足らずで、しかもそれを削減するなんてやり方では、とてもじゃないが、農林大臣考えているこれからの日本農業というものを、ささえていくことはできないんじゃないかと私は思うんですよ。大臣、コップの中でやりくりしているのでありますから、私は、機構だけつくったけれども魂が入っておらぬ、こういうふうに申さざるを得ないのであります。この辺、ひとつ大臣として大所高所から、たいへん重要なんだということで前向きの御答弁をいただかなければ先に進めない、こういうことです。
  141. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私も技術面はしろうとですが、技術が大事なことはよく承知しております。外国の技術者も非常に多いんだそうですが、外国でも、いま話を聞いたばかりなんですが、ソ連なんかは非常に少ないそうです。ミカンの苗木を持って、グルジヤまで日本の前の園芸試験場長の梶浦君が行ってきたんです。きのう帰ってきたんですが、ところが農業の技術陣営が非常に少なくて、技術の点を聞いても何もわからない。そういうことはあまり大っぴらに言えないかもしれませんが、言っていました。これがソ連の農業がなかなか伸びてないで、農林大臣は始終かえられてばかりいるんですが、そういう原因だろうと私も話したばかりなんです。そういう意味で、農業の技術者が多く、また優秀な技術者をかかえることが、これは農業が前へ進む上においても大切なことだと私も考えます。  そこで、現実的に行政管理庁のほうでいろいろやって、内閣できめていただくと、御質疑のように、一律一体のような形では私も弱るんですが、これは技術ばかりじゃありませんが、転換して技術のほうは減らさないで、少なくとも現状を維持していくというやり方があろうかと思うのです。  たとえば、この機構改革で、食糧庁関係のものなどは、これは転換しなくちゃならないと思うのです。結局、試験場のほうで転換して、純粋の技術者を減らさないというような、転換のいろいろな方法はあると思います。本来からいえば、細谷さんの御指摘のように、減らすどころか、現状維持どころか、ふやしていくべきなんですが、内閣全体としての定員を削減するというような方針で進められてきておりますから、その中において、今度は農林省内で職員の転換等をして、技術のほうはできるだけ弱めない、こういう方針でできたらと思います。口だけでは積極的に言っても、全体の問題でいまあれですから、口だけではしようがありませんから、御指摘のような方向へ私も持っていくように努力してみたいと思います。
  142. 細谷治嘉

    細谷委員 いまソ連という話が出ましたが、私もしろうとでありますけれども、かなり専門の人がソ連なりあるいは東欧諸国の農業を視察した。これは規模は大きいけれども、農業の技術面等になりますと、日本と比べるとかなりおくれておる。これを見本に大臣なさらぬで、やはりもっと進んでおるところ、しかも日本の地形上から国際的に対応していくためには、これはやはり技術で立っていく以外にない。とにかくいまの日本の反当収量を上げるために、アメリカよりも二倍も三倍もの農薬を使ってやるなんということは、もはや今日のこれからの農業では許されないことでありますから、総合的な防除対策なりあるいは総合的な育種というものをやらなければ、これはとてもじゃないが国際的な農業として立っていけないわけです。その土台をつくるということでありますから、非常に大切である。  これを見ますと、しろうとでありますが、蚕糸試験場に七百三十二名もおる。いまの日本の養蚕というものを見てみると、大体これだけの規模が要るのか、こう思って私はある専門家に聞いてみましたところが、いや農業の研究というのは、かりに蚕を二十年やったかなといって、すぐ果樹園芸の研究者にはとてもなれないんだ、こう言っておりました。でありますから、やはり研究機関をやる以上は、かなり長期的な視野、こういうものを持って専門的な有能な人を、そして量をもって対応していかなければならぬ、こう私は思うのでありますから、ここで確約をとろうと思いませんけれども大臣はじめ農林省の幹部、この辺のことをひとつしっかりと頭におさめていただきませんと、ほかの省でかってなことをやって、もう常識からいっても、そんな初歩のことを誤って縦貫道路にビャクシンを植えたりなんという計画を立てますから、農林省ではよろしくお願いしたいと思います。  そこで話を進めまして、実は昨日私どもの選挙区で、これは中央の朝日、毎日等々をはじめ、地元の新聞に一斉に大きくでかでかと書かれたんですね。「農業基地化に水かけるな」こういう見出しであります。「波紋呼ぶ園芸試験場改編 四広域圏、国へ訴え県にも『総合農試設置を』と、こういう見出しで、この設置法に関連する問題が取り上げられておるのであります。  そこで具体的にお尋ねいたすわけでありますけれども、久留米にいま園芸試験場の支場というのがございます。今度の機構改革によりまして、法律でありませんけれども政令で、久留米の園芸試験場は、園芸部門というのはほかのほうへ移ってまいりまして、その園芸試験場の支場というのは野菜試験場の支場に予定されておるようであります。予定されておるようでありますけれども、私が現地へ何べんも行きまして、研究者にも聞きました。いろいろなところに私は当たってみまして、まだ法律が通っていないのに、もうすでに確定したかのごとくぐんぐん進めていっております。けしからぬことだと思っておる。その地元の市に対しても、いやこれはもう今度法律ができたんだから、あなた方、陳情したってだめだ、こういう形で押えつけにかかっておりますよ。まことにけしからぬことだと思いますけれども、そういうことのないように、地元の農業に対応するという一つの役割りを持って支場というのは生まれておるわけでありますから、私はそういうことにならないようにお願いしたいのでありますけれども、一体、技術会議では、今度の機構改革によりまして、久留米の園芸試験場の支場が長崎県口之津の地に移った場合に、野菜試験場になるのでありますけれども、どこがどういうふうに変わってくるんですか、お答えいただきたい。
  143. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 少し話が長くなりまして恐縮でございますが、お許し願いたいのであります。(細谷委員「簡単明瞭でけっこうです」と呼ぶ)  久留米の支場というのはもともと野菜で始まりまして、その後、筑豊の分場が合併されて果樹の研究をされてきたわけでありますが、その他の研究機関を加えましてだんだん成長してまいりました。もともと野菜が中心ということで支場を置いたわけでございますが、その後、果樹についても補完をしてまいりました。それで、昭和三十九年でございますか、長崎県の口之津に試験地を置きまして、そこに果樹の研究施設を移すということに相なったようでございます。その後、果樹につきましては、長崎県の口之津を中心に九州全域の対応をする、そういうような方針でやってまいったわけであります。今回の園芸試験場の果樹試験場と野菜試験場の分離独立ということと関連いたしまして、やはり野菜、果樹の研究をさらに推進するために本支場制をとる必要があるという研究者の強い要請でもございますし、私もそう思っております。そういうことで、おのおの支場を設けるということに相なったわけでございます。久留米の支場の歴史的なあれから考えまして、久留米が野菜と花の支場になるのが適当であるというわれわれの技術的な判断がございます。それから、口之津が果樹関係の支場になるのが適当である、そういうことで、現在そういうふうに進めてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。  先ほどから、何かきめもしないのに大いにやっているじゃないかという御批判がありましたが、私どもは決してそういうつもりではございません。ただ、研究機関でございますので、研究者の考え方をいろいろそろえる必要がありますので、いろいろ相談しておるのは事実でございます。
  144. 細谷治嘉

    細谷委員 それではお尋ねいたしますが、あなたの構想どおりに進んだ場合に、次のようになるかならないか、お答えいただきたい。  現在、園芸試験場の久留米支場の配置人員は、場長一、庶務九、養成研修課三、業務課十二、蔬菜第一が四、蔬菜第二が五、花卉研究四、果樹第一が四、果樹第二が四、虫害研究三、合計四十九人でありますけれども、四十七年度の機構改革によって野菜試験場に変わっていった場合にはどうなるかということでありますが、支場長一、庶務二、業務課四、花卉研究室四、野菜育種四、野菜栽培五、計二十名で二十九名減る、四十七年度では計画はこういうことになっておるようでありますが、そのとおりですか。
  145. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 先生ただいま御指摘のようなことで私たちも考えておるわけでございまして、現在四十九名の定数でございまして、支場長以下果樹と蔬菜、それに業務関係がございますが、それが分離独立いたすことになりますと、四十七年度当初は、久留米に残りますのは定数としては二十名というように、先生御指摘どおりでございます。それから口之津の果樹支場のほうが三十二名ということに現在考えておりますけれども、それの将来計画でございますが、現在四十九のものを二十にしてしまってはとんでもないじゃないかということもございますし、われわれのほうとして強化しなければならない問題として、花卉の強化の問題もございますし、それから野菜に関する病害あるいは虫害関係の問題、これも現在ございませんもので、それを強化しなければならぬ、そういうふうに考えておりまして、先ほどちょっと申し上げました私の構想の中の将来計画では、現在の定数に劣らないような規模の支場に育成してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  146. 細谷治嘉

    細谷委員 こうなってまいりますと、先ほど私が申し上げました原則としては、大体縦割りで地域対応はしないということ。あなた首を振っていますけれども、支場長あてに資料が行っているでしょう。大体原則としては、縦割りのものは地域対応はしないで、地域対応は総合農試がやるのでしょう。そういうのが原則でしょう。そういう原則を踏まえて虫害研究なりあるいは養成研修——養成研修も四十名か五十名の農業高校を卒業した人が来ていますよ。一生懸命やっています。半分以下の機構になって一体対応できるのかというのが、地元民のひとしく憂慮しているところであります。そういうことからきのうの地方版に、先ほど申し上げたように、「農業基地化に水をかけるな 縮小は時代逆行」、こういう見出しであらゆる新聞に書き立てられておるわけです。そしてもうこれは動かせない既定事実だという形で、農協関係の人は、これではどう生きていくかということになりまして、それならしようがない、県の総合農業試験場でも来てもらおうか、こういうことになってしまっている。原則は反対なんですよ。いままでの歴史的——歴史というのは過去のことです。しかし、久留米を園芸試験場にした以上は、それなりの根拠があったから久留米に園芸試験場を設けたのでしょう。それは過去のことです。時代は進んでいるのですよ。過去に野菜試験場として発足したが、その後、九州農業試験場というのができたわけでしょう。九州農試が分かれて久留米の園芸試験場ができ、佐賀の土木試験場ができたわけでしょう。そういうことですよ。そんな過去の、エジプト時代みたいに古いとは言わぬけれども、そんな古い話で歴史的な経過などというのは——歴史的な経過ならば、現在の園芸試験場は存続すべきだ、こういう議論になるわけです。しかし、そんなことを言ってもしようがないから、私はしろうとでありますから、しろうとながらの見方を少し申し上げてみたいと思うのです。  大体、長崎の口之津というのは最近できただけで、ようやく試験場のていをなしてきたわけですね。久留米の支場の分場ですよ。ここがたいへん風が強いのです。そして島原半島でありますから、これは晩かんを問題にしているわけです。ところが、いまの九州の状況を調べてみますと、こういうことですね。農林省の農林水産統計月報の五月号を見ますと、これは四十五年でありますけれども、温州ミカンというのは全国的に前年比二五%伸びておるわけですね。そのうち九州ブロック、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島等で二百五十五万トンミカンができているわけですけれども、その二八・三%が九州でできているわけです。約三分の一。ナツミカンは、グレープフルーツ等の影響を受けて、四十四年と比べますと七三%に生産が落ちておるわけです。落ちておりますけれども、九州各県の比重というのは二〇%になっている。ネーブルとオレンジはどのくらいかと言いますと、九州各県が大体二九%、ハッサク、伊予カンが大体一三%くらいです。でありますから、温州ミカンというのはずいぶん大きいのですね。二八・三%という比重を占めているわけです。しかも、その温州というのはどこであるかといいますと、口之津じゃないのですよ。熊本県、福岡県、佐賀県。ちょっと参考に申し上げますと、福岡県が十二万六千トン、佐賀県が十八万四千トン、長崎県が十四万三千トン、熊本県が十五万九千トン、大分県が十万八千トンというわけですよ。一番多いのは佐賀県の十八万四千トンです。ミカンの生産の少ない、しかも口之津という適当でないところに園芸試験場を持っていくということは理屈に合わぬ。  もう一つ、これらはかんきつ類でありますけれども、落葉果樹を見てみますと、クリが全国比に対して九州では収量が一七・二%です。しかも、成園の比率を見ますと、成園の比率は全国は六〇・五でありますけれども、九州は四七・一でありますから、将来有望なんです。これからどんどん成園化していくわけですから、収量がふえていくわけですね。カキが一一・五、ブドウが一二・四、それから梅、日本ナシ、桃、こういうふうに落葉果樹はかなりの全国的比重を占めているわけです。しかもその大部分が、成園の比率を見ますと、全国より低いんですよ。低いということは将来有望だということ。しかも、いま申し上げたのは大体九州の中部地帯、温暖多湿のところです。風は強くない。ですから、広島県の安芸津のように寡雨のところと違うわけですよ。雨の多い温暖の地域なんです。そういう地域に園芸試験場なり九州の農試の指導によって営々としてここまで伸びて、将来への土台づくりが落葉果樹の場合できておる。にもかかわらず、これだけの生産的なウエートを持っておる中心地域から、口之津へ園芸試験場を持っていかなければならぬ理由というのは一体どこにあるのですか。納得できる御回答をいただきたい。私は政治的な背景など言いませんよ。きわめて純技術的に数字的にものを申しているわけですから、納得できるお答えをいただきたい。
  147. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。  久留米の支場が野菜試験場と果樹試験場に分かれた場合、野菜の支場になり、口之津が果樹の支場になる、そういうふうにわれわれ考えておるわけでございますけれども、口之津の支場と申しますのは、先生ただいま御指摘になりましたように、確かに、最初の考え方としては、当時問題になっておりました晩かんというものを対象に考えていたようでございますが、私、最近いろいろと現地の気象条件なり調べておりますけれども、九州の地域の中では年間の平均気温が非常に高い地域でもございますし、それから年間の降雨量が千九百ミリほどもございますし、また土壌そのものが玄武岩土壌ということで、非常に果樹に合っているところでございます。先ほどお話のございました風をかなり受けるという問題もございますが、これは技術的に、防風しようなり防風林をつくることによってカバーし得るという技術的な判断であそこを育成してまいっておりまして、あそこを果樹の支場にするということについては、私は技術的には問題がないのではないかというふうに判断しております。  それからもう一つ、温州ミカンの問題を扱っていないじゃないかというお話につきまして、私もそのとおりだと思っております。九州の最近の温州ミカンの増加傾向というのは、ほかの地域に比べると非常に急速に伸びております。特に御承知のように、温暖地における温州ミカンというのはブクミカン、浮皮、皮が浮くようないろいろな現象がございまして、そういうことに対する技術的な指導というのをぜひしなければならないと思っております。将来、果樹支場になった場合には、温州ミカンにつきましても口之津支場で扱ってまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、これはわれわれも十分承知しておるわけでございますが、最近における落葉果樹の九州における伸び率というものも非常に急速でございます。ただこれにつきましては、果樹関係の研究者というのは非常に制限をされておるといいますか、数が少ない。約百名ぐらいの研究者でございますが、その研究者を本場と支場に割りますと、支場のために六、七倍さいておるわけでございますが、その六、七倍の中で、北は盛岡のリンゴから始まりまして興津の温州、それから御承知の安芸津の落葉果樹、それから今度支場にいたします口之津の晩かんを中心とするかんきつ類その他でございますが、そういうふうに分散してまいりますので、研究者をあまり分散いたしますと問題がございますので、果樹試験場の考え方としては、できるだけ研究者を樹種別に分けて、そこで研究を推進してまいりたい、そういうような基本方針を持っておるわけでございます。  現在問題になっております落葉果樹につきましては、現在の久留米の支場で若干の対応はいたしております。ただ、それが野菜の支場になった場合に全部なくなってしまうということでございますと、地元の方々にたいへん不安感を与えるということもございますので、私どもとしては、現状をそう大きく変えないような範囲で落葉果樹の対応も久留米でできるように考えたらどうかと考えておりますし、もう一つ、あそこに虫害研究室を現在置いてございますけれども、果樹の虫害研究室でございますが、これにつきましても、現在、天敵を含めまして総合防除というような、かなり将来を見ました研究をやってもらっておるものでございますから、研究の継続性ということも考えまして、あそこにしばらくいてもらったらどうかと思っております。  それからもう一つ、最近御承知のように、福岡県の試験場が各分野につきまして総合整備をはかるという話を聞いておりまして、先般来、県の園芸試験場長と会っていろいろと話を聞いたわけでございますが、あそこの試験場は、御承知のように、私の感じでは、日本全国各県の園芸試験場がございますが、その中ではかなりスタッフをそろえているほうではなかろうかと考えておりまして、これはこれなりに非常にけっこうなことでございます。われわれ国の関係でカバーできない面につきましては、国から県の試験場に財政的な援助を行なうことによって、研究活動が十分できるようなことを考えてまいっておりますので、もしそういうふうな県の試験場をさらに強化するということがございますれば、県のほうから御要求があれば、私はそれには十分にこたえてまいりたい。それによって、国と県とが両方相まって、それに地域農試を加えまして、地元の方々て御満足のいただけるような体制を整えたい、かように考えておるわけであります。
  148. 細谷治嘉

