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1972-05-16 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十六日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       天野 公義君    笠岡  喬君       篠田 弘作君    辻  寛一君       中山 利生君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    木原  実君       横路 孝弘君    鈴切 康雄君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         国防会議事務局         長       海原  治君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛庁施設庁長         官       島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  橘  正忠君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   土井たか子君     八木  昇君 同日  辞任         補欠選任   八木  昇君     土井たか子君     ————————————— 五月十三日  長野県の寒冷級地是正等に関する請願外三件  (小坂善太郎紹介)(第三〇六四号)  米軍北富士演習場賃貸借契約に関する請願  (伊藤惣助丸君紹介)(第三〇八一号)  同(金丸徳重紹介)(第三一一八号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第三二四一号)  甲府市御岳町等の寒冷級地引上げ等に関する請  願(小林信一紹介)(第三一一九号)  退職自衛官処遇改善に関する請願外七十五件  (羽田野忠文紹介)(第三一五二号)  山梨県丹波山村の寒冷級地引上げ等に関する請  願(小林信一紹介)(第三一五三号)  山梨県大和村の寒冷級地引上げ等に関する請願  (小林信一紹介)(第三二〇八号)  山梨県敷島町等の寒冷級地引上げ等に関する請  願(小林信一紹介)(第三二四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第六十七回国会閣法第一八  号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 きょうは、予備自衛官の問題と四次防の大綱について、少しお尋ねをしたいと思います。  この予備自衛官というのは、普通の自衛隊定員充足状況と比べて非常に充足状況がいいようなんですが、この概要についての報告を最初にお願いしたいと思います。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 予備自衛官の現在の定員は三万六千三百名であります。これに対しまして、昭和四十七年三月末の現在員は三万五千九百六十五名、まさに御指摘のように、充足率は九九・一%という状況であります。  詳細については、政府委員からお答えいたします。
  5. 横路孝弘

    横路委員 そこで、少しこまかいことになりますがお尋ねをしたいと思うのですが、この予備自衛官というのは、本人申し出がなければ、つまりこれは志願制度になっているわけですね。志願をしたあと手続というのは、どういうことになっておりますか。
  6. 江藤淳雄

    江藤政府委員 本人志願に基づきまして、その従来の自衛官時代成績とか、あるいはその階級ごとの定数の充足状況とか、そういうものを見合いにしまして、適格性並び充足の実態を考えながら採用決定をするということになっております。
  7. 横路孝弘

    横路委員 そのとき、試験か何か行なわないのですか。
  8. 江藤淳雄

    江藤政府委員 これはすべて任期満了者について行なっておりますので、任期中に本人成績あるいはその実績等が十分にわかっておりますので、特に筆記試験の必要はないわけでございます。
  9. 横路孝弘

    横路委員 その申し出があって選考して、それからあとは、発令はどういう形でどの段階で行なうのですか。
  10. 江藤淳雄

    江藤政府委員 大体、各連隊におきまして本人志願がありまして採用決定をいたした場合には、予備自衛官を任命する、階級はどういう階級を指定するというかっこうで発令いたします。
  11. 横路孝弘

    横路委員 若干のお金が支払われますね。この支払うのは、発令されてからどういうことで支払われますか。
  12. 江藤淳雄

    江藤政府委員 これは現在は月額千五百円になっておりますが、四半期ごとにまとめて銀行から支払うという形式になっております。
  13. 横路孝弘

    横路委員 たとえば一月一日に発令になりますね。そうすると、いつが最初支払いになりますか。
  14. 江藤淳雄

    江藤政府委員 発令日から計算しまして三カ月ごとに一回支払うことになりますので、最初支払いは三月末ということになります。
  15. 横路孝弘

    横路委員 何か二カ月猶予期間を置いて、それから三カ月ごと支払いになっていくのじゃないですか。
  16. 江藤淳雄

    江藤政府委員 発令の月はすべて一カ月として換算をいたしますので、三カ月日の三月末あるいは四月の初めに、四半期分をまとめて本人に送達するということになります。
  17. 横路孝弘

    横路委員 その採用決定されてからあとは、何か本人のほうに対して手続はないのですか。通知をすればそれで終わりなんですか。
  18. 江藤淳雄

    江藤政府委員 特にそういう手続はございません。  なお、先ほど若干間違いましたが、支給の手続便宜を考えまして、定例日として支払いは二月、五月、八月、十一月ということにしておるそうでございます。
  19. 横路孝弘

    横路委員 そこで、これは大臣お尋ねしたいのですが、ぜひお聞きを願いたいと思うのですが、充足率が非常に高いというのは、実はこれにからくりがあるのですね。からくりがあるというのは、どういうことをやっているかというと、私は具体的なケースをここにいま持っているのですが、自衛隊をやめるときに、いろんな手続があるから印鑑を預けるわけですね。そうすると、その印鑑を使ってかってに自衛隊のほうで志願願いを出すのでしょうな。本人が全く知らないうちに、金がどんどん送られてきているというケースたくさんある。本人が全く何も知らないうちに、いきなり金が送られてくるわけですよ。そういうようなことは、まさか自衛隊のほうで指示してやっているわけじゃないでしょうけれども……。
  20. 江藤淳雄

    江藤政府委員 自衛隊年間約一万四、五千名の任期満了除隊者がございます。その中から予備自衛官採用いたしておるのでございまして、大体在隊中において非常に成績優秀な者、あるいは今後も有用度の高い人という者を特に各連隊で選考して決定しておりまして、しかも過去数年間実績から見ましても常に九九%台を確保いたしておりますので、御指摘のような無理なことをやっているとは考えられません。本人志願によりまして選考し、先ほど申しましたように予備自衛官を任命する、階級は何の何を指定するという正規の辞令を交付いたしております。
  21. 横路孝弘

    横路委員 これは四十五年の暮れにやめたある隊員なんですが、この人のところに、突然、四十六年の五月になって、国庫金振り込み通知書お金は四千百八十五円でしたかが送られてきた。そうしてあと八月に送られてきて、十一月、ことしの二月、五月というふうにお金がどんどん送られてくるわけですね。そうしているうちに今度は、訓練招集をせよというはがきがやってきた。いろいろ調べてみたら、これはある地方連絡部からの国庫金振り込み通知書が来ているわけです。自衛隊のほうで、ちゃんと銀行預金口座をつくってくれているわけですね。そして聞いてみたら、この通知書印鑑を持っていらっしゃい。普通銀行口座をつくるときには、大体初めに印鑑を届けておいて、そして通帳をつくってそこに振り込んでくれることになっているわけですね。自衛隊というのは非常にサービスがいいのか、わざわざちゃんと通帳をつくってくれて、そして振り込み通知書をどんどん出している。聞いてみると、この人はもらわないから、私、ちゃんとここに振り込み通知書を持っている。まあ、振り込み通知書という形か、あるいは国庫金送金通知書ですか、どんどんかってに送られてきて、そして訓練手続が来ている。その人は一切何もしていないのですが、誓約書というか、宣誓書というものも必要なんでしょう。発令されたあと出さなければならないのでしょう。この人は出していないのですよ。それから予備自衛官手当受領希望届というものを出さなければだめなんでしょう。あるいは招集連絡員指定同意書なんというものも必要なんですね、いろいろ書き込むのに。この人はそういう手続は何もしていないのです。わざわざ手紙を出してやめてくれといっているのに、お金を送ってきている。自衛隊のほうでは、ともかく予算をとっているから、金をくれてやればいいというのでどんどんやっている。たしか私の知っているもう一人のほうは、金を送られてきたのでつい受け取ってしまったというのですよ。今度は別のケースです。そして受け取ってしまった上で今度招集訓練通知が来たので、金をもらって行かないのは悪いから、そこで宣誓書を書かせられ何を書かせられるというわけです。予備自衛官に正式になると、予備自衛官手帳とかいうのをくれるのでしょう。お金をもらって、しょうがないから初めて予備自衛官になっちゃった、こういうわけです。  志願届けを出すときには、本人の署名、印鑑が必要になるんでしょう。それで預けた印鑑を利用してこういうことをやっている。あなた、本人の承諾なしに金を送ったって、これは国の税金ですからね。充足率が高いのは、どうもそこに秘密があるんじゃないですか。金を送って受け取ってしまえば、あとはちょっと断わり切れないということです。こういう事実があるんですよ。これは防衛庁長官、調べてください。
  22. 江藤淳雄

    江藤政府委員 予備自衛官は、任期満了によって退職する者が年間大体千人前後でございます。で、一方常時九九%の充足率がある。したがって、毎年増員される分、約三千人余りを新規に採用すればよろしいわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、現職自衛官任期満了退職する者が毎年一万三、四千人はおりますので、その中から三千名ぐらいの予備自衛官採用ということは、私どもとしてはさして困難とは考えておらないわけでございます。したがいまして、充足率も年々たいへんいいので、そのような無理なことをしているとは私ども考えたくないわけでございますけれども、具体的な御指摘のような点につきましては、私どものほうでも十分調査いたしてみたいと思います。
  23. 横路孝弘

    横路委員 その人事発令通知書というのは個人あてに一人一人送るのですか。
  24. 江藤淳雄

    江藤政府委員 はい、そのとおりでございます。
  25. 横路孝弘

    横路委員 ところがその人の場合は、予備自衛官採用するといって、ずらずら十五名一緒発令ですよ。私の知っているほかのケースを調べてみると、ちゃんと一つのこういう用紙になっていて、発令書という形で個人個人名前が書いてあって出ていますね。ところがこのケースを調べてみると、いま話をしたように、たくさん十人も二十人も一緒一等陸士階級に指定する、陸士長階級に指定する、一等陸曹階級に指定する、二等陸曹階級に指定する、三等陸曹階級に指定するといって、ずらずらっと名前を出したものをみんなのところに送っているわけですよ。  だから私のほうでは、本人の話を聞いて、ここに名前の出ている人をみんな調べてみたら、私のほうは何にもわからないのだけれども、金を受け取ってしまったから、しょうがないから今度の訓練には行こうと思いますよ、と言う人も出てきている。一人の人から話があって、これを見るとそういう人が二十人ありますから、一人一人調べてみたら、そういう人が三、四人出てきたわけですよ。皆さんのほうでは、さほど困難は感じないというようなことをおっしゃっていますけれども、これは事、金の問題ですから、本人志願も何もなしに、自衛隊のほうで札束でひっぱたくような、といってもまあわずかの金ですけれども、こうやって送ってくると、つい受け取って使ってしまうわけですね。訓練というのは一年目はないのでしょう。招集というのはかからぬのでしょう。
  26. 江藤淳雄

    江藤政府委員 この自衛官採用行為は、すべて個人単位個人個人発令行為を行ない、退職もまた個人個人発令において行ないます。一般に自衛隊の場合は、すべて採用退職の場合には発令行為を行ないますが、その他の場合には、旧軍時代一つの慣行もありまして、個別命令という形で、氏名を並べて何々に命ずるというようなことで、個人別には特に辞令を出さないという形式をとっておりますが、少なくとも採用退職の際には、個人あて辞令を交付するのが自衛隊の方式でございます。  なお、訓練招集は、最初の年には現在は行なっておりません。これはまず、任期満了退職しまして、最初の一年くらいはまだ練度が下がっていないという前提もございますので、また精神的なつながりもまだ十分であるというような判断から、最初の年には特に招集訓練をいたす必要もそれほどないのではないかというような判断をいたしまして、現在はいたしておりません。
  27. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、これはどういうことですか。これはあるところの地連ですが、第何号と書いて日付が書いてあって、そして地連連絡部長名前が書いてあって、地方連絡部人事発令ということになっておるわけです。そうしていま言ったように、最初一等陸士から始まって、階級指定が入って、一等陸士、二等陸士、三等陸士陸士長一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、最後には退職証明まで入っていますね。これを全部書いたものを一人のところに一緒に送るわけです。ほかのケースを調べてみると、みんなちゃんと名前が書いてあって、これくらいの白い紙に書いた発令書が来ているわけですね。ところがこのケースは全然違うわけです。この人事発令は、それじゃ、おたくのほうの形式ではないわけですか。
  28. 江藤淳雄

    江藤政府委員 予備自衛官関係は、地方連絡部で具体的に人事的な措置をいたしております。そこで、本人志願があった場合に、個人個人に対して採用通知票というものを出しまして、予備自衛官に任命、階級何の何を指定するというような通知を出しおります。これはもちろん個人あて通知いたしております。
  29. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、全部二十人一緒発令書という、こういう形式というのはどうなんですか。
  30. 江藤淳雄

    江藤政府委員 私のほうの人事指導方針としては、そのようなことはあり得ないと考えておりますが、御指摘の点はなお十分調べてみたいと思います。
  31. 横路孝弘

    横路委員 長官、なぜこういうことをお話しするかというと、予備自衛官になると防衛出動の場合に招集がかかった際、三日以内に応じないと懲役刑を科せられるわけですよ。本人意思関係なしに予備自衛官にさせられて、そうして何かあったときには懲役刑を科せられる。こんなことでは、これはもうやはり本人は困るわけですね。このお金を返したいと言っておるのですけれども、これはどういう手続をとったらいいのですか。
  32. 江藤淳雄

    江藤政府委員 現在の私のほうの定めによりますと、本人から志願書を提出して、それに対して地連としては、一応本人予備自衛官になる意思をまず確認しまして、確認した上で本人に対して採用通知票を出すわけでございまして、その採用通知票というのは、本来、辞令を交付すべきところを、辞令交付にかえて採用通知でやってもよろしいという規定を特にうたってありますので、その採用通知票になっているわけでございますが、その際、もちろんこの発令形式個人個人発令でございますけれども採用通知票として本人に送る場合には、あるいは便宜十数名のものが一緒になったもので、これこれのものが発令されましたよというような形式発令通知がされたのかもしれませんが、少なくとも発令形式そのものは、個人個人発令するということに法律行為としてはなっているわけでございます。なお、退職する場合にも、本人希望退職願いが出てまいりまして、それに対して地連退職辞令を交付するということになります。もちろん、これも通知票にかえてやることも可能なわけでございます。
  33. 江崎真澄

    江崎国務大臣 さっきからの御質問を聞いておりまして、充足率はああいう九九%、御報告したとおりですが、予備自衛官そのものの数が三万六千三百名。一万人余の満期離職者というか、離隊者があるのですね。それは、募集はさして私、困難なものとは思いません。これはおそらく察するのに、上長、上官が、離隊をするときに、おまえらひとつ予備自衛官というようなことにどうだ、賛成かどうか、ひとつおれにまかせないかいというようなやり取りがきっとあって、そこで同じ隊の者に対してそういう取り扱いをしたのではないか。これは推測ですが、少なくとも、そんなにむずかしくないものを、押しつけがましくそういうやり方をするということは、特に横路さんが指摘されるように、異議ありということで、そういうことは困るという人がありというのならば、そういう権威のない、しかも不当なきめ方というものはよろしくないと思います。したがって、これはよく人事教育局長調査をさせて、今後そういうことのないように、かりそめにも権威のない、誤解を招くような募集をするということは必要ない。しかもこれが充足率がきわめて悪い、そこで無理押しつけにするというのならともかく、完全にとれるのですし……。これは御指摘のように、千五百円、まさに国民の税金であります。しかも、本年の四月からはこれを二千円に増額しようということで御審議をお願いしておる場面でありまして、そういうことはよくないと思います。ですから、これは時間をおかりしまして、十分調査をしまして、納得のいく説明ができるようにいたしたいと思います。
  34. 横路孝弘

    横路委員 ところが、長官、この予備自衛官というのは、全国的な分布状況というのはどうなっていますか。みんな各都道府県ごとにうまくいきますか。いないところは、ちゃんと割り当てがあって、やらなければならぬでしょう。分布状況どうなっていますか。
  35. 江藤淳雄

    江藤政府委員 県別分布状況につきましては、資料がございませんので、さっそく取り寄せまして御報告申し上げますが、大体において、一般的には九州地方が特に多い。これはやはり、志願者が多いところ、したがって予備自衛官も多いということになっております。
  36. 横路孝弘

    横路委員 この「予備自衛官教養資料」なんというやつを見ますと、四国とか、それから奈良、和歌山、三重とか、石川、富山、福井とか、北海道でも旭川、帯広、函館なんというのは少ないわけでしょう。皆さん方、どういう割り当てをしているのですか。四十一の警備連隊構想というのが四次防構想の中に出ておりましたけれども、そういうことを頭の中に置きながら、予備自衛官分布をできるだけ均等にしていこうということで採用しているわけでしょう。そこからこういう問題が起きるのですよ。
  37. 江藤淳雄

    江藤政府委員 従来の予備自衛官の考え方が、有事の際の減耗補充ということでございました。特に警備連隊的な構想をもって採用をいたしたわけではございません。したがいまして、府県別の配分とかいうようなものについて重点を置いて採用指導いたしたということは、これまではございません。
  38. 横路孝弘

    横路委員 そうしたら、いま何か基準にしているのですか。希望者たくさんいるからそんなことをするはずがない、こうおっしゃるのなら。
  39. 江藤淳雄

    江藤政府委員 各部隊におきまして、任期満了退職するまでのうち、大体、各部隊の範囲に、どの程度の予備自衛官採用したらよろしいんじゃないかというようなおおよその計画数を示しております。それで、任期満了者一万三千名の中から大体優秀な者を採用する。もちろん、本人希望がございますが、希望する者の中で優秀な者を採用するということで、したがいまして、除隊する部隊単位採用いたしておりますので、その人間が具体的に郷里へ帰って定住した場合に、府県別配備特況というものは必ずしも全国平均というようなことにはならないという状況でございます。
  40. 横路孝弘

    横路委員 長官、そういうことがあって、やはり全国的な分布というものは平均化していかなければならぬというところから、割り当てみたいなものがあったとか、こういうことになるのじゃないかと思うのですね。  ちょっと話が前後しますけれども先ほど発令ですね。きちんとこういう形で、人事発令通知という形で出すんでしょう、一人一人に。そうでしょう。これが来ていないで、金だけ送るというのはどういうことですか。さっき言った、まとめて二十人一緒発令通知票みたいなものが来まして……。これは地連によって取り扱いは違うわけですが、人事発令の形態というのは。
  41. 江藤淳雄

    江藤政府委員 まず、採用が決定しました場合には、採用辞令書にかえて通知票でこれをやっておるわけでございますが、その採用通知票本人が受けまして、それから本人予備自衛官手当を受領したい旨の希望届け地連に出してくる。その際に、その届け出によりまして、本人が参りまして、特に銀行でも郵便局でもけっこうですが、口座を設定する。それに対して地連から手当を送付するという形式になっております。
  42. 横路孝弘

    横路委員 それは最近ことしになってからそうなったんでしょう。従来は違うんじゃないですか。この人のケースの場合は、おたくのほうでもって銀行にちゃんと口座をつくってくれて、そうしてあとは、その通知票印鑑を持っていけば金を受け取れる仕組みになっているわけです。ことしになってから、おたくのほうから、いままでは国庫金送金通知票を利用しおったけれども、この方法は経費もばく大になるんで、今度は、普通預金口座を設けて連絡してくださいという連絡が来ていますよ。それは最近でしょう、やり方が変わったのは。いままでは、ともかく自衛隊のほうでかってに預金口座をつくっちゃって、振り込んでおったんでしょう。
  43. 江藤淳雄

    江藤政府委員 予備自衛官手当千五百円を三カ月ごとに送付する、これは国庫金本人送付でございますので、必ずしも口座と直接関係するとも考えられませんが、現在のところ、便宜本人から予備自衛官手当受領希望届けを出すとともに、本人が特に銀行なり郵便局口座を指定してくれば、私のほうはその口座に送付いたします。そうでない場合には、それは形式的には、取りに来てもらうとか、あるいは本人に送付して受領票をもらうという形式でいけるわけでございますが、これは口座をつくったほうが非常に事務の操作がやりいいということで、そういうふうな指導をいたしておるわけでございます。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうもいろいろ聞いておりまして、私は、それはどうも例外のように思うのです。まさか全国の各地の隊でそういう募集方法をしておるようなことはないと思います。それは、必ずしも充足率が悪くないということ、募集が困難でないということ。したがってそれはどこでございましょう。それはあとから、質問でなくても、具体的に承って、十分調査します。  それから、近く地連の責任者会議を開くことになっておりますので、先般の反戦自衛官といいますか、ああいう問題等もありますし、やはり募集方法ということについてはよほど慎重を期さなければなりません。特に予備自衛官の問題について、そういう権威のない採用のしかた、これはやはり私よろしくないと思いますので、今後十分注意を喚起して、あやまちなきを期したいと思います。  繰り返すようですが、おそらく私は、先ほど申し上げたように、上長、上官がおれにまかせぬかということで、イエス、ノーがあいまいなままに除隊をした、そして引き受けた上長、上官が、地連部長なり責任者と相談をしてそういう挙に出た例外のものであろう。いまうしろで政府委員がささやき合っておりますのもそういうことであります。したがいまして、そのこと自体の御指摘は、私、はなはだ不見識なことだと思いますので、十分調査をして至急処置をしたいと思います。
  45. 横路孝弘

    横路委員 まかせておけというんでやったんだということではどうもないようなんですね。退職のときに、いろいろ手続があるというので印鑑自衛隊に渡すわけでしょう。その印鑑を使って——宣誓書はまだ送ってないわけですよ。予備自衛官手当受領希望届、何も送っていないんだけれども、金だけ送ってくれる。ともかく聞いてみると、金が一たん送られてきて、受け取って使ってしまったら、これはやはりどうも行かなければならぬのじゃないかといって、それで出かけていって、ということになっているわけです。宣誓書や何かは採用の前提ではないわけですね。採用されてからあとにこういうものは取るわけですか。
  46. 江藤淳雄

    江藤政府委員 自衛官採用する場合には、宣誓書というものは常に採用の前提として提出してもらうということになっておりまして、予備自衛官もまた同じでございます。したがいまして、ただいま御指摘の点につきましては、私のほうもどうも理解に苦しむ点がございますので、十分に事情を調査してみたいと思います。
  47. 横路孝弘

