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木原委員 一つだけつけ加えておきましてこの問題は打ち切りたいと思うのですが、これは、いままだ米が余っている問題と取り組んでいる
段階なので、おかしいのですけれ
ども、私は米ができ過ぎてきた経過を見ておりますと、今度は米が足りなくなるといううらはらの
関係で、いままでは、
政策的には
食管というものがある、新しい技術や農薬等が入ってきて、あらゆる天候にもたえるような全天候性的な米づくりが行なわれてきた、いろんな
要因があったと思うのですが、そういう
要因が急速に取り払われていくような
感じがするわけです。たとえば
食管もここまで来れば、われわれが幾ら反対しましても、もう半ばくずれているような
状態なんですね。このままでいけば、おそらくはあと何年かで、いろいろな
価格問題その他のかね合いの中で、やはり
食管というものが事実上
廃止される趨勢にあると思うのです。それから技術的に見ましても、従来のような農薬の使用その他についても、次第に公害等との
関係で制約を受けてくるとか、そこへもってきてさまざまに
農民の
生産意欲を減退させるような
要因が加わっているわけです。
私はこの委員会で先年八郎潟に行ったのですが、私なんか泣きましたよ。行きましたときは、ちょうどあそこで最初の米ができるときだった。あそこには、明治、大正以来営々として蓄積をしてきました
農林省のいわば米作技術の、あるいは技術者等の最高の夢がかけられていたと思うのです。そして最初の米がようやくとれた。この
段階になったときに、おまえたちは何で米をつくっているんだ、飛行場にしたらよかろう、こういう話が出るわけですから、年配の人たちは、それはもうまことにつらかったと思う。私
どももその話を聞きまして、まことに暗然としたわけです。ここにはさまざまに時代の移り変わりもあるし、それからそれに伴っての
政策の変化もあった。やむを得ないと言えばそれまでですが、そういう姿を見ておりますと、私は、やはりこれからの米の変遷はまだ終わってないような
感じがするわけです。ですから、いままで過剰の問題と取り組んできて、それが何とか
バランスがとれたという
段階になって、今度はすぐ米が足りなくなるという問題に取り組まなければならないことになるのではなかろうか、こういう
心配が絶えずつきまとうわけなんです。私
どもとしては、いま米が余っているなんていわれている時代にこそ、やはり長期のゆとりを持って食糧
需給計画を立てる時期なんだ、こう思っているんですけれ
ども、歴代の農林
大臣は一向にそういうことはやらないで、場当たりのことばかりやっているわけです。だから食糧の問題は、毎日の問題と同時に長期のことを
考えてもらわなければならない。まさにそういう長期のことを真剣に
考える時期に来ているのではないか、こういう
感じがするわけです。非常にむずかしいことです。
しかし、それをいたしませんと、ともかく毎年毎年のことだけではどうも追っつかない
状況が、もうすぐそばまで来ているような
感じがするわけです。
それで、ことしの
価格の
問題等についても、何か
政策の中で微妙に
考え直していかなければならない時期に来ているのではないか、こういうよけいな勘ぐりをしたわけなんです。
だから、私がこの問題でお願いをしておきたいことは、いま申し上げましたように、米については、いろいろな変遷がございました。
しかし食糧というのは、特に主食というのは、基本的にはどういう
状態の中でもきちんとやはり一〇〇%に近い
自給率をもって、米のことならこれは問題はないんだ、まかしておけ、こういう
状態というものをやはりつくるということが、私は
農政の基本だと思うのです。少々豚肉が足らなくても野菜がなくてもやっていける
要素があるんですが、その大本がゆるんでいますから
農政の基本が立たない。
農政の基本が立たないから、言ってみれば、今度の機構改革はたいへん前進的な機構改革だという側面を持っているのですけれ
ども、それでも私
どもの不安は消えないわけなんです。だから、この
米価の問題については、
消費者米価とのつり合いの問題財政
措置等につきましていろいろな問題が出てこようかと思うのです。
しかし、そのときには少なくともこれからきちんとした形で米づくりをやるんだというような
考え方、それに対してはやはり国としてはそれだけの支払いはしていく、その
生産意欲を絶やさないようにしてそれを堅持しながら、これから長期にわたって一定の
バランスのとれた米づくりが続いていくんだ、そのための
施策なんだ、こういう姿勢で臨んでもらいたいと思うのです。
それから
消費者米価の問題については、私
ども、これまた別な
意味で非常に
心配するところなんです。おそらくいまの
財政当局等の
考え方からすれば、かりに五%上げたんなら、それに見合うものだけはやはり
政府の
売り渡し価格を上げて
バランスをとれ、こういう経済合理主義でくると思います。
しかしこれは、
政策的にはそういう単純なものではないと私は
考えておりまして、
消費者米価についてはいろいろお
考えでしょうけれ
ども、私
どももまた別個の
考え方を持っておりますが、きょうは
生産者米価の問題についてはそういう意見を申し上げておきたいと思うのですが、当面の局にある長官の感想を聞いて、次に移りたいと思います。