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1972-05-10 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十日(水曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    辻  寛一君       中山 利生君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    上原 康助君       東中 光雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 前尾繁三郎君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         労 働 大 臣 塚原 俊郎君         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         総理府人事局長 宮崎 清文君         総理府恩給局長 平川 幸藏君         行政管理庁行政         監察局長    小林  寧君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         法務省刑事局長 辻 辰三郎君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君         農林大臣官房長 中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省航空局長 内村 信行君         郵政大臣官房長 森田 行正君         労働大臣官房長 藤繩 正勝君         自治大臣官房長 皆川 迪夫君  委員外出席者         外務省アメリカ         局安全保障課長 松田 慶文君         通商産業省貿易         振興局輸出業務         課長      宇都宮綱之君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      山野 正登君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六六号)  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇二号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案 (内  閣提出第二五号)  航空事故調査委員会設置法案内閣提出第四四  号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八九号)  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第二八号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第六十七回国会閣法第一八  号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案郵政省設置法の一部を改正する法律案運輸省設置法の一部を改正する法律案航空事故調査委員会設置法案農林省設置法の一部を改正する法律案地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案許可認可等整理に関する法律案労働省設置法の一部を改正する法律案及び法務省設置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。     —————————————
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員長 順次、趣旨の説明を求めます。山中総理府総務長官
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  昭和四十五年度における公務員給与消費者物価の上昇を勘案して、恩給年額昭和四十七年十月分から一〇・一%増額しようとするものであります。  その第二点は、遺族傷病者及び老齢者恩給改善であります。  その一は、短期在職の戦没旧軍人遺族に対する処遇改善であります。これについては、公務扶助料等年額を一般の恩給と同じように一〇・一%べースアップするほか、その計算基礎となる仮定俸給を、准士官以下は三号、尉官は二号、佐官以上は一号、それぞれ引き上げようとするものであります。  また、昭和四十八年一月から、年額二十四万円に満たない公務扶助料については二十四万円に、年額十八万円に満たない増加公死扶助料及び特例扶助料については十八万円に、それぞれ引き上げることとしております。  その二は、傷病者に対する処遇改善であります。まず、傷病恩給については、基準となる第一項症の増加恩給年額を百四万円に引き上げるとともに、第二項症以下の増加恩給傷病年金及び特例傷病恩給年額についても、これに準じて引き上げることとしております。  次に、傷病恩給に併給される普通恩給については、その計算基礎となる仮定俸給を、公務扶助料の場合と同様に三号俸ないし一号俸引き上げ、さらに傷病恩給受給者の妻に対してつけられている加給年額一万二千円を二万四百円に引き上げることとしております。  その三は、短期在職老齢軍人等に対する処遇改善であります。  短期在職老齢軍人恩給計算基礎となる仮定俸給を、公務扶助料の場合と同様に三号俸ないし一号俸引き上げることとするほか、六十五歳以上七十歳未満の者に給する加算恩給については、七十歳以上の者の場合と同様に加算減算を行なわないこととしております。  その第三点は、琉球政府職員恩給改善であります。  その一は、琉球政府職員恩給計算基礎となる俸給年額を、本土公務員と同様に、琉球政府職員を退職した当時の俸給年額基礎としたものに改めようとするものであります。ただしその俸給年額が、公務員退職当時の俸給年額基礎とした仮定俸給の三号上位仮定俸給より少ないときは、その仮定俸給年額をもって恩給基礎となる俸給年額とすることとしております。  なお、琉球政府職員在職中に在職年通算を辞退して現に恩給を給されている者については、本人の希望により、実際に退職した時までの在職年通算した恩給を給することができることとしております。  その二は、南西諸島において戦務に服した文官について、旧軍人と同様、その服務期間一月について三月以内の加算を認め普通恩給受給資格を与えようとするものであります。  その三は、教育職員または警察監獄職員として勤務していた公務員が、引き続きこれらに相当する琉球政府職員となった場合には、本土における教育職員または警察監獄職員と同様の勤続加給を認めようとするものであります。  その四は、離島等辺陣地または不健康地に勤務した琉球政府職員に対し、本土公務員と同様、辺陣地または不健康地加算を認めようとするものであります。  その五は、行政権分離後に琉球政府に就職し、現在恩給法が適用されていない者について、その琉球政府職員期間公務員としての在職期間と同視して年金恩給を支給する道を開こうとするものであります。  その第四点は、在外公社等職員期間通算であります。  戦前外地に設立されたいわゆる在外国策会社のうち、特に公社組織をとり行政機関に準ずる業務を行なっていた旧満洲拓植公社ほか六公社職員及びコロンス共同租界工部局職員を、現在通算措置がとられている外国特殊機関職員とみなして、その在職期間公務員期間通算しようとするものであります。  その第五点は、長期在職者恩給最低保障額引き上げであります。  実際の勤務年数普通恩給資格年限以上であるいわゆる長期在職者普通恩給最低保障額は、受給者が七十歳未満の場合は九万六千円、七十歳以上の場合は十二万円となっておりますが、これらを他の年金制度における最低保障額を勘案して、今回は十一万四百円、十三万四千四百円にそれぞれ引き上げるとともに、十三万四千四百円の保障額を受けられる者の年齢を五歳引き下げて六十五歳以上にしようとするものであります。  なお、扶助料については、それぞれの額の半額を保障することとしております。  以上のほか、外国政府職員等在職期間通算条件を緩和し、旧日本医療団職員期間及び日本赤十字社の救護員期間通算制限を撤廃し、警察監獄職員または教育職員として長期間勤務した者に対する勤続加給条件を緩和するとともに、第一の恩給年額増額措置に伴い、恩給外の所得による普通恩給停止基準額引き上げる等所要改善を行なうこととしております。  なお、以上述べました措置は、昭和四十七年十月一日から実施することとしておりますが、琉球政府職員恩給改善に関する事項は、沖繩復帰の日にさかのぼって実施することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年三月十六日、人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、最近における犯罪凶悪化等状況にかんがみ、国民生命身体及び財産の保護その他公共の安全と秩序の維持の任に当たる警察官等にかかる災害補償について、特別の措置を講ずる必要がある旨の意見申し出がありました。政府としては、その内容を検討した結果、この意見申し出のとおり国家公務員災害補償法の一部を改正する必要を認め、この法律案を提出した次第であります。  次に、その内容について概要を御説明申し上げます。  この法律案においては、警察官海上保安官等職務内容の特殊な職員が、その生命または身体に対して高度の危険が予測される状況下において、犯罪の捜査、被疑者の逮捕、犯罪の制止、天災時における人命の救助等職務に従事し、そのため公務上の災害を受けた場合における障害補償または遺族補償金額について、現行の補償金額にその百分の五十の範囲内の率を乗じて得た金額加算することとしております。  なお、施行期日については、公布の日から施行することとしておりますが、改正後の規定は、昭和四十七年一月一日から適用することとしております。  以上、この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。  何とぞ両法律案について、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 伊能繁次郎

  6. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵政省地方管理組織適正化をはかるための改正であります。  東京都に置かれている地方郵政局は、全国十カ所に置かれている地方郵政局のうち最大規模を有し、膨大な業務量のため一郵政局としての管理能力の限界を越えておりますので、これに対処するため、東京都に地方郵政局を一局増置して、首都圏における郵政事業整備充実をはかり、事業サービスの向上に万全を期そうとするものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  7. 伊能繁次郎

  8. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  航空交通の安全の確保は、現下緊急の国民的要請でありますが、この要請にこたえ、かつ航空輸送飛躍的発展に対処するため航空保安に関する組織強化をはかることが、今回の改正趣旨でございます。  次に、改正案内容について御説明申し上げます。  第一に、航空局管制保安部を置くことであります。  航空交通の安全を確保するためには、航空保安施設整備航空保安要員確保とあわせて航空保安を担当する組織強化することが必要であります。このため、航空交通管制航空保安施設設置管理航空通信施設運用等航空保安業務を相当する管制保安部を置くこととするものであります。  第二に、航空局次長一人を置くことであります。  航空局は、今回の改正案により四部二官十八課から構成されることとなり、その事務は、航空保安業務をはじめとして近年急激に増大しており、かつ複雑多岐にわたっていることにかんがみ、局務を統括整理する次長を置くこととするものであります。  このほか、都市交通に関する基本的な計画については、昭和四十七年四月以後運輸政策審議会審議することとされていることに伴い、都市交通審議会に関する規定整理するものであります。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  航空事故調査委員会設置法につきまして、御説明申し上げます。  ただいま議題となりました航空事故調査委員会設置法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  航空行政にとって航空交通の安全の確保最大の使命であることは言うまでもないところでありますが、不幸にして航空事故が発生した場合には、航空事故原因適確に究明し、事故再発防止に役立てることが緊要であります。  現在のところ、大規模航空事故が発生した場合には、そのつど民間有識者からなる調査団編成して航空事故原因について調査を行なっておりますが、このような調査体制には、調査をすみやかに開始することが困難であること、平素から調査の実施につき十分な準備を整えておくことができないこと等の制約があります。  このような現状にかんがみ、航空事故原因を究明するための調査適確に行なう体制を確立するため、常設の航空事故調査委員会設置をはかることが、本法案提案趣旨でございます。  次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、運輸省航空事故調査委員会設置することといたしております。  第二に、委員会所掌事務は、航空事故原因を究明するための調査を行なうこと、その調査結果に基づき航空事故再発防止のため講ずべき施策につき運輸大臣に勧告すること、必要に応じ運輸大臣または関係行政機関の長に対して建議をすること、並びにこれらの事務を行なうための必要な調査及び研究を行なうこととすることといたしております。  第三に、委員会委員長及び委員四人をもって組織し、委員長及び委員は、委員会所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行なうことができることと認められる者のうちから、両議院の同意を得て運輸大臣が任命し、その任期は三年とすることといたしております。なお、委員会には専門委員及び事務局を置くことといたしております。  第四に、委員会は、航空事故原因を究明するための調査を行なうため必要があると認めるときは、航空事故関係者からの報告の徴収、航空事故の現場への立ち入り検査航空事故関係のある物件の提出要求等処分を行なうことができることといたしております。  第五に、委員会は、航空事故原因を究明するための調査を終えたときは、当該航空事故に関する報告書を作成し、これを運輸大臣に提出するとともに、公表しなければならないことといたしております。  以上のほか、委員会の行なう調査に対する運船大臣の援助、関係行政機関の協力、航空事故原因関係のある者の意見の聴取、罰則等について所要規定整備することといたしております。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  9. 伊能繁次郎

  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国農業及び農政は、最近の内外の諸情勢の激しい変化の中にあって、種々の重要な課題に当面しております。  すなわち、内には高度化、多様化しつつある国民食糧需要変化に対応し、農業生産をこれに適合させ、食料需給のバランスをとるよう農業生産の再編成を急速に進める必要がありますし、食料品価格安定等に対する国民全般の強い要請にかんがみまして、農畜水産物流通及び消費者保護に関する行政を強力に推進することが一段と必要となっております。また、外には、経済国際化進展等に対応して、わが国農業構造改善をさらに一そう推進し、わが国農業国際競争裏において競争できるような近代的な農業として確立することを目途として、その体質改善をはかることが基本的に重要となっているのであります。  このような農政上の重要課題に積極的に対応するためには、構造生産流通価格等各般にわたる施策をさらに強力に推進し、今後の農政の方向に即応することができるよう、農林省体制を一新する機構改正を行なうことが必要であり、この法律案提案することとした次第であります。  次に、この法律案のおもなる内容について御説明申し上げます。  第一は、農林省任務明確化であります。  国民食糧安定的供給につきましては、従来から農林省がその当然の任務として必要な施策を講じてきたところでありますが、このたびの機構改正の機会に、国民食糧安定的供給をはかることを農林省任務として法文上明らかにすることとしております。  第二は、農林本省内部組織について再編整備を行なうことであります。  さきに述べました今回の機構改正趣旨に即しまして、農林経済局農政局農地局及び蚕糸園芸局を再編して、構造改善局農蚕園芸局及び食品流通局新設するとともに、農林経済局所掌事務整備を行なうこととしております。以下、その概要を申し上げます。  まず、構造改善局新設は、わが国農業体質改善をはかるための構造改善施策を強力に推進するため、現在の農政局構造政策担当部門農地局農地制度及び農業基盤整備担当部門とを統合するものであります。なお、この局には次長を置くこととしております。  農蚕園芸局新設は、需要に即した農業生産の再編成をはかる施策をさらに一そう推進するため、現在の農政局及び蚕糸園芸局の農産、蚕糸園芸普及等の主として生産改善に関する施策を担当する部門を統合するものであります。  食品流通局新設は、野菜について生産から消費に至るまで一貫した施策推進するとともに、生鮮食料品等価格流通対策物価対策消費者保護等の諸施策の総合的かつ効果的な推進をはかるため、食品流通行政についてこれを総括する局を設けるものであります。  農林経済局につきましては、金融、税制、農業保険及び農業団体に関する行政相互間における緊密な連携をはかるとともに、国際関係施策を強力に推進するため、その体制整備するものであります。  また、農林経済局統計調査部につきましては、農林畜水産物生産流通価格等に関する情報関係事務強化をはかることとし、その名称を統計情報部に改めることとしております。  第三は、農林省地方組織整備することであります。  地方組織につきましても、本省組織改正に対応して地方農政局組織及び所掌事務整備するほか、食糧事務所につきましては、新たに本省野菜等生産流通に関する事務を分掌させることができることとしております。また、輸出品検査所農林規格検査所に改組することといたしております。  第四は、試験研究機関整備拡充をはかることであります。  野菜に関する施策及び食品加工流通に関する施策拡充強化の一環として、これらに関する試験研究についてもその体制整備することとし、このため、野菜試験場新設するとともに、園芸試験場果樹試験場に、食糧研究所食品総合研究所にそれぞれ改組することといたしております。  最後に、林野庁機構改正について申し上げます。  最近におけるわが国森林林業をめぐる情勢は、森林公益的機能に対する国民的要請が急速に高まる一方、林業生産が停滞し、これに伴い外材の輸入が増大する等きわめてきびしいものとなっております。このような情勢に対処して、造林、林道及び治山に関する施策推進国有林野事業改善その他民有林及び国有林を通じての新たな施策の展開をはかるため、林野庁内部組織整備をはかることとし、林野庁次長を置くとともに、職員部業務部を統合して国有林部を設けることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  11. 伊能繁次郎

  12. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいま議題となりました地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案について、提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  地方制度調査会は、昭和二十七年に内閣総理大臣諮問機関として設置されて以来、地方制度改革について数々の貴重な答申を行ない、その内容地方行財政各般の面において現に生かされてきたところであります。しかしながら、激動する社会経済情勢の中にあって、地方公共団体がその行政需要変化に有効に対処していくための各種の方策について、逐次根本的に御検討いただくためには、委員任期が現在の一年という短期間では、十分審議を尽くせないうらみがあります。そこで、この法律案は、委員任期を二年に延長しようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 伊能繁次郎

  14. 中村寅太

    中村国務大臣 ただいま議題となりました許可認可等整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、行政簡素化及び合理化を促進するために、行政改革三カ年計画に基づき許可認可等整理を行なってまいりましたが、本年も引き続きその推進を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。  法律案内容について御説明申し上げますと、第一に、許可認可等による規制を継続する必要性が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続を簡素化することが適当と認められるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関等において処理することが効率的であり、かつ実情に即応すると認められるものにつきましては処分権限を委譲することとしております。  以上により、廃止するもの五、規制を緩和するもの九、権限を委譲するもの六、計二十について、十六法律にわたり所要改正を行なうことといたしました。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  15. 伊能繁次郎

    伊能委員長 塚原労働大臣。
  16. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案提案理由とその概要を御説明申し上げます。  わが国経済、社会はますます多様化、高度化の度を深めてきており、これに対応して労働行政組織を充実することが必要であり、この趣旨に沿いまして今回の改正を行なうものであります。  改正の第一点は、大臣官房の労働統計調査部を統計情報部に改組することであります。  最近における経済社会の急速な変化に対応して、労使はもとより国民一般からも労働に関する的確な諸情報に対する需要が一段と強まっております。このような要請にこたえるには、従来行なってまいりました統計調査の実施及びその結果の提供だけでなく、新しい需要に応ずる的確な情報を開発するため、データの収集、整備、解析等を電子計算機を活用して迅速に行ない、適時適切な情報を提供する業務を充実強化する必要があります。このため、労働統計調査部を統計情報部に改組して、これらの業務を一そう強力に推進しようとするものであります。  改正の第二点は、大臣官房の雇用促進事業団監理官を廃止することであります。  これは、同監理官が所掌する事務に加えて、本年四月一日から実施される労災保険と失業保険の保険料の微収事務の一元化に関する事務その他の重要事項を総括整理する職として、政令で大臣官房に審議官を置くこととしたため、この監理官を廃止するものであります。  改正の第三点は、労働基準局に福祉部を設置することであります。  最近におけるわが国経済社会の発展の過程で、ゆとりのある生活、快適な生活環境等人間性回復に対する労働者の欲求が高まりつつあり、これらの欲求を実現するための政策的対応が切望されております。現在、労働省においては、各局おのおの個別の行政分野の側面からこれに対処しているところであります。しかしながら、このような最近における労働者の多様な欲求に対応して、幅広く、かつ積極的に、労働者の福祉向上のための施策の展開をはかる組織体制をつくる必要があります。このため、労働基準局の賃金部を改組して福祉部を設置し、将来における勤労者生活についての総合的ビジョンの策定をはじめ、週休二日制など一般的な労働時間や賃金の問題、定年制、退職金、勤労者財産形成など労働者の福祉の増進に関する施策推進しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  17. 伊能繁次郎

    伊能委員長 前尾法務大臣。
  18. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律案改正点の第一は、現在松山市にある松山刑務所の所在地が市街地化したこと等の事情により、同刑務所を愛媛県温泉郡重信町に移転することに伴い、その位置の表示を改めようとするものであります。  改正点の第二は、北海道地区における少年院に収容されている者の過剰収容状態を緩和し、矯正行政を有効適切ならしめるため、北海道樺戸郡月形町に月形少年院を設置しようとするものであり、また、中部地区における医療を必要とする少年の収容状況等にかんがみ、愛知県知多郡南知多町に所在する豊浦医療少年院を廃止しようとするものであります。  改正点の第三は、岩手県大船渡市所在の大船渡港ほか五カ所における出入国者の増加等に対処し、岩手県大船渡市に仙台入国管理事務所大船渡港出張所を、茨城県日立市に東京入国管理事務所日立港出張所を、大分県佐伯市に福岡入国管理事務所佐伯港出張所を、熊本県八代市に福岡入国管理事務所八代港出張所を、沖繩県石川市に那覇入国管理事務所金武港出張所を、沖繩県コザ市に那覇入国管理事務所嘉手納出張所をそれぞれ設置し、一方、出入国者の減少に伴い、札幌入国管理事務所根室港出張所を、また、沖繩県に那覇入国管理事務所のほか七出張所の設立されることに伴い、鹿児島入国管理事務所和泊港出張所をそれぞれ廃止しようとするものであります。  改正点の第四は、市町村の配置分合等に伴い、札幌法務局及び函館地方法務局の管轄区域内の行政区画の名称の一部並びに旭川刑務所、交野女子学院及び東京入国管理事務所直江津港出張所の位置の表示をそれぞれ改めようとするものであります。  なお、第一の松山刑務所関係並びに第二の月形少年院及び豊浦医療少年院の関係については、公布の日から起算して一年をこえない範囲内で政令で定める日から、第三のうち、大船渡港出張所、日立港出張所、佐伯港出張所、八代港出張所及び根室港出張所の関係については、本年四月一日から、金武港出張所、嘉手納出張所及び和泊港出張所の関係については、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から、第四の関係については、公布の日から、それぞれ施行しようとするものであります。  以上が法務省設置法の一部を改正する法律案要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  19. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  20. 伊能繁次郎

    伊能委員長 内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
  21. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最近のベトナム戦争のエスカレート、きのうはまたニクソン米大統領の重大な発表がありまして、北ベトナムのハイフォン港を機雷で封鎖する、しかもきょうは、その航空機による機雷封鎖が終わった、こういうような報道が出ているわけであります。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 沖繩返還にからみまして、日米安保条約に基づいたわが国の施設、区域を米軍がベトナム戦争の直接の補給基地として使用していく。しかも北爆が、あるいはまたベトナム戦争がエスカレートすればするほど、その基地の役割りが重要となってきていることは政府もよく知っていることと思いますが、いままで私たちは、この米軍の基地使用について、戦争に巻き込まれないための何らかの歯どめ、すなわち事前協議を通してもっと明確に歯どめを行なうべきではないか。あるいはまた、米軍への協力についてはますますエスカレートしそうな状況があるわけでありまして、そういう中で国民は、米軍とともにベトナム戦争に日本が介入してきているのではないか、こういう点で非常に心配しておるようであります。私は、その日米関係の軍事協力についてまず質問したいと思うわけであります。  一つは、このアメリカのニクソン・ドクトリンによりましてアジア政策が大きく変わってきております。いままでは、安保条約のもとにおいては、米軍に施設、区域は提供したけれども、少なくともわが国が、なかんずく自衛隊が、制服自衛官が直接協力することはなかったわけであります。しかし、きょうは、どうもそのニクソン・ドクトリンの線に沿って日米協力が具体的になり、なかんずく制服自衛官がいままでになくエスカレートして日米協力体制に入りつつある、一つはそういうおそれがありますので、私はその問題について具体的な問題を掲げながら質問したいと思います。  まず第一に伺いたいことでありますけれども、沖繩の心理作戦部隊、この問題について外務省から伺いたいと思います。  現在、沖繩には第七心理作戦部隊という強力な部隊があるわけであります。きょうの報道にも、その特殊部隊がすでにベトナム戦争に参加しているということもあったわけであります。その特殊部隊、なかんずく第七心理作戦部隊は沖繩返還時においてはどうなるのか。またその特殊部隊といわれる中に、軍事情報団であるとかのいろいろな部隊がございますけれども、どういう部隊がいるのか、その点について伺いたいと思います。外務省。防衛庁でもいいですよ、わかっているなら。
  22. 久保卓也

    ○久保政府委員 それでは私のほうからお答え申し上げますが、第七心理作戦部隊は昭和四十年十月に設立されております。そして太平洋陸軍司令官の指揮下にありまして、司令部と支部が十あります。その司令部と、それから支部のうち五つは沖繩にありまして、ほかに日本、韓国、台湾、南ベトナム及びタイにそれぞれ支部がある。人員は七〇会計年度、少し古いわけでありますが、それで約七百名。うち沖繩には約五百名であります。駐留軍労務者関係の雑誌、あるいは外国語の雑誌、その他のパンフレットを作成しているというふうに聞いております。  現在は、ベトナム派遣隊は廃止になっていると私どもは聞いておりますが、この前身というのは、五八年ごろに太平洋地域米陸軍の指揮下にあったものでありますが、その間、改組が何回か行なわれているようであります。  そこで、これらのものについては、私どもが聞いております範囲では、一応極東の安全と平和に寄与するという性格を持つものであるので、部隊の性格そのものが安保条約に違反するというふうには考えていないというのが外務省の御解釈であると思います。
  23. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その第七心理作戦部隊というもののほかに、いわゆる特殊部隊というのは、幾つかの集団が集まってなっていると思うのです。どういう部隊がありますか。
  24. 久保卓也

    ○久保政府委員 特殊部隊といいますのは、実は沖繩国会を通じて俗称されたことばでありまして、そういった部隊そのものがあるわけではございませんけれども、国会で安保条約との関連で問題になった、そういう意味で特殊部隊と称されているようであります。  そういう意味で取り上げてみますると、一つは第三海兵両用戦部隊でありますし、これは今後も沖繩に維持されるであろう。それからアジア特殊活動部隊、これが第一特殊部隊群でありますが、いわゆる通称グリーンベレーというものだと思います。これは主としてゲリラ戦活動に対する防止作戦あるいは民生支援といったような任務を持っております。沖繩でも、民生協力という意味でそういった活動を相当にやっております。それからさらに特殊部隊としまして、SR71を持っておりますところの第八二戦略偵察飛行隊、これがございます。それから陸軍の外国放送情報部、いわゆるFBISと称するものでありまして、これはやはり国会で問題になって、十月に陸軍に編入されたという話でございます。それから米陸軍混成サービス群。これは五一年に設立されておりまして、兵たん補給を担当しておるということでありますが、これは本年の七月一日までに沖繩からは撤収の予定であるということが昨年の十月にいわれております。そのほかに太平洋陸軍情報学校。これはアジア友好国や同盟国の下士官、兵に対する情報関係の教育を行なっておるということで、この件については、米軍以外の外国の将兵をここで教育するということは安保条約の範囲外であるというふうに聞いておりますので、この点は、陸軍情報学校の性格がおそらく変わるだろうというふうに思っております。
  25. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この特殊部隊の任務ですが、いま聞いた程度しかわかりませんか。それと指揮系統、これはどうなっていますか。
  26. 久保卓也

    ○久保政府委員 第三海兵両用戦部隊は、ハワイにあります太平洋海兵部隊に所属をしておりますが、現実的には第七艦隊の作戦指揮下にあるということであります。部隊の編成その他は省略いたします。  それから第七心理作戦部隊は、太平洋陸軍司令部、これはハワイにありますが、その指揮下にあります。任務を申しますと、沖繩内外の九部隊、先ほど十のうち一つがなくなったと申しましたが、九部隊の心理作戦上の指揮統制を行なう。それから心理作戦出版物の作成、太平洋軍に対する心理作戦上の助言、支援であるというふうに聞いております。  それからアジア特殊活動部隊、これは琉球にあります米陸軍司令部が上級司令部であります。任務は非通常戦争、主としてゲリラ戦活動に対する防止作戦、民生支援活動ということで、対ゲリラ戦要員の訓練を行なっておるということであります。  それからSR71を持っております第八二戦略偵察飛行隊、これは戦略空軍の指揮下にあります第八空軍、さらにその指揮下にある第三七六戦略航空団、嘉手納にありますが、それの指揮下部隊であります。  それから陸軍外国放送情報部は、私の手元の資料では、上級司令部はわかっておりません。  それから米陸軍混成サービス群、いわゆるCSGというものでありますが、これは琉球にあります米陸軍司令部の指揮下にあるというふうにいわれております。これは兵たん補給を担当しておるということであります。  それから太平洋陸軍情報学校、これはハワイにあります米太平洋陸軍司令部の指揮下にあるということで、アジアの友好国や同盟国の将校、下士官、兵に情報関係の教育をするというふうにいわれております。
  27. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 中身がわからないという点について、アメリカ局長御存じですね。それと、沖繩が日本に返還になりますと、当然在日米軍指揮下になるわけですね。しかしいまも言いましたように、一つの例を申し上げますと、情報学校であるとか、あるいはまた第七心理作戦部隊であるとか、幾つかの部隊は指揮系統が全く違う部隊が残ることになる可能性があるわけですね。それについては外務省はどういうふうに考えておりますか。
  28. 吉野文六

    ○吉野政府委員 たとえば太平洋陸軍情報学校は、復帰とともに撤収される予定になっております。その他につきましては、いま久保局長の説明したとおりでございます。
  29. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま久保防衛局長から話もありましたけれども、これは日本にもいるわけですね。日本にも分遣隊があるわけですよ。これはアメリカの上院でもって、アジアに来て初めてわかった。要するに、米軍専門家もわかってなくて、日本に来て日本の電話帳を見て初めて、日本にその特殊部隊のグループの存在することがわかったということが過去に報道されたことがあります。日本にある部隊、これはどこにあるのか、どういう部隊なのか、それをまず、どちらでもけっこうですから、わかりましたら聞かせていただきたい。
  30. 久保卓也

    ○久保政府委員 日本にありますのは、第七心理作戦部隊のうちの日本分遣隊でありまして、これはキャンプ朝霞にあります。人員は約五、六十名くらい。七〇年八月現在で五十四名であったということであります。
  31. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もっと具体的に言ってほしいのですよ。これは外務省にも防衛庁にも質問通告してあるのです。要するに、沖繩が返還される場合に、直接指揮下にない、指揮系統にないものは解体されるなり撤収される、それはわかるんですね。しかし、在日米軍というものは、いままでの安保条約の取りきめによりまして、日本に来ればすべて在日米軍指揮下に入るわけでしょう。ということは、沖繩の場合問題になったけれども、日本の場合は、こっそり入ってきた、在日米軍司令官の指揮下にないグループがすでにあったということですよ。じゃ、朝霞にいる部隊、第七心理作戦部隊以外の外務省で掌握している部隊名を言ってください。
  32. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 詳細についてちょっといま手元に資料がございませんが、キャンプ朝霞にございますものとしましては、宿舎地区、学校地区、それからいま久保局長から御説明いたしました心理作戦部隊の分遣隊、おもな施設はそういうものであります。
  33. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そんな施設のことを私聞いているんじゃないですよ。部隊を聞いているんですよ。ごまかしちゃだめです。私は、これはちゃんと通告しましたよ。いつも外務省は指摘されると、慎重に調査し、また善処しますなんということを言いますから、きょう私、具体的に申し上げたじゃないですか。私は、きのうもお話し申し上げましたけれども、米軍は日本の基地を自由かってに使いながら、日米安全保障条約に基づいて基地を使っているといいながら、安保条約のワク外のことをいままでもやってきたし、これからもやろうとしている。それが北爆のエスカレートやベトナム戦争の激化に伴って、日本の基地を、全く日本の主権というものを無視して使いそうな気配が濃厚となってきているわけでしょう。そこに対して国民が非常に不安を持っているんですから、そういった点から私は、きょうも外務省や防衛庁にその点を御指摘申し上げているわけですよ。まじめに質問したことについて、調査して答弁してくださいよ。  じゃ私申し上げますよ。第五〇〇軍事情報団、それから在日保安通信隊、科学及び技術情報団、それからFEN東京放送局、それから大和田通信隊と六つあるのです。これは質問通告したでしょう、私は名前を出してちゃんと。これは在日米軍指揮下にない部隊です。指揮系統が全部違うのです。指揮系統は、ペンタゴン、またハワイの統合司令部、これが直轄しているわけですよ。だから私が質問通告申し上げた、これらの部隊についての指揮系統と任務はどんなことかと。質問を通告してますよ。言ってください。
  34. 久保卓也