    横路委員 ともかくそういうことで、予備自衛官といっても、先ほど言ったように、いざという場合には懲役三年以下という刑罰を科せられているくらい強制されている。そういう存在になっているわけです。したがって、お金を送って、金でつって予備自衛官にする。充足率が高いのはどうもおかしいと思っておったところ、いろいろ調べたらこういうことになった。私は、一人だけではなくて、連記で二十人くらい書いているものですから、いろいろやってみた。そうしたら、いや、私も全然そんなつもりはないし、どうしてこんなことになったのかと言うんで、ではあなた、印鑑を預けなかったかと言うと、退職のときに自衛隊に預けました。ではそのときやられたのではないか。中には、受け取って、いま来ているわけですよ。この人は、おととし退職して、去年の五月からお金が送られてきた。そして訓練通知がことしになって来た。こういうことで訓練通知が来て、びっくりして飛んできたというわけであります。  そういうことで、皆さんのほうで地連の会合があるというならば、どういう手続をとっておるのか、ぜひひとつよくきめて、本人意思に反して強制的に予備自衛官にするというようなことだけはぜひやめていただきたいというように思うわけであります。  そこで、予備自衛官の位置づけなわけですけれども、四次防の中での構想というのは、一応いまのところは四次防全体が白紙になったいうことでありますから、去年の国会答弁とは、予備自衛官の位置づけそのものというものも変わったというか、白紙になっているのでしょう。どうなんですか。
  48. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりでございます。
  49. 横路孝弘

    横路委員 そうしたら、例の四十一都道府県すべてに警備連隊を置くという構想そのものは放棄をした、こういうように理解してよろしいわけですか。
  50. 江崎真澄

    江崎国務大臣 今度の予算、いわゆる四次防とは関係なく査定をいたしましたと大蔵省が説明をいたしますこの四十七年度予算では、予備自衛官の増員については削られておるわけですね。したがいまして、四次防策定にあたりまして四十一都道府県に警備連隊式の予備自衛官を設けるという構想はもちろん白紙に戻っておりますし、これを今後どう運用していくのか、それについては今後慎重に検討をして結論を得たいと思っております。事実上あの構想は実行がむずかしいのではないかというふうに私どもは考えております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、たとえばいま予備自衛官というのは海上と陸上だけですね。航空予備自衛官なんという考え方も、もちろん考えていないというように理解してよろしいですね。
  52. 久保卓也

    ○久保政府委員 四次防は、ただいま御質問のように白紙還元ということで再検討するわけでありますが、再検討の中でもおのずから従来の考え方もありますし、今後の作業の中で従来の考え方というものが参考になる。そういう意味で申しますと、陸、海、空とも予備自衛官の増勢ということは事務的には考えてまいりたい。具体的な内容についてはこの検討の過程で内容がきまってまいる、こういうことになろうかと思います。
  53. 横路孝弘

    横路委員 この予備自衛官の三次防の段階における位置づけというのは、消耗補充という程度のことだったと思うのですけれども、どういう戦略的な位置づけをしておるのかということがどうも明確にならぬわけですね。この予備自衛官の人数をふやすというのは、ベトナム戦争等で、戦闘部隊とそれの後方支援部隊はどのくらい必要かということも、雑誌なんか見るといろいろ議論されているわけなんですが、そういうような位置づけなのか。あるいは治安維持というような機能まで含めたような位置づけになっているのか。その辺のところの考え方自身というのはどういうことになっているのですか。
  54. 久保卓也

    ○久保政府委員 基本的な考え方、つまり部隊の維持に関する基本的な考え方というものは、実は、三次防も、それから四次防原案、あるいは今後つくられるであろう四次防についても、おそらく変わらないであろうと思います。ただし、それが予備自衛官という形であらわれる場合、三次防と四次防では少し違っております。つまり三次防の場合には部隊の戦闘減耗分を含めておった。しかしながら、四次防原案ではそれを含めてなかったということでありますが、ただ後方の治安部隊といいますか、後方の治安を確保するための部隊要員というものは、三次防でも考えられておりましたし、今後も考えなければいけない。あるいはまた、新しくつくられる後方関係部隊の補充要員、これも三次防でも考えられておりましたし、四次防でも考えなければいけないであろう。  ところで、戦闘消耗というものが予備自衛官の形で四次防原案にあらわれてこなかった理由と申しますのは、四次防の中では、戦闘継続期間をたてまえとしては比較的短く考えたということが一点と、それからそういった事態に立った場合に、戦闘消耗ができれば、これを後方関係部隊あるいは教育関係部隊から補充すること、並びにそのときにあわせて一般の募集によって補充をする。これはそのときに、それが第一線部隊に行くとはもちろん限りません。後方関係にそれらは充当されましょうけれども、そういった差し繰りでやれるのではないか。予備自衛官については、後方の任務部隊というものがどうしても必要な機能というものがあるということで、四次防の原案の場合はそこに重点が行った、そういうことはやはり言えようかと思います。
  55. 横路孝弘

    横路委員 それならば、たとえば海上とか航空とかいうのは必要ないじゃありませんか。
  56. 久保卓也

    ○久保政府委員 海上と航空の場合は、いま申し上げた陸の場合とちょっと発想が違います。海、空ともに、これはたとえば基地の警備でありますとか、後方業務関係でありますとか、三次防まではまだ部隊整備がそこまで行っておらなかった。四次防の段階から逐次そういったものを整備していく必要があるだろうという、これは部隊の整備段階の相違というふうにお考えいただいたほうがよろしいのであって、後方関係の治安警備自体には海、空は回しません。
  57. 横路孝弘

    横路委員 自衛隊法による予備自衛官というものの位置づけは明確じゃない。ただしかし、たとえばこの七十条以下読んでみると、これはやはり消耗を補充するということの位置づけ以外の何ものでもないのではないか。つまり、後方治安維持という機能は、七十条あたりからはちょっと出てこないと私は思うのです。自衛隊法そのものの中では、具体的には任務については何も規定されてないわけですね。  そこで確認をしておきたいのは、これは七十六条の防衛出動の場合だけ招集命令を発することができるので、たとえば命令による治安出動そのほかの場合には、これは対象にならぬのですね。それだけはちょっと明確にしておいていただきたいと思う。
  58. 久保卓也

    ○久保政府委員 治安出動の場合には出ません。それから、予備自衛官については任務の性格が明確でないというお話でありますが、防衛出動の場合に招集をかけられますと、その下令中は自衛官の任務を持ちますから、要するに防衛出動中の一般の自衛官と同じ任務を持つ。そうなりますと、七十六条によると、防衛行動あるいは後方の治安の維持に当たるというふうになっておりますので、そういった分野で一般の自衛官と同様の勤務をすることになろうと思います。
  59. 横路孝弘

    横路委員 ですから、自衛隊法からいくと、たとえば予備自衛官だけが集まって特殊部隊を編成するということは、自衛隊法そのものの中からは。
  60. 久保卓也

    ○久保政府委員 自衛隊法そのものから別にそういった区分けがあるわけではありませんが、ただ警備連隊が四次防で出てまいりますかどうか別といたしまして、かりにそういった編成を考えました場合には、予備自衛官だけでは編成いたしません。そのうちの二、三割程度のものは、従来の現職の自衛官とコンビにいたしまして部隊を編成することになろうと思います。
  61. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、一応六万人という前の想定、あの構想の中での国会審議の中では、一万人が消耗補充者、五万人が警備連隊だという構想になっておったわけですが、いま審議している対象のものについても、四次防そのもの、戦略そのものはまだ国防会議できめられていないけれども、中身としてはあの構想でもって進められているという以外に判断のしようがないわけです。そうじゃないですか。
  62. 久保卓也

    ○久保政府委員 四次防の六万人のときの一万人というのは減耗分ではございませんで、五万人足らずが警備連隊で、あとは後方業務その他の新編部隊の補充に充てるということで、三次防の場合に減耗補充分というのがあったわけです。したがいまして、いまの法案の中には四次防の考え方は出ておりませんから、戦闘減耗というものは生きております。ただし、どうも部隊側で説明を聞きますと、予備自衛官招集して訓練する場合に、あなたは戦闘損耗の場合の補充だぞということで訓練することはいかにも志気に支障があるということで、やはり使命感に燃え立たせるためには、あなたはこういう仕事をやるんだという、むしろ積極的な、前向きな任務付与のほうがよろしいという反省があったようであります。
  63. 横路孝弘

    横路委員 いま予備自衛官の所属というのは居住地が中心になっていますね。ずっとこの方針でいかれるお考えですか。
  64. 江藤淳雄

    江藤政府委員 現在は、予備自衛官人事処理は全部地方連絡部ごとに行なっております。したがいまして、その府県ごとにある地方連絡部が一応掌握して、いろいろな手続便宜を見ておるということでございますので、現在のところ、それを特に変更するという考えは持っておりません。
  65. 横路孝弘

    横路委員 それはあまりよけいなことはやらぬほうがいいのでありますが、そうすると、先ほどの質問にもちょっと関連をするのですけれども、おたくのほうでは、府県別状況というのは配置の際の基準には全然考えてやっていないわけですか。
  66. 江藤淳雄

    江藤政府委員 現在、府県別には人員は分かっておりませんが、北部方面隊関係で二千五百名、東北方面隊関係五千五百名、東部方面隊関係一万一千名、中部方面隊関係一万一千名、西部方面隊関係六千名ということになっております。これはやはり実際に、隊員が任期満了して定着するところが、東京とか大阪とか名古屋というような大都市が多い関係で、このような人員配置になっております。具体的にこれを、方面別にある程度均衡をはかるとか、府県別の人員について配慮するということは、現在のところ考えておりません。
  67. 横路孝弘

    横路委員 私たちは、その警備連隊構想なるものには反対なんで、あまり先ばしった議論をしてもやぶへびになると困るから、この辺でやめておきますが、結局、機能というのは治安部隊ですね。
  68. 久保卓也

    ○久保政府委員 治安部隊といいますと少し観念が狭いと思います。つまり、単純な警察活動的なものだけではなくて、たとえば特定地域が防衛行動の対象になっています場合に、第一線部隊がそちらのほうに転用されます。そうしますと、残された比較的広い地域にわたって、たとえば、少数の上陸部隊がありますとか、空挺部隊がありますとか、要するに防衛行動の範囲内においても、少数の攻撃侵略が予想されるという場合に、これは対処するものである。外国の多くの諸国で郷土防衛隊というような編成がございますけれども、大体そういったような観念で、単純な治安よりももう少し広い観念とお考えいただいたほうが適当かと思います。
  69. 横路孝弘

    横路委員 郷土防衛隊という構想が基本にあるわけですか。
  70. 久保卓也

    ○久保政府委員 郷土防衛隊といいますか、これは、郷土防衛隊ということばによって発想する人によって内容が違ってまいりましょうけれども、外国におきます郷土防衛隊というのは、テリトリー、地域ごとの防衛を担当する。海岸線であるとか、山岳地帯であるとか、国境線であるとか、あるいは空挺部隊に備えるとか、そういうテリトリーといいますか、地域に備えるという意味が相当ございます。そういう意味では郷土防衛隊的なものであり、言うなれば座ぶとん部隊とわれわれはよく俗称しておりますけれども、そういった機能を持っておるというふうに言えようかと思います。
  71. 横路孝弘

    横路委員 そこで、四次防の今回の大綱について少しお尋ねしたいと思いますが、四次防の大綱というのは三次防の大綱とほとんど同じですね。三次防そのものの装備計画はほぼ達成されたのでしょう。
  72. 久保卓也

    ○久保政府委員 ほぼという意味では、若干の取りこぼしがございますけれども、ほぼ達成されていると思います。
  73. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、同じ大綱に基づくわけだから、四次防というのは結局三次防の装備の更新程度だ、こういうように理解してよろしいわけですね。
  74. 久保卓也

    ○久保政府委員 近代化による更新が中心になるということは言えようかと思います。ただし若干の増加分が予想されようかと思います。国力、国情によっての漸増という方針に従って、ある程度増量ということも予想し得ると思います。
  75. 横路孝弘

    横路委員 それは量の問題だけですね。
  76. 久保卓也

    ○久保政府委員 近代化による更新という場合には質が改善をされてまいります。つまり新しい機種、新しい艦艇によって取りかえられるということがあります。それと同時に数量的に、たとえて申しますと、陸上自衛隊なんかは、三次防と同じペースで装備を購入いたしましても、量的にはふえてまいるという面がございます。
  77. 横路孝弘

    横路委員 昨年、四次防についての防衛庁原案が発表されて、あと、予算委員会あるいは内閣委員会等でいろいろ議論がされたそのときに、皆さんのほうの答弁は、私たちの指摘もそうだったんだけれども、一次防、二次防、三次防というのは、装備計画で戦略というのはなかった。今度の原案は、そういう意味では戦略を持ってきたんだ。つまり非常に侵略の態様というものを限定して考えて、日本の力の中でもってやれる部分というものを限定を置いて、したがって、めどというものは大体この考え方によって立ちましたという答弁だったはずであります。今度の四次防というものの大綱を見ておりますとさっぱりわからぬわけですが、その辺の関連はどうですか。
  78. 久保卓也

    ○久保政府委員 大体おっしゃるとおりでありまして、四次防原案の場合は、曲がりなりにも何らかの意味づけをしようと努力したわけであります。ところが、三次防の大綱は、ごらんいただきまするとわかりますように、私も関係したのではありますけれども、いわば無性格である。国力、国情によって漸増するという性格が非常に強いというふうに思います。ところで、四次防は、三次防の延長として四次防大綱ができたわけでありますが、そのままでありまするとやはり三次防的な性格のものになります。そこで、そのままでよろしいのかどうか、あるいは三次防の延長ではあるけれども、それなりに何らかの、少なくとも国民の納得のいくように、あるいは納得していただけるような説明ができないだろうかということが、私どもの今後の検討の課題であろうと思っております。
  79. 横路孝弘

    横路委員 私は、昨年発表された原案そのものだって、ある意味では、非常に外に出ていく体制というものが、あの戦略の中に考え方として、たとえば制空権、制海権とか、従来の領土、領海防衛から公海防衛という戦略の変更があって、そのことは必ずしも国民にとっていいことであるとは思わない。むしろその逆なわけですけれども、しかし、いずれにしても、三次防そのものというのは、これだけですとさっぱりわけがわからぬわけですけれども、そういう意味では皆さん方が努力されたということはわかるわけですけれども、しかし、四次防そのものの大綱は、いま、これからいろいろ検討したいとおっしゃられるけれども、大綱そのものは全く変わりないわけですね。  そうすると、これはまあ理屈になるかもしれませんけれども、三次防というのは、ほぼその大綱に基づいた装備計画というのは達成されたということになれば、あとは何も大幅に新しい兵器を導入する必要性というのは全くないわけです。それは、国の経済力が強くなったから、それに基づいてやるんだ、軍備を拡大するんだという以外の何ものでもなくなるわけでしょう。したがって、皆さん方の四次防の大綱、あの大綱そのものについては、前の原案と比較して一体どのようにお考えになっているのか。四次防の大綱は全く皆さん方の真意ではなかったわけですか。
  80. 久保卓也

    ○久保政府委員 四次防の原案のときには、防衛庁の内部でもそれなりの考え方であったろうと思うのですけれども、それを発表いたしまして、国会、国民のいろいろの批判を受けてみると、三次防の延長として考えるということが適当であろうというふうに政府部内の意見がまとまったわけでありますから、私どもはああいった方向の中で考えてみる。しかし、三次防の装備がほぼ充足されたからといって、四次防では単純にそれの更新であるとは考えませんで、やはり、三次防でもある程度の増量が考えられると同じようなテンポでは、少なくとも四次防でもある程度の増加ということは考えていくべきであろうというふうに思っております。
  81. 横路孝弘

    横路委員 ですから、そこにはどういう認識の変化と戦略の変化というのがあったんですか、四次防の原案から今度の四次防の大綱に変わった中には。
  82. 久保卓也

    ○久保政府委員 全般的な意味での戦略というのは格別変わっておりません。しかし問題は、三次防の装備はほぼ達成できたといいましても、三次防の装備なり防衛力が日本の最低限の防衛力として必要かつ十分なものであるという認識には立っておりませんで、やはり最低限の自衛力を建設する途中の段階である、三次防はそういった途中の段階である、その途中の段階の考え方を、さらに四次防でも推し進めようというほどのことであります。
  83. 横路孝弘

    横路委員 それだったたら、全く装備計画と変わりないことになるでしょう。基本的なものの考え方というのは、アジアの情勢だって変わってくるわけでしょう。三次防の場合、昭和四十一年でしたか、あのときといまと変わっているでしょう。そういう認識の変化と、それから自衛隊のそれに対処しようという戦略の変化というものがなければ、あの四次防の原案という形にならなかったでしょうし、それがまたもとに全く戻ったというのは、一体どういうようなものの考え方の変化があったのかということです。ですから、三次防の大綱と変わりがないということであるならば、近代的なとおっしゃったのだけれども、今度の問題になったT2、C1というのは、全くあれは中曽根構想に基づいたものになっているのでしょう、今年度予算というのは。違いますか。
  84. 久保卓也

    ○久保政府委員 中曽根構想がかりになくてもそうしたであろうもの、それが中に入っておるわけです。したがって、防衛庁原案の中にあったものは全部四十七年度予算に入っているから、したがって四十七年度予算が中曽根構想だということではちょっと私どもは困るのでありまして、防衛庁原案というのは、五カ年計画の全体の姿の中でその原案の本質ができている。単純に四十七年度予算で取り上げられたものそのものが、直ちに中曽根原案だというふうにはちょっと思いにくいもけであります。
  85. 横路孝弘

    横路委員 それでは、いわゆる前の防衛庁原案ですね、この考え方によると、たとえば周辺の航空優勢とか制海確保とか、いろいろ新しい基本構想というものが出てきているわけでしょう。そうすると、それは整備目標のうちのどれでしょうか。
  86. 久保卓也

    ○久保政府委員 この四次防原案の文書の読み方は、あとで考えてみると、誤解を招くような書き方であったかと私どもは思いますが、そこに書いてある、たとえば制海の確保、航空優勢の確保といったような思想というものは、実は四次防の中でそれを実現しようということでありませんで、ここにもありますような長期目標を達成する中で、そういったものを内容として持ち込もうと考えたわけであります。そこで、四次防というのはそういう長期目標の途中の段階である。ですから、四次防だけを取り上げて、それが制海の確保である、あるいは航空優勢の確保であるということにはつながってこない。したがって、そこに書いてあるものとは必ずしも結びつかないというふうにお考え願いたいと思います。
  87. 横路孝弘

    横路委員 しかし、それは三次防には少なくともなかった思想ですよ。したがって、この四次防の防衛庁原案でもって、いろいろ海上自衛隊、陸上、航空について主要な整備内容というのがあるでしょう。これは、この前の基本構想とか、防衛構想とか、立案の趣旨というところと、装備の内容というのは、論理的つながりはないと思うのです。非常に大きな飛躍があると思うのですが、それは別にして、この前の考え方に基づいた整備というのは、この装備の中では一体どれが当たるのですか。
  88. 久保卓也

    ○久保政府委員 いま、そこに書かれてあることと、それから装備との結びつきがない、論理的飛躍があるとおっしゃいましたが、飛躍ということばはちょっと私にとってはきつ過ぎるわけでありますが、ある意味では当たっておるわけであります。つまり三次防の大綱は、三次防の中身を説明しようとしたものである。四次防の大綱も四次防の中身を説明しよう、方針を示そうとしたものである。ところが、その原案の中に書いてありますいろいろなこと、制海あるいは航空優勢を含めましていろいろ書いてありますことは、長期目標を達成するときにそういったような機能を持つものである、ですから、それは四次防でも五次防、あるいは場合によっては六次防にかけての考え方であった。その中での第一段階あるいは前段階としての四次防を取り上げたわけです。その場合の四次防の装備がそこに書いてある。ですから、将来の防衛力のあり方としてはこういうものでありますということがるるそこに書いてありまして、そこで装備については、そのうちの四次防の一部分であるという考え方であります。
  89. 横路孝弘

    横路委員 どうもいまのお話というのはやはりへ理屈であります。確かに長期的な構想というのは、しかしながら四次防が出発点になっているわけでしょう。少なくとも皆さん方のあの答弁のときには、国会の審議の中では、三次防までは装備計画だったと皆さん方は認められた。今度は違うのだということを一生懸命ここでもって強調されたわけですよ。それがいろいろな経過の中でまたもとに戻ったわけです。戻ったんですけれども、装備そのものは何も戻ってはいないわけです。この四次防原案に基づいたものがそのまま出てきているということで、今度国会の二月段階で問題になったわけでしょう。したがって、私がいま皆さん方お尋ねしたいのは、この陸、海、空とあるうち、この新しい四次防の戦略に基づいた装備というのはどれなんですかというのを明確にしてもらいたい。
  90. 久保卓也

    ○久保政府委員 四次防の考え方に基づいた装備はどれであるかというと、これはちょっとすぐにはお答えしにくいのであります。と言いますのは、何べんも繰り返しますけれども、ここに書いてあるのは長期目標の考え方であります。それを達成するためのそれぞれの装備であるということになります。したがいまして、たとえば艦艇についても航空機についても、全体ができ上がった場合にはそれぞれのパートを占めるものになるということであります。かりにそういった四次防らしいものという観点に立って見ます。という意味は、あるいはそれが御質問の趣旨かもしれませんが、そういった将来の長期目標を達成するために特に意義のあるようなものというような点から言いますと、たとえばナイキ、ホークの増強の分でありますとか、それから予備自衛官の増強の分でありますとか、AEWの開発、PXLの開発でありますとか、それから潜水艦の減耗更新。これは潜水艦のみならず艦艇の減耗更新分をこえる、つまり量的にふえている部分、それはあるいはその四次防らしいものということが言えるかもしれないと思います。
  91. 横路孝弘

    横路委員 つまり長期目標というやつが四次防の戦略なんでしょう、一つは。それがいわゆる従来の一次防、二次防、三次防とは違うんです。あの大綱では何が何だかさっぱりわからないから、そこで限定を加えて対処すべきものというものを明確に、あるいは自衛隊が装備しようというものを明確にしていくんだという御答弁だったろうと思うのです、去年の国会のいろいろな審議というのは。したがって、私、見ておると、ぱっとその大綱だけはもとに戻って、装備のほうはどうかと言ったら、ほとんどそのまま変わりないのですね。これは皆さん方がことしの二月に出した業務計画と、去年の八月に出した業務計画を比較をしてみると、ほとんど内容は変わりないですよ。若干数が減らされているだけで、項目そのものはほとんど変わってないでしょう。そして四十六年の八月の業務計画によると、これは四次防の構想に基づいて作成したんだということが明確に出ているわけですね。したがって、たとえば今年度予算というものは、C1とかT2、あるいはRF4だけじゃなくて、それ以外の分については、AEWとかPXLの関係というのは、全部四次防構想に基づいた装備なんだということが言えるわけでしょう。
  92. 久保卓也

    ○久保政府委員 この点は大蔵省ともずい分やり合った問題でして、AEW、それからPXLの開発そのものに踏み切ったのではありません、四次防の場合には。つまりその前段階の事前研究ということであります。したがって、長期計画ができなければ認められなかったであろうもの、たとえば新しいそういったAEWなりPXLなり、もしくは減耗更新、数量的にいえば減耗更新をこえる量的な増強分、そういうものは四十七年度からは落とされているわけです。
  93. 横路孝弘