    細谷委員 御存じと思うのですけれども、口之津に籍のある研究員が久留米に来て落葉果樹の研究をやっているのです。そのことは、落葉果樹というものの研究をやるには久留米のほうが適当だという何よりの証拠でしょう。この間私、会ってきましたよ。若い研究者がクリの台木等を研究して、ちゃんと植えてやっておりますよ。口之津に在籍の人ですよ。それを今度は、花卉と野菜、園芸だけ、そしてわざわざいま来ているのを追っ払う、口之津に持っていく。口之津というのは霜が少ないから、確かに晩かんには適当でしょう。しかし、一体これからの自由化の時代に、私はしろうとでありますけれども、温州ミカンは諸外国と太刀打ちできるけれども、晩かんは、オレンジの自由化が行なわれたら、おそらく太刀打ちできないだろうとすらいわれているくらいです。それを何とか太刀打ちできるようにしなければならぬことは申すまでもありませんけれども、そういうふうにいわれております。  しかも、先ほど私は統計を申し上げましたように、将来とも有望な温州ミカンの主産地、落葉果樹の主産地というのは、久留米の園芸試験場の支場を中心とした熊本、そして福岡、筑後、それから大分県、ずっと国東半島一帯の場所なんですね。しかも一時間も行けば、天敵利用では日本の権威であります九州大学もあるわけですよ。ほかのところに農学部なんかありませんよ。宮崎大学くらい。鹿児島大学もありますけれども。そういうことですよ。それを一体何を好きこのんで、野菜試験場が今度できるのだから久留米の試験場支場はなくなるのや、だから園芸試験場はあっちへ行ってしまえというのか。客観的根拠がないのに持っていくのはどうも私は納得できない。  もう一つ申し上げます。私は、この間、久留米に参りまして支場で聞きました。暖地果樹、特に落葉果樹の繁殖、その繁殖の重要なポイントというのは台木なんですね。この研究を一生懸命やっております。申すまでもなく、これから作業の省力をやらなければいかぬ、品質の向上をやらなければいかぬ、生産力の増強をやらなければいかぬという三点で台木の研究が行なわれておりますよ。安芸津でやっても口之津でやっても——安芸津のような寡雨のところと、雨がよけい降る温暖多湿の九州中部の地帯は違うわけですよ。風の強い口之津とは違うのですよ。そういうものの適応試験というのはその地域でやらなければいかぬ。育種の選択をやらなければいかぬ。そういうことになってまいりますと、これは問題があるのですよ。しかもこの久留米のところは気象条件が高温多湿で、台木を検討しなければ落葉果樹はだめだ。この支揚では前から台木の研究をやっているわけです。それから、この久留米のすぐそばに、田主丸という全国有数の苗木生産地があるわけですね。そういうところをはずして、何を好きこのんで口之津に持っていくのか。全くしろうとの常識から考えられない。あなたは専門的に答えても私は納得してないですよ、いまのお答えでは。台木の研究をもっとやらなければいけませんよ。いまカキもやっております。クリもやっております。温州ミカンもやっておりますよ。  私はこの間聞きました。温州ミカンは、キンカンとカラタチのかけ合わしたものを台木にしたら、一体どうなるのか。カラタチの変種を使ったらどうなるのか。キンカンを使ったらどうなるのか。あるいはカキの場合でありますと、矮性のカキで今後どうなるのか。あるいはクリとかブドウとか、いろいろな台木の研究がいま緒についているのですよ。あるいは温州ミカンというのは、口之津にはおそらくまだ成木がないわけですよ。久留米には成木があります。聞いてみますと、もうこれは口之津に移るのだからこのミカンの成木はつぶしていいんだ、適当にやっておけというようなかっこうでやっております。それならばそれで、適当にやっておけというのならば、現在あるミカン園を徹底的につぶすまで試験に使うというのならば、それは何も急速に機械的に移動させるなんという必要もない、こういう議論も出てきますよ。そういうことなんであります。お答えいただけますか。
  149. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいま非常にこまかい御質問がいろいろあったわけでございますが、要するに台木の研究というのを現在やっておることも事実でございます。大体、国の研究と都道府県の研究の関連にも相なりますが、米麦の場合等をとりましても、そのもとというのは国がやりまして、実際の地域検定というのは都道府県の研究機関にお願いをしておるというふうなことでございまして、台木につきましても、台木の育成のためには生理的な研究等が付随してまいるものでございますから、われわれの考え方としては、果樹試験場の本場、あるいは先ほど申し上げておる安芸津を中心にそのもとをつくりまして、実際の増殖なりその検定というのは各地域地域の都道府県の研究機関に十分にお願いいたしたい、そういうふうな考えでやっております。  それから先ほどからいろいろお尋ねがございますが、現在あそこでもってやっておる落葉果樹につきましての対応というのは、確かに口之津の研究者を連れてきてやっております。それはそういう必要性があるからやっておるわけでございまして、こういう体制を直ちに私は変えようとは思っていないわけでございます。また、あそこにございますかんきつ類を対象にしまして虫害研究をやっております。私はやはり、そういった研究の継続性というものを直ちにあしたから切りかえるというようなことは、研究も中断いたすことでもございますので、やりたくないということでございます。  先ほどから、四十七年から定数が二十名に相なっているということでございますが、現実に移ってまいります様相というのは、私はそんなことには相ならないのではなかろうか、またそういうふうなことはやらないほうがよい、徐々に時期を見てそういうふうな転換をはかっていくべきだというふうに考えておりますので、ただ四十七年度の予算上の定員だけで縮小されるというふうに御判断をいただきますと、ちょっと私どものほうは困るわけでございます。そういうことのないように、現在対応いたしております落葉果樹についても考えますし、虫害研究等をあそこの果樹を使いましてやっております研究も、中断することのないようやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  150. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、九州農試には大体月に一ぺんくらいずついまでも行っているんですよ。園芸試験場にもいままで二度行ったのですよ。ところが、研究者の弊害ですけれども、わが領域は一生懸命守るけれども、よそのほうはかまわぬ、わが領域さえ守っていればいいという性格があるわけですよ。なかなかものを言わぬけれども、ずっと回ってみますと、私はしろうとでありますけれども、しろうとながらこの辺は問題じゃないかということがやはりわかるわけですよ。あそこは残念なことには、場長が言ったらもうだれも言えぬわけです。労働組合があるわけじゃないのですから。ですから、支場長は広域市町村圏のキャップと話し合えば、あとはもう適当にごまかしておけばでいっちゃうわけであります。  私は、もっと掘り下げて、現在の落葉果樹の中心地帯、これから有望なるあの筑後から国東半島一帯にかけての落葉果樹なりミカンというものをどう生かしていくかということになりますと、私が冒頭申し上げたように、問題が非常に多い。これは、縦割りの園芸試験場なり野菜試験場と同時に、やはり地域対応をやらなければならぬ。総合農試との横糸の連携。縦糸はグルントのものがおりてくる。そしてそういうものを地域適応の選択をしてやっていく。その場合に、総合農試との間に連携がとれていなければいかぬのでありますけれども、残念ながらあなたの言うように、歴史的に総合農試から分かれたものでありますから——おれたち園芸は虐待されたんだということで分かれたんでしょう、昔は。そういうあれがありますから、うまくいってないのですよ。野菜のことをやると、これは園芸だという形で。そういうことになっておるので、これは運営上の問題もありますけれども、問題がある。  私がいま申し上げたように、口之津に行く客観的な根拠はない。でありますから私は、園芸試験場支場というものは、いまながめたところでは、いまあるところが一番よろしいのじゃないか。むろん、いまあるところは八ヘクタールしかないから狭くてしようがないんだ、口之津は十八ヘクタールあるから広くてしようがないんだ。その土地は解決しますよ。必ず移転する際の理屈は面積が狭いからと、こうくるわけですけれども、そんなものはやろうとすれば解決できる、こう私は思うので理解できませんが、特に、今日まで、台木の研究なり、あるいは病虫害の総合防除とか具体的に進んでおる。そういうものを機械的にくずすのじゃなくて、進行中のものについては成果を少なくともきちんとした上でなければ、機械的にそんな移転なんて考えるべき問題じゃないのじゃないか。これは百歩譲っての話でありますよ。そう私は思うのであります。若干その辺のことを局長おっしゃったのでありますが、もう一言この問題について、研究というものが、現状を踏まえて、それがどうなるかということを踏まえた上で、そうして地域の対応というものも、グルントのものから実用化していくという開発の研究も踏まえて、横糸と縦糸ということばでありますけれども、そういう運営にも十分配慮していくということでなくちゃならぬと思うのでありますが、この辺もう一度お答えいただきたい。
  151. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたしますが、私がかねがね申し上げておりますように、地域農業試験場と各専門場所の縦糸と横糸の関係でございますが、これがややもすれば、先生ただいま御指摘のような問題があるやにも聞いておりますが、私はそういうことがあってはならないというふうに考えております。その地域に対応するために地域農試と各専門場所が縦横にからみ合って、かつ、それと公立の研究機関が連携することによって地域の方々にサービスをすることができるということが主目的であるということをかねがね申しておるわけでございまして、この点、もしそういうようなことがあるとすれば、これは私の考えとは違っているわけでございますので、そういうことのないようにしてまいりたいと考えております。  それからもう一つ大事なことは、行政機関であれば、配置がえなりあるいは機構改革なりというものが、それは容易ではないとは思いますが、研究機関に比べますと少し問題が違うのではないかと思いますが、特に研究機関の場合には、研究の継続性ということを私は非常に大事にいたしたいと考えております。ある研究者が一つ課題をとりますと、少なくとも三年なり五年なりというものは、その研究成果が出るまで努力をするわけでございます。その研究の速度を速めるということも一方必要でございますが、無理にその研究を中断するということは、かえって研究投資が全部役に立たないという結果にも相なるわけでありまして、その点は先ほども申し上げましたが、研究の継続性は断たないような努力をできるだけしてまいりたい。今回の国の試験場の一つの支場ということになった場合にも、その問題だけはできるだけ避けたいと考えておりますので、そういうことで御了解いただきたいと考えておるわけでございます。
  152. 細谷治嘉

    細谷委員 念を押しておきますが、これからの有望な落葉果樹なり温州ミカン等についての基礎的な研究あるいはそれの開発、そういうものについては、農林省としては責任をもって研究の継続性等も含めて対応していく、こういうことをお約束できますか。
  153. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 先ほどからたびたびお答えを申し上げておりますが、落葉果樹につきましては、国のラインといたしますと、縦糸は本場と安芸津ということに現在はなっております。しかし、その後いろいろわが国全体の生産状況も変わってきておるわけでございますから、そういうことも無視するわけにもいかないと思います。それで現在でも、久留米の支場におきましては、落葉果樹に対応するような若干の組織上の、運用上の問題でございますが、取り扱いをいたしております。そういうことが中断されることのないように考えてまいりたい、そう考えておるわけでございます。  それから温州ミカンにつきましては、先ほども申し上げましたが、口之津の晩かんの現在の試験地、将来の口之津の支場でございますが、ここで十分に温州ミカンの研究はできるわけでございまして、気象条件、土壌条件その他が適しておるわけでございますから、そこが国の果樹の支場ということで、九州全域に対応してここで縦の基礎研究をやってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  154. 細谷治嘉

    細谷委員 口之津でいま温州ミカンの成園があるわけじゃないのに、十分にできるなんということをおっしゃらないほうがいいですよ。成園がないですよ。そんなことはできないのですよ。私は大臣にもお尋ねしたいのでありますけれども、私が心配している点については御理解いただいたと思うのであります。主産地の近くにせっかくあるものを、しかもこれからなすべき多くの問題をかかえながら移転するということは問題がある、こういうふうに私は強く指摘しておきたいと思うのであります。それをどうするかについては、私もたまたまそこに居住しておりますから、地元の我田引水なんという議論で私は取り上げているわけではないのですよ。そういう点でどういうふうに進めるか、常に注意をしておきたいと思います。  もう一つ私はお尋ねしたいのでありますが、せんだって佐賀県ばかりじゃなくて、九州の各地の団体の代表者が——農業土木試研場の佐賀支場を廃止する動きがあるということでありますけれども、申すまでもなく、この有明海沿岸の平野部の圃場なり環境整備、あるいはこれから十年間やっていこうという石炭公害復旧、それをどう活用していくのか。筑後川の南部開発の事業、長崎南部開発事業あるいは南九州のシラス地帯、こういうものを考えていきますと、私は佐賀県の土木試験場の支場というのは廃止すべき筋合いのものでないのではないか、こう思っております。これについてどういうお考えなのか。地元は動揺しておりますから、お答えいただきたい。
  155. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。  佐賀に農業土木試験場の支場を置いてございます。農業土木試験場の支場ができました経過というのは、九州における干拓事業等がいろいろ多く行なわれたことと並行しておるように聞いておりますけれども、最近、九州における農業土木的な問題というのは、ただいま先生ちょっと御指摘がございました、シラスなりその他たいへん特殊土壌の問題もございますし、それから水田だけではなくて、畑地の開発に伴う農業土木的ないろいろの問題等も出ているわけであります。現在の佐賀の支場がそういった新しい課題にこたえ得るようなところにあるかどうかという問題は、私も考えてみますと問題があるとは考えております。それから、現在支場のありますところが非常に町の中でございまして、前には佐賀の試験場と隣合わせでございましたが、佐賀の試験場はいち早くいいところに移ってまいりまして、佐賀支場だけが残っておるようなかっこうになっております。その後いろいろと市街化も進んでいるようでございますので、そういった視点からも何らかの検討をしなければならないがという考えはございます。しかし、別に現在佐賀支場を廃止してどうだということをきめているわけではございません。ただ、いろいろな問題を総合的に判断して佐賀支場の今後のあり方は検討しなければならないというふうには考えております。
  156. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、私は、これはしろうとの意見でありますけれども、地域のブロックの総合農試というのがあります。縦割りの園芸農試とか果樹試験場とか、あるいは野菜試験場とか、いろいろございます。私は、本場というのは、野菜試験場の本場、あるいは果樹試験場の本場、こういうものはかなり充実して、基礎的な研究を含めた研究機関とすべきではないか。そういう本場の研究の成果というものを、地域対応の農業試験場、あるいは現在支場というのがあるわけでありますけれども、そういうものがそういう成果を選択して、その土地条件、気候条件等に合うような品種を育成して、そして研究結果を開発していく。こういう形からいきますと、どだい稲の病虫害も、最近、米のカメムシによる害ということで、一粒黒くなっておれば、ばたんと農家は収入にならぬ。こういわれている。それも何も水田ばかりから来るわけじゃないのですね。果樹をつくっている畑との間で共通しているわけですから、果樹試験場でございます、野菜試験場でございますという、そういう縦割りの研究機関のあり方、そしてお互いに領分を守っているという、そういうあり方はどうもやはり問題があるのじゃないか。でありますから、本場はぴしゃっと強化して、その結果を地域で対応していくという場合には、やはり総合農試を主体として——あるいはその本場の結果というものをその地域に即応して選択するという縦割りの機関が要らぬわけじゃありませんけれども、地域対応という主力は、九州なら総合農試に置くべきじゃないかという研究機関の基本的なあり方考えているわけでありますけれども大臣、どうお考えになっているか。考えるに値するような問題なのかどうか、ひとつお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  157. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまのような考え方がいいのじゃないかと私も思います。主たる試験場は専門的に深くやり、そして、支場とかあるいは県の試験場とかの地域的に対応していく試験研究。こういうふうな、縦割りとか横割りとか一律にいきませんが、いまの考え方のような方向は私はいいのじゃないかと思います。縦割り、横割り適当に配置してやっておるそうですが、いまの細谷さんの考え方というのは、大体私はいいと思うのですね。そういう方向でやっていくのがいいのじゃないかと思います。
  158. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  159. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田新吉君。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 先般お尋ねをして、基本的な問題は、質問に対するお答えでほぼ解明をさせてもらっております。特に食品流通局というものの新設などにも興味を感じているわけですけれども、農蚕園芸局という農業、蚕、園芸というようなものが、蚕糸園芸局へ農の局が入って、一ぺんにスケールの大きな局になってくる。こういうふうな非常に急速に機構が変えられていくという危険を、私、一方で感じているわけです。食品流通局などは、最近の国民の要望にこたえる意味で非常に味のあるセクションができたと喜んでおります。しかし  一方で、小さな家に、一局に農、蚕、園芸が押し込められて、多くの仕事をかかえた、屋台骨がゆらぐような仕事も持ってきておると思うのですが、  一般農政、蚕、園芸というようなものを軽視するという意味じゃないのですね。つまり食品流通局をつくったために、屋台骨がゆらぐぐらいに重荷を背負う局が別のほうでできるという、局、課の統廃合というものが目まぐるしく動いている危険があると思うのですが、これは官房長でけっこうですが、農蚕園芸という局は少し重荷になりやしないかお答えを願いたいのです。
  161. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまお話しのように、従来いわゆる農とつくものは米麦を取り扱っておるわけであります。その米麦の生産あるいは生産調整も含めまして取り扱っておる農政局が、同時に農協のことをやり就業改善のことまでやる、あるいは構造改善もやる。その部門を分離しまして、あとへこれを持ってきたわけでありますから、事業分量的にはそう形式的には変わらない。ただ、いまお話しのように、実態論といたしまして、米麦もやり、そこへ蚕も入りあるいは果樹が入ってくる、その他の畑作物も入ってくる。非常にバラエティーに富むわけでございます。やはり今後の方向といたしましては、米以外の畑作物というものをまとめてこれは所管させて、作付体系の合理化なりその他の、これからやります農業団地の形成にいたしましても、まとめてやったほうがよほど効率的だ。いままでのようにばらばらにやるよりも、一本筋を通したことでやるべきだというふうに考えまして、こういうふうにしたわけであります。分量的には、出し入れが激しいというお話もございましたけれども、先ほど申し上げましたように、一部を出しましたあとに持ってきたということで、形式的な分量はそれほど変わらぬのではないかというふうに考えております。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 農林行政は、将棋のこまを動かすように、適当な配置がえをむやみにやられる。たとえば食品流通局にしても、急速にこれが行政組織上に浮かび上がってきておるような、最近突然浮かび上がったようなかっこうだが、農林行政の機構というものを、思いつきでまたこれから一、二年するころになって動かしていかなければならぬというようなことはありませんね。大体この変えたものは当分変えないで済む、こう結論を出して法案を出されておるのか、また来年になったらどこかいじくらなければならぬ要素がいまでも予測できるものがあるか、御答弁をいただきます。
  163. 中野和仁