    ○久保政府委員 私はいま初めて伺うわけで、調べておらないのですが、これは在日米軍司令部の指揮下にない部隊はございます。在日米軍司令部は全部の部隊を指揮しているわけじゃありませんで、調整しているという機能もあります。そこで、そういったハワイからまっすぐのもの、あるいは本国からまっすぐの指揮を受けているものもあろうと思いますが、いまお話しの中で——ちょっと調べてお答えします。
  35. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大至急調べてください。私はきのうからも申し上げましたけれども、やはり外務省に、もしそういうことがあれば、厳然たる態度で、立ち入り調査なり、あるいはまた日米合同委員会でも課題にあげて、いかなる理由でこうなのか、たとえ日本の平和と安全のために基地を使ってもらうということが前提としてあったとしても、もう全く在日米軍の指揮下にない部隊が日本を自由に使うことについては、やはりきびしくチェックしなければいけないと思うんですね。沖繩の場合は、その指揮系統にないものは撤収される、そしてまた解体される、あるいは編入される、それで済んでいます。しかし、現に朝霞にはこういう部隊が存在して、いままで長くいたじゃないですか。まず、それについてどういうふうにされるのか。
  36. 吉野文六

    ○吉野政府委員 ただいま先生の御指摘の第五〇〇軍事情報団、それから保安通信部隊その他につきましては、なおその指揮系統をわれわれとしては調査いたします。しかしながら、日本におる米軍の部隊が、必ずしも形式的には在日米軍司令官の指揮系統に入る必要はないわけであります。安保条約によれば、日本に居合わせる軍人及び軍属は全部安保条約の規制に入るわけですから、すなわち形式的には在日米軍になるわけでございますから、その指揮系統は必ずしも問題にするに当たらない。むしろその指揮系統は問わずに安保条約及び地位協定の規律を受ける、これが現在の体制でございます。
  37. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そういうことだったら、じゃ陸軍技術学校もそのまま置けばいいじゃないですか。在日米軍指揮下に入らない、あるいはまたそこにはそれぞれの問題があって、沖繩返還のときにはまずいから、安保条約のワク外になるから、だから撤収するんでしょう。それをさっきあなた言ったじゃないですか。返還までに撤収する。それじゃ日本の朝霞にいるやつは、これはあなた、在日米軍の指揮下になくてもいいことを認めるんだ。おかしいじゃないですか、そんなことは。
  38. 吉野文六

    ○吉野政府委員 沖繩にあります太平洋情報学校は、もっぱらいままでの活動は、第三国の将校ないし下士官に対して情報関係の教科課程を提供していたわけでございます。したがって、日本の基地となりますと、日本の基地はそのような第三国人の訓練のためには使われないということになっておりますから、その見地から、われわれとしてもこの情報学校の閉鎖を要請し、かつ先方もそれに応諾したわけでございまして、別に指揮系統が在日米軍の司令官に属するかどうかということは問題にしなかったわけでございます。
  39. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 前にもこういったことがずいぶん問題になりましたね。結局は日本に来れば在日米軍になるんだという抽象的な答弁が国会で行なわれておりますよね。在日米軍ということは、在日米軍が指揮系統になるということですよ。ほかのいろいろな部隊が来る。しかし日本に入ってくれば、自動的に在日米軍の指揮下につくんだということなんですよ。それがそうじゃなくて、在日米軍じゃなくて全く違う指揮系統の中に、しかもアメリカの専門家でさえもわからなかった、日本に来て初めてわかったような部隊が日本にいたわけですよ。これがアメリカでさえ問題になっているわけですよ。だから、あなたのところでいいかげんな答弁をすると、米軍はいままでと同じように居すわるわけですよ。そういうふうに安保条約というものの拡大解釈をし、国民が心配することについて、それはやむを得ないんだというようなことを言うべきでないと私は思う。たとえそれが一つのきめられた条約の範囲であったとしても、国民が心配する点については、再協議して前向きで善処するというぐらいな考えがあっていいんじゃないか。私は、いつも外務省に思うのは、日本国民を代表する外務省じゃなくて、アメリカの日本大使館の出先の外務省のような感じがしてしょうがないんですよ。これからもいろいろな問題を指摘しますけれども、私は、このことがいいかげんにされることがたいへん問題でありますし、こういう問題を、私はいまだからまた協議できると思う。だから申し上げるわけですよ。  それで、第七心理作戦部隊が日本にいま来ているわけですよ。これは沖繩返還と同時にどうなるといま言ったんですか。
  40. 吉野文六

    ○吉野政府委員 日本の朝霞におる第七心理作戦部隊の分遣隊自体は、別に、沖繩返還に伴いまして特にその移動なりあるいはステータスの変更というようなことは、何ら聞いておりません。
  41. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 交渉の段階ではそういうことが出なかったわけですよね。そうですね、正直言って。これはどうしますか、これから。
  42. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、安保条約及び地位協定のたてまえは、極東の平和及び安全、及び日本の安全に寄与するということが第一目的でございまして、この目的に行使する限りは、われわれとしては基地を提供せざるを得ない。しかしながら、基地を提供した結果、彼らの行動はまた安保条約及び地位協定によって制約される。したがって、その範囲内において活動する限りにおいては、われわれとしては、何ら彼らに対して特に注文をつけたりすることはしないというのが現状のたてまえでございます。
  43. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほど防衛局長も答弁しましたけれども、第七心理作戦部隊、この任務は沖繩と日本はどういうふうに違うのですか。
  44. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもも十分に知っておるわけではございませんけれども、任務そのものとしては、性格的には変わっておらないと思います。ただし日本の場合には、駐留軍労務者向けのパンフレットをつくりますとかその他の、おそらく日本の印刷能力、技術能力を利用しての活動というものが、日本としての特殊的な性格としては持っておるかもしれないと思っております。
  45. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 アメリカ局長、さっきの答弁ですが、あなたのおっしゃることは、いつもはぐらかすのでちょっと問題だと思うのだけれども、いまもお話がありましたように、この第七心理作戦部隊、朝霞にいる部隊について、交渉の段階で話にならなかったわけですね。これからについても話し合いをしないということですか。沖繩が変わるんだから自動的にそっちも変わっていくだろう、そのままでいい、いままでの任務でいい、そういう見解なんですか。
  46. 吉野文六

    ○吉野政府委員 われわれは、特殊部隊全般につきまして、いわゆる潜在的な活動ないし機能の能力は、これは軍隊としてはいろいろあるだろうと思いますが、しかし日本に駐留する限り安保条約及び地位協定のワク内に入る。したがって、そのワク内で行動する限りは、われわれとしては何ら特にその行動を制肘できないというのが現状でございます。したがって、その範囲内においてわれわれは彼らの行動を監視する。もし安保条約ないし地位協定のワク外に出るような行動をするならば、われわれとしても、それに対して、これを制限するように求めるか、あるいは日本から退去してもらう、こういうことを要求せざるを得ないと思いますが、少なくともその範囲内にある限りは、われわれとしては何ら注文をつけないというのが現在の状況でございます。
  47. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 当然、ワク外の行為や活動、行動があれば、これは出ていってもらう、そういうことですね、アメリカ局長。しかし、いろいろ聞いてもあまりわからないというのでは、それを監視するといったって、できないじゃないですか。  それで条約局長に伺いたいのですが、日本に来る米軍という場合、旧安保は在日米軍だったですね。新安保になってから陸、海、空三軍が日本に来てもいいというふうに拡大解釈をされたわけですね。それでいろんな部隊がいま来ているわけですよ。しかし、過去における国会の答弁なんか読んでいきますと、いかなる部隊といえども日本に来れば在日米軍になるんだ、こういう解釈、考え方があったと思うのですが、その点、確認しておきます。
  48. 高島益郎

    ○高島政府委員 実は在日米軍ということばは、安保条約上、法律用語としてはないわけです。従来、俗に在日米軍と申しておりますものは実は二通りあるわけでありまして、狭義ではいわゆる日本に配置された米軍、日本を本拠として駐留する陸軍、海軍、空軍、これを狭い意味での在日米軍。それから海軍の艦艇等が日本に寄港する。これはほんとうに短期間補給等のためにちょっと寄港する。あるいはまた飛行機等がちょっと日本に立ち寄る。こういうものも含めまして、広い意味ではこれも在日米軍、こういう二通りの解釈がございまして、そのいずれの場合にも安保条約及び地位協定は必ず適用される。そういう意味におきまして、狭い意味での在日米軍も広い意味での在日米軍も、実質的に差はないわけです。つまり日本の施設、区域を使用するにあたっては、日本の安全に寄与する、また極東の平和及び安全に寄与するということで、全体としてこの目的に奉仕するものでなければならない。そういう観点から在日米軍というものを従来とらえてきております。  ただ、先ほどから御議論がございました指揮系統云々の問題は、これは私、詳しいことは存じませんけれども、指揮系統が常に在日米軍司令官の指揮下になければならない、なければ日本におることはできないということではないと思います。あくまでも、いま申しました安保条約第六条の目的に沿うか沿わないか、この観点からのみ、日本におることを許されるかどうかということを判断すべきものではないかというふうにわれわれは従来考えてきております。この点につきましては、新安保ができましてから一貫して政府の答弁に変わっておらないと思います。
  49. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 狭義と広義に分けて明確におっしゃってくださいましたけれども、まあ広義の場合は日本に一時、短期間という意味ですよね。だけどこの部隊は、朝霞に来てもう数年以上、長期的にいるわけです。これは触れませんか。しかも、沖繩返還したときには、それを解体したり、あるいはまた陸軍に編入したり、海軍に編入したり、第七艦隊に編入したりということがある。だから沖繩の場合は、返還前はもちろん米軍の軍政下にあるわけですから、これは問題ないですよね。文句言えませんよ。しかし、いまも申し上げましたように、その集団が具体的に朝霞を基地にして行動しておった。現在五月十五日以前ですからね。まだこれはたいへんな問題だと思いますよ。私の指摘するのがおそいぐらいです。これはどうですか。触れるじゃないですか。
  50. 高島益郎

    ○高島政府委員 私、条約局長としてお答えするのは適当でないように思いますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  51. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 まあ、この点はまたあらためてやることにして、質問を留保しておきますよ。これは完全に安保条約に反しますよ。これはワク外のことです。その点はほんとうに強く指摘しておきますよ。  それから、先ほど米駐留軍労務者の中でいろんな雑誌をつくっていると言いましたね。その雑誌は「交流」という雑誌でしょう。そのほかにまだ印刷しているでしょう。その雑誌は沖繩の「守礼の光」、それから韓国では「自由の友」、そういうものを印刷しているじゃありませんか。そのほかに、これも一時問題になりましたけれども、北ベトナムだとか解放戦線にまくビラ、これも印刷しているようなことがありますよね。  それで防衛庁に伺いたいのですが、防衛庁はこういった部隊の管理、あるいはまたその施設、区域に対しては協力関係にあるわけです。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 神奈川県の川崎市にある米軍の施設、米陸軍印刷出版センター、この実態についていかがですか。
  52. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米陸軍出版センターという施設、区域名で米側に提供いたしておるわけでございますが、この使用状況は、各種印刷物の印刷工場、材料倉庫、一般倉庫、それからヘリポートが一部ございまして、野積み場がございます。  そこで、ここではどういう印刷物を印刷しているかということは詳細わかりませんけれども、一般的ないわば正規のと申しますか、そういう印刷をここで行なっておるように私どもは承知いたしております。具体的にどういう種類の印刷物を出版しているかということについては、私どもはよく承知しておりません。
  53. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この辺が問題なんですよ。要するに、ここでどんなものを印刷したか、私、あとで資料要求したいと思います。  それで、この中で、にせ札であるとか、あるいは北ベトナムにまくビラとか、あるいはまた北朝鮮に対する謀略宣伝のビラ、こういうものをもし印刷していたとするならばどうなりますか。
  54. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、われわれもいろいろ理論的に詰めてみたわけでございますが、要するに、かりにこの第七心理作戦部隊が、先生御指摘のとおりのものを印刷いたしたといたしましても、これは一種の補給活動でございまして、これをかりに北ベトナムにまくために直接日本の基地を使って、その第七心理作戦部隊の隊員が北ベトナムの上空においてこれをばらまくというわけでもございませんし、またかりにそのような事態がありましても、これは事前協議の対象にはならないと思いますが、しかし実際には、これを印刷したとか梱包して南ベトナムへ持っていって、南ベトナムでまた適当な部隊が、ビラであれば飛行機に積んで上空でまく、こういうことでございますから、この点は単なる補給活動というふうに見ざるを得ないというのがわれわれの考え方でございます。
  55. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうすると、そういうことをやってもいいというわけですね。補給活動だから問題にならぬというわけですね。これがほんとうに公式にもしわかった場合には、現在それこそ、中国との国交回復であるとか、北朝鮮に対するいろいろな問題がいま出てきているときに、これを補給活動であるからといってこのまま野放しで認めていくということは、これは問題じゃないですか。たとえば前にベトナムで枯れ葉作戦があった。その場合、日本のある会社が農薬を受け持っていたのが問題になって、やめたでしょう。そういうことと役割りはそう変わらぬじゃないですか。農薬はまずいが、ベトナムだけじゃなくて、北朝鮮とか中国に向けるビラ、にせ札、これはいい、これはどこが違うのですか。
  56. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点は、われわれもいろいろ部内で相談したわけでございますが、要するに、心理作戦ということ自体がいいか悪いかという根本問題はございますが、しかしながら、たとえば枯れ葉作戦のための農薬を運ぶ、これは一種の毒ガスにある程度類似するようなものでありますが、しかし、との心理作戦の目的は、その相手の人民を、つまり弾丸その他によらずしていわば戦闘目的を達する、そういうことから考えますと、電波による作戦だとかその他ほかのいわゆる心理作戦行動と同じように、見方によればそれほどいわゆる非人道的ではない、こういう見解も成り立ち得るわけでございます。したがって、形式的に見まして、たとえば北鮮の領空を侵してアメリカの飛行機がその上空でビラをまくとかいうようなことになりますと、これは明らかに領空侵犯という形で国際法違反だという問題が起こりますが、そうでない、つまり形式的に国際法違反の問題にかからぬ限りは、心理作戦というものは、あるいはむしろ、爆弾を落としたり鉄砲の弾で人を殺戮するよりも、より人道的な問題じゃないか、こういうような見解も成り立ち得るわけでございます。したがって、いずれにせよ、安保条約及び地位協定がこういうものを禁止していない以上、特にわれわれとしても、この行動を制限するわけにいかないというのがわれわれの一応到達した見解でございます。
  57. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは納得できませんね。そういうことは、一つは補給活動と同じである。ただ、その機能において、その使われたその効果を見て判断して、これがいいとか悪いとかなんて判断すること自体が間違いじゃないですか。枯れ葉作戦というやつは密林にまくのでしょう。それで葉を枯らして、そうして、北ベトナム兵か解放戦線か何かわかりませんけれども、攻撃する。あるいはにせ札をまいたり投降勧告をやったり、あるいはいろいろ謀略宣伝のビラをまいて非常に心理的に動揺させていく。ある意味では、家庭の中に、そのものを見て不安になって、そうしてたいへんな不幸な事態になっていく人さえいるかもしれない。私は、問題は、機能ではなくて、その補給されることについての行為は一緒なんですから、同じ考え方に立つべきが当然なんじゃないですか。しかもあなた方は、答弁するときに、あの農薬は毒ガスではないなんて、どこまでも言い切ったわけじゃないですか。いまごろになって毒ガスみたいな解釈をしながら、あれとは違うなんて、そんな場当たり的発言じゃしょうがないですよ。その見解は間違っていると思う。それはみんなできめたのですか。外務大臣も含めて政府の公式見解ですか。
  58. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点は、われわれとしても事務当局でいろいろ議論し合った結果、一応そういう結論に達したわけでございます。  なお、道徳的には、先生のおっしゃられるとおりの面が十分あり得るかと思いますが、しかし、いずれにせよ、安保条約、地位協定自体は、どうしてもこの問題について規制する条項も何もないというのが現状でございます。
  59. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、もう一回これは協議してくださいよ、この問題は。それで、この印刷には日本人がタッチしているでしょう。だから、あなた方が、ベトナム戦争に協力してない、介入していないと言ったって、実際に使われる、補給するそういった物資あるいは印刷を日本人が参加してやった場合、介入していると同じじゃないですか。それが武器であり弾薬であれば問題になり、ビラだったら問題じゃない、これはおかしな議論です。ですから、この問題について、安保条約やあるいはまた地位協定から見てこれは規制できない、こうあなたおっしゃいますけれども、それじゃ前の農薬のときにはどうやって規制したのですか。どうやってやめさせたのですか。
  60. 吉野文六

    ○吉野政府委員 農薬につきましても、枯れ葉剤は毒ガスでないということが国際的に認められた一応の定義がございます。しかしながら、在日米軍は、日本においては枯れ葉剤も含めて一切の毒ガスはないということを——もちろんいわゆる催涙ガスは持っておりますが、そういうことをわがほうに通告してきました。したがって、その面からも、日本から枯れ葉剤がベトナムに輸送されることはないとわれわれは考えております。
  61. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ないのじゃなくて、いまないのはわかっていますよ。過去にあったのじゃないですかと言っているのです。それは向こうが言ったから、やめたというわけでしょう。しかし安保条約上は、それを規制したのは、はっきりいえば米軍が自主規制したわけですよ。そうですね。この場合も、問題だから自主規制させたらどうかと私は言うのです。こちらが提案してやめさせることがいいのじゃないのかということですよ。いかがですか。
  62. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この問題は、われわれ事務当局ではお答えしかねる政策上の問題だと思いますが、ただ、先ほどからわれわれ事務当局が一応検討した点を申し上げましたとおり、心理作戦のほうが、いまのような、弾丸その他による補給行為よりもより人道的じゃないかという意見もあり得るということをお答えいたしたわけでございます。
  63. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 事務当局ではどうしようもない、大臣に聞いてくれというのですね。それだったらそれで質問を留保いたします。  それから私は、これから問題にしたい点があるのです。サンデー毎日、この四十六年四月十一日の報道があります。この中で、朝霞の心理作戦部隊、これは全駐労朝霞支部からの取材が載っております。そして、この朝霞基地というのは一大機密情報基地だ、こう述べております。そしてその中に問題になっておりますのは、たくさん書いてございますが、趣旨としては、どうも第五〇〇軍事情報団というのがあって、その情報団の中に自衛官がいる。そして、その人の名前は元陸軍中佐山崎重三郎氏だ。しかもそれは第五〇〇軍事情報団のキャップで、この情報団のグループを人呼んで山崎機関と呼んでいる。この第五〇〇軍事情報団には七十人も日本人が働いておる。それで、その大半が第二次大戦中、中国で戦った経験のある旧日本陸軍の将校たちである。そして、旧陸軍士官学校出身者の団体、偕行社の名簿というものがある。その名簿を見たらキャンプ・ドレイク勤務と書いてある。そういうふうに明記してあるのが十四人になっている。こういうのです。  私がここで問題にしたい点は、防衛庁に聞きたいのですが、先ほど条約局長が言いましたけれども、沖繩に特殊部隊がいる。それはいまのままではまずい。したがって、沖繩返還と同時に、解体されたり、あるいは第七艦隊に所属したり、あるいは陸軍に編入したりいろいろされるわけです。しかし返還される現在は、何をやってもいいということになっている。しかしながら、日本にはもうすでにこの特殊部隊が朝霞基地を中心として存在しておった。それは安保条約上からいってもワク外に該当する、私は何とも言えない、そう条約局長は言ったわけです。その部隊に制服自衛官が所属しているということはどういうことかと言っているわけです。この点いかがですか。
  64. 久保卓也

    ○久保政府委員 自衛官が第五〇〇軍事情報団、米軍の部隊に所属しているということはあり得ないと思います。  そこで、山崎という人がいたかどうかもちろん存じませんけれども、元中佐ということであれば、四十五年現在では自衛官であるはずはないと私は思います。したがって、おそらく旧軍人職員として米軍に雇用されているのであろうというふうに思います。
  65. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私もそれを信じたいのです。間違いなく制服自衛官は軍事情報団に関係ありませんか。
  66. 久保卓也

    ○久保政府委員 関係があるかないかと言われますと、ちょっと調べないとわかりません。といいますのは、この軍事情報団というものがあるといたしまして——私はちょっとその存在よく知らないのですが、あるといたしまして、たとえば情報交換をするという意味での関係ならばともかくといたしまして、その仕事を分担するという意味での関係ならばあるはずがないと思っております。特に、おそらくは旧軍人関係しているのであろう、それがどうして自衛官に関係づけられたのかわかりませんが、どういう関係があるかないか、その点は一応調べてみたいと思います。
  67. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 山崎という人は私も存じております。たしか陸士の四十四期くらいの人でございまして、これは終戦後自衛隊に入りませんで、直接駐留軍従業員として勤務いたしております。  なお、そのような人が、陸士四十四期の前後の者が、かなり旧軍人が、朝霞の駐留軍従業員としてその後の情報関係にタッチしておりますが、現職の自衛官がそこにおるということはございません。
  68. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 日米安保条約下において、日米間の軍事情報連絡が——これは一つのあれですよ。具体的にするために聞くわけですけれども、いま大体どういうふうに行なわれているわけですか。
  69. 久保卓也

    ○久保政府委員 日米間の情報連絡といいますのは、組織的なものとしましては、四十三年の十二月に日米安保協議委員会が開かれまして、その席上で、現在の国内にある基地問題について、それを単に行政的な面、施設の面だけでなくて、やはり運用の面からも検討すべきではないかということで、幕僚関係の日米幕僚研究会同というものが設けられております。自後今日まで約三十回ばかり、大体月に一ぺんばかり開かれております。これが正規の窓口ということであります。そのほかに事務当局、これはいわゆる防衛の事務次官、それから米側もそのレベルの人の会同が行なわれております。これは四十二年から行なわれておりますが、現在までに七回くらい開かれております。組織的にはこういったものでありますが、そのほかに事実上の扱いといたしましては、各幕僚監部が米側のハワイの司令部あるいはワシントンに参って、大体各幕僚監部とも、あるいは統幕も含めておりますが、年に一回ないし二回それぞれ情報交換を行なっておるということであります。そのほか、部隊同士、それから各幕僚監部、在日米軍司令部、陸海空軍司令部、五空軍の司令部、そういうものが常時不定期に情報交換を行なうのが実態であります。
  70. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 このサンデー毎日の情報によりますと、こう書いてあるのですよ。この記者が書いたわけですね。「このノース・キャンプ内のビル・ナンバー九六九。黒ずんだ鉄筋コンクリート三階建ての中にオフィスがある。だが、会ったとたん、山崎氏はこちらの質問をきびしくはね返した」。これからが本人のことばですよね。「「何も話すことはないよ。われわれのやってることはあんた方が考えているような秘密の仕事じゃない。防衛庁から派遣されている準公務員だ」」、これは問題なんですよね。どうですか。
  71. 久保卓也

    ○久保政府委員 新聞はニュースペーパーでありますからニュースが伝えられますが、週刊誌は読みものでありまして、私も何べんも見ておりますけれども、信憑性という点ではいかがでありましょうか。やはり、いま人事教育局長が申しましたように、公務員ではないわけでありますから、そのことは真相をうがっているとは思いません。
  72. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もっとはっきり申し上げますけれども、ほんとうに制服自衛官いませんか、これは。現在いかなる理由でも制服自衛官はおりませんか。私はこのことについてはだいぶ前から調査してあります。公開の席上で私はインチキなことは申しませんよ。
  73. 久保卓也

    ○久保政府委員 先ほども申し上げましたように、米軍の部隊に所属するという形で関係している者があるはずはございません。ただし、いま申し上げたように、情報交換という形でときどきそこへ連絡しているというのがあるのかないのか、そういった意味での関係という点については、これは調査してみないとわかりませんと申し上げたわけであります。
  74. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 まず五〇〇軍事情報団とはどういう任務、どういうことをやっているのですか。
  75. 久保卓也

    ○久保政府委員 いま調べておりますが、まだ回答が出ておりませんので、回答が出次第お答えいたします。
  76. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ調べればわかるでしょうから申し上げますけれども、まずそこに勤務している方々の給料、報酬はどこから出ているのか。また防衛庁とこの軍事情報団との関係はどうなっているか。もうその点わかりますか。私は質問通告をしてありますよ、これも。
  77. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その人たちがいわゆる軍の雇用者でありますれば、これはその給料は米側から、具体的にはそれぞれの所在の労務管理事務所を通じまして支払いが行なわれる、こういうことだと思います。
  78. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 施設庁長官の答弁はどうもピントがはずれているから聞いてもしようがないですよ。要するに軍事情報収集面では大体防衛庁の機関とどういう関係になっているのですか。そんな公式的な話し合いではなくて、現状はどうなっているのですか。
  79. 久保卓也

    ○久保政府委員 私ども幕僚監部レベル、つまり中央レベルの話は先ほど申し上げたとおりであります。ところで、情報関係の部隊もありまするから、米側の部隊と直接、そういったものが自衛官として連絡しているということはあり得ると思います。ただし、再々申し上げるように、自衛官が部隊の中に勤務をしているということ、これはあり得ない、所属するということはあり得ない。  いまちょっとこちらのほうで聞いてみますると、駐留軍労務者であれば日本側から給与が出ておるので、そういう意味では準公務員と言ったというような感じが出るのかもしれませんが、要するに駐留軍労務者の資格であろうということでありますので、あくまでも自衛官というものとは異なっておる。それからまた、御質問のところの部隊同士の情報連絡、これはあり得ると思います。しかし、どの程度関与しているものか、これは私はわかりませんので、これは調べてみたいと思っております。
  80. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに私が申し上げたい点は、これは私もいろいろ考えましたよ。この問題についてあなた方が、どこまでもそういうようなことを言うんじゃないかと思いまして、これはもうCIAじゃありませんけれども、何月何日自宅を出発して、そしてキャンプ・ドレイクに何時に入って、そしてその写真はこれでと、そこまでやって防衛庁に強く指摘することも必要かもわかりませんけれども。ただ私は、先ほどから申し上げているように、どうも最近は、日米協力関係、なかんずく情報機関関係についてはたいへん密接な関係がある。しかもその情報収集というのが、米軍から金をもらったり、あるいはまた、最近はそのような実態じゃないかもしれませんけれども、少なくとも米軍の情報収集に、元自衛官、あるいはまた現職制服自衛官と思われる方々が出入りして、その仕事に活動している。これは重大問題ですよ。そんなことはないと防衛局長はいま言いましたね。あったらどうします。
  81. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは、私は何べんも言いますように、部隊に所属はしていないでしょう、しかし情報連絡のためにお互いが情報交換をやっているかもしれない、その点は調べてみるということを言いました。そこで問題なのは、もし関係をしているとすれば、どういう関係をしていることが不適当であるかどうかという問題であろうと思いますので、実態がわからない以上は、私もすぐには御返答申し上げかねると思います。  なお、この第五〇〇軍事情報グループについて一部報告が参ったので御報告いたしますと、第五〇〇軍事情報グループというのは、在日米陸軍の隷下部隊として朝霞にありましたが、現在はない。ただ現在は、九州の博多に、この情報グループのリプレゼンタチブ、代表者という名前の要員が若干名おるということでございます。指揮系統はまだ——応当時は在日米陸軍の指揮下にあったということであります。
  82. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その情報も不正確ですね。もっと正確に調べてくださいよ。私はここで問題になりますから言いませんが、ちゃんと名刺をもらっています。だから従事しながら疑問に思っているわけですよ。これほどまでにして日米間の協力をしなければならないのか。かつて宍戸官房長も、日米間の協力という点については一番情報機能が進んでいる、こういうことを答弁していますよ。私も前の議事録をめくってみた。そこで当時の宍戸防衛局長ですかが答弁している。当時の自衛隊と米軍との情報連絡については、まず一番密接なものは在日米軍と自衛隊の情報関係である。年に数回程度であるが、上部機関である太平洋軍と情報交換をすることにしている。さらにその上部機関であるDIA、国防省情報機関、これとはお互い国防関係で、これは回数は減るけれども連絡はある。最も国防省と連絡いたしているのは、特に外務省に出向しているわがほうの防衛駐在官である。——これは情報の交換という意味かもしれません。しかし事実、勤務している中の人は、収集活動も米軍と協力している。しかも、その特殊部隊の一つである、指揮下にない五〇〇軍事情報団ですね。こういうところに、制服自衛官あるいは元自衛官が、しかも新聞記者に答えて、私は準公務員だと言っている。私も事実関係について電話をかけて確認した。家へ電話をかけたら、防衛庁へ行っている、六本木に行っているという。六本木に電話をかけたら、どこに行っているんですか、現在外出中だ、キャンプ・ドレイクじゃないですか。そうなればこれは重大問題ですよ。その点、防衛庁長官どう思いますか。
  83. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 朝霞の情報部隊には、旧軍で情報関係に明るい人並びに元自衛官で情報関係にたのんうな者で米軍が必要として雇用しておる従業員がおります。もちろんこれは間接雇用の形式をとっておりますので、政府雇用ということになっておりますが、これは明らかに法律のていで、政府の雇用ではあるが公務員ではないということになっておりまして、あくまでも米軍の雇用しておる従業員ということになっております。したがって、給与はもちろん日本政府から出るわけでございますが、政府の予算から出るわけではございませんで、日銀の中に特別勘定がございまして、米軍が必要な経費を日銀に入れて、その日銀から現金を受け取って、日本政府が本人に給与を払っている、こういうことでありまして、決してこれは公務員ではございません。
  84. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そのあなたの言うことを私は信じて、公務員じゃないとしても、本人は準公務員だと言っている。日銀を通って、六本木を通って払われているわけでしょう。本人たちの自覚は、私はやはり元自衛官である、あるいは現職自衛官であるという自覚がそこになければ、そういう仕事に従事することはできないじゃないですか。大体そういう人は何人くらいいるんですか。日銀を通って米軍の費用で働く、情報収集に活動している人はどのくらいいますか。
  85. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 これは施設庁の関係でございますが、すべてこれは駐留軍従業員ということになっておりまして、そのすべての従業員の身分、特に訴権を確保するために日本政府が雇用しておるというかっこうになっておりまして、いわゆる間接雇用の形式でございます。それらのものはすべて、日銀を経由して日本政府が給与を支払っておりますが、その数字は私ちょっと知りませんけれども、二万数千人くらいおるんじゃないかと考えております。
  86. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 情報関係だけを……。
  87. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 情報関係だけは、私ちょっと……。
  88. 久保卓也