    横路委員 しかし、そこのところは八月のやつはどう書いてあるかというと、次期対潜哨戒機、PXLですね、それからレーダー搭載哨戒機等の開発に着手する。ちゃんと開発着手になっているのですよ。それが国会で問題になったとたんにどうなったかというと、レーダー等の調査研究を実施するというようにことばだけ変えたわけでしょう。結局中身は八月の業務計画どおりちゃんと予算がつき、やられているわけですね。そういうあまりごまかしは……。
  94. 久保卓也

    ○久保政府委員 いえ、ごまかしでは、ございません。これは実際の経緯がそうなので、八月段階では予算概算要求をする前の段階でありますから、防衛庁原案がなくなったわけではありません。したがいまして、予算概算要求の段階では、業務計画も概算要求もすべて防衛庁原案に基づいて要求をしております。したがって同様の内容とことばが使われております。ところで、年末に予算がきまったときには、そういった発想が落とされているわけです。したがって、予算がきまった後においては、これは業務計画の内容が変わっておりますから、表現も修正されるということになります。うそではありません。
  95. 横路孝弘

    横路委員 そこで、この四次防の国防会議の決定の時期は大体いつごろ、夏以降というような、しかもかなりことしのおそくというのが二月段階での皆さん方の御説明だったと思うのです……。
  96. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは年度内に策定したいというたてまえでおりましたところが、経済的な見通しが非常に困難である。特に経企長官等からの御意見があって延びたわけです。それじゃいつになったら出るのか、大体夏過ぎごろでしょうと、こういうことが、いわゆる夏過ぎごろになるという政府側の統一見解になったことは御承知のとおりであります。しかし最近、いつごろになるだろうか——また、この見通しというものが、しばしば、出されたあとにも変更の加えられるものであるわけですが、およその見当はいつごろかというわれわれの問いに対しまして、大体七月ごろになればほぼ、まずこうでしょう、というようなお答えができるのではないか、こういうふうに経企長官などは言っておられます。したがって、やはりそういうものを勘案しながらということになりますと、七月より早くなるということはちょっとむずかしいのではないかというふうに考えます。
  97. 横路孝弘

    横路委員 昨年、西村防衛庁長官のときに、中曽根構想を五千億削減をした計画というのを防衛庁の中でつくられましたね。あれの五千億削減した中身というのはどういう中身なんですか。
  98. 久保卓也

    ○久保政府委員 西村大臣のときに修正しました場合には、防衛構想は一応引き継ぎまして、まあ五千億を減らしたというか、逆に言いますると、なるべく正面兵力を減らして縮めてみた結果、五千億程度が何とか捻出できるのではないかという逆の数字でありますが、そのうち約三千億が正面兵力、主要設備であり、二千億が後方関係であります。
  99. 横路孝弘

    横路委員 具体的に言うとどういうところですか。たとえば海上自衛隊についてちょっと説明してください。
  100. 久保卓也

    ○久保政府委員 海上自衛隊について申しますると、たとえは護衛艦の隻数を二万トン——護衛艦と申しますか、艦艇のトン数を総体で約二万トンぐらい減にしておりまするし、それから護衛艦のほか潜水艦の建設数を減らしております。それから小型艦艇、特に哨戒艇なんかの減をだいぶ立てております。それから航空機も若干ずつ。航空機の減は、対潜哨戒機のところで少し減らすような計画にしております。  そういうようなことで海の場合に出しておりますが、もう一つは、考え方としましては、先ほど申し上げましたように、防衛構想については防衛庁原案を一応前提にしている。そういたしますると、防衛力の所要量というものは原案のときと変わっておらない。ただし、現在の緊張緩和の時勢からすると、それを四次防期間中に完成しなくてもいいのじゃないかという意味でスローダウンする。ですから、五次防に繰り下がっていくものがだいぶあるというようなことであります。  なお、全般的な後方関係については、必ずしも詳細な計算をしておるわけではありませんで、一応ラフに計算しまして二千億という数字を出しております。
  101. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、例の八千トンの護衛艦なんというものは、その五千億の削減の中には入っているわけですね。
  102. 久保卓也

    ○久保政府委員 一応入れてあります。
  103. 横路孝弘

    横路委員 大体その数は何隻ぐらいに減らしたのかというのは答弁できませんか。たとえばヘリコプター搭載艦、護衛艦、潜水艦、高速ミサイル艇については、四次防の原案の中では何隻、何隻ということが出ていますね。それを大体どのくらいにしたのかということです。
  104. 久保卓也

    ○久保政府委員 総体の金額はありますが、隻数は、ちょっと手元の資料ではございませんので、よくわかりません。
  105. 横路孝弘

    横路委員 たとえばT2なんかの機数はどうなんですか。
  106. 久保卓也

    ○久保政府委員 T2については、これはパイロットに見合うものでありますので、必要量は計算されるわけでありますが、調達についてはスローダウンをするということで、若干計算の途中で二案、三案ありますので、ちょっとはっきりいたしておりません。しかし、四次防調達期間中には——T2のみならずでありますが、航空自衛隊の飛行機の関係は非常に経費を食いますので、四次防の間における調達量は各機種とも減らしておるということであります。
  107. 横路孝弘

    横路委員 結局、お話を聞いていても私のほうで納得できないのは、つまり、三次防の大綱段階での装備というのはほぼ達成した、今度は四次防の大綱でいく。それは三次防と何も中身は変わらない。実際の予算とか装備というのは、いわゆる昨年の四次防原案の戦力に基づいて、大まかな方向というのは大体そういう方向で、たとえばことしのいろいろな予算の海上、航空関係を見てみるとそうだということになっているわけなんで、結局何があるのかというと、とにかく装備すればいいのだということですね。基本的な戦略なんというのは、あとでもってこじつけをいかにするかというだけの話で、先にこれだけ必要だというその要求をどんどん出していっているという感じが、われわれは非常にするわけなんです。そして皆さん方のほうでも、なぜ必要なのかという説明を全然なさらないから——特に今回のような四次防原案から四次防大綱に戻った経過を見ても、そういう感じというものは国民だれしもが受けとめているのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味では、もうちょっと正直に御説明になったほうがいいのじゃないかと思う。たとえば海上自衛隊なら海上自衛隊をとってみたって、結局、中曽根防衛庁長官の、南鳥島から沖繩を含めて、太平洋を含めて原子力潜水艦の跳梁を許さないという戦略に基づいた潜水艦とか護衛艦とかいうものの配置に、ことしの予算を見たってなっていますね。その辺のところは、皆さん方のほうで、国防会議でもってどういう議論をされるのか。これからのことでありますけれども、やはり国民にできるだけ納得できるような説明というものをひとつ明確にしてもらいたいと思うわけであります。  最後に、江崎防衛庁長官にちょっとお尋ねしておきますが、この中曽根防衛庁長官の当時の防衛庁原案の戦略構想というものは、装備は別にして、江崎さん自身はどのようにお考えですか。
  108. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと先ほどの前段の件について補足しておきますが、西村削減案、これはどういう内容かというさっきの御質問でしたが、これは満足な御回答ができませんでした。これはできないのは当然で、いわゆる中曽根原案というものが白紙に戻りました以上、その中曽根原案から五千億を減額した西村試案、こういうものも、当然これはやはり白紙に戻ったというふうにお考えを願いたいわけです。  しかし、私、予算委員会等でもお答え申し上げておりますのは、総金額においてはどの程度かとおっしゃるならば、それは五千億減というような金額、これが一つのめどになりましょう。しかし、内容の整備、今後のいわゆる主要項目、それに配するのに予算、計数と申しますか、そういったものはおのずと新たな見地に立って検討をすることになるわけであります。したがって、いま、西村五千億削減案のときの海上自衛隊の内容がどうだ、航空自衛隊の内容をはっきり言って国民の理解を求めろとおっしゃっても、これは言えない。また、それは根拠がないということは言えるかと思います。もちろん、共通するものも相当ありましょう。ただ根拠なくして中曽根原案ができたり、また西村減額案というものが出されたものじゃありませんから、今後の検討において共通するものもずいぶんありましょうが、変わっていく分もある。  後段の質問でありますが、中曽根君の場合は、やはり十年を視点にして、四次防、五次防でその十年の間に相当積極的に日本の防衛力を強化していこう、一口に言うとそういうことだったと思います。しかし、三次防と同じような大綱で、どうも十分わけがわからぬではないかというさっきからの御質問でありますが、これは三次防をもって日本の防衛力が全部充実し、増量、増強の計画が終わるわけじゃありませんから、やはり段階的に、先ほど久保局長が申しましたように、装備の近代化、それに伴う更新ということがあります。それから、三次防ではまだ十分でないいわゆる増量、増強という面もあるわけでありまして、それを十年を視点にして積極的に整備するというものを、三次防と同じように、この「国防の基本」というところに書いてありますように、国際緊張の緩和と善隣友好の外交政策を基調として社会的発展をはかるとともに、必要な内政諸施策を講じ、国内に不満が爆発したり、そういうことのないようにするとともに、「日米安全保障体制を基調として、侵略を抑止する防衛力を整備し」と、ここらあたりはまさに三次防引き写しのようなかっこうになっておりますが、これは、国防の基本方針を変える、こういう前提に立った当時の中曽根案と、国防の基本方針は昭和三十二年策定のままこれで推し進めようとする今度の四次防構想とでは、全然違うわけであります。  そればかりか、御承知のとおり極東情勢というものも、一回の米中会談によってこれがにわかに好転すると言うことは危険だ、そう判断することはむずかしいというふうに、私どもしばしば申し上げてまいりました。ベトナムでも、緩和をしたり緊張をしたり、また緩和をしたりという、長い道程をたどるでありましょう。まさに見通しのとおり、そういう繰り返しをいたしております。しかし、少なくとも中国封じ込め政策というものを一てきしたアメリカの政策というものが極東の緊張緩和に役立つ、これは私、大きな一つの明るみを増したことだと思っております。また、中国が国連社会に参加した、これも大きな緊張緩和の原因であると確信いたします。  そこで、そういうことを踏まえながら、今後五カ年間の防衛力整備計画を策定するわけですが、ここで誤解があるといけませんので補足いたしておきますならば、もともと三次防で満足な日本の局地防衛に耐えるだけの装備ができたというものではありませんので、緊張が緩和するといかんにかかわらず、この次の四次防の整備計画というものは三次防の延長として行なうことです。いわゆる近代化に基づく兵器の更新、増量、増強。この増量、増強も、これはおのずから限界があります。しかし、五カ年間といいましても、これは長い場面ですから、そのあたりも外務省等とも十分打ち合わせをしながら、目下、主要項目等々についてどう立案するか鋭意検討をいたしておる、これが現在の段階でございます。
  109. 横路孝弘

    横路委員 時間があれで、労働省の方が何かほかの委員会に行かなければならぬというので、ちょっとほかの問題についてお尋ねしたいと思うのですけれども、実は、ベトナム戦争が激しくなって、ノースウエスト航空が米軍にチャーターされまして、毎日毎日ベトナムへ行っているわけです。これは兵隊を輸送しておるわけでありますが、ダナンとかビエンホア、あるいはカムランに毎日毎日飛んでいる。だれが乗っているかというと、実はアメリカから横田に飛んでくるときには、アメリカ人のスチュワーデスがついてくるわけでありますけれども、横田からダナンとかビエンホアあるいはサイゴン等のベトナムに行くときには、日本人のノースウニスト航空に雇用されているスチュワーデスがこの飛行機に乗り込んで飛んでいっているわけです。いまのようなベトナムの状況で、ときには、おりられなくて引き返すというときもある。スチュワーデスは非常に若い女の子ですから、飛ぶのをいやとしているわけです。大本六十人ほどおりまして、六十人が交代でベトナムにやらされているわけですね。ところが、業務命令ということで、いやだということで乗らなければ、これは首になるということで、皆さん方非常に心配されているわけであります。これは、ノースウエスト航空とスチュワーデスとの間に雇用契約があって、ノースウエスト航空が米軍にチャーターされて、米軍機という扱いでベトナムのほうに飛んでいっているわけですが、その辺の事情を、これは担当はどこなのかちょっと明確ではないのですが、ぜひ労働省のほうで調べてみていただきたい。勤務の実態というようなのも、かなり日本の労働基準法から言うと問題点がないわけじゃないようですので、その辺のところを御検討をお願いしたいということなんですが、労働省の方、おりますね。
  110. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいまの件でございますが、私どもの承知しておる範囲におきましては、ただいまの日本人スチュワーデスと会社との関係につきましては、採用の際にそういう内容の契約をした上で、それを承知した上で採用されていると聞いております。しかし、そういうことが自分としては不安ありというような人については、これを拒否したというような例もございまして、現在、そのような取り扱いになっておりますが、なお、先生のおっしゃるように、具体的な内容等につきましては十分調査してみたいと思います。
  111. 横路孝弘

    横路委員 それは会社のほうできっとそんなことを言っているのだろうと思いますけれども、実はベトナムに行くということは契約の内容になっているわけじゃないですね。ただ、米軍にチャーターされた場合に乗り組むことはあり得るということが契約の内容には一部あって、それもそういうことでないと採用されないようなんですけれども、ベトナムに行くということは、決して採用の条件には実はなっていないわけなんです。そこで、それも毎日毎日飛んでいっているわけなんです。ダナンとかビエンホアあたりというのは、やはりこれは非常に危険な地域でもあるわけですから、ぜひその辺のところを一度事情を調べてみて、ぜひ指導をきちんとしていただきたいというように思うのです。
  112. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいまおっしゃるとおり、私どもさっそく手配いたしましてみます。
  113. 横路孝弘

    横路委員 それで、この米軍チャーターということになりますと、もちろんこれは米軍雇用というのとは違ってくるわけですね。雇用契約そのものは米軍との間には何もない。会社との間の雇用契約があって、会社がチャーターされているということになっているわけなんですが、この場合に、自由にどこでもそういう活動というものはできるものなんですか。この辺はどうなんですか。防衛施設庁はちょっと関係ないですかな。前のあれとは違いますね、LSTというのとは。
  114. 吉本実

    ○吉本説明員 契約内容としては、はっきり明示をいたしまして、どこのところへ輸送するために採用するんだ、こういう契約であれば、一般的には差しつかえないのじゃないかと思っております。それから、採用条件としてそういうことをしているということは、一般的な法令は別といたしまして、基準法自身としては特には関与していない、こういう解釈で当たっております。
  115. 横路孝弘

    横路委員 ただ、その場合、明らかにこれは米軍チャーター用のスチュワーデスだという雇用の内容になった場合は、これはどうですか。
  116. 吉本実

    ○吉本説明員 もちろん、その契約の内容がどのようになるかという問題でございますが、チャーターということが、前もってそういう場合においてこういった契約をするということであれば、差しつかえないのではないかと思いますけれども、なおよく検討してみたいと思います。
  117. 横路孝弘

    横路委員 それはあれでしょう、アメリカ企業の場合だって、当然これは、日本人労働者には、労働基準法の適用というのはありますね。その場合に、これは外務省のほうにちょっとお尋ねしたいのですけれども、こういう形が許されるということになったら、これはもうどんどん抜け道というのは出てきますね。普通の民間会社をつくって、そこに雇用さしておいて、これはほかに持っていって使うということだって自由にできることになりませんか。
  118. 橘正忠

    ○橘説明員 チャーターにもいろいろな形態がございますのは、御存じのとおりでございます。したがいまして、この場合も、一応どういう条件のチャーターをするということによっても事情が変わると思います。その点、もう少し調べないといけないと思います。
  119. 横路孝弘

    横路委員 そういうここで、スチュワーデスの人たちが、ともかく兵隊が中にたくさん乗っておって、その兵隊に対してサービスをする。つまり、食事を出したり何かしたりということが仕事になっているわけなんですが、そういう中で二人、三人の女の子だけ乗って、非常に皆さん心配をしているわけなんで、これは戦闘地域でもありますし、ひとつ検討していただきたいというように思います。じゃ、そういうことで、労働省のほうはけっこうでございます。  そこで、最後にちょっと外務省のほうに、この間質問した続きなんですけれども、例の航空管制についてどういうことになりましたか。とりわけ、進入管制の部分についてどういう取りきめが米軍との間にできたのか。
  120. 橘正忠

    ○橘説明員 復帰の際の日米の合同委員会におきまして、航空管制についても合意ができました。それによりまして、アメリカに適用されている基地の関係は、米側が進入管制を行なうということに合意ができました。
  121. 横路孝弘

    横路委員 それは大体そういうことになるだろうというのは明らかなんですが、問題は、去年の二月段階の橘さんと向こうのリーという参謀長の間の合意は、米軍の軍事的な必要性がなくならない限り米軍が管制権を持つということだったわけでしょう。私は、そういうことじゃちょっとまずいんじゃないかということでこの間の委員会指摘をしたら、皆さん方のほうは、能力の問題なんだから、管制の能力を日本が持てるようになったらいつでもこれは日本に返してもらうように、アメリカ側と折衝しようということだったわけでしょう。その点はどういうことになりましたか。
  122. 橘正忠

    ○橘説明員 航空管制につきましては、実際上の復帰のときの状況とわがほうの管制の力とか、いろいろなものを総合して判断せねばならぬので、いろいろな話し合いの過程というのがございます。しかしながら、今回の合意に達しましたのは、ただいま申し上げましたとおりのことを端的にきめただけでございます。それ以外に別に何らのものはございません。
  123. 横路孝弘

    横路委員 たとえば期限の問題。航空路管制については二年間でしょう。これは前から皆さん方のほうで御答弁になっている。そのとおりきまったのでしょう。航空路管制は、一応米軍に二年間は預けておいて、二年たったら日本が引き受けるということでしょう。進入管制についてはどうだというと、進入管制については、去年の段階で期限なんていうのはなかった。期限がないとどうなるかというと、この東京の空を見たらわかるように、まだ米軍のものでしょう。横田でやっている。横田に対する進入管制というのはどこでやっているかというと、東京管制センターでやっているわけじゃなくて、横田でやっているわけでしょう。しかも二十何年たってもまだそうなんだから、今度の沖繩復帰のときにいいかげんな取りきめをしては、半永久的に続く米軍基地ですから、そのまま半永久的に続きますので、それじゃ困るから、期限の限界というのはどういうぐあいにきめるのかということです。  従来、那覇、嘉手納、普天間がありますが、那覇は別にして、ともかく少なくとも嘉手納や普天間については、進入管制は米軍の軍事的な必要がある限りにおいては行なうのだということがアメリカ側の考え方だったわけでしょう。それで大体橘参事官と向こうのリー参謀長との間に合意ができておった。ところが去年、全日空と自衛隊機による衝突事故が起きて、いろいろ航空管制の問題が問題となって、軍事優先というのはやめようということになって、じゃ何が問題なのかというと、いまは日本に進入管制をやる能力がないから、日本に管制する能力ができるまで進入管制についても米軍がやるという形にしたいというのが、これまでの吉野局長の答弁だったのです。ですから、結果としてどうなったか、そこのところをちょっと明確にしてください。
  124. 橘正忠

    ○橘説明員 航空路管制については、先生御存じのとおり、二年という期限を想定しております。ただ、進入管制につきましては、このたびの合意ができましたのは、特に期間その他について、あるいは米軍の軍事的な云々ということは何ら触れることなく、とにかく進入管制は米側が行なうということだけをきめたのが事実でございます。
  125. 横路孝弘

    横路委員 そのときに、日本側の管制能力ができるまでの間、米軍に進入管制をやらせるというような項目は入らなかったわけですね、この協定の中には。
  126. 橘正忠

    ○橘説明員 合意そのものは、申し上げましたとおり、非常に端的な、現時点における事実を合意したものでございまして、わがほうの能力云々とか、そうしたいわば形容的なものは全くない合意が成立しております。
  127. 横路孝弘

    横路委員 それは間違いないですか。
  128. 橘正忠

    ○橘説明員 間違いございません。
  129. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、期限というのはもう全然きめてないというのは、永久的にという意味ですか。つまりあなたのいまの御答弁だと、進入管制については米軍にまかせるというわけでしょう。そうすると、もう期限というのは全然ないわけですか。永久的に米軍に進入管制権をまかせたという趣旨ですか、それは。
  130. 橘正忠

    ○橘説明員 永遠にとも書いてございません。
  131. 横路孝弘

    横路委員 それはどういうことがあるのですか、そのバックには。それは書いてあってもなくても、ともかくいつごろまでなんというめどは、全然皆さんのほうは考えないで、とにかく進入管制についてはアメリカにまかせますよということをきめたわけです。それはこの間の吉野局長の答弁とは違いますよ。その付属書を国会のほうに出してください。
  132. 橘正忠

    ○橘説明員 要旨につきましては、これは直接主管する運輸省とも協議いたしまして提出いたしたいと思います。  なお、補足さしていただきますと、いろいろわがほうの管制の能力というようなものも考えて、将来については協議をするというようなことはうたってございます。協議条項というものはございます。
  133. 横路孝弘

    横路委員 協議条項はあっても、それは別に進入管制についてじゃなくて、全般的な協議条項ですか。進入管制について、その能力ができた場合には協議することというのは、一応その期限は、じゃ何もないのじゃなくて、できたときには一応返してもらうということが予定されているわけでしょう。
  134. 橘正忠

    ○橘説明員 協議ということで一種の歯どめといいますか、一つの節というものはあると思います。ただ、たとえば航空路管制における二年といったような明示的な期限というものはないという趣旨のお答えでございます。
  135. 横路孝弘

    横路委員 ですから、私が聞いているのは、一つの主権の効果みたいなものでしょう、空を自分のみずからの手で管制するというのは。したがってそのように考えれば、当然これは日本に戻るわけでしょう。それを米軍にやらすわけだから、その理由は何かといえば、航空管制の能力というものがまだない、管制官も足りない、したがって一時的に米軍にまかせるのだということが趣旨であるはずなんです。したがって、そういうぐあいに考えれば、日本側にこの能力ができた場合には、これは当然日本側にアメリカ側から返してもらわなければならぬ性質の問題だろうと思うのですね。したがって、航空路管制については二年間ということを明記されているから、那覇については一応日本がやるということになっているでしょう。進入管制についてはどういうことなのかということについては、日本側にそういう意味での能力ができた場合はアメリカ側と協議するのだとか、あるいは返してもらうのだという期限というものがあるのがやはり当然じゃないかということで、それは、この間の四月の委員会のときに吉野局長と議論して、できることならそういうようにいたしたいということだった。去年アメリカ側との交渉の過程では、アメリカから出されているのは、軍事的な必要性がある限りにおいては米軍が管制権を行なうような規定ができていたわけでしょう。これは橘参事官とリー参謀長との間の合意事項はそういうことになっていたはずであります。したがって、そこのところはおかしいじゃないかということをこの間御質問したら、できるだけそうじゃない方向に努力しますということだったのですが、一応確認しておきますが、進入管制については、日本側にできる能力があった場合はまたアメリカ側と協議するのだということが一応協定の中には入っているわけですね。
  136. 橘正忠