    ○中野政府委員 食品流通局の問題からこの問題が出てきたといういまの御指摘があったわけでありますが、経過としましてはそういうことがあったわけでございますが、農政を進めていく上におきまして、われわれとしては、かねてから機構問題については内部でいろいろ論議があったわけでございます。いろいろ各局の関係考えますと、この食品流通局を設置する機会にこういうふうに改めたほうがいいということにいたしたわけでありまして、ただいま、また来年何をどう直すということは考えておりませんし、これはあるいは私の考えかもわかりませんけれども、当分これでいけるというふうに考えております。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 当分これでいけるといいながら、毎年毎年少しずついじくってきておるわけです。部などは適宜新設されておるわけです。審議官というようなものが新設されておる。きわめて巧妙に円滑な方法をもってちょいちょいといじくっておられるわけですね。それでこの数年は動かさぬでも済むという、ことが、来年、再来年の国会で、いや、あれはあのときはああ言いましたが、実はこうだということにならぬように自信があるかないかをもう一ぺん。ここ五、六年はこの機構でやれる。農林行政が一貫しなければならぬと思います。
  165. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私は基本的な考え方から言いますと、官僚的な考え方というのは、何かぶつかるとすぐ法律を変えよう、機構を変えよう、そうすればもう転換できるという考え方だと思うのです。私はそうでなくて、官僚でない人間だから、そういうワクがあっても法律なら法律の運用、機構なら機構の運用というものを考えて、時代の進展に沿うたような、国民に向くような運用をするのが私は政治だと思うのです。そういう意味におきまして、法律も必要なときにはつくり、機構も改革します。今度の機構なんかも、ぎりぎりで改革したほうがいいということで改革したのですから、それを毎年毎年改革したり、ここはちょっと機構がおかしいからちょっとやろう、こういう考え方は私はとりません。ですから、今度機構の改革をしました以上は、そう近いうちに、あそこはまずいからこう変えようとかいうことでなくて、そんなことがもし出るとしても、私は運用で十分目的は達し得ると思いますから、しばらく変えないでやっていきたい、こう思います。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 自信ある御答弁ですから、そういうことを了解させていただきます。  同時に、局部長、課長、せめて部長とか局長になれば、少なくとも最低三年か四年かはそのポストにおって、局の仕事に十分通暁して農林行政の推進者になってもらうべきだと思うのですが、大体、農林省の局部長などというのは、同じポストに平均どのくらいおられるか。官房長、大体見当がつくと思うのですが、平均してどのくらいですか。
  167. 中野和仁

    ○中野政府委員 ポストによりまして、非常に長い方あるいは短い方ありますけれども、平均いたしますと一年半から二年だと思います。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 あまり短いと無責任になってくる。つまり自分が出世するための足場にするという危険があるわけです。そのポストを個人の立場で考えるようになる。そういうふまじめな公務員が上部におるということは、農林行政に大欠陥が生ずる原因だと私は思うのです。こういうところを、これは大臣が十分検討をしておられるし、また赤城先生は再度の御奉公であるし、そういう意味で農林行政の通でいらっしゃるのですから、そのポストに適材が比較的長くたむろして通じてもらうというふうにしてもらわなければならぬ。  そこで今度、林野庁に関係することに入りますが、職員部という部はいつできて、その部長は、何年、何人ぐらい部長というポストに人がかわってきたか。大体見当がつくと思うのです。ここ数年間の変遷でもけっこうです。
  169. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 昭和三十六年にできています。部長はその後八人でございます。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 昭和三十六年から十一年間に八人かわられた。そうしますと、在任期間の短い人は何カ月ぐらいか、一年未満の在任期間の人がおったかおらぬかです。在職一年未満の人……。
  171. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 一番短い人は八カ月でございます。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 ほかに一年未満の人がおりますかおりませんか、一年を入れて。
  173. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 もう一人で、合計一年未満は二人でございます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 十一年間に八人、そうしますと大体一年半に足らざる比率。それで、中には一年、八カ月、中には二年という人もある。官房長は、一つのポストに大体一年半から二年だというお話でございまするが、職員部は一年半足らず、平均一年四カ月ぐらいで交代しているわけです。非常にテンポが速いということは、職員部というものはなかなかやりにくいポストということになるのか、たまたまそういう結果になったのか、お答えいただきたい。
  175. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 結果から見ますと、短い人は一年未満という状態でございますけれども職員部の仕事は、従来のいきさつを見まして、私、隣におりまして業務部長をやっておったのですが、非常にむずかしい仕事ではあります。特に業務部と職員部は連携をとってやらなければならぬところでございますけれども、できれば、職員部の仕事は経験を長く積んで、一年未満ということでなしに、もう少し長くやっていただきたいと私は考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 私はこの機会に、職員部に関係する問題として、対組合関係の人事管理行政についてまず触れたいことがあるのです。  公労法の第八条には、左の事項は団体交渉の対象とすることができるという中に、賃金その他の事項が入っておる。これは、できるとなっておるのであるから、できない場合もあるということかどうか、お答えを願いたいです。
  177. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 組合から要求があれば協議することができる、かようになっております。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 組合から要求がなければ協議しない、つまり、できるということは、できない場合があるということになるのかどうかです。なければならないとなってないから……。
  179. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 当局のほうから提案する場合もございますから、必ずしも組合のほうから提案がなければ応じないというわけではありません。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 林野庁を含む五現業は一般職の国家公務員。したがって、一般職の職員関係規定である国家公務員法、それは公労法に規定するものは除外されるようになっておる。つまり、公労法の適用を受けるものに対しては、国家公務員法の適用を受けないで公労法の適用を受ける、こういうことになっておるわけですね。そうですか。
  181. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、賃金その他の給与は、公労法の適用で団体交渉の対象になる。ところが国家公務員法には、その七十二条に勤務に関する評定規定がある。それに伴う人事院の規則がある。伴うとは限らないけれども、人事院規則で昇給制度がある。そういうようなものは、当然団体交渉の対象として、賃金その他の給与のワクの中で政府で配慮されてしかるべきものですね。
  183. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 私は、公務員に、職務に対する責任感、能率の増進、そういうものを十分意識させる意味において、勤務評定という制度は——当然、勤務評定の場合は政府が考えられる。団体交渉の対象にはなりません。しかし、特別昇給制度というものは、一般職の場合には、おととしごろか、正確には調べてみればわかるのですが、二、三年前に一〇%から一五%にワクが広げられました。それによって、三十年も勤務する一般職の公務員は、少なくとも平均四回程度は特別昇給の恩典に浴する。まあ能率のあがるのとあがらぬのがあるから、平均は七人に一人ぐらいは毎年特別昇給の恩典に浴しておるわけです。一般職は、そこで職務の能率が高まり、勤勉にもなるというような結果がもたらされておる。  ところが、公労法の適用を受ける方に特別昇給制度をやっちゃならぬという規定は、どこにもないわけです。一般職の公務員が三十年に平均四号俸ぐらい特別昇給しているというこの現状を思うときに、公労法の適用を受ける一般職の職員については、そのバランスの上から考えても、政府としては当然特別昇給制度というものを考えられてしかるべきだと私は思うのです。農林大臣としても、これは同じ一般職の公務員である。公労法の適用を受ける五現業以外のものは、特別昇給で七人に一人の割合で一号ずつ上がっている。そうしたら、林野庁の職員、公労法の適用を受ける皆さんのほうは、同じ一般職の公務員で何ら特別昇給の制度がないというのは、これは残酷だと思うのですけれども、これは林野庁長官からでもよし、農林大臣からでもよいが、お答えください。一般職に認められている制度を、公労法の適用を受ける一般職の職員にも同様適用するという措置を当然とるべきである、私はこれを強く希望しておるわけです。
  185. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほど林野庁長官が答弁しましたが、一般職の公務員法と公労法との法律適用の問題ですが、林野庁の関係は、公労法の適用を受けるのだから公務員法の適用を受けないというのじゃないと私は思います。これは公務員なんですから。   〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 公務員は一般公務員法の適用を受けているわけです。ただ、公労法は特別法ですから、この一般法と特別法から考えると、特別法が優先するわけです。それだけなんです。一般公務員法が排除されるのじゃないのです。ですから特別昇給なども、一般公務員の特別昇給は、人事院の勧告や何かで、あるいは一般公務員法のあれで特別昇給するわけです。それから公労法の適用を受けるほうは、団体交渉でそういうことをやっていいわけなんです。一般公務員なんですが、そういう特別法の運用、法の適用を受けてやる。ですから私は、労使協議を進めてそういうことをやって差しつかえない、またやるべきだ、こう考えます。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 いま大臣から名言を吐いていただいた。大臣はこうした国家公務員のあり方について非常によく勉強しておられるお方であるから、いまお話が出たとおり、国家公務員であって一般職であるから、普通であれば一般国家公務員の適用を受ける職員である。ただ、特別法として公労法があるので、その部分は優先するというかっこうにすぎないのだ。だから、国家公務員の精神は常に公労法にも生きなければならない。その意味で、特別昇給制度というものは、公労法の適用を受けるものにやっちゃならぬとは一つも書いてない。「賃金その他の給与」と書いてある以上は、一般公務員が国家公務員法で恩典に浴しているもの、得ているものは、公労法の適用を受ける方も原則としてこれは当然認められてしかるべきだ。林野庁長官、いま大臣が言われたことを担当の長官として全く同意見でございますか、多少異論がありますか。
  187. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 大臣がおっしゃいましたとおりでございます。この特別昇給の問題につきましては、実は昭和四十年ごろから問題が提起されまして、四十二年には調停案をもらっております。それで、この特別昇給制度につきましては、目下組合と話し合いは継続中でございますけれども、全力をあげて年度内にはこれを実現するように努力してまいりたい、かように考えております。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 年度内といいますと、四十七年度内に実現する方向でやるという、ある意味においては確信を持った御答弁と承ってよろしいかどうかです。
  189. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 私としましては、勤務評定等の前提はございますけれども、これの実現については全力をあげてまいりたい、かように思っております。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 大臣及び長官が、全力をあげて特別昇給制度をもって職員の勤労意欲を高める政策をとりたいという御答弁でありますことを私、了承しまして、この問題はこれでおきます。  同時に、もう一つここで、公労法にいたしましても、国家公務員法におきましても、職員の職務違反というものはきびしく処断することになっているのです。公労法に例をとりましても、公労法の十七条に、職員及び組合員に対して争議行為の禁止の規定が書いてある。そして同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する行為をなしたる者、またそれをそそのかし、扇動した者、それに対してはどういう措置をすべきかということになると、十八条に解雇されるものであると書いてあるわけです。これは非常に大事な規定だと思うのでございまするが、職員として正常な運営に非協力であって、同盟罷業や怠業等をやって正常な運営を阻害した者に対し、またそれをそそのかした者、扇動した者に対して厳重な処分、答えはきわめて明白、「解雇されるものとする」と書いてある。林野庁長官として、これまでにそういう事件が起こったときに、この法律の規定に忠実に、争議行為をなしたる者に対して解雇規定をりっぱに発動したかどうか。  それから、やはり国家公務員として法律を無視して行動するということがあってはならぬ。忠実に職務に精励していただく。したがって、この間から恩給法、共済組合法で私は質問しました。在職中は他の職種よりもきびしい制約を受ける。そういう職種の人であるから、退職後年金というものが支給されておるのだ。それとうらはらにやはり勤務は、国家公務員を志して就職された方は法律を忠実に実行し、そして団体交渉等でできるだけ組合の主張も通し、組合のあり方に対しても希望を持たせるような十分の努力をすると同時に、一方で法律はりっぱに守ってもらわなきゃならぬと思うのです。その法律を犯した者をのろのろとしておくと、規律というものはどこにあるか、公務員の勤務形態のどこに区切りがつけられるかという危険が起こると私は思うのです。この点について、林野庁の所管の中で、この公労法の規定に書いてある争議行為と断定できる行為をした者が最近あったかないか。そしてあったとしたならば、これは「解雇されるものとする」と、もう「解雇」ということがきちっと出ておるのです。それに対してどういうふうにやっておられるか、お答え願います。
  191. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 去る五月の二十五日半日ストがございました。その前におきましても、現場におきましてたびたびストが行なわれたことがございます。御指摘のように、現場現場実態をよく調査し、その事実に基づきまして厳重な処分をしてきておるところでございます。  十八条によります御指摘の解雇につきましては、先般三名解雇したものでございます。なおこのほかに、現場におきます実態に応じましてこちらが十分審査をいたしまして、国家公務員法によりまして、免職のほかに減給なりあるいは停職なりいろいろな段階がございます。それに基づきまして、営林局、営林署から上がってきましたいろいろな案を林野庁におきまして十分審査しまして、厳重な処分をしてまいっておるところでございますけれども、最近、特に林野庁、営林局、営林署におきますいろいろな問題が指摘されておるところでございます。国民の皆さんに対してたいへん申しわけがないというふうな感じも私どもはしているところでございます。特にこういったようなストライキのような問題につきましても、今後はなお一そう厳重にわれわれも対処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 公務員の勤務が厳正であって、そして同時に、その公務員に対しては、公労法の適用を受ける皆さんには、公労法の立場で団体交渉等でその要望を十分果たす道が開かれておる。また、それが十分果たされない場合であっても、今後さらに努力していくことで道が開けておる。ところが、思うようにならぬとすぐ争議行為をやる、禁止されている同盟罷業や怠業を平然とやる、職場を放棄する、こういう状態を見のがすようなことがあっては、正常に勤務する職員が希望を失いますよ。まじめに勤務しているほうの人は、そういうでたらめな行為をやっている人がそのまま見のがされるとするならば、正直者がばかを見るというような結論も出るわけなんで、やはり法律の適用はきびしくしなければならぬ。「解雇されるものとする」というときに、私はもっと厳重に審査されるならば、直接そういう行為をした者と、そそのかし、扇動した者はみな解雇されるのでございますから、一二名などというそういう数字はちょっとおかしい数字だと思うのですがね。  それから、最近、五月二十五日といういまお話が出たが、その前一に、もっとよく似たようなものが四月の初めごろにあったんじゃないですか。
  193. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 四月八日でございます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 四月八日にあった。それはどのくらいの争議参加者があったのか。それから、これを実行し、そそのかし、扇動した者の数がどのくらいあったと判断されるか。すでに二カ月に近い日数がたっておるのですから、その調査が、二カ月もたってもまだ答えが出ないようなのろまな林野庁とは、私は思いません。こういうものはすぐできるはずです。第一線の局長とか署長とかという管理者もおる。そういうものですぐ調査できる。二カ月もたって調査できぬということは、私はあり得ぬと思うのです。  それから、第一線の署長とか局長とかいう人が、林野庁長官の言うことを聞かぬで、第一線の現場の監督をする管理者などが、勤務などについてずるい考えを持って、特別昇給制度などというものは要らんのじゃ、勤務評定などけしからぬのだというような言辞を弄するような管理者がもしおったとするならば——いま大臣や長官のおっしゃった、基本的な勤務の責任と能率をあげる上において特別昇給制度を四十七年度にも実行したい、そういう上司がおるのに、これに反対する言辞を弄する末端の管理者がおるとするならば、これは林野庁そのものが権威を喪失すると私は思うのでございまして、こういうことは、行政機構の担当者がそれぞれ人事管理機構をきちっと厳正にして、ここにまじめに勤務する人には希望が持てるという原則を打ち立ててもらいたいのです。
  195. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、よく働く者につきましてはよく処遇してやる、これが先ほど、私、特別昇給制度をぜひ実現したいという趣旨でございます。また逆に、働かぬ、あるいは職場を放棄するというような者につきましては、法に従いまして厳正なる処置をとる、こういうことでなお一そう厳重に対処してまいりたい、かように考えております。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 四月八日の事件の結論がどういうふうになっているかの御答弁がいまないのです。
  197. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 四月八日につきましては、全山でございまして、約二万名がストに参加しております。非常に数が多いものでございまして、慎重にいま審査しておりますけれども、これにつきましても早急に処置をいたしたい、かように考えております。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 争議行為のストに参加した、そうするとそれは全部解雇される、処分の対象になる、そう判断してよろしいかどうか。
  199. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 先ほど申し上げましたように、解雇の場合もございます。あるいは減給の場合とか、停職の場合とか、そのいろいろの段階に応じまして、現場実態をよく調べました上で処分いたしたい、かように考えております。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 それはこのストに参加しても、十八条の「解雇されるものとする」というのはどうですか。解雇されるものの対象はどういうものですか。それじゃ、もう一ぺん法律の条文によって、ひとつ質疑応答を繰り返してみたいと思うのです。
  201. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 法律の解釈につきまして、職員課長にお差しつかえなければ答弁させていただきます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 職員課長ですか。職員部長じゃないのですか。
  203. 石川博厚

    ○石川説明員 ちょっといま間に合いませんので……。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 はい、どうぞ。
  205. 石川博厚

    ○石川説明員 それじゃ御説明いたします。  先生のおっしゃいますように、十八条に「解雇されるもの」という規定がございます。これは公労法をつくるときに、十分先生のほうも御承知だと思いますが、英文その他のいろいろな関係がございまして、ちょっと日本の法律では珍しい条文でございます。規定どおり読みますと、ストに参加した者は当然解雇されるものということで、先生のおっしゃるように、二万名ストに参加すれば二万名解雇、こういうことになるわけでございますが、ストライキをよくやりまして公労法の一番最初の適用団体でございます国鉄の争議の際に、この条文が問題になりまして、結局、全員争議に参加したから全員解雇ということも事実上困難であるということから、そのときの解釈あるいはその後の判例等によりまして、結局は、そそのかすやつもおれば単純に参加したというのもおりますので、そういう罪状に応じて厳正に処断する、こういうふうに、公労法のもとの処分は三公五現大体そういう方針でやっております。   〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕したがいまして、林野の場合、すでに解雇が三名おりますが、三名では少ないではないかという御指摘につきましては、今後、長官がいろいろとお話し申しましたように、厳正に処断したいということで、軽い者は戒告というようなものもございます。今後、私ども企業を経営する者といたしましては、違法行為等につきましては厳重に処断をして、そうでなくても国民の批判を浴びている林野庁でもございますので、厳正に能率よく仕事をさせるということで努力したい、こう思っております。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 「解雇されるものとする」と、きちっとした条文があるのです。
  207. 石川博厚