    ○久保政府委員 朝霞のキャンプ・ドレイクにあります第七心理作戦グループの日本派遣隊の中におりまする日本人従業員は、たしか七〇年現在であると思いますけれども、三十四名となっております。先ほど五十四四名と申しましたそのうちの三十四名であります。
  89. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、それは人数じゃなくて、そういう人がたくさんいると言ったんでしょう。あなたはいまは給与関係やっているんでしょう。施設庁で、どのくらいですか、すぐ調べて報告してくださいよ。
  90. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いま江藤局長から申し上げました従業員は、実際は三万人くらいでございますけれども、これは、いわゆる基地に米軍なりあるいは諸機関に雇用されている、いわゆる駐留軍の従業員の総体を申し上げたわけでございまして、情報関係はいま久保局長から申し上げたことだと思います。三万人のうちに情報関係に従事している者が何名か、いまちょっと調べております。
  91. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁長官、いろいろなやりとり、途中からでわからないかもしれませんが、一つはやはり、内局が知らないのに、制服自衛官の中で、米軍と密接な関係において、きわめて危険な方向でお互いに現在協力関係にあるということなんですね。  私は、先ほどから指摘していますように、私たちは安保反対ですけれども、現在、政府の政策は安保を必要とし、その中で日米関係の軍事協力をやっているわけですよ。だから、最近のベトナム戦争のエスカレートとか、あるいはまた日本の米軍基地を補給基地に使って出動する、あるいはまた補給物資を運ぶというように、非常にひんぱんに使われてきている。そのことを国民が一番心配するのは、一つはベトナムに直接介入するんじゃないか。そしてその安保の最も危険であるところの戦争に巻き込まれるというおそれがある。しかしそれは事前協議でと、そう言ったって、事前協議そのものが非常にあいまいで、いままで一回も行なわれたことはない。しかもそれは日米安保協議委員会で、外務大臣からもお話がありましたように、防衛庁長官からもお話ありましたように、これから協議するということになっているんですけれども、いろいろな話し合いのこまかいことはきまらないかもしれません。同時に、私の一番心配することは、この日米関係において、ニクソン・ドクトリンは、アジアの防衛はアジア人の手でなんて言っているんですから、どんどんこれが進んでいきますと、極東における最前線の防衛というのは自衛隊が肩がわりをするんじゃないか、こういう心配が国民の中にあるわけですね。そういうことは絶対しないと言いながらも、実際には、いままででさえも、安保条約のワク外と思われる、そういう活動をするいわば特殊部隊が実は日本にいた。沖繩返還になれば、この部隊は解体されたり陸軍に編入されたり海軍に編入されたりするから、それは問題ないと言うが、しかしその部隊がちゃんと朝霞にいた。先ほど条約局長の話によりますと、これは完全に安保のワク外のことだ、私としては答弁できないというような話までした。だから私は、これは外務大臣にあらためて聞く、こう言ったわけでありますけれども、そういうような部隊がある。そしてその部隊に、元自衛官であるとか制服自衛官が関係があったということになれば、たいへんなことになりますよ。私は質問通告してある。皆さんが調べてもあまりわからない。わからないということは、説明があっても、十分な説明がなかったに違いない。  私は一番心配する点は、制服自衛官と米軍の間においていろいろな話し合いが行なわれている。それは政府が知らない方向でどんどんエスカレートするかもしれないけれども、いままででさえもそうなんだから、これからもどうなるかわからない。しかも聞くところによると、アメリカの金が日銀に入って、日銀からお金が払われて情報活動に従事している人がたくさんいるという。こんなことが今後認められていいのかどうかということですよ。だからその点について、これは私の調査ですから、ある程度裏づけありますよ。ある程度じゃない。しっかりした裏づけがありますが、いま申し上げられません。だから、それは皆さんの手で調べて、皆さんの手で実態を明らかにしていただいて、そしてそれについては、前向きな防衛庁長官としての厳然たる姿勢を示していただきたいということなんですよ。いかがですか。
  92. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 途中から入ってまいりましたので、ちょっと経緯を理解することに欠けることがあるかもしれませんが、大体話ややりとりを聞いておりましてわかりますが、御心配の点、意図されるところはよくわかります。十分これは調査をしたいと思います。  いま日銀から給料がいくというのは、これは米軍従業員全部のことを言っているわけでありまして、何も情報機関だけが特にそういう特別扱いを受けておるというていのものではありません。そればかりか、いま御心配ですが、私はそこまで、たとえば現職の自衛官が協力体制をとらなければならぬ情勢といいますか、緊迫した模様というものがあるとは思っておらないわけです。しかし、御指摘のようなことがあれば、これはもちろん問題でありますから、十分調査をいたします。  それから、さっきのお話の中に出てくる人物は、私もよく知りませんが、聞いておりまするところでは、元自衛官というわけですか、元自衛官が駐留軍の従業員になる、これはあることだと思います。これは本人の自由意思で、どうもとめようもないわけでありますが、元自衛官であったがゆえに、何となくわがもの顔に六本木の防衛庁本庁に出入りをしたり、かつての部下であったり関連者であったような同僚をこの機関に引っぱり込むというようなことがあるとするならば、これはやはり服務規律の問題としてわれわれ防衛庁側でチェックすることだと思いますので、その点はひとつよく調査をいたしてみたいというふうに思っております。
  93. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは確かに調査しなければわかりませんね。だが、軍事情報収集活動を、たとえば報酬がどこから出ようが、あるいはいま言ったように、米軍から出るかもわかりませんけれども、そのことによって米軍のいわば機関の一員として情報を収集することは、これはいいことですか。認めますか。それともこれはやるべきではないと思いますか。
  94. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ある程度の情報収集ということは、これは私、必要だと思います。ただ問題は、不必要に、いま御指摘されるような、何となく国民的不安を醸成したり、きわめて常識的な、円満な伊藤議員が心配だと、こう指摘されるようなところまで突っ込んで一体情報収集をする必要がありやいなやということになれば、これは私、いろいろ議論が残るところだと思います。したがいまして、これはどうでしょう、実情を十分調査して、また実情を調査すると政府委員も異口同音に申しておりますから、後刻また機会を得て報告申し上げるということで御了承願いたいと思います。
  95. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だからそれは調べて実態を明らかにするととは大事だと思うのです。ただ、今後の日米関係の協力におのずから限界というのが私はあると思うのですよ。施設、区域は提供している。また補給基地は、個々にまた何らかの取りきめを結んで米軍に使わしているというようなことであります。しかしそれは、どこまでも安保条約が一つは根幹となって取りきめがあってやっておる。ベトナムの戦車の修理の問題についても、相模補給廠と別に、米軍との間に合同委員会の中でそれは結ばれている。これはそれなりにわかりますよ。ただ私が言っているのは、安保条約というのは施設、区域を提供することだけれども、制服自衛官が米軍のそれこそ機関の一人となって情報を収集することは行き過ぎではないかと思うのですね、もしあったとすれば。いかがですか。
  96. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは先ほどもお答えしましたように、一般的に情報の収集について、情報を交換をしたり、(伊藤(惣)委員「それはいいんだよ」と呼ぶ)その収集のためにやり取りがある、連関がある、これはいまおっしゃるように、許されることだと思うのですね。ただ、その行き過ぎ、これは専守防衛の立場に立つ日本にとってさまで必要でないというようなことがありとするなら、これはやはり考えていかなければならない問題だと思います。したがって、繰り返すようですが、やはり調査の結果を待つということが言えるわけです。のみならず、ベトナムがああいうふうで緊迫をしておりますが、きのう防衛局長を通って制服側からのいろいろな情報によりましても、在日米軍はきわめて平静だということを言っておるわけです。まだ大体警戒体制についた程度で、いまさしあたって大変動が起こっておるというふうには見受けられない。そのあたりも、これは一つの情報として、米軍側にわれわれの制服が連絡をしてキャッチした責任ある報告という形で私どものところに上がってくるわけであります。したがって、そういうていの情報というものは、これは私、当然必要だと思います。しかし、前の経緯がちょっとわかりませんが、いま御指摘になっておるような、何となく秘密組織的な情報網に関与するというようなことがありとするならば、それは行き過ぎであろうかというふうに思います。
  97. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、たとえば、これはまあ調査してから明らかにしてもらいますけれども、制服自衛官が六本木に勤務していると言いながら、実はキャンプ朝霞に常駐している。もしですよ。そして軍事情報団の一員として情報収集活動をしている。そういうことはあってはならぬと私は思うのですね、それはいかがですか、
  98. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、いままでもきっと政府委員との間にやり取りがあったかと思いますが、制服の自衛官が常駐するということについては、いま防衛局長も承知をしないと言っているわけです。ただ問題は、その一般的な軍事情報といったようなものを収集していく上に、われわれ自衛隊にとっても便宜であるというので常駐しておるということがあるかもしれません。したがって、それはやはり実態を十分調べませんと、どうも何ともお返事がいたしにくいわけであります。
  99. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は原則を聞いているのだよ。それは実態を調べればよくわかるわけだから……。
  100. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 原則として、常駐するということは、これは適当じゃないでしょうね。しかし、意見の交換、情報の持ち寄りというようなことで絶えず協議をするということは、これは許されると思います。常駐して、自衛隊員であるのか米軍の情報機関であるのかわからないというような形は、これはやはり検討されてしかるべきものだと思います。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 よく調査の上、これは善処すべきだと思います。私は、この国会においては常に、この日米の軍事関係の中で、どうも米軍がワク外に飛び出して変なことをやっているとか、あるいはまた、自衛隊がともすれば肩がわりするような姿といいますか、そういうものについては、私はやはり国民の一人として、これはきびしくチェックすべきである、こういう立場から、いろいろな問題というものを私は私なりに洗い直しながら質問をしているわけですよ。いろいろな疑問が出てくる、だからこういうことについては、私は、前向きに直すものは直す、やめるものはやめる、こうすべきだと思うのです。  きのうも指摘しましたけれども、ノースドックの問題にいたしましても、いる必要がないのにいる。しかも米軍の建物の中にいる。そしていろいろなことに協力している。たとえ全然関係がありませんと言ったって、米軍の専用埠頭の中にそういう制服自衛官がいるということはやはり問題だ。引き取りにいくときだけしか必要がなかったら、そのときだけ行けばいい。これも、あなたのほうで調査して、その後善処するという話ですから、その結果を私は待っているわけでありますけれども、いずれにしても、今度の問題についても、やはり私たちから見れば、米軍の情報機関の一人としてあるいは制服自衛官が情報収集活動をやっているような疑問を私は持っているわけです。その点についても明確に調査した上、先ほど言ったように、常駐することは好ましくない、そういう長官の答弁がありますから、私もこの問題はこれで終わりますけれども、その点はやはりよく調査した上でまたお答え願いたいと思います。  それで、これは去年の七月三十日の新聞報道に出ておりますけれども、モスクワ駐在日本大使館筋が七月二十九日明らかにしたところによると、モスクワ日本大使館から盗聴器多数が発見された。これはモスクワで日本の大使館に盗聴マイクがあったということなんですが、この新聞報道によりますと、日本大使館では、防衛庁の専門家二人を招いて大使館構内を調査させた。この報道があるわけですけれども、この防衛庁の専門家というのは、どこに所属していて、どういう特技の持ち主で、またどのような身分でモスクワに派遣されたのですか。
  102. 久保卓也

    ○久保政府委員 ちょっと前のことで、正確なことは記憶が薄れましたが、一人は調査学校の教官であったと思います。もう一人は——もう一人の勤務場所をちょっと失念いたしましたが、この人たちは秘密保全、通信関係、対情報といったような特技を持った人たちであります。そしてモスクワに参りましたのは、外務事務官に身分を切りかえて参ったわけでございます。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務省の身分で行ったわけですね。どういう身分で行ったのですか。
  104. 久保卓也

    ○久保政府委員 どの課勤務でありましたか、おそらく東欧一課でございましょうが、東欧一課の外務事務官に身分を編入して派遣をしております。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 こういうようなことは、本来警察庁や公安調査庁がやる仕事じゃないのですか。
  106. 久保卓也

    ○久保政府委員 それは明らかに違います。公安調査庁も警察庁も本土における権能を持っているわけで、外国に行きました場合には、これは自衛官も同じかもしれませんが、単純な普通の人間の権能しかない。しかし、いま申し上げた二人の人たちは外務事務官でありますから、大使の指揮のもとに外務省所管の仕事をするわけでございます。したがって、警察官がもし行くならば、やはり外務事務官に身分を切りかえて行かれたであろうと思います。ただし問題は、警察庁なり公安調査庁なりがそういった特殊な技能を持っているかどうかという問題だろうと思います。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは今後も、こういう問題については、自衛官が外務省に身分を置いて派遣することができるのですか。
  108. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 これはすべて外務省から要請があったわけでございまして、たとえば軍縮会議に出るとか、あるいは先ほどの盗聴器の問題等につきましても、私のほうにそのほうの専門家がいて、外務省の職員に対して十分な助言、協力ができる人があれば、その際には十分協力をしたいというふうに考えております。
  109. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 特殊技能ということは別にして、それじゃ、制服自衛官が外務省の身分にかわれば、いつでもどこへでも行けるということになるじゃありませんか。
  110. 久保卓也

    ○久保政府委員 これはたてまえとしては、おっしゃるとおりであります。ただし、合法であっても、妥当性を欠くかどうかという問題はありましょう。たとえば、数人で行くという場合にはいいでありましょうけれども、一個連隊といったような部隊組織のものが、外務事務官に身分を切りかえて行くということは当然不適当だということではなかろうかと思います。
  111. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私が申し上げたい点は、一名も二名も十名もあまり変わらないと思うのです。さらに、そう言うと百名もあまり変わらないと思うのですよ。私はそこで、この新聞を見てはてなと思ったのですよ。いままでの国会答弁では、制服自衛官が身分をかえて行って、また戻ってきてなるという場合には、これは海外派遣になるという答弁が出ているじゃありませんか。だから私は、どこにつとめて何をやっているか聞いたのですが、あなたははっきりしない。知っていて逃げたのかもしれませんけれどもね。  問題は、こういうことで一つの事実関係というものができていくことを、私はおそれるわけですよ。前にも、ベトナムにいわば監視団を送るとか——それは平和のためだからいいとかいう解釈はあります。だけれども、それも私たち野党から見れば、そういうことから、なしくずしに海外派遣、海外派兵ということが起きてくる。だからそれはすべきではない。政府側としても、たとえ法的にはそうであってもそれはしないと、はっきり言ってきているわけですよ。この問題に限っては、これは今後もあり得る、何ら問題ない、こういうことなんですけれども、私、これは問題だと思うのですがね。
  112. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まあ今度は初めから聞いておりますから、話の筋が少しわかるように思いますが、これはどうでしょう、やはり一つの例外——大体、他国の公館に盗聴器を敷設するなんていうようなことは、そうどこの国にでもある事例とは思われませんですね。そういう場合に、政府機関で見渡してみたところ、どうもそういうものを精査するだけの能力のある人がいない。たまたま防衛庁にはいたということになれば、防衛庁が進んでそれに参加するというわけではなくて、外務省側から、こういう異例の事態が起こったので特にひとつ調査してもらいたいという要請がまずあるということが一つですね。それから、その事の性質が異例中の異例の問題であり、また特殊技能を必要とするものであるというような見地から言いますと、これがエスカレートして十人になり百人になり、まさに一個連隊になるなんということは、これは伊藤さんの思い過ごしではないか。また、そんなことはもちろんあっていいはずでもありませんし、そんなことは許される問題ではございません。したがってこの問題は、いま申し上げたような諸条件を備えておる、きわめて例外の措置である。また、そうかといって、日本側が全然放置していいというものじゃございませんね。やはり、調査能力のある者に調査をさせ、一体どういう手段で、またどういう機関がそういうものを敷設したのか。これは外交の衝に当たっておる外務省としては重要な問題だと思います。まあそういう意味で、これは例外中の例外というふうに御理解を願いたいものだと思います。
  113. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは防衛庁長官の言うことはわかりますよ。ただ私は、外務省の要請するほうもするほうだと思うのですよ。大体、海外派遣なんかについて、いままで国会では非常に前向きな答弁をしておきながら、この問題に限って、防衛庁行ってくれ——海外におけるそういう活動については、内閣調査室というものがあるじゃありませんか。あるいはまた、ほかの問題では麻薬取締官だとか、いろんな面で海外に出ている人だっているじゃありませんか。盗聴器を調査する、こんなことは情報活動の初歩的なものですよ。それを何も、防衛庁でなければならないとか、時間的に余裕がないとか、そんな問題ではないじゃないですか。まず外務省の考えを教えてください。
  114. 高島益郎

    ○高島政府委員 私が答えるのは適当じゃないとは思いますけれども、ただいま防衛庁長官もおっしゃったとおり、政府内にそういうものを有効に探知する能力のある人がいなかった、しかも盗聴装置が敷設されているという疑いが非常に強くなったという両方の理由から、外務省としまして、防衛庁のほうにお願いして出ていただいたというわけでございますので、それはただいま先生のおっしゃったとおり、外務省の中にそういう人がいてもいいじゃないかということでございますが、私の聞きます限りにおきましては、現在でもまだそういう人はおらないように承知しております。
  115. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは一般的な問題として、制服自衛官が外務省に身分を置けば海外派遣はできる。防衛庁長官は、例外中の例外で、そんなことをするのはいけないとおっしゃるけれども、だったら、もしいけないと言うのなら、もうちょっと大声であなたがおっしゃるように、ソ連大使館に抗議すればいいじゃないですか。外務省も、そんなに野党から誤解を受けるようなことまでして防衛庁の専門家に要請したと言うなら、それだけの強い姿勢でソ連に当たりましたか。どうですか、外務省。
  116. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはまあ例外の問題ですから、外務省としても実際答弁には困るだろうと思うんですね。そこで自衛官が外に行った。これは、武力行使か何か、そういう問題で行くということになればよほど大問題で、身分がどうあろうと、やはりこれは追及される問題だと思います。しかし、盗聴器があるということになり、まだほかにもあるかどうかというようなことを含んで調査するということは、別に自衛隊の言うところの主任務とは何ら関係がないわけであります。したがって、その技能が尊重された、こういうふうにお考えを願いたいわけであります。これは、武力行使のために行ったということとは全然趣を異にいたしておりますから、これが原因になって今後も平気でそういうことが行なわれるというていのものではないと思います。また、外務省にまさか盗聴器捜査官などというものを置くほど、各国の情勢がそういう盗聴器ということに熱心であるとは思いませんので、これは、さっき申し上げましたように、あくまで例外中の例外ということで御了解を願いたいと思います。
  117. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまの大臣の発言の中で、やはり問題がありますよ。武力行為のために行くわけじゃないからいいじゃないか。これは制服自衛官である限り、何を持たなくても問題ですよ。鉄砲を持って行ったから問題で、何も持たなくて行ったから問題じゃない、それは間違いですよ。
  118. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点ですが、これは人数の問題もありますし、そうしますと、練習艦隊で自衛官が外へ行くこともできない、こういうことにもなりますから、これはやはり任務の問題というのは、私、重要だと思うのです。当然、そういう任務が何であるかということについては、私どもも十分注意をしたいと思いますが、今回御指摘のは例外の問題というふうに考えます。
  119. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、今後もこういうことがあればいつでも自衛官は派遣する、こういうことですか、防衛庁長官
  120. 久保卓也

    ○久保政府委員 これはやはり国益の問題と、それから、技能をどういうふうに活用するのが経済的効率性があるのかといったような問題であろうと思いますので、外務省にそういった特技がない以上、また、現在のところ世界各国でまだ問題がないようでございますけれども、そういう問題がもし起こった場合に、他に適当な人がない場合に放置しておいたほうがいいかどうか、これは御指摘をいただいてもけっこうかと思います。
  121. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務省に適当な人がいないというけれども、防衛駐在官がいるではないですか。防衛駐在官は制服自衛官じゃないですか。そうでしょう。そういう人たちは何のために行っているのですか。情報収集でしょう。そうでしょう。だからおかしいのですよ。それで久保局長が何も政治的発言をする必要はないのですよ。やはり事務局というのは一つのきめられたものを厳守する。そうでしょう。だから、その中でできるかできないか、もし間違ったら例外中の例外だ、はなはだまずいことなんだ——はっきりすればいいのですよ。これからはやるのかやらないのか、防衛駐在官にはこれからは何もさせないのですか。
  122. 久保卓也

    ○久保政府委員 防衛駐在官がそういう技能を持っていればたいへんよろしいわけでありますが、もし防衛駐在官がそれができるものであれば外務省の事務官もできるはずでありまして、やはり相当特殊な技能であります。そして発掘したものを調べるについても、やはり相当に特殊な技能を必要としまするし、のみならず、あまり公開の席で議論したくないのですけれども、安全上にも問題がある。個人の安全上にも問題があるという非常にデリケートなケースでありまして、そう軽率に扱えるものではありません。
  123. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 どうも聞いているとすっきりしないのですが、防衛駐在官ができなければ外務省もできない、要するにそれはおかしいでしょうというのです。要するに駐在官というのは制服の専門家ですよ。だから、陸軍から行けば情報を収集して大使館に教えて、また大使館を通じて外務大臣がそれを聞いている。また、外務省を通じて防衛庁はその情報を収集する、こうなっているわけでしょう。いま防衛駐在官の任務はそうでしょう。そこに役に立たないような防衛駐在官が行ったってしょうがないじゃないですか。それくらいのことは防衛駐在官でも十分できるはずですよ。それを見つけて指摘したからといって、その防衛駐在官の身分の安全がそこなわれるのですか。そんなあぶない国なんですか、あそこは。
  124. 久保卓也

    ○久保政府委員 これはまた別に議論したほうが適当ではないでしょうか。あまりこういった席で——国際関係のこともありまするし、少なくとも容易な問題でないということだけは申し上げておきたいと思います。
  125. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、海外派遣といわれるようなことは問題は問題ですけれども、これは例外中の例外でも私は認めたくない。制服自衛官が身分を移して海外へ行くことは海外派兵ですよ。あるいは海外派遣ということになりますよ。しかも、任務によって問題だと言いますけれども、こういう情報というものは、戦争にとって、あるいはまた軍事にとって、たいへん重要なことですよ。ですから私は、こういうことはすべきではない。もしそういうおそれがあるならば、外務省にそういう機関がないとおっしゃいますけれども、やはり内閣調査室だっているじゃないですか。あるいはまた、国内だけに限るとはいっても、実際に国内だけでなく出ている人もいるわけですよ。だから、防衛庁みずからが誤解をされるようなそんな行為をする必要はない。今後はすべきではない、こう思うのです。長官、いかがですか。
  126. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まあ、強い要請に基づいて能力のある者がその能力を発揮する、これはやはり制服機関の中においては許される行為のように私は思うのですが、しかし、非常に強い御主張でありますから、これは、伊藤さんからそういう強い御意見があったということを十分承って、検討するということでどうでしょうか。
  127. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は反対しておきますからね。そういうことをやってはいけない、やるべきではない、国民に誤解を受けるようなことはすべきではない、そういうふうに強く指摘しておきます。  それで、調査学校の人が行ったようですね。この調査学校の発行されたパンフレットを私、持っております。これがそうですね、陸上自衛隊の。それで、この中を見ますとずいぶん課程があるわけです。課程は簡単に申し上げますと、戦略情報、作戦——これはそちらから言ってくださいよ。どんな課程で調査学校が教育を行なっているか、質問します。
  128. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 申し上げます。  調査学校の情報教育には、幹部に対する教育、それから陸曹に対する教育がございまして、それで課程で申し上げますと、いまの課程で、幹部につきましては、戦略情報、作戦情報、地誌、航空写真判読、対心理情報、それから陸曹の関係につきましては、情報、地誌、航空写真判読、そういった課程がございます。
  129. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 まだあいまいですね。それでは私のほうから申し上げますけれども、これは間違いないですね。「陸上自衛隊 調査学校」、これは本物ですよ。そこで、この中に「情報教育の主な課程」というものがあります。それで第一に戦略情報、次に作戦情報、三番目に幹部航空写真判読、その次が幹部地誌、それから幹部対情報基本、それから幹部対情報高等、次に幹部対心理情報、その次に陸曹情報、次に陸曹航空写真判読、陸曹地誌、陸曹対情報、その他「語学教育の主な課程」というのがあって、これはいろいろな国のことばを勉強することになっております。  それから「調査研究のおもな内容」として、担当班が四班までありまして、第一研究班、第二研究班、第三研究班、第四研究班とあります。そこで、私が指摘したい点は、第三研究班の「特別部隊の運用」というのがあります。これは何をやっているのですか。
  130. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 ただいまの第三研究班の詳細な内容につきまして、ただいま手持ちございませんので、調査いたしまして申し上げたいと思います。
  131. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一番最初に申し上げました「情報教育の主な課程」で十一の課程があるわけですけれども、それじゃ戦略情報とは何をやっているか。幹部対心理情報というのは何をやっているのか。わかりますか。
  132. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 申し上げます。  ただいまの課程が、何か若干数が違うようでございますけれども、戦略情報と対心理情報と言っております。戦略情報のほうは、諸外国の軍事力、それからその能力等につきまして分析を行ないまして、そしてこういったところの教育を受けた者は、主として方面隊以上の第二部の系統の要員を養成するということを目的にいたしまして教育をしております。それから対心理情報。これは心理作戦に対しましていかに防衛するかということで、心理作戦の一般的な内容とか、そういった場合にどういうふうな対応をするのが適当であるかというようなことを、幹部につきまして教育をする、こういうのがそれぞれの課程の内容でございます。
  133. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この幹部対心理情報とはどういうことをやっておりますか。
  134. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 課程の名前が違うので、ただいまは対心理情報というのが正式な名前でございまして、その。パンフレットはだいぶ古いのじゃないかと思います。
  135. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ新しい調査学校の資料を要求します。  問題は、ここにも書いてありますけれども、幹部対情報高等とはCIAと書いてあるじゃないか。どうですか。古くても、これはちゃんと実在したことですよ。  要するに私が指摘したい点は、旧中野学校のようなことが調査学校の中で行なわれている。現在どういうふうになっているかわかりませんけれども、先ほども指摘したいろいろなことがある。だけれども私は、こういう一つの行き方について、内局がほんとうにわかっているのかどうかということがまず一つです。いまはこういう資料を要求したってくれませんよ。ちゃんとつくってみせてください。この調査学校に関する限り、これは一番新しい資料なんですから。きょうは答弁できませんか。
  136. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 パンフレットの点につきましては、ただいまそういったものを出しておるかどうか存じませんけれども、もし出しておるとするならば、提出をいたしたいと思います。  それから、調査学校の先ほどの機構のお話でございますけれども、現在はそういった機構と違いまして、調査学校は、いまは一室五課の部局の構成をとっておりまして、班の組織はございません。
  137. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、聞いてもあなたもあまりわからない。私も調査しましたけれども、いま出していないようです。だから何をやっているかさっぱりわからない。私たちから見れば、そういう実態ですよ。だからもう少し明確にしていただきたい。それで、少なくとも戦前の旧陸軍がやったようなことは、現在の日本が専守防衛というならば、私は必要ないように思う。そういう行き過ぎたことがあれば、前向きでそれも直すべきことは直すのが当然ではないかと思う。その点を私は指摘するわけです。長官、いかがですか。
  138. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 旧軍の諸君が、何となく旧軍のイメージに訓練形態そのものを近づけようという感じになるのは、これはどうも一つの人間の通有性というか、傾向であろうかという気がしますが、御指摘のように、不必要なことをすることは、これは好ましいことではございません。そういったことは、自衛隊も創設されてから二十年を出るのですから、防衛局及び防衛研修所、これが眠っておるとは私は思いませんが、もっとあれを拡充強化しまして、先般、久保局長も一つの試案として申しておりましたような、たとえば脅威なき防衛論にしましても、そういったものをやはり十分裏づけをしていく必要があるのではないか。実際、防衛局長そのものは、こうして国会に明け暮れしますから、なかなか有能な久保君でありましても、考える時間というものが比較的少ない。そういうときにあの防衛研修所などというものがもっと活躍していいと思うのです。必要なものを重点的に拡充強化し、不必要なものは改廃していく。その改廃もこれは思いつきで改廃したのでは、それではやはり組織体として権威をなしません。やはりそういう問題についても十分検討をしまして、今後に処してまいりたいと思います。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いろいろありますけれども、もうお昼でありますし、たいへんおなかのすく時間でもありますから、私これで一応質問を終わりますけれども、私が一番やはり心配している点は、この日米関係にありまして、日米安保条約に基づいて、どうしても制服組同士ではわれわれが考えているより以上に密接不可分の関係にある実態も、たまたま見受けられるのですね。そこで私は、ここでやはり前向きに防衛庁長官に答弁していただきたいことは、日米間の安保条約があって協力するといっても、協力はこれが限界なんだ、基地使用といってもここまでが限界なんだ。制服自衛官が確かに第五条に基づいて共同防衛するといっても、しかし、こういう場合に限ってしかしないのだということは、私は明確にすべきだと思うのですよ。そうしませんと、ベトナム戦争じゃなく、何らかのまた紛争が起きたときには、やはり国民が必要以上に心配もします。日米間における軍事協力というものが、実は常に、それがもう歯どめも何もなくなって、そうして実際には共同でいつも対処する。共同でやっていく、それがどんどんまたエスカレートしていく、こういうことがあってはならぬと思うのです。そういった点について最後にひとつ伺って、質問を終わりたいと思います。
  140. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘のように、われわれが何でもないと思っておることが一つの破綻になったり、またエスカレートして思わざる結果を招くということがあってはならぬと思います。きょうのいろいろな御質問の御趣意は十分体しまして、将来のために資していきたいと思います。
  141. 伊能繁次郎