    ○橘説明員 先生ただいま御確認を求められました点は、まさにそのとおりでございまして、日本側の能力というものができたときには協議をする。時期ははっきりしておりませんが、協議をするということが進入管制については取りきめられております。
  137. 横路孝弘

    横路委員 それともう一つ、例の航空交通管制に関する第三付属書というのがありますね。いろいろな原則については、これが適用されるようなこの間の御答弁だったのですけれども、例の昭和二十七年にできたきたやつから、この第三付属書は昭和三十四年くらいにできたやつだと思いますが、それは全部やはりそのまま沖繩の空には適用されるということになったわけですか。その辺のところはどうなったでしょう。
  138. 橘正忠

    ○橘説明員 現在の段階ではそれが実情でございますが、第三付属書、実情に応じてどういうふうにしていくかということを復帰後検討する、協議をするということもあわせて米側とは話してございます。
  139. 横路孝弘

    横路委員 その検討するということも、ちゃんとアメリカ側とほんとうに約束しているのでしょう。去年の八月以来、何回も委員会のあるたびにいろいろとこの委員会でも議論されて、そのたびにやはり、話し合いをします、しますと言いながら、もうこれで半年以上たっているのですね。もう一年近くなるわけですよ。したがって、これはきちんとやっていただきたいというように思うわけでありますが、そうすると、これは航空交通管制に関する第四付属書みたいなものの形になるわけですか。
  140. 橘正忠

    ○橘説明員 今度の沖繩返還に伴う航空管制についての合意というものがございます。これは、特に第四とか、そういうことではございませんが、沖繩の返還に伴う航空管制に関する文書はございます。
  141. 横路孝弘

    横路委員 そういう文書はございますなどという、いまの中身はそれなんでしょう。要するに、合意書ということで、これは地位協定の六条に基づいての合意事項なんでしょう。そうですね。
  142. 橘正忠

    ○橘説明員 そのとおりでございます。
  143. 横路孝弘

    横路委員 じゃ、資料のほう、つまり新しい協定ですね、運輸省と相談をして出されるということで、つまり外務省のほうでは問題ないということですね。
  144. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほど申し上げましたとおり、運輸省とも協議いたしまして、その要旨について出すことについては、私どもは異議はございません。
  145. 横路孝弘

    横路委員 要旨なんて言わないで、前の第三付属書だって、読んでみてどこが一体秘密なのか、私にはさっぱりわからない。運輸省のほうと相談してなんて言わないで、大体いつもうるさいのは外務省のようですから、おたくのほうで出せるのか出せないのか、それだけちょっとはっきりしておいてください。
  146. 橘正忠

    ○橘説明員 先生御存じのとおり、合同委員会関係文書は、そのものは外に出さないということにいままでやってまいっております。したがいまして、今回の件についても、その文書そのものというわけにはちょっといたしかねる次第でございますが、要旨については、かねてより外にも出していることでもございますし、今回もそうしたいと考えております。
  147. 横路孝弘

    横路委員 それはその要旨が出てきた段階でいろいろと議論したいと思います。  きょうはこれで終わります。
  148. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後三時三十四分開議
  149. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  150. 大出俊

    ○大出委員 十五日が過ぎましたので、いろいろな角度、いろいろな見方が世の中にございますが、沖繩国会等におきましても、総理に関しては、まことに長時間ずいぶんおつとめになられましたし、その意味ではたいへん御苦労続きだったと思います。  そこで私どもも、沖繩の皆さんが平和を求めておりますし、また人権擁護という問題を大きく取り上げておりますし、さらにまた、自治権の拡大という問題等についても議論をいろいろとしたわけでありますから、その意味では、平和憲法のもとに復帰をしたということについては、大きく一歩前進をしたものという受け取り方をいたします。ただ現実に、きのうの復帰時点で町にあらわれる沖繩県民各位の発言その他を聞いておりまして、沖繩を比較的よく知っている私どもからすると、何か耐えられぬ点が幾つかあるわけであります。円・ドル交換等をめぐりましても、つい数日前まで私は三百八円という議論をしていたわけでありますが、ふたをあけましたとたんに、八円ではない五円だということになる。これは確かに沖繩の皆さんにすれば、特別措置法その他で実勢レートらしきことが書いてあったことはわからぬわけではないのでありますけれども、物価のほうは三百六十円で換算された円価格がついているとなれば、これは何ともどうも私も相すまぬといわざるを得ぬところでありまして、そういう現実に目をおおうわけにはまいらない。そういう意味で何とかもう一ぺん考え直してみる必要がある、こういうふうに感じております。  もう一点、特にベトナム戦争のエスカレート段階における復帰ということになりました関係で、その背後基地という意味での、あるいは直接戦闘に結びついている基地としての沖繩、こういうことになりますから、数々の意見が出てくるのもむしろ当然という受け取り方をせざるを得ないわけであります。  この二点が実はきょう総理に承りたい論点なのであります。  時間も短いようでございますので、経緯は、私も担当してまいりましたから詳しく知っておりますが、何とも昨日の円レートの三百五円なるものは受け取りがたい点があるわけでありますが、ここらについて総理の、理屈ではなしに、一体どういうふうにこの現実を受けとめておられるかを、どうも心情的な点に関する質問で恐縮でありますが、まず承りたいのであります。
  151. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 沖繩の問題については、与野党ともたいへん国会を通じまして御審議いただいて、またその審議を通じて、県民の利益になるようなずいぶん御配慮をいただいたと思います。私はそういう意味におきまして、これはただ、私が言い出した、そうして沖繩が返ってきた、こういうだけでなしに、与野党ともに責任は十分感じておる。またそういう意味において、沖繩の方がよりしあわせになれるように、平和であるように、これまた努力をしなければならぬ、かように実は思っております。  そこで、いまの為替レートの問題でございますが、私がかつて大蔵大臣をやっております際に、軍票をドルにかえた、こういう経験があります。今回は私が総理で沖繩返還、そうして今度ドルから円にかわる、こういうことであります。しかもこの前かえたときには、たいへん円が弱くてドルの強いとき、比較的かえてしあわせだったと思います。今度逆でございますので、沖繩県民としてはたいへん不都合を感じられるだろう、かように私は心情的にほんとうにお気の毒に思います。したがって、昨年の十月に一応登録制度をつくり、そして登録した分については特別な考慮を払います、こういうことで一応の理解はできておった。しかし、その後いろいろ変化もございますから、ただいまのように、幾らになるのか、三百八円、これがいわゆる国際為替の基礎をなしておるのじゃないか、それでいくかと思ったら、そうじゃなくて、こういうことでございます。この幾らにするかということでずいぶん心配をいたしたのであります。最近はドルが非常に弱い。そういう意味から、国際通貨の幅、レートの幅の下のほうにとまっている、こういうことでございます。しかし、ある程度の期間をとって、そしてその平均値で出そう、こういうことで、三百二円、三円、あるいは四円、こういったものを切り上げて最後に三百五円、こういうことになったのであります。現地の方々は、どういう扱い方をしてくれるにしても、いかにも残念だろう、かように私は思います。  しかし、私は何よりも、この十五日の式典でも感じたことでありますが、沖繩はこれから始まるのだ、日本への祖国復帰、その第一歩が始まるのだ、こういう取り組み方をしないで、これで返ってきたのだ、問題は解決したのだ、これではないように思いますので、ここはひとつ、与野党ともに十分に沖繩県民の心を心として取り組んでいただきたい。また私どもも、そういう意味で取り組みたい、かように思いますので、ただいまのお尋ねは、私はこれはやむを得なかった処置ではございますけれども、どうも沖繩の方としては心情的になかなかむずかしい問題だろう、かように思います。そういう意味で、大出君のお尋ねもあったろうと思います。しかし、これから沖繩県民の生活が始まるのだ、かように考えてわれわれはそれと取り組まなければならない、かように私は考えております。
  152. 大出俊

    ○大出委員 いまの関係でもう一点だけ承っておきたいのでありますが、実はきのうも私、電話で沖繩の皆さんと二、三やりとりもしてみたのでありますが、奥さんに、おとうさん、本土復帰で何が得になるのよ、と聞かれたというのです。そこでふと考えてみて、そうだな、ビールが安くなる、電話料金が幾らか安くなる、パスポートが要らなくなる、ここまで考えたというのです。ところがそこから先、どうもなんとも言いようがないものだから、つい口をつぐんだら、奥さんから、そんなことをおとうさん言ったって、肉は上がるのよ、かん詰めも上がるのよ、米も上がるのよ、政府が手を打ったって現に上がっているんだと言う。しかも、政府が手を打ったワクを漏れた、バターだとかチーズだとか、いろいろある、これは一体どうしてくれるのだ、こう言われて二の句が継げぬというわけですね。そこへもってきて、沖繩では久場島というのでありますが、尖閣列島をとらえまして、奥さんが、自衛隊も入ってくる、久場島問題もやかましくなっているから、また戦争でも起こりやせぬか、ということをぽつんと言った。これは私は端的にきのうの時点の混乱をした頭の中をあらわしているという気がするのです。  だから、つい二、三日前まで、私は公務員の賃金をとらえて山中さんとやりとりをして、一つ間違ったら、沖繩立法院で先に現在の公務員の給与を一六・八八%上げておこうか。山中さんからも、そういう答弁もちょっと出てきた。一六・八八%上げておけば、十五日にこっちへ返ってきて三百八円で計算されても、上げておくのだから、おさまる先は三百六十円の計算になる。このつい二、三日前のやりとりも、三百八円が頭にあってやりとりしているわけですよ。そうでしょう、政府の皆さんも私どもも。ところが、さていきなりこれは三百五円、こうなったのじゃ、通貨問題というのはちょっと根が深過ぎる、尾を引き過ぎる、こういう気がするのであります。  きのうからの交換を見ておりますと、五ドル紙幣が何ぼ、十ドル紙幣が何枚、こういうかっこうで全部記録をしてかえているわけです。そうすると、流入ドルがあるとか流出ドルがあるとか言ってみたって、何のたれべえ、どこに住んでいて何ドル紙幣が何枚、何ドルが何枚と計算してかえているわけですから、明確なんです。そうなると、ここらあたりのところは、総理も何べんも、通貨・交換については損はかけません。山中総務長官も、絶対に損はさせませんと国会で答えてきたのです。しかも、実勢レート云々ということをうたった措置法を国会に提案したのは、二八・八八%切り上げ以前のことです。だとすると、この件については、問題をそこにしぼって、それは、総理がどこまでおやりになっておられるかということは総理の御決断ですから、わかりませんけれども、せめてそのくらいのところはひとつお考えおきいただいて、あとでいろいろ方法はあると思います。  沖繩の皆さんが、今日この切りかえの時点で持った大きな憤慨というものは、若い奥さんが、きのうテレビを見ておりましたら、本気で暴動でも起こしてやりたいくらいな気がすると、買いものかごをかかえて言っておりましたが、そういう形にしておくことはよろしくない。何かそこに、困っておるところに政府が手を当てて、だからこうする、そういう考え方が私はあってもしかるべきではないかという気がするのであります。きのう来交換をすることになっておりますのは三百五十億くらいでございましょうから、この差で言うと七十七億円の差になる。そこらの数字は明確に出るわけでありますから、そこらをどうするか。百ドルで三百円の差しかないと言って済ませるものではない、こういう気がするのでありますが、そこらのところは御検討の余地がないかどうかという点を承っておきたいと思います。
  153. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 実はいまも、昨年の十月に一応レジスターしたということを申しましたが、復帰の際における交換レートの問題これは必ず非常なショックを与えるだろう、できるだけそれを少なくしよう、こういうことであの処置をとったのでございます。  ところで、ただいまもお話がありましたが、公務員の場合は比較的調整のしかたが楽だ、かように私は思います。しかし民間給与者の場合はたいへんむずかしい、かように思っております。公務員の場合はなぜかと言えば、国内の標準がございますから、それを基準に合わせていくということで、交換レートが基準にならない、かように私は思いますので、そのほうは救う道がある。しかし民間給与の場合はそうはいかないということがあると思います。  ところで、ただいま、どうも物価はたいへん困った状況だ、こういうお話が出ております。確かに、消費者物資の大部分、八〇%までは本土からの消費者物資、こういう状態だ、こういうととでたいへんお困りだろうと思います。だから、これについての何らかの便法は政府自身考えなければならぬこれからの問題だ、かように思います。  またもう一つは、輸入物資については、円が強いという関係で輸入品は取り扱いは容易だ、これは楽だ、かように思いますから、得な面もある。それをやはりあんばいし、そこらをうまく指導することが何よりも大事なことじゃないか、かように私は思います。したがって、いま言われる最も庶民の生活の問題である消費者物資、その八割が本土からだ、こういうことになると、これに対する特別な考慮はないか、こういうことに詰まる、かように思います。  山中君がただいまちょうど帰ったばかりかと思っておりますが、明日あたりになると、その実情ももっと山中君からも聴取いたしまして、そこらでわれわれ考えられることは十分考える、こういうことをいたしたいと思います。
  154. 大出俊

    ○大出委員 山中さんがきょうお帰りになると、私、心配で、きのう電話でいろいろ事情を聞いたのですけれども、現地の事情、どういうような県民の皆さんの不満があるか、あるいは混乱があるかということは、おそらくつまびらかになると思います。私ども、二月の七日、八日、九日、この委員会で超党派的に現地へ行きまして、それこそ各層の方々、経営者協会の方々とも商工会議所の方々とも全部お目にかかって話してきたわけであります。その商工会議所も、きのうは談話その他も出ておりますが、ずいぶん、中小企業等についての今度の切りかえにあたっての不満を述べておられますから、いま、事情をよく聞いてひとつしかるべき方法をと言っておられましたが、ぜひひとつ、これは二度とある問題ではないのでありますから、できる限り私ども一緒になりまして、この手を打てるところは打っていくという点を目標にひとつ御相談をいただきたい、御検討いただきたい、この点を申し上げておきたいのでありますけれども、よろしゅうございましょうか。
  155. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの大出君のお話、ごもっともでございます。私も、ただいますべて三百五円でもう片づいたわけのものではございませんし、先ほども冒頭に申し上げましたように、本土との一体化が進むのがこれから始まるのですから、こういうことを申したのです。その後、ただいまのような、本土で考えられないようないろいろの問題がある。そういうことについて私どもが、あたたかく、またこまかくこれに対処する、こういう心がまえの一端を示してと、私、答弁いたしたのでございますから、したがいまして、ただいまのようなお話によれば、これは当然私どもかこれから対処していく。ことに消費者物資でありますから、きめこまかなこれに対処方をきめないと意外な結果になるだろう、かように思いますので、十分注意してまいるつもりでおります。
  156. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係もございますので、その点は私どものほうも、いろいろ申し上げなければならぬ点を幾つも持っておるようでありますから、時間のあるところでひとつ申し上げたいと思います。  次の問題でございますが、沖繩が今度復帰をしたわけでございます。たいへんお互い苦労をしてきたところであります。それだけに私はやつ。はり、軍事的な面というのをとらえまして、たいへんな戦争体験を持っている沖繩県民各位でございますだけに、心配もたいへん強いわけであります。そういう意味で、沖繩とベトナム戦争の関係を断ち切る努力を本土政府はすべきだというふうに考えているのですけれども、安保条約というものがある。私どもはこの安保条約廃棄という基本線を持っておりますけれども、当面返ってきた沖繩に対して、政府の立場から、できる限りこのベトナム戦争との関係は薄めていくように努力すべきだろう、野放しというわけにはいかぬと思う。  そういう意味で承りたいのでありますが、まず方法としては事前協議制の問題が出てまいります。ここらは、いままで事前協議の申し出が一件もないのでありますからと、いつもきれいに逃げている。逃げていると言うと、またあなたおこるかもしれないけれども、私から見るとそう見える。そこで、もう少しこれを日本政府の側から、積極的に能動的にこまかく詰める必要がある。  そこで、一つ例をあげて申し上げたいのでありますが、KC135の空中給油という問題をとらえて外務大臣は先般お答えになって、これは空中給油だから事前協議の対象ではないと、簡単にそうおっしゃる。だがしかし、これは歴史的に見てはたしてそうかという問題が出てくる。事前協議の問題は、六〇年安保以来、ずいぶん長い論議を国会でやってきております。さてそこで、私はそう考えていない。空中給油であっても事前協議の対象にすべきである、こう明確にしていい筋合いだと実は思っているのであります。向こうから言う、こっちから言う、この点はあとから申し上げますが、総理の答弁もかつてあります。この点について、もう一ぺん念のために聞きたいのですが、しからば、空中給油というものを、グアム島から出てきているB52にKC135からやっておるのが明らかになって、事実、きのうの新聞にも、きょうもやっていると書いてあった。だから一日たったきょうもやっているのでしょう。これが一体なぜ事前協議の対象にならぬそういう性格のものなのか、理由を承りたいわけであります。
  157. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 安保条約では、単なる補給、補修の行為は事前協議の対象とはしない。つまりこれは安保条約上当然許されることである、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、補給行為といえども密接に戦闘作戦行動と関連をする、そういうものについては事前協議の対象にするという考え方をとっておるわけであります。そこで、さて密接な関連が戦争作戦行動とあるかどうか、これは非常に判定の困難な問題なんです。そこで割り切った考え方をしておく必要がある、こういうことを申し上げたわけなんです。  給油につきましては、那覇飛行場、嘉手納飛行場、ここで地上において給油をする、しかもその給油を受ける部隊が、グアムを発進して、そして戦闘目的を持ってベトナムに向かう、こういうものであれば、これは事前協議の対象とすべきである、こういう見解で、これは割り切った考えです。しからば、いまお話しの空中給油、これはどうかと言うと、これは直接戦闘作戦行動に関連はない。これは補給行為の一態様である、そういうふうにこれも割り切るべきである。割り切った考え方をしないといろいろ間違いが起きますから、そこで割り切った考え方をしておく必要がある、そういうふうに考えますが、その結果の結論として空中給油は事前協議の対象ではない、こういうふうに申し上げておるわけです。
  158. 大出俊

    ○大出委員 答弁にならないのです、外務大臣。どうも外務大臣がかってに割り切った解釈をしては困るのですね。  そこで一つ承りますが、グアム島を発進して連日爆撃をやっておるB52は、戦闘作戦命令を受けてグアム島を出ている、これをお疑いになりますか。戦闘作戦命令を受けて、コンバットオペレーションをもらってグアム島を出発している。間違いございませんな。
  159. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 作戦行動命令を受けておるかどうかはさだかには承知いたしませんが、しかし、実態がもしそうであれば、わが国の基地から発進した場合を考えると事前協議の対象であるような態様の場合が起きる、そういう場合も多々あるであろう、こういうふうに考えております。
  160. 大出俊

    ○大出委員 どうも昔のくだらぬ大蔵省時代のくせが出てきて、なるべくものを言わぬように苦労されるが、連日グアム島からB52が飛んでくる。下から見えない。上から爆弾を落としておるのですよ、ハノイ、ハイフォンの爆撃なんというのは。グアム島からほかに、着陸しないのですよ。グアム島から飛んでいって、爆撃して帰ってきておる。そうでしょう。どこかほかへおりるなら別ですよ。グアム島から出ていって、連日爆撃して帰ってくる。これはどこの外電だってみな伝えておるじゃないですか。きょうは何機で何時ごろ爆撃が行なわれたとみんな書いておる。そうでしょう。これは爆撃しろという命令がなくて行きますか。そんなことは非常識じゃないですか。だから、グアム島を発進して爆撃に行っておるB52は、戦闘作戦命令をもらって行っておる。これはあたりまえのことじゃないですか。そうお思いになりませんか。
  161. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 だから、そういう場合が多かろう、こういうことを言っておるのです。
  162. 大出俊

    ○大出委員 なるほどわかりました。はっきり最初から言ってくれればいいのだけれども。予算をいただこうというのじゃないのですから、私のほうは。  そこで、となりますと、私は具体的な例を申し上げておるのですが、グアム島を発進して爆撃に行っておるB52は戦闘作戦命令を受けている、そういう例が多かろう、こうおっしゃっておる。その例の多いB52に空中給油をやっておる。  これは嘉手納飛行場からKC135——これは私が昨年参りましたときには、少し数が多過ぎまして、四十五機くらいあったものですから、すぐ聞いたら、カリフォルニアから十五機来たのだということだった。ですからいままたたいへんふえている。それが途中で時間を合わせて、空中で給油してB52は飛んでいく。なぜ空中給油が要るかというと、爆弾をよけい積むからですよ。これも明らかになっておるとおりです。給油しないとグアム島まで帰って来られない。となると、いま大臣が、戦闘作戦命令を受けておることが多かろうというB52。多いのですから、その中の戦闘作戦命令を受けておるB52、爆撃しろというコンバットオペレーションをもらっておる、これが飛んでいって、それに、KC135が日本に返ってきた沖繩の嘉手納飛行場から飛んでいって空中給油をする。かくて帰れる、爆撃もできる、多量の爆弾も搭載しておって差しつかえない、こういうかっこうで連日行なわれているというこの具体的事実。先ほどあなたがおっしゃった、密接な関係がありますね。きわめて密接な関係がある。KC価が飛んでいかなければ、爆撃はできるかしらぬが、帰ってこられない。つまり、爆弾の搭載量を減らすかどうかしなければならなくなる。明らかな事実であります。密接不可分の関係にある。この点をお認めになりますか。
  163. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 その辺が非常に判断がむずかしいのです。たとえば、グアムを発進して台湾の高雄基地におりる、そこで給油を受ける。その高雄基地における油はどこから供給するか。これはかなり沖繩から供給したと、こういうふうにする。そうすると、沖繩から高雄へ油を運ぶ行為ですね、これは事前協議の対象にしません。同じことじゃないでしょうか。その辺が私は非常に理解がむずかしい点である。そこで私は言うのです。いろいろ問題があるけれども、問題ははっきりした基準を示すべきである。つまり割り切った考え方をすべきである。地上においてこの給油をする、これは事前協議の対象にする。しかし空中給油は、そういうことを考えましても、これは戦闘作戦行動と密接不可分の関係にあるという理解はいたしがたい、こういうふうに思います。
  164. 大出俊