    ○石川説明員 あります。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 その条文を無視した処分をされるということ、そのものは法律違反ではないですか。
  209. 石川博厚

    ○石川説明員 それでは御説明いたします。  先ほど申しましたように、国鉄で一番最初公労法の適用例がございました、ストライキをやりました際に。当然、この条文をめぐりまして問題になったわけでございます。法律条文をそのまま読みますと、まさに「解雇されるものとする」、先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、現実の問題として、全員解雇してしまいますと、その日から、ストライキじゃなくして事実上仕事がストップするというふうな、まことに現実に沿わない面もできておりますので、この条文の解釈をめぐっては、いろいろな学説もございますが、事実上、やはり指導した者あるいは単純な参加者区別して、現在のところ、上は解雇から下は戒告に至るまでの段階に分けて処分しているのが実情でございます。この法文につきましては、御承知のように非常に問題のある条文でございます。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 私は、法律を守る国家、法治国家として、法律に書かれた事項は忠実に実行に移さなければならぬと思うのです。そういうふうに二万名の参加者がおれば、二万名全部解雇すればいいのです。つまり、法律を犯して、公労法にちゃんとうたってある条文を無視する人がある。そして無視しない、参加しない林野庁の職員の他の六万人の皆さんがあとを守ればいいのです。二万人の人が解雇条項該当者であるならば、すらっとやるくらいの林野庁でなければならぬ。もし法律違反を犯した皆さんを全部解雇すると、あと山がやっていけないというような、そういうような林野庁では、これはたよりないと思うのです、法律違反者をそのまま大目に見のがして許すような形であるということそのものが。  国鉄の例を引かれておりましたけれども、林野庁は八万人の職員があるのです。八万人の職員の中で二万人を解雇しても、六万人まだ残っております。それに民間協力関係の林業労務者というのが二十万以上も待機しておる。臨時に雇用すればいい。そういう法律を無視してストライキをやるような皆さんよりも、次に私たちがひとつ林業労務者としてかわりましょう、経験その他、国家公務員とほぼこれに近いかっこうの次元の林業労務者というものが、ちゃんとあるはずです。地元にはそういう人が待機しておる。国の人事管理行政というものはすかっとやらないといけない。  処分するとあとがやっていけぬようになるので、解雇は二万人のうち三人ですか。あとはどうなったのですか。四月八日の場合です。
  211. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 二万名という非常に大きな数字でございますが、現地の実態をよく調べて、ただいま処分を急ぐというような考え方で審査をしておるところでございます。  ただ、先生御指摘のように、法律の条文に従いまして、六万人のうち二万人ストライキをやったなら、全部首を切ってしまって、あとの四万人でやればいいじゃないかということもございますけれども、ただ、ストライキをやれといって命令した者、そそのかした者、ただ単純にそれに従ってストライキをやった者、やはりいろいろ動機もございます。私はその辺の事情というものを十分に考えて、責任者は重く処分し、そうでない単に盲従した者については処分を考えるということも、現実の問題としては必要ではなかろうか。法律を批判するわけではございませんけれども、そういうふうに考えるわけでございます。  しかし私は、だからといって、従来のような行き方でよろしいとは思っておりません。特に、林野庁の事業については非常な批判もございますので、なお一そうこの点については、先生御指摘の法律の趣旨に従いまして厳重な処置をとってまいりたい。しかしそれにしましても、やはり慎重な審査が必要でございます。最近たびたびストがございますので、慎重にただいま審査しているところでございます。先生の御趣旨に沿って今後、私も十分態度を改めて厳重な処置をしてまいりたい、かように考えております。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 態度を改めるということですか。
  213. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 いままで以上にきびしくやってまいりたい、こういう意味でございます。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 ストをやった者と、それをやれと扇動した者とある。むしろ扇動、教唆したほうが罪が重い場合が起こるわけです。けれども国家公務員ですから、やはりみんな一般職の公務員。常勤的性格を有する非常勤職員といえども、定期的な立場で採用された作業員といえども、国家公務員であることは間違いない。いやしくも国家の公務員が国家公務員法や公労法の規定を知らぬようなことでは、私はいかぬと思うのです。公労法の第十七条にはこういう規定がある、そういう行為に対してはこういう処分がされるようになっている、諸君がストライキをやったら罷免されるのでございますよということを、全員に周知徹底せしめるということをやっておるのですかどうですか。
  215. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘の点につきましては、確かに欠ける点があったと率直に反省いたします。これは全員にこの趣旨が徹底されまして、国家公務員であるということを自覚して国民の期待に沿うように努力をする、責任感を持って職務を遂行するというふうな指導をさらに厳重にしてまいりたい、かように考えます。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 農林大臣、気軽な立場で質疑応答をするようにしていただきたいわけです。あなたの健康がより豊かであることを祈るがゆえに。  だから、いまの林野庁長官の御答弁で、私、いま非常に人事管理行政上の欠陥を発見したわけです。つまり、国家公務員であることの自覚のない作業員、臨時的な勤務をしている作業員。つまり、おれは国家公務員である、国家公務員法になったら国家公務員法にはこういう規定があるのだということを知らなければならない。もし罷業をやったならば解雇されるという規定があるという、国家公務員たる自覚に欠けておる。国家公務員として諸規定を知らない。それを周知徹底せしめることにいささか欠陥があったことを長官は非常に正直にいま言っていただいておるわけです。全員に国家公務員法の重要な規定を文書で知らしめる。それは営林署長や営林局長を通じて末端の全職員にまで、国家公務員としての規定、自覚、責任、そういうものを知らしめて、そして、私は国家公務員である、国家公務員がその勤務をおろそかにして職場を放棄するなどとなれば、国民の期待に沿えない、パブリックサーバント、国民全体の奉仕者である、こういう責任を負わしめる努力が林野庁として末端まで行き届いてない、いまのおことばの端からそううかがえたが、ひが耳か、ひが目か、ちょっとお答え願います。
  217. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 一応、ストライキに入る模様がわかりますと、長官名で各現場に対して警告を発します。しかし、御指摘のように、こういう法に基づいて、こういう規定に基づいてというふうな細部までの指導がまだ足りない点のあったことは、率直に認めるわけでございます。しかし、法律論議ばかりでございませんで、国家公務員としての意識に目ざめて仕事をするということは、平素の指導に問題があると思いますので、そういう点は十分注意いたしまして今後は職場の意識を高揚するように努力してまいりたい。かように思っております。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 林野庁が全国七百数十万町歩という大森林をかかえておる。国家の森林の三分の一以上の森林は国有林である。この大規模な森林を運営し、またその用材を切り出して国家国民のために尽くしておる。その林野庁。林野庁は長官以下八万ですね。この八万の職員がいかに重い使命を持っているかは、その占める分野が面積の点において圧倒的に多いのですよ。これは、全国の農地を合計しても五百万町歩、それの一倍半ある国有林をかかえて、八万の国家公務員、全部国家公務員で運営している。その末端に国家公務員たる意識さえないような方々がたくさんおったとしたならば、これはまことにさびしいことです。長官の命令一下ぴしっといくようにする。参議院選挙のときに、長官であった者が全国区に立候補するというときに、票がたくさん集まるという面での利用だけでは、これはいけません。選挙の組織体として林野庁が末端を利用していただいたのでは、これはお門違いである。そういうところに国家公務員たる意識が欠けてくる。それから、地元の民間業者などを十分に生かす道も、そこから自然に変な情実に流れてくる危険が起こる。  私はそういう意味で、全国七百数十万町歩の大森林を、国有林を持っている。これは国家の金の卵ですよ。これを最もよく生かして、この森林資源を最高に活用して、国家の繁栄、国民のしあわせにつながるようにしていただかなければならぬ。こんな大きな宝ものを持っておる林野庁が、末端のほうでは国家公務員たる意識さえないような職員がおる。一ぺんに二万人が争議を起こしておる。このように八万人の職員のうち四分の一がストライキをやるというような役所はほかにはないわけです。国鉄だってそれだけはやりませんよ。その比率においては圧倒的なものです。そういうときにぴしっとした処分がきちっとしておらぬと、少々ストライキをやっても、もうあれは責任者だけでお互いには影響がない、扇動した数名が首を切られれば、その首を切られた者は、あとからみんながカンパして、そのカンパした金で生活はできるのだというような、まことにおかど違いの考えを起こすようなかっこうにならぬように、もっと原則をぴりっとした人事管理行政が、林野庁長官を頂点とするかっこうでできなければならぬ。(「賛成だ」と呼ぶ者あり)非常に共鳴が多い。長官ひとつ……。
  219. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 私は、御指摘のように、七百六十万町歩の国有林というものは、先生おっしゃいました八万人の職員のものではございません。これは一億国民の国有林である、こう信じておるわけでございます。したがいまして、国家公務員であるところの八万人が一億に奉仕するという精神に徹するように、今後は指導監督に全力をあげてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 長官、あなたの御発言の中に非常に誠意が拝見できるのです。あなたは誠意をもっていま答弁しておられる。これは、あなたのまなざしの中に、あなたのお答えのおことばの中に、非常に誠意を持った御答弁があると私はいま確信をします。したがって私はあなたに大きな期待をかける。いまおっしゃった一億国民の七百六十万町歩の国有林です。われわれ一億国民はこの七百六十万町歩の国有林を持っている誇りがある。八万の職員がそれを守ってくれておる。守ってくれておる八万の職員がさじを投げるようなことじゃ、これは国民全体の奉仕者の値打ちがないのじゃないかということで私がいま指摘を申し上げたわけです。この点、人事労務管理体制において、ひとつ今後一そう強力な、いままでよりもより大きなスケールでやるのだといまおっしゃったから、それに御期待をかけましょう。  そこで、職員部という部をやめて、今度業務部と一緒になって国有林部長で統括されることになっておる問題ですが、これは、さっき私が、職員部長が八カ月や一年で交代されるようなことじゃ落ちついて仕事ができていないということを指摘したわけですが、せめて少なくとも二年平均以上は職員部長で勤務してしかるべきだと思ったのですが、それを今度職員部というのがあるので、組合対策などもその窓口として職員部長が担当する。いま職員課長職員部長のもとでおられたのが、あなたは今度は国有林のほうへ行かれるわけですね。いまは職員部長がおられる。今度新しい機構で職員部長はどこへ行かれることになるのですか。行き先がないのじゃないか。ポストがないのじゃないか。
  221. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 人事の問題につきましては、組織がきまりましてから決定することにいたしまして、ただいま、属人的な人事のことについては、まだ決定しておりません。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 つまり自分の行くポストが消えてしまうのです。非常に不幸な人だ。これは何とかいまからきめておいてあげぬと。ここにおられる皆さん方のほうは安定しておられる。職員課長も今度国有林部の課長に行くのですといまおっしゃっておる。栄転されるというかもしれぬが、大体職員課長は国有林部へ行かれるわけですが、職員部長というのは、これは行くポストがない。こういう悲惨なことをなさらぬように気をつけていかなければなりませんですがね。その職員部が廃止されるということに対して、組合の皆さんにしても、ちょっとさびしいものがあると思うのですね。窓口がなくなる。この窓口がなくなる補いがつけられる用意がしてあるのかをもう一度伺います。
  223. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 実は職員部がなくなるばかりでなくて、ちょっと理屈っぽく聞こえるかもしれませんが、業務部もなくなるわけでございます。業務部と職員部をなくして一緒にしまして、国有林部ということにしたわけでございます。  そこで、国有林部というものは、この難局を乗り切るためには、やはり職員部と業務部は離れ離れになっちゃいかぬから、やはり一緒にし、国有林部長が一切を統括するという形にしたほうが、今後の職員の問題、労働問題を乗り切るためには絶対必要な要件であるというふうに実は私は考えておるわけでございます。  そこで、国有林部長は主として労働問題に対処するわけでございます。そこで平常の業務につきましては、審議官を置きまして、審議官が国有林部長を補佐するということになっておりますが、私はむしろ両方の部を一緒にしたほうが、この難局を乗り切るためには一番いい方法であるというふうに確信しておるわけであります。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 難局というのはどういうことでありますか。
  225. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ちょっと御説明が足りなくて恐縮でございますけれども、国有林はただいま独立採算制度のもとにおきまして、昭和二十年代からここ二十年くらい経営を継続しつつあるわけでございますけれども、特に、当時から増産増産で、軍用材を切るとか、復興材を切るとか、価格安定材を切るとか、木材の増産要求が多かったのでありますが、最近は自然保護を重点にして、それに対する国有林の役割りを果たしなさいという要求が強いわけでございます。したがいまして、国有林はただいまそういう大面積の伐採をやめまして、小面積の伐採にし、択伐方式にして抜き切りをする方式に切りかえたわけでございます。そこで仕事量が減るわけでございます。一方、外材の輸入によりまして、木材価格が低迷しております。そういう状態で、国有林の財務内容はきわめてきびしいものが出ておるわけです。やはり私は赤字を消すのが目的ではないと思います。先ほどからお話し申しましたように、国民の要求にこたえて自然保護を重点とした経営方針に切りかえていくということにしたわけであります。  したがいまして、その結果、いよいよ財務の関係は苦しくなりますけれども、御指摘のように、特別昇給するなり、あるいは働かぬ者は処分するなりというような方法によりまして、合理化を徹底しまして、そういう合理化に基づいてなお足らぬところの公益的な面につきましては、一般会計から財政負担をお願いする。しばしば大臣からも  お答えしておるわけでありますが、そういうふう  に持ってまいりたい。これらを含めてただいま林政審議会に答申をお願いいたしておりますが、四  十八年度に対処する予算あるいは法案等を確立してまいりたい、このように考えております。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 いま難局に対処する内容にちょっと触れてくださったのですが、直営直用の問題を提示されておりますので、それにちょっと触れますけれども、直営直用の効果というものはどこにあるといままで判断してこられたのですか。そうしたところが直営直用の効果には限界があった。直営直用でいいところもあるが、直営直用だけをあまりにも取り守っていると非常にまずいことにもなるのだという両面があったと思うのです。それをちょっと御指摘願いたいと思います。
  227. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 あまり説明が長くならぬようにちょっとかいつまんで申し上げます。  直営直用はちょっと歴史的な背景もございます。明治八年に軍艦天城をつくりますときに、天城からケヤキを切り出したのが始まりでございます。つまり直営直用は民間でできない仕事を国がやるというところから始まったわけでございますけれども、現段階におきましては、直営直用の、国が直接やらなければという役割りは、若干当時とは事情が異なってきていると思います。  そこで、この直営直用事業につきましては、民間と同じような形態の仕事をしておる関係で非常な批判がございます。非能率ではないか、こういう指摘でございます。そこで私どもは、この点につきましては、必ず直営直用事業につきましては、まず第一に能率のよい仕事をするということが一つ。それから、ちょこちょことでなくて、継続してやれるような仕事をまず直営直用の対象にしなければならぬ。第三点は、先ほどお話しした八万人のための国有林ではございません。やはり地域の実情を見まして、地域産業の振興ということも考えて、地域の事業体あるいは労働者、こういった人たちのことも考えた行き方をとらなければならぬ。こういう三つの条件を考えて、直営直用を国民の批判にこたえて適正にやるというふうな方向に持ってまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 そこで長官、いま、継続的に考えていきたい、それから地元の皆さんの関係、対地元関係、それから能率を高めるためのいろいろなこと、たとえばそれを具体的に何か例示されるものがあれば、わかりやすい御説明を願いたい。  たとえば、能率を高めるためにはどういうことをやればいいのか。これは国有林開発のビジョンとしても一つの夢が長官になければいけない。七百六十万の全国有林を率いる林野庁長官として、能率性、それから継続性、そうして対地元関係、こういうものに対して一つか二つ、ごく端的な具体的な内容を示していただきたい。
  229. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 能率的経営の例でございます。現在、国有林におきましては、沼田営林署の管内に機械化センターを置いてございます。新しい日本で発明した機械、あるいは輸入された機械、国有林に適用できるものはここで実験いたしまして、いろいろと導入をしているわけでございますが、今後、施業が非常に緻密になってまいりますので、必ずしも大きな機械ばかりじゃなくて、能率のいい機械、たとえば一つの例を申し上げますと、従来チエーンソーを使って白ろう病の問題が出ております。最近はそういう伐採機械は、のこぎりでなくて、はさみのようなものができておりまして、こういったようなものを使っている。そういった新しい機械を導入しまして能率をあげております。  それから第二の継続の問題でございますが、あっちに一年、こっちに二年と飛び飛びでは非常に非能率でございまして、私の考えでございますが、やはり十年ぐらいは継続してやらなければならぬと考えます。  それから第三点でございますが、第三点は、地元関係と申しますのは、昔から国有林というのは、御承知のように入り会いの関係もございまして、明治の官民有区分のときからいまでもいろいろ問題がございます。ところが、八万人のほかに、地元にはその当時から、国有林で働かしてくれといって働いている者、これは請負事業でございますが、この人たちが、私たちにも働かしてくれ、こう言っていろいろと願い出ているわけです。(受田委員「何名ぐらいある」と呼ぶ)ちょっと人数はここでは正確に申し上げられません。そのほかに立木で売り払っている形態もございます。これはやはり長い間の慣習がございまして、立木売りの形態、それから素材売りの形態、素材売りの形態の中には直営直用と直営請負と三つの形態があるわけでございます。これらが長い慣習の中に成り立っておりますので、これらの関係を考慮しなければならぬということが地元関係でございます。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 非常に具体的な基準一つともおぼしきものがいま示されたと思うのですが、たとえば継続性であれば、十年ぐらいはもたせたい。たとえば冬山の作業に、用事もないのに人を雇うたままにしておくとかいうような欠陥も起こってくるわけです。つまり、仕事がないのに作業員を確保しておくというような、むだを幾つかやってきておる。そういうものを能率の上から今度はなくしなければいけない。つまり、人手が得られたならば、その人にはすぐ仕事がなければいかぬ。こういう能率をあげ継続性を持った計画が林野庁長官の手元でされていなければならぬですね。  それから、いまも非常にいいことをおっしゃったのですが、地元には地元の業者がおり、国有林のお手伝いをするために待機している労務者がおる。そういう作業員、民間人を生かしていく。民間人を生かすほうが能率があがる場合があるわけです。そういうときには、これを遅滞なく利用せなければいかぬ。そういう例をお示しになった。したがって、直営直用には野放しの欠陥が十分ある。その野放しの欠陥を補うためには、いま申し上げたような、継続性、能率性、あるいは対地元関係を考慮した、直営直用の野放しに制限を加えて、むしろ新しい分野を開拓する努力をしたいというお話と承っておいてよいかどうかということです。
  231. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 御指摘のとおりでございます。なお私は、単純な原則論とか理想論でなしに、国有林の中における仕事は、民有林を含めてでございますけれども、長い歴史もあるものでございますから、現地、現地の実態を踏まえてその場で解決して、労使よく話し合っていきたい、かように思っております。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 農林大臣も、いま私が長官と論議している過程における発言を、お聞き取りいただいておると思うのですが、祖国日本の国有林のあり方について、長いビジョンを持った、夢を持った国有林野の発展のための直営直用のあり方を、いま長官と同じ御意見で判断されるかどうか、お答え願いたい。
  233. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私は請負のほうも、その方面を広げるということばかりも必ずしもいいとは思いません。先ほど話が出ましたように、請負のほうでも、請負によっては、御用商人的業者、そういう者をあまり多く使うということになると、林野庁がいろいろ非難されるような犯罪的な事実なども多いのでありますから、直営直用の欠点も、あらかじめ能率的——それから率直に言うと、私はいままでよく知らなかったのですが、地元の労務者などを使うことは請負ということに入っているのだそうです。私は、それは直営直用だと思っておったのです。ですから請負にもいろいろある。そういう意味においては、山村開発なんということで、地元の労務者とか森林関係の人は、やはり山を愛する、地元を愛することになります。そういう人は、請負という名前じゃなくて、ほんとうは直営直用でいいのだと思うのですが、しかし実際は請負ということになっておるそうですが、こういうものなどは十分活用しなくちゃいかぬと思います。そういう点で、能率的とか、あるいは地元を活用するという意味において、直営直用ばかりでいくべきものでもない、請負というものを入れる。ただ、請負によっては、さっき参議院の選挙にばかり出ると言われたのですが、業者と結託しちゃって、あまり業者と関係が深くなっちゃって、林野庁長官が必ず参議院に出られるような体制などに持っていくことは、これはまた少しチエックしなくちゃいかぬと思うのです。  そういう意味で、実情に応じ、そうしてまた、さっき林野庁長官が言った、一億の国民の財産を守る、その守っている財産をより公益的によくしていくということに奉仕するというような形を監督したり指導している林野庁ですから、そういう観点もとで、林野庁長官が先ほど御答弁申し上げた態度、それが私は適当な態度、いい態度であると思います。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 お二人ともはっきりしたお答えをいただきましたし、また大臣御自身も、地元での請負をなさる人が直営直用と思われたという。見方によると、ちょっと大臣のような見方をされることもあることがはっきりおわかりいただいたということでございますが、私自身も海外を何回か旅行してみて、国有林——民有林の中にもそういう何が入っていると思うのですけれども、フィンランドの森林を見たときに、大郷さんという、いま国会図書館で専門調査員をしておられる人が案内をして、フィンランドの山の中の別荘のようなところへ連れていってもらった。つまり一般市民が車で国有林の中へ乗り込んで、国有林の中で、山の自然の空気の中で、景観のいいところで希望のある何日かを過ごすというようなことも、外国ではしばしば見られておる。日本の国有林にもそういう国民生活に開放的なものを持つ。いま高尾山にそういう国民のための施設がある。こういうようなものをどんどんふやしていって、国民とともにある国有林というようなものをつくる必要があると思うのです。同時に、このスモッグの多い大都市、緑の少ない町が日本に多いが、国有林でそういう緑の町になるような苗木を育てて、それを大都市にどんどん配って、国有林において育てた苗木が大都市の緑の町になるというような貢献もしてもらいたい。そういうふうな意味で、国有林は国民のために幾らでも奉仕できると思うのです。  そういう国民とともにある国有林という認識に立って、国がそういう意味から国有林開発のための機械化。電算機を導入するとか、計算の機械を持ってくるとか、あるいは能率をどんどん高めるための諸施設を設けるとか、そうした合理化をはかっていき、機械化をはかっていって、近代的国有林の経営ができる方向に持っていかないと、古いタイプの国有林ではだめだ。もう近代的先進国に負けない国有林として日本の国家の山を切り開いていくという方向へ農林省、林野庁は頭を向けていかなければいかぬと私思うのです。こういうところへひとつ認識を新たにされまして、外国の国有林などを見られたと思うのですが、どんどん市民の別荘ができたり、いろいろな休養センターみたいなものができたりしておる。大都市の緑の街路樹みたいなのは国有林で国家が育てる。これは民間人にやらしては、もうけ主義だから思うよりになりませんので、そういう意味で、国有林を街路樹の苗木の温床にするとかいろいろ夢多き将来を描く。これは、七百六十万町歩の国有林を生かすか死なすかによって、日本の開発ができるかできぬかということにもなると思うのでございます。どうぞそうした夢多き将来の日本の国有林をつくるために、農林行政の責任者として、農林大臣及び林野庁長官並びに高級官僚の皆さんが奮励努力することを、私、強く要望申し上げますが、よろしゅうございますか。
  235. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 たいへん激励いただいてありがとうございますが、いまのお話のようなことをすでに実行に移しているわけです。たとえば自然休養林では延べ三千万人ぐらいこれを利用している。それから苗木ですね。この間、国有林で育てた苗木を無償で日比谷で二万本ばかりみんなにくれました。そして各家庭でそれを植えるようにする。それで、この間、植樹祭のときに発表したのですが、日比谷でばかりでなく、それを継続して、苗木をどんどん国有林で育てて、それをみんなに配布して、各家庭等にも、緑を培養するというか、愛する、木を育てるという気持ちを持ってもらいたい、こういうことをもうすでに着手しておりますが、いま御激励のことばもありますから、一そう御激励の趣旨に沿って林野庁のあり方も進めていきたいと思います。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わります。
  237. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  238. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま委員長の手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案が提出されております。
  239. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
  240. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、今回の機構改正により林野庁の所掌事務の整備が行なわれておりますので、これとの関係から、沖繩開発庁設置法の一部を改正して、沖繩総合事務局が分掌することとしておる林野庁関係事務についても、その条文の整理を行なおうとするものであります。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  241. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  242. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありまするが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  加藤陽三君提出の修正案について採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  243. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  244. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。      ————◇—————
  245. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  他に御質疑もないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  246. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより討論に入るのでありまするが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  247. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  248. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  250. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  251. 大出俊