    伊能委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  142. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため出席がおくれますので、指名により私が委員長職務を行ないます。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  143. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 趣旨の説明を求めます。江崎防衛庁長官
  144. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、予備自衛官手当について、その月額を現行の千五百円から二千円に改めようとするものであります。現行の月額は、昭和四十二年改定され現在に至ったものでありますが、その後の経済事情の変動にかんがみ、これを改定することとしたものであります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  145. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  146. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 内閣提出、第六十七回国会法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。和田耕作君。
  147. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうのある新聞を見ますと、この前の五人の反戦元自衛官の処分の問題について、「刑事責任、問わず 反戦元五隊員 防衛庁が断念」、こういう大きな見出しでの報道がありますけれども、長官、断念をしたというのは事実ですか。
  148. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この問題につきましては、法務省側と詳細な打ち合わせをしておったわけです。ところが法務省としては、前回の門前に来て声明書及び要望書を読み上げた行為、それから芝公園の反戦学生のグループの中に行ってアジ演説を行なったこの行為は、どうも刑事罰として自衛隊法に基づいて処置するということはむずかしいのではないか、こういう見解が法務省側において一方的に明らかにされたわけであります。したがいまして、防衛庁としては、御承知のとおり、とりあえず行政処分としての懲戒免職を申し渡したわけであります。  会議をしてあきらめたとか、そういう場面があったわけではありませんが、おそらくその新聞記事は、刑事罰はむずかしかろう、行政処罰よりいたし方がないのではないかという、人事教育局長あたりのところで談話として出しましたものに対する推測記事ではないかというふうに考えますが、方向としては、刑事罰はむずかしいという法務省側の見解がありますので、刑事罰に持っていくためには相当骨が折れるのではないかという見解に立っておりますが、詳しくは政府委員から答弁をさせます。
  149. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 その新聞の記事は、防衛庁としましては、まだ決定的に断念しているわけではございませんで、事実並びに証拠につきまして法務省に提示しまして、現在法務省と協議いたしております。法務当局におきましても、この問題につきまして、具体的に六十一条に該当するかどうか、それを取り上げるかどうかにつきまして十分検討しておるという段階でございます。
  150. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、このようにしばしば新聞等で、法務省等の方面の判断として、刑事責任を問うのには困難な面があるという趣旨の報道が行なわれております。これは法務省としてはそういうふうな御意見を持っておりますか。あるいはこれを決定しておりますか。そこらあたりの事情をひとつお聞きしたい。
  151. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 本件のいわゆる反戦自衛官の事件でございますが、これは四月二十七日と二十八日の二回問題があったようでございます。東京地方検察庁におきましては、この二つの事件につきまして、防衛庁側の担当の係の方から、事件の発生とその経緯について御連絡を受けまして、御説明を受けたわけでございます。  その際に、検察庁といたしましては、その刑事罰則の観点からの若干の法律的な一応の見解というものを、御説明をもとにして討論したということでございます。その後、東京地方検察庁におきましては、この一応の法律見解に続いて、なお、東京高等検察庁であるとか、その上の最高検察庁とも、具体的事実ということを一応抜きにしまして、法律の問題についていろいろと検討いたしておるわけでございまして、大体、この自衛隊法の罰則の適用は今回の事件についてはなかなかむずかしいのじゃないかというような空気でございますけれども、まだ検察庁として、法律見解として最終的な意思決定をしたというようには承知いたしておりません。
  152. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その法律の適用は非常に困難なように思われるというおもな理由は、どういう理由でございますか。
  153. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 これは、検察庁といたしましては、本来は、具体的事件につきまして、本件の場合ならば、自衛隊の警務隊において十分事実関係を明確にされ、かつ検察官の立場におきましても事実関係を十分に解明してからでないと、法律の適用という問題は具体的には生じないわけでございます。本件の場合には、ただいま申し上げましたように、一応の発生の状況、経過というものを聞いただけでございますので、事実関係そのものが固まっておりませんから、終局的な法律見解ということを出すことはできないわけでございますけれども、それを抜きにしまして、大体伺った範囲におきましては、問題になるのは自衛隊員の怠業の扇動とか共謀とかという点が一つと、それからもう一つは自衛隊員の政治的行為の禁止条項に触れる、この二点が問題になろうかというふうに問題を把握いたしております。  そういたしまして、第一点の怠業行為の扇動あるいは共謀というような点でございますが、これにつきましては、本件の行為が自衛隊員のほうに向けられた行為であるかどうか、これが一つの問題点であろうと思うのであります。一般的に自衛隊員でない方に対して一つの文章を読んだとか、何かそういうことでございますので、そういう面では怠業の扇動というような点が非常にむずかしいのじゃなかろうかということでございます。  それから、第二点の政治的行為の禁止という点につきましては、この政治的行為といいますのは、御案内のとおり、政治的目的と政治的行為と二つに分かれて法律上の構成要件ができておるわけでございますが、政治的目的という点は、いままで一般職の国家公務員について一つの定まった基準を示しております人事院の規則というような点を勘案してまいりますと、本件の場合に、人事院規則、それからそれと同じような考え方で考えなければならない自衛隊法施行令というようなものを考えました場合に、ちょっと政治的目的という点において問題があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておる、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。
  154. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの御答弁を拝聴しておりますと、一応自衛隊のほうから事の始末を聞いた、しかし大体の感じとして刑事責任を問うのは非常に困難ではないかという判断をされたというわけですけれども、この問題は、単なる個人間の、あるいは民間の団体間の問題ではないわけです。これは大きく言えば自衛隊の存亡にかかるような問題なんです。そういう問題について、事実をよく確かめもしないで、これはむずかしいとか、これはやさしいとかいうような判断を下すことは、法務省として軽率ではないのか。
  155. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほど私御答弁の中で、刑事罰に値するかどうか、これを法務省と協議中であった、しかるところ法務省側では、検察の意見として一方的に見解を表明されたという表現をしたわけですが、いまここで話をしておりますと、そういうことはない。これは私の誤解でありまして、法務省においても目下検討中である、こういうことでありますので、ちょっと先ほどの説明については、私、取り消しておきたいと思います。
  156. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 検討中にしましても、非公式でも何でも、こういう重要な問題について、事実をよく調べもしないで法務省の意向を出すということは軽率ではないかということを申し上げておるわけです。
  157. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私は検察庁と先ほど申したわけでございまして、この事件が発生いたしまして、これが刑事事件になるということであれば、刑事訴訟法の規定によりまして、自衛隊のほうから検察庁のほうに事件が移ってくるという仕組みになっております。その場合に、まず第一次的には自衛隊の警務隊のほうで、刑事責任があるかどうかという点は事実を究明なさるわけでございます。その究明をなさったあとで、事件が検察庁のほうに送られてまいりまして、検察庁のほうで、これまた事実関係を明確にし、その見解を定めるわけでございます。本件の場合には、自衛隊の警務官が、刑事責任がありとして本件を究明していかれるかどうかというまずその前提として、最初に自衛隊のほうから東京地方検察庁のほうにこういうケースを一応御連絡願いまして、その場合の一応の法律見解ということを検討いたしたわけでございます。その法律見解の一応の検討は、どうもこいつはむずかしいなということを感じておるのでございますが、そのむずかしいなという、それも検察庁として最終的な結論にまだ達した段階ではございません。それで、そういうことを言えば、結局、まだこれから、場合によれば、事実関係いかんによっては、警務隊がまた態度をおきめになるという余地はもちろんあるものと私は考えておるわけでございます。
  158. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官にお伺いしたいのですけれども、自衛隊として、これは長官お考えになればわかることです。長官もおそらくそれは感じておられると思いますけれども、この問題の扱い方は、自衛隊の存立の基礎を脅かすような重要な問題であると私は思うのです。この問題について、いろいろ御意向はあとから承りたいのですけれども、検察庁のほうに、実はこうこうしかじかという御相談をする。どのような御相談をしたのかよくわかりませんけれども、第一、そういうふうな相談をするということも不見識じゃないですか。自衛隊としては、もっと自衛隊法という存立の中核の法律がある。この法律を私も拝見したのですけれども、私、しろうとだけれども、しろうとが読んだ限りでも、十分に刑事責任を問われてしかるべきだというような条文が、一つや二つではございません、たくさんあると、私、しろうとでも思われる。こういうものを防衛庁として慎重に検討なさったかどうか、そのことを最初にお伺いしたい。
  159. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはもとよりお説のように、自衛隊の根幹に触れる重要な問題でありまするから、いろいろな角度から検討したわけです。特にこれは人事教育局長だけでなしに、次官はもとより私も仲間になりまして、いろいろ意見を交換し慎重な検討をしたわけでありますが、たとえば小西三曹の問題、これなども行政罰としての懲戒免職にはしたものの、またこれに対しても不服申し立てが出て現在係争中であるという経緯。それから、従来の自衛隊法の六十一条等々を適用する問題についていろいろなケースがありまするので、それなどとにらみ合わせながら、われわれのほうとしては、これは当然刑事罰に値するものであるという見解に立ちましても、いよいよ法廷で係争することになりますと、これはやはり検察側の意向というものも反映されるわけでありまするので、まあ、あらかじめその意見も聞いておくということは、同じ政府機関同士としてはとるべき措置だというふうに思って協議をさせたわけであります。いよいよ係争することになると、さっき法務省側からの答弁にもありまするように、なかなか問題は複雑にわたるもののようです。したがって、われわれのほうの処分としてはとにかく懲戒免職ということで、本人行方不明のままですでに発令したわけでありまするが、なお今後の問題については検討を要する多くがあるというふうに考えておる次第でございます。
  160. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 懲戒免職はこれは当然のことだと思うのですけれども、防衛庁としては、いろいろな五人の行動を勘案して、自衛隊法に触れる、そのおそれ十分だというような御判断に一度は達したことはありますか。
  161. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 自衛隊を侵略の軍隊と呼んで自衛隊の本質を否定する言動があります。それからまた、自衛隊の内部崩壊を目ざしておる一部の部外者と通謀をしまして、自衛隊の沖繩配備であるとか、立川移駐であるとか、こういった政策面についても、侵略の先兵だ、沖繩には特に治安配備が重点だといったようなかってな独断をしまして、そして、かりそめにも自衛官の服をまとって、そして公衆の面前でアピールする。それはなるほど相手は自衛官ではないが、これはもう自衛官としては行き過ぎもはなはだしいものだというふうに思っておるわけであります。しかし、先ほど刑事局長の説明にもありましたように、さてしからばそれが自衛隊法にいうところの教唆、扇動になるのかどうか。相手は一般公衆であった、自衛官の集団ではなかりたというようなこと等、法的にはいろいろ問題があろうかと思います。まあ、そのあたりについては、人事教育局長を中心にやはり検討をしておるというのが実情であります。
  162. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、十分刑事罰に値すると思われる点もあるが、現在の自衛隊法の解釈から見て、法務省と相談をしてみれば、公判を提起することはなかなかむずかしい問題もあるというところだけれども、現在なお相談をしておる、このように了解していいですか。
  163. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 そのとおりであります。
  164. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、幾つかの大事な事実関係の問題を聞いてみたいのですけれども、まず長官、今度の五人は一つの隊の一つのグループというわけではないのですね。与那嶺というのは、陸上自衛隊第三十二普通科連隊第一中隊、市ケ谷駐とん地。そして福井というのは、陸上自衛隊第四十五普通科連隊第一中隊の京都大久保駐とん地。そして内藤というのは、陸上自衛隊富士学校偵察教導隊、富士駐とん地。そして河鰭という男は、陸上自衛隊第二特科群第百十特科大隊本部中隊、仙台の駐とん地。そして小多基、もう一人のこの男は、一等空士です。航空自衛隊関係ですが、航空自衛隊の第二高射群の芦屋基地。こういうふうに自衛隊の各科を通じておるということと、駐とん地が遠く離れておるという特徴があります。このことだけを見ても、単に自衛隊のごく一部の独立の者がこういう行動をとったということは、常織的に見て考えられないことですね。ある日を期して自衛隊の本庁の前で防衛庁長官に宣言文を出す、その事実を見ても、これら五人が五人だけ、しかも偶然に一つの場所に集まったというふうには見られないと私は思うのですけれども、長官どうですか。
  165. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これらの自衛官は、いずれも四月二十二日から二十四日、この間に、父の入院見舞いであるとか、里帰りであるとか、結婚相談というふうな名目で休暇をとりまして、そして外出したまま帰隊しなかった、こういう実情にあります。これらから判断いたしまして、四月二十一日以前において本件を共謀したという疑いは十分ありますが、事務当局側がいろいろ調査しました結果によりますと、四月二十八日の芝公園における集会の演説中、内藤元一士というのが、中間の小多基元一士の氏名の読み方がわからなくて、リーダー格でついております小西元三曹に聞いていた。これは新聞にも報道されておるところでありますが、こういう事情を勘案いたしますと、この五人の横の連絡というものは、本人同士の間ではそんなに緊密なものはなかったのではないか。小西元三曹がそれらを連絡する主要な役割を果たしておったのであろうというような想像がなされるわけであります。また、これら五名の者が、四月二十七日以前に隊内においていわゆる反戦活動的な言動を弄したというような事実がないことを見ましても、これはやはり小西がそういう連絡万般に当たったのではないか、こんなふうに見ておるわけであります。  以上、大体そういうことです。
  166. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 名前をど忘れすることはよくあるのですね。大会場の演壇で、私は江崎さんの名前を、こんなに有名な人でもど忘れをして、どうだったかと思うことがしばしばあるのです。特に大会場なんかの演壇ではそういうことは普通にあり得ることです。  この問題について、各部隊の中における五人の行動についてはどのような方法でお調べになりましたか。
  167. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 この五名のうち四名は、一応自衛隊におきましても、ふだんの言動において若干問題の点があるということで、一応注目しておった人物でございます。しかしながら、具体的にはそのような反戦活動というものは露骨にいたしておりませんので、一応注意人物として見ておったという状況でございまして、特別変わった行動はとっていなかったということでございます。
  168. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 注意人物として見ておるということは、そういう言動があったことでしょう。そうでないと注意人物とは見られないでしょう。
  169. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 たとえば討論会等でいろいろな原稿を書きますが、その原稿を見た場合に、そういうことを書いておったということで注意いたしたことがございます。そのような程度のことで、一応われわれとしましては、要注意人物というふうに見ておったのでございますが、具体的な行動としては何もいたしてなかったというのが実情でございます。
  170. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いろいろなところで変な原稿を書いておった、したがって要注意人物とみなしておったというわけですけれども、こういう男がだれにもわかるような形でやるはずはない。そういうものであればたいしたことはない。そういうことだけではなくて、日ごろのいろいろな行動が怪しいと思うから、あなた方も要注意人物として見ておったのでしょう。そういうことは、この人だけでなくて、その周囲に何らかの形でいろいろな働きかけをしておったということになりやしませんか。
  171. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 自衛隊としましては、夜間の大学等に通修しております。また、これを奨励しております。あるいはまた通信教育等でスクーリングをやりますが、それに実際に参加するというような場合に、よく同僚の学生からいろいろ誘いかけがあるわけでございます。そういうところでいろいろな知識を覚えてまいるわけでございまして、そのような知識の断片を部分的に部隊でしゃべるということがございまして、それで結果的には、こういう人はある程度注意しなければならぬのじゃないかというふうな角度から注目しておったという実情でございます。現在の自衛隊は、夜間の外出もかなり認めておりますし、また特に夜間大学等には大いに行くように奨励いたしておりますので、そのような誘いかけの機会が非常に多いということは事実でございます。
  172. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 刑事局長にお伺いしたいのですけれども、これは自衛隊内部で大量的な宣伝とかそういうことはなかったように思われるというような先ほどのお話でしたけれども、この五人の人、しかも駐とん地は遠く離れておる五人、しかも五人のうちの四人は要注意人物として自衛隊の中でも観察をしておったという人間が、ある日防衛庁の本部に集まってこういう行動をしたという、これはそういうことでなくてもすぐ見当がつくことですね。特にあなた方は専門家です。私も前にそういう非合法的な運動をしたことがあるからすぐ見当のつくことですけれども、それをあなた方専門家が見れば、こういうふうな人の構成である日共同行動をとったというこの事実を見て、そういうふうな疑いがあるというふうに判断されるのはあたりまえじゃないですか。しかも、それを判断した上で、自衛隊の中で何もしてない、あの日偶然にこういうことをやったのだというふうな判断をすることは、これはまともじゃないと私は思うのですが、刑事局長はどういうふうにお考えになりますか。
  173. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 問題は、自衛隊法の六十四条にございます怠業行為等の扇動あるいは教唆というような犯罪が成立するかどうかという場合には、やはりそういう事実そのものとしてとらえなければならないということでございまして、現段階におきまして、ただいま御指摘のような事実がございましても、これはまだ、いわゆる六十四条なら六十四条違反の構成要件に該当する事実というところまでは、証拠をもって認定はできないのじゃないかということでございます。刑事事件として取り上げます場合には、犯罪構成要件に該当する事実が諸般の証拠から立証できるということになりませんと、単なる疑いということでは、刑事事件としては取り上げることができないのだろうということでございます。  本件の場合に、自衛隊の怠業行為の扇動といいます場合には、自衛隊員に対して怠業を扇動したり数唆したりしたという事実が証拠をもって立証されるほどのものでなければならないということで、その点は、やはりいまの御指摘の点ではまだ不十分ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  174. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは、そういうことをことばの上で考えてみれば、不十分だとも考えられますけれども、十分な疑いがあるということは否定できますか。
  175. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 おことばを返すようで恐縮でございますけれども、一つの犯罪が成立するかどうかということは、法律がきめております犯罪の構成要件に該当する事実があるかどうか、しかもそれが証拠をもって立証できるかどうかという点でございます。それは社会的な事実といたしまして、かりに例をいまの怠業行為の扇動という場合にとりました場合に、そういうことは推察できるじゃないかというような、一つの推察というようなことができましても、これはあくまで推察にとどまるわけでございまして、やはり具体的に構成要件に該当する事実が証拠をもって立証できるということになりませんと、刑事事件としては処理できぬ問題であろうと考えるわけでございます。
  176. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それではお伺いしますけれども、この自衛隊法の六十一条、この中の「政令で定める政治的目的」というこの項に当たるものとして、八項目あげておりますね。この八項目の中の四、五、六項目というのは、明らかに今度の事件と関係のあるとみなされる項目じゃないのですか。
  177. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 具体的事件が、本件の場合にまだ固まっているわけではございませんので、確定的なことを申し上げることは困難でございますが、ただいま御指摘の自衛隊法施行令第八十六条の四号、五号、六号の問題でございます。  四号は「特定の内閣を支持し、又はこれに反対すること」ということでございますが、本件の場合、検察庁が自衛隊の係のほうから御連絡を受けました事実関係によれば、これは特定の内閣を支持し、あるいはこれに反対するという目的が、声明書と申しますか、要求書と申しますか、あるいはまた芝公園における演説、言動から出てこないのではなかろうかという感じを持っております。それから五号につきましては、本件の場合に、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対」しているということでございますが、それは政治の方向に影響を与える意図には当たるわけでございますけれども、はたしてそれだけの強い意図があったかどうか。これはまあ証拠等の関係で問題もあろうと思いますし、とてもそういうようなものまではいかないのじゃなかろうかという一つの見通しを持ったわけでございます。  それから六号の「国又は地方公共団体の機関において決定した政策の実施を妨害すること」という場合に、この政策の実施の妨害というものは、これはいままでの人事院の解釈その他によりますと、組織的、継続的な実施妨害というふうに、わりあいこれを限定して狭く解しておるような点がございます。  こういう解釈を前提にいたしますと、検察庁が連絡を受けましたこの事実関係をもってしては、なお本件は十分ではないんじゃなかろうかというふうに私ども報告を聞いておる次第でございます。
  178. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは防衛庁本庁の前で読み上げたこの声明の中にこういう文句があるのです。ちょうどこのまん中ごろのところですけれども、「帝国主義佐藤政府」とありますね。「帝国主義佐藤政府は、われらを侵略と人民弾圧のせん兵とせんがために、四次防と沖繩派兵を必死になって強行しようとしている。「沖繩防衛は、沖繩県民の手で」——これがかれらのスローガンである」等、このあとに、沖繩派兵を絶対阻止しようというような文句が書いてあるのですけれども、このことばは佐藤内閣に反対をするということばになりませんか。
  179. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私ども報告を聞きましたのでは、ただいま御指摘の声明文は朗読していないというふうに聞いておるのでございます。そこらへ置いていったとかなんとかということを聞いておるのでございますが、そういう点でなお問題があるんじゃなかろうかというふうに思います。
  180. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 記者会見では言っているでしょう。
  181. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 記者会見の問題につきましては、これは私ども十分な連絡を受けておりませんので、別途の問題であろうと考えております。
  182. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その次の第五号で「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し」云々とある。あの行動がこの「政治の方向に影響を与える意図」というふうなものとは思われないというようないま御答弁ですけれども、そのように答弁なさっていいのですか。ああいうふうな集会で、しかも新聞があのように大きく報道するような事件を起こしている。これが政治の方向に影響しないと判断なさるのですか。
  183. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 これは同じ文言でいたしております一般職の国家公務員につきましての人事院規則の解釈といたしまして、人事院のほうは、ここに言いますように、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること」という点の解釈を、これは日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思を言っていると解しておるということで、これは非常に厳格に人事院規則のほうは解しておるようでございます。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この民主主義の方向云々のことばは、非常にあいまいなことばです。この行動が民主主義の方向に影響を及ぼさないと判断できますか。民主主義の方向に影響を及ぼすとも判断できる。そういうふうに判断するのがすなおな判断だ、私そう思うのですけれども、つまりそこらあたりをよく検討なさったかどうかということです、あなた方がこの相談をされたときに。
  185. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私ども検察庁から報告を受けております限りでは、この検討の際に、本件の場合には、自衛隊の沖繩派兵反対、治安出動反対ということがその主張の骨子になっておったと理解をいたしておるわけでございます。そういたしますと、ただいま申しました、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思という点につきましては、それだけの事実をもってしてはなお該当するには至らないんじゃなかろうかというふうに一応の検討をしたという報告を受けておる次第でございます。
  186. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その行動については、この五人はその翌日に三派系の学生の集会に出ております。この三派系の学生の集団というのは、民主主義の方向に根本的な影響を与える集団であるとお思いになりませんか。
  187. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 これは三派系の中核派のことであろうと思いますが、これとこの自衛隊の反戦自衛官の本件の行為というものとは、やはり別個に考えるべきものであろうと考えているわけでございます。
  188. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 あなた、そういうことを三百代言ということばで言うのですよ。五人の自衛官は同一人物なんです。この自衛官の言動が民主主義の基本的な方向に影響を及ぼすことであるかということを判断するためには、どういう集会に出て、その集会でどういう演説をしているかということが重要な材料じゃないですか。
  189. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 おことばを返すようで恐縮でございますが、このいわゆる反戦自衛官の刑事責任を考えます場合には、もちろんその背景はあると思います。この中核派の集会において演説をするというような背景があることはもとより承知いたしておりますけれども、この五人の刑事責任を考えます場合には、やはり五人の行為というものを前提にしなければならぬと思うのでございます。その場合に五人は、やはりこれは、自衛隊の沖繩派兵反対であるとか、あるいは治安出動反対であるとかということを主張をしておるわけでございまして、これが先ほど来申し上げております政治的目的に該当するかどうか、この点はやはりそれ自体として検討をしなければならないことであろうと考えるのでございます。
  190. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはいろいろと押し問答はやめますけれども、いずれにしても、あなた自身は、この八項目の中の少なくとも三項目——まだあると思いますけれども、三項目には十分触れるおそれのある行為だということはお思いになりませんか。全然これと関係のないことだと思いますか。
  191. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 検察庁におきまして、四号、五号、六号に全然当たらないというような方向で検討しておるわけではないと確信しておるのでございます。もとよりこれに当たるかどうかということで十分に検討しておるので、一定の方向を持って、初めから当たらないというような考えはもちろん持っておりません。事実関係を十分に聞いて、そして従来の四号、五号、六号の一定の行政解釈と申しますか、そういうものを前提にして討議をいたしておるわけでございます。
  192. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 なお、この六十一条には「政令で定める政治的行為」という項目がある。目的と行為の二つに分けて、目的は大体八つの項目を具体的にあげておる。行為の場合は十七の項目をあげています。この十七項目の中にも、明らかに該当するような項目が二つないし三つある。これを御検討になりましたか。
  193. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私どもが報告を受けておりますのでは、ただいま御指摘の、政治的行為の定義をいたしております自衛隊法施行令八十七条に十七あがっておりますが、特にそのうちで十一号の「集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること」、十三号で「政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、又は多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し、又は編集すること」、この二つの条項にはこれは当たるというふうに結論しておるというふうに聞いております。
  194. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この二つは、もうそのものずばりじゃないですか。この問題だけでも刑事責任を追及する根拠になるんじゃないですか。
  195. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 刑事責任の対象になります政治的行為は、政治的目的を持って政治的行為をする、この二つの要件があるわけでございます。施行令でいいます、八十六条の政治的目的を持って、かつ八十七条にいいます政治的行為をする、その場合に自衛隊法が禁止しておる政治的行為になるわけでございます。私が先ほど来申し上げておりますのは、この八十七条にいう政治的行為には、これは十一号や十三号で該当するであろうということは、これは検察庁といえどももちろん検討しておるわけでございますが、問題は、先刻御指摘になりました目的のほうでございます。八十六条の特に四号、五号、六号、これに当たるかどうかという点が本件の場合の問題であろう、かように考えておるわけでございます。
  196. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの目的の場合も、あなたが三つとも読み上げたように、この目的に該当しないとは言われないでしょう。言われないから検察庁も検討したわけでしょう。おそれがあるから検討したのでしょう。先ほどあなたそうおっしゃいましたね。目的の八項目の中の三項目に当たるおそれがあるから検討したわけでしょう。つまり、目的のあげた項目に違反をするおそれが十分にあると思われるから、検討なさったのでしょう。法律家は特殊な人ですから、わからぬことばはありますけれども、普通の人が解釈して、十分な嫌疑を持たれる、しかもその行為はそのものずばりだということになれば、当然これは告訴されれば検討に値する問題だというふうに御判断をなさるのがあたりまえじゃないでしょうか。あるいはそれとも防衛庁長官は、事をあまり大きくしないという気持ちから、できるだけ控え目に、そういうようなことを何とか穏便にしようじゃないかということを言ったのじゃないですか、長官。
  197. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 さようなことはもとよりあるはずがございません。それはもう全然ございません。のみならず、こういうものをいいかげんなことに処置しておきました結果は一体どういろ影響を与えるのか、それを考えますと、これはなおざりにできぬきわめて深刻、重要な問題であるというふうに理解いたしております。したがいまして、いま刑事局長からの答弁にもありますように、罰することは簡単ですが、さて、向こうも弁護士を連れて行動しておることでありますから、いよいよ係争の問題になったときに、何か官側が不利の立場に立つというようなことがあってはなりませんので、十分実情を調査して慎重に検討しておる、これが実情でありまして、かりそめにもゆるがせにする気配というものはみじんもございませんことをよく申し上げておきます。
  198. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの私と刑事局長さんとのやりとりを聞いておられまして、この五人の自衛官の問題、それは裁判をなさればどうなるかわかりません。わかりませんけれども、自衛隊の基本的な精神、あるいは今後りっぱな自衛隊として育て生かすということは長官の任務である。この任務から考えてみて、これは黒白を明らかにしなければならない、そういうふうにお考えになりませんか。
  199. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まさにそのとおりに思っております。したがいまして、検討はいたしておりまするが、その検討の方向は、ただ行政処分だけでなしに刑事罰をもって臨まなければならぬという考え方から検討をしておるというふうに表現をしたほうが正確な御答弁になるかと思います。十分ひとつこの問題については厳粛に考えて臨みたいと思います。
  200. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最初に私お伺いしましたこの五人の元自衛官は、遠く離れた、日本のほとんど全国に散らばった自衛隊の駐とん地におる男です。しかもこの男は、それぞれ要注意人物として監視されておった人物です、刑事局長さん。こういう人たちが、ある日、防衛庁本庁の前に集まって声明文を出して、そしてその足で新聞記者を集めて記者発表をした、その翌日には中核派の集会に出てという一連の問題を考えてみて、単にこれは、この前に懲戒免職になった小西某の一人の策動で、一人だけしか知らない、五人ともそれぞれ全然知らない、しかもある日偶然に個人個人が集まったというような事件とお思いになりますか。あるいはもっと組織的な背景を持った事件であるとお思いになりますか。いろいろな刑事責任を問う問わぬの問題を前にして、そういう点についての解釈はどういうふうにお考えになりますか。
  201. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 もとよりこれは、いわゆる五人の方のばらばらの行為とは考えておりません。何らかの一つの組織的な行為であろうというふうに私は推察をいたします。ただ、犯罪として検事が起訴します場合には、これは有罪判決を得るだけの合理的の、疑いのない嫌疑がなければならないという点で検事が起訴に踏み切るかどうかという問題なんでございます。刑事事件として検察が取り上げるかどうかという点は、犯罪構成要件に該当する事実及びそれを立証する証拠というものがありまして、そしてだれが見ても、これは有罪に間違いないというだけの嫌疑がなければ起訴できないという刑事手続の仕組みの点も御理解を賜わりたいと存ずるわけでございます。
  202. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 防衛庁が最初に検察庁に御相談なすったその資料なり申し出というものに対して、多少私は疑惑を持つのです。つまり防衛庁自体で、この五人の自衛官が、どういうふうな行動を持ち、どういう背景を持ち、どういう意図を持ってやったかということについてお調べになったかどうか。先ほどの答弁以内の程度であるかどうか。
  203. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは十分調査しております。政府委員から申し上げます。
  204. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 この問題につきましては、所属の部隊長あるいは営内班長等を通じまして十分調査をいたしておりますが、何ぶんまだ本人が所在不明でございまして、住所を確認できませんので、本人等から事情を聞くことはできません。必ずしも十分な調査はできておりませんが、現在の調査の結果、状況では、この五人の者が事前に十分連絡をして行動をしたというふうには思われません。やはり小西元三曹が各部隊に呼びかけて、二十四、五日ごろから行動をとったというふうにいまのところ推察いたしております。  この五人が、あらかじめ計画的に、自衛隊の中におきまして反戦行動をしようということで、相はかって入隊したのではないかという点をまず十分調べたわけでございますが、必ずしもそうではありませんで、入隊の時期も違いますし、また五名のうち二名は縁故募集あるいは職安募集で入った人でございますので、必ずしも、入隊の動機におきまして、彼らがそういう行動をとろうということで入ったわけではないように思います。やはり入って一年ぐらいたちまして、いろいろな誘いかけに乗ってこういう行動をとったのではないかというふうに見ております。  また、入隊時の隊員の成績等を見ましても、いずれも上の部に入る成績を持ったりっぱな隊員であったわけでございまして、募集の面におきましても別段問題はないというふうに考えられるのでございます。  したがいまして、何しろ二十前後の青年でございますので、非常に思想的な動揺期であり、外部の影響を受けやすい時期でございますので、やはり隊内に入って一年余りたってきまして、外部からの誘いかけによりまして、このような行動をとるように急に偏向していったのではないかというふうに推察いたしております。
  205. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私はこの問題について、いままで、刑事局長あるいは防衛庁長官政府委員からいろいろと事情を拝聴しておるのですけれども、こういう問題の取り扱いについて、こういうことはあってほしくないのですけれども、特に防衛庁としては、いろいろ出過ぎたことをなさることはいけないと思うのです。専守防衛の憲法下の自衛隊ですから。しかし、やるべきことをやらない、つまり、あまりいろいろな世論を気にしてやるべきことをやらないということだとなおいけない。私どもきょう、これをうちの国対でいろいろ相談してみたのですけれども、もしやるべきことを、しかもやらなければ自衛隊の存立にも関係するような大きな事件について何もしないようであれば、そんな自衛隊は必要ないじゃないかという極論をする人もおりました。それはそういうことになりますよ。だてに自衛隊を員数だけ持っているわけじゃないのですから。やはり有事のときに働いてもらわなければならぬためにわれわれ持っているわけですから。そういうときに、この問題についての見方から見てやるべきことをやっていない。何かまたいろいろ世間で騒がれるかもわからないからという顧慮がもしあったとすれば、長官、そういうふうな考慮をお持ちになるようであれば、そんな自衛隊はどうして必要なんだというような議論さえ出てくる。これは特に真剣にお考えいただきたいと思うのです。  この問題は、自衛隊法違反の疑いが十分濃厚だと私は思うのです。それを、十分に実際の状態を調べもしないで、自衛隊のほうの報告だけを聞いて、裁判所として、これは起訴するのはむずかしいなんというのは軽率きわまりないと私は思う。もっと慎重な発言をしてしかるべきだ。現にあなた方がそういう発言をしたから、五人の者はある集会で、ある新聞の報道するところによると、告訴されないということを聞いてほっとした感じを持っておるという報道がある。この重要な問題について、検察庁として、法務省として、そのような最終判断——一般の国民はそう受け取りますよ、いま検討中だと言っても。そういうふうな言明をすべきじゃない、私はそう思うのですが、どういうようにお考えですか。
  206. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど来申し上げておりますように、検察庁としては、具体的事実に即した結論を出しておるわけでは毛頭ありません。ただ、検討いたしました経過で、一部新聞のほうで、検察庁が消極であるというような記事が出ましたことは、この点は私、御指摘のとおり遺憾であると存じておるわけであります。
  207. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官、これはひとつ本気でお調べになって、検察庁の御意向はいろいろあるでしょうけれども、防衛庁としては、これは全体の問題から考え、将来の問題から考えて告訴すべきだと私は思うのです。長官のお気持ちをお伺いしたい。
  208. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほど来の御激励につきましては、全く私、同感であります。そればかりか、世間に顧慮して手かげんをしておるのではないか、これはとんでもないことでありまして、むしろ規律をもって立つ組織体である自衛官がこういうことをして、一体、刑事罰もなければ、ただ行政罰で懲戒免職されるだけで済むのか。しかも制服を着て堂々と反戦学生の集会に行ってアジ演説をやる。気がねというならば、むしろこういう形のものが放置されることのほうが、世間に対してはなはだ自衛隊の真価を問われるような気がして、われわれこれは残念でたまりません。したがいまして、いま御意見の存するところは十分わかるつもりでありまするし、私どもとしましても、今後、先ほども御答弁しましたように、この問題を重視して十分検討をし、そういう措置に踏み切ってまいりたいというふうに考えております。
  209. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 刑事局長、たいへんお忙しいときにお出ましを願ったわけですけれども、いまのやりとりでもわかるように、この問題は、自衛隊と連絡をとって、そしてもっと実情をよく調べて処置を考えるべきだ、私はそう思うのですが、お考えをお伺いしたい。
  210. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 最初に申し上げましたように、検察庁におきましては、自衛隊御当局から、事件の発生状況及びその経過というものを御連絡を受けまして、その段階における一応の法律上の問題点を討議したわけでございますが、もとより具体的事件といたしましては、刑事訴訟法にのっとりまして、まず自衛隊の原隊におかれましてこの事実をよく御確定なさるわけでございます。そしてそれがもし自衛隊法に当たるという御見解でありましたら、それから事件として検察庁のほうに送致されてまいるわけでございます。その段階において、検察庁はまた十分に事実を検討し、かつ法律の適用も検討するということでございまして、私ども、先ほど来申し上げましたのは、ただ事件の最初におきまして御報告を受けた場合の一つの法律上の問題点を討議したということでございますので、この点は御了承を願いたいと存じます。
  211. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官、お聞きのとおりでございまして、どうかひとつ自衛隊の立場を考えていただきたい。私たちは、できるだけりっぱな自衛隊として育ってもらいたいと心から願っておるものです。私どもの党はそうなんですから。したがって、きょうの国対ではもっと強い意見が出ました。そういうふうな感じがあることを特にお訴え申しまして、何とぞこの問題は、いいかげんなことで済まされないように、そしてやるべきことはちゃんとやらないと、長官もおっしゃるように、むしろ国民の信頼を失ってくる、そういうように思いますので、このことを強く要望しまして、質問を終わります。
  212. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 貴重な御意見として拝聴いたしました。そればかりか、私どもにおきましても、こういうことの処置がはっきりつけられることによって、自衛隊の綱紀を引き締め、国民的な信頼にこたえていきたい、こう考えております。
  213. 伊能繁次郎