    ○大出委員 だから、福田外務大臣が自分で割り切った解釈をしてもだめだというのですよ、私は。例をあげましょう。これは総理がちょうどおいでになるところでものを申し上げようと思っておったわけでありますが、過去のこの国会審議のやりとりがありまして、前任者の外務大臣がおいでになるのですからね。責任継承の原則がある。前の外務大臣がおっしゃったことと違ったことをあなたが割り切って言われても、これは困る。国会の審議は、きのう始まってきょう終わるんじゃないのですから。  そこで一番最初のをまず一つ申し上げますと、ちょうど六〇年安保の論議のときに、これは、きょうは赤城さんここにおいでになりませんが、赤城さんが防衛庁長官の時代であります。これが実はものの発端であります。発端をまず申し上げますが、発端は、ここに議事録を用意しておるので、議事録のほうを読みましょう。ここに、「それから補給の点でありますが」、補給、これは給油じゃありません。「補給も事前協議の対象になりませんけれども、直接作戦行動と密接不可分な補給」、このときは、給油とかいろいろな例があがっております。これはいみじくも、横路君そこにおりますが、横路さんのおとうさんの質問です。例を一ぱいあげている。で、それを称して補給と、こう言っておる。その補給、いま御指摘のあった補給の点についてでありますが、「補給も事前協議の対象になりませんけれども」、補給と一般的に言うと、それはならぬですけれども、しかし、「直接作戦行動と密接不可分な補給ということになりますと、これは事前協議の議題」となります、こういうふうに考えております、これが赤城さんの答弁。さて、そこでもう一つ、まん中にいろいろありますが、一番近いところの答弁を申し上げますと、日にちは昭和四十四年三月の十三日、六十一国会、参議院の予算委員会でございます。給油についての論争であります。「愛知外務大臣 給油の場合も明らかに発進する飛行機が作戦のために飛び立つという戦闘命令を受けて途中で給油をする場合はその範疇に入ると考える」。−事前協議の対象、その範疇に入ると考える、こう答えています。いいですか。これは専門調査室が編集をいたしました「(四)事前協議」で、事前協議に関する答弁がずっと歴史的に書かれている。そこで、空中給油ということに限っての答弁というものはない。これだけです。いま読んだだけ。高辻さんも例の論法でいろいろなことを言っていますけれども、空中の給油というものはここにあるだけの答弁。  これはまさか、B52がグアム島から飛んでくる、そのちょうどころ合いを合わせて、沖繩の嘉手納からKC135が飛んでいってある時点で空中給油をやるなんということは、予測もつかない時期の答弁に違いない。だからB52に関して想定をされるやりとりの中で、ずばりこれは明らかになっているんですよ。質問はこういうことです。「ベトナム爆撃に向かうB52に空中給油のため、日本の基地を使う場合、事前協議に入るか」、こういう質問。これに対して愛知外務大臣が、「給油の場合も明らかに発進する飛行機が作戦のために飛び立つという戦闘命令を受けて途中で給油をする場合はその範疇に入ると考えている」。私はだから冒頭に、戦闘作戦命令を受けて飛び立っているはずだがと。そういうものは多かろうと思う、そう大臣はお答えになっている。そうすると、そういうのが比較的多い。飛んでいくたくさんの中に、あなたの発言でいえば、戦闘作戦命令を受けてないものもあるかもしらぬということになるんだけれども、受けているほうが多かろうとあなたは思っている。そうすると、給油にいくこの飛行機も、そのうちの相当多数の部分について空中で給油をしている。愛知さんの答弁でいけば、範疇に入る。吉野さん、あなたはまたしきりにうしろから首をお出しになるけれども、外務大臣が割り切ったと言っているんだから、外務大臣に答えていただかぬと困る。あなたが割り切った解釈をしたんだ。
  165. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 割り切ったお答えを申し上げます。愛知外務大臣が答弁をしておる、それを引用されておりますが、愛知外務大臣の答弁は、これは空中給油じゃないんです。地上給油です。その場合をさしておる。政府委員は前々からそう言っております。ですから、これを引用される、これは妥当じゃない、こういうふうに私は思います。要するに地上給油は、これは事前協議の対象とします。しかし空中給油は事前協議の対象としない。その理由は、先ほど高雄における補給の例を引用いたしまして申し上げたとおり、非常にこれは割り切った考え方をする必要がある。割り切った結果はそうせざるを得ない、こういうことでございます。
  166. 大出俊

    ○大出委員 割り切った、割り切ったといま三回ぐらい言いましたから、もう一ぺん割り切った解釈を聞きたいんですけれども、どこが割り切ったんですか。外務省ですか。大臣ですか。だれが割り切ったんですか。
  167. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 福田外務大臣はじめ外務省当局全員であります。
  168. 大出俊

    ○大出委員 ずいぶんえてかってじゃないですか。日本外務省が外務大臣以下外務省当局全員で割り切っちゃった。これは国民はさっぱり割り切れぬです。だから新聞を見てごらんなさい。ここにも明確に書いてある。社説にも載っているじゃありませんですか。一つも割り切っていない。あなた方が割り切ったのは間違いだと新聞は言っております。社説に書いてあります。これは、つまりベトナムと沖繩との絶縁をはかれという、朝日新聞以下、社説が幾つもあります。ここにも、ここにもございます。事前協議というものは常にしり抜けじゃいけない、KC135が空中給油をやっているのをつかまえて、外務大臣は割り切ったとここに書いてないけれども、外務省が割り切った、そういうことでは事前協議というのは、空文どころじゃない、死文になってしまっている、それじゃいけないと言っているんですね。世の中は割り切っていない。あなた方は、国民が心配しているのに、何で外務省はかってに割り切っちゃうんですか。  総理大臣に承りたいんですが、外務省がかってに割り切られたんじゃ困る。これは総理、いま沖繩が返ってきて、本土復帰が行なわれた。その上に立って、さっき申し上げましたように、沖繩の基地がベトナム戦争の直接的な基地になっているということについて、関係を薄めていく方向に政府は努力すべきだと私は申し上げた。その点については総理は肯定されている。そうすると、いまの明確な事実、このようなものについては、外務省が割り切るなんというようなことじゃなくて、国民を対象にして考える。新聞を見てごらんなさい。どの新聞だってこれは取り上げている。外務省の独断でものを処するようなことはいけません。外務省はそう割り切ったのなら、外務省を変えることは簡単なんだから、総理が変えさせれば、外務省はその考え方を変えて、事前協議の申し入れについて、総理答弁によれば、四条で申し入れることができるとおっしゃっているのだから、なぜ、そういう点を申し入れて、直接的関係というものを薄めていく努力をされないのですか。これは総理に聞いている。
  169. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほどから申し上げておりまするように、わが本土から、沖繩でもよろしゅうございますが、台湾の高雄港なら高雄港に油を補給する、これは安保条約上認められていることです。ですから、グアムを戦闘作戦のために発進した米軍の飛行機が高雄で給油を受ける、これは可能ですね。それをしないで、今度は沖繩からのKC135で給油を受ける、これは実体上ちっとも変わりはないのじゃないでしょうか。何かありますか。そういうようなことも考えて、給油の場合は、地上で給油する場合は事前協議の対象にするが、しかし空中給油の場合は対象にしない。非常に明快じゃないかと思うのです。私どもとしては、少なくともそういうふうに考えておる。こういうことが国民にわかってもらえますれば、私は、国民は納得をする、そういうふうに考えておるわけであります。
  170. 大出俊

    ○大出委員 あなたは自分でかってに割り切ったんだから、それは明快でしょう。自分で割り切っているんだからそうでしょう。ところがそう割り切るべきものでないと申し上げている。KC135が飛び立つ発進基地は明らかに本土に返ってきた沖繩の嘉手納の基地。片やB52は、戦闘作戦命令をもらって爆撃に行っている。それに合わせて飛んでいって空中で給油をしている。この給油がなければ返ってこれぬ。でなければ爆弾の搭載を減らさなければならぬ。密接不可分でしょう。赤城さんが答えたとおりです。そのことをしも事前協議の対象にしないというなら、事前協議は、まさに各新聞の社説が言うように、死文ですよ。要らない。相手の出方を見て、一々それに合わせてあなたは割り切る。だから事前協議は一ぺんもないのです。それで、あなたは鹿児島で、事前協議の申し入れがあればノーと必ず言うと言った。申し入れがないようにしておいて、あなたはかってに割り切っちゃっておいて、申し入れがあればノーと言うなんて、そんなことを言っていばったってだめです。だから死文化、空文化といわれる。だから沖繩の皆さんが心配をする。総理、これをどうお考えになりますか。あなたも割り切っちゃっているのですか。これはずいぶんひどいものじゃないですか。
  171. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはいろいろ御議論がおありだと思います。しかし、ただいま私の信頼する外務大臣が詳細にお答えしておりますので、私どもただいまのところは、外務大臣の答弁のとおりでございます。
  172. 大出俊

    ○大出委員 あなたはまるきり、国会が終わったらおやめになるようなことを言う。あとは福田さんがやるんだから、そっちに答弁させたほうが確実だ、というような感じに受け取れますよ、そういうことをおっしゃると。私が信頼する福田君が答えたんだから間違いないというのですから。そうなると、けさの新聞記事をもう一ぺん続み直さなければいかぬですね。総理は国会が終わったらやめるという観測が記事に載っておりましたけれども、どうもそのようなことになりますね。いまの点では、総理に答弁はないのですか。あとはまかしてあるんだからそっちに答えさせる、こういうことですか。
  173. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、大出君の最も強い根拠として新聞記事をおあげになった。私は、その新聞記事もさることだが、大出君御自身の主張、それが何よりも大事なことだと思います。私は、わが内閣で信頼している外務大臣、その答弁を実は支持しておる、かように申し上げておるのです。どうも大出君は、いつの間にか何社かの新聞社のほうの味方になられたか、あるいはそこから給与でももらっておられるのか、そういう言い方ですが、そうじゃないでしょう。だからこれはやはり、かねての御主張と新聞が書いていることがたまたま同一だ、こういうことだけで、どうも新聞記事を云々されると、そういわざるを得ないのです。私はまだ、これから先どうなるか申しておりません。しかし新聞記事は盛んに、もうやめるだろう、もうやめるだろうと、たいへん見てきたようなことを書いておりますが、しかしこれは、国民としてはずいぶん惑わされている、かように私は思います。  だから私は、新聞記事の適否をここで議論するよりも、政府はこういう問題を一体どう考えておるか。これは政府は、先ほど来福田外務大臣が答えておるとおり、はっきり割り切って、そして明快にお答えしておる。これはやはり野党としてはどうも賛成ができない、けれども政府はそう言っている、これでもう問題は、それぞれの主張ははっきりしたんじゃないでしょうか。私はどうもそれより以上に、この問題について私が軍配をあげるとか、こういうものではない。私自身が、それじゃ政府部内が意見が不統一か、こう言うと、そうじゃございません。私は、信頼しておる外務大臣がお答えしたとおりでございます、かように申しておる。これも非常に割り切ったはっきりした話でございます。誤解がないようにお願いしたいと思います。
  174. 大出俊

    ○大出委員 たいへんどうも割り切る人ばかり多くて、そうなるともう総理も、いいかげんであとは福田さんにと割り切ったほうがいいんじゃないかと私は思うのですが、私はみずからの主張を申し上げて、空中給油というものと戦闘作戦命令をもらっておるB52、これは対象になっている密接不可分な関係にある。日本に返ってまいりました沖繩でございますだけに、ベトナム戦争とのかかわり合いというものは、安保条約があっても薄めなければならぬ、こう思います。これは当然だと思うのです。沖繩県民の皆さんの気持ちの上からしても、私はそうだと思う。そうすると十分に理由がある。つまり六〇年安保以来の論争の中で、赤城さんも、密接不可分な補給というものについては対象になると言っている。六〇年当時はそういう発想だったのです。そうでしょう。それをいまになって外務省が、割り切った考え方をすると言って何も変えることはない。  総理がかつて答弁しております。全部ありますが、答弁しておるように、向こうから言ってくるという筋合いなんだが、しかし、こちら側から四条という随時協議があるんだから、その場を通じて六条に基づく事前協議という問題を提起することはできると言っている。そういう点をきめこまかに一つずつ提起をして、これはわがほうとしては困るんだということで一つずつ薄めていく努力をしなければ、何で一体本土復帰後の沖繩というものの県民感情を皆さんが維持していけるかという問題になる。いままで総理の答弁はいつも、いま施政権が向こうにありますからと言われた。だがきょうはそうではない、復帰をしたんですから。だとすれば当然じゃないか。だからこそ世の中の新聞論調というものも、すべてそう書いているじゃないですか。あなたの言う外務省の独断的割り切り方について、それではならぬと言っているじゃないか、こう私は言っている。そうでしょう。  だからぼつぼつ総理の腹のきめどころじゃないかという、その腹は私にもあります。その腹は私にもありますが、なかなか微妙なことをおっしゃったから、ことのはに何か出てきたような気もするけれども、それはさておいて、本題に返りますが、信頼する外務大臣が言っているんだからという、外務大臣はちょっとおやめになりそうもありませんから、私も信頼してやりとりしておりますから、その点はひとつ割り切って、逆にそこのところをはっきりさせる、その必要がもうあるんじゃないか。こういう私の主張なんですよ、私の言っているのは。そうなると、いまのようなことをおやりになって独断でおきめになっていると、外務大臣が言っている、事前協議についてアメリカ側と詰めてみたいということは意味がなくなる、そう私は申し上げておる。いかがでございますか。
  175. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 補給、補修は安保条約上米軍に許されておる。しかしながら、戦闘に密接不可分の関係のある補給行為、これは事前協議の対象とする、この考え方は赤城防衛庁長官がかつて答えておる。そのとおりに考えておるのです。その当時の赤城大臣の考え方、これはたとえばベトナム上空で落下傘の降下が行なわれる。その際にわが国の本土を発進した輸送機が武器、弾薬を投下する、これは単なる補給活動ではない、これは戦闘と密接不可分の関係にある行為である。そういうようなことを一つ頭に置きながら密接不可分ということを申し上げておるわけなんです。  で、密接不可分な補給行為、これは事前協議の対象となる、そういう考え方については、私どももそのとおりに考えておるのですが、いまの空中給油の問題、これになりますと、たとえばいまのKC135の給油を事前協議の対象だ、こういうことにすると、まあ、くどいようですが、台湾基地に対する油の補給も実体としてちっとも変わらないじゃないか、次は大出さんはそういう問題でやってくる、それに違いないと私は思うのです。そうなると私どもとしては、これはアメリカとの間に話がつかない。私どもは、アメリカとの間の日米安全保障条約を堅持する、こういう立場に立っておる。あなたのほうは違うのだ。あんなものはやめちまえ、こういう考え方に立っておるわけなんです。その辺から、割り切り方の是否、私どもは是と信じておるのですが、これを否とする見解が出てくるんじゃないか、そういうふうに思うのです。しかし私どもは、安全保障条約を堅持していかなければならない、そういう立場にあります。そういう立場にあるわが国の政府としては、KC135の給油につきましては、空中給油は事前協議の対象としない、こういう割り切り方をする、こういうことでございます。
  176. 大出俊

    ○大出委員 福田さん、あなたそういう言い方をするのはよくないですよ。だから私は、冒頭、安保条約があることを前提にしている。いま、なくそうと言ったって勢力足らず、そうでしょう。これはもうだれも知っているとおりでしょう。だから安保条約があることを前提にしているが、それにもかかわらず、いままではアメリカの施政権下、施政権下と言ってきた。それが返ってきた沖繩なんだから、ベトナム戦争との関係は、安保条約があることを前提としながらも、薄めていく努力はしなければならぬではないか、私はこの筋を言っている。  いま、あなたが私の思想まで云々するならば、もう一こと言いますが、それならば、ごまかしをされないでください。岩国からF4ファントムが飛んでいって、一機行くえ不明になっても、あなたは、岩国を出るときは、事前通知が来たけれども、このときは戦闘作戦命令を受けていなかったと言う。しかし、だれが考えたって、これは納得しないですよ。横須賀からコンステレーションという八万四千トンもある空母が出ていった。それが二十七人も、日光に遊びに行っている兵隊さんを置いて行っちゃった。アメリカに帰ることになっていたのだ。仙台でもオートバイを買っていたのを置いて行っちゃった。その連中は、普通ならばこれはえらいことになるんだが、よしよし、あとで空輸でついてこい、急に命令が来たんだから、これはしようがない、そんな簡単な命令が出ますか。戦闘作戦行動だから出る。それを皆さんの言い分はどうか。私は条約局長に前に聞いている。エンタープライズのときに言ったのは、ヤンキーステーションに行くのだけれども、御存じのとおりエンタープライズは航空母艦でございます、飛行機を載せていきます——そんなことはあたりまえだ。飛行機をトンキン湾の上空まで運んでいって、それで飛行機はそこから飛んでいった。これは戦闘作戦行動だけれども、その発進基地はエンタープライズの甲板でございましたと、あなた方はこう言う。同じことなんだ。この五隻の空母が出ていったことについてもそうでしょう。そういうごまかしをしないで、事前協議の対象となるべきものを明確にして、その上でイエスと言うなら言いなさいよ。それはあなた、ナショナルプレスクラブではっきりものをおっしゃったのでしょう。あなたの理屈で言うならば、それが筋なんです。だから私はそういう黒白をつけなさいと言っている。  それをあなたは、密接不可分の関係にあることは間違いないと言う。私は何も高雄のことを言っているんじゃない。高雄は台湾なんだから。返ってきた沖繩は日本の領土でしょう。施政権はもうアメリカにないでしょう。安保があったにしても薄めていく努力をなぜしないかと申し上げている。だから、ごまかさないで、対象になるべきものは対象にしてイエス、ノーを言ったらいいじゃないですか、あなた方の思想で言うならば。そうでないから何ごとも小手先に受け取れる。うそを言うじゃないかと言ったら、うそは申しません、事実に相違することを言いましたと言う。そういうことを言っちゃいけませんよ。大体私の言うのはそういう意味なんです。わかりますか。
  177. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 よくわかりました。わが国は日米安全保障条約を堅持する方針であります。ところが、この日米安全保障条約の運用を誤まりますと、わが国が戦争に巻き込まれるという事態がないとしない。そこでその歯どめとして事前協議というものがあるんです。その辺をよく踏んまえて事前協議の問題というものを考える必要がある。事前協議の対象とすべきものは何であるか、こういうことは、その事前協議制度の根本にさかのぼって考える必要があると思うんです。  私は、沖繩を含めてのわが国の基地が、あの遠いベトナム、これの戦闘作戦行動の基地になっておるというような感触を持っておる人は、そうたくさんはないんじゃないかと思います。また北ベトナムの方々、これがどういう感触を持つであろうか。あの北爆の最中に北ベトナムの通商使節団が大挙してわが国に来ておるんです。そういうような状態です。わが国がアメリカのベトナム戦争への作戦行動の基地、つまりそこを根拠として行ったり来たりしておる、そういうような基地になっておるというような理解はしていないんじゃないか。また主観的にも、わが国はそういうような行動をとっておるというふうには考えておりませんし、また北ベトナムにおいてもそうじゃあるまいか。こういう激しい状態の中にも、北ベトナムと日本との接近というムード、そういうものもあるわけなんです。  そういうようなことを彼此勘案しながら、私ども政府は国民に責任を持っておるのです。ですから、ベトナム戦争に巻き込まれないというような努力につきましては最大の努力をいたします。この点だけははっきり申し上げておきます。
  178. 大出俊

    ○大出委員 そこで承りますが、日本という国はベトナム戦争に対して中立でございますか。
  179. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま国際法の観念が非常に変わってきておるのだそうでございまして一中立だとかなんとかいうことばを使いますと、これはたいへん誤解があるようです。はっきり申し上げますが、戦争の当事者じゃございません。
  180. 大出俊

    ○大出委員 いまあなたがおっしゃるように、巻き込まれては困る、これは立場が違おうが何しようと、お互いにそうであります。だから聞いているのです。あなたはいま、国際法の観念というものが変わってきているとおっしゃる。確かに第二次大戦のときに、アメリカが軍艦を五十隻も英国に売っちゃったりしているわけですから、そのときに国際法の中立の論争というものがあって多少変わってきている。そんなことは私どもは百も承知の上です。そのときに当事国であるかないかという問題、中立国であるかないかという問題、あるいは非戦闘国であるかないかという問題、幾つか問題があった。そこで、そこらのことも含めて、一体日本はベトナム戦争というものと関連表してどういう立場にある国かという点を御説明いただきたい、そういう意味です。
  181. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは二つ問題があるようですね。一つは日本が、アメリカのベトナム政策、これは軍事行動を含めての意味ですが、これに対して理解を示しておるという立場でございます。  ただ、問題は第二の問題。今度は機雷を敷設しました。あの機雷の敷設が行き過ぎであるかどうかという、こういうような問題が提起されております。これにつきましては、アメリカは憲章五十一条による行動である、集団自衛権の発動であるという主張をしておる、そういう通報をしておるわけです。それが正しいのか正しくないのか、日本とすると、現地の状況もさだかにはわからぬ、そういうような立場にあるわけなんです。これを判定すべき何らの材料は持ちません。ですからこれはやはり、国連がどういう判定を下しますかですね。その判定に待つべきものである、こういうことじゃないか。そのように考えておる次第でございます。
  182. 大出俊