    ○大出委員 たいへん長い名前の公的年金制度調整連絡会議というのがございますが、先般、私、審議会答申は、御存じのとおりに、三本建て仮定俸給というものを一本にしろ、そしてその上で制度化すべきであるという答申が出ておりまして、恩給審議会の会長さんにお見えをいただきまして、その趣旨について質問をいたしましたら、政府が審議会に諮問をしたんだから、検討してくれと言ったんだから、その結果、制度化すべきだと言った、だから政府がおそらくこの審議会の答申に従ってやってくれるはずです、こういう答弁になっておる。それは審議会の会長さんのお気持ちにすれば当然だと思います。だから私も、公的年金全般に関係はいたしますけれども、単なる予算要求の面におけるスライド云々ということのみならず、制度としてやはり何とかはっきりさせておいていただくことが、長年苦労されて退職された公務員の諸君に報いる道だという気がするのでありますが、何回か私はこの問題を取り上げましたが、それが何かどうもすっきりしたお答えになっていないという点は残念でございまして、したがって、これがどのように進行しているのかという点について、まずひとつ御答弁をしていただきたいわけであります。
  252. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公的年金制度調整連絡会議というものを持ちまして、当初、全般的な基本論を検討しておったのでありますが、恩給法は、いまおっしゃったように、予算上の実態あり方というものは一応実現したにしても、それはやはりスライド制というたてまえのはっきりしたものにしてほしい、したがって他の年金制度もということであります。私自身は、恩給に関する限り、ベースアップ等の基本的な問題は、一応、算定方式その他の議論を残しながらも、解決しておるものと思います。しかし、さて他の年金はどうするかという問題は、恩給法の改正に引っぱられて逐年改正をしておるのが実情でありますから、そうするとそれは、それぞれの年金においては具体的な政策は持っていないということにも換言すればなります。  そこで、これをさらに詳細にやるためには、公務員の分野、民間の分野、そうして中間ともいうべき私立学校教職員共済並びに農林漁業団体職員共済の分野、そしてはっきり第四ブロックとも言えないのですが、周辺部門として労災の分野、こういう分野に分けて検討を開始しております。基本的な問題、共通の問題は何であるか、そうしてまた、その分野ごとの特別なむずかしい問題に何があるかというようなことを詰めておりますが、しかし方向としては、たとえば厚生省の来年の予算要求の姿勢は、厚生省の年金等についてはもうスライド制を採用しようというようなことに一応聞こえてきておりますが、このように非常に積極的な姿勢をとるようになってきつつあります。  ことに福祉国家建設、ことしの予算は福祉予算であるような言い方をしてまいりますと、やはりこれは制度としてもそういう方向への前進というものが、政治上、行政上裏づけがなされなければなりませんから、この公的年金制度に関する調査もスピードがかかってくるだろうと思いますし、そして、何のためにそういうものをつくったんだということに対しての答えはもう出ておると思いますので、そのためには牽引車ともいうべき恩給をどうするかという問題に、またもとに戻ってきますが、これはやはり全体の問題として、来年度予算の編成においてスライド制が採用できるかどうか。スライドするとすれば何にスライドすべきが実態に合うのか。公務員給与という附帯決議もあります。あるいは物価だけでいいという意見もあります。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 あるいはまた、公務員給与の実態は物価を含んでいるのだからという意見もありますし、いろいろの意見もありますから、これらはさらに具体的な検討として逐次問題点の解消に努力していけば、そうそう検討、検討で日を暮らすということにはならない時勢になりつつある、そういうふうに考えます。
  253. 大出俊

    ○大出委員 公務員年金グループ、つまり国家公務員共済組合、あるいは地方公務員共済組合、公共企業体共済組合、この辺が公務員年金グループだろうと思うのです。そうして民間の年金グループがあって、あるいは国年とか厚年とかいうふうな問題を含めてのグループが一つある。最後に、農林共済であるとか、あるいは私学共済であるとかいうふうなグループがある。その他という意味ですね。つまり三つある、こういう御説明が昨年の説明なんでありますが、そこで四十二年にできているわけですから相当年月もたっている。それを、昨年私の質問する前にグループの再編成をおやりになった、こういうようなことなんですね。  そこで私は、ここで基本的に完全スライド制という言い方も、ございますし、いろいろなスライドのさせ方がある。そこらの問題をとらえて、国際的な視野に立ってみて、日本という国の実情を踏まえた上で、はたしてどういう基本理念を持たなければならないか、その辺が実は議論の分かれ道になると思っております。したがってそういう意味で、こまかい点は長官に御答弁をいただくつもりはありませんけれども、専門的な立場にお立ちになっておる恩給局の皆さんが、一体そこをどうとらえているのか。何かそこに基本がないと、ただ三つございますよということでやらしたのでは意味がない。何かそこに課題を一つ与えなければならないと私は思う。そういう意味で、基本的にそこらはどう考えているのか。  スライドの方式をとれというのは、これは恩給法二条ノ二に基づく調整規定なるものを前に申し上げましたが、政府が提出した法案だから、本来ならそれに対する有権解釈を政府が持つべきなんだが、そのことを含めてこの審議会に、解釈まで向こうでやってくれと預けてしまった。そうでしょう。そうすると、その審議会が出したものに従わないという筋合いはない。そこらを含めまして、ひとつ基本的にどう考えておられるのかという点を、ここまでくれば明らかにしていただいていいのじゃないか、こう思うのであります。
  254. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実は恩給審議会に関連して御質問があったわけでありますが、御承知のように、恩給審議会は昭和四十三年の三月に答申を出しております。それは、いま先生が言われたとおり、第二条ノ二に調整規定、これは一般的な規定でございますから、具体的な内容、単に法文の解釈ということじゃなくして、実際にどういう手法をどういう程度にどういう内容において消化していくかということを民間有識者に聞かなければならないという基本的な立場に立ちまして、諮問したわけであります。  その答申の結果が、現在われわれがやっておりますいわゆる公務員給与の分析から申し上げますと、いわゆる形式的な部分と実質的な部分、こういうように分析いたしまして、形式的な部分というのは、いわば物価に見合う部分。それから実質的な部分は、これは生活給的な改善部分と、理論的には現職公務員特有の職務と責任の内容に伴う職務給部分とがある。この職務給部分を除いた生活給部分と形式的改善部分とを合わせて、三年かかりまして、事実上その調整方式が自動的にできるようなルールがしかれた、こういうことでございます。
  255. 大出俊

    ○大出委員 これは大体、その三本立ての仮定俸給表を年齢別に見てこしらえたこと自体ナンセンスなんですね、私どもに言わせれば。だから、当時矢倉さんが恩給局長だったと思いますけれども、こんなばかなことを何でするのか、調べてみれば丙の十六号というものを基礎にして、つまり一万円年金である。十二月から計算して、そこでそれを逆算してA、B、Cという年齢別グループをつくって、七十歳以上でしたか、ここのところに合わせて逆算してそろばんはじいた。そして年齢別三本立てをつくった。理論もへちまもないじゃないか。やめたあとの経済的減耗の補てんという年金の趣旨に年齢を持ってきたというのはどういうわけだ、そういう給付ではないではないか、この年齢は。いやそんなことはございませんなんというやりとりはあったのだけれども、恩給審議会の識者の結論は、年齢別仮定俸給表の三本立ては間違いだという結論が出た。私の言っておるとおり、年齢別給付じゃ恩給の論理に反するわけですから。そうでしょう。最近またまた、どうも高齢者優遇という言い方の団体もなくはないが、ともかく便法措置を講ずるということはよろしくない。今回のこの改正の中にもいろいろあります。  だけれども、私はここまで来れば、だからこそ、そのスライドと称する、長年退職した人が待っている制度の制度化、この問題について一体どういうスライド制を考えるか。つまり、公的年金制度調整連絡会議ですか、何べん読んでも、長いものだからぼくは忘れちゃいますけれども、ここでは基本的にどういうスライド制を考えるか。たとえばアメリカのシステムがあります。フランスのシステムがあります。つまり、退職公務員年金法だとか、あるいは文武官の恩給の改革に関する法律だとかいうのが外国にある。そこらのところを踏まえてみて、一体どういうスライド制を頭に置いて検討をしているのか。あるいは恩給局はいかなるスライド制を考えているのか。つまり審議会の答申にあるのですから、そこらのところを私は承りたいのでいま質問しているのであります。そのものずばり、そこについてのお答えをまずいただきたい。
  256. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実は公的年金制度調整連絡会議のことにつきましては、私が責任を持って答弁をする立場にございませんが、私もメンバーの一員としてお答え申し上げますと、いわゆる先生の言われた、まさにそのものずばりの、どういうやり方をやるのかということを目下議論しているわけであります。  実は昭和四十二年から昨年グループ別に分けるまで、共通した各年金、たとえば恩給とか共済年金とか、それと民間年金も全部に共通した何か基準がないかということを模索して、四年間ほどかかったというのが実情のようでございます。たとえば定額部分というのがあるのかないのかというような議論もしたわけであります。ところが、恩給に定額部分があるはずがないわけでございまして、そういう点で、じゃグループに分けてやろうということになったわけであります。それで、はたしてどういう考え方でやるかということは、まさにこれからの実は検討課題であります。  ただ、われわれといたしまして、いま先生が、国際的な視野に立ってどうだ、こう言われますと、われわれも実はその点につきましては、恩給としては恩給なりに考えておるわけであります。  御承知のように、これは先生にも教わったことでございますし、われわれも研究しておりますが、各国のスライドを見ますと、スライド様式としては一番まずいと申しますか、われわれから批判しましてまずいのはイギリスでございまして、これはかっての日本がやっておりましたような、いわゆる政策的改正方式といいまして、その場その場のいわば経済的、社会的な条件を勘案しましてアップ率をきめていく、こういうやり方でございます。ところがアメリカは、先生特に御承知のように、過去三カ月間において物価が三%以上高騰した場合においては物価にスライドする、こういうことでございます。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 フランスと西ドイツは公務員給与にスライドしておる、こういうことになるわけでありますが、現状から申し上げますと、われわれのやっております調整方式、まあ行政的にはルール化されたと思いますけれども、現状においてはまさにそういったパターンではないわけであります。まあ物価と公務員給与はどちらがいいかどうかという議論は、これはいろいろあると思うのです。国の国情によって違いますし、物価の上昇率と経済成長率が同率であれば、物価だけにスライドしても別に差しつかえないわけでございますから、たとえば公務員給与が物価にスライドしていく国家もないわけではない。そういうことになりますと、わが国がたまたま、物価の上昇率よりも公務員給与あるいは賃金スライドのほうが高くなっておりますから、そういうかっこうにはなりますけれども、ここら辺の判断はなかなかむずかしいかと思います。
  257. 大出俊