    伊能委員長 東中光雄君。
  214. 東中光雄

    ○東中委員 長官がおられないので、最初に施設庁長官にお伺いしたいのですが、本土における米軍基地の賃貸借契約期限が民法の六百四条によってこの七月二十七日に来るということで、従来からの政府の見解でもそうでありますが、この期限が来た場合にどうされるか。統一見解が出されておるように聞いておるのですが、政府の態度を明らかにしていただきたい。
  215. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先般の衆議院の法務委員会並びに参議院の予算委員会におきまして、この米軍基地の契約の期間の問題について政府の見解が示されたわけでございます。それを一応もう一度読み上げてみますと「駐留軍の用に供する目的をもって国が所有者から賃借している土地等の賃貸借契約は、期間を駐留軍が使用する期間とする趣旨の賃貸借であるが、民法第六百四条によれば、期間の定めのある賃貸借の存続期間は二十年をこえることを得ずと定めているので、現行の契約は二十年を経過したときに期間が満了することとなる。たとえば、契約の始期が昭和二十七年七月二十八日のものについては、本年七月二十七日をもって期間が満了することとなる。しかして、期間満了後なお引き続いて駐留軍の使用の必要がある土地等については、国は契約の更新を求める必要があり、この旨を所有者に明らかにし、理解と協力を得て円満に再契約できるよう、早い時期に折衝いたす所存である。」以上が見解でございます。  そこで私どもは、従来、駐留軍の用に供しております土地の賃貸借の性格につきましては、駐留軍の用に供しておる間はその契約は継続をいたしておる、つまり不確定期限説をとってまいりましたが、たまたま本年が民法六百四条の二十年の存続期間に該当する時期に差しかかってまいりまして、この問題について関係各省と協議をいたしてまいりましたが、先ほど読みましたような結論で、駐留軍の用に供しておる土地についても民法六百四条の適用がある、こういう解釈になったわけでございます。  そこで、もちろん、従来駐留軍の用に供しております土地につきましては、引き続きこれを提供いたすという国際的な義務を私どもは負っておるわけでございますので、その土地の所有者につきましては、契約を更新していただくように、現在各所有者との間に交渉をしておるわけでございまして、ここ二十年間、大多数の方々が大体円満に契約に応じてくださっておるという経緯からいたしまして、今後のこの説明並びに交渉によりまして、円満に合意ができるものというふうに期待をいたしておるわけでございまして、そういう方向にできるだけ持っていくように私どもとしてもこれから努力をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  216. 東中光雄

    ○東中委員 従来の駐留軍用地の賃貸借契約書の文面では、期限は三月三十一日限りで一年ごとに更新の形式をとってこられたと思うのですが、この七月二十七日に民法六百四条によって期限が到来するといわれておる契約について、別にことしの三月三十一日の文面上の期限が切れたときには、あらためて更新契約書をつくっておられるのかどうか。その場合の期限はどういうようにされておるのか。
  217. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 従来の土地建物等賃貸借契約書によりますれば、その前文におきまして、駐留軍の用に供する目的をもってということをうたいまして、これがいわゆる駐留軍の用に供しておる間はこの契約は継続をしておるという解釈をとっておるわけでございます。  ただ、御指摘の契約期間につきましては、賃借料の関係もございますし、会計年度が単年度予算主義でございますので、毎年毎年賃借料も更改していく必要がある。そういう意味で、四月一日から翌年の三月三十一日までの間を契約期間といたしまして、それに基づきまして毎年毎年の賃借料をきめていった、こういう.ことでございます。  そういうことで、賃借料の関係で、予算の関係もございまして、毎年の契約の更新をやってまいりましたけれども、この契約そのものにつきましては、前文の趣旨からいたしまして、不確定期限説である、こういう解釈をとってきたわけでございます。
  218. 東中光雄

    ○東中委員 時間がかかってしようがないので、質問の趣旨に答えていただきたいと思うのです。不確定期限説をとっておるということは先ほど聞いたし、先刻知っておるわけです。私が聞いているのは、ことしの三月三十一日の文面上の期限が来たときの契約の書きかえをやったのかやらないのかということを聞いているのです。
  219. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ちょっと答弁が漏れまして申しわけございませんが、当然本年の四月一日から新しい契約期間となりますので、三月に各地主の方々とこの契約の継続について話し合いを行ないまして、その同意の取りつけを行なってまいっておるわけでございます。今日までかなりの所有者が、この年度の契約につきましては応じていただいておる、こういう状況になっております。
  220. 東中光雄

    ○東中委員 その契約書の更新という形で、文面上は期限はいつまでになっておるのかと聞いておるのです。
  221. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 それは四十七年の四月一日から四十八年の三月三十一日までという期間であります。
  222. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、いままで不確定期限と言っておったのは、安保条約によって基地使用が終わったときには返さなければいかぬことになっておるから、民法六百四条と関係なしに、いつ終わるかもしれないという点で不確定期限であったわけであります。民法六百四条というのは、明らかに「賃貸借ノ存続期間ハ二十年ヲ超ユルコトヲ得ス」となっている。そして二十年が七月二十七日に来るということがわかっておって、「二十年ヲ超ユルコトヲ得ス」と書いてある民法六百四条を無視して、あえて来年の三月三十一日まで契約書をいまこの時点でつくるというのは、民法六百四条を尊重するという点からいって、あるいはそれを守っていくんだという統一見解からいっても、明らかに実務上おかしいじゃないですか。もちろん、そういう契約書をつくったからといって、二十年をこえる部分は無効であるということはありますけれども、無効であることがわかり切っておることを、わざわざ四月に、「二十年ヲ超ユルコトヲ得ス」と書いてあるのにあえて結ぶというのは非常におかしいと思うのですが、なぜそういうことをやられるのですか。
  223. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、不確定期限説を私どもとっておりますので、この民法六百四条との関係については、法務省、法制局とも協議をいたしておりまして、三月中にはその解釈につきましての結論を得ることができなかったということで、一応私どもとしては、民法六百四条の問題もございますけれども、従来の解釈によりまして、不確定期限説ということをとりまして契約の交渉をいたしたわけであります。本来でありますれば、当然その時点におきまして民法六百四条の適用があるということが明確でございますれば、その点について十分御説明をいたしまして合意を取りつけるというのがたてまえでございますけれども、三月の時点でまだその解釈についての統一した見解が得られなかった、こういう事情によるものでございます。
  224. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、少なくとも現在結ばれておる契約書で、二十年の期限が七月二十七日に到来する部分については、契約文面いかんにかかわらず、ことしの三月末、四月の初めに更新されたけれども、その更新というのは、二十年の期限到来後の更新、正確に言えば再契約と言ったほうがいいと思うのですけれども、それとは全然別のものだ。これは期限が来年の三月三十一日までと言っておっても、それは七月二十七日で終了する、そこから先の部分は無効だというか、短縮されるということ、これははっきりここで確認してもらえるわけですね。
  225. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 民法六百四条の適用があるということが明確にされましたら、現在の形では、この単年度の三月に行なってきましたところのこの契約も、もちろんその時点までが有効であるということは当然でございまして、一応六百四条の問題とこの単年度の期限の問題とは別個の問題だというふうに考えております。
  226. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、同じ更新ということばを使われるから、年度末の契約書上の、形の上の更新と今回の更新とは、まるきり性質が違うということをはっきりさせておいていただきたいことと、今回のいわゆる二十年の期限到来ということ、その後の契約については、防衛施設庁としては、すでにその作業に入っておられるのかおられないのか。いかがでしょうか。
  227. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 民法六百四条の適用があるということをうたいまして、個々の所有者側との間に、契約の合意に応じていただくような、そういう依頼書と申しますか、協議書と申しますか、そういうものをいま準備をやっておるわけでございます。
  228. 東中光雄

    ○東中委員 準備をやっている段階で、まだ交渉には入っていないということだと思うのですが、先ほどの統一見解では、理解してもらってできるだけ協力してもらうということですけれども、これは沖繩の場合も同じことだったのですが、協力を得られない、はっきり契約の書きかえを拒否しますということをすでに意思表示をしておるのが、地方自治体でもありますし、北富士でもすでにそういう意思表示がされていると思うのですが、そういう問題についてはどうされるのか。基地を撤去して返還するという方向でいかれるのか。どうされるのかということをお聞きしたいのです。
  229. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 従来、毎年毎年の契約の更新に際しまして地主側から御協力をいただいておる、この実績がございますので、この七月二十八日以降におきましても、当然その契約の合意に達するというふうに私どもは考えておるわけでございまして、また極力その合意の取りつけにこれから努力をいたすつもりでございます。  そこで、一つの仮定の問題になると思いますけれども、もしどうしても契約に応じないという方がありますれば、法律上としましては、御承知の特別措置法を適用するということも考えられますけれども、いまのところ、まだ具体的なそういう問題については考えておらないわけでございまして、まだかなりの日時がございますので、その間にできるだけの努力をいたしたい、かように考えているわけであります。
  230. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど来念を押しているのですけれども、施設庁長官は、意識的にか——特に三月末の形式上書面の切りかえと今度の二十年到来の再契約とは性質がまるきり違う。同じ期限内における賃料を上げるという、いわば政府側から上げるということについての契約書の書きかえと性質が違うのですから。それを三月末にやっておる。いつも協力を得てもらっている、だから今度もできるのだと同じ次元で考えるのは、明らかに間違いですよ。先ほどから、一番最初に私そのことを念を押して言っているのですから。それをいままた、毎年協力を得ているから、毎年の不確定期限、要するに期限内の書きかえというものと同じ態度で七月二十七日のものに臨んでいこうとしておられるということがいま言われていることですよ。だから私、意識的だと言ったのですけれども。そういう態度をとっているといわざるを得ないのですけれども、これは明らかに違うのですから、それに対して具体的にどうするかということをまだ方針もきめておられないということになると、事実上、七月二十七日が来て契約ができていない場合、その場合には一体どうされるのか。先ほど言われたような、駐留軍の軍用地についての特別措置法、こんなものを一瞬にして適用できるわけではないですから。それは努力して、場合によってはそれを適用せなければいかぬようになるかもしれない。どうして適用できると思いますか。期限が来てからでは空間があきますから、そのときには、では撤去してからあらためて収用なりする、こういう方針なんですか。その点いかがでしょう。
  231. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いまからその問題について具体的に御説明をする段階ではまだないと思いますけれども、確かに米軍の提供施設でございますので、その土地の権利関係について真空状態が生ずるということは、これはまことに義務履行の上からいきましても、たいへんに大きな支障がございますので、それに対しましては法的手続をとらざるを得ないということもあるわけでございます。ただ、現在の段階では、まだ日時もございますので、極力契約の更新——確かに先ほどおっしゃいますように、従来の単年度の契約と、それから民法六百四条の適用下における契約の更新とは性格的には違うということは、私ども十分承知しておりますけれども、それを十分所有者に御説明をした上であらためてこの契約更新をいたしたい、こういう考え方でございまして、それにつきましては、私どもとしては、従来の経緯からしましても、契約に応じてくださるというふうに期待をいたしておるわけであります。
  232. 東中光雄

    ○東中委員 地位協定に基づく土地等の強制使用特別措置法ですね。契約できなかった場合はこれを適用するよりほかに方法がない。ところがこの法律を適用しようと思えば、土地収用法の準用がありますから、土地調書、物件調書をあらかじめつくらなければいかぬ。告示もしなければいかぬですね。それが七月二十七日になってからでは明白に空白が出るわけです。七月二十七日前は米軍が現に基地として使っておる。そういう中で、土地ないし物件調書、この法律を適用せざるを得なくなるということを言われているから、そうしたらそれをつくる。当然所有者の立ち会い権も認めてつくるというたてまえでおられるわけですね。その点いかがでしょう。
  233. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 御指摘のように、この特別措置法は土地収用法の規定を適用いたしておるわけでございますので、土地収用法の手続に従って適正に処理を進めたい、かように考えております。
  234. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、基地内の立ち入り権も認める、そして物件調書についての意見陳述権なり異議を書くことができますね。そういう権利は土地所有者に対して保障する、そういうことでございますね。
  235. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど申し上げましたように、適正な手続で処理してまいりたいと思います。
  236. 東中光雄

    ○東中委員 適正な手続というのは、そういう規定があるけれども、それを実際にやる。米軍基地のままで、要するに七月二十七日より前にこれをやるというのが防衛庁の方針であるというふうにお聞きしていいかどうかということです。
  237. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これはもちろん、七月二十八日からこの手続を進めるという意味ではございませんで、十分それで間に合うような手続を進めるつもりでございます。
  238. 東中光雄

    ○東中委員 答弁がくつの裏から足をかいているような言い方をされるのですが、私は具体的に聞いているのです。物件調書なり土地調書なりをつくる。実測しなければいかぬわけですから、それについては立ち入り権という土地所有者の権利がある。その権利は保障するということは、法律でそうきまっているのだから、当然そうやる。やられるのがあたりまえのことなんだけれども、やるということをはっきり言われたらどうですか。言われないところを見ると、何かほかのことを考えていらっしゃるのじゃないかというふうに思わざるを得なくなってくるので、はっきりと言ってください。
  239. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その点につきましては、適正な手続をとるということで当然御了承いただけるものと私は考えております。成規の手続をとるということでございます。
  240. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると認めるということですね。やるということですね。うなずくだけじゃなくて、速記録に残るようにちゃんと言ってください。なぜそんなに、私が具体的な内容について言っていることについて、答えるのをちゅうちょされるのか、ぼくは理解できぬわけです。だから、やる、そういう権利は認めると、これははっきりと速記録に残しておいてください。いかがでしょう。
  241. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのつもりでございます。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、七月二十七日前、たとえば横田の飛行場の中へ土地所有者が入っていって、そして立ち会い、測量を現実にやり、それについて調書でものを言うということができるように、これはアメリカ側と話がついているのでしょうね。そうでなければ、根拠もなしに、ただそういうつもりだだけじゃ、どうにもなりませんから。いかがですか。
  243. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 まだその問題について米側と協議をするという段階まで至っておりませんけれども、いずれそういう措置を、一部につきましてやむを得ずとらざるを得ないという事態が生じますれば、米側とも十分協議しなければいけないと思います。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 協議をして、そしてアメリカ側が承知しなかったらどうなるのですか。地位協定の三条で、七月二十七日までアメリカ側が管理権を持っておりますね。だからそれを拒否した場合はどうなるのですか。やるつもりだと言われている。しかしアメリカ側が、地位協定の三条からいえば拒否できるわけですから、そういう場合にはどうされるのですか。
  245. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは米軍に基地を提供するものでございます。したがいまして、米側がそういう立ち入りの自由というものを認めないととによりまして権利関係が非常に正常を欠くような状態になりますことは、これはアメリカ自体としても好まないというふうに考えるわけでございまして、米側としても、話し合いによりまして十分協議に応じてくれるというふうに考えております。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 従来この法律を適用されたことが何回かあると思うのですけれども、この手続の開始、要するに総理大臣への申請から始まって実際に収用するまでの期間は、長くてどれくらい、一番短くてどれくらいだったでしょうか。
  247. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 従来の実績からいたしますれば、一番短い裁決を得ましたのが六十五日でございます。それから長いのは約一年くらいで、ごく例外的に十年も、以上もかかっておるという個所もございます。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど来、七月二十七日までずいぶん時間もあるから、こうおっしゃったけれども、一番短いので六十五日、長かったら一年、十年もかかる。あと二カ月ちょっとでしょう。平均でいったらもう時間なんてありゃせぬですよ。実際上は空白のまま事実上占拠してしまうという結果になるじゃないですか。まだ交渉も始めてない。交渉をやるための準備を始めている、こう言われているわけですから、私はそういう準備を怠慢にしておられるということは、返すということを前提にしてやっておられるのだったら、それはいいと思います。ところが、どうしても返さないのだ、返還しないのだ、契約ができなくても返還はしないのだというたてまえをとっておってそういうことをやられておったら、これは土地所有者の権利をはなはだしくじゅうりんすることになっていくというふうに思いますので、契約ができなくて、そして強制収用の手続が裁決を得るまでにいかなかった場合には、これは当然日本国政府の責任で米軍との交渉をし、土地所有者に返還する、こういう筋合いのものだと思うのです。筋道どおりというものはそういうふうになっておると思うのですが、その点いかがでしょうか。その点だけ確認しておきたいと思います。
  249. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 従来の経験からしまして、かりに拒否をするという人が出るにいたしましても、その数はそう多くはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。かたがた土地収用法の手続につきましては、土地収用委員会はこの手続の遅延を防止するという規定もございますので、迅速な手続によりまして、また土地収用委員会のほうにもその点は手続ができるだけすみやかに行なわれますようなことをお願いをいたしまして、とにかくこの期限が満了いたしますまでの間には土地の取得をできるようにいま鋭意努力をいたしておるところでございますし、今後も、そういう手続をもし踏まざるを得ないという場合におきましても、収用委員会のほうにも御依頼いたしまして、間に合わせるように鋭意努力いたしたい、かように考えております。
  250. 東中光雄

    ○東中委員 沖繩の土地強制収用法といいますか、暫定使用法制定のときも、話し合いで解決がつく、ただ、所在不明者とか国外へ行っている人とかいうのがおるからこの法律が要るのだ、極力話をつけるのだ、つくと思っている、こういうふうに強調されましたけれども、いま現状はどうでしょうか。話し合いがついているのは、あと五日に迫って何%ぐらいあるのですか。
  251. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 現在、市町村ごとの地主会あるいは部落ごとの地主の方々と交渉いたしまして、予約取りつけの手続を進めておるところでございますが、これは五月の初旬——初旬といいましても、ごく最近でございますけれども、三十六市町村のうち二十九市町村が契約することに同意をしてもらっておるわけです。あと七市町村につきまして現在交渉中でございますが、これも若干の条件の問題がございますけれども、おそらくすみやかにこの問題の処理ができるというふうに考えておるわけでございます。ただ、これが地主の数で現在までに何%ぐらいかということは、いま計算がなかなかむずかしいわけでございます。この問題はやはり、沖繩の復帰後、具体的に契約をいたします場合に明らかになってくると思いますが、今日の状況からしまして、あと数日間でございますけれども、この問題は急速に処理できるというふうな見通しでございます。
  252. 東中光雄

    ○東中委員 仮契約、しかも集団契約で、いま言われているような町村単位でしかわからないという状態じゃないですか。契約というのは、一人一人の合意、意思の合致がなければ契約じゃないわけですから、そういう点で言うならば、あの沖繩国会で言われておった所在不明者もいるから一これはもう明らかに個人個々のことでしょう。そういう人たちが何ぼかおるかもしれないからあの法律が要るのだ、こういうふうに言われた。ところが事態は全然違う方向へ行っているじゃないですか。いまの場合はもっとひどいわけですね。七月二十七日、あなた方が適用すると言っておられる法律——いままでの経験から言えば、最短六十五日、平均すれば半年ぐらいかかっているのでしょう。だから私は、そういう事態では、これはもう明白に政府の方針として、契約ができておらぬのに不法占拠をやっていく、そのうちに何とか解決が出るだろうというふうな、全く私権をじゅうりんするような姿勢でおられる。いま腹の中に持っておられるのじゃないか。これは邪推かもしれませんけれども、そういう危惧を持つわけです。そういう点で特に、契約ができない、収用手続ができないという場合には当然返還する。また、収用手続をやる前には、必ず基地に土地所有者が入って、物件調書なり土地調書の作成に、立ち会い権があるのですから、立ち会う機会を与えるということを強く要請をしておきたいと思います。  それから、長官が見えませんが、次の問題に入りたいと思うのです。  いま横田基地に、C5Aギャラクシーが、最近は非常にふえて、六機も入ってきておるという事態が相当起こっておるようでありますが、このC5Aギャラクシーが、M48、あの重い戦車を積んで南ベトナムへ飛び立っていっているということがいわれておるのですが、実情はどうなっておるか、ひとつ明らかにしていただきたい。
  253. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  在日米軍が修理をいたしておりました米軍戦車、車両等の一部をベトナムに送った、ないしは送りつつあるという報道ないしは情報につきまして、外務省といたしまして、在京米大使館にその実情を照会いたしました結果は、現在修理中のものの総計は七十九台、うち積み出し中のものが五台ということを確認いたしました。しかしながら、具体的な輸送の方法、日付等につきましては、軍の活動の一部であるので、その詳細は明らかにし得ないのでごかんべん願いたいという回答でございました。
  254. 東中光雄