    ○大出委員 ニクソン大統領がカンボジア、ラオス等についての進攻作戦をおやりになったが、この国際的な理由づけというのは、明らかに補給路をたたこうという主張でした。そうなると、一般論としてものを言えば、日本の場合も、安保条約というものを介して補給基地、修理基地、兵器廠の役割りを引き受けてやっておるということは顕著である。相模原の戦車あるいは軍用車両の問題等をつかまえて、私、この間米軍の資料に基づきまして、一九六五年以来今日まで、相模原で修理、さらに輸送いたしました全部をここであげてみたのでありますが、一九六八年以来、ベトナム国軍なる仕分けが明らかになっておって、これはダナン、その手前のニューポートから集められて、船積みされるところから全部分かれておる。だからマークも明確に違ったのがついている。ここまで明らかにしてものを言ったのでありますが、そこらの問題も含めまして、帰ってきた沖繩のコマンド部隊だってそうであります。そうなると、同じ論理が展開をされるとすれば、輸送、補給の基地をたたこうということは通念として成り立つ。そうなると、日本の姿勢というものは、先ほど外務大臣が言うように、巻き込まれない努力をする、事前協議の運用を誤るとえらいことになる——誤るというのだけれども、誤るも誤らないも、ただの一ぺんもないでしょう。六〇年以来ないものを誤りようがない。だから私は、安保条約というものがあることを前提にせざるを得ぬ状況に今日あるけれども、そこにおけるベトナム戦争との関係は薄めていく必要がある。少なくともその努力をすべきである、対象となるべきものは明らかに対象にすべきである、その姿勢が帰ってきた沖繩というものを考える場合に特に必要だという主張をしているのです。  第二次大戦のときに、アメリカの立場というものは非常に微妙になった、これはあなたも御存じのとおりであります。国際法学者がいつも書いておるとおりであります。その中で、いわゆる中立という概念、これに当てはまらない。当てはまるとすれば権利要求があるわけですね。権利要求を放棄して、局外中立ということばを使ったり、非戦闘国ということばを使ったりしたわけでありますが、つまり日本というのはそういう形のものなのか。一体どう国民はベトナム戦争との関係を理解すべきなのか。この辺は非常に大事なこと。あなたがおっしゃる意味で、巻き込まれたくないというのは日本人の全体が持っている考え方です。そうだとすれば、そこのところは明確にしておくべきだという考え方、この点で日本という国は一体どうなんだ、どう理解すればいいのか、こう聞いておるのですから、あなたも割り切った答えをしてくださいよ。さっきから割り切っているのだから。
  183. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 わが国は、ベトナム戦争に対する関係では、戦争の当事国ではありません。ただし、米軍の基地がわが国に存在しておる。その米軍に対しまして補給、修理の自由を与えておる、こういう関係でベトナム戦争に関連がないというふうには申し上げません。そういう限度においては関連がある。しかしあくまでもわが国は、ベトナム戦争に対しましては戦争の当事国ではない。したがって、わが国の基地が米軍のベトナム戦争の戦闘作戦行動の基地といたすことは絶対にいたさない、これがわが国の基本的な姿勢でございます。
  184. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、補給あるいは兵たん、そういう基地を日本が受け持つ、そういう範囲からすると、国際法上の復仇の法理というものが昔からある。よく報復ということばがありますけれども、アメリカ側がその補給路をというので、ラオス作戦なりカンボジア作戦をやったと同じ意味で、理論的には、相手方に武器がない、あるいは軍隊がない、だから局外中立的にやられるということであったにしても、復仇の法理というものは厳として存在する。向こうが、では補給路をたたこうといったら、この端穂埠頭から船積みをされていくM48ならM48が攻撃を受けたってしょうがない。そういうリスクを日本は受け持たざるを得ない、おかざるを得ない、こういう結果になりますよ、いままでのあれで。
  185. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 復仇の法理ということから言えば、アメリカはウラジオを、あるいはナホトカを封鎖するとか、あるいは爆撃をしますとか、そういうこともするでしょう。それはしません。ただ自衛のためだというので海上、陸上の封鎖をする、こういうことなんですね。ですから、その議論でわが国の場合を論ずるというのは妥当でない、こういうふうに思います。私は、どこまでもわが国は戦闘作戦行動の基地にはしない、こういう方針を貫き通す、そういう考えでございますので、どうかひとつ御心配ないようにお願いいたしたい、かように考えます。
  186. 大出俊

    ○大出委員 アメリカがウラジオを爆撃しない、あるいはソビエトが手を出さぬというのは、これはおのおのの力関係です。しかし法理としては復仇の法理が通用している。国際通念ですからね。だとすると、日本も理論的にはそういうリスクをおかす。ただ、現実的にそれがある、ないという問題は別だ。この点だけは明らかにしておく必要がある、私はこう考えている。その点をあなたに確かめた。あなたは理論的な答えをなさらぬで、アメリカとソビエトの関係をいまお持ち出しになった。現実にそんなことはない、こういうことです。そうではなくて、理論的には復仇の法理は働く。ところが、さっきお答えになった日本のベトナム戦争との関係からすれば、ここのところは明確にしておきたい、こう思ったわけです。  最後に、時間がありませんからもう一点だけあわせてお答えいただきたいのでありますが、沖繩流には久場島でありますが、尖閣列島、あれを防衛庁はADIZ、防空識別圏のちょうど境界へお入れになった。大陸だなに向かって、ガルフと組んで台湾の蒋介石政権が石油の開発をと言ったとたんに、いろいろな問題になっておる。現実の問題としてそうなっている。歴史的に、沖繩三山の中の中山府の時代に、明に進貢をする船が久場島から離れると、わが国を離れたという考えを持った。帰ってくるときに、久場島、尖閣が見えると、わが国へ帰ってきた、こういう気持ちになったという意味で、歴史的にその帰属というものについていろいろおっしゃっていることが、私もわからぬことはない。ただ、この解決のしかたというものは、やはり日中の国交回復というものをひとつ早期にはかって、そういう意味の国際的な話し合いの場をつくって解決をはかるべき筋合いだと私は思っている。ところが、沖繩返還と同時に、海上保安庁の巡視艇をやって、現にわが国の領土であるということで意思表示もする。そして、台湾の漁船その他が侵犯をすればびしっびしっとこれを取り締まると新聞に書いてある。これは外務省の見解であります。だから沖繩県民にすれば、自衛隊は入ってくる。また別な声があって、海上保安庁ではなまぬるい、海上自衛隊がどうせ行くのだから、それを使ったらどうだという声もあるなどということまで新聞に載ると、さっきの奥さんの話ではないが、その不安が出てくる。ここらのところなども、今度は防衛庁の江崎さんがおいでになりますけれども、単なるスクランブルではない。F4ファントムの時代がくれば、CAP、二・五倍の航続距離を持っていますから、レーダースクリーンにぽんとうつったから、さあスクランブルというのでなくて、空中に浮いている、待機をしている、そういう警戒態勢に変わっていくことが将来予見をされる。だとすると、このあたりはたいへんに慎重を要する。私はそう思っている。だから沖繩の県民の皆さんの不安というものがここにも一つある。そういう点はやっぱり、外務省はさっき、割り切った、割り切ったとおっしゃるけれども、よほど慎重に割り切っていただきませんと、逆にあなた方は、私以下外務省全体が割り切りましたなんということを言っていると、そういう不安が増大をする危険を感ずる。なりかねない。その点もあわせまして二つ、最後のところお答えいただきたい。
  187. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 第一点は、北ベトナムから日本が報復を受けはしないか、こういうことでございますが、私はさような不安は感じません。先ほど申しましたように、あの爆撃の最中にも、北ベトナムの通商使節団がわが国に来訪しておる、そういうくらいな状況でございまして、北ベトナムが、日本は敵性国家である、こういうふうな認識は、私は持っておらぬ、こういうふうに思いますし、わがほうにおいても、主観的にも、また客観的にも、敵性を北ベトナムに感じておるというような状態はございません。いずれにしても、北ベトナムに対してアメリカが軍事行動をとる、それに対しましてわが国がその作戦軍事上の基地としての役割りを果たすということにつきましては、これは断じていたさせませんから、さように御了承願います。  それから尖閣列島につきましては、これは私どもは、わが国の領土であるということについて一点の疑いを持たない。ですから、その認識の上に立って諸般の処置を講ずべきである、こういうふうに考えます。ただ私も、いまお話がありますように、中国側、特に国民政府から抗議というか、領有の主張が行なわれておる。また領有を示すための手続をとろうとしておるというような事実があるのです。そういう際でありますから、尖閣列島はわが国の領土である、これには一点の疑義は持ちませんから、その疑義を持たないためのいろいろな行動、これを行動に示すための処置、そういうことにつきましては、やはり日本政府も、そうそう割り切った、割り切ったと言って、子供みたいなことを言っているわけではないので、ちゃんとおとならしい行動をとる、こういうかまえておりますから、これも御安心願いたい、かように思います。
  188. 大出俊

    ○大出委員 総理、さっきから見ておりますと、わが事終われりという感じで、信頼する後継者の福田さんがよくお答えになっているからというような調子で、いままで第三者みたいな顔をしていらっしゃる。またえらい晴れ晴れしてしまって……。しかし、やはりいまは総理なんですから、国会が終わったあとは別として、この点は局外中立みたいな顔をされぬで、それこそひとつ……。  論理的には、私はさっき申し上げたようなことが考えられる。現実的にはだいじょうぶだとおっしゃるけれども。沖繩も返ってきた。これは、外務大臣がこの間もお答えになったけれども、たいへんにいい機会である。この機会にアメリカ側との間で、事前協議というものを広くつかまえて、どうしたら一番国民が納得をするかということで話し合いをする、こう言っているわけですね。ところが、よく外務大臣がそう答えたり、総理も答えたりするのだけれども、この間も原子力潜水艦の核の問題をいろいろ話をしましたら、総理がいきなり前に出ておいでになって、外務大臣はちょっといまの君の質問冒頭においでにならなかったようで、舌足らずだから私が答えるなんということで、これはいよいよ後継者は福田さんかなと思ったけれども、アメリカと話し合いをやって信頼し得る回答を引き出すというようなことを、総理がかわってお答えになった。あれあれと私はそう思った。だけれども、総理も答えられるけれども、いつ、一体どうするかというようなことについては一つもおっしゃられぬし、一年半前の外務大臣の愛知さんのときだって、二国間で話し合いをする、交渉する。国民全体の心配の問題だからその結果を明らかにする。一年半たってもさっぱり何にもおやりならぬ。新聞を見るとそう外務大臣がお答えになっているけれども、対アメリカということは何にも言っていないと書いてある。それでは困りますので、やはり沖繩返還のこの一つの節をつかまえて、事前協議が空文化、死文化しないように、これを詰めて話し合って進めていくことが、安保条約を前提にするとしても、沖繩の皆さんの心配をするベトナムとの関係を薄めていく、そして基地縮小の方向に——満足な基地縮小ができなかったことはだれしも認めることでありますから、少しでもそこへ詰めていく必要があると私は理解する。そこのところを総理は最終的に、この機会にどうお考えになるか。沖繩の皆さんの悲願でございますから……。
  189. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私が信頼する外務大臣、こういう表現をいたしましたのは……(大出委員「それはわかります」と呼ぶ)これはどうもおわかりにならぬようで、ちょっと違うのは、佐藤内閣といたしましては、別に閣内で不統一ではございません、意見はぴったり一致している、そういう表現を私の表現で申し上げたのでございます。したがって、佐藤内閣としては考えは一致している、かように御理解をいただきたい。  また、私、ただいまのようなお話を聞きながら、いろいろ問題があるのだな、かように思います。この事前協議の問題について、さらに随時協議もできることですし、われわれの間に、日米間に疑惑や疑義を残さないように、やはりもっと話を詰めること、これは必要だ、かように思っております。したがって、そういう必要な時期になれば、当然私どもが話し合うこと、これは相手方から出てくる問題ではなくて、随時協議の形において、この中身を空洞化しないように明確にする、これが当然、同盟国間の、あるいは条約締結国間の義務だ、かように私は思っております。  さような意味で、話し合いをして、そして疑惑のないものにすれば、これは明確になり、そうして国民からも別に御心配はないだろう。ことに沖繩の方は、今度は本土に返ってきたのだ、かように思っているのに、従前と何ら変わらない、こういうような状態では困りますから、これはもう本土並み、かように申しておりますその立場からも、沖繩県民に十分理解してもらわなければならない、そういう意味で、疑惑のあるような、疑われやすいような、そういう事柄については、これはどうしても随時協議、われわれのほうで明確にする、こういうことが必要だと思います。  そういう意味で、提案なさった、いわゆる兵器の補修その他等についてやや疑惑が起こりやすい、こういうような事件があるように思いますので、それらの点については、もうすでに、審議はされたことだと思いますけれども、外務大臣がはっきり申し、また当方の、佐藤内閣として意見の不一致はございませんけれども、もっと国民に明確にするように、これらの点で疑惑があれば話し合う、これは随時協議する、かように御理解をいただきたいと思います。
  190. 大出俊

    ○大出委員 これはいま例を一つあげただけですけれども、KC135の件は、これは前から何べんか論議してまいりまして、外務大臣から、これは沖繩返還もこれあり、もう少し詰めてみなければいかぬ、こういう趣旨の発言がございます。これはすでにあったわけでございますから、したがってその筋に沿って、これは沖繩返還という節でございますから、この際お詰めいただきますように申し上げておきまして、終わりたいと思います。
  191. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  192. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理並びに外務大臣、また防衛庁長官に質問するわけですが、五月十五日に沖繩が返りまして、総理はその記念式典において三たび涙した、このようにいわれております。確かに沖繩が返還されて、二十数年間の異民族支配の中にあって、またたいへん差別のある生活をしてきた、そういう沖繩の皆さんにとってはたいへんよかったと思いますが、ただ問題は、返還になりますと、物価あるいはまた税金はすぐ直ちに本土並みになるけれども、基地の問題、または沖繩県民の生活の面から申し上げますと、まだまだ差別がある。そこで私は、佐藤総理なりが、子を思う親のような気持ちで沖繩返還を願い、そして実現した今日において、さらに総理をやめられた後においても沖繩については心していくべきだ、私はそう思います。そこで、沖繩県民の立場に立って幾つかの質問をしたいと思います。  一つは沖繩の基地の問題であります。かつて総理は、一月にサンクレメンテ会談において、国民が願望している核抜きということについては、明確にするということで話し合ってきた、こうおっしゃっておりましたけれども、そのことについては、五月十五日にロジャーズ国務長官から外務大臣あての書簡が送られた。あれが、総理のサンクレメンテにおける話の内容なのかというふうに、私はちょっと疑問に思うのですが、その点はいかがですか。
  193. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろん沖繩が返ってくるという返還交渉、この際には最初から核抜きにする、本土並みだ、こういうことでございまして、私は、最高首脳、いわゆる相手方大統領、ニクソン大統領と私との関係でその約束をしたから、そのとおりやってくれる、かように思いました。その後、ガスがある、あるいはまたその他いろいろ疑問がある、こういうようなことで、今度いよいよ返ってくるとなると、これは必ず実施はしてくれるだろう。それにしても明確に約束を果たしてもらいたい、こういうことでサンクレメンテで強く話をした。そうしたら向こうでも、何らか安心のできる処置をとろう、こういうので、いわゆるロジャーズから福田外務大臣のところへ手紙が来た、こういうような結果になった。いきさつはそのとおりでございます。
  194. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私はロジャーズ長官の書簡を読みまして、われわれが強く政府に主張したこととは違う、全く遠いような、すなわち、いままでの日米共同声明、あるいはまた沖繩返還協定を引用して、それを履行するという間接的なことだけであって、このような書簡ならば、私は別にもらわなくてもよかった、このように実は思っております。  そこで私が言いたいことですが、何かどこかにと、核が撤去されたと思えるような文脈をずっと読んでみたわけです。書簡の最後のほうに、「沖繩の核兵器に関するアメリカ合衆国政府のこの確約が完全に履行されたことを、アメリカ合衆国大統領の指示と許可のもとに閣下に通報することができることは本官の大きな喜びとするところである」、こうあります。しいて言えばここが、「完全に履行されたこと」、こういうふうにとれるといえばとれるところなんですけれども、私はこの点で確認しておきたいのですが、これは間違いなく沖繩にあった核兵器が撤去されたということを意味しているわけですか。
  195. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これはちょうどいい機会でありますので、この内容について申し上げさせてもらいますが、アメリカ政府の言うところは二点あるのです。  一つは、従来のいきさつから言いまして、協定まで核のことに言及しておる状態ですから、返還時において核がない、こういうことにつきましては、私どもは一点の疑いがなかった。なかったのですが、皆さんから心配だ心配だといわれるものですから、手紙の発出ということを要請したわけですが、この手紙において、第一点、アメリカ政府がわが国に対して約束したことは完全に履行されました、こういうことです。つまりこれは、履行の確認がここで表明されておる、こういうことなんです。いま伊藤さんのお尋ねのとおりであります。完全に履行された、過去形なんです。それが一つ。  それからもう一つ、これはわれわれの苦心、努力の評価してもらいたいところなんでありますが、第二点であります。つまりこの際、本書簡におきまして、「安全保障条約のもとにおける事前協議にかかる事項については、アメリカ合衆国政府は日本国政府の意思に反して行動する意図のないことをあらためて確認する」。これは、わが国の主たるねらいは非核三原則でありますが、非核三原則はよく承知しておる、これに反して行動するようなことはいたしません、こういうことなんですね。  この二つをあわせお読みくださいますと、この手紙がいかに重要な意味を持っておるものであるか。いま、こんな手紙は無用だというようなおことばもありましたが、そうじゃない。とにかく第一点においては確認をしているわけです。第二点におきましては、これからも本土を含め、全日本の基地において非核三原則は尊重されるという、きわめて厳粛な意思表示がされたわけです。非常に貴重な書類であると私は考えております。
  196. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ことばの上では外務大臣はそのようにおっしゃいますが、私たちは政府じゃございませんので、核があるとかないとか、あるいはまた撤去されたとかされないとかいうことについては、実態の面から観察し、そして疑惑を持ち、あるいはまた晴らす、こういうことしか実はないわけであります。  ところが、いま沖繩の県民が一番心配していることは、メースBの問題にいたしましても、あれは公開もされ、撤去された、あの辺は大体わかっているわけです。ところが、核兵器はあれだけでなくて、ほかにもたくさんあるという疑惑はあったわけであります。ところが、基地の実態というものは、少なくとも民間の専門家、あるいはまた沖繩の住民は、ほんとうにこの基地からいつ核が撤去されたのか、あるいはまた、基地がいわゆる返還前と今日では何ら変わったように見受けられない、ほんとうにこれは撤去されたのかどうかわからぬ。たとえばこの書簡によって、ことばの上ではそういうふうに言っておっても、核については常に、マクマホン法との関係があって云々することはできないという、こういう一つの米国の原子力法に基づいて、この書簡は、ことばで言うところの隠れみのになっている。実体は変わっていないじゃないか、県民は、率直にいって実はこういう疑惑を持っているわけですね。  そこで、核兵器が沖繩に存在するということはもう公然の秘密でありて、私たちも、核兵器というものについては非常に安全だとはいうものの、何らかの関係で事故が起きるということも考えられる。したがって、撤去については公開しろ。また過去においては毒ガス撤去なんかもありまして、公開して完全な安全対策を講じながら撤去した。そういうふうにできないものかとわれわれは強く言ってきました。しかし、これは軍事機密に関することであるということで、そういうことが否定されてきた。したがって、この核撤去については、それぞれ関心のある人たちはみんな関心を持っていた。しかし、返還になった今日においても、撤去らしい実態を見た人は一人もいない。たぶんあれじゃないかというようなことは夜中に何回かあった、それだけであります。そこで、ほんとうに核が撤去されているのかどうか、この点について大きな疑惑を持っておるわけです。この県民の疑惑に対して、この書簡だけではますます疑惑を深めているわけですから、何らかの形で、疑惑に対して政府は前向きで、そうじゃないんだ、こうなんだというようなことが示せないものかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  197. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまの伊藤さんの御指摘の御疑問、これに対する最大の処置、これはこの書簡だ、こういうふうに思います。とにかくアメリカ政府が大統領の指示と許可のもとに、もう核は撤去されました、こういうことを公式に言っておる。私は、核の問題についての疑惑を解く資料としてこれ以上のものはないと思うのです。これは軍事専門的な立場から言いましても、核がどこにあります、どういうふうに移動されました、こういうことを公にする、これはとうていどこの国といたしましても不可能なことである。その辺のことは私は考えなければならぬことだと思う。  それから私は、沖繩について言うわけじゃないのですが、軍事専門家の常識といたしまして、核というものは毒ガスやその他の化学兵器、生物兵器、そういうものと違いまして、その扱いが非常に簡素になっておるといわれておる。つまり核を格納する倉庫はどこにあるかというと、飛行場の隣に置く。そして飛行場からすぐそこへ運搬すれば、いつでも移動できるような形になっておる、これが常識である、こういうふうに聞いておる。沖繩のことを私は申し上げておるわけじゃないのです。そういうようなことで、そういう常識からいたしますれば、毒ガスを撤去します、そのためにガスの格納庫から船へ運びますというのとは、かなり趣の違った扱いになるのじゃないかというようなことを想像するわけでございますが、それはそれといた、まして、もうここまで来れば、これは私はほんとうに全面的に御信頼があってしかるべきことじゃあるまいか、そういうふうに考えております。
  198. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務大臣、県民がそういう疑惑を持っている。これはいずれいろいろな面からまた政府に対してたださなければならぬと思います。きょうは時間がきまっておりますので、あまり長く議論できませんから申し上げませんが、いま大臣がおっしゃったことは、一つは、飛行場のすぐそばに核兵器は置いていると聞いている、常識だといま言われましたね。これはアメリカに聞いたわけですね。私は、非常に外務大臣前向きで発言をせられたと思いますが、これはあとになってたいへん重要な問題になりますので、承っておきます。  そこで私は、前に毒ガスの撤去方法について、いつも参考に撤去のときに言っていたわけですけれども、要するに毒ガス撤去のときには点検しましたね。それから、岩国に核はないぞと言ったときも、防衛庁から行って確認しましたね。そこで私は、少なくとも最低限、ほんとうにその書簡のようであるならば、すべてとは言いません、実はここにあったんだという場所を点検するように米側に申し入れ、あるいはまた行って、少なくとも沖繩県民が、なるほどあそこにあったのか、しかしこのようにないんだな、こういうようにしていけば、沖繩県民はなるほどなというように納得できるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  199. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 第一の点ですね。核というものは飛行場のそばに貯蔵されておる、これは別に米軍から聞いたわけでもなし、先ほど申し上げましたように、沖繩について言っているわけじゃないのです。軍事専門家の常識というふうな意味合いにおいて、私が私なりに勉強しておる、こういうことでございます。誤解のないようにお願いいたしたい。  それから第二の点検の問題でありますが、これは米軍に貸与いたします軍事基地でありますので、わがほうが権利としてこれを点検するとか査察するとか、これはいたしません。そういう考えは持っておりません。ただしかし、一般的、常識的に見ましてどうも怪しいところがあるというような問題がありますれば、その問題、ケース・バイ・ケースでその疑惑を解くに足る十分な調査はいたします。
  200. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、県民の疑惑に対して政府は前向きに晴らしていただきたい。ケース・バイ・ケースで点検もあり得る、また、こちらから言うことはできないにしても、向こう側から自主的にそういうことを前向きでやっていただく、こういうことで了解してよろしいですか。
  201. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 権利として点検はしませんけれども、疑惑があるという際には、疑惑を解明するに足る十分な調査をいたします。
  202. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこでベトナム戦争についてですが、沖繩が本土になった、そしてわが家からベトナム戦争に大きな補給が行なわれている。そして、先ほども同僚委員からお話ありましたけれども、KC135の問題にしても、これは非常に大問題である。たとえば現在米軍がラオス、カンボジア、すなわちベトナムの国境を越えて第三国を爆撃する、その根拠は何か。それはいろいろありますけれども、戦時国際法によれば、追跡権——権利まではいかないにしても、追跡して相手を攻撃しても、それは国際法上合法なんだというたてまえからやっているわけですね。そこで私たちは、もしか、北ベトナムの魚雷艇かミサイル艇でも何でもかまいませんけれども、そういうもので沖繩を攻撃してくる、またした場合、これは日本が安保条約によって貸している以上、米軍に補給基地として使わせている以上、北ベトナムが日本の沖繩を、日本の基地を、やはり、米軍に対して補給路を断つんだ、補給基地をたたくんだということで来られた場合には、国際法上文句言えないんじゃないでしょうか。そこで私は、少なくとも戦争に巻き込まれる歯どめとして事前協議があるわけでありますけれども、しかし、たとえ事前協議事項の対象でなくても、密接不可分のものについては、やはり今後はどんどん、事前協議、あるいはまたそれ以外の随時協議でもけっこうですけれども、そういうところでノーと言うべきだ、私はそう思うのです。  そこで実はこの間詰めたのですけれども、条約局長に聞きたいのですが、日本の施設、区域に米軍が置ける部隊、いわゆる在日米軍というもの、あるいはまたそれ以外のものが置けるという場合、どういう考え方、見方があるかということです。
  203. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の御質問の意味がよくわからないのですが、在日米軍というのは、この前も御説明しましたとおり、狭い在日米軍と広い意味での在日米軍とあります。広い意味で申しますと、寄港とか立ち寄りとか、そういった一時的に施設、区域を使用する米軍を含めての在日米軍。いずれにしましても、安保条約及びそれに基づきます地位協定が適用される米軍、これを称して在日米軍と申しております。
  204. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理、そこで聞いていただきたいことがあるのですね。要するに日本の安保条約第六条の交換公文によって地位協定がある、それに基づいて基地を提供している。これは皆さんの考え方でやっているわけでありますけれども、その中でどんな部隊が日本に来てもいいというわけじゃないのですね。実は在日米軍の指揮下にあって、全部そこの指揮系統にあって日本の基地を使っている。したがって沖繩米軍も、この安保条約に基づいて、そうして全部日本の在日司令官の傘下に直されて入ってきている。また第三国人などを含めていままでいろいろな学校を開いたり何かしておった。陸軍情報学校のようなものは解体されて、全部米軍基地の傘下に部隊が編成がえになった、こういうことですね。これが通常一般的な安保条約適用のもとにおける米軍のあり方。それを広く言えば、指揮系統は多少違ったとしても、港に寄った、飛行機でちょっと寄ったぐらいの場合、在日米軍でなくても寄ることができる、こういうことなんです。  ところで、私が申し上げたい点は、このKC135の指揮系統はどこにありますか。
  205. 久保卓也

