○大出
委員 ところで問題は、近促協などというものができて、ここで議論している。一番最初草稿ができて、時間がありませんから資料をあげてものを言いませんけれ
ども、中身を読んで私はびっくりしたんですね。海上運送というものがある。陸上運送というものがある。まん中を港湾がつなぐ。海上運送が機械化をされる。陸上運送もコンテナ輸送で戸前から戸前ということで始まる。まん中に港湾がある。この港湾を徹底的に機械化すべきだという発想ですね。人力は要らない。真ん中の港湾を機械化する。海上が機械化されてくる。陸上が機械化されてくる。まん中が機械化されれば人が要らなくなる。つまり輸送コストは思い切ってダウンする、こういう発想です。経済性が強調されている。個々の企業のことを近促協なら近促協が論議するなら、それに対して労働者を含めて、あるいは港に現にある業を含めて、これは船内なんかにしても、横浜の港をながめても、どれもこれもたいした資本ではない。みんな小資本なんです。船舶六グループ、三光汽船あたりとけんかしておるようなたいへんな資本じゃない。ジャパンラインの株を他人名義でどんどん河本さんが買って、株主総会は大荒れだ。幾らもうかるだろう、七十億くらいもうかるんじゃないかというようなこととけたが違う。
だから、そういうところを
考えた場合に、当然国がかくあるべしと言わなければならないんですね。私は港のあるところから出てきまして九年になるんです。子供のときから港をながめて育っているんですから、ずっとその質問を続けているんだけれ
ども、幾ら言ったって国はやろうとしない。これじゃ、港に働く諸君はまことにみじめですよ。政治なんてあるのかないのかということになる。そういう角度から
考えますと、もうおそ過ぎるんですね。ほんとうは、コンテナというものができ始めたころに、一体どうするかということを
考えるべきであって、労働組合の対応だっておそい。ラッシュ船騒ぎになって初めて、回漕協会あたりが、断じて入れない、追い払えと、いみじくも労使一緒になった。だから、横浜の港にトーマス・カフ号が入ってきた、検疫錨地にとめておく。そうすると、はしけがそれを取り巻いてぐるぐる回っているから動けない。結果的に帰らざるを得なくなって帰った。このときからラッシュ船騒ぎが始まったけれ
ども、実はコンテナからやらなければいけないということに気がついた。気がつかなかったんじゃない。ぼくが言ってきたんだけれ
ども、皆さんのほうが対応してくれないということです。逆に言うと組合のほうもそうです。私はよく組合の会合でその話をしたことがあるけれ
ども、人間というのは、どだいせっぱ詰まらなければ本来やらない性格がある。しょうがないといえばしょうがないけれ
ども、せっかく機運ができつつあるのですから、実はきょうここで私が質問する気になったのは、ようやくそういう雰囲気になりつつある。
来月はILOの総会も開かれる。ILOに聞かれて、ぽんと形式的な答えを、これは労働省ですけれ
ども、道正さんがおいでになるが、出しておいたという
程度では困るのです。日本の場合はこれだけの海運国なんですから。何も開発途上国、アフリカじゃないのですから。延々と川をさかのぼらなければ港がないという国じゃないのですから。そうだとすると、もうここで時間的なズレは許されない。やはりはっきりしたものをかかえてILOに行ってもらわなければならぬし、運輸省は運輸省で港湾対策というものを真剣に立てなければならぬときに来ている。そして全国の自治体に号令をかけて、各海運局を使って積極的に港をまとめていくという姿勢にならぬとえらいことになる、こういう心配を実は日本の産業のためにもするのです。そういう
意味で承りたいと思っているのであります。
そこで、先ほど申し上げたストライキの現状なんですが、先月の二十四日から始まっていまだに何の目安もつかない。賃金については、横浜の浜港連という
組織は一発回答で終わっているのですが、これはそれなりの理由がある。いつもいつも横浜の船内
関係の組合の
方々が港湾のストライキの中心的役割りを果たしてきた長い歴史が存在する。つまり中小の業ですから、この業者に働く皆さんの立場からすると、あまりやり過ぎると