    ○東中委員 私、ここに横田基地の写真を持ってきておるわけですが、C5Aギャラクシーが六機同時に駐留している状態が出ています。そうしてギャラクシーに戦車を積んでおる写真、これは三葉あるわけですが、一部は新聞に報道されたものもありますけれども、これは軍の機密なんですか。これがアメリカ軍の機密で、このC5Aギャラクシーがこの戦車を積んでどこへ飛んでいっているのかということは、日本政府としてはアメリカから聞いていない、聞けない状態だというふうに言われるわけですか。
  255. 松田慶文

    ○松田説明員 そのようには申し上げておりません。私は機密ということどを使っておらないつもりでございますが、軍の活動に関することであるのでその詳細は申し上げにくいということを言ったとお答えしたつもりでおります。先方は、これを在ベトナム米陸軍あて送付しておる、それは申しております。しかし、どういう形で、いつ、何台ずつというような輸送方法の詳細については明らかにし得ないと言っておるわけでございます。
  256. 東中光雄

    ○東中委員 ギャラクシーに積んでベトナムの米陸軍へ、こうおっしゃったけれども、これはベトナムでの戦闘部隊ですね。ベトナムでいま遊びに行っている米陸軍というのはおらぬと思うので、戦闘部隊ですね。そこへ直接在日米軍基地から戦車が送られているということは、これは直接戦闘行動に密接不可分の関係ではないですか。
  257. 松田慶文

    ○松田説明員 お尋ねは、安保条約第六条の実施に関する交換公文でいうところの事前協議の対象となっているところの戦闘作戦行動と了解いたします。とするならば、先生もよく御存じと存じますが、ここで問題とされております行動は、わが国の施設、区域を使用して米国の軍隊が直接戦闘行為として発進していくことをいうものであることは、従来よりしばしば御説明申し上げているとおりでございます。したがいまして、今回の戦車の送付が、飛行機によるものであれ、船によるものであれ、送られていくという輸送行為、これは通常の補給行為の一端と把握すべきでありまして、それがとりもなおさず戦闘作戦行動と密着するというふうには考えません。政府といたしまして、戦闘作戦行動と密接不可分の形での補給行動、たとえば空挺部隊で、あとから戦場において弾薬を補給するがごとく、戦闘行動と不可分の態様をとっているものは戦闘作戦行動とみなすべきであるという答弁をるるしておりますることは私も存じておりますが、今回の戦車の送付はそれほどの——ベトナムという地に送られたあと戦闘に従事することが当然あるということは、先生御指摘のとおりだと思いますが、その場合があるとしても、日本から出ていくときの態様が、戦闘作戦行動そのものに結びつくとは考えておりません。
  258. 東中光雄

    ○東中委員 あなたと議論してもしようがないけれども、戦闘作戦行動に密接不可分の関係にある。きょう外務大臣おられぬが、きのう沖特で私が聞いたときには、空中給油は割り切ってそれには入らない、しかし空挺部隊が戦車を戦場へ直接送るという場合は別だという趣旨の発言をされています。だから外務大臣は、空中給油の問題を強調されて、そして空挺部隊とあわせて戦車ということも言われたわけですけれども、これは安保課長にいまここで議論したって始まらないと思いますから、そういうことを言いませんけれども、いずれにしても、こういう形で直接これは修理をして、しかも飛行機でわざわざ送っていく。船じゃ間に合わない。まさに直接戦闘行動と密接不可分の行動だといわざるを得ないじゃないですか。戦場へ直接送っていくわけでしょう。しかも、ベトナム侵略戦争の一番中心部隊で、空軍と一緒に活動しようという、そういう行動をとっているということですので、これはいま答弁されたようなことだと、事実上、全く前線補給基地になってしまうといわざるを得ないわけです。  さらに、この横田の基地にいまタイの飛行機が入ってきておりますね。これは何のために入ってきているのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  259. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  横田飛行場は、地位協定二条によって在日米軍に提供されました施設であると同時に、国連軍地位協定第五条第二項の規定によりまして国連軍に使用を認めておる施設でもございます。現在わが国には約五十名の国連軍がおりますが、そのうちタイ国は、輸送機二機からなる約二十数名の飛行部隊をわが国に置いてございます。したがいまして、御指摘の二機の横田飛行場におりますタイ空軍機は、国連軍所属の輸送機であり、国連軍協定によって適法に駐留しているものでございます。
  260. 東中光雄

    ○東中委員 タイのマークが入っていて、そして四〇五七四という番号が入っておりまして、その胴体には英語とタイ語でロイヤル・タイ・エア・フォースと書いてあります。これは国連軍でもそういう名前で入っているわけですか。
  261. 松田慶文

    ○松田説明員 そのとおりでございます。すなわち国連軍と申しますのは、その主力はもとより韓国に駐留しておるわけでございますけれども、わが国と国連軍派遣十二カ国との間の国連軍地位協定によりまして、一定の行為を日本国内でなし得る旨の条約ができておるわけであります。すなわち国連軍地位協定であります。したがって、国連軍としてわが国におりますタイ空軍部隊は、同協定、すなわち国連軍地位協定の規定に従ってそこにいるわけでございまして、その場合に、国連軍というのは一つの集合組織でございますから、本来の帰属たるタイ空軍の機体番号、マーク、このようなものはそのままつけている次第でございます。
  262. 東中光雄

    ○東中委員 南ベトナムの軍人が横田へ来ているという報道がありますが、これもやはり同じことですか。
  263. 松田慶文

    ○松田説明員 二つに分けてお答え申し上げたいと思います。  一つは、昨今横田に、たとえばベトナムで負傷したと思われる米軍人の後方輸送がふえているというようなお話があり、その中には、ベトナム軍人と見られる負傷兵もいるというお話も昨今ございますが、私どもの確認いたしましたところ、現在、横田飛行場におきましては、米軍人の負傷者の後送ということが特に多くなっている、従来に比してこの一、二カ月ふえているという事実は全くございません。そしてその中に、ベトナム人その他第三国人が傷病兵として含まれているという事実は全くございません。これが第一点でございます。  第二点、ベトナム戦争による負傷兵の事実の云々につきましては、全くないことはいま申し上げたとおりでございますが、そうではない、それと無縁の形でのベトナムその他の第三国人の横田を経由しての入国という事実は別途ございます。本年に入りましては一件もございませんが、ときおり、たとえば昨年の場合でございますと、一年間延べ人数にいたしまして百六十三人が、全部横田ではございませんけれども、横田を使い、あるいは羽田を使い、あるいは横須賀を使いということで、在日米軍基地の訪問、視察ということで、わが国に対する適正な入国手続を経て入ってきておる事例はございます。
  264. 東中光雄

    ○東中委員 その視察というのはどういうことですか。
  265. 松田慶文

    ○松田説明員 これはビジット、訪問でございまして、在日米軍施設を第三者が——第三者と申しますのは、米国軍人その他米国関係者以外の者がその訪問を希望をいたしますれば、それが日本人の場合であれ、その他第三国人の場合であれ、米側が許可することがございます。そういった意味での通常の意味の訪問、視察でございます。
  266. 東中光雄

    ○東中委員 南ベトナム軍の軍籍にあると見られる軍用車が入ってきている。それの暗緑色の車体前後に、黄色地に白ペンキで南ベトナム軍のものらしい車両ナンバーがついている、米軍のような星のマークはない、こういうのが入ってきているということがきょうの新聞で報道されておりますが、それとの関係で、そういった南ベトナム軍人が入ってきているということではないのですか。それは通常の入国と言われましたけれども、どういう方式をとっての入国なんですか。
  267. 松田慶文

    ○松田説明員 御質問が二つ、三つ御一緒になっているかと存じますが、冒頭におっしゃいました、南ベトナム軍マークの車両が入ってきているというおことばは、修理のための相模デポの件と了解してよろしゅうございましょうか。
  268. 東中光雄

    ○東中委員 はい。
  269. 松田慶文

    ○松田説明員 直接のお尋ねは入国手続ということでございますが、これは通常の政府職員の入国といたしまして、各地の在外公館におきまして、公用旅券の呈示、入国査証申請がございまして、そこで許可を与え手続をしております。わが国入国時には、法令に従った入国手続がとられております。出国の場合も同様でございます。
  270. 東中光雄

    ○東中委員 相模補給廠に入ってきているものはどうですか。
  271. 松田慶文

    ○松田説明員 車両の問題ですか。
  272. 東中光雄

    ○東中委員 はい。
  273. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたように、七十九台の戦車ないし兵員輸送車その他が相模補給廠で修理を行なっていることは、先ほど申し上げたとおり、事実でございます。これらのものは、米陸軍に帰属する戦車、車両であって、ベトナムの米陸軍に送られ、そこで使用中に破損し、損傷し、これを修理再生するために送り返してきているものでございます。  これは昨今の仕事じゃございませんで、実はここ数年、毎年、量は違うと思いますが、やってきております。修理したあとは、あるものは米本国へ返されて予備車両となり、あるものはその他の地域に返送される。もちろんベトナムへまた行くものもございます。したがって、それはベトナムのものをベトナムのために修理しているのではなくて、あくまでも米軍財産を米軍がみずから修理しているという実態でございます。その途中におきまして、すなわち、その当該車両がベトナムにあります間に、米軍自身がみずから使用して破損したものもあれば、MAP、すなわち軍事援助計画によりまして南ベトナム軍に貸与したものもあると聞いております。そして貸与した場合に、それが破損されると援助約款によりまして、米側はそれを引き取り新しいものと差しかえるという援助のやり方をやっております。したがいまして、ベトナム国軍に貸与されたものが破損いたしますと、その段階で米陸軍に返却になりまして、そして米陸軍は、使えないものは捨て、使えるものは再生するというみずからの行為として、その修理行為の一部を相模補給廠でやっているという次第でございます。
  274. 東中光雄

    ○東中委員 米陸軍が南ベトナム軍に貸して、それを使って、今度はそのものを持って補修に来て、またベトナムへ行って南ベトナムに貸すということもある、いまのを総合すればそういう答弁になるんですか。
  275. 松田慶文

    ○松田説明員 相模補給廠で修理しております全部がそうであるということではございませんが、その中には、結果としてそのようになるというものもあり得るということは事実であろうと思います。すなわち、日本へ送られてきました段階では、米陸軍に返却された米陸軍の財産としての車両であります。それを修理更生したあと、本国の指示によってどこへ行くかはその段階できまるわけでございますが、結果として、もう一度ベトナムへ送られて、そこでまた米軍自身またはベトナム軍への貸与としての使用ということもあり得る。排除されないと思います。
  276. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると結局、アメリカと南ベトナムとの軍事同盟、それから日米安保条約、これが組み合わさって、観念的には変わっているようになりますけれども、実際上は日本の相模原の補給廠で修理をされて南ベトナム軍がそれを使うという形に結局なってしまう。安保条約、在日米軍を介して南ベトナム政府軍に日本の基地がそのまま使われていくということになってしまうということ、これは非常に重大な問題だと私は思うのです。特に南ベトナムだけじゃなくて、タイの飛行機が今度厚木へ来て日飛で修理をしているという問題がございますが、それはどうなんでしょう。
  277. 松田慶文

    ○松田説明員 御指摘のとおり、タイの海軍機が厚木飛行場に参りまして、その隣接の日飛において、米軍の手により修理をしておるという実態があるということは事実でございます。昨年夏以降五機、そのような実績があると承知しております。
  278. 東中光雄

    ○東中委員 米軍の手によってですか。日本飛行機株式会社じゃないのですか。
  279. 松田慶文

    ○松田説明員 御説明申し上げます。  このタイの海軍機の修理も、ある程度先ほどと似ておるところがあるのでございますが、これもまたMAPによりタイ国に供与された飛行機でございます。そしてその供与約款の中に、一定レベル以上の修理は供与後も米国政府が米国政府の責任と費用の負担において修理するという約款づきで提供された航空機であります。したがいまして、これらタイの飛行機が修理されますのは、米軍と日本の関係飛行機修理工場との契約によって、米軍の費用支弁によりまして修理をしております。しかしながら、当該飛行機がわが国へ入ってまいりますのは、これはタイ国機として入ってきております。したがいまして、飛行機の乗り入れ自身につきましては、通常の外国政府機の入域の場合と同様、外交ルートによる申請があればこれを許可し、乗員の入国につきましても、これまた成規の手続による入国審査を行なって許可するという方法を経てタイの飛行機は入ってきております。
  280. 東中光雄

    ○東中委員 通産省から来ていただいているのですが、日本飛行機でタイ国の飛行機を修理しているのは、いままでどれくらいあって、現在どれくらいありますか。
  281. 山野正登

    ○山野説明員 日本飛行機で現在修理を行なっておりますものは、昨年の六月以降の契約に基づくものでございまして、タイ国その他マークのもの合計七機ございます。  この七機の内訳を申し上げますと、完成のものといたしまして、HU16D水陸両用機が一機、それからS2F対潜哨戒機、これが一機。それから現在修理中のものといたしまして、S2F対潜哨戒機二機、それからHU16B水陸両用機一機。それ以外に韓国のものが二機ございます。以上合計七機でございます。
  282. 東中光雄

    ○東中委員 それは、いま安保課長が言われたのとは全然別ですか。同じものですか。
  283. 山野正登

    ○山野説明員 同じものでございます。
  284. 東中光雄

    ○東中委員 契約は、日飛はどこと契約しているのですか。
  285. 山野正登

    ○山野説明員 合衆国軍隊とやっております。
  286. 東中光雄

    ○東中委員 グラマンパッケージと普通いわれておりますけれども、グラマン社との契約ではなくて、米軍から直接タイ国の飛行機の修理を頼まれている、こういうことですか。
  287. 山野正登

    ○山野説明員 おっしゃるとおりでございます。米海軍からの発注でございます。
  288. 東中光雄

    ○東中委員 この日本飛行機の工場へタイの軍人が来ておる、そういう事実はありますか。
  289. 松田慶文

    ○松田説明員 私どもといたしましては、現に入国を認めまして、認めされた期間わが国に滞在しておりますそのタイの海軍の乗り組み員ないしは機関士等が、日本に滞在期間中、その日飛の工場へ行くことがあるかどうかの詳細は、外務省としては知る立場ではございませんが、かりに訪れることがあっても、成規の手続を経て入ってきておりますその滞在期間中の行為でございまして、問題はないことと考えます。
  290. 東中光雄

    ○東中委員 ここに写真がありますけれども、はっきりタイ国マークが入っているこの軍用機の補修を日本飛行機でやって、しかもその日本飛行機の職場の中に五人のタイ国の将校がいます。しかも相当長くいる。従業員ともいろいろ話している。身分証明書を出す、こういうふうな状態が続いておるわけですが、そういうことは関知しないと言うのですか。多国の将校が来て、その国の軍用機の修理を日本でやっている。しかもそのタイ国というのは、ベトナム参戦国であり、いままさに熾烈な戦争をやっている、そういう国です。それを政府としては関知しない、野放しということになるんですか。
  291. 松田慶文

    ○松田説明員 関知しないとは申し上げにくいことばでございますけれども、そういう目的を持って入国申請がありまして許可しておる次第でございますので、野放しという表現は、私は適当ではないかどうかちょっとわかりませんが、かかる行動を制限するという事由はないやに考えております。
  292. 東中光雄

    ○東中委員 日本飛行機株式会社でタイ軍用機の補修行為にタッチするために、その目的で入ってきているんですよ。そういうものを認めておるということですか。
  293. 松田慶文

    ○松田説明員 結論的にはそのとおりでございます。すなわち、タイ国政府から在京大使館を経て申請のあります口上書の中には、飛行機の乗り入れとその日付その他の場所等の詳細、乗り組み員の氏名、その飛行機を日本に持ち込む、すなわち修理という目的その他が内容として入っておりますから、それらを全部踏まえた上で日本政府としてこれを承認したわけであります。
  294. 東中光雄

    ○東中委員 タイという国は、武器三原則でいう紛争当事国ないしそのおそれのある国ということになるのでしょうか。通産省、どうでしょうか。
  295. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 お答えします。  武器三原則でいう紛争当事国または紛争のおそれのある国に該当するものと思います。
  296. 東中光雄

    ○東中委員 紛争当事国そのものに該当すると思うのですけれども、その国の軍用機をその国の軍人立ち会いのもとに修理をする、これは武器三原則からいって、武器三原則には関係がない、こういうことで認めておられるわけですか。
  297. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 いわゆる武器三原則と申しますのは、外為法に基づきます輸出貿易管理令、それに基づきます輸出承認をするかしないかという場合の運用基準でございまして、本件のような場合には、地位協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令によりまして、第九条でございますが、適用除外になっております。
  298. 東中光雄

    ○東中委員 結局、安保条約と地位協定、そしてアメリカとタイ国の軍事同盟、これが橋渡しになって武器三原則なんて言われているけれども、そういうことは全然適用除外になって、幾らでもやっていってもかまわない、そういうたてまえになっておるということでございますね。
  299. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 いわゆる武器三原則は輸出貿易管理令の運用基準でございますので、これから輸出貿易管理令の承認を受ける必要がないということになりますので、いわゆる武器三原則の考え方の外の問題であるというふうにわれわれ考えております。
  300. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間ですので、これは防衛庁長官に聞いておきたいのですけれども、先ほど来お聞きしておったのですが、要するに相模補給廠で七十九台のベトナムから送られてきた戦車が補修される。すべてがベトナムへ行くとは限りませんけれども、いま現に横田からC5Aギャラクシーが六機にもふえて、それをベトナムに向かって送り出しているという事態が一つあります。それからタイ国の飛行機が横田へ入ってきておる。これは国連軍地位協定だということで入っておる。さらに厚木飛行場へはタイ国の軍用機が入ってきて、それが民間企業の日本飛行機で補修をされて、その修理についてはタイ国軍人が立ち会っている。そして当然のことながら、修理を終われば、インドシナ、あの戦火のまっ最中のところへ帰っていく。こういう形で、日米安保条約地位協定と、アメリカとタイとの軍事同盟なり、あるいは南ベトナムとの軍事同盟、援助協定、この二つの条約を軸にして、日本は直接の軍事協力加担、ベトナム侵略に協力するというような、そういう形になっていっているわけですが、こういうことについて、それでけっこうなんだというお考えなのか。ひとつ長官の御意見をお聞きしたい。
  301. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは先頃来問題になっておるわけでありまするが、タイ国籍の飛行機といいますか、そういうものではない。私どもの調査をした結果は、米軍がタイ国側に貸与したものである、こういう返答が返ってきておるんです。そこで、これがオーバーホールというか、機器整備を受ける、こういう場合は、やはり安保条約の地位協定上、日本側としても異を唱えることはどうもむずかしいというふうに考えます。  それから、飛行機そのものは、これは戦車の場合とちょっと違いまして、もともとここへ来るときに飛んでくるわけですね。したがって、まだ飛ぶ能力のあるもの、これがまさか戦場で痛んだものとか、そういう考え方は成り立たないように思えます。飛ぶ能力のあるものが来て、そして整備を受けるというわけでありまするから、はたしてこれが戦闘に参加しておったものか、これは私はさようには考えられない節が多いというふうに判断をいたしております。それからまあ戦車の場合でも、これは米軍の戦車を整備するわけでありまするから、いずれ政府委員からもお答えをいたしますが、どうも地位協定上それはやむを得ぬのではないか。  ただ問題なのは、いまベトナム情勢が再び緊迫化いたしております。そういうところにいきなり送られていくということになりますと、もちろん直接日本にはかかわりのないことでありまするが、そういう誤解を生ずる。何となく誤解を生ずるということは決して好ましいことではないと思うのであります。実情についてはもっと十分調査をしたいと考えます。
  302. 東中光雄

    ○東中委員 私が申し上げておるのは、ベトナム戦争の参戦国、南ベトナム、タイあるいは韓国、こういうものが、国連軍地位協定を根拠にしたり、あるいは安保条約を根拠にしたり、あるいはアメリカとのそれぞれの国の軍事同盟を橋渡しにして自由に日本へ入ってくる。日本政府が国連軍地位協定の場合は認めれば、それで入ってくるいうことで、次々に日本がベトナム戦争、インドシナ戦争での前線拠点になっている。こういう仕組みというのは、これは形はアメリカとの条約ですけれども、実際上は、アメリカを媒介とすることによって、間接的に日本とほかの国が軍事同盟を結んだような形になって軍人が入ってくる。参戦国に対する、あるいは紛争当事国に対する武器三原則なんというようなことを非常に麗々しく武器輸出については言われておるわけですけれども、実際は補修なんというのは自由にやられておる。こういう形というのは日本を非常に危険な状態に置いている。特にいまのようなベトナム侵略が非常にエスカレートしているという状態では、きわめて危険な状態に置くと思いますから、そういう点について、法律上そういうからくりになっておること自体が、私は非常に問題だと思うのです。これは、そういうからくりになっておって、それの運用上また非常に危険な方向へ行っておる、こう思いますので、その点についての長官の御意見をもう一回お聞きして質問を終わりたいと思います。
  303. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 日米安全保障条約を締結しております一つの日本側としての義務行為というような形のものでありますので、これをむげに拒否するということは非常にむずかしい問題だというふうに考えます。またベトナム戦争は、私ども何べんも申し上げておりますように、日本としては、これに直接介入をしようとか、そういう意思は全然持っていない。にもかかわらず、その兵器の修理等をめぐって誤解を生ずることがあるというようなことがあるならば、これは残念なことだと思います。しかし、いまの飛行機の整備、戦車の整備程度のものであるならば、これはその整備自体をめぐっていたく相手を刺激するとか、それが国際紛争の原因になって、日本に敵対心を抱かせることになって、日本への一つの侵略的要素になるとか、そういうものではないというふうに考えております。しかし、平和愛好の国として、極力誤解を生ずるようなことを避けていくことは、これはやはり私、重要なことだと思いますので、今後、実情を十分調査の上、こういった問題には慎重に対処するようにいたしたいと思います。
  304. 東中光雄

    ○東中委員 すぐそこの横田からギャラクシーで戦車を送っていくと、もうすぐあすにでも向こうへ着く。それがベトナム人民を殺戮しているんだというふうなことをなまなましく感じた場合、私は、日本が非常に危険な、そしてアジア人同士として耐えがたいような侵略加担ということを強く感じるわけですから、そういう点でこういう実態についてひとつ強く抗議をしたい、こう思うわけであります。  質問を終わります。
  305. 伊能繁次郎

    伊能委員長 上原康助君。
  306. 上原康助

    ○上原委員 沖繩の本土復帰もあと余すところ五日後になりましたが、なおかついろいろの問題をかかえて、県民が五月十五日の施政権返還ということを心から喜ぶことができない現地の状況であります。これまでも、軍用地の問題や基地の問題など、いろいろ政府の御見解をお尋ねをしてまいりましたが、きょうは、復帰を目前にして特に問題になっております軍用地の契約問題について、政府のお考えをお尋ねをしたいと思います。  そこで、軍用地をはじめとする公用地などの賃貸借契約の作業というものがどういうぐあいに進んでいるのか。政府の方針なり考え方というものは、しばしば本委員会なりあるいは沖特等でも述べてきておるわけですが、現段階における作業の進行状況、あるいは一番問題になっている点はどういうことなのか、その点についてまず御説明をいただきたいと思います。
  307. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この問題は、しばしばいろいろな機会にもお答え申し上げておりますように、私どもは、できるだけ土地の所有者と円満な話し合いによりまして収用を進めていきたいということで、実はことしの初めごろから、地主会連合会、さらに市町村の地主会、さらには部落ごとに、賃借料その他の地上権につきまして御説明を申し上げまして、具体的な契約交渉に入っておるわけでございます。  そこで、今日の段階におきまして、契約することに同意してもらった市町村の数が、三十六市町村のうちの二十九に及んでおるわけです。いま交渉中の市町村が七市町村でございます。これが地主の数に占めますところの比率がどれくらいかということは、まだ確実にはつかめません。これはやはり若干の日時を要するかと思いますけれども、残ったこの七市町村につきましても、先日来、地元からいろいろ出されておりますところの条件につきまして十分説明をいたしておりますので、これは急速に妥結に至るんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。七市町村のうちには、借料の提示につきましてさらに不満であるというものが若干ございますので、そういう点は、十分御納得いただければ急速に合意に達するという見込みでございます。それ以外に、基地の提供そのものに反対であるという態度を表明している村も若干ございます。したがいまして、これは交渉もなかなか難航いたしておるわけでございますけれども、最後まで極力合意を取りつけるように努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  308. 上原康助

    ○上原委員 できるだけ円満な解決策を見出す努力をしてこられた、そして三十六市町村のうち二十九の市町村が合意に達し、七つの市町村については目下交渉中だということですが、率直にお尋ねいたしますけれども、政府が当初御判断なさっておった、あるいは推定しておられたことと、実際に契約交渉を進めている段階で、事務的な処理というものがスムーズにいったのかどうか。また、市町村の数でなくして、すでに契約に合意した地主は一体どの程度いるのか。軍用地を契約をしない、あるいは基地として提供しないという意見の持ち主の地主にもいろいろの方がいると思うのです。そういう面の分析といいますか、分類はどうなっているのか。もう少し具体的に説明をいただきたいと思います。
  309. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この契約交渉は、実際に実施してみますと、やはりいろいろな問題が出てまいったわけでございまして、地主連合会と話し合いをしておりました段階におきましては、まあ比較的これがスムーズにいくのではなかろうか。御承知のとおりに、借料そのものにつきましては、地主会連合会の要求をほとんど満額予算化しておるということもございまして、期待をいたしておりましたが、実際に各市町村あるいは部落ごとに説明をいたしてまいりますと、やはりそこに若干説明上のいろいろなむずかしい点も途中の段階にございまして、最初から全体の全貌を明らかにするということでもなかった関係で、いろいろやはりそこに疑問の点も出てきたようでございまして、そういう点は、二回目の市町村との話し合いにおきまして解明をいたしておるわけで、そのころから急速にこの契約に応じるという態度が出てきたわけでございます。  そこで、御承知のとおりにたいへん多数の地主でございますので、一人一人との契約交渉ということは、これは時間的にもできませんので、各部落ごとに受任者をきめていただきまして、個々の地主は、その受任者に対しまして、その契約の交渉について委任をするということで、いわゆる代表者との予約取りつけという形をとったわけでございます。したがいまして、いま御質問の、個々の地主の何名が今日まで契約に応じたかということについては、これはまだ算定ができておりません。大体、市町村単位で先ほど申しましたような状況でございます。具体的には、この契約は、復帰後におきまして、個々の地主と詳細な契約条件をもとにしまして契約をいたすわけでございますので、まだ実はそこまでの把握が今日の段階においてはできておらない。  そこで、七市村のうちに、借料の増額につきまして、今日の段階でまだ最終的な結論を得てないのが四市村ございます。主として中部地区が非常に難航いたしておるわけでございます。しかしながら、これも急速に妥結に至るという見通しでございます。まあ一部に、村長自体で反対をしておられるというところがございます。これはやはり、基地の提供そのものに反対である、こういう態度でございますが、そこにはもちろん村有地以外に民有地がございまして、民有地の地主を個々に当たってみますと、かなりの方が契約に合意される、こういうような姿も出てまいっておるわけでございまして、ここ数日間に最終的な全貌が明らかになるというふうに考えております。
  310. 上原康助

    ○上原委員 たいへん苦しい御答弁をなさっているわけですが、先ほど申し上げましたように、復帰はもう目の前に来ているわけですよ。あと五日もすれば完全に日本の施政権下に返る。これまでの国会答弁から、政府の言い分は、すべてが話し合いで解決できるんだ、よしんば応じないにしても一割ないしそれ以下だ、という答弁を繰り返し繰り返しなさってきているわけですね。しかし現段階まで、個々の地主が応ずるのか、あるいは応じたのかという集計もとられていない。そうなりますと、復帰の時点において、軍用地というものが、当初政府がお考えになっておったこととは大きく違った形で、強制的に収用される、そういう段階に私は来ていると思うのです。その背景、あるいはなぜこういう状態になりたのかということについてはどうお考えなんですか。  それと、地主連合会を中心に、あるいは部落の地主のだれか代表を選んで契約に応ずるように話し合いを進めているということですが、本来なら、地主個々人と面接をし、話し合いをしてやるべき業務であるはずなんですよね。地主連合会を中心に契約させるということにも私は非常に問題があると思う。そういう点についてはどうお考えなのか。これから議論を進めていく上において、もう少しそこいらの点をただしておきたいと思うのです。
  311. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 私どもは、最終的な姿を今日の段階でまだ明らかにし得ないのは遺憾でございますけれども、当初の予想よりも非常に大きく下回るというふうには考えておりません。やはり当初の予想、九〇%というのか九五%というのか、この辺は、私ども当初からそこまでは申し上げておりませんけれども、大多数の方が契約に応じてくださるというふうにいま考えておるわけでございまして、予想が大きく下回っておるということはございません。  それから第二点の、本来であれば個々の地主と契約をするというのがたてまえでございますけれども、何分にも非常に数多い地主でございまして、それから、来年度の予算がきまりましてから以降におきまして具体的な提示をいたしたわけでございますので、やはりこれは、本土においてもそうでございますけれども、代表者によりまして話し合いを地主と進めてもらって、そして代表者に一応委任をするという形で交渉を始める、そういうのが従来からの例でございますので、理想的に言えば、やはり個々の地主との十分な話し合いということだと思いますけれども、仕事を効率的に進めていくという上におきまして、やむを得ずこういう姿をとっておるわけでございます。
  312. 上原康助