    ○久保政府委員 戦略空軍であります。沖繩のものは、数字はあとで調べればわかりますが、たしか三七六戦略航空団であったと思います。第八空軍の下であったと思います。
  206. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは調査しての発言ですか。防衛局長、非常にいろいろなことを前向きでおっしゃるのはけっこうなんですが、間違いありませんか。そのこと、いいかげんじゃ困るのですよ。私の調査では、これは米戦略空軍であって、指揮系統は在日司令官にない。
  207. 久保卓也

    ○久保政府委員 私は在日米軍の指揮下にあるとはいま申しませんでした。戦略空軍の下にある第八空軍、さらにその下の——ちょっといまその数字を調べます。
  208. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いいです。時間がありませんからけっこうです。  要するにここで一番問題になります点は、安保条約の適用下に「おいてKC135は在日米軍ではない。指揮系統はネブラスカ州のオマハというところの戦略空軍に所属するKC価じゃないですか。ということはB52と同じなんです。したがいま」て、この安保条約の傘下にKC価を常駐することは、安保違反になるのですよ。そういう見方をすることができるんじゃないかと思うのですね。その点いかがですか。
  209. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の前提は、在日米軍はすべて在日米軍司令官の指揮下になければならないというお話のようでございますけれども、私ども従来在日米軍と申しておりますのは、要するに安保条約の適用を受ける米軍ということでございます。もちろん原則としましては、在日米軍司令官の指揮下に置かれるわけでございますけれども、それ以外にも、在日米軍司令官の区処下に置かれる部隊もございます。ただいま御指摘になりましたような、そういう部隊は、在日米軍司令官の指揮下の縦の命令系統にはないと思いますけれども、しかし区処のもとに置かれるということであります。そういう部隊も含むというふうに理解していただきたいと思います。
  210. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、狭義、広義というのは、私、この間条約局長に聞いたでしょう。在日米軍の指揮下になければならない、これは狭い意味だ。しかし広い意味でいえば、在日米軍の指揮系統にない、こういうことでしょう。  そこでいま一つ問題になる点は、戦略空軍でも、これは広義に解釈して、日本にいつでも飛んでくることができる、またいつでも日本の基地を使うことができる。したがって、B52も使えるということにも通ずる面が実はあるわけですよ。それはいかがですか。
  211. 高島益郎

    ○高島政府委員 条約上は当然そういうことになります。実際上そういうB52を日本に入れない、これは政策上の問題だと思います。
  212. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その場合、日本に常駐することはどうか。要するにこの間あなたが答弁したのは、議事録をあとで読んでもらえばわかりますけれども、ある一時期、飛行場だとか港に入ってくることは認める、しかし常駐することはできない、こう言いましたね。
  213. 高島益郎

    ○高島政府委員 私この前申しましたのは、狭義と広義と両方ある。狭義のほうは、私が申しましたのは、日本に配置される米軍、これがいわゆる狭義の在日米軍である。配置されないけれども、立ち寄り等の理由で日本に一時的に来る米軍、これを含めたものが広義の在日米軍である。その配置される米軍のうちには、いま申しましたとおり、在日米軍司令官の指揮下に置かれる部隊が原則でございますけれども、そうでない部隊もあり得るということでございます。
  214. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だからそういう部隊が常駐することはできるのですか。
  215. 高島益郎

    ○高島政府委員 形式論的にと申しますか、法律的にはできます。
  216. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしたら、在日米軍についてのみ安保条約を適用する、そんなことはやめたらいいじゃないですか。すべての米軍は一切使えるのだ、こういうことになりますよ。
  217. 高島益郎

    ○高島政府委員 その点も、実はこの前御説明申しましたとおり、在日米軍ということばはどこにもないわけでございます。これは全く俗なことばでございまして、われわれ法律的にものを見ます場合に、要するに安保条約の適用を受ける米軍、これが俗に言う在日米軍だということをるる申したつもりでございます。
  218. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、在日米軍と言っても俗称だ、これはわかりますよ。ただしかし安保条約というワクがある。そのワクを越えて、いろいろ戦略上、もぐったり飛んだり、あるいは走ったりするようなものは、これは安保条約違反だ、地位協定違反だと私はこの間も指摘したじゃないですか。少なくとも、在日米軍から離れて軍事的にきわめて危険な行動をとるようなものについては、やはりチェックする必要がある。在日米軍だと俗に言う場合に、在日米軍だと戦争に巻き込まれるおそれがあるからこそ事前協議が歯どめになってきている。それ以外の指揮系統の違うようなものは、事前協議だとかそんなことは考えていない。だから、B52が来ることができるが、これは政策的に来させないのだということならば、KC135だって同じ戦略空軍なんだ。であるならば、これは当然チェックすべきだと思う。  そこで時間がないからお聞きしますが、一つはB52の再配備について向こうから要請があった場合、外務大臣、どうしますか。それからKC135についても、私は、現在この指揮系統が違うのであれば、当然これは常駐させることはできない、またさせるべきではない。これは法律上それができたとしても、政策的にチェックするべきだ、私はそう思います。もしその意味がなければ、沖繩米軍がわざわざ在日米軍に統合したり、あるいはまた一つの命令系統に統括すること自体もおかしくなってくる、こういうふうに私は思うわけです。その点いかがですか。
  219. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 第一のB52がまた本土に移駐してくるかというお話でございますが、そういうことは想像しておりません。しかし万一そういうことが頭の中で考えられましても、その場合に、わが国の本土を基地といたしまして作戦行動を行なうということは、ベトナムについてはこれを差し許しません。  それから第二の、KC135が在日米軍最高司令部の配下にない、こういうゆえをもちまして、これは安保条約違反であるというようなお話でありましたが、これはいま条約局長からお話し申し上げたとおりでありまして、わが国に駐とんする部隊は、これは必ずしも在日米軍最高司令部の指揮下のものばかりではない。しかし、それにもかかわらず、事前協議はそれらの部隊の行動につきましても厳格に適用いたします。ただ、申し上げておきますが、空中行為は、先ほどお話にもありましたが、事前協議の対象にはいたしませんです。
  220. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、事前協議の対象にしなくても、戦略空軍というものは認めるべきではない、こういう考え方を持っております。もしそれが法的に許されるとしても、これは政策上やはり、沖繩県民を守り、日本の基地を自由に使う米軍の戦争に巻き込まれない歯どめにするためにも、私はその点はノーと言うべきではないか、こう思います。総理、どう思いますか。  そうして私は、実はここに写真をたくさん持ってきているのです。これは時間がありませんから申し上げませんが、一つは、これ総理もごらんになりますと、この一番右端にあるのが米軍の人員輸送車です。星のマークがついています。あと全部ついていない。これは南ベトナムに供給された戦車といわれております。この問題。この中には、ベニヤ板に、ダナンから来たというふうにちゃんと英語で書いてあります。こういう問題は、これは社会党の大出委員からも質問がありまして、これは質問を留保されております。そうしてまた外務省では、これを厳重に調査して実態を調べ上げて、さらに質問をするということになっておるわけであります。  私は、この問題も含めまして、このKC135の問題は、やはりベトナム戦争と密接不可分の関係にある、たとえ事前協議の対象にならないという解釈をかりにとったとしても、やはり県民がそう思い、われわれもそう思う、であるならば、私はやはりこの問題について、前向きで国民の納得できるような政府の措置が必要であろう、こう思うわけです。総理の答弁を願いたいと思います。
  221. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 KC135のことについて重ねての御質問でございますが、これは実態といたしまして、台湾基地に対してわが国が油の補給をする、その台湾基地においてグアムから発進した米軍の攻撃部隊が補給を受ける、実際上何らの違いはないわけなんです。いろいろ考えたのでありますけれども、わが国といたしましては、地上において給油を受ける、これは事前協議の対象といたしますが、空中において補給を受ける、その行為は対象にしないという解釈をとりたいと思います。
  222. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 どうも最後のほうが気になるのですが、空中は対象としない、地上においては対象とする、そうしたならば当然今度は、相模補給廠の補給物資は対象になるじゃないですか。そうですね。——いいです、時間がありませんから。その点を指摘しておきます。  それで、これは日曜日の朝のニュースなんです。総理もごらんになったかもわかりませんけれども、沖繩返還を前にしまして、NHKが調査したことです。これは自衛隊の沖繩配備に関する実態調査です。約千人に対して個人面接をして行なったといわれております。そしてこの日時は五月の初め。これによりますと、自衛隊配備は賛成が二二%、どちらかといえば賛成一五%、どちらかといえば反対二〇%、反対そのものが四一%、すなわち反対のほうが実は六一%あるわけです。かつて総理は、沖繩に対する自衛隊の配備については、沖繩県民の感情を考慮に入れて国防会議で決定する。私は、その国防会議で決定したものを見ました。ところが、何のことはない、久保・カーチス協定のとおり。ただ人員配備を少しずらしていくだけである。実質的には何ら変更はない。そこで、総理がそのことを国防会議において、よかろうとおっしゃったと思うのですが、であるならば私は、沖繩県民の感情をちっとも考慮に入れてないと思うわけですが、その点についてはいかがです。
  223. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私から先にお答えを申し上げます。  これはずらしたこと自体に非常に意味があると思うのです。それは、首相が沖繩の県民感情を考慮して、慎重の上にも慎重に配備の実行を検討しろ、こういうことで、御承知のとおり、もう時間がありませんから繰り返しませんが、百名程度の準備要員を基地施設等の管理要員ということにしました。本来ならば、米軍の基地のおよその態様等についても、相当な人数を配備しておれば的確にキャッチすることができるわけです。けれども現在は準備要員でしかない。ここらあたりは、私、非常によかったという感じを持っておりますが、自衛隊というものは旧軍隊とは関係がないんだ、新しい時代の国防のための施設である、こういうことが日を追うに従ってだんだん沖繩県民に理解される。またわれわれは、進んでこの理解を求める努力をしていかなければなりません。それには配備をスローダウンするということは非常に意味があるのです。ですから今後、私ども積極的に、旺盛に、自衛隊のほんとうの姿はこれだ——もちろん局地防衛という主任務に奔命することはもとよりでありますが、日本は善隣友好の外交で平和外交を展開しているわけです。だから平時においては、災害救助活動等、民生協力に活発に立ち働きをするんだ、こういう実態がわかってくれば、沖繩県民も、なるほどそうか、自衛隊というものは、われわれが旧軍に抱いておったイメージとは全然違うなということがわかってくれば、これは日本の主権の存するところ最小限の配備をすることはやはり必要だと思っております。
  224. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に質問します。  私は、沖繩県民は、米軍基地が撤去されて、そのあと自衛隊が入ってくるというならまた考えは違うと思うのです。ところが実際、基地は縮小されたように思いますけれども、ベトナム戦争の激化によりましてますます充実されている。そこにプラスまた自衛隊が入ってくるという実態について、基地の町は変わらないという実感を県民は持っているわけなんです。  そこで私、ここでひとつ申し上げたいことは、立川のときに問題になった点は、夜陰に乗じて夜盗のごとくなんて悪口をいわれました。やってる方は真剣にやってるわけですから、その点は私はちょっとことばが過ぎるとは思いますけれども、ただ問題は、またある日突然わっと行くということで、そういうふうに計画をきめたから、どんなことがあってもこれは一つの業務計画の中でやる、事務的にやっていくのかということを、私、一番心配するわけです。  そこで、沖繩に行く場合は、少なくとも事前に県知事に通告をし、そして承認を受けてから自衛隊の配備をやるというような、やはり何らかの県民が納得できるような、あるいはまた県知事が防衛庁長官から話があったときに、事前にちゃんと了解をして、それなりの形で入るならともかくとして、ある日突然というようなことはやるべきではない。事前通告といいますか、あるいは協議するといいますか、そういうことなしには絶対配備しない、こういうことで最小限いくべきではないか、こう考えます。その点はいかがですか。
  225. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私から先にお答えを申し上げますが、ある日突然配備をする、こういうことはしないつもりです。ただ問題は、国防会議において大体のスケジュールをきめております。これは屋良主席のほうにも正式に申し入れがしてあるわけです。しかし、そうだからといって、きわめて事務的、きわめて計画的にそれをどんどん進めるということでなしに、今後もあらゆる機会を通じながら了解を求めつつやっていきたい、こう考えております。
  226. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理いかがですか。
  227. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま防衛庁長官からお答えいたしましたとおり、ある日突然なんというようなことがないように、この上とも私ども気をつけてまいります。もちろん沖繩と本土、これは一体でなければなりませんから、別扱いをするというわけでもございません。これはもう当然のことであります。ただいまのような、ある日突然というような立川の例は、これは異例なことだった、かように思います。今後はそういう問題についてはわれわれも十分注意したい、ただいまのような、信頼を裏切るようなことのないようにいたしたいと思います。
  228. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 和田耕作君。
  229. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 日本の自衛隊というのは、これは非常にむずかしい地位にあると思います。憲法上の制約のある自衛隊というわけですから、非常にむずかしい地位にあると思いますけれども、先ほど来、大出君あるいは伊藤君からいろいろ御質問がありましたが、これは自衛隊として行き過ぎたことをしちゃいけないという趣旨からの質問だと思います。しかし、ここで一問だけ御質問したいのは、自衛隊は非常にむずかしい立場にありますけれども、やはり日本の国を守るという任務を持っているわけです。したがって、このやるべきことはやらなければならないというふうに思います。行き過ぎてもむろんいけないけれども、やるべきことをやらないでおくということもなおさらまたいけない。一兆円に近いお金を使っているわけですから、当然日本の国を守る自衛隊として大事なことはやらなければならない、こういう立場から、きょうちょうど総理もお見えになっておりますので、御質問したいと思うのです。  せんだって十日に防衛庁長官と法務省の刑事局長にお出ましを願いまして、いわゆる五人の反戦自衛官の処置の問題について御質問をいたしました。この問題については、懲戒免職するというのは私は当然のことと思いますけれども、この五人の行動というのは、自衛隊法、特に六十一条関係に明白に違反した事項であり、また、これは政治的に見ても、悪く扱えば自衛隊の存立の問題に本関係すると私は思う。こういう問題を、重大な嫌疑があるにもかかわらず、懲戒免職はしたけれども、いまだにこの五人を野放しにしておるという事実があると思う。この問題について、長官、この前の質問のときに、法務省の刑事局長は、防衛庁のほうでこれを告訴するようなことがあれば、法務省としてはこれを審議をいたしますという御答弁だったと思う。きょう速記録を持ってこようと思ったけれども、速記録ができていないから調べてみたのですけれども、そういう答弁をいただいたと思うのです。長官もこれは真剣に検討するという御答弁だったのですけれども、その後約十日以上たっています。この問題についてその後検討された結果についてお伺いいたしたい。
  230. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは和田委員から御指摘があるまでもなく、指揮、命令をもって立つ厳格な自衛隊の隊規を乱したものという立場から、ただ行政的な懲罰を加えるだけでなしに、政治活動もしたということによって刑事責任を追及すべきである、これは私は、一つの御主張でもあり、またわれわれ自衛隊としても、今後こういうことが繰り返し行なわれることがあってはなりませんし、他に波及することが絶対あってはなりませんので、厳重にそれぞれの全国の部隊、これは関係があろうとなかろうと、防衛庁長官及び幕僚長命令というものを出しまして注意を喚起いたしておるわけであります。  さて、その五名の俗称反戦自衛官といわれておりますが、この言動につきましては、日比谷における反戦学徒の中に入りまじって、制服に着かえてアジ演説を行なった。この録音等的確に全部とらえておるわけではありませんが、録音等も徴しまして、これを刑事罰に持っていけるかどうかということは、いま警務隊で真剣に検討いたしておるわけです。もう日にちがたったからどうしておるのか、この点については、先回、法務省の刑事局長がいろいろお答えしておりましたように、さて政治活動とみなすかどうかという点になりますと、いろいろ疑義があるわけです。そういう法務省側の意向というものも参酌しながら、わがほうにおいて、これを法廷の問題に持ち込むというような場合のことも想定しながらいま警務隊が検討しておる、これが現在の実情でございます。
  231. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この前、法務省の刑事局長と、自衛隊法の六十一条について、その該当すると思われる項目あるいは行為等について、具体的に一問一答したことをお聞きになったと思います。あの一問一答から見ても、刑事局長のお答えになる点は、いろいろお答えになっておったけれども、防衛庁からの連絡ということに関して、いままではこれは非常にむずかしい問題だと答えたけれども、きょうのこのやりとりという問題は初めて聞くのだという印象の答弁をなさって、そして最後のことばは、これを防衛庁のほうで告訴をすれば法務省としてはこれを検討するのだというお答えだったと思います。  時間がありませんから、この一問一答を私、繰り返しませんけれども、総理、この問題は、四月の二十七日に、防衛庁の正門に、五人の現職の自衛官、それに一人の元自衛官、この六人が出張っていって、そして声明書を出した。この声明書には、帝国主義佐藤内閣の政策云々に対して反対するということばがある。つまり明確に一つの内閣に対しての反戦的な行動をしておる。また、その前に新聞記者と会見をして、そういうことを公衆にアピールをしている。その翌日には三派系の中核系の集会に出て、そして政治的な行動をしておる。これはまだ現職のときです。懲戒免職をしたのは五月の四日です。そういうふうに、現職の自衛官の身分で、明らかに内閣を誹謗し、政策に対して重要な影響を与える、そういう行動をしておる。その行為そのものも、六十一条に規定したそのものずばりの違反行動をしておる、こういう事実ですね。こういう問題を放置するということは、今後このような行動をしても懲戒免職だけでいいんだということになる。懲戒免職という形は、他につとめるところがあれば、こういう行為をした者にとって何もたいしたあれもない。こういう問題を野放しにするということはいけないことだと私は思う。そういうことで、この前かなりきびしく、防衛庁長官にも、法務省の刑事局長にもただしておいた。そして、先ほど申し上げたとおりの答弁だった。これは総理、防衛庁の最高責任者としてこの問題くらいのことは決着をつけておかないと私はいけないと思う。総理の御所見をお伺いしたい。
  232. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろん法規は守る、これは最も大事な基本的な問題でございます。自衛隊法違反行為、それはどこまでも追及しなければいけない、ただ単に行政処分だけで事足りる、こういうわけのものではない、かように私は思います。ただ私は、先ほど来江崎君がお答えいたしましたとおり、それらの点についてなお検討しておる、こういう実情でございますから、これは単なる法規違反、いわゆる刑事責任を問うような問題かどうか、そこらにはなお研究の余地はあるのだろう、かように私は思います。私は、どういうような処置をしろ、またさっそくそれは行動に移れとか、かように実は私自身が一々命令する事項ではないように思っております。いましばらく事務当局の処置を見まして、その上で判断をする、かようにおまかせ願いたい。  私、申し上げたいのは、和田君御指摘のとおり、綱紀のゆるみというものはしばしば問題になります。ましてそれが、自衛官の中において自衛隊法違反、そういうような事柄が簡単に行なわれる、こういうことがあっては、われわれが何のために自衛隊を置いておるのか、国民に対しても申しわけのない次第でございますから、そういう意味におきまして、一そう公務員すべてについて同じように綱紀を振粛することは当然であります。一そう自衛隊の士気も高めなければなりませんし、またその任務の重いことに思いをいたして、国民からほんとうに信頼のされるような自衛隊にしなければ申しわけがない、かように私は思っております。
  233. 江崎真澄