    ○大出委員 アメリカの場合にはいまおっしゃるとおりでございますが、特に連邦統計局の数字などを指定しているのですね、恩給は。だからその意味では、日本の場合ももう少しぴしゃっとできないか。いまの予算要求のシステムは、何回か繰り返してまいりましたけれども、めったに変えられないとはいうものの、これはやはり法律ではございません。制度ではございません。つまり、大蔵省の力が相当強かった時代の恩給局というのは、何か恩給局と話しますと大蔵省相手にものを言っているようなことなんです。私が満日ケースというのを強引に押し通したところが、松澤雄藏さんを説得して、そうして大蔵省の数字が全部ぶん流れて、新聞がやたら書くのですね。私は袋だたきなんだ、あのときに。だけれどもとうとう通っちゃった。そうしたらまた今度はその先にいろいろとくっついてくる。ずいぶんたたかれたけれども、ずいぶんあれで助かった人はいるのです。そうでしょう。政策会社なんですから、満州は。だからそういうことで、やはり私は、ここまで来るとこれは決断が要る。これは、恩給法というワクの中におる方々というのは、横綱一代制じゃありませんけれども、横綱だって、大鵬という横綱がやめれば、一生大鵬で親方やっていけるんだから。そうすると、いまおられる遺族の方々を含めて、この方々がいなくなってしまえば、恩給法対象者はなくなっちゃうのですね。そうでしょう。  これも前に私、言いましたが、全逓信労働組合なるものがあって、実は三公社のうちの国鉄、専売が先に共済年金制度に切りかわって、電電公社が追っかけた。恩給納金を払っていれば十七年間で三割三分三厘のものが、共済年金になったら最低四割と、こういったものだから、これはだれだって、公務員やっていればよけいもらいたいのはあたりまえだ。そういうことで行かなければいかぬというので、大蔵省の岸本給与課長とぼくは話したけれども話にならぬ。それならばもう議員立法で押し通せということで、参議院から永岡、横川両議員を当時代表に立てて、なけなしの全逓の財政の中から百万金出して、何としても国会活動をわれわれがやって通そうということで始めた。二国会にわたって論議していった。ところが岸本さんが、当時、各省みんな集めて、全逓の提案もこれありということで話をされて、三十三年だと思いましたけれども、五現業は一括共済に持っていけ。その中で、さてアルコール専売みたいに数の少ないところはどうするかという問題などが出ましたが、結果的に五現業は全部共済年金になる。さて地方公務員の場合も現業はそういうふうになるということになったわけです。これも一つの決断が要った。  だから、その結果、年寄り一代制で消えていくことははっきりしているのだから、だとすれば、制度化ができたのだという気持ちで安心して、退職公務員の方々が長年悲願で待っていたのだから、そういう意味で恩給法だけなるべく早く切り離す。事情が違うのだから。なぐなってしまうのだから。対象者がいなくなれば、この法律は要らないのだから。そうだとすれば、それだけ切り離してなぜやらないかということを私は言いたい。なぜそれができないか。ほかとの関連があるといったって、中身は明確に違う。なくなってしまうのだ。終わりがあるのですからね。今回の共済年金制度は終わりがないのだから。そうでしょう。だから恩給法の対象になる方々については決着をつける。私はあたりまえのことだと思うのですよ。だから皆さんが言うように、いま恩給局が大蔵省の干渉をいささか弱めて——これはいささかでしょうな。恩給制度審議会だって、中身は大蔵省が入ってやっていたのだから。いささか弱めて、積み残しなんかありましたけれども、恩給方式をとった。そこまで来たのだから、それはめったに変えちれないという総務長官の前回の答弁もあるのだから、だとすれば、一歩踏み出して制度化したって一向に差しつかえない、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  258. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまの実際上の予算編成でルール化したものを、これを法律の根拠を持ったいわゆるスライドというものにしろというのも、これはきわめて現実的な意見だと思います。しかし、一たんスライド制ということになると、いまの、前年度の公務員給与の実績、物価というものをもとにして、実際の実行は翌々年の十月から支給が始まるというやり方は一体どうなるのかという問題になりますし、しからば当該年度の公務員のベースアップそのものをとったらどうだ。しかし、物価は見通しが立たない、しからば公務員の給与だけとるかということになりますと、これまた公務員給与の勧告の時期との問題等もあり、完全実施も、一方においてそれが大体においてルール化したということで、ことしは四月からだろうか、五月からだろうかという問題はあるにしても、勧告さえすれば政府はやるのだということに一応ルール化されたと見ても、これはやはり当該年度の公務員給与をとるのかどうかは問題がある。そうするとやはり一年おくれという意見、あるいは開始時期から一年半おくれという意見がなおつきまとうだろう。  ところで恩給だけは、いまおっしゃったように、これはもう一ぺん現役に復帰するということはない。数がふえるわけではない。減る一方であり、いずれは全員が受給者でなくなっていく、失権していくのだ。これはまさにそのとおりですから、恩給だけやってやれないことは、私もないと思うのです。しかし、国の制度として恩給というものをそのように制度化した場合には、恩給法の改正に伴う共済年金の改定とかなんとかいうものはやはり絶えずやっているわけですから、恩給法がそうなりますならば、実質上それにくっついてくるグループもある。そうすると、はたして恩給と公務員グループだけが自動的にくっついていっていいのかどうか。次の段階の、先ほど具体的に言われましたような国民年金その他というものはどうするのだというようなこと等にも直ちに影響する、こういう議論議論としてありますから、そこで、いまのようなグループ別に、周辺部門である労災も含めれば四ブロックということで進めておりますが、これはやはり四つ全部が同じ共通点のもとに計算基礎が成り立っているわけではありませんから、概念的には、恩給がスライドするならばその他の公的年金も全部ということも言えますけれども、そのスライドのしかたにおいて、国庫負担だけふやしてもらえればそれでいいのだというものもあるし、いや、それはやはり比例報酬部分もあるとか、いろいろありますから、ここらの検討を済まさないで恩給だけ完全にできるかどうか。  ここのところはまあ決断の問題だという話もありますが、しかし、政府の決断としては、これはやはり大蔵省も含めて決断がされなければならないので、私が、いままさに去り行かんとする総務長官が、それをここで、来年からそうしますと言うには、ちょっと責任が持ちかねる。正直に言ってそういう時期にありますので、ただいまの私との質疑応答を受けて、そして恩給局長は、事務当局は残りますし、新しい責任ある大臣もとでそのような検討の具体化が進められることを私も希望します。
  259. 大出俊

    ○大出委員 どうも、いまやまさに去り行かんとする総務長官と、こう言われると、私のほうも、特に山中総務長官にはどうもたいへんお骨折りをかけました、またお世話になりましたと、こう申し上げざるを得ないわけですね。ずいぶんたくさん仕事をしていただきましたから。  だが、これは私の持論でありまして、というよりも、これは総務長官にもずいぶんものを申し上げたわけでございまして、昔きわめて若いときに、一生懸命、慶徳庄意さんなる人事院の給与局次長さんと組んで、まさになれ合いで、おまえさん、官公労事務局長といったって、二十五かそこらのくせに、何で年寄りめいて年金ばかり、恩給ばかりやっているのだと言われながら、研究の成果云々と公務員法に書いてあるから、だから何とか人事院に恩給勧告を出させたいと苦労した時期がある。だから私も、これには少し執念めいたものがある。だからそういう意味で、あの時代ほんとうに退職公務員の諸君は苦労をしてきて——当時の方々はいまはもうほとんどなくなっているわけですが、当時は参議院の松島さんだとか群馬地方区の野本品吉さんだとかいう方々が、退職公務員等に対して一生懸命やっていたわけです。だからあの方々にもその悲願が残っておると思う。だから、せめてここまで来ればこのあたりで割り切りたい、割り切っていただきたい。  そうしてそのことが、波及効果という意味で波及するかもしれない。しかし、そのことは、たとえば給与にしたって同じことが言えるので、家の中の扶養手当というものが中心になっていた。そうしたら今度は通勤ということで、通勤の交通費を出せということになってきた。そうしたら今度は、すぐ住宅について金を出せということで、そういうワクができた。つまり給与というものの本体が生活給付部門にずっと流れてきているわけです。これは給与の絶対額が少ないわけですからね。そうだとすると、せめて恩給については、これを制度化しろと言っているのだから、恩給審議会の答申も四十四年三月に出ているのですし、せっかく政府が有権解釈まで含めて、調整規定の解釈まで含めて預けて、その上で出ているのですから。しかもその中の三本立て俸給表というものは片づいたのですから。そうだとすると、会長さんは新居さんですか、新居さんがここで私の質問にお答えになったように、そのとき政府は、その新居さんの御発言を尊重しますと答弁されている。それをしもやらないというのは私は怠慢ではないかと思う。  もう一つ、実はいま総務長官が、物価あるいは公務員賃金と、こう言われましたが、本委員会は公務員の賃金を中心に考えていくということを附帯決議にしているのですよ。皆さんの答弁は、それは尊重しますとなっているのですよ。そうなりますと、わが国の特殊事情からいって、公務員の賃金のほうが物価を上回っているという現状からすれば、あるいは物価というものは下がる時期もある。佐藤内閣ではないかもしらぬけれども、将来に向かってあり得る。そうだとすると、一番安定するのは何かというと、現職公務員の賃金である。わが国の場合にはこう申し上げたいわけです。だからそういう意味で、せっかく附帯決議の趣旨もこれあり、そこらのところを中心にして、この際消えていく方々なんだから割り切る。  そうして、あわせて一つ問題となるのは、さっき総務長官がいみじくもおっしゃったように、見方によりますけれども、実質一年半のおくれ。一年間といっても、四月の会計年度からいえば、実施は十月ですから一年半になる。だからこの一年半おくれておるということは不合理なので、できるだけ縮める。人事院の給与の勧告だって、やれ十月だ、九月だ、八月だ、七月だということで、しまいには完全実施と、こうなったわけだから、そうだとすると、このおくれというものも、そんな十月とは言わないで、予算当局のなにもあるのだが、ことしはこの通常国会で上がれば実施できるのですから、そうだとすれば、十月というのは試案なんだから、八月にするとか、あるいは六月にするとかもう少し考えて、一年半のおくれというものを詰めていく。こういうふうに考えていったって、一向に差しつかえないのではないか。そういうことをしないで、十月だ、十月だといっていままで流れてくるということでは、片や軍人恩給なんか改善してもいいようなくあいに——私はその足を引っぱる気は毛頭ないけれども、そっちのほうばかり金を使って、たしか今回文官のほうでは七十八億かそこらのはずでございますけれども、そうでしょう。そうなると、これはまことに陳腐なものができ上がる。だからもう少し古い、つまりわれわれの大先輩である公務員の方々がやめて恩給をもらっているのです。したがって、そこらの方々が安心ができるようにこの際やってあげる必要がありはせぬかということなんです。  まさに、いまや去り行く総務長官とおっしゃられると、何か言ってもしようがない気がするのですけれども、これは持論ですから、言うだけのことは言わしていただかぬと困る。あと今度、恩給局長さんもあるいはかわるかもしれぬけれども、きのうきょう恩給局長になられたはずじゃないですから、その意味では、そこらのところを総務長官は前向きでと答えておられるのですから、あとどなたになられるにせよ、恩給局長さんのほうは何とか前向きでということになりませんですか。
  260. 平川幸藏

    ○平川政府委員 私といたしましては、そういう意を体しまして、できるだけ研究をし検討をし努力はしてまいりたいと思いますが、ただやはり公務員恩給は、先ほど私が申し上げましたように、他の年金にも全く同一の文句の調整規定があるわけなんです。そういうことで、私も公務員の一員でございますから、もちろん恩給局長でありますけれども、かつ一般職の公務員でありますから、そういうこともやはり横に見ながら考えていく立場にないわけではないわけですから、よく検討いたします。
  261. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほどは率直な話をしましたけれども、私はその事務引き継ぎというものをいたしますときに、やはり二年半もやりましたから、何の問題点がこの問題については残っておるか、各部局ごとに大体承知しております。したがって、それらのもので、大体そういう方向に行くべきものであり、かつ未解決であるというようなもの等については、一定の方向等を引き継ぎの際に私もはっきりしておきたいと思うのです。その意味で、恩給だけをスライド制にしますということは申しませんが、時代というものはもう来るところまで来ておる、したがって、検討はしてもいるけれども、しかし作業はそちらの方向に向かって進めてもらいたいということを私としては引き継ぎをしたい、そう思います。
  262. 大出俊

    ○大出委員 平川さんはいま、たいへんわかった話が前段にありまして、あとのほうはさっぱりわからぬ話になりましたが、気持ちのほどは私もわかるのです。総務長官も、いま恩給の問題で残っているのは何かということははっきりしているのだから、また天下の趨勢もそういう流れ方になっていると思うから、あとだれがやられるにせよ、その辺ははっきり引き継いでおく、こういうお話でございますから、たいへんこれは前向きな御答弁をいただいたわけでありますけれども、もう何べんか申し上げましたから、問題の所在は明らかなんでありまして、あともう一つの問題は、一年半ずれるということでなしに何とかこれを詰める、そういう努力のあとが見られるようにしていただきたい、この点を申し上げておきたいわけであります。  そこで、時間の関係もございますので少し中身に入らしていただきたいのでありますが、いまの問題の締めくくりとして、例のいまお話を申し上げておりました公的年金制度調整連絡会議でございますが、どのくらいのめど、どのくらいの目途を持って進めておられるのか。四十二年でございますかね、できたのは。そうでしょう。これを際限なくやっているのだということでは、やはり世間一般へ見せかけになるということになりますから、そこらのところは一体どうなのかという点を締めくくりにお聞かせいただきたい。
  263. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、恩給局長は構成メンバーであるだけで、実は官房審議室長が主催しておりますから、かわって私が、全体知っておりますので御答弁いたしますが、最初に出発した当時の検討の基本的な姿勢というものから、四つのブロックに分けて、共通部門、著しく反する部門、支障となるべき部門、そういうものを洗い出している、こう申しました。そして当面の見通しとして、来年度予算編成において厚生省あたりが、厚生省所管の年金についてスライド制を採用するようなこともちらほら聞いている。そこまで客観情勢が来ておるということを申しましたから、したがってこの中でどこかが飛び出して態度をきめていくような情勢になってまいりますと、もとに戻ってと先ほど申しましたが、恩給はどうする、それに伴ってさしあたりは公務員グループはどうするというような作業に入らなければならない時期に来ておるというふうに思いますので、じゃ何月まで結論出すかと言われますと、これはやはりそこには相反する意見委員も入っておるわけですから、調整連絡会議であっても、調整を成功させまいとする希望を持っておる者もおりますし、そこらのところが予言はできませんけれども、そうこれを隠れみのにしてほうっておく問題ではない。また審議の経過というのも、要求されれば逐次資料を出したりしておるわけですから、そういつまでも、これを引き延ばすための会合を開くだけでは、糊塗できなくなっておると思います。したがって、まあそう遠からずの時期において解決の具体的な案が出てくるであろう、そう思います。
  264. 大出俊

    ○大出委員 回を重ねて申し上げておる問題でございますから、残るところは決断だと私は申し上げておるのですが、これはやってできないことではないわけですから、こまかいことを言ってもしかたがありませんけれども、意のあるところはおくみ取りいただいてぜひひとつ前に進めていただきたいと思います。  そこで、今回のこの恩給の改正でございますけれども、数々の質問が出ているようでありますから、なるべく能率的に実は要点を承ってまいりたいのでありますけれども、まず、退職年次に基づきまして、いままでの、つまり仮定俸給表のつくり方と言ったらいいのですか、これを今度は掛け合わせた比率で出しておられますね、法律上。昭和三十五年四月一日から昭和三十六年三月三十一日までは二・〇三七である、昭和三十六年四月一日から昭和三十七年三月三十一日までは一・八九七であるというふうにですね。昭和四十四年の四月一日から昭和四十五年三月三十一日までは一・一〇一である。この一・一〇一をとれば、つまり二回のやつを掛け合わせたかっこうだと思うのです、筋道は。いままでのように歩かしてやってきたのをここで比率で出した、掛け算で出したということですね。  私、実は、ある横浜市の退職者の方々のお集まりのところで、一つ文書が流れておりまして、本年はいずれかを選択することになっておるから、どっちが有利か検討してくれと出ていまして、ちょっと私も中身を取り違えてものを言った。これは私のミスでございましたが、それはなぜかというと、そう何も大きな違いじゃないんじゃないかという頭があったからです。だから、どこが違うのか、こういう聞き方をしなければならぬのですが、特別昇給やなんか、そういう制度を持っておるところの場合は、それが仮定俸給表の上にのってこないということになると、あるいはそれが得になるのかもしらぬというふうに思います。つまり、どういう動機で、単に、わかりにくいからだれにでもわかるようにしたんだということだけなのか。あるいは何か皆さんのほうにこういう形にする意図が別にあるのか。したがって、前のシステムはこうであって今度はこうなった、どこが違うのかというふうな点を、これは個々の該当者にするといろいろと議論のあるところでありますから、少し詳細に御説明いただきたいと思います。
  265. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実はこの基本的な考え方は、まさに、先ほどの公的年金調整連絡会議におきまして、基本的な問題、と同時に、給与改定の簡便な方式ということを動機にされたわけです。先ほどの報告の中に、私、落としましたけれども、実はそれが一つありまして、そのほうは結論が出たわけです。  それで、この方式を採用したところで、持つ意味は具体的にどういう意味なのかということを申し上げますと、これは私、共済のことを申し上げるとあれですけれども、実は共済が、毎年毎年退職者が出るわけですけれども、極端な話が、いま退職した人はもちろんベースアップはありませんけれども、二、三年前に退職した人に対してどういうベースアップをやるかということになりますと、いま先生が言われましたように、ころがしと言われましたが、たまたまわれわれ、ころがし、ころがしと言っておりますけれども、退職時の俸給をとることはもちろんでありますが、本人の給与上有利なほうをとらすために、昭和三十五年三月三十一日において占めておった官職をそのまま引き延ばしまして、それでいろいろ積み上げまして、それで有利であれば有利なほうを選択させる、こういうやり方をやっておったわけですが、恩給法は実際は御承知のように三十四年で終わりなんです。したがって、事実問題としてはこれは該当者はほとんどいません。ただし、昭和三十七年十二月一日まで地方共済がありますから、地方公務員の中には、旧内務省から行って地方にずっと公務員でおる人がいますから、これは恩給法を準用いたしますから、そういう人には例外的には適用になりますが、主として、いま申し上げましたそういうやり方をやっておりますと、共済改定に非常に日にちがかかるわけであります。それでいろいろ問題がありまして、共済のほうからも積極的な提案があり、われわれとしてもそれに賛成した。実際問題として、これをやりますと、改定方式が非常に早くなって、退職者に対するベースアップが急速に行なわれるという利点を持っております。
  266. 大出俊