    ○上原委員 大多数の人が契約に応ずると思っておられるということですが、それは五月十四日までですか。あるいは、それ以降にまた交渉を進める中で応ずるという立場をとっておられるのか。その点はどうなんですか。
  313. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 全体として合意していただく地主の数が何名であるということは、実は復帰の時点においても必ずしも明確でないと思いますが、一応、市町村ごとに、あるいは部落ごとに合意をされるということになれば、そこの地主の数からしますれば大体の予想はつくわけでございまして、そういうことで、復帰までの間に大多数の方が契約に応じてくださるというふうに考えておるわけでございます。
  314. 上原康助

    ○上原委員 皆さんが契約交渉をなさる場合、地主なり、あるいは各市町村の区や部落に行っていろいろ説明なさっているようですが、防衛施設庁として、政府として、契約内容についてどういう説明をしておられるのか。
  315. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 契約内容の中で一番大きな問題は、借料の予算関係の御説明でございます。そしてその施設、施設につきまして、従来の地目をどういうふうに評価していくか、それの単価は周辺の土地の開発状況からしてどれぐらいであるかというふうなことにつきましての御説明。予算の中につきましては、借料あるいは関連見舞い金、こういうものについての説明というものをいたしておるわけでございます。  それから賃貸借の契約の手続につきましては、こういう「賃貸借契約のしおり」というものを配付いたしまして、これに基づまして十分部落会ごとに説明を行なっておるわけでございます。さらに、賃貸借契約書の中身についても、この段階において十分説明いたしておるというのが今日までの状況でございます。
  316. 上原康助

    ○上原委員 地目についての変更というものは可能なんですか。
  317. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地目そのものについての変更ということは、これは施設庁だけでできるわけのものではございませんので、たとえば農地につきましては、その農地が今日の段階において宅地並みの借料を要求するという場合におきましては、一応宅地見込み地としての評価をいたしまして、それに基づいて借料を算定する。原野につきましても、それが農地見込み地であれば、農地見込み地としての算定をするということで、各施設ごとに線引きをいたしまして借料をきめます。こういうことでございます。
  318. 上原康助

    ○上原委員 御承知のように、従来の軍用地地目というものは、アメリカが接収した当初の地目を用いているわけですね。かりに、今回契約に応ずる、あるいは契約をなさるという場合は、従来の地目というものを適用するのか。その地域の社会開発なりいろいろな面での変化というものがございます。そういうものも対象にしてのことを実際に説明をしているのかどうか、非常に疑問があるわけですね。地目変更の可能性というのは一体政府はどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  319. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地目につきましては、これは実際の事務は登記所で行なわれると思いますが、これは本人の申請に基づきまして、実際に現地で調査をいたしまして、そして地目の変更という手続はとられると思います。そこで、地目がやはり借料算定の一つの基礎になるということはもちろんでございますけれども、本土の場合におきましても、必ずしもその地目にとらわれないで、その土地の周辺の開発状況、具体的には土地の売買価格あるいは賃貸借の価格、そういうものを基準にいたしまして具体的な借料算定をいたしておりますので、沖繩の場合におきましても、従来の地目は、これは米軍が当初収用したときの地目がそのまま原則的には続いておるわけでございますので、その地目で借料算定するということは実情に合いません。したがいまして、本土と同じように、周辺の開発状況というものを勘案しながら、具体的な借料は必ずしもその地目にとらわれないで算定をする、こういう方針をとったわけであります。
  320. 上原康助

    ○上原委員 この点はまたあとで少し触れますが、説明の内容の問題ですが、様式を用いて、借料の中身とか、あるいは予算との関係、地目の説明をいろいろなさっているということですが、じゃ、かりに契約に応じた場合の使用期間なり、応じない者との関係というものはどうなるのか。そこらについて説明をしていただきたいと思います。
  321. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 契約の中身の中で、いまの使用期間の問題ございますが、これは本土におきましても、一応駐留軍の用に供するために使用しておるその土地につきましては、駐留軍がその使用を継続しておる間は契約は継続しておる、こういういわゆる本土の不確定期限という考え方をとって、それに基づいて説明をいたしておるわけでございます。ただ、年々の賃借料につきましては、それは予算に基づきまして更改をいたす必要がございますので、この賃借料につきましては年度の期間、こういうことになるわけでございますが、契約そのものは、米軍が使用に供しておる間は継続をするという考え方で説明をいたしておるわけでございます。  暫定使用法に基づきますところの土地の使用をいたします場合には、これは暫定使用法の中に書いてございますように、損失の補償をいたすわけでございます。その損失補償は、一応われわれとしましては、借料相当額というふうに考えているわけでございまして、これはこの使用の期間は、御承知のとおりに、先般の政令をもちまして、一時使用の訓練所並びに建物につきましては使用期間を一年、その他の土地につきましては五年ということで政令が出されたわけでございます。
  322. 上原康助

    ○上原委員 この使用期間の問題ですが、米軍が使用している間は不確定期限で使用するのだ。公用地等暫定措置法との関係、あるいはそのほかの法律との関係いろいろ出てくると思うのですが、たとえば皆さんがおつくりになっている土地建物等賃貸借契約書という、これは政府からもらったのがあるのですが、この第五条で、「本契約期間は、昭和 年 月 日から昭和年  月 日までとする。ただし、乙において必要あるときは、甲乙協議の上、本契約を更新することができる」、そのほかいろいろあるのですが、ここに書き込まれる期限というのは、じゃどうなるのですか。たとえばAという地主が契約に応じたという場合は、何年何月何日から何年の何月何日までというふうになるわけですか。
  323. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 第一年度におきましては今年の五月十五日から来年の三月三十一日まで、来年以降になりますれば四月一日から三月三十一日まで、こういうのがこの条項に記載をせられるわけでございます。
  324. 上原康助

    ○上原委員 契約も一年ごとに更新をしていくということですか。
  325. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 賃借料につきましては、先ほど申しましたように、毎年毎年予算によりまして更改いたしますので、賃借料は普通の年度でありますれば四月から三月まで、こういうことですが、契約そのものは、この前文にありますような目的で使用をいたすということで契約いたしますので、これは米軍が使用を続けておる間はこの契約は継続される。しかし借料につきましては、毎年毎年単年度で更新をしていく、こういう趣旨でございます。
  326. 上原康助

    ○上原委員 そこを誤解したら困りますよ。そこを十分確かめないといけないわけですよ。私はいま賃借料の問題を話しているわけじゃないのです。ここには「本契約期間は、昭和 年 月 日から昭和年月日までとする。」とあるのです。そこを皆さんはいま地主に対して、実際に非常にぼかした形で説明をしているのです。もし一年更新であるとするなら、じゃ公用地等暫定措置法との関係はどうなるのですか。使用料の問題はあとで議論しますが、一体ここにいう契約期間は、五月の十五日からかりに契約に応ずる地主の、その土地を提供するという期間は一体何カ年になるのか、はっきりさせてくださいよ。
  327. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは本土の契約書の書式を沖繩においても適用するということで、本土でもこういう書式で契約をいたしております。そして契約そのものは、先ほど申しましたような不確定期限をとっておるわけでございまして、これは十分地主の方々もその点で了解をされております。また沖繩におきましても、その点は十分地主会等に御説明をした上で契約に応じていただくという手続を進めておるわけでございます。
  328. 上原康助

    ○上原委員 ですから、結局は使用期間というものは不確定で、米側が使用したいという間は、無期限に、あるいは不確定に続くということでしょう、一たん契約をすれば。その点をはっきりさせてくださいよ。確かに、使用料というもの、地代というものは一年ごとに更新するでしょうが、契約期間というものは、乙のほうが提供してもらいたい。ことばをかえて言えば、アメリカが使用したいという間は、一たん契約をすれば続くということでしょう。そういう契約内容になっているということをなぜ明確にしないのですか。
  329. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その点は、しばしばお答え申し上げておりますように、そういうことで契約に応じていただくための手続をとっておるわけでございまして、これは本土におきましても全然疑問ございません。そこで本土におきましては、御承知のとおりに、民法の賃貸借契約が二十年ということで、ことしがその年度が到来いたしますので、民法六百四条というものは米軍に提供している土地につきましても適用があるという政府の統一した見解が出されたわけでございまして、民法から言いますれば、二十年間が存続期間、こういうことになるわけでございます。
  330. 上原康助

    ○上原委員 いま大体明らかになったわけですが、そういたしますと、この賃貸借契約書の第五条というものは、明らかに地主に誤解を与える結果になると思うのですね。確かに目的のほうではいろいろうたっている。しかし、一般的に法律というのは非常にややっこしいもので、かつ抜け穴があるというのが多いわけですね。あたかも本契約期間は何月何日から何月何日までとするというふうにありながら、実際問題としては、米側が使用をする間は無期限に土地を提供しなければいかぬということになるわけですね。  そうしますと、いま長官の御答弁との関連で議論をいたしますと、かりに五月十五日に契約に応じて、民法の六百四条を適用するという場合は、向こう二十年間契約期間は続くということでしょう。そういう想定でしか土地というものは提供できないということになるわけですね。たとえ民法の適用というものが政府の統一見解でようやく出されたにしても、一たん契約をした場合は、七二年の五月十五日から向こう二十年間は沖繩の土地は無条件で使用される。そのことについて、はたしてどれだけの国民や地主の方が知っているか、私は非常に疑問なんですよ。そういうことになるわけですね。
  331. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その点につきましては、沖繩の地主の方々にも十分説明をいたしておりますので、徹底をいたしていると思います。そこで、本土の場合におきましても、これは本年が二十年になるわけでございますが、毎年毎年この賃借料の更改をやりますにつきまして、大多数の方がずっと引き続き契約に応じてくださっているわけでございますので、その点は、沖繩の場合におきましても十分御説明してありますから、その間にそごはなかろうというふうに考えております。
  332. 上原康助

    ○上原委員 盛んに使用料、いわゆる地代の点と関連さして答弁なさっているわけですが、私はやはり、土地を提供する甲のほうの権利というものを擁護されなければいけないと思うのですよ。貸すかどうかは本来地主のほうに権利があると思う。しかし、あえてそれがむずかしいという情勢の中で、強制収用法を強引に押しつけて、なおかつこういった契約の内容をきめる。まだ安保条約あるいは地位協定があるから提供するのはやむを得ないという答弁が返ってくるでしょうが、特に沖繩の現在の実情からして、この問題はもっと明確にしなければいけないのですよ。  さらに第二十三条には、「甲は、本契約の存続中、乙の承諾なしに本賃貸物件及び本契約から生ずる権利義務を第三者に譲渡し、又はその他の物権を設定することはできない。乙の承諾を得て第三者に賃貸物件が譲渡された場合においては、甲は、本契約を譲受人に承継されなければならない」。あくまでも地主の意向というものでなくして、借りる乙のほうの恣意的な意思によって、土地というものが契約を結んだ場合には左右されていくということになっているわけですよ。皆さんはどういう形で地主の皆さんにいろいろ説明しているか知りませんが、一たん契約した場合は、自分の土地でありながら契約を破棄することもできない。あるいは第三者に譲渡することもできない。物権を立てるわけにもいかない。大きな制約が法的に課せられているわけでしょう。この点についてはどうお考えなんですか。実際問題として、私は政府の役人としての立場ならわかりますが、いまの沖繩の地主の立場から、軍用地を提供したくないという方々の意向というものを尊重するならば、要するに、中身というものを明確にし、その上で話し合いというものを進めていかなければいけない、こういう意見も含めていま質問をしているわけなんです。  私も、これはきょういただきましたので、十分に調べてございませんが、いろいろ問題が出てくると思う。従来アメリカが行なっておった賃貸借の内容とどう変わるのですか。これはほとんど変わらないですよ。むしろ部分的にはアメリカが行なっておった面がいいかもしれない。これだけ問題のあるものをそうやすやすと片づけられては困るというのが、いまの沖繩の軍用地地主の方々が、契約に応じがたい、拒否をせざるを得ないというところに私は来ていると思うのです。その点についてはどうお考えなんですか。
  333. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 私は、布令二〇号に基づきますところの現在の米側の行なっております賃貸借契約と本契約と比べまして、明らかにこの本契約の中には、地主の権利擁護という立場から見まして有利に規定されているというふうに考えておるわけでございます。  御承知のとおりにアメリカは、地目そのものも変更いたしておりませんし、借地につきましては、土地借賃安定法で五カ年間据え置くということもございます。その周辺の開発状況が賃貸借料に反映をしておらないという現実。それから、復元補償についての、原状回復についての規定は一応ございますけれども、それ以外の損失補償につきましては、ほとんど従来アメリカとしては見ておらないわけでございまして、そういう各種の損失補償に対する規定がございます。  そこで、この中身につきましては、先ほど申しましたように、十分地主側の方々にも御理解いただいておると思いますけれども、いまの二十三条の問題は、これは本土でもこういう規定でございまして、本土規定を沖繩にも適用しようというわけでございますが、これは沖繩におきましても、この条項についてはいろいろ疑問の点もあるようでございますので、この規定規定といたしまして、実際の運用面におきましては弾力的な運用をはかるようにわれわれとしては考慮していきたい、かように考えておるわけでございます。
  334. 上原康助

    ○上原委員 あまりことばじりをつかまえて議論はしたくありませんが、確かに賃貸料の側面から見ると、この契約の中身というものは、従来の布令二〇号に基づいてなされた賃貸借契約よりも前進している。そうでなければまたいけないと思うのです。しかし問題は、アメリカが不法、不当に取り上げた土地というものを提供する地主の権利というものを擁護をするという立場での財産権の問題から言うと、さして変わりはないと言うても過言でない。その点を私は指摘をしているわけです。  そこで、いまはっきりしたことは、契約に応じた場合は、向こう二十年間、アメリカに使用権限というものがなされる形になる。そういたしますと、暫定措置法においては五カ年となっているわけですね。かりに契約に応じない場合でも、まあ権力で強制使用なさる。民法六百四条を適用した場合との関連はどうなるのですか。契約上における暫定措置法との関係です。
  335. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 暫定使用法は、御承知のとおりにいわゆる暫定使用でございまして、最長五カ年間ということでございますが、この五年間の間に、地主の方々と、できるだけこの契約書に基づきまして合意の取りつけの努力をしていくという期間でもございますし、それから駐留軍の土地に関する特別措置法という法律がございまして、どうしてもその使用期間中に契約に応ずるという見込みがないという場合におきましては、その特別措置法の適用ということが考えられるわけでございまして、その特別措置法によって正規の使用権を国が取得する、こういう手続になるわけでございます。この契約はあくまでも両者間の合意、任意に基づくところの契約でございまして、米軍が使用しているものは使わせていただく、こういうことでございます。これはあくまでいわゆる法律に基づきますところの権利制限ということではなくて、これは両者間の自由な合意の結果に基づくところの契約である。そういう点におきまして、この両者周には大きな差異があるわけでございます。
  336. 上原康助

    ○上原委員 ますます問題は多くなるわけですが、もちろん暫定使用法の目的そのものが、契約に応じない地主の土地というものを強制的に収用するという立場での悪法であるわけですが、結果的には、五カ年間に契約に応じない者は、さらに地位協定に基づく特別収用法というものを適用する。そうしますと、ことばをかえて言うと、いずれにしても、契約に応じた段階から向こう二十年間、その間にアメリカが返すというなら話は別ですが、その間は軍用地として取り上げられるということでしょう。結論的にはそういうことになるわけですね。一つの取り上げる手段として土地収用を立法化し、さらに契約に応じた場合はアメリカが使用を望む間は提供する。そしてそのことも、ようやく民法の適用がなされなければならないということで、二十年間という期限というものがついている。ですから、復帰後二十年間は、いずれにしても 沖繩の現在の提供される軍事基地、土地というものはアメリカ側に使用権というものを一任をするという形になるわけですね。そういうふうに解釈してよろしいですか。
  337. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この賃貸借契約の内容につきましても、また暫定使用法の適用問題につきましても、要するに、一方におきまして、安保条約に基づくところの米側に対する提供義務をいかにして遂行していくかという問題と、それから個々の所有者の権利関係をいかに尊重していくかという問題、結局、この二つの大きな問題の妥結点をどういうところに見出すかという一つの努力の産物だと思います。  そこで、この契約書はそういう趣旨で、こういう条件であるならば自分の土地を米軍なりあるいは自衛隊に提供しよう、こういうことで任意の契約としてこの契約書は取りかわされるわけでございますので、そういう諸条件の設定につきましても、先ほど申しましたような二つの大きな問題をいかに調整するかという見地から検討いたしたわけでございますので、この契約書の内容について十分納得をされ、理解をされた上でその契約に応じようという任意の合意に基づくものでございますので、暫定使用法の場合とは、やはりそこに非常に大きな違いがあるというふうに考えるわけでございます。
  338. 上原康助

    ○上原委員 しかし、実際上はそうならないわけですよ。現に、契約に応じない、土地を提供したくないという、あるいはまた市町村、自治体にしても返還を要求している分野がたくさんありますから。  そこで、もう一度確認をしておきたいわけですが、公用地等暫定措置法の期限というものが五カ年だ。もしその五カ年間で契約に応じないという場合は、さらにその暫定措置法そのものを改正なり、期限というものを延長していくという立場をかりにとることがあるのか。それとも、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、これを五カ年後は適用するという立場をとるのか。その点についてはどう考えていらっしゃるのですか。
  339. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは、昨年の沖繩国会におきまして、暫定使用法によりまして、たいへんな論争があったところでございますが、この暫定使用というものは、これはあくまで、この沖繩の復帰というたいへんな大きな事業の中におきまして、やむを得ずとられた一つの歯どめ的な法律でございますので、この暫定使用というのは本来の手続ではございません。本来の手続は、ただいまおっしゃいました、特別措置法なりあるいは土地収用法というものが成規の手続でございまして、それによって土地の収用使用をするということでございます。したがいまして、この暫定使用というものを、五年経過後にさらにそういう特別な異例な措置を継続をするということは、私は、これは適当でない、やはり本来の成規の手続を行なうべきであるという考え方でございますので、いま言われました後者のほう、つまり特別措置法によって正規に使用、収用の権利を取得する、こういう考え方でございます。
  340. 上原康助

    ○上原委員 地位協定に伴う土地等の使用に関する特別措置法を適用した場合、五年後のことですが、なおかつ契約に応じないというものが出てきた、この場合はどうなるのですか。収用法の適用になるわけですか。
  341. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この特別措置法は、その手続としましては土地収用法の条項を適用いたしますので、いわば土地収用法でございます。したがいまして、五年間の間に契約に応じないという人たちが出てまいりました場合には、この土地収用法によって使用あるいは収用するということでございまして、その手続として土地収用法の手続を援用する、こういう形になっておるわけでございます。
  342. 上原康助

    ○上原委員 もちろん、この地位協定に基づく特別措置法も非常に問題があるし、同意するものではありませんが、本来ならば、一応本土並みのそういった特別措置法、収用法というものを適用すべきであったという答弁もいまありました。沖繩国会でもいろいろ議論されましたが、やむを得ずとられた措置であるにしても、やはり公用地等暫定措置法というものがいかに地主の権利を侵害をするものであるか、あるいはまた、基地をまるがかえした形で提供することになっているかということについては、われわれが当初から主張した結果に現在もなっているわけですよ。  そこで、アメリカ局長にちょっと一点お尋ねしておきたいのですが、この土地問題と、公用地法と返還協定との関係は、一体どうなるとお考えなのかです。
  343. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、返還協定に従いまして、五月十五日から沖繩は返還協定の条件に従って日本に返還されるわけでございます。そこで、この暫定土地使用法に基づきまして、あるいは地主と契約いたしまして提供する基地の地域につきましては、その前に、すなわちいまの予定では五月十四日の午後十二時までに、先方と日米合同会議におきまして基地の提供の合意をする、それに基づきまして基地として先方に提供する、こういうことになるわけでございます。
  344. 上原康助

    ○上原委員 どうもわかったようなわからぬような御答弁なのですが、十五日の午前零時を期して合同委員会を持って、基地の提供というものを日米できめていくわけですか。その合同委員会で取りきめをしようとしている中身については、すでにきまっているのですか。
  345. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これは法律的に申せば事実行為でございますが、目下その細目を日米間の事務当局が詰めております。
  346. 上原康助

    ○上原委員 地位協定の合意書で取りかわされた基地の提供のリストと変更のある部分はどういう面ですか。
  347. 吉野文六

    ○吉野政府委員 先生のおっしゃられたのは、おそらく返還協定の了解覚書のA、B、C表と、現実に五月十五日現在をもって先方に提供する基地の違い、こういうことでございましょうか。この点につきましてはまだ先方と折衝中でございますが、一部変動がございます。いまからすでにある程度明らかなのは、たとえば那覇空港につきまして、本来なら空港の分は全面返還されるところでございましたが、P3その他の海軍機の一部が那覇空港に代替施設が完成するまでとどまっておるという現状に照らしまして、空港の一部につきまして、新たな期間を区切って二条一項(a)の基地といたしましてこれを提供する。これがいまとりあえず浮かんでおる、了解覚書のA、B、C表と現実に行なわれるであろう合同委員会の決定の違いの予見されるところでございます。
  348. 上原康助

    ○上原委員 その中身は、もう少ししてから議論いたしますが、返還協定との関連で提供する施設、区域について。ことばをかえて言うと、返還協定の効力が続く間はその施設、区域は提供しなければいけないということになるわけですね。
  349. 吉野文六

    ○吉野政府委員 了解覚書のA、B表が、返還協定をサインした当時予見されたわが国が先方に提供すべき基地の表でございますが、これらがかりに五月十五日に全面的にそのとおり先方に提供されることになりましても、われわれはその後におきまして、基地の縮小、整理のための交渉をいたしまして、先方との合意の上で逐次これらの基地を減らしていきたい、こういうふうに考えております。
  350. 上原康助

    ○上原委員 了解覚書の特にA、Bが問題になるわけですが、Cもやはり問題になっているわけですね。現に、那覇空港にしたって、あるいは石川ビーチにしましても、さらにそのほかの二、三の演習場にしても問題が出てきておる。皆さんは、いろいろお尋ねをすると、基地の整理、縮小について積極的に話し合いの中でやっていくんだ、返還後はやるんだということです。実際にきまったことさえも、いい方向に向けばいいものの、目玉商品なんて言って大みえを切りながら、那覇空港だって全面返還できないわけでしょう。石川ビーチだってそうです。政府のおっしゃっていることと現実の沖繩の基地の実態というものは違っている。返還される方向じゃなくて、アメリカ側、使用する側がむしろ権利を拡大をしていくという中身にしかなっていないわけですよ。その点をまず指摘をしておきたいと思うのです。  そこで私は、この沖繩の軍用地の提供というものは、やはり公用地等暫定措置法で強制収用する。そして契約に応ずれば二十年の間の賃貸借契約になっていく。一方において、安保条約あるいは地位協定、返還協定、そういう相互関係によって基地そのものが固定化されていくという結論になると思うのですよ。だから、返還協定の効力の続く限り、基地そのものは現在の基地と大差ない。もちろんそれは、部分的な交渉というのは出てくるでしょうが、大半においては変わりはない、そういうとらえ方をせざるを得ないわけです。いまアメリカ局長は、実際に進めていくということですが、具体的に返す、あるいはどういう面において折衝するというような御計画でもあるのですか。
  351. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、一応昨年の返還協定調印の際は、A、Bリストに載っておる基地がわが国としては提供することを予見したものでございます。その後一番大きな交渉といたしましては、ことしの一月七日、サンクレメンテにおいて、佐藤総理・ニクソン大統領の両巨頭間の交渉におきまして、「在沖繩米軍施設・区域、特に人口密集地域及び沖繩の産業開発と密接な関係にある地域にある米軍施設・区域が復帰後出来る限り整理縮小されることが必要と考える理由」をこちらから説明いたしまして、先方は、「双方に受諾しうる施設・区域の調整を安保条約の目的に沿いつつ復帰後行なう」ということで合意されたわけでございます。その趣旨にのっとりまして、復帰後早速、われわれといたしましては、いろいろの候補地をあげまして、先方に対して整理、縮小を迫るわけでございます。  その態様といたしましては、あるいは場合においては、ある種の代替施設をわがほうが提供するなりして、先方にそこに移ってもらうというようなことをする可能性もございますし、また、その後の米軍の使用状況によりまして、先方が必要でないと認められるようなものはそのまま返してもらう、こういうようなことをやるわけでございます。  なお、御承知のとおり、石川ビーチにつきましては、先方は返してくれたわけでございますが、その下に電線の通っている部分につきましては、すでにA表の注1に書いてあるとおりこれは「合衆国の電気通信線に関し、地位協定に従い必要な措置をとる」、こういうことになっておりますから、その意味で、その一部、すなわち地下に当たる部分を、われわれは再び地主と話をしまして賃貸借で借りる、こういうことになるわけでございます。
  352. 上原康助

    ○上原委員 安保条約の目的に沿って基地を縮小するということでは解決しないのですよ。そのことが一番ネックなんです。  そこで、五月の十五日の零時ですかに、日米合同委員会をもって基地の施設、区域の提供というものをきめていくということですが、その主管となる省は外務省ですか。それとも防衛施設庁でやるのですか。
  353. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これは日米合同委員会の一応の合意でございますから、その所管自体は外務省でございますが、もちろんその前に閣議をいたしまして、提供すべき基地につきまして日本政府全体の承認を得るわけでございます。したがって、合同委員会それ自体は外務省の所管でございますが、基地全体の提供は日本政府全体の合意でございます。
  354. 上原康助

    ○上原委員 去る二十五日の閣議で、了解覚書のA表のうち七十四カ所は決定を見た、残り十四カ所について検討中だという報道がされておるわけですが、残った部分についての決定なり、あるいは取り扱いはどうなっているのか、説明をいただきたいと思うのです。
  355. 吉野文六

    ○吉野政府委員 残ったもののうちの主たるものは、いわゆる一時使用のための訓練地、すなわち川田の訓練場、瀬嵩の訓練場、前島の訓練場、こういうものが残っておるわけでございます。さらにそのほかいろいろの問題がございますが、先生御承知のとおり、瀬嵩と川田につきましては、米側がまだ地主との間に通常の権限取得のための契約ができていないわけであります。それから前島につきましては、いわゆる村長が無権代理で土地を提供したというような経緯がございます。こういうような問題もございますし、一方米側といたしましては、伊波城という石川の山の上にあるホテルに海兵隊が入っておるわけでありますが、この取り扱いをどうするかとか、いろいろ問題がございまして、これらを含めて目下交渉中でございます。
  356. 上原康助

    ○上原委員 こっちのほうが言い出さない前にいろいろ問題があるというのです。このいろいろの問題を聞きたいわけです。たとえば伊波城の場合は、返還協定交渉の中では全然問題にならなかったわけです。新しく出てきた基地の提供なんです。どういう形で、返還協定との関係あるいは基地の提供との関係で、伊波城問題を処理しようとなさるのですか。それと、そこで働いている雇用員の身分というものはどういうふうな性格になっていくのか、あわせて説明いただきたいと思うのです。
  357. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、伊波城は昨年の六月ごろ海兵隊があのホテルに入りまして、自後そこに宿営しているわけでございます。われわれといたしましては、すでに国会で、これは単に海兵隊の営外宿泊である、普通のホテルに宿泊しているのと変わなない、こういうことでこの問題を見ておったわけでございますが、よく調べてみますと、彼らは五年間の契約を伊波城の持ち主としておりまして、したがって、形式的に見ますと、伊波城の持ち主は五年間は海兵隊にこのホテルを提供しているわけでございます。  一方、ここにおります従業員の地位を考えますと、いままでは米軍の直接雇用の従業員でございますから、返還までは問題ないわけでございますが、返還後になりますと、地位協定に従いまして、われわれとしては、米軍の直接雇用の従業員というものは原則として許さないわけでございますから、もし米軍の従業員とすることであれば、これは間接雇用に切りかえなければいかぬわけですが、何せ伊波城がもし基地でないとしたならば、彼らはその地位を保てないわけでございます。したがって、今後五年間、海兵隊が少なくとも持ち主の同意を得て使用しておる宿泊施設であるならば、しかもその従業員が復帰と同時にいわゆる基地雇用者としての地位を失うならば、これはまことに現地の従業員に対して困難な状況になるのじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。  解決方法はいろいろあると思います。現状をそのままにしておきまして、現地の従業員は単なるホテルの従業員とする、こういうことも可能だと思います。しかしながら、一方五年間海兵隊が住んでおる。しかも、これは伊波城の持ち主の同意を得てあそこに住んでおるという事態が変わらないとしたならば、むしろ率直にこれを基地として認めまして、そこの従業員も同時に間接雇用に切りかえるほうがすっきりしているのではないかと考えられるわけでございますが、この点につきましては、目下米側と調整中でございます。
  358. 上原康助