    江崎国務大臣 心がまえ、方向としては、まさに総理がお答えになったとおりに私も思っております。ただ問題なのは、これは和田さん御存じのように、自衛隊法の六十一条、六十四条というものを適用して刑事罰に持っていく場合、この内容が、法律そのものが、特殊な任務を帯びておる自衛官というものと、一般職の刑事罰、これとほとんど同じような法文になっておるところに非常に問題がある。これが事を処理していく上にむずかしくなるといいますか、問題があるということだと思います。そこで、これは自衛隊の特殊任務という点から考えまして、やはり自衛隊法自体を掘り下げて検討していく必要がある、これも考えておることをつけ加えて申し上げておきます。
  234. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 時間がありませんから最後に一言申し上げておきますけれども、この問題は単に偶然な事件とは私は思われない。仙台の部隊がおる、京都の部隊がおる、東京の市ケ谷の部隊がおる、福岡の部隊がおる。しかも兵科も、陸上自衛隊があり、航空自衛隊がある。これはこの前も御指摘がありましたように、日ごろから注意されておる人物であるという点から見て、しかもそれが目に余るような行動もしておるということから見ても、法規の問題から明らかに重大な問題点があるということを判断なさっておるのに、なおこの問題について告訴の提起ができないということは、私どもの国対の責任者は、そんな自衛隊なら必要ないじゃないかということを言っておる。それほど重要なことではないかと私は思う。先ほど申し上げたとおり、出過ぎたことをしてはいけないけれども、やるべきことをやらないのはいけない。そういうけじめだけははっきりつけてもらいたい。これはこの前、御質問してからもう一週間以上になります。これはそうむずかしい問題ではありません。裁判で問題があるとしても、自衛隊として、自衛隊をつくる精神から見て明らかに間違っておる。もしこれができなければ自衛隊法を改正する必要もあるでしょう。改正しなくても明らかに問題にできるものを、じんぜんとして日を過ごしておるというその状態が私にはわからない。そういうふうなことでございますから、総理、この問題についてひとつ最後の御決意を承りまして、質問を終わりたいと思います。
  235. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 和田君のただいまの御意見、私もしごくもっともだ、かように思いますので、政府も当然善処すべき問題だ、かように思います。
  236. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田新吉君。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 総理、七年有余にわたりまして、国政の責任者で非常に御苦労されて、たとえいろいろな批判はあろうとも、あなたは執念を完全になし遂げたという点において、同郷のよしみで深い敬意を払いたいと思います。しかし私は、きょうはその御苦労であったあなたに、時間の関係でポイントだけ押えたお尋ねをしますので、すかっと端的にお答えを願いたいことがあります。  まず沖繩が返還された喜びの中に、一九六九年のニクソン・佐藤共同声明、その中に台湾・韓国条項があるのでございますが、これは今日も必要かどうかということでございます。沖繩返還の行なわれたこの時点では、この総理がおきめになられた韓国・台湾条項は任務が軽くなったということか。一言でけっこうでございます。
  238. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いわゆる一九六九年の台湾条項、韓国条項、あれはあのときの時点における両首脳の認識を表明したものでありまして、ちょうどあのときはプエブロ事件の直後でございますので、極東は緊張の状態にあった。したがいまして、非常に強い口調の表現になっておりますが、今日は、米中会談、そういうことを境に、特に台湾海峡における事態は変化しておる、あのときのような情勢認識は必要なかろう、かように考えております。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 次に事前協議の問題でございますが、総理大臣、この事前協議というのは非常に重大なことであって、日本の運命を決するような結果が起こる可能性が確かにある。そういう重大な事前協議にあたって総理大臣の決断だけできめられてイエスが言われるような事態が行なわれるということになると、国益に反するような結果が起こったときにはどうするかということになる。できるだけ、この問題につきましても衆知をすぐって、国民の声が反映するようにするために、事前協議の際には、国防の基本にも触れる大事な問題でございまするから、総理一人、あるいは外務大臣だけの決断ではなくて、あるいは国防会議の付議事項の第五にある「総理大臣が必要と認める重要事項」に入れて、もっと幅の広い角度から閣僚等の意見を聞くという形をとるべきだと私は思うのです。そういう場合の措置について御答弁を願いたいのです。
  240. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 事前協議に対するイエスまたはノー、これは非常に重大な決定になるわけでありまして、その重大性についての認識は、受田さんと政府は全く同じであります。したがいまして手続も慎重にしなければならぬ。私は当然これは閣議において決定すべきものであるというふうに考えておりますが、これをさらにさらに追加いたしまして、国防会議に付議するかどうか。これは私は、なおこれから国防会議の改組というか、そういう問題がありますので、その際あわせて検討してみることにしたらいかがであろうか、かように考えます。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 総理、この国防会議の問題もう一つ触れておきたいのですけれども、できるだけ知恵をすぐるという意味で、私、総理自身が国防会議の付議事項その他洗い直すということで期待をしておるのでございますが、閣僚のほかに、秘密を守ることがりっぱにできる人を選ぶわけですから、国会の承認で秘密が破れるというのは愚かな議論で、私、承服できません。もっと幅の広い国民的規模でこれに当たらせる意味で、国防会議の構成員に民間人の有能なエキスパートを複数入れるということは、私、国防会議ができた当時とは違った時点、この時点で踏み切るべきだと思うのですが、そのこともあわせて検討されるかどうかを、御答弁願いたい。
  242. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまでも、その必要があれば、必要なら民間人を呼び出して意見を徴することはできます、また、ただいまのは、常置しろ、常任のメンバーにしろ、こういうようなお話ですが、これについてはなお研究の余地がある、かように私は思います。御提案は御提案として伺っておきます。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 文民統制の効果をあげるために、総理大臣が円満な平和主義者ならいいけれども、たまに好戦主義者、軍国主義者の総理が出たら、自衛隊法第七十六条の防衛出動だけではなく、その七十八条にある間接侵略その他の事態に対処して、独断で総理大臣自衛隊に出動を命ずることができるところの非常におそろしい規定がここにある。これはやはり、命令による治安出動というものも、自衛隊ももう二十年近くなったこの時点では、ひとつ国会の承認規定に転換すべきだと思うのですが、御答弁を願いたい。
  244. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの自衛隊法には、命令による治安出動につきましては、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議してその承認を求めなければならぬ、そういうこと等も規定してあるわけです。ですから、この防衛出動の場合と治安出動の場合というのはおのずと違っておる。治安出動というのは、一種の警察行動ですね。それからもう一つ大事なことは、そうだからといって治安出動を簡単に行なうものではないのでして、現在まで一度も行なわれなかったこの現実をよくお考えいただきたいと思います。そうすれば、自衛隊法を改正したり、特にこれについて疑問を差しはさむ余地は、いまのところはないように思います。御意見は十分承っておきます。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 その考え方がいけないと私は思うのです。二十日のうちに承認が得られるといっても、実際にやってしまった後にはもう手の打ちようがなくなるのです。だから、ただし書きのほうでやりたければやればいい、原則は国会の承認が筋だというのが筋論として通ると思うのですが、それを私は指摘しておるのです。ただし書き方式でもできるのだから、七十六条と七十八条を少なくとも同じ形にすべきだと私は要求するわけです。総理、気持ちはわかりますか。
  246. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御意見としてわからないわけじゃありません。しかしながら、これは非常の場合というか、治安出動にいたしましても緊急の場合ですから、ただいまのような、どうも時間がないときに問題が起こる、かように私は思いますので、いままでもそういう事態がないのも、ただいまもそう軽々しく動かない、そういうところに問題がある、かように思いますので、これはもう御意見は私別に反対だということじゃございませんが、十分そこらは考えてやる、こういうことでなければいかぬと思います。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 防衛出動のほうが時間がない場合が多いのです。治安出動のほうは時間があるはずなんです。防衛出動のほうが急迫不正の侵略でぱっとやらなければならない。このときに国会の承認が要るようになっておるのですが、時間のある間接侵略のほうで時間がないとおっしゃるのは、少しこれは主客転倒ということばを適用したらいいか。この問題は、文民統制の国会の立場を尊重する意味で、治安出動についても国会の承認を原則とすることを十分御検討いただきたい。検討するとおっしゃいますから……。  時間の割り当てがないのでありますから、私もう一つ、すかっと御答弁願いたいことがある。それは、今度沖繩が日本へ復帰した時点で、防衛の形は、沖繩を自主防衛するという原則になった形になるのですから、沖繩のアジアにおける防衛は、米国が一緒にやろうというときとは違った非常に重い使命がある。今度はそういう時点において、自主防衛を主軸にして、そして日米安保を補完するという形。中曽根、有田、増田構想などおおむねそうだった。江崎さんになってまた、この四次防の長期防衛計画に、国防の方針を安保を基調とすると復元して、自衛隊の防衛は補完任務になってきたのでありますが、沖繩が復帰したこの時点では、自主防衛を基調として安保を補完とするところへ転換する、国防の方針が変えられるべきだと思うのです。集団防衛か自主防衛か、個別的自衛権か集団的自衛権か、国連憲章の五十一条の論議をはさんでも、私は個別的自衛権は基本的な自衛権だと思うのです。それを主にして、そして安保体制を従にするという原則に返って、沖繩復帰を機会に、国民に対しても、最小限の自主防衛、専守防衛の思想にきちっと割り切る時期がこの時点から起こっておると思うのです。アメリカにいつまでもたよる日米安保体制を基調にするという、独立国の権威にも関するような国防の方針を一向に改めないということは、これは防衛庁長官の——長官はだめなんです。時間かかかるから、総理自身に私は決断を……。
  248. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先に私が申し上げます。  いまおっしゃるように、自分の国は自分で守る、あたりまえのことです。それからまた、あなたの言われるような形に立っていることも間違いありません。だから、日米安保条約を基調にするというのは一つの方針であって、実際の運用は、これを補完する形で自衛隊が局地戦その他においては当然その任務を果たす。だから、基本方針と運用の問題とを一緒にされると、いまのような御質問になるのじゃないかと思うのです。ですから、いまわれわれの考えておることは、受田さんの考えておられるところと少しも変わりありません。このことを申し上げます。
  249. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは非常にむずかしい問題です。ただいまの自主防衛、これはたいへんわかりいいことばで、自主専守防衛、この言えば別に侵略的なにおいはないはずだ、かように考えられますが、しかし最近の平和維持、そういう方面から申せばやはり集団防衛体制、これは普通の形だ、かように思いますので、私は、いまの自主防衛、これは必要なことですが、まあ日本のような場合には、やはり集団防衛、それが一つの行き方だ、かように思っておりますので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 それは名は体をあらわす。国防の基本に日米安保が基調になれば、名は中身をあらわしますよ。運用ではない。基本的な問題がこれは心得違いだ。十分検討していただきたい。  最後に一言。私は、総理、あなたに長期にわたる政権担当者としての御苦労を感謝しながらも、あなたが最後に十分英断をふるっていただきたいこと一つで、質問を終わります。  今回の沖繩返還の恩赦、これは非常に国民の批判を受けた。清潔な政治は清潔な選挙からという国民の願いをむなしゅうせしめる結果が出ている。連続八回の恩赦、復権、これは非常に問題がある。事実、買収、供応等の悪質犯まで簡単に許すという思想をやるならば、政治に対する不信はここから出てくると思うのです。私はその点において、特に買収、供応の実質犯を犯しておられるのは、大多数は自民党系の方々であるというのは、調査の結果はっきり出ている。そういう意味で私は、ひとつぜひ総理みずからがこの不信を払いのける陣頭に立っていただきたいのです。「不義にして富みかつ貴きは、我において浮雲のごとし」と孔子も述べておる。曲った選挙で選ばれた人は、これは浮き雲のようなものです。  私は自分のことをあえて言うわけじゃないが、だれもがやらなければいかぬことであたりまえのことであるが、私は、過去十回、一回の形式犯もない。したがって、私はこれは言う権利がある。選挙公報へ、過去何回、一回の形式犯さえ、私より私を支持する人に全部ありません、というのを書いておる。真剣に全運動員に選挙法の規律をきちっと教えておる。悲壮な決意で選挙に臨んでいる。私は、こういうものが軽々しく考えられるという政治姿勢を直していただきたい、総理のこの実力をもって。いま後継者が結論も出ぬような情勢にあるほど、あなたは力を持っておいでになるのだ。どうぞあなたによって、政治資金規正法、公選選挙法で、きれいな政治はきれいな選挙からという悲願が達成されるこの根本を、りっぱに実行に移していただきたい。これは私の政治家としての悲壮なあなたに対する要望であります。最後に総理にこの点を懇望しておきます。
  251. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 今回の恩赦に際しましても、ただいまのように、民主主義の基盤をなすものはやはり選挙につながる、そういう意味で選挙の扱い方に、非常に私、苦心したのでございます。いままでの例に見ないような復権の件数も少ない。こういうことはやはり特に考慮したものです。ただいま受田君御指摘になりましたように、さような観点に立っての事柄でございます。また今後もいろいろ国家的慶事は次々に行なわれるだろうと思いますが、おそらく選挙についての問題は同じような扱い方をされるだろう、かように思う次第でございます。
  252. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 東中君。
  253. 東中光雄

    ○東中委員 先ほどからKC135のことについて聞かれておりますが、私もこの点について、特にきのう沖繩が施政権が返って式典をやっておられるそのときに、午前十時にKC135が三機飛び立っているということも報道されております。これについていま外務大臣は、沖繩の基地におりて給油をしてこのB52が出ていくというのだったら、これは事前協議の対象になる、しかし空中給油はそうでないのだ、そういうふうに割り切ったのだ、こういうふうに言われたのですけれども、おりて途中で給油をして出ていくというよりも、むしろ沖繩を基地にして直接これは出ていっているわけですね。グアムからのコースから言えば、むしろさらにベトナム爆撃に接近しているという状態になっているわけです。  先ほども言われましたが、B52がグアムから出ていくときに作戦戦闘行動命令を受ける。そのときに、私も飛行機に乗っていたからよく知っているのですけれども、それと別個に給油してくるというようなものじゃなくて、一体でなければできないわけです。どの地点でどういうふうに給油するかということがきまっておって、一緒に命令が出なければできない。だからこれはまさに二つ一緒になって行っている。そして爆撃に行っている。どっちが抜けても爆撃に行けない、こういう事態になっているわけですよ。これこそ密接不可分というのじゃないか。爆撃行動にいく途中で給油をして、それがなかったら行けないという状態になっているのですから。  いままで私も指摘してまいりましたが、赤城防衛庁長官時代から、あるいは岸国務大臣の国会答弁でもそうでありますし、密接不可分のものは事前協議の対象になるというふうに言われてきた。これこそまさにそうじゃないか。従来、安保条約下において、ベトナム爆撃の空中給油をやる、そのために発進をするという例は、少なくともきのうまではなかったわけですから、まさに新しい事態が起こっているわけですから、その辺について密接不可分でないと言われる、その割り切ると言われる実体的な理由が全然わからない。もう一回その点を明らかにしていただきたい。
  254. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほどからるる申し上げているのですが、補給活動は米軍に認められておるわけであります。ただこの補給活動が戦闘活動と一体と見られるような不可分のものである、こういうことになった場合に、その補給行為をどういうふうに扱うか、こういう問題なんです。そこで、その区分が非常にむずかしい、こういうことを申し上げているのです。でありますから、たとえば落下傘部隊がベトナムの上空から降下する、それに武器弾薬を補給するというような補給活動、これは戦闘と一体のものである。したがってこれは事前協議の対象とする、こういうはっきりした見解を持つわけです。  ところが沖繩の地上で給油を受けるわけじゃない。給油機がグアムから発進する飛行機に補給をする、こういう行為は一体どういうことになるだろうか。先ほども申し上げたのでありますが、台湾基地に対する米軍の補給は、これは自由であります。ところが、グアムから発進した部隊が台湾において給油を受ける、こういうことも自由なんです。それと沖繩基地から発進するKC135が給油行動を行なう。どこが違うんだ、実体はちっとも違いはしないのだ。そういうようなことを考えまするときに、非常にいろいろ解釈上まぎらわしい点がありまするけれども、地上において給油する行為は事前協議の対象とする。しかしながら、空中給油につきましては対象としない、こういうふうに割り切ろう、こういうことを申し上げているわけです。
  255. 東中光雄

    ○東中委員 台湾の高雄に補給するということを言われたのですが、この場合は、補給は台湾へやるんで、論理的には、そこから先どこで使うかということは、これは別な問題なんだからということで、いわば逃げられるわけですね。ところがB52の場合は、グアムからベトナムに向かって爆撃のために飛んでいるんですから、これに給油したら、爆撃のためにだけ給油しているわけです。戦闘行動そのものをやっているわけですよ。高雄で給油した場合だったら、その油を何に使うか、これはそこでワンクッションが入るからということが逃げ口上になっていたわけですけれども、いまの場合は違いますね。明らかに行くんですから、やらなかったら途中で帰らなければいかぬのですから、これは性質は全然やはり違うということなんです。そういう点で非常に拡大をされた。それを、割り切ったんだ、こう言われるのですけれども、KC135について、沖繩返還に際して、割り切ってそういうふうに広げられたというふうにしか解釈できないわけなんです。  と言いますのは、事前協議の適用について、補給行為は非常にデリケートだから、これについてはアメリカ側とよく交渉するということを、この前も私、議事録を引用して申し上げたことがありますけれども、そういう答弁をされているわけですから。それから以後全然そういう協議はしてしない。話し合いをするんだと言われたやつが、デリケートだからしない。するんだと言われたものを、しないままで割り切っちゃうということになると、沖繩復帰に際して、B52によるベトナム爆撃、それに対する協力加担を事前協議からはずしていくために、要するにワクを広げるために一方的に割り切られたというふうにしか考えられないのですが、割り切られたのは一体いつなのか。具体的に何を契機にして割り切られたのか。
  256. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今度ベトナム戦争がエスカレートした、そういうので政府はにわかにKC135の給油を事前協議からはずしたんだ、こういうような疑いを持ってのお尋ねのようでございますが、そうじゃない。これは、私が外務大臣になったのは昨年の七月でございますが、その前の愛知外務大臣のころから、もう空中給油につきましては事前協議の対象としない、こういう見解であったわけです。皆さんからいろいろの御議論が展開される。そこで、よく検討してみましょうということを申し上げたことはあります。ありますが、検討の結果、やはりこれは割り切った考え方をしなければならぬ、こういう結論でございます。
  257. 東中光雄

    ○東中委員 割り切るということばを使われたのは、ことしの予算の分科会でわが党の松本議員が聞いたときに、福田外務大臣が、割り切ることにしたんだ、こういうふうに言われたわけです。まだことしの二月です。愛知外務大臣の四十四年段階の答弁ではそうはなっていないです。空中給油ははっきり分けてやるということになっていなかったわけです。  もう一点、それとの関係で申し上げておきたいのでありますが、先ほども出ました相模補給廠で、南ベトナム軍が使っておる戦車、あるいは使っておった戦車を補修している。米軍の補修、補給については安保条約のワク内だ、こう言われるのですけれども、その米軍が南ベトナム軍との間に、これはまあ日本政府の関与しないことですが、武器供与の約束をやる。その約束を媒介にして、現に南ベトナムで使っておるものが、そして故障したものが日本に来て、日本で補修をされてアメリカ軍が持っていくことで、また南ベトナムで南ベトナム軍が使う、こういう形になっている。安保条約が結局米軍というワクははめているのですけれども、実際上は米軍がどこかといろいろ約束をする、それでどんどん広がっていく。こうして現実に、ベトナムでの戦争に南ベトナム軍側の使っておる戦車の補修をするというかっこうで、拡大していっているわけです。これは非常に重大な一つのワクの拡大になっている、こう思いますので、その点、そういうものだったら、アメリカが言ってくれば、それがその先どう使われておろうが一切日本政府は関知しないというふうな解釈をとっておられるのかどうか。
  258. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 米軍の所有する戦車なり運搬車、こういうものはわが国の相模補給廠で修理をしておる、こういう事実はあるのです。おっしゃるとおりです。その中には、米軍がベトナム現地へ持ち帰りまして、そうしてベトナム政府との間の貸与契約に基づきまして貸与するものもある、これは事実でございます。しかし、どこまでもこれはアメリカのものであり、それを貸与するものである、こういうようなことでありまして、わが国とアメリカとの間の日米安全保障条約、この取りきめによりますと、米軍の兵器修理、これはわが国において許される、こういうことになっております。そこで、わが国といたしましては、この行為につきましては何ら異議を差しはさんでおらぬというのが実情であります。
  259. 東中光雄

    ○東中委員 時間でございますので、最後にお聞きしておきたいのですが、要するに、アメリカと南ベトナムなり、あるいは南朝鮮なり、こういう国々との関係というのは、私たち、南ベトナムあるいは南朝鮮はかいらい政権と言っておりますくらいに、武器供与というのは、実際上はアメリカが出しておるという実情であります。それで、南ベトナムなり南朝鮮なりでそれぞれの政府軍が使っておる兵器は、もとはアメリカが供与しておるということだから、それをまた日本へ持ってきて、米軍だということでいわば安保条約を軸にして、アメリカが今度は、ほかの第三国のかいらい政権といわれておる、そういう部隊との話し合いで、事実上、日本は南朝鮮なり南ベトナムなりと補修という関係で結びついてしまう。これは非常に危険なワクを拡大する方向だと思いますが、こういう拡大の方向は絶対許さるべきでないと思いますが、総理の御所見を聞いて質問を終わりたいと思います。
  260. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 おっしゃるとおり、この修理、補修あるいは補給を通じましてベトナム戦争とわが国との間の関連が生ずることは、お話しのとおりでございます。しかし、わが国はわが国といたしまして、日米安全保障条約を持っております。そういうようなことから、補修、補給−修理、そういうことは容認せざるを得ないというのがわが国の立場でございます。その辺は意見になりますが、東中さんのほうは安全保障条約否定の立場でありますから、これは狭く狭く、きびしくきびしくというふうにお考えになりますが、私どもはそうではない。どこまでも、安全保障条約をアメリカと約束した、その線に従って運用していく、こういうことをたてまえとし、安全保障条約はこれを有効に堅持していきたいという立場にありますものですから、意見がなかなかおっつきませんが、ひとつその辺は御理解のほどをお願いいたします。
  261. 東中光雄

    ○東中委員 終わりますけれども、私は安保条約を廃棄すべきだと言っておるのであって、廃棄すべきだということは、現にあることを前提にして言っておるわけです。現にあるものをそういう形で現実に拡大されておる。在日米軍ということでありながら、実体は、南ベトナム軍になり、あるいは南朝鮮になり、あるいはタイ国になっていく、こういうことは非常に危険だ、安保条約の実際上のワクの拡大になるということを言っておるわけであります。決して論理的に否定する立場だから言っておるのじゃない。廃棄する立場だということと、廃棄しなければいけないものが現実にあるということ、これは当然のことでありますけれども、混同して言っておるわけじゃありませんので、政府の立場に立って、その解釈は拡大するような方向に持っていくべきじゃないということを申し上げておるということを申し上げて、質問を終わります。
  262. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明十七日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十分散会