自分のところの業をつぶす、他の港に比較して不利になるという企業意識が働く。だから、戦力のある
組織なんだけれ
ども、そこを心配してぽんとおりたという現実が
一つある。ところがさて、
東京のほうは船内の
方々が中心になってがっちり大井のコンテナ埠頭を押えたということになっている。横浜のほうは組合が違う。一番強い船内がおりて、港湾組合の
方々がコンテナ埠頭を押えている、そういう
状況です。関西のほうもありますけれ
ども。これが異常に長期にわたりかねない実情にある。
その中心は何かというと、賃金じゃない。もちろん、生活につながりますから、賃金も必要ではありますけれ
ども、それより以上に、一口に言えば職場確保につながる。確かに、
一つは港湾合理化反対、こういうのでありますが、それが陳情書の中に、あるいは請願書の中に出てきている、もちろん保障給の問題だとかたくさんありますが。
そこでトーマス・カフ号が入ってまいりました。ラッシュ船のときに横浜が三者協議会というものを提唱した。これはアメリカの西海岸でマトソンがコンテナを始めたときに、メカニカルファンドなる機械化基金をつくった先例があります。もちろんそれだけじゃありません。その他の諸
制度は、アメリカの場合には比較的進んでおりますから。そういう中で横浜が、もちろん自治体ですから、予算があるわけじゃない。ないが、港横浜で通っている町だから、おれのところでささやかな先べんをつけてみたらという気になって、港湾管理者の横浜市がものを提案した。そして海運局のおたくの皆さんにも乗っていただき、神奈川県にも乗っていただくということで、まず官庁の三者ベースをつくった。そしてこれを回漕協会に話した。ラッシュ船ですから、これは
関係ははしけです。もちろんコンテナも多少ありますけれ
ども。そこに話をし、組合に話をするという形で、今度そういう
意味の三者協議会なるものをつくった。回を重ねてやってまいりまして、この三者協議会ができ上がったということでほこをおさめて、しかもその中で共同荷受けというものを提案した。という
意味は、資本系列あるいは船会社の系列がありますから、ラッシュ船を扱うところ、そこへ入ってくるものが、その系列の業を通じて仕事が流れてくると、数ある他の業については仕事がなくなるということになる。だから、それを一緒に引き受けて全体に仕事が及ぶようにしようというのが
考え方の中心なんですが、そういうものを提案をした、組合側から。しかし、運輸省の政策もあるし、自治体だけでこれは左右できない。特に労働省の立場があるから、そう簡単にいかない。だがしかし、これができて、とりあえず、はしけ回漕をやっておる
方々の中の
一つの団体、この中で首切られたりなんかしている
方々がいるんだけれ
ども、ここらにある諸君を使うということで、三者協議会の中でそういう
方向が出たから、あとはその協定を一カ月更新という形で延ばしてきておりますけれ
ども、一応ラッシュ船騒ぎは、軌道に乗せておさまっているということなんですね。これは栗栖さんにずいぶんお骨折りをおかけいたしましたけれ
ども。
そこで、いまこの三者協議の場を開けということをやかましく組合側は言う。ところが、その中にはいろいろな感情その他もあったりしまして、なかなかうまくいかない面もある。だが今回の場合は、そこから一歩先に出て、どうしても必要なことは船社の側を前に出させるという形にして、四者協議の場に持っていきたいというものの
考え方があるわけですね。
東京あたりのお話を陰ながら聞いてみると、船社も前に出たいという気持ちはある。だが、日港協あたりがどうもいろいろな理由をつけているということで、なかなかものが前に進まない。しかし、出なければおさまるまいという雰囲気にあるわけですね。これは太平洋船主協会なんというものがアメリカにはありまして、アメリカの場合には、こちらのほうとドックワーカースとが契約を結んでいて、中間の業はないのですから、こういうところは話が早い。ところが、日本の場合はそうでないだけに、日港協が介在するからなかなか話がむずかしいけれ
ども、しかし、事の規模からいって、どうしてもこのうしろにおる船主なりが出てこなければ相すまない段階に来ている。だから横浜な
ども、市の港湾
局長が県の労働部長に話して、おたくの流れの海運