    ○大出委員 これは本年はいずれかを選択するわけですね。そしてそれ以降はこの方式でいく、こういうわけですか。
  267. 平川幸藏

    ○平川政府委員 そのとおりでございます。
  268. 大出俊

    ○大出委員 まあ理屈があるのですから、それ以上ものを言ってもしかたがありませんけれども。つまり、いまお話しのようなことを考えたから、簡便な方法、こういう形でやっていこうということにしたのだ。特にこれは、地方公務員なんかも条例できめていくわけでありますが、その辺のところまで御検討になりましたですか。
  269. 平川幸藏

    ○平川政府委員 先生御指摘のとおり、恩給法を適用される人でない地方の吏員というのは、各県における条例できめることになります。実際上、条例は恩給法に右へならえというのが事実上でございます。したがいまして、おそらく時期は各県によってまちまちでございますけれども、必ずと私は保証はできませんけれども、過去の実例から申しますと、このとおりにされるもの、このように考えております。
  270. 大出俊

    ○大出委員 だから私の聞いているのは、検討をされて地方公務員の場合にはどうなるのか、これでいった場合に。つまり、選択と、こう言っているものですから、いずれを選択するかということになるものですから。つまり、地方公務員の場合でも、本年は旧計算方式でいくか、これでいくかということですな。そうなるのじゃないですか。
  271. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実はこれは本人の選択ではなくて、計算はこちらのほうでいたしまして、それで高いほうの額をとっていただく、こういう結果になるわけであります。
  272. 大出俊

    ○大出委員 待ってください。本人の選択ではない、そうすると自治体の場合は——もう一ぺん言いますが、特別昇給だなんだという方があった場合には、それが入ってくるとなれば、新しいほうが得だという理屈だって出てくるわけですね。そうでしょう。そうなると、地方自治体の場合に、本人の選択ではない、こちらで計算するとおっしゃるのだけれども、あなたおっしゃるように、条例ですから、準じてかってにきめるのですからね。そこのところはどうも妙な話です。
  273. 平川幸藏

    ○平川政府委員 訂正いたします。これは本人の選択でございまして、本人がどちらか有利なほうを選択するということでございます。
  274. 大出俊

    ○大出委員 つまり、そっちで計算してこうやれというのじゃ選択じゃないので、妙なことをおっしゃると思って聞き直したわけです。したがいまして、地方自治体の側で、あなたはこっちのほうが有利ですよ、あなたはこっちのほうが有利ですよという、つまりそういう計算をしてあげることはいいですけれども、有利ですよと言われて、じゃいいほうをやってください。しかし、これは結論は、やはり本人が高いほうをとろうというわけですから、個々にみな違うわけですから、そういう意味では選択でしょう。  だから、私が申し上げているのは、国家公務員の場合でも、一五%なら一五%の特別昇給のワクがありますね。かというと、公共企業体なんかの場合は、郵政省みたいに特別昇給制度がないところもある。違うわけですね、そういう意味では。だから地方自治体の場合に特別昇給をさせていますね。そうすると、つまりそう意味でどういうところがどう有利になるかという、地方自治体の俸給体系に立って持っている仮定俸給をながめて、どういう計算をどういうふうに考えたら、地方自治体の皆さんの場合に、たとえば横浜市なら横浜市という自治体はどうなるかというようなことが、簡便な方法をとったといいながらも、皆さんのほうに、こうこうこういうケースの人はよくなりますということがないと、なかなかむずかしいんですよ。恩給法というのはわかりづらいから。山中総務長官の代になってずいぶん御苦労なさって冊子をつくっていただいた。法律というのは、官報に載っかれば国民は知っていなければならぬたてまえですが、私はあした税金の問題で質問するつもりでおりますが、税金だって、国民は全部税法を知っているたてまえになっている。ところが、国民はわかりゃしないのですよ、現実は。だから、これはぽんとほうり出して、集まった退職公務員に、皆さん、これを選択してくださいと言ったって、わけがわからぬでしょう。だから、こういうものを書いて、こういうわけですが、おたくはと、こういうふうなことをやっているところもある。そういう意味で、もう少しきめこまかに、選択をする立場に立った人たちに、これはこうなりますということを、やはり皆さんのほうから言わなきゃならぬ。  この中を見ると、横浜市の場合、得になるか損になるかよくわからぬと書いてある。組合のほうが話しているんだけれども。そうでしょう。そうすると、わからぬじゃ困るんですよ。実際にはわからなきゃ選択できないですから。じゃ選択しろと言ったって、七十過ぎちゃって八十くらいの人もいるんだから。いまの世の中に明治は五%しか住んでいないけれども、その五%の人は実際いるんだから。その人はよく目が見えない。私だってめがねをかけなきゃよく見えないんですから。その方々に、おまえさん、このこまかい数字はじいてみろと言ったって、できないですよ。だからそこらはどうなるのか。そこらをもう少しきめこまかな御説明を願えないか、こう申し上げているんですよ。
  275. 平川幸藏

    ○平川政府委員 このころがしというのは、実はいままでやっておったことでございまして、したがいまして、そのこと自体につきましての事務は、もう各都道府県なれております。したがいまして、これは法律上は選択でありますけれども、毎年こういうやり方をやってきましたから、実際上はサービスとしまして、各府県の持っている恩給受給者数というのはそんなに多いわけじゃありませんから、事実上、計算してあげて便宜をはかっておるというのが実情でございます。  で、いま申されました特別昇給につきましても、これはすべて認めておりますから、実際問題としまして、特にこれを設けたからといいまして、計算方法のベースアップ率も、これはうしろからかけていく方法ですから、非常に便利な方法をとったというだけでありまして、実際もころがしをやっておりますから、その点についての支障はない、このように考えております。
  276. 大出俊

    ○大出委員 平川さん、つまり、本年は選択というから、どっちかが得なんだ。新しい方式が得ならば、選択の必要はないんだ。よくなるんだから。そうでしょう。そうすると、前の計算のほうがよくなる場合があれば、本年は選択で済むようになる。だれも損するのはいやなんだから。新しい方式をお考えになって、こっちがいいんですよと言うんだったら、これは文句なしにずばりこれでいけばいいでしょう。そうでしょう。選択という限りは、前の計算方法でやったほうが有利な人がいるという想定に立たなければ選択の必要はない。選択方式でやったほうが有利になる人がいる。何人か、それはわかりませんが、いる。いるという前提なら、今度は、これはやったら損になるから、本年は選択ですよ、これは理屈はわかる。ところが、この新しい計算方式のほうが特別昇給も何もいいんだというなら、選択の余地はないですよ。いいほうをとればいいんだから事は簡単です。だから私の言うのは、旧計算のほうがよくなるというのはどういう人がよくなるんだ。前の計算をしたほうがよくなる、それはどういう人がよくなるのか。そうでしょう。だからこの人の場合には、この計算方式なら損をすることになるんだから。あなたのいまの選択だというならば、そういう前の計算でよくなる人がいる。全部新計算がいいんですというなら、選択もヘチマもない。そこを聞いている。どうなんです。
  277. 平川幸藏

    ○平川政府委員 これは基本的には先生言われましたように、個々の個人によって差はあるわけですが、一般的には、給与改善率が悪かった人はころがしのほうがよくなる、このように考えます。これはやはり、ころがしを事務当局が各府県でやってみまして、できるだけサービスするということになるわけですが、一般的には、私、申し上げましたように、改善率が悪い人がよくなる、このように考えております。
  278. 大出俊

    ○大出委員 だからそうなれば、この選択はことしだけなんだから、来年度以降これでやっていくとなると、来年は選択じゃないでしょう。そうすると、改善率が悪い人は、改善率が悪いということで現職のときに不利だったということになる。そうでしょう。いまの説明だとそうなりませんか。その人がかりに新計算がいいなら、旧計算だと改善率の悪い人は不遇なんだから、いろいろな差はありましょうが、その人が、じゃまた計算上不利になるということになるんですか、来年選択をやめてしまえば。
  279. 平川幸藏

    ○平川政府委員 今後の問題は、これは一たんのってしまいますと、これでかけていきますから、したがって、その問題につきましては機械的に解消していく、こういうことになります。
  280. 大出俊

    ○大出委員 解消するんじゃなくて、法律が改正されるからしかたがなくそうなるんでしょう。いいですか、もう一ぺん聞きますが、そこのところ説明してくださいよ。だって、三十五年ですか、二万円ベースのときからの計算ですから、それでころがしたほうがよくなるんだという人がいるならば——いまのお話じゃ、いるというわけでしょう。前の計算のほうがよくなる人がいるんでしょう。まずそこはどうなるんですか。区切っていきましょう。
  281. 平川幸藏

    ○平川政府委員 この問題につきましては、確かに技術的な問題がからんでおります。で、私は、いま具体的な例を持っておりませんからあれですけれども、こういう面につきましては、いま総務長官からも言われましたので、できるだけ具体的によくわかるような事例、これは千差万別でございますから、あらゆる場合というわけにはいきませんけれども、ある典型的な例をとりまして行政指導をよくしたいというように考えております。
  282. 大出俊

    ○大出委員 私、こう考えているんですよ。ことしだけ選択という意味は、さっき申し上げたように古い計算方式、ころがし方式のほうが有利であるという人がいる。そして新しい方式が有利になる人もいる。だから、自分というものを中心に考えた場合に、おれはこっちを選んだほうが有利だからというのでそっちにのる、おれはこっちのほうが有利だからというのでこっちにのる。これが選択です。そうでしょう。そうすると不利になる人がいるわけですね。  だから、不利になる人がいるんだという前提ならば、私がさっき幾つか例をあげましたが、平川さんは千差万別とおっしゃるけれども、あなた方がこういう法律を出しているのでしょう。政府という立場でこれを提案したのでしょう。提案している皆さんにどうなんだと聞いたって、さっぱり答弁ならぬようなことでは、私どもは責任をもってこれを通した場合に、あとになったら、おれはこういうケースなんだけれども、旧計算でいけばこうなって新計算ではこうなる、こんなに損するという人が出てきたらどうしますか。その責任は、それはわかりませんでしたで済みますか。それがたとえば幾らの金額であっても、本人の長年働いた実績に立っての給与、これが基礎なんですから、そんな無責任なことできません。私、これ以上質問しません。資料を全部出してください。
  283. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは事務的に、こういう改正をいたしました、しかるべく選択してくださいと言うだけで、おっしゃるとおり千差万別と言ったって、これはケースによってはっきり分かれる問題ですから、こういうケースの人は、従前どおりの、俗に言うころがし方式のほうが有利でございます、こういうケースの人は今回の選択の新しい制度を採用なさったほうが有利でございますというようなものさしをつくって地方に——それをちょっと局長は、法律で書かなければならぬ、こう思っておったらしいのですが、そうじゃなくて、地方の実務者にそれを流して、実務者のほうは、それを各受給者の団体その他に全部流して、自分たちが選択する場合にものさしを自分に当てはめてみる、そういうことをやればよろしいわけです。そういうことをやれと言っておりますから、やらせます。
  284. 大出俊

    ○大出委員 来年また一〇・一%か一二%かわかりませんが、上がったとする。そうすると、来年は今度一本になるわけですね、この計算方式が。ところが、今回この法律改正をしてなければ、来年また、こういうケースの人はよくなる、こういうケースの人は悪くなるという問題が出てくるわけでしょう。そうなるでしょう。この新しい計算方式で有利な人、不利な人は来年の場面で一体どうなりますか。
  285. 平川幸藏

    ○平川政府委員 恩給は新規発生者は文官にはございません。もちろん軍人はございません。したがって先生がいま言われたような点はないと思います。
  286. 大出俊

    ○大出委員 新規発生者はない、それはわかっておりますけれども、さっきから申し上げたとおり、つまりどういうことになるのですか。そうすると、まずここでわからなければ審議できないのです。こういうケースは旧計算方式でいけば有利である、主としてこういうケースは新計算のほうが有利であるという具体例を皆さんのほうで出せるでしょう。それを出していただかなければ、ここに横浜市の組合の退職された方々がみな集まっている席上で、二つの計算方式をどっちか選択せよ、こうなっているんだが、実際にわが横浜市の俸給体系からいって、どれが有利になってどれが不利になるのか、明確でない。だが、特別昇給だ何だかんだというのがあった人の場合はよくなるのではないかと思うという程度の説明しかできない。それしか書いてない。そうでしょう。私もだから、これをひょっと読んで、なかなか読みにくい字だから、よけいわからなかった。勘違いをした。具体的にここで審議しているぼくらが、法律を通せということなんですから、通ったあとで、いやしまった、損だ得だということが出てきた、旧計算のほうがよかったということになるのかならぬのかという問題も含めて、そこらをわからぬで議論するわけにいかない。そうでしょう。そんな無責任なことはできない。だからどういうケースはよくなって、どういうケースはよくならぬのかということがはっきりしませんと、その人が将来この方式でいった場合に、つまりいまの旧計算方式を選択した人、これはあなたのほうはいろいろおっしゃるけれども、この法律改正をしなければ、いままでのころがし方式で来年行ったとする。来年上がる。そうすると、来年これを出せば、やはりそこは選択が出てくるのですから、損得があるのですから、どっちにしても皆さんのほうで、こうこういうケースはこうなる、それは将来に向かってどうなるかということを含めて具体的な例示をお出しいただきたいと思います。
  287. 平川幸藏

    ○平川政府委員 具体的な事例につきましては提出いたします。
  288. 大出俊

    ○大出委員 それでは、これは、きょうはほかの党の方がおいでにならぬで、あしたにしてくれというお話ですから、ひとつあす具体的な例示をここに出していただけませんか。私どもが知らないで通せぬでしょう。責任の負えないものは通せませんよ。
  289. 平川幸藏

    ○平川政府委員 できるだけ短時間のうちに作成しまして出しますから、しばらく時間を猶予いただきます。
  290. 大出俊

    ○大出委員 その場合、これは右へならえをいたしますから、さっき申し上げたように、自治体も条例でこの趣旨に基づいて手直しをしていくのですから、たとえば、東京都でもけっこうですし、横浜市でもけっこうですが、一体そっちのほうはどうなんだ。皆さん連絡があるのですから、特に自治体の場合に数が多いのですから、いろいろなケースがあると思う。そこらも含めて御検討いただいておかないと、わが守備範囲は国家公務員ですと言ってもそうはいかない。みんな準ずるのですから。この法律が通ればすぐ自治体は条例の改正をやるのです。だから、そこらまで含めてどうなるかということを、アウトラインがわかるような例示のしかたをしていただきたい。調査室の皆さん方にもいろいろ承ってみましたが、こんなことだろうという研究の成果は承っていますけれども、ただそれだけではどうも心もとない。もう一歩突っ込むと、具体的にどうなんだという例示はない。だから、そこのところあたりを、あとでは困るので、法律を通すにあたって、実はこうなんだということでないと困る。そういう意味でひとつお出しをいただきたいと思います。  そこで、あとこの中身でございますが、幾つか承っておきたいのでありますけれども、戦没者遺族、傷病者及び老齢者に対する優遇措置というのがございますね。これは六十五歳、年齢の引き下げですね。これはつまり仮定俸給の格づけ是正というかっこうになるのだろうと思いますが、この理由は文官との格差があるからという意味だろうと思います。そうすると、去年、文官を二十三年登別の問題を二号と一号是正していますが、これとの比較でどうなりますか。
  291. 平川幸藏

    ○平川政府委員 その前提といたしまして、昭和四十四年に、軍人の実在職年の長期の人につきまして、三号、二号、一号上げたわけでございます。それに見合いまして、軍人の仮定俸給というものは、御承知のように、在職年の長短にかかわらず、たとえば月額大尉の一級は千八百円であり、大尉の三級は千四百円でありましても、恩給の仮定俸給は一本なわけでございます。その理論に基づきまして、三年前に准士官以下は三号、尉官二号、佐官一号上げたわけでございます。したがって、短期在職の人もこれに合わせる、こういう理論的な根拠でございます。
  292. 大出俊