    ○上原委員 はっきりさしていただきたいことは、伊波城は、日本側が提供する施設、区域として、アメリカ側が入れてくれという要求をしているのかどうかということが一つ。この点については重要な問題がありますので、私はきょうは質問を留保いたします。返還協定交渉過程にはそれは議題になったのかどうか。いわゆるかりに施設、区域として提供するという場合は、返還協定の了解覚書のどの部分に挿入してくれということなのか。その点についてだけ、きょうは説明をしていただきたいと思うのです。
  359. 吉野文六

    ○吉野政府委員 伊波城に米軍が入りましたのは返還協定調印後の話でございますから、返還協定交渉の際には、われわれは、また米軍当局におきましても、この問題の存在を認識していなかったわけであります。現在の状況は、米側としては、特にこれを基地としてぜひとも認めてくれということは主張しておりません。むしろわれわれとしては、これを基地として認めない場合には、あそこに働いている現地の従業員を間接雇用にすることができないというのが、われわれの地位協定上のたてまえでございます。
  360. 上原康助

    ○上原委員 じゃこれとの関連でVFW・リージョンクラブの取り扱いはどうなるのですか。
  361. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これらは、従業員が基地の実態を呈しておる中において働いておるわけでございますから、すなわち、いずれも基地内で働いておるわけでございますから、これは間接雇用に移すことになっております。
  362. 上原康助

    ○上原委員 委員長に要望いたしますが、伊波城問題についてはきょう質問を留保させていただきたいと思います。  次に、土地代の問題でちょっとお伺いいたしますが、いわゆる沖繩の軍用地の賃貸借に要する予算の総額が幾らになっているのか。いろいろ報道されておりますけれども、あらためてここで議論をする意味でお尋ねをしておきたいと思うのです。中身について説明をしてください。
  363. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 借料関連の経費の全体は百六十五億円でございます。その内訳は、提供施設等の借料といたしまして約百三億円、不動産購入費といたしまして約二十七億円、借料関連見舞い金として三十五億円ということでございます。
  364. 上原康助

    ○上原委員 不動産購入費の二十七億円の中身はどういうのを購入するのですか。
  365. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これはもともと地主の側から、自分の土地を買収してほしい、こういう要望がありました場合に、それを買収するために充てる経費として計上いたしたものでございますけれども、実際には百三億円のいわゆる純借料をもっていたしますればなかなか地主側の御要望に応じ切れないというふうな場合におきましては、この不動産購入費を一部その借料のほうに転用できる、こういうふうな了解のもとに地主側と折衝した。ですから、これを借料の中に相当部分を積み上げる、こういうことで計算をいたしております。
  366. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、二十七億円をはじき出した算定基礎といいますか、それはあるのですか。
  367. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これにつきましては、文字どおり不動産購入費としてございますので、その算定の基礎は不動産購入ということで計算をいたしておるわけであります。
  368. 上原康助

    ○上原委員 さらに三十五億円の見舞い金の件ですが、この見舞い金というのは、どういう地主を対象に支払いをするのか。また聞くところによりますと、二十五億円が見舞い金で十億円は謝礼金だ、防衛施設庁の言うことをよく聞く地主にはそういうものをやるんだということを盛んに言っておられるようですが、どうしてそういう面が出てきたのか。三十五億円の中身について説明をしてください。
  369. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この見舞い金は、過去アメリカの施政権下におきまして、米軍の軍用地として土地を提供してこられた地主の方々に対する、いわばその心理的な負担あるいは経済的な負担に対しますところの一つの謝礼と申しますか、そういう意味合いでございます。したがいまして、それは今後、土地を米軍の基地に提供する、あるいは自衛隊の基地に施設として提供するという方々に対する復帰時点におけるところの見舞い金でございますが、この中身につきましては、これは契約に応じてくれる地主のみならず、やむを得ず暫定使用法によりまして収用をするその土地の地主、いずれにも見舞い金を支給するということでございますが、その御指摘のありました一部につきましては、積極的に土地の提供について協力をしてくれる地主の方々に対しまして、その積極的な協力に対する一つのいわば報償と申しますか、そういう意味も含めておるわけでございまして、まあその金額は大まかに言いますれば、さっき先生御指摘のような金額を考えておるわけでございます。
  370. 上原康助

    ○上原委員 これはアメリカの高等弁務官資金よりももっと悪いのだ。行政というものは、やはり公平でなければいかないと思うのですよ。防衛施設庁長官、よくもぬけぬけとそういうことがこういった公式の場で答弁できるほど、強い心臓の持ち主だったとは私は思わなかったです。見舞い金ということで三十五億をつけて、さらに十億円は謝礼金だ、そして積極的に土地を提供する者についてはこの十億円を上積みするということですか。どういう対象人員なりどういう算定基礎でそういうふうな数字というものを割り出したのか。いま皆さんがこういう手口で契約を強制しようという行政のあり方、姿勢というものは私はあってはいかぬと思うのです。かりに、契約に応じられない、契約を拒否するという場合だって——強制収用というものは土地収用法でやるわけですよ。実態はやはりアメリカ側に基地は使われてしまう、収用されてしまう、そうであるならば、拒否をする地主の方々の要求にこたえる姿勢を示すのが政府のとるべき態度であって、政府の言うことをよく聞く人にはあめをやるというような行政のあり方というのは、これはけしからぬですよ。  確認しておきたいのですが、私はやはり行政というものは公平を期さなければいけないと思う。そしてなお、契約に応じないにしても、収用法で土地は取り上げられるわけですよ。実態としてはアメリカ側が基地として使う、日本政府が貸す、そうであるならば、応じた人も応じなかった人も実質的には変わらない。やはりすべてを土地料としての支払いの対象にすべきのが予算の公平な組み方だと思うのです。その点どうなんですか。
  371. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この借料関連経費の総体の百六十五億円と申しますのは、地主会連合会の要望でありました百八十八億円に期間調整、つまり五月十五日以降でございますので、期間調整をいたしたものが百六十五億円でございます。そこで、この百六十五億円をまるまる借料ということにいたすのが本来の姿かもしれませんけれども、これは本土の借料算定の基準からいたしますればたいへん大きな金額でございまして、これは本土への影響というものも非常に強いということで、この中身をどうするかということでいろいろ財政当局との間に問題になったわけでございます。そこで、その結果こういう内訳になったわけでございますが、三十五億円につきましては、もちろんこれは、契約に応じる人、あるいは応じない人それぞれに、金額的に見ますと借料の約二カ月分に相当するわけでございますが、これはいずれもひとしく見舞い金を支給しよう。しかしながら、私どもとしましては、やはりあくまで契約合意ということを強く訴えてまいりましたので、やはりそこは積極的にその点において協力をしてくださるという、そういう努力に対するところの政府としての何らかの見舞い金ということは、これはむしろ至当な方法ではなかろうか。こういう考え方に立って、その約十億円につきましては、これはそれぞれの地主の持っております土地の面に比例いたしまして段階を設けてこれを支給しよう、こういうふうな考え方をとったわけでございます。
  372. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、この見舞い金は一律に定額支給するのか。Aという人は一生懸命に施設庁の言うことを聞いた、Bは少し聞いた、この人はちょっぴり聞いた、いろいろな形態が出てくるわけですよ。一律に定額支給するわけですか。
  373. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは要するに、提供していただく、契約に応じていただく、その面積に応じましてこれを幾つかの段階に分けまして、これはいわば定額ということになりましょうか、そういう段階を設けるつもりでございます。
  374. 上原康助

    ○上原委員 防衛庁長官にお尋ねいたしたいのですが、いままでの議論いろいろお聞きになったと思いますが、私はやはり沖繩の軍用地主の方々の意見というものはもっと尊重されなければいけないと思うのです。しかも行政を進めるにおいて、見舞い金という中にさらに謝礼金というものをつくって、もちろん見舞い金の二十五億円については、契約に応ずるのにも応じないのにも支給するんだということですが、わざわざまた色をつけて、十億円については、積極的に土地の提供をやった人についてはプラスアルファをつける。裏を返して言えば、政府のやっていることにはすべてオーケーしなさい、同意しなさいということになるわけです。かつて高等弁務官が弁務官資金というものをばらまいて、簡易水道をつくったり、公民館をつくったり、道路をつくったり、いわゆる懐柔政策をとった。復帰の段階においても、その二の舞いを日本政府がやるということは、単に、安保の問題をどうする、あるいは基地の提供を拒否する、拒否しないというような立場を抜きにしても、好ましい政治の姿勢ではないと思うのです。十億円というのはやはり三十五億の中に、見舞い金という形の中に——私はこの見舞い金という表現そのものも同意はいたしませんが、取り扱うべき筋合いのものであると考えるのですが、こういうことをやるからますます現地の地主の不満を買うのですよ。責任者というお立場で、十億円の問題について考え直す御用意があるのか。あるいはまた、あくまでいま施設庁長官がおっしゃるような方法でやるのか。御見解を承っておきたいと思うのです。
  375. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いろいろやりとりを聞いておりましたが、これは施設庁長官が申しておることをすなおに受け取っていただきたいと思うのです。何だか施設庁に協力といいますか、政府に協力する者には特別出すというふうにこだわると、これは多々ますます弁ずで、いろいろ議論が出てまいりましょうが、できるだけ沖繩の地主さんの意向をくんで、それにできるだけいろいろ理屈をつけて色をつけよう。これは私は政治家として聞いておりまして、けっこうなことじゃないか、こう思っておるわけです。ですから、それを出すのに、若い人などがややもするとはき違えをしまして、何だか恩着せがましくやる、そういうことを上原議員も言っておられるんだろうと思うのです。そういうことは、やはり取り扱いの問題ということで注意を喚起するようにいたしたいと思います。この問題、見舞い金そのものについては、これは沖繩の地主さん方の取り分の少しでも多いようにというような配慮に出るものだということで御了解をいただきたいものだと思います。
  376. 上原康助

    ○上原委員 ますます納得のいかない御答弁ですが、私はやはり、ものを多く取ればいいという筋合いのものでないと思うのです。強制収用法によって、応じまいが応じようが土地は取り上げるわけですよ。そうであるならば、実態としてアメリカに提供するということであれば、同一に扱うべきですよ。しかもこの見舞い金なんというのは一回きりのものでしょう。本来ならば土地代に含めて、新しく契約を結ぶ段階において地代としてはじき出すべき筋のものだと思うのです。では、協力する者にはそういった見舞い金はずっと継続して出すのですか。
  377. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この金額の算定につきましては、一昨年から地元の方々の強い要望がいろいろございまして、純借料ということになって算定いたしますと、本土基準をもとにいたしますと、非常に低いところに落ちつかざるを得ない。それを非常に高く上げますと、今度本土へのはね返りが非常に大きいということもございまして、極力地主の方々の要望に応ずるべく、総額としてはほとんど満額に近いものを算定いたしたわけでございます。  そこで、この見舞い金につきましては、借料は、御承知のとおりに毎年毎年土地の価格の値上がりに応じまして上げていくわけでございますが、この見舞い金が初年度限りということになりますれば、次年度からそれ相当に応ずるところの借料の値上がりというものが認められなければ、二年目から相対的に落ちるわけでございます。そこで、いまの関連見舞い金の中の約十億というものは一回限りのものでございますけれども、残りの二十五億につきましては、一方借料がずっと上がってまいりますので、その借料と見舞い金との総体の額は、少なくとも三年間は据え置きにしたい。これはもちろん年々の予算でございますので、来年度予算において本年度の総体のワクを下回らないような努力をいたさなければなりませんが、いまの借料の値上がりの比率から見ますれば、四年目になりますれば総体の額に追いつくであろうというようなことで、せっかく政府として地主の方々に御協力を申し上げておる。この総体の額を次年度以降において下回らないような形に何とかくふうできないかということで、いまいろいろ考えておるわけでございまして、したがいまして、二十五億については、これは借料が上がってまいりますれば、その分だけ減額をいたします。けれども、総体においては次年度以降において下回らない、こういうふうなくふうをいたしておるわけでございまして、その十億円につきましては一回限り、こういうことでございます。
  378. 上原康助

    ○上原委員 その意図している点、政府がなぜこうまでして土地の契約というものを強制していかなければいかないのか、そこに私は本質的な問題があると思うのです。はっきりさしていただきたいことは、たとえば、契約に応じない、応ずるということによって、じゃ地主の差別をするのですか。実際に土地は奪われて使われている実態においては変わりはないわけでしょう。政府の権力に従属をしていく、応ずる者に対しては政治的に色合いをつけるということがむしろ明らかにされて、沖繩の土地問題というのは、私は決していい方向には行かないと思うのですよ。たとえ十億の金であったとしても、どれだけの地主に割り振りされるか、幾らの額になるのか、そうたいした額じゃないと思うのです。そういう形で差別をしていって、土地というものを提供さしていく。しかも、一たん契約した以上は、二十年間は地主の意のままにはならないわけでしょう。その点、この十億の問題については再考を強く求めます。  それと百三億の土地料の問題ですが、これで一体幾らか上がるわけですか。地代は実際に上がるのか。
  379. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 借料関係といたしますれば、これは平均でございます。非常にこれは誤解を招きますので、実は倍率等について申し上げるのはいかがかと思いますけれども、純借料関係といたしましては約五倍。しかしこれは、その土地、土地の状況に応じまして倍率は違ってまいりますので、平均五倍ということになりますれば、自分のところも五倍というふうにとられますと、これは誤解を生じますので、平均で言うことは非常に適当でないわけでございますけれども、しいて倍率ということになりますれば約五倍。  従来から御承知のとおり、米軍は賃借料を五年間据え置きでございますけれども、一部、那覇市その他につきましては、かなり値上がりをいたしておるところもございます。そういうところは倍率は低い。しかし、以前はたとえば山林原野であったところが、今日の開発状況からすればこれは相当上げなければいかぬというようなところは、倍率はむしろ平均よりも高い。こういうことでございますので、この施設あるいは位置によりまして区々でございますので、この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  380. 上原康助

    ○上原委員 ですから、政府が当初から、地代は大幅に値上げになるのだというようなことでいろいろふれ込みをなさって、さらに、契約に応じなければ見舞い金は支給しないのだとか、あるいはまた土地代も払わないのだというようなことで、いま施設庁の職員がさらに各部落をめぐってやっているわけですね。私は、そういう政治の姿勢のあり方、いわゆる官僚のあり方というものは断じて許しちゃいかぬと思うのです。実態的に土地が奪われて使われているならば、当然それに伴う補償というものはなすべきなんですよ。そこで、契約に応じない方々がもしあるという場合に、地代の支払いの方法なりに差別があってはならないと思うのです。時期の問題にしても……。そういう点についてはどうなんですか。
  381. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは、暫定使用法の中にございますように、損失に対しまして補償いたすわけでございますが、これは私どもとしましては、一応借料相当額というふうに考えております。したがいまして、次年度以降借料が増額になりますれば、それに伴ってこの補償料も増額する、こういう考えでございます。
  382. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、土地の使用料についても、さらにこの見舞い金の性格について、どういう性格のものなのか、もっとただしたいわけですが、やはり過去の損失補償、補てんという意味なのか。ただ見舞い金という謝礼金みたいなことなのか。そういうものについては、万一拒否をする地主についても差別はしない。ただ、政府のいまの立場としては、先ほど大臣もお答えがあったのですが、十億についてのみ色をつけるのだ——私はその十億についてもやはりつけるべきでないと言うのです。そこまでしないでも、ほんとうに皆さんが地主の立場というものを理解するのであるならば、解決の方法はあると思うのです。この十億についてのみ、いま政府の立場としては色をつけざるを得ない、土地料の支払い、その他先ほど説明になった見舞い金等については、全く差別をしないという立場である、そういうお考えであるということを確認してよろしいですか。
  383. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  384. 上原康助

    ○上原委員 この三十五億の見舞い金ですが、これは課税の対象になりますか。
  385. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 課税の対象になると思います。
  386. 上原康助

    ○上原委員 あと一点。黙認耕作地の取り扱いについてどうなさるのか。従来どおりの方法での賃貸契約といいますか、取り扱いをするのか。この件についてあらためてお伺いをしておきたいと思います。
  387. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 黙認耕作地は、沖繩におきますところの非常に特殊な制度でございまして、こういうところは本土の場合にはきわめて少ないわけでございますが、長年の間耕作をしてこられた、それによって収益をあげてこられた、それが生活の一つの基盤を形成しているというふうな点を尊重いたしまして、当面の周は引き続き黙認耕作地としての存在を認めていきたい、かように考えておるわけでございますけれども、これはさらに実態を十分調査いたしまして、本来はやはりこれは適正な姿に戻すべきだというふうに考えますので、その辺は今後の検討に待ちたい、かように考えておるわけでございます。
  388. 上原康助

    ○上原委員 賃貸料その他の取り扱いについては、当面は従前どおりやるということですね。
  389. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  390. 上原康助

    ○上原委員 予定の時間が来ましたので、あと水道公社の土地問題あるいは道路、いろいろございますが、またいずれの時間にして……。次に、防衛庁長官にお尋ねしておきたいのですが、自衛隊の実弾射撃演習場というものを北部のほうに設けたい、あるいは、現にアメリカが使用している演習場なりゲリラ訓練所というものを共同使用したいという御計画があるということを承っているのですが、どうなっているのですか。
  391. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 自衛隊が沖繩に展開しました場合に、必要最小限度の施設は使用せざるを得ないわけですが、その場合、陸上自衛隊も行きますし、当然演習、訓練の場が必要になるわけであります。しかしながら、御承知のように、沖繩においては基地が非常に多いというような実情にありますので、復帰後においても引き続き米軍が使用する演習場以外に、新たに自衛隊だけの演習場を取得するということは、ますます基地がふえるという形になりますので、これは米軍の演習場を共同使用していくことにしたい、このように考えておりますが、まだ具体的にはこれから検討していきたい、このように考えております。
  392. 上原康助

    ○上原委員 現在米軍が使っている演習場を共同使用していきたいということですが、一応計画なりはあると思うのです。どこを予定しているのか。
  393. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ときどきいわれております、たとえば24(b)により米軍に提供する施設、こういうものは検討の対象外でございますが、これはまだ確定的なことは申し上げられませんけれども、キャンプ・ハンセンの一部等について共同使用することになるのじゃなかろうかということで、現在検討中でございます。
  394. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、現在でも、米軍の演習によって、地域住民なり山林原野、いろいろな面で損害を受けているわけですよ。自衛隊を派遣することに反対を唱えている県民の立場というものを全然無視して、実弾射撃演習場まで米軍との共同でやる、そのことは結果的には、沖繩の基地の密度といいますか、県民に軍事基地によって与える被害というものは強めていくことになるわけですよ。  私は実はおととい沖繩から帰ってきたのですが、実際、ベトナムのあの情勢の悪化によって、あの嘉手納基地の爆音なり、あるいは第三海兵隊なり、知花弾薬庫なりホワイト・ビーチあたりに運んでいる爆弾というものをまのあたりに見ている県民の立場というものは、ほんとうに日本政府というものが、沖繩の基地の実態というもの、あるいはベトナム戦争との関係というものをどうとらえているのか。いまでさえ、そういう殺人的な爆音によって、もう昼夜の別ないですよ。全く生きたここちもしない最近の実情なんです。そこにさらに、自衛隊まで実弾演習場、訓練所を持つということは、もってのほかなんです。なぜそこまで、沖繩民の要求というものを、政府、防衛庁は踏みにじらなければいけないのか。私はこの点については防衛長官にお尋ねしたいわけですが、もうこれ以上基地があってはならないという段階において、自衛隊のそういった演習場というものまで設けるということでは、県民の自衛隊に対する、あるいは土地問題に対する憎悪がますすま強くなると思うのです。そういう計画を即刻取りやめることを強く要求をしておきたいし、きょうは時間がありませんので、ほかの件については触れられませんが、もう少しはお考えになっていただきたいと思うのです。軍用地は一方的に取り上げ、自衛隊は持っていって、しかも実弾演習場までつくる。何のための復帰かというのはあたりまえですよ。もしうそだと思うのでしたら、沖繩に行って実情を調べてくださいよ。嘉手納基地の周辺あるいはホワイト・ビーチから運んでいる爆弾、現在の沖繩基地の活動というものがどんなに活発に展開されているかということ。これは事前協議もへったくそもあったものじゃないですよ。いまここでいろいろ議論しても、実態というのはそうじゃない。ことばの上でのやりとりは要らないと思うのです。そのことを踏まえて、沖繩の軍事基地の問題なり、あるいは安保の問題とか返還協定の中身というものを議論していかないと、実際問題として空論にしかすぎないのです。  自衛隊の演習場設置の問題、あるいは自衛隊派遣というものについて、あくまで強行をなさるという方針をとっておられるようですが、復帰を実現して、県民生活というもの、いろいろな復帰不安なり経済開発というものも、人間が大事にされる政治が先行されて、その中でなおかつ相談の上ということなら話は聞ける面もあるかもしれません。しかし、まっ初めに先行させたのは、先ほど議論いたしましたように、土地を強制的に取り上げて、自衛隊を派遣するということでしょう。これでは沖繩の県民の要求というのは浮かばれませんよ。その点についての長官のあらためての見解を賜わっておきたいと思うのです。
  395. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 演習場でありますから、これは、これから米側と共用になるのか、新たに設けるのかということについて、設ける方向をさっき参事官から申し上げたわけでありますが、これはひとつお認めを願いたいものだと思うのです。もとより県民感情は尊重しなければなりません。そういうことが、私どもでも、自衛隊の配備について、慎重の上にも慎重を期しておるゆえんであります。したがって、新しい自衛隊というものの性格を沖繩県民にわかっていただく。  こういう場面で上原さんの立場から質問をされれば、土地を取り上げて自衛隊が侵略するように沖繩に来てというようなことになりますが、さっきの質問者にもお答えしておるように、自衛隊の自衛官があれだけのことをやっても、なかなか刑事罰にはかけられない。まさに行政処罰でいくよりどうもしかたがないんではないかといったようなやりとりがあなたの質問の前になされておりましたが、そういう自衛隊の実態、いまの日本の法律の取り扱いの行き方、こういうものがだんだん沖繩県民にしみ渡ってまいりますと、やはり旧軍隊などというものとは無縁な、ずいぶん性格の違ったものだなということがわかるようになりまして、だんだん自衛隊というものを理解していただける向きも多くなるのではないか、私は実はそんな期待をしておるわけです。そんな期待はけしからぬということかもしれませんが、これは上原さんも、いまの自衛隊の実態をしばしば御視察などをいただけばよくおわかりのとおりでありますので、むしろ今後は、自衛隊が沖繩県民に親しまれる、十分理解をされる、こういうことに私どもは全力をあげていきたいと思います。従来の計画をにわかに変更することができるものでない以上、これはやはり県民のあの戦争中の暗い意識を、一つでも二つでも、自衛隊を理解してもらうことによってイメージチェンジをする、それが重点だというふうに思っておるわけです。そういう面に、御趣旨の存するところを体しながら、十分努力してまいりたい、こう思っておりますので、これはひとつよろしくお願いいたします。
  396. 上原康助

    ○上原委員 どうしてもそういう御答弁では納得いかないわけです。長官も、これは最近総理府の出したあれに、自衛隊はから手の精神でと云々していますが、沖繩のから手というものは、そんなものじゃないですよ。そういう宣撫工作をやったって、私はいまの日本の歩もうとしている道というものは、そう長官のおっしゃるようなバラ色じゃないと思うのです。沖繩の県民がなぜあれだけの犠牲をしいられたかということを踏まえないで政治を論ずるところに問題があろうと私は思う。少なくとも、自衛隊の実弾射撃演習場というものが沖繩に設けられるということに対して、これは大きな従来以上の問題になりますよ。しかもその地域というものは、ノグチゲラとか、そういった天然記念物に指定されている野鳥なども生息しているところでしょう。あえてそこまで自衛隊が踏み込む。実際問題、聖域を荒らすようなものです。その点については、ぜひ取り下げるように、強く要求をしておきたいと思うのです。  時間がありませんので、最後に四種雇用員の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。何回か聞いたのですが、特にミルクプラントの問題、これについては、間接雇用に移行する方向で鋭意努力するということを答弁なさっております。しかし現段階においてもなお問題解決がなされていない。一体アメリカ側とどういう話し合いになっているのか。そして一種、二種の間接雇用問題を含めてどうなっているのか。もう一度説明をいただきたいと思うのです。
  397. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ミルクプラントに勤務しております従業員の取り扱いにつきましては、かねてから地元から間接雇用切りかえというたいへん強い御要望がございまして、今日まで米側と鋭意折衝を重ねてまいりました。今日の段階では、米国の来会計年度、つまり七月一日にこれを間接雇用に切りかえる、こういう方針を米側はとったようでございます。
  398. 上原康助

    ○上原委員 七月一日からミルクプラントを間接雇用に切りかえるということを米側は決定したわけですか。その点は政府側と合意に達したということですか。
  399. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米側からそういうことにつきまして口頭で通報があったということでございます。
  400. 上原康助

    ○上原委員 その口頭の通報はいつですか。
  401. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 具体的に申し上げますと、四月の十二日に大体全軍労としての長期ストが終息したという時期がございます。その時点で、ミルクプラントの方々約八十名だけがストを継続されておったわけです。その時点以降も、私ども沖繩の四軍の合同委員会の代表の者と交渉を継続しておりまして、その継続している中で、実はこれは契約による業者の従業員であるからにわかに措置することができない、したがって米国の会計年度である六月三十日をもって一応契約を終了して、そこで退職金を支払い、そこであらためて、そこにつとめていた方を間接雇用ということで雇用を開始するということにする以外に方法がないということで、交渉の過程におきまして、そういうことをわれわれは通報を受けております。したがいまして、時点を正確にと言いますと、私ただいまはっきり申し上げられませんけれども、そういう状態で現在に至っております。
  402. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、もちろん現在六月三十日までの米側との契約があるわけですよね、メドー・ゴールドとの。また労使間の契約もある。そういう面での問題もいろいろあったと思うのですが、その点、私もわかりますけれども、実は私もこの点について現地の関係者といろいろ話し合ってみたのですが、幾つかの条件があるわけですよ、間接雇用に移行する場合に。その点については、どう米側と話し合いを持たれているのですか。七月一日からミルクプラントの雇用員が確実に間接雇用になるという日米の合意というのはほんとうに見たのですか。その合意をする場合の幾つかの条件なりがあるわけでしょう。その条件が受けられたら間接雇用に移行するということなのか、あるいは条件の合意とは関係なしに間接雇用に移行できるということなのか、そのあたりはさだかでないのですよ。
  403. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 いずれにいたしましても、業者の従業員でございますので、六月三十日をもって一たんその雇用という形態を切ります。そこで退職金が業者から払われる。そうしますと、全く失職した状態の方々がそこに生まれるわけでございますけれども、米軍はその仕事をなお継続してやっていきたいという意図があるので、間接雇用の定員のワクの中でその人たちをいわゆる間接雇用の形で雇う。雇う場合には、前の日とその翌日も同じ仕事をやるわけでございますので、いきなり初任給ということはこれはおかしいということで、その給与につきましては、前日までの給与というものを勘案して決定する。ただし退職金は、一たんそこで切れますので、通算することができないというのが条件といえば条件でございます。
  404. 上原康助

    ○上原委員 そのほかの四種雇用員はどうなっているのですか。
  405. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 そのほかの四種雇用員につきましては、きわめてばく然としておりまして、海兵隊の系統の基地における約八十名の四種雇用員がいずれ間接雇用に切りかわるという形で雇い入れるのじゃないかという通報は受けております。しかし、それがどこの会社のどこの部分であるかという問題につきましては、非常にばく然としておりまして、まだ詰めておりません。それはいずれにいたしましても、六月三十日になりませんと、いわゆる四種というのは契約でございますので、それが切れる時点ではっきりするということでございます。
  406. 上原康助

    ○上原委員 もう約束の時間が参りましたので終えたいと思うのですが、この四種雇用員の問題について、これまで何回かお尋ねをし、また意見を含めて申し上げてきたつもりなんですが、なかなか前進していないわけですよ。解決されていない。いま防衛庁は、どうすれば土地を取り上げられるかでやっきになって、自衛隊と土地取り上げだけに心を奪われて人間のことは全く無視している。だから全軍労の問題もああいう結果になる。防衛庁長官も、ベトナム戦争の状況が悪くなると、沖繩へ飛んで行って何やかややるのだが、それまでは実際問題としてしりを動かそうとしなかった。そこまで言うといろいろまた角が立つので、私も少しは遠慮しいしいものを言っているわけですが、いつになったら一体解決するのかということなんですよ。もう五月十四日は目の前です。ですから、ミルクプラントの問題にいたしましても、間接雇用に伴ういろいろな条件等アメリカ側からあるでしょうが、私はやはり、この四種雇用の問題については、日本政府として対応すべき方法もあると思うのです。そういう面で、ぜひ早急にこれらの問題に対しても結論を出していただきたいし、同時に、これは防衛施設庁だけのことじゃありませんが、沖繩の離職者対策ということについては、もっといまの離措法そのものの中身というものの検討も、私は防衛庁としてやるべきだと思うのですよ。ただ復帰すれば本土の法律を適用するからというだけで、沖繩の基地の問題や基地労働者の問題というものが解決できない面が多いわけです。そういう意味で、ぜひ早急にミルクプラントの問題についても、ほかの四種雇用員の問題、さらに一種、二種の移行に伴ってもいろいろ問題が出てくると思うのです。そういった面について早急に、現地の関係者なりあるいは政府としての施策を強く要求をいたしまして、きょうの質問は終えておきたいと思うのです。どうもありがとうございました。
  407. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、明十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会