局長さんに話して、三者で協議をして、きょう回漕協会その他に話をすることになっている。そこから先何をやろうかということになっているのです。つまり、ここまで来れば、船社、荷主の側を前に出させなければおさまらぬだろうということを言ってみようというところにいま来ているのですね。そうすると、これがなかなか出そうで出ないかっこうでずるずるといきますと、どうしても引っぱり出そう、ここまで闘争をやったんだからということになると、どんどんこの戦いは延びてしまって、出てこい、出てくるまでやるぞと、こうなるんですね。それまではコンテナとめちまえ、こういうことになる。そこで、海員組合のストライキが終わるとたんに船込みとなる。トラブルが起こる。目に見えているのですね。だから、いまのうちに、そこのところでうしろにおる諸君を何とかもっと前に出させる。そして四者協議の場をつくらせる。ここまでの芸当は、これは単に労使間の問題じゃない、こう実は私は思う。端的に申し上げているのです、時間がありませんから。だから、そういうふうに、少し運輸省の皆さん方が相談をいただいて、そういう努力がほしい。これは労使の紛争に介入するんじゃないのですよ。
そこで、これは念のために申し上げたいんでありますが、ここに「港湾労働者の雇用と生活保障に関する請願書」というのが出ている。もう
一つここに、これはどっちが
大臣のところに行っているのかわかりませんけれ
ども、五月十七日付で「港湾労働者の就労保障に関する陳情書」。
委員長、よろしゅうございますか、これをちょっと上げておきたいのですが。おそらく行っているんだろうと思うんですけれ
ども。いま差し上げましたほうは、要点を非常に簡単にしぼってここに書いてあるのでありまして、これはもう
一つのねらいは、ILOの来月の
会議もございますから、そこらに関する労働省の立場との
関係などにも触れた
考え方なんですけれ
ども、これは短い文章でございますから、お読みいただければわかると思うんでありますが。もう一通、これは
一つしかございませんから差し上げられぬわけでございますけれ
ども、ここに署名をするようにしまして、「港湾労働者の雇用と生活保障に関する請願書」というのが出ておりますね。これはちょうど先般六万名ぐらいの署名が集まっておりまして、これは国会に運び込みまして、私が紹介議員になりましたが、請願
手続をとっているわけでありますが、この中身のほうが実は詳しいので申し上げます。
まず、この請願事項は、「合理化については、すべて事前に当該組合と協議し、組合の同意なくして実施してはならない」。これはいつの場合でも労使間で出てくる問題なんですが、これが
一つ。
それから「港運業者、利用者、国及び港湾管理者の共同の責任において、港湾労働者の就労と生活の保障をすること」。ここらの労働に関する問題は、きょう道正安定
局長さんに労働省からお見えをいただきましたが、あらためて来週労働
大臣塚原さんが御出席いただける
委員会がございますので、労働省の分野のものはそちらにあらためて申し上げますが、からみますから取り上げて申し上げるわけであります。
それから三番目が「各港ごとの港湾労働者定数策定は、次の
基準にもとづいておこない、完全登録をさせること」。「一日の労働時間は拘束八時間(休憩一時間以上を含む)とし、一週の労働日は五日とする」。これはあとからの論議の中で出てくると思いますけれ
ども、機械化、コンテナ化が進んでくる、ユニットシステムが導入されるというような中で、諸外国に例があるのですね。年寄りの七十歳という定年制を六十五歳に引き下げる運動などを内部的にやりまして、機械化が進む、余剰人員が出る。だからというので、そしてまた保障賃金もきめて、そういう順序でやめるという国がある。そういう場合に、労働時間、労働日というものを短くしよう。英国なんかそうですけれ
ども、そういう動きが出てきているところもある。だから、これは一口で言うと、何かいまの港湾にそぐわぬような気におなりになるかもしれぬけれ
ども、先例が外国にあります。そういう
意味でお聞きをいただきたいのでありますが。それから「日曜日、
国民祝日、年次有給休暇、労働協約に定めた特別休日を完全に消化すること」。これも、日曜、祭日完全休日闘争と称して、船内の