    ○大出委員 今回一〇・一%引き上げることになるわけでありますけれども、文官の場合でも、昨年二号と一号の是正というのがございますけれども、下が千百四十円以下でございますか。上が千百四十円から千六百二十円というところですか。私は別に、軍人恩給を上げることに反対しておりませんけれども、何かどうも全体を通じて感ずる感じ方は、少し文官が気の毒だという感じがするところがある。おたくはそういう意味で、何か七十万ぐらいの要求をお出しになったはずなんですけれども、最後にワクをはめて、やっつけ仕事みたいな感じがしましたが、百四万円になったわけですね。そうすると、傷病恩給年額の増額なんていうものも含めまして、どうも少し、あるいはだいぶこっちのほうに金が行き過ぎた——悪いという意味じゃないですよ。私は、この種のものはみんなよくならなければいかぬのですから、片方によけい行き過ぎたら、こっちにはなぜもっといかないんだという言い方をしたいわけです。皆さんだって、おやめになるときに恩給をおとりになるときは——山中さんは別ですけれども、あるいは衆議院議員でございますから、そういう意味で、またそっちのほうでもらうということになるかもしれません。しかし、官庁などじゃないはずであります。ここにおいでになる皆さんをながめたって、坂村さんだって農林省で、みんな恩給の経験のある人でありますから。だから、ここまで来ると、今日的物価の上昇その他を考えまして、できることはしなければならぬという立場に立つと、少しどうもいま指摘をいたしております戦没者遺族、傷病者及び老齢者に対する優遇措置というものに見合う文官ということになると、少し力が入っていないんじゃないかという気がするのでありますが……。そういう意味で、大体前にこう述べたというのはわかりますよ。ここに書いてあるんですからわかりますけれども、その辺のところはどういうふうに恩給局はお考えになっておったかという一番奥にあるものを聞きたいわけです。
  293. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実はこの増加恩給一項症百四万円は、文官にも適用になります。御承知のように、現在は傷病恩給全額につきましては、軍人、文官とも階級なしの同一額ということになっております。
  294. 大出俊

    ○大出委員 私の言っておるのは、全体をながめてみても、どうも少し軍人関係の方々に力が入り過ぎているんじゃないか。これは予測もしない金がくっついたということになるかもしれませんけれども。首をかしげなくてもいいんですよ、わかって聞いているんですから。そこらがどうも気になる点であります。  それから、時間がございませんから、あまりおそくなるのもかないませんから、かけ足で申し上げておきますが、公務関係の扶助料の年額の増額がございますね。これは公務扶助料の最低保障額を年額二十四万円でおきめになったということですね。大体この辺のところは幅は何%くらいになりますか。
  295. 平川幸藏

    ○平川政府委員 二十四万円でありますと、三八%アップであります。
  296. 大出俊

    ○大出委員 正確に言えば三八・一%ですね。そうでしょう。そうすると、文官との関係は、ここではどういうことになりますか。
  297. 平川幸藏

    ○平川政府委員 文官につきましても、兵の仮定俸給でこれに満たないものにつきましても、もちろんこれは適用されます。
  298. 大出俊

    ○大出委員 だいぶ閑散とした委員会になっておりますので、一応みな承りまして、それから少し議論をしたいのでありますが、傷病恩給の年額の増額。先ほど申し上げましたが、つまり現行の五十五万九千円ですか、これを百四万円に引き上げるんですね。これは八六%くらいの引き上げになるのでしょうけれども、ここのところはどういう考え方が基礎にあるのですか。
  299. 平川幸藏

    ○平川政府委員 理由は二点、ございまして、まず第一点は、公務扶助料と増加恩給第一項症のバランスを軍人恩給復活当時のバランスに戻したということでございます。つまり軍人恩給復活の当時は、公務扶助料が二万六千七百円であった。それを二十四万円に引き上げますと、八・九七倍になります。バランスをとるために、軍人恩給復活当時の第一項症が十一万六千円でございますが、その十一万六千円を八・九七倍しますと百四万円ということになります。  ところで、もう一つ、実はこの問題につきましては、われわれといたしましても、恩給審議会の答申に傷病恩給の年額の決定につきましては、その障害の与える影響、現に存する障害の内容等を考慮して決定すべきであるが、他の公的年金との均衡も考慮してきめるべきであるという、実は抽象的な審議会の答申があったわけであります。これにつきまして、われわれとしてもいろいろ検討しておったわけでありますけれども、大体、平均的な国家公務員の給与は、一番ばらつきが多いところが五等級の九号になると思いますが、それを一応めどといたしまして、その方が国家公務員災害補償法と共済年金を受けますと百二十万八千円くらいになるわけですが、いま申し上げました百四万円には、これは増加恩給ですから、必ず普通恩給九万四千円がつきます。それと俗に介護手当といいますけれども、二項症以上の人には三万六千円がつく。それから妻一人と仮定いたしますと二万四千円がつく。これを合わせますと百十九万円になりますが、ほぼそういうところをめどにして、先ほど申し上げました公務扶助料と第一項症とのバランスを軍人恩給復活当時に戻すということと、二つの点からそういう百四万円を算出したわけでございます。
  300. 大出俊

    ○大出委員 これは前にも、他の方からこの質問が出ているように思いますから、どうもあまり平川さんに意地の悪い質問をする気はないのですけれども、最初は皆さんのほうの恩給局は、何も百四万円要求したのじゃないんじゃないですか。どうですか。五十五万九千円を大体七十万円くらいに上げればということだったんじゃないですか。だからいまのお話は、あとからくっつけた理屈のような気がするわけでありまして、これは官僚の知恵で、理屈はどうでもつくと思いますが、そこらのところを考えますと、軍人の皆さんのほうに行って悪いというのではない、多くたっていいですけれども、そこらのところはどうも気になるのです。したがって、国家公務員災害補償法による、いまお話しの関係でいえば五等級の九号というのは、大体国家公務員の平均ですね。そうなりますと、これは本来とはいいながらも、現職公務員の給与というのは高いわけですから、そういうことになると、これは必ずしもそのことを理由にしていいかという問題です。そこらのところがどうもひっかかる。だから承ったというわけです。  ここだけ聞いておけばいいのですが、最初七十万というのが、何で思わざるところにふえたのですか。
  301. 平川幸藏

    ○平川政府委員 七十万を要求したわけであります。それは二五・二%のアップ率であります。そのときの公務扶助料は、三号、二号、一号上げました平均階級で公務扶助料を出しますから、そうしますと二十一万七千円でございます。現行は十七万三千円でございますが、それが二十一万七千円、二五・二%のアップ率でありまして、それに見合う第一項症が七十万円であります。
  302. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまのような積算の基礎に立って、一応、八月末締め切りの予算要求をしたわけです。ところが反面、ことしの予算編成の姿勢が福祉予算ということで、主として厚生省関係等を中心にして、公共投資等もそういう重点的な傾斜配分予算を編成するということになりまして、これは私ども政府・与党でありますから、打ち明けた話、政府・与党の間で最終的には三役折衝というものまでございますし、予算編成には党の政調会長が立ち合う。これは野党から見れば批判のあるところでありましょうが、政権を取ってごらんになると、これは党の意思をじゅうりんをして予算ができるものじゃありません。そういうときに、私どもとしてはあとから説明をこじつけたのではなくて、党のそういうような要求と、ばく然といえばおかしいのですが、ただ恩給のほうも、最も気の毒な、生きていたことを後悔しているような気の毒な人たちを何とかすべきであるというような概念的な声に対して、私たちが計算し得る限度、すなわち理論的な根拠を持つ金額として私たちのほうが百四万円をはじき出したということでありますから、これはいずれにしても私どもが政府として責任を負うべきものであります。
  303. 大出俊

    ○大出委員 前から申し上げているように、私は何も高いから悪いというのじゃないが、そういうことになると、もう少し考えなければならぬほうが出てくるということを言っているわけです。これは、政権を保持されている立場の皆さんからすれば、それなりのことをやれるのですから、やってくれていいわけですが、別の言い方からすれば、なぜやれるものを早くやらなかったかという言い方が出てくるのです。ここに来てなぜ急にやったんだということになる。前から要望はあったのだ、そういう理屈も出てくるので、恩給局の方々の最初に出したのがたいへんふえたということの間に、新聞がいろいろ書いてあるようなことになってくる。  そういう事情がありますので、それならそれで、一般の公務員恩給についても、最初に戻りますけれども、やれることがあるにもかかわらずなぜやらぬのか。一年六カ月もずれがあるということだって、これは軍人を含めてもちろんいいのですけれども、なぜやろうとしないか。こういうところに返っていきますから、そういう意味で実は承っておきたいと思ったわけです。他意はありません。  たくさんありますけれども、一々ものを言っていきますとだいぶ時間がかかりますので、一つ、在外特殊公社等の期間の通算の問題がございます。その前に、ここで外国特殊法人の九法人が出ているわけでありますが、この関係。これはどういうわけで二つに分けたかということ、いかがでございますか。この五の「外国政府職員等の在職期間の通算条件の緩和」というところなんですけれども、「外国特殊法人とは、次の九法人である」。それから「在外特殊公社等の職員期間の通算」というところがありますね。つまり扱いにおいて違いがありはせぬかということなんです。
  304. 平川幸藏

    ○平川政府委員 外国政府職員の在職期間の通算条件の緩和でございますが、これは御承知のように、外国政府職員を通算する趣旨は、公務員の在職期間がある人に、終戦という事態がなかりせばおそらく通算されたであろう在職年を、終戦という事態に着目いたしましてそれを通算する、こういうことでありますから、条件があるわけでございますが、その条件の一つに、八月八日まで在職したことが条件になっておるわけであります。したがいまして、八月八日以前に退職した人につきましては、その理由がいかなる理由であろうとも、通算ができないということになっておったわけでございますが、今回、八月八日以前に外国政府職員を退職しましても、たとえば要請によって日本の公務員になったというような人につきましては、八月八日まで外国政府職員として在職したものと同視して通算をするという条件の緩和でありまして、したがいまして分けたわけでございます。  第二は、第六は在外機関の国策会社、たとえば満拓とか六公社ございますが、これとコロンス共同租界工部局を外国特殊行政機関として新たに通算しようという通算期間の認定の問題でございますから、分けたわけでございます。
  305. 大出俊

    ○大出委員 いいです。私は越田さんという方の例をあげて、直接おいでになった方でございまして、矛盾じゃないかということを再三申し上げた。なかなか色よい返事をいただけませんでしたが、ようやくこれは私が指摘したとおりになったのですから、私は別にこれに反対じゃないのですが、ただ特殊法人、公社等の性格の相違というものがあるかもしれない。だけれども、どうもそこに扱いが違うということになると、また先々いろいろ問題が出てきやせぬかという心配があって、あげてみたのですが、今回は、だからといってこれを直せとかなんとか言っても、そう簡単に皆さんが、そうですかというわけにまいらぬでしょうけれども、そこだけ申し上げておいて、先々いろいろな問題が出てまいりますから、そこでまた御相談をいただくということにしたいと思います。時間がありませんから簡単に聞いたわけでありますけれども、趣旨はそういうことであります。  そこで、最近いろいろ陳情が来ておりまして、「外国政府職員の恩給問題に関する陳情満蒙関係恩給法改正期成同盟」、こういうのがございますが、皆さんの手元に行っておりますか。一は「昭和二十年八月八日前に、自己の意思によらず、国策によって官吏を退職し、他に転職せしめられた者の通算」、二が「「日−満ケース」の者で、昭和二十年八月八日前に死亡した者の通算」、これが該当人員百二十人になっております。三番目が「「満一色」の者の抑留・留用期間の通算(「満−日ケース」に準ずるものとして通算すること)」、これが五十人。四番目は「終戦時まで在職し、引揚げ前に海外において死亡した者の通算」、これが三十人。五番目は「除隊軍人から採用された者の中に起る矛盾の是正(応召者と非応召者との不権衡問題)」、これが二百人。第六番目は「「日−満ケース」の仮定俸給の定め方の改善(仮定昇給率を引上げる問題)」、これが百二十人。付記がありまして、(一)が「前記の第一と第二は、四十五年五月の通常国会において、山中総務長官が「四十六年度において実施する」と約束したものであります。」、(二)が「また、第四は四十六年度の改正の際、当然に入るべきであったものが脱落したものであります。」、こう書いてありますが、これは皆さん御存じでございますか。せっかくの陳情ですから、一応皆さんのほうの見解をお出しをいただきたいと思います。恩給局に陳情書が行っていないとすれば、あまり恩給局を信用しない、政党間でやってくれという意味なのかもしれませんが、それについての見解を記録に残しておきたいので……。
  306. 平川幸藏

    ○平川政府委員 それでは一つ一つ簡単に私の現在の考え方を申し上げます。  「昭和二十年八月八日前に、自己の意思によらず、国策によって官吏を退職し、他に転職せしめられた者の通算」でございますが、これは他に転職せしめられた者の問題でございまして、先ほど申し上げましたように、日本の公務員の場合はこのたび通算するということになっておりますから、問題は、他に転職せしめられた者というのは何を意味するかということでございますが、現在の日本の公務員以外には認めることは適当でない、このように考えております。  それから、「「日−満ケース」の者で、昭和二十年八月八日前に死亡した者の通算」でございますが、これは先ほど私ちょっと申し上げましたように、やはり八月八日というソ連侵入のときをもって満州国政府はなくなったわけでございますが、その時点までに在職していた人につきまして、そういうケースがなかったならば恩給期間として通算し得たであろう人に対する特例的な措置でございますから、かつまた、恩給審議会の答申も八月八日までに在職しているということを前提としておりますから、そういう者につきましては、現在これは認めることが適当でないというふうに考えます。  それから「「満一色」の者の抑留・留用期間の通算」でございますが、抑留・留用期間の通算はもちろん、満州国だけで恩給を給付するということは私としては適当でない。というのは、外国政府職員を通算するということは、根っこに日本の公務員があって、それに加えられる在職年でございますから、根っこに全然何もない、たとえば極端に言いますと、満鉄だけの職員という者に恩給を給付するということは、現行恩給制度上非常に無理がある、このように考えます。  それから「終戦時まで在職し、引揚げ前に海外において死亡した者の通算」でございますが、これはどういうケースか、実は具体的にちょっとわかりかねます。あるいはわれわれが現在までに措置している中で処理し得るのかどうか、ちょっと抽象的に過ぎまして判断に苦しむわけであります。  それから「除隊軍人から採用された者の中に起る矛盾の是正」、これも実は私どものほうに前もって来ておれば、いろいろ見解を申し上げられたと思いますが、ちょっとこの点につきましては、どういうケースかはかりかねます。これはおそらく日本の軍人から満州国のものに採用されたというような場合でございますが、これは実は恩給法の改正で二年前に救っておる場合があるわけです。たとえば満州で除隊しまして満州国の警察官になったという人がかなりおります。それは御承知のように、満州国政府職員になるためということは軍人の場合は言えないわけです。というのは、身分を拘束されておりまして、自分がきょうやめたいと言っても、これはやめるわけにいきませんから、現役満期を待って満州国で採用した。ところがやはり観念的には、なるためではなかったわけであります。したがいまして、通算にならなかったものを、現役満期とか予備役が完了した、こういった者については、事実上なるためと同視して通算はしております。しかしこれは、おそらくそうでない要求でございますから、これはどういう要求かちょっとわかりませんが……。そういうことにつきましては現在通算しております。  それから「「日−満ケース」の仮定俸給の定め方の改善」の問題でございますけれども、これはケースの内容はわかります。というのは、御承知のように、日本の公務員から満州国へ行った場合におきましては、たとえば満鉄に行ったような場合におきましては、給与が決定できない。というのは、一番終わりが日本国政府の職員ではありませんから、これは一つの擬制をもちまして、日本の公務員を退職したときから一年につき四・五%の昇給率を見ながら仮定俸給をきめていくという便宜的な方法を講じております。これは前の陳情でございますけれども、たしか七%か何かに上げてもらいたいというような要求を私は見たことがございますけれども、実はこの点につきましては、現在の昇給率から見ましても、これは具体的な要求は書いてございませんからわかりませんが、もし七%とするならば、そこまでいくのは少し無理ではなかろうかという感じがいたします。
  307. 大出俊

    ○大出委員 いまここでその中身を議論しましても、さっき申し上げたように、じゃ修正だというわけには手続的にもまいらない。ただ、皆さんのほうで受け取っていないとおっしゃるから、せっかく国会に向けて陳情しているのでありますから、この席上でやはり一通り皆さん方の御意見は出しておいていただきませんと、陳情した人の意思が通らない、そう思いまして……。わからぬとおっしゃいますけれども、そこに冊子になったのを差しあげましたが、私ちょっと斜めに見ましたが、それにこまかいいろいろな説明が入っておりますから、そこらを一ぺんごらんになっていただきまして、そして次の機会に、これはこのあと理事会ということもございますしいろいろいたしますので。いままででも、なかなか恩給局はうんとおっしゃらないことだらけでございましたが、満−日などもそうでございましたが、さっきも申し上げたように、ずいぶん無理してこの委員会を通したケースもあります。だから皆さん方が、これはだめだとおっしゃったからといって、いままでみんなそんなことばかりだったのですが、だめがだんだんだめでなくなって今日まで来ている。軍人恩給それ自体がそうです。そういうことですから、やはり出てきたものはそれなりの今日の時点における理由を述べておいていただくという趣旨なんです。だからそういう意味で、それは後ほど中身に触れて相談をしたい、こう思います。まあ明日でも、それをお読みいただいていまの御答弁で悪い点があれば、まだきょう上げるということはないようでありますから、読んでいただいた上でお答えいただいてけっこうでございますが、そういう趣旨でございます。  時間がございませんので、また連日、私、口をきいておりますので、どうも口をきくのがなかなか骨が折れますから、かけ足で申し上げましたが、そういうことで、恩給に関しましては質問を終わっておきたいと思いますが、どうかひとつ総務長官、制度化なるものについては、公務員を退職された方々の悲願をおくみ取りいただきまして、先ほどの御発言のように、引き継ぐ時期が来れば引き継いでいただきたいと思いますし、また恩給局長のほうからも、前段前向き、後段何か消えたようなお話がございましたが、ひとつそう消えないで、今度こうしましたと言えるようなぐあいに、つまりこの調整会議のほうの作業もなるべく促進をしていただきますようにお願いをいたしまして、終わりたいと存じます。  以上でございます。
  308. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明二日金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会