方々が中心になって、一昨年あたりはたいへん長い闘争を組んだことがある。私も、朝五時に起きて、いつも横浜の港だの
東京の港に、タグボートに乗っかって浮いておったこともあるんですけれ
ども、これもずいぶん前に進んできております。しかし、実はこれからがほんとうの
意味のこの完全休日の権利要求が表へ出る時期だと思います。それから「職業訓練及び交替に必要な
要員を確保すること」。これを
一つ入れて、この請願書のほうの三番目の要求になっています。
四番目が、「港湾労働者の「最低保障賃金」を月額一〇万円とすること」。これは実は、賃金は片づくめどがついてきたけれ
ども、ここにいう最低保障賃金月額十万円、これは結果的に十万円になるか幾らになるかわかりませんけれ
ども、現場の労働者の皆さんに聞いてみると、これをどうしても保障しろという要求が非常に根強い。なぜかと言いますと、これまた時間がありませんからかけ足で申し上げるのですが、港の就労日というものがなかなか完全確保ができない。波浪性が強いのみならず、別な
意味もありますが、確保できない。そうすると、どうしてもここで賃金の保障というものをさせておかないと就労できない。日を含めてさせておかないと、近代化、合理化が激しくなる、機械化が激しくなる港ですから、そうなるとますます仕事が漸減をするという場面だってある。船内の場合でも、いまインランドデポなんていいまして、内陸の通過貨物の、そのインランドデポにおけるトン当たり幾らというのを取りたいという動きもある。これは外国にも、そういう争いになっているところは幾つもあります。つまり職場確保、賃金の保障、こういう
意味なんですが、これはラッシュ船その他が盛んになってまいりますとはしけ回漕の部門にも起こる、こういうわけであります。これはそういう
意味の要求なんでありまして、先ほど申し上げましたように、この十万円保障という問題は、単に労使だけの問題ではなく、国の責任あるいは自治体の責任というものを含めて、機械化のテンポが進み、港湾の労働条件の中でこの
方々の賃金というものをどういう角度から保障し確保するかという、国の政策にからむそういう要求だと思うのであります。この月額十万円の保障というのはそういう背景を持っておりますので、これは非常に根強い
制度化の要求であるというふうに御理解いただきたいのであります。
それから「「港湾労働者生活保障基金
制度」を設立し」、これは、ある
意味ではメカニカルファンドといっているもののたぐいでありまして、実は横浜市の場合には、予算の中で何がしかをつけて基金にするという発想をすでに持って、そういう
計画も立ててあります。これに神奈川県に多少の上積みをしてもらおうという
考え方でございます。神奈川も、どの
程度にするかは別として、賛成をしております。ところが、自治体、県というのは、つまり市民、県民の税金でございますから、その税金で港の労働者のためにということになるとすると、これは県民、市民全体の立場からするならば、そうよけいな金を出すわけにはいかなくなる。そうするとこのメカニカルファンドに類する、つまり港湾労働者生活保障基金
制度というものは、もう少し国の角度から、さて船主はどう
考えるのか、荷主はどう
考えるのかという角度から基金
制度に入っていかないと満足なものにならない。そういうことになると、ここにも、さっき私が申し上げたように、船主の団体なり荷主の団体なり前に出てこいという当然な要求が出てくるわけでありまして、そこらあたりが基金の問題にからんでくる、こういうわけでございます。
あとたくさんあるのでありますが、いま私がここで申し上げましたのは、一体なぜ四者の
会議を開けと言っているかという理由を少し申し上げておきたいと思って申し上げたわけでありますが、そこらをまず皆さんのほうでどう
考えるか。いままでここ一、二年の港湾のラッシュ船なりコンテナなりというものをめぐる動きの中で起こっている数々のトラブルがありますが、その上に立って、運輸省という立場で一体これをどう
考えていったらいいか。もうぼつぼつそういう
方向があってしかるべきではないかと思うものですから、まずそこのところを承りたいと